JP2017164392A - 描画装置、計測方法及びプログラム - Google Patents

描画装置、計測方法及びプログラム Download PDF

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滋 加福
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Abstract

【課題】構造の複雑化やコスト高を回避しつつ、描画対象物の表面状態を高精度に計測できる描画装置、計測方法及びプログラムを提供する。【解決手段】描画に用いるペン41が装着可能であって、爪Tの表面の高さの変化に応じて上下動するペンホルダ42と、ペンホルダ42に係合して、ペンホルダ42の上下方向の移動に応じて動くアーム92及びロータリーエンコーダ91と、を有する描画ヘッド43と、爪Tに対して描画ヘッド43を移動させるヘッド移動部と、ヘッド移動部により描画ヘッド43を爪Tの表面に対して移動させたときのロータリーエンコーダ91による計測結果に基づいて、爪Tの表面の高さの値を含む高さ情報を取得する制御部と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、描画装置、計測方法及び計測プログラムに関する。
従来、爪にネイルデザインを描画する描画装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。描画対象物である爪の表面は、平坦ではなく、少なくとも左右方向に傾きを有する湾曲面であり、その表面の形状(3次元形状)には個体差があるため、一律な描画を行うと、ネイルデザインが歪んでしまうおそれがある。したがって、歪みのないネイルデザインを得るには、爪の表面の湾曲を正確に計測し、爪の表面の湾曲に合わせた描画を行う必要がある。
特表2003−534083号公報
しかしながら、爪の表面の形状を正確に計測するには、描画装置に光学式等の高価な計測機構を追加する必要があるため、構造が複雑になるだけでなく、コスト高をまねくおそれがあった。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、構造の複雑化やコスト高を回避しつつ、描画対象物の表面の形状を高精度に計測できる描画装置、計測方法及び計測プログラムの提供を目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の描画装置は、描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部と、前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動に応じた前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、構造の複雑化やコスト高を回避しつつ、描画対象物の表面状態を高精度に計測できる。
第1実施形態に係る描画装置の正面図である。 第1実施形態に係る描画装置の内部構成を示す側面図である。 第1実施形態に係る描画ヘッドの上面図である。 第1実施形態に係る描画ヘッドの側面図である。 第1実施形態に係る描画装置の制御構成を示した要部ブロック図である。 第1実施形態に係る描画装置の表面状態計測処理手順を示すフローチャートである。 (a)は爪の表面状態計測位置を示す図、(b)は1回目計測範囲を示す図、(c)は2回目計測範囲を示す図である。 (a)は第1回転位置情報及び第2回転位置情報を示す図、(b)は第1表面状態と第2表面状態との統合を示す図である。 第2実施形態に係る描画ヘッドの側面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(第1実施形態)
第1実施形態では、描画装置は手の指の爪の表面を描画対象面として、これに描画するものとして説明するが、本発明の描画対象面は手の指の爪の表面に限るものではなく、例えば足の指の爪の表面を描画対象面としてもよい。
(描画装置)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る描画装置1は、描画ヘッド43が描画用具であるペン41(描画用具)とインクジェット描画部71とを備え、プロッタ方式とインクジェット方式とを併用して印刷指U1の爪Tに描画を施す。この描画装置1は、ケース本体2と、このケース本体2に収容される装置本体10とを備えている。
ケース本体2の側面上部一端には、後述する描画部40のペン41及びインクジェット描画部71を交換するために開閉可能に構成された蓋部23が設けられている。蓋部23は、例えばヒンジ等を介して、図1に示すように閉状態から開状態まで回動自在となっている。
ケース本体2の上面(天板)には操作部25(図5参照)が設置されている。操作部25は、ユーザが各種入力を行う入力部である。操作部25には、例えば、描画装置1の電源をONにする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための図示しない操作釦が配置されている。
ケース本体2の上面(天板)のほぼ中央部には、表示部26が設置されている。表示部26は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示部26には、例えば、印刷指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む指画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭線等の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。なお、表示部26の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。
装置本体10は、ほぼ箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置された下部機枠11と、この下部機枠11の上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている上部機枠12とを備えている。まず、下部機枠11について説明する。
下部機枠11は、背面板111、底板112、左右一対の側板113a,113b、X方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115及び隔壁116を有する。側板113a,113bの下端部は、底板112の左右両端部にそれぞれ連結され、側板113a,113bが底板112に対して立てられた状態に設けられている。
背面板111の下部は、前方(指挿入方向手前側)に向かって2段に窪むように形成されている。背面板111の下端部は底板112の前端部に連結されており、背面板111は、底板112と側板113a,113bによって囲われた領域を前後に区切っている。
この窪んだ背面板111の後ろ側に形成される空間がX方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115(図2参照)となっている。X方向移動ステージ収容部114内には、描画部40が前方(指挿入方向手前側)に移動した際に描画部40のX方向移動ステージ45が収容される。また、Y方向移動ステージ収容部115内には、描画部40のY方向移動ステージ47が配置されている。
隔壁116は、下部機枠11の内部前方側の空間(背面板111、底板112及び側板113a,113bによって囲われた指挿入方向手前側の空間)を上下に区切るように下部機枠11の内側に設けられている。隔壁116はほぼ水平に設けられ、隔壁116の左右両端部が側板113a,113bにそれぞれ連結され、隔壁116の後端部が背面板111に連結されている。
この下部機枠11には、指固定部30(図2参照)が一体的に設けられている。指固定部30は、描画を施す爪T(すなわち描画対象)に対応する指(以下、これを「印刷指U1」という。)を受け入れる指受入部31と、この印刷指U1以外の指(以下、これを「非印刷指U2」という。)を退避させる指退避部32と、から構成されている。
指受入部31は、隔壁116の上側であって、例えば、下部機枠11の幅方向の中央より少し右に配置されている。また、隔壁116によって下部機枠11の下側に区分けられた空間が指退避部32を構成している。例えば、薬指の爪Tに描画を施す場合には、指受入部31に印刷指U1としての薬指を挿入し、非印刷指U2であるその他の4指(親指、人差し指、中指、小指)を指退避部32に挿入する。
指受入部31は、下部機枠11の前面側(印刷指挿入方向の手前側)に開口しており、下側が隔壁116の一部を構成する指載置部となっている。指載置部は、描画を施す爪Tの指(印刷指U1)をXY平面上に載置するものである。また、指受入部31の上側は、開口しており、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの表面(すなわち、描画対象面)が露出するようになっている。
隔壁116の上面であって下部機枠11の前面側の両側部には、下部機枠11の前面側を塞ぐ前壁31f(図1参照)が立設されている。また、隔壁116の上面には、この前壁31fの中央部寄りの端部から指受入部31に向けて狭窄し、印刷指U1を指受入部31内に案内する一対のガイド壁31g(図1参照)が立設されている。
ユーザは指受入部31に挿入した印刷指U1と指退避部32に挿入した非印刷指U2との間に隔壁116を挟むことができる。そのため、指受入部31内に挿入された印刷指U1が安定して固定される。
下部機枠11の上面であって、指受入部31の側方(ケース本体2の媒体挿出口24に対応する位置であり、本実施形態では、図1において左側)には、後述する描画ヘッド43による描画可能範囲内に、後述するペン41のペン先(先端部)413の書き出し時のかすれ等を無くすための慣らし書きを行う慣書部61が設けられている。
慣書部61は、平板状の部分であり、前述のケース本体2の媒体挿出口24から挿入された図示しない描画媒体が載置されるようになっている。慣書部61に載置される描画媒体は、ペン先(先端部)413の慣らし書きを行うことができるものであればよく、例えば紙片である。
下部機枠11の上面であって、指受入部31を挟んで慣書部61の逆側(本実施形態では、図1において右側)には、後述する描画ヘッド43の移動可能範囲内に、後述するペンホルダ42に対応する数(本実施形態では1つ)だけペンキャップ62が設置されている。ペンキャップ62は、例えばゴムによって形成されており、描画部40にペン41が装着されている状態で描画を行っていないとき(非描画時)には、ペン41を下降させて、ペン先413をペンキャップ62に収容することにより、ペン先413の乾燥を防止するようになっている。
ペン先413がペンキャップ62に収容されたときにインクジェット描画部71が配置される位置に対応する位置には、インクジェット保守部63が設けられている。インクジェット保守部63は、例えば後述するインクジェット描画部71のインク吐出部(ノズル面)をクリーニングするためのクリーニング機構やインク吐出部(ノズル面)の保湿状態を保つためのキャップ機構等(いずれも図示せず)で構成されている。なお、ペンキャップ62、インクジェット保守部63等の配置はここで例示したものに限定されない。
描画部40は、描画ヘッド43、描画ヘッド43を支持するユニット支持部材44、描画ヘッド43をX方向(図1におけるX方向、描画装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、描画ヘッド43をY方向(図2におけるY方向、描画装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。
図3及び図4に示すように、本実施形態の描画ヘッド43には、ペン41を保持するペンホルダ(用具ホルダ)42とインクジェット描画部71を保持するインクジェットホルダ72とが隣り合って配置されている。
インクジェット描画部71は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける描画対象(爪T)に対向する面(本実施形態では、図1等における下面)に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。
インク吐出部は、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイを備えており、インクジェット描画部71は、インクを微滴化し、インク吐出部から描画対象(爪T)の被描画面に対して直接にインクを吹き付けて描画を行う。なお、インクジェット描画部71は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出部を備えていてもよい。
本実施形態のペンホルダ42には、1本のペン41が装着可能となっている。ペン41は、爪Tの表面を描画対象面とし、先端部が描画対象面である爪Tの表面に接触して描画を施す筆記具である。図4等に示すように、ペン41は、棒状のペン軸部411の先端側(図4において下側)にペン先413が設けられたものである。
ペン軸部411の内部は、各種インクを収容するインク収容部となっている。ペン軸部411の内部に収容されるインクとしては、各種のインクが適用可能である。インクの粘度や色材の粒径(粒子の大きさ)等は特に限定されず、例えば、金銀のラメ入りのインクや白色のインク、UV硬化型のインクやジェルネイル、アンダーコート用インク、トップコート用インクやマニキュア液等も用いることができる。
本実施形態において、ペン41は、例えばペン先413を爪Tの表面に押し当てることでペン軸部411内に収容されているインクが染み出して描画する、ペン先413がボールペンタイプとなったペンである。なお、ペン41は、ボールペンタンプのものに限定されない。例えばフェルト状のペン先にインクを染み込ませて描画するサインペンタイプや、束ねた毛にインクを染み込ませて描画する筆ペンタイプのもの等であってもよい。また、ペン先413の太さも各種のものを用意することができる。
ペンホルダ42に保持されるペン41は、全て同じタイプのペン先413を有するペンでもよいし、異なるタイプのペン先413を有するペンであってもよい。ペン41はペンホルダ42に上方から挿通するだけで保持されている。このため、ケース本体2に設けられている蓋部23を開けて、例えば手やピンセットでペン軸部411の上端部を摘み上げ引き出す等により、容易に交換が可能である。これにより、ユーザは、ペンホルダ42に装着するペン41を、描画したいネイルデザインに応じて色やペン先413の種類やインクの種類の異なるペン41に適宜入れ替えることで、幅広いネイルデザインを実現することができる。
ペンホルダ42は、上下に開口し内部にペン41が挿通される筒状部材421と、筒状部材421の下側(図4における下側)の開口を塞ぐように配置されたペン係止部材422と、ペン41とともに上下動する補助軸部材423とを備えている。
ペン係止部材422には、ペン41のペン軸部411における先端側を係止する係止孔422aが形成されている。ペン41は、ペン軸部411の先端側がペン係止部材422の係止孔422aに嵌め込まれることによってペンホルダ42内に係止される。なお、ペン軸部411の先端側の外周面に図示しないねじ溝を形成し、係止孔422aの内周面に軸部のねじ溝と螺合可能な図示しないねじ溝を形成し、係止孔422a側のねじ溝にペン軸部411側のねじ溝を螺着させることでペン41を係止孔422aに係止させてもよい。
本実施形態において、補助軸部材423はペン41を挟むように2本配置されている。各補助軸部材423の下端部はペン係止部材422に嵌め込まれており、これにより、補助軸部材423はペン41のペン軸部411と平行するように固定されている。補助軸部材423には、ペン41の軸中心から離れる方向に突出する第1係止突起423a(係合部)及び第2係止突起423b(突起部)が設けられている。
ペンホルダ42の外周部には、ペンホルダ42を上下動自在に支持する上下一対のガイド部材424が配置されている。上下一対のガイド部材424は、描画ヘッド43側に固定された部材であり、ペンホルダ42が上下方向スライド自在に挿通される第1ガイド孔424a(図3参照)と、補助軸部材423が上下方向スライド自在に挿通される第2ガイド孔424b(図3参照)とを備える。
下側のガイド部材424は、ペンホルダ42の上昇限度位置を規定する上限ストッパとしても機能するようになっている。具体的には、下側のガイド部材424に対し、ペン係止部材422が下方から当接することにより、ペンホルダ42のそれ以上の上昇が制限される。なお、下側のガイド部材424には、第2係止突起423bとの干渉を回避するために、一方の第2ガイド孔424bに代えて、第2係止突起423bの突出方向に開口したガイド溝424cが形成されている。
補助軸部材423の上部軸周りには、コイルバネ425が巻回されている。コイルバネ425の上端は、補助軸部材423の上端部に設けられたバネ受け部材425aに下方から当接し、コイルバネ425の上端は、上側のガイド部材424に上方から当接している。つまり、コイルバネ425は、外力が加わらない状態において補助軸部材423を上方向に付勢する圧縮コイルバネであり、非描画状態においてペンホルダ42の位置を、ペン41のペン先413が爪Tに当接しない位置に保持する。
ペンホルダ42の近傍には、ステッピングモータからなるペン上下用モータ426と、ペン上下用モータ426の回転軸に取り付けられた歯車427に噛合するギア428と、このギア428の回転に追従して回動する板バネ429とが設けられている。本実施形態では、これらペン上下用モータ426、歯車427、ギア428、板バネ429及び前述したコイルバネ425等によりペンホルダ42及びペン41の昇降機構が構成されている。
非描画時においては、第1係止突起423aに対して板バネ429が外力(押圧力)を加えない状態となっており、この状態では、ペンホルダ42及びペン41は、コイルバネ425の付勢力により、上方向(図1及び図4において上方向)に押し上げられている。このため、ペン41の先端部であるペン先413は、描画対象面である爪Tの表面から離れ、当該表面に当接しない高さに保持されている。
これに対して、描画時には、ペン上下用モータ426を所定のステップ数で回転させることにより板バネ429が回動すると、板バネ429は、補助軸部材423に設けられた第1係止突起423aに係合して、第1係止突起423aを下方へと押し下げる。これにより、ペンホルダ42及びペン41は、コイルバネ425の付勢力に抗して下方向へと押し下げられて、ペン先413が爪Tの表面に接触する。
このとき、板バネ429は適度に撓むため、ペン41の上下動による衝撃が吸収されるとともに、ペン先413におおむね一定の適度な筆圧がかかった状態を維持したままペン41が爪Tの高さに追従して上下動する。これにより、描画対象である爪Tの表面に所望のネイルデザインを綺麗に描画することができる。
ペンホルダ42の近傍には、描画ヘッド43に対するペンホルダ42の上下位置を検出する検出部90が設けられている。検出部90は、描画ヘッド43側に設けられるロータリーエンコーダ91と、基端側がロータリーエンコーダ91の回転軸911に接続され、先端側がペンホルダ42に接続されるアーム92とを備えており、ペンホルダ42の上下動に伴うアーム92の動きをロータリーエンコーダ91が回転位置情報として取得するように構成されている。
ロータリーエンコーダ91は、一定の角度ピッチで多数のスリットが形成され、回転軸911と一体に回転する円盤912と、円盤912のスリット形成部分を挟むように配置される光電部913とを備える。光電部913は、円盤912のスリットに向けて光を照射する発光素子と、スリットを介して円盤912を透過した光を受光する受光素子とを備えており、受光素子は、回転軸911の回転に応じて、その回転角度に応じた数のパルス信号を出力する。なお、光学式のロータリーエンコーダ91は、円盤912と光電部913とが非接触であり、回転軸911の回転荷重が極めて小さいので、ペンホルダ42の上下動への影響を低減することができるので好適である。ただし、ロータリーエンコーダの種類は特に限定されるものではなく、いわゆるポテンショメータなどと呼ばれる接触式のものでもよい。
このような検出部90によれば、ロータリーエンコーダ91から出力されるパルス信号をカウントすることにより、ペンホルダ42の上下動及びその変位量を検出することができる。また、本実施形態のロータリーエンコーダ91は、円盤912のスリットを1/4ピッチずれた位置で検出する2組の発光素子及び受光素子を備えるので、各受光素子から出力されるパルス信号の比較に基づいて回転軸911の回転方向を判定することができる。したがって、ロータリーエンコーダ91から出力されるパルス信号をカウントするにあたり、そのカウント値を回転軸911の回転方向に応じて加算又は減算することで、ペンホルダ42の上下位置を特定することが可能になる。
アーム92の先端側は、アーム92の長さ方向に沿う長孔921を有し、この長孔921に対して前述した第2係止突起423bが係合することにより、ペンホルダ42に接続されている。このようなアーム92の接続構造によれば、ペンホルダ42の上下動に応じて第2係止突起423bが長孔921内を自由に移動できるので、ペンホルダ42の上下動への影響を低減することができる。なお、アーム92は、下側のガイド部材424との干渉を回避するために、下側のガイド部材424の外端よりも外側に配置されている(図3参照)。
図1及び図2に示すように、ユニット支持部材44は、X方向移動ステージ45に取り付けられたX方向移動部451に固定されている。X方向移動部451は、X方向移動モータ46の駆動によりX方向移動ステージ45上を図示しないガイドに沿ってX方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材44に取り付けられている描画ヘッド43が、X方向(図1におけるX方向、描画装置1の左右方向)に移動するようになっている。
X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材44に取り付けられている描画ヘッド43が、Y方向(図2におけるY方向、描画装置1の前後方向)に移動するようになっている。
つまり、本実施形態では、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等により、ペンホルダ42を備える描画ヘッド43をX方向及びY方向に駆動する駆動機構としてのヘッド移動部49が構成されている。
そして、描画部40におけるペン上下用モータ426、インクジェット描画部71、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、後述する制御装置80の描画制御部815(図5参照)に接続され、該描画制御部815によって制御されるようになっている。
撮影部50は、撮像装置51と、照明装置52とを備えている。この撮影部50は、指受入部31内に挿入されて上部の開口から見える印刷指U1の爪Tを照明装置52によって照明する。そして、撮像装置51によってその印刷指U1を撮影して、印刷指U1の爪Tの撮影画像である爪画像(爪画像を含む指の画像)を取得するものである。
本実施形態では、撮像装置51及び照明装置52は、描画部40の描画ヘッド43の側方(図1において描画ヘッド43の左側)に固定配置されている。すなわち、図3に示すように、描画部40の描画ヘッド43は、上面の一端側(図3において左側)に、側方に張り出す張出部401を有しており、この張出部401に基板53が取り付けられている。撮影部50を構成する撮像装置51及び照明装置52は、この基板53の下面に、隔壁116に対向するように設けられている。なお、基板53の大きさや基板53に取り付けられている撮像装置51及び照明装置52の位置は特に限定されない。
撮像装置51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮像素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。本実施形態では、撮像装置51によって取得された爪画像に基づいて、爪形状検出部812(図5参照)が爪Tの外周の形状を示す輪郭線を検出する。また、爪形状検出部812は、爪画像に基づいてxy平面上における爪Tの位置や、爪Tの垂直位置等、その他の爪情報を検出する。
照明装置52は、例えば白色LED等の光源である。本実施形態では、照明装置52が撮像装置51の側方(図1及び図3において撮像装置51の左側)に配置されている。照明装置52は、下方に向けて光を照射して、少なくとも撮像装置51の下方の撮影範囲を照明する。撮像装置51に対する照明装置52の位置は一定となっている。なお、照明装置52を設ける数や、その配置等は図示例に限定されない。
この撮影部50は、後述する制御装置80の撮影制御部811(図5参照)に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
(制御装置及びプログラム)
制御装置80は、例えば上部機枠12に配置された基板13等に設置されている。図5に示すように、本実施形態の制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
記憶部82には、描画装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。具体的には、記憶部82のROMには、爪画像に基づいて爪Tの外周の形状である輪郭線を検出するための爪形状検出プログラム、描画ヘッド43のXY移動制御、ペンホルダ42の昇降制御及びペンホルダ42の上下位置検出に基づいて爪Tの表面の高さのXY面内の分布に基づく、表面の立体形状(3次元形状)を計測して、高さ情報として取得するための表面形状計測プログラム、描画データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、描画装置1の各部が統括制御されるようになっている。なお、表面形状計測プログラムは、爪Tの表面の3次元形状を高さ情報として取得するものに限るものではなく、爪Tの少なくとも一箇所の高さの値を高さ情報として計測するものであってもよい。
また、本実施形態において記憶部82には、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域821、爪形状検出プログラムに基づいて検出された爪情報や、表面形状計測部813により計測された爪Tの表面形状等が記憶される爪情報記憶領域822、及び爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域823等が設けられている。
制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、爪形状検出部812、表面形状計測部813、描画データ生成部814、描画制御部815、表示制御部816等を備えている。これら撮影制御部811、爪形状検出部812、表面形状計測部813、描画データ生成部814、描画制御部815、表示制御部816等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
撮影制御部811は、撮影部50の撮像装置51及び照明装置52を制御して撮像装置51により、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像を含む指の画像である爪画像を撮影させるものである。本実施形態では、ヘッド移動部49を制御する描画制御部815によって撮影部50を爪Tの幅方向に移動させながら、撮影制御部811が、撮像装置51により爪Tの幅方向における複数の位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から爪Tを撮影して、複数枚の爪画像を取得させる。
爪形状検出部812は、撮像装置51によって撮影された指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。本実施形態の爪形状検出部812は、撮影画像に基づいて爪Tの外周の形状を示す輪郭線を爪情報として検出する。なお爪Tの輪郭線を検出する手法は特に限定されないが、例えばエッジ検出処理等の画像処理により行うことができる。
表面形状計測部813は、ペンホルダ42に装着された計測部材として機能するペン41(描画用具)のペン先413が爪Tの表面に当接した状態で爪Tの表面上を移動するようにヘッド移動部49を制御してペンホルダ42を移動させる機能と、ペンホルダ42を移動させたときのアーム92の先端側の上下動の動きを回転位置情報としてロータリーエンコーダ91に取得させる機能と、取得したペンホルダ42の移動範囲における回転位置情報から爪Tの表面の上下方向の変化を求めて、爪Tの表面の立体形状(湾曲形状)として取得する機能とを備える。
描画データ生成部814は、爪形状検出部812により検出された爪情報に基づいて、描画ヘッド43により印刷指U1の爪Tに施される描画用の描画データを生成する。例えば、描画データ生成部814は、爪形状検出部812により検出された爪Tの輪郭線に基づいて、ネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等することにより、爪Tの形状に合わせ込む処理を行う。
また、描画データ生成部814は、表面形状計測部813により計測された爪Tの表面の表面形状に基づいて、爪Tに描画するように指定されたネイルデザインの画像データに適宜曲面補正等を行う画像データ補正部としても機能する。これにより、ペン41やインクジェット描画部71によって描画されるネイルデザインの描画用のデータが生成される。
描画制御部815は、描画データ生成部814によって生成された描画データに基づいて描画部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの描画データにしたがった描画を施すように描画部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、ペン上下用モータ426、インクジェット描画部71等を制御する。
例えば、描画制御部815は、ペン41の非描画時にはペン上下用モータ426を制御して、板バネ429により第1係止突起423aが押し下げられない状態を維持し、描画時にはペン上下用モータ426を動作させて、板バネ429により第1係止突起423aを押し下げ、ペン41のペン先413を爪Tの表面に当接させる。
なお、爪Tの高さが大きく変化して板バネ429が撓み変形(弾性変形)するのみでは対応できない個所では、描画制御部815が適宜ペン上下用モータ426のステップ数を増減してペン41の筆圧を調整し、筆圧がおおむね一定になるように調整することが好ましい。
表示制御部816は、表示部26を制御して表示部26に各種の表示画面を表示させるものである。例えば、表示制御部816は、ネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、印刷指U1を撮影して取得した爪画像、各種の指示画面、操作画面等を表示部26に表示させる。
(表面状態計測処理手順)
つぎに、本実施形態における描画装置1の表面形状計測処理手順(表面形状計測方法)について、図6〜図8を参照して説明する。
なお、爪Tの表面状態計測は、ペン41による描画中(例えば、アンダーコートの塗布中)に実行してもよいし、爪Tの表面形状の計測のみを目的として、ペン41による描画の前に実行してもよい。
また、爪Tの表面状態を計測する際に使用するペン41は、ペン先413が変形しないボールペンタイプであることが好ましい。その理由は、フェルト状のペン先にインクを染み込ませて描画するサインペンタイプや、束ねた毛にインクを染み込ませて描画する筆ペンタイプの場合、ペン先413の変形に起因する誤差により、爪Tの表面状態を高精度に計測することが困難になるからである。
また、爪Tの表面形状の計測に使用する計測部材としてのペン41は、例えば、インクは出ず、描画に使用するペン41と外形形状が同じ計測専用のペン(計測用具)であってもよい。また、爪Tの表面形状の計測に使用するペン41は、インクの出る描画用のペンであってもよい。インクの出る描画用のペンを用いて爪Tの表面状態を計測した場合には、計測によって爪Tにインクが付着することになり、その場合は、表面形状の計測後、爪Tに付着したインクを拭き取ることが必要となる。しかしながら、例えば、爪Tの全面にアンダーコートを塗布する場合であって、アンダーコートの塗布前に、アンダーコート用のインクが出る描画用のペンを用いて爪Tの表面形状の計測を行った場合には、表面形状の計測後に爪Tに付着したインクを拭き取る必要はなく、そのままの状態で続けてアンダーコートの塗布工程を実行することができる。
図6は、爪Tの表面形状の計測のみを目的として実行する場合の表面形状計測処理手順を示している。該処理を実行する場合、ユーザはまず、電源スイッチを入れて制御装置80を起動させる。制御装置80は、起動すると、表示部26にメニュー選択画面を表示させ、ユーザは操作部25の操作釦等を操作して、メニュー選択画面に表示された表面形状計測処理を選択する。これにより、制御装置80は、図6に示す処理手順にしたがって表面形状計測処理を実行する。
図6に示すように、制御装置80は、表面形状計測処理において、まず、爪Tの表面形状を計測する印刷指U1を指受入部31にセットするよう促す指示画面を表示部26に表示させる(ステップS1)。ユーザは、計測する印刷指U1を指受入部31に挿入し、それ以外の非印刷指U2を指退避部32に挿入して、計測する印刷指U1を固定した上で、操作部25の図示しない開始スイッチを操作する。
制御装置80は、開始スイッチから指示が入力されると、まず、ヘッド移動部49を制御して撮影部50を所定の撮影位置に移動させる(ステップS2)。例えば、爪Tを真上から撮影する場合には撮影部50が爪Tの真上に来るようにヘッド移動部49を制御する。
そして、制御装置80は、撮影部50を制御して、照明装置52により印刷指U1を照明しながら撮像装置51により印刷指U1を撮影し、爪Tの爪画像を取得する(ステップS3)。制御装置80は、爪画像を取得したら、爪画像に基づいて爪Tの外形の形状である輪郭線を検出する(ステップS4)。
つぎに、制御装置80は、爪画像の輪郭線内における表面形状計測位置Pを決定する(ステップS5)。例えば、爪Tの左右幅方向と高さ方向の形状(湾曲形状)を計測する場合は、図7の(a)に示すように、爪画像の輪郭線内において左右方向(爪Tの幅方向)の長さ(幅)が最も大きい位置を表面形状計測位置Pとして選択することが好ましい。その理由は、爪Tの表面においては、通常、左右方向の幅が最も大きい位置の左右端で幅方向の傾きが最大となっており、また、この位置の左右方向に沿った湾曲形状を計測すると、他の位置の湾曲形状も容易に推定可能となるからである。なお、本実施形態では、表面形状計測位置Pを1箇所としているが、計測位置Pを爪Tの左右方向に直交する爪Tの長さ方向の複数箇所に設定してもよい。
制御装置80は、爪Tにおける表面形状計測位置Pを決定したら、この位置の表面形状を2回に分けて計測する(ステップS6、S7)。図7の(b)に示すように、1回目の計測では、爪Tにおける表面形状計測位置Pの左右中心P0よりも左右一方側(左側)寄りの第1位置P1にペン41のペン先413が当接するようにX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及びペン上下用モータ426を制御した後、X方向移動モータ46の制御に基づいて、ペン先413を第1位置P1から左右他方側(右側)に移動させつつ、ペン先413が第1位置P1から爪Tの左右他方側の端まで到達する間(1回目計測範囲)におけるアーム92の上下動の動きを第1回転位置情報(第1計測データ)としてロータリーエンコーダ91に取得させる。
また、図7の(c)に示すように、2回目の計測では、爪Tにおける表面形状計測位置Pの左右中心P0よりも左右他方側(右側)寄りの第2位置P2にペン41のペン先413が当接するようにX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48及びペン上下用モータ426を制御した後、X方向移動モータ46の制御に基づいて、ペン先413を第2位置P2から左右一方側(左側)に移動させつつ、ペン先413が第2位置P2から爪Tの左右一方側の端まで到達する間のアーム92の上下動の動きを第2回転位置情報(第2計測データ)としてロータリーエンコーダ91に取得させる。
このように爪Tにおける表面形状計測位置Pを2回に分けて計測する理由は、ペン先413を爪Tの上り傾斜を上る方向に動かした場合には、ペン先413が爪Tの上り傾斜をスムーズに登れずにペン先の動きがスムーズでなくなる可能性があり、更には、ペン先413の移動方向に爪Tが押されて、計測中に爪Tがペン先413で押された方向に動いてしまう可能性もあるからである。これに対して、上記のように2回に分けて測定すると、下り傾斜方向の計測のみとなり、ペン先413の動きがスムーズになるとともに、計測中に爪Tが動いてしまうことも抑制され、精度の高い計測が可能となる。
制御装置80は、2回の計測が終了したら、第1計測データ及び第2計測データに基づいて表面形状計測位置Pの表面形状を特定する(ステップS8)。例えば、1回目の計測で取得した第1回転位置情報(図8の(a)の左側を参照)及び爪Tの平面座標から爪Tの表面における上下方向の形状変化を求めて爪Tの1回目計測範囲の湾曲形状である第1表面形状を特定するとともに、2回目の計測で取得した第2回転位置情報(図8の(a)の右側を参照)及び爪Tの平面座標から爪Tの表面における上下方向の形状変化を求めて爪Tの2回目計測範囲の湾曲形状である第2表面形状を特定した後、第1表面形状と第2表面形状とを統合させる(図8の(b)参照)。
第1表面形状と第2表面形状との統合は、第1回転位置情報及び第2回転位置情報のそれぞれの爪幅方向である横軸の位置を合わせるとともに、例えば、第1表面形状及び第2表面形状を示す線を太線化する処理を行い、太線化された第1表面形状及び第2表面形状を表す線の重なり面積が最大化するように第1表面形状と第2表面形状との上下位置を調整する処理により容易に行うことができる。
制御装置80は、表面形状計測位置Pの全体の表面形状を特定したら、これを爪情報記憶領域822に記憶させて表面形状計測処理を終了する(ステップS9)。
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の描画装置1によれば、描画に用いるペン41が装着でき、ペン41の上下動をガイドするペンホルダ42と、爪Tに対してペンホルダ42をXY方向に移動させるヘッド移動部49と、一端側が回転軸911に接続され、他端側がペンホルダ42の上下動に合わせて動くようにペンホルダ42に接続されるアーム92と、アーム92の一端側に設けられ、ペンホルダ42を移動させたときのアーム92の他端側の上下動の動きを回転位置情報として取得するロータリーエンコーダ91と、取得したペンホルダ42の移動範囲における回転位置情報から爪Tの表面の上下方向の形状変化を求めて爪Tの表面形状として取得する制御部81と、を備えているので、既存のペンホルダ42やその移動機構を利用して爪Tの表面形状を接触式で高精度に計測することが可能になり、その結果、高価な計測装置を備えることを不要として、高価な計測装置を備える場合に比べて構造の簡略化やコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態では、ペンホルダ42の上下動を回転軸911の回転荷重が小さい光学式のロータリーエンコーダ91で検出しているので、ペンホルダ42の上下動への影響を低減することができる。また、本実施形態のアーム92は、長孔921を介してペンホルダ42の第2係止突起423bに係合されているので、ペンホルダ42の上下動に対する影響をさらに低減できる。
また、本実施形態では、ペン41として、インクの出ない計測用のペン(計測用具)又はペン先413がボールペン型のペン(描画用具)を備え、爪Tの表面形状を計測するときは、いずれかのペン41をペンホルダ42に装着するので、ペン先413の変形に起因する計測誤差を排除し、爪Tの表面形状を高精度に計測することができる。
また、本実施形態では、爪Tの表面形状(左右幅方向の湾曲形状)を計測するにあたり、爪Tにおける表面形状計測位置Pをペン先413の移動接触面が下り傾斜となるように2回に分けて計測するので、ペン先413が爪Tの上り傾斜をスムーズに登れないことに起因する計測不良を回避できる。
また、本実施形態では、2回の計測で取得した第1表面形状と第2表面形状とを合わせるのに際して、第1表面形状及び第2表面形状を示す線を太線化する処理を行った後、太線化された第1表面形状及び第2表面形状を表す線の重なり面積が最大化するように第1表面形状と第2表面形状とを合わせる処理を行うので、第1表面形状と第2表面形状とのずれに起因する信頼性の低下を回避できる。
(第2実施形態)
つぎに、ペンホルダを上下動させる昇降機構の第2実施形態について、図9を参照して説明する。ただし、第1実施形態と共通の構成については、前記実施形態と同じ符号を用いることにより、第1実施形態の説明を援用する。
図9に示すように、第2実施形態に係る描画ヘッド43は、ペンホルダ201の昇降機構がソレノイドを用いてペンホルダ201を昇降させるように構成されている点が第1実施形態と相違している。具体的に説明すると、第2実施形態に係るペンホルダ201の昇降機構は、ペン上下用ソレノイド202と、ペン上下用ソレノイド202の駆動に応じて上下方向に回動するL字型のペン上下用アーム203とを備えており、ペンホルダ201に装着されるペン41のペン先413を爪Tの表面から離間させるときは、ペン上下用ソレノイド202の駆動制御(プランジャ引き込み制御)に応じて上方に回動するペン上下用アーム203が、ペンホルダ201の係合部201aを上方に押し上げることにより、ペンホルダ201を上昇させ、ペン41のペン先413を爪Tの表面に当接させるときは、ペン上下用ソレノイド202の駆動制御(プランジャ突出制御)に応じて下方に回動するペン上下用アーム203が、係合部201aとの係合を解除することにより、ペンホルダ201を自重で下降させるように構成されている。
このようなペンホルダ201の昇降機構を用いた場合であっても、ペンホルダ201の突起部201bにアーム92を介してロータリーエンコーダ91を接続することにより、ペンホルダ201の上下動に応じたアーム92の動きを回転位置情報として取得し、爪Tの表面形状を計測することができる。
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、第1、2実施形態では、描画対象物を指の爪として説明してきたが、描画対象物は、指の爪以外のもの、例えば、付け爪やアクセサリーのようなものであってもよい。
また、第1、2実施形態では、描画装置1の描画ヘッド43に描画用のペン41を保持するペンホルダ42の他、インクジェット描画部71を備える構成としたが、インクジェット描画部71を備えることは必須の構成ではなく、ペン41のみにより描画を行う描画装置であってもよい。
また、第1、2実施形態では、描画ヘッド43にペンホルダ42を1つ備えている場合を例示したが、描画ヘッド43に設けられるペンホルダ42の数は1つに限定されない。例えば2つ以上のペンホルダ42を備え、描画用や計測用のペン41が2本以上保持されていてもよい。
また、第1、2実施形態では、ペンホルダ42に保持させるペン41を、ユーザが適宜手動で交換する場合を例示したが、例えば、ホームエリア等にペン41を待機させておく待機スペースを設けて、図示しないペン交換機構により必要なペン41を自動的に待機スペース内から取得してペンホルダ42に差し替えるようにしてもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
<請求項1>
描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部と、
前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動に応じた前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得する制御部と、
を備えることを特徴とする描画装置。
<請求項2>
前記計測部材が装着され、前記計測部材と一体に前記前記上下方向に移動する用具ホルダを有し、
前記計測部は前記用具ホルダの前記上下方向の移動量を、前記計測部材の前記上下方向の移動量として計測することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
<請求項3>
前記計測部は、一端側が回転軸に接続され、他端側が前記用具ホルダの上下動に合わせて動くように前記用具ホルダに係合しているアームと、前記回転軸に接続され、前記用具ホルダの上下動に応じた前記アームの位置を回転位置情報として取得するロータリーエンコーダと、を有し、前記回転位置情報に基づいて前記用具ホルダの前記上下方向の移動量を計測することを特徴とする請求項2に記載の描画装置。
<請求項4>
前記描画対象物が、一の方向に沿った長さの中央が高く、前記一の方向に沿った両端が前記中央より低い形状を有しているとき、
前記制御部は、
前記計測部材を、前記描画対象物の前記中央よりも前記両端の一方側の第1位置から前記両端の他方側に前記一の方向に沿って移動させて、前記描画対象物の表面の第1の形状を取得し、
前記描画対象物の前記中央よりも前記両端の他方側の第2位置から前記両端の一方側に前記一の方向に沿って移動させて、前記描画対象物の表面の第2の形状を取得し、
前記第1の形状と前記第2の形状とに基づいて、前記描画対象物の表面の前記両端間の形状を、前記高さ情報として取得することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の描画装置。
<請求項5>
前記制御部は、指定されたネイルデザインのデータを前記取得した前記高さ情報に基づいて補正して、前記描画対象物の表面に描画するための描画データを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の描画装置。
<請求項6>
描画装置における計測方法であって、
前記描画装置は、描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部を有し、
前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動量を前記計測部に計測させるステップと、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得するステップと、
を含むことを特徴とする計測方法。
<請求項7>
描画装置における計測プログラムであって、
前記描画装置は、描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部を有し、
コンピュータに、
前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動量を前記計測部に計測させ、
前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得させる、ことを特徴とするプログラム。
1 描画装置
41 ペン
42 ペンホルダ
423a 第1係止突起
423b 第2係止突起
425 コイルバネ
426 ペン上下用モータ
427 歯車
428 ギア
429 板バネ
49 ヘッド移動部
81 制御部
813 表面形状計測部
90 検出部
91 ロータリーエンコーダ
911 回転軸
92 アーム
921 長孔
201 ペンホルダ
201a 係合部
201b 突起部
202 ペン上下用ソレノイド
203 ペン上下用アーム
T 爪
U1 印刷指

Claims (7)

  1. 描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部と、
    前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動に応じた前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得する制御部と、
    を備えることを特徴とする描画装置。
  2. 前記計測部材が装着され、前記計測部材と一体に前記前記上下方向に移動する用具ホルダを有し、
    前記計測部は前記用具ホルダの前記上下方向の移動量を、前記計測部材の前記上下方向の移動量として計測することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
  3. 前記計測部は、一端側が回転軸に接続され、他端側が前記用具ホルダの上下動に合わせて動くように前記用具ホルダに係合しているアームと、前記回転軸に接続され、前記用具ホルダの上下動に応じた前記アームの位置を回転位置情報として取得するロータリーエンコーダと、を有し、前記回転位置情報に基づいて前記用具ホルダの前記上下方向の移動量を計測することを特徴とする請求項2に記載の描画装置。
  4. 前記描画対象物が、一の方向に沿った長さの中央が高く、前記一の方向に沿った両端が前記中央より低い形状を有しているとき、
    前記制御部は、
    前記計測部材を、前記描画対象物の前記中央よりも前記両端の一方側の第1位置から前記両端の他方側に前記一の方向に沿って移動させて、前記描画対象物の表面の第1の形状を取得し、
    前記描画対象物の前記中央よりも前記両端の他方側の第2位置から前記両端の一方側に前記一の方向に沿って移動させて、前記描画対象物の表面の第2の形状を取得し、
    前記第1の形状と前記第2の形状とに基づいて、前記描画対象物の表面の前記両端間の形状を、前記高さ情報として取得することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の描画装置。
  5. 前記制御部は、指定されたネイルデザインのデータを前記取得した前記高さ情報に基づいて補正して、前記描画対象物の表面に描画するための描画データを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の描画装置。
  6. 描画装置における計測方法であって、
    前記描画装置は、描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部を有し、
    前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動量を前記計測部に計測させるステップと、
    前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得するステップと、
    を含むことを特徴とする計測方法。
  7. 描画装置における計測プログラムであって、
    前記描画装置は、描画対象物に接触して描画を行う描画用具及び前記描画用具と同じ外形形状を有して前記描画を行わない計測用具の何れかである計測部材の上下方向の移動量を計測する計測部を有し、
    コンピュータに、
    前記計測部材を前記描画対象物に接触させながら、前記計測部材を前記描画対象物の表面の高さ方向に直交する方向に移動させたときの、前記計測部材の前記上下方向の移動量を前記計測部に計測させ、
    前記計測部の計測結果に基づいて、前記描画対象物の表面の高さの値を含む高さ情報を取得させる、ことを特徴とするプログラム。
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