JP2017147450A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用的な高電流密度領域において効率的に発光する有機EL素子を提供する。【解決手段】一対の電極間に有機化合物層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機化合物層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含む発光層を有し、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)、前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(H2)および前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(D)が、特定の関係を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。【選択図】図8
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子、及び三重項励起子が25%:75%の割合で生成する。発光原理に従って分類した場合、蛍光型では、一重項励起子による発光を用いるため、有機EL素子の内部量子効率は25%が限界といわれている。一方、燐光型では、三重項励起子による発光を用いるため、一重項励起子から項間交差が効率的に行われた場合には内部量子効率が100%まで高められることが知られている。
蛍光型の有機EL素子は、近年、長寿命化技術が進展し、携帯電話やテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるものの、高効率化が課題であった。
蛍光型の有機EL素子は、近年、長寿命化技術が進展し、携帯電話やテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるものの、高効率化が課題であった。
このような背景から、遅延蛍光を利用した高効率の蛍光型の有機EL素子が提案され、開発がなされている。例えば、特許文献1および特許文献2には、遅延蛍光のメカニズムの一つであるTTF(Triplet−Triplet Fusion)機構を利用した有機EL素子が開示されている。TTF機構は、2つの三重項励起子の衝突によって一重項励起子が生成する現象を利用するものである。
このTTF機構による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても理論的に内部量子効率を40%まで高めることができると考えられている。しかしながら、依然として燐光型発光に比べて高効率化の課題を有するものである。そこで、さらなる内部量子効率向上を図るべく、他の遅延蛍光のメカニズムを利用するものが検討されている。
このTTF機構による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても理論的に内部量子効率を40%まで高めることができると考えられている。しかしながら、依然として燐光型発光に比べて高効率化の課題を有するものである。そこで、さらなる内部量子効率向上を図るべく、他の遅延蛍光のメカニズムを利用するものが検討されている。
例えば、TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)機構が挙げられる。このTADF機構は、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)の小さな材料を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生じる現象を利用するものである。このTADF機構を利用した有機EL素子は、例えば、非特許文献1に開示されている。非特許文献1の有機EL素子では、ドーパント材料にΔSTの小さい化合物を採用することで、熱エネルギーによる三重項準位から一重項準位への逆項間交差が生じる。このTADF機構による遅延蛍光を利用すると、蛍光型発光においても理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられている。
そして、非特許文献2の有機EL素子には、特定のホスト材料にスピロ骨格を有する特定の化合物をドーパント材料として用いたドープ膜を有する有機EL素子が記載されている。この有機EL素子は、TADF機構を利用することにより、高い外部量子収率を示す。
安達千波矢、外2名、「高効率熱活性化遅延蛍光の発現とOLEDへの応用」、有機EL討論会 第10回例会予稿集、2010年6月17日〜18日、p.11−12
安達千波矢、外2名、「スピロ骨格分子の熱活性化遅延化蛍光を利用した高効率蛍光EL素子の開発」、日本化学会、第92春季年回予稿集、2012年3月25日〜28日、3M3−37
しかしながら、非特許文献1および非特許文献2に記載の有機EL素子は、0.01mA/cm2という低電流密度領域で最大の発光効率を示すが、1mA/cm2〜10mA/cm2程度の実用的な高電流密度領域では、いわゆるロールオフが生じ、発光効率が低下する問題がある。
このため、TADF機構による遅延蛍光の利用については、まだ実用上の課題が多く残されていると考えられ、特に実用的な高電流密度領域における発光効率の向上が要望されている。
このため、TADF機構による遅延蛍光の利用については、まだ実用上の課題が多く残されていると考えられ、特に実用的な高電流密度領域における発光効率の向上が要望されている。
本発明は、実用的な高電流密度領域において効率的に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、一対の電極間に有機化合物層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機化合物層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含む発光層を有し、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)、前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(H2)および前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(D)が、下記数式(1)、(2)の関係を満たし、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)との差ΔST(H1)が、下記数式(3)の関係を満たし、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)および前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(D)が、下記数式(7)の関係を満たし、前記第三の材料は、蛍光発光を示す材料であることを特徴とする。
EgS(H1)>EgS(D) …(1)
EgS(H2)>EgS(D) …(2)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.3[eV]…(3)
Eg77K(H1)−Eg77K(D)>0.5[eV] …(7)
EgS(H1)>EgS(D) …(1)
EgS(H2)>EgS(D) …(2)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.3[eV]…(3)
Eg77K(H1)−Eg77K(D)>0.5[eV] …(7)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)との差ΔST(H1)が、下記数式(4)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.2[eV] …(4)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.2[eV] …(4)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)と前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(D)が、下記数式(5)の関係を満たすことが好ましい。
Eg77K(H2)<Eg77K(D) …(5)
Eg77K(H2)<Eg77K(D) …(5)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)および前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)が、下記数式(6)の関係を満たすことが好ましい。
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)>0.5[eV] …(6)
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)>0.5[eV] …(6)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、遅延蛍光比率が37.5%より大きく、前記遅延蛍光比率とは、遅延蛍光由来の発光強度比であり、この遅延蛍光由来の発光強度比は、過渡EL法により測定した過渡EL波形データを下記数式(14)でフィッティングし、パルス電圧を除去した時刻(t=0)における発光強度1/A2であることが好ましい。下記数式(14)中、Iは、遅延蛍光由来の発光強度であり、Aは定数である。
さらに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、過渡EL測定における電圧除去後1μs経過後の残存強度比が36.0%より大きく、前記残存強度比は、過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した時点における発光強度に対する、パルス電圧を除去したのち1μs経過後の発光強度の比であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が、50nm以上であることが好ましく、65nm以上であることが特に好ましい。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第三の材料の発光ピーク波長が、500nm以上600nm以下であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第三の材料が重金属錯体ではないことが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料が、遅延蛍光性を有することが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料が下記一般式(101)で表されることが好ましい。
下記一般式(101)において、A1及びA2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を表し、Y1〜Y4およびY13〜Y16は、互いに独立して、C(R)または窒素原子を表し、Y5〜Y8は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY9〜Y12のいずれかと結合する炭素原子を表し、Y9〜Y12は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY5〜Y8のいずれかと結合する炭素原子を表し、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、L1及びL2は、互いに独立して、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。前記L1およびL2の少なくとも一方が、下記一般式(a)で表される。下記一般式(a)において、Y21〜Y25は、互いに独立して、C(Ra)、窒素原子またはL3と結合する炭素原子を表し、Raは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Raにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、L3及びL4は、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または、当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
前記A1及びA2の少なくとも1つは、シアノ基であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が、50nm以上であることが好ましく、65nm以上であることが特に好ましい。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第三の材料の発光ピーク波長が、500nm以上600nm以下であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第三の材料が重金属錯体ではないことが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料が、遅延蛍光性を有することが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一の材料が下記一般式(101)で表されることが好ましい。
下記一般式(101)において、A1及びA2は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を表し、Y1〜Y4およびY13〜Y16は、互いに独立して、C(R)または窒素原子を表し、Y5〜Y8は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY9〜Y12のいずれかと結合する炭素原子を表し、Y9〜Y12は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY5〜Y8のいずれかと結合する炭素原子を表し、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、L1及びL2は、互いに独立して、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。前記L1およびL2の少なくとも一方が、下記一般式(a)で表される。下記一般式(a)において、Y21〜Y25は、互いに独立して、C(Ra)、窒素原子またはL3と結合する炭素原子を表し、Raは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Raにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、L3及びL4は、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または、当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
前記A1及びA2の少なくとも1つは、シアノ基であることが好ましい。
本発明によれば、実用的な高電流密度領域において効率的に発光する有機EL素子を提供することができる。
(有機EL素子の素子構成)
以下、本発明に係る有機EL素子の素子構成について説明する。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に有機化合物層を備える。この有機化合物層は、有機化合物で構成される層を少なくとも一層、有する。有機化合物層は、無機化合物を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子において、有機化合物層のうち少なくとも1層は、発光層を有する。そのため、有機化合物層は、例えば、一層の発光層で構成されていてもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層、電子障壁層等の公知の有機EL素子で採用される層を有していてもよい。
以下、本発明に係る有機EL素子の素子構成について説明する。
本発明の有機EL素子は、一対の電極間に有機化合物層を備える。この有機化合物層は、有機化合物で構成される層を少なくとも一層、有する。有機化合物層は、無機化合物を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子において、有機化合物層のうち少なくとも1層は、発光層を有する。そのため、有機化合物層は、例えば、一層の発光層で構成されていてもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層、電子障壁層等の公知の有機EL素子で採用される層を有していてもよい。
有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(d)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/障壁層/電子注入・輸送層/陰極
などの構造を挙げることができる。
上記の中で(d)の構成が好ましく用いられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
なお、上記「発光層」とは、一般的にドーピングシステムが採用されており、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含む有機化合物層である。第一の材料および第二の材料は、一般的に電子と正孔の再結合を促し、再結合により生じた励起エネルギーを第三の材料に伝達させる。このような第一の材料および第二の材料は、ホスト材料と呼ばれることが多く、以下の説明でも、第一の材料のことを第一ホスト材料、第二の材料のことを第二ホスト材料という。また、第三の材料は、一般的にホスト材料(第一の材料および第二の材料)から励起エネルギーを受け取り、高い発光性能を示す。このような第三の材料は、ドーパント材料と呼ばれることが多く、以下の説明でも、第三の材料のことをドーパント材料という。ドーパント材料としては、量子収率の高い化合物が好まれる。本発明では、少なくとも一つの発光層において、ドーパント材料として、蛍光発光を示す材料(蛍光発光性ドーパント材料)が用いられる。
上記「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層および電子輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。ここで、正孔注入層および正孔輸送層を有する場合には、陽極側に正孔注入層が設けられていることが好ましい。また、電子注入層および電子輸送層を有する場合には、陰極側に電子注入層が設けられていることが好ましい。
本発明において電子輸送層といった場合には、発光層と陰極との間に存在する電子輸送領域の有機層のうち、最も電子移動度の高い有機層をいう。電子輸送領域が一層で構成されている場合には、当該層が電子輸送層である。また、発光層と電子輸送層との間には、構成(e)に示すように発光層で生成された励起エネルギーの拡散を防ぐ目的で、必ずしも電子移動度の高くない障壁層が設けられることがある。そのため、発光層に隣接する有機層が電子輸送層に必ずしも該当しない。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(d)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/障壁層/電子注入・輸送層/陰極
などの構造を挙げることができる。
上記の中で(d)の構成が好ましく用いられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
なお、上記「発光層」とは、一般的にドーピングシステムが採用されており、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含む有機化合物層である。第一の材料および第二の材料は、一般的に電子と正孔の再結合を促し、再結合により生じた励起エネルギーを第三の材料に伝達させる。このような第一の材料および第二の材料は、ホスト材料と呼ばれることが多く、以下の説明でも、第一の材料のことを第一ホスト材料、第二の材料のことを第二ホスト材料という。また、第三の材料は、一般的にホスト材料(第一の材料および第二の材料)から励起エネルギーを受け取り、高い発光性能を示す。このような第三の材料は、ドーパント材料と呼ばれることが多く、以下の説明でも、第三の材料のことをドーパント材料という。ドーパント材料としては、量子収率の高い化合物が好まれる。本発明では、少なくとも一つの発光層において、ドーパント材料として、蛍光発光を示す材料(蛍光発光性ドーパント材料)が用いられる。
上記「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層および電子輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。ここで、正孔注入層および正孔輸送層を有する場合には、陽極側に正孔注入層が設けられていることが好ましい。また、電子注入層および電子輸送層を有する場合には、陰極側に電子注入層が設けられていることが好ましい。
本発明において電子輸送層といった場合には、発光層と陰極との間に存在する電子輸送領域の有機層のうち、最も電子移動度の高い有機層をいう。電子輸送領域が一層で構成されている場合には、当該層が電子輸送層である。また、発光層と電子輸送層との間には、構成(e)に示すように発光層で生成された励起エネルギーの拡散を防ぐ目的で、必ずしも電子移動度の高くない障壁層が設けられることがある。そのため、発光層に隣接する有機層が電子輸送層に必ずしも該当しない。
図1に、本発明の実施形態における有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機化合物層10と、を有する。
有機化合物層10は、ホスト材料およびドーパント材料を含む発光層5を有する。また、有機化合物層10は、発光層5と陽極3との間に、正孔輸送層6を有する。さらに、有機化合物層10は、発光層5と陰極4との間に、電子輸送層7を有する。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機化合物層10と、を有する。
有機化合物層10は、ホスト材料およびドーパント材料を含む発光層5を有する。また、有機化合物層10は、発光層5と陽極3との間に、正孔輸送層6を有する。さらに、有機化合物層10は、発光層5と陰極4との間に、電子輸送層7を有する。
(発光層)
本発明では、上記のとおり、特定の条件を満たす第一の材料である第一ホスト材料、第二の材料である第二ホスト材料、及び第三の材料であるドーパント材料が、発光層に用いられる。これらの材料および特定の条件について、次に説明する。
本発明では、上記のとおり、特定の条件を満たす第一の材料である第一ホスト材料、第二の材料である第二ホスト材料、及び第三の材料であるドーパント材料が、発光層に用いられる。これらの材料および特定の条件について、次に説明する。
発光層において、第一ホスト材料の一重項エネルギーEgS(H1)、第二ホスト材料の一重項エネルギーEgS(H2)およびドーパント材料の一重項エネルギーEgS(D)が、下記数式(1)、(2)の関係を満たし、第一ホスト材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、第一ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H
1)との差ΔST(H1)が、下記数式(3)の関係を満たす。
EgS(H1)>EgS(D) …(1)
EgS(H2)>EgS(D) …(2)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.3[eV]…(3)
1)との差ΔST(H1)が、下記数式(3)の関係を満たす。
EgS(H1)>EgS(D) …(1)
EgS(H2)>EgS(D) …(2)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.3[eV]…(3)
さらに、第一ホスト材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、第一ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)との差ΔST(H1)が、下記数式(4)の関係を満たす。
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.2[eV]…(4)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.2[eV]…(4)
第二ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)とドーパント材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(D)が、下記数式(5)の関係を満たす。
Eg77K(H2)<Eg77K(D) …(5)
Eg77K(H2)<Eg77K(D) …(5)
第二ホスト材料とドーパント材料のエネルギーギャップが上記数式(5)を満たすことにより、ドーパント材料の三重項準位から第二ホスト材料の三重項準位へのエネルギーの移動が可能となる。これにより、第二ホスト材料において、後述するTTF機構に寄与する第二ホスト材料の三重項励起子が増え、エネルギー移動がより効率よく行われる。
第一ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)および第二ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)が、下記数式(6)の関係を満たす。
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)>0.5[eV] …(6)
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)>0.5[eV] …(6)
第一ホスト材料と第二ホスト材料のエネルギーギャップが上記数式(6)を満たすことにより、第一ホスト材料の三重項励起子が第一ホスト材料の三重項準位から第二ホスト材料の三重項準位へ移動しにくくなり、第一ホスト材料からのエネルギー移動を抑えることができる。
エネルギーギャップEg77K(H1)およびエネルギーギャップEg77K(H2)は、さらに下記数式(6−1)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(6−2)の関係を満たすことが特に好ましい。
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.8[eV] …(6−1)
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.9[eV] …(6−2)
エネルギーギャップEg77K(H1)およびエネルギーギャップEg77K(H2)は、さらに下記数式(6−1)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(6−2)の関係を満たすことが特に好ましい。
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.8[eV] …(6−1)
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.9[eV] …(6−2)
第一ホスト材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)、およびドーパント材料の77[K]におけるEg77K(D)が、下記数式(7)の関係を満たす。
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(D)>0.5[eV] …(7)
第一ホスト材料とドーパント材料のエネルギーギャップが上記数式(7)を満たすことにより、第一ホスト材料の励起子が第一ホスト材料の三重項準位からドーパント材料の三重項準位へ移動しにくくなり、第一ホスト材料からのエネルギー移動を抑えることができる。
エネルギーギャップEg77K(H1)およびエネルギーギャップEg77K(D)は、さらに下記数式(7−1)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(7−2)の関係を満たすことが特に好ましい。
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.9[eV] …(7−1)
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧1.0[eV] …(7−2)
なお、第一ホスト材料と蛍光発光性ドーパント材料のエネルギーギャップの差Eg77K(H1)−Eg77K(D)をΔTと言う。
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(D)>0.5[eV] …(7)
第一ホスト材料とドーパント材料のエネルギーギャップが上記数式(7)を満たすことにより、第一ホスト材料の励起子が第一ホスト材料の三重項準位からドーパント材料の三重項準位へ移動しにくくなり、第一ホスト材料からのエネルギー移動を抑えることができる。
エネルギーギャップEg77K(H1)およびエネルギーギャップEg77K(D)は、さらに下記数式(7−1)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(7−2)の関係を満たすことが特に好ましい。
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧0.9[eV] …(7−1)
ΔT=Eg77K(H1)−Eg77K(H2)≧1.0[eV] …(7−2)
なお、第一ホスト材料と蛍光発光性ドーパント材料のエネルギーギャップの差Eg77K(H1)−Eg77K(D)をΔTと言う。
〔第一ホスト材料〕
・ΔST
第一ホスト材料として、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTとのエネルギー差(ΔST)が小さい化合物を用いると、高電流密度領域で有機EL素子が高効率で発光する。上記ΔST(H1)は、第一ホスト材料のΔSTについて示すものである。
一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTの差に値するΔSTを小さくするには、量子化学的には、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTにおける交換相互作用が小さいことで実現する。ΔSTと交換相互作用の関係性における物理的な詳細に関しては、例えば、
文献1:安達千波矢ら、有機EL討論会 第10回例会予稿集、S2−5,p11〜12
文献2:徳丸克己、有機光化学反応論、東京化学同人出版、(1973)
に記載されている。このような材料は、量子計算により分子設計を行い合成することが可能であり、具体的には、LUMO、及びHOMOの電子軌道を重ねないように局在化させた化合物である。
本発明の第一ホスト材料に用いるΔSTの小さな化合物の例としては、分子内でドナー要素とアクセプター要素とを結合した化合物であり、さらに電気化学的な安定性(酸化還元安定性)を考慮し、ΔSTが0eV以上0.3eV未満の化合物が挙げられる。
また、より好ましい化合物は、分子の励起状態で形成される双極子(ダイポール)が互いに相互作用し、交換相互作用エネルギーが小さくなるような会合体を形成する化合物である。本発明者らの検討によれば、このような化合物は、双極子(ダイポール)の方向がおおよそ揃い、分子の相互作用により、さらにΔSTが小さくなり得る。このような場合、ΔSTは、0eV以上0.2eV以下と極めて小さくなり得る。
・ΔST
第一ホスト材料として、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTとのエネルギー差(ΔST)が小さい化合物を用いると、高電流密度領域で有機EL素子が高効率で発光する。上記ΔST(H1)は、第一ホスト材料のΔSTについて示すものである。
一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTの差に値するΔSTを小さくするには、量子化学的には、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTにおける交換相互作用が小さいことで実現する。ΔSTと交換相互作用の関係性における物理的な詳細に関しては、例えば、
文献1:安達千波矢ら、有機EL討論会 第10回例会予稿集、S2−5,p11〜12
文献2:徳丸克己、有機光化学反応論、東京化学同人出版、(1973)
に記載されている。このような材料は、量子計算により分子設計を行い合成することが可能であり、具体的には、LUMO、及びHOMOの電子軌道を重ねないように局在化させた化合物である。
本発明の第一ホスト材料に用いるΔSTの小さな化合物の例としては、分子内でドナー要素とアクセプター要素とを結合した化合物であり、さらに電気化学的な安定性(酸化還元安定性)を考慮し、ΔSTが0eV以上0.3eV未満の化合物が挙げられる。
また、より好ましい化合物は、分子の励起状態で形成される双極子(ダイポール)が互いに相互作用し、交換相互作用エネルギーが小さくなるような会合体を形成する化合物である。本発明者らの検討によれば、このような化合物は、双極子(ダイポール)の方向がおおよそ揃い、分子の相互作用により、さらにΔSTが小さくなり得る。このような場合、ΔSTは、0eV以上0.2eV以下と極めて小さくなり得る。
・会合体
上述のように、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTとのエネルギー差(ΔST)を小さくするには、会合体を形成することによっても可能である。ここでの会合体とは、単純な1分子だけの電子状態を反映したものではなく、数分子が物理的に接近したものである。複数の分子が接近した結果、複数の分子間における電子状態が混ざり、電子状態が変化することによりエネルギー準位が変化し、主に一重項エネルギーの値が減少することで、ΔSTの値が小さくなると考えられる。このような会合体形成によるΔSTの値の減少は、2分子が接近した事により電子状態が変化するDavydov splitting modelによっても説明することができる(図2参照)。このDavydov splitting modelで示されるように、2分子が物理的に接近する事で、1分子と異なる電子状態の変化が考えられる。励起一重項状態がS1‐m+、及びS1‐m−の2つの状態で存在し、励起三重項状態がT1‐m+、及びT1‐m−の2つの状態で存在する。この結果、エネルギー準位が低いS1‐m−、及びT1‐m−が存在する事により、S1‐m−とT1‐m−との差であるΔSTの大きさは、1分子での電子状態と比べて、小さくなる。
上記Davydov splitting modelについては、例えば、
文献3:J. Kang, et al, International Journal of Polymer Science, Volume 2010,Article ID 264781,
文献4:M. Kasha, et al, Pure and Applied Chemistry, Vol.11, pp371, 1965
文献5:S. Das, et al, J. Phys. Chem. B., vol.103, pp209, 1999
に記載されている。
また、本発明者は薄膜中に会合体を形成しやすい化合物を用いることによって、励起一重項状態と励起三重項状態の副準位を利用し、結果的に薄膜中の分子や会合体による逆項間交差が促進される可能性を見出した。
例えば、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が大きい化合物は、当該化合物の薄膜内において会合体を形成し易いと考えられる。また、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅の大きさと会合体の形成し易さとの関連性は、次のように推測できる。
会合体を形成せずに主として1分子状態で存在する性質の化合物については、励起一重項状態における振動準位の存在が少なく、その結果、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が狭く観測される。例えば、CBP(4,4’−bis[9−dicarbazolyl]−2,2’−biphenyl)は、主として1分子状態で存在する性質を有し、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅の大きさは、50nm程度である。
一方、会合体を形成し易い化合物については、複数の分子が電子的に影響しあう事により、励起一重項状態に多くの振動準位が存在する。この結果、各振動準位から基底状態に緩和する状態が多くなるので、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が大きくなる。
このような会合体を形成しやすい化合物は、励起三重項状態においても多くの振動準位が存在すると予想される。その結果、励起一重項状態と励起三重項状態との間に副準位が多く存在することになるため、この副準位を介在して熱的なΔSTが小さくなり、逆項間交差が促進されると考えられる。
上述のように、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTとのエネルギー差(ΔST)を小さくするには、会合体を形成することによっても可能である。ここでの会合体とは、単純な1分子だけの電子状態を反映したものではなく、数分子が物理的に接近したものである。複数の分子が接近した結果、複数の分子間における電子状態が混ざり、電子状態が変化することによりエネルギー準位が変化し、主に一重項エネルギーの値が減少することで、ΔSTの値が小さくなると考えられる。このような会合体形成によるΔSTの値の減少は、2分子が接近した事により電子状態が変化するDavydov splitting modelによっても説明することができる(図2参照)。このDavydov splitting modelで示されるように、2分子が物理的に接近する事で、1分子と異なる電子状態の変化が考えられる。励起一重項状態がS1‐m+、及びS1‐m−の2つの状態で存在し、励起三重項状態がT1‐m+、及びT1‐m−の2つの状態で存在する。この結果、エネルギー準位が低いS1‐m−、及びT1‐m−が存在する事により、S1‐m−とT1‐m−との差であるΔSTの大きさは、1分子での電子状態と比べて、小さくなる。
上記Davydov splitting modelについては、例えば、
文献3:J. Kang, et al, International Journal of Polymer Science, Volume 2010,Article ID 264781,
文献4:M. Kasha, et al, Pure and Applied Chemistry, Vol.11, pp371, 1965
文献5:S. Das, et al, J. Phys. Chem. B., vol.103, pp209, 1999
に記載されている。
また、本発明者は薄膜中に会合体を形成しやすい化合物を用いることによって、励起一重項状態と励起三重項状態の副準位を利用し、結果的に薄膜中の分子や会合体による逆項間交差が促進される可能性を見出した。
例えば、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が大きい化合物は、当該化合物の薄膜内において会合体を形成し易いと考えられる。また、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅の大きさと会合体の形成し易さとの関連性は、次のように推測できる。
会合体を形成せずに主として1分子状態で存在する性質の化合物については、励起一重項状態における振動準位の存在が少なく、その結果、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が狭く観測される。例えば、CBP(4,4’−bis[9−dicarbazolyl]−2,2’−biphenyl)は、主として1分子状態で存在する性質を有し、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅の大きさは、50nm程度である。
一方、会合体を形成し易い化合物については、複数の分子が電子的に影響しあう事により、励起一重項状態に多くの振動準位が存在する。この結果、各振動準位から基底状態に緩和する状態が多くなるので、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が大きくなる。
このような会合体を形成しやすい化合物は、励起三重項状態においても多くの振動準位が存在すると予想される。その結果、励起一重項状態と励起三重項状態との間に副準位が多く存在することになるため、この副準位を介在して熱的なΔSTが小さくなり、逆項間交差が促進されると考えられる。
なお、本発明における会合体とは、単分子同士が任意の会合体を形成することを意味している。すなわち、特定の会合状態を示すものではない。有機分子の会合状態は、薄膜中では確率的に様々な状態を許容するものであり、無機分子とは大きくこの点を異にする。
・TADF機構
前述したとおり、有機材料のΔST(H1)が小さいと、外部から与えられる熱エネルギーによって、第一ホスト材料の三重項準位から第一ホスト材料の一重項準位への逆項間交差が起こり易くなる。ここで、有機EL素子内部の電気励起された励起子の励起三重項状態が、逆項間交差によって、励起一重項状態へスピン交換がされるエネルギー状態変換機構をTADF機構と呼ぶ。
本発明では、第一ホスト材料にΔST(H1)が小さい化合物を用いるため、外部から与えられる熱エネルギーによって、第一ホスト材料の三重項準位から第一ホスト材料の一重項準位への逆項間交差が起こり易くする。
図3は、発光層における第一ホスト材料、及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示す図である。図3において、S0は、基底状態を表し、S1H1は、第一ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、T1H1は、第一ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、S1Dは、ドーパント材料の最低励起一重項状態を表し、T1Dは、ドーパント材料の最低励起三重項状態を表す。図3に示すように、S1H1とT1H1との差がΔST(H1)に相当し、S1H1とS0との差がEgS(H1)に相当し、S1DとS0との差がEgS(D)に相当し、T1H1とT1Dとの差がΔTに相当する。図3中の破線矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表す。
上記のとおり、本発明の第一ホスト材料に用いる化合物として選択されるのは、ΔST(H1)の小さい化合物である。何故なら、ΔST(H1)の小さな材料では、最低励起三重項状態T1H1に生じた三重項励起子が熱エネルギーにより、第一ホスト材料の最低励起一重項状態S1H1に逆項間交差する現象が起こり易くなると考えられるからである。ΔST(H1)が小さいため、例えば、室温程度でも逆項間交差が起こり易くなる。このような逆項間交差が起こり易くなれば、第一ホスト材料から蛍光発光性のドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dへとフェルスター移動によりエネルギー移動する割合も増え、結果として蛍光型の有機EL素子の発光効率が向上する。
つまり、第一ホスト材料にΔST(H1)が小さい化合物を用いることで、TADF機構に由来する発光が増え、結果として遅延蛍光比率が大きくなる。遅延蛍光比率が大きくなれば、高い内部量子効率を得ることができる。なお、このTADF機構による遅延蛍光を利用することにより、理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられる。
前述したとおり、有機材料のΔST(H1)が小さいと、外部から与えられる熱エネルギーによって、第一ホスト材料の三重項準位から第一ホスト材料の一重項準位への逆項間交差が起こり易くなる。ここで、有機EL素子内部の電気励起された励起子の励起三重項状態が、逆項間交差によって、励起一重項状態へスピン交換がされるエネルギー状態変換機構をTADF機構と呼ぶ。
本発明では、第一ホスト材料にΔST(H1)が小さい化合物を用いるため、外部から与えられる熱エネルギーによって、第一ホスト材料の三重項準位から第一ホスト材料の一重項準位への逆項間交差が起こり易くする。
図3は、発光層における第一ホスト材料、及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示す図である。図3において、S0は、基底状態を表し、S1H1は、第一ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、T1H1は、第一ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、S1Dは、ドーパント材料の最低励起一重項状態を表し、T1Dは、ドーパント材料の最低励起三重項状態を表す。図3に示すように、S1H1とT1H1との差がΔST(H1)に相当し、S1H1とS0との差がEgS(H1)に相当し、S1DとS0との差がEgS(D)に相当し、T1H1とT1Dとの差がΔTに相当する。図3中の破線矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表す。
上記のとおり、本発明の第一ホスト材料に用いる化合物として選択されるのは、ΔST(H1)の小さい化合物である。何故なら、ΔST(H1)の小さな材料では、最低励起三重項状態T1H1に生じた三重項励起子が熱エネルギーにより、第一ホスト材料の最低励起一重項状態S1H1に逆項間交差する現象が起こり易くなると考えられるからである。ΔST(H1)が小さいため、例えば、室温程度でも逆項間交差が起こり易くなる。このような逆項間交差が起こり易くなれば、第一ホスト材料から蛍光発光性のドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dへとフェルスター移動によりエネルギー移動する割合も増え、結果として蛍光型の有機EL素子の発光効率が向上する。
つまり、第一ホスト材料にΔST(H1)が小さい化合物を用いることで、TADF機構に由来する発光が増え、結果として遅延蛍光比率が大きくなる。遅延蛍光比率が大きくなれば、高い内部量子効率を得ることができる。なお、このTADF機構による遅延蛍光を利用することにより、理論的に内部量子効率を100%まで高めることができると考えられる。
一方、図4は、特許文献1に記載のTADF機構における発光層の第一ホスト材料、及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示すものである。図4において、S0、S1H1、T1H1、S1D、T1Dは、図3と同義であり、破線の矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表す。図4に示すように、非特許文献1に記載のTADF機構では、ドーパント材料としてΔST(D)の小さな材料を用いる。これにより、第一ホスト材料の最低励起三重項状態T1H1からのデクスター移動によりドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dまたは最低励起三重項状態T1Dにエネルギー移動する。さらにドーパント材料の最低励起三重項状態T1Dは熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1Dに逆項間交差することが可能であり、この結果、ドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dからの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
ここで本発明者らは、非特許文献1に記載されるようなΔST(H1)が小さい蛍光発光性化合物を第一ホスト材料として、ホスト−ドーパントシステムに採用する。その理由は、以下に詳述する通りである。
第一に、ドーパント材料上でのTADF機構によるエネルギー状態の変換を考えた場合、ドーパント材料は蛍光発光をするため、比較的高い一重項エネルギーを有するとともに、同程度の三重項エネルギーを有することになる。該三重項エネルギーを発光層内に有効に閉じ込めるためには、より大きい三重項エネルギーを有する第一ホスト材料を選択する必要がある。ここで、該第一ホスト材料に一般的にΔSTの大きい通常の有機材料を用いることになれば、該第一ホスト材料の一重項エネルギー、すなわちHOMO準位とLUMO準位のエネルギー差は非常に大きいものとなる。この結果、該第一ホスト材料と、発光層に隣接するキャリア輸送層とのエネルギー差が大きくなるため、発光層へのキャリア注入が難しくなると考えられる。従って、本発明者らは、TADF機構によるエネルギー状態の変換は、第一ホスト材料上で行われるほうが好ましく、これによって発光層へのキャリア注入は有利になり、有機EL素子全体としてキャリアバランスが取りやすくなると考える。
第二に、ΔST(H1)が小さい蛍光発光性化合物を第一ホスト材料に用いることにより、高電流密度領域におけるTriplet−Triplet−Annihilationに起因する発光効率の低下を抑制することができると考える。ここでTriplet−Triplet−Annihilation(以下、TTAと呼ぶ)とは、分子上で生成した励起子寿命の長い三重項励起子が高密度で隣接することにより、励起子同士の衝突が起こって励起子が熱失活してしまう物理現象である。
本発明者らは、第一ホスト材料からドーパント材料へ三重項エネルギーが遷移しにくいホスト−ドーパントシステムにおいては、高電流密度領域における発光効率の低下をある程度抑制することができると考える。本発明では、ΔSTが小さい化合物を発光層の第一ホスト材料に用いており、第一ホスト材料の三重項励起準位はTADF機構によって一重項励起準位へ逆項間交差後、ドーパント材料の一重項励起準位にエネルギー移動する。従って、生成された三重項励起子は、発光層中において存在比が大きい第一ホスト材料上で三重項励状態が保たれることになる。一方、ΔSTが小さい化合物を発光層のドーパント材料に用いる場合、生成された三重項励起子は、発光層中において存在比が極めて小さいドーパント材料上で三重項励状態が保たれることになる。即ち、高電流領域の有機EL素子の駆動においては、三重項励起状態がドーパント材料上に集中しないようなシステムを設計することが好ましいと考え、本発明ではΔST(H1)が小さい化合物を第一ホスト材料として採用する。
本発明者らは、第一ホスト材料からドーパント材料へ三重項エネルギーが遷移しにくいホスト−ドーパントシステムにおいては、高電流密度領域における発光効率の低下をある程度抑制することができると考える。本発明では、ΔSTが小さい化合物を発光層の第一ホスト材料に用いており、第一ホスト材料の三重項励起準位はTADF機構によって一重項励起準位へ逆項間交差後、ドーパント材料の一重項励起準位にエネルギー移動する。従って、生成された三重項励起子は、発光層中において存在比が大きい第一ホスト材料上で三重項励状態が保たれることになる。一方、ΔSTが小さい化合物を発光層のドーパント材料に用いる場合、生成された三重項励起子は、発光層中において存在比が極めて小さいドーパント材料上で三重項励状態が保たれることになる。即ち、高電流領域の有機EL素子の駆動においては、三重項励起状態がドーパント材料上に集中しないようなシステムを設計することが好ましいと考え、本発明ではΔST(H1)が小さい化合物を第一ホスト材料として採用する。
第三に、三重項準位から一重項準位への逆項間交差を起こす材料を第一ホスト材料に採用することで、ドーパント材料に発光量子収率の高い材料を簡便に選択することができる。この結果、ドーパント材料にエネルギー移動した一重項励起子は速やかに発光緩和するので、高電流密度領域におけるエネルギークエンチの抑制が可能である。一般に、蛍光素子におけるホスト−ドーパントシステムでは、第一ホスト材料は、キャリア輸送機能と励起子生成機能とを有し、ドーパント材料は、発光機能を有する。これは、発光層におけるキャリア輸送機能と発光機能とを機能分離するものであって、発光量子収率の高いドーパント材料を発光層に少量ドーピングすることによって、効果的な有機EL発光を促すものである。本発明の発光層では、一般的な発光層の機能に加え、TADF機構による逆項間交差を引き起こす機能が求められる。本発明者らは、TADF機構による逆項間交差を引き起こす機能を第一ホスト材料に求めることによって、有機EL素子の発光効率に大きく寄与する、高い発光量子収率を有するドーパント材料の選択性を増やした。これにより、従来から高効率として知られる蛍光発光性のドーパント材料を選択することができる。
・EgTとEg77Kとの関係
ここで、本発明ではΔSTが所定値以下である化合物を用いており、上記した三重項エネルギーEgTは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。この点について、以下に説明する。
一般に、三重項エネルギーは、測定対象となる化合物を溶媒に溶解させた試料を低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。
ここで、本発明の第一ホスト材料に用いる化合物は、上記のとおりΔSTが小さい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態、及び励起三重項状態の両者からの発光を含んだものとなり、いずれの状態から発光したものかについて峻別することは困難であるが、基本的には3重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本発明では、通常の三重項エネルギーEgTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、測定対象となる化合物を溶媒に溶解させた試料について低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出されるエネルギー量をエネルギーギャップEg77Kとし、ΔSTを一重項エネルギーEgSとエネルギーギャップEg77Kとの差として定義する。それゆえ、ΔST(H1)については、上記式(3)のように表される。
ここで、本発明ではΔSTが所定値以下である化合物を用いており、上記した三重項エネルギーEgTは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。この点について、以下に説明する。
一般に、三重項エネルギーは、測定対象となる化合物を溶媒に溶解させた試料を低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。
ここで、本発明の第一ホスト材料に用いる化合物は、上記のとおりΔSTが小さい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態、及び励起三重項状態の両者からの発光を含んだものとなり、いずれの状態から発光したものかについて峻別することは困難であるが、基本的には3重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本発明では、通常の三重項エネルギーEgTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、測定対象となる化合物を溶媒に溶解させた試料について低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出されるエネルギー量をエネルギーギャップEg77Kとし、ΔSTを一重項エネルギーEgSとエネルギーギャップEg77Kとの差として定義する。それゆえ、ΔST(H1)については、上記式(3)のように表される。
また、溶液状態における三重項エネルギーの測定には、対象分子と溶媒との間における相互作用により三重項エネルギーに誤差を含む場合がある。そのため理想的な条件としては、対象分子と溶媒との相互作用を除くため、薄膜状態における測定が望まれる。しかしながら、本発明で第一ホスト材料に用いられる化合物の分子は、溶液状態において幅広い半値幅を有するフォトルミネッセンススペクトルを示すことから、溶液状態においても会合状態を形成していることが強く示唆される。そのため、薄膜状態と同等の条件と考えられることから、本発明では、三重項エネルギーについて溶液条件で測定した値を用いることにした。
・一重項エネルギーEgS
一重項エネルギーEgSについては、本発明においても通常の手法と同様にして算出されるもので定義される。すなわち、測定対象となる化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸光度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。また、会合体を形成する場合の、EgSは、上記Davydov splitting modelにおけるS1‐m−と基
底状態S0とのエネルギーギャップに対応する。
なお、一重項エネルギーEgS、及びエネルギーギャップEg77Kの具体的な算出については、後述する。
一重項エネルギーEgSについては、本発明においても通常の手法と同様にして算出されるもので定義される。すなわち、測定対象となる化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:吸光度、横軸:波長とする。)を測定する。この吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値に基づいて、所定の換算式から算出される。また、会合体を形成する場合の、EgSは、上記Davydov splitting modelにおけるS1‐m−と基
底状態S0とのエネルギーギャップに対応する。
なお、一重項エネルギーEgS、及びエネルギーギャップEg77Kの具体的な算出については、後述する。
・遅延蛍光比率
本発明の有機EL素子によれば、遅延蛍光の比率が、TTF機構のみで遅延蛍光が起こっていると仮定した場合の遅延蛍光の比率(TTF比率)の理論値上限を上回る。つまり、本発明によれば、より高い内部量子効率の有機EL素子を実現することができる。
本発明の有機EL素子によれば、遅延蛍光の比率が、TTF機構のみで遅延蛍光が起こっていると仮定した場合の遅延蛍光の比率(TTF比率)の理論値上限を上回る。つまり、本発明によれば、より高い内部量子効率の有機EL素子を実現することができる。
遅延蛍光比率は、過渡EL法により測定することができる。過渡EL法とは、素子に印加しているパルス電圧を除去した後のEL発光の減衰挙動(過渡特性)を測定する手法である。EL発光強度は、最初の再結合で生成する一重項励起子からの発光成分と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光成分に分類される。最初の再結合で生成する一重項励起子の寿命は、ナノ秒オーダーであり非常に短いため、最初の再結合で生成する一重項励起子からの発光は、パルス電圧除去後、速やかに減衰する。
一方、遅延蛍光は、寿命の長い三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光のため、ゆるやかに減衰する。このように、最初の再結合で生成する一重項励起子からの発光と三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光とは時間的に大きな差があるため、遅延蛍光由来の発光強度を求めることができる。具体的には以下の方法により決定することができる。
過渡EL波形は以下のようにして測定する(図5参照)。電圧パルスジェネレータ(PG)11から出力されるパルス電圧波形を有機EL素子(EL)12に印加する。印加電圧波形をオシロスコープ(OSC)13に取り込む。パルス電圧を有機EL素子12に印加すると、有機EL素子12はパルス発光を生じる。この発光を、光電子増倍管(PMT)14を経由してオシロスコープ(OSC)13に取り込む。電圧波形とパルス発光を同期させてパーソナルコンピュータ(PC)15に取り込む。
過渡EL波形の解析により、遅延蛍光由来の発光強度比を以下のようにして定義する。なお、遅延蛍光由来の発光強度比を算出するのに、国際公開第2010/134352号に記載されるTTF比率の算出式を用いることができる。
ただし、本発明で定義される遅延蛍光成分とは、TTF由来の発光成分に加え、本発明が開示する熱活性化による遅延蛍光(TADF機構)が含まれると考えられる。従って、本発明では、以下の数式(14)から求められる遅延蛍光成分の比率をTTF比率とは呼ばず、遅延蛍光比率と呼ぶことにする。
遅延蛍光比率は、数式(14)を用いて求める。
ただし、本発明で定義される遅延蛍光成分とは、TTF由来の発光成分に加え、本発明が開示する熱活性化による遅延蛍光(TADF機構)が含まれると考えられる。従って、本発明では、以下の数式(14)から求められる遅延蛍光成分の比率をTTF比率とは呼ばず、遅延蛍光比率と呼ぶことにする。
遅延蛍光比率は、数式(14)を用いて求める。
数式(14)中、Iは、遅延蛍光由来の発光強度であり、Aは、定数である。そこで、測定した過渡EL波形データを数式(14)でフィッティングし、定数Aを求める。このときパルス電圧を除去した時刻t=0における発光強度1/A2が遅延蛍光由来の発光強度比と定義する。
図6(A)のグラフは、有機EL素子に所定のパルス電圧を印加し、その後電圧を除去した時の過渡EL波形の測定例であり、有機EL素子の発光強度の時間変化を表したものである。
図6(A)のグラフにて、時刻約3×10−8秒のところでパルス電圧を除去した。なお、図6(A)のグラフは電圧を除去した時の輝度を1として表したものである。
電圧除去後、約2×10−7秒までの急速な減衰の後、緩やかな減衰成分が現れる。
図6(A)のグラフにて、時刻約3×10−8秒のところでパルス電圧を除去した。なお、図6(A)のグラフは電圧を除去した時の輝度を1として表したものである。
電圧除去後、約2×10−7秒までの急速な減衰の後、緩やかな減衰成分が現れる。
図6(B)のグラフは、電圧除去時点を原点にとり、電圧除去後、1.5×10−5秒までの光強度の平方根の逆数をプロットしたグラフである。フィッティングは以下のように行う。
直線部分を時間原点へ延長したときの縦軸との交点Aの値は1.55である。すると、この過渡EL波形から得られる遅延蛍光由来の発光強度比は、1/(1.55)2=0.41となる。つまり、41%が遅延蛍光由来であることになる。すなわち、TTF比率の理論限界と考えられる37.5%を超えるものである。
過渡EL波形から得られる遅延蛍光由来の発光強度は、測定する温度により変化している。このような現象は、主にTADF機構による蛍光発光特有のものと考えられる。
直線へのフィッティングは、最小二乗法により行うことが好ましい。
この場合、10−5秒までの値を用いてフィッティングすることが好ましい。
直線部分を時間原点へ延長したときの縦軸との交点Aの値は1.55である。すると、この過渡EL波形から得られる遅延蛍光由来の発光強度比は、1/(1.55)2=0.41となる。つまり、41%が遅延蛍光由来であることになる。すなわち、TTF比率の理論限界と考えられる37.5%を超えるものである。
過渡EL波形から得られる遅延蛍光由来の発光強度は、測定する温度により変化している。このような現象は、主にTADF機構による蛍光発光特有のものと考えられる。
直線へのフィッティングは、最小二乗法により行うことが好ましい。
この場合、10−5秒までの値を用いてフィッティングすることが好ましい。
ここで、遅延蛍光による発光メカニズムを持つTTF機構について、図7を用いて説明する。図7は、TTF機構を利用した有機EL素子におけるホスト材料、及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示したものである。図7において、S0、S1H、T1H、S1D、T1Dは、図3と同義である。図7において、矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表す。
上記したように、TTF機構は、2つの三重項励起子の衝突によって、一重項励起子が生成する現象を利用するものである。図7に示すように、ホスト材料の最低励起三重項状態T1Hは、ドーパント材料の最低励起三重項状態T1Dよりも小さいことが好ましいとされる。この結果、三重項励起子は、ホスト材料分子上に集中する。これらの三重項励起子の密度が高まることで、三重項励起子同士が、効率的に対衝突を起していき、一部の三重項励起子は、一重項励起子に変化することになる。TTF機構によって生成されたホスト材料の最低励起一重項状態S1Hは、速やかにドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dへのフェルスター移動を起こし、ドーパント材料が蛍光発光をする。
上記したように、TTF機構は、2つの三重項励起子の衝突によって、一重項励起子が生成する現象を利用するものである。図7に示すように、ホスト材料の最低励起三重項状態T1Hは、ドーパント材料の最低励起三重項状態T1Dよりも小さいことが好ましいとされる。この結果、三重項励起子は、ホスト材料分子上に集中する。これらの三重項励起子の密度が高まることで、三重項励起子同士が、効率的に対衝突を起していき、一部の三重項励起子は、一重項励起子に変化することになる。TTF機構によって生成されたホスト材料の最低励起一重項状態S1Hは、速やかにドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dへのフェルスター移動を起こし、ドーパント材料が蛍光発光をする。
なお、TTF比率の理論値上限は、次のようにして求めることができる。
S.M.Bachiloらによれば(J.Phys.Cem.A,104,7711(2000))、五重項等の高次の励起子が、すぐに三重項に戻ると仮定すると、三重項励起子(以下、3A*と記載する)の密度が上がってきたとき、三重項励起子同士が衝突し、下記数式(15)のような反応が起きる。ここで、1Aは、基底状態を表し、1A*は、最低励起一重項励起子を表す。
S.M.Bachiloらによれば(J.Phys.Cem.A,104,7711(2000))、五重項等の高次の励起子が、すぐに三重項に戻ると仮定すると、三重項励起子(以下、3A*と記載する)の密度が上がってきたとき、三重項励起子同士が衝突し、下記数式(15)のような反応が起きる。ここで、1Aは、基底状態を表し、1A*は、最低励起一重項励起子を表す。
すなわち、
53A*→41A+1A*
となり、当初生成した75%の三重項励起子のうち、1/5、つまり20%が一重項励起子に変化することが予測されている。
従って、光として寄与する一重項励起子は、当初生成する25%分に75%×(1/5)=15%を加えた40%ということになる。
このとき、全発光強度中に占めるTTF由来の発光比率(TTF比率)は、15/40、すなわち37.5%となる。よって、本発明の有機EL素子の遅延蛍光比率は、TTF比率のみの理論値上限を上回ることが分かる。
53A*→41A+1A*
となり、当初生成した75%の三重項励起子のうち、1/5、つまり20%が一重項励起子に変化することが予測されている。
従って、光として寄与する一重項励起子は、当初生成する25%分に75%×(1/5)=15%を加えた40%ということになる。
このとき、全発光強度中に占めるTTF由来の発光比率(TTF比率)は、15/40、すなわち37.5%となる。よって、本発明の有機EL素子の遅延蛍光比率は、TTF比率のみの理論値上限を上回ることが分かる。
・1μsにおける残存強度比
遅延蛍光の大きさを相対的に知る方法としては、1μsにおける残存強度を測定することが挙げられる。1μsにおける残存強度比は、過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した時点における発光強度に対する、パルス電圧を除去したのち1μs経過後の発光強度の比と定義する。過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した後のEL発光の減衰挙動から、相対的な遅延蛍光の量を見積もることができる。1μsにおける残存強度比
は、図6(A)のグラフにおける1.0μs時の発光強度を読み取ることにより取得できる。
なお、1μsにおける残存強度比は、36.0%より大きいことが好ましく、38.0%以上であることがさらに好ましい。
遅延蛍光の大きさを相対的に知る方法としては、1μsにおける残存強度を測定することが挙げられる。1μsにおける残存強度比は、過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した時点における発光強度に対する、パルス電圧を除去したのち1μs経過後の発光強度の比と定義する。過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した後のEL発光の減衰挙動から、相対的な遅延蛍光の量を見積もることができる。1μsにおける残存強度比
は、図6(A)のグラフにおける1.0μs時の発光強度を読み取ることにより取得できる。
なお、1μsにおける残存強度比は、36.0%より大きいことが好ましく、38.0%以上であることがさらに好ましい。
・ΔT
本発明において、第一ホスト材料の三重項エネルギーEg77K(H1)と、ドーパント材料の三重項エネルギーEg77K(D)との差ΔTが、上記数式(7)の関係を満たすことが好ましい。また、ΔTが、0.5eVより大きいことが好ましく、0.8eV以上であることがより好ましく、1.0eV以上であることがさらに好ましい。
ΔTが数式(7)の関係を満たすことで、再結合により生成した第一ホスト材料上の三重項励起子が、ドーパント材料の三重項準位にエネルギー移動し難くなり、三重項励起子が熱失活し難くなると考えられるからである。その結果、ドーパント材料が効率良く蛍光発光する。
本発明において、第一ホスト材料の三重項エネルギーEg77K(H1)と、ドーパント材料の三重項エネルギーEg77K(D)との差ΔTが、上記数式(7)の関係を満たすことが好ましい。また、ΔTが、0.5eVより大きいことが好ましく、0.8eV以上であることがより好ましく、1.0eV以上であることがさらに好ましい。
ΔTが数式(7)の関係を満たすことで、再結合により生成した第一ホスト材料上の三重項励起子が、ドーパント材料の三重項準位にエネルギー移動し難くなり、三重項励起子が熱失活し難くなると考えられるからである。その結果、ドーパント材料が効率良く蛍光発光する。
・第一ホスト材料として用いられる化合物
上記数式(1),(2)〜(4),(6)〜(7)を満たす第一ホスト材料としては、第二ホスト材料およびドーパント材料との組み合わせにおいて、カルバゾール誘導体、ビスカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体などから選ばれることが好ましい。これらの誘導体は、適宜、置換基を保有してもよい。
置換基としては、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、シアノ基等があげられる。この置換基におけるトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基は、炭素数1〜30のアルキル基、及び炭素数6〜30のアリール基の少なくともいずれかを含む。なお、この置換基におけるアリール基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
また、ホスト材料として好ましくは、カルバゾール構造、ビスカルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造から選ばれる少なくとも1種と、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造から選ばれる少なくとも1種とが結合した構造の化合物が挙げられる。
これらの構造が結合するとは各種、連結基で結合することを意味する。好ましい連結基は、単結合、フェニレン構造、メタビフェニレン構造である。
カルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造とは、それぞれ、インドロカルバゾール、アクリジン、オキサジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ジベンゾフランを部分構造とするものも含む環構造をいう。
また、カルバゾール構造、ビスカルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造は適宜、置換基を保有してもよい。
置換基としては、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、シアノ基等があげられる。この置換基におけるトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基は、炭素数1〜30のアルキル基、及び炭素数6〜30のアリール基の少なくともいずれかを含む。
なお、本発明において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、すなわち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、三重水素(tritium)、を包含する。
上記数式(1),(2)〜(4),(6)〜(7)を満たす第一ホスト材料としては、第二ホスト材料およびドーパント材料との組み合わせにおいて、カルバゾール誘導体、ビスカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体などから選ばれることが好ましい。これらの誘導体は、適宜、置換基を保有してもよい。
置換基としては、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、シアノ基等があげられる。この置換基におけるトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基は、炭素数1〜30のアルキル基、及び炭素数6〜30のアリール基の少なくともいずれかを含む。なお、この置換基におけるアリール基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
また、ホスト材料として好ましくは、カルバゾール構造、ビスカルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造から選ばれる少なくとも1種と、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造から選ばれる少なくとも1種とが結合した構造の化合物が挙げられる。
これらの構造が結合するとは各種、連結基で結合することを意味する。好ましい連結基は、単結合、フェニレン構造、メタビフェニレン構造である。
カルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造とは、それぞれ、インドロカルバゾール、アクリジン、オキサジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ジベンゾフランを部分構造とするものも含む環構造をいう。
また、カルバゾール構造、ビスカルバゾール構造、インドロカルバゾール構造、アクリジン構造、オキサジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造、ジベンゾフラン構造は適宜、置換基を保有してもよい。
置換基としては、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、シアノ基等があげられる。この置換基におけるトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基は、炭素数1〜30のアルキル基、及び炭素数6〜30のアリール基の少なくともいずれかを含む。
なお、本発明において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、すなわち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、三重水素(tritium)、を包含する。
上記第一ホスト材料は、分子内でドナー要素とアクセプター要素とを結合した化合物となる観点から下記一般式(101)で表されるビスカルバゾール誘導体が好ましい。
上記一般式(101)において、A1及びA2は、互いに独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の芳香族炭化水素基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の芳香族複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または
置換もしくは無置換のシリル基を表す。
但し、A1及びA2の少なくとも1つは、シアノ基であることが好ましい。
なお、A1及びA2における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の芳香族炭化水素基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の芳香族複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または
置換もしくは無置換のシリル基を表す。
但し、A1及びA2の少なくとも1つは、シアノ基であることが好ましい。
なお、A1及びA2における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
上記一般式(101)において、Y1〜Y4およびY13〜Y16は、互いに独立して、C(R)または窒素原子を表し、Y5〜Y8は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY9〜Y12のいずれかと結合する炭素原子を表し、Y9〜Y12は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY5〜Y8のいずれかと結合する炭素原子を表し、Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Rにおける置換基は、上述の第一ホスト材料で説明した置換基と同義である。
上記一般式(101)において、L1及びL2は、互いに独立して、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
なお、L1及びL2における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
なお、L1及びL2における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
また、前記L1及び前記L2の少なくとも一方が、下記一般式(a)で表されることが好ましい。
上記一般式(a)において、Y21〜Y25は、互いに独立して、C(Ra)、窒素原子またはL3と結合する炭素原子を表し、Raは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Raにおける置換基は、上述の第一ホスト材料で説明した置換基と同義である。
上記一般式(a)において、L3及びL4は、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
なお、L3及びL4における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
上記一般式(a)において、L3及びL4は、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
なお、L3及びL4における芳香族炭化水素基には、縮合芳香族炭化水素基も含まれ、芳香族複素環基には、縮合芳香族複素環基も含まれる。
〔第二ホスト材料〕
本発明における第二ホスト材料は、環形成炭素数10〜30の縮合芳香族炭化水素基であるか、又は環形成原子数8〜30の縮合芳香族複素環基を有する化合物である。
このような第二ホスト材料としては、例えば、下記一般式(20A),(20B),(20C),(20D)または(20E)で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。但し、本発明においては、これらの構造のアントラセン誘導体に限定されない。
本発明における第二ホスト材料は、環形成炭素数10〜30の縮合芳香族炭化水素基であるか、又は環形成原子数8〜30の縮合芳香族複素環基を有する化合物である。
このような第二ホスト材料としては、例えば、下記一般式(20A),(20B),(20C),(20D)または(20E)で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。但し、本発明においては、これらの構造のアントラセン誘導体に限定されない。
上記一般式(20A)において、R101およびR105は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基、単環基と縮合環基との組合せから構成される基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または置換もしくは無置換のシリル基を表す。
上記一般式(20A)において、Ar51およびAr54は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20A)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20A)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20A)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20A)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20B)において、Ar51は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20B)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20B)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20B)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20B)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20C)において、Ar52は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20C)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20C)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20C)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20C)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20D)において、Ar52は、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20D)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20D)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20D)において、Ar55は、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20D)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20E)において、Ar52およびAr55は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環二価残基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環二価残基である。
上記一般式(20E)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
上記一般式(20E)において、Ar53およびAr56は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の単環基、または置換もしくは無置換の環形成原子数8〜30の縮合環基である。
前記一般式(20A),(20B),(20C),(20D)および(20E)における、単環基とは、縮合構造を持たない環構造のみで構成される基である。
前記単環基の環形成原子数は、5〜30であり、好ましくは5〜20である。前記単環基として、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基等の芳香族基と、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、フリル基、チエニル基等の複素環基が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましい。
前記単環基の環形成原子数は、5〜30であり、好ましくは5〜20である。前記単環基として、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基等の芳香族基と、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、フリル基、チエニル基等の複素環基が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましい。
前記一般式(20A),(20B),(20C),(20D)および(20E)における、縮合環基とは、2つ以上の環構造が縮合した基である。
前記縮合環基の環形成原子数は、8〜30であり、好ましくは8〜20である。前記縮合環基として、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、クリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾフェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾクリセニル基、インデニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基等の縮合芳香族環基や、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、キノリル基、フェナントロリニル基等の縮合複素環基が挙げられる。これらの中でも、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基が好ましい。
前記縮合環基の環形成原子数は、8〜30であり、好ましくは8〜20である。前記縮合環基として、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、クリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾフェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾクリセニル基、インデニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基等の縮合芳香族環基や、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、キノリル基、フェナントロリニル基等の縮合複素環基が挙げられる。これらの中でも、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、カルバゾリル基が好ましい。
上記第二ホスト材料の中でも、第一ホスト材料およびドーパント材料との組み合わせにおいて、上記数式(2),(5),(6)の関係を満たす化合物が好ましい。
〔ドーパント材料〕
本発明における好ましいドーパント材料の特性としては、蛍光発光性で、かつ輻射遷移の速度定数が大きいものである。このような場合、ホスト材料で電気励起された一重項励起子およびTADF機構によって生成された一重項励起子等は、ドーパント材料の一重項励起子にフェルスターエネルギー移動し、ドーパント材料は速やかに発光する。即ち、ホスト材料上の三重項励起子がTTAを起こす前に、上記エネルギー遷移を経て蛍光発光することが可能となり、高電流密度領域の効率低下が大きく改善される可能性がある。
本発明における輻射遷移の速度定数が大きいドーパント材料は、ドーパント材料の蛍光寿命が、5ns以下となるものを選択することが好ましく、さらに、2ns以下となるものを選択することが好ましい。また、ドーパント材料の蛍光量子収率は、溶液状態で80%以上であることが好ましい。蛍光量子収率は、例えば、浜松ホトニクス(株)製、絶対PL量子収率測定装置 C9920−02を用い、トルエン溶液中の濃度が10−5〜10−6mol/lの範囲で測定することによって求めることができる。
また、輻射遷移の速度定数の大きいドーパント材料であることは、素子のELスペクトルを測定し、ドーパント材料の発光成分に対し、それ以外の発光成分が1/10以下であることを確認することからも推定される。
本発明における好ましいドーパント材料の特性としては、蛍光発光性で、かつ輻射遷移の速度定数が大きいものである。このような場合、ホスト材料で電気励起された一重項励起子およびTADF機構によって生成された一重項励起子等は、ドーパント材料の一重項励起子にフェルスターエネルギー移動し、ドーパント材料は速やかに発光する。即ち、ホスト材料上の三重項励起子がTTAを起こす前に、上記エネルギー遷移を経て蛍光発光することが可能となり、高電流密度領域の効率低下が大きく改善される可能性がある。
本発明における輻射遷移の速度定数が大きいドーパント材料は、ドーパント材料の蛍光寿命が、5ns以下となるものを選択することが好ましく、さらに、2ns以下となるものを選択することが好ましい。また、ドーパント材料の蛍光量子収率は、溶液状態で80%以上であることが好ましい。蛍光量子収率は、例えば、浜松ホトニクス(株)製、絶対PL量子収率測定装置 C9920−02を用い、トルエン溶液中の濃度が10−5〜10−6mol/lの範囲で測定することによって求めることができる。
また、輻射遷移の速度定数の大きいドーパント材料であることは、素子のELスペクトルを測定し、ドーパント材料の発光成分に対し、それ以外の発光成分が1/10以下であることを確認することからも推定される。
ドーパント材料として用いられる化合物
ドーパント材料としては、重金属錯体ではないドーパント材料、すなわち蛍光発光性材料を用いることができる。具体的には、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物もしくはその金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体が挙げられる。
ナフタレン誘導体としては、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体が挙げられ、アントラセン誘導体としては、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール基置換アントラセン誘導体が挙げられる。ピレン誘導体としては、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール基置換ピレン誘導体が挙げられ、クリセン誘導体としては、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体が挙げられる。
ドーパント材料としては、重金属錯体ではないドーパント材料、すなわち蛍光発光性材料を用いることができる。具体的には、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物もしくはその金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体が挙げられる。
ナフタレン誘導体としては、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体が挙げられ、アントラセン誘導体としては、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール基置換アントラセン誘導体が挙げられる。ピレン誘導体としては、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール基置換ピレン誘導体が挙げられ、クリセン誘導体としては、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体が挙げられる。
フルオランテン誘導体としては、例えば下記式〔2〕〜〔18〕で示される化合物が挙げられる。
(前記一般式〔2〕〜〔16〕中、
X1〜X20は、それぞれ独立に、
水素原子、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数8〜30のアルケニル基である。
隣接する置換基及びX1〜X20は結合して環状構造を形成していてもよい。
さらに、隣接する置換基がアリール基の時は、置換基は同一であってもよい。)
X1〜X20は、それぞれ独立に、
水素原子、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数8〜30のアルケニル基である。
隣接する置換基及びX1〜X20は結合して環状構造を形成していてもよい。
さらに、隣接する置換基がアリール基の時は、置換基は同一であってもよい。)
前記一般式〔2〕〜〔16〕の化合物は、アミノ基又はアルケニル基を含有すると好ましく、下記一般式〔17〕〜〔18〕で表されることが好ましい。
一般式〔17〕、〔18〕中、
X21〜X24は、それぞれ独立に、
炭素原子数1〜20のアルキル基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基である。
X21およびX22は、炭素−炭素結合、または−O−、−S−を介して結合していてもよい。
X23およびX24は、炭素−炭素結合、または−O−、−S−を介して結合していてもよい。
X25〜X36は、
水素原子、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数8〜30のアルケニル基であり、
隣接する置換基及びX25〜X36は結合して環状構造を形成していてもよい。
各式中の置換基X25〜X36の少なくとも一つがアミン又はアルケニル基を含有すると好ましい。
X21〜X24は、それぞれ独立に、
炭素原子数1〜20のアルキル基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基である。
X21およびX22は、炭素−炭素結合、または−O−、−S−を介して結合していてもよい。
X23およびX24は、炭素−炭素結合、または−O−、−S−を介して結合していてもよい。
X25〜X36は、
水素原子、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、
直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリールアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基、又は、
置換もしくは無置換の炭素原子数8〜30のアルケニル基であり、
隣接する置換基及びX25〜X36は結合して環状構造を形成していてもよい。
各式中の置換基X25〜X36の少なくとも一つがアミン又はアルケニル基を含有すると好ましい。
フルオランテン骨格を有する蛍光発光性化合物は、高効率及び長寿命を得るために電子供与性基を含有することが好ましく、好ましい電子供与性基は、置換もしくは無置換のアリールアミノ基である。さらに、フルオランテン骨格を有する蛍光発光性化合物において、縮合環数が5以上であることが好ましく、縮合環数が6以上であることが特に好ましい。
〔第一ホスト材料、第二ホスト材料およびドーパント材料のエネルギー準位の関係〕
図8は、本発明の発光層における第一ホスト材料、第二ホスト材料及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示す図である。
図8において、
S0は、基底状態を表し、
S1H1は、第一ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、
T1H1は、第一ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、
S1H2は、第二ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、
T1H2は、第二ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、
S1Dは、ドーパント材料の最低励起一重項状態を表し、
T1Dは、ドーパント材料の最低励起三重項状態を表す。図3に示すように、S1H1とT1H1との差がΔST(H1)に相当し、S1H1とS0との差がEgS(H1)に相当し、S1DとS0との差がEgS(D)に相当し、T1H1とT1D1との差がΔTに相当する。図8中の実線の矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表し、波線の矢印は、発光を伴うエネルギーを表し、点線の矢印は非発光で失活するエネルギーを示す。
図8は、本発明の発光層における第一ホスト材料、第二ホスト材料及びドーパント材料のエネルギー準位の関係を示す図である。
図8において、
S0は、基底状態を表し、
S1H1は、第一ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、
T1H1は、第一ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、
S1H2は、第二ホスト材料の最低励起一重項状態を表し、
T1H2は、第二ホスト材料の最低励起三重項状態を表し、
S1Dは、ドーパント材料の最低励起一重項状態を表し、
T1Dは、ドーパント材料の最低励起三重項状態を表す。図3に示すように、S1H1とT1H1との差がΔST(H1)に相当し、S1H1とS0との差がEgS(H1)に相当し、S1DとS0との差がEgS(D)に相当し、T1H1とT1D1との差がΔTに相当する。図8中の実線の矢印は、各励起状態間のエネルギー移動を表し、波線の矢印は、発光を伴うエネルギーを表し、点線の矢印は非発光で失活するエネルギーを示す。
図8に示すように、本発明の発光メカニズムでは、TTF機構およびTADF機構の両方が存在すると考えられる。第一ホスト材料においては、ΔST(H1)が十分に小さいことにより、TADF機構によるエネルギー移動が起こる。すなわち、三重項励起子が最低励起三重項状態T1H1から最低励起一重項状態S1H1に逆項間交差して、ドーパント材料の最低励起一重項状態S1Dへとフェルスター移動によりエネルギー移動する。この機構による内部量子効率は理論的に100%である。また、第二ホスト材料においては、TTF機構を利用したエネルギー移動が起こる。すなわち、最低励起一重項状態S1H2からドーパントの最低励起一重項状態S1Dへのフェルスター移動を生じ、蛍光発光を得ることができる。この機構による内部量子効率は、理論的に40%である。
したがって、例えば、第一ホスト材料と第二ホスト材料とを質量比50:50で含む発光層においては、第一ホスト材料に由来する発光を50%、第二ホスト材料に由来する発光を20%得ることができ、これらを合わせると、理論上、内部量子効率は70%となる。
したがって、例えば、第一ホスト材料と第二ホスト材料とを質量比50:50で含む発光層においては、第一ホスト材料に由来する発光を50%、第二ホスト材料に由来する発光を20%得ることができ、これらを合わせると、理論上、内部量子効率は70%となる。
また、図8に示すように、ドーパント材料の最低励起三重項状態T1Dよりも第二ホスト材料の最低励起三重項状態T1H2が低い(前記数式(5)を満たす)と、最低励起三重項状態T1Dから最低励起三重項状態T1H2へのエネルギー移動を起こすことができ、第二ホスト材料において、TTF機構をより効率よく起こすことができる。
・発光層と電子輸送層との関係
第一ホスト材料のΔST(H1)が小さいと、第一ホスト材料と、発光層に隣接する電子輸送層とのエネルギー差が小さくなり、発光層に電子が注入しやすくなる。その結果、キャリアバランスが取りやすくなり、ロールオフが小さくなる。
第一ホスト材料のΔST(H1)が小さいと、第一ホスト材料と、発光層に隣接する電子輸送層とのエネルギー差が小さくなり、発光層に電子が注入しやすくなる。その結果、キャリアバランスが取りやすくなり、ロールオフが小さくなる。
・発光層と正孔輸送層との関係
また、正孔輸送層のイオン化ポテンシャルをIPHTとしたとき、IPHT≦5.7eVであることが好ましい。これにより、電子と正孔とのバランスをより整えることが可能となる。イオン化ポテンシャルは、例えば、光電子分光装置(理研計器(株)製:AC−3)を用いて当該材料の薄膜状態で測定することによって求めることができる。
また、正孔輸送層のイオン化ポテンシャルをIPHTとしたとき、IPHT≦5.7eVであることが好ましい。これにより、電子と正孔とのバランスをより整えることが可能となる。イオン化ポテンシャルは、例えば、光電子分光装置(理研計器(株)製:AC−3)を用いて当該材料の薄膜状態で測定することによって求めることができる。
・半値幅
半値幅は、発光スペクトルの最大発光強度に対して発光強度が半分になった時の発光スペクトルの幅を示す。本発明者は、ホスト材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が50nm以上であることによって、ホスト材料が会合状態を形成しやすい材料であって、薄膜中での逆項間交差の起こしやすい材料であることを見出した。したがって、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が50nm以上であるホスト材料では、TADF機構が起こりやすい。特に好ましくは、ホスト材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が65nm以上である。
半値幅は、発光スペクトルの最大発光強度に対して発光強度が半分になった時の発光スペクトルの幅を示す。本発明者は、ホスト材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が50nm以上であることによって、ホスト材料が会合状態を形成しやすい材料であって、薄膜中での逆項間交差の起こしやすい材料であることを見出した。したがって、フォトルミネッセンススペクトルの半値幅が50nm以上であるホスト材料では、TADF機構が起こりやすい。特に好ましくは、ホスト材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が65nm以上である。
発光層の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは7nm以上50nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。5nm未満では発光層形成が困難となり、色度の調整が困難となるおそれがあり、50nmを超えると駆動電圧が上昇するおそれがある。
発光層において、上記第一ホスト材料と第二ホスト材料との比率は、質量比で80:20〜20:80であることが好ましい。また、第一ホスト材料および第二ホスト材料(すなわち、ホスト材料の合計)と蛍光発光性ドーパント材料との比率は、質量比で99:1〜50:50であることが好ましい。
(基板)
本発明の有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は、有機EL素子を構成する陽極、有機化合物層、陰極等を支持する基板であり、400nm以上700nm以下の可視領域の光の透過率が50%以上で平滑な基板が好ましい。
透光性基板としては、ガラス板やポリマー板などが挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などを原料として用いてなるものを挙げられる。
またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォンなどを原料として用いてなるものを挙げることができる。
本発明の有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は、有機EL素子を構成する陽極、有機化合物層、陰極等を支持する基板であり、400nm以上700nm以下の可視領域の光の透過率が50%以上で平滑な基板が好ましい。
透光性基板としては、ガラス板やポリマー板などが挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などを原料として用いてなるものを挙げられる。
またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォンなどを原料として用いてなるものを挙げることができる。
(陽極および陰極)
有機EL素子の陽極は、正孔を発光層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。
陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、酸化インジウム亜鉛酸化物、金、銀、白金、銅などが挙げられる。
発光層からの発光を陽極側から取り出す場合、陽極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□(Ω/sq。オーム・パー・スクウェア。)以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲で選択される。
有機EL素子の陽極は、正孔を発光層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。
陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、酸化インジウム亜鉛酸化物、金、銀、白金、銅などが挙げられる。
発光層からの発光を陽極側から取り出す場合、陽極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□(Ω/sq。オーム・パー・スクウェア。)以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲で選択される。
陰極としては、発光層に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。
陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金などが使用できる。
陰極も、陽極と同様に、蒸着法などの方法で、例えば、電子輸送層や電子注入層上に薄膜を形成できる。また、陰極側から、発光層からの発光を取り出す態様を採用することもできる。発光層からの発光を陰極側から取り出す場合、陰極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。
陰極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。
陰極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは50nm以上200nm以下の範囲で選択される。
陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金などが使用できる。
陰極も、陽極と同様に、蒸着法などの方法で、例えば、電子輸送層や電子注入層上に薄膜を形成できる。また、陰極側から、発光層からの発光を取り出す態様を採用することもできる。発光層からの発光を陰極側から取り出す場合、陰極の可視領域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。
陰極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。
陰極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm以上1μm以下、好ましくは50nm以上200nm以下の範囲で選択される。
(正孔注入・輸送層)
正孔注入・輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが小さい化合物が用いられる。
正孔注入・輸送層を形成する材料としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、例えば、芳香族アミン化合物が好適に用いられる。
正孔注入・輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが小さい化合物が用いられる。
正孔注入・輸送層を形成する材料としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、例えば、芳香族アミン化合物が好適に用いられる。
(電子注入・輸送層)
電子注入・輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、電子移動度が大きい化合物が用いられる。
電子注入・輸送層に用いられる化合物としては、例えば、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物が好ましく用いられ、特に含窒素環誘導体が好ましい。含窒素環誘導体としては、含窒素6員環もしくは5員環骨格を有する複素環化合物が好ましい。
電子注入・輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、電子移動度が大きい化合物が用いられる。
電子注入・輸送層に用いられる化合物としては、例えば、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物が好ましく用いられ、特に含窒素環誘導体が好ましい。含窒素環誘導体としては、含窒素6員環もしくは5員環骨格を有する複素環化合物が好ましい。
本発明の有機EL素子において、発光層以外の有機化合物層には、上述の例示した化合物以外に、従来の有機EL素子において使用される材料の中から任意の化合物を選択して用いることができる。
(層形成方法)
本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法などの湿式成膜法などの公知の方法を採用することができる。
本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法などの湿式成膜法などの公知の方法を採用することができる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれるものである。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれるものである。
発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が本発明で規定する上記第一のホスト材料、第二のホスト材料と蛍光発光性ドーパント材料とを含んでいればよく、その他の発光層が蛍光発光型の発光層であっても、燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
使用した化合物は、以下の通りである。
使用した化合物は、以下の通りである。
<化合物の評価>
まず、本実施例で使用した化合物の物性を測定した。測定方法および算出方法を以下に示すとともに、測定結果および算出結果を表1に示す。
(測定1)一重項エネルギーEgS
一重項エネルギーEgSは、以下の方法により求めた。
測定対象化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトルを測定した。試料の膜厚は100nmとした。吸収スペクトルは、縦軸を吸光度、横軸を波長とした。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を求めた。この波長値を次に示す換算式でエネルギー値に換算した値をEgSとした。
換算式:EgS[eV]=1239.85/λedge
吸収スペクトルの測定には、分光光度計(日立製、U3310)を用いた。
まず、本実施例で使用した化合物の物性を測定した。測定方法および算出方法を以下に示すとともに、測定結果および算出結果を表1に示す。
(測定1)一重項エネルギーEgS
一重項エネルギーEgSは、以下の方法により求めた。
測定対象化合物を石英基板上に蒸着して試料を作製し、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトルを測定した。試料の膜厚は100nmとした。吸収スペクトルは、縦軸を吸光度、横軸を波長とした。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を求めた。この波長値を次に示す換算式でエネルギー値に換算した値をEgSとした。
換算式:EgS[eV]=1239.85/λedge
吸収スペクトルの測定には、分光光度計(日立製、U3310)を用いた。
なお、吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線は以下のように引いた。吸収スペクトルの極大値のうち、最も長波長側の極大値から長波長方向にスペクトル曲線上を移動する際に、曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち下がるにつれ(つまり縦軸の値が減少するにつれ)、傾きが減少しその後増加することを繰り返す。傾きの値が最も長波長側(ただし、吸光度が0.1以下となる場合は除く)で極小値をとる点において引いた接線を当該吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線とする。
なお、吸光度の値が0.2以下の極大点は、上記最も長波長側の極大値には含めなかった。
なお、吸光度の値が0.2以下の極大点は、上記最も長波長側の極大値には含めなかった。
(測定2)エネルギーギャップEg77K、及び三重項エネルギーEgTD
Eg77K、及びEgTDは、以下の方法により求めた。
各化合物を、公知の燐光測定法(例えば、「光化学の世界」(日本化学会編・1993)50頁付近の記載の方法)により測定した。具体的には、各化合物を溶媒に溶解(試料10[μmol/リットル]、EPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比)、各溶媒は分光用グレード)し、燐光測定用試料とした。石英セルへ入れた燐光測定用
試料を77[K]に冷却し、励起光を燐光測定用試料に照射し、波長を変えながら燐光強度を測定した。燐光スペクトルは、縦軸を燐光強度、横軸を波長とした。
この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を求めた。この波長値を次に示す換算式でエネルギー値に換算した値をEg77K(H)又はEgTD(Eg77K(D))とした。
換算式:Eg77K(H)[eV]=1239.85/λedge
:EgTD[eV]=1239.85/λedge
Eg77K、及びEgTDは、以下の方法により求めた。
各化合物を、公知の燐光測定法(例えば、「光化学の世界」(日本化学会編・1993)50頁付近の記載の方法)により測定した。具体的には、各化合物を溶媒に溶解(試料10[μmol/リットル]、EPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比)、各溶媒は分光用グレード)し、燐光測定用試料とした。石英セルへ入れた燐光測定用
試料を77[K]に冷却し、励起光を燐光測定用試料に照射し、波長を変えながら燐光強度を測定した。燐光スペクトルは、縦軸を燐光強度、横軸を波長とした。
この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を求めた。この波長値を次に示す換算式でエネルギー値に換算した値をEg77K(H)又はEgTD(Eg77K(D))とした。
換算式:Eg77K(H)[eV]=1239.85/λedge
:EgTD[eV]=1239.85/λedge
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引いた。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とした。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の10%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体と低温測定用オプション備品を用いた。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の10%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体と低温測定用オプション備品を用いた。なお、測定装置はこの限りではなく、冷却装置及び低温用容器と、励起光源と、受光装置とを組み合わせることにより、測定してもよい。
(測定3)ΔST
ΔSTは、上記(測定1)、及び(測定2)で測定したEgSとEg77Kとの差として求めた(上記数式(3)参照)。結果を表1に示す。
ΔSTは、上記(測定1)、及び(測定2)で測定したEgSとEg77Kとの差として求めた(上記数式(3)参照)。結果を表1に示す。
また半値幅は、次のようにして求めた。
各化合物をガラス基板上に厚さ100nmの膜として、蒸着装置にて成膜し、蛍光測定用試料とした。
ガラス基板に対し垂直方向に光が照射されるように蛍光測定用試料を配置した。蛍光測定用試料に室温(300[K])で励起光を照射し、波長を変えながら蛍光強度を測定した。
フォトルミネッセンススペクトルは、縦軸を蛍光強度、横軸を波長とした。蛍光の測定に用いた装置は、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計である。
このフォトルミネッセンススペクトルから半値幅(単位は、nm。)を測定した。
半値幅を測定した化合物は、H1−1、H1−2である。結果を表1に示す。
各化合物をガラス基板上に厚さ100nmの膜として、蒸着装置にて成膜し、蛍光測定用試料とした。
ガラス基板に対し垂直方向に光が照射されるように蛍光測定用試料を配置した。蛍光測定用試料に室温(300[K])で励起光を照射し、波長を変えながら蛍光強度を測定した。
フォトルミネッセンススペクトルは、縦軸を蛍光強度、横軸を波長とした。蛍光の測定に用いた装置は、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計である。
このフォトルミネッセンススペクトルから半値幅(単位は、nm。)を測定した。
半値幅を測定した化合物は、H1−1、H1−2である。結果を表1に示す。
<有機EL素子の作製、及び評価>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
(実施例1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、77nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HA−1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HA−1膜を形成した。このHA−1膜は、正孔注入層として機能する。
このHA−1膜の成膜に続けて、化合物HT−1を蒸着し、HA−1膜上に膜厚65nmのHT−1膜を成膜した。このHT−1膜は、第一の正孔輸送層として機能する。
このHT−1膜上に化合物HT−2を蒸着し膜厚10nmのHT−2膜を成膜した。このHT−2膜は第二の正孔輸送層として機能する。
さらにHT−2膜上に、化合物H1−1(第一ホスト材料)、H2−1(第二ホスト材料)および化合物YD−1(ドーパント材料)を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。この発光層において、第一ホスト材料濃度は、40質量%とし、第二ホスト材料濃度は、40質量%とし、ドーパント材料濃度は、20質量%とした。
この発光層上に電子輸送性化合物であるET−1を蒸着し、膜厚5nmの正孔阻止層を形成した。
さらにET−1膜上に化合物ET−2を蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
この電子輸送層上にLiFを蒸着して、膜厚1nmのLiF層を形成した。
このLiF膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、77nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HA−1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HA−1膜を形成した。このHA−1膜は、正孔注入層として機能する。
このHA−1膜の成膜に続けて、化合物HT−1を蒸着し、HA−1膜上に膜厚65nmのHT−1膜を成膜した。このHT−1膜は、第一の正孔輸送層として機能する。
このHT−1膜上に化合物HT−2を蒸着し膜厚10nmのHT−2膜を成膜した。このHT−2膜は第二の正孔輸送層として機能する。
さらにHT−2膜上に、化合物H1−1(第一ホスト材料)、H2−1(第二ホスト材料)および化合物YD−1(ドーパント材料)を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。この発光層において、第一ホスト材料濃度は、40質量%とし、第二ホスト材料濃度は、40質量%とし、ドーパント材料濃度は、20質量%とした。
この発光層上に電子輸送性化合物であるET−1を蒸着し、膜厚5nmの正孔阻止層を形成した。
さらにET−1膜上に化合物ET−2を蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
この電子輸送層上にLiFを蒸着して、膜厚1nmのLiF層を形成した。
このLiF膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に表2に示す。
表2において、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。また、同じく括弧内において、膜厚を示す数字の後にパーセント表示された数字は、発光層中における材料濃度を示すものである。第一ホスト材料と第二ホスト材料を含む発光層の場合には、当該発光層中の第二ホスト材料の質量濃度(単位:質量%)と、ドーパント材料の質量濃度(単位:質
量%)とを、この順に示す。また、発光層に1種類のホスト材料だけ含まれる場合には、当該発光層中のドーパント材料の質量濃度を示す。さらに、発光層以外の層については、主成分の他に添加される成分の質量濃度(単位:質量%)を示す。
また、発光層の構成材料について、別途、表3に示す。
表2において、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。また、同じく括弧内において、膜厚を示す数字の後にパーセント表示された数字は、発光層中における材料濃度を示すものである。第一ホスト材料と第二ホスト材料を含む発光層の場合には、当該発光層中の第二ホスト材料の質量濃度(単位:質量%)と、ドーパント材料の質量濃度(単位:質
量%)とを、この順に示す。また、発光層に1種類のホスト材料だけ含まれる場合には、当該発光層中のドーパント材料の質量濃度を示す。さらに、発光層以外の層については、主成分の他に添加される成分の質量濃度(単位:質量%)を示す。
また、発光層の構成材料について、別途、表3に示す。
(比較例1〜2)
比較例1〜2の有機EL素子は、それぞれ表2に示す素子構成となるように、発光層における材料を変更し、実施例1と同様にして作製した。
比較例1〜2の有機EL素子は、それぞれ表2に示す素子構成となるように、発光層における材料を変更し、実施例1と同様にして作製した。
〔有機EL素子の評価〕
作製した有機EL素子について、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λp、外部量子効率EQE、及び遅延蛍光比率の評価を行った。遅延蛍光比率以外の各評価項目について、電流密度を1.00mA/cm2とした場合の結果を表4に示す。
作製した有機EL素子について、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λp、外部量子効率EQE、及び遅延蛍光比率の評価を行った。遅延蛍光比率以外の各評価項目について、電流密度を1.00mA/cm2とした場合の結果を表4に示す。
・駆動電圧
電流密度が1.00mA/cm2となるようにITOとAlとの間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
電流密度が1.00mA/cm2となるようにITOとAlとの間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
・CIE1931色度
電流密度が1.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時のCIE1931色度座標(x、y)を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)で計測した。
電流密度が1.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時のCIE1931色度座標(x、y)を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)で計測した。
・電流効率L/J、及び電力効率η
電流密度が1.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを上記分光放射輝度計で計測し、得られた分光放射輝度スペクトルから、電流効率(単位:cd/A)、及び電力効率η(単位:lm/W)を算出した。
電流密度が1.00mA/cm2となるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを上記分光放射輝度計で計測し、得られた分光放射輝度スペクトルから、電流効率(単位:cd/A)、及び電力効率η(単位:lm/W)を算出した。
・主ピーク波長λp
得られた上記分光放射輝度スペクトルから主ピーク波長λpを求めた。
得られた上記分光放射輝度スペクトルから主ピーク波長λpを求めた。
・外部量子効率EQE
得られた上記分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行なったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。
得られた上記分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行なったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。
・遅延蛍光比率
パルスジェネレータ(アジレント社製8114A)から出力した電圧パルス波形(パルス幅:500マイクロ秒、周波数:20Hz、電圧:0.1〜100mA/cm2相当の電圧)を印加し、EL発光を光電子増倍管(浜松ホトニクス社製R928)に入力し、パルス電圧波形とEL発光とを同期させてオシロスコープ(テクトロニクス社製2440)に取り込んで過渡EL波形を得た。光強度の平方根の逆数をプロットし、これを最小二乗法により10−5秒までの値を用いて直線へフィッティングし、遅延蛍光比率を決定した。
実施例1の有機EL素子に対して、室温下、1.00mA/cm2で通電した時の過渡EL波形を、図9に示した。時刻約3×10−8秒のところでパルス電圧を除去した。
電圧除去時点を原点にとり、電圧除去後、1.5×10−5秒までの光強度の平方根の逆数をプロットし、このグラフから求めた実施例1の有機EL素子における遅延蛍光比率は49.0%であった。この遅延蛍光比率の値は、TTF比率の理論値限界37.5%を超えるものであった。
また、図9から、1μsにおける残存強度比を読み取ったところ、50.0%であった。
パルスジェネレータ(アジレント社製8114A)から出力した電圧パルス波形(パルス幅:500マイクロ秒、周波数:20Hz、電圧:0.1〜100mA/cm2相当の電圧)を印加し、EL発光を光電子増倍管(浜松ホトニクス社製R928)に入力し、パルス電圧波形とEL発光とを同期させてオシロスコープ(テクトロニクス社製2440)に取り込んで過渡EL波形を得た。光強度の平方根の逆数をプロットし、これを最小二乗法により10−5秒までの値を用いて直線へフィッティングし、遅延蛍光比率を決定した。
実施例1の有機EL素子に対して、室温下、1.00mA/cm2で通電した時の過渡EL波形を、図9に示した。時刻約3×10−8秒のところでパルス電圧を除去した。
電圧除去時点を原点にとり、電圧除去後、1.5×10−5秒までの光強度の平方根の逆数をプロットし、このグラフから求めた実施例1の有機EL素子における遅延蛍光比率は49.0%であった。この遅延蛍光比率の値は、TTF比率の理論値限界37.5%を超えるものであった。
また、図9から、1μsにおける残存強度比を読み取ったところ、50.0%であった。
(実施例2)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、77nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HA−1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HA−1膜を形成した。このHA−1膜は、正孔注入層として機能する。
このHA−1膜の成膜に続けて、化合物HT−1を蒸着し、HA−1膜上に膜厚125nmのHT−1膜を成膜した。このHT−1膜は、第一の正孔輸送層として機能する。
このHT−1膜上に化合物HT−2を蒸着し膜厚25nmのHT−2膜を成膜した。このHT−2膜は第二の正孔輸送層として機能する。
さらにHT−2膜上に、化合物H1−2(第一ホスト材料)、H2−2(第二ホスト材料)および化合物BD−1(ドーパント材料)を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。この発光層において、第一ホスト材料濃度は、48質量%とし、第二ホスト材料濃度は、48質量%とし、ドーパント材料濃度は、4質量%とした。
この発光層上に電子輸送性化合物であるET−3を蒸着し、膜厚5nmの正孔阻止層を形成した。
さらにET−3膜上に化合物ET−2とLiqとを共蒸着し、膜厚20nmの電子輸送層を形成した。Liqの濃度は、50質量%とした。
この電子輸送層上にLiqを蒸着して、膜厚1nmのLiq層を形成した。
このLiq膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、77nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HA−1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HA−1膜を形成した。このHA−1膜は、正孔注入層として機能する。
このHA−1膜の成膜に続けて、化合物HT−1を蒸着し、HA−1膜上に膜厚125nmのHT−1膜を成膜した。このHT−1膜は、第一の正孔輸送層として機能する。
このHT−1膜上に化合物HT−2を蒸着し膜厚25nmのHT−2膜を成膜した。このHT−2膜は第二の正孔輸送層として機能する。
さらにHT−2膜上に、化合物H1−2(第一ホスト材料)、H2−2(第二ホスト材料)および化合物BD−1(ドーパント材料)を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。この発光層において、第一ホスト材料濃度は、48質量%とし、第二ホスト材料濃度は、48質量%とし、ドーパント材料濃度は、4質量%とした。
この発光層上に電子輸送性化合物であるET−3を蒸着し、膜厚5nmの正孔阻止層を形成した。
さらにET−3膜上に化合物ET−2とLiqとを共蒸着し、膜厚20nmの電子輸送層を形成した。Liqの濃度は、50質量%とした。
この電子輸送層上にLiqを蒸着して、膜厚1nmのLiq層を形成した。
このLiq膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
実施例2および比較例3の有機EL素子の素子構成を略式的に表5に示す。
また、発光層の構成材料について、別途、表6に示す。
また、発光層の構成材料について、別途、表6に示す。
実施例2の有機EL素子について、実施例1と同様に、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λp、外部量子効率EQE、及び遅延蛍光比率の評価を行った。遅延蛍光比率以外の各評価項目について、電流密度を1.00mA/cm2とした場合の結果を表7に、電流密度を10.00mA/cm2とした場合の結果を表8に示す。
また、実施例2の有機EL素子に対して、上述の実施例1の説明と同様、室温下、1.00mA/cm2で通電し、その時の過渡EL波形を図10に示す。図10の過渡EL波形に基づいて、上述と同様に算出した実施例2の有機EL素子の遅延蛍光比率は、43.0%であった。
また、図10から、1μsにおける残存強度比を読み取ったところ、47.0%であった。
また、実施例2の有機EL素子に対して、上述の実施例1の説明と同様、室温下、1.00mA/cm2で通電し、その時の過渡EL波形を図10に示す。図10の過渡EL波形に基づいて、上述と同様に算出した実施例2の有機EL素子の遅延蛍光比率は、43.0%であった。
また、図10から、1μsにおける残存強度比を読み取ったところ、47.0%であった。
(比較例3)
比較例3の有機EL素子は、表5に示す素子構成となるように、発光層における材料を変更し、実施例2と同様にして作製した。
作製した比較例3の有機EL素子を実施例1と同様に評価した。延蛍光比率以外の各評価項目について、電流密度を1.00mA/cm2とした場合の結果を表7に示し、電流密度を10.00mA/cm2とした場合の結果を表8に示す。
比較例3の有機EL素子は、表5に示す素子構成となるように、発光層における材料を変更し、実施例2と同様にして作製した。
作製した比較例3の有機EL素子を実施例1と同様に評価した。延蛍光比率以外の各評価項目について、電流密度を1.00mA/cm2とした場合の結果を表7に示し、電流密度を10.00mA/cm2とした場合の結果を表8に示す。
また、実施例1から2および比較例1から3の有機EL素子について、電流密度(mA/cm2)と発光効率(L/J)の関係を示すため、発光効率を規格化してプロットした。実施例1および比較例1から2について、図11に示す。また実施例2および比較例3について、図12に示す。なお、図11および図12の横軸は電流密度(mA/cm2)を示し、縦軸は発光効率を規格化した値(L/J arbitrary unit(a.u.))を示す。ここで、発光効率を規格化した値とは、図11においては実施例1の有機EL素子、図12においては実施例2の有機EL素子について、各実施例の最大の発光効率を1として算出した値である。
上記表4,7,8および図11,12から明らかな通り、実施例1および実施例2の有機EL素子は、発光層に上述の関係を満たす第一ホスト材料と第二ホスト材料とを用いることにより、第一ホスト材料単独の比較例1および比較例3(表3,図11および表6,図12参照)、並びに第二ホスト材料単独の比較例2(表6,図12参照)に比べて、実用的な高電流密度領域において、高効率で発光したことがわかる。
(参考例)
ここで、非特許文献1に記載された有機EL素子を参考例として挙げ、実施例1の有機EL素子の素子構成との比較を行う。
この参考例の有機EL素子の構成は、実施例1の略式的表示に倣って示すと、次のとおりである。
ITO(110)/NPD(40)/m-CP(10)/m-CP:PIC-TRZ(20,6%)/BP4mPy(40)/LiF(0.8)/Al(70)
参考例の素子に使用された化合物を以下に示す。
ここで、非特許文献1に記載された有機EL素子を参考例として挙げ、実施例1の有機EL素子の素子構成との比較を行う。
この参考例の有機EL素子の構成は、実施例1の略式的表示に倣って示すと、次のとおりである。
ITO(110)/NPD(40)/m-CP(10)/m-CP:PIC-TRZ(20,6%)/BP4mPy(40)/LiF(0.8)/Al(70)
参考例の素子に使用された化合物を以下に示す。
この素子の、EQEは、実使用領域よりも相当低い電流密度領域である0.01mA/cm2で、最大の5.1%を示すにとどまる。そのため、1mA/cm2および10mA/cm2程度の高電流密度領域では、ロールオフが生じ、発光効率が低下してしまうという問題がある。
したがって、実施例1および実施例2の有機EL素子は、高電流密度領域でも高効率で発光したことが分かる。
したがって、実施例1および実施例2の有機EL素子は、高電流密度領域でも高効率で発光したことが分かる。
本発明は、実用的な高電流密度領域でも効率的に発光する有機EL素子を提供できる。
1…有機EL素子、2…基板、3…陽極、4…陰極、5…発光層、
6…正孔輸送層、7…電子輸送層
6…正孔輸送層、7…電子輸送層
Claims (11)
- 一対の電極間に有機化合物層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機化合物層は、熱活性遅延蛍光性の第一の材料、第二の材料および第三の材料を含む発光層を有し、
前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)、前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(H2)および前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(D)が、下記数式(1)、(2)の関係を満たし、
前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)との差ΔST(H1)が、下記数式(3)の関係を満たし、
前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)および前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(D)が、下記数式(7)の関係を満たし、
前記第三の材料は、蛍光発光を示す材料である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
EgS(H1)>EgS(D) …(1)
EgS(H2)>EgS(D) …(2)
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.3[eV]…(3)
Eg77K(H1)−Eg77K(D)>0.5[eV] …(7) - 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(H1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)との差ΔST(H1)が、下記数式(4)の関係を満たす
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
ΔST(H1)=EgS(H1)−Eg77K(H1)<0.2[eV]…(4) - 請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)と前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(D)が、下記数式(5)の関係を満たす
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Eg77K(H2)<Eg77K(D) …(5) - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H1)および前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(H2)が、下記数式(6)の関係を満たす
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Eg77K(H1)−Eg77K(H2)>0.5[eV] …(6) - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
遅延蛍光比率が37.5%より大きく、
前記遅延蛍光比率とは、遅延蛍光由来の発光強度比であり、
この遅延蛍光由来の発光強度比は、過渡EL法により測定した過渡EL波形データを下記数式(14)でフィッティングし、パルス電圧を除去した時刻(t=0)における発光強度1/A2である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(前記数式(14)中、Iは、遅延蛍光由来の発光強度であり、Aは定数である。) - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
過渡EL測定における電圧除去後1μs経過後の残存強度比が36.0%より大きく、
前記残存強度比は、過渡EL法により測定したパルス電圧を除去した時点における発光強度に対する、パルス電圧を除去したのち1μs経過後の発光強度の比である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第一の材料のフォトルミネッセンススペクトルの半値幅が50nm以上である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第三の材料の発光ピーク波長が、500nm以上600nm以下である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第三の材料が重金属錯体ではない
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第一の材料が下記一般式(101)で表される
ことを特徴する有機エレクトロルミネッセンス素子。
(前記一般式(101)において、
A1及びA2は、互いに独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の環形成原子数6〜30の芳香族炭化水素基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の芳香族複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、または
置換もしくは無置換のシリル基を表し、
Y1〜Y4およびY13〜Y16は、互いに独立して、C(R)または窒素原子を表し、
Y5〜Y8は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY9〜Y12のいずれかと結合する炭素原子を表し、
Y9〜Y12は、互いに独立して、C(R)、窒素原子またはY5〜Y8のいずれかと結合する炭素原子を表し、
Rは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、
L1及びL2は、互いに独立して、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。
前記L1およびL2の少なくとも一方が、下記一般式(a)で表される。)
(前記一般式(a)において、
Y21〜Y25は、互いに独立して、C(Ra)、窒素原子またはL3と結合する炭素原子を表し、
Raは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、Raにおける置換基は、炭素数6〜40のアリール基、炭素数2〜40の複素環基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、フッ素原子、又はシアノ基であり、
L3及びL4は、互いに独立して単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成炭素数2〜30の2価の芳香族複素環基、または、当該2価の芳香族炭化水素基および当該2価の芳香族複素環基が連結した基を表す。) - 請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記A1及びA2の少なくとも1つは、シアノ基である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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