以下、本発明の燃焼装置の実施形態について図を参照して説明する。本発明の燃焼装置を排ガス加熱装置に適用した第1実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の排ガス加熱装置10は、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
図1〜図6に示すように、排ガス加熱装置10は、主に、外筒11、内筒12、複数のバーナユニット13、排ガス噴射管19、第1送風ファン2、第2送風ファン3等により構成されている。
外筒11は、例えば、有底の円筒形状をなす筒体であり、鋼板により構成されている。即ち、円筒状に形成されている周壁部11aに対し、その一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部11bにより囲まれるように開口しており、また他端側が円形平板状の先端部11cにより閉塞されている。周壁部11aには、外筒11の径方向に円筒状に延びる接続部11d,11gが形成されており、先端にはフランジ部11e,11hがそれぞれ設けられている。即ち、外筒11(または内筒12)の筒軸Jに対して直交する方向(軸Kに沿う方向)またはほぼ直交する方向に接続部11d,11gが延出するように形成されている(既設の配管100に対して直交方向またはほぼ直交方向に筒軸Jを向けて外筒11または内筒12を配置する)。
接続部11d,11gは、それぞれの筒軸が同じ軸Kになるように配置されており、また接続部11d,11gやそれぞれのフランジ部11e,11hは、船舶内に既に設けられている配管100に接続可能な形状仕様に設定されている。これにより、例えば、既設の配管100の位置を変更することなく、当該配管100の途中に排ガス加熱装置10の接続部11d,11gを連結可能にしている。本第1実施形態では、配管100のうち、ディーゼルエンジン(外部機関)が接続されている排ガス上流側の上流管100aには、フランジ部11eを介して接続部11dが連結され、また排ガス下流側の下流管100bには、フランジ部11hを介して接続部11gが連結される。排ガス上流側の接続部11dには、排気ガスを取り込むための取入口11fが形成されている。
この取入口11fは、その上方(各図に示す座標系のZ軸の矢印先端方向)が、上流管100a方向に開口しかつ燃焼空間方向を閉塞するカバー17により覆われている。これにより、上流管100aから流れ込む排気ガスの一部が取入口11fに流れ込み易くなるようにカバー17により排気ガスの流れを制御している。また取入口11fには、排ガスダクト18が接続されている。この排ガスダクト18は、排ガス噴射管19に接続されている。これにより、取入口11fから流れ込んだ排気ガスを当該排ガス噴射管19に導入可能にしている。周壁部11aには、このほかに吸気口11i,11jも開口しており、これらには後述の第1吸気ダクト6や第2吸気ダクト7が接続される。基端部11bの開口は、後述するように、円形平板状の外筒基端プレート14により覆われて閉塞される。
内筒12は、外筒11の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体であり、外筒11と同様に、有底の円筒形状に形成されている。内筒12は、円筒状の周壁部12aの一端側が基端部12bとしての内筒基端プレート15により閉塞されており、また他端側も円形平板状の先端部12cにより閉塞されている。周壁部12aの他端側付近には、上流管100aから排気ガスを内筒12内、つまり燃焼空間に流入させるための流入部12dと、燃焼空間から下流管100bに排気ガスを流出させるための流出部12eとがそれぞれ形成されている。即ち、周壁部12aには、外筒11の接続部11dに接続される流入部12dが形成されており、内筒12の燃焼空間と上流管100aの内側空間とを連通可能にしている。また、接続部11gの内側に向けて円筒形状に延びる流出部12eが形成されており、内筒12の燃焼空間と下流管100bの内側空間とを連通可能にしている。なお、内筒12の他端側は、先端部12c等により閉塞することなく、開口可能に構成しても良い。
このような内筒12の基端部12b(内筒基端プレート15)には、その中心を内筒12の筒軸Jとほぼ同軸に貫通する排ガス噴射管19が設けられており、また排ガス噴射管19の周囲を取り囲むように複数のバーナユニット13や複数の空気噴射ノズル15c,15dが設けられている。本第1実施形態では、6つのバーナユニット13が設けられており、それぞれのバーナユニット13に対して燃料パイプ90から石油系燃料(例えば、軽油、A重油等)が供給される。なお、内筒12の内周面には、後述する理由から、耐火材(例えばキャスタブル)は設けられていない。
バーナユニット13は、外筒11の一端側を閉塞する外筒基端プレート14に取り付けられている。本第1実施形態では、バーナユニット13は、図略の固定構造により外筒基端プレート14に固定されている。バーナユニット13には、軽油、A重油等の燃料が供給される燃料パイプ90が接続されている。バーナユニット13および内筒基端プレート15の構成については、後で図5および図6を参照しながら詳述する。なお、バーナユニット13は、バーナ13aの燃料噴出方向に位置する筒体13b(燃焼筒20)の先端部が上流管100aと下流管100bを最短距離で接続する仮想経路Rvの範囲外に位置している。これにより、上流管100aから下流管100bに向かう排気ガスの流れに対して、筒体13b(燃焼筒20)が抵抗になり難いため、燃焼空間や配管を流れる排気ガスの圧力損失の増加を抑制することができる。
このように構成される炉体においては、外筒11と内筒12との間に隙間が形成されている。即ち、内筒12(周壁部12a、基端部12bおよび先端部12c)の外側面と外筒基端プレート14を含む外筒11の内側面との間には空気流通路Ra,Rbが形成されている。空気流通路Raは、外筒11の周壁部11aに形成されている吸気口11iに連通しており、また空気流通路Rbは、周壁部11aに形成されている吸気口11jに連通している。本第1実施形態では、外筒11の周壁部11aと内筒12の周壁部12aとを接続して、これらの空気流通路Ra,Rbを区画する分割プレート16が設けられている。また、吸気口11iには、第1送風ファン2の送風口にフランジ部6aを介して連結された第1吸気ダクト6が接続されており、吸気口11jには、第2送風ファン3の送風口にフランジ部7aを介して連結された第2吸気ダクト7が接続されている。
第1送風ファン2および第2送風ファン3は、いずれも電動モータを駆動源としてインペラが回転する送風ファンである。第1送風ファン2は第1吸気ポート4に接続されており、また第2送風ファン3は第2吸気ポート5に接続されて、それぞれの吸気口4a,5aから吸入した空気を送風口から吐出(圧送)する。本第1実施形態では、第1送風ファン2から圧送された空気は、第1吸気ダクト6を経由して外筒11の吸気口11iに送り込まれる。また、第2送風ファン3から圧送された空気は、第2吸気ダクト7を経由して外筒11の吸気口11jに送り込まれる。これにより、吸気口11i,11jからそれぞれ空気流通路Ra,Rbに流入した空気は、例えば、図3や図4に表されている点線矢印の方向に流れる。したがって、外部から送り込まれた空気が内筒12の外側面に接触することで、内筒12を空気冷却することが可能になる。
なお、空気流通路Raと空気流通路Rbは、分割プレート16により分離されている。本第1実施形態では、第1送風ファン2は、主に、バーナユニット13から離れた炉体の中間部と先端部を冷却する空気を送り、第2送風ファン3は、バーナユニット13に近い炉体の基端部や燃焼空間内に噴射させる空気を送る。つまり、空気流通路Rbを流れる空気は、後述するように、内筒12の基端部12b(内筒基端プレート15)の空気噴射ノズル15c,15dを介して内筒12の燃焼空間にも流入する。炉体内に空気を送り込む送風ファンを、第1送風ファン2と第2送風ファン3に分けることにより必要に応じて送風量(空気の圧送量)を個別に制御することが可能になる。そのため、例えば、内筒12の温度データに基づいて空気流通路Rbを流れる空気の送風量を制御することができる。
このように構成される排ガス加熱装置10は、ベースフレーム1上に設けられている。本第1実施形態では、例えば、外筒11や内筒12等からなる炉体は、ベースフレーム1の長手方向に複数箇所に立設されるレグ8aと、ベースフレーム1の長手方向に沿ってこれらのレグ8aに固定される2本のサイドメンバ8bとからなるレグフレーム8によって、ベースフレーム1上で支えられている。また、2機の送風ファン2,3や吸気ポート4,5は、固定金具やステー等によってベースフレーム1に固定されている。
次に図5および図6を参照して、バーナユニット13、内筒基端プレート15、排ガス噴射管19等の構成について説明する。外筒11の基端部11bには、中心部に円形状の排ガス噴射管取付口14bが開口するとともに排ガス噴射管取付口14bの周囲を取り囲むように複数のバーナ取付口14aが開口する円形平板状の外筒基端プレート14がボルトおよびナットにより固定されている。バーナ取付口14aは、図略の固定構造によりバーナユニット13を外筒基端プレート14に固定可能にする円形穴であり、バーナユニット13を構成するプレート13cにより閉塞されている。また、排ガス噴射管取付口14bは、排ガス噴射管19の外径よりも僅かに大きい内径寸法に設定されており、排ガス噴射管19の貫通を可能にしている。
バーナユニット13は、主に、バーナ部13a、筒体13bおよびプレート13cにより構成されている。バーナユニット13は、バーナ13aの噴出方向を燃焼空間に向けて内筒12の筒軸Jとほぼ平行に燃焼空間内に突出するように外筒基端プレート14に取り付けられている。バーナ部13aは、例えば、先端に円錐台形状のノズル部を備えているとともに、燃料を供給する燃料パイプ90が接続されている。バーナ部13aの径方向周囲は、筒状の筒体13bに覆われている。筒体13bとしての燃焼筒20は、例えば、円筒形状に形成されており、燃料パイプ90の接続側に位置する基端部20aが空気流通路Rbに露出するように配置されている。これにより、空気流通路Rbを流れる空気流によって燃焼筒20の基端部20aが冷却されるため、燃焼筒20の熱による劣化や脆化の進行を遅くすることが可能になる。
燃焼筒20は、その基端部20aがプレート13cや外筒基端プレート14との間において所定間隔の隙間部Saを形成するように配置されている。これにより、空気流通路Rbを流れる空気の一部が、この隙間部Saから燃焼筒20内に入り込むことにより燃焼に寄与する(図5に示す太実線矢印)。また、プレート13cや外筒基端プレート14と燃焼筒20の基端部20aとの間に隙間部Saが形成されることにより、燃焼筒20の基端部20aが外筒から物理的に離れているため、燃焼筒20からプレート13cや外筒基端プレート14への熱伝達を抑制することが可能になる。
また、燃焼筒20は、バーナ13aの燃料噴出方向に位置する燃焼筒20の先端部20bが斜円柱の端部形状、即ち燃焼筒20の筒軸に対して直角ではなく、例えば、45度傾斜して斜めに開口している。つまり、先端部20bは、円形状ではなく楕円形状に開口している。本第1実施形態では、図5に示すように、内筒12の筒軸J方向に燃焼筒20の先端部20bの開口が向くように、6つのバーナユニット13を配置している。これにより、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが小さい短尺部側が内筒12の筒軸J方向を向き、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが大きい長尺部側が内筒12の周壁部12a方向を向く。そのため、バーナ13aの火炎からの直接的な輻射熱等は、燃焼筒20の長尺部側により内筒12の周壁部12a方向に向かう輻射伝熱量を減少させることが可能になり、内筒12の温度の上昇を抑制することができる。
また、バーナ13aの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスは、燃焼筒20の長尺部側よりも短尺部付近(短尺部側)を流れる方が短距離で筒体から放出されて内筒の中心側に向かう(図5に示す燃焼筒20内の細破線矢印)。そのため、燃焼筒20の中心付近や長尺部付近(長尺部側)を流れる燃焼ガスを内筒12の筒軸J(中心側)に引き込むことが可能になる(図5に示す燃焼筒20内の細一点鎖線矢印および細二点鎖線矢印)。これにより、高温の燃焼ガスを内筒12の周壁部12a側よりも筒軸J側に集め得るので、内筒12の温度の上昇をさらに抑制することができる。
内筒基端プレート15は、内筒12の基端部12bに相当する円盤形状の部材であり、内筒12の周壁部12aおよび先端部12cとともに燃焼空間を形成している。本第1実施形態では、内筒基端プレート15(基端部12b)は、周壁部12aに一体に成形されている。周壁部12aと別体に内筒基端プレート15を構成して周壁部12aに図略の固定構造により固定しても良い。
内筒基端プレート15の中心部には、排ガス噴射管19の外径よりも僅かに大きい内径寸法に設定された排ガス噴射管貫通口15aが形成されている。また、排ガス噴射管貫通口15aの周囲を取り囲むように、内筒基端プレート15と同心円の周上に燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル15cが形成され、さらにこれらの空気噴射ノズル15cの周囲を取り囲む同心円の周上に燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル15dが形成されている。本第1実施形態では、空気噴射ノズル15c,15dは、いずれも6箇所に形成されている。6つの空気噴射ノズル15dは、円周上に等間隔に配置されており、同じ円周上で空気噴射ノズル15dに挟まれるように6つの燃焼筒貫通口15bが設けられている。
即ち、図6に示すように、空気噴射ノズル15cを取り囲む円周上に、内筒基端プレート15の中心角30度間隔で、6つの空気噴射ノズル15dと6つのバーナユニット13が交互に配置されている。また、バーナユニット13は、内筒12の周壁部12aから所定の隙間部Sbだけ離れた位置に配置されている。これにより、空気噴射ノズル15dから噴射される空気流により、バーナユニット13を冷却するとともに内筒12の周壁部12aも冷却可能にしている。なお、6つの空気噴射ノズル15cは、内筒基端プレート15の中心角60度間隔で配置されている。
なお、空気噴射ノズル15c,15dや排ガス噴射管19の数量は一例であり、後述する空気流や排ガス流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気噴射ノズル15c,15dやバーナユニット13は、それぞれ等間隔に設ける必要はない。これらの空気噴射ノズル15c,15dは、その内側空間が空気流通路Rbに連通するため、第2送風ファン3から圧送されて吸気口11jから空気流通路Rbに流入した空気は、例えば、図5に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル15c,15dを経由して周壁部12aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。
また、排ガス噴射管19が排ガスダクト18に接続されると、排ガス噴射管19が接続部11dの取入口11fに連通する。そのため、上流管100aに連結された接続部11dの取入口11fから取り込まれて、排ガスダクト18に流入した排気ガスは、例えば、図5に示す一点鎖線矢印のように、排ガス噴射管19から内筒12の燃焼空間内に噴射される。なお、排ガス温度は、300℃以下であるのに対して、バーナ部13aによって燃焼された燃焼ガスの温度は1000℃を超える。つまり、排気ガスの温度は、バーナ部13aからの燃焼ガスの温度よりも低い。なお、同図においては、図面表現上の便宜から、特定の空気噴射ノズル15c,15dから、空気が噴射される様子が図示されているが、内筒基端プレート15に設けられるすべての空気噴射ノズル15c,15dから空気が噴射される。
なお、このような第2送風ファン3による送風能力や、バーナユニット13および空気噴射ノズル15c,15dの数量、配置やその間隔等は、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて上述したような空気流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、内筒12の周壁部12aとバーナユニット13の燃焼筒20との間に形成される隙間部Sbの大きさについても、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて上述したような空気流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。
このように本第1実施形態の排ガス加熱装置10では、燃焼空間内に燃料を噴出可能に外筒に設けられるバーナユニット13のバーナ13aの燃料噴出方向の周囲が燃焼筒20(筒体13b)により覆われる。そのため、バーナ13aから内筒12の燃焼空間に火炎が形成される場合に火炎の形成範囲を燃焼筒20が覆うことから、火炎からの直接的な輻射熱等が燃焼筒20により遮られる。これにより、バーナ13aの火炎から内筒12の周壁部12a(内壁)に直接伝わる輻射伝熱量を減少させることが可能になり、内筒12の温度の上昇が抑制される。また、内筒12内には、接続部11dの取入口11fから取り込まれて排ガス噴射管19から噴射される排気ガスが流通するので、このような排気ガスによっても内筒12が冷却される。したがって、内筒12に耐火材(例えばキャスタブル)等を設ける必要がなくなり得るため、耐火材等を設ける場合に比べて軽量化することができる。また、耐火材等の厚さ分だけ内筒12の外形寸法を小さくできるため、小型化することも可能になる。
なお、上述の排ガス加熱装置10では、燃料パイプ90から供給される燃料として軽油やA重油等の石油系燃料を例示して説明したが、例えば、液化天然ガス等の気体燃料を燃料パイプ90から排ガス加熱装置10に供給しても良い。液化天然ガス等の気体燃料は、石油系燃料に比べて炭素含有量が少ない。そのため、気体燃料による火炎からの輻射伝熱量よりも、対流伝熱量分が相対的に大きくなる。したがって、例えば、空気噴射ノズル15dを内筒12の周壁部12aに接近させて配置することにより、内筒12の内周面に沿って空気噴射ノズル15dから空気流を噴射することにより当該内周面が空気流に覆われる。これにより、輻射伝熱量が相対的に少なくなったことに加えて、内筒12の内周面に到達する対流伝熱量も減少させることが可能になるため、内筒12の内周面の温度を一層低下させることができる。また、第2送風ファン3による送風能力を高めて空気噴射ノズル15c,15dから噴射される空気の流量を増加させる構成を採ることによって、内筒12の内周面の温度をより一層低下させることもできる。
また、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流通する既設の配管100に対し配管の配置を変更することなく、配管100の途中において排ガス加熱装置10の接続部11d,11gを接続するため、既存の設備に容易に適用することが可能になる。これにより、旧型式のものを改造してその後も使用可能な新型式のものに変更する、いわゆるレトロフィットに容易に対応することができる。これに対して、例えば、[背景技術]の欄において挙げた特許文献3(特開2012−82804号公報)の技術では、同文献の図2および図3に開示されているように、当該装置(同文献;バーナー部15)の形状に合わせて既設の配管(同文献;煙道14)の配置を変更する必要があり、その周囲空間に配置された機器装置や他の配管等のレイアウト変更も余儀なくされ得る。これに伴いメンテナンス作業も困難になり得る。つまり、特許文献3の技術は、レトロフィットに馴染み難いという問題がある。
さらに、上述の排ガス加熱装置10では、上流管100aから接続部11dに流れ込む排気ガスの一部を取入口11fから取り込んだ後、排ガスダクト18を介して排ガス噴射管19から内筒12(燃焼空間)内に噴射する構成を例示して説明したが、例えば、取入口11f、カバー17、排ガスダクト18および排ガス噴射管19を廃止して、内筒12の基端部12b側から排気ガスを噴出することのない構成を採っても良い。これにより、排ガス加熱装置の構成がシンプルになるため、設備コストの低減が可能になる。また、取入口11f、カバー17、排ガスダクト18および排ガス噴射管19を必要としない分、排ガス加熱装置の軽量化が可能になる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の燃焼装置を縦型タイプの排ガス加熱装置に適用した第2実施形態を図7〜図14に基づいて説明する。第2実施形態の排ガス加熱装置30も、第1実施形態の排ガス加熱装置10と同様に、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
排ガス加熱装置30も、第1実施形態の排ガス加熱装置10と同様に複数のバーナユニットを備えている点は共通するが、炉体が縦型である点、送風ファンが1機である点、排ガス噴射管19を備えていない点等が第1実施形態の排ガス加熱装置10と異なる。なお、第1実施形態の排ガス加熱装置10と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を簡略にする。
図7〜図12に示すように、排ガス加熱装置30は、主に、外筒31、内筒32、複数のバーナユニット13’、第1送風ファン2等により構成されている。
外筒31は、例えば、有底の円筒形状をなす筒体であり、鋼板により構成されている。即ち、円筒状に形成されている周壁部31aに対して、外筒31の一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部31bにより囲まれるように開口しており、また外筒31の他端側も内曲げのフランジ形状をなす円環状の先端部31cにより囲まれるように開口している。つまり、外筒31は、両端が開口している。外筒31の基端部31bには、外筒31の軸方向外側に円筒状に延びる接続部31dが設けられており、また先端部31cにも、外筒31の軸方向外側に円筒状に延びる接続部31fが設けられている。
接続部31d,31fは、それぞれの筒軸L,Mが外筒31の筒軸Jと重なる(同軸になる)ように配置されており、それぞれの先端にはフランジ部31e,31gが形成されている。接続部31d,31fやそれぞれのフランジ部31e,31gは、船舶内に既に設けられている配管に接続可能な形状仕様に設定されている。これにより、例えば、上下方向(各図に示す座標系のZ軸方向)に設けられている既設の配管に対して、当該配管の位置を変更することなく、当該配管の途中に排ガス加熱装置30の接続部31d,31gを連結可能にしている。
本第2実施形態では、排気ガスは、接続部31dから外筒31内の内筒32に流入して接続部31fから流出する。つまり、上から下に向かう方向(各図に示す座標系のZ軸の矢印根元方向)に排気ガスが流れる。そのため、排ガス上流側の接続部31dは、次に説明する内筒32の内部、つまり燃焼空間内に突出するように設けられている。これにより、排気ガスが流れる配管の下流管内と後述する空気流通路Raとが連通しないように構成されている。これに対して、排ガス下流側の接続部31fは、その基端が外筒31の先端部31cの開口周囲に接続されており、内筒32の燃焼空間内には突出していない。
なお、本第2実施形態の排ガス加熱装置30では、図10および図12に示すように、排ガス下流側の接続部31f内には、旋回羽根部40が設けられている。この旋回羽根部40は、複数の羽根42を円環状に配置して流体に旋回流を付与可能な羽根部41と、羽根部41を円環状に保持するとともに内側に空間部45を形成するリング板(保持部)43と、により構成されている。羽根42は、例えば、矩形状の平板であり、筒軸Jに対して、例えば、10度〜20度の一定の斜度を維持可能にリング板43に固定されている。羽根42の幅は、当該旋回羽根部40が接続部31fに取り付けられた状態において、後述する所定の隙間部Sdよりも大きく設定されているが、必要以上に当該幅が大きくなると、空間部45の内径が小さくなるため、旋回羽根部40を通過する排気ガスの圧力損失が増大する。そのため、空間部45を通過する排気ガスの圧力損失が許容最大値を超えない値になるように、羽根42の幅が設定されている。
このように旋回羽根部40を構成することにより、燃焼空間から内筒32の筒軸J中心部分および筒軸J中心部分の周囲を流れる排気ガスは、羽根部41を通ることなく、空間部45を流通して配管の下流管に流入する。これに対して、後述する内筒32の排出部32eの周縁部分および周縁部分の近傍を流れる排気ガスは、空間部45を通ることなく、羽根部41を流通して配管の下流管に流入する。また、空気流通路Raから後述する隙間部Sdを介して接続部31f内に流入する空気流も、空間部45を通ることなく、羽根部41を流通して配管の下流管に流入する。
これにより、排出部32eの周縁部分や周縁部分の近傍を流れる排気ガスと、隙間部Sd経由で接続部31f内に流入する空気流と、の両方が羽根部41を通ると、羽根42によって排気ガスと空気流に旋回流が付与される。そのため、このような排気ガスと空気は羽根部41による旋回により混合されてから下流管に流入するので、下流管内における排気ガスの温度ムラを抑制することが可能になる。特に、内筒32の排出部32eは、その先端周縁部が熱による劣化や脆化により変形する可能性があるため、排出部32eの先端周縁部の変形に起因して流量バランスを維持することができなくなった場合に旋回羽根部40による排気ガスと空気の混合が排気ガスの温度ムラの抑制に効果を発揮する。
内筒32は、外筒31の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体である。内筒32は、外筒31と同様に有底の円筒形状に形成されている。内筒32は、円筒状の周壁部32aの一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部32bにより囲まれるように開口しており、また内筒32の他端側も内曲げのフランジ形状をなす円環状の先端部32cにより囲まれるように開口している。つまり、内筒32も、両端が開口している。内筒32の基端部32bには、外筒31の接続部31dが挿通される貫通穴32dが形成されており、また先端部32cには、内筒32の軸方向外側に円筒状に延びて外筒31の接続部31f内に進入する排出部32eが設けられている。この排出部32eは、外筒31の接続部31fの内径よりも小さい外径寸法に設定されており、接続部31fの内周壁と排出部32eの外周壁との間に所定の隙間部Sdを形成し得るように構成されている。
このように内筒32を構成することにより、外筒31と内筒32との間には、空気流通路Raが形成される。本第2実施形態の内筒32は、周壁部32aに複数の通気孔32fを備えている。図10に示すように、本第2実施形態では、例えば、複数の通気孔32fが等間隔で1列に並んで環状に周方向に周壁部32aに形成されている。また、燃焼筒20の軸方向に対する複数の通気孔32fの形成位置は、バーナユニット13の燃焼筒20の先端部20bよりも排ガス下流側かつ先端部20bの近傍に設定されている。これにより、内筒32内、つまり燃焼空間と空気流通路Raは、これらの通気孔32fを介して連通する。そのため、図11に示す太破線のように、空気流通路Raを流れる空気流の一部が通気孔32fを経由して燃焼空間内に侵入することが可能になる。
このような内筒32の基端部32b(内筒基端プレート35)には、接続部31dの周囲を取り囲むように複数のバーナユニット13’や複数の空気噴射ノズル35cが設けられている。第1実施形態の内筒基端プレート15に相当する内筒基端プレート35は、円盤形状の部材であり、内筒32の周壁部32aおよび先端部32cとともに燃焼空間を形成している。本第2実施形態では、内筒基端プレート35(基端部32b)は、周壁部32aに一体に成形されている。周壁部32aと別体に内筒基端プレート35を構成して周壁部32aに図略の固定構造により固定しても良い。
第2実施形態の排ガス加熱装置30は、排ガス噴射管19を備えておらず、内筒基端プレート35には接続部31dが貫通する。そのため、内筒基端プレート35の中心部には、貫通穴32dが形成されているとともに、この貫通穴32dの周囲を取り囲むように、内筒基端プレート35と同心円の周上に燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル35cが形成されている。本第2実施形態では、空気噴射ノズル35cは、6箇所に形成されている。6つの空気噴射ノズル35cは、円周上に等間隔に配置されており、同じ円周上で空気噴射ノズル35cに挟まれるように6つの燃焼筒貫通口35aが設けられている。燃焼筒貫通口35aには燃焼筒20が挿通される。
即ち、図9に示すように、貫通穴32dを取り囲む円周上に、内筒基端プレート35の中心角30度間隔で、6つの空気噴射ノズル35cと6つのバーナユニット13’が交互に配置されている。また、バーナユニット13’は、内筒32の周壁部32aから所定の隙間部Sbだけ離れた位置に配置されている。これにより、空気噴射ノズル35cから噴射される空気流により、バーナユニット13’を冷却するとともに内筒32の周壁部32aも冷却可能にしている。
なお、空気噴射ノズル35cの数量は一例であり、空気流や排ガス流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気噴射ノズル35cやバーナユニット13’は、それぞれ等間隔に設ける必要はない。これらの空気噴射ノズル35cは、その内側空間が空気流通路Raに連通するため、第1送風ファン2から圧送されて吸気口31iから空気流通路Raに流入した空気は、例えば、図11に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル35cを経由して周壁部32aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。また、周壁部32aの通気孔32fを経由して燃焼空間内にも噴射される。
バーナユニット13’は、第1実施形態のバーナユニット13とほぼ同様に構成されており、第1実施形態においてそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。図10に示すように、バーナユニット13’の筒体13bである、燃焼筒20は、燃焼筒20やその先端部20bが接続部31d(配管の上流側)と接続部31f(配管の下流側)とを最短距離で接続する仮想経路Rvの範囲外に位置するように配置されている。燃焼空間を流れる排気ガスに対して、燃焼筒20や先端部20bが抵抗にならないようにして排気ガスの圧力損失の増加を抑制するためである。なお、図10において、仮想経路Rv内に存在するように見える2つのバーナユニット13’は、実際には、仮想経路Rvよりも同図座標系のY軸の矢印先端方向に配置されていることに注意されたい。
また、燃焼筒20は、基端部20aに複数の通気孔22が形成されている。第2実施形態のバーナユニット13’においても、燃焼筒20の基端部20aが、バーナユニット13’のプレート13cや外筒31の接続部31dに直接接触しないように、基端部20aとプレート13cや接続部31dとの間に隙間部Scを形成し得るように、バーナユニット13’を外筒31に取り付け可能に構成している。しかし、第1実施形態の隙間部Saに比べて当該隙間部Scは狭いため、燃焼筒20内に流入して燃焼に寄与する空気量を増加させる必要から、燃焼筒20に複数の通気孔22を設けている。
また、本第2実施形態のバーナユニット13’においても、図10に示すように、内筒32の筒軸J方向に燃焼筒20の先端部20bの開口が向くように、6つのバーナユニット13’を配置している。これにより、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが小さい短尺部側が内筒32の筒軸J方向を向き、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが大きい長尺部側が内筒32の周壁部32a方向を向く。そのため、バーナ13aの火炎からの直接的な輻射熱等は、燃焼筒20の長尺部側により内筒32の周壁部32a方向に向かう輻射伝熱量を減少させることが可能になり、内筒32の温度の上昇を抑制することができる。
また、バーナ13aの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスは、燃焼筒20の長尺部側よりも短尺部付近(短尺部側)を流れる方が短距離で筒体から放出されて内筒の中心側に向かう(図11に示す燃焼筒20内の細破線矢印)。そのため、燃焼筒20の中心付近や長尺部付近(長尺部側)を流れる燃焼ガスを内筒32の筒軸J(中心側)に引き込むことが可能になる(図11に示す燃焼筒20内の細一点鎖線矢印および細二点鎖線矢印)。これにより、高温の燃焼ガスを内筒32の周壁部32a側よりも筒軸J側に集め得るので、内筒32の温度の上昇をさらに抑制することができる。
さらに、本第2実施形態では、前述したように、第1送風ファン2から圧送されて吸気口31iから空気流通路Raに流入した空気は、例えば、周壁部32aの通気孔32fを経由して燃焼空間内にも噴射される(図11に示す破線矢印)。より具体的には、燃焼筒20の先端部20bの排ガス下流側近傍において、内筒32の筒軸J方向に空気流が噴射される。そのため、燃焼筒20から放出された高温ガスを、通気孔32fから噴射される空気流によって内筒32の筒軸J方向に押し出すことが可能になる。これにより、高温の燃焼ガスをより効率的に筒軸J側に集めることが可能になるので、内筒32の温度の上昇をよりさらに抑制することができる。したがって、内筒32の内壁にキャスタブル等の耐火材を設ける必要がなくなり、排ガス加熱装置30(の炉体)の軽量化が可能になる。
第1送風ファン2、第1吸気ポート4は、前述の第1実施形態の場合とほぼ同様に構成されている。そのため、これらの構成に関しては、第1実施形態のところでそれぞれについて記載した内容をほぼ引用することができる。なお、第1送風ファン2から圧送された空気は、第1吸気ダクト6を経由して外筒31の吸気口31iに送り込まれる。これにより、吸気口31iから空気流通路Raに流入した空気は、内筒32の外側面に接触することにより、内筒32を空気冷却することを可能にしている。なお、排ガス加熱装置30も、図示していないが、ベースフレーム上に設けられている。
このように本第2実施形態の排ガス加熱装置30では、内筒32の筒軸Jが上下方向(各図に示す座標系のZ軸方向)に立ち上がるように炉体(外筒31および内筒32)を構成している。また、バーナユニット13を炉体の上端に設けることによりバーナ部13aから下方(重力方向)に向かって火炎が形成されるように構成している。これにより、第1実施形態の排ガス加熱装置10のように、炉体が横向き(各図に示す座標系においてXY平面の拡がり方向)に配置される場合に比べて排ガス加熱装置30の横幅を小さくすることが可能になる。つまり、炉体の小型化が可能になる。
このため、例えば、船舶内の機関室やボイラー室のように、比較的床面積が狭い場所であっても高さ方向に余裕がある場合には、当該排ガス加熱装置30を設置することが可能になる。また、ディーゼルエンジン(外部機関)から排出される排気ガスが流れる配管が、上下方向にレイアウト(配置)されている場合には、そのような既設の配管途中に当該排ガス加熱装置30を介在させて脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させることが可能になる。つまり、レトロフィットに容易に対応することができる。また、当該排ガス加熱装置30では、炉体の小型化に伴い送風ファンも1機で足りる。そのため、第1実施形態の排ガス加熱装置10に比べて、必要な送風ファンの数量が1機減少した分、炉体の軽量化に加えて、排ガス加熱装置30のさらなる軽量化が可能になる。
なお、本第2実施形態の排ガス加熱装置30を横置きにしても良い。即ち、設置場所の床面に対して、内筒32の筒軸Jがほぼ平行(各図に示す座標系のX軸またはY軸方向)になるように炉体(外筒31および内筒32)を横置きにしても良い。これにより、排気ガスが炉体(外筒31および内筒32)の筒軸J方向に沿って流れるため、第1実施形態の排ガス加熱装置10に比べると、筒軸J方向の長さ(軸長)が小さい。そのため、横置きにしても設置に必要になる床面積が第1実施形態の排ガス加熱装置10よりも少なくてすむ。
なお、上述した旋回羽根部40の構成を技術的思想の創作として把握すると、次のように表現することができる。なお、旋回羽根部40は下記「旋回羽根装置」の一例であり、接続部31fの内側空間は下記「外筒内空間」の一例である。また、リング板43は下記「保持部」の一例であり、排出部32eは下記「内筒の下流側端部」の一例である。空気流通路Raは下記「空気流通空間」の一例である。
「内部に燃焼空間を形成するとともに、外部機関の排気ガスが流通する配管の上流側から排出された前記排気ガスが前記燃焼空間を経由して前記配管の下流側に流入可能に、前記配管の上流側および前記配管の下流側にそれぞれ連通する内筒と、
前記内筒を覆うとともに前記内筒との間に外部から送り込まれた空気が流通可能な空気流通空間を形成する外筒と、
前記内筒に貫通し前記燃焼空間内に燃料を供給可能に設けられるバーナと、を備え、
前記排気ガスの下流側に位置する前記外筒の下流側端部に前記配管の下流側と前記燃焼空間とを連通させる外筒内空間を有し、前記排気ガスの下流側に位置する前記内筒の下流側端部と前記外筒の下流側端部との間には、前記空気流通空間と前記外筒内空間とを連通する隙間部が形成されている燃焼装置に設けられる、旋回羽根装置であって、
流体に旋回流を付与可能な複数の羽根が環状に配される羽根部と、
前記複数の羽根を環状に保持するとともに内側に空間部を形成する保持部と、を備え、
当該旋回羽根装置は、前記外筒内空間内に設けられて、
前記燃焼空間から前記内筒の下流側端部の軸中心部分および前記軸中心部分の周囲を流れる前記排気ガスは、前記空間部を流通して前記配管の下流側に流入し、
前記燃焼空間から前記内筒の下流側端部の周縁部分および前記周縁部分の近傍を流れる前記排気ガスと、前記空気流通空間から前記隙間部を介して前記外筒内空間に流入する前記空気とは、前記羽根部を流通して前記配管の下流側に流入することを特徴とする旋回羽根装置。」
<第2実施形態の改変例1>
排ガス加熱装置30の改変例1として、例えば、図13および図14に示すように、燃焼筒20の先端部20bが内筒32の筒軸Jの方向に斜めに向くようにバーナユニット13’を外筒31に取り付ける構成を採っても良い。これにより、バーナ13aの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスが、仮想経路Rvを流れる排気ガスの方向に燃焼筒20から放出することができるので、高温の燃焼ガスと排気ガスとの混合を効率的に促進することが可能になる。なお、前述の排ガス加熱装置30と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、図13は、図10に相当する模式的な断面図である。
図13および図14に示すように、排ガス加熱装置30の改変例1では、外筒51と内筒52とのそれぞれにテーパ部51a,52aを設ける。より具体的には、外筒51の基端部31bと周壁部31aとの間にテーパ部51aを設け、また内筒52の基端部32bと周壁部32aとの間にテーパ部52aを設ける。そして、外筒51のテーパ部51aに対しフランジ部24を介してバーナユニット13’を固定する。テーパ部52aには、燃焼筒貫通口52bが形成されており、この燃焼筒貫通口52bに燃焼筒20を挿通することにより、内筒52の筒軸Jに対して斜めになるように燃焼筒20が燃焼空間に突出する。
本第2実施形態の改変例1では、テーパ部51a,52aの傾斜角度と、燃焼筒20の先端部20bの斜め開口の角度とを一致させている。これにより、バーナユニット13’を外筒51のテーパ部51aに対してほぼ垂直(直角)に固定することで、図13に示すように、燃焼筒20の斜めに開口する開口面の輪郭線と、仮想経路Rvの境界線(二点鎖線)とをほぼ平行または同一線上に配置することができる。本第2実施形態の改変例1では、燃焼筒20の先端部20bが、上流管と下流管を最短距離で接続する仮想経路Rvの範囲内に入らないように、仮想経路Rvの範囲外に位置させている。これにより、上流管から下流管に向かう排気ガスの流れに対して、筒体13b(燃焼筒20)が抵抗になり難いため、燃焼空間や配管を流れる排気ガスの圧力損失の増加を抑制することができる。
このように本第2実施形態の改変例1では、内筒52の筒軸Jに対して斜めになるように燃焼筒20の先端部20bを燃焼空間に突出させる。つまり、先端部20bを燃焼空間の内側方向に向ける。これにより、仮想経路Rvを流れる排気ガスの方向に燃焼筒20から高温の燃焼ガスを放出することができるので、高温の燃焼ガスと排気ガスとの混合を効率良く促進させることができる。また、高温の燃焼ガスは、内筒52の周壁部32aから離れる方向に燃焼筒20から放出される。その一方で、高温の燃焼ガスより温度が低い排気ガスが仮想経路Rvを流れる。そのため、周壁部32aが冷却され易くなる。
<第2実施形態の改変例2>
また、排ガス加熱装置30の改変例2として、例えば、図15〜図17に示すように、燃焼筒20の内部にバッフル装置26を設けたバーナユニット13”を、燃焼筒20の先端部20bが内筒32の筒軸Jの方向に向き、かつ、仮想経路Rvの範囲内に燃焼筒20の一部が入るように、外筒31に取り付ける構成を採っても良い。これにより、上流管から下流管に向かう排気ガスの流れに対して筒体13b(燃焼筒20)が抵抗になるものの、燃焼筒20に設けたバッフル装置26により渦の小さい燃焼ガスの渦流を数多く作ることができるので、高温の燃焼ガスと排気ガスとの混合を効率的に促進することが可能になる。なお、前述の排ガス加熱装置30と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、図15は、図10に相当する模式的な断面図であるが、排気ガスの流れが逆方向(下から上に向かう方向(同図に示す座標系のZ軸の矢印先端方向))になっていることに注意されたい。
図15〜図17に示すように、排ガス加熱装置30の改変例2では、外筒31の周壁部31aに対しフランジ部24を介してバーナユニット13”を固定する。内筒32の周壁部32aには、燃焼筒貫通口32gが形成されており、この燃焼筒貫通口32gに燃焼筒20を挿通することにより、内筒32の筒軸Jに対して直交するように、燃焼筒20が燃焼空間に突出する。これにより、バーナユニット13”の燃焼筒20は、その先端部20b等が仮想経路Rvの範囲内に配置されることになるが、前述の排ガス加熱装置30(図10参照)やその改変例1(図13参照)の場合に比べて、内筒32および外筒31の外径を小径にすることができる。また、燃焼筒20は、筒壁の軸方向長さが大きい長尺部側を排ガス上流方向(筒壁の軸方向長さが小さい短尺部側を排ガス下流方向)に向くように、燃焼空間に突出させる。これにより、次に説明するように、バッフル装置26から発生する渦流を排気ガスの流れによって崩れ難くする。なお、燃焼筒20の長さは、本改変例2においては、先端部20bが内筒32の筒軸Jに到達する程度に設定されているが、後述するように、燃焼筒20の長さにバリエーションを持たせても良い。
また、本第2実施形態の改変例2では、燃焼筒20にバッフル装置26を設けている。図16に示すように、バッフル装置26は、燃焼筒20内において、十字形状に組み合わされる短冊形状の2枚のプレート26aと、これら2枚のプレート26aの交差部分に伏せられる円形状板状のカバー26bとにより構成されている。カバー26bの外径寸法は、例えば、燃焼筒20の内径の1/3(三分の一)以上1/5(五分の一)以下に設定されている。カバー26bは、火炎が燃焼筒20の外に出ることを防ぐために設けられる。このようにバッフル装置26を構成することにより、例えば、図17(A)に示すように、バーナ13aの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスが、バッフル装置26を通過することによって、渦の小さい燃焼ガスの渦流になって先端部20bの方向に放出される(図17(A)に破線で表した渦流)。
これにより、これらの渦の小さい燃焼ガスの渦流がその周囲を流れる排気ガスを巻き込みながら、燃焼筒20から放出される。バッフル装置26が設けられていない場合には、このような燃焼ガスの渦流よりも、渦が大きい燃焼ガスの渦流ができるため、本第2実施形態の改変例2では、バッフル装置26が設けられていない場合に比べて、燃焼ガスと排気ガスとを効率良く混合することが可能になる。また、本第2実施形態の改変例2では、燃焼筒20が、その長尺部側を排ガス上流方向(短尺部側を排ガス下流方向)に向くように、燃焼空間に突出しているため、排ガス上流方向の長尺部側が燃焼ガスの渦流を排気ガスの流れから防護する。これにより、燃焼ガスの渦流は、排気ガスの流れの影響を受け難くなるので、燃焼筒20の長尺部側に発生する渦流ほどその持続時間を長くすることが可能になる。
また、バーナユニット13”は、燃焼筒20を意図的に仮想経路Rvの範囲内に位置させて、燃焼筒20の長尺部側を排ガス上流方向(燃焼筒20の短尺部側を排ガス下流方向)に向くように、燃焼筒20を燃焼空間に突出させている。そのため、図17(B)に示すように、仮想経路Rv中の排気ガスは、燃焼筒20の長尺部側から短尺部側に回り込むように渦を作りながら流れる。これにより、燃焼筒20の外側(特に燃焼筒20の短尺部側の外側)においては、排気ガスの渦流が形成されるため、このような排気ガスの渦流によっても、燃焼ガスと排気ガスを混合することができる。また、排気ガスの渦と、バッフル装置26により発生する燃焼ガスの渦と交錯することにより、さらに複雑な渦流ができるため、燃焼ガスと排気ガスをより効果的に混合し得る。
<第2実施形態の改変例3>
さらに、排ガス加熱装置30の改変例3として、図18〜図20に示すように、これまで説明したような燃焼筒20に代えて、先端部120bにおいて円筒形状の径方向半分を半月状に切り欠いた燃焼筒120を用いる構成を採っても良い。前述の排ガス加熱装置30の改変例2と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、図18は、図16に相当する模式的な断面図である。
図18〜図20に示すように、排ガス加熱装置30の改変例3では、燃焼筒120の先端部120b付近の筒壁を径方向半分だけ蒲鉾形状に切り欠く。以下、このような切欠部121の形状のことを「半割形状」という。これにより、燃焼筒120の先端部120b付近における筒壁の長さが、大きい長壁部122から小さい短壁部123に不連続(急激)に切り替わる。つまり、半割形状の短壁部123においては筒壁が存在しない。
このため、先端部20b付近における筒壁の長さが連続的に変化する前述の改変例2の場合に比べて、図19(B)に示すように、燃焼筒120の長壁部122から短壁部123に排ガス流が回り込むことにより形成される排気ガスの渦流は、燃焼筒120の内側にまで入り込む(同図に破線で表した渦流)。これにより、燃焼筒120内においてバッフル装置26から発生する渦の小さい燃焼ガスの渦流は、燃焼筒120の内側にまで入り込む排気ガスの渦流の影響を受け易い。つまり、図19(A)に示すように、半割形状の短壁部123においては、渦の小さい燃焼ガスの渦流が崩れ易い。
一方、半割形状の長壁部122においては、その先端部120bまで筒壁が存在する。そのため、燃焼筒120の長壁部122から短壁部123に排ガス流が回り込むことにより形成される排気ガスの渦流は、長壁部122の内側には入り込まない。これにより、燃焼筒120内においてバッフル装置26から発生する渦の小さい燃焼ガスの渦流は、半割形状の長壁部122で防護されるため、排気ガスの渦流の影響を受け難い。つまり、半割形状の長壁部122においては、排ガス加熱装置30の改変例2の場合に比べて、渦の小さい燃焼ガスの渦流が残り易い(図19(A)参照)。
このように改変例3の構成を採ることによって、バッフル装置26から発生する渦の小さい燃焼ガスの渦流の持続時間を、排ガス加熱装置30の改変例2と比べると長くすることが可能になる。また、渦の小さい燃焼ガスの渦流を増加させることが可能になる。なお、半割形状の長壁部122は、その軸方向長さが長いほどこのような渦の小さい燃焼ガスの渦流を増加させることが可能になるが、それと同時に排気ガスの圧力損失の原因にも繋がり得る。そのため、燃焼ガスと排気ガスの混合効率と、排気ガスの圧力損失との比較考量により、半割形状の長壁部122の軸方向長さが決められる。また、半割形状の長壁部122の軸方向長さは、実験や計算機シミュレーションの結果に基づいて決定することもできる。
また、改変例3の応用例として、燃焼筒20や燃焼筒120の長さが異なるバーナユニット13を排ガス上流側から排ガス下流側に向けて燃焼筒20,120が長い順番に並べても良い。例えば、図20に示すように、前述した改変例2のバーナユニット13”(13Y)に対して、燃焼筒20の長さが異なるバーナユニット13X,13Zを設ける場合には、最も長い燃焼筒20xを備えるバーナユニット13Xを排ガス上流側に配置し、最も短い燃焼筒20zを備えるバーナユニット13Zを排ガス下流側に配置する。そして、これらの中間位置にバーナユニット13Y(13”)を配置する。これら13X,13Y,13Zは、内筒32の筒軸Jに沿って直線上に配置する。
なお、このように排ガス上流側ほど燃焼筒20の長さが長くなり、排ガス下流側ほど燃焼筒20の長さが短くなるように配置するのは、これら複数のバーナユニット13X等を同一直線上に配置することで、排ガス上流側に位置するバーナユニット13Xの燃焼筒20xから放出される燃焼ガスの流れが、下流に位置するバーナユニット13Y,13Zにより妨げられないようにするためである。
これにより、バーナユニット13Xは、最も長い燃焼筒20xを備えているため、内筒32の周壁部32aのうち、座標系のX軸矢印先端方向に位置する周壁部32a付近において、燃焼ガスと排気ガスとを混合する。これに対して、バーナユニット13Zは、最も短い燃焼筒20zを備えているため、内筒32の周壁部32aのうち、座標系のX軸矢印根元方向に位置する周壁部32a付近において、燃焼ガスと排気ガスとを混合する。また、燃焼筒20xと燃焼筒20zの間の長さに設定されている燃焼筒20yを備えているバーナユニット13yは、筒軸J付近において、燃焼ガスと排気ガスとを混合する。したがって、燃焼筒20の長さにバリエーションを持つバーナユニット13X,13Y,13Zを用いることにより、内筒32の燃焼空間内の燃焼ガスと排気ガスとを効率良く混合することが可能になる。
[第3実施形態]
続いて、本発明の燃焼装置を縦型タイプの排ガス加熱装置に適用した第3実施形態を図21〜図25に基づいて説明する。第3実施形態の排ガス加熱装置130も、第1実施形態の排ガス加熱装置10や第2実施形態の排ガス加熱装置30と同様に、例えば、ディーゼルエンジン(外部機関)の排気ガスが流れる配管100の途中に接続することにより脱硝触媒が十分に活性する温度まで排ガス温度を上昇させる加熱装置であり、船舶に搭載される舶用の燃焼装置である。
排ガス加熱装置130は、複数のバーナユニットを備えている点、炉体が縦型である点、送風ファンが1機である点や排ガス噴射管19を備えていない点については、第2実施形態の排ガス加熱装置30と共通する。しかし、バーナ13aの燃料噴出方向が排気ガスが流れる方向に対して逆である点や、排気ガス下流側に排出筒133を備える点等は、第2実施形態の排ガス加熱装置30と異なる。なお、第2実施形態の排ガス加熱装置30と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略にする。
図21〜図24に示すように、排ガス加熱装置130は、主に、外筒31、内筒132、複数のバーナユニット113、第1送風ファン2等により構成されている。
本第3実施形態では、排気ガスは、接続部31fから外筒31内の内筒132に流入して接続部31dから流出する。即ち、接続部31fのフランジ部31gに上流管100aが接続され、接続部31dのフランジ部31eに下流管100bが接続されて、図21および図24の紙面下から紙面上に向かう方向(各図に示す座標系のZ軸の矢印先端方向)に排気ガスが流れる。そのため、排ガス下流側には、後で説明する排出筒133が内筒132内から接続部31d内に突出するように設けられている。これにより、排気ガスが流れる配管の下流管内と後述する空気流通路Raとが連通しないように構成されている。これに対して、排ガス上流側の接続部31fは、その基端が外筒31の先端部31cの開口周囲に接続されており、内筒132内には突出していない。
内筒132は、外筒31の内部に収容されるとともに、内部に燃焼空間を形成する筒体である。内筒132は、外筒31と同様に有底の円筒形状に形成されている。内筒132は、円筒状の周壁部32aの一端側が内曲げのフランジ形状をなす円環状の基端部32bにより囲まれるように開口しており、また内筒132の他端側はテーパ部132aを介して内曲げのフランジ形状をなす円環状の先端部32cにより囲まれるように開口している。つまり、内筒132は、両端が開口しており、周壁部32aと先端部32cの接続部分を全周において面取りをしたようなテーパ部132aが設けれらている。また、内筒132の基端部32bには、排出筒133が挿通される貫通穴32dが形成されている。このように内筒132を構成することにより、外筒31と内筒132との間には、空気流通路Raが形成される。
排出筒133は、下流管100bに接続される接続部31dの内径よりも小径の円筒形状に形成される筒体であり、鋼板により構成されている。排出筒133は底も蓋も備えてなく、その軸方向長さは、内筒132の軸長の、例えば、50%以上80%以下に設定されている。本第3実施形態では、排出筒133は、排出端133a側が内筒132の基端部32bの貫通穴32dを貫通しており、その筒軸Nが内筒132の筒軸Jと重なる(同軸になる)ように配置されている。そして、接続部31d内に排出端133aが位置し、かつ内筒132内に導入端133bが位置するように、排出筒133は外筒31の基端部31b(または内筒132の基端部32b)に図略の固定構造によって固定されている。これにより、本第3実施形態では、排出筒133の導入端133bは、内筒132の筒軸J方向中央付近に位置している。接続部31dと排出筒133の間には、空気流通路Raに連通する隙間部Seが形成されている。
内筒132の基端部32b(内筒基端プレート35)には、排出筒133の周囲を取り囲むように複数のバーナユニット113や複数の空気噴射ノズル35dが設けられている。第1実施形態の内筒基端プレート15に相当する内筒基端プレート35は、円盤形状の部材であり、内筒132の周壁部32aおよび先端部32cとともに燃焼空間を形成している。本第3実施形態では、内筒基端プレート35(基端部32b)は、周壁部32aに一体に成形されている。周壁部32aと別体に内筒基端プレート35を構成して周壁部32aに図略の固定構造により固定しても良い。
第3実施形態の排ガス加熱装置130は、排出筒133が貫通する貫通穴32dの周囲、つまり排出筒133の周囲を取り囲むように、内筒基端プレート35と同心円の周上に燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル35dが形成され、さらにこれらの空気噴射ノズル35dの周囲を取り囲む同心円の周上に燃焼空間側に向けて突出する複数の空気噴射ノズル35eが形成されている。本第3実施形態では、空気噴射ノズル35d,35eは、いずれも6箇所に形成されている。6つの空気噴射ノズル35dは、円周上に等間隔に配置されており、この円周よりも大径の円周上に同じ等間隔で設けられる6つの燃焼筒貫通口35aを径方向に挟むように、さらに大径の円周上に6つの空気噴射ノズル35eが同じ等間隔に配置されている。
つまり、空気噴射ノズル35d,35eおよび燃焼筒貫通口35aは、それぞれ径の異なる円周上に、例えば、いずれも内筒基端プレート35の中心角60度間隔で設けられている。燃焼筒貫通口35aには燃焼筒20が挿通される。これにより、空気噴射ノズル35d,35eから噴射される空気流によりバーナユニット113を冷却し、また空気噴射ノズル35eから噴射される空気流により内筒132の周壁部32aも冷却可能にしている。なお、空気噴射ノズルは、第2実施形態の空気噴射ノズル35cのように、貫通穴32dを取り囲む円周上に、内筒基端プレート35の中心角30度間隔で、6つの空気噴射ノズル35d(または空気噴射ノズル35e)と6つのバーナユニット113を交互に配置しても良い。
なお、空気噴射ノズル35d,35eの数量は一例であり、空気流や排ガス流の効果が発揮され得る範囲内で適宜設定される。また、空気噴射ノズル35d,35eやバーナユニット113は、それぞれ等間隔に設ける必要はない。これらの空気噴射ノズル35d,35eは、その内側空間が空気流通路Raに連通するため、第1送風ファン2から圧送されて吸気口31iから空気流通路Raに流入した空気は、例えば、図24に示す破線矢印のように、空気噴射ノズル35d,35eを経由して周壁部32aの内部空間、つまり燃焼空間内に噴射される。
バーナユニット113は、バーナ13aの燃料噴出方向が排気ガスが流れる方向に対して逆である点と、筒体の長さが異なる点を除いて、第2実施形態のバーナユニット13’と同様に構成されている。即ち、図24および図25に示すように、バーナユニット113の筒体113bである、燃焼筒20は、先端部20bが内筒132の筒軸J方向中央よりも先端部32c側に位置するように燃焼筒20の軸方向長さが設定されている。より具体的には、筒体113bは、バーナ13aの火炎が燃焼筒20の先端部20bから外に出ない長さであって、排出筒133の導入端133bを超えて先端部20bが開口し、かつ、内筒132のテーパ部132aの位置に先端部20bが到達する以前の間の長さに設定されている。
本第3実施形態のバーナユニット113においても、内筒132の筒軸J方向に燃焼筒20の先端部20bの開口が向くように、6つのバーナユニット113を配置している。これにより、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが小さい短尺部側が内筒132の筒軸J方向を向き、燃焼筒20の筒壁の軸方向長さが大きい長尺部側が内筒132の周壁部32a方向を向く。そのため、バーナ13aの火炎からの直接的な輻射熱等は、燃焼筒20の長尺部側により内筒132の周壁部32a方向に向かう輻射伝熱量を減少させることが可能になり、内筒132の温度の上昇を抑制することができる。
図25に示すように、バーナ13aの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスは、燃焼筒20の長尺部側よりも短尺部付近(短尺部側)を流れる方が短距離で筒体から放出されて内筒の中心側に向かう(同図の細破線矢印)。そのため、燃焼筒20の中心付近や長尺部付近(長尺部側)を流れる燃焼ガスを内筒132の筒軸J(中心側)に引き込むことが可能になる(同図の細一点鎖線矢印および細二点鎖線矢印)。これにより、高温の燃焼ガスを内筒132の周壁部32a側よりも筒軸J側に集め得るので、内筒132の温度の上昇をさらに抑制することができる。
本第3実施形態では、前述したように、燃焼筒20(筒体113b)の先端部20bが内筒132の筒軸J方向中央よりも先端部32c側に位置する。そのため、接続部31fから内筒132に流入した排気ガス(図25の太実線矢印)は、内筒132の排ガス上流側においてバーナ13aから放出される燃焼ガス(同図の細破線矢印、細一点鎖線矢印および細二点鎖線矢印)と混合される。これにより、輻射熱等や燃焼ガスの流れと排気ガスの流れとが同方向である第2実施形態の排ガス加熱装置30に比べて、バーナ13aから放出される燃焼ガスの進行方向の垂直成分と、排気ガスの進行方向の垂直成分とが逆方向になり対向する。そのため、燃焼ガスと排気ガスが衝突して生じる対流混合が促進されることから、混合に要する距離が短くなって燃焼ガスと排気ガスを効率的に混合させることが可能になる(第2実施形態の排ガス加熱装置30のように燃焼ガスの流れと排気ガスの流れとが同方向である場合には、両ガスの混合に要する距離が長くなる)。したがって、排気ガスの温度の均一度合いが高まるため、排気ガスの温度ムラを抑制することができる。また、第2実施形態の排ガス加熱装置30に比べて、燃焼ガスと排気ガスの混合に必要な空間の狭小化が可能になるため、内筒132をコンパクトにすることができ、ひいては炉体(外筒31および内筒132)や排ガス加熱装置130の大きさを小型にすることができる。
また、本第3実施形態発明では、内筒132内の排気ガス下流側には、外筒31の接続部31dの内径よりも小さい内径を有する排出筒133が下流管100bに連通するように設けられている。これにより、排気ガス下流側において、空気噴射ノズル35d,35e(特に空気噴射ノズル35d)から噴射されて内筒132を冷却する低温の空気が下流管100bに流入することを阻止する。したがって、空気噴射ノズル35d,35e(特に空気噴射ノズル35d)から噴射される低温の空気により、内筒132内の排気ガス下流側付近を流れる排気ガスの温度が低下することを抑制することができる。また、排出筒133には、内筒132の周壁部32a側よりも中心側を流れる排気ガスがより多く集められる。そのため、温度ムラの少ない排気ガスを下流管100bに流出させることができる。
なお、上述した各実施形態では、円筒形状の燃焼筒20を例示して説明したが、筒体であれば、例えば、断面形状が四角形、六角形や八角形等の多角形状の角筒形状の燃焼筒であっても良い。
また、上述した各実施形態においては、燃焼筒(バーナ)の本数を6本で構成した排ガス加熱装置を例示しているものがあるが、燃焼筒(バーナ)の本数は、5本以下でも7本以上(例えば、2本、3本、8本や10本等)であっても良い。つまり、燃焼筒(バーナ)の本数は任意である(1本でも複数本でも良い)。燃焼筒(バーナ)の本数は、例えば、必要な熱量に適合するように設定される。
また、上述した各実施形態においては、複数の燃焼筒(バーナ)を同一の円周上に配置した排ガス加熱装置を例示しているものがあるが、同一の円周上に配置する構成に限られない。例えば、碁盤の目のようにマトリクス状に複数の燃焼筒(バーナ)を配置しても良い。また、複数の燃焼筒(バーナ)を不規則に配置しても良い。
また、上述した各実施形態においては、6本の燃焼筒の長さ(軸長)がいずれも同じ長さに設定されている排ガス加熱装置を例示しているものがあるが、燃焼筒(バーナ)の長さ(軸長)は、それぞれが異なっていても、同じ長さのものが1組または複数組あっても良い。例えば、6本の燃焼筒の長さ(軸長)が全部異なっていても良いし、また同じ長さのものが2本ずつ3組存在したり、同じ長さのものが3本ずつ2組存在したりしても良い。これにより、例えば、燃焼騒音の原因になり得る燃焼筒の音響共鳴を抑制することが可能になる。
また、上述した各実施形態においては、6本の燃焼筒の内径がいずれも同じ値に設定されている排ガス加熱装置を例示しているものがあるが、燃焼筒の内径は、それぞれが異なっていても、同じ内径のものが1組または複数組あっても良い。例えば、6本の燃焼筒の内径が全部異なっていても良いし、また同じ内径のものが2本ずつ3組存在したり、同じ内径のものが3本ずつ2組存在したりしても良い。これにより、例えば、燃焼騒音の原因になり得る燃焼筒の音響共鳴を抑制しつつ必要な全体熱量を確保することが可能になる。
また、上述した各実施形態においては、燃焼筒20,120のように軸長が比較的長く、かつ、その先端開口を径方向の一方側に拡がる形状に構成したものを例示し説明した。しかし、このような形状の燃焼筒20,120に限られることはなく、例えば、キャスタブルを筒形状に形成し、かつ、その先端形状を径方向の一方側に向けて開口する形状を有する燃焼筒を構成しても良い。これにより、上述した各実施形態の燃焼筒20,120に比べて、バーナ13aの火炎からの直接的な輻射熱等やバーナの火炎で燃料が燃焼することにより発生する高温の燃焼ガスを内筒32,132の中心付近(筒軸Jの近く)に向けることが可能になり、温度ムラの少ない排気ガスを下流管100bに流出させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。