JP2017156469A - 結像光学系、光学系、表示装置、電子機器、表示方法およびプログラム - Google Patents

結像光学系、光学系、表示装置、電子機器、表示方法およびプログラム Download PDF

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Akitoshi Ise
明敏 伊勢
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英範 栗林
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Tatsuyoshi Tanabe
達良 田邉
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Abstract

【課題】複数の空中像の形成のために必要な各種の制御を行う。【解決手段】結像光学系は、表示から出射された光を反射する複数の光学要素で構成され、表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像する結像光学系と、複数の光学要素が配置される筐体とを備える。【選択図】図52

Description

本発明は、結像光学系、光学系、表示装置、電子機器、表示方法およびプログラムに関する。
表示器からの光をミラーを介して空中に結像させて、表示器に表示された画像を空中に形成する技術が知られている(たとえば特許文献1)。しかしながら、複数の空中像の形成のために必要な各種の制御を行うことができないという問題がある。
特開2015−14777号公報
本発明の第1の態様によると、結像光学系は、表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像する結像光学部と、前記複数の光学要素が配置される筐体とを備える。
本発明の第2の態様によると、表示装置は、第1の態様の結像光学系と、前記表示を行う表示部とを備える。
本発明の第3の態様によると、電子機器は、第1の態様の結像光学系を備える。
本発明の第4の態様によると、表示から出射された光を空中に表示する表示方法は、複数の光学素子によって前記表示から出射された光を反射し、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像する。
本発明の第5の態様によると、表示から出射された光を反射する複数の光学素子の駆動を制御するコンピュータに実行させるプログラムは、前記複数の光学素子を駆動し、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像させる処理をコンピュータに実行させる。
本発明の第6の態様によると、表示から出射された光を複数の光学素子で反射し空中に結像する光学系は、前記複数の光学素子のうち第1角度で配置され、前記表示から出射された光を第1位置に結像させる第1光学素子と、前記複数の光学素子のうち第2角度で配置され、前記表示から出射された光を第2位置に結像させる第2光学素子とを備える。
本発明の第7の態様によると、結像光学系は、表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の結像領域に結像する結像光学部と、前記複数の光学素子を駆動し、第1結像領域と第2結像領域とに前記表示から出射された光を結像させる駆動部とを備える。
本発明の第8の態様によると、光学系は、表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の第1領域と第2領域とに表示する光学部と、前記複数の光学素子が配置される筐体をとを備える。
第1の実施の形態の表示装置の構成を説明する分解斜視図である。 第1の実施の形態の表示装置の主要部構成を説明するブロック図である。 第1の実施の形態の結像光学系の構成を模式的に説明する図である。 第1の実施の形態の結像光学系が有する各部材を模式的に説明する図であり、(a)はX方向からの外観図であり、(b)はY方向からの外観図である。 第1の実施の形態の結像光学系と空中像との位置関係を説明する図であり、(a)は通常状態での位置関係を示し、(b)は動作状態での位置関係を示す。 第1の実施の形態の変形例1における表示器の表示面と結像光学系との間の大きさについて説明する図である。 第1の実施の形態の変形例2における結像光学系を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の変形例3における結像光学系を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の変形例3における結像光学系を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の変形例4における結像光学系を模式的に示す図である。 第2の実施の形態における光学系を模式的に示す図である。 第2の実施の形態における光学系の構造を説明する図である。 第2の実施の形態における光学系と空中像との位置関係を説明する図であり、(a)は通常状態での位置関係を示し、(b)は動作状態での位置関係を示す。 第2の実施の形態の変形例1における光学系の構造を説明する図である。 第2の実施の形態の変形例2における光学系の構造を説明する図である。 第2の実施の形態の変形例3における光学系と空中像との位置関係を説明する図である。 第2の実施の形態の変形例4における光学系と空中像との位置関係を説明する図である。 第3の実施の形態における表示器と結像光学系と光学系との配置を模式的に示す図である。 第4の実施の形態における表示装置の構成を説明する外観図である。 第4の実施の形態における表示装置の主要部構成を説明するブロック図である。 第4の実施の形態における表示装置が空中像を移動させるための動作を説明するフローチャートである。 結像ミラーの傾きと表示器からの光の結像状態との関係を説明する図である。 結像ミラーの傾きと表示器からの光の結像状態との関係を説明する図である。 第5の実施の形態における表示装置の構成を説明する図であり(a)は光学系の構造を説明し、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第5の実施の形態における光学系と表示器からの光の結像位置を説明する図である。 第5の実施の形態の変形例1の表示装置を説明する図あり、(a)は補助光学部材の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第5の実施の形態の変形例1の表示装置を説明する図あり、(a)は補助光学部材の別の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第5の実施の形態の変形例1の表示装置を説明する図あり、(a)は補助光学部材のさらに別の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第5の実施の形態の変形例2における補助光学部材を説明する図である。 第6の実施の形態における表示装置を説明する図であり、(a)は光学系の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第6の実施の形態の表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第6の実施の形態の変形例3における表示装置を説明する図であり、(a)は光学系の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第6の実施の形態の変形例4における表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第6の実施の形態の変形例4における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第7の実施の形態における表示装置を説明する図であり、(a)は光学系の構造を説明する図であり、(b)表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 結像ミラーの傾きと結像状態との関係を説明する図である。 第7の実施の形態の変形例1における光学系の構造を説明する図である。 第8の実施の形態における表示装置を説明する図であり、(a)は光学系の構造を説明する図であり、(b)は表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第8の実施の形態における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 表示画素からの光束を収束させるように傾斜駆動された第1結像ミラーと、表示画素からの距離が離れた位置の表示画素から出射された複数の光束との関係について説明する図である。 第8の実施の形態の変形例1における表示画素と実像との関係を説明する図である。 第8の実施の形態の変形例1における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第8の実施の形態の変形例1における表示画素群と実像との関係を説明する図である。 第8の実施の形態の変形例2における表示画素から出射される光束が入射する光学系上の領域を説明する図である。 第8の実施の形態の変形例2における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第8の実施の形態の変形例3における表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第8の実施の形態の変形例3における表示画素から出射される光束と、傾斜駆動される結像ミラーとの位置関係を説明する図である。 第8の実施の形態の変形例3における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第8の実施の形態の変形例4における表示装置の光学系の構造を説明する図である。 第8の実施の形態の変形例4における表示装置の主要構成を説明するブロック図である。 第8の実施の形態の変形例4における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第9の実施の形態における表示装置の光学系の構造を説明する図である。 第9の実施の形態の変形例1における表示装置の光学系の構造を説明する図である。 第9の実施の形態の変形例2における表示装置の光学系の構造を説明する図であり、(a)は結像ミラーを用いる光学系の場合を示し、(b)は部分反射ミラーを用いる光学系の場合を示す。 第9の実施の形態の変形例4における表示装置の光学系の構造を説明する図である。 第9の実施の形態の変形例4における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態における表示装置の光学系により形成される空中像の一例を説明する図である。 第10の実施の形態における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態の変形例1における表示装置の光学系により形成される空中像の一例を説明する図である。 第10の実施の形態の変形例1における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態の変形例2における表示装置の光学系により形成される空中像の一例を説明する図である。 第10の実施の形態の変形例2における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態の変形例3における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態の変形例4における例2の表示装置により形成された空中像とユーザの位置との関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例4における例5の表示装置により形成された空中像とユーザの位置との関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例4における例6の表示装置により形成された空中像とユーザの位置との関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例4における表示装置の動作を説明するフローチャートである。 第10の実施の形態の変形例5において、ユーザが空中像を視認する範囲と空中像が形成される位置との関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例5において、形成された空中像と視認する範囲との位置関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例5において、形成された空中像と視認する範囲との位置関係を模式的に示す図である。 2つの空中像が同一の位置から視認されないようにした場合の空中像と視認する範囲との位置関係を模式的に示す図である。 第10の実施の形態の変形例6における第1結像ミラーを傾斜駆動させる領域を模式的に示す図である。 2つの空中像が同一の位置から視認されないようにする場合の考え方を模式的に示す図である。 所定範囲の第1結像ミラーの反射を制限した場合の空中像の視野範囲を説明する図である。 第10の実施の形態の変形例8における空中像を模式的に示す図である。 空中像をZ方向に沿って移動可能な表示装置の構成を説明する図である。 空中像をZ方向に沿って移動可能な表示装置の構成を説明する図であり、図77(a)は表示器の概略構成を模式的に示す図であり、(b)は形成される空中像のZ方向の位置を説明する図である。 表示装置がロボットに組み込まれた場合の一例を説明する図である。 表示装置がロボットに組み込まれた場合の動作を説明するフローチャートである。
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、第1の実施の形態による表示装置について説明する。第1の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、パーソナルコンピュータのモニタ、携帯電話、タブレット端末、腕時計型端末等の携帯型情報端末装置、音楽プレイヤ、固定電話機、ウエアラブル装置等の電子機器に組み込むことが可能である。また、本実施の形態の表示装置は、デジタルサイネージ(電子看板)等の電子機器にも組み込むことができる。デジタルサイネージとしては、たとえば自動販売機等に内蔵される小型のディスプレイであっても良いし、たとえば建築物の壁面等に設けられるような一般的な成人の大きさよりも大きなディスプレイであっても良い。また、本実施の形態の表示装置は、例えば現金自動預払機(ATM装置)においてユーザが暗証番号や金額等を入力するためのパネルや、鉄道やバスの乗車券・定期券等の自動券売機や、図書館や美術館等の各種の情報検索端末装置等のパネルに組み込むことが可能である。
図1は表示装置1の分解斜視図である。なお、説明の都合上、表示装置1について、X軸、Y軸およびZ軸からなる座標系を図示の通りに設定する。なお、座標系はX軸、Y軸およびZ軸からなる直交座標系に限らず、極座標系や円筒座標系を採用してもよい。X軸は、表示装置1の矩形表示面の長辺方向に設定され、Y軸は、表示装置1の矩形表示面の短辺方向に設定され、Z軸は、表示面に垂直な方向に設定されている。
表示装置1は、制御部20を内蔵する本体10と、表示器11と、結像光学系12とを備える。表示器11と結像光学系12とは、本体10内に配置されている。表示器11は、たとえば、液晶表示器や有機EL表示器等により構成され、二次元状に配列された複数の表示画素配列を有する。表示器11は、制御部20により制御されて、表示用画像データに対応する画像を表示する。結像光学系12は、表示器11の上方(Z方向+側)に、表示器11から所定の間隔を設けて配置される。
なお、図1では、表示器11と結像光学系12とを平行に配置しているが、このような例に限らない。結像光学系12の面に対して、所定の角度傾けて表示器11を配置しても良い。所定の角度は、0°〜90°の間のどのような角度でも良い。例えば、表示器11は、結像光学系12の面に対して30°〜60°の間の角度に設定して配置する。
結像光学系12は、表示器11に表示された表示画像の実像、即ち空中像30を、表示装置1の上方空間に形成する。従って、表示装置1の使用者(以下、ユーザという)は、表示器11に表示された表示画像を、表示装置1の上方の空中に浮いた空中像30として観察することができる。結像光学系12は、後述する制御部20の駆動制御部21(図2参照)に制御され、空中像30が形成される空間での位置をX方向およびY方向に移動することができる。空中像30は、撮影画像(静止画や動画)や、ホームページ等の各種の情報が表示される画面、表示装置1の各種設定や各種機能の実行を指示するための操作ボタンに対応する複数のアイコン(操作ボタン)を含む。
図2は、表示装置1の構成のうち、制御部20と、記憶部9と、制御部20によって制御される表示器11および結像光学系12とを示したブロック図である。制御部20は、CPU、ROM、RAMなどを有し、制御プログラムに基づいて表示装置1の表示器11を含む種々の構成要素を制御したり、各種のデータ処理を実行したりする演算回路を含む。記憶部9は、例えば不揮発性の記憶媒体であり、制御部20が各種の処理を実行するためのプログラムや、制御部20が各種の処理を実行するためのデータ等が記憶される。
制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23とを備える。駆動制御部21は、結像光学系12を制御して、空中像30が形成される位置を制御する。画像生成部22は、表示器11に表示するための表示画像に対応する表示用画像データを生成する。表示制御部23は、画像生成部22により生成された表示用画像データに対応する画像を表示器11に表示させる。これらは、制御部20が記憶部9に記憶されているプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現されるが、これらをASIC等により構成しても構わない。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部との2つを有しても良い。この場合、制御部20では、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は結像光学系12と一体化させても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と結像光学系12とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、結像光学系12と一体化させても良い。
<結像光学系12について>
図3は結像光学系12の構成を模式的に示すZX平面に平行な面での断面図である。なお、図3は結像光学系12の一部の範囲を代表して表す図である。結像光学系12は、第1光学部41と第2光学部42とを有する。第1光学部41は表示器11から出射された光をX方向に反射して結像させる機能を有し、第2光学部42は表示器11から出射された光をY方向に反射して結像させる機能を有する。第1光学部41の上部(Z方向+側)に第2光学部42が設けられる。
なお、第2光学部42の上部(Z方向+側)に第1光学部41を設けても良い。また、結像光学系12が、第1光学部41と第2光学部42との何れか一方のみを備えるものでも良い。結像光学系12は第1光学部41のみを有していれば空中像30をX方向に移動させることができ、第2光学部42のみを有していれば空中像30をY方向に移動させることができる。
第1光学部41は、第1筐体410の内部に設けられた複数の第1結像ミラー411と、複数の第1駆動部412とを有する。第1筐体410は、たとえばアクリル樹脂等の透明合成樹脂やガラス等の透明な材料を用いて製造される。なお、表示器11からの光が第1筐体410を通過する際に屈折しないようにするために、第1筐体410の材料は空気に近い屈折率を有することが好ましい。
第1駆動部412は、複数の第1結像ミラー411毎に設けられ、第1結像ミラー411を駆動させることにより、表示器11からの光が反射する角度を変更する。なお、第1結像ミラー411および第1駆動部412の詳細な構造については説明を後述する。
それぞれの第1結像ミラー411と第1駆動部412とは、X方向に沿って所定のピッチ、たとえば100〜1000μmにて配置された第1結像ミラー列を構成し、このような第1結像ミラー列がY方向に互いに平行に所定のピッチ、たとえば100〜1000μmで複数配置されている。なお、上記の配置ピッチの値は一例であり、この値に限定されるものではない。たとえば表示装置1が組み込まれる電子機器の大きさ等に応じて好適な配置ピッチの値とすることができる。第1結像ミラー411の反射面は、例えば矩形形状で、Y方向に、即ち図3の紙面に垂直方向に延在、即ち広がっている。
なお、第1結像ミラー列内の全ての第1結像ミラー411と第1駆動部412とが同一のピッチにて配置されるものに限定されない。たとえば、ある領域に設けられた第1結像ミラー411および第1駆動部412と他の領域に設けられた第1結像ミラー411および第1駆動部412との間で配置ピッチを異ならせても良い。また、全ての第1結像ミラー列が同一のピッチで配置されるものに限定されない。この場合も、たとえば、ある領域での第1結像ミラー列間の配置ピッチと、他の領域での第1結像ミラー列の配置ピッチとを異ならせても良い。一例として、第1筐体410の中心部近傍と周辺部との間で第1結像ミラー列の配置ピッチを異ならすことができる。この場合、ユーザにより観察される可能性が高い中心部近傍に配置させる第1結像ミラー列の配置ピッチを、周辺部と比較して小さくすることにより、中心部で形成される空中像30の解像度を高くすることができる。
第2光学部42は、第2筐体420の内部に設けられた複数の第2結像ミラー421と、複数の第2駆動部422とを有する。第2筐体420は、第1筐体410と同様に、たとえばアクリル樹脂等の透明合成樹脂やガラス等の透明な材料を用いて製造される。なお、第2筐体420についても、表示器11からの光が屈折しないようにするために、空気に近い屈折率を有する材料を用いて製造されることが好ましい。
第2駆動部422は、複数の第2結像ミラー421毎に設けられ、第2結像ミラー421を駆動させることにより、表示器11からの光が反射する角度を変更する。なお、第2結像ミラー421および第2駆動部422の詳細な構造については説明を後述する。
それぞれの第2結像ミラー421と第2駆動部422とは、Y方向に沿って所定のピッチ、たとえば100〜1000μmにて配置された第1結像ミラー列を構成している。このような第1結像ミラー列がY方向に互いに平行に所定のピッチ、たとえば100〜1000μmで複数配置されている。なお、上記の配置ピッチの値は一例であり、この値に限定されるものではなく、たとえば表示装置1が組み込まれる電子機器の大きさ等に応じて好適な配置ピッチの値とすることができる。第2結像ミラー421の反射面は、図示のように、例えば矩形形状で、X方向に延在、即ち広がっている。
なお、第2結像ミラー列内の第2結像ミラー421と第2駆動部422とについても、同一のピッチにて配置されるものに限定されず、たとえば領域間で配置ピッチを異ならせても良い。また、全ての第2結像ミラー列が同一のピッチで配置されるものに限定されず、たとえば領域間で配置ピッチを異ならせても良い。一例として、第2筐体420の中心部近傍と周辺部との間で第2結像ミラー列の配置ピッチを異ならすことができる。この場合、例えば、ユーザにより観察される可能性が高い中心部近傍に配置させる第2結像ミラー列の配置ピッチを、周辺部と比較して細かくすることにより、中心部で形成される空中像30の解像度を高くすることができる。
第1結像ミラー411と第2結像ミラー421と第1駆動部412と第2駆動部422との詳細な構造について説明する。なお、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とは同一の構造を有し、第1駆動部412と第2駆動部422とは同一の構造を有する。したがって、以下の説明では、代表して第1結像ミラー411の構造と第1駆動部412の構造とを主に行う。
図4は、1つの第1結像ミラー411と第1駆動部412との概略形状を示し、図4(a)はX方向から、図4(b)はY方向から見たときの形状を表す。図4(a)は、駆動制御部21による駆動制御が行われていない状態(以後、通常状態と呼ぶ)での第1結像ミラー411を示す。また、図4(b)では、通常状態における第1結像ミラー411を実線で示し、駆動制御部21による駆動制御が行われている状態(以後、動作状態と呼ぶ)での第1結像ミラー411を破線で示す。
なお、図4は第1結像ミラー411と第1駆動部412の外観の一例を示すものであり、図示した外観に限定されるものではない。
第1結像ミラー411は微細な平板部材であり、YZ平面上で延在する一方の面と他方の面との両方に、たとえば銀なとの金属メッキ層や金属蒸着層を設けることにより反射面を形成する。反射面は、Z方向と直交する第1辺413とZ方向に平行な第2辺414とを有する。図4では、第1辺413が第2辺414と比べて短い場合を例として示すが、この例に限定されない。第1辺413と第2辺414とが同じ長さであっても良いし、第1辺413が第2辺414と比べて長くても良い。
なお、第1結像ミラー411のYZ平面上で延在する両方の面に反射面を設けるものに限定されず、一方の面のみに反射面を設けても良い。第1結像ミラー411の一方の面にのみ反射面を設ける場合の具体的な例は、後述する変形例2にて詳細に説明する。
第1結像ミラー411の反射面は、第1辺413を基点に駆動可能に第1駆動部412に設けられる。通常状態においては、第1結像ミラー411の反射面は、X方向を向く、すなわち反射面がYZ平面と平行になるように設けられる。動作状態においては、第1結像ミラー411の反射面が、第1駆動部412によって第1辺413を基点として傾斜駆動されることにより、反射面とYZ平面とのなす角度θ1が変更される(図4(b)の破線部)。即ち、第1駆動部412によって、第1結像ミラー411の反射面が第1筐体410に対してなす角度が変更される。
なお、以後の説明では、第1結像ミラー411を傾斜駆動することにより反射面とYZ平面とがなす角度を駆動角度θ1と呼ぶ。また、第1結像ミラー411が第1辺413を基点に図の紙面を時計回りに駆動された場合の駆動角度を−θ1、反時計回りに駆動された場合(図4(b)の一点鎖線部)の駆動角度を+θ1とする。なお、駆動角度は、YZ平面を基準として規定するもの限られず、XY平面を基準として時計回りまたは反時計回りに規定しても良い。
第1駆動部412は、たとえば公知のMEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術に基づいた構成を有する。第1駆動部412は、設置部412aと接続部412bとアクチュエータ部412cを有する。設置部412aに接続部412bとアクチュエータ部412cとが設けられる。第1駆動部412は、設置部412aにより第1筐体420に取り付けて固定される。接続部412bには、制御部20の駆動制御部21からの駆動信号、すなわち駆動用の電圧が印加されるための導線が接続される。接続部412bに接続される導線は、表示器11からの光の進行を妨げることが無いように透明な部材により製造されたものを用いる。この場合、表示器11からの光が屈折することを防ぐため、導線は空気に近い屈折率を有する材料により製造されたものであることが好ましい。
アクチュエータ部412cは、第1結像ミラー411の第1辺413と接続される。アクチュエータ部412cは、第1駆動部412から印加された電圧による電界の作用で生じた静電力によって第1結像ミラー411を第1辺413を屈曲軸として傾斜駆動する。
なお、第1駆動部412は静電力を用い駆動するものに限定されず、電磁力や圧電効果等を用いるものでも良い。
上記の構成を備えることにより、第1駆動部412は、印加される電圧の大きさに従って、例えば、第1結像ミラー411を数Hz〜数GHzの駆動周波数で駆動させることができる。
なお、第1駆動部412の構成は、上述したMEMSの技術に基づいたものに限定されず、たとえば、印加された電圧を力に変換する圧電素子(ピエゾ素子)等を用いることができる。
上述したように、第2結像ミラー421と第2駆動部422とは、第1結像ミラー411と第1駆動部412と同一の構造を有する。第2結像ミラー412の反射面は、第1辺413を基点に駆動可能に第2駆動部422に設けられる。通常状態においては、第2結像ミラー421の反射面はY方向を向く、すなわち反射面がZX平面と平行になるように設けられる。動作状態においては、第2結像ミラー421の反射面が、第1辺413を基点に傾斜駆動されることにより、反射面とZX平面とのなす角度、即ち第2筐体420に対してなす角度が変更される。すなわち、第2駆動部422は、第2結像ミラー421を傾斜駆動して反射面とZX平面とのなす角度(駆動角度)θ2を変更することにより、表示器11からの光束の反射方向を変更させることができる。なお、第2結像ミラー421が傾斜駆動されて、後述する図5の紙面前方に向けて傾いたときの駆動角度を+θ2とし、紙面後方に向けて傾いたときの駆動角度を−θ2とする。
<結像光学系12による空中像30の形成>
図5を参照して、結像光学系12による空中像30の形成について説明する。図5(a)は結像光学系12が通常状態の場合における表示器11の表示と、空中像30が形成される位置との関係を模式的に示したものである。表示器11を構成する複数の表示画素のうち、表示画素P1から出射した光の光路を用いて説明を行う。図5(a)は表示器11と結像光学系12とのZX平面における断面図である。
まず、結像光学系12が通常状態の場合の第1光学部41の結像作用について説明する。
図5(a)において、表示画素P1から放射状に出射した光束のうち、X方向に向かう光束L1〜L8がX方向に配置された複数の第1結像ミラー411によって反射されて、収束して実像P1Aを結像する。この実像P1Aは、増倍率が等倍、即ち大きさが表示画素P1と同一である。また、実像P1Aは、第1結像ミラー411に関して表示画素P1と対称な位置にある。第1結像ミラー411は、表示器11のその他の表示画素に関しても、表示画素P1と同様に、対称な位置に等倍の実像を形成する。すなわち、複数の第1結像ミラー411は、表示器11から出射された光を反射して、空中の結像位置に結像させる光学素子である。
次に、結像光学系12が通常状態の場合の第2光学部42の結像作用について説明する。
図5(a)において、第2光学部42のY方向に配置された複数の第2結像ミラー421は、表示画素P1から放射状に出射した光束のうち、Y方向に向かう光束を反射し、収束して実像P1Aを結像する。この実像P1Aは、増倍率が等倍、即ち大きさが表示画素P1と同一である。また、実像P1Aは、第2結像ミラー421に関して表示画素P1と対称な位置にある。第2結像ミラー421は、表示器11のその他の表示画素に関しても、表示画素P1と同様に、対称な位置に等倍の実像を形成する。すなわち、複数の第2結像ミラー421は、表示器11から出射された光を反射して、空中の結像位置に結像させる光学素子である。
なお、図5では、結像光学系12の作用を説明するために結像光学系12を拡大して示したので、第1光学部41と第2光学部42とのZ方向の間隔が、第1光学部41と表示器11との間隔と略同等に描かれている。しかし、図5で示した間隔に限定されず、第1光学部41と第2光学部42との間隔を、第1光学部41と表示器11との間隔と比較して、きわめて小さく設定しても良い。
図5(b)は結像光学系12が動作状態の場合における表示器11の表示と、空中像30が形成される位置との関係を模式的に示したものである。図5(b)では、動作状態として第1結像ミラー411または第2結像ミラー421が例えば駆動角度−θ1、+θ2だけ傾斜されている。ここで、図5(b)での例として、第1光学部41に含まれる第1結像ミラー411やその他の結像ミラーについては、同一方向に傾斜されるように駆動している。
まず、結像光学系12の第1光学部41が動作状態である場合の第1光学部41の結像作用について説明する。図5(b)において、第1光学部41のX方向に配置された複数の第1結像ミラー411は、Z方向に対して駆動角度−θ1だけ傾斜している。表示器11の表示画素P1から放射状に出射した光束のうち、X方向に向かう光束L1〜L8がX方向に配置された駆動角度−θ1の第1結像ミラー411によって反射され、収束して実像P1Bを結像する。この実像P1Bは、増倍率が等倍であり、即ちその大きさが表示画素P1と同一である。また、実像P1Bの位置は、結像光学系12が通常状態における実像P1Aの位置から、駆動角度−θ1に応じた距離だけX方向に移動している。第1結像ミラー411は、表示器11のその他の表示画素に関しても、表示画素P1と同様に、等倍の実像を駆動角度−θ1に応じた距離だけX方向に移動した位置に形成する。すなわち、第1結像ミラー411が駆動され、空中の表示が移動する。
次に、結像光学系12の第2光学部42が動作状態の場合の第2光学部42の結像作用について説明する。図5(b)において、第2光学部42のY方向に配置された複数の第2結像ミラー421は、Z方向に対して駆動角度+θ2だけ傾斜している。駆動角度+θ2の結像ミラー421は、表示画素P1から放射状に出射した光束のうち、Y方向に向かう光束を反射し、収束して実像P1Bを結像する。この実像P1Bは、増倍率が等倍であり、即ちその大きさが表示画素P1と同一である。また、この実像P1Bの位置は、結像光学系12が通常状態における実像P1Aの位置から、駆動角度+θ2に応じた距離だけY方向に移動している。すなわち、第2結像ミラー421が駆動され、空中の表示が移動する。
また、結像光学系12の第1光学部41と第2光学部42との両方が動作状態の場合には、結像光学系12によって形成される等倍の実像は、図5(a)の通常状態の実像P1Aの位置から、X方向に駆動角度−θ1に応じた距離だけ、Y方向に駆動角度+θ2に応じた距離だけ、それぞれ移動する。
以上のように、動作状態の結像光学系12は、表示器11に表示された画像の等倍の実像、即ち、空中像30を形成し、その実像の位置は、結像光学系12の通常状態の実像位置に対して移動する。すなわち、空中に表示された空中像30(空中に表示された画像)は、結像光学系12が駆動部12によって駆動されることによって位置が移動する。この実像の移動方向は、第1結像ミラー411を駆動角度±θ1に設定した場合には、X方向であり、第2結像ミラー421を駆動角度±θ2に設定した場合には、Y方向である。また、実像の移動量は、駆動角度±θ1または±θ2の絶対値の値を大きくする程大きくなる。
なお、動作状態の際に複数の第1結像ミラー411の全てを傾斜駆動させるものに限定されない。例えば、第1筐体410の中央部付近に配置された複数の第1結像ミラー411や、X方向−側の半分の範囲に配置された複数の第1結像ミラー411や、X方向+側の半分の範囲に配置された複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させても良い。また、第2結像ミラー421についても同様に、動作状態の際に複数の第2結像ミラー421の全てを傾斜駆動させるものに限定されない。例えば、第2筐体420の中央部付近に配置された複数の第2結像ミラー421や、Y方向−側の半分の範囲に配置された複数の第2結像ミラー421や、Y方向+側の半分の範囲に配置された複数の第2結像ミラー421を傾斜駆動させても良い。
なお、図5(a)と図5(b)とを比較した場合、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421の角度が図5(a)と図5(b)とで異なるため、実像P1Aと実像P1Bとで輝度が異なる場合がある。これは、第1結像ミラー411または、第2結像ミラー421の角度が大きい場合等、表示画素P1から出射された光が、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421によってケラレてしまうからである。このような場合を考慮して、制御部20は、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421の角度に基づいて、表示器11の輝度を制御してもよい。制御部20が表示器11の輝度を制御することにより、空中像30を移動させた場合でも、空中像30の明るさを一定にすることができる。
なお、制御部20は、表示器11の輝度に関する制御を行うだけでなく、コントラストや画像の色など、空中像の明るさに関するパラメータを制御してもよい。制御部20が表示器11に表示された画像の色を制御する場合は、空中像30が暗くなる場合には、表示されていた色から明るい色に変更するような制御を行ってもよい。たとえば、空中像30が移動する前に画像として暗めの赤色(ルビーレッド等)を表示していた場合には、空中像30を移動した後に、明るめの赤色(ローズ、ポピーレッド等)を表示してよい。
第1の実施の形態では、表示器11から出射された光束を反射する複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を有し、表示器11から出射された光束を空中の結像位置に結像する第1光学部41および第2光学部と、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を駆動して結像位置を移動させる第1駆動部412および第2駆動部422とを有するので、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第1の実施の形態では、複数の第1結像ミラー411および複数の第2結像ミラー421が設置され、表示器11から出射された光束の方向、即ちZ方向に配置された第1筐体410および第2筐体420を有するので、空中像30が形成される位置をXY平面上で移動させることができる。
また、第1の実施の形態では、第1光学部41と第2光学部42とは、複数の第1結像ミラー411の少なくとも一部、複数の第2結像ミラー421の少なくとも一部によって、表示器11から出射された光束を結像位置に結像させる。これにより、表示器11から出射された光を結像させる機能と、結像する位置を移動させる機能とを有することになり、結像光学系12を小型化することが可能になり、表示装置1全体の小型化に寄与する。
また、第1の実施の形態では、第1駆動部412は複数の第1結像ミラー411を駆動し、または第2駆動部422は複数の第2結像ミラー421を駆動して、複数の第1結像ミラー411または第2結像ミラー421によって表示器11から出射された光束を反射する角度を変える。これにより、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第1駆動部412または第2駆動部422が高速に駆動可能なMEMSの構造を有している場合には、複数の第1結像ミラー411または複数の第2結像ミラー421を高速に駆動できるので、空中像30が形成される位置を高速に移動させることができる。なお、第1駆動部412または第2駆動部422がMEMSとは異なる構造にて高速に駆動可能な場合にも、複数の第1結像ミラー411または複数の第2結像ミラー421を高速に駆動して、空中像30が形成される位置を高速に移動させることができる。
また、第1の実施の形態では、第1駆動部412は複数の第1結像ミラー411を駆動して第1筐体410に対してなす角度を変える。または、第2駆動部422は複数の第2結像ミラー422を駆動して第2筐体420に対してなす角度を変える。これにより、装置全体を移動させたり、結像光学系12全体を移動させたりすることなく、空中像30を表示させる位置を移動させることができる。
また、装置全体を移動させたり、結像光学系12全体を移動させたりするための移動機構を設ける必要が無いので、空中像30を、移動機構の動作速度に依存させることなく、第1駆動部412、または第2駆動部422により移動させることができる。
また、第1の実施の形態では、第1駆動部412は第1結像ミラー411をX方向に駆動し、第2駆動部422は第2結像ミラー421をY方向に駆動するので、空中像30が形成される位置をX方向およびY方向に移動させることができる。即ち、空中像30をXY平面上で移動させることができる。
また、第1の実施の形態では、第1結像ミラー411は第1筐体410に配置され、第2結像ミラー421は第2筐体420に配置されるので、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを同一の筐体内に配置する場合と比べて製造工程の簡略化に寄与する。
また、第1の実施の形態では、表示を行う表示器11を備えるので、表示器11に表示した画像を空中像30としてユーザに視認させることができる。
なお、第1の実施の形態の第1光学部41では、表示器11に表示される画像の実像を形成するために、複数の第1結像ミラー411を使用したが、別の結像光学系を使用することもできる。たとえば、第1光学部41が微小な凸レンズが二次元状に配列されたマイクロレンズアレイやフレネルレンズにより構成されても良い。第2光学部42についても、上記第1光学部41と同様に別の結像光学系を使用してもよい。以下の実施の形態で説明する、第1光学部41、第2光学部42についても同様に、別の結像光学系を使用しても良い。
なお、第1の実施の形態の結像光学系12に含まれる第1光学部41、第2光学部42によって形成される空中像30の倍率は等倍で説明した。しかし、上記のように別の結像光学系を使用した場合には、空中像30の倍率は、等倍以外の倍率になり得る。従って、空中像30の倍率は、適宜状況に応じて設計すればよい。なお、以下の実施の形態で説明する、結像光学系12に含まれる第1光学部41、第2光学部42についても同様に、空中像30の倍率は適宜変更しても良い。
(第1の実施の形態の変形例1)
第1の実施の形態の表示装置1が有する表示器11の表示面の大きさと結像光学系12の大きさとを、以下のようにして決定しても良い。
図6は、変形例1における表示装置1の、通常状態における表示器11と結像光学系12とのZX平面に平行な面での断面図である。表示器11の表示面の大きさは、結像光学系12のXY平面に平行な面よりも小さい。この場合、図6(a)に示すように、表示器11のX方向の−端部の表示画素P2から出射した光束L21、L22のうち、一方の光束L21は、X方向の−端側の第1結像ミラー411によって反射される。他方の光束L22は、X方向の他端(+端)の第1結像ミラー411によって反射される。その結果、実像P21が形成される。
また、表示器11のX方向の他端部(+端部)の表示画素P3から出射した光束L31、L32のうち、一方の光束L31は−端の第1結像ミラー411によって反射される。他方の光束L32は、+端の第1結像ミラー411によって反射される。その結果、実像P31を形成する。
空中像30の−端の実像P21を形成する光速L21と、空中像30の+端の実像P31を形成する光速L32とはZ方向+側で交差する。このため、表示器11の表示面の大きさが結像光学系12のXY平面に平行な面よりも小さい場合には、ユーザは領域Uに目を置けば、空中像30の全体を同時に視認することができる。
これに対して、図6(b)に示すように、表示器11の表示面が結像光学系12のXY平面に平行な面よりも大きい場合には、空中像30の−端の実像P21を形成する光速L21、L23と、+端の実像P31を形成する光速L31、L33とはZ方向+側で交わらない。このため、ユーザは、空中像30の全体を同時に視認することができない。
第1の実施の形態の変形例1では、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の全体の大きさ、すなわち結像光学系12のXY平面に平行な面の大きさは、表示器11の表示面よりも大きくしたので、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
なお、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を第1駆動部412と第2駆動部422とによって駆動させる場合には、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を駆動させる領域を表示器11の表示面よりも大きくするのが良い。複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を駆動する領域を、前述のように一部の領域のみ傾ける場合には、傾ける領域が表示器11の表示面よりも小さい場合には、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができなくなる。そのため、ユーザが空中像30の全体を同時に視認できるようにするために、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を駆動する領域を表示器11の表示面よりも大きくするのが良い。
(第1の実施の形態の変形例2)
第1の実施の形態では、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが有する平板部材の両面に反射面を形成する構成とした。第1の実施の形態の変形例2の第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とは、平板部材の片面のみに反射面を形成する構成を有する。第1結像ミラー411と第2結像ミラー421の平板部材の一方の面に反射面を形成した場合には、平板部材の他方の面は非反射面となるような処理を施すと良い。
以下、第1の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図7に、変形例2の構成を有する第1結像ミラー411と第2結像ミラー421と第1筐体410および第2筐体420内での配置の例を模式的に示す。なお、図7は、結像光学系12が通常状態の場合におけるZX平面における断面図である。
図7(a)に示すように、X方向に隣接する2つの第1結像ミラー411a、411b同士を1つの組417とする。なお、図7(a)では、1つの組417を明示するために、隣接する2つの第1結像ミラー411a、411bを破線で囲って示す。1つの組417に属する第1結像ミラー411a、411bでは、互いの反射面が対向するように配置する。すなわち第1結像ミラー411aの反射面416がX方向+側を向くように配置された場合には、第1結像ミラー411bの反射面416はX方向−側を向くように配置される。なお、第2結像ミラー421についても同様に、Y方向に隣接する2つの第2結像ミラー421同士についても1つの組とし、1つの組内で第2結像ミラー421の反射面が互いに対向するように配置する。
上記の構成とすることにより、表示器11の中央部の表示画素P1から出射した光束L1、L2のうち、一方の光束L1は、例えばX方向の−端の組417aの第1結像ミラー411aによって反射され、他方の光束L2は、例えばX方向の+端の組417bによって反射される。このように、中央部の表示画素P1から出射した光束のうち、X方向−側に向かった光束は第1結像ミラー411aによって反射され、X方向+側に向かった光束は第1結像ミラー411bによって反射されて、実像P1Cを形成する。
なお、例えばX方向の−端の組417aの第1結像ミラー411bは、上述のように中央部の表示画素P1から出射した光束L1を反射しないが、表示器11のX方向の−端付近の表示画素からの光束を反射するために用いられる。X方向の+端の組417bの第1結像ミラー411aも同様であり、中央部の表示画素P1から出射した光束L2を反射しないが、表示器11のX方向の+端付近の表示画素からの光束を反射するために用いられる。
以上のように、組417の2つの第1結像ミラー411a、411bは、表示器11の表示画素の位置に応じて、当該表示画素からの光束を第1結像ミラー411a、411bの両方または一方で反射して、実像を形成するものである。こうして、表示画素P1から角度φ1の広がりを持つ光束を空中に結像させる。
図7(b)に変形例2の比較例における第1結像ミラー411と第2結像ミラー421と第1筐体410および第2筐体420内での配置の例を模式的に示す。この比較例では、第1結像ミラー411の反射面417は同一の方向、すなわちX方向+側を向くように配置される。第2結像ミラー421についても、反射面が同一の方向を向くように配置される。この場合、表示画素P1を出射した光のうち、X方向−側の領域R1で第1光学部410に入射した光は第1結像ミラー411の反射面417で反射させることができる。しかし、X方向−側の領域R1で第1光学部410に入射した光は第1結像ミラー411で反射しない。第2結像ミラー421についても同様に、第2光学部420の全領域のうちY方向+側またはY方向−側の半分の領域に入射する光については第2結像ミラー421により反射しない。このため、表示画素P1から角度φ2(<φ1)の広がりを持って出射された光束しか空中に結像させることができない。
第1の実施の形態の変形例2では、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421は、一面に表示器11から出射された光束を反射する反射面416を有するので、表示画素P1から角度φ1の広がりを持つ光束を空中に結像させることができる。
また、第1の実施の形態の変形例2では、一面に反射面416を有する第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを図7(a)に示すように配置したので、比較例の配置の場合と比較して、より広い角度φ1で出射された光束を空中に結像させることができる。
なお、上記の説明では、第1の実施の形態の変形例2の構成を、第1の実施の形態の表示装置1に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1の実施の形態の変形例1の表示装置1に適用しても良い。即ち、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の全体の大きさ(即ち結像光学系12のXY平面に平行な面の大きさ)を、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第1の実施の形態の変形例2では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
(第1の実施の形態の変形例3)
第1の実施の形態では、結像光学系12の第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とは、表示器11からの光を結像させるとともに、反射により光が結像する位置を移動させる機能を有した。これに対して、変形例3の結像光学系12は、表示器11の実像を形成する第1光学系121と、実像の位置を移動させる第2光学系122とを有する。すなわち、変形例3では、第1の実施の形態とその変形例1、2とは異なり、表示器11から出射された光を結像させる機能と、結像する位置を移動させる機能とをそれぞれ別のミラーにて分担させることにより、空中像30が形成される位置を移動させる。
以下、第1の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
なお、表示器11からの光束を結像させる機能と、結像する位置を移動させる機能とを異なる光学系にて行う例については、後述する第2の実施の形態においても説明を行う。
図8に変形例3における結像光学系12の例を模式的に示す。なお、図8は、結像光学系12が動作状態の場合におけるZX平面における断面図である。第1光学系121の上部(Z方向+側)に第2光学系122が配置される。なお、第2光学系122の上部(Z方向+側)に第1光学系121が配置されても良い。第1光学系121は、第1結像光学部43と第2結像光学部44とを有する。第1結像光学部43の上部(Z方向+側)に第2結像光学部44が配置される。なお、第2結像光学部44の上部(Z方向+側)に第1結像光学部43が配置されても良い。
第1結像光学部43は、筐体430内に結像ミラー431を複数有する。第2結像光学部44は、筐体440内に結像ミラー441を複数有する。筐体430、440は、第1の実施の形態の第1筐体410や第2筐体420と同様に透明な材料を用いて製造される。
結像ミラー431は、第1の実施の形態における第1筐体410内での第1結像ミラー411に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、筐体430の内部で二次元状に配置される。また、結像ミラー431は、反射面がX方向を向き、かつZ方向とのなす角度が0°となるように取り付けられる。
結像ミラー441は、第1の実施の形態における第2筐体420内での第2結像ミラー421に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、筐体440の内部で二次元状に配置される。また、結像ミラー441は、反射面がY方向を向き、かつZ方向とのなす角度が0°となるように取り付けられる。すなわち、結像ミラー431、441は、第1の実施の形態の第1結像ミラー411や第2結像ミラー421とは異なり、Z方向に対して駆動角度±θ1や±θ2での駆動を行わない。即ち、第1光学系121は、表示器11から出射された光束を結像させる機能を有する。
第2光学系122は、筐体450の内部に複数の移動ミラー471と、移動ミラー471のそれぞれに設けられた駆動部472とが配置される。移動ミラー471と駆動部472とは、筐体450の内部で二次元状に配置される。移動ミラー471は、駆動部472によってX方向に駆動角度±θ1で傾斜駆動されるとともに、Y方向に駆動角度±θ2で傾斜駆動される。これにより、第1光学系121からの光束が移動ミラー471にて反射され、反射面の駆動角度±θ1と±θ2とに応じて、空中像30をXY平面と平行な面内で移動させることができる。即ち、第2光学系122は、表示器11から出射された光束を反射して、空中像30が形成される位置を移動させる機能を備える。
第1の実施の形態の変形例3では、表示器11から出射された光束を結像させる第1光学系121と、表示器11から出射される光束の方向を駆動部472による駆動によって変化させる第2光学系122とを有する。これにより、表示器11から出射された光を結像させる機能と、結像する位置を移動させる機能とをそれぞれ別の光学系にて分担させた場合であっても、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第1の実施の形態の変形例3では、第2光学系122は、表示器11から出射された光を反射する複数の移動ミラー471で構成される。これにより、たとえば空中像30が形成される位置を移動させることができない従来の装置の光学系に、第2光学系122を配置することにより、簡単に空中像30を移動可能に形成させることができる。
また、第1の実施の形態の変形例3では、駆動部472は複数の移動ミラー471をX方向とY方向とに傾斜駆動させる。これにより、X方向へ傾斜駆動する移動ミラーとY方向へ傾斜駆動する移動ミラーとをそれぞれ設ける場合と比較して、部品数を減らし、結像光学系12の小型化、表示装置1の小型化が可能になる。
図8に示した変形例3における第2光学系122の移動ミラー471を構成する平板部材の両面に反射面を形成しても良いが、何れか一方の面に反射面を形成するとより好ましい。
図9を参照して説明する。図9(a)は、結像光学系12の移動ミラー471の一方の面に反射面を形成した場合における、結像光学系12が動作状態の場合でのZX平面における断面図である。移動ミラー471の反射面457は同一の方向、すなわちX方向+側を向くように配置される。移動ミラー471のX方向−側の面には非反射面が形成される。移動ミラー471の反射面は、第1の実施の形態の第1結像ミラー411や第2結像ミラー421の反射面を形成する手法と同様の手法を適用して形成される。
表示器11の表示画素P1から出射された光束のうち、たとえば光束L1は、移動ミラー471aの反射面457で反射されて、この反射光束が移動ミラー471aに隣接する移動ミラー471bに入射して、これが迷光となる虞がある。しかしながら、反射光束が入射する隣接する移動ミラー471bの面は、非反射面が形成されているため、移動ミラー471bによって迷光等を発生することがない。すなわち、空中像30の形成に寄与しない光が発生し、空中像30の視認に悪影響を及ぼすことを防げる。
これに対して、移動ミラー471の両面に反射面を形成した場合を図9(b)に示す。図9(b)は、図9(a)と同様に、動作状態の場合での結像光学系12のZX平面における断面図である。図9(b)に示す例では、移動ミラー471のX方向+側に反射面457が形成され、X方向−側に反射面458が形成される。
表示器11の表示画素P1から出射された光束のうち、たとえば光束L1は、移動ミラー471aの反射面457で反射され、その反射光束は、隣接する移動ミラー471bの反射面458に入射して反射される。この反射面458によって反射された光束は、迷光L4等として、空中像30の視認を阻害する可能性がある。
したがって、空中像30の視認精度の観点から、図9(a)に示すように、移動ミラー471の一方の面に反射面を形成するのが好ましい。
第1の実施の形態の変形例3では、移動ミラー471の一面に、表示器11から出射された光束を反射する反射面457を設けたので、空中像30の視認性の悪化を抑えることができる。
なお、上述した変形例3において、結像光学系12が、複数の移動ミラー471が配置された1つの第2光学系122を有するものに限定されない。たとえば、結像光学系12が2つの第2光学系122を有し、第1光学系121の上部(Z方向+側)または下部(Z方向−側)に配置して良い。この場合、2つの第2光学系122のうち一方の第2光学系122(たとえばZ方向−側)に配置された移動ミラー471は駆動部472により駆動角度±θ1で傾斜駆動され、他方(Z方向+側)の第2光学系122に配置された移動ミラー471は駆動部472により駆動角度±θ2で傾斜駆動される。勿論、Z方向+側の第2光学系122に配置された移動ミラー471が駆動部472により駆動角度±θ1で傾斜駆動され、Z方向−側の第2光学系122に配置された移動ミラー471が駆動部472により駆動角度±θ2で傾斜駆動されても良い。
なお、上記の説明では、第1の実施の形態の変形例3の構成を、第1の実施の形態の表示装置1に適用した場合を例に挙げて説明したが、第1の実施の形態の変形例1の表示装置1に適用しても良い。即ち、複数の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の全体の大きさ(即ち結像光学系12のXY平面に平行な面の大きさ)を、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第1の実施の形態の変形例3では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
(第1の実施の形態の変形例4)
第1の実施の形態とその変形例1〜3では、複数の第1結像ミラー411および複数の第2の結像ミラー421や複数の移動ミラー451、461を二次元状に配置する例を示したが、この例に限定されない。変形例4では、第1結像ミラー411、第2結像ミラー421の形状を第1の実施の形態とその変形例1〜3の第1結像ミラー411、第2結像ミラー421や移動ミラー451、461の形状とは異ならせることにより、それぞれX方向、Y方向に複数配置する。以下、第1の実施の形態およびその変形例1〜3と相違する点を主にして詳細な説明を行う。特に説明を行わない点については、第1の実施の形態とその変形例1〜3にて説明した内容を適用することができる。
図10に変形例4における第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の構造を示す。図10(a)は変形例4における第1結像ミラー411をX方向+側から見た時の外観形状を模式的に示す。変形例4の第1結像ミラー411は、第1辺413を第2辺414と比べて長い長辺となるように形成した反射面を有する。第1結像ミラー411は、第1辺413の一部で、例えば図10(a)ではY方向−側の端部で、第1駆動部412と接続する。なお、第1辺413と第1駆動部412との接続箇所はこの例に限定されず、第1辺413の中央部でも良いし、X方向+側端部でも良いし、第1辺413の全域でも良い。第1辺413の長さは、第1結像ミラー411が配置される第1筐体410のY方向の長さに略等しい。この第1結像ミラー411は、1つの第1駆動部412により、第1の実施の形態や変形例1の場合と同様に駆動角度±θ1で駆動される。
図10(b)に、変形例4の第1結像ミラー411の第1筐体410内部での配置例を示す。図10(b)は、結像光学系12が通常状態の場合における第1結像ミラー411を示す。上述した形状を有する第1結像ミラー411と第1駆動部412とがX方向に沿って複数配置される。換言すると、変形例4は、第1の実施の形態や変形例1〜3においてY方向に沿って配置された複数の第1結像ミラー411や移動ミラー451を、1つの第1結像ミラー411に置き換えて配置したものである。
第2結像ミラー421についても同様に、Y方向を向き、X方向に沿った長辺を有する反射面を備え、反射面の長辺は第2筐体420のX方向の長さに略等しい。第2結像ミラー421は、1つの第2駆動部422により、駆動角度±θ2で駆動される。第2結像ミラー421と第2駆動部422とが、Y方向に複数配置される。すなわち、変形例4の第2光学部42についても、第1の実施の形態や変形例1〜3においてX方向に沿って配置された複数の第2結像ミラー421や移動ミラー461を、1つの第2結像ミラー421に置き換えて配置される。
なお、第1光学部41と第2光学部42との両方が変形例4の構造を有していなくても良い。たとえば、第1光学部41は変形例4の構造を有し、第2光学部42は第1の実施の形態や変形例1、2の構造を有しても良いし、第1光学部41は第1の実施の形態や変形例1、2の構造を有し、第2光学部42は変形例4の構造を有しても良い。また、変形例3において2つの第2光学系122を備える場合に、2つの第2光学系122の両方が変形例4の構造を有していなくても良い。たとえば、2つの第2光学系122のうち一方の第2光学系122は変形例4の構造を有し、他方の第2光学系122は変形例3の構造を有しても良い。
また、第1筐体410内に、第1の実施の形態とその変形例1、2で説明した第1結像ミラー411と、本変形例4の第1結像ミラー411とが配置されても良い。この場合、たとえば、反射面の長辺が第1筐体410のY方向の長さの2/3程度であり、第1筐体410の一部の領域(すなわちY方向の長さが2/3の領域)に変形例4の第1結像ミラー411が配置され、残りの領域(1/3の領域)に第1実施の形態や変形例1、2の複数の第1結像ミラー411を配置しても良い。第2結像ミラー421についても同様の構造を適用して、第2筐体420の一部の領域(すなわちY方向の長さが2/3の領域)に変形例4の第2結像ミラー421が配置され、残りの領域(1/3の領域)に第1実施の形態や変形例1、2の複数の第2結像ミラー421を配置しても良い。
第1の実施の形態の変形例4では、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方は第1辺413と、第1辺413よりも短い第2辺414とを有し、第1辺413を軸に回転して駆動する。これにより、第1光学部41と第2光学部42とが有する部品数を少なくすることができる。
また、第1の実施の形態の変形例4では、傾斜駆動される第1結像ミラー411と第2結像ミラー421との個数が減少するので、容易に駆動を制御することができる。
また、第1の実施の形態の変形例4では、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421との個数が減少するので、安価に結像光学系12を製造することができる。
−第2の実施の形態−
図11を参照しながら、第2の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第2の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
本実施の形態の表示装置1は、図1に示した表示装置1の結像光学系12とは異なる光学系12Aを有し、表示器11の表示面に平行な面とは異なる面に光を結像することにより空中像30を形成する。そのため、図11(a)に示すように、空中像30を空中に表示させるための表示器11と光学系12Aとの配置の関係が、図3に示す第1の実施の形態の表示器11と結像光学系12との配置の関係とは異なる。第2の実施の形態では、図8、図9に示す第1の実施の形態の変形例3のように、光学系12Aは、表示器11からの光束を結像するための機能と、結像する位置を移動させる機能とを異なる光学部材により分担して行う。第2の実施の形態の主要部の構成は図11(b)のように表され、図2に示す第1の実施の形態におけるブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Aと、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と表示生成部22と表示制御部23とを備える。ただし、駆動制御部21は、第1の実施の形態の場合と異なり、後述する駆動部1213の駆動を制御する。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部との2つを有しても良い。この場合、制御部20では、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は光学系12Aと一体化させても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と光学系12Aとを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Aと一体化させても良い。
<光学系12Aの構成>
図11(a)を参照して光学系12Aの構成を詳細に説明する。図11(a)は、表示器11と光学系12Aとを模式的に示すZX平面に平行な面での断面図である。表示器11は、第1の実施の形態の場合と同様の構成を有するが、表示面がX方向に直交するように配置される。光学系12Aは、部分反射部1210と再帰性反射部1220とを有する。部分反射部1210は、表示器11から出射された光束が進む方向、即ちX方向+側に、X方向に対して所定の角度(たとえば45°)の傾きを有して配置される。部分反射部1210は、空中像30の形成位置を移動させるための機能を有する。再帰性反射部1220は、たとえば複数の微小の球形のガラスビーズや、複数の直角三角錐体の立体プリズムを表面に配置した公知の反射材により製造される。再帰性反射部1220は、X方向−側から入射した光を再びX方向−側へ反射する。再帰性反射部1220は、表示器11から出射された光を空中で結像させる、すなわち空中像30を形成するための機能を有する。
部分反射部1210は、設置部1211と、設置部1211にそれぞれ設けられた複数の微細な部分反射ミラー1212と、設置部1211にそれぞれ設けられ、複数の部分反射ミラー1212を駆動する複数の微細な駆動部1213とを有する。部分反射ミラー1212と駆動部1213とは、設置部1211上に所定のピッチ、たとえば100〜1000μmで複数配置される。なお、上記の配置ピッチの値は一例であり、この値に限定されるものではなく、たとえば表示装置1が組み込まれる電子機器の大きさ等に応じて好適な配置ピッチの値とすることができる。また、全ての部分反射ミラー1212と駆動部1213とが同一の配置ピッチで配置されるものに限定されず、設置部1211上の領域に応じて配置ピッチを異ならせても良い。例えば、設置部1211の中心部近傍と周辺部との間で配置ピッチを異ならすことができる。この場合、ユーザにより観察される可能性が高い中心部近傍に配置させる部分反射ミラー1212および駆動部1213の配置ピッチを、周辺部と比較して小さくすることにより、中心部で形成される空中像30の解像度を高くすることができる。
部分反射ミラー1212は、表示器11から出射しX方向+側に進む光の一部を透過し、再帰性反射部1220からX方向−側に進む光の一部を反射するハーフミラーである。なお、以下の説明では、部分反射ミラー1212の透過率および反射率を50パーセントに設定したものとして行うが、透過率および反射率はこの値に限定されず任意に値に設定することができる。駆動部1213は、制御部20の駆動制御部21の制御に従って、部分反射ミラー1212を駆動して、設置部1211に対する部分反射ミラー1212の角度を変更する。
<部分反射部1210の構成>
図12を参照して、部分反射部1210の構造を説明する。図12(a)は部分反射部1210を模式的に示す平面図であり、図12(b)は部分反射ミラー1212の構造と駆動部1213の構造との一例を模式的に示す分解斜視図である。なお、図12においては、部分反射部1210について、P軸、Q軸からなる座標系を図示の通りに設定する。すなわちPQ平面は部分反射部1210に平行な面であり、上述したように部分反射部1210はZ方向に対して45°傾いた場合を例に説明しているので、PQ平面は、XY平面に対して45°の傾きを有する。
図12(a)、(b)に示すように、部分反射ミラー1212と駆動部1213とは、PQ平面に平行な平面上に二次元状に配置される。なお、図12(a)は、部分反射部1210の一部を示す図である。複数の部分反射部1210は、設置部1211に所定の間隔で配置され、各部分反射部1210の周囲には、駆動部1213が配置されている。図12(b)に示したように、設置部1211には、部分反射部1210の位置に、開口、すなわち空洞1211aが形成される。部分反射部1210に入射する光束は、この空洞1211aを通過する。なお、設置部1211を透明な材料で作ることができる場合には、空洞1211aを形成する必要はない。
駆動部1213は、一対の駆動部位1213a、1213bと、一対の駆動部位1213c、1213dとを有する。一対の駆動部1213a、1213bは、部分反射部1210の対向する一対の辺1212a、1212bにそれぞれ沿って設けられる。他方の一対の駆動部位1213c、1213dは、部分反射部1210の対向する他方の一対の辺1212c、1212dにそれぞれ沿って設けられる。
これらの駆動部位1213a、1213b、1213c、1213dは、駆動制御部21から印加される駆動信号に応じて、それぞれの部分反射部1210の各辺1212a、1212b、1213c、1213dを図12(a)の紙面に垂直方向に変位させる。駆動部位1213a、1213bは、駆動信号に応じて、図12(c)に示したように、部分反射部1210をQ軸に対して角度±θ1傾斜させ、駆動部位1213c、1213dは、図12(d)に示したように、部分反射部1210をP軸に対して±θ2傾斜させる。角度θ1とθ2とは、駆動信号の増加に伴って増大する。
なお、駆動部1213は上述した構成を有するものに限定されない。たとえば、駆動部1213は、P軸の方向に沿って設けられ部分反射ミラー1212をP軸の回りに回転駆動させる駆動部位と、Q軸の方向に沿って設けられ部分反射ミラー1212をQ軸の回りに回転駆動させる駆動部位とを備え、これらの駆動部位により部分反射ミラー1212を支持しても良い。それぞれの駆動部位は、駆動制御部21から印加される電圧が増加すると駆動量を増加し、部分反射ミラー1212の駆動角度θ1とθ2とを増加させる。
動作状態時に部分反射ミラー1212が駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2で駆動することにより、部分反射ミラー1212の表面がPQ平面となす角度が変化する。これにより、図12(b)に矢印AR1で示す方向に進む光は、部分反射ミラー1212の駆動角度±θ1と±θ2とに応じて反射する方向が変化する。
<光学系12Aによる空中像30の形成>
図13を参照して、光学系12Aによる空中像30の形成について説明する。図13(a)は光学系12Aが通常状態の場合における表示器11の表示位置と、空中像30の位置との関係を示すZX平面における断面図である。図13(b)は光学系12Aが動作状態の場合における表示器11の表示位置と、空中像30の位置との関係を示すZX平面における断面図である。以下、表示器11を構成する複数の表示画素のうち、表示画素P1から出射した光束とその空中像P11とについて説明を行う。
まず、図13(a)に示す通常状態について説明する。
表示画素P1からの光束L1はX方向+側に向かって進み、部分反射ミラー1212にて一部が透過し、一部がZ方向−側に反射される。本実施の形態では、部分反射ミラー1212の透過率と反射率とを50パーセントしたので、部分反射ミラー1212にて入射した光束の半分が透過し、半分が反射される。部分反射ミラー1212を透過した光束は、再帰性反射部1220にて再帰性反射する。すなわち、再帰性反射した光束は、入射光路を逆向きに進み、再び部分反射ミラー1212に入射する。部分反射ミラー1212に入射した光束は、一部が透過し、残部が反射される。反射された光束は、集光して実像P11を形成する。すなわち、複数の部分反射ミラー1212は、再帰性反射部材1220からの光を反射して、表示器11からの光を空中の結像位置に結像する光学素子である。
表示器11のその他の表示画素からの光束も、表示画素P1の場合と同様である。こうして、表示器11に表示された画像の実像が空中像30として形成される。なお、この空中像30は、図示のように、空中像の延長面と表示器11の表示面の延長面とが直交する位置に形成される。
次に、図13(b)に示す動作状態について説明する。図13(b)は、動作状態として、部分反射ミラー1212がQ軸周りに駆動角度−θ2だけ傾斜した場合を示す。
表示画素P1から出射した光束は、図13(a)の場合と同様にして、部分反射ミラー1212を透過した後に再帰性反射部1220により再帰性反射され、部分反射ミラー1212に再度入射する。部分反射ミラー1212が駆動角度−θ2だけ傾斜駆動されているので、部分反射ミラー1212によって反射された光束は、図13(a)の実像P11の位置からX方向に所定量だけ移動した位置に実像P11を形成する。この実像P11の移動量は、駆動角度−θ2に応じた量である。
駆動部1213は、部分反射ミラー1212を、P軸周りに駆動角度±θ1だけ傾斜させる、即ち、駆動部1213が上述の駆動角度−θ2の傾斜方向と直交する方向に部分反射ミラー1212を駆動角度±θ1だけ傾斜させると、実像P11が、図13(a)の実像P11の位置からY方向に所定量移動する位置に形成される。このようにして、部分反射ミラー1212を駆動角度±θ1および±θ2傾斜させることによって、空中像30の位置をX方向およびY方向に移動させることができる。
なお、図11、13、14では、再帰性反射部1220は、部分反射部1210を透過した光束を再帰性反射する位置に配置されたが、その代わりに、再帰性反射部1220は、部分反射部1210で反射された光束を再帰性反射する位置に配置しても良い。即ち、再帰性反射部1220は、図11において、部分反射部1210の上方位置に配置しても良い。この場合には、表示器11からの光束は、その一部が部分反射部1210で反射された後に、再帰性反射部1220で再帰性反射され、部分反射部1210を透過して、空中像30を形成する。
第2の実施の形態では、表示器11から出射された光束を反射する複数の部分反射ミラー1212を有し、表示器11から出射された光束を空中の結像位置に結像する部分反射部1210と、複数の部分反射ミラー1212を駆動して結像位置を移動させる駆動部1213とを有する。これにより、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、複数の部分反射ミラー1212は一面に表示器11から出射された光束を反射する反射面を有するので、表示器11の表示面(ZX平面)とは異なる平面(XY平面)の空中に空中像30を形成することができる。
また、第2の実施の形態では、複数の部分反射ミラー1212が配置され、表示器11から出射された光束の方向に配置された設置部1211を有するので、空中像30が形成される位置をXY平面上で移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、複数の部分反射ミラー1212は設置部1211に配置する面(PQ平面)に対して平行に配置されるので、空中像30が形成される位置を、表示器11の表示面に平行な面とは異なるXY平面上で移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、複数の部分反射ミラー1212は、表示器11から出射された光束を通過可能に構成されるので、光束を再帰性反射部1220に到達させて、反射光束を結像させることができる。
また、第2の実施の形態では、表示器11からの光束を再帰反射する再帰性反射部1220を備えるので、反射光束を部分反射部1210に到達させて、空中像30を移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、部分反射ミラー1212を駆動する駆動部1213を有するので、部分反射ミラー1212を駆動して、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
なお、駆動部1213が高速に駆動可能な構成を有している場合には、複数の部分反射ミラー1212を高速に駆動して、空中像30が形成される位置を高速に移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、駆動部1213は、部分反射ミラー1212をPQ面、即ち設置部1210に対して傾斜させるので、再帰性反射部1220からの光の反射する方向を変化させ空中像30を移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、駆動部1213は、部分反射ミラー1212を駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2で駆動させる。これにより、部分反射ミラー1212の表面を2方向に駆動させることができるので、空中像30をX方向とY方向とに移動させることができる。
また、第2の実施の形態では、部分反射部1210は、部分反射ミラー1212を備えているので、部分反射ミラー121を傾斜させるだけで空中像30の位置を移動することができる。そのため、空中像30を移動させるための大掛かりな機構を必要とせず、光学系12Aの小型化が可能であり、表示装置1の全体の小型化に寄与する。
なお、第2の実施の形態においても、図6に示す第1の実施の形態の変形例1と同様に、光学系12Aの大きさを、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第2の実施の形態では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
(第2の実施の形態の変形例1)
第2の実施の形態の部分反射部1210は図12に示す構造を有するものとして説明したが、この例に限定されない。図14に変形例1における部分反射部1210の構造を示す。図14(a)は部分反射ミラー1212の構造と駆動部1213の構造とを模式的に示す図であり、図14(b)、(d)は部分反射ミラー1212と駆動部1213との配置の一例を模式的に示す分解斜視図である。変形例1においても部分反射部1210は複数の部分反射ミラー1212と駆動部1213を有するが、図14においては、代表して1つの部分反射ミラー1212と駆動部1213とを示す。なお、図14においては、部分反射部1210について、P軸、Q軸からなる座標系を図示の通りに設定する。すなわちPQ平面は部分反射部1210に平行な面であり、第2の実施の形態と同様に部分反射部1210はZ方向に対して45°傾いた場合を例に説明しているので、PQ平面は、XY平面に対して45°の傾きを有する。
図14(a)に示すように、部分反射ミラー1212は、第1の実施の形態やその変形例1の第1結像ミラー411や第2結像ミラー421と同様に、微細な平板部材により構成される。部分反射ミラー1212は、平板部材のうちの一辺(第1辺1212a)を軸に駆動可能となるように、駆動部1213と接続される。図14に示す例では、通常状態において、部分反射ミラー1212がPQ平面に平行になるように設けられ、駆動する際の軸である第1辺1212aをQ軸に平行になるように設けられた場合を示す。
駆動部1213は、第1の実施の形態において図4に示す第1駆動部412や第2駆動部422と同様に、たとえば公知のMEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術に基づいた構成を有する。駆動部1213は、設置部1213aと接続部1213bとアクチュエータ機構1213cとを有する。設置部1213aに接続部1213bとアクチュエータ機構1213cとが設けられる。接続部1213bには、制御部20の駆動制御部21からの駆動信号、すなわち駆動用の電圧が印加されるための導線が接続される。この場合も、接続部1213bに接続される導線は、表示器11からの光の進行を妨げることが無いように透明な部材により製造されたものを用いる。この場合、表示器11からの光が屈折することを防ぐため、導線は空気に近い屈折率を有する材料により製造されたものであることが好ましい。
アクチュエータ機構1213cは、部分反射ミラー1212の第1辺1212aと接続される。アクチュエータ機構1213cは、駆動制御部21から印加された電圧による電界の作用で生じた静電力により駆動する。これにより、アクチュエータ機構1213cに接続された部分反射ミラー1212が第1辺1212aにて、P軸の回りとQ軸の回りにて傾斜駆動される。駆動部1213は静電力を用いて駆動するものに限定されず、電磁力や圧電効果等を用いるものでも良い。
上記の構成を備えることにより、駆動部1213は、印加される電圧の大きさに従って、例えば、部分反射ミラー1212を数Hz〜数GHzの駆動周波数で駆動させることができる。部分反射ミラー1212は、一辺1212aにて回動可能に駆動部1213と接続されているので、動作状態時に、部分反射ミラー1212の各辺1212b、1212c、1212dが図14(b)の矢印AR2に示す方向に沿って変位する。この場合、駆動部1213に印加される電圧の大きさに応じて、図14(c)に示すように、部分反射ミラー1212をQ軸に対して角度±θ1にて傾斜させる。角度θ1は、駆動部1213に印加される電圧の増加に伴って増大する。また、部分反射ミラー1212は動作状態時にP軸の回りに回動することにより、部分反射ミラー1212の各辺12b、1212c、1212dが図14(d)の矢印AR3に示す方向に沿って変位する。この場合、駆動部1213に印加される電圧の大きさに応じて、図14(e)に示すように、部分反射ミラー1212をP軸に対して角度±θ2にて傾斜させる。
動作状態時に部分反射ミラー1212が駆動角度±θ1、±θ2で駆動することにより、部分反射ミラー1212の表面がPQ平面となす角度が変化する。これにより、図14(b)、(d)に矢印AR1で示す方向に進む光は、部分反射ミラー1212の駆動角度±θ1、±θ2に応じて反射する方向が変化する。
また、駆動部1213の構成は、上述したMEMSの技術に基づいたものに限定されず、たとえば、印加された電圧を力に変換する圧電素子(ピエゾ素子)等を用いることができる。
従って、第2の実施の形態の変形例1では、第2の実施の形態と異なる構成を有する複数の部分反射ミラー1212を駆動して表示器11から出射した光束が結像する位置を移動させるので、第2の実施の形態の場合と同様に、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、駆動部1211が高速に駆動可能なMEMSの構造を有している場合には、複数の部分反射ミラー1212を高速に駆動できるので、空中像30が形成される位置を高速に移動させることができる。なお、駆動部1211がMEMSとは異なる構造にて高速に駆動可能な場合にも、複数の部分反射ミラー1212を高速に駆動して、空中像30が形成される位置を高速に移動させることができる。
また、第2の実施の形態の変形例1においても、図6に示す第1の実施の形態の変形例1と同様に、光学系12Aの大きさを、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第2の実施の形態の変形例1では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
(第2の実施の形態の変形例2)
図11に示す第2の実施の形態の光学系12Aは、部分反射部1210と再帰反射部1220とをそれぞれ別部材として有したが、第2の実施の形態の変形例2の光学系12Aでは、部分反射部1210と再帰性反射部1220とが一体部材として形成される。以下、第2の実施の形態とその変形例1と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第2の実施の形態とその変形例1にて説明した内容を適用することができる。
図15に第2の実施の形態の変形例2における光学系12Aの一部におけるZX平面での断面図を示す。図15において、2次元状に配置された微細に部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…は、部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…をそれぞれZ方向となす角度±φ3、Y方向となす角度±φ4にて傾斜させるように駆動する微細な駆動部1213a、1213b、1213c…に接続されている。部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…と駆動部1213a、1213b、1213c…とには、第2の実施の形態の変形例1にて図14に示す構造と同様の構造を適用することができる。各微細な部分反射ミラー1212a、1212b、1213c…の背後には、対応する部分反射ミラーの近傍に微細な複数のコーナーキューブ1221a、1221b、1221c…が配置される。これらの複数のコーナーキューブ1221a、1221b、1221c…は、再帰性反射部1220を構成する。なお、図15においては、図の複雑化を避けるために、部分反射ミラーと駆動部とコーナーキューブとは、極めて模式的に描かれている。
このように、第2の実施の形態の変形例2では、光学系12Aは、複数の部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…と、複数の微細な駆動部1213a、1213b、1213c…と、複数の微細なコーナーキューブ1221a、1221b、1221c…とが一体に構成されている。なお、再帰性反射部1220として、微細なコーナーキューブ1221a、1221b、1221c…の代わりに、複数の微小の球形のガラスビーズを表面に配置した微細な反射材を使用しても良い。
図15に示すように、表示器11の表示画素P1からの光束L1は、その一部が、たとえば部分反射ミラー1212bによって反射されて、コーナーキューブ1221bに入射し、コーナーキューブ1221bによって再帰性反射される。この再帰性反射された光束は、部分反射ミラー1212bを透過して、実像を形成する。
この状態から、駆動部1213a、1213b、1213c…が対応する部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…を駆動角度±φ3または±φ4だけ傾斜駆動させると実像がその駆動角度に応じてX方向またはY方向に移動する。
この第2の実施の形態の変形例2では、コーナーキューブ1221a、1221b、1221c…は、部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…で反射した光束を再帰性反射させた。その代わりに、コーナーキューブ1221a、1221b、1221c…は、部分反射ミラー1212a、1212b、1212c…を透過した光束を再帰性反射させるように配置しても良い。
第2の実施の形態の変形例2では、表示器11から出射される光束を結像する再帰性反射部1220上に、複数の部分反射ミラー1212で構成され、表示器11から出射される光束の方向を駆動部1213によって変化させる部分反射部1210を設置した。これにより、部分反射ミラー1212を傾斜させるだけで空中像30の位置を移動することができる。そのため、空中像30を移動させるための大掛かりな機構を必要とせず、光学系12Aの大型化を抑制し、表示装置1の小型化に寄与する。
また、第2の実施の形態の変形例2においても、図6に示す第1の実施の形態の変形例1と同様に、光学系12Aの大きさを、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第2の実施の形態の変形例2では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
なお、上述した変形例2では、部分反射ミラー1212を駆動角度±φ3または±φ4、または駆動角度±φ3および±φ4で駆動可能な構成を用いて説明したが、この例に限定されず部分反射ミラー1212を傾斜駆動しなくても良い。この場合、部分反射部1210は図15に示す駆動部1213を備えず、部分反射ミラー1212の第1辺1212aが再帰性反射部1220に直接取り付けられた構造であっても良い。
また、部分反射部1210が再帰性反射部1220に直接取り付けられるものに限定されず、部分反射部1210と再帰性反射部1220とが他の部材を介して間接的に取り付けられても良い。この場合、他の部材としては、たとえばアルミニウム等の熱吸収性を有する部材を設けることができる。これにより、部分反射ミラー1212を駆動させることにより発生する熱を除去することができる。
(第2の実施の形態の変形例3)
第2の実施の形態と、その変形例1および2では、光学系12Aが複数の微細な部分反射ミラー1212を有する部分反射部1210を有した。これに対して、変形例3では、部分反射部1210に代えて、複数の微細な偏光ビームスプリッター(以下、PBSと呼ぶ)を有する偏光ビームスプリッター部(以下、PBS部と呼ぶ)を設ける。以下、第2の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第2の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図16に変形例3における光学系12AのZX平面での断面図を示す。なお、図16は通常状態の光学系12Aの断面を示す。光学系12Aは、再帰性反射部1220とPBS部1230と1/4位相板(以下、λ/4位相板と呼ぶ)1240とを有する。再帰性反射部1220は、第2の実施の形態およびその変形例1、2と同様の構造を有し、表示器11から出射された光を結像させる、すなわち空中像30を形成する機能を有する。PBS部1230は、Z方向に対して所定の角度(たとえば45°)の傾きを有して配置され、空中像30が形成される位置を移動させる機能を有する。
PBS部1230は、設置部1231に設けられた複数の微細なPBS1232と、複数のPBS1232ごとに設けられPBS1232を駆動する駆動部1233とを有する。PBS1232と駆動部1233とは、第2の実施の形態における部分反射ミラー1212および駆動部1213に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、設置部1231上に複数配置される。
PBS1232は、表示器11が液晶装置等によって構成された場合に、表示器11から出射された特定方向に偏光された光を透過し、他の方向に偏光された光を反射する。駆動部1233は、制御部20の駆動制御部21の制御に従って、PBS1232を駆動して、設置部1221に対するPBS1232の駆動角度±θ1および±θ2を変更する。
なお、図16では、再帰性反射部1220とPBS部1230とλ/4位相板1240とそれぞれ独立した別部材として示しているが、PBS部1230とλ/4位相板1240とを一体化して形成しても良い。
また、図15に示す第2の実施の形態の変形例2で説明したように、一体化したPBS部1230とλ/4位相板1240とを、再帰性反射部1220に一体化するような構成であっても良い。
PBS部1230の構造は、図12に示す第2の実施の形態の部分反射部1210の構成と同様の構造を有する。すなわち、駆動部1233は4つの駆動部位を有し、一対の駆動部と、残りの一対の駆動部位とにより、PBS1232をQ軸またはP軸に対して角度±θ1または±θ2、またはQ軸およびP軸に対して角度±θ1および±θ2で駆動させる。なお、駆動制御部21から印加される電圧が増加すると、駆動角度θ1とθ2とも増加する。なお、図14に示す第2の実施の形態の変形例1の構造を適用しても良い。
<光学系12Aによる空中像30の形成>
図16を参照して、変形例3の光学系12Aによる空中像30の形成について説明する。以下、表示器11を構成する複数の表示画素のうち、表示画素P1から出射した光束を用いて説明を行う。また、表示器11からはP偏光の光が出射され、PBS1232はP偏光の光を透過する場合を例に挙げる。
表示画素P1から出射したP偏光の光束は、PBS1232を透過した後にλ/4位相板1240を透過して再帰性反射部1220によって再帰性反射する。再帰性反射された光束L1は、再びλ/4位相板1240を通過すると、S偏光の光束に変換されてPBS部1230に入射する。S偏光の光束は、PBS部1230によって反射されて、実像P11を形成する。表示器11の表示画素P1以外の表示画素からのP偏光の光束も、表示画素P1からのP偏光の光束と同様にして、実像すなわち空中像30を形成する。
動作状態の場合には、PBS1232が駆動部1233によって駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2にて駆動することにより、PBS1232とZ方向とがなす角度が変更される。これによりPBS1232で反射されるS偏光の光束の方向が駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2に応じて変化する。これにより、PBS1232の駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2に応じて通常状態のときに結像する位置から変位した位置で結像する。したがって、空中像30は、駆動角度±θ1または±θ2に応じてX方向またはY方向に変位した位置、または駆動角度±θ1および±θ2に応じてX方向およびY方向に移動する。
なお、上述の説明では、表示器11の表示画素からはP偏光の光束が出射するとしたが、表示器11の表示画素から例えば楕円偏光の光束が出射される場合には、この表示器11とPBS部1230との間に、λ/4位相板およびλ/2位相板と、または直線偏光子を挿入して、楕円偏光をP偏光に変換すれば良い。
第2の実施の形態の変形例3では、複数のPBS1232を駆動して表示器11から出射した光束が結像する位置を移動させるので、第2の実施の形態の場合と同様に、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第2の実施の形態の変形例3では、PBS1232とλ/4位相板1240とによって、光損失を理想的にはゼロにすることができるため、光利用効率を向上させることができる。また、再帰性反射部1220の光損失も小さいので、光学系12A全体として光利用効率を向上させることができる。
また、第2の実施の形態の変形例3においても、図6に示す第1の実施の形態の変形例1と同様に、光学系12Aの大きさを、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第2の実施の形態の変形例3では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
(第2の実施の形態の変形例4)
第2の実施の形態と、その変形例1および2では、光学系12Aは複数の微細な部分反射ミラー1212を有する部分反射部1210を有し、変形例3では光学系12Aは複数の微細なPBS1232を有した。これに対して、変形例4では、光学系12Aは、複数の微細なシャッターを有するシャッター部を有する。以下、第2の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第2の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図17に第2の実施の形態の変形例4における光学系12AのZX平面での断面図を示す。なお、図17は通常状態の光学系12Aの断面を示す。光学系12Aは、再帰性反射部1220とシャッター部1250とを有する。再帰性反射部1220は、第2の実施の形態およびその変形例1〜3と同様の構造を有し、空中像30を形成する機能を有する。シャッター部1250は、Z方向に対して所定の角度(たとえば45°)の傾きを有して配置され、空中像30が形成される位置を移動する機能を有する。
シャッター部1250は、設置部1251に設けられた複数の微細なシャッター1252と、複数のシャッター1252ごとに設けられシャッター1252を駆動する駆動部1253とを有する。シャッター1252と駆動部1253とは、第2の実施の形態における部分反射ミラー1212および駆動部1213に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、複数配置される。
シャッター1252は、たとえばMEMSの技術に基づいた構造を有する。微細なシャッター1252は、シャッター開放の時入射光束を透過させ、シャッター閉成の時、入射光束を遮光する。また、微細なシャッター1252は、再帰性反射部1220側の面に、光を反射する反射膜がコーティングされており、シャッター閉ざされている時に、再帰性反射部1220によって再帰性反射された光束を反射する。シャッター1252は、制御部20からの駆動信号に従って、短い時間間隔で開閉動作が繰り返し行われる。
シャッター部1250の構造は、図11に示す第2の実施の形態の部分反射部1210の構造と同様の構造を有する。すなわち、駆動部1253は4つの駆動部位を有し、一対の駆動部と、残りの一対の駆動部位とにより、シャッター1252をQ軸およびP軸に対して角度±θ1および±θ2で駆動させる。なお、駆動制御部21から印加される電圧が増加すると、駆動角度θ1、θ2も増加する。
なお、図14に示す第2の実施の形態の変形例1の構造を適用しても良い。
<光学系12Aによる空中像30の形成>
図17を参照して、変形例4の光学系12Aによる空中像30の形成について説明する。以下、表示器11を構成する複数の表示画素のうち、表示画素P1から出射した光の光路を用いて説明を行う。
表示器11の表示画素P1から出射した光束L1は、シャッター部1250に入射し、開放状態のシャッター1252の開口を通過して再帰性反射部1220にて再帰性反射される。再帰性反射された光束は、シャッター部1250に入射する。このシャッター部1250に入射した光束は、シャッター1252が閉ざされている時に、シャッター1252の反射膜によって反射されて、実像P11を形成する。
表示器11の表示画素P1以外の表示画素からの光束も、表示画素P1からの光束と同様にして、実像すなわち空中像30を形成する。この空中像30は、シャッター部1250の反射膜に関して表示器11に表示された画像と共役な位置に形成される。
動作状態の場合には、シャッター1252が駆動部1253によって駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2にて駆動することにより、シャッター1252の反射膜とZ方向とがなす角が変更される。これによりシャッター1252の反射膜で反射される光束の方向が駆動角度±θ1または±θ2、または駆動角度±θ1および±θ2に応じて変化する。したがって、表示器11に表示された画像の空中像30は、シャッター1252の反射膜の駆動角度±θ1または±θ2に応じてX方向またはY方向に移動し、駆動角度±θ1および±θ2に応じてX方向およびY方向に移動する。
第2の実施の形態の変形例4では、複数のシャッター1252を駆動角度で駆動することにより、シャッター1252が閉ざされている時に反射膜で反射される光束の方向を移動させる。これにより、第2の実施の形態とその変形例1〜3の場合と同様に、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第2の実施の形態の変形例4では、MEMS構造のシャッター1252のように製造が比較的容易な部材を用いて、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第2の実施の形態の変形例4においても、図6に示す第1の実施の形態の変形例1と同様に、光学系12Aの大きさを、表示器11の表示面よりも大きくしても良い。この場合、第2の実施の形態の変形例3では、ユーザは空中像30の全体を同時に視認することができる。
上述した第2の実施の形態とその変形例1〜4では、図11、図13、図15、図16、図17等に示すように、表示器11と光学系12AとのX方向の距離は、表示器11と光学系12Aとが設けられた表示装置1の大きさに依存するものとなる。これに対して、表示器11と光学系12Aとを、例えば別体とすることにより、表示器11と光学系12Aとの距離、即ちX方向の距離を離しても良い。例えば、室内の机等に表示器11を載置し、光学系12Aを壁等に取り付けることにより、表示器11と光学系12Aとの距離を離すことができる。この場合、表示器11から出射した光束は大きく広がって光学系12Aに入射して、第2の実施の形態とその変形例1〜4にて説明したようにして、空中像30が形成される。
上記の構成により、第2の実施の形態とその変形例1〜4では、表示器11に表示した画像よりも大きな空中像30を形成することができる。
−第3の実施の形態−
第1の実施の形態とその変形例1〜4、第2の実施の形態とその変形例1〜4では、表示器11と共役な位置に等倍の空中像30を形成するための構成について説明した。本実施の形態では、結像光学系12や光学系12Aに対して離れた位置に拡大した空中像30の形成させるための構成について説明する。なお、以下の説明では、図3に示す第1の実施の形態で説明した結像光学系12に適用する例に挙げて説明するが、第1の実施の形態の変形例1〜4の結像光学系12(図6〜図10参照)や、第2の実施の形態とその変形例1〜4の光学系12A(図11〜図17参照)を用いる表示装置1についても適用することができる。
図18は、第3の実施の形態における、表示器11と結像光学系12と光学系13との配置を模式的に示すZX平面の断面図である。表示器11と結像光学系12とについては、第1の実施の形態と同一である。光学系13は、表示器11と結像光学系12との間の光路上に配置される。光学系13は、たとえばフレネルレンズ等の凸レンズである。表示器11から光学系13までのZ方向に沿った距離は、光学系13の焦点距離以下である。光学系13と表示器11とがこの位置関係を有することにより、表示器11に表示される画像の虚像Vが表示器11の後ろ(Z方向−側)に形成される。
この虚像Vは、表示器11の画像よりも拡大されている。この拡大された虚像Vは、結像光学系12によって表示器11の前方側(Z方向+側)に実像として結像される。こうして、結像光学系12によって実像として形成された空中像30の位置は、結像光学系12に関して虚像Vの位置と対称な位置である。即ち、空中像30と結像光学系12との距離は、虚像Vと結像光学系12との距離に等しい。また、空中像30の大きさは、虚像Vの大きさと等しいので、表示器11の画像よりも拡大されている。
なお、虚像Vの位置および大きさは、表示器11と光学系13との間の距離に依存するので、表示器11と光学系13との間の距離を適宜設定することにより、虚像Vと結像光学系12との距離を調節することができる。すなわち、表示器11と光学系13との間の距離を調節することにより、ユーザが所望する距離に所望の大きさの空中像30を形成させることができる。これにより、表示器11と結像光学系12との間の距離を変えることなく、光学系13の配置位置を調節することにより空中像30を形成するZ方向の位置を変更することができる。すなわち、表示装置1の全体を大型化することなく、結像光学系12からZ方向に離れた位置に空中像30を形成させることができる。
ただし、図6を用いて上述したように、結像光学系12よりも虚像Vが大きい場合には、ユーザは空中像30の全体を視認することができなくなる。したがって、虚像Vが結像光学系12よりも小さくなるように虚像Vの倍率を決定しても良い。
第3の実施の形態では、表示器11と結像光学系12との間に、表示器11に表示される画像の倍率を大きくする光学系13を備えるので、表示器11と結像光学系12との間の距離を大きくする必要がなく、表示装置1の小型化に寄与する。
また、第3の実施の形態では、光学系13は、表示器11から出射された光束の虚像Vを表示し、結像光学系12は虚像Vを空中に結像させる。これにより、表示装置1の大きさを変えることなく、結像光学系12からZ方向に離れた位置に、表示器11に表示された画像に対応する空中像30を形成することが可能になる。
また、第3の実施の形態では、虚像Vの大きさを表示器11よりも大きくできるので、表示器11に表示される画像よりも大きな空中像30を形成することができる。
また、第3の実施の形態では、光学系13としてフレネルレンズを用いていることにより、Z方向に薄型の表示装置1にすることができる。なお、光学系13は回折格子、液晶ホログラム、液晶レンズ等により構成されても良い。なお、液晶レンズであれば、液晶の屈折率分布を制御部20によって制御することにより、Z方向に対する結像位置を変化させることができる。
−第4の実施の形態−
図面を参照しながら、第4の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第4の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限られず、上述した第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
第4の実施の形態では、ユーザが表示装置1を観察する位置に基づいて、空中像30を形成する位置を決定し、決定した位置に空中像30を形成するものである。
図19は、第4の実施の形態の表示装置1の外観斜視図である。第4の実施の形態の表示装置1は、撮像装置(たとえばデジタルカメラ)5を備え、この撮像装置5は表示装置1の上面(Z方向+側の面)に配置される。また、表示装置1は、図3に示す第1の実施の形態と同様の結像光学系12を有する。その他は図1に示す第1の実施の形態の表示装置1と同様である。なお、表示装置1は、図11(a)、図15、図16、図17に示す第2の実施の形態とその変形例1〜4で説明した光学系12Aを有しても良い。また、表示装置1は、図18に示す第3の実施の形態と同様の光学系13を備えても良い。
撮像装置5は、表示装置1を観察するユーザを撮像する。そのため、撮像装置5に装着するレンズとしては、表示装置1の周囲を広い範囲で撮像可能とするために広角レンズであることが好ましく、魚眼レンズであってもよい。また、複数(たとえば、2個)の撮像装置5を設けることにより、それぞれの撮像装置5の撮像範囲を繋ぎあわせて表示装置1の周囲を広範囲で撮像しても良い。また、複数の撮像装置5によって、撮像可能な範囲に配置された各物体の3次元的な位置の情報(物体までの距離情報)を示すデプスマップを取得しても良い。また、測距センサである赤外線照射装置等を備え、撮像装置5によって撮像可能な位置に配置された各物体の距離情報を取得しても良い。
図20は第4の実施の形態の表示装置1の主要部の構成を示すブロック図である。制御部20は、撮像装置5により撮像された撮像データを解析して表示装置1を観察するユーザを検出する検出部25と、検出部25の検出結果に基づいて空中像30を形成する位置を決定する決定部26とを備える。他の構成は図2の第1の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、結像光学系12と、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と決定部26とを備える。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部と、検出用の制御部との3つを有しても良い。この場合、制御部20では、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は結像光学系12と一体化させ、検出部25を撮像装置5の内容に格納しても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と結像光学系12と検出部25とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、結像光学系12と一体化させても良い。
検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、公知の被写体検出処理等を行って、撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。検出部25は、撮像データ上での人物の位置に基づいて、表示装置1に対するユーザの実際の位置を検出する。決定部26は、検出部25により検出されたユーザの実際の位置に基づいて、空中像30を形成させる位置を決定する。たとえば、ユーザが表示装置1のX方向+側に位置する場合には、決定部26は、空中像30をよりユーザの近い位置に形成させるために、空中像30が形成される方向を表示装置1の中心からX方向+側とする。
なお、ユーザと表示装置1との位置関係に基づいて空中像30を形成する方向を決定するものに限定されず、ユーザの視線の方向に空中像30を形成しても良い。この場合、検出部25は、撮像データ上で検出された人物の顔の方向を検出して視線の方向を検出する。たとえば、ユーザが表示装置1のX方向+側に位置してY方向+側に顔を向けている場合には、決定部26は、空中像30が形成される方向を表示装置1の中心からY方向+側とする。
決定部26は、空中像30を表示装置1の中心からどの程度離れた位置に形成させるか、すなわち空中像30の移動量を決定する。この場合、決定部26は、検出されたユーザが表示装置1から離れているほど移動量を大きくする。ユーザと表示装置1との間の距離は、撮像データ上で検出された人物の大きさに基づいて算出すれば良い。または、複数の撮像装置5によって取得したデプスマップや、測距センサによって取得した距離情報を利用しても良い。距離と移動量との関係の一例として、ユーザと表示装置1との間の距離がX方向+側に50cmの場合には、表示装置1の表示器11のX方向の長さの10%を、空中像30のX方向+側への移動量とするものが挙げられる。ユーザと表示装置1との間の距離と空中像30の位置、すなわち表示器11の中心からの移動量とは、予め試験等を行って得られた結果に基づいて関連付けされたデータとして記憶部9に記憶される。決定部26は、移動量を算出する際に、記憶部9に記憶されたデータを参照する。
駆動制御部21は、決定部26によって決定された空中像30の形成方向と表示装置1の中心からの移動量とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1と第2駆動ミラー421の駆動角度θ2とを算出する。駆動制御部21は、算出した駆動角度θ1、θ2にて第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを駆動させるために、第1駆動部412と第2駆動部422とに電圧の印加を行う。この結果、空中像30は、ユーザが表示装置1を観察する位置に基づいて、駆動角度θ1、θ2に応じて移動した位置に形成される。
なお、撮像装置5によって所定の周期ごとに生成された撮像データのそれぞれに対して制御部20が上記の処理を行うことにより、ユーザが表示装置1の周囲を移動する場合であっても、ユーザの移動に応じて空中像30を移動させて形成することができる。なお、所定の周期ごとに生成された撮像データのそれぞれに対して上記の処理をするものではなく、所定回数の撮像データが生成されるごとに制御部20が上記の処理を行っても良い。
なお、上述した説明では、ユーザと表示装置1との間の距離と移動量が記憶部9に記憶されているものとしたが、ユーザと表示装置1との間の距離と、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1および第2結像ミラー421の駆動角度±θ2とが関連付けされたデータとして記憶部9に記憶されても良い。この場合、駆動制御部21は、駆動角度±θ1や±θ2を算出する際に、検出された距離に基づいてデータを参照すれば良い。
または、ユーザと表示装置1との間の距離と、第1駆動部412への印加電圧および第2駆動部422への印加電圧とが関連付けされたデータとして記憶部9に記憶されても良い。この場合、駆動制御部21は、検出された距離に基づいてデータを参照して、印加する電圧を決定すれば良い。
また、上述したデータを表示装置1が備える記憶部9に記憶するものとしたが、これに限定されず、表示装置1の外部の記憶装置に記憶しても良い。表示装置1と外部の記憶装置との間は有線または無線により直接的に、またはネットワーク等を介して間接的に接続されて、各種の情報やデータの送受信を行う。
図21のフローチャートを参照して、第4の実施の形態の表示装置1による空中像30を形成するための動作について説明する。図21に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS1では、撮像装置5に撮像データを生成させてステップS2へ進む。ステップS2では、制御部20の検出部25は、生成された撮像データ上から表示装置1を観察するユーザの有無を検出する処理を行って、ステップS3へ進む。ステップS3では、ステップS2にてユーザが検出されたか否かを判定する。ユーザが検出された場合には、ステップS3が肯定判定されてステップS4へ進む。ユーザが検出されない場合には、ステップS3が否定判定されてステップS1へ戻る。
ステップS4では、制御部20の決定部26は、撮像データ上で検出されたユーザの位置に基づいて、空中像30を形成される位置を決定し、空中像30の移動量を算出してステップS5へ進む。ステップS5では、制御部20の駆動制御部21は、算出された移動量に基づいて、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の駆動角度を算出し、傾斜駆動させてステップS6へ進む。これにより、空中像30が、検出されたユーザの位置に応じて移動した位置に形成される。ステップS6では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS6が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS6が否定判定されてステップS1へ戻る。
なお、第4の実施の形態では、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて表示装置1を観察するユーザを検出する構成としたが、この例に限定されない。たとえば、表示装置1の表面に複数の操作ボタンを設け、ユーザが何れかの操作ボタンを操作すると、制御部20はその操作ボタンが操作された位置にユーザが存在すると判断し、ユーザの存在する方向に空中像30を形成しても良い。または、表示装置1はマイク等の集音装置を備え、集音装置によって集音された音声データに基づいて、制御部20は人物の話し声がする方向にユーザが存在すると判断し、空中像30をその方向に形成させても良い。
第4の実施の形態では、駆動制御部21は、ユーザの位置またはユーザの視線方向に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1および第2結像ミラー421の駆動角度±θ2の少なくとも一方を決定する。これにより、ユーザが視認し易い位置に空中像30を形成することができる。
(第4の実施の形態の変形例1)
第4の実施の形態においては、表示装置1を観察するユーザの位置に基づいて空中像30を移動させるものであった。これに対して、第4の実施の形態の変形例1の表示装置1は、ユーザが所定のジェスチャーを行った場合、そのジェスチャーに従って空中像30を移動させる。以下、第4の実施の形態と相違する点を主に詳細に説明を行う。特に説明を行わない点については、第4の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
第4の実施の形態の変形例1の表示装置1は、図19、図20に示す第4の実施の形態と同様の構成を有する。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、結像光学系12と、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と決定部26とを備える。検出部25は、撮像装置5により生成された複数の撮像データを用いて、ユーザにより行われたジェスチャーを検出する。決定部26は、検出されたジェスチャーに基づいて、空中像30の移動方向や移動量を決定する。
表示装置1により形成された空中像30を視認しているユーザが、空中像30の位置を移動させたい場合には、予め決められた特定のジェスチャーを行う。予め決められた特定のジャスチャーとして、例えば、ユーザが視認している空中像30の位置を右側(例えばX方向+側)に移動させたい場合に、ユーザが手や腕を右方向(例えばX方向+側)に振る動作や、ユーザが表示装置1の方向に向けて指や手を押し込んでから一定方向(X方向+側)にはじくように移動するフリック動作や、指や手を一定方向(X方向+側)になぞるように移動するスワイプ動作等がある。また、ユーザが視認している空中像30を手前側(たとえばY方向+側)に移動させたい場合に、ユーザが前に突き出した腕を手前に引くような動作や、手招きするような動作等がある。
検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、撮像データ上でユーザが上記のジェスチャーを行ったか否かを検出する。検出部25によりジェスチャーが行われたことが検出されると、決定部26は、空中像30を移動させる方向と移動量を決定する。この場合、決定部26は、ユーザが手や腕を右方向(X方向+側)に振るジェスチャーをした場合に、ユーザの手や腕が移動したX方向+側を、空中像30を移動させる方向として決定する。決定部26は、空中像30の移動量をジェスチャーの際に手や腕が移動した量に従って決定する。即ち、決定部26は、ユーザが手や腕を振ったときの手や腕の移動量が小さい場合は空中像30の移動量を小さくし、手や腕の移動量が大きい場合には空中像30の移動量を大きくする。または、決定部26は、空中像30が形成されている位置から予め決められた移動量だけ離れた位置に移動させても良い。即ち、ユーザが行ったジェスチャーの大きさに拘わらず、空中像30は一定の移動量で移動する。この場合、ユーザの所望する位置まで空中像30が移動されない場合には、空中像30が所望の位置に移動するまで、ユーザが同様のジャスチャーを繰り返し行う。
駆動制御部21は、決定部26によって決定された空中像30の移動方向と移動量とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1および第2駆動ミラー421の駆動角度θ2の少なくとも一方を算出し、第1駆動部412および第2駆動部422の少なくとも一方に電圧の印加を行う。この結果、空中像30は、ユーザが行うジェスチャーに基づいて、第1結像ミラー411の傾斜駆動および第2結像ミラー421の傾斜駆動の少なくとも一方に応じて移動した位置に形成される。
また、ジェスチャーとして、ユーザが、最初に、あたかも手で空中像30をつかみ、次に、つかんだ空中像30をユーザが所望する位置に移動し、最後に、つかんだ空中像30を移動したい領域にて離す、という動作がある。この場合、決定部26は、つかんだ空中像30を離すジェスチャーが行われた位置を、空中像30の新たな形成位置、即ち移動後の空中像30の位置として決定する。なお、決定部26は、つかんだ空中像30を離すジェスチャーが行われた位置よりも移動方向に沿って所定距離だけ手前の位置や、所定距離だけ移動方向に沿って進んだ位置を、空中像30の新たな形成位置として決定しても良い。また、つかんだ空中像30を離すジェスチャーが行われた位置に拘わらず、空中像30が形成されている位置から予め決められた移動量だけ移動させても良い。
第4の実施の形態の変形例1の表示装置1による空中像30を移動させるための動作について説明する。以下の説明では、第4の実施の形態にて説明した図21のフローチャートに示す処理との相違点を主に説明を行う。制御部20の検出部25は、図21のステップS2(撮像データを用いてユーザ検出)に代えて、ステップS1にて撮像装置5により生成された撮像データを用いてユーザにより行われた動作、例えば手や腕の移動する方向や移動量等を検出する。この場合、検出部25は、撮像装置5により生成された複数の撮像データを用いて、ユーザにより行われた動作を検出する。制御部20は、図21のステップS3(ユーザの検出判定)に代えて、検出部25により検出された動作が所定のジェスチャーであるか否かを判定する。所定のジェスチャーである場合には、制御部20は、図21のステップS4(空中像の移動量算出)〜ステップS6(終了判定)の各処理と同様の処理を行う。所定のジェスチャーではない場合には、制御部20は、図21のステップS1に戻って処理を実行する。
第4の実施の形態の変形例1では、検出部25によって検出された、ユーザが行ったジェスチャーに基づいて、決定部26は空中像30の位置を決定する。これにより、ユーザが所望する位置に空中像30を形成させることができる。
なお、ユーザが上記のようなジェスチャーによる空中像30を移動させる場合に、空中像30に対して所定の距離となる位置まで接近していないときには、検出部25はユーザが行った動作をジェスチャーとして検出しないようにしても良い。所定の距離としては、例えば、成人が腕を伸ばすと空中像30の位置に到達する距離、即ち空中像30が形成されている位置から30cm〜40cm程度等に設定しても良いし、ユーザが成人か子供かに応じて距離を変動させても良い。この場合、検出部25は、撮像装置5により生成された撮像データ上で検出した人物の大きさに基づいて、ユーザが空中像30から所定の距離内に存在するか否かを判定すれば良い。ユーザが所定の距離内に存在しない場合には、検出器25は、ユーザがどのような動作を行ったとしてもジェスチャーとして検出しない。
または、ユーザが空中像30の形成されている位置付近に指や手を位置させることにより、あたかも空中像30にタッチ(触れる)するような動作を行った場合に、空中像30の位置を移動させることが可能になるようにしても良い。即ち、ユーザが空中像30をタッチするような動作の後に、ジェスチャーを行うことにより、空中像30を所望する位置に移動させるようにしても良い。この場合、検出部25は、撮像装置5により生成された撮像データからユーザが空中像30にタッチする動作を行ったことを検出しても良い。または、表示装置1が、例えば、公知の透明静電容量式パネル(以下、静電容量パネルと記載)等によって構成され操作検出器を有する場合には、静電容量パネルからの検出信号に基づいて、ユーザの指や手の位置が空中像30の形成位置の近傍にあることを検出しても良い。
このようにすることで、第4の実施の形態の変形例1では、ユーザが空中像30を移動させるためとは異なる目的で行った動作を、所定のジェスチャーと誤認して、ユーザが所望していないにも拘わらず空中像30が移動してしまうことを防止できる。
また、ユーザが空中像30を移動させるために上述したような所定のジェスチャーを行った後、ユーザが体の前で腕や指をクロスさせ「×」を作るジェスチャーを行ったことが検出部25により検出されたときに、空中像30の移動をキャンセルし、当初の位置に形成させ続けても良い。
なお、以上の第4の実施の形態とその変形例1では、ユーザの位置やジェスチャーに基づいて、形成されている空中像30の位置を移動させるものであったが、ユーザの位置やジェスチャーに基づいて、空中像30の形成を開始させるものであっても良い。例えば、表示装置1をデジタルサイネージ等に組み込んだ場合に、ユーザが表示装置1に対して所定の位置、例えば50cm離れた位置で立ち止まった場合に、空中像30の形成を開始すれば良い。なお、上記の所定の位置は、表示装置1が設けられた場所等の環境に応じて異ならせると良い。また、表示装置1の前でユーザが、例えば体の前で手を振る等のジェスチャーを行った場合に空中像30の形成を開始すれば良い。
また、検出部25によって、撮像装置5により生成された撮像データからユーザが空中像30にタッチする動作を行ったことを検出した場合、ユーザの操作に基づいて、制御部20は表示器11の表示を制御してもよい。一例としては、表示器11に動画再生用のボタンの画像が表示され、空中にボタンの画像の空中像30が表示されているとする。このような場合、ユーザが空中に表示されたボタンの画像をタッチするような操作を検出部25によって検出した場合、ボタンの画像に対応する動画を再生するような制御を行う。このような制御を、制御部20は行っても良い。なお、表示器11に表示するボタンの画像は一例であり、適宜変更してもよい。
なお、撮像装置5により生成された撮像データからユーザが空中像30にタッチする動作を行ったか否かの判断については、例えば、ユーザの手の位置が空中像30が表示された位置とほぼ同じ場合に、空中像30にタッチしたと制御部20は判断してよい。
上記の限らず、ユーザの手の位置が空中像30から±5cm以内であった場合に、同様に空中像30にタッチしたと制御部20は判断してもよい。この±5cmは適宜変更してもよく、空中像30付近での操作に限定したい場合には、±5cmの幅よりも狭くしても良い。逆に、広い範囲で空中像30を操作させたい場合には、±5cmの幅より広くしても良い。
−第5の実施の形態−
図面を参照しながら、第5の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第5の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
第1の実施の形態とその変形例1〜4(図1〜図10参照)や、第2の実施の形態とその変形例1〜4(図11〜図17参照)や、第3の実施の形態(図18参照)や、第4の実施の形態とその変形例1(図19〜図21参照)では、結像光学系12や光学系12Aにより、空中像30が形成される位置をXY平面で移動させる例について説明した。第5の実施の形態の表示装置1は、結像光学系12の結像ミラーを傾斜させて空中像30を表示器11の位置と対称な位置からずれた位置に形成する場合に実像が不鮮明になることを防止するものである。なお、本明細書においては、一例として、表示器11の表示画素のピッチよりも粗い実像が形成された場合に、その実像を不鮮明な実像と呼ぶこととする。
以下では、本実施の形態の具体的な構成を説明する前に、結像ミラーの傾斜と実像との関係について説明を行う。
<結像ミラーの傾斜と実像との関係>
図22(a)は、結像光学系12に傾斜駆動可能な第1結像ミラー411を動作状態として空中像30を移動した場合に、空中像30が不鮮明になることを模式的に説明する図である。図22(a)において、複数の第1結像ミラー411が傾斜角度−θだけ傾けて設けられていると、表示器11の表示画素P1からの光束のうち、表示画素P1に相対的に近い位置にある第1結像ミラー411で反射した光束は、理想的には実像P11に集光する。しかし、表示画素P1から相対的に離れた遠い位置にある第1結像ミラー411で反射した光束Lは、実像P11の位置に集光せず、ずれてしまう。即ち、第1結像ミラー411を傾けることによって収差が発生し、結像しない。また、複数の第1結像ミラー411の傾斜角度−θの大きさが増加するほど、収差が増大する。これによって、実像P11の鮮明度が低下する。
図22(b)は、表示器11の表示画素P1から出射した複数の光束(以下、光束群LG1)を説明する図である。なお、図22(b)では、光束群LG1を主に示すことを目的として、第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示す。表示器11の表示画素P1から出射した光束群LG1は、第1光学部41と第2光学部42とにより反射され、光束群LG11となる。しかし、結像が見込まれる範囲P12において、光束群LG11は幅を有する光束であり、不鮮明な実像を形成する。これは、第1結像ミラー411が角度−θで傾いて配置されているためである。以下にその理由を説明する。
図23を用いて第1結像ミラー411の傾きと実像の結像との関係を説明する。図23は、表示器11の表示画素P1と第1結像ミラー411と実像の結像位置との概念をZX平面での断面を用いて模式的に示す図である。図23(a)は第1結像ミラー411が角度−θ4で傾いて配置された例を示す断面図である。表示器11の表示画素P1からの複数の光束L1、L2、L3、L4…のうち、光束L1が第1結像ミラー411aに入射して反射され、光束L2が第1結像ミラー411bに入射して反射され、光束L3が第1結像ミラー411cに入射して反射され、光束L4が第1結像ミラー411dに入射して反射される。
このとき、光束L1の入射位置において第1結像ミラー411aに立てた法線VL1と、光束L2の入射位置において第1結像ミラー411bに立てた法線VL2と、光束L3の入射位置において第1結像ミラー411cに立てた法線VL3と、光束L4の入射位置において第1結像ミラー411dに立てた法線VL4とは、図23(a)に示すように、互いに一致せず、互いに平行になる。このため、第1結像ミラー411a、411b、411c、411dにて反射された光束L1、L2、L3、L4は一点で交わらない。
ここで、第1結像ミラー411が角度−θ4で傾いている状態で表示画素P1からの光束を結像させる方法として、各光束L1、L2、L3、L4…の入射位置における第1結像ミラー411a、411b、411c、411d…に立てた法線VLを一致させる方法がある。図23(b)に示すように、それぞれの第1結像ミラー411a、411b、411c、411d…をZ方向に沿って異なる移動量で移動させることができれば、それぞれの垂線VLを一致させることができる。この状態では、表示画素P1から出射された光束は実像P11位置で一致するので、収差の発生を低減させることができる。即ち、鮮明な実像が形成させることができる。
しかし、第1結像ミラー411a、411b、411c、411d…をZ方向に沿って移動させるために、Z方向に対して厚みが生じてしまう。
本実施の形態の表示装置1では、図23に示す第1結像ミラーの角度と実像との関係に基づいて、収差の発生を低減して鮮明な実像を形成するように構成された光学系を有するものである。
なお、本明細書では、収差が少しでも低減されると鮮明な実像が形成されるものとして説明を行う。
<第5の実施の形態の表示装置1の構成>
第5の実施の形態の表示装置1は、図1に示した表示装置1の結像光学系12とは異なる光学系12Bを有する。
図24(a)は、第5の実施の形態の光学系12Bの構成を模式的に示すZX平面に平行な面での断面図である。なお、図24(a)は光学系12Bの一部の範囲を代表して表す図である。光学系12Bは、第1の実施の形態の結像光学系12(図3参照)とは、第1駆動部412と第2駆動部422とを備えず、補助光学部材14を備える点で異なる。また、図24(a)では、第1筐体410の上部(Z方向+側)に第2筐体420を配置した例を示すが、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。
光学系12Bの第1結像ミラー411は、反射面がX方向を向き、かつZ方向に対して所定の角度−θ4だけ傾けた状態で第1筐体410に配置される。第2結像ミラー421は、反射面がY方向を向き、かつZ方向に対して傾きを持たない直立状態で第2筐体420に配置される。すなわち、光学系12Bの第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とは、表示器11上における表示画像のX座標とは異なるX座標の位置に空中像30を形成する。図24(a)に示す例では、第1結像ミラー411は、図の紙面に対して時計回りにZ方向と角度−θ4をなすように配置されている。このため、既に第1の実施の形態とその変形例にて説明したように、空中像30は表示器11に対してX方向+側に角度−θ4に応じた量だけ移動した位置に形成される。
補助光学部材14は、第1光学部41の第1筐体410の下部(Z方向−側)に配置される。補助光学部材14は、表示器11の表示画素から出射された複数の光束が複数の第1結像ミラー411にそれぞれ入射する前に、偏向させる偏向光学部材である。補助光学部材14は、表示器11の表示画素から出射されて複数の第1結像ミラー411に向かう複数の光束の進行方向をそれぞれ偏向する。なお、補助光学部材14は、第2光学部42の第2筐体420の上部(Z方向+側)に配置されても良い。この場合、補助光学部材14は、第2結像ミラー421で反射された光束を偏向するための偏向光学部材である。補助光学部材14についての詳細は、説明を後述する。
図24(b)は、本実施の形態の表示装置1の主要部の構成を示すブロック図である。上述したように、光学部12Bは第1駆動部412と第2駆動部422とを備えていないので、本実施の形態の表示装置1は、図2に示す第1の実施の形態におけるブロック図と異なり、駆動制御部21を有していない。他の構成については第1の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、本実施の形態の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学部12Bと、記憶部9とを備え、制御部20は、表示生成部22と表示制御部23とを備える。
なお、制御部20は、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Bと一体化させても良い。
<補助光学部材14について>
図24(a)に示すように、補助光学部材14は、たとえば、ZX平面での断面が三角形となるプリズムである。なお、補助光学部材14として用いるプリズムのZX平面での断面の形状が三角形に限定されるものではない。第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4の大きさ等に応じて最適な形状を採用することができる。補助光学部材14は、第1筐体410の底面(Z方向−側の面)と対向する第1面141と、X方向+側端部でZ方向に沿った第2面142と、第1面141と第2面142とを結ぶ斜面を形成する第3面143とを有する。本実施の形態では、補助光学部材14の第3面143は、X方向−側の端部で第1面141に対して角度φ3をなす。すなわち、補助光学部材14は、第3面143が、XY平面に対して、図の紙面を時計回りに角度φ3となるように製造される。その結果、補助光学部材14はX方向+側ほど厚み(Z方向の長さ)が増す。この角度φ3は、上述した第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4に応じて決まる。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4の大きさを大きく設定することにより、X方向−側端部での補助光学部材14の第3面143がXY平面に対して図の紙面上で時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように設定される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、補助光学部材14の第3面143のXY平面に対する傾きとは異なる。
なお、第1結像ミラー411がZ方向と図の紙面上で反時計回りに所定の角度をなす場合、すなわち角度+θ4だけ傾斜している場合には、補助光学部材14は、図24(a)に示す例に対して左右(X方向)対称となるように第1筐体410の下部(Z方向−側)に配置される。すなわち、補助光学部材14の第3面143がX方向+側の端部で第1面141、即ちXY平面に対して角度φ3をなし、第2面142がX方向−側端部に位置するように配置され、X方向−側ほど補助光学部材14の厚みが増す。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度+θ4の大きさを大きく設定することにより、X方向+側端部での補助光学部材14の第3面143がXY平面に対して図の紙面上で反時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように設定される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、補助光学部材14の第3面143のXY平面に対する傾きとは異なる。
以下の説明では、補助光学部材14は屈折率が「2」であるものとして説明する。しかし、補助光学部材14の屈折率はこの値に限定されるものではないが、空気の屈折率よりも大きい値であることが好ましい。
<補助光学部材14と光路との関係>
図25に示す光路図を参照して、表示器11から出射された光の光路の補助光学部材14による補正について説明する。図25(a)は補助光学部材14を設けた場合に表示器11の表示画素P1から出射された光の光路を示す。表示画素P1から出射された光束のうち、図の紙面左端(X方向−側端)に向かう光束L1は、補助光学部材14に入射して偏向して左端の第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて実像P11の位置に集光する。表示画素P1から出射して左端の第1結像ミラー411の隣(X方向+側)の第1結像ミラー411に向かう光束L2は、補助光学部材14に入射して偏向し、左端の第1結像ミラー411の隣の第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて実像P11の位置に集光する。
同様に、表示画素P1から出射され、図の紙面右端(X方向+側端)の第1結像ミラー411に向かう光束L3は、補助光学部材14に入射して偏向し、右端の第1結像ミラー411に入射して、そこで反射されて実像P11の位置に集光する。このように、表示画素P1からの複数の光束L1、L2、L3等は、何れも補助光学部材14によって偏向されて、実像P11の位置に収束、すなわち集光するので、実像P11は鮮明な像となる。この実像P11は、第1結像ミラー411の角度−θ4に応じて、表示画素P1よりもX方向+側に移動した位置に結像する。表示器11の他の表示画素から出射される光束についても、同様にしてX方向+側に移動した位置に結像する。
図25(b)は補助光学部材14を設けた場合における表示器11の表示画素P1、P2、P3から出射された光束とその結像点とを示す図である。なお、図25(b)においては、補助光学部材14と光束とを主に示すことを目的として、第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示す。
図25(b)に示すように、表示器11の表示画素P1から出射した光束群LG1は、補助光学部材14と第1光学部41と第2光学部42とにより屈折、反射され、光束群LG11となり、結像して実像P11を形成する。表示画素P2から出射した光束群LG2と、表示画素P3から出射した光束群LG3とについても同様にして、それぞれ光束群LG21、LG31となり、結像してそれぞれ実像P21、P31を形成する。すなわち、全ての表示画素から出射された光束は結像して実像を形成する。その結果、第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4に応じてX方向+側に移動した位置に空中像30が形成される。
なお、図25(b)に示すように、空中像30は、XY平面に対して所定の傾きを有して空中に形成される。表示器11のX方向−側端の表示画素P2から出射した光束群LG2と、表示器11のX方向+側端の表示画素P3から出射した光束群LG3とを比較する。上述したように、補助光学部材14はX方向+側ほど厚み(Z方向の長さ)が増すため、光束群LG2が補助光学部材14を通過する距離よりも光束群LG3が補助光学部材14を通過する距離の方が長い。補助光学部材14の屈折率は空気の屈折率よりも大きな値であるため、補助光学部材14を通過する光束群の光路長は長くなる。即ち、表示器11から出射された光束群LG3の第1光学部41、第2光学部42までの光路長は、光束群LG2よりも長くなるので、光束群LG3は光束群LG2と比べて表示器11に近い側(Z方向−側)にて収束する。これにより、表示器11のX方向+側に位置された表示画素から出射された光束ほどZ方向−側に収束するので、空中像30は図25(b)に示す傾きを有して形成される。
本実施の形態では、図25(a)に示したように、補助光学部材14を構成するプリズムによって、プリズムと空気との間の屈折率の差と第3面143の形状(XY平面に対する傾き角度φ3)により光束L1、L2、L3、L4…の進行方向を偏向する。この偏向の結果、各第1結像ミラー411に入射する光束が偏向される。これにより、表示器11の表示画素P1から出射した光束は実像P11位置で一致し、収差が低減された実像P11が形成される。他の表示画素から出射された光束も同様に結像するので、収差が低減された空中像30を形成することができる。
なお、第1結像ミラー411がX方向に傾くことなく配置され、第2結像ミラー421がZ方向に対して所定の角度傾いて配置された場合には、補助光学部材14の取付方向を90°変更すれば良い。すなわち、補助光学部材14の厚み(Z方向の長さ)がY方向に沿って増減するように配置すれば良い。
第5の実施の形態では、表示器11から出射された光束を空中に表示する光学系12Bは、表示器11から出射された光束を反射する複数の第1結像ミラー411で構成される第1光学部41と、表示器11から出射された光束を偏向、すなわち光路を補正し、第1光学部41によって生じる収差を低減する補助光学部材14とを備える。これにより、形成位置を移動させた空中像30の収差による劣化を抑制できる。
また、第5の実施の形態では、補助光学部材14は、第3面143の傾き(XY平面となす角度φ3)が複数の第1結像ミラー411の角度−θ4とは異なる。これにより、偏向された光束が第1結像ミラー411に導かれて反射されるので、第1結像ミラー411の傾斜に起因する収差を低減させた空中像30を形成することができる。
また、第5の実施の形態では、複数の第1結像ミラー411は角度−θ4に傾斜されて配置されるので、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第5の実施の形態では、表示を行う表示器11を備えるので、表示器11に表示した画像を空中像30としてユーザに視認させることができる。
また、第5の実施の形態では、表示器11から出射された光束を反射する複数の第1結像ミラー411で構成される第1光学部41と、表示器11から出射された光束を偏向、即ち光路を補正し、表示器11から出射された光束を空中に結像する補助光学部材14とを備える。これにより、収差を低減させた空中像30を結像させることができる。
また、第5の実施の形態では、表示器11から出射された光束を偏向、すなわち光路を補正する補助光学部材14と、表示器11から出射され、光路が補正されたた光束を反射する複数の第1結像ミラー411で構成され、複数の第1結像ミラーによって表示器11から出射された光束を空中に結像する第1光学部41とを備える。これにより、収差を低減させた空中像30を結像させることができる。
なお、補助光学部材14のうち、Z方向に平行な第2面142については非反射処理を施しても良い。この場合、第5の実施の形態では、第3面143とは異なる傾きを有する第2面142に非反射処理を施すことにより、表示器11から出射した光束が第2面142で反射して空中像30の形成に悪影響を及ぼしたり、乱反射等による空中像30の視認性が劣化したりすることを防ぐ。
(第5の実施の形態の変形例1)
第5の実施の形態(図24、図25参照)では、補助光学部材14としてプリズムを用いた例を説明したが、これに限定されない。たとえば、補助光学部材14として公知の液晶素子や、薄膜内に液体を注入して形状を変形可能な液体レンズ(液体プリズム)を用いることができる。以下、液晶素子の例と液体レンズの例とに分けて、第5の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第5の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
<補助光学部材14が液晶素子の例>
図26(a)は、補助光学部材14として透明な容器内に設けられた液晶素子146を用いた場合を示す。補助光学部材14の上部(Z方向+側)と下部(Z方向−側)にはそれぞれ上部電極151と下部電極152とが設けられる。上部電極151と下部電極152とに電圧が印加されることにより、補助光学部材14内の液晶素子146の配列方向が制御されることにより屈折率分布が制御される。なお、上部電極151と下部電極152とは、表示器11から出射された光を屈折させることがないように、たとえば空気に近い屈折率を有する透明な材料を用いて製造された透明電極である。補助光学部材14の詳細については説明を後述する。なお、図26(a)は、印加される電圧が制御されることにより、補助光学部材14内の屈折率分布が制御されて、液晶素子146が図示するような配向方向に制御されたと見なせるような状況を作り出したと仮定した場合を模式的に示した図である。
図26(b)は、補助光学部材14として液晶素子146を用いた場合の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。この表示装置1では、図24(b)に示す第4の実施の形態におけるブロック図と異なり、制御部20は、補助光学部材14の上部電極151と下部電極152とに印加する電圧を制御する電圧制御部24を備える。他の構成については第5の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、補助光学部材14に設けられた上部電極151および下部電極152と、記憶部9とを示している。制御部20は、画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24とを備える。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、補助光学部材14の動作を制御する補正用の制御部との2つ有しても良い。この場合、制御部20では、表示用の制御部は、表示器11の内部に格納し、補助光学部材14の動作を制御する補正用の制御部は、光学系12Bと一体化させても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と補助光学部材14とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Bと一体化させても良い。
<補助光学部材14の動作>
図26(a)に示すように、補助光学部材14内の液晶素子146は、上部電極151と下部電極152との間に印加された電圧により生じた電界の作用を受ける。これにより、全体として第1の屈折率を有していると見なせる第1領域144と、全体として第2の屈折率を有していると見なせる第2領域145とが生成される。第1の屈折率と第2の屈折率とは異なる値である。屈折率分布が異なる第1領域144と第2領域145との境界では、第5の実施の形態にて説明したプリズムの場合と同様にして、表示器11からの光束が偏向(屈折)する。
なお、第1の屈折率と第2の屈折率との差が、第5の実施の形態で説明したプリズムと空気との屈折率の差と同程度となるように上部電極151と下部電極152とに電圧が印加されるのが好ましい。この場合、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧は、予め試験等を行った結果に基づいて決定され、記憶部9に記憶されている。
また、第2領域145の第2の屈折率は空気の屈折率に近くなるように液晶素子146の配向が制御されることが好ましい。
屈折率分布の異なる第1領域144と第2領域145との境界が境界面143である。本変形例では、境界面143は、X方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3を有するように液晶素子146の配列方向が制御される。すなわち、第1結像ミラー411に対する境界面143の位置関係が、第5の実施の形態のプリズムにおける第1結像ミラー411に対する第3面143(図24参照)の位置関係とほぼ同様になる。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4を大きく設定することにより、X方向−側端部での補助光学部材14の境界面143がXY平面に対して図の紙面上で時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように電圧が印加される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、補助光学部材14の境界面143のXY平面に対する傾きとは異なる。したがって、第5の実施の形態におけるプリズムにより構成される補助光学部材14を第1筐体410の下部に配置した場合と同様に、表示器11からの光束は、液晶素子146によって図21や図22(a)で示したように偏向されて、Z方向に対して角度+θ4に傾いて取り付けられた第1結像ミラー411に入射する。
なお、第1結像ミラー411が所定の角度+θ4傾けて取り付けられた場合、すなわちZ方向と図の紙面上で反時計回りに所定の角度+θ4をなす場合には、補助光学部材14の境界面143が図26(a)に示す例に対して紙面の左右(X方向)対称となるように液晶素子146の配列方向を制御すれば良い。すなわち、補助光学部材14の境界面143がX方向+側の端部でXY平面と角度φ3をなすようにすれば良い。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度+θ4の大きさを大きく設定することにより、X方向+側端部での補助光学部材14の境界面143がXY平面に対して図の紙面上で反時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように電圧が印加される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、境界面143のXY平面に対する傾きとは異なる。
また、第1結像ミラー411がZ方向に傾くことなく配置され、第2結像ミラー421がZ方向に対して所定の角度傾いて配置された場合には、境界面143と第1筐体410の下部との距離(Z方向の距離)がY方向に沿って増減するように液晶素子146の屈折率分布を制御すれば良い。
第5の実施の形態の変形例1では、補助光学部材14は、液晶素子146の屈折率分布が異なる第1領域144と第2領域145とを少なくとも含むので、第1領域144と第2領域145との境界で屈折が生じて光束を偏向させることができる。
また、第5の実施の形態の変形例1では、補助光学部材14の第1領域144と第2領域145との境界面143のXY平面に対する傾き(角度φ3)が、複数の第1結像ミラー411の角度−θ4と異なる。これにより、偏向された光束が第1結像ミラー411に導かれて反射され、第1結像ミラー411の傾斜に起因する収差を低減させた空中像30を形成することができる。
なお、補助光学部材14のうち、Z方向に平行な第2面142については非反射処理を施しても良い。この場合、第5の実施の形態の変形例1では、第3面143とは異なる傾きを有する第2面142に非反射処理を施すことにより、表示器11から出射した光束が第2面142で反射して空中像30の形成に悪影響を及ぼしたり、乱反射等による空中像30の視認性が劣化したりすることを防ぐ。
<補助光学部材14が液体レンズの例>
次に、上述した補助光学部材14として液晶素子を用いた場合と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、補助光学部材14として液晶素子を用いた場合にて説明した内容を適用することができる。
図27(a)は、補助光学部材14として液体レンズを用いた場合を示す。補助光学部材14の透明な容器には、共通電極153と、補助光学部材14の側面(Z方向に沿った面であり、図24(a)に示す第5の実施の形態における第2面142に相当)にそれぞれ設けられた電極154とが設けられる。補助光学部材14の透明な容器の内部には、導電性液体147と絶縁性液体148とが注入されている。導電性液体147と絶縁性液体148とは、互いに交じり合わず、屈折率が異なる液体であり、導電性液体147と絶縁性液体148との境界が境界面143である。共通電極153は、導電性液体147と接触するように取り付けられる。本変形例では、上記の構成の液体レンズに対して、公知のエレクトロウェッティングの技術を用いて、境界面143の位置を制御する。補助光学部材14の動作については詳細を後述する。
図27(b)は、補助光学部材14として液体レンズを用いた場合の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。この表示装置1では、図26(b)に示す変形例1におけるブロック図と異なり、制御部20の電圧制御部24は、補助光学部材14に設けられた共通電極153と電極154とに印加する電圧を制御する。他の構成については図26(b)に示す変形例1におけるブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、補助光学部材14に設けられた共通電極153および電極154と、記憶部9とを示している。制御部20は、画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24とを備える。
<補助光学部材14の動作>
補助光学部材14内の導電性液体147は、共通電極153と電極154との間に電圧が印加されると、エレクトロウェッティングにより、導電性液体147が補助光学部材14の透明な容器の各側面の各々に対する接触角が変化する。これにより、導電性液体147と絶縁性液体148との境界面143の位置が決まる。本変形例では、境界面148は、第5の実施の形態におけるプリズムの第3面143(図24参照)と同一面となるように、共通電極153と電極154との間に電圧が印加される。この結果、境界面143は、X方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3を有する。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度−θ4を大きく設定することにより、X方向−側端部での補助光学部材14の境界面143がXY平面に対して図の紙面上で時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように電圧が印加される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、補助光学部材14の境界面143のXY平面に対する傾きとは異なる。
従って、補助光学部材14に液体レンズを用いた場合においても、表示器11からの光束は、導電性液体147と絶縁性液体148とによって、図25で示したように偏向されて第1結像ミラー411へ向かう。これにより、表示器11からの光束は、導電性液体147と絶縁性液体148とにより偏向されて、Z方向に対して角度−θ4に傾いて取り付けられた第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて表示器11に表示された画像の空中像30が収差を低減された状態で形成される。
なお、第1結像ミラー411が所定の角度+θ4傾いて取り付けられた場合、すなわちZ方向と図の紙面上で反時計回りに所定の角度+θ4をなして配置される場合には、境界面143が図27に示す例に対して紙面左右(X方向)対称となるように共通電極153と電極154とに印加する電圧を決めれば良い。すなわち、境界面143がX方向+側の端部でXY平面と角度φ3をなすようにすれば良い。換言すると、第1結像ミラー411がZ方向となす角度+θ4の大きさを大きく設定することにより、X方向+側端部での補助光学部材14の境界面143がXY平面に対して図の紙面上で反時計回りの方向になす角度φ3が大きくなるように電圧が印加される。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、境界面143のXY平面に対する傾きとは異なる。
また、第1結像ミラー411がZ方向に傾くことなく配置され、第2結像ミラー421がZ方向に対して所定の角度傾いて配置された場合には、境界面143と第1筐体410の下部との距離(Z方向の距離)がY方向に沿って増減するように境界面143の角度を制御すれば良い。
上述の例では、液体レンズとしてエレクトロウェッティングの技術を用いて境界面143を設定したが、これに限定されない。たとえば、透明な容器内に液体を注入し、液体の液面上に透明板を配置した液体レンズを用いても良い。この場合、たとえばポンプ等により容器内の液体を流動させ液面を変化させることにより、透明板の傾斜を変化させる。
図28(a)は、この場合の補助光学部材14を備えた光学系12Bの構造を示す。なお、第1光学部41と第2光学部42とは図27(a)に示す場合と同様であるので、補助光学部材14の液体レンズに関する説明を主に行う。特に説明を行わない点については、エレクトロウェッティングの技術を用いた液体レンズにて説明した内容を適用することができる。
補助光学部材14の透明な容器の内部には、液体148と、透明板149と、ポンプ155とが設けられる。なお、ポンプ155は、透明な容器のZ方向に垂直な各面にそれぞれ設けられるが、図28(a)では、図示の都合から、X方向−側とX方向+側とに設けられたポンプ155を示す。透明板149は、液体148に浮いた状態で配置され、後述するように液体148が流動した場合に流動に応じて揺動可能となっている。補助光学部材14の動作については説明を後述する。
図28(b)は、表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。この表示装置1では、図27(b)に示すブロック図とは異なり、制御部20は、ポンプ制御部28を有し、それぞれのポンプ155の動作を個別に制御する。他の構成については、図27(b)に示すブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、補助光学部材14に設けられたポンプ155と、記憶部9とを示している。制御部20は、画像生成部22と、表示制御部23と、ポンプ制御部28とを備える。
<補助光学部材14の動作>
各ポンプ155は、ポンプ制御部28により駆動が制御され、図28(a)の矢印AR4、AR5に示すようにZ方向+側に液体148を流動させる。ポンプ制御部28は、各ポンプ155によって付与される流速をそれぞれ異ならせることにより、各ポンプ155の上部(Z方向+側)における液体148の液量を異ならせる。これにより、液体148の液面がXY平面に対して傾斜を有するようになる。透明板149は、この液体148の液面の傾斜に従ってXY平面に対して傾斜して、屈折面として機能する。
本変形例では、透明板149の傾斜、即ち液体148の液面の傾斜が第5の実施の形態におけるプリズムの第3面143(図24参照)と同一面となるように、各ポンプ155が付与する流速が制御される。この結果、透明板149は、X方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3を有する。
表示器11から出射された光束は、補助光学部材14の透明板149にて偏向されて第1結像ミラー411へ向かう。これにより、Z方向に対して角度−θ4に傾いて取り付けられた第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて表示器11に表示された画像の空中像30が収差を低減された状態で形成される。
第5の実施の形態の変形例1では、補助光学部材14は、屈折率が異なる導電性液体147と絶縁性液体148とを少なくとも含む液体レンズにより構成されるので、導電性液体147と絶縁性液体148との境界で屈折が生じて光束を偏向させることができる。
また、第5の実施の形態の変形例1では、補助光学部材14は導電性液体147と絶縁性液体148との境界面143のXY平面に対する傾きφ3が、複数の第1結像ミラー411の角度−θ4と異なる。これにより、偏向された光束が第1結像ミラー411に導かれて反射されるので、第1結像ミラー411の傾斜に起因する収差を低減させた空中像30を形成することができる。
なお、補助光学部材14のうち、Z方向に平行な第2面142については非反射処理を施しても良い。この場合、第5の実施の形態の変形例1では、境界面143の傾斜や、透明板149、すなわち液体149の液面の傾斜とは異なる傾きを有する第2面142に非反射処理を施すことにより、表示器11から出射した光束が第2面142で反射して空中像30の形成に悪影響を及ぼしたり、乱反射等による空中像30の視認性が劣化したりすることを防ぐ。
(第5の実施の形態の変形例2)
第5の実施の形態とその変形例1(図24〜図28参照)では、光学系12Bが全ての第1結像ミラー411に共通する1つの第3面143を有する補助光学部材14を備える例を示した。これに対して、変形例2では、複数の部分光学部材14Aを有する補助光学部材14を配置する。以下、第5の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第5の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図29(a)に変形例2における光学系12BのZX平面での断面を示す。変形例2の補助光学部材14は、複数の部分光学部材14Aを有する。部分光学部材14Aのそれぞれは、第5の実施の形態の補助光学部材14と同様にプリズムである。部分光学部材14Aは、XY平面に対して角度φ3を有する第3面143Aを有する。即ち、第5の実施の形態の補助光学部材14と相似形状を有する複数のプリズムが第1筐体410の下部に配置される。これにより、第5の実施の形態の変形例2の補助光学部材14は、XY平面に対して角度φ3を有する第3面143Aが複数設けられている。換言すると、XY平面に対して角度φ3を有する第3面143Aと同一の角度φ3を有する面が複数設けられている。
各部分光学部14Aのうち、Z方向に平行な第2面142Aについては非反射処理が施される。第2面142Aに非反射処理を施す目的は、表示器11から出射した光束が第2面142Aで反射して空中像30の形成に悪影響を及ぼしたり、乱反射等による空中像30の視認性が劣化したりすることを防ぐためである。また、各部分光学部14Aの第2面142Aについて非透過処理を施しても良い。非透過処理を施す目的は、表示器11から出射した光束が第2面142Aを透過して、第3面143Aで偏向されることなく第1結像ミラー411に到達することを防ぐためである。
なお、この変形例2では、2つの第1結像ミラー411に対して1つの部分光学部材14Aが対応するように配置されているが、1つの第1結像ミラー411に対して1つの部分光学部材14Aを配置しても良いし、3つ以上の第1結像ミラー411に対して1つの部分光学部材14Aを配置しても良い。
表示器11から出射された光束は、部分光学部材14Aで偏向されて、角度−θ4に傾斜された第1結像ミラー411に入射し、ここで反射されて収差が低減された空中像を形成する。
第5の実施の形態の変形例2では、補助光学部材14は、複数の微細な部分光学部材14Aから構成される。補助光学部材14では、角度φ3と第3面143の形状とが表示器11からの光束が偏向する角度即ち屈折角度に寄与し、Z方向の長さ(厚み)は屈折角度に影響を与えない。そのため、第5の実施の形態の変形例2の部分光学部材14Aは、第5の実施の形態の補助光学部材14のZ方向の長さを小さくして形成されるので、補助光学部材14のZ方向の長さが小さくなり、光学系12Bの小型化に寄与する。
また、それぞれの部分光学部材14AのZ方向の長さを小さくしたことにより、図25(b)に示した場合とは異なり、光束が入射するX方向位置に応じて光路長に差が生じない。これにより、第5の実施の形態により形成される空中像30とは異なる形態、即ち空中像30をXY平面に対して傾けることなく形成することができる。
また、第5の実施の形態の変形例2では、各部分光学部材14Aの第2辺142Aに、表示器11から出射された光の反射を防ぐ処理、または透過を防ぐ処理が施されている。これにより、表示器11から出射した光束が第2面142Aで反射して空中像30の形成に悪影響を及ぼしたり、乱反射等による空中像30の視認性の劣化を防ぐことができる。また、非透過処理を施すことにより、表示器11からの光束が第2面142Aを透過して境界面143Aで偏向されることなく第1結像ミラー411に到達することを防ぎ、空中像30の視認性の劣化を防ぐことができる。
なお、第5の実施の形態の変形例2においても、部分光学部14Aとして、変形例1のように、図26に示す液晶素子や図27、図28に示す液体レンズを用いることができる。以下、液晶素子の例と液体レンズの例とに分けて第5の実施の形態の変形例1との相違点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第5の実施の形態の変形例1にて説明した内容を適用することができる。
<液晶素子の場合>
図29(b)は、液晶素子を用いた場合における第5の実施の形態の変形例2の光学系12BのZX平面での断面図である。この場合の補助光学部材14Aでは、複数の部分光学部材14Aのそれぞれは、透明な容器内に、図26(a)に示す第5の実施の形態の変形例1の補助光学部材14と同様の液晶素子146を有する。この複数の部分光学部材14Aは、2つの第1結像ミラー411に対応するように配置されているが、1つまたは3つ以上の第1結像ミラー411に対応するように配置しても良い。また、表示装置1の主要部構成は、図26(b)に示すブロック図と以下の点で異なる。電圧制御部24は、後述するようにして各部分光学部材14Aのそれぞれの境界面143AのXY平面に対する角度φ3を制御する必要がある。複数の部分光学部材14Aのそれぞれは、図26に示した第5の実施の形態の変形例1の場合と同様に、上部電極151と下部電極152とを有している。このため、電圧制御部24は、各部分光学部材14Aごとに、それぞれが有する上部電極151と下部電極152とに印加する電圧を制御する。他の点は、図26(b)に示す第5の実施の形態の変形例1のブロック図と同様である。
各部分光学部材14Aには、図26に示した第5の実施の形態の変形例1の場合と同様に、上部電極151と下部電極152とに電圧が印加され、各部分光学部材14Aごとに液晶素子146の配列方向が制御される。これにより、各部分光学部材14A内で、異なる屈折率分布の境界である境界面143AがX方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3に設定される。すなわち、図26(a)に示す変形例1の補助光学部材14と相似形状を有する複数の部分光学部材14Aが第1筐体410の下部に配置される。これにより、第5の実施の形態の変形例2の補助光学部材14は、XY平面に対して角度φ3を有する境界面143Aが複数設定される。換言すると、XY平面に対して角度φ3を有する第3面143Aと同一の角度φ3を有する面が複数設定される。
各部分光学部14Aのうち、Z方向に平行な第2面142Aについては非反射処理が施される。また、各部分光学部14Aの第2面142Aについて非透過処理を施しても良い。
表示器11から出射した光束は、各部分光学部材14Aでは、図26(a)に示す変形例1の補助光学部材14と同様に、所定方向に偏向されて、角度−θ4に傾斜された第1結像ミラー411に入射する。入射した光束は第1結像ミラー411で反射されて、収差が低減された空中像が形成される。
第5の実施の形態の変形例2では、補助光学部材14は、XY平面に対して同一の角度φ3、即ち同一の傾きを有する境界面143Aを複数備える。したがって、変形例2の部分光学部材14Aとして液晶素子146を用いた場合であっても、図29(a)に示すようにプリズムを用いた場合と同様に、Z方向の長さを小さくすることができるので、光学系12Bの小型化に寄与する。
<液体レンズの場合>
図29(c)は、液体レンズを用いた場合における変形例2の光学系12BのZX平面での断面図である。この場合の補助光学部材14Aは、複数の部分光学部材14Aを有し、部分光学部材14Aのそれぞれは、透明な容器内に、図27(a)に示す変形例2の補助光学部材14と同様に、導電性液体147と絶縁性液体148とが注入された液体レンズである。また、表示装置1の主要部構成は、図27(b)に示すブロック図と以下の点で異なる。電圧制御部24は、後述するようにして各部分光学部材14Aのそれぞれの境界面143AのXY平面に対する角度φ3を制御する必要がある。複数の部分光学部材14Aのそれぞれは、図27に示した第5の実施の形態の変形例1の場合と同様に、共通電極153と電極154とを有している。このため、電圧制御部24は、各部分光学部材14Aごとに、それぞれが有する共通電極153と電極154とに印加する電圧を制御する。他の点は、図27(b)に示す第5の実施の形態の変形例1のブロック図と同様である。
各部分光学部材14Aは、図27に示した変形例1の場合と同様に、共通電極153と電極154とに電圧が印加され、エレクトロウェッティングにより、各部分光学部材14Aごとに導電性液体147と絶縁性液体148との境界面143A位置が制御される。これにより、各部分光学部材14A内で、異なる屈折率分布の境界である境界面143AがX方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3に設定される。すなわち、図27(a)に示す変形例1の補助光学部材14と相似形状を有する複数の部分光学部材14Aが第1筐体410の下部に配置される。これにより、第5の実施の形態の変形例2の補助光学部材14は、XY平面に対して角度φ3を有する境界面143Aが複数設定される。換言すると、XY平面に対して角度φ3を有する第3面143Aと同一の角度φ3を有する面が複数設定される。
各部分光学部14Aのうち、Z方向に平行な第2面142Aについては非反射処理が施される。また、各部分光学部14Aの第2面142Aについて非透過処理を施しても良い。
表示器11から出射した光束は、各部分光学部材14Aでは、図27(a)に示す変形例1の補助光学部材14と同様に、所定方向に偏向されて、角度−θ4に傾斜された第1結像ミラー411に入射する。入射した光束は第1結像ミラー411で反射されて、収差が低減された空中像が形成される。
第5の実施の形態の変形例2では、補助光学部材14は、XY平面に対して同一の角度φ3、即ち同一の傾きを有する境界面143Aを複数備える。したがって、変形例2の補助光学部材14として液体レンズを用いた場合であっても、図29(a)に示すプリズムを用いた場合や図29(b)に示す液晶素子146を用いた場合と同様に、Z方向の長さを小さくして、光学系12Bの小型化に寄与する。
なお、この場合も、エレクトロウェッティングにより境界面143Aの位置を制御するものに限定されない。たとえば、図28に示すように、透明な容器内に液体を注入させ、液体の流動を制御して、液体の液面に配置された透明板の傾斜角を変化させる液体レンズを用いても良い。この場合、図28(b)に示すポンプ制御部28は、各部分光学部材14Aのそれぞれが有する透明板の傾斜を制御するために、各部分光学部材14Aが有するポンプ155ごとに、それぞれの駆動を制御する。
(第5の実施の形態の変形例3)
図11〜図17を参照して説明した第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aが、第5の実施の形態とその変形例1、2で説明した補助光学部材14を有しても良い。この場合、補助光学部材14は再帰性反射部1220の前(X方向−側)に配置しても良い。即ち、部分反射部1210と再帰性反射部1220との間に補助光学部材14を配置しても良い。なお、部分反射部材1210の代わりにPBS部1230やシャッター部1250が配置された場合には、PBS部1230やシャッター部1250と再帰性反射部1220との間に補助光学部材14を配置しても良い。この場合、補助光学部材14を再帰性反射部1220に接着や嵌合やねじ止め等により直接設置しても良いし、支持部材等を介して再帰性反射部1220に取り付けられても良い。または、補助光学部材14を部分反射部1210やPBS部1230やシャッター部1250の反射側(空中像30が形成される側)に配置しても良い。
また、補助光学部材14を、表示器11と部分反射部1210との間に配置しても良い。この場合、補助光学部材14は、部分反射部1210のX方向−側に配置しても良い。なお、部分反射部材1210の代わりにPBS部1230やシャッター部1250が配置された場合には、PBS部1230やシャッター部1250と表示器11との間に補助光学部材14を配置しても良い。この場合、補助光学部材14を部分反射部1210やPBS部1230やシャッター部1250に接着や嵌合やねじ止め等により直接設置しても良いし、支持部材等を介して取り付けられても良い。
第5の実施の形態の変形例3では、光学系12Bは、表示器11から出射された光束を反射する複数の部分反射ミラー1212で構成される部分反射部1210、または複数のPBS1231で構成されるPBS部1230、または複数のシャッター1251で構成されるシャッター部1250を有する場合であっても、補助光学部材14により表示器11から出射された光束の偏向、すなわち光路を補正する。これにより、形成位置を移動させた空中像30の収差による劣化を抑制できる。
−第6の実施の形態−
図面を参照しながら、第6の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第6の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことができる。
本実施の形態の表示装置1は、第5の実施の形態の光学系12B(図24参照)が有する第1結像ミラー411を駆動可能に構成したことにより、第1結像ミラーの駆動に従って光路の補正量を変更する。したがって、第6の実施の形態の光学系12Cは、第5の実施の形態の光学系12Bが有する補助光学部材14とは異なる補助光学部材14Bを有する。以下、詳細に説明する。
図30(a)は、第6の実施の形態の光学系12Cの構成を模式的に示すZX平面における断面図である。図30(a)は、第1結像ミラー411がZ方向に対して紙面時計回りに駆動角度−θ1で駆動された動作状態のときの光学系12Cを示す。光学系12Cは、補助光学部材14Bと、第1の実施の形態における第1光学部41(図3参照)と第5の実施の形態における第2光学部42(図24参照)とを有する。すなわち、第1光学部41の第1筐体410に配置された第1結像ミラー411は、通常状態においては反射面がYZ平面に平行であり、動作状態では第1駆動部412によりZ方向に対して駆動角度±θ1で駆動される。第2光学部42に配置された第2結像ミラー412は、反射面がZX平面に平行でありかつZ方向に対して傾きを持たない直立状態で第2筐体420に配置される。また、図30(a)では、第1筐体410の上部(Z方向+側)に第2筐体420を配置した例を示すが、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。
補助光学部材14Bは、たとえば第5の実施の形態の変形例1(図26(a))に示すような液晶素子146により構成される。補助光学部材14Bは、第1領域144Bと第2領域145Bとを有する。境界面143Bは、第1領域144Bと第2領域145Bとの境界である。図30(a)では、境界面143BがX方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに所定の角度φ4をなしている状態を示している。なお、補助光学部材14Bについての詳細は説明を後述する。なお、図30(a)は、図26(a)に示す第5の実施の形態の変形例1の場合と同様に、印加される電圧が制御されることにより、補助光学部材14内の屈折率分布が制御され、液晶素子146が図示するような配向方向に制御されたと見なせるような状況を作り出したと仮定した場合を模式的に示した図である。
図30(b)は、第6の実施の形態の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。第6の実施の形態では、図2に示す第1の実施の形態におけるブロック図と異なり、図26(b)のブロック図に示す、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を制御する電圧制御部24を備える。他の構成については図2に示す第1の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Cと、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24とを備える。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部と、補助光学部材14Bの動作を制御する補正用の制御部との3つを有しても良い。この場合、制御部20では、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、補助光学部材14Bの動作を制御する補正用の制御部は光学系12Cと一体化させても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と光学系12Cと補助光学部材14Bとを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Cと一体化させても良い。
<第1結像ミラー411の駆動と補助光学部材14Bの動作>
図30において、補助光学部材14Bの液晶素子146では、電圧制御部24により上部電極151と下部電極152との間に印加される電圧に応じて、屈折率分布の異なる第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度φ4が変化する。各駆動角度θ1に対して角度φ4が関係付けされる。なお、駆動角度θ1と角度φ4との関係は予め行った試験等の結果に基づいて対応付けされたデータとして記憶部9に記憶されている。
なお、駆動角度θ1と角度φ4との関係は、第5の実施の形態(図24、図25参照)にて説明した角度θ4と角度φ3との関係と同様である。即ち、第1結像ミラー411がZ方向となす駆動角度−θ1の大きさが増加すると、X方向−側端部での補助光学部材14Bの境界面143BがXY平面に対して図の紙面上で時計回りの方向になす角度φ4が増加する。また、第1結像ミラー411がZ方向となす駆動角度+θ1の大きさが増加すると、X方向+側端部での補助光学部材14Bの境界面143BがXY平面に対して図の紙面上で反時計回りの方向になす角度φ4が増加する。即ち、第1結像ミラー411のXY平面に対する傾きと、補助光学部材14の境界面143BのXY平面に対する傾きとは異なる。
駆動制御部21は、第1の実施の形態(図1〜図5参照)の場合と同様に、第1駆動部412に電圧を印加することにより、第1結像ミラー411を駆動角度−θ1で駆動させる。電圧制御部24は、予め記憶されたデータを参照して、境界面143BがXY平面となす角度φ4が第1結像ミラー411の駆動角度−θ1に対応する角度となるように上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧の値を算出する。電圧制御部24は、算出した電圧の値に基づいて、上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加する。
なお、上述した説明では、駆動角度θ1と角度φ4との関係が予め記憶部9に記憶されているものとしたが、駆動角度θ1と、上部電極151および下部電極152の間への印加電圧とが関連付けされたデータとして記憶部9に記憶されても良い。この場合、駆動制御部21は、予め記憶されたデータを参照して、算出した駆動角度θ1に関連付けされた印加電圧を読み出して、印加する電圧として決定すれば良い。
また、上述したデータを表示装置1が備える記憶部9に記憶するものとしたが、これに限定されず、表示装置1の外部の記憶装置に記憶しても良い。表示装置1と外部の記憶装置との間は有線または無線により直接的に、またはネットワーク等を介して間接的に接続されて、各種の情報やデータの送受信を行う。
これにより、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1に応じて境界面143BがXY平面となす角度φ4を変更する、即ち光束の偏向量を変更する。表示器11から出射した光束は液晶素子146で偏向されて、駆動角度−θ1の第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて、駆動角度−θ1に応じたX方向の位置に収差を低減した実像を形成する。
なお、第1結像ミラー411がZ方向と図の紙面上で反時計回りに駆動角度+θ1で駆動される場合には、補助光学部材14は、図30(a)に示す例に対して左右(X方向)対称な境界面143Bとなるように屈折率分布が制御される。すなわち、電圧制御部24は、補助光学部材14BのX方向+側の端部で境界面143BがXY平面となす角度がφ4となり、X方向の位置が−側であるほど第1領域144BのZ方向の長さが増加するように電圧の値を算出し、上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加する。
また、第1結像ミラー411が駆動されず、第2結像ミラー421が駆動される場合には、境界面143Bと第1筐体410の下部との距離(Z方向の距離)がY方向に沿って増減するように上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を制御すれば良い。
図31のフローチャートを参照して、第6の実施の形態の表示装置1の光学系12Cの動作状態時の処理について説明する。図31に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS21では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS22へ進む。ステップS22では、電圧制御部24は、第1結像ミラー411の駆動角度θ1に基づいて、境界面143Bの角度φ4を決定してステップS23へ進む。ステップS23では、決定した境界面143Bの角度φ4となるための上部電極151と下部電極152との間の印加電圧を算出してステップS24へ進む。
ステップS24では、駆動制御部21は、算出された駆動角度θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度θ1で傾斜駆動させる。電圧制御部24は、算出した電圧値に従って、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加して、第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度をφ4にさせる。これにより、収差の発生が抑制された空中像30が、表示装置1の中心部近傍から離れた位置に形成される。ステップS25では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS25が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS25が否定判定されてステップS21へ戻る。
第6の実施の形態では、表示器11から出射された光束を反射する複数の第1結像ミラー411で構成される第1光学部41と、表示器11から出射された光束の偏向、すなわち光路を補正し、第1光学部41によって生じる収差を低減する補助光学部材14Bとを備える。これにより、収差による劣化を抑制した空中像30を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、複数の第1結像ミラー411を駆動し、表示器11から出射された光の光路を変更する第1駆動部412を備えるので、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、補助光学部材14Bは、第1駆動部412による駆動量、即ち第1結像ミラー411の駆動角度±θ1に基づいて、光路の補正量を変更する。これにより、駆動角度±θ1を変化させて空中像30の位置を移動しても、それに伴って光束の偏向量が変更され、収差を低減した空中像30を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、第1光学部41は、第1駆動部412によって第1結像ミラー411が傾斜駆動され、表示器11から出射される光が反射する角度を変更するので、空中像30が形成される位置を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、補助光学部材14Bは、液晶素子146の屈折率分布を変えて光の光路を変更する。これにより、空中像30の移動量、即ち第1結像ミラー411の駆動角度±θ1の大きさに従って光路の補正量を変更して、収差を低減した空中像30を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、補助光学部材14Bは、第1領域144Bと第2領域145Bとの形状を変化させて屈折率分布を変化させるので、印加する電圧を制御することにより、光路の補正量を変更することができる。
また、第6の実施の形態では、補助光学部材14Bは、屈折率を変化させ屈折率分布を変化させるので、液晶素子146の特性を利用して第1結像ミラー411の駆動角度±θ1の大きさに応じて光路の補正量を変更することができる。
また、第6の実施の形態では、補助光学部材14Bは、内部の屈折率が異なる第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143Bの傾き(XY平面となす角度φ4)が、複数の第1結像ミラー411の傾斜角度±θ1とは異なる。これにより、偏向された光束が第1結像ミラー411に導かれて反射され、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1に起因する収差を低減させた空中像30を移動させることができる。
また、第6の実施の形態では、表示を行う表示器11を備えるので、表示器11に表示した画像を空中像30としてユーザに視認させることができる。
(第6の実施の形態の変形例1)
第5の実施の形態の変形例3と同様に、図11〜図17を参照して説明した第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aが補助光学部材14Bを有しても良い。図11に示す例の場合、駆動部1213により、複数の部分反射ミラー1212が設置部1210にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。図16に示す例の場合、駆動部1233により、複数のPBS1232が設置部1230にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。図17に示す例の場合、駆動部1253により、複数のシャッター1252が設置部1250にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。
この場合、第5の実施の形態の変形例3において補助光学部材14が配置される位置として適用可能と説明した位置と同様な位置に、補助光学部材14Bを配置することができる。
第6の実施の形態の変形例1では、表示器11から出射された光束を反射する複数の部分反射ミラー1212で構成される部分反射部1210、または複数のPBS1231で構成されるPBS部1230、または複数のシャッター1251で構成されるシャッター部1250と、表示器11から出射された光束の偏向、すなわち光路を補正し、部分反射部1210またはPBS部1230またはシャッター部1250によって生じる収差を低減する補助光学部材14Bとを備える。これにより、収差による劣化を抑制した空中像30を移動させることができる。
また、第6の実施の形態の変形例1では、駆動部1213により、複数の部分反射ミラー1212が設置部1210にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。または、駆動部1233により、複数のPBS1232が設置部1230にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。または、駆動部1253により、複数のシャッター1252が設置部1250にP方向とQ方向とに傾斜して駆動される。これにより、空中像30の位置を移動させることができる。
なお、第6の実施の形態とその変形例1では、補助光学部材14Bとして液晶素子146を用いた例を説明したが、これに限定されない。たとえば、第5の実施の形態の変形例1で用いた図27、図28に示す液体レンズを補助光学部材14Bとして用いることができる。
(第6の実施の形態の変形例2)
第6の実施の形態とその変形例1では、光学系12Bが全ての第1結像ミラー411に共通する1つの第3面143Bを有する補助光学部材14Bを備える例を示した。これに対して、変形例2では、複数の第1結像ミラー411に入射される光束を、複数の第3面143Bを用いて光束を偏向させるように、光学系12Bに複数の部分光学部材14Cが配置される。この場合、部分光学部材14Cは、それぞれ第5の実施の形態の変形例2で図29(b)、(c)で示した部分光学部材14Aと同様の構成を有する。ただし、第6の実施の形態における補助光学部材14Bと同様に、境界面143BがXY平面となす角度φ4を変化させる。すなわち、部分光学部材14Cは、第6の実施の形態にて説明した補助光学部材14Bと相似形状を有する液晶素子や液体レンズによって構成される。この場合、表示装置1の制御部20の電圧制御部23は、第5の実施の形態の変形例2において説明した場合と同様にして、各部分光学部材14Cごとに印加する電圧を制御する。
第6の実施の形態の変形例3では、複数の部分光学部材14Cは、XY平面に対して同一の角度φ4、即ち同一の傾きを有する境界面143Bを複数備える。従って、第5の実施の形態の変形例3の場合と同様に、補助光学部材14BのZ方向の長さを小さくして、光学系12Bの小型化に寄与する。
(第6の実施の形態の変形例3)
第6の実施の形態とその変形例1〜2では、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421との一方が駆動される場合を例に挙げて説明したが、変形例3では、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが駆動可能な場合における補助光学部材14Bについて説明する。なお、以下の説明では、補助光学部材14Bとして液晶素子146を用いた場合を例に挙げる。また、以下では第6の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第6の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図32(a)は、第6の実施の形態の変形例3における光学系12Cの構成を模式的に示すZX平面における断面図である。図32(a)は、動作状態での光学系12Cを示す。光学系12Cは、図3に示す第1の実施の形態と同様の第1光学部41および第2光学部42と、第1部材14B1および第2部材14B2を有する補助光学部材14Bとを有する。第1部材14B1は空中像30をX方向に移動させる際に光束の進行方向を補正し、即ち光束を偏向し、第2部材14B2は空中像30をY方向に移動させる際に光束の進行方向を補正、すなわち光束を偏向するために設けられる。第1光学部41および第2光学部42の下部(Z方向−側)には補助光学部材14Bが配置される。なお、補助光学部材14Bの下部に第1光学部41および第2光学部42が配置されても良い。
第2光学部42の第2筐体420の下部(Z方向−側)に第1光学部41の第2筐体410が配置される。補助光学部材14Bにおいては、第2部材14B2の下部に第1部材14B1が配置される。
なお、第1光学部41と第2光学部42との間のZ方向における上下関係が逆であっても良いし、補助光学部材14Bの第1部材14B1と第2部材14B2との間のZ方向における上下関係が逆であっても良い。
または、Z方向において、第1部材14B1と第2部材14B2との間に第1光学部41と第2光学部42とが配置されても良いし、第1光学部41と第2光学部42との間に補助光学部材14Bが配置されても良い。
補助光学部材14Bの第1部材14B1と第2部材14B2とのそれぞれは、図30に示す補助光学部材14Bと同一の構成を有する。すなわち、第1部材14B1と第2部材14B2とは、それぞれ境界面143Bの移動させることができる。ただし、第1部材14B1は、第1結像ミラー411の駆動角度θ1に従って境界面143BがXY平面となす角度φ4が変更可能となるように、すなわち境界面143Bと第1筐体410の下部との距離(Z方向の距離)がX方向に沿って増減するように取り付けられる。また、第2部材14B2は、第2結像ミラー421の駆動角度θ2に従って境界面143BがXY平面となす角度φ5が変更可能となるように、すなわち境界面143Bと第2筐体420の下部との距離(Z方向の距離)がY方向に沿って増減するように取り付けられる。
図32(b)は、変形例3の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。変形例4では、図30(b)に示す第6の実施の形態におけるブロック図と異なり、駆動制御部21は第1駆動部412と第2駆動部422とに電圧を印加して第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを駆動角度θ1、θ2で傾斜駆動する。電圧制御部24は、補助光学部材14Bが有する第1部材14B1および第2部材14B2のそれぞれの上部電極151と下部電極152とに印加する電圧を制御する。他の構成については図30(b)に示す第6の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24とを備える。
電圧制御部24は、第6の実施の形態と同様にして、第1結像ミラー411の駆動角度θ1に基づいて、第1部材14B1の境界面143BがXY平面となす角度φ4を算出する。同様にして、電圧制御部24は、第2結像ミラー421の駆動角度θ2に基づいて、第2部材14B2の境界面143BがXY平面となす角度φ5を算出する。電圧制御部24は、算出した角度φ4、φ5から、第1部材14B1と第2部材14B2とに印加する電圧の値をそれぞれ算出し、算出結果に従って電圧を印加させる。これにより、表示器11から出射した光束は、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1と第2結像ミラー421の駆動角度±θ2とに応じて偏向され、収差の影響が低減された空中像30がXY平面に平行な面上で任意の位置に移動される。
なお、補助光学部材14Bの第1部材14B1と第2部材14B2とを液晶素子146により構成するものに代えて、液体レンズにより構成しても良い。この場合、第1部材14B1と第2部材14B2として、それぞれ図33に示す補助光学部材14Bを用いれば良い。また、液体レンズとしてエレクトロウェッティングにより境界面143Bの位置を制御するものに限定されず、たとえば、図28に示した透明な容器内に液体を注入させ、液体の流動を制御して、液体の液面に配置された透明板の傾斜角を変化させる液体レンズを用いても良い。
また、第1部材14B1を液晶素子、第2部材14B2を液体レンズとしても良い。当然、その逆の、第2部材14B2を液晶素子、第1部材14B1を液体レンズとしても良い。
なお、変形例3では、補助光学部材14Bとして第1部材14B1と第2部材14B2とを備えるものに限定されない。たとえば、図26に示す液晶素子146からなる1つの補助光学部材14Bでも良い。この場合、液晶素子146の屈折率分布を、X方向に対する光束を偏向するための境界面と、Y方向に対する光束を偏向するための境界面とが形成されるように、電圧制御部24は、印加する電圧を制御すれば良い。したがって、1つの補助光学部材14Bが、第1部材14B1と第2部材14B2とにより行われていた補正を行うことができるので、表示装置1を小型化することができる。
第6の実施の形態の変形例3では、補助光学部材14Bは、光の光路に対し、X方向に対する補正と、Y方向に対する補正とを行うので、空中像30がXY平面上で移動された場合でも、収差を低減させることができる。
また、第6の実施の形態の変形例3では、補助光学部材14Bは、X方向に対する補正を行う第1部材14B1と、Y方向に対する補正を行う第2部材14B2とを有する。これにより、X方向の移動に伴う収差と、Y方向の移動に伴う収差とをそれぞれ低減して、収差による劣化を抑制した空中像30を移動させることができる。
(第6の実施の形態の変形例4)
第6の実施の形態の変形例4では、ユーザが表示装置1を観察する位置に基づいて、空中像30を形成する位置を決定する。第6の実施の形態の変形例4の表示装置1は、第4の実施の形態の表示装置1(図19〜図21参照)と同様に、撮像装置(たとえばデジタルカメラ)5を備え、この撮像装置5は表示装置1の上面に配置される。また、表示装置1は、図32に示す第6の実施の形態の変形例3の光学系12Cを有する。その他は図19に示す第4の実施の形態の表示装置1と同様である。以下、第6の実施の形態とその変形例3と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第6の実施の形態とその変形例3にて説明した内容を適用することができる。
図33は第6の実施の形態の変形例4の表示装置1の主要部の構成を示すブロック図である。制御部20は、図20に示す第4の実施の形態と同様に、撮像装置5により撮像された画像データを解析して表示装置1を観察するユーザを検出する検出部25と、検出部25の検出結果に基づいて空中像30を形成する位置を決定する決定部26とを備える。他の構成は図32(b)の第6の実施の形態の変形例3のブロック図と同様に表される。即ち、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Cと、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24と検出部25と決定部26とを備える。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部と、補助光学部材14の動作を制御する補正用の制御部と、ユーザの検出を行うための検出用の制御部との3つを有しても良い。この場合、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は光学系12Cと一体化させ、検出用の制御部は撮像装置5に格納しても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と光学系12Cと補助光学部材14と検出部25とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Cと一体化させても良い。
検出部25は、第4の実施の形態(図19〜図21参照)の場合と同様にして、撮像装置5により撮像された撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。決定部26は、第4の実施の形態の場合と同様にして、検出部25により検出されたユーザの実際の位置に基づいて、空中像30を形成させる位置を決定する。なお、第6の実施の形態の変形例4においても、ユーザと表示装置1との位置関係に基づいて空中像30を形成する方向を決定するものに限定されず、ユーザの視線の方向に空中像30を形成しても良い。
決定部26は、空中像30を形成させる位置、すなわち空中像30の移動量を決定する。この場合も第4の実施の形態と同様にして、決定部26は、検出されたユーザが表示装置1から離れているほど移動量を大きくする。ユーザと表示装置1との間の距離は、撮像データ上で検出された人物の大きさに基づいて算出すれば良い。決定部26は、記憶部9に記憶された、ユーザと表示装置1との距離および空中像30の移動量が関連付けされたデータを参照して、空中像30の移動量を算出する。
駆動制御部21は、決定部26によって決定された空中像30の形成方向と表示装置1の中心からの移動量とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1と第2駆動ミラー421の駆動角度θ2とを算出する。駆動制御部21は、算出した駆動角度θ1およびθ2にて第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを駆動させるために、第1駆動部412と第2駆動部422とに電圧の印加を行う。電圧制御部24は、第6の実施の形態とその変形例3の場合と同様に、駆動制御部21により算出された駆動角度θ1およびθ2に基づいて、境界面143BがXY平面に対してなす角度φ4およびφ5を算出する。電圧制御部24は、記憶部9に記憶された、駆動角度θ1およびθ2と角度φ4およびφ5とが関連付けされたデータを参照して、境界面143BがXY平面となす角度φ4およびφ5を算出する。電圧制御部24は、算出した角度φ4およびφ5が得られる屈折率分布となるように、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧の値を算出する。
なお、上述したデータを表示装置1が備える記憶部9に記憶するものとしたが、これに限定されず、表示装置1の外部の記憶装置に記憶しても良い。表示装置1と外部の記憶装置との間は有線または無線により直接的に、またはネットワーク等を介して間接的に接続されて、各種の情報やデータの送受信を行う。
図34のフローチャートを参照して、第6の実施の形態の変形例4における表示装置1による空中像30を形成するための動作について説明する。図34に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS31(撮像データ生成)からステップS34(空中像の移動量算出)までの各処理は、図21の第4の実施の形態のフローチャートにおけるステップS1(撮像データ生成)からステップS4(空中像の移動量算出)までの各処理と同様である。ステップS35では、駆動制御部21は、算出された移動量に基づいて、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の駆動角度を算出してステップS36へ進む。ステップS36(境界面の角度φ4、φ5の決定)とステップS37(上部電極と下部電極への印加電圧算出)の各処理は、図31の第6の実施の形態のフローチャートにおけるステップS22(境界面の角度φ4、φ5の算出)とステップS23(上部電極と下部電極への印加電圧算出)の各処理と同様である。
ステップS38では、駆動制御部21は、算出した駆動角度θ1およびθ2に基づいて電圧を印加して第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を傾斜駆動させる。電圧制御部24は、算出した角度φ4およびφ5に基づいて、上部電極151と下部電極152とに電圧を印加して、第1部材14B1の液晶素子146の境界面143Bと第2部材14B2の液晶素子146の境界面143Bとの少なくとも一方のXY平面に対する角度を制御する。これにより、収差の影響が低減された空中像30が、検出されたユーザの位置に応じて移動した位置に形成される。ステップS39では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS39が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS39が否定判定されてステップS31へ戻る。
なお、第6の実施の形態の変形例4では、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて表示装置1を観察するユーザを検出する構成としたが、この例に限定されない。第4の実施の形態とその変形例1(図19〜図21参照)にて説明したように、ユーザによる操作ボタンの操作や、集音によって集音された音声データに基づいて、ユーザを検出しても良い。
第6の実施の形態の変形例4では、駆動制御部21は、ユーザの位置またはユーザの視線方向に基づいて、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421の駆動角度、または第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の駆動角度を決定する。これにより、ユーザが視認し易い位置に収差を低減した空中像30を形成することができる。
なお、第6の実施の形態の変形例4では、補助光学部材14Bの第1部材14B1と第2部材14B2とを図32に示す補助光学部材14Bと同様の構成としたが、図29(b)や(c)に示すように、複数の部分光学部材により構成しても良い。この場合の第6の実施の形態の変形例5では、補助光画像部材14BのZ方向の大きさを小さくできるので、光学系12Cの大型化を抑制し、表示装置1の小型化に寄与する。
また、第6の実施の形態の変形例4を、図11〜図17に示すような第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに図32に示す補助光学部材14Bを配置した、第6の実施の形態の変形例1に適用しても良い。
また、以上の第6の実施の形態の変形例4では、ユーザの位置に基づいて、形成されている空中像30の位置を移動させるものであったが、ユーザの位置に基づいて、空中像30の形成を開始させるものであっても良い。例えば、表示装置1をデジタルサイネージ等に組み込んだ場合に、ユーザが表示装置1に対して所定の位置、例えば50cm離れた位置で立ち止まった場合に、空中像30の形成を開始すれば良い。なお、上記の所定の位置は、表示装置1が設けられた場所等の環境に応じて異ならせると良い。
なお、第4の実施の形態の変形例1のように、ユーザが行うジェスチャーに基づいて、空中像30を移動させても良い。この場合、検出部25は、第4の実施の形態の変形例1と同様に、撮像装置5により生成された複数の撮像データを用いて、ユーザにより行われたジェスチャーを検出する。決定部26は、検出されたジェスチャーに基づいて、第4の実施の形態の変形例1の場合と同様にして、空中像30の移動方向や移動量を決定する。なお、検出されるジェスチャーとしては、第4の実施の形態の変形例1にて説明した種々の態様を適用することができる。駆動制御部21は、決定部26によって決定された空中像30の移動方向と移動量とに基づいて、第4の実施の形態の変形例1の場合と同様にして、第1結像ミラー411の駆動角度θ1と第2駆動ミラー421の駆動角度θ2とを算出する。電圧制御部24は、第6の実施の形態とその変形例3の場合と同様に、駆動制御部21により算出された駆動角度θ1およびθ2に基づいて、境界面143BがXY平面に対してなす角度φ4およびφ5を算出する。
第6の実施の形態の変形例4では、検出部25によって検出された、ユーザが行ったジェスチャーに基づいて、決定部26は空中像30の位置を決定するので、ユーザが所望する位置に空中像30を形成させることができる。
また、以上の第6の実施の形態の変形例4では、ユーザが行うジェスチャーに基づいて、形成されている空中像30の位置を移動させるものであったが、ジェスチャーに基づいて、空中像30の形成を開始させるものであっても良い。例えば、表示装置1の前でユーザが、例えば体の前で手を振る等のジェスチャーを行った場合に空中像30の形成を開始すれば良い。
−第7の実施の形態−
上述した第5の実施の形態とその変形例1〜3(図24〜図29参照)および第6の実施の形態とその変形例1〜4(図30〜図34参照)では、補助光学部材14、14A、14B、14Cを用いて表示器11から出射された光の進行方向を補正して、収差の影響を低減した実像を形成させるものであった。これに対して、第7の実施の形態の表示装置1は、補助光学部材を用いることなく収差の影響を低減した実像を形成する構成とした。以下、詳細に説明する。
図面を参照しながら、第7の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第7の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
図35(a)は、第7の実施の形態の光学系12Dの構成を模式的に示すZX平面に平行な面での断面図である。光学系12Dは、第1の実施の形態の結像光学系12(図3参照)とは異なり、第1駆動部412と第2駆動部422とを備えない。すなわち、第5の実施の形態(図24、図25参照)と同様に第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とを駆動させることはできない。ただし、光学系12Dは、第5の実施の形態とは異なり補助光学部材14を備えていない。また、図35(a)では、第1筐体410の上部(Z方向+側)に第2筐体420を配置した例を示すが、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。
第7の実施の形態の光学系12Dの主要部構成は、上記のように第1駆動部412と第1駆動部422とを備えていないので、図35(b)に示すブロック図により表される。即ち、第7の実施の形態の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Dと、記憶部9とを備える。制御部20は、画像生成部22と表示制御部23とを備える。
光学系12Dの第1結像ミラー411の反射面がZX平面に直交する方向に延在、即ち広がった状態で第1筐体410に配置される。複数の第1結像ミラー411がX方向に沿って配置されて構成された第1結像ミラー列では、それぞれの第1結像ミラー411では、X方向における配置位置に応じてZ方向に対して傾けて固定される。したがって、第1結像ミラー列内の全てのまたはいくつかの第1結像ミラー411について、Z方向となす角度は同一ではない。第2結像ミラー421は、反射面がZX平面に平行、即ちZ方向に対して傾きを持たない直立状態で第2筐体420に配置される。
<第1結像ミラー411と第2結像ミラー421の傾きと光束との関係>
図36(a)は、全ての第1結像ミラー411について、Z方向とのなす角度−θ4が同一となるように配置された場合における、表示画素P1と光束との関係を示す図である。この場合、上述した第5の実施の形態において、図22(a)や図23(a)を用いて説明したように、表示画素P1から出射した複数の光束のうち、一部の光束は実像P11に収束するが、他の光束はその実像P11の位置に収束しない。このため、不鮮明な実像P11が形成されることになる。
本実施の形態では、以下の考え方に従って、各第1結像ミラー411について、第1結像ミラー411と表示画素P1との位置関係に応じて、Z方向となす角度±θ4を変更することにより、補助光学部材14等を用いることなく表示画素P1から出射した光束を実像P11に位置に収束させて、収差の影響を低減した実像P11を形成させる。
図36(b)は、各第1結像ミラー411についてZ方向となす角度±θ4を、第1結像ミラー411と表示画素P1との位置関係に応じて変更、即ち修正した本実施の形態の光学系12Dを示した図である。図36(b)において、表示画素P1から出射する光束L1、L2、L3、L4、L5…のうち中心部に近い、すなわちZ方向との間の角度が0°に最も近い光束L4は、角度−θ4の第1結像ミラー411によって反射され、実像P11の位置に収束する。他の光束L1、L2、L3、L5…の各々も、それぞれに対応する第1結像ミラー411によって反射され、上述の実像P11の位置に収束するように、各光束L1、L2、L3、L5…が入射する第1結像ミラー411の角度が角度−θ4から修正されている。
まず、表示画素P1のX方向位置よりも−側、即ち図の紙面において表示画素P1の位置よりも左側に位置する第1結像ミラー411の角度を、左端とその右隣の第1結像ミラー411a、411bを代表例として説明する。第1結像ミラー411a、411bは、角度−θ4よりもそれぞれ所定角度+Δθ4a、+Δθ4bだけ小さい角度−θ4a(=−θ4+Δθ4a)、−θ4b(=−θ4+Δθ4b)に設定される。ここで、表示画素P1から相対的に遠い位置の第1結像ミラー411aの所定角度+Δθ4aは、表示画素P1から相対的に近い位置の第1結像ミラー411bの所定角度+Δθ4bよりも大きい。換言すると、第1結像ミラー411aの角度−θ4aの大きさは、第1結像ミラー411bの角度−θ4bの大きさよりも小さい。
第1結像ミラー411a、411bの角度−θ4a、−θ4bを上述のように定める理由は以下の通りである。もしも第1結像ミラー411a、411bが共に角度−θ4に設定されていると、図36(a)に示したように、第1結像ミラー411a、411bでそれぞれ反射された光束L1、L2は、共に実像P11の位置よりも、下方側、即ちZ方向−側にずれる。そして、この下方向のずれ量は、第1結像ミラー411aの反射光束L1の方が第1結像ミラー411bの反射光束L2よりも大きい。そこで、第1結像ミラー411a、411bの角度−θ4を、共に小さくなるように調整するとともに、第1結像ミラー411aの所定角度+Δθ4aを第1結像ミラー411bの所定角度+Δθ4bよりも大きくする。このように、表示画素P1のX方向位置よりも、X方向−側に位置する第1結像ミラー411は、X方向−側に配置された第1結像ミラー411ほど、Z方向とのなす角度−θ4の大きさが小さくなるように配置される。
次に、表示画素P1のX方向位置よりも+側、即ち表示画素P1の位置よりも図の紙面右側に位置する第1結像ミラー411の角度−θ4について説明する。表示画素P1のX方向位置よりも+側に位置する複数の第1結像ミラー411の代表として、光束L5を反射する第1結像ミラー411cについて説明する。第1結像ミラー411cは、角度−θ4よりも所定角度−Δθ4cだけ大きい角度−θ4c(=−θ4−Δθ4c)に設定される。この第1結像ミラー411cよりも、更にX方向+側、すなわち表示画素P1から遠ざかる側の第1結像ミラー411は、第1結像ミラー411cの角度−θ4cの大きさよりも大きい角度に設定される。
第1結像ミラー411cの角度−θ4cを上述のように定める理由は、以下の通りである。もし第1結像ミラー411cが角度−θ4に設定されていると、図36(a)に示したように、第1結像ミラー411cで反射された光束L5は、実像P11の位置よりもX方向−側にずれる。そこで、第1結像ミラー411cの角度を角度−θ4よりも−Δθ4cだけ大きくするように調整する。これによって、表示画素P1からの光束L5は、第1結像ミラー411cで反射されて、実像P11の位置に収束する。
なお、第2結像ミラー421をZ方向に対して傾いて配置する場合には、第2結像ミラー421について上記と同様にして、第2結像ミラー列の中心からの位置に応じて、Z方向となす角度を異ならせて配置する。これにより、表示画素P1から出射した光束を、Y方向に角度+θ5に応じた位置に移動した実像P11の位置に収束させることができる。
第7の実施の形態では、表示器11から出射された光を複数の第1結像ミラー411で反射し空中に結像させる第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを備え、第1光学部41では、複数の第1結像ミラー411に含まれる第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが異なる角度で配置される。これにより、収差を低減させた空中像30を結像させることができる。
また、第7の実施の形態では、第1光学部41では、複数の第1結像ミラー411に含まれる第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが異なる角度で配置されるので、他の補正部材等を設ける必要がなく、装置の小型化に寄与する。
また、第7の実施の形態では、第1結像ミラー411によって収差を低減させたため、空中像30に色収差が発生せず、好適な空中像30を表示することができる。
また、第7の実施の形態では、表示を行う表示器11を備えるので、表示器11に表示した画像を空中像30としてユーザに視認させることができる。
(第7の実施の形態の変形例1)
図11〜図17に示すような第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに上述した第7の実施の形態にて説明した考え方を適用してもよい。図37は、図11に示す第2の実施の形態と同様に、光学系12Dは、設置部1211と、設置部1211に設けられた複数の部分反射ミラー1212を有する部分反射部1210と、再帰性反射部1220とを有する。ただし、部分反射ミラー1212を駆動するための駆動部1213を有していない。この場合、部分反射ミラー1212がP方向に対してなす角度−θ2を、それぞれの部分反射ミラー1212が配置された位置に応じて異ならせる。この場合、部分反射部1210のZ方向−側端部付近に配置された部分反射ミラー1212a、1212bを、部分反射部1210の中央部近傍に配置された部分反射ミラー1212c、1212dの角度−θ2の大きさよりも小さくして配置する。部分反射部1210のZ方向+側端部付近に配置された部分反射ミラー1212e、1212fを、部分反射部1210の中央部近傍に配置された部分反射ミラー1212c、1212dの角度−θ2の大きさよりも大きくして配置する。
図37では、表示画素P1から出射した光束のうち中心部付近の光束L1、L2が部分反射ミラー1212c、1212dで反射されて、収束されて実像P11を結像する。この実像P11の位置は、部分反射ミラー1212c、1212dの角度−θ2に応じて、X方向に移動している。部分反射部1210の両端部付近に配置された部分反射ミラー1212a、1212b、1212e、1212fによる反射光束が、実像P11で収束するように、それぞれの部分反射ミラー1212a、1212b、1212e、1212fとP方向との角度を決める。
部分反射部1210のZ方向−側端部付近における部分反射ミラー1212aは、部分反射部1210の中央部付近の部分反射ミラー1212c、1212dと比べて、図の紙面上を反時計回りに所定角度Δθ2aだけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212aが角度−θ2a(=−θ2+Δθ2a)の傾きにて配置される。部分反射ミラー1212bについても同様に、部分反射ミラー1212c、1212dと比べて、図の紙面上を反時計回りに所定角度Δθ2b(<Δθ2a)だけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212bの角度−θ2b(=−θ2+Δθ2b)の傾きにて配置される。したがって、設置部1211の中央部からの距離が増加するほど部分反射ミラー1212の角度−θ2の大きさが小さくなる。
部分反射部1210のZ方向+側端部付近における部分反射ミラー1212fは、部分反射部1210の中央部付近の部分反射ミラー1212c、1212dと比べて、図の紙面上を時計回りに所定角度Δθ2aだけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212fが角度−θ2f(=−θ2−Δθ2a)の傾きにて配置される。部分反射ミラー1212eについても同様に、部分反射ミラー1212c、1212dと比べて、図の紙面上を時計回りに所定角度Δθ2e(>Δθ2f)だけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212eの角度−θ2e(=−θ2−Δθ2e)の傾きにて配置される。したがって、設置部1211の中央部からの距離が増加するほど部分反射ミラー1212の角度−θ2の大きさが大きくなる。
なお、Y方向に移動した位置に収差を低減した実像P11を形成させる場合には、部分反射ミラー1212の角度θ1を、部分反射ミラー1212の位置に応じて変化させて配置すれば良い。
第7の実施の形態の変形例1では、表示器11から出射された光を複数の部分反射ミラー1212で反射し空中に結像させる部分反射部1210と、複数の部分反射ミラー1212が配置される設置部1211とを備え、部分反射部1210では、複数の部分反射ミラー1212に含まれる部分反射ミラー1212aと部分反射ミラー1212bとが異なる角度で配置される。これにより、収差を低減させた空中像30を結像させることができる。
また、第7の実施の形態の変形例1では、部分反射部1210では、複数の部分反射ミラー1212に含まれる部分反射ミラー1212aと部分反射ミラー1212bとが異なる角度で配置されるので、他の補正部材等を設ける必要がなく、装置の小型化に寄与する。
また、部分反射ミラー1212によって収差を低減させたため、空中像30に色収差が発生せず、好適な空中像30を表示することができる。
なお、上記の例では、部分反射部1210を例に挙げて説明したが、これに限定されず、第2の実施の形態とその変形例1〜4(図11〜図17参照)で説明した各光学系12Aに対して第7の実施の形態の変形例1を適用することができる。
(第7の実施の形態の変形例2)
第1の実施の形態の変形例3の第2光学系122(図8参照)に代えて、第7の実施の形態の光学系12D(図35参照)を用いて結像光学系12を構成しても良い。これにより、第7の実施の形態の変形例2では、表示器11から出射された光を複数の第1結像ミラー411で反射し空中に結像させる第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを備える。第1光学部41では、複数の第1結像ミラー411に含まれる第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが異なる角度で配置される。これにより、光学系に対して表示画素P1と対称な位置に結像する従来の装置の光学系に本実施の形態の光学系12Dを配置して、簡単に収差を低減させた空中像30の位置を移動させて形成することができる。
−第8の実施の形態−
図面を参照しながら、第8の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第8の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
本実施の形態の表示装置1は、第7の実施の形態の光学系12D(図35(a)参照)が有する第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を傾斜駆動可能に構成したことにより、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の傾斜駆動に従って光路の補正量、すなわち光束の偏向量を変更する。以下、詳細に説明する。
図38(a)は第8の実施の形態の光学系12EのZX平面における断面図である。第8の実施の形態の光学系12Eは、図3に示す第1の実施の形態の結像光学系12と同様の構成を有する。第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが傾斜駆動可能に第1筐体410と第2筐体420とに配置される。
図38(b)は、第8の実施の形態の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。第8の実施の形態では、図2に示す第1の実施の形態におけるブロック図と異なり、制御部20は、算出部27を備える。算出部27は、第1結像ミラー411を駆動角度±θ1からずらす角度±Δθ1と、第2結像ミラー421を駆動角度±θ2からずらす角度±Δθ2との少なくとも一方を算出する。他の構成については図2に示す第1の実施の形態のブロック図と同様に表される。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Eと、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と算出部27とを備える。
なお、以下の説明では、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
駆動制御部21は、表示画素P1から出射された光束を結像させる位置に基づいて、X方向の移動量を算出し、算出した移動量から駆動角度−θ1を算出する。なお、このX方向の移動量は、表示画素P1のX方向位置と、表示画素P1に対応する実像P11のX方向位置との間のX方向の距離に相当する。駆動制御部21は、表示画素P1に最も近い位置、すなわち表示画素P1から出射される光束のうち、ほぼ中央部からの光束を反射する第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1に設定する。算出部27は、第7の実施の形態の場合と同様の考え方を適用して、駆動角度−θ1の第1結像ミラー411以外の第1結像ミラー411の各々について、駆動角度−θ1からのずらす角度±Δθ1を算出する。なお、以後の説明では、実像P11のX方向位置を決定する駆動角度−θ1に設定された第1結像ミラー411を基準第1結像ミラー411sと呼ぶ。
算出部27は、図36を用いて第7の実施の形態にて説明したように、基準第1結像ミラー411sからのX方向に沿った距離が増加する程、ずらす角度Δθ1の大きさを大きくする。表示画素P1のX方向位置よりも−側、即ち図の紙面において表示画素P1の位置よりも左側に位置する第1結像ミラー411の駆動角度を、第1結像ミラー411a、411bを代表例として説明する。算出部27は、駆動角度−θ1で傾斜駆動する基準第1結像ミラー411sに対してX方向−側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向−側(図38(a)の紙面に対して反時計回り)にする。すなわち、算出部27は、第1結像ミラー411aのずらす角度を+Δθ1aと第1結像ミラー411bのずらす角度+Δθ1bと算出する。ここで、算出部27は、表示画素P1から相対的に遠い位置の第1結像ミラー411aのずらす角度+Δθ1aは、表示画素P1から相対的に近い位置の第1結像ミラー411bのずらす角度+Δθ1bよりも大きくする。換言すると、第1結像ミラー411aの駆動角度−θ1a(=−θ1+Δθ1a)の大きさは、第1結像ミラー411bの駆動角度−θ1b(=−θ1+Δθ1b)の大きさよりも小さい。
表示画素P1のX方向位置よりも+側、即ち表示画素P1の位置よりも図の紙面右側に位置する第1結像ミラー411の駆動角度−θ1について、表示画素P1のX方向位置よりも+側に位置する第1結像ミラー411の駆動角度を、第1結像ミラー411cを代表として説明する。算出部27は、駆動角度−θ1で傾斜駆動する基準第1結像ミラー411sに対してX方向+側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向+側(図38(a)の紙面に対して時計回り)にする。すなわち、算出部27は、ずらす角度を−Δθ1として算出する。算出部27は、第1結像ミラー411cの駆動角度を−θ1よりもずらす角度−Δθ1cだけ大きい駆動角度−θ1c(=−θ1−Δθ1c)として算出する。算出部27は、この第1結像ミラー411cよりも、更にX方向+側、すなわち表示画素P1から遠ざかる側の第1結像ミラー411については、第1結像ミラー411cの駆動角度−θ1cの大きさよりも大きい駆動角度として算出する。
なお、上述した第1結像ミラー411a、411b、411cのずらす角度−Δθ1a、−Δθ1b、−Δθ1cは、各第1結像ミラー411と基準第1結像ミラー411sとの距離と、基準第1結像ミラー411sの駆動角度−θ1とによって決まる値である。基準第1結像ミラー411sからの距離と、駆動角度θ1と、ずらす角度Δθ1とは、予め関連付けされたデータとして、記憶部9に記憶され、算出部27は、ずらす角度Δθ1を算出する際に、このデータを参照する。
また、上述したデータを表示装置1が備える記憶部9に記憶するものとしたが、これに限定されず、表示装置1の外部の記憶装置に記憶しても良い。表示装置1と外部の記憶装置との間は有線または無線により直接的に、またはネットワーク等を介して間接的に接続されて、各種の情報やデータの送受信を行う。
駆動制御部21は、それぞれの第1結像ミラー411の第1駆動部412に対して、各第1結像ミラー411の駆動角度−θ1±Δθ1に応じて電圧を印加する。この結果、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、第1結像ミラー411が異なる傾きで傾斜駆動される。従って、第7の実施の形態の場合と同様に、表示器11の表示位置とはX方向に異なる位置に移動させて空中像30を形成する場合であっても、収差が低減された空中像30が形成される。
図39のフローチャートを参照して、第8実施の形態の表示装置1の光学系12Eの動作状態時の処理について説明する。図39に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS51では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS52へ進む。ステップS52では、算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、各第1結像ミラー411ごとの駆動角度θ1からのずらす角度±Δθ1を算出してステップS53へ進む。
ステップS53では、駆動制御部21は、各第1結像ミラー411ごとに配置された第1駆動部412のそれぞれに、算出された駆動角度θ1±Δθ1に従って電圧を印加して、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。即ち、基準第1結像ミラー411sは駆動角度θ1で傾斜駆動され、他の第1結像ミラー411は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の位置と距離とに応じて異なるずらす角度±Δθ1で補正された駆動角度で傾斜駆動される。これにより、収差の発生が低減された空中像30が、表示装置1の中心部近傍から離れた位置に形成される。ステップS54では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS55が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS55が否定判定されてステップS51へ戻る。
空中像30をY方向に移動させる場合には、算出部27は、同様にして駆動角度θ2からずらす角度±Δθ2を算出し、駆動制御部21は、算出した駆動角度θ2±Δθ2に応じた電圧を第2駆動部422に印加する。この場合、制御部20は、図39と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。これにより、第2結像ミラー421は、基準となる第2結像ミラー421からのY方向の距離と位置とに応じて、異なる傾きで傾斜駆動される。従って、表示器11の表示位置とはY方向に異なる位置に移動させて空中像30を形成する場合であっても、収差が低減された空中像30が形成される。
なお、上述の説明では、ステップS52において、算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置とに応じて、各第1結像ミラー411ごとの駆動角度θ1からのずらす角度±Δθ1を算出していたが、必ずしも算出する必要はない。つまし、算出部27を必ずしも必要としない。すなわち、空中像30を形成させる位置と複数ある第1結像ミラー411のそれぞれについて傾斜させる角度との関係を纏めたデータ表を予め記憶部9に記憶させておけば良い。
そのため、ステップS51では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、記憶部9に記憶させていたデータ表に基づく各第1結像ミラー411の駆動角度に傾斜駆動させる制御を行っても良い。
第8の実施の形態では、表示器11から出射された光を複数の第1結像ミラー411で反射し空中に結像させる第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを備え、第1光学部41では、複数の第1結像ミラー411に含まれる第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが異なる角度で配置される。これにより、収差を低減させた空中像30を結像させることができる。
また、第8の実施の形態では、第1結像ミラー411aまたは第1結像ミラー411bを駆動し、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとを異なる駆動角度で傾斜駆動する第1駆動部412を備える。したがって、空中像30を移動させる場合であっても収差を低減させることができる。
また、第8の実施の形態では、第1駆動部412は、表示器11から出射された光束を結像させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度を決定する。これにより、空中像30の形成位置の移動量に応じて適切に収差を低減させることができる。
また、第1結像ミラー411は、駆動角度±θ1からのずらす角度±Δθ1が付与されて傾斜駆動されるので、他の補正部材等を設ける必要がなく、装置の小型化に寄与する。また、第1結像ミラー411により収差が低減された空中像30が形成されるので、空中像30に色収差が発生せず、好適な空中像30を表示することができる。
また、第8の実施の形態では、表示を行う表示器11を備えるので、表示器11に表示した画像を空中像30としてユーザに視認させることができる。
(第8の実施の形態の変形例1)
第8の実施の形態においては、表示画素P1から出射された複数の光束を実像P11の位置に収束させることができる。しかし、表示画素P1からの距離が離れた位置の表示画素から出射された複数の光束については、実像が形成される位置に収束せず、鮮明な実像が形成されない場合がある。すなわち、ユーザは表示画素P1から離れた位置の表示画素に対応する実像を視認しにくくなる。
以下では、第8の実施の形態の変形例1の具体的な構成を説明する前に、表示画素P1からの光束を収束させるように傾斜駆動された第1結像ミラー411と、表示画素P1からの距離が離れた位置の表示画素から出射された複数の光束との関係について説明する。
図40は、表示画素P1から出射された光束に対して、第1結像ミラー411が駆動角度−θ1±Δθ1で傾斜駆動された場合を模式的に示す。即ち、表示画素P1に対して基準第1結像ミラー411sが駆動角度−θ1で傾斜駆動され、第1結像ミラー411a〜411eは駆動角度−θ1に対して、上述した第8の実施の形態の場合と同様にして、それぞれずらす角度±Δθ1が付与されて傾斜駆動される。図40(a)は表示画素P1から出射された複数の光束と、複数の光束が収束して形成される実像P11とを示し、図40(b)は、表示画素P1から離れた位置に配置された表示画素P2から出射された複数の光束を示す。
この場合、図40(a)に示すように、複数の第1結像ミラー411が駆動角度−θ1±Δθ1で傾斜駆動されていると(第1駆動)、表示画素P1から出射された複数の光束は、駆動角度−θ1に応じてX方向+側に移動した位置に収束して実像P11を形成する。これに対して、図40(b)に示すように、複数の第1結像ミラー411が駆動角度−θ1±Δθ1で傾斜駆動されていると、表示画素P2からの光束のうち、表示画素P2に相対的に近い位置にある第1結像ミラー411(たとえば、411cや411dや411e)で反射した光束L3〜L5は、理想的には実像P21の位置に集光する。しかし、表示画素P2から相対的に離れた位置に配置された第1結像ミラー411bや、表示画素P1に対する基準第1結像ミラー411sで反射された光束L1、L2は、実像P21の位置に収束せず、ずれてしまう。
上述した第8の実施の形態の考え方に従った場合、表示画素P2からの複数の光束L1〜L5を実像P21の位置に収束させるには、例えば、表示画素P2に最も近い第1結像ミラー411dを基準第1結像ミラーとし、第1結像ミラー411dの駆動角度を基準として、他の第1結像ミラー411のずらす角度を設定するといった方法がある。つまり、表示画素P2から出射した光が収束するように、全ての第1結像ミラー411の角度を設定する必要がある。
しかし、図40(b)に示す例では、表示画素P1に対して第1結像ミラー411のずらす角度が設定されている、つまり、基準第1結像ミラー411sの駆動角度−θ1を基準としてずらす角度±Δθ1が設定されている。即ち、図40(b)の複数の第1結像ミラー411のそれぞれ駆動角度−θ1±Δθ1は、第1結像ミラー411dを基準に設定されたものではない。第1結像ミラー411b、411c、411eと基準第1結像ミラー411sの駆動角度は、第1結像ミラー411dからのX方向位置に応じて決まるずらす角度が加味されたものではない。このため、表示画素P2からの複数の光束L1〜L5に対する偏向量、即ち光路の補正量が、実像P21の位置に収束させるために必要な補正量とは異なってしまい、実像P21が形成される位置に収束せず、鮮明な実像が形成されない場合が発生する。
第8の実施の形態の変形例1では、このような実像の視認性の低下を防ぐための動作を行う。以下、第8の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第8の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
第8の実施の形態の変形例1の表示装置1は、図38(b)に示す第8の実施の形態の表示装置1と同様の構成を有する。即ち、変形例1の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第8の実施の形態の光学系12Eと同様の光学系12Eと、を有する。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と算出部27とを備える。
なお、以下の説明では、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
制御部20の表示制御部23は、表示器11の全ての表示画素から光束を出射させず、一部の表示画素から光束を出射させ、他の表示画素から光束を出射させない、またはユーザに視認できない程度の輝度で光束を出射するように制御する。即ち、制御部20の表示制御部23は、表示器11の一部の表示画素に画像を表示させ、他の表示画素には画像を表示させない、または他の表示画素の画像が低輝度になるように制御する。なお、表示制御部23は、複数の表示画素のうち1つの表示画素から光束を出射させても良いし、周囲の所定個数の表示画素から光束を出射させても良い。周囲の所定個数の表示画素は、光学系12Eの第1結像ミラー411が第7の実施の形態のように傾斜駆動された場合であっても、出射した光束の反射光束が実像の位置に収束し、実像の視認性に影響が出ない範囲に含まれる表示画素である。
図41(a)は、表示器11のうち光束を出射するように制御された表示画素P4と、その実像P41との関係を模式的に示す図である。表示画素P4は、画像を表示して光束を出射するが、他の表示画素は画像を表示せず光束を出射しないときには、算出部27は、表示画素P4に対する基準第1結像ミラー411sの駆動角度−θ1からのずらす角度±Δθ1を算出する。算出部27は、第8の実施の形態の場合と同様に、基準第1結像ミラー411sからX方向の距離と位置とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1±Δθ1を算出する。駆動制御部21は、算出された駆動角度−θ1±Δθ1に従って、それぞれの第1結像ミラー411に電圧を印加する。これにより、図41(a)に示すように、表示画素P4から出射した複数の光束は全て、X方向+側に駆動角度−θ1に応じて移動した位置に収束し、そこに収差が低減された鮮明な実像P41を形成する。
次に、表示制御部23は、表示画素P4による画像表示を終了し、即ち光束の出射を終了し、図41(b)に示すように表示画素P4に隣接する表示画素P5に画像を表示させて光束を出射させる。この場合も、算出部27は、表示画素P5に対する基準第1結像ミラー411sの駆動角度−θ1からのずらす角度±Δθ1を算出し、基準第1結像ミラー411sからX方向の距離と位置とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1±Δθ1を算出する。駆動制御部21は、算出された駆動角度−θ1±Δθ1に従って、それぞれの第1結像ミラー411に電圧を印加する(第2駆動)。これにより、図36(b)に示すように、表示画素P5から出射した複数の光束は全て、X方向+側に駆動角度−θ1に応じて移動した位置に収束し、そこに鮮明な実像P51を形成する。
制御部20は、上述した動作を各表示画素について順次実行することにより、表示画素ごとに第1結像ミラー411の駆動角度−θ1を制御する。第1駆動部412が高速に駆動可能なMEMSの技術を用いて構成された場合には、第1結像ミラー411を高速に駆動することができる。このため、第1結像ミラー411の駆動も高速に行うことができるので、実像P41の形成と実像P51との形成とに要する時間が短時間となる。なお、第1駆動部412がMEMSとは異なる構造にて高速に駆動可能な場合にも、第1結像ミラー411を高速に駆動して、実像P41の形成と実像P51との形成とに要する時間が短時間になる。その結果、人間の目には、鮮明な実像P41、P51…が連なって、駆動角度−θ1に応じて移動した位置に1つの鮮明な空中像30が観察される。
図42のフローチャートを参照して、第8実施の形態の変形例1の表示装置1の光学系12Eの動作状態時の処理について説明する。図42に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS61では、表示制御部23は、表示器11の表示画素のうち画像を表示する表示画素を選択してステップS62へ進む。ステップS62(第1結像ミラーの駆動角度算出)からステップS64(第1結像ミラーの傾斜駆動)までの各処理は、図39のフローチャートにおけるステップS51(第1結像ミラーの駆動角度算出)からステップS53(第1結像ミラーの傾斜駆動)までの各処理と同様である。
ステップS65では、表示器11の全ての表示画素に画像が表示され、実像が形成されたか否かを判定する。全ての表示画素に画像が表示され、実像が形成された場合には、ステップS65が肯定判定されてステップS66へ進む。画像が表示されていない表示画素が存在する場合には、ステップS65が否定判定されてステップS61へ戻る。ステップS65では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS65が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS65が否定判定されてステップS61へ戻る。
第8の実施の形態の変形例1では、第1駆動部412は、表示器11の表示画素の位置に基づいて、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとを異なる駆動角度で傾斜駆動させる。これにより、画像が表示される表示画素の表示器11上の位置によらず、収差を低減した空中像30を形成することができる。
また、第8の実施の形態の変形例1では、第1駆動部412は、表示画素P4と表示画素P5とで、第1結像ミラー411aまたは第1結像ミラー411bの駆動角度を異ならせる。これにより、光束が出射される位置に応じて収差を低減して、劣化を抑制した空中像30を形成させることができる。
また、第8の実施の形態の変形例1では、表示制御部23は、表示画素P4と表示画素P5との表示を異なるタイミングで行い、第1駆動部412は、表示制御部23により表示画素P4が画像を表示している場合には、第1結像ミラー411aまたは第1結像ミラー411bに対して駆動角度にて傾斜駆動させる。表示制御部23により表示画素P5が画像を表示している場合には、第1駆動部412は第1結像ミラー411aまたは第1結像ミラー411bに対して、表示画素P4が画像を表示していたときとは異なる駆動角度にて傾斜駆動させる。即ち、光束を出射させる表示画素を順次切り替え、切り替えに応じて第1結像ミラー411の傾斜駆動時の傾きを異ならせることにより、各表示画素ごとに収差を低減した実像を形成することができ、収差を低減した空中像30を形成することができる。
また、第8の実施の形態の変形例1では、第1結像ミラー411によって収差を低減させたため、空中像30に色収差が発生せず、好適な空中像30を表示することができる。
また、他の補正部材等を用いる必要がないので、表示装置1の小型化に寄与する。
なお、空中像30をY方向に移動させる場合についても同様の動作を行う。すなわち、表示制御部23は、Y方向に沿って順次光束を出射させる表示画素を切り替える。算出部27は、光束を出射する表示画素を切り替えるごとに、駆動角度+θ2からずらす角度±Δθ2を算出し、駆動制御部21は、算出した駆動角度+θ2±Δθ2に応じた電圧を第2駆動部422に印加する。この場合、制御部20は、図42と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。これにより、第8の実施の形態の変形例1では、各表示画素ごとに、出射された光束は駆動角度θ2に応じてY方向に移動した位置に収差が低減された実像を形成するので、ユーザは、収差が低減された実像が連なることにより、駆動角度θ2に応じて移動し、収差が低減された空中像30を視認できる。
なお、以上の説明では、複数の表示画素のうち1つの表示画素P1から出射された光束を例に挙げて説明したが、上述したように表示画素P1の周囲の所定範囲に含まれる複数個の表示画素(以後、表示画素群と呼ぶ)からも光束を出射させても良い。表示画素群から出射される光束は、表示画素P1から出射された光束に対して光学系12Eの第1結像ミラー411が図38(a)に示す第7の実施の形態のように傾斜駆動された場合であっても、光学系12Eによる反射光束が実像の位置に収束し実像の視認性に影響が出ない範囲に含まれる表示画素である。
図43(a)は、表示器11上の複数の表示画素からなる表示画素群PG1から出射した複数の光束が、駆動角度−θ1で傾斜駆動された第1結像ミラー411によって反射され実像PG11が形成される場合を模式的に示した図である。表示画素群PG1のうちの1つの表示画素P4に対して上述したように各第1結像ミラー411が駆動角度−θ1±Δθ1にて傾斜駆動される。このとき、表示画素P4としては、表示画素群PG1の中心に位置する表示画素を選択しても良い。表示画素群PG1の各表示画素から出射する光束は、上記の駆動角度−θ1±Δθ1で第1結像ミラー411が傾斜駆動された場合であっても、収差が低減された実像PG11が形成される。
図43(b)には、表示画素群PG1に隣接する即ち第1表示画素群PG1が延在するX方向に沿って配置された表示画素群PG2に切り替えて光束を出射させる場合を示す。なお、表示画素P6は、表示画素P4が含まれる第1表示画素群PG1に含まれる表示画素ではない。この場合、制御部20は、表示画素群PG2中の表示画素P6に対して各第1結像ミラー411が駆動角度−θ1±Δθ1にて傾斜駆動されるように第1結像ミラー411の傾斜駆動を切り替える。このときも、表示画素P6としては、表示画素群PG2の中心に位置する表示画素を選択しても良い。この場合も、収差が低減された実像PG21が形成される。光束を出射する表示画素群の切り替えと第1結像ミラー411の傾斜駆動の切り替えとを高速に行うことにより、各表示画素群ごとに形成された鮮明な実像が、ユーザには収差が低減された空中像30として視認される。
なお、空中像30をY方向に移動させる場合についても同様の動作を行う。すなわち、表示制御部23は、Y方向に沿って順次光束を出射させる表示画素群を切り替える。算出部27は、光束を出射する表示画素群を切り替えるごとに、駆動角度+θ2からずらす角度±Δθ2を算出し、駆動制御部21は、算出した駆動角度+θ2±Δθ2に応じた電圧を第2駆動部422に印加する。これにより、第8の実施の形態の変形例2では、各表示画素群ごとに、出射された光束は駆動角度θ2に応じてY方向に移動した位置に収差が低減された空中像30を形成できる。
(第8の実施の形態の変形例2)
第8の実施の形態の変形例2の表示装置1は、図38(b)に示す第8の実施の形態とその変形例1の表示装置1と同一の構成を有する。即ち、第8の実施の形態の変形例2の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第8の実施の形態とその変形例1の光学系12Eと同様の光学系12Eと、記憶部9とを有する。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と算出部27とを備える。
第8の実施の形態の変形例2では、全ての第1結像ミラー411のうち表示器11の表示画素群PG1から出射した光束が入射する範囲内に配置された第1結像ミラー411が傾斜駆動される。また、全ての第2結像ミラー421のうち表示器11の表示画素群PG1から出射した光束が入射する範囲内に配置された第2結像ミラー421が傾斜駆動される。すなわち、表示器11の全領域のうち、一部の領域に含まれる表示画素のみから光束が出射される場合に、出射した光束が光学系に入射する範囲は光学系のXY平面に平行な面の全領域よりも狭くなる。このため、第8の実施の形態の変形例2では、実像PG11の形成に寄与しない第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とについては傾斜駆動を行わないようにする。以下、第8の実施の形態とその変形例1と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第8の実施の形態とその変形例1にて説明した内容を適用することができる。
なお、以下の説明では、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
図44(a)は、通常状態のときに表示器11のうち、画像を表示して光束を出射する複数の表示画素が含まれる表示画素群PG1と、光学系12Eのうち表示器11の表示画素群PG1からの光束が入射する光学系12Eの領域R10とを模式的に示す図である。なお、図44(a)は、表示画素群PG1と領域R10との関係を主に示すことを目的として、光学系12Eが有する第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示す。
表示画素群PG1から出射される光束がZ方向となす広がり角度をθ10とし、表示器11と光学系12Eとの間のZ方向の距離をhとすると、領域R10のX方向に沿った長さは、次の式(1)で表される。
W=h×{tan(θ10)+tan(θ10)} …(1)
光学系12Eに設けられた第1結像ミラー411のうち、長さWの領域R10の範囲に含まれる複数の第1結像ミラー411が、表示画素群PG1から出射された光束による実像PG11の形成に寄与する。このため、通常状態から動作状態に変化した場合には、駆動制御部21は、光学系12Eの領域R10に含まれる第1結像ミラー411を傾斜駆動させることにより、実像PG11の位置を移動させることができる。すなわち、表示される画像の範囲が領域R10に対応する所定範囲内の場合に、第1結像ミラー411が傾斜駆動を行うことにより、実像PG11の位置を移動させる。
動作状態の場合には、制御部20は、表示画素群PG1に最も近い位置、即ち、表示画素群PG1の真上の位置に配置された基準第1結像ミラー411aの位置を中心として、長さWの領域R10に含まれる第1結像ミラー411を制御対象として選択する。駆動制御部21は、制御対象として選択された第1結像ミラー411のそれぞれに対して駆動角度±θ1±Δθ1に応じた電圧を印加して、選択された第1結像ミラー411を傾斜駆動させる(第1駆動)。駆動制御部21は、選択されていない第1結像ミラー411に対しては電圧を印加せず、第1結像ミラー411を傾斜駆動させない。
なお、制御部20は、第2結像ミラー421についても同様にして、表示画素群PG1から出射された光束が入射する領域R10内の第2結像ミラー421を傾斜駆動させ、その他の領域の第2結像ミラー421を傾斜駆動させない。
また、表示器11の複数の表示画素群が画像を表示するとき、すなわち画像が表示される範囲が領域R10に対応する所定範囲内ではないときには、各表示画素群に対応する領域ごとに第1結像ミラー411の傾斜駆動を制御する。図44(b)は、表示画素群PG1とPG2とが異なるタイミングで画像を表示する場合を示す。表示画素群PG1から出射された光束は、図44(a)に示すように領域R10に入射する。表示画素群PG2から出射された光束は、図44(b)に示すように、領域R20に入射する。この場合、まず、表示画素群PG1に対応する領域R10内の第1結像ミラー411の傾斜駆動が制御され(第1駆動)、次に表示画素群PG2に対応する領域R20内の第1結像ミラー411の傾斜駆動が制御される(第2駆動)。このような領域R10内の第1結像ミラー411の傾斜駆動と、領域20内の第1結像ミラー411の傾斜駆動とを高速で交互に繰り返す。
図45のフローチャートを参照して、第8実施の形態の変形例2の表示装置1の光学系12Eの動作状態時の処理について説明する。図45に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS71では、表示制御部23は、表示器11の表示画素群のうち画像を表示する表示画素群を選択してステップS72へ進む。ステップS72では、選択された表示画素群からの光束が入射する領域R10に含まれる第1結像ミラー411を制御対象として選択してステップS73へ進む。
ステップS73では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、制御対象として選択された第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS74へ進む。ステップS74(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS75(第1結像ミラーを傾斜駆動)までの各処理は、図39のフローチャートにおけるステップS52(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS53(第1結像ミラーの傾斜駆動)の各処理と同様である。
ステップS76では、表示器11の全ての表示画素群に画像が表示され、実像が形成されたか否かを判定する。全ての表示画素群に画像が表示され、実像が形成された場合には、ステップS76が肯定判定されてステップS77へ進む。画像が表示されていない表示画群素が存在する場合には、ステップS76が否定判定されてステップS71へ戻る。ステップS77では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS77が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS77が否定判定されてステップS71へ戻る。
なお、制御部20は、第2結像ミラー421についても同様にして、領域R10内の第2結像ミラー421の傾斜駆動と、領域20内の第2結像ミラー421の傾斜駆動とを高速で交互に繰り返す。この場合、制御部20は、図45と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。これにより、表示画素群ごとに収差の影響が低減された実像を形成させることができる。
この場合、表示画素群PG1に対して領域R10内の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の傾斜駆動が制御されているときに、表示画素群PG2から光束が出射されていない。また、表示画素群PG2から光束を出射してもよいが、表示画素群PG2から出射する光束の光量を低減させてもよい。表示画素群PG2から光束が出射されていても、領域R10内の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方は、表示画素群PG1から出射された光束を収束させるために傾斜駆動されている。このため、表示画素群PG2から出射された光束は、領域R10内の第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方によって鮮明な実像を形成することができない。すなわち、ユーザには表示画素群PG2に対応する実像PG21を鮮明に視認できない。
第8の実施の形態の変形例2では、表示器11に表示される画像の範囲が領域R10に対応する範囲の場合には、第1駆動部412は、領域R10内に配置された複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、全ての第1結像ミラー411、第2結像ミラー421を傾斜駆動する場合と比較して、制御のための負荷を低減し、消費電力を低減できる。
また、第8の実施の形態の変形例2では、画像の範囲が領域R10に対応する範囲内ではない場合、表示制御部23が表示画素群PG1に画像を表示しているとき、第1駆動部412は領域R10内に配置された第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。表示制御部23が表示画素群PG2に画像を表示しているとき、第1駆動部412は領域R20内に配置された第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、駆動角度±θ1をずらし角度±Δθ1で補正する必要がある場合であっても、領域R10やR20内の第1結像ミラー411の補正量、即ちずらす角度±Δθ1を、領域R10や領域R20の外部の第1結像ミラー411に対するずらす角度±Δθ1場合と比べて小さな値とすることができる。従って、制御のための負荷を低減し、消費電力を低減できる。
また、第8の実施の形態の変形例2では、光学系12Eの全領域と比較して狭い範囲の領域R10やR20に配置された第1結像ミラー411を傾斜駆動させるので、実像を形成する光束が収束しやすくなり収差が低減された実像を形成しやすくなる。
(第8の実施の形態の変形例3)
上述した第8の実施の形態の変形例2では、表示画素群PG1から出射した光束が入射する領域R10内に配置された第1結像ミラー411や第2結像ミラー421を傾斜駆動させるものであった。これに対して、第8の実施の形態の変形例3では、領域R10内のさらに一部領域に配置された第1結像ミラー411や第2結像ミラー421を傾斜駆動させる。換言すると、形成される空中像30のうちの一部の範囲、たとえば空中像30を観察しようとするユーザが視認可能な範囲について、鮮明な実像を形成させる。以下、第8の実施の形態の変形例2と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第8の実施の形態の変形例2にて説明した内容を適用することができる。
第8の実施の形態の変形例3の表示装置1は、図19、図20に示す第4の実施の形態の撮像装置5と、図38(a)に示す第8の実施の形態とその変形例1、2の光学系12Eとを有する。図46は、第8の実施の形態の変形例3における表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。第8の実施の形態の変形例3の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器1と撮像装置5と、光学系12Eと、記憶部9とを有する。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と決定部26と算出部27とを備える。なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部と、ユーザを検出するための検出用の制御部との3つを有しても良い。この場合、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は光学系12Eと一体化させ、検出用の制御部は撮像装置5に格納しても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と光学系12Eと検出部25とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Eと一体化させても良い。
検出部25は、第4の実施の形態(図19〜図21参照)や第6の実施の形態の変形例4(図33、図34参照)と同様にして、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、公知の被写体検出処理等を行って、撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。検出部25は、撮像データ上で検出した人物の顔の方向を検出して、表示装置1を観察するユーザの視線の方向を検出する。なお、検出部25は撮像装置5に組み込まれても良い。この場合、撮像装置5の検出部25が検出したユーザの視線方向の情報は、制御部20に出力される。
図47は、ユーザの視線の方向、すなわち実像PG11を観察するために目を置く領域2と、ユーザにより観察される光束を出射する光学系12Eの領域R11との関係を模式的に示す図である。なお、図47においても、図43と同様に、表示画素群P1と領域R10との関係を主に示すことを目的として、光学系12Eが有する第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示す
表示画素群PG1の複数の表示画素から出射された光束は、図44を用いて第8の実施の形態の変形例2にて説明した場合と同様にして、光学系12Eの領域R10に入射して、表示画素群PG1と同一の大きさの実像PG11を形成する。この実像PG11の全体は、領域U1において観察することができる。この領域U1と比べて狭い領域である領域U2にユーザの目がおかれた場合、ユーザの目に入る光束は、表示画素群PG1から出射されて光学系12Eの領域R10よりも狭い領域R11に入射した光束の反射光束である。この領域R11からの反射光束が実像PG11の位置で収束することにより、ユーザは鮮明な実像PG11を観察することができるようになる。したがって、第8の実施の形態の変形例3では、光学系12Eのうち、ユーザが視認している領域U2に対応する領域R11内に配置された第1結像ミラー411の傾斜駆動を制御する。なお、試験等を行った結果に基づいて、たとえば、ユーザの目が置かれる領域U2の位置(視線の方向)と、反射光束が領域U2に実像を形成させるための光学系12Eの領域R11の大きさおよび位置と、光束を出射させる表示画素群の位置との関係が予めデータとして記憶部9に記憶されている。なお、上述したデータを表示装置1が備える記憶部9に記憶するものとしたが、これに限定されず、表示装置1の外部の記憶装置に記憶しても良い。
第1結像ミラー411を傾斜駆動させるための駆動角度±θ1、すなわち空中像30の移動量は、検出部25によって検出されたユーザの位置に基づいて決定部26により決定される。この場合、決定部26は、第4の実施の形態(図19〜図21参照)や第6の実施の形態の変形例4(図33、図34参照)の場合と同様にして、検出されたユーザが表示装置1から離れているほど移動量を大きくする。ユーザと表示装置1との間の距離は、撮像データ上で検出された人物の大きさに基づいて算出すれば良い。
駆動角度±θ1が決定されると、制御部20は、検出部25によって検出されたユーザの視線方向に基づいて、記憶部9に記憶された視線の方向と領域R10の大きさおよび位置と表示画素群の位置との関係を示すデータを参照して、領域R11内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択する。即ち、制御部20は、表示画素群PG1からの光束が入射する領域R10のうち、ユーザの視線方向に基づく領域R11内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択する。なお、上記のデータが外部の記憶装置に記憶されている場合には、表示装置1は、外部の記憶装置と有線または無線により直接的に、またはネットワーク等を介して間接的に接続され、上記のデータを受信すれば良い。駆動制御部21は、制御対象として選択された第1結像ミラー411のそれぞれに対して駆動角度±θ1±Δθ1に応じた電圧を印加して、選択された第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。駆動制御部21は、選択されていない第1結像ミラー411に対しては電圧を印加しない。したがって、領域R11に含まれない第1結像ミラー411については傾斜駆動されない。これにより、表示装置1を観察するユーザの位置と視線の方向とに基づいて、ユーザの目の置かれた位置に実像PG11が移動して形成される。
図48のフローチャートを参照して、第8実施の形態の変形例3の表示装置1の光学系12Eの動作状態時の処理について説明する。図48に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS81では、撮像装置5に撮像データを生成させてステップS82へ進む。ステップS82では、制御部20の検出部25は、生成された撮像データ上から表示装置1を観察するユーザの有無を検出する処理を行って、ステップS83へ進む。ステップS83では、ステップS82にてユーザが検出されたか否かを判定する。ユーザが検出された場合には、ステップS83が肯定判定されてステップS84へ進む。ユーザが検出されない場合には、ステップS83が否定判定されてステップS81へ戻る。
ステップS84では、表示画素群PG1からの光束が入射する領域R10のうち、検出されたユーザの視線方向に基づく領域R11内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択してステップS85へ進む。ステップS85では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、制御対象として選択された第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS86へ進む。ステップS86(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS87(第1結像ミラーを傾斜駆動)までの各処理は、図39のフローチャートにおけるステップS52(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS53(第1結像ミラーの傾斜駆動)の各処理と同様である。ステップS88では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS88が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS88が否定判定されてステップS81へ戻る。
なお、制御部20は、第2結像ミラー421についても同様にして、表示画素群PG1から出射された光束のうち、光学系12Eによる反射光束がユーザの視線方向に向かう光束が入射する領域内の第2結像ミラー421を傾斜駆動する。制御部20はその他の領域の第2結像ミラー421を傾斜駆動させない。この場合、制御部20は、図48と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。
これにより、表示装置1を観察するユーザの位置と視線の方向とに基づいて、ユーザの目の置かれた位置に実像PG11が移動して形成される。
なお、表示器11に表示される画像の範囲に複数の表示画素群が含まれるときは、第8の実施の形態の変形例2で図44を用いて説明した場合と同様にして、各表示画素群に対応する領域ごとに第1結像ミラー411や第2結像ミラー421の傾斜駆動を制御すればよい。これにより、表示画素群ごとに収差を低減した実像を形成させることができる。この場合も、変形例2で説明した場合と同様の理由により、表示画素群PG1に対して領域R10内の第1結像ミラー411や第2結像ミラー421の傾斜駆動が制御されているときに、表示画素群PG2から光束が出射されても良いし、出射されていなくても良い。
なお、第8の実施の形態の変形例3では、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて表示装置1を観察するユーザを検出する構成としたが、この例に限定されない。第4の実施の形態とその変形例1(図19〜図21参照)にて説明したように、ユーザによる操作ボタンの操作や、集音によって集音された音声データに基づいて、ユーザを検出しても良い。
第8の実施の形態の変形例3では、空中に結像された空中像30を視認するユーザに基づいて、光を結像させる位置を決定するので、ユーザごとに異なる位置に収差を低減させた空中像30を形成させることができる。
また、第8の実施の形態の変形例3では、第1駆動部412は、ユーザの位置、または、ユーザの視線方向に基づいて、基準第1結像ミラー411sの駆動量、即ち駆動角度±θ1を決定し、他の第1結像ミラー411の駆動角度±θ1からのずらす角度±Δθ1を決定する。これにより、ユーザが空中像30を視認しやすい位置またはユーザが実際に空中像30を視認する位置(例えば、図47の領域U2)に、収差を低減した空中像30を形成させることができる。
また、第8の実施の形態の変形例3では、第1駆動部412は、空中に結像された空中像30を視認するユーザに対応した複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、空中像30のうち、ユーザが注目している範囲については収差が低減された実像を形成されることにより、視認性を向上させる。
また、第8の実施の形態の変形例3では、表示器11に表示される画像の範囲に基づいて、ユーザに対応した複数の第1結像ミラー411を制御対象として決定する。これにより、表示画素群から出射された光束のうち、光学系12Eによる反射光束がユーザの視線方向に向かう光束が入射する領域内の第1結像ミラー411を傾斜駆動させて、収差が低減された空中像30をユーザに視認させることができる。
また、第8の実施の形態の変形例3では、第1駆動部412は、ユーザが視認する範囲である領域U2に基づいて、複数の第1結像ミラー411のうちユーザに対応した複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、全ての第1結像ミラーを傾斜駆動する場合と比較して、制御のための負荷を低減し、消費電力を低減できる。
また、第8の実施の形態の変形例3では、ユーザが視認する範囲である領域U2は、ユーザの位置またはユーザの視線方向に基づいて決定されるので、表示装置1を観察するユーザにとって、視認しやすい位置に収差が低減された空中像30を形成することができる。
(第8の実施の形態の変形例4)
第8の実施の形態とその変形例1〜3において説明した光学系12Eが、第5の実施の形態にて説明した図26に示す液晶素子146や、図28に示す液体レンズを用いた補助光学部材14または、第5の実施の形態の変形例3で説明した図29に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bを有しても良い。以下、第8の実施の形態とその変形例1〜3と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第8の実施の形態とその変形例1〜3にて説明した内容を適用することができる。
図49は、第8の実施の形態の変形例4の光学系12Eの構成を説明するZX平面における断面図である。第1光学部41と第2光学部42とは、第8の実施の形態とその変形例1〜3の光学系12E(図38(a)参照)と同一の構成を有する。第1筐体410の下部(Z方向−側)には、図30に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bが配置される。なお、補助光学部材14Bは、第2筐体420の上部(Z方向+側)に配置されてもよい。また、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。
図50は、第8の実施の形態の変形例4の表示装置1の主要部構成を示すブロック図である。第8の実施の形態の変形例4の表示装置1は、図46に示す第8の実施の形態の変形例3と同様の構成と、図30(b)に示す第6の実施の形態の表示装置1の一部の構成とを有する。即ち、第8の実施の形態の変形例4の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、図49に示す光学系12Eと、記憶部9とを有する。制御部20は、駆動制御部21と、画像生成部22と、表示制御部23と、電圧制御部24と、検出部25と、決定部26と、算出部27とを有する。電圧制御部24は、第6の実施の形態と同様に、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を制御する。
なお、制御部20は、表示用の制御部と、光学系の駆動部を駆動させるための光学部用の制御部と、補助光学部材14の動作を制御する補正用の制御部と、ユーザを検出するための検出用の制御部との4つを有しても良い。この場合、表示用の制御部は表示器11の内部に格納し、光学部用の制御部は光学系12Eと一体化させ、補正用の制御部を補助光学部材14と一体化させ、検出用の制御部を撮像装置5の内部に格納しても良い。また、制御部20は、1つの制御部で、表示器11と光学系12Eと補助光学部材14と検出部25とを制御してもよく、表示器11の内部に格納しても良いし、光学系12Eと一体化させても良い。
第8の実施の形態の変形例4では、詳細を後述する第1動作状態と第2動作状態とを切り替えて制御することにより、鮮明な実像を形成させる。第1動作状態では、第6の実施の形態(図30、図31参照)の場合と同様に補助光学部材14Bを用いて表示画素群から出射された光束を偏向させる。第2動作状態では、第8の実施の形態とその変形例1〜3(図38〜図48参照)で説明したように、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1をずらす角度±Δθ1で補正し、第2結像ミラー421の駆動角度±θ2をずらす角度±Δθ2で補正する。
なお、以下の説明においては、空中像30の移動方向と移動量は、第8の実施の形態の変形例3(図46〜図48参照)にて説明したように、表示装置1を観察するユーザの視線方向と、表示装置1とユーザとの間の距離とに基づいて決定される。
なお、以下の説明では、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。また、以下に説明する表示装置1の動作は一例であり、第8の実施の形態の変形例4の表示装置1は、収差を低減させた空中像30を形成させるために、以下に説明する動作以外の動作を行っても良い。即ち、光学系12Eは補助光学部材14Bを備えているが、第1動作状態にて実像を形成させない表示装置1であっても良い。
<第1動作状態>
表示装置1は、表示器11に表示される画像の範囲に複数の表示画素群が含まれる場合、即ち画像の範囲が1つの表示画素群の大きさよりも大きい場合に、第1動作状態で動作する。この場合、空中像30の移動量に基づいて、図44に示す領域R10や図47に示す領域R11内の第1結像ミラー411が制御対象として選択され、制御対象の第1結像ミラー411の駆動角度±θ1が決定される。電圧制御部24は、制御対象として選択された第1結像ミラー411ごとに補助光学部材14Bの液晶素子146の境界面143Bの角度φ4を制御する。電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布が異なることにより生じる境界面143BがXY平面となす角度φ4を制御対象として選択された第1結像ミラー411ごとに決定する。この場合、電圧制御部24は、第5の実施の形態の場合と同様にして、記憶部9に記憶されたデータを参照して、角度φ4を決定する。電圧制御部24は、制御対象として選択された第1結像ミラー411ごとに決定した角度φ4に基づいた電圧を上部電極151と下部電極152との間に印加する。
以上のように、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1を空中像30の移動量に基づいて、制御対象として選択された第1結像ミラー411ごと、即ち複数の表示画素群ごとに共通に決定する。補助光学部材14Bの液晶素子146の屈折率分布を制御対象として選択された第1結像ミラー411ごとに、即ち複数の表示画素群ごとに決定する。これにより、複数の表示画素群から出射した光束は、補助光学部材14Bにて偏向し、駆動角度±θ1で傾斜駆動された第1結像ミラー411で反射して、反射光束は収差が低減された実像を形成する。
<第2動作状態>
表示装置1は、表示器11に表示される画像の範囲に1つの表示画素群が含まれる場合に、第2動作状態で動作する。この場合、空中像30の移動量に基づいて、図44に示す領域R10や図47に示す領域R11内の第1結像ミラー411の駆動角度±θ1が決定されると、第8の実施の形態とその変形例1〜3の場合と同様に、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1のずらず角度±Δθ1が算出される。すなわち、第2動作状態のときには、第1結像ミラー411の傾斜駆動により収差が低減された実像を形成させる。このため、補助光学部材14Bにおいて、表示画素群から出射した光束が偏向されないようにする。この場合、電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布により境界面が発生しないように、すなわち液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極との間に電圧を印加する。
図51のフローチャートを参照して、第8実施の形態の変形例4の表示装置1の光学系12Eの動作状態時の処理について説明する。図51に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS101(撮像データ生成)とステップS102(ユーザ検出処理)の各処理は、図48のステップS81(撮像データ生成)およびステップS82(ユーザ検出処理)の各処理と同様である。
ステップS103では、表示器11のうち画像を表示する範囲に複数の表示画素群が含まれるか否かを判定する。複数の表示画素群が含まれる場合には、ステップS103が肯定判定されてステップS104へ進み、1つの表示画素群が含まれる場合にはステップS103が否定判定されて後述するステップS109へ進む。
ステップS104では、検出されたユーザの視線方向に基づく領域R11内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択し、制御対象の第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS105へ進む。なお、表示画素群からの光束が入射する領域R10に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択しても良い。
ステップS105では、電圧制御部24は、第1結像ミラー411の駆動角度θ1に基づいて、境界面143Bの角度φ4を決定してステップS106へ進む。ステップS106では、決定した境界面143Bの角度φ4となるための上部電極151と下部電極152との間の印加電圧を算出してステップS107へ進む。ステップS107では、駆動制御部21は、算出された駆動角度θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度θ1で傾斜駆動させる。電圧制御部24は、算出した電圧値に従って、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加して、第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度をφ4にさせる。ステップS108では、全ての制御対象の第1結像ミラー411に対して処理が行われたか否かを判定する。全ての制御対象の第1結像ミラー411に対してステップS104〜ステップS107までの処理が行われた場合には、ステップS110が肯定判定されて後述するステップS114へ進む。処理が行われていない制御対象の第1結像ミラー411が存在する場合には、ステップS108が否定判定されてステップS104へ戻る。上述したステップS104からステップS108までの処理が第1動作状態である。
ステップS103が否定判定されて進んだステップS109においては、表示画素群からの光束が入射する領域R10のうち、検出されたユーザの視線方向に基づく領域R11内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択してステップS110へ進む。なお、領域R10内に配置された第1結像ミラー411を制御対象として選択しても良い。ステップS110では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、制御対象として選択された第1結像ミラー411の駆動角度θ1を算出してステップS111へ進む。ステップS111(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS112(第1結像ミラーを傾斜駆動)までの各処理は、図39のフローチャートにおけるステップS52(第1結像ミラーの駆動角度θ1からのずらす角度Δθ1算出)およびステップS53(第1結像ミラーの傾斜駆動)の各処理と同様である。ステップS113では、電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布により境界面が発生しないように、即ち液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極との間に電圧を印加してステップS114へ進む。上述したステップS109からステップS113までの処理が第2動作状態である。
なお、上述したステップS112とステップS113とは、順番は逆でも良い。また、ステップS112とステップS113とをほぼ同時に実行しても良い。
ステップS114では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS114が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS114が否定判定されてステップS101へ戻る。
なお、第2結像ミラー421を傾斜駆動させる場合も、第1動作状態と第2動作状態との一方により行われる。第1動作状態のときには、第1結像ミラー411の場合と同様にして補助光学部材14Bを用いて、第2結像ミラー421へ入射する光束を偏向させる。第2結像ミラー421を傾斜駆動させる場合には、光学系12Eは第6の実施の形態の変形例4で説明した図32に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bを有していることが好ましい。また、補助光学部材14Bとして液体レンズを用いた場合には、電圧制御部24は、共通電極と電極との間に印加する電圧を制御して、導電性液体と絶縁性液体との境界面がXY平面となす角度を制御すれば良い。第2動作状態のときには、第1結像ミラー411の場合と同様にして、第2結像ミラー421の駆動角度θ2に応じて、補助光学部材14Bの液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を制御する。この場合、制御部20は、図51と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。
なお、補助光学部材14Bとして液体レンズを用いた場合には、電圧制御部24は、共通電極と電極との間に印加する電圧を制御して、導電性液体と絶縁性液体との境界面がXY平面となす角度をゼロとなるよう、例えば制御を行う。
第8の実施の形態の変形例4では、第1駆動部412は、表示される画像の範囲が所定範囲内、即ち画像の範囲に1つの表示画素群が含まれる場合に、第1結像ミラー411を第2動作状態で傾斜駆動させる。これにより、表示器11からの光束が他の光学部材で光束が偏向されることなく第1結像ミラー411へ入射して、そこで反射されて色収差を発生させることなく空中像30を形成することができる。
また、第8の実施の形態の変形例4では、画像の範囲に1つの表示画素群が含まれる場合には、第1結像ミラー411が第2動作状態で制御される。これにより、領域R10や領域R11に対応する表示画素群から常時光束が出射されている状態とすることができるので、特定の範囲が明るい空中像30を収差が低減された状態で形成することができる。
また、第8の実施の形態の変形例4では、画像の範囲が所定範囲ではない、即ち画像の範囲に複数の表示画素群が含まれる場合には、複数の第1結像ミラー411によって空中の複数の位置を通過することになる光束を偏向、即ち光路を補正し、空中のある位置に結像させる補助光学部材14Bを有する。これにより、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1にずらす角度±Δθ1を付加して傾斜駆動させることなく、収差が低減された空中像30を形成することができる。
また、第8の実施の形態の変形例4では、画像の範囲に複数の表示画素群が含まれる場合に第1動作状態とするときであっても、表示画素群ごとに画像の表示のオンとオフとを切り替えることなく表示し続けることができるので、明るい空中像30を形成することができる。
なお、上述した第8の実施の形態とその変形例1〜4において、光学系12Eが、図11〜図17に示すような第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aによって構成されても良い。
−第9の実施の形態−
図面を参照しながら、第9の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第9の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述した第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
複数のユーザに対して表示装置1が空中像30を形成する際に、単一の空中像30が形成されるのみでは、それぞれのユーザが所望する空中像30を観察できないという状況が発生する場合がある。たとえば、複数のユーザが表示装置1に対して異なる位置から同一の空中像30を観察しようとするとき、空中像30が十分な視野角を有していない場合(たとえば±20°程度)には、ユーザの位置によっては、空中像30の視認性が著しく低下する虞がある。なお、この場合、視認性の低下とは、空中像30が十分な視野角を有していないために空中像30を視認し難くなることと、ユーザが表示装置1を真上から観察するのではなく、表示装置1をX方向またはY方向に離れた位置から斜めに観察するために空中像30を視認し難くなることとを含んでいる。このような場合に備え、本実施の形態の表示装置1では、複数のユーザで空中像30を観察する場合にそれぞれのユーザに対して視認可能な空中像30を形成する。以下、2人のユーザが異なる位置から表示装置1を観察する場合を例に挙げて、詳細に説明する。
図52(a)は第9の実施の形態の光学系12Fの構成を模式的に示すZX平面における断面図である。光学系12Fは、第1の実施の形態の結像光学系12(図3参照)とは、第1駆動部412と第2駆動部422とを備えない、すなわち第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが傾斜駆動されない点で異なる。また、図52(a)では、第1筐体410の上部(Z方向+側)に第2筐体420を配置した例を示すが、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。
光学系12Fの第1光学部41の複数の第1結像ミラー411は、第1の実施の形態(図1〜図5参照)における第1結像ミラー411に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、第1筐体410内に複数配置されている。第1結像ミラー411は、反射面がY方向に延在、すなわち広がりを有し、かつZ方向に対して傾けた状態で第1筐体410に固定して配置される。第2光学部42の第2結像ミラー421は、第1の実施の形態における第2結像ミラー421に適用可能な配置ピッチと同様の配置ピッチを適用して、第2筐体420内に複数配置されている。各第2結像ミラー421は、反射面がX方向に延在、すなわち広がりを有し、かつZ方向に対して傾きを持たない直立状態で第2筐体420に固定して配置される。
図52(a)に示す例では、第1結像ミラー列には、Z方向に対して角度0°すなわち垂直に配置された第1結像ミラー411aと、Z方向に対して角度−θ4だけ傾けて配置された第1結像ミラー411bとが含まれる。第1結像ミラー列には、第1結像ミラー411aと411bとが同一個数配置される(図52(a)の例では4個の第1結像ミラー411aと4個の第1結像ミラー411b)。第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとは、第1結像ミラー列内で交互に配置される。なお、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが第1結像ミラー列内で交互に配置されるものに限定されず、所定個数の第1結像ミラー411aごとに1個または複数個の第1結像ミラー411bが配置されても良い。
<光学系12Fによる空中像30の形成>
図52(b)は、表示器11から出射される光束と、これらの光束によって形成される空中像30との位置関係を模式的に示した図である。なお、図52(b)では、図示の都合上、空中像30Aと空中像30BをZ方向にずらして描いているが、実際は、空中像30Aと30Bとは、Z方向の略同じ位置に形成される。
表示画素P1から放射状に出射した光束のうち、光束L1、L3、L5、L7は垂直の第1結像ミラー411aによって反射され、反射光束は収束して実像P11Aを結像する。この実像P11Aは、領域U1Aにて視認することができる。表示画素P1から出射した光束のうち、光束L2、L4、L6、L8は第1結像ミラー411bによって反射され、反射光束は角度−θ4に応じてX方向に移動した位置に収束して実像P11Bを結像する。この実像P11Bは、領域U1Bにて視認することができる。したがって、同一の表示画素P1から出射した光束が、異なる2つの実像P1Aと、P1Bとを結像する。即ち、表示画素P1に表示された画像は、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとによって、異なった位置に実像P11A、P11Bとして形成される。
1人のユーザが領域U1Aに目を置いた場合は実像P1Aを視認することができ、他のユーザが領域U1Bに目を置いた場合は実像P1Bを視認することができる。すなわち、表示装置1に対して異なる位置の2人のユーザが、表示器11に表示された同一の画像を、異なる位置に形成された空中像30A、30Bとしてそれぞれ同時に視認することができる。勿論、複数の第1結像ミラー411aは、垂直に限らず、角度−θ4と異なる角度、たとえば角度θ6に設定することができる。
なお、全ての第1結像ミラー411がX方向に傾くことなく配置され、第2結像ミラー421が異なる2つの角度でY方向に傾いて配置された場合には、第2結像ミラー421について上記と同様にして、Y方向の異なる位置に2つの空中像30が形成される。この場合は、Y方向に沿って異なる位置の2人のユーザが表示器11に表示された同一の画像を、異なる位置に形成された空中像30としてそれぞれ視認できる。
勿論、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421との両方がそれぞれ異なる2つの角度でX方向とY方向とに傾いて配置された場合には、X方向とY方向とに反された位置に複数の空中像が形成される。
また、本実施の形態では、Z方向となす角度0°の第1結像ミラー411aと角度−θ4の第1結像ミラー411bとが配置される場合を例に挙げたが、3つ以上の異なる角度で傾いた3種類以上の第1結像ミラー411が配置されても良い。この場合、3人以上のユーザが、互いに異なる位置から表示装置1上に形成された同一の画像に対応する3つ以上の空中像30をそれぞれ視認することができる。
第9の実施の形態では、表示器11から出射された光を反射する複数の第1結像ミラー411で構成され、表示器11から出射された光を空中の領域U1で視認できる位置と領域U2で視認できる位置とに結像する第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを有する。これにより、複数のユーザで空中像30を観察する場合、ユーザは異なる位置に形成された空中像30を同じタイミングで視認することができる。
また、第9の実施の形態では、第1結像ミラー411aは、Z方向に対して角度が0°で第1筐体410に配置され、表示器11から出射された光束を領域U1で視認できる位置に結像する。第1結像ミラー411bは、Z方向に対して角度−θ4で傾けて第1筐体410に配置され、表示器11から出射された光束を領域U2で視認できる位置に結像する。これにより、空中の異なる2つの領域に空中像30Aと30Bとを形成させることができる。
なお、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとを同一個数配置する場合に限定されず、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとの個数が異なっても良い。たとえば、第1結像ミラー411aの個数を第1結像ミラー411bの個数よりも多く配置する。この場合、図52(b)の実像P1Aの位置に収束する光束は、実像P1Bに収束する光束よりも多くなるので、空中像30Aは空中像30Bと比較して、高解像度の高い質を有する空中像として形成される。
この場合、第9の実施の形態では、複数の第1結像ミラー411aの個数を複数の第1結像ミラー411bの個数よりも多く配置した。これにより、表示器11に表示された同一の画像に対応して、高解像度で質の高い空中像30Aと、解像度が低い空中像30Bとが異なる位置に形成されることができる。
このような構成とした表示装置1は、たとえば各種の販売店や代理店等にて使用することができる。たとえば、エージェントがクライアントに対して、表示装置1を用いて各種の情報や見本の画像等を提示しながら説明する際、高解像度の空中像をクライアントに視認させつつ、エージェントは低解像度の空中像を視認しながら必要な説明を行うことができる。
(第9の実施の形態の変形例1)
図11〜図17に示すような第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに上述した第9の実施の形態にて説明した考え方を適用してもよい。図53は、図11に示す第2の実施の形態と同様に、光学系12Fは、設置部1211と、設置部1211に設けられた複数の部分反射ミラー1212を有する部分反射部1210と、再帰性反射部1220とを有する。ただし、部分反射ミラー1212を駆動するための駆動部1213を有していない。この場合、複数の部分反射ミラー1212のうち、部分反射ミラー1212aがP方向に対してなす角度が0°となるように配置し、部分反射ミラー1212bがP方向に対してなす角度が−θ2となるように配置する。
図53では、表示器11の表示画素P1から出射された光束のうちの一部の光束L1、L3、L5は、部分反射ミラー1212aを透過して再帰性反射部1220で再帰性反射された後に、部分反射ミラー1212aで反射されて、収束されて実像P11Aを形成する。表示画素P1から出射された光束のうちの他の光束L2、L4、L6は、部分反射ミラー1212bで反射されて、角度−θ2に応じてX方向に移動した位置に実像P11Bを形成する。これにより、第9の実施の形態の場合と同様に、表示装置1に対して異なる位置の2人のユーザが、表示器11に表示された同一の画像を、異なる位置に形成された空中像30A、30Bとしてそれぞれ視認することができる。
なお、図53では、部分反射ミラー1212aと部分反射ミラー1212bとを同数とした場合を例示したが、これに限定されず、部分反射ミラー1212aと1212bとの個数が異なっても良い。
また、部分反射ミラー1212aがP方向に対して所定の角度を有して配置されてもよい。図53では、部分反射ミラー1212aと1212bとが交互に配置される例を示したが、これに限定されず、所定個数の部分反射ミラー1212aごとに1個または複数個の部分反射ミラー1212bが配置されても良い。
また、Y方向に移動した位置に実像P11Bを形成させる場合には、部分反射ミラー1212bのQ方向に対する角度を±θ1となるようにして配置すれば良い。
また、上記の例では、部分反射部1210を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、図11〜図17に示す第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに適用して第9の実施の形態の変形例1の光学系12Fを形成することができる。この結果、表示器11から出射された光束は、異なる位置に空中像30Aと30Bとを形成することができる。
第9の実施の形態の変形例1では、表示器11から出射された光を反射する複数の部分反射ミラー1212で構成され、表示器11から出射された光を空中の異なる位置に結像する部分反射部1210と、複数の部分反射ミラー1212が配置される設置部1211とを有する。これにより、複数のユーザで空中像30を観察する場合、ユーザは異なる位置に形成された空中像30を同じタイミングで視認することができる。
また、第9の実施の形態の変形例1では、部分反射ミラー1212aは、P方向に対して角度が0°で設置部1211に配置され、表示器11から出射された光束を結像して実像P11Aを形成する。部分反射ミラー1212bは、P方向に対して角度−θ2だけ傾けて設置部1211に配置され、表示器11から出射された光束を結像して実像P11Bを形成する。これにより、空中の異なる2つの領域に空中像を形成させることができる。
(第9の実施の形態の変形例2)
第9の実施の形態の変形例2では、第7の実施の形態(図35、図36参照)において説明したように、複数の第1結像ミラー411bは、そのX方向位置に応じてZ方向に対して傾き角度を変えて配置される。即ち、複数の第1結像ミラー411bは、X方向位置に応じた角度−θ1±Δθ11で収束し、鮮明な実像P11を形成する。なお、複数の第1結像ミラー411aはZ方向と角度0°となるように配置されているので、表示器11から出射した複数の光束は実像P11に収束するので、複数の第1結像ミラー411aがZ方向となす角度は、X方向位置によらず同一の角度0°に設定される。以下、第9の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第9の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
図54(a)は、第9の実施の形態の変形例2における光学系12Fの構成を模式的に示すZX平面での断面図である。なお、第1筐体410と第2筐体420との配置に関しては、第9の実施の形態における第1筐体410と第2筐体420とに適用可能な配置を適用できる。また、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとの配置個数や配置態様は、第9の実施の形態に適用可能な配置個数や配置態様を適用できる。
第9の実施の形態の変形例2の表示装置1は、第7の実施の形態の表示装置1と同様に図35(b)に示すブロック図により表される。即ち、第9の実施の形態の変形例2の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12F、記憶部9とを備える。制御部20は、画像生成部22と表示制御部23とを備える。
第1結像ミラー411aは、第9の実施の形態にて図52を参照して説明した場合と同様に、第1筐体410に対して、すなわちXY平面に対して垂直に配置される。したがって、表示器11の表示画素P1から出射した複数の光束は、複数の第1結像ミラー411aにより反射され、反射光束は実像P11の位置で収束して鮮明な実像P11を形成する。
第1結像ミラー411bは、第7の実施の形態にて図36を参照して説明した場合と同様の考え方に従って、表示画素P1のX方向位置よりも−側、即ち図の紙面において表示画素P1の位置よりも左側に位置する第1結像ミラー411bを、紙面の左側から順に第1結像ミラー411b1、411b2とする。第1結像ミラー411b1、411b2は、角度−θ4の大きさよりもそれぞれ所定角度Δθ4b1、Δθ4b2だけ小さい角度−θ4b1(=−θ4+Δθ4b1)、−θ4b(=−θ4+Δθ4b2)に設定される。ここで、表示画素P1から相対的に遠い位置の第1結像ミラー411b1の所定角度−Δθ4b1の大きさは、表示画素P1から相対的に近い位置の第1結像ミラー411b2の所定角度―Δθ42bの大きさよりも大きい。換言すると、第1結像ミラー411b1の角度−θ4b1の大きさは、第1結像ミラー411b2の角度−θ4b2の大きさよりも小さい。
表示画素P1のX方向位置よりも+側、即ち表示画素P1の位置よりも図の紙面右側に位置する第1結像ミラー411bを、紙面の右端側から順に、第1結像ミラー411b3、411b4とする。第1結像ミラー411b3、411b4は、角度−θ4の大きさよりもそれぞれ所定角度Δθ4b3、Δθ4b4dだけ大きい角度−θ4b3(=−θ4−Δθ4b3)、−θ4d(=−θ4−Δθ4b4)に設定される。X方向+側の位置においても、表示画素P1から相対的に遠い位置の第1結像ミラー411b3の所定角度−Δθ4b3の大きさは、表示画素P1から相対的に近い位置の第1結像ミラー411b4の所定角度−Δθ4b4の大きさよりも大きい。換言すると、第1結像ミラー411b3の角度−θ4b3の大きさは、第1結像ミラー411b4の角度−θ4b4の大きさよりも大きい。
第9の実施の形態の変形例2では、図54(a)に示すように、複数の第1結像ミラー411bのZ方向となす角度−θ4を、それぞれ第1結像ミラー411bのX方向位置に応じて異なる所定角度±Δθ4だけずらすことにより、表示画素P1から出射した複数の光束を、実像P11の位置に収束させることができる。従って、第1結像ミラー411aによる収差の低減された空中像30Aと、第1結像ミラー411bによる収差が低減された空中像30Bとを、互いに異なる位置に形成させることができる。
また、第9の実施の形態の変形例2では、表示器11から出射された複数の光束を、光学部材を用いて偏向することにより第1結像ミラー411bからの反射光束を収束させるものではないので、空中像30に色収差が発生することを防ぐことができる。
なお、複数の第1結像ミラー411aについても、Z方向に対して傾きを有して配置されてもよい。この場合、第1結像ミラー411aは、上述した第1結像ミラー411bと同様にして、表示画素P1のX方向位置からの位置に応じて、Z方向となす角度を異ならせて配置すればよい。
また、第2結像ミラー421がY方向に傾いて配置される場合には、第2結像ミラー421について上記と同様にして、表示画素P1のY方向位置からの位置に応じて、Z方向となす角度を異ならせて配置する。これにより、表示画素P1から出射した複数の光束を、Y方向に角度+θ5に応じた位置に移動した実像P11の位置に収束させることができる。
なお、図11〜図17に示すような第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに上述した第9の実施の形態の変形例2にて説明した考え方を適用してもよい。即ち、図49に示す第9の実施の形態の変形例1における光学系12Fを次のように変形しても良い。
図54(b)に示す第9の実施の形態の変形例2における光学系12Fは、図53に示す第9の実施の形態の変形例1と同様の構成を有する。図54(b)に示すように、部分反射ミラー1212bがP方向に対してなす角度−θ2を、それぞれの部分反射ミラー1212bが配置された位置に応じて異ならせる。この場合、部分反射部1210のZ方向−側端部付近に配置された部分反射ミラー1212b1を部分反射部1210の中央部近傍に配置された部分反射ミラー1212b2の角度−θ2の大きさよりも小さくして配置する。部分反射部1210のZ方向+側端部付近に配置された部分反射ミラー1212b3を部分反射ミラー1212b2の角度−θ2の大きさよりも大きくして配置する。
他方、残りの部分反射ミラー1212aは、全て角度−θ2に設定されている。
この場合、部分反射ミラー1212b1は、部分反射部1210の中央部付近の部分反射ミラー1212b2と比べて、図の紙面上を反時計回りに所定角度Δθ2aだけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212b1が角度−θ2a1(=−θ2+Δθ2a)の傾きにて配置される。部分反射ミラー1212b3は、部分反射ミラー1212b2と比べて、図の紙面上を時計回りに所定角度Δθ2aだけ回転させて配置される。すなわち、部分反射ミラー1212b3が角度−θ2a2(=−θ2−Δθ2a)の傾きにて配置される。これにより、表示画素P1から出射した光束L2、L4、L6は、部分反射ミラー1212b1、1212b2、1212b3にて反射して、収束して収差が低減された実像P11を形成する。この結果、部分反射ミラ−1212a、1212bは、X方向において異なる位置に、色収差の発生が抑制され、かつ、収差が低減された実像P11AとP11Bとを形成する。
なお、Y方向に移動した位置に鮮鋭な実像P11を形成させる場合には、部分反射ミラー1212bの角度±θ1を、部分反射ミラー1212の位置に応じて変化させて配置すれば良い。
図54(b)に示す第9の実施の形態の変形例2では、表示器11から出射された光を反射する複数の部分反射ミラー1212で構成され、表示器11から出射された光を空中の異なる位置に結像する部分反射部1210と、複数の部分反射ミラー1212が配置される設置部1211とを有する。これにより、複数のユーザで空中像30を観察する場合、ユーザは異なる位置に形成された、収差が低減された空中像30を同じタイミングで視認することができる。
また、第9の実施の形態の変形例2では、図54(b)に示すように、複数の部分反射ミラー1212bのP方向となす角度−θ2を、それぞれ部分反射ミラー1212bのP方向位置に応じて異なる所定角度Δθ2だけずらす。これにより、表示画素P1から出射した複数の光束を、実像P11の位置に収束させることができる。従って、部分反射ミラー1212aによる収差の低減された空中像30と、部分反射ミラー1212bによる収差が低減された空中像30とを、互いに異なる位置に形成させることができる。
上記の例では、部分反射部1210を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、図11〜図17に示す第2の実施の形態とその変形例1〜4における光学系12Aに適用して第9の実施の形態の変形例2の光学系12Fを形成することができる。
(第9の実施の形態の変形例3)
第1の実施の形態の変形例3の第2光学系122(図8、図9参照)に代えて、図52に示す第9の実施の形態の光学系12Fや図54(a)に示す第9の実施の形態の変形例2の光学系12Fを用いて結像光学系12を構成しても良い。これにより、第9の実施の形態の変形例3では、表示画素P1からの光束により異なる位置に複数の空中像30を形成させることができる。即ち、光学系に対して表示画素P1と対称な位置に結像する従来の装置の光学系に第9の実施の形態やその変形例2の光学系12Fを配置することにより、異なる位置に複数の空中像30を形成することができる。
(第9の実施の形態の変形例4)
第9の実施の形態にて説明した光学系12F(図52参照)が、第5の実施の形態の変形例1にて説明した図26(a)に示す液晶素子146や、図27(a)に示す液体レンズを用いた補助光学部材14を有しても良い。
図55は、第9の実施の形態の変形例4の光学系12Fの構成を説明するZX平面における断面図である。第1光学部41と第2光学部42は、図52に示す第9の実施の形態における光学系12Eと同一の構成を有する。第1筐体410の下部(Z方向−側には、図26(a)に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14が配置される。なお、補助光学部材14は、第2筐体420の上部(Z方向+側)に配置されてもよい。また、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。以下、第9の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第9の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
第9の実施の形態の変形例4の表示装置1は、図26(b)に示す第5の実施の形態の変形例1の表示装置1と同様の構成を有する。即ち、第9の実施の形態の変形例4の表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、図55に示す光学系12Fと、記憶部9とを有する。制御部20は、電圧制御部24と、画像生成部22と、表示制御部23とを有する。電圧制御部24は、第5の実施の形態の変形例1(図26(b)参照)や第6の実施の形態(図30(b)参照)と同様に、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を制御する。
第9の実施の形態の変形例4では、第1結像ミラー411aによる反射光束が鮮明な実像P11Aを形成するように補助光学部材14Bを制御する第1制御と、第1結像ミラー411bによる反射光束が鮮明な実像P11Bを形成するように補助光学部材14Bを制御する第2制御とを高速に切り替えて実行することにより、鮮明な実像を形成させる。
<第1制御>
第9の実施の形態(図52参照)とその変形例2(図54参照)で説明したように、第1結像ミラー411aは、第1筐体410に対して、すなわちXY平面に対して垂直に配置される。この場合、表示画素P1から出射された光束が、補助光学部材14Bにて偏向されると、第1結像ミラー411aで反射された反射光束は、実像P11Aの位置で一部しか収束しなくなる。このため、第1制御では、補助光学部材14において表示画素P1から出射した光束が偏向されないようにする。電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布により境界面が発生しないように、すなわち液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極との間に電圧を印加する。これにより、表示画素P1から出射した複数の光束は、第1結像ミラー411aにより反射され、反射光束は実像P11の位置で収束して鮮明な実像P11が形成される。
<第2制御>
第9の実施の形態で図52を参照して説明したように、第1結像ミラー411bは、Z方向に対して角度−θ4だけ傾いて配置される。この場合、表示画素P1から出射された光束が、補助光学部材14にて偏向されて第1結像ミラー411bで反射されるようにすることで、実像P11Bの位置で反射光束を収束させる。即ち、補助光学部材14の液晶素子146の屈折率分布を異ならせ、第1領域144と第2領域145との境界面143が、X方向−側端部でXY平面に対して図の紙面上で時計回りに角度φ3を有するように制御する。この場合、電圧制御部24は、第1結像ミラー411bの角度−θ4に基づいて、予め設定されている電圧を、上部電極151と下部電極152との間に印加する。これにより、表示画素P1から出射された光束は、補助光学部材14で偏向されて第1結像ミラー411bで反射され、収束されて鮮明な実像P11Bを形成する。
上述した第1制御が行われている際には、第1結像ミラー411aで反射された反射光束は実像P11Aの位置で収束するが、第1結像ミラー411bで反射された反射光束は実像P11Bの位置で一部しか収束しない。また、第2制御が行われている際には、第1結像ミラー411aで反射された反射光束は実像P11Aの位置で一部しか収束せず、第1結像ミラー411bで反射された反射光束が実像P11Bの位置で収束しない。そこで、電圧制御部24は、第1制御と第2制御との間で所定の時間間隔で切り替える。即ち、電圧制御部24は、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を、所定の時間間隔で切り替える。これにより、鮮明な実像P11Aと鮮明な実像P11Bとが短い時間間隔ごとに順次切り替わって形成される。ある長さを有する時間内では、鮮明な実像P11Aが形成される時間と鮮明度が落ちた実像P11Aが形成される時間とが出現することになるが、この時間内で平均すると一定の鮮明度を有する実像P11Aがユーザによって視認される。同様に、一定の鮮明度を有する実像P11Bがユーザによって視認される。この結果、異なる位置に形成され、一定の鮮明度を有する2つの実像P11Aと実像P11Bとがユーザによって視認される。
なお、上述した短い時間間隔は、予め行った試験等に基づいて、ユーザがそれぞれの鮮明な実像P11A、P11Bを視認可能となる時間として設定される。
図56のフローチャートを参照して、第9実施の形態の変形例4の表示装置1の光学系12Fの動作状態時の処理について説明する。図56に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS121では、表示制御部23は、表示画素に画像を表示してステップS122へ進む。ステップS122では、電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布により境界面が発生しないように、すなわち液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極との間に電圧を印加してステップS123へ進む。このステップS122において行われる処理が第1制御である。
ステップS123では、液晶素子146の屈折率が一様となるように電圧を印加してから所定の短い時間が経過したか否かを判定する。所定の短い時間が経過した場合には、ステップS123が肯定判定されてステップS124へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS123が否定判定されてステップS122へ戻る。ステップS124では、電圧制御部24は、第1結像ミラー411bの角度−θ4に基づいて、予め設定されている電圧を、上部電極151と下部電極152との間に印加して、境界面143が、X方向−側端部でXY平面に対してなす角度をφ3にしてステップS125へ進む。このステップS124において行われる処理が第2制御である。
ステップS125では、境界面143がXY平面となす角度をφ3となるように電圧を印加してから所定の短い時間が経過したか否かを判定する。所定の短い時間が経過した場合には、ステップS125が肯定判定されてステップS126へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS125が否定判定されてステップS124へ戻る。ステップS124では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS124が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS124が否定判定されてステップS122へ戻る。
なお、上述した説明では、第1結像ミラー411aはZ方向に対して傾きを有さずに配置されたものとしたが、Z方向に対して傾きを有して配置されても良い。この場合、補助光学部材14Bにおいては、第1結像ミラー411aがZ方向に対して有する角度±θ4に応じて、第1制御の際に、液晶素子146の屈折率分布の異なる第1領域144と第2領域145との境界面143がXY平面となす角度φ3を制御する。即ち、電圧制御部24は、第1結像ミラー411aの角度±θ4に応じて予め設定された電圧を上部電極151と下部電極152との間に印加すればよい。これにより、表示画素P1から出射された光束が偏向されて第1結像ミラー411aにより反射され、収束して実像P11Aが形成される。換言すると、第1結像ミラー411aがZ方向に傾きを有していない場合には、補助光学部材14Bによる光束の偏向量(補正量)を0に設定した状態ということができる。
第9の実施の形態の変形例4では、表示器11から出射された光の光路を補正し、表示器11から出射された光を空中で視認する異なる位置に結像する補助光学部材14Bを有し、補助光学部材14Bは、第1結像ミラー411aに入射する光と第1結像ミラー411bに入射する光とで補正量を異ならせる。これにより、空中の異なる位置に、収差を低減した空中像30Aと30Bとを形成することができる。
なお、上記の第9の実施の形態の変形例4では、Z方向と2つの異なる角度を有する第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとが配置される場合を例に挙げたが、3つ以上の異なる角度で傾いた3種類以上の第1結像ミラー411が配置されても良い。この場合も、それぞれの第1結像ミラー411の角度に応じて、補助光学部材14Bの液晶素子146の境界面143がXY平面となす角度φ3を変更するように、電圧制御部24は、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を、短い時間間隔で切り替えればよい。その結果、3人以上のユーザが、互いに異なる位置から表示装置1上に形成された同一の画像に対応する3つ以上の空中像30をそれぞれ視認することができる。
また、第9の実施の形態で説明したように、第1結像ミラー411aと411bとの個数を異ならせて配置させても良い。この場合、例えば第1結像ミラー411aの個数よりも第1結像ミラー411bの個数の方が多く配置されているならば、補助光学部材14は第1結像ミラー411bからの反射光束が収束して実像P11Bが形成されるように、液晶素子146の境界面143の角度φ3が制御されるようにしても良い。即ち、個数が少ない第1結像ミラー411aによる反射光束は一部が実像P11Aの位置で収束しないようにしても良い。この場合の第9の実施の形態の変形例4では、個数の多い第1結像ミラー411bにより光束が反射されて形成される実像P11Bは高品質なものとなることが期待されるので、表示画素P1からの光束を偏向させて実像P11Bに反射光束を収束させることにより、実像P11Bの品質をより向上させることができる。
また、第2結像ミラー421を傾けて配置する場合も、同様にして補助光学部材14Bを用いて、第2結像ミラー421へ入射する光束を偏向させる。第2結像ミラー421を傾けて配置する場合には、光学系12Eは第6の実施の形態の変形例4で説明した図32に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bを有していることが好ましい。
また、補助光学部材14として液体レンズを用いても良い。この場合には、電圧制御部24は、共通電極と電極との間に印加する電圧を制御して、導電性液体と絶縁性液体との境界面がXY平面となす角度を、第1結像ミラー411aの角度に応じて制御する第1制御と、第1結像ミラー411bの角度に応じて制御する第2制御とを所定の時間間隔で切り替えれば良い。
また、光学系12Fに、図29(a)〜(c)に示す第5の実施の形態の変形例3のような複数の部分光学部材14Aを配置しても良い。この場合、第1結像ミラー411aと第1結像ミラー411bとの配置位置に応じて、角度φ3が異なる第3面または境界面143Aが設定されるように部分光学部材14Aを複数配置すれば良い。この場合、電圧制御部24による印加電圧の切り替えを高速に行う必要がなくなり、処理負荷を低減できる。
また、光学系12Fが、第9の実施の形態の変形例2に示すような光学系12F(図54(b)参照)に補助光学部材14Bを設けたものであっても良い。この場合も、電圧制御部24は、上部電極151と下部電極152との間に印加する電圧を、第1制御と第2制御との間で所定の短い時間間隔で切り替えれば良い。
−第10の実施の形態−
図面を参照しながら、第10の実施の形態に係る表示装置1について説明する。第10の実施の形態においては、本実施の形態の表示装置1がテレビに組み込まれた場合を一例に挙げて説明を行う。なお、本実施の形態の表示装置は、テレビに限らず、上述の第1の実施の形態で説明した各電子機器に組み込むことが可能である。
第10の実施の形態の表示装置1は、第9の実施の形態(図52参照)とその変形例1〜4の光学系12F(図54(a)、図55参照)が有する第1結像ミラー411、第2結像ミラー421を駆動可能に構成した点で異なる。以下、詳細に説明する。
第10の実施の形態の光学系12Gは、図3に示す第1の実施の形態の結像光学系12と同様の構成を有する。第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが傾斜駆動可能に第1筐体410と第2筐体420とに配置される。
第10の実施の形態の表示装置1の主要部構成は、図2に示す第1の実施の形態におけるブロック図と同様に表される。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Gと、記憶部9とを備える。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23とを備える。
第10の実施の形態の表示装置1においても、第9の実施の形態とその変形例1〜4(図52〜図56参照)と同様に、表示装置1に対して異なる位置にいる複数のユーザのそれぞれに対して視認可能な空中像30を形成させる。以下、2人のユーザが異なる位置から表示装置1を観察する場合を例に挙げて説明を行う。また、表示装置1が2人のユーザのそれぞれに異なる画像に対応する空中像30を視認させる場合を例に挙げて説明を行う。
<光学系12Gによる空中像30の形成>
図57(a)は、ある時刻t1において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Aとの位置関係を模式的に示した図である。図57(b)は、時刻t1に表示器11に表示される画像Im1を模式的に示す図である。時刻t1において、複数の第1結像ミラー411は、第1駆動部412により駆動角度−θ1にて傾斜駆動される。表示器11には画像Im1が表示制御部23により表示される。したがって、表示器11から出射され複数の光束は、複数の第1駆動ミラー411により反射され、第1駆動ミラー411の駆動角度−θ1に応じた移動量にてX方向+側に移動した位置に収束して、図57(b)に示す画像Im1に対応する空中像30Aが形成される。
次に、ある時刻t1から短い所定時間が経過した時刻t2においては、図57(c)に示すように複数の第1結像ミラー411を、異なる駆動角度+θ1となるように傾斜駆動させる。
図57(c)は、時刻t2において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Bとの位置関係を模式的に示した図である。図57(d)は、時刻t2に表示器11に表示される画像Im2を模式的に示す図である。時刻t2において、複数の第1結像ミラー411は、図57(a)に示す場合とは異なる駆動角度+θ1にて傾斜駆動される。表示器11には図57(b)に示す画像Im1とは異なる画像Im2が表示制御部23により表示される。表示器11から出射された複数の光束は、複数の第1駆動ミラー411により反射され、第1駆動ミラー411の駆動角度+θ1に応じた移動量にてX方向−側に移動した位置に収束して、図57(d)に示す画像Im2に対応する空中像30Bが形成される。
時刻t2から所定時間が経過した時刻t3では、図57(c)に示すように傾斜駆動された第1結像ミラー411を、再び図57(a)に示すように傾斜駆動させる。表示制御部23は、表示器11に図57(b)に示す画像Im1を表示する。以後、所定時間が経過するごとに、第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1と+θ1との間で切り替えて傾斜駆動させる。表示制御部23は、所定時間が経過するごとに、画像Im1と画像Im2とを切り替えて表示器11に表示する。これにより、異なる画像Im1とIm2とに対応する空中像30Aと空中像30Bとが短い所定時間ごとに順次切り替わって形成される。第1結像ミラー411による傾斜駆動に切り替えが短時間で繰り返し行われることにより、あたかも2つの空中像30Aと空中像30Bとが同じタイミングにて異なる結像領域に形成されているような状態となる。これにより、2人のユーザのうち、一方のユーザが空中像30Aを、他方のユーザが空中像30Bをそれぞれ視認することができる。
なお、上述した短い時間間隔は、予め行った試験等に基づいて、2人のユーザがそれぞれの空中像30Aと30Bとを視認可能となる時間として設定される。
図58のフローチャートを参照して、第10実施の形態の表示装置1の光学系12Gの動作状態時の処理について説明する。図58に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS131では、表示制御部23は、表示器11に画像Im1を表示してステップS132へ進む。ステップS132では、駆動制御部21は、第1駆動部412に電圧を印加して、複数の第1結像ミラー411を駆動角度−θ1にて傾斜駆動させてステップS133へ進む。これにより、画像Im1に対応する空中像30Aが表示される。ステップS133では、複数の第1結像ミラー411が駆動角度−θ1で傾斜駆動されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS133が肯定判定されてステップS134へ進み、所定時間が経過していない場合には、ステップS133が否定判定されて所定時間が経過するまで待機する。
ステップS134では、表示制御部23は、表示器11に画像Im2を表示してステップS135へ進む。ステップS135では、駆動制御部21は、第1駆動部412に電圧を印加して、複数の第1結像ミラー411を駆動角度+θ1にて傾斜駆動させてステップS136へ進む。これにより、画像Im2に対応する空中像30Bが、空中像30Aとは異なる結像領域に表示される。ステップS136では、複数の第1結像ミラー411が駆動角度+θ1で傾斜駆動されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS136が肯定判定されてステップS137へ進み、所定時間が経過していない場合には、ステップS136が否定判定されて所定時間が経過するまで待機する。ステップS137では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS137が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS137が否定判定されてステップS131へ戻る。
なお、図57(a)では、全ての第1結像ミラー411が傾斜駆動された場合を示しているが、この例に限定されず、複数の第1結像ミラー411のうちの一部の第1結像ミラー411が傾斜駆動されても良い。同様に、図57(c)においても、全ての第1結像ミラー411が傾斜駆動された場合を示しているが、この例に限定されず、複数の第1結像ミラー411のうちの一部の第1結像ミラー411が傾斜駆動されても良い。この場合、画像が表示された表示画素から出射された光束が入射する範囲内に配置された第1結像ミラー411が傾斜駆動されれば良い。また、図57(a)の場合には傾斜駆動されないが図57(c)の場合には傾斜駆動される第1結像ミラー411があっても良い。たとえば、図57の紙面左側端部(X方向−側端部)の第1結像ミラー411は、空中像30Aを形成する際には傾斜駆動されず、空中像30Bを形成する際に傾斜駆動されても良い。同様に、図57(a)の場合には傾斜駆動され、図57(b)の際には傾斜駆動されない第1結像ミラー411があっても良い。たとえば、図57の紙面右側端部(X方向+側端部)の第1結像ミラー411は、空中像30Aを形成する際には傾斜駆動され、空中像30Bを形成する際には傾斜駆動されなくても良い。
また、図57(a)、図57(b)では、時刻t1と時刻t2とで、空中像30をX方向+側と−側とに移動させる場合を例に挙げたが、この例に限定されず空中像30Aと30BとがX方向の同一側(+側または−側)に移動するが移動量が異なるものであっても良い。
また、第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1と+θ1との2つの角度で切り替える例を説明したが、3以上の異なる駆動角度で切り替えて第1結像ミラー411を傾斜駆動させることにより、3以上の異なる結像領域に空中像30を形成することができる。
また、上述の説明では、第1結像ミラー411による傾斜駆動を例に挙げて説明したが、第2結像ミラー421の駆動角度を切り替えて傾斜駆動させることにより、空中像30をY方向位置が異なる結像領域に形成させることができる。この場合、制御部20は、図58と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。または、第1結像ミラー411と第2結像ミラー421との両方を傾斜駆動して、空中像30をX方向およびY方向が異なる結像領域に形成することもできる。
また、上述した説明では、異なる画像Im1とIm2とに対応する異なる空中像30Aと30Bとを異なる結像領域に表示させる場合を例に挙げて説明したが、同一の画像に対応する同一の空中像30を異なる結像領域に表示させても良い。この場合、図58に示すフローチャートにおいて、ステップS134における処理を行わない。また、ステップS137が否定判定された場合には、ステップS132に戻って処理を実行すれば良い。
第10の実施の形態では、表示器11から出射された光束を空中の空中像30Aを形成するための結像領域と、空中像30Bを形成するための結像領域とに結像する第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを備える。これにより、複数のユーザで同時に空中像30Aと30Bとを視認することができる。
また、第10の実施の形態では、第1駆動部412は、表示器11から出射された光束を、空中像30Aを形成するための結像領域と、空中像30Bを形成するための結像領域とにそれぞれ結像させるので、異なる結像領域に空中像30Aと30Bとを形成させることができる。
(第10の実施の形態の変形例1)
第10実施の形態の変形例1の表示装置1は、図57に示す第10の実施の形態の光学系12Gが有する第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を傾斜駆動可能に構成したことにより、第1結像ミラー411や第2結像ミラー421の傾斜駆動に従って光路の補正量、すなわち光束の偏向量を変更する。以下、第10の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第10の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
第10の実施の形態の変形例1の光学系12Gは、上述した第10の実施の形態の光学系12Gと同様の構成を有する。
第10の実施の形態の変形例1の表示装置1は、図38(b)に示す第8の実施の形態の表示装置1と同様の構成を有する。即ち、第10の実施の形態の表示装置1とは異なり、制御部20は、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1のずらす角度±Δθ1と、第2結像ミラー421の駆動角度±θ2からずらす角度±Δθ2を算出する算出部27を備える。他の構成については第10の実施の形態と同様に表される。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Gとを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と算出部27とを備える。
なお、以下の説明では、第10の実施の形態と同様に、表示制御部23は、所定時間が経過するごとに、画像Im1(図57(b)参照)と画像Im2(図57(d)参照)とを切り替えて表示器11に表示するものであるが、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
<光学系12Gによる空中像30の形成>
図59(a)は、ある時刻t1において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Aとの位置関係を模式的に示した図である。
駆動制御部21は、第8の実施の形態にて図38、図39を参照して説明した場合と同様に、表示画素P1から出射された光束を結像させる位置に基づいて、X方向の移動量を算出し、算出した移動量から駆動角度−θ1を算出する。なお、このX方向の移動量は、表示画素P1のX方向位置と表示画素P1の実像P11のX方向位置とのX方向の距離に相当する。表示画素P1に最も近い位置、すなわち表示画素P1から出射される光束のうち、ほぼ中央部からの光束を反射する第1結像ミラー411、すなわち基準第1結像ミラー411sは、駆動角度−θ1に設定される。算出部27は、第7の実施の形態の場合と同様の考え方を適用して、駆動角度−θ1の基準第1結像ミラー411s以外の第1結像ミラー411の各々について、駆動角度−θ1からのずらす角度Δθ1を算出する。
算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向に沿った距離が増加する程、ずらす角度Δθ1の大きさを大きくする。算出部27は、駆動角度−θ1で傾斜駆動する基準第1結像ミラー411sに対してX方向+側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向+側にし、即ち、ずらす角度−Δθ1とする。また、算出部27は、基準第1結像ミラー411sに対してX方向−側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向−側にし、即ち、ずらす角度+Δθ1とする。
駆動制御部21は、それぞれの第1結像ミラー411の第1駆動部412に対して、各第1結像ミラー411の駆動角度−θ1±Δθ1に応じて電圧を印加する。この結果、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、第1結像ミラー411が異なる傾きで傾斜駆動される。したがって、第8の実施の形態にて図38、図39を参照して説明した場合と同様に、表示器11の画像Im1の表示位置とはX方向に異なる位置に移動させて画像Im1に対応する空中像30Aを形成する場合であっても、空中像30Aの質の低下を抑制することができる。
次に、ある時刻t1から短い所定時間が経過した時刻t2においては、図59(a)に示したように傾斜駆動された第1結像ミラー411を、それらとは異なる駆動角度となるように傾斜駆動させる。
図59(b)は、時刻t2において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Bとの位置関係を模式的に示した図である。駆動制御部21は、空中像30BをX方向−側の結像位置に形成させるため、基準第1結像ミラー411sを駆動角度+θ1に設定する。算出部27は、図59(a)の場合と同様にして、駆動角度+θ1の基準第1結像ミラー411s以外の第1結像ミラー411の各々について、駆動角度+θ1からのずらし角度Δθ1を算出する。算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向に沿った距離が増加する程、ずらす角度Δθ1の大きさを大きくする。算出部27は、駆動角度−θ1で傾斜駆動する基準第1結像ミラー411sに対してX方向−側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向−側にし、X方向+側に配置された第1結像ミラー411については、ずらす方向をX方向+側にする。
駆動制御部21は、それぞれの第1結像ミラー411の第1駆動部412に対して、各第1結像ミラー411の駆動角度−θ1±Δθ1に応じて電圧を印加する。この結果、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、第1結像ミラー411が異なる傾きで傾斜駆動される。したがって、画像Im1に対応する空中像30Aの結像位置とは異なる結像位置、即ちX方向−側の結像位置に画像Im2に対応する空中像30Bを形成する。この場合であっても、空中像30Bの質の低下を抑制することができる。
以後、第10の実施の形態の場合と同様に、所定時間が経過するごとに、第1結像ミラー411の駆動角度を+θ1±Δθ1と−θ1±Δθ1との間で切り替えて傾斜駆動させる。これにより、異なる画像Im1とIm2とに対応する空中像30Aと空中像30Bとが短い所定時間ごとに順次切り替わって形成される。第1結像ミラー411による傾斜駆動に切り替えが短時間で繰り返し行われることにより、あたかも2つの空中像30Aと空中像30Bとが同じタイミングにて異なる結像領域に形成されているような状態となる。これにより、2人のユーザの一方により空中像30Aが視認され、他方のユーザにより空中像30Bが視認される。
図60のフローチャートを参照して、第10実施の形態の変形例1の表示装置1の光学系12Gの動作状態時の処理について説明する。図60に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS140では、表示制御部23は、表示器11に画像Im1を表示してステップS141へ進む。ステップS141では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1を算出してステップS142へ進む。ステップS142では、算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、各第1結像ミラー411ごとの駆動角度−θ1からのずらす角度±Δθ1を算出してステップS143へ進む。
ステップS143では、駆動制御部21は、各第1結像ミラー411ごとに配置された第1駆動部412のそれぞれに、算出された駆動角度−θ1±Δθ1に従って電圧を印加して、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。即ち、基準第1結像ミラー411sは駆動角度−θ1で傾斜駆動され、他の第1結像ミラー411は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の位置と距離とに応じて異なるずらし角度±Δθ1で補正された駆動角度で傾斜駆動される。
ステップS144では、ステップS143における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS144が肯定判定されてステップS145へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS144が否定判定されて待機する。ステップS145では、表示制御部23は表示器11に画像Im2を表示してステップS146へ進む。ステップS146では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度+θ1を算出してステップS147へ進む。ステップS147では、算出部27は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の距離と位置に応じて、各第1結像ミラー411ごとの駆動角度+θ1からのずらす角度±Δθ1を算出してステップS148へ進む。
ステップS148では、駆動制御部21は、各第1結像ミラー411ごとに配置された第1駆動部412のそれぞれに、算出された駆動角度+θ1±Δθ1に従って電圧を印加して、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。即ち、基準第1結像ミラー411sは駆動角度+θ1で傾斜駆動され、他の第1結像ミラー411は、基準第1結像ミラー411sからのX方向の位置と距離とに応じて異なるずらし角度±Δθ1で補正された駆動角度で傾斜駆動される。
ステップS149では、ステップS148における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS149が肯定判定されてステップS150へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS149が否定判定されて待機する。ステップS150では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS150が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS150が否定判定されてステップS140へ戻る。
なお、空中像30をY方向位置が異なる結像領域に形成させる場合には、制御部20は、図60と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行すれば良い。または、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の両方を傾斜駆動して、複数の空中像をX方向およびY方向が異なる結像領域に形成することもできる。
また、同一の画像に対応する空中像30A、30Bを異なる結像領域に表示させる場合には、図60に示すフローチャートにおいて、ステップS145における処理を行わない。また、ステップS150が否定判定された場合には、ステップS141に戻って処理を実行すれば良い。
上述した第10の実施の形態の変形例1では、第8の実施の形態にて図38、図39を参照して説明した内容を適用したが、第8の実施の形態の変形例1(図40〜45参照)、変形例2(図44、図45参照)を適用しても良い。
第8の実施の形態の変形例1を適用する場合、表示器11に画像Im1を表示させる際には、算出部27は、画像Im1が表示される表示画素Pごとに順次基準第1結像ミラー411sの駆動角度−θ1と、他の第1結像ミラー411のずらす角度±Δθ1とを算出する。すなわち、図60のフローチャートにおけるステップS140(画像Im1表示)〜ステップS143(第1結像ミラーを傾斜駆動)の処理に代えて、図42のフローチャートにおけるステップS61(表示画素を選択し画像を表示)〜ステップS65(全表示画素に対する処理の終了判定)の処理を行う。
表示器11に画像Im2を表示させる際には、算出部27は、画像Im2が表示される表示画素Pごとに順次基準第1結像ミラー411の駆動角度+θ1と、他の第1結像ミラー411のずらす角度±Δθ1を算出する。この場合、図60のフローチャートにおけるステップS145(画像Im2表示)〜ステップS148(第1結像ミラー傾斜駆動)の処理に代えて、図42のフローチャートにおけるステップS61(表示画素を選択し画像を表示)〜ステップS65(全表示画素に対する処理の終了判定)の処理を行う。
なお、図43を参照して説明した表示画素群PGごとに切り替えて光束を出射させる場合も、表示画素Pごとに光束を出射させる場合と同様にして適用させることができる。
第8の実施の形態の変形例2を適用する場合、表示器11に画像Im1を表示させる際には、表示画素群からの光束が入射する範囲内に配置されている第1結像ミラー411に対して傾斜駆動を行わせる。画像Im2を表示させる際も同様に、表示画素群からの光束が入射する範囲内に配置されている第1結像ミラー411に対して傾斜駆動を行わせる。この場合、図60のフローチャートにおけるステップS140(画像Im1表示)〜ステップS143(第1結像ミラーを傾斜駆動)の処理に代えて、図45のフローチャートにおけるステップS71(表示画素群を選択し画像を表示)〜ステップS76(全表示画素群に対する処理の終了判定)の処理を行う。同様に画像Im2を表示する際には、図60のフローチャートにおけるステップS145(画像Im2表示)〜ステップS148(第1結像ミラー傾斜駆動)の処理に代えて、図42のフローチャートにおけるステップS71(表示画素群を選択し画像を表示)〜ステップS76(全表示画素群に対する処理の終了判定)の処理を行う。
第10の実施の形態の変形例1では、第1駆動部412は、表示器11から出射された光束を、所定の位置に空中像30Aとして結像させる場合、または空中像30Aとは異なる所定の位置に空中像30Bとして結像させる場合、複数の第1結像ミラー411に含まれる各々の第1結像ミラー411を第1筐体410第2筐体420に対して異なる駆動角度で傾斜駆動させる。これにより、収差が低減された空中像30Aと30Bとを異なる位置に結像させることができ、2人のユーザの一方が空中像30Aを、他方のユーザが空中像30Bを視認することができる。
(第10の実施の形態の変形例2)
第10の実施の形態(図57、図58参照)とその変形例1(図59、図60参照)において説明した光学系12Gが、第6実施の形態にて説明した図30に示す液晶素子146や、第6の実施の形態の変形例2にて説明した図33に示す液体レンズを用いた補助光学部材14または、第6の実施の形態の変形例4で説明した図32に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bを有しても良い。
第10の実施の形態の変形例2の光学系12Gは、図49に示す第8の実施の形態の変形例4の光学系12Eと同様の構成を有する。第1結像ミラー411と第2結像ミラー421とが傾斜駆動可能に第1筐体410と第2筐体420とに配置される。第1筐体410の下部(Z方向−側)には図30に示す液晶素子146を用いた補助光学部材14Bが配置される。なお、補助光学部材14Bは第2筐体420の上部(Z方向+側)に配置されても良い。また、第1筐体410の下部(Z方向−側)に第2筐体420を配置しても良い。以下、第10の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第10の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。
第10の実施の形態の変形例2の表示装置1は、図32に示す第6の実施の形態の変形例3の表示装置1と同様の構成を有する。即ち、表示装置1は、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Gとを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と電圧制御部24とを備える。
なお、以下の説明では、第10の実施の形態と同様に、表示制御部23は、所定時間が経過するごとに、画像Im1(図57(b)参照)と画像Im2(図57(d)参照)とを切り替えて表示器11に表示するものであるが、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
<光学系12Gによる空中像30の形成>
図61(a)は、ある時刻t1において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Aとの位置関係を模式的に示した図である。複数の第1結像ミラー411は、第9の実施の形態(図52参照)の場合と同様に、第1駆動部412により駆動角度−θ1にて傾斜駆動される。電圧制御部24は、第6の実施の形態(図30参照)の場合と同様にして、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1に基づいて、補助光学部部材14Bの液晶素子146が異なる屈折率分布の第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度φ4aを算出する。電圧制御部24は、算出した角度φ4aに基づいて、上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加する。これにより、境界面143BがXY平面とX方向−側端部にて角度φ4aをなす。これにより、表示器11から出射した光束は液晶素子146で偏向されて、駆動角度−θ1の第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて、駆動角度−θ1に応じたX方向の位置、すなわち結像領域に表示された画像Im1に対応する、鮮明な空中像30Aを形成する。
次に、ある時刻t1から所定時間が経過した時刻t2においては、図61(a)に示したように傾斜駆動された第1結像ミラー411を、それらとは異なる駆動角度となるように傾斜駆動させる。
図61(b)は、時刻t2において表示器11から出射される光束と、形成される空中像30Bとの位置関係を模式的に示した図である。複数の第1結像ミラー411は、第1駆動部412により駆動角度+θ1にて傾斜駆動される。電圧制御部24は、第1結像ミラー411の駆動角度+θ1に基づいて、補助光学部部材14Bの液晶素子146が異なる屈折率分布の第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度φ4bを算出する。電圧制御部24は、算出した角度φ4bに基づいて、上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加する。これにより、境界面143BがXY平面とX方向+側端部にて角度φ4bをなす。これにより、表示器11から出射した光束は液晶素子146で偏向されて、駆動角度+θ1の第1結像ミラー411に入射し、そこで反射されて、駆動角度+θ1に応じたX方向の位置、すなわち結像領域に表示された画像Im2に対応する、鮮明な空中像30Bを形成する。
以後、第10の実施の形態とその変形例1の場合と同様に、所定時間が経過するごとに、第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1と+θ1との間で切り替えて傾斜駆動させる。第1結像ミラー411の傾斜駆動に切り替わりに従って、補助光学部材14Bの屈折率分布も切り替わる。すなわち、液晶素子146の屈折率分布の異なる第1領域144Bと145Bとの境界面143Bの傾斜方向が切り替わる。これにより、異なる画像Im1とIm2とに対応する空中像30Aと空中像30Bとが短い所定時間ごとに順次切り替わって形成される。第1結像ミラー411による傾斜駆動および補助光学部材14Bの境界面143Bの傾斜方向の切り替えが短時間で繰り返し行われることにより、あたかも2つの鮮明な空中像30Aと空中像30Bとが同じタイミングにて異なる結像領域に形成されているような状態となる。これにより、2人のユーザの一方により空中像30Aが視認され、他方のユーザにより空中像30Bが視認される。
図62のフローチャートを参照して、第10実施の形態の変形例2の表示装置1の光学系12Gの動作状態時の処理について説明する。図62に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS151では、表示制御部23は、表示器11に画像Im1を表示してステップS152へ進む。ステップS152では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1を算出してステップS153へ進む。
ステップS153では、電圧制御部24は、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1に基づいて、液晶素子146の異なる屈折率分布の第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度φ4aを算出してステップS154へ進む。ステップS154では、駆動制御部21は、算出された駆動角度−θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度−θ1で傾斜駆動させる。電圧制御部24は、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加して、第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度をφ4aにさせる。
ステップS155では、ステップS154における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS155が肯定判定されてステップS156へ進み、所定時間が経過していない場合には、ステップS155が否定判定されて所定時間が経過するまで待機する。ステップS156では、表示制御部23は表示器11に画像Im2を表示してステップS157へ進む。ステップS157では、駆動制御部21は、空中像30を形成させる位置に基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度+θ1を算出してステップS158へ進む。
ステップS158では、電圧制御部24は、第1結像ミラー411の駆動角度+θ1に基づいて、液晶素子146の異なる屈折率分布の第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度φ4bを算出してステップS159へ進む。ステップS159では、駆動制御部21は、算出された駆動角度+θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度+θ1で傾斜駆動させる。電圧制御部24は、補助光学部材14Bの上部電極151と下部電極152との間に電圧を印加して、第1領域144Bと第2領域145Bとの境界面143BがXY平面となす角度をφ4bにさせる。
ステップS160では、ステップS159における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS160が肯定判定されてステップS161へ進み、所定時間が経過していない場合には、ステップS160が否定判定されて所定時間が経過するまで待機する。ステップS161では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS161が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS161が否定判定されてステップS151へ戻る。
なお、空中像30をY方向位置が異なる結像領域に形成させる場合、制御部20は、図62と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行すれば良い。または、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の両方を傾斜駆動して、複数の空中像30をX方向およびY方向が異なる結像領域に形成することもできる。
また、同一の画像に対応する空中像30A、30Bを異なる結像領域に表示させる場合には、図62に示すフローチャートにおいて、ステップS156における処理を行わない。また、ステップS161が否定判定された場合には、ステップS152に戻って処理を実行すれば良い。
なお、補助光学部材14Bを液晶素子146により構成するものに代えて、液体レンズ(図27、図28参照)により構成しても良い。液体レンズとしてエレクトロウェッティングにより境界面143Bの位置を制御するものでもよいし、透明な容器内に液体を充填させ、液体の流動を制御して、液体の液面に配置された透明板の傾斜角を変化させる液体レンズを用いても良い。
第10の実施の形態の変形例2では、表示器11から出射された光束についてその光路を補正し、即ち光束を偏向し、表示器11から出射された光束を空中像30Aが形成される結像領域または空中像30Bが形成される結像領域に結像させる補助光学部材14Bを備える。これにより、空中像30Aと30Bとの収差を低減することができる。
また、第10の実施の形態の変形例2では、補助光学部材14Bは、表示器11からの光束を、空中像30Aが形成される結像領域に結像させる場合と、空中像30Bが形成される結像領域に結像させる場合とで、補正量を異ならせる。これにより、異なる結像領域に収差が低減された空中像30Aと30Bとを結像させることができる。
また、第10の実施の形態の変形例2では、補助光学部材14Bによる光路の補正を行う場合、空中像30Aを形成するとき、または空中像30Bを形成するときには、第1駆動部412は複数の第1結像ミラー411を第1筐体410に対して同一の駆動角度±θ1にて駆動させる。これにより、複数の第1結像ミラー411の制御に要する負荷を低減させることができる。
なお、上述した説明では、第1結像ミラー411が駆動角度+θ1で傾斜駆動されているときと、駆動角度−θ1で傾斜駆動されているときの両方の状態で、補助光学部材14Bの境界面143Bの傾斜を制御したが、これに限定されない。たとえば、第1結像ミラー411が駆動角度+θ1と−θ1で傾斜駆動されているときの何れか一方の状態の場合に、補助光学部材14Bの境界面143Bの傾斜を制御しても良い。この場合、第1結像ミラー411の傾斜角度が他の一方で傾斜駆動されているときには、たとえば、第10の実施の形態の変形例1(図59、図60参照)のように、第1結像ミラー411のX方向位置に応じて駆動角度に対してずらし角を付与して傾斜駆動させても良い。
なお、第10の実施の形態の変形例2の表示装置1においても、上述した第8の実施の形態の変形例4(図50、図51参照)の表示装置1と同様にして、補助光学部材14Bを用いて表示画素群から出射された光束を偏向させる第1動作状態と、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1と第2結像ミラー421の駆動角度±θ2とをずらす角度±Δθ1と±Δθ2とにより補正する第2動作状態とを切り替えて、収差が低減された実像を形成させても良い。この場合、制御部20は、表示器11に表示される画像の範囲に複数の表示画素群が含まれる場合に、第1動作状態での動作を行うことを決定し、表示器11に表示される画像の範囲に1つの表示画素群が含まれる場合に、第2動作状態での動作を行うことを決定する。
第1動作状態では、第8の実施の形態の変形例4(図50、図51参照)の場合と同様に、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1を空中像30の移動量に基づいて、複数の表示画素群のそれぞれに対応する制御対象ごとに共通に決定すると共に、補助光学部材14Bの液晶素子146の屈折率分布を表示画素群に対応する制御対象の第1結像ミラー411ごとに決定する。第2動作状態でも、第8の実施の形態の変形例4の場合と同様に、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1のずらし角度±Δθ1を算出し、第1結像ミラー411の傾斜駆動により実像を形成させる。この場合、電圧制御部24は、液晶素子146の屈折率分布により境界面が発生せず、液晶素子146の屈折率が一様となるように、上部電極151と下部電極との間に電圧を印加する。即ち、制御部20は図51のフローチャートに示す処理を実行すれば良い。
なお、画像の範囲と表示画素群との大小関係に基づいて第1動作状態と第2動作状態との何れかを実行するかを決定するものに限定されず、所定の条件に基づいて第1動作状態と第2動作状態との何れかを実行するかを決定しても良い。例えば、制御部20は、表示装置1の周囲、即ち使用環境の明るさに応じて第1動作状態と第2動作状態との何れかを実行するかを決定することができる。この場合、制御部20は、環境の明るさが明るいときには、即ち明るさが所定の閾値を超えるときには、明るい空中像30が形成されるように第1動作状態にて動作することを決定し、明るさが所定の閾値以下のときには、第2動作状態にて動作することを決定する。第2動作状態、空中像30を形成する際に第1結像ミラー411の駆動角度±θ1にずらす角度±Δθ1を付与する場合には、形成される空中像30において輝度が低下する虞がある。これに対して、第1動作状態では、光束を偏向するために補助光学部材14Bの屈折率分布を変更させるので、輝度を低下させることなく空中像30が形成される。即ち、第1動作状態の場合には、第2動作状態の場合と比較して、明るい空中像30が形成される。
なお、制御部20は、撮像装置5により生成された撮像データを用いて輝度を算出することにより、表示装置1の使用環境の明るさを検出すれば良い。
この場合、制御部20は、第8の実施の形態の変形例4にて説明した図51のフローチャートの処理と同様の処理を行う。ただし、図51のフローチャートのステップS103(画像の範囲に複数の表示画素群が含まれるかを判定)に代えて、表示装置1の使用環境の明るさを検出する。表示装置1の使用環境が明るい場合、即ち明るさが所定の閾値を超える場合には図51のステップS104へ進み、明るさが所定の閾値以下の場合には図51のステップS109へ進む。
なお、表示装置1の周囲環境の明るさに基づいて、第1動作状態と第2動作状態との何れかを行うものに代えて、表示器11に表示される画像の明るさに基づいて第1動作状態と第2動作状態との何れかを行っても良い。この場合、制御部20は、表示される画像が暗いときには、即ち輝度が所定の閾値以下のときには、第1動作状態にて動作することを決定する。輝度が所定の閾値を超えるときには、第2動作状態にて動作することを決定する。即ち、表示器11に暗い画像が表示されたときには、形成される空中像30の輝度がさらに低下しないように、補助光学部材14Bを用いて光束を偏向するようにする。
第10の実施の形態の変形例2では、所定の条件に基づいて、補助光学部材14Bに、表示器11から出射された光の光路の補正を行わせるか否かを決定するので、異なる光路の補正方法の中から、好ましい補正方法を用いて収差を低減した空中像30Aと30Bとを形成させることができる。
また、第10の実施の形態の変形例2では、環境の明るさ、または表示器11に表示される画像に基づいて、補助光学部材14Bにより光路の補正を行わせるか否かを決定するので、表示装置1が使用される状況に適した方法を用いて光路を補正して、収差を低減した空中像30Aと30Bとを形成させることができる。
なお、上述した第10の実施の形態の変形例2では、同一の画像に対応する空中像30Aと30Bと異なる結像領域に形成する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。異なる画像に対応する空中像30Aと30Bとを異なる結像領域に形成してもよい。
(第10の実施の形態の変形例3)
第10の実施の形態の変形例3では、第10の実施の形態とその変形例1〜2の表示装置1が、さらにユーザが表示装置1を観察する位置に基づいて、空中像30を形成することができるようにしたものである。即ち、第10の実施の形態の変形例3の表示装置1は、第8の実施の形態の変形例3(図46参照)の表示装置1と同様に、図19に示す第4の実施の形態の撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第10の実施の形態の光学系12Gと、記憶部9とを備える。制御部20は、図46に示す第8の実施の形態の変形例3と同様に、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と算出部27とを備える。
なお、光学系12Gは、第10の実施の形態の変形例1や変形例2の光学系12Gと同様の構成を有しても良い。第10の実施の形態の変形例1の光学系12G(すなわち図3に示す第1の実施の形態の結像光学系12)を有する場合には、表示装置1は、撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Gと、記憶部9とを有している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と算出部27とを備える。
また、第10の実施の形態の変形例2の光学系12G(すなわち図49に示す第8の実施の形態の変形例4の光学系12E)を有する場合には、表示装置1は、撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、光学系12Gと、記憶部9とを示している。制御部20は、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と、電圧制御部24とを備える。
検出部25は、第4の実施の形態(図19〜図21参照)や第6の実施の形態の変形例4(図33、図34参照)と同様にして、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、公知の被写体検出処理等を行って、撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。検出部25は、撮像データ上で検出した人物の顔の方向を検出して、表示装置1を観察するユーザの視線の方向を検出する。決定部26は、検出部25により検出されたユーザの実際の位置に基づいて、空中像30を形成させる位置、すなわち結像領域を決定する。複数のユーザが検出された場合には、決定部26は、それぞれのユーザの位置ごとに空中像30の結像領域を決定する。以下の説明では、2人のユーザが検出され、一方のユーザが表示装置1のX方向+側、他方のユーザが表示装置1のX方向−側に検出された場合を一例に挙げて説明を行う。
なお、複数のユーザが検出されない場合、すなわち1人のユーザのみが検出された場合には、表示装置1は上述した第4の実施の形態(図19〜図21参照)や第6の実施の形態の変形例4(図33、図34参照)の場合と同様にして、検出された1人のユーザが視認可能な位置に空中像30を表示させて良い。
以下、第10の実施の形態と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第10の実施の形態にて説明した内容を適用することができる。また、以下の説明では、第10の実施の形態と同様に、表示制御部23は、所定時間が経過するごとに、画像Im1(図57(b)参照)と画像Im2(図57(d)参照)とを切り替えて表示器11に表示するものであるが、理解を容易にすることを目的として第1結像ミラー411に対する処理を中心に行う。
決定部26は、表示装置1のX方向+側に位置するユーザに視認させるために、空中像30Aが形成される方向を表示装置1の中心からX方向+側に設定する。決定部26は、表示装置1のX方向−側に位置するユーザに視認させるために、空中像30Bが形成される方向を表示装置1の中心からX方向−側に設定する。さらに、決定部26は、空中像30A、30Bの移動量を決定する。この場合、決定部26は、検出されたユーザが表示装置1からX方向+側に、またはX方向−側に離れているほど移動量を大きくする。ユーザと表示装置1との間の距離は、撮像データ上で検出された人物の大きさに基づいて算出すれば良い。
空中像30A、30Bが形成される方向と移動量、すなわち空中像30Aと30Bのそれぞれの結像領域の位置が決定されると、駆動制御部21は、第1結像ミラー411の駆動角度±θ1を算出する。この場合、駆動制御部21は、空中像30Aと30Bとのそれぞれの結像領域の位置に基づいて、空中像30Aを形成させるための第1結像ミラー411の駆動角度−θ1と空中像30Bを形成させるための第1駆動ミラー411の駆動角度+θ1とを算出する。
駆動制御部21は、時刻t1において、算出した駆動角度−θ1で第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。その結果、第10の実施の形態にて参照した図57(a)に示すように、画像Im1に対応する空中像30Aは、一方のユーザが空中像30Aを視認し易いX方向+側の結像領域に形成される。短い所定時間が経過した時刻t2では、駆動制御部21は、算出した駆動角度+θ1で第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。その結果、第10の実施の形態にて参照した図57(c)に示すように、画像Im2に対応する空中像30Bは、他方のユーザが空中像30Bを視認し易いX方向−側の結像領域に形成される。以後、第10の実施の形態の場合と同様に、所定時間が経過するごとに、第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1と+θ1との間で切り替えて傾斜駆動させる。これにより、異なる画像Im1とIm2とに対応する空中像30Aと空中像30Bとが短い所定時間ごとに順次切り替わって形成される。第1結像ミラー411による傾斜駆動および補助光学部材14Bの境界面143Bの傾斜方向の切り替えが短時間で繰り返し行われることにより、2人のユーザはそれぞれ空中像30Aと30Bとを視認することができる。
図63のフローチャートを参照して、第10実施の形態の変形例3の表示装置1の光学系12Gの動作状態時の処理について説明する。図63に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS171では、撮像装置5に撮像データを生成させてステップS172へ進む。ステップS172では、制御部20の検出部25は、生成された撮像データ上から表示装置1を観察するユーザの有無を検出する処理を行って、ステップS173へ進む。ステップS173では、ステップS172にて複数のユーザが検出されたか否かを判定する。複数のユーザが検出された場合には、ステップS173が肯定判定されてステップS174へ進む。複数のユーザが検出されない場合には、ステップS173が否定判定されてステップS171へ戻る。なお、本フローチャートにおいても、上述したように複数のユーザとして2人が検出された場合を一例として説明を行う。また、上述したように、1人のユーザのみが検出された場合には、第4の実施の形態の図21に示すフローチャートに示す処理を行っても良い。
ステップS174では、表示制御部23は、表示器11に画像Im1を表示してステップS175へ進む。ステップS175では、2人のユーザの内の一方のユーザが検出された位置に基づいて、空中像30Aを形成させる位置を決定し、第1結像ミラー411の駆動角度−θ1を算出してステップS176へ進む。ステップS176では、駆動制御部21は、算出された駆動角度−θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度−θ1で傾斜駆動させてステップS177へ進む。
ステップS177では、ステップS176における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS177が肯定判定されてステップS178へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS177が否定判定されて所定の時間が経過するまで待機する。ステップS178では、表示制御部23は、表示器11に画像Im2を表示してステップS179へ進む。ステップS179では、駆動制御部21は、2人のユーザの内の他のユーザが検出された位置に基づいて、空中像30Bを形成させる位置を決定し、第1結像ミラー411の駆動角度+θ1を算出してステップS180へ進む。
ステップS180では、駆動制御部21は、算出された駆動角度+θ1に従って第1駆動部412に電圧を印加して、第1結像ミラー411を駆動角度+θ1で傾斜駆動させてステップS181へ進む。ステップS181では、ステップS180における複数の第1結像ミラー411の傾斜駆動が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合には、ステップS181が肯定判定されてステップS182へ進み、所定の短い時間が経過していない場合には、ステップS181が否定判定されて所定の時間が経過するまで待機する。ステップS182では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS182が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS182が否定判定されてステップS174へ戻る。
また、上述の説明では、第1結像ミラー411による傾斜駆動を例に挙げて説明したが、検出された複数のユーザの観察位置に応じて、第2結像ミラー421の駆動角度を切り替えて傾斜駆動させることにより、空中像30をY方向位置が異なる結像領域に形成させることができる。この場合、制御部20は、図63と同様の処理を第2結像ミラー421に対して実行する。または、検出された複数のユーザの観察位置に応じて、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の両方を傾斜駆動して、複数の空中像30をX方向およびY方向が異なる結像領域に形成することもできる。
また、上述した説明では、異なる画像Im1とIm2とに対応する異なる空中像30Aと30Bとを異なる結像領域に表示させる場合を例に挙げて説明したが、同一の画像に対応する同一の空中像30を異なる結像領域に表示させても良い。この場合、図63に示すフローチャートにおいて、ステップS178における処理を行わない。また、ステップS182が否定判定された場合には、ステップS175に戻って処理を実行すれば良い。
なお、第10の実施の形態の変形例3では、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて表示装置1を観察するユーザを検出する構成としたが、この例に限定されない。第4の実施の形態とその変形例1(図19〜図21参照)にて説明したように、ユーザによる操作ボタンの操作や、集音によって集音された音声データに基づいて、ユーザを検出しても良い。
第10の実施の形態の変形例3では、第1駆動部412は、検出したユーザに基づいた異なる結像領域に空中像30Aと30Bとを形成する。これにより、ユーザが表示装置1を観察する位置に応じて、ユーザが視認し易い位置に空中像30Aと30Bとを形成することができる。
(第10の実施の形態の変形例4)
上述した第10の実施の形態とその変形例1〜3では、所定の時間間隔ごとに空中像30Aと空中像30Bとを切り替えて形成させることにより、ユーザにより常に空中像30Aと30Bとが視認できるように構成した。これに対して、第10の実施の形態の変形例4では、空中像30Aと30Bとが所定の条件を満たした場合に形成されるようにした点で異なる。以下、第10の実施の形態の変形例3と相違する点を主に説明を行う。特に説明を行わない点については、第10の実施の形態の変形例3にて説明した内容を適用することができる。
第10の実施の形態の変形例4では、第10の実施の形態の変形例3と同様に、図19に示す第4の実施の形態の撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第10の実施の形態の光学系12Gと、記憶部9とを備える。制御部20は、図46に示す第8の実施の形態の変形例3と同様に、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と算出部27とを備える。なお、第10の実施の形態の変形例4においても、第10の実施の形態の変形例3における表示装置1として適用可能な構成と同様の構成を適用することができる。
<例1>
第10の実施の形態の変形例5の表示装置1は、空中像30Bの形成を開始させるタイミングを所定の条件が満たされた場合に実行するようにする。例1では、たとえば、1人のユーザが表示装置1を観察している場合には空中像30Aのみを形成しているが、途中で表示装置1を観察するユーザの人数が増えた場合に空中像30Bの形成を開始する。
検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、公知の被写体検出処理等を行って、撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。検出部25によって表示装置1を観察するユーザが1人しか検出されない場合には、空中像30Aのみを形成させるようにする。この場合も、検出部25は、撮像データ上で検出した人物の顔の方向を検出して、表示装置1を観察するユーザの視線の方向を検出する。決定部26は、検出部25により検出されたユーザの実際の位置と視線の方向とに基づいて、空中像30を形成させる方向と位置、すなわち結像領域を決定する。
空中像30Aの結像領域の位置が決定されると、駆動制御部21は、第1結像ミラー411の駆動角度θ1aを算出し、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、ユーザが視認しやすい位置に空中像30Aが形成される。なお、空中像30Aが形成されている間も、所定の時間間隔ごとに、撮像装置5による表示装置1の周囲の撮像と、検出部25によるユーザの検出とが行われる。
空中像30Aが形成されている最中に、検出部25によって新たなユーザが表示装置1を観察していることが検出されると、決定部26は、新たに検出されたユーザの位置と視線の方向とに基づいて、新たな空中像30Bを形成させる方向と位置、すなわち結像領域を決定する。空中像30Bの結像領域の位置が決定されると、駆動制御部21は、空中像30Bを形成させるための第1結像ミラー411の駆動角度θ1bを算出し、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。以後、所定時間ごとに、駆動制御部21は、第1結像ミラー411の駆動角度を±θ1aと±θ1bとの間で切り替える。その結果、当初から形成されていた空中像30Aと、新たなユーザが視認するための空中像30Bと形成される。
その後、さらに表示装置1を観察するユーザが増えると、同一の処理を行って、空中像30Aと空中像30Bとに加えて、さらに増加したユーザが視認するための空中像30Cが新たに形成される。すなわち、さらに増加したユーザの位置と視線の方向とに基づいて、駆動制御部21は第1結像ミラー411を駆動角度θ1cで傾斜駆動させる。その後、所定時間ごとに、駆動制御部21は、第1結像ミラー411を駆動角度θ1a、θ1b、θ1cの間で切り替えて傾斜駆動させることにより、空中像30A、30B、30Cを形成させる。
また、空中像30Aと空中像30Bとが形成されているときに、たとえば当初から表示装置1を観察していたユーザがいなくなった場合には、表示装置1を観察し続けているユーザが視認するための空中像30Bのみが形成されるようにする。すなわち、駆動制御部21は、第1結像ミラー411を駆動角度θ1bにて傾斜駆動させる。
なお、上述した例1では、表示装置1を観察するユーザを検出するために、表示装置1が撮像装置5により撮像された撮像データを用いる場合を例に挙げたが、これに限定されない。第4の実施の形態とその変形例1(図19〜図21参照)にて説明したように、ユーザによる操作ボタンの操作や、集音によって集音された音声データに基づいて、ユーザを検出しても良い。また、操作ボタンが表示装置1に設けられているものではなく、空中像30として表示されたアイコンをユーザが空中で押下する操作を行われた場合にユーザの存在を判断しても良い。この場合、表示装置1は、ユーザがアイコンを押下する操作を検出するための操作検出器として、光学系12Gの上方(Z方向+側)に設けられた、たとえば公知の透明静電容量式パネルを備える。静電容量パネルからなる操作検出器は、実質的に透明な部材からなる電極によって電界を形成する。操作検出器13は、ユーザが空中像30の形成位置を操作するために指またはスタイラスを空中像30の方に移動させた場合に、その指またはスタイラスの位置を静電容量の値として検出する。
また、空中像30Aと30Bと30Cは、同じ画像であっても良いし、少なくとも1つが異なる画像であっても良い。
<例2>
例1では、表示装置1を観察するユーザの人数の増減に応じて空中像30Bを形成するタイミングを制御したが、例2では、表示装置1で形成されている空中像30Aを視認しているユーザによって予め決められた特定のジェスチャーが行われた場合に、空中像30Bの形成を開始する。以下、詳細に説明する。
図64は、表示装置1により形成された空中像30とユーザの位置との関係を模式的に示す図である。なお、図示の都合から、図64では、光学系12Gの第1光学部41および第2光学部42を簡略化して示す。
図64(a)は、あるユーザが領域U1にて表示装置1により形成された空中像30Aを視認している様子を模式的に示した図である。この状態から、図64(b)に模式的に示すように別のユーザが領域U2に現れたので、領域U1のユーザが領域U2のユーザにも空中像30Aを視認させようとした場合に、領域U1のユーザは、予め決められた特定のジェスチャーを行う。予め決められた特定のジェスチャーとして、上述した第4の実施の形態の変形例1にて説明した各種のジェスチャーを適用させることができる。
検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、撮像データ上で領域U1のユーザが上記のジェスチャーを行ったか否かを検出する。検出部25によりジェスチャーが行われたことが検出されると、決定部26は、検出されたジェスチャーに基づき、第4の実施の形態の変形例1の場合と同様にして、領域U2のユーザが視認するための空中像30Bを形成させる方向と位置、すなわち結像領域を決定する。
なお、検出部25は、上記のジェスチャーが行われると、ジェスチャーで移動された方向に存在する人物を撮像データ上から検出し、その人物の視線の方向を検出する。決定部26は検出された人物の位置と視線の方向とに基づいて、空中像30Bを形成する方向と位置とを決定しても良い。
空中像30Bの結像領域の位置が決定されると、駆動制御部21は、空中像30Bを形成させるための複数の第1結像ミラー411の駆動角度θ1bを算出し、複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。以後、所定時間ごとに、駆動制御部21は、第1結像ミラー411の駆動角度を±θ1aと±θ1bとの間で切り替える。その結果、図64(c)に示すように、当初から形成されていた空中像30Aと、新たなユーザが視認するための空中像30Bとが交互に繰り返し形成される。すなわち、領域U1のユーザと、領域U2のユーザとは、異なる位置に結像された同一または異なる空中像30Aと30Bとを、それぞれ視認することができる。
なお、領域U1のユーザと領域U2のユーザとのそれぞれに空中像30Aと30Bと視認させるものに限定されない。たとえば、空中像30Bが形成されたら空中像30Aの形成を終了させても良い。この場合、たとえば領域U1のユーザが、顔の前で手を振るようなジェスチャーを行ったことが検出部25により検出されたときに、空中像30Aの形成を終了しても良い。
また、空中像30Bの形成を行わず、空中像30Aの形成のみを継続して行っても良い。たとえば、領域U1のユーザが、領域U2のユーザに空中像30Bを視認させるようなジェスチャーを行った後、直ちに領域U1のユーザが体の前で腕や指をクロスさせ「×」を作るジェスチャーを行ったことが検出部25により検出されたときに、空中像30Bの形成をキャンセルし、空中像30Aの形成のみを引き続き行うようにする。また、領域U1のユーザが、領域U2のユーザに空中像30Bを視認させるようなジェスチャーを行い、空中像30Bが形成された後に、領域U1のユーザが体の前で腕や指をクロスさせ「×」を作るジェスチャーを行ったことが検出部25により検出されたときには、空中像30Bの形成を終了させ、空中像30Aの形成のみを引き続き行うようにしても良い。
<例3>
例3では、表示装置1を観察しているユーザの位置や視線の方向が移動すると、その移動に伴って、表示装置1は空中像30を移動させることで、常にユーザに視認できる位置に空中像30を形成させる。以下、1人のユーザが表示装置1を観察している場合を例に挙げて、詳細に説明する。
検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データを用いて、公知の被写体検出処理等を行って、撮像データ上から人物、すなわち表示装置1を観察するユーザを検出する。検出部25は、撮像データ上で検出した人物の顔の方向を検出して、表示装置1を観察するユーザの視線の方向を検出する。決定部26は、検出部25により検出されたユーザの位置と視線の方向とに基づいて、空中像30を形成させる方向と位置、すなわち結像領域を決定する。
空中像30の結像領域の位置が決定されると、駆動制御部21は、複数の第1結像ミラー411の駆動角度θ1aを算出し、複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。これにより、ユーザが視認しやすい位置に空中像30が形成される。空中像30が形成されている間も、所定の時間間隔ごとに、撮像装置5は表示装置1の周囲を撮像し、検出部25は撮像データからユーザの検出を行う。検出部25は、新たに撮像された撮像データ上で検出された人物の位置や視線の方向が、既に検出されている人物の位置や視線の方向に対して変位しているか否かを判定する。
新たに検出された人物の位置や視線の方向が変位している場合には、決定部26は、新たに検出された人物の位置と視線の方向とに基づいて、新たに空中像30を形成させる方向と位置を決定する。駆動制御部21は、決定部26により新に決定された方向と位置とに基づいて、第1結像ミラー411の駆動角度θ1bを算出し、第1結像ミラー411を傾斜駆動させる。したがって、第1結像ミラー411の駆動角度θ1bに応じた位置に移動した位置に、新たな空中像30が形成される。換言すると、ユーザの位置や視線の方向が変化するタイミングで、それまで形成されていた位置から移動した位置に新な空中像30が形成される。これにより、ユーザが移動した位置や新たに視線を向けた位置に空中像30が形成される、即ちユーザの移動に伴って空中像30を移動させて、空中像30をユーザに視認可能となるように形成させる。
<例4>
例1〜例3では、ユーザの人数やジェスチャーや位置に応じたタイミングにて、新な空中像30を形成するものであったが、例4では、表示器11に表示された画像が有する情報に基づいて形成する空中像30の個数を決める。即ち、画像が有する情報が1人のユーザにより視認することを示す場合には、1つの空中像30Aが形成され、画像が有する情報が複数のユーザにより視認するためのものである場合には、複数の空中像30が形成される。
画像が有する情報の一例として、画像が含まれるコンテンツ自体が複数のユーザにより実行されるものであったり、複数のユーザで実行することが前提となる特定のモードに対応する画像がある。例えば、表示装置1をゲーム機に組み込んだ場合、ゲームの種類やゲームが有するモードによっては1人のユーザに空中像30を視認させれば良いときと、複数のユーザにそれぞれ空中像30を視認させる必要があるときとがある。たとえば対戦モードを有するゲームの場合には、対戦モードが選択されると対戦相手のユーザも空中像30を視認する必要があるので、表示装置1は、ユーザ自身が視認するための空中像30Aと、対戦相手のユーザが視認するための空中像30Bとを形成する。
なお、対戦モードの選択は、表示装置1が組み込まれたゲーム機本体に設けられた操作部材から行っても良いし、表示装置1によってモード選択の画面を空中像として形成し、ユーザがモード選択の空中像を押し込むように操作しても良い。モード選択の空中像をユーザが操作する場合には、撮像装置5がユーザの空中像への操作を撮像し、検出器25が撮像データからモード選択を行うユーザ操作を検出し、決定部26が検出されたモード選択を行うユーザ操作に基づいて、対戦モードを選択して良い。
この場合、ユーザにより対戦モードが選択されると、駆動制御部21は、予め決められている異なる結像領域に空中像30Aと30Bとがそれぞれ形成されるように、第1結像ミラー411の駆動角度θ1a、θ1bを決定する。駆動制御部21は、所定時間ごとに、第1結像ミラー411の駆動角度をθ1aとθ1bとの間で切り替える。これにより、空中像30Aと30Bとが対戦ゲームを行う2人のユーザのそれぞれによって視認することができる。
ユーザにより対戦モードが選択されていない場合、即ち1人のユーザがゲームを行う場合には、画像が有する情報は1人のユーザが空中像30を視認することを示す。この場合は、駆動制御部21は、第1結像ミラー411を駆動角度θ1で傾斜駆動させて、1つの空中像30Aのみを形成させる。即ち、ゲームを行うユーザ以外にゲームの状況を観察する人物が表示装置1の周囲に存在したとしても、表示装置1は空中像30A以外の空中像を形成しない。
なお、ゲームの内容によって2人のユーザがそれぞれ視認する空中像30が同一のものか異なるものかが決まる。従って、例4においては、形成される空中像30Aと30Bとは同じ画像であっても良いし、異なる画像であっても良い。
<例5>
例1〜例4では、表示装置1を観察するユーザの人数や、表示器11に表示される画像が有する情報に基づいて、空中像30を複数個形成させるものであった。例5では、画像が有する情報に基づいて、空中像30を、表示装置1を観察するそれぞれのユーザに対して形成する場合を説明する。この場合の一例として、表示装置1を医療現場、たとえば手術中の手術室で使用する場合を例に挙げる。
複数の医師と看護師により長時間の手術が行われる場合に、手術の手順、注意事項等の情報が空中像30として形成される。この場合、医師や看護師にはそれぞれ役割分担が決まっているので、それぞれに対して必要となる情報が異なることが考えられる。たとえば、図65(a)に示すように、医師Aには手順及び注意事項A、医師Bには手順及び注意事項B、看護師Cには手順及び注意事項Aと手順及び注意事項Bが必要な情報であるとする。この場合、手順及び注意事項Aを示す画像は医師Aおよび看護師Cに関連付けられ、手順及び注意事項Bを示す画像は医師Bと看護師Cとに関連付けられる。なお、表示される画像と、表示される空中像を視認するユーザを示す顔画像とが関連付けられても良い。この場合、手順および注意事項Aを示す画像と医師Aの顔画像および看護師Cの顔画像とが関連付けされ、手順および注意事項Bを示す画像と医師Bの顔画像とが関連付けされる。
図65(b)に示すように、医師A、Bが手術台T1の両側にそれぞれ位置し、看護師Cが手術台T1の一端部に、即ち医師A、Bの中間に位置するとする。表示装置1は、手術台T1の他端部の近傍に配置される。表示装置1が備える撮像装置5により生成された撮像データを用いて、医師A、Bと看護師Cの立ち位置を検出する。手術中の医師A、Bと看護師Cの立ち位置はほぼ決まっているので、表示装置1は、検出された医師A、Bと看護師Cの立ち位置に基づいて、それぞれが視認するための空中像30A〜30Cを空中に表示する。なお、画像と人物の顔画像とが関連付けされている場合には、表示装置1は、撮像データから医師A、Bと看護師Cの顔を検出して、検出した顔に基づいて、医師A、Bと看護師Cとにそれぞれ関連付けされた画像に対応する空中像30A〜30Cを空中に表示しても良い。以下、詳細に説明する。
画像生成部22は、手順及び注意事項Aを示す画像Aと、手順及び注意事項Bを示す画像Bとを生成する。
時刻t1において、表示制御部23は、画像生成部22が生成した画像Aを表示器11に表示させる。駆動制御部21は、医師Aおよび看護師Cのための空中像30Aおよび30Cを形成するために、医師Aおよび看護師Cの立ち位置に基づき、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を所定の駆動角度で傾斜駆動させる。これによって、医師Aは、目の前で手順及び注意事項Aを示す空中像30Aを視認し、看護師Cは目の前で手順及び注意事項Aを示す空中像30Cを視認することができる。
所定の時間が経過した時刻t2では、表示制御部23は画像生成部22が生成した画像Bを表示器11に表示させる。駆動制御部21は、医師Bおよび看護師Cのための空中像30Bおよび30Dを形成するために、医師Bおよび看護師Cの立ち位置に基づき、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を所定の駆動角度で傾斜駆動させる。これによって、医師Bは、目の前で手順及び注意事項Bを示す空中像30Bを視認し、看護師Cも目の前で手順及び注意事項Bを示す空中像30Cを視認することができる。上記の処理を短い時間間隔で繰り返し行うことにより、空中像30A〜30Cがそれぞれ医師A、Bと看護師Cとによって視認することができる。
なお、手術中の医師や看護師は立ち位置がほぼ決まっており、表示装置1に対して大きな移動を行うことは少ないので、各空中像30A〜30Cが形成される位置を移動させなくても良いし、視線の方向に従って空中像30A〜30Cが移動しても良い。空中像30A〜30Cを移動させる場合には、撮像装置5により撮像された撮像データに基づいて検出部25が行った検出の結果に従って、空中像30A〜30Cを移動させれば良い。
なお、全員に共通する情報として、例えば患者のヴァイタルサインの測定結果等が上記の各画像AとBとに付加されても良い。
なお、上述した説明では、空中像30A〜30Cが表示装置1から同一の距離だけ離れた空中に形成される場合を例に挙げたが、空中像30A〜30Cの少なくとも1つが他の空中像に対して表示装置1からの距離が異なる位置に形成されても良い。図65(b)に示す例では、例えば表示装置1から最も離れた場所に位置する看護師Cのために、空中像30Cを空中像30Aや30Bに対して表示装置1から離れた位置、即ち看護師Cに近い位置に形成させても良い。
この場合、表示装置1は、図76を用いて後述するように、モータまたはアクチュエータなどの駆動部によって、光学系12Gまたは表示器11を光軸方向、即ちZ方向に移動することにより、形成される空中像30の表示位置を移動させることができる。図65(b)の看護師Cの立ち位置の近くに空中像30Cを表示させるためには、光学系12Gと表示器11との間の距離が小さくなる方向に移動させれば良い。
また、図18に示す第3の実施の形態の表示装置1のように光学系13を有する場合には、光学系13または表示器11の一方、または光学系13および表示器11の両方をZ方向に沿って移動させて、光学系13と表示器11との間のZ方向の距離を変更しても良い。これにより、虚像Vが形成される位置を変更させて、虚像Vが光学系12Gによって表示されるZ方向の位置を変更させることにより、空中像30の表示位置をZ方向に沿って移動させることができる。
<例6>
例6は、画像が示す対象物の状況の変化に応じて形成される空中像30が変化する場合を説明する。例6では、一例として、製造現場で製造品の検査工程において表示装置1に製品の検査項目を示す情報を空中像30として形成させる場合を例に挙げる。この場合、ある製造品に対する複数の検査項目、例えば2つの検査項目のそれぞれを複数の作業者、例えば2人の作業者によって分担して実行する場合に、画像生成部22は、第1の検査項目に関する第1の検査項目画像と、第2の検査項目に関する第2の検査項目画像とをそれぞれ生成する。表示装置1は、一方の作業者Aに対して第1の検査項目画像の空中像30Aを形成すると共に、他の作業者Bに対する第2の検査項目画像の空中像30Bを形成する。なお、作業者Bによる第2の検査項目は、作業者Aが製造品に対して第1の検査項目に従って検査した結果、合格した場合に行われるものとする。
図66(a)に示すように、作業者A、Bは、例えばベルトコンベアー等が設けられた作業台T2の前に立ち、作業台T2上を移動される製造品S1に対して、それぞれ第1および第2の検査項目に従って検査を行う。作業台T2に対して作業者A、Bと対向する位置に表示装置1が設けられる。製造品S1は、図の矢印AR2に示す方向に沿って移動される。表示装置1は、製造品S1が作業者Aの視界の範囲内に移動されると、第1の検査項目画像に対応する空中像30Aを製造品S1の近傍の空中に形成する。この場合、制御部20は、撮像装置5により撮像された撮像データに基づいて検出部25が行った検出の結果に従って、製造品S1が作業者Aの視界の範囲に移動されたか否かを判定する。
製造品S1が作業者Aの視界の範囲内に移動されたと判定されると、駆動制御部21は、製造品S1の上方に空中像30Aが形成されるように、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の駆動角度を算出して、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を傾斜駆動させる。以後、検出部25は、作業台T2上での製造品S1の移動に伴って、撮像装置5により撮像された撮像データに基づいて製造品S1の位置を検出する。検出した製造品S1の位置に基づいて、駆動制御部21は、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を傾斜駆動させて空中像30Aの形成位置を移動させる。即ち、製造品S1の移動に伴って空中像30Aが矢印AR3の方向に移動される。これにより、作業者Aの視界の範囲内で、第1の検査項目を示す空中像30Aが製造品S1の上方に形成され、製造品S1の移動に伴って移動する。作業者Aは、この空中像30Aを視認しながら、製造品S1に対して検査を行う。
作業者Aによる検査が終了し、検査に合格した場合には、製造品S1は更に作業台T上を矢印AR4の方向に移動して、作業者Bによる検査が行われる。図66(b)に示すように、製造品S1が作業者Bの視界の範囲内に移動されると、駆動制御部21は、製造品S1の上方に第2の検査項目画像に対応する空中像30Bが形成されるように、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の駆動角度を算出して、第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方を傾斜駆動させる。これにより、作業者Bが行う第2の検査項目を示す空中像30Bが製造品S1の上方に形成される。この場合も、検出部25は、撮像装置5により撮像された撮像データに基づいて、製造品S1が作業者Bの視界の範囲内に移動されたことを検出する。更に、撮像装置5からの撮像データに基づく検出部25による検出結果に基づいて、空中像30Bを製造品S1の移動に従って、矢印AR5の方向に移動させる。これにより、作業者Bの視界の範囲内で、第2の検査項目を示す空中像30Bが製造品S1の上方に形成され、この空中像30Bは製造品S1の移動に伴って移動する。作業者Bは、この空中像30Bを視認しながら、製造品S1に対して検査を行う。
作業者Bが製造品S1に対して検査を行っている際に、次の製造品S2が作業台T2上を移動して、作業者Aの視界の範囲内に移動されると、図66(a)を用いて説明した場合と同様にして、製造品S2の上方に第1の検査項目を示す空中像30Aが再び形成される。この空中像30Aを視認しながら、作業者Aは製造品S2に対して検査を行う。この場合には、所定の短い時間間隔ごとに、表示制御部23による第1の検査項目画像の表示、および空中像30Aを形成するための第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の傾斜駆動と、表示制御部23による第2の検査項目画像の表示、および空中像30Bを形成するための第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の少なくとも一方の傾斜駆動とが、切り替わって実行される。
なお、作業者Aによる検査の結果が不合格の場合には、作業者Bによる検査は行われないので、表示装置1により空中像30Bは形成されない。この場合、作業者Aによって製造品S1が不合格だったことを示す操作部材等が操作されたり、表示装置1に向かって予め決められたジェスチャー(例えば、体の前面で腕や指をクロスさせて「×」をつくる)をすると、表示装置1は、製造品S1に対する空中像30Bを形成しないようにする。
また、上述した説明では、製造品S1やS2の移動に伴って空中像30A、30Bが移動するものとしたが、これに限定されない。空中像30A、30Bが作業者A、Bのそれぞれが視認しやすい位置に移動することなく形成されても良い。
第10の実施の形態の変形例4では、第1駆動部412または第2駆動部422、または第1駆動部412および第2駆動部422は、取得した情報に基づいて、空中の異なる結像位置に空中像30Aと30Bとの形成を開始する。これにより、常に複数の空中像30が形成されるように制御する必要がなく、省電力化に寄与する。
また。第10の実施の形態の変形例4では、取得した情報が所定の条件を満たさない場合には、空中像30Bを形成しない。これにより、第1結像ミラー411や第2結像ミラー421を空中像30Aを形成するために使用することができ、ユーザは明るい空中像30Aを視認することができる。
また、第10の実施の形態の変形例4では、取得した情報は、例えば例1で説明したように、表示装置1を視認する複数のユーザを検出したことを示す情報である。これにより、表示装置1を観察するユーザの人数の増減に応じて形成する空中像30の個数を制御して、必要のない空中像30を形成するための処理を行う必要がなく、消費電力を低減させることができる。
また、第10の実施の形態の変形例4では、情報は、例えば例2で説明したように、表示装置1を視認するユーザの所定の動き、即ちジェスチャーを検出したことを示す情報である。これにより、ユーザの意思に応じて複数の空中像30の形成を開始することができ、利便性が向上する。
また、第10の実施の形態の変形例4では、情報は、例えば例3〜例6で説明したように、表示器11に表示される画像に関する情報である。これにより、例えば複数のユーザで視認することが前提となっている画像に対応する空中像30を形成する場合には、複数のユーザを検出する等の処理を行うことなく複数の空中像30を形成することができる。
上述した第10の実施の形態の変形例4の各例においては、第4の実施の形態(図19〜図21参照)とその変形例1の場合にて説明した各種の方法を適用して、複数の空中像30のそれぞれに対してユーザが行った操作(タッチする動作)を検出し、表示器11の表示を制御してよい。たとえば、動画再生用のボタンの画像として空中像30Aと空中像30Bとが表示されている場合を例に挙げる。なお、空中像30Aは、動画である空中像30Cの再生用のボタンであり、空中像30Bは、動画である空中像30Dの再生用のボタンであるとする。ユーザによる空中像30Aをタッチするような操作を検出部25によって検出した場合、制御部20は、空中像30Aに割り当てられた機能である空中像30Cの再生を開始する。すなわち、表示制御部23は、表示器11に空中像30Cに対応する動画を再生表示させる。ユーザによる空中像30Bをタッチするような操作を検出部25によって検出した場合、制御部20は、空中像30Bに割り当てられた機能である空中像30Dの再生を開始する。すなわち、表示制御部23は、表示器11に空中像30Dに対応する動画を再生表示させる。
空中像30Aに対してタッチするような操作が検出されたが、空中像30Bに対してタッチするような操作が検出されていない場合には、制御部20は、上述したように空中像30Aの表示から空中像30Cの再生表示に切り替えるが、空中像30Bについては表示を継続するように制御を行う。逆に、空中像30Bに対してタッチするような操作が検出され、空中像30Aに対する操作が検出されない場合には、制御部20は、空中像30Bの表示から空中像30Dの再生表示に切り替え、空中像30Aについての表示を継続するように制御を行う。なお、上記の説明では、2つの空中像30を同時に表示する場合を例に挙げて説明したが、3個以上の空中像30を同時に表示する場合にも同様にして各々の空中像30に対して処理を適用することができる。
図67のフローチャートを参照して、第10実施の形態の変形例4の表示装置1の表示制御の処理について説明する。図67に示す処理は、制御部20でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部9に記憶されており、制御部20により起動され、実行される。
ステップS184では、表示制御部23は、表示器11に空中像30Aに対応する画像と(空中像30Cの再生用ボタンの画像)と、空中像30Bに対応する画像(空中像30Dの生成用ボタンの画像)とを表示させてステップS185へ進む。なお、ステップS184では、制御部20は、第10の実施の形態とその変形例1〜3(図58、図60、図62、図63参照)の何れかのフローチャートに示す各処理を表示器11および光学系12Gに対して行う。
ステップS185では、制御部20は、ユーザによる空中像30をタッチするような操作が行われたか否かを判定する。検出部25によって、撮像装置5により生成された撮像データからユーザが空中像30にタッチする動作を行ったことが検出された場合、ステップS185が肯定判定されてステップS186へ進む。ユーザが空中像30にタッチする動作を行ったことが検出されない場合には、ステップS185が否定判定されてステップS184へ戻る。
ステップS186では、制御部20は、空中像30Aに対してユーザがタッチする動作を行ったか否かを判定する。撮像装置5で生成された撮像データから、ユーザがタッチする動作を行った位置が空中像30Aが表示された位置とほぼ同じであることが検出された場合には、ステップS186が肯定判定されたステップS187へ進む。ユーザがタッチする動作を行った位置が空中像30Bが表示された位置とほぼ同じであることが検出された場合には、ステップS186が否定判定されてステップS188へ進む。
ステップS187では、表示制御部23は、表示器11の表示を、空中像30Aに対応する画像から空中像30Cに対応する画像の表示に切り替え、空中像30Bに対応する画像の表示を継続する。これにより、空中像30Cの再生と、空中像30Bの表示とが行われる。ステップS188では、表示制御部23は、表示器11の表示を、空中像30Bに対応する画像から空中像30Dに対応する画像の表示に切り替え、空中像30Aに対応する画像の表示を継続する。これにより、空中像30Dの再生と、空中像30Aの表示とが行われる。なお、ステップS187、ステップS188では、制御部20は、第10の実施の形態とその変形例1〜3(図58、図60、図62、図63参照)の何れかのフローチャートに示す各処理を表示器11および光学系12Gに対して行う。
ステップS189では、空中像30の表示を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS189が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS189が否定判定されてステップS184へ戻る。
なお、切り替えた後の空中像30Cと30Dとについては、同じ画像でも良いし、異なる画像であっても良い。
(第10の実施の形態の変形例5)
第10の実施の形態の変形例5の表示装置1は、複数のユーザ、例えば2人のユーザが表示装置1により形成された空中像30A、30Bをそれぞれ視認する場合、一方のユーザには空中像30Aのみが視認され、他方のユーザには空中像30Bのみが視認されるように、空中像30Aおよび30Bの結像領域を設定する。以下、詳細に説明する。
第10の実施の形態の変形例5では、第10の実施の形態の変形例3、4と同様に、図19に示す第4の実施の形態の撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第10の実施の形態の光学系12Gと、記憶部9とを備える。制御部20は、第8の実施の形態の変形例3(図46参照)と同様に、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と算出部27とを備える。なお、第10の実施の形態の変形例5においても、第10の実施の形態の変形例3、4における表示装置1として適用可能な構成と同様の構成を適用することができる。
図68は、表示器11の表示画素P1に画像が表示され、出射した光束により実像P11AとP11Bとを形成させた場合を示す。複数の第1結像ミラー411のうち、複数の第1結像ミラー411aは傾斜駆動されず、即ち駆動角度0°のままであり、複数の第1結像ミラー411bは駆動角度−θ1にて傾斜駆動される。複数の第1結像ミラー411aにより反射された光束が収束して実像P11Aが空中像30Aとして形成され、複数の第1結像ミラー411bにより反射された光束が収束して実像P11Bが空中像30Bとして形成される。
図68(a)に示すように、ユーザが領域U1Aの範囲に目を置く場合には、ユーザは実像P11Aを視認できるが、実像P11Bを視認することはできない。また、ユーザが領域U1Bに目を置く場合には、ユーザは実像P11Bを視認することができるが、実像P11Aを視認することはできない。
しかし、図68(b)に示すように、ユーザが領域U1Cの範囲に目を置く場合には、ユーザは実像P11AとP11Bとの両方を視認できてしまう。即ち、ユーザが実像P11Aを視認しようとしているときに実像P11Bが視界に入ることになり、実像P11Aの視認性に悪影響を及ぼすことになる。
第10の実施の形態の変形例5では、表示装置1は、ユーザが空中像30Aを視認するための位置において、空中像30Bが形成される位置をユーザの視界外に移動させるように第1結像ミラー411bの傾斜駆動を制御する。なお、空中像30Bを移動させる場合を例に挙げて説明するが、空中像30Aを移動させても良いし、空中像30Aと30Bとを移動させても良い。
また、以下の説明では、ユーザが空中像30を視認するための位置をユーザ位置と呼ぶ。ユーザ位置は、たとえば空中像30が形成される位置、即ち結像領域からZ方向に沿って所定距離だけ離れた位置とする。なお、この所定距離は、例えば、アイコン等が空中像30として形成され、ユーザがこの空中像30のアイコン等に対して操作する際に、ユーザ位置から手を伸ばすと空中像30に到達する距離に定めることができる。この場合、所定距離を、例えば、成人の腕の長さを基準としたとき40cm程度とすれば良い。なお、所定距離は、ユーザが成人か子供かに応じて異ならせても良いし、表示装置1を観察するユーザごとに異なっても良い。また、所定距離が一定のものに限定されず、可変としても良い。例えば、空中像30が示すコンテンツが、例えば動画やスライドショーやイラストが移動するような大きな動きを伴うものである場合には、所定距離を増加させても良い。
なお、ユーザ位置を、表示装置1から結像領域までのZ方向の距離に所定距離を加えたものに限定されず、ユーザ位置と結像領域とを同一、即ち所定距離がゼロであっても良い。
まず、図69を参照しながら、空中像30Aを結像領域301Aに形成させる場合を説明する。図69は、表示器11の表示画素群PG1に画像を表示して、光束を出射させる場合を模式的に示したものである。なお、図69では、図示の都合上、光学系12Gの第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示しているが、複数の第1結像ミラー411のうち、傾斜駆動されていない第1結像ミラー411により反射された光束により空中像30Aが形成される。結像領域301Aの視野角、即ちユーザにより空中像30Aが視認できる範囲は、表示器11の表示画素群PG1から出射される光束の視野角と、第1結像ミラー411に入射する光束の角度と、第1結像ミラー411の駆動角度と、によって決まる。なお、表示画素群PG1から出射される光束の視野角は表示器11の特性等に依存する。
図69(a)に示すように、表示画素群PG1のX方向−側端部の表示画素から、X方向−側端の光束L1とX方向+側端の光束L2との範囲内で複数の光束が出射され、傾斜駆動されていない第1結像ミラー411aにより反射されて空中像30AのX方向−側端を形成する位置に収束する。このとき、光束L1と光束L2とがなす角度φ30が表示器11の表示画素群PG1から出射される光束の視野角である。即ち、表示画素群PG1内の全ての表示画素から、視野角φ30で光束が出射される。表示画素群PG1のX方向+側端部の表示画素からも視野角φ30で光束が出射され、空中像30AのX方向+側端を形成する位置に収束する。これにより、結像領域301Aに空中像30Aが形成され、視認範囲R300にてユーザにより視認される。
なお、図69(b)に示すように、表示器11と光学系12GとのXY方向における位置関係や、表示画素群の表示器11上での位置によっては、出射した光束の全てが光学系12Gに入射しない。例えば、表示画素群PG2のX方向−側端部およびX方向+側端部から出射した複数の光束のうち、X方向−側に向かう光束の一部は光学系12Gに入射しない。これにより、光学系12Gが有する第1結像ミラー411により結像される光束の視野角は、表示画素群PG2から出射した光束の視野角よりも狭くなるので、結像領域301Aに形成される空中像30Aの視認範囲R301は図69(a)に示す視認範囲R300よりも狭くなる。
図70は、空中像30Bを結像領域301Bに形成させる場合を説明する。図70は、表示器11の表示画素群PG1に画像を表示して、光束を出射させる場合を模式的に示したものである。なお、図70では、図示の都合上、光学系12Gに配置された第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を省略しているが、複数の第1結像ミラー411のうち、駆動角度−θ1にて傾斜駆動された第1結像ミラー411により反射された光束により空中像30Bが形成される。
図71は、ユーザ位置U30にて、空中像30Aの視認範囲R301Aと空中像30Bの視認範囲R301Bとが重複しないように結像領域301Bが移動された場合を模式的に示す。なお、図69においても、図示の都合上、光学系12Gに配置された第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を省略している。また、図71では、第1結像ミラー411によって反射された複数の光束のうち、空中像30Aの形成に寄与する光束を実線で示し、空中像30Bの形成に寄与する光束を二点鎖線で示す。
制御部20は、図71(a)のように空中像30Bが形成される結像領域301Bを変位させることにより、ユーザ位置U30において、結像領域301Bの端部を形成する光束L3’が結像領域301Aの端部を形成する光束L2’と交差しないようにする。即ち、空中像30Bを形成させるための第1結像ミラー411の駆動角度を−θ1に対して補正を行うことにより、空中像30Bの結像領域301BをX方向−側に移動させる。この場合、駆動制御部21は、第1結像ミラー411の駆動角度を補正量+Δθ1で補正して−θ1+Δθ1にて傾斜駆動させる。なお、この補正量は、予め試験等を行った結果に基づいて算出された値として、記憶部9に記憶されている。
図71(a)に示すように結像領域301Bが位置する場合であっても、ユーザがユーザ位置U30よりも後方、即ちZ方向+側に移動した場合には、視認範囲R300とR301とが重複、即ち空中像30Aと30Bとの両方が視認できる位置が生じてしまう。この場合、図71(b)に示すように、結像領域301BのX方向+側端部を形成する光束L3’と、結像領域301AのX方向−側端部を形成する光束L2’とが互いに平行か、それ以上の開いた角度となるように、結像領域301Bの位置を移動させれば良い。図71(b)に示すようにする場合には、ユーザが仮にユーザ位置U30よりもZ方向+側に移動したとしても、空中像30Aと30Bとが同時に視認されることが無くなる。
なお、上記の例では、空中像30Aと30Bとが同時に視認されなくなるように、第1結像ミラー411bの傾斜角度を制御し、空中像30Aと30Bとの何れか一方を移動させた。しかし、反対に、第1結像ミラー411bの傾斜角度を制御し、ユーザ位置から空中像30Aと30Bとが同時に視認できるように制御してもよい。この場合、ユーザ位置において、たとえば図68(b)に示すような状態にて空中像30Aと30Bとが形成されるように、第1結像ミラー411bの傾斜角度を制御すればよい。すなわち、図71を参照して上述した場合とは異なり、結像領域301BのX方向+側端部を形成する光束L3’と、結像領域301AのX方向−側端部を形成する光束L2’とが、平行な状態よりも閉じた状態となるように、結像領域301Bの位置を移動させれば良い。
また、第1結像ミラー411は上記の駆動に限定されるものではなく、複数の第1結像ミラー列のそれぞれについて、第1結像ミラー列内に配置された複数の第1結像ミラー411の一部を駆動傾斜させず、残りの第1結像ミラー411を駆動角度−θ1で傾斜駆動させても良い。
また、第10の実施の形態の変形例5を、第10の実施の形態の変形例1〜4(図59〜図66参照)の何れに適用しても良い。
第10の実施の形態の変形例5では、空中の結像領域301Aに結像された空中像30Aを視認範囲R300からユーザが視認可能であり、視認範囲R300から視認できない位置である結像領域301Bに空中像30Bを結像させる。これにより、空中像30Aを視認するユーザの視界内に空中像30Bが入ることによる空中像30Aの視認性の低下を防止することができる。
(第10の実施の形態の変形例6)
第10の実施の形態の変形例6では、第1結像ミラー列ごとに第1結像ミラー411の駆動角度を異ならせて傾斜駆動させる。以下、詳細に説明する。
第10の実施の形態の変形例6は、第10の実施の形態の変形例3〜5と同様に、図19に示す第4の実施の形態の撮像装置5と、制御部20と、制御部20によって制御される表示器11と、第10の実施の形態の光学系12Gと、記憶部9とを備える。制御部20は、図46に示す第8の実施の形態の変形例3と同様に、駆動制御部21と画像生成部22と表示制御部23と検出部25と算出部27とを備える。なお、第10の実施の形態の変形例6においても、第10の実施の形態の変形例3〜5における表示装置1として適用可能な構成と同様の構成を適用することができる。
図72は、光学系12Gの第1光学部41のXY平面に平行な面での断面を模式的に示す図である。なお、図72では、第1結像ミラー411を省略し、第1光学部41を簡略化して示す。図72に示すように、第1光学部41の第1筐体410内には、複数の第1結像ミラー列490がY方向に並んで設けられる。
図72では、Y方向+側からY方向に沿って奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー列のそれぞれを符号490aで示し、偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー列のそれぞれを符号490bで示す。図72では、第1結像ミラー列490bに斜線を付与して第1結像ミラー列490aと区別して描く。
駆動制御部21は、ある時刻t1においては、奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490aに配置された複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させず、偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490bに配置された複数の第1結像ミラー411を駆動角度−θ1にて傾斜駆動させる。これにより、第1結像ミラー列490aに配置された第1結像ミラー411によって反射された光束が空中像30Aを形成すると同時に、第1結像ミラー列490bに配置された第1結像ミラー411によって反射された光束が空中像30Bを形成する。
ある時刻t1から所定の時間が経過した時刻t2においては、駆動制御部21は、奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490aに配置された複数の第1結像ミラー411を駆動角度−θ1で傾斜駆動させ、偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490bに配置された複数の第1結像ミラー411を傾斜駆動させない。これにより、第1結像ミラー列490aに配置された第1結像ミラー411によって反射された光束が空中像30Bを形成すると同時に、第1結像ミラー列490bに配置された第1結像ミラー411によって反射された光束が空中像30Aを形成する。
以後所定時間ごとに上述のようにして第1結像ミラー411の駆動を高速で切り替える。その結果、時刻t1で形成された空中像30Aおよび30Bと、時刻t2で形成された空中像30Aおよび30Bとによって、空中像30Aと30Bとがユーザに視認される。このように、空中像30Aは、時刻t1では奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490aによって形成され、時刻t2では偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490bによって形成される。他方、空中像30Bは、時刻t1では偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490bによって形成され、時刻t2では奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー列490aによって形成される。即ち、空中像30Aと空中像30Bとの両方が、共に同一の第1結像ミラー列490aと第1結像ミラー列490bとによって形成される。
なお、各第1結像ミラー列490ごとに第1結像ミラー411の駆動を異ならせるものとしたが、これに限定されず、複数の第1結像ミラー列490ごと、例えば2個や3個の第1結像ミラー列490ごとに第1結像ミラー411の駆動を異ならせても良い。また、第1筐体410のY方向+側(図72の紙面上部)の半分の領域に位置する複数の第1結像ミラー列490と残りの領域に位置する複数の第1結像ミラー列490との間で、第1結像ミラー411の駆動を異ならせても良い。
第10の実施の形態の変形例6では、表示器11から出射された光束を空中の空中像30Aを形成するための結像領域と、空中像30Bを形成するための結像領域とに結像する第1光学部41と、複数の第1結像ミラー411が配置される第1筐体410とを備える。これにより、複数のユーザが同時に空中像30Aと30Bとを視認することができる。
なお、第10の実施の形態の変形例6を、上述した第10の実施の形態の変形例1〜5(図59〜図71参照)の何れに適用しても良い。
また、ある時刻において、例えば、奇数番目に位置する複数の第1結像ミラー411で空中像30Aを形成し、偶数番目に位置する複数の第1結像ミラー411で空中像30Bを形成している。そのため、ある時刻において空中像30Aと30Bとが表示されているため、空中像30Aと30Bとを時間的な分解能を低減させることなく、表示することができる。
(第10の実施の形態の変形例7)
第10の実施の形態の変形例5(図68図68〜図71参照)では、結像領域を移動させることにより、同一のユーザに2つの空中像30Aと30Bとが視認されないようにするものであった。これに対して、第10の実施の形態の変形例7では、2つの空中像30Aと30Bとのうちの少なくとも一方の空中像30の視野角を狭くすることにより、同一のユーザに2つの空中像30Aと30Bとが視認されないようにする。以下、第10の実施の形態の変形例5と同一の構成を有する表示装置1において、例えば、空中像30Bの視野角を狭くする場合を例に挙げて説明を行う。
図69(b)にて説明したように、表示画素群から出射した光束の全てが光学系12Gに入射しない場合には、第1結像ミラー411により反射される光束の視野角は狭くなる。変形例7の表示装置1は、第1結像ミラー411を傾斜駆動させることにより、図69(b)に示すような状況を作り出す。即ち、結像領域301Bを形成する複数の光束のうち、結像領域301A側の端部近傍の光束が第1結像ミラー411によって反射されないようにする。この場合、例えば、第1結像ミラー411の駆動角度θ1を45°よりも大きくすることにより、表示画素群から出射された光束をZ方向+側に進行しないようにする。例えば、迷光等を抑制するために、θ1を45°〜90°の間に設定しても良い。
図73は、視野角を狭くする空中像30Bを形成する光束の視野角を狭くする場合の考え方を模式的に示す図である。なお、図73(a)、(b)においても、図示の都合上、光学系12Gに配置された第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を省略している。また、図73では、第1結像ミラー411によって反射された複数の光束のうち、空中像30Aの形成に寄与する光束を実線で示し、空中像30Bの形成に寄与する光束を二点鎖線で示す。図73(a)は、ユーザ位置U30にて視野範囲R300とR301とが重複する場合を示している。この状態から、視野範囲R301を狭くするためには、図73(b)に示すように、表示画素群PG1のX方向+側端部から出射した空中像30Bの形成に寄与する光束のうち第1結像ミラー411で反射された光束L3’が、空中像30Aの形成に寄与する光束L2’とユーザ位置U30で交わらないようにする。なお、図73(b)では、光束L2’とL3’とが略平行となった場合を描いている。しかし、ユーザ位置U30にて空中像30Aと30Bとが視認されないようにするには、必ずしも光束L2’とL3’とを略平行になるようにする必要はなく、ユーザ位置U30にて、光束L2’とL3’とが交わらなければ良い。即ち、光束L2’とL3’とが、ユーザ位置U30の位置よりも表示装置1から遠い位置(Z方向+側)にて交わればよい。
光束L2’とL3’とが略平行となるようにするには、領域R4に配置された第1結像ミラー411のうち駆動角度θ1で傾斜駆動させるべき第1結像ミラー411の駆動角度を、上述したように45°よりも大きくする。このため、領域R4の第1結像ミラー411によって、光束はZ方向+側に反射されず、空中像30Bの形成に寄与しない。即ち、結像領域301Bのうち、領域R4の第1結像ミラー411の駆動角度を結像領域301Bのうち、結像領域301A側の端部が移動して結像領域301Bの範囲が狭くなる。この結果、ユーザ位置U30における視認範囲R301も狭くなる。即ち、空中像30Aの視認範囲R300から視認されない位置に空中像30Bが形成される。
なお、第1結像ミラー411により反射されないようにする範囲R4、即ち視野角を狭める量については、ユーザ位置U30に基づいて決まる値であり、予め試験等により得られた結果に基づいて決定された値がデータとして記憶部9に記憶されている。
なお、第1結像ミラー411の駆動角度を45°よりも大きくして傾斜駆動させることにより視野角を狭くした場合、空中像30Bの輝度が低下する領域が発生する場合がある。この場合の例を図74に模式的に示す。図74は、範囲R4の第1結像ミラー411の駆動角度を45°よりも大きくして傾斜駆動することにより、表示画素群PG1のうち図の紙面右側(X方向+側)端部から出射された光束L3がZ方向+側に反射されないように制限した場合を示す。範囲R4の第1結像ミラー411により光束L3の反射が制限されない場合の反射光束L31を二点鎖線で示す。
表示画素群PG1のうち図の紙面左側(X方向−側)端部から角度φ30で出射された光束L1、L2は、範囲R4の第1結像ミラー411により反射が制限されることなく実像を形成し、ユーザ位置U30における視野範囲がR310となる。光束L3の反射が制限されない場合、表示画素群PG1のX方向+側端部から角度φ30にて出射した光束L3とL4は、第1結像ミラー411により反射され、反射光束L31とL41とはユーザ位置U30において視野範囲R311となるように実像が形成される。この場合、視野範囲R310とR311とは略等しい範囲となる。
これに対して、範囲R4の第1結像ミラー411により光束L3の反射が制限された場合、表示画素群PG1のX方向+側端部から出射した光束L3とL4は第1結像ミラー411により反射され、反射光束L32とL41とにより実像が形成される。この場合、図74に示すように、ユーザ位置U30における視野範囲はR311となり、反射が制限されていない場合の視野範囲R310よりも狭い範囲となる。この結果、X方向+側の輝度が、X方向−側の輝度と比較して低い空中像30、即ち輝度にムラがある空中像30がユーザ位置30のユーザによって観察されることになる。今回の例では、光束L4からの光を例に説明したが、その他の光束のうち、範囲R4を通過する光束についても、同様に輝度の低下が発生する。空中像30に輝度ムラが発生することを防ぐため、表示制御部23は、輝度の低下が発生する空中像30の領域に対応する画素に対して画像の輝度を増加させる制御を行う。これにより、空中像30の輝度低下を抑制し、空中像30の全体の輝度が略均一となるようにすることができる。
第10の実施の形態の変形例7では、領域R4に配置された第1結像ミラー411のうち駆動角度θ1で傾斜駆動させるべき第1結像ミラー411の駆動角度を、上述したように45°よりも大きくするので、結像領域301A側の端部が移動して結像領域301Bの範囲が狭くなる、即ちユーザ位置U30における視認範囲R301も狭くなり、空中像30Aと30Bとが同時に視認されることを防ぐことができる。
(第10の実施の形態の変形例8)
第10の実施の形態の変形例5や変形例7においては、図71や図73(b)を参照して説明したようにして、同一のユーザに2つの空中像30Aと空中像30Bとが視認されないように異なる2つの空中像30A、30Bを形成した。この場合には、1人のユーザが一方の空中像30Aのみを視認していると、空中像30Bが形成されていてもユーザは空中像30Bを視認することができないので、ユーザは他方の空中像30Bが形成されていることに気付かない場合がある。また、ユーザの立ち位置によっては、同様に2つの空中像30Aと空中像30Bとが視認されない場合があるため、ユーザは他方の空中像30Bが形成されていることに気付かない場合がある。第10の実施の形態の変形例8では、空中像30Aに空中像30Bが形成されていることを示す情報が付与されるようにする。
図75は、形成された空中像30Aと30Bとをユーザが視認する方向、即ちZ方向+側から見た状態を示す図である。上述したように、空中像30Aを視認するユーザには空中像30Bを視認することはできず、空中像30Bを視認するユーザには空中像30Aを視認することはできない。以後の説明では、空中像30Aを視認するユーザを対象として説明を行う。
図75(a)は、空中像30Aを視認するユーザに対して、空中像30Bも形成されていることを示すための指標が空中像30Aの一部の領域に形成された例を示す。図75(a)では、空中像30Aを視認するユーザの右側(X方向+側)に空中像30Bが形成されている。この場合、一例として空中像30AのX方向+側の一部の領域に、矢印390が指標として形成される。なお、図75(a)では、矢印390が空中像30Aの右下に形成されているが、右上であっても良いし、右側の中央部付近であっても良い。また、指標としては、矢印390に限定されず、「○」等の記号や、空中像30Bが形成された方向を指さす手のイラスト等であっても良い。このような空中像30Aを形成させる場合、画像生成部22は、空中像30Aを表す画像データ上に指標のデータを重畳させた画像を生成する。表示制御部23は、画像生成部22により生成された画像を表示器11に表示させて、表示画素から光束を出射させる。これにより、図75(a)に示すような空中像30Aが形成される。
なお、空中像30Aに指標を重畳するものに限定されない。図75(b)に示すように、空中像30Aの一部に、空中像30Bを縮小した縮小空中像391を重畳しも良い。図75(b)でも、空中像30Aを視認するユーザの右側(X方向+側)に空中像30Bが形成されていので、空中像30AのX方向+側の一部の領域に、縮小空中像391が形成される。なお、図75(b)では、縮小空中像391が空中像30Aの右下に形成されているが、位置は特に限定されることなく、右上であっても良いし、右側の中央部付近であっても良い。もちろん左側に配置されても良い。
画像生成部22は、空中像30Aを表す画像データ上に、空中像30Bを表す画像データを縮小したデータを重畳させた画像を生成する。表示制御部23は、画像生成部22により生成された画像を表示器11に表示させて、表示画素から光束を出射させる。これにより、図75(b)に示すような空中像30Aが形成される。
また、空中像30Aに指標や縮小空中像を重畳するものに限定されない。図75(c)に示すように、マップ392を重畳しても良い。マップ392は、現在形成されている空中像30の個数に対して、ユーザが視認している空中像30Aがどの位置に形成されているかを示す。図75(c)に示す例では、空中像30Aを示すマップ392aと空中像30Bを示すマップ392bとが左右方向(X方向)に隣接して、1つの全体のマップ392を構成する。マップ392のうち、マップ392aの表示態様をマップ392bと異ならせる、例えば色を異ならせたり、点滅させたりする(図75(c)では図示の都合上、斜線を付して示す)。これにより、ユーザは、自身が視認している空中像30Aの他にも空中像30が形成され、空中像30Aが他の空中像30に対してどの位置にどの程度の大きさで形成されているのかを認識することができる。この場合も、画像生成部22は、空中像30Aを表す画像データ上に、マップ392を示すデータを重畳させた画像を生成する。表示制御部23は、画像生成部22により生成された画像を表示器11に表示させて、表示画素から光束を出射させる。これにより、図75(c)に示すような空中像30Aが形成される。
なお、図75においては、空中像30Aに対する説明を主に行うことを目的として、指標や縮小空中像やマップが空中像30Aにのみ重畳された場合を示したが、空中像30Bにも同様に指標や縮小空中像やマップが重畳される。この場合も、画像生成部22は、空中像30Bに対応する画像データに指標や縮小空中像やマップのデータを重畳して画像を生成する。
なお、上述した説明では、空中像30Aと空中像30Bとが表示された場合を例に挙げたが、表示される空中像30は2個に限定されず、3個以上の空中像30が表示される場合にも適用することができる。この場合、表示される空中像30の個数と位置関係とに応じて、縮小空中像391の個数や位置を変更したり、マップ392の表示を変更すると良い。
第10の実施の形態の変形例8では、表示制御部23は、表示器11を制御して、空中像30Aを表す画像データ上に、空中像30Bが形成されることを示すデータを重畳して表示させるので、空中像30Aを視認するユーザは、自分の視界外に空中像30Bが形成されていることを認識することができ、利便性が向上する。
また、第10の実施の形態の変形例8では、表示制御部23は、表示器11を制御して、空中像30Aを表す画像データ上にマップ392を示すデータを重畳させた画像データを生成して、空中像30Aが他の空中像30に対してどの位置にどの程度の大きさで形成されているのかを示す表示を行うので、空中像30Aを視認するユーザは、自分の視界外に形成された空中像30と視認している空中像30Aとの間の位置関係等を把握することができる。
以上で説明した全ての実施の形態と全ての変形例においては、空中像30をXY平面に平行な面上を移動する場合を例に挙げて説明したが、Z方向に移動させても良い。
この場合、表示装置1は、結像光学系12や各光学系12A〜12GをZ方向に移動させることにより空中像30をZ方向に移動させる。図76は、この場合の表示装置1の構成の一例を示す図である。図76(a)は、表示装置1の分解斜視図であり、図76(b)は主要部構成を示すブロック図である。
位置変更部500は、例えばモーターまたはアクチュエータなどの駆動部を有し、結像光学系12を矢印で示すように結像光学系12の光軸方向に移動して、結像光学系12によって形成される空中像30の表示位置をZ方向に移動して変更する。空中像30を図76(a)の+Z方向、即ち表示器11から離れる方向に移動させるには、結像光学系12を−Z方向、即ち表示器11から離れる方向に移動させる。逆に空中像30を−Z方向、即ち表示器11に近づく方向に移動させるには、結像光学系12を+Z方向、即ち表示器11に近づく方向に移動させる。なお、位置変更部500は、結像光学系12を移動する代わりに、表示器11を結像光学系12の光軸方向に移動して、空中像30の表示位置を移動し変更することもできる。すなわち、位置変更部500は、結像光学系12と表示器11とを移動するような構成であってもよい。もちろん、位置変更部500は、結像光学系12のみを移動する構成であってもよいし、表示器11のみを移動させる構成であってもよい。
また、第3の実施の形態(図8参照)に記載の光学系13を表示器11と結像光学系12との間に備える場合には、位置変更部500によって、光学系13を移動してもよい。位置変更部500は、光学系13を移動することによって、空中像30の位置を変更してもよい。
なお、上記では、空中像30を図76(a)の+Z方向、即ち表示器11から離れる方向に移動させるには、結像光学系12を−Z方向、即ち表示器11から離れる方向に移動させる例で説明した。しかし、結像光学系12の構成によってはこの限りでなく、結像光学系12を−Z方向に移動し、空中像30を図76(a)の+Z方向、すなわち表示器11から離れる方向に移動させる場合もありえる。
なお、図76は、第1の実施の形態(図1〜図5参照)の表示装置1に、表示位置変更部500を設けた例を示したが、これに限定されず、第2〜第10の実施の形態とその変形例で示した各表示装置1に位置変更部500を設けても良い。
または、表示器11に国際公開公報2011/158911に記載の技術を適用させても良い。すなわち、表示器11が三次元の立体像を表示させる公知のライトフィールド表示が可能な構成を有し、表示器11に二次元表示用の画像を表示させることにより、空中の光軸方向に沿った異なる位置に空中像30を形成させることができる。図77にこの場合の表示器11と光学系12GとのZX平面における断面を模式的に示す。なお、図77においては光学系12Gの第1光学部41と第2光学部42とを簡略化して示す。
図示の通り、表示器11の表示面には、二次元状に配列された複数のマイクロレンズ110により構成されるマイクロレンズアレイ111が配置される。1つのマイクロレンズ110は、表示器11の複数の表示画素Pごとに設けられる。なお、図77(a)に示す例では、図示の都合上、5×5の表示画素Pに対して1個のマイクロレンズ110が設けられた例を示しているが、実際の表示画素Pの個数よりも少なく描いている。マイクロレンズアレイ111は、表示器11の表示面からマイクロレンズ110の焦点距離fだけZ方向+側に離れた位置に配置される。各マイクロレンズ110は、表示された画像に応じて表示画素Pからの光をZ方向の所定の像面に投影する。
なお、マイクロレンズ110に代えて、レンチキュラーレンズを配置しても良い。
この表示器11では、空中像30を構成する各光点LPが空中に形成されるためには、それぞれの光点LPを形成する光は、異なる複数のマイクロレンズ110のそれぞれに被覆される一部の表示画素Pから出射される。なお、光点LPは、表示器11とマイクロレンズ110とによって空中に表示された像であるため、空中像である。図77(a)に示す例では、斜線を付して示す表示画素Pから出射された光がマイクロレンズ110により投影されて光点LPを形成する。この場合、1つのマイクロレンズ110によって被覆される表示画素Pの個数(図77の例では5×5個)が異なる複数のマイクロレンズ110に分散して割り当てられる。この割り当て方に応じて、空中に形成される光点LPのZ方向に対する位置を異ならせることができる。空中像30は、このようにして形成された光点Pが光学系12Gによって結像されることにより形成される。以上により、空中像30のZ方向に対する位置は、表示器11に表示する画像を変更することによって変更される。
たとえば、第10の実施の形態の変形例4の例5の表示装置1に上記の表示方法を適用して、表示制御部23は、空中像30Cに対応する画像の割り当て方を、他の空中像30Aや30Bに対応する画像の割り当て方と異ならせる。すなわち、表示器11に表示される画像は、空中像30Cに対応する光点LPが形成されるZ方向での位置が、空中像30Aや30Cに対応する光点LPが形成される位置と異なるような画像が割り当てられる。この場合、空中像30を形成するZ方向の位置と、画像の割り当て方とがデータとして記憶部9に予め記憶される。そして、表示制御部23は、このデータを参照して医師A、Bと看護師Cとに対応する画像を複数の表示画素Pに割り当てる。なお、空中像30を形成するZ方向の位置は、上述したように撮像装置5により生成された撮像データに基づいて検出された医師A、Bと看護師Cの立ち位置に対応する位置である。
図77(b)に示すように、医師A、Bと看護師Cとに対応する画像のそれぞれからの光は、光点LPA、LPB、LPCを形成する。図77(b)に示すように、光点LPA、LPBとは表示器11からZ方向に沿って略同程度の距離だけ離れた位置に形成される。光点LPCは、光点LPA、LPBと比べて、Z方向に沿って表示器11に近い位置に形成される。これらの各光点LPA、LPB、LPCが光学系12Gによって空中像30A、30B、30Cを形成する。これにより、図77(b)に示すように、表示装置1からZ方向に最も離れた場所に位置する看護師Cに対して表示した空中像30Cが、空中像30Aや30BとはZ方向において異なる位置、即ち看護師Cの立ち位置の近傍に形成される。
なお、上記で説明した構成に加え、マイクロレンズ110と結像光学系12との間に、屈折型のレンズ、例えば凸レンズを備えても良い。または、マイクロレンズ110と表示器11との間に凸レンズを備えても良い。このように、凸レンズを備えることによって、マイクロレンズ110によって表示される光点LPのZ方向に対する位置を、マイクロレンズ110によって表示可能なZ方向に対する位置よりも離れた位置にすることができる。
なお、凸レンズの代わりに、凹レンズやフレネルレンズ等であってもよい。また、凸レンズの代わりに、液晶ホログラム等でもよい。また、凸レンズのような屈折型のレンズに代えて、回折型のレンズである回折格子やゾーンプレート等であってもよい。
以上で説明した全ての実施の形態と全ての変形例においては、表示装置1をテレビやパーソナルコンピュータのモニタ、携帯電話、タブレット端末、腕時計型端末等の携帯型情報端末装置、パーソナルコンピュータ、音楽プレイヤ、固定電話、ウエアラブル装置、デジタルサイネージ、現金自動預払機のパネル、自動券売機、各種の情報検索端末装置のパネル等の各電子機器に組み込む場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、表示装置1を各種のロボットに搭載しても良い。
図78に、一例として自走可能な人型のロボット1000に表示装置1を搭載した例を示す。図78(a)は、例えば各種の施設や自宅などの屋内や、公園や遊園地や観光地等の屋外に置かれ、空中像30の表示を行うことにより、ユーザに各種の情報を提供するロボット1000である。ロボット1000は、表示装置1と、撮像装置5と、右腕装置1001と、左腕装置1002と、自走装置1003とを有している。
なお、ここでのロボット1000の例は、人型のロボットで説明するが、それに限らない。ロボット1000は、犬や猫などの動物型のロボットでも良い。また、ロボット1000は、自走式の掃除機のような電子機器でも良い。
表示装置1は、ロボット1000の前面の上部、人間の腹部に相当する位置に配置される。表示装置1により、図78(a)の紙面に対して垂直方向手前側の空中に空中像30が形成される。なお、表示装置1が配置される位置は図78(a)に示す位置に限定されるものではなく、例えば人間の胸部に相当する位置や顔や目に相当する位置に配置されても良い。
撮像装置5は、ロボット1000の周囲を撮像して、撮像データを生成する。そのため、図78(a)に示す例では、ロボット1000の上端部近傍、人間の目に相当する位置に2個の撮像装置5を設けることにより、それぞれの撮像装置5の撮像範囲を繋ぎあわせて表示装置1の周囲を広範囲で撮像する。なお、2個の撮像装置5が設けられるものに限定されず、1個の撮像装置5であっても良いし、3個以上の撮像装置5であっても良い。撮像装置5として、図19〜22を用いて説明した第4の実施の形態の表示装置1に適用可能な撮像装置5を用いることができる。
右腕装置1001と、左腕装置1002とは、ロボット1000の上部の右側と左側、人間の右腕と左腕とに相当する位置に配置され、後述する主制御部1005(図78(b)参照)により種々の駆動が制御され、人間の腕の動きに類似した動作を行ってマニピュレータとして機能する。自走装置1003はロボット1000の下部、人間の下半身に相当する位置に配置される。自走装置1003は、モータおよび駆動機構を備え、ロボット1000の下端に配置される車輪1004を駆動することにより、ロボット1000を前後左右に移動する。自走装置1003は、後述する主制御部1005(図78(b)参照)による制御に従って車輪1004を駆動する。
図78(b)は、ロボット1000の構成のうち、主制御部1005と、記憶部1006と、主制御部1005によって制御される表示装置1と、撮像装置5と、右腕装置1001と、左腕装置1002と、自走装置1003とを示したブロック図である。主制御部1005は、CPU、ROM、RAMなどを有し、制御プログラムに基づいてロボット1000の種々の構成要素を制御したり、各種のデータ処理を実行したりする演算回路を含む。記憶部1006は、例えば不揮発性の記憶媒体であり、主制御部1005が各種の処理を実行するためのプログラムや、主制御部1005が各種の処理を実行するためのデータ等が記憶される。
主制御部1005は、画像解析部1007と表示装置制御部1008とを備える。画像解析部1007は、撮像装置5により撮像された撮像データを解析して、ロボット1000の近傍でロボット1000に視線を向けているユーザを検出する。主制御部1005は、画像解析部1007により解析されたユーザの近傍にロボット1000が近づくように自走装置1003の駆動を制御しても良い。この場合、例えば、主制御部1005は、表示装置1により形成される空中像30とユーザとの間の距離が、第10の実施の形態の変形例6にて説明したユーザ位置となるようにロボット1000を移動させるように自走装置1003の駆動量を算出する。
表示装置制御部1008は、表示装置1の制御部20に信号を出力して、表示装置1の動作の開始または終了を指示する。表示装置1は、表示装置制御部1008からの動作開始を指示する信号を入力すると、表示器11に画像を表示して空中像30を形成し、ユーザに空中像30を視認させる。表示装置1が、第4の実施の形態や、第6の実施の形態の変形例5や、第8の実施の形態の変形例3や、第10の実施の形態の変形例4の構成を有する場合には、ロボット1000に配置された表示装置1を観察するユーザの位置や視線方向に基づいた位置に空中像30が形成される。また、表示装置1が、第4の実施の形態の変形例1や、第6の実施の形態の変形例6や、第10の実施の形態の変形例5の例2の構成を有する場合には、ユーザが行うジェスチャーに応じて空中像30の位置が移動する。
なお、表示装置1が上記の例以外の構成を有する場合、即ちユーザの位置に基づいて空中像30を形成したり、ジェスチャーに応じて空中像30の位置を移動させたりするものではない場合には、ユーザが空中像30を視認しやすくなるような位置関係となるように、主制御部1005はロボット1000を移動させても良い。この場合も、主制御部1005は、画像解析部1007により解析されたユーザと表示装置1との位置と、空中像30が形成される位置との関係に基づいて、自走装置1003の駆動量を算出すれば良い。
また、表示装置制御部1008が表示装置1の制御部20の機能を有していても良い。この場合、表示装置1は、表示器11と、結像光学系12または光学部12A〜12Gの何れかとを有する構成とすることができる。
なお、表示装置1を自走式ロボットに組み込む場合には、上記のような人型のロボット1000に組み込むものに限定されない。右腕装置1001や左腕装置1002のようなマニピュレータを備えていない、例えば、図78(c)に示すような自走式のロボット1010に表示装置1を組み込んでも良い。図78(c)のロボット1010は、筐体1011の下部に設けられた自走装置1003により移動可能に構成される。表示装置1は、筐体1011の上面に設けられ、筐体1011の上部に向けて空中像30を形成する。この場合も、図78(a)、(b)のロボット1000に組み込まれた表示装置1と同様にして、空中像30をユーザ位置やユーザの視線方向に空中像30を形成したり、ユーザのジェスチャーに基づいて空中像30の位置を移動することができる。
なお、上記のロボット1000やロボット1010は、検出したユーザの位置に基づいて、空中像30の形成位置を移動した場合であっても、ユーザの立ち位置や視認可能な位置に空中像30を形成させることができない場合には、ロボット1000や1010が移動しても良い。即ち、ユーザが空中像30を視認しやすくなるような位置関係となるように、主制御部1005はロボット1000や1010を移動させても良い。空中像30を形成させることができない位置とは、図78(a)に示すロボット1000においては、例えば図の紙面左右方向において空中像30を移動可能な位置よりも離れた位置や、ロボット1000の背後、即ち図の紙面奥の位置である。
なお、視認可能な位置であるか否かについては、上述の実施の形態や変形例で説明したように(例えば第10の実施の形態の変形例5、図68など)表示される空中像30の視野角内にユーザが位置するか否かで決定してもよい。すなわち、ユーザが空中像30の視野角内に位置しない場合には、視認可能な位置ではないと、主制御部1005が判定してもよい。
なお、視認可能であるか否かの判定については、主制御部1005は、空中像30の一部でも視認できない場合に視認可能と判定しても良い。また、視認可能であるか否かの判定について、主制御部1005は、空中像30の半分以上が視認できない場合に、視認可能ではないと判定してもよい(この場合、空中像30の半分以上が視認できる場合には、視認可能であると主制御部1005を判定する)。ここでは、空中像30が視認できない範囲が半分以上の場合を例に説明したが、この例に限られず、4割でも6割でも7割でもよい。適宜状況に応じて設計すればよい。
図79のフローチャートを参照して、変形例におけるロボット1000の動作について説明する。図79に示す処理は、主制御部1005でプログラムを実行して行われる。このプログラムは記憶部1006に記憶されており、主制御部1005により起動され、実行される。
ステップS190では、撮像装置5に撮像データを生成させてステップS191へ進む。ステップS191では、主制御部1005の画像解析部1007は、生成された撮像データ上から表示装置1を観察するユーザの有無を検出する処理を行って、ステップS192へ進む。
ステップS192では、画像解析部1007は、撮像データ上で検出されたユーザの位置からユーザとロボット1000との間の距離を算出し、検出されたユーザの位置と、算出された距離とから、ユーザが空中像30を視認可能な位置にいるか否かを判定する。ユーザが空中像30を視認可能な位置にいる場合は、ステップS192が肯定判定されてステップS195へ進む。ユーザが空中像30を視認可能な位置にいない場合には、ステップS192が否定判定されてステップS193へ進む。
ステップS193では、ユーザの位置と距離とに基づいて、主制御部1005は、自走装置1003の駆動量を算出してステップS194へ進む。この場合、主制御部1005は、空中像30が形成可能な範囲の限界付近の位置に形成された場合にユーザによってこの空中像30が視認できるような位置までロボット1000が移動するように駆動量を算出しても良い。また、主制御部1005は、ユーザの略正面に表示装置1が位置するようにロボット1000を移動させるように駆動量を算出しても良い。
ステップS194では、ステップS193により算出した駆動量にて自走装置1003を駆動させて、ロボット1000を移動させてステップS195へ進む。ステップS195では、ユーザの位置と距離とに基づいて空中像30を形成する位置を決定し、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421、または第1結像ミラー411および第2結像ミラー421の駆動角度を算出してステップS196へ進む。
ステップS196では、表示装置制御部1008は、表示装置1の第1駆動部412または第2駆動部422、または第1駆動部412および第2駆動部422を介して、第1結像ミラー411または第2結像ミラー421、または第1結像ミラー411および第2結像ミラー421を傾斜駆動させる。表示装置制御部1008は、表示器11に画像の表示を行わせる。これにより、ユーザに視認可能な位置に空中像30を表示させる。ステップS197では、空中像30の形成を終了するか否かを判定する。空中像30の形成を終了する場合には、ステップS197が肯定判定されて処理を終了する。空中像30の形成を終了しない、即ちユーザが空中像30の視認を続ける場合には、ステップS197が否定判定されてステップS190へ戻る。
上記の構成により、自走可能なロボット1000や1010に表示装置1を組み込んだ場合であっても、ユーザが視認しやすい位置に空中像30を形成させることができる。
以上で説明した全ての実施の形態と全ての変形例の表示装置1が空中像を生成する方法として、レーザ光を空中に集光して空気を構成する分子をプラズマ化して空中で光を発光させ、空中に像を形成するものであってもよい。この場合、レーザ光の集光位置を3次元空間中に自由に制御することで空中に実像として3次元画像が生成される。また、空中像を生成する方法として、プロジェクタ機能に加えて空気中に霧を発生させる機能を有する表示装置を用い、空気中に霧を発生させたてスクリーンを形成し、この霧によるスクリーンに画像を投影する(フォグディスプレイ)ことで、空中に像を生成してもよい。
表示装置1が空中像30の位置を移動させるために実行する各種処理のためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、このプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて、キャリブレーションを実行してもよい。なお、ここで言う「コンピュータシステム」とは、OS(OperatingSystem)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
なお、上記「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用したホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含む。また、上記「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに上記「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(DynamicRandom AccessMemory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
上記「プログラム」は、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
1…表示装置、
5…撮像装置、
9…記憶部、
11…表示器、
12…結像光学系、
12A、12B、12C、12D、12E、12F、12G…光学系、
14、14B…補助光学部材、
14A、14C…部分光学部材
20…制御部、
21…駆動制御部、
22…画像生成部、
23…表示制御部、
24…電圧制御部、
25…検出部、
26…決定部、
27…算出部、
41…第1光学部、
42…第2光学部、
151…上部電極、
152…下部電極、
153…共通電極、
154…電極、
411…第1結像ミラー、
412…第1駆動部、
421…第2結像ミラー、
422…第2駆動部、
451、461、471…移動ミラー
1210…部分反射部、
1213、1223、1253…駆動部、
1212…部分反射ミラー、
1220…再帰性反射部、
1230…PBS部、
1232…PBS、
1250…シャッター部、
1252…シャッター、

Claims (34)

  1. 表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像する結像光学部と、
    前記複数の光学素子が配置される筐体とを備える結像光学系。
  2. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記複数の光学素子を駆動し、前記第1結像領域と前記第2結像領域とに前記表示から出射された光を結像する駆動部を備える結像光学系。
  3. 請求項2に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部は、前記複数の光学素子を駆動し、前記複数の光学素子の前記筐体に対する角度を変更し、
    前記結像光学部は、前記複数の光学素子の前記筐体に対する角度が第1角度の場合、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域に結像させ、前記複数の光学素子の前記筐体に対する角度が第2角度の場合、前記表示から出射された光を空中の第2結像領域に結像させる結像光学系。
  4. 請求項2または請求項3に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部は、前記表示から出射された光を前記第1結像領域に結像させる場合または、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる場合、前記複数の光学素子に含まれる第1光学素子と第2光学素子とを前記筐体に対して同じ方向に傾ける結像光学系。
  5. 請求項2から請求項4の少なくとも一項に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部は、前記表示から出射された光を前記第1結像領域に結像させる場合または、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる場合、前記複数の光学素子に含まれる第1光学素子と第2光学素子とを前記筐体に対して異なる角度に駆動する結像光学系。
  6. 請求項2に記載の結像光学系であって、
    前記表示から出射された光の光路を補正し、前記表示から出射された光を前記第1結像領域または前記第2結像領域に結像させる補正部をさらに備える結像光学系。
  7. 請求項6に記載の結像光学系であって、
    前記補正部は、前記第1結像領域に結像させる場合と、前記第2結像領域に結像させる場合とで、補正量を異ならせる結像光学系。
  8. 請求項5に記載の結像光学系であって、
    前記表示から出射された光の光路を補正し、前記表示から出射された光を前記第1結像領域または前記第2結像領域に結像させる補正部と、
    所定の条件に基づいて、前記補正部による補正を行うか否かを決定する制御部とをさらに備える結像光学系。
  9. 請求項8に記載の結像光学系であって、
    前記制御部は、環境の明るさまたは、前記表示に表示される画像に基づいて、前記補正部による補正を行うか否かを決定する結像光学系。
  10. 請求項8または請求項9に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部は、前記補正部による補正を行う場合、前記表示から出射された光を前記第1結像領域に結像させる場合または、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる場合、前記複数の光学素子に含まれる第1光学素子と第2光学素子とを前記筐体に対して同じ角度に駆動する結像光学系。
  11. 請求項1から請求項10の少なくとも一項に記載の結像光学系であって、
    記表示から出射された光を前記第1結像領域に結像させる場合と、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる場合とで、前記表示を制御する制御部をさらに備える結像光学系。
  12. 請求項11に記載の結像光学系であって、
    前記制御部は、前記第1結像領域に結像させる場合と、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる場合とで、前記表示に表示させる画像を変える結像光学系。
  13. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記結像光学部は、前記複数の光学素子のうち第1角度で前記筐体に配置され、前記表示から出射された光を前記第1結像領域に結像させる第1光学素子と、前記複数の光学素子のうち第2角度で前記筐体に配置され、前記表示から出射された光を前記第2結像領域に結像させる第2光学素子とを含む結像光学系。
  14. 請求項13に記載の結像光学系であって、
    前記複数の光学素子は、複数の前記第1光学素子と複数の前記第2光学素子とを有し、
    複数の前記第2光学素子は、複数の前記第1光学素子よりも数が多い結像光学系。
  15. 請求項13に記載の結像光学系であって、
    前記表示から出射された光または、前記結像光学部から出射された光の光路を補正し、前記表示から出射された光を前記第1結像領域または前記第2結像領域に結像させる補正部をさらに備え、
    前記補正部は、前記第1光学素子に入射する光と前記第2光学素子に入射する光とで補正量を異ならせる結像光学系。
  16. 請求項13に記載の結像光学系であって、
    前記複数の光学素子を駆動し、前記第1光学素子を第1角度に駆動し、前記第2光学素子を第2角度に駆動する駆動部をさらに備える結像光学系。
  17. 請求項2から請求項12または請求項16の少なくとも一項に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部は、取得した情報に基づいて、前記第1結像領域と前記第2結像領域との結像を開始する結像光学系。
  18. 請求項17に記載の結像光学系であって、
    前記情報は、前記表示を視認する複数のユーザを検出したことを示す情報、または前記表示を視認するユーザによる所定の動きを検出したことを示す情報である結像光学系。
  19. 請求項17に記載の結像光学系であって、
    前記表示を視認するユーザを検出する検出部をさらに備える結像光学系。
  20. 請求項17に記載の結像光学系であって、
    前記情報は、前記表示に表示される画像に関する情報である結像光学系。
  21. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記結像光学部は、空中の前記第1結像領域に結像された前記表示を第1位置からユーザが視認可能であり、前記第2結像領域を前記第1位置から視認することができない位置に結像させる結像光学系。
  22. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記表示を制御し、前記第1結像領域に、前記第2結像領域を示す表示を行う制御部をさらに備える結像光学系。
  23. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記表示を制御し、前記第1結像領域の大きさを示す表示を行う制御部をさらに備える結像光学系。
  24. 請求項2または請求項13に記載の結像光学系であって、
    前記駆動部を制御する制御部をさらに備える結像光学系。
  25. 請求項24に記載の結像光学系であって、
    ユーザを検出する検出部をさらに備え、
    前記制御部は、前記検出部による前記ユーザの検出に基づいて、前記駆動部を制御する結像光学系。
  26. 請求項1に記載の結像光学系であって、
    前記第1結像領域または前記第2結像領域に対するユーザの操作を検出する検出部と、
    前記検出部による検出に基づいて、前記表示を制御する制御部とを備える結像光学系。
  27. 請求項6に記載の結像光学系であって、
    前記補正部の屈折率分布を制御する制御部をさらに備える結像光学系。
  28. 請求項1から請求項27の少なくとも一項に記載の結像光学系と、
    前記表示を行う表示部とを備える表示装置。
  29. 請求項1から請求項27の少なくとも一項に記載の結像光学系を備える電子機器。
  30. 表示から出射された光を空中に表示する表示方法であって、
    複数の光学素子によって前記表示から出射された光を反射し、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像する表示方法。
  31. 表示から出射された光を反射する複数の光学素子の駆動を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記複数の光学素子を駆動し、前記表示から出射された光を空中の第1結像領域と第2結像領域とに結像させる処理をコンピュータに実行させるプログラム。
  32. 表示から出射された光を複数の光学素子で反射し空中に結像する光学系であって、
    前記複数の光学素子のうち第1角度で配置され、前記表示から出射された光を第1位置に結像させる第1光学素子と、
    前記複数の光学素子のうち第2角度で配置され、前記表示から出射された光を第2位置に結像させる第2光学素子とを備える光学系。
  33. 表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の結像領域に結像する結像光学部と、
    前記複数の光学素子を駆動し、第1結像領域と第2結像領域とに前記表示から出射された光を結像させる駆動部とを備える結像光学系。
  34. 表示から出射された光を反射する複数の光学素子で構成され、前記表示から出射された光を空中の第1領域と第2領域とに表示する光学部と、
    前記複数の光学素子が配置される筐体をとを備える光学系。
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