JP2017155715A - ロケットモータのインシュレータとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレインが変形しても、推進薬グレインの着火時にブーツ隙間に燃焼ガスを正常に導入することができるロケットモータのインシュレータとその製造方法を提供する。【解決手段】インシュレータ10は、モータケースの内面端部に貼着された端部セグメント14と、端部セグメント14の内側にブーツ隙間Gを隔てて一体的に形成されたリリーフブーツ16とを有する。ブーツ隙間Gは、推進薬グレイン2の燃焼ガスと連通する内方開口端G0を有する。さらに、ブーツ隙間Gにおいて端部セグメント14に接着され、ブーツ隙間Gより小さい軸方向厚さを有し、かつ内方開口端G0とブーツ隙間Gを連通するガス流路20を構成する流路保持部18を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、モータケースの内面に貼着され、その内側に推進薬が充填されるロケットモータのインシュレータとその製造方法に関する。
固体推進薬ロケット(以下、「ロケットモータ」と呼ぶ)は、推進薬グレイン、点火装置、モータケース、排気ノズルなどで構成される。推進薬グレインとは、モータケースの内部に成型された推進薬の塊を意味する。
モータケースの内面には、ゴム状のインシュレータがライニングされる。インシュレータは、推進薬グレインとケースの接着を良くし、かつモータケースに対する断熱材として機能する。
モータケースに推進薬グレインを充填する手段は、推進薬をモータケースに直接充填する直接充填法と、推進薬グレインをモータケースと別に成型し、後で充填するカートリッジ充填法とに大別される。
直接充填法の場合、薄いゴムを積層してインシュレータ全体を形成し、インシュレータの端部を外側の厚肉部と内側の薄肉部に区分し、その間に離型フィルムを挟持する。次いで、インシュレータ全体を加圧及び加熱により一体化し、離型フィルムを挟持した界面に接着されていない分離層を形成する。
以下、外側の厚肉部を「端部セグメント」、内側の薄肉部を「リリーフブーツ」と呼ぶ。
直接充填法により、モータケースに推進薬を充填する際に、モータケース全体を所定の真空下におき、上方からスラリ状の推進薬材料を流し込んで推進薬を成型する。
この際、スラリ状の推進薬の硬化に伴って推進薬が収縮し、推進薬の粘着力で接着した内側のリリーフブーツは、推進薬の収縮に追従して内側に変位する。これにより、硬化した推進薬グレイン内に発生する引張応力が軽減され、き裂等の発生が抑制される。
上述した「リリーフブーツ」は、例えば特許文献1,2に開示されている。
特許第2687808号公報 特開平8−158941号公報
上述したように、リリーフブーツは、推進薬の収縮に追従して内側に変位する。そのため、リリーフブーツは、硬化した推進薬グレインの端面に接着しており、モータケースの内面に貼着された端部セグメントとの間に、モータケースと同軸状の隙間(以下、「ブーツ隙間」と呼ぶ)が形成される。
このブーツ隙間に、推進薬着火時の燃焼ガスが導入され、燃焼ガスの圧力がリリーフブーツを介して推進薬グレインの端面に作用することで、推進薬グレインの内部に発生する応力や推進薬グレインの変形を低減するようになっている。
また、燃焼ガスの圧力がリリーフブーツを介して推進薬グレインの端面に作用することを前提として、推進薬グレインの内面形状と推進薬の燃焼パターン(内圧や推力の変化)が設計されている。
一方、推進薬グレインは、ゴム状の物質であり、モータケースよりも変形しやすい。そのため、従来のリリーフブーツは、長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレインが一端側(排気ノズル側)に変形し、リリーフブーツと端部セグメントが密着してしまう場合がある。
リリーフブーツと端部セグメントが密着すると、ブーツ隙間が実質的になくなり、使用時にブーツ隙間に燃焼ガスを正常に導入できず、推進薬グレインの内部応力や変形が過大となるおそれがある。
その結果、推進薬グレインのき裂や、燃焼パターンの設計からのかい離が生じる。
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレインが変形しても、推進薬グレインの着火時にブーツ隙間に燃焼ガスを正常に導入することができるロケットモータのインシュレータとその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、モータケースの内面に貼着され、その内側に推進薬グレインが充填されるロケットモータのインシュレータであって、
前記インシュレータは、前記モータケースの内面端部に貼着された端部セグメントと、
前記端部セグメントの内側にブーツ隙間を隔てて一体的に形成されたリリーフブーツと、を有し、
前記ブーツ隙間は、前記推進薬グレインの燃焼ガスと連通する内方開口端を有しており、
さらに、前記ブーツ隙間において前記端部セグメントに接着され、前記ブーツ隙間より小さい軸方向厚さを有し、かつ前記内方開口端と前記ブーツ隙間を連通するガス流路を構成する流路保持部を有する、ロケットモータのインシュレータが提供される。
前記流路保持部は、前記内方開口端の近傍において前記ブーツ隙間に面する前記端部セグメントに周方向に間隔を隔てて接着された複数のスペーサである。
前記流路保持部は、前記内方開口端の近傍において前記ブーツ隙間に面する前記端部セグメントに接着され、周方向において軸方向の厚さが周期的に変化する一体のリング状部材である。
前記流路保持部は、前記端部セグメントに一体的に形成された凹凸部である。
また、本発明によれば、上述したインシュレータの製造方法であって、
(A)前記モータケースの内面又は製造治具の外面にエラストマーを積層し、かつ前記端部セグメントと前記リリーフブーツの間に離型フィルムを挟持して、インシュレータ本体、前記端部セグメント及び前記リリーフブーツを形成し、
(B)前記インシュレータ本体、前記端部セグメント及び前記リリーフブーツを加圧及び加熱により一体化して、前記離型フィルムの位置に、分離層を形成し、
(C)前記モータケース又はインシュレータ本体の軸心を鉛直に保持し、前記モータケース又は前記インシュレータ本体にスラリ状の推進薬を充填し、
これにより、推進薬の硬化時に、その収縮により前記端部セグメントと前記リリーフブーツの間に、前記分離層で分離した前記ブーツ隙間を形成し、
(D)前記推進薬の硬化後に、前記ブーツ隙間に前記流路保持部を挿入して前記端部セグメントに接着し、前記内方開口端と前記ブーツ隙間を連通するガス流路を構成する、インシュレータの製造方法が提供される。
本発明によれば、ブーツ隙間において端部セグメントに接着され、ブーツ隙間より小さい軸方向厚さを有し、かつ内方開口端とブーツ隙間を連通するガス流路を構成する流路保持部を有する。
従って、長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレインがブーツ隙間側に変形しても、流路保持部の軸方向厚さにより、端部セグメントとリリーフブーツとの密着を防止できる。また、推進薬グレインの着火時に、ガス流路を通して内方開口端からブーツ隙間に燃焼ガスを導入することができる。
これにより、推進薬グレインの着火時にその内部応力や変形を適正範囲に抑えて、推進薬グレインのき裂を防止し、かつ燃焼パターンの設計からのかい離を防止して、燃焼パターンの予測精度とロケットモータの信頼性を高めることができる。
本発明によるインシュレータを有するロケットモータの断面図である。 本発明のインシュレータの第1実施形態図である。 図2のA部説明図である。 図2のA部拡大図であり、(A)は推進薬の硬化直後、(B)は縦置き又は加速度による変形後、(C)は変形後の従来例を示している。 推進薬グレインの形状変化を示すシュミュレーション結果である。 本発明のインシュレータの第2実施形態図である。 図6(A)のA部拡大図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明によるインシュレータ10を有するロケットモータ1の断面図である。
この図において、ロケットモータ1は、その軸心Z−Zを中心とする回転体であり、推進薬グレイン2、点火装置(図示せず)、モータケース3、及び排気ノズル4を有する。
推進薬グレイン2は、モータケース3の内部に成型された推進薬の塊である。推進薬は、例えば、コンポジット推進薬、ダブルベース推進薬、又はコンポジットモディファイドダブルベース推進薬である。
モータケース3及び排気ノズル4は、金属製又はコンポジット材料製(CFRP又はFRP)である。
図1において、推進薬グレイン2は、モータケース3の内部に密に充填されており、中空円筒形のキャビティ5と、燃焼パターン調整用のスロット部6とを有する。
スロット部6は、例えば放射状の星形、又は円形である。
上述した推進薬グレイン2の構成により、キャビティ5とスロット部6が連通する空間がロケットモータ1の燃焼室7となる。
すなわち、推進薬グレイン2の内面に点火することにより、燃焼室7に面するキャビティ5とスロット部6の内面から推進薬が燃焼を開始し、徐々に外側及び軸方向に燃焼面が変化する。
従って、この燃焼面の変化とその速度に基づき、推進薬の燃焼パターン(内圧や推力の変化)を予め設定することができる。
なお、本発明は上述した推進薬グレイン2の構成に限定されず、その他の構成であってもよい。
図2は、本発明のインシュレータ10の第1実施形態図である。この図は、図1の軸心Z−Zより上側の半断面図であり、モータケース3及び排気ノズル4の図示を省略している。
この図において、インシュレータ10は、モータケース3の内面に貼着され、その内側に推進薬グレイン2が充填されている。インシュレータ10は、耐浸食性のあるエラストマー(例えば、ネオプレンゴム、ブチルゴム、など)であり、モータケース3の内面に薄いエラストマーを積層し加圧して形成される。
図2において、インシュレータ10は、一体的に形成されたインシュレータ本体12、端部セグメント14、及びリリーフブーツ16を有する。
インシュレータ本体12は、モータケース3の内面に貼着されたインシュレータ10の主要部分であり、端部セグメント14よりもこの図で先端側(連結部13より左側)に位置する。インシュレータ本体12は、内側に位置する推進薬グレイン2の燃焼が、推進薬の燃焼パターンの中間から後半であるので、高温の燃焼ガスに露出する時間が相対的に短い。そのため、インシュレータ本体12の厚さは、相対的に薄く、例えば3〜8mmになっている。
端部セグメント14とリリーフブーツ16は、軸方向において、モータケース3の内面端部(この図で連結部13より右側)の同一位置に位置する。
端部セグメント14は、モータケース3の内面に貼着されたインシュレータ10の一部である。端部セグメント14は、推進薬の着火直後から燃焼ガスに曝されるので、燃焼ガスに露出する時間が相対的に長い。そのため、端部セグメント14の厚さは、相対的に厚く、例えば10〜12mmになっている。
リリーフブーツ16は、端部セグメント14の内側に分離層で分離した隙間(以下、「ブーツ隙間G」と呼ぶ)を隔てており、連結部13においてインシュレータ本体12及び端部セグメント14と一体的に形成されている。
リリーフブーツ16は、モータケースの断熱材としては機能しないため最小限の板厚に設定している。そのため、リリーフブーツ16の厚さは、相対的に薄く、例えば1〜2mmになっている。
図3は、図2のA部説明図である。この図において、(A)はA部拡大図、(B)は(A)のB−B矢視図である。
図3(A)において、ブーツ隙間Gは、推進薬グレイン2の燃焼ガスと連通する内方開口端G0を有する。内方開口端G0は、この例では、ブーツ隙間Gの内方端であり、一定の隙間を有する。この隙間の大きさは、スラリ状の推進薬が硬化する際に形成され、例えば1〜2mmである。
また、この例でブーツ隙間Gの大きさは、連結部13から徐々に広くなっている。
図3(A)において、本発明のインシュレータ10は、さらに、流路保持部18を有する。
流路保持部18は、ブーツ隙間Gにおいて端部セグメント14に接着され、ブーツ隙間Gより小さい軸方向厚さを有し、かつ内方開口端G0とブーツ隙間Gを連通するガス流路20(図3(B)参照)を構成する。
この構成により、端部セグメント14とリリーフブーツ16との密着を防ぎ、かつ推進薬グレイン2の着火時に、ガス流路20を通して内方開口端G0からブーツ隙間Gに燃焼ガスを導入することができる。
図3(B)において、流路保持部18は、端部セグメント14とリリーフブーツ16の間に位置し、ブーツ隙間Gの内方開口端G0の近傍においてブーツ隙間Gに面する端部セグメント14に周方向に間隔を隔てて接着された複数のスペーサ19である。
この複数のスペーサ19の周方向の隙間(間隔)が破線の矢印で示すように燃焼ガスが流れるガス流路20となる。
スペーサ19は、推進薬が硬化した後、ブーツ隙間Gに挿入できる限りで、ブーツ隙間Gに近い厚さであるのがよい。また、着火後のガス圧でブーツ隙間Gが自由に開くように、スペーサ19とリリーフブーツ16の間には接着剤を塗布せず、その間に隙間があるのがよい。
スペーサ19の材質は、端部セグメント14と同じ耐浸食性のあるエラストマーであることが好ましいが、他の材質であってもよい。
スペーサ19の半径方向長さは、内方開口端G0から球面隙間G2までのガス流路20を確保するように、ブーツ隙間Gの半径方向長さに相当することが好ましいが、その1/3〜1/2であってもよい。
また、スペーサ19は周方向に等間隔に8〜16を設け、かつ長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレイン2がブーツ隙間側に変形しても、隣接するスペーサ19の間にガス流路20を構成するように設定するのがよい。
図3(B)において、斜線で示すスペーサ19の表面が、推進薬グレイン2がブーツ隙間側に変形した際に、リリーフブーツ16に接触して推進薬グレイン2を支持する。従って、スペーサ19に作用する面圧に耐えるように、スペーサ19の表面面積を設定するのがよい。
また、スペーサ19の形状は矩形に限定されず、台形、三角形、円形、楕円形、その他であってもよい。
なお、流路保持部18は、上述した例に限定されず、端部セグメント14とリリーフブーツ16との密着を防ぎ、かつ推進薬グレイン2の着火時に、ガス流路を通して内方開口端G0からブーツ隙間Gに燃焼ガスを導入できる限りで、その他の構成であってもよい。
図3(C)は、図3(A)のB−B矢視図の変形例である。
この図に示すように、流路保持部18は、内方開口端G0の近傍においてブーツ隙間Gに面する端部セグメント14に接着され、周方向において軸方向の厚さが周期的に変化する一体のリング状部材21であってもよい。
リング状部材21は、この例では厚肉部分21aと薄肉部分21bとを有し、薄肉部分21bの凹みが破線の矢印で示すように燃焼ガスが流れるガス流路20となる。
図3(C)において、斜線で示す厚肉部分21aの表面が、推進薬グレイン2がブーツ隙間側に変形した際に、リリーフブーツ16に接触して推進薬グレイン2を支持する。従って、厚肉部分21aに作用する面圧に耐えるように、厚肉部分21aの面積を設定するのがよい。
また、厚肉部分21aの形状は矩形に限定されず、台形、三角形、円形、楕円形、その他であってもよい。
また、流路保持部18は、端部セグメント14に一体的に形成された凹凸部(図示せず)であってもよい。
図4は、図2のA部拡大図であり、(A)は推進薬の硬化直後、(B)は縦置き又は加速度による変形後、(C)は変形後の従来例を示している。
図4(A)に示すように、推進薬の硬化直後には、端部セグメント14とリリーフブーツ16の間に、ブーツ隙間Gが形成されている。また推進薬グレイン2は硬質ゴムに相当する硬さを有しているので、ブーツ隙間G(例えば1〜2mm)はほぼ一定に保持されている。
本発明では、ブーツ隙間Gに上述した流路保持部18を挿入し、端部セグメント14に接着する。流路保持部18の挿入と接着は、図4(A)の硬化後に実施することが好ましいが、硬化前であってもよい。
この流路保持部18の存在により、長期保存又は打上げ時の加速度により推進薬グレイン2が変形しても、図4(B)に示すように、ブーツ隙間Gを維持することができる。
一方、従来例では、図4(A)の硬化直後のまま、長期保存された後、推進薬グレイン2に着火して使用される。この長期保存の間に、推進薬グレイン2は自重により少しずつ変形し、図4(C)に示すように、ブーツ隙間Gが実質的に無くなることがある。また、ロケット打上げ時の加速度により、推進薬グレイン2の着火前に、ブーツ隙間Gが実質的に無くなるまで変形することもある。
上述した本発明のインシュレータ10の製造方法は、以下のS1〜S4のステップ(工程)からなる。
ステップS1では、モータケース3の内面又は製造治具の外面にエラストマーを積層し、かつ端部セグメント14とリリーフブーツ16の間に離型フィルムを挟持して、インシュレータ本体12、端部セグメント14及びリリーフブーツ16を形成する。
離型フィルムは、例えば、シリコーンフィルム、フッ素樹脂フィルムである。
ステップS2では、インシュレータ本体12、端部セグメント14及びリリーフブーツ16を加圧及び加熱により一体化する。これにより離型フィルムの位置に、分離層を形成する。
ステップS3では、モータケース3又はインシュレータ本体の軸心Z−Zを鉛直に保持し、モータケース3又はインシュレータ本体にスラリ状の推進薬を充填する。この際、中子を用いてもよい。
ステップS3により、推進薬の硬化時に、その収縮により端部セグメント14とリリーフブーツ16の間に、分離層で分離したブーツ隙間Gを形成する。
ステップS4では、推進薬の硬化後に、ブーツ隙間Gに流路保持部18を挿入して端部セグメント14に接着する。例えば、複数のスペーサ19を内方開口端G0の近傍においてブーツ隙間Gに面する端部セグメント14に周方向に間隔を隔てて接着して内方開口端G0とブーツ隙間Gを連通するガス流路20を構成する。
なお、上述した製造方法は、ケース、インシュレータ、推進薬の後貼り式の製造方法であるが、本発明はこれに限定されず、先貼り式又は直巻き式の製造方法であってもよい。
先貼り式の場合、推進薬の充填後にスペーサ19を接着するのがよい。
また、直巻き式の場合、推進薬入りのインシュレータの外面に繊維を巻き付け、モータケースを製造後に、スペーサ19を接着するのがよい。
図5は、推進薬グレイン2の形状変化を示すシュミュレーション結果である。この図において、符号Aは図4(A)に相当する推進薬の着火前、符号Bは図4(B)に相当する本発明の着火直後、符号Cは図4(C)に相当する従来例の着火直後である。
図5において、細線で示す符号Aの推進薬グレイン2は、内面a−b−c−d−e−f−gを有している。
この推進薬グレイン2に着火すると、内面a−b−c−d−e−f−gから燃焼を開始し、発生した燃焼ガスは、ブーツ隙間Gに導入され、その圧力によりリリーフブーツ16を内側(図で左側)に押付ける。この結果、太い実線で示す符号Bのように、推進薬グレイン2の内面が変形する。
従って、上述した着火後の推進薬グレイン2の内面形状から、推進薬グレイン2の燃焼パターンと推力特性を設計することができる。
図5において、本発明の推進薬グレイン2は、図4(B)に示したように、ブーツ隙間Gが維持される。従って、符号Aの内面a−b−c−d−e−f−gから燃焼を開始し、発生した燃焼ガスが、ブーツ隙間Gにスムースに導入される。
すなわち、本発明により、長期保存又はロケット打上げ時の加速度により推進薬グレイン2が変形する場合でも、端部セグメント14とリリーフブーツ16との密着を防止できる。また、推進薬グレイン2の着火時に、ガス流路20を通して内方開口端G0からブーツ隙間Gに燃焼ガスを導入することができる。これにより、燃焼パターンを設計通りに保持し、設計通りの推力を発生することができる。
一方、図5に太い破線で示す符号C(従来例)の推進薬グレイン2は、図4(C)に示したように、ブーツ隙間Gが実質的に無くなっており、発生した燃焼ガスが、ブーツ隙間Gに正常に導入できない。そのため、推進薬グレイン2の変形形状が符号B(本発明)と大きく相違し、燃焼パターンの設計からのかい離が大きく、設計通りの推力を発生できなくなる。
また、この例で後部グレイン2cの前面側だけに図で右方向に燃焼ガスの圧力が作用するため、図の内面eの近傍に高い引張応力が発生し、亀裂に至る可能性がある。
図6は、本発明のインシュレータ10の第2実施形態図である。この図において、(A)は図2と同様の半断面図であり、(B)は図6(A)のA部拡大図である。
この例は、リリーフブーツ16が両端にあることと、燃焼室7が左右全域にわたってつながっていることが、第1実施形態と相違する。
なお、この例では、図6(A)のB部には、流路保持部18を設けていないが、B部にも同様に設けてもよい。
本発明のインシュレータ10のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
図7は、図6(A)のA部拡大図であり、(A)は推進薬の硬化直後、(B)は縦置き又は加速度により変形後の本発明、(C)は変形後の従来例を示している。
図7(A)に示すように、推進薬の硬化直後には、端部セグメント14とリリーフブーツ16の間に、ブーツ隙間Gが形成されている。また推進薬グレイン2は硬質ゴムに相当する硬さを有しているので、ブーツ隙間G(例えば1〜2mm)はほぼ一定に保持されている。
本発明では、図7(A)の硬化直後において、ブーツ隙間Gに上述した流路保持部18(スペーサ19)を挿入し、端部セグメント14に周方向に間隔を隔てて接着する。
この流路保持部18の存在により、長期保存又は打上げ時の加速度により推進薬グレイン2が変形しても、図7(B)に示すように、ブーツ隙間Gを維持することができる。
一方、従来例では、図7(A)の硬化直後のまま、長期保存された後、推進薬グレイン2に着火して使用される。この長期保存の間に、推進薬グレイン2は自重により少しずつ変形し、図7(C)に示すように、ブーツ隙間Gが実質的に無くなることがある。また、ロケット打上げ時の加速度により、推進薬グレイン2の着火前に、ブーツ隙間Gが実質的に無くなるまで変形することもある。
上述した本発明によれば、ブーツ隙間Gにおいて端部セグメント14に接着され、ブーツ隙間Gより小さい軸方向厚さを有し、かつ内方開口端G0とブーツ隙間Gを連通するガス流路20を構成する流路保持部18を有する。
従って、長期の縦置き状態や使用時の加速度により、推進薬グレイン2がブーツ隙間側に変形しても、流路保持部18の軸方向厚さにより、端部セグメント14とリリーフブーツ16との密着を防止できる。また、推進薬グレイン2の着火時に、ガス流路20を通して内方開口端G0からブーツ隙間Gに燃焼ガスを導入することができる。
これにより、推進薬グレイン2の着火時にその内部応力や変形を適正範囲に抑えて、推進薬グレイン2のき裂を防止し、かつ燃焼パターンの設計からのかい離を防止して、燃焼パターンの予測精度とロケットモータ1の信頼性を高めることができる。
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
G ブーツ隙間、G0 内方開口端、Z 軸心、1 ロケットモータ、
2 推進薬グレイン、3 モータケース、4 排気ノズル、5 キャビティ、
6 スロット部、7 燃焼室、10 インシュレータ、
12 インシュレータ本体、13 連結部、14 端部セグメント、
16 リリーフブーツ、18 流路保持部、19 スペーサ、20 ガス流路、
21 リング状部材、21a 厚肉部分、21b 薄肉部分

Claims (5)

  1. モータケースの内面に貼着され、その内側に推進薬グレインが充填されるロケットモータのインシュレータであって、
    前記インシュレータは、前記モータケースの内面端部に貼着された端部セグメントと、
    前記端部セグメントの内側にブーツ隙間を隔てて一体的に形成されたリリーフブーツと、を有し、
    前記ブーツ隙間は、前記推進薬グレインの燃焼ガスと連通する内方開口端を有しており、
    さらに、前記ブーツ隙間において前記端部セグメントに接着され、前記ブーツ隙間より小さい軸方向厚さを有し、かつ前記内方開口端と前記ブーツ隙間を連通するガス流路を構成する流路保持部を有する、ロケットモータのインシュレータ。
  2. 前記流路保持部は、前記内方開口端の近傍において前記ブーツ隙間に面する前記端部セグメントに周方向に間隔を隔てて接着された複数のスペーサである、請求項1に記載のロケットモータのインシュレータ。
  3. 前記流路保持部は、前記内方開口端の近傍において前記ブーツ隙間に面する前記端部セグメントに接着され、周方向において軸方向の厚さが周期的に変化する一体のリング状部材である、請求項1に記載のロケットモータのインシュレータ。
  4. 前記流路保持部は、前記端部セグメントに一体的に形成された凹凸部である、請求項1に記載のロケットモータのインシュレータ。
  5. 請求項1に記載のインシュレータの製造方法であって、
    (A)前記モータケースの内面又は製造治具の外面にエラストマーを積層し、かつ前記端部セグメントと前記リリーフブーツの間に離型フィルムを挟持して、インシュレータ本体、前記端部セグメント及び前記リリーフブーツを形成し、
    (B)前記インシュレータ本体、前記端部セグメント及び前記リリーフブーツを加圧及び加熱により一体化して、前記離型フィルムの位置に、分離層を形成し、
    (C)前記モータケース又はインシュレータ本体の軸心を鉛直に保持し、前記モータケース又は前記インシュレータ本体にスラリ状の推進薬を充填し、
    これにより、推進薬の硬化時に、その収縮により前記端部セグメントと前記リリーフブーツの間に、前記分離層で分離した前記ブーツ隙間を形成し、
    (D)前記推進薬の硬化後に、前記ブーツ隙間に前記流路保持部を挿入して前記端部セグメントに接着し、前記内方開口端と前記ブーツ隙間を連通するガス流路を構成する、インシュレータの製造方法。
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