この発明に係る眼科撮影装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科撮影装置は、光スキャナを用いて光源からの光を偏向し、偏向された光を被検眼(対象眼、患者眼)に照射することにより、被検眼の瞳孔を通して光を被検眼の後眼部(眼底、硝子体等)の広い範囲に照射することが可能な装置である。このような構成は、後眼部に光を照射することが可能な任意の眼科撮影装置に適用することができる。後眼部に光を照射することが可能な眼科撮影装置には、レーザー光を眼底における治療部位に照射するためのレーザー治療装置や、被検眼に固視させた状態で視標を移動させながら被検者(患者)の応答に基づき視野を測定するための視野計などがある。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、被検眼の後眼部からの戻り光を受光することにより当該後眼部における所定データの分布(画像や層厚分布や病変分布など)を形成することが可能である。このような構成は、後眼部を光で走査してデータを取得可能な任意の眼科撮影装置に適用することができる。後眼部を光で走査してデータを取得可能な眼科撮影装置には、共焦点光学系を用いたレーザー走査により眼底の正面画像を得るSLOや、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、OCT)を用いて眼底の断層像を得る光干渉断層計や、SLOの機能と光干渉断層計の機能とを組み合わせた複合機などがある。以下、実施形態に係る眼科撮影装置が、SLOの機能と光干渉断層計の機能とを有する場合について説明する。特に、SLOは2色のカラー画像の取得が可能な場合について説明するが、1色のモノクロ画像や3色以上のカラー画像を取得する場合も同様である。
以下では、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、被検者から見て光学系の奥行き方向をZ方向として説明する。
[光学系]
図1〜図3に、実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成例を示す。実施形態に係る眼科撮影装置は、撮影モードに対応した範囲の被検眼の画像を取得することが可能である。眼科撮影装置は、撮影モードに対応した対物レンズユニットを光学系の光軸に選択的に配置することが可能である。
図1は、広角(広画角)撮影モードに設定されているときの眼科撮影装置の光学系の構成例を表す。図2は、撮影モードに応じて切り替え可能な実施形態に係る対物レンズ系の構成例を表す。図2において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図3は、高倍率(狭角(狭画角))撮影モードに設定されているときの眼科撮影装置の光学系の構成例を表す。図3において、図1又は図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図1及び図3では、被検眼Eの眼底Efと光学的に共役な位置が眼底共役位置Pとして図示され、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置が瞳共役位置Qとして図示されている。また、角膜前面の反射により角膜反射像(第1プルキンエ像)が形成される位置と光学的に共役な位置が角膜反射像共役位置Rとして図示されている。角膜に平行光が入射したとき、角膜曲率半径の半分の位置に角膜反射像の虚像が形成される。
光学系100は、対物レンズ系110を介して被検眼に光を投射する投射系と、投射系により被検眼Eに投射された光の戻り光を対物レンズ系110を介して受光する受光系とを含む。眼科撮影装置は、受光系による受光結果に基づいて画像を形成する。実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO画像及びOCT画像を形成することが可能である。すなわち、光学系100は、SLO光学系130と、OCT光学系140とを含む。SLO光学系130は、SLO投射系と、SLO受光系とを含む。OCT光学系140は、OCT投射系と、OCT受光系とを含む。
眼科撮影装置には、被検眼の前眼部を撮影するための前眼部撮影系(前眼部観察系)120が設けられている。光学系100は、対物レンズ系110や前眼部撮影系120と共に、図示しない移動機構(後述の移動機構100D)によりX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。眼科撮影装置は、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部画像に基づいて移動機構により光学系100等を移動することにより、被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行うためのアライメントを行うことが可能である。以下では、光学系100が対物レンズ系110や前眼部撮影系120を含む場合について説明するが、光学系100がこれらを含まない構成であってもよい。
(対物レンズ系)
眼科撮影装置は、撮影モードに応じた対物レンズユニットを光学系100の光軸Oに配置することが可能である。この実施形態では、撮影モードには、第1範囲(例えば画角が100度)で被検眼Eを撮影する広角撮影モードと、第1範囲より狭い第2範囲(例えば画角が50度)で被検眼Eを撮影する高倍率撮影モードとがある。広角撮影モードでは、被検眼Eの第1範囲を表す広角の画像(SLO画像又はOCT画像)が取得される。高倍率撮影モードでは、被検眼Eの第1範囲より狭い第2範囲を表す高倍率(狭角)の画像(SLO画像又はOCT画像)が取得される。
対物レンズ系110は、対物レンズユニット110A、110Bを含む(図2参照)。対物レンズ系110には、画角を変更するための画角変更機構115が設けられている。対物レンズユニット110A、110Bは、画角変更機構115により光学系100の光軸Oに対して挿脱可能である。画角変更機構115は、例えば公知の回転機構又はスライド機構を含む。画角変更機構115により対物レンズユニット110A、110Bを手動で光軸Oに選択的に配置させることが可能である。広角撮影モードでは、光学系100の光軸に対物レンズユニット110Aの光軸が一致するように配置される(図1)。高倍率撮影モードでは、光軸Oに対物レンズユニット110Bの光軸が一致するように配置される(図3)。この場合、対物レンズ系110には、光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別を検出する検出部が設けられており、後述の制御部200は、光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別の検出結果から撮影モードの種別の特定が可能である。なお、画角変更機構115は、制御部200からの制御を受け、対物レンズユニット110A、110Bを自動で光軸Oに選択的に配置させてもよい。
対物レンズユニット110Aは、2以上のレンズを含む。2以上のレンズの間には、ダイクロイックミラーDM1Aが設けられる。例えば、対物レンズユニット110Aは、凸レンズ111A、112Aと、凹レンズ113Aとを含むレンズユニット(ナグラータイプ)であってよい。被検眼Eの側から凸レンズ111A、112A、及び凹レンズ113Aの順序で配置されている。凸レンズ112Aと凹レンズ113Aとの間にダイクロイックミラーDM1Aが配置されている。ダイクロイックミラーDM1Aは、広角撮影モードにおいて、SLO光学系130の光路及びOCT光学系140の光路の双方に前眼部撮影系120の光路を結合する光路結合部材である。ダイクロイックミラーDM1Aと凹レンズ113Aとの間に眼底(網膜)と光学的に共役な位置(眼底共役位置)P又はその近傍が配置されている。対物レンズユニット110Aは、ダイクロイックミラーDM1Aを含んでもよい。
ダイクロイックミラーDM1Aは、SLO光学系130からの光(SLO光)、その被検眼Eからの戻り光、OCT光学系140からの光(OCT光、測定光)及びその被検眼Eからの戻り光を透過させる。ダイクロイックミラーDM1Aは、前眼部撮影系120からの光を被検眼Eに向けて反射し、その被検眼Eからの戻り光を前眼部撮影系120に向けて反射する。
対物レンズユニット110Bは、少なくとも1つのレンズを含む。当該少なくとも1つのレンズに対して光源(SLO光源及びOCT光源)側にダイクロイックミラーDM1Bが設けられる。例えば、対物レンズユニット110Bは、凸レンズ111Bを含んでよい。ダイクロイックミラーDM1Bは、高倍率撮影モードにおいて、SLO光学系130の光路及びOCT光学系140の光路の双方に前眼部撮影系120の光路を結合する光路結合部材である。対物レンズユニット110Bは、ダイクロイックミラーDM1Bを含んでもよい。
ダイクロイックミラーDM1Bは、ダイクロイックミラーDM1Aと同様に、SLO光学系130からの光(SLO光)、その被検眼Eからの戻り光、OCT光学系140からの光(OCT光、測定光)及びその被検眼Eからの戻り光を透過させる。また、ダイクロイックミラーDM1Bは、前眼部撮影系120からの光を被検眼Eに向けて反射し、その被検眼Eからの戻り光を前眼部撮影系120に向けて反射する。光軸Oに対物レンズユニット110Bが配置されているときの光軸O上におけるダイクロイックミラーDM1Bの位置は、光軸Oに対物レンズユニット110Aが配置されているときの光軸O上におけるダイクロイックミラーDM1Aの位置と略同じであってよい。それにより、撮影モードを変更したとき、前眼部撮影系120の位置や向きの調整が不要になる。
対物レンズユニット110Aが凸レンズ111A、112Aと凹レンズ113Aだけを含み、対物レンズユニット110Bが凸レンズ111Bだけを含んでもよい。それにより、光軸Oに配置される対物レンズユニットを切り替えたときにダイクロイックミラーDM1A、DM1Bを1つのダイクロイックミラーで共用することが可能である。
対物レンズ系110は、図示しない移動機構(後述の移動機構110D)により光軸Oに沿って移動可能である。それにより、光学系100に対して対物レンズ系110をZ方向に移動することが可能になり、SLO光学系130及びOCT光学系140の双方の焦点位置を変更することができる。
以下、主として、光軸Oに対物レンズユニット110Aが配置されている場合について説明する。
(前眼部撮影系)
前眼部撮影系120は、前眼部照明光源121と、コリメートレンズ122と、前眼部撮影カメラ123と、結像レンズ124と、ビームスプリッタBS1とを含む。ビームスプリッタBS1は、被検眼Eの前眼部を照明するための照明光の光路に、その戻り光の光路を結合する光路結合部材である。
前眼部照明光源121は、被検眼Eの前眼部を照明するための光源である。前眼部撮影カメラ123は、前眼部照明光源121により照明された被検眼Eの前眼部からの反射光(戻り光)を検出するための撮像素子を備えている。前眼部照明光源121には、例えば、中心波長が950nmの光を発するLEDが用いられる。前眼部照明光源121により発せられた光は、コリメートレンズ122により屈折される。屈折された照明光は、ビームスプリッタBS1によりダイクロイックミラーDM1Aに向けて反射される。ビームスプリッタBS1により反射された照明光は、ダイクロイックミラーDM1Aにより被検眼Eに向けて偏向される。被検眼Eからの照明光の戻り光は、ダイクロイックミラーDM1Aにより反射され、ビームスプリッタBS1を透過する。ビームスプリッタBS1を透過した戻り光は、結像レンズ124により前眼部撮影カメラ123における撮像素子の検出面に集光される。撮像素子の検出面は、瞳共役位置(前眼部共役位置)Q又はその近傍に配置されている。撮像素子は、例えば、CCD又はCMOSイメージセンサにより構成されている。撮像素子による被検眼Eの前眼部からの戻り光の検出結果は、前眼部の画像の形成に用いられる。
(SLO光学系)
SLO光学系130の光路とOCT光学系140の光路とは、ダイクロイックミラーDM2により結合される。SLO光学系130の少なくとも一部がテレセントリック光学系として形成されている。同様に、OCT光学系140の少なくとも一部がテレセントリック光学系として形成されている。ダイクロイックミラーDM2は、SLO光学系130のテレセントリック光学系により形成される光路とOCT光学系140のテレセントリック光学系により形成される光路とを結合する。それにより、対物レンズ系110の移動により光学系100の焦点位置を変更した場合でも瞳(例えば対物レンズ系110による射出瞳)の収差が小さくなるため、合焦状態の調整が容易になる。
ダイクロイックミラーDM1A(DM1B)、DM2は、ねじれの関係を保持した状態で光軸Oに配置されていることが望ましい。ダイクロイックミラーDM1A(DM1B)は、SLO光学系130の光路及びOCT光学系140の光路(光学系100の光路)を導かれる光の少なくとも一部及び前眼部撮影系120の光路を導かれる光の少なくとも一部のうち一方の光を反射し、かつ、他方の光を透過させる第1光学面を備えている。ダイクロイックミラーDM2は、SLO光学系130の光路を導かれる光の少なくとも一部及びOCT光学系140の光路を導かれる光の少なくとも一部のうち一方の光を反射し、かつ、他方の光を透過させる第2光学面を備えている。ダイクロイックミラーDM1A(DM1B)、DM2は、第1光学面の法線とSLO光学系130の光軸とを含む平面と、第2光学面の法線とSLO光学系130の光軸とを含む平面とが互いに直交する、又は略直交するように配置されている。それにより、図3に示す高倍率撮影モードでは、ダイクロイックミラーDM1BとダイクロイックミラーDM2との間に凹レンズ113Aが配置されないため、ダイクロイックミラーDM1BとダイクロイックミラーDM2とにより非点収差を除去、又は非点収差を極めて小さくすることができるので、画質の劣化を抑えることが可能になる。一方、図1に示す広角撮影モードでは、高倍率撮影モード時よりも画像の粗さが許容されるため、非点収差の残存に起因する画質への影響は小さくて済む。
SLO光学系130は、赤色光学系と、緑色光学系と、赤色光学系の光路を緑色光学系の光路に結合するダイクロイックミラーDM3と、リレー光学系139と、光スキャナ136と、レンズ137とを含む。リレー光学系139、光スキャナ136及びレンズ137は、赤色光学系と緑色光学系とで共用される。赤色光学系は、中心波長が赤色波長帯の赤色SLO光(赤色波長帯光)を含むSLO光を被検眼Eに投射してその戻り光を検出する。緑色光学系は、中心波長が緑色波長帯の緑色SLO光(緑色波長帯光)を含むSLO光を被検眼Eに投射してその戻り光を検出する。ダイクロイックミラーDM3は、赤色光学系の光(赤色波長帯のSLO光)を透過し、緑色光学系の光(緑色波長帯のSLO光)を反射する。赤色光学系の構成は、緑色光学系の構成とほぼ同様である。
赤色光学系は、SLO光源131Rと、コリメートレンズ132Rと、ビームスプリッタBS2Rと、集光レンズ133Rと、共焦点絞り134Rと、検出器135Rと、黒点板138Rとを含む。ビームスプリッタBS2Rは、被検眼Eに投射される赤色SLO光の光路に、その戻り光の光路を結合する光路結合部材である。
同様に、緑色光学系は、SLO光源131Gと、コリメートレンズ132Gと、ビームスプリッタBS2Gと、集光レンズ133Gと、共焦点絞り134Gと、検出器135Gと、黒点板138Gとを含む。ビームスプリッタBS2Gは、被検眼Eに投射される緑色SLO光の光路に、その戻り光の光路を結合する光路結合部材である。
緑色光学系は赤色光学系とほぼ同様であるため、以下、主として赤色光学系について説明する。SLO光源131Rは、例えば中心波長が650nmである赤色波長帯の光を発するものが用いられる。SLO光源131Rは、例えば中心波長が520nmである緑色波長帯の光を発するものが用いられる。SLO光源131R(131G)として、例えばレーザーダイオード(Laser Diode:以下、LD)、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)、レーザードリブンライトソース(Laser Driven Light Source:LDLS)などが挙げられる。SLO光源131R(131G)は、眼底(網膜)と光学的に共役な位置(眼底共役位置)P又はその近傍に配置されている。
SLO光源131R(131G)から発せられた光は、コリメートレンズ132R(132G)により平行光束とされる。平行光束とされた光は、ビームスプリッタBS2R(BS2G)を透過する。ビームスプリッタBS2Rを透過した光は、ダイクロイックミラーDM3を透過し、リレー光学系139を通過し、光スキャナ136により偏向される。リレー光学系139は、リレーレンズ139A、139Bを含む。リレーレンズ139Aとリレーレンズ139Bとの間には、被検眼Eの眼底Efと光学的に共役な位置が眼底共役位置Pが配置されている。同様に、緑色光学系においてビームスプリッタBS2Gを透過した光は、ダイクロイックミラーDM3により反射され、リレー光学系139を通過し、光スキャナ136により偏向される。リレー光学系139を設けることにより、光スキャナ136とレンズ137との間に配置された、角膜前面の反射により角膜反射像が形成される位置と光学的に共役な位置(角膜反射像共役位置R)をリレーすることができる。それにより、赤色光学系の受光系や緑色光学系の受光系の配置の自由度を向上させることができる。
光スキャナ136は、SLO光源131R、131Gからの光で被検眼Eの眼底Efを走査するために用いられる。光スキャナ136は、X方向に光を偏向させる光スキャナ136Xと、Y方向に光を偏向させる光スキャナ136Yとを含む。光スキャナ136Xは、その傾きが変更可能なミラーであり、後述の制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ136は、例えば、眼底面内の水平方向の走査に用いられる。光スキャナ136Xの被検眼Eの側には、光スキャナ136Yが配置されている。光スキャナ136Yは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ136Yは、例えば、水平方向に直交する眼底面内の垂直方向の走査に用いられる。光スキャナ136X及び光スキャナ136Yのいずれか一方は、ガルバノミラーなどの低速スキャナであり、他方は、レゾナントミラーやポリゴンミラー、或いはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:以下、MEMS)ミラーなどの高速スキャナであってよい。光スキャナ136Yの反射面は、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置(瞳共役位置)Q又はその近傍に配置されている。光スキャナ136Yの被検眼Eの側には、レンズ137と、ダイクロイックミラーDM2とが配置されている。光スキャナ136により偏向されたSLO光源131R、131Gからの光は、レンズ137及びダイクロイックミラーDM2を透過し、対物レンズ系110を介して被検眼Eに投射される。
被検眼Eに投射されたSLO光源131Rからの光の戻り光は、同じ光路を経由してダイクロイックミラーDM3を透過し、ビームスプリッタBS2Rにより検出器135Rに向けて反射される。同様に、被検眼Eに投射されたSLO光源131Gからの光の戻り光は、同じ光路を経由してダイクロイックミラーDM3により反射され、ビームスプリッタBS2Gにより検出器135Gに向けて反射される。
ビームスプリッタBS2Rと検出器135Rとの間には、被検眼Eの側から黒点板138R、集光レンズ133R及び共焦点絞り134Rの順序で配置されている。黒点板138Rは、ビームスプリッタBS2Rと集光レンズ133Rとの間において、角膜前面の反射により角膜反射像が形成される位置と光学的に共役な位置(角膜反射像共役位置R)に配置されている。黒点板138Rには、ビームスプリッタBS2Rにより反射された光の一部を遮光するための遮光領域が設けられている。
遮光領域には、例えば黒点が設けられたり、反射部材が設けられたりする。黒点が設けられている場合、黒点板138Rに照射された赤色SLO光の戻り光の一部は遮光領域において遮光され、残りは黒点板138Rを通過して集光レンズ133Rに到達する。反射部材が設けられている場合、黒点板138Rに照射された赤色SLO光の戻り光の一部は遮光領域において反射部材による反射により遮光され、残りは黒点板138Rを通過して集光レンズ133Rに到達する。また、黒点板138Rは、遮光領域としての中央部に穴部が形成されたリング状ミラーを含んでもよい。この場合、黒点板138Rに照射された赤色SLO光の戻り光の一部は穴部を通過することにより遮光され、残りは黒点板138Rを通過して集光レンズ133Rに到達する。
集光レンズ133Rは、上記のように黒点板138Rを通過又は反射した光を集光する。集光レンズ133Rにより集光された光は、共焦点絞り134Rに形成された開口を通過し、検出器135Rの検出面に入射する。共焦点絞り134Rに形成された開口は、眼底(網膜)と光学的に共役な位置(眼底共役位置)P又はその近傍に配置されている。検出器135Rは、例えば、アバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode:以下、APD)又は光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube:以下、PMT)により構成されている。
また、ビームスプリッタBS2Gと検出器135Gとの間には、被検眼Eの側から黒点板138G、集光レンズ133G及び共焦点絞り134Gの順序で配置されている。黒点板138Gは、ビームスプリッタBS2Gと集光レンズ133Gとの間において、角膜前面の反射により角膜反射像が形成される位置と光学的に共役な位置(角膜反射像共役位置R)に配置されている。黒点板138Gは、黒点板138Rと同様であるため、説明を省略する。
集光レンズ133Gは、上記のように黒点板138Gを通過又は反射した光を集光する。集光レンズ133Gにより集光された光は、共焦点絞り134Gに形成された開口を通過し、検出器135Gの検出面に入射する。共焦点絞り134Gに形成された開口は、眼底(網膜)と光学的に共役な位置(眼底共役位置)P又はその近傍に配置されている。検出器135Gは、例えば、APD又はPMTにより構成されている。
黒点板138R、138Gの位置、黒点板138R、138Gに設けられた遮光領域の位置及び当該遮光領域の形態(サイズ、形状)の少なくとも1つは変更可能である。この実施形態では、後述する制御部200からの制御を受け、黒点板138R、138Gの位置、黒点板138R、138Gに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態(サイズ、形状)の少なくとも1つを変更する。
例えば、黒点板138Rは、図示しない移動機構(後述の移動機構138RD)により移動可能である。この場合、移動機構138RDを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、黒点板138Rは、制御部200からの制御を受け、赤色SLO光の戻り光の光路の光軸に沿った方向に移動される。また、黒点板138Rは、移動機構138RDにより赤色SLO光の戻り光の光路への挿入及び当該光路からの退避の少なくとも一方が可能であってよい。
同様に、例えば、黒点板138Gは、図示しない移動機構(後述の移動機構138GD)により移動可能である。それにより、黒点板138Gは、制御部200からの制御を受け、緑色SLO光の戻り光の光路の光軸に沿った方向に移動される。この場合、移動機構138GDを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、黒点板138Gは、制御部200からの制御を受け、緑色SLO光の戻り光の光路の光軸に沿った方向に移動される。また、黒点板138Gは、移動機構138GDにより緑色SLO光の戻り光の光路への挿入及び当該光路からの退避の少なくとも一方が可能であってよい。
例えば、黒点板138R、138Gのそれぞれは、任意のサイズで任意の形状の透光領域(非遮光領域、通過領域)及び遮光領域を任意の位置に配置可能な光学部材を含む。このような光学部材には、液晶シャッターなどがある。それにより、黒点板138R、138Gのそれぞれは、制御部200からの制御を受け、遮光領域の位置、サイズ又は形状を変更することができる。
また、黒点板138R、138Gのそれぞれは、互いに遮光領域の位置が異なる2以上の黒点板を含んでもよい。この場合、黒点板138R、138Gのそれぞれは、制御部200からの制御を受け、2以上の黒点板を選択的に光路に配置することにより遮光領域の位置を変更することが可能である。同様に、黒点板138R、138Gのそれぞれは、互いに遮光領域の形態が異なる2以上の黒点板を含んでもよい。黒点板138R、138Gのそれぞれは、制御部200からの制御を受け、2以上の黒点板を選択的に光路に配置することにより遮光領域の形態を変更することが可能である。なお、黒点板138R、138Gは、遮光領域だけを含み、当該遮光領域の周辺領域の光を通過させるものであってもよい。
(OCT光学系)
OCT光学系140は、合焦レンズ141と、光スキャナ142と、コリメートレンズ143と、干渉光学系150とを含む。干渉光学系150は、OCT光源151と、ファイバーカプラ152、153と、プリズム154と、検出器155とを含む。
合焦レンズ141は、図示しない移動機構(後述の移動機構141D)によりOCT光学系140の光軸(光路)に沿って移動可能である。それにより、SLO光学系130とは独立にOCT光学系140の焦点位置を変更することが可能になる。従って、例えば対物レンズ系110の移動によりSLO光学系130及びOCT光学系140の合焦状態が調整された後、合焦レンズ141の移動によりOCT光学系140の合焦状態の微調整を行うことができる。
光スキャナ142は、OCT光源151からの光に基づく測定光で被検眼Eの眼底Efを走査するために用いられる。光スキャナ142は、X方向に光を偏向させる光スキャナ142Xと、Y方向に光を偏向させる光スキャナ142Yとを含む。光スキャナ142Xは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ142は、例えば、眼底面内の水平方向の走査に用いられる。光スキャナ142Xの被検眼Eの側には、光スキャナ142Yが配置されている。光スキャナ142Yは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ142Yは、例えば、水平方向に直交する眼底面内の垂直方向の走査に用いられる。光スキャナ142X及び光スキャナ142Yのいずれか一方は、低速なガルバノミラーなどの低速スキャナであり、他方は、高速なガルバノミラーなどの高速スキャナであってよい。光スキャナ142X、142Yの中間位置は、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置(瞳共役位置)Q又はその近傍に配置されている。光スキャナ142YのOCT光源151の側には、コリメートレンズ143が配置されている。
干渉光学系150には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号である。なお、干渉光学系150は、スウェプトソースタイプのOCT装置ではなく、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有していてもよい。
OCT光源151は、OCT光(出射光)の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源である。波長掃引型光源には、例えば、共振器を含み、中心波長が1050nmの光を発するレーザー光源が用いられる。OCT光源151は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
OCT光源151から出力された光L0は、光ファイバf1によりファイバーカプラ152に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバf2によりファイバ出射端c1に導かれて、ファイバ出射端c1からコリメートレンズ156に照射される。ファイバ出射端c1から出射された参照光LRは、コリメートレンズ156により平行光束とされる。平行光束とされた参照光LRは、プリズム154に導かれる。プリズム154は、コリメートレンズ156により平行光束とされた参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。プリズム154に入射する参照光LRの光路と、プリズム154から出射する参照光LRの光路とは平行である。プリズム154は、図示しない移動機構(後述の移動機構154D)により参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能である。この場合、移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、参照光LRの光路の長さが変更される。
プリズム154を経由した参照光LRは、コリメートレンズ157によって平行光束から集束光束に変換されてファイバ入射端c2に入射し、光ファイバf3によりファイバーカプラ153に導かれる。なお、コリメートレンズ156,157とプリズム154との間に、光路長補正部材や分散補償部材が配置されていてもよい。光路長補正部材は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
一方、ファイバーカプラ152により生成された測定光LSは、光ファイバf4によりファイバ端c3に導かれる。ファイバ端c3に導かれた測定光LSは、コリメートレンズ143に照射される。ファイバ端c3から照射された測定光LSは、コリメートレンズ143により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光スキャナ142及び合焦レンズ141を経由してダイクロイックミラーDM2に到達する。測定光LSは、ダイクロイックミラーDM2により反射され、対物レンズ系110により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラ152に導かれ、光ファイバf5を経由してファイバーカプラ153に到達する。
ファイバーカプラ153は、光ファイバf5を介して入射された測定光LSと、光ファイバf3を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバーカプラ153は、所定の分岐比(例えば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバーカプラ153から出射した一対の干渉光LCは、検出器155に導かれる。
検出器155は、例えば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器155は、その検出結果(検出信号)を図示しないDAQ(Data Acquisition System)に送る。DAQには、OCT光源151からクロックが供給される。このクロックは、OCT光源151において、波長掃引型光源により所定の波長範囲内で掃引(走査)される各波長の出力タイミングに同期して生成される。DAQは、このクロックに基づき、検出器155の検出結果をサンプリングし、後述の画像形成部等に送る。画像形成部は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器155により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、画像形成部は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
[処理系]
図4に、実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を示す。図4において、図1及び図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
(制御部)
実施形態に係る眼科撮影装置の処理系は、制御部200を中心に構成される。制御部200は、眼科撮影装置の各部の制御を行う。制御部200は、主制御部201と、記憶部202とを含む。主制御部201の機能は、例えばマイクロプロセッサにより実現される。記憶部202には、眼科撮影装置を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、各種の光源制御用プログラム、光スキャナ制御用プログラム、各種の検出器制御用プログラム、画像形成用プログラム、データ処理用プログラム及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部201が動作することにより、制御部200は制御処理を実行する。
対物レンズ系110に対する制御として、対物レンズ系110を光軸Oに沿って移動させる移動機構110Dに対する制御、検出部116の制御などがある。例えば、移動機構110Dには、移動機構110Dを移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構110Dに対する制御を行う。検出部116の制御には、光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別に対応した検出信号の取得制御などがある。例えば、検出部116は、対物レンズユニットに付加された識別情報を読み取ったり、種別に対応した対物レンズユニットの形状を検出したりすることにより、対物レンズユニットの種別に対応した検出信号を出力する。主制御部201は、検出部116からの検出信号に基づいて対物レンズユニットの種別を特定する。なお、対物レンズユニットを自動で光軸Oに選択的に配置させる場合、主制御部201は、指定された撮影モードに基づいて対物レンズユニットの種別を特定することが可能である。
SLO光学系130に対する制御として、SLO光源131の制御、光スキャナ136の制御、検出器135の制御、黒点板138R、138Gの制御、移動機構138RD、138GDの制御などがある。SLO光源131の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。光スキャナ136の制御には、光スキャナ136Xによる走査位置や走査範囲の制御、光スキャナ136Yによる走査位置や走査範囲の制御などがある。検出器135の制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。黒点板138R、138Gの制御には、遮光領域の位置、サイズ、形状などを変更するための制御などがある。移動機構138RD、138GDの制御には、黒点板138R、138Gの光路(光軸)に沿った移動制御、黒点板138R、138Gの光路への挿入制御、黒点板138R、138Gの光路からの退避制御などがある。
OCT光学系140に対する制御として、OCT光源151の制御、光スキャナ142の制御、移動機構141Dや移動機構154Dの制御、検出器155の制御などがある。OCT光源151の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。光スキャナ142の制御には、光スキャナ142Xによる走査位置や走査範囲の制御、光スキャナ142Yによる走査位置や走査範囲の制御などがある。移動機構141Dは、OCT光学系140の光路に沿って合焦レンズ141を移動する。例えば、移動機構141Dには、移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構141Dに対する制御を行う。移動機構154Dは、プリズム154を参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動する。例えば、移動機構154Dには、移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構154Dに対する制御を行う。検出器155の制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。
前眼部撮影系120に対する制御として、前眼部照明光源121の制御、前眼部撮影カメラ123の制御などがある。前眼部照明光源121の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。前眼部撮影カメラ123の制御には、撮像素子の露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
光学系100に対する制御として、光学系100(ダイクロイックミラーDM1A、DM1B、前眼部撮影系120を含む)をX方向、Y方向及びZ方向に移動する移動機構100Dの制御などがある。例えば、移動機構100Dには、移動機構を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構100Dに対する制御を行う。
主制御部201は、アライメント制御部201Aと、トラッキング制御部201Bと、黒点制御部201Cと、表示制御部201Dとを含む。
アライメント制御部201Aは、被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行うためのアライメントの実行を制御する。アライメント制御部201Aは、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部画像に基づいて移動機構100Dを制御する。アライメント制御部201Aは、例えば、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部画像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置と所定の目標位置とのずれ量がキャンセルされるように光学系100等の移動量を求める。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構100Dを制御することにより被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行う(XY方向)。目標位置は、あらかじめ決められた位置であってもよいし、UI部230を用いて指定された前眼部画像中の位置であってもよい。
アライメント制御部201Aは、例えば、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部画像の合焦状態(ぼけ具合)を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように光学系100のZ方向の移動量を求めることが可能である。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構100Dを制御することにより、被検眼Eに対する光学系100の位置合わせを行う(Z方向)。なお、2以上のカメラを用いて互いに異なる方向から前眼部を撮影し、視差が設けられた2以上の画像から3次元的に合焦状態を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように光学系100のZ方向の移動量を求めてもよい。
アライメント制御部201Aは、SLO光学系130により得られたSLO画像に基づいて移動機構110Dを制御することにより被検眼Eに対する対物レンズ系110の位置合わせ(Z方向)を行ってもよい。この場合、アライメント制御部201Aは、取得されたSLO画像の合焦状態(ぼけ具合)を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように対物レンズ系110のZ方向の移動量を求める。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構110Dを制御する。
トラッキング制御部201Bは、SLO光学系130により得られた被検眼EのSLO画像に対するトラッキングを制御する。トラッキング制御部201Bは、例えば、所定のタイミングでSLO画像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置が変化したとき、その位置のずれ量がキャンセルされるように移動量を求める。トラッキング制御部201Bは、求められた移動量に基づいてSLO画像に対するトラッキングを制御する。
また、トラッキング制御部201Bは、OCT光学系140により得られた被検眼EのOCT画像に対するトラッキングをSLO画像に基づいて制御する。トラッキング制御部201Bは、例えば、所定のタイミングでSLO画像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置が変化したとき、その位置のずれ量がキャンセルされるように移動量を求める。トラッキング制御部201Bは、求められた移動量に基づいてOCT画像に対するトラッキングを制御する。トラッキング制御部201Bは、データ処理部220に設けられていてもよい。
黒点制御部201Cは、検出部116からの検出信号に基づいて、画角変更機構115により設定された画角、撮影モード又は光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別を特定する。黒点制御部201Cは、特定された画角に応じて黒点板138Rの位置、黒点板138Rに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更する遮光制御(第1遮光制御)を実行する。また、黒点制御部201Cは、特定された画角に応じて黒点板138Gの位置、黒点板138Gに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更する遮光制御(第2遮光制御)を実行する。すなわち、黒点制御部201Cは、撮影モード又は対物レンズユニットの種別に応じて黒点板138R、138Gの位置、黒点板138R、138Gに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更することが可能である。例えば、記憶部202は、画角、撮影モード又は対物レンズユニットの種別と、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対する制御内容とを対応付けた制御情報をあらかじめ記憶する。黒点制御部201Cは、記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対して上記のように制御することが可能である。
例えば図5に示すように、黒点制御部201Cは、黒点板138R、138Gの少なくとも一方の遮光領域について、画角に応じて、径が小さい遮光領域M1と径が大きい遮光領域M2との切り替えを行う。広角撮影モードにおいて角膜反射像共役位置Rに配置された黒点板は、光軸Oに対物レンズユニット110Aが配置されているとき遮光領域M1となり、光軸Oに対物レンズユニット110Bが配置されているとき遮光領域M2となるように制御される。それにより、黒点板138R、138Gを移動させることなく、デフォーカス分だけ遮光領域を大きくすることで角膜反射光を遮光することができる。
例えば図6に示すように、黒点制御部201Cは、画角に応じて黒点板138R、138Gを光軸の方向に移動させる。広角撮影モードにおいて角膜反射像共役位置Rに配置された黒点板は、光軸Oに対物レンズユニット110Aが配置されているとき被検眼Eの側に移動され、光軸Oに対物レンズユニット110Bが配置されているとき検出器135R、135Gの側に移動される。それにより、波長が長いほど屈折率が小さくなることにより角膜から角膜反射像の共役位置までの距離が長くなるため、波長ごとに異なる角膜反射像の共役位置で角膜反射光を遮光することができる。なお、図6では、前眼部撮影系120やOCT光学系140の図示が省略されている。
例えば図7に示すように、黒点制御部201Cは、画角に応じて黒点板138R、138Gを光路から挿脱させる。広角撮影モードにおいて角膜反射像共役位置Rに配置された黒点板は、光軸Oに対物レンズユニット110Aが配置されているとき光路に挿入され、光軸Oに対物レンズユニット110Bが配置されているとき光路から退避される。それにより、遮光領域により被検眼Eからの戻り光を遮光することへの影響を最小限に抑えつつ角膜反射光を遮光することができる。なお、図7では、前眼部撮影系120やOCT光学系140の図示が省略されている。
また、黒点制御部201Cは、被検眼Eの視度に応じて黒点板138R、138Gの位置、黒点板138R、138Gのそれぞれに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更することが可能である。この実施形態では、移動機構110Dにより対物レンズ系110(対物レンズユニット)を光軸Oに沿って移動させることにより、被検眼Eの視度調整を行うことができる。例えば、記憶部202は、画角、撮影モード又は対物レンズユニットの種別と、光軸Oにおける対物レンズ系110(対物レンズユニット)の位置又は移動機構110Dに対する制御内容と、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対する制御内容とを対応付けた制御情報をあらかじめ記憶する。黒点制御部201Cは、記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対して上記のように制御することが可能である。
また、例えば、記憶部202は、光軸Oにおける対物レンズ系110(対物レンズユニット)の位置又は移動機構110Dに対する制御内容と、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対する制御内容とを対応付けた制御情報をあらかじめ記憶する。黒点制御部201Cは、記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対して上記のように制御してもよい。
また、黒点制御部201Cは、被検眼Eの角膜の形状を表す角膜情報に応じて黒点板138R、138Gの位置、黒点板138R、138Gのそれぞれに設けられた遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更することが可能である。角膜情報には、角膜曲率、角膜曲率半径などがある。角膜情報は、ユーザが後述のUI部230に対して操作を行うことにより指定される。また、角膜情報は、後述の角膜情報算出部220Aにより算出されたものであってもよい。例えば、記憶部202は、画角、撮影モード又は対物レンズユニットの種別と、角膜曲率(角膜情報)と、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対する制御内容とを対応付けた制御情報をあらかじめ記憶する。黒点制御部201Cは、記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対して上記のように制御することが可能である。それにより、角膜曲率に大きく影響を受ける角膜反射像の共役位置が変更された場合であっても角膜反射光を遮光することができる。
また、例えば、記憶部202は、角膜曲率(角膜情報)と、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対する制御内容とを対応付けた制御情報をあらかじめ記憶する。黒点制御部201Cは、記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138G又は移動機構138RD、138GDに対して上記のように制御してもよい。
以上のように黒点板138R、138Gやその遮光領域を制御することにより、画角(対物レンズ系110)の変更により光学配置が変更された場合や被検眼が変更された場合
であっても、取得される画像に描出されるゴースト(ノイズ)を抑制することが可能になる。
表示制御部201Dは、各種情報を後述のUI部230に表示させる。UI部230に表示される情報には、制御部200により生成された情報、画像形成部210により形成された画像、データ処理部220によるデータ処理後の情報などがある。
(画像形成部)
画像形成部210は、SLO画像形成部210Aと、OCT画像形成部210Bとを含む。SLO画像形成部210Aは、検出器135Rから入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、赤色SLO画像の画像データを形成する。また、SLO画像形成部210Aは、検出器135Gから入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、緑色SLO画像の画像データを形成する。SLO画像形成部210Aは、赤色SLO画像と緑色SLO画像とを合成することにより新たなSLO画像を形成することも可能である。
OCT画像形成部210Bは、検出器155から入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、OCT画像(眼底Efの断層像)の画像データを形成する。また、画像形成部210は、前眼部撮影カメラ123の撮像素子による被検眼Eの前眼部からの反射光の検出結果に基づいて前眼部画像を形成する。画像形成部210により形成された各種の画像(画像データ)は、例えば記憶部202に保存される。
(データ処理部)
データ処理部220は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部210又は他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像に対する解析処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
データ処理部220は、角膜情報算出部220Aを含む。
角膜情報算出部220Aは、OCT光学系140を用いて取得されたOCT画像又は別途に取得されたOCT画像から角膜情報を算出する。例えば、角膜情報算出部220Aは、OCT光学系140により得られた前眼部の断層像(OCT画像)を解析して角膜頂点と角膜曲率中心とを特定する。角膜情報算出部220Aは、特定された角膜頂点と角膜曲率中心までの距離を角膜曲率半径として求め、求められた角膜曲率半径から角膜曲率を角膜情報として求める。また、角膜情報算出部220Aは、模型眼に対する測定結果を基準に被検眼Eの角膜頂点と角膜曲率中心とを求め、求められた角膜頂点と角膜曲率中心までの距離から角膜曲率半径や角膜曲率を求めてもよい。
(UI部)
UI(User Interface)部230は、ユーザと眼科撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。UI部230は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部200は、操作デバイスに対する操作内容を受け、操作内容に対応した制御信号を各部に出力することが可能である。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
SLO光源131R、131G、コリメートレンズ132R、132G、光スキャナ136及びレンズ137は実施形態に係る「投射系」の一例である。検出器135R、135G、共焦点絞り134R、134G及び集光レンズ133R、133Gは実施形態に係る「受光系」の一例である。黒点板138R、138Gは実施形態に係る「遮光部材」の一例である。画角変更機構115は実施形態に係る「画角変更部」の一例である。UI部230に含まれる操作デバイスは実施形態に係る「操作部」の一例である。
[動作]
実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。
(第1動作例)
図8及び図9に、実施形態に係る眼科撮影装置の第1動作例を示す。図8及び図9は、実施形態に係る眼科撮影装置の第1動作例のフロー図を表す。
(S1)
まず、光軸Oに広角撮影モード用の対物レンズユニット110Aがセットされる。例えば、検者、被検者、医師、患者等のユーザが手動で光軸Oに対物レンズユニット110Aをセットする。眼科撮影装置は、UI部230に対してユーザにより行われた操作に基づきS2に動作を移行することが可能である。また、眼科撮影装置は、光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別を検出し、検出された種別があらかじめ登録された当該撮影モードに対応する種別であると判定されたとき、眼科撮影装置の動作をS2に移行するようにしてもよい。
(S2)
制御部200は、前眼部撮影系120により被検眼Eの前眼部を撮影することにより前眼部画像を取得する。
(S3)
アライメント制御部201Aは、前述のようにS2において取得された前眼部画像に基づいて移動機構100Dを制御することにより、被検眼Eに対する光学系100及び対物レンズ系110の位置合わせを行う(X方向、Y方向及びZ方向)。
(S4)
制御部200は、光スキャナ136、142のそれぞれをあらかじめ決められた初期位置に移動させる。
(S5)
制御部200は、SLO光源131R、131Gをオンにして、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131R、131Gからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135R、135Gによる眼底反射光の検出結果に基づいて眼底EfのSLO画像(赤色SLO画像、緑色SLO画像、又はこれらを合成したSLO画像)を形成する。また、制御部200は、OCT光源151をオンにして、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S5において、トラッキング制御部201Bは、SLO画像に対するトラッキング制御とOCT画像に対するトラッキング制御とを開始してもよい。
(S6)
黒点制御部201Cは、S1においてセットされた対物レンズユニットの種別に応じて黒点板138R、138Gの位置等を変更する。例えば、黒点制御部201Cは、図5に示すように遮光領域M1となるように遮光領域のサイズを変更する。また、黒点制御部201Cは、図6に示すように対物レンズユニット101Aに対応した位置に黒点板138R、138Gを移動させる。或いは、黒点制御部201Cは、図7に示すように当該光路に黒点板138R、138Gを挿入させる。それにより、広角撮影モードに設定されているときの光学配置に対応したゴーストの除去が可能になる。
(S7)
アライメント制御部201Aは、前眼部撮影系120により得られた前眼部画像又はS5において得られたSLO画像から網膜のフォーカス方向のアライメントを行う。それにより、対物レンズ系110の光軸Oの方向の位置の微調整が可能になる。
(S8)
主制御部201は、OCT光学系140により得られた干渉光の検出信号に基づいてOCT光学系140の焦点位置を変更する。主制御部201は、例えば、所定の干渉光の検出信号の振幅が最大となるように移動機構141Dを制御することによりOCT光学系140の焦点位置を変更する。
(S9)
制御部200は、再び、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131R、131Gからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135R、135Gによる眼底反射光の検出結果に基づいて眼底EfのSLO画像(赤色SLO画像、緑色SLO画像、又はこれらを合成したSLO画像)を形成する。また、制御部200は、再び、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S9で得られたSLO画像及びOCT画像のそれぞれは広角画像である。
(S10)
次に、制御部200は、高倍率での撮影を行うか否か(高倍率撮影モードに移行するか否か)を判定する。主制御部201は、UI部230に対する操作内容を検出することが可能である。主制御部201は、UI部230に対する操作内容に基づいて、高倍率での撮影を行うか否かを判定する。高倍率での撮影を行うと判定されたとき(S10:Y)、眼科撮影装置の動作はS11に移行する。高倍率での撮影を行わないと判定されたとき(S10:N)、眼科撮影装置の動作は終了する(エンド)。
(S11)
高倍率での撮影を行うと判定されたとき(S10:Y)、光軸Oに高倍率撮影モード用の対物レンズユニット110Bがセットされるまで待機する。例えば、ユーザが手動で光軸Oに対物レンズユニット110Bをセットする。眼科撮影装置は、UI部230に対してユーザにより行われた操作に基づきS12に動作を移行したり、光軸Oに配置された対物レンズユニットの種別の検出結果に基づきS12に動作を移行したりすることが可能である。
(S12)
黒点制御部201Cは、S11においてセットされた対物レンズユニットの種別に応じて黒点板138R、138Gの位置等を変更する。例えば、黒点制御部201Cは、図5に示すように遮光領域M2となるように遮光領域のサイズを変更する。また、黒点制御部201Cは、図6に示すように対物レンズユニット101Bに対応した位置に黒点板138R、138Gを移動させる。或いは、黒点制御部201Cは、図7に示すように当該光路から黒点板138R、138Gを退避させる。それにより、高倍率撮影モードに設定されているときの光学配置に対応したゴーストの除去が可能になる。
(S13)
主制御部201は、S9において取得されたSLO画像においてUI部230を用いたユーザによる撮影部位の指定を受け付ける。
(S14)
制御部200は、前眼部撮影系120により被検眼Eの前眼部を撮影することにより前眼部画像を取得する。
(S15)
アライメント制御部201Aは、前述のようにS14において取得された前眼部画像に基づいて移動機構100Dを制御することにより、被検眼Eに対する光学系100及び対物レンズ系110の位置合わせを行う(X方向、Y方向及びZ方向)。
(S16)
制御部200は、光スキャナ136、142のそれぞれを初期位置に移動させる。
(S17)
制御部200は、S5と同様に、SLO光源131R、131Gからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135R、135Gによる眼底反射光の検出結果に基づいて眼底EfのSLO画像(赤色SLO画像、緑色SLO画像、又はこれらを合成したSLO画像)を形成する。また、制御部200は、OCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S17においても、S5と同様に、トラッキング制御部201Bは、SLO画像に対するトラッキング制御とOCT画像に対するトラッキング制御とを開始してもよい。
(S18)
アライメント制御部201Aは、前眼部撮影系120により得られた前眼部画像又はS15において得られたSLO画像から網膜のフォーカス方向のアライメントを行う。
(S19)
主制御部201は、OCT光学系140により得られた干渉光の検出信号に基づいてOCT光学系140の焦点位置を変更する。主制御部201は、例えば、所定の干渉光の検出信号の振幅が最大となるように移動機構141Dを制御することによりOCT光学系140の焦点位置を変更する。
(S20)
制御部200は、再び、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131R、131Gからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135R、135Gによる眼底反射光の検出結果に基づいて眼底EfのSLO画像(赤色SLO画像、緑色SLO画像、又はこれらを合成したSLO画像)を形成する。また、制御部200は、再び、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S20で得られたSLO画像及びOCT画像のそれぞれは高倍率画像である。
以上のように、例えば、図10に示すように、S9において取得された眼底の広角画像G1中で注目したい撮影部位R1(例えば、視神経乳頭近傍の部位)について高倍率で撮影した高倍率画像G2を取得することが可能になる。また、例えば、図11に示すように、S9において取得された眼底の広角の断層像H1中で注目したい撮影部位R2(例えば、視神経乳頭近傍の部位)について高倍率で撮影した高倍率の断層像H2を取得することが可能になる。
(S21)
次に、制御部200は、他の部位の撮影を行うか否かを判定する。主制御部201は、UI部230に対する操作内容に基づいて、他の部位の撮影を行うか否かを判定する。他の部位の撮影を行うと判定されたとき(S21:Y)、眼科撮影装置の動作はS13に移行する。他の部位の撮影を行わないと判定されたとき(S21:N)、眼科撮影装置の動作は終了する(エンド)。
(第2動作例)
図12及び図13に、実施形態に係る眼科撮影装置の第2動作例を示す。図12及び図13は、実施形態に係る眼科撮影装置の第2動作例のフロー図を表す。
(S31〜S35)
S31〜S35は、S1〜S5と同様であるため説明を省略する。
(S36)
角膜情報算出部220Aは、別途に取得された被検眼Eの前眼部のOCT画像を解析して角膜頂点と角膜曲率中心とを特定する。前眼部のOCT画像は、S35又はS36においてOCT光学系140を用いて取得されたものであってよい。例えば、角膜情報算出部220Aは、角膜前面の近似円を求め、この近似円の中心を角膜曲率中心として特定する。角膜情報算出部220Aは、OCT画像から特定された角膜頂点と、上記のように特定された角膜曲率中心との距離を角膜曲率半径として求め、求められた角膜曲率半径から角膜曲率を求める。
(S37)
黒点制御部201Cは、対物レンズユニットの種別(撮影モード)とS36において求められた角膜曲率とに応じて黒点板138R、138Gの位置等を変更する。例えば、黒点制御部201Cは、上記のように記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138Gの位置等を制御する。それにより、広角撮影モードに設定されているときの光学配置と被検眼Eの角膜曲率とに対応したゴーストの除去が可能になる。
(S38〜S47)
S38〜S47は、S7〜S11及びS13〜17と同様であるため説明を省略する。
(S48)
黒点制御部201Cは、対物レンズユニットの種別(撮影モード)とS36において求められた角膜曲率とに応じて黒点板138R、138Gの位置等を変更する。例えば、黒点制御部201Cは、上記のように記憶部202に記憶された制御情報を参照することにより、黒点板138R、138Gの位置等を制御する。それにより、高倍率撮影モードに設定されているときの光学配置と被検眼Eの角膜曲率とに対応したゴーストの除去が可能になる。
(S49〜S52)
S49〜S52は、S18〜S21と同様であるため説明を省略する。
<変形例>
実施形態に係る光学系の構成は図1及び図3に示す構成である場合について説明したが、実施形態に係る光学系の構成はこれに限定されるものではない。
図14に、実施形態の変形例に係る光学系の構成例を示す。図14において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
変形例に係る光学系100aの構成が実施形態に係る光学系100の構成と異なる点は、SLO光学系130に代えてSLO光学系130aが設けられている点である。SLO光学系130aでは、SLO光源131、コリメートレンズ132、ビームスプリッタBS2、集光レンズ133、共焦点絞り134、及び検出器135が、赤色光学系と緑色光学系とで共用されている。波長が長いほど角膜から角膜反射像の共役位置までの距離が長くなるため、ビームスプリッタBS2と集光レンズ133との間には、ビームスプリッタBS2の側から黒点板138Gと黒点板138Rとの順序で配置されている。黒点板138Gは、被検眼EからのSLO光の戻り光の光路において、角膜前面の反射により角膜反射像が形成される位置と光学的に共役な位置(角膜反射像共役位置Rg)に配置されている。黒点板138Rは、被検眼EからのSLO光の戻り光の光路において、角膜前面の反射により角膜反射像が形成される位置と光学的に共役な位置(角膜反射像共役位置Rr)に配置されている。SLO光源131には、赤色SLO光及び緑色SLO光を含む光を発するものが用いられる。この場合、SLO光源131等が共用化されるため、構成を簡素化することができる。
ビームスプリッタBS2は実施形態に係る「光路結合部材」の一例である。黒点板138R、138Gの一方は実施形態に係る「第1遮光部材」の一例であり、他方は実施形態に係る「第2遮光部材」の一例である。赤色SLO光及び緑色SLO光の一方は実施形態に係る「第1波長帯光」の一例であり、他方は「第2波長帯光」の一例である。
以上に示された実施形態又はその変形例は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
実施形態に係る制御部200は、広角撮影モードのときの作動距離(ワーキングディスタンス)が高倍率撮影モードのときの作動距離より短くなるように少なくとも対物レンズ系110(光学系100)を移動させてもよい。
実施形態に係る光学系は、レーザー光を眼底における治療部位に照射するための光学系や、被検眼に固視させた状態で視標を移動させるための光学系などを備えていてもよい。
前述の実施形態では、対物レンズ系110の構成が図1〜図3に示す構成である場合について説明したが、実施形態に係る対物レンズ系の構成はこれに限定されるものではない。
実施形態に係る前眼部撮影系は、互いに異なる2以上の方向から被検眼Eの前眼部を撮影するための2以上のカメラを含んでいてもよい。この場合、実施形態に係るアライメント制御部201Aは、これらのカメラを用いて取得された互いに異なる2以上の方向からの前眼部の撮影画像に基づいて得られる視差からZ方向のアライメントを実行することが可能である。
前述の実施形態では、前眼部撮影系120を用いて取得された前眼部画像を用いてアライメントを行う場合について説明したが、取得された前眼部画像をUI部230に設けられた表示デバイスに表示させてもよい。また、取得された前眼部画像をアライメントに用いなくてもよい。
[効果]
実施形態に係る眼科撮影装置の効果について説明する。
実施形態に係る眼科撮影装置は、投射系(SLO光源131R、131G、コリメートレンズ132R、132G、光スキャナ136及びレンズ137)と、受光系(検出器135R、135G、共焦点絞り134R、134G及び集光レンズ133R、133G)と、画像形成部(画像形成部210)と、制御部(制御部200)とを含む。投射系は、第1光源(SLO光源131R、131G)からの光(赤色SLO光、緑色SLO光)を偏向し、偏向された光を被検眼(被検眼E)に投射する。受光系は、投射系により投射された光の被検眼からの戻り光の一部を遮光する遮光領域が設けられた遮光部材(黒点板138R、138G)を含み、遮光部材を通過又は反射した戻り光を受光する。画像形成部は、受光系による受光結果に基づいて画像を形成する。制御部は、遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更する。
このような構成によれば、被検眼に光を投射し、その戻り光の一部を遮光する遮光領域が設けられた遮光部材を受光系に設け、制御部により遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更するようにしたので、光学系の配置関係が変化する場合や角倍率や収差が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、画角を変更するための画角変更部(画角変更機構115)を含み、制御部は、画角変更部により設定された画角に応じて遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更してもよい。
このような構成によれば、画角の変更により光学系の配置関係が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、制御部は、被検眼の視度に応じて遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更してもよい。
このような構成によれば、被検眼の視度に応じて視度調整が行われ、受光系等の光学系の配置関係が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、制御部は、被検眼の角膜の形状を表す角膜情報に応じて遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更してもよい。
このような構成によれば、被検眼の角膜の形状によって当該角膜よる反射像の共役点の位置が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、操作部(UI部230に含まれる操作デバイス)を含み、角膜情報は、操作部を用いて指定されてもよい。
このような構成によれば、指定された被検眼の角膜の形状によって当該角膜よる反射像の共役点の位置が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、第2光源(OCT光源151)からの光(光L0)に基づく測定光(測定光LS)を被検眼に投射し、その戻り光と第2光源からの光に基づく参照光(参照光LR)との干渉光(干渉光LC)を受光する干渉光学系(干渉光学系150)と、干渉光学系による受光結果に基づいて角膜情報を求める角膜情報算出部(角膜情報算出部220A)と、を含んでもよい。
このような構成によれば、干渉光学系により被検眼の角膜情報を求め、求められた角膜情報に応じて遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更するようにしたので、被検眼の角膜の形状によって当該角膜よる反射像の共役点の位置が変化する場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、遮光部材の位置の変更は、受光系の光軸に沿った方向における位置の変更を含んでもよい。
このような構成によれば、受光系の光軸に沿った方向に遮光部材の位置を変更するようにしたので、光学系の配置関係が変化する場合や角倍率や収差が変化する場合であっても簡素な構成でゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、遮光部材の位置の変更は、受光系の光路への挿入及び当該光路からの退避の少なくとも一方を含んでもよい。
このような構成によれば、受光系の光路に対して遮光部材を挿脱させるようにしたので、光学系の配置関係が変化する場合や角倍率や収差が変化する場合であっても簡素な構成でゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、投射系は、第1波長帯光(赤色SLO光)及び第2波長帯光(緑色SLO光)を含む光を被検眼に投射し、遮光部材は、第1波長帯光の戻り光の一部を遮光する第1遮光領域が設けられた第1遮光部材(黒点板138R)と、第2波長帯光の戻り光の一部を遮光する第2遮光領域が設けられた第2遮光部材(黒点板138G)とを含み、制御部は、第1遮光部材の位置、第1遮光領域の位置及び第1遮光領域の形態の少なくとも1つを変更する第1遮光制御を実行し、第2遮光部材の位置、第2遮光領域及び第2遮光領域の形態の少なくとも1つを変更する第2遮光制御を実行してもよい。
このような構成によれば、波長帯ごとに遮光部材を設け、遮光部材の位置、遮光領域の位置及び遮光領域の形態の少なくとも1つを変更するようにしたので、波長ごとに異なる位置に角膜よる反射像が形成される場合であってもゴーストの描出が抑制された画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、投射系(SLO光源131、コリメートレンズ132、光スキャナ136及びレンズ137)の光路に受光系(検出器135、共焦点絞り134及び集光レンズ133)の光路を結合する光路結合部材(ビームスプリッタBS2)を含み、受光系は、第1遮光部材を通過又は反射した第1波長帯光の戻り光と第2遮光部材を通過又は反射した第2波長帯光の戻り光とを検出する検出器(検出器135)を含み、第1遮光部材及び第2遮光部材は、光路結合部材と検出器との間に配置されていてもよい。
このような構成によれば、受光系の光路上に複数の遮光部材を配置し、検出器を共用化するようにしたので、構成を簡素化することができる。
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、投射系により投射された光の被検眼の角膜からの反射光により形成された像をリレーするリレー光学系(リレー光学系139)を含み、遮光部材は、像が形成された位置と光学的に共役な位置に配置されていてもよい。
このような構成によれば、角膜よる反射像の共役点の位置をリレー光学系によりリレーするようにしたので、受光系の光学素子の配置の自由度を向上させることができる。