JP2017167036A - ポリアリルアミン塩酸塩を受容体として用いたナノメカニカルセンサ並びにアセトン濃度測定装置 - Google Patents

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【課題】大掛かりな装置を用いることなく、気体試料中に含まれるサブppmレベルまでの低濃度のアセトンを検出すること。【解決手段】ポリアリルアミン塩酸塩(PAA−HCl)を受容体層として塗布したナノメカニカルセンサを用いることで、サブppmレベルのアセトンを検出することが可能となる。これにより、ガスクロマトグラフィーやマススペクトロメトリーのような大掛かりな装置を用いることなく低濃度のアセトンを検出することが可能となる。【選択図】図5

Description

本発明は、受容体層としてポリアリルアミン塩酸塩(以下PAA−HClと称する)で被覆したナノメカニカルセンサに関し、特にアセトンを高感度で検出することが可能なナノメカニカルセンサに関する。本発明はまた、このナノメカニカルセンサを使用したアセトン濃度測定装置、糖尿病診断用呼気測定装置及び作業環境変化用アセトン濃度測定装置に関する。
気相中のアセトンの検出は様々な場面で興味を持たれている。例えばアセトンは眼への刺激性や中枢神経への影響が知られていることから、労働安全衛生法により作業環境評価基準は500ppmと定められている。また、呼気中のアセトンは糖尿病との関係が知られており、健康な人で0.9ppm、糖尿病患者で1.8ppm程度のアセトンが呼気中に含まれる。そのため、サブppm(0.1〜1ppm)の感度でアセトンの検出ができるセンサがあれば、呼気中のアセトン濃度を測定することで糖尿病の診断が行える可能性が有る。通常呼気中の成分分析にはガスクロマトグラフィーやマススペクトロメトリーが用いられる。しかしながら、これらの装置は大掛かりで高価になるため、小型のセンサでアセトンの濃度を測る技術が確立されれば簡易的な糖尿病の診断や集団検診などにおいて糖尿病の疑われる者の簡便なスクリーニングが可能となり、また工場や作業現場等の大気中のアセトン濃度に関する作業環境評価を簡単に行うことができるようになるため、好都合である。
気体や液体中の微量成分の検出に使用できる小型のセンサとして、近年ナノメカニカルセンサが有力視されている。ナノメカニカルセンサとは、基板となるセンサ素子上に受容体材料を被覆した受容体層と呼ばれる部位で気相・液相中の検体を吸収・吸着し、その際に発生する応力・ひずみを検知することで動作する新型の化学センサである。1994年にJ. K. Gimzewskiらによりカンチレバータイプのナノメカニカルセンサが開発され(非特許文献1)、ガスやイオン等の低分子化合物からタンパク質やDNAなどの生体物質まで様々な物質の検知がこれまでに報告されている。2011年に吉川らにより膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface Stress Sensor,MSS)が開発されたことで高感度かつ超小型のセンサが実現し(特許文献1,非特許文献2)、食品・環境・医療等への応用が期待されている。ナノメカニカルセンサは、検知部材のナノメートル領域のきわめてわずかな変形・変位やそれに対応する応力等を検知することで動作する。例えば、非特許文献3でカンチレバータイプのナノメカニカルセンサについての議論がなされているが、そのグラフ中に例示されているカンチレバーの変位量は1400nm程度から下は1nm前後までの範囲にわたっており、そのようなナノメートル領域の変位量を検知することでセンサとしてのシグナルを得ている。
ナノメカニカルセンサは使用される受容体材料の性質によりセンサの感度・選択性が変わるため、受容体材料を検出したい検体に合わせて作りこむ必要がある。しかしながら、ナノメカニカルセンサに被覆することによってアセトンをサブppmレベルの高い感度で検出することができる受容体材料はこれまで提案されていなかった。
本発明の課題は、ナノメカニカルセンサ上にアセトンに対して高い感度を持つ受容体材料を被覆することによって、アセトンの高感度測定手法を可能とすることである。
本発明の一側面によれば、ポリアリルアミン塩酸塩を受容体として用いたナノメカニカルセンサが与えられる。
ここで、前記ナノメカニカルセンサのセンサ本体に膜型表面応力センサを使用してよい。
また、前記受容体は前記ナノメカニカルセンサの表面に設けられたポリアリルアミン塩酸塩の層であり、前記層の厚さは前記ナノメカニカルセンサの変形部位の厚さの1/1000倍から100倍の範囲であってよい。
また、ポリアリルアミン塩酸塩を表面に有する多孔質体または微粒子の層を前記ナノメカニカルセンサのセンサ本体の表面に設けてよい。
本発明の他の側面によれば、前記何れかのナノメカニカルセンサを使用したアセトン濃度測定装置が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、前記アセトン濃度測定装置を使用した糖尿病診断用呼気測定装置が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、前記アセトン濃度測定装置を使用した作業環境評価用アセトン濃度測定装置が与えられる。
本発明により、気相中のアセトンをサブppm(0.1〜1ppm)レベルまで検出することが可能となる。これにより、気体試料中に含まれるアセトンを大掛かりな装置を使用せずに高感度でしかも簡単に検出することが可能になる。また、サブppmまでの高感度は必要としない応用であっても、このような高感度を発揮するセンサを使用すればセンサ出力のS/N比を高くすることができるため、検出信号処理回路の設計が容易になったりその他の検出信号の後処理が簡単になるなどの効果がある。更には、本発明を用いてサブppmまでの感度が不要な用途に使用するセンサを作製する場合には、感度面で極大性能を求めない分、センサ設計上のパラメータの自由度が高くなるため、高感度以外の各種の要件への対応が容易になるという利点もある。例えば、一般的に受容体層の膜厚が薄い方が応答速度が速くなる傾向にあるので、応答性が重要な応用分野では受容体層を感度の点で最適な膜厚よりも薄く作製することもできる。
ポリアリルアミン塩酸塩(PAA−HCl)の化学構造式を示す図。 本発明の第1の実施例の、PAA−HClにより被覆する前後の膜型表面応力センサ(MSS)の光学顕微鏡像。 本発明の一実施例におけるアセトンガス測定を行うガスラインの構成を概念的に示す図。 本発明の一実施例における、アセトンガス測定を行う際の100ppmアセトンガスライン及び窒素ガスラインの流量を示す図。両者の流量の合計が一定になるように制御した。 本発明の一実施例において、PAA−HCl被膜したMSSでアセトンガス測定を行った際の出力信号並びに2つの比較例であるポリメチルメタクリレート(PMMA)で被覆したMSS及びポリエチレングリコール(PEG)で被膜したMSSでアセトンガス測定を行った際の出力信号の時間変化を示す図。差し込み図は信号レベルの小さな2つの比較例の出力信号が見やすいように、同図中の信号レベルの小さな部分を縦軸方向に拡大した図。
本発明は、PAA−HClを塗布したナノメカニカルセンサでアセトンを高感度で検出するものである。したがって、本発明で使用可能なセンサ本体は、その表面に受容体材料を被覆することで構成された受容体層が検知対象物質を吸着することによって受容体層に引き起こされる変化を検知するものであれば、その構造、動作等は特に制限されない。また、センサに至る気体試料の流路および気体試料の導入方法はどのようなものであっても良い。ナノメカニカルセンサの読み取り方式はどのようなものであっても良く、またその読取を行うレートであるサンプリング周波数は特に制限されない。
PAA−HClをセンサ表面に被覆するための手法は、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、インクジェットスポッティング、キャスティング、ドクターブレードやディスペンサーを用いた被覆など、特に限定されない。
センサ表面に被覆される受容体層の厚さは、受容体層で被覆されるナノメカニカルセンサの変形部位(ナノメカニカルセンサのうちの、受容体層が載っていて、受容体層の応力、ひずみによって変形することでセンサシグナルに実質的に寄与する部位)の厚さの1/1000倍〜100倍程度の範囲とすることが好ましい。以下の実施例で使用したMSSの場合には中央の円形薄膜部分(図2参照)がこの変形部位であり、このMSSでは変形部位の厚さは2.5マイクロメートルであった。
ただし、一般に、この受容体層の厚さにより検出感度が変化する。これについて解析を行っている非特許文献3には、検出感度を最大化する受容体層の厚さは受容体層のヤング率等により異なるが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン(PU)、カルボキシメチルセルロース(CMC)の場合には最適な厚さは2〜8マイクロメートルの範囲であることが示されている。この記載から、本発明のPAA−HClについては、正確なヤング率を測定していないが、上記物質とそれほど変わらないヤング率を持つと予測されることから、PAA−HClを使用した受容体層でも検出感度の点で最適な膜厚はこれらの受容体材料と同等な数マイクロメートル程度、より具体的には1〜10マイクロメートル程度であると考えられる。より一般的に言えば、受容体層膜厚を厚くすると、トータルの応力が大きくなることでシグナルは大きくなる。一方では、受容体層を薄くすると、受容体まで含めたセンサ全体が軟らかくなってシグナルが大きくなる。これら2つの要因のバランスで、感度を最大とする受容体層膜厚が決まる。
もちろんこの範囲を外れてもその厚さに相応の検出感度が得られる。例えば実施例のMSSを使用したPAA−HCl被覆センサでは受容体層の膜厚を0.9マイクロメートルとした場合でもかなりの感度が得られることが解析的に予測されるので、求められる特性によってはこのような上記範囲外の厚さの受容体層を使用することもできる。
また、受容体層を載せるセンサ表面、すなわち変形部位の大きさが現在使用されているものよりも非常に大きなナノメカニカルセンサが実用化される可能性もある。変形部位の面積が大きくなると機械的強度を維持するために当該部位を厚くすることが好ましい。この厚さの増大により上記2つの要因の一方であるセンサ全体の剛性が高くなるので、上記バランス点は受容体層が厚い方に移動する。従って、変形部位のサイズが現在のナノメカニカルセンサとは大きく異なるものとなった場合には、上述した検出感度を最大化する受容体層の厚さの範囲も大きく変わることが考えられる。
また、以下の実施例ではPAA−HClをセンサ表面に直接塗布した例について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば自己組織化単分子膜(SAM)等の下地層を介してPAA−HClを塗布してもよい。また、下地層の一種として、表面にPAA−HClを有する有機あるいは無機材料からなるメソポーラス材料などの多孔質材料あるいは微粒子の層をセンサ表面に設けてPAA−HCl層の実効表面積を増大させることで検出感度等の性能向上を図ってもよい。更には、PAA−HCl単独ではなく、他の各種の材料とともに塗布することもできる。
ナノメカニカルセンサとして以下の実施例ではMSSを使用する。その詳細は前掲の文献に示されているが、概略を説明すれば、MSSではシリコン単結晶基板などの平坦な部材及びその周辺のフレーム部とが設けられ、平坦な部材の周縁の例えば平坦な部材の中心からみて90度ずつ離間させる等の態様で定められる複数位置だけで平坦な部材とフレーム部とが接続されている構造を有する。平坦な部材表面に印加される表面応力は接続部分に応力集中を引き起こす。これを接続部分に設けられているピエゾ抵抗などの検出素子で検出することにより、平坦な部材の表面応力を効率よく検出信号に変換する。このように平坦な部材周辺の複数個所で応力検出が行なわれるが、これらの複数の検出結果を効率よく結合するため、たとえば検出素子をブリッジ接続する。
以下では、本発明のMSSの実施例を説明するが、当然ながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[PAA−HCl被覆されたMSSの調整]
本実施例では、分子量が約17,500g/molのPAA−HCl粉末を水:エタノール比が1:4の溶液に溶かし、5.0g/lの溶液とした。これをスプレーコーティングにより図2のようにMSSチップ上に膜厚が数マイクロメートル(1〜10マイクロメートルの範囲内)になるように製膜した。センサ本体は特許文献1で提案した膜型構造を有するピエゾ抵抗型MSSを使用した。ここにおいて、PAA−HClの膜厚は、上で説明したところの感度の点で最適であるとした範囲に入るようにしたが、成膜されたPAA−HCl膜の正確な厚さは測定できなかった。しかしながら、図5に示すように、このように成膜されたPAA−HCl受容体層を有するMSSによるアセトン検出結果を、受容体層としてそれぞれポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリエチレングリコール(PEG)をPAA−HClの受容体層と同等な数マイクロメートルの厚さで被覆した2種類の比較用MSSによる検出結果と対比することで、PAA−HClを1〜10マイクロメートルの厚さで被覆すれば、比較対象のMSSに比べてはるかに高いアセトン検出感度を実現できることが検証された。PMMAの場合の最適な膜厚は上述の通りであり、PEGの場合も1〜10マイクロメートル程度が最適な膜厚であるという知見から考えて、上記膜厚のPAA−HCl受容体層はPMMA及びPEG受容体層をそれらがほぼ最良の感度を発揮する膜厚としたものに比べてもはるかに高い感度を示すことになる。従って、PAA−HClを受容体層として使用する場合でも、上述したヤング率の比較でも、また図5に示された実際の感度の面から見ても、その膜厚を1〜10マイクロメートルの範囲とすることは妥当なものであることがわかる。
[低濃度アセトン測定]
本実施例では、図3に示す流路によりアセトンの測定を行った。アセトン100ppm(アセトン濃度が100ppmの窒素・アセトン混合ガス)のガスラインと窒素ガスのガスラインとを合流させ、両者を混ぜあわせた後に、MSSが固定されたチャンバーにその混合ガスを送ることで測定を行った。混合比は各ガスラインに設置されたマスフローコントローラで調整した。なお、図3中に示す流路中の各種の要素の具体的な構造や動作については当業者に周知な事項であるため、これ以上説明しない。
MSSはチャンバーに固定し、MSSチップ中の4個のピエゾ抵抗で構成されたホィートストンブリッジに印加されるブリッジ電圧を−0.5V、サンプリングレートを20Hzとして測定を行った。ホィートストンブリッジの対向する頂点間の電圧(プリアンプなどで増幅していない、頂点間電圧それ自体)を測定してこれをシグナル(出力電圧)とした。
本実施例では、図4に示すマスフローコントローラのプログラムに従って濃度を時間変化させたアセトンの測定を行った。すなわち、2つのガスラインを合わせた流量が30sccmになるように、アセトン100ppmと窒素ガスとを10:0、5:5、1:9の流量比で流すことで、夫々100ppm、50ppm、10ppmの濃度のアセトンを含む混合ガスを上記MSSに与えて測定を行った。図4に示すように、測定のためのアセトンガス導入時間は各濃度当たり120秒とし、その前後で夫々300秒間窒素ガスによるパージを行った。
測定結果を図5に示す。測定結果は、ベースラインが0mVになるように減算処理を施してある。100ppm、50ppm、及び10ppmのアセトンガス導入(グラフ中の薄い灰色で網掛けした部分)により、それぞれ2.0mV、1.3mV、及び0.25mVのシグナルが得られた。シグナル強度はおおよそアセトンのガスの濃度に比例している。本実施例で用いた測定系ではノイズがおよそ0.002mVであることから、SN比が3〜5倍を検出限界とすれば、0.01mV程度のシグナルが検出限界であるといえる。本実施例ではシグナル強度がアセトンガスの濃度に比例していることから、1ppmで約0.02mVのシグナルが予想され、0.5ppmで検出限界の0.01mVになると予想される。したがって、PAA−HClを被覆したMSSにより、アセトンのサブppm検出が行えることが示された。
この測定にあたっては、チャンバーおよび配管の一部をインキュベータ内に入れることによりノイズを除害したが、測定を行う部屋そのものの電気的な雑音環境は通常のオフィスや家庭とそれほど変わることのない、通常のものであった。従って、上述したような高い測定感度は通常のシールドを施した電子機器(アセトン濃度測定装置)内に当該センサを組み込むことによって、ごく普通の環境で達成されると考えられる。また、アセトンを使用する各種の施設等は電気雑音環境が良好ではないものもあるが、そのような場合でも特に厳重なシールドは必要とされない。従って、本発明のセンサを使用することによって、通常の測定環境で実施できることが望まれあるいは特別な環境を準備することが困難である糖尿病の診断やその前段階としての集団検診の際のスクリーニングが容易になる。また、同様な理由で、工場や作業現場などでの環境測定用としても好適である。更には、雑音の誘導を厳重に排除した環境や改良された測定回路などを準備することで、測定感度をさらに向上させることが可能となる。
次に、比較実験として、MSSチップに夫々ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリエチレングリコール(PEG)を同様の手法により被覆して作成した2種類の比較用のMSSを用いて、同様の測定手法によりアセトン測定を行った。ただし、PMMAは5.0g/lのトルエン溶液、PEGは5.0g/lの[水:エタノール=1:9]溶液としてMSSチップへの被覆を行った。これらのMSSに対して夫々図4に示すマスフローコントローラのプログラムに従って濃度をPAA−HCl被覆の場合と同じパターンで時間変化させたアセトン含有混合ガスを与えることによって、アセトンの測定を行った。その結果も図5に示す。この測定結果においても、ベースラインが0mVになるように減算処理を施してある。ただし、これら比較実験の測定結果はPAA−HCl被覆されたMSSの測定結果よりもシグナルレベルが非常に低く、図5中ではベースラインとほぼ一致した曲線になっている。これを見やすくするため、図5のグラフのベースライン付近を縦軸方向に拡大したグラフを図5の右上部分に差し込み図として挿入してある。この差し込み図の縦軸及び横軸の単位は図5本体のグラフの対応する軸の単位と同じである。
図5の差し込み図からわかるように、PEG被覆を行ったMSSでは、100ppm及び50ppmのアセトンガス導入でそれぞれ0.007mV及び0.004mVのシグナルが得られたが、10ppmのアセトンガス導入では有意なシグナルは得られなかった。また、PMMA被覆を行ったMSSでは、100ppm及び50ppmのアセトンガス導入でそれぞれ0.026mV及び0.015mVのシグナルが得られた。しかし、10ppmのアセトンガス導入では、アセトンガス導入直後はシグナルレベルの有意な上昇は観測されなかった。ある程度時間が経過すると信号レベルが僅かに上昇しているようにも見えるが、信号レベルが非常に小さく、上記説明中でS/N比の点から定めた検出限界である0.01mV以下となっていて雑音に埋没している状態であり、結論として有意なシグナルと認めることはできない。この結果から、PAA−HClが他のポリマーに比べてアセトンに対して高い感度を有していることがわかる。
以上説明したように、本発明によれば、PAA−HClを被覆したナノメカニカルセンサを用いることで、PEGやPMMA等の従来使用されていた受容体材料では実現できなかったサブppmレベルのアセトン検出が可能になる。これにより、ガスクロマトグラフィーやマススペクトロメトリーを用いることなく、アセトンを使用する作業現場の作業環境評価や呼気を始めとする多様な気体試料中に含まれる1ppm前後までのアセトンを検知できるようになる。従って、本発明のナノメカニカルセンサは作業環境評価用アセトン濃度測定装置、糖尿病診断用呼気測定装置等のアセトン濃度測定用の装置に組み込む等、多様な局面で産業上大いに利用されることが期待される。
国際公開2011/148774号公報
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Claims (7)

  1. ポリアリルアミン塩酸塩を受容体として用いたナノメカニカルセンサ。
  2. 前記ナノメカニカルセンサのセンサ本体に膜型表面応力センサを使用した、請求項1に記載のナノメカニカルセンサ。
  3. 前記受容体は前記ナノメカニカルセンサの表面に設けられたポリアリルアミン塩酸塩の層であり、
    前記層の厚さは前記ナノメカニカルセンサの変形部位の厚さの1/1000倍から100倍の範囲である、
    請求項1または2に記載のナノメカニカルセンサ。
  4. ポリアリルアミン塩酸塩を表面に有する多孔質体または微粒子の層を前記ナノメカニカルセンサのセンサ本体の表面に設けた、請求項1または2に記載のナノメカニカルセンサ。
  5. 請求項1から4の何れかに記載のナノメカニカルセンサを使用したアセトン濃度測定装置。
  6. 請求項5に記載のアセトン濃度測定装置を使用した糖尿病診断用呼気測定装置。
  7. 請求項5に記載のアセトン濃度測定装置を使用した作業環境評価用アセトン濃度測定装置。
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TODA, M. ET AL.: "Thin Polyelectrolyte Multilayers Made by Inkjet Printing and Their Characterization by Nanomechanica", THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY C, vol. 118, JPN6019037273, 2014, pages 8071 - 8078, ISSN: 0004165723 *

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022014512A1 (ja) * 2020-07-17 2022-01-20 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 ケトーシス罹患判定方法及び装置

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