JP2017147189A - 酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属基板を用いることなくNMR装置にでも適用可能な可撓性を有しつつ、優れた通電特性を有する酸化物超電導線材を提供する。
【解決手段】基板上に中間層を介して形成されたREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択された1種以上の元素を示す)を有する酸化物超電導線材において、前記基板は、多結晶YSZ基板であり、前記中間層は、前記基板上に形成され、且つ、少なくともアモルファス層を含む第1中間層と、前記第1中間層のアモルファス層上に、イオンビームアシスト蒸着法により形成されるMgO層である第2中間層と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、REBaCuO(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された1種以上の元素を示す、以下、「REBCO」とも称する)の元素から構成された超電導層を有する酸化物超電導線材および酸化物超電導線材の製造方法に関する。
REBaCuOの元素から構成された超電導層を有する酸化物超電導線材(以下では、「RE系の酸化物超電導線材」であり、便宜上、「超電導線材」という)は、従来のNbSn系等の合金系超電導体と比較して、臨界温度(Tc)が高く、液体窒素温度で使用できる。よって、液体ヘリウム温度近傍の低温で使用されている超電導機器(送電ケーブル、変圧器、モータ、電力貯蔵システム等)を高温状態で使用できる。
酸化物超電導線材は、結晶のCuO面を揃えるだけでなく、面内の結晶方位も揃えることが要求される。この要求を実現するために酸化物超電導線材においては、Ni合金からなる基板の上に、面内配向度と方位を向上させた中間層を形成し、この中間層の結晶格子をテンプレートとして用いることにより、REBaCuO超電導層の結晶の面内配向度と方位を向上させた構造を有している。
ところで、超電導線材を、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)装置の信号検出用コイルへ応用することが検討されている。NMR装置は、強い磁場の中に試料を入れて、核スピンの向きを揃えた分子に、パルス状のラジオ波を照射し、核磁気共鳴させた後、分子が元の安定状態に戻る際に発生する信号を信号検出用コイル等で検出して、物質の分子構造を原子レベルで解析する装置である。
信号検出用コイルとしては、従来から開発されている銅が用いられており、この銅の代わりに超電導体を用いることができれば、高感度化、計測時間の大幅な短縮化を図ることができる。特に、NMR装置の信号検出用コイルは、信号を検出する機能とともに、パルス波を発生させる機能も兼用コイルが使用されるので、このコイルに大きな電流を流す必要があり、超伝導体の応用が強く望まれている。
このような信号検出用コイルの超電導化として、サファイア基板のような酸化物単結晶上に超電導膜を形成してなる検出コイルが開発されている。
このサファイア基板は可撓性を有さないので、平板状の基板しか製作できない。したがって、サファイア基板は、平板状の超電導膜を対向した状態で配置することで検出用コイルとして応用しているが、検出性能を向上するには、測定対象の全周を覆うように円筒状のコイルにすることが好ましい。
円筒状に形成可能な超電導線材には、例えば特許文献1としてセラミック基板を有する酸化物超電導体が開示されている。
この酸化物超電導体は、酸化ジルコニウムの基板に、Mg,Ca,Sr,Baからなる群から選ばれた1種以上の元素の有機酸塩の溶液を塗布して熱処理し、この酸化物基板表面に(Mg,Ca,Sr,Ba)ZrO3 層を形成し、この層上に希土類系超電導体の薄膜を有する。
また、特許文献2としてニッケル合金基板を有する酸化物超電導体が開示されている。
この酸化物超電導体は、ニッケル合金基板に、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された1種以上の元素から選ばれた1種以上の元素の有機酸塩の溶液を塗布して熱処理し、希土類系超電導体の薄膜を有する。
特開平5−62545号公報 特開2015−46257号公報
しかしながら、特許文献1の超電導体では、円筒状に形成できるに十分な可撓性を得ることができず、所望の超伝導特性Jc(臨界電流密度)を得ることができないという問題がある。一方、特許文献2の超電導体では、円筒状に形成できるに十分な可撓性を得るものの、金属基板を使用していることからNMR装置の信号検出用コイルとして適切に信号を検出する機能を得ることができないという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、金属基板を用いることなくNMR装置の信号検出用コイルとして適切に信号を検出する機能を有し、かつNMR装置にでも適用可能な可撓性を有しつつ、優れた通電特性を有する酸化物超電導線材及び酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の酸化物超電導線材の一つの態様は、
基板上に中間層を介して形成されたREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択された1種以上の元素を示す)を有する酸化物超電導線材において、
前記基板は、多結晶YSZ基板であり、
前記中間層は、前記基板上に形成され、且つ、少なくともアモルファス層を含む第1中間層と、
前記第1中間層のアモルファス層上に、イオンビームアシスト蒸着法により形成されるMgO層である第2中間層と、
を有する構成を採る。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法の一つの態様は、
基板上に中間層を形成する中間層形成工程と、前記基板に形成された中間層上に、REBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択された1種以上の元素を示す)を形成する超電導層形成工程と、を有する酸化物超電導線材の製造方法であって、
前記基板は、多結晶YSZ基板であり、
前記中間層形成工程は、前記基板上に、第1中間層の最上層が少なくともアモルファス層を形成し、
このアモルファス層上にイオンビームアシスト蒸着法により第2中間層としてMgO層を形成する工程を有するようにした。
本発明によれば、金属基板を用いることなくNMR装置の信号検出用コイルとして適切に信号を検出する機能を有し、かつNMR装置にでも適用可能な可撓性を有しつつ、優れた通電特性を有する超電導線材を実現することができる。
本発明に係る一実施の形態の酸化物超電導線材の要部構成を示す断面図 本発明に係る一実施の形態の酸化物超電導線材の構造の一例を示す図 本発明に係る一実施の形態の酸化物超電導線材の実施例の構造を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態の酸化物超電導線材の要部構成を示す断面図である。図1に示す超電導線材1は、REBaCuO(REは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Pr及びHoから選択された1種以上の元素を示す、以下、「REBCO」とも称する)の希土類元素から構成されたREBCO超電導層(以下、単に「超電導層」とも称する)30を有する。
具体的には、超電導線材1は、テープ状の基板10上に中間層20、超電導層30、安定化層40を積層して形成される。
基板10は、多結晶のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板(以下、「YSZ基板」とも称する)であり、可撓性を有する。例えば、基板(以下、「YSZ基板」という)10は、酸化イットリウム(Y)が2mol%以上10mol%以下添加された基板材料を用いて形成される。YSZ基板10の厚みは、30μm以上100μm以下とする。基板10の厚みが30μm未満であれば、上層である中間層20及び超電導層30を成膜する際に、基板10に歪みが生じてクラックが発生する虞がある。また、YSZ基板10の厚みが、100μmを超える場合には、可撓性を有することができない。例えば、YSZ基板10は、Yを含む平均粒径1μmの安定化ジルコニア粉末を用いて、テープキャスティング法によりグリーンテープを作成し、これを大気中、1500℃で5時間焼成することで、酸化イットリウム(Y)が2mol%以上10mol%以下添加された基板として製作される。
中間層20は、アモルファス層上に、アモルファス層に接して形成されるMgO層を含む2層以上の複数層で構成される。
中間層20は、ここでは、第1中間層21と、超電導層30の結晶を一定の方向に配向させるためのMgO層により形成される第2中間層(配向層)22と、第3中間層23と、を有する。
第1中間層21は、YSZ基板10上に形成され、少なくとも1種類以上のアモルファス(非結晶酸化物)層を表面に有する。第1中間層21は、1層或いは複数層により形成されていてもよく、少なくとも最上層にアモルファス層を有する。すなわち、第1中間層21自体がアモルファス層であってもよく、図1では、第1中間層21をアモルファス層としてYSZ基板10に成膜されている。第1中間層21は、YSZ基板10上に形成されるLaMnO、SrTiO、REZr(REは、Gd、Ce、Smのうちから選択されたすくなくとも1種の元素を示す)、RE(REは、Y、Gd、Smのうちから選択されたすくなくとも1種の元素を示す)のいずれか一種の層により形成されることが望ましい。第1中間層21は、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、有機金属堆積(Metal Organic Decomposition:MOD)法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法、パルスレーザー蒸着(Pulsed Laser Deposition:PLD)法等のどのような方法で成膜されてもよい。アモルファス層の厚みは、20nm以上が好ましい。アモルファス層の厚みが20nm以上であれば、その上に接して成膜される第2中間層22(MgO層)は、より好適に高配向で成膜される。
LaMnO、SrTiO、REZr、REのいずれか1種によるアモルファス層を有する第1中間層21の上方には、配向層としての第2中間層22としてMgO層が形成される。
なお、第1中間層21を2層にして上層をLaMnO、SrTiO、REZr、REのいずれか1種によるアモルファス層とした場合、第1中間層21の下層として、アモルファス層とYSZ基板10との間に、例えば、酸化アルミニウム(Al)層等を成膜してもよい。これにより、第1中間層21上に形成される第2中間層22は、より優れた配向性を有する層となる。
第2中間層22は、酸化マグネシウム(MgO)等により形成された2軸配向層である。第2中間層22は、RFスパッタ法、PLD法、イオンビームスパッタ法等を用いて形成される。ここでは、MgO層である第2中間層22は、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD:Ion Beam Assisted Deposition)により成膜される。具体的には、第2中間層22は、アシストイオンビームを成膜面である第1中間層21のアモルファス層の表面に対して斜め方向から照射しつつ、蒸着源(MgO)からの蒸着粒子を成膜面に堆積して形成される。
第3中間層23は、MgO層である第2中間層22上に形成される。ここでは、第3中間層23は、第2中間層22上に接して配置され、且つ、REBCO超電導層30の下地層となる層として形成される。
第3中間層23は、MgO層(第2中間層22)上に、直接、超電導層30を成膜して形成すると、MgOとREBCOとの格子ミスマッチが大きくなり、結晶軸c軸配向膜を得にくくなるために介在されている。すなわち、第3中間層23は、REBCOと格子ミスマッチの小さい材料、例えば、CeO、LaMnO、SrTiO等により形成されることが好ましい。第3中間層23は、ここでは、CeO層をMgO層上に成膜することで形成される。第3中間層23を、CeOとした場合、スパッタリング法或いはPLD法により成膜してもよい。
すなわち、YSZ基板10上に形成した第1中間層21をアモルファス層としてMgO層の下地層(配向制御層)とすると、YSZ基板10上におけるMgO層は配向性の優れた層となる。
超電導層30は、例えば、REBaCu系超電導体(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択される1又は2種以上の希土類元素であり、y≦2及びz=6.2〜7)等の酸化物超電導体で構成される。このRE系超電導体としては、YBaCuで表されるイットリウム系超電導体が代表的である。超電導層30は、MOD法、PLD法、スパッタ法、又はMOCVD法を適用して超電導成膜工程において成膜される。
超電導層30は、例えば、MOD法を用いて形成される。MOD法は、有機金属化合物を原料として、アモルファス状の活性な前駆体を基板表面に形成し、これを熱処理し結晶化することにより超電導層を成膜するものである。このMOD法は、非真空中でも長尺の基材に連続的に酸化物超電導層を形成できるので、PLD法やCVD法等の気相法よりも、成膜プロセスが簡単で低コスト化が可能である。
安定化層40は、超電導層30の直上に形成され、主に水分等から超電導層30を保護するとともに、超電導状態が部分的に破れて抵抗が発生(常電導転移)した場合に電流を迂回させる。安定化層40は、電気抵抗率が低く、熱伝導率の高い材料で構成されるのが好ましく、銀、白金、金などで構成される。安定化層40の成膜には、例えばスパッタリング法を適用できる。
この超電導線材1では、中間層成膜工程において、YSZ基板10上に、アモルファス層を表面層とする第1中間層21を形成し、この第1中間層21のアモルファス層上に、IBAD法によりMgO層である第2中間層22を形成し、その上に、CeO層である第3中間層23を形成する。このようにYSZ基板10上に形成した中間層20に超電導成膜工程において超電導層30を形成している。
超電導線材1は、可撓性を有する多結晶のYSZ基板10上に形成された第1中間層21であるアモルファス層上に、第2中間層22であるMgO層が成膜されているので、MgO層は、高配向な2軸配向層となる。このMgO層上に、第3中間層23を形成して中間層20が形成され、この中間層20上に超電導層30が成膜されるため、超電導層30の高配向化を図ることができる。また、超電導線材自体も従来のハステロイ(登録商標)等の金属基板を有していないので、NMR装置の信号検出用コイルとして適切に信号を検出する機能を有し、かつNMR装置にでも適用可能な可撓性を有しつつ、優れた通電特性を有する超電導線材を実現することができる。
なお、図2に示す超電導線材1Aのように、超電導層30が形成される中間層20AにおいてMgO層上に複数の層を形成しても良い。
図2は、本発明に係る一実施の形態の酸化物超電導線材の構造の一例を示す図である。
図2に示す超電導線材1Aでは、YSZ基板10上に、第1中間層21としてLaMnO層212をアモルファス層として成膜し、このLaMnO層212上に、第2中間層22であるMgO層を成膜する。
次いで、第2中間層22であるMgO層上に接して第3中間層23のLaMnO層231を成膜し、更に、LaMnO層231上に第3中間層23のCeO層232を成膜する。CeO層232は、真上に接して超電導層30が形成され、超電導層30の下地層として機能する。
なお、第3中間層23のLaMnO層231の成膜温度は、第1中間層21としてのLaMnO層212の成膜温度よりも高い。例えば、第1中間層21としてのLaMnO層212の成膜温度は50℃、第3中間層23のLaMnO層231の成膜温度は、700℃にして、それぞれRFスパッタ法により成膜される。
このように超電導線材1Aは、YSZ基板10上にLaMnO層212、MgO層、LaMnO層231、CeO層232を順に積層して形成された中間層20Aを有する。YSZ基板10上に形成されたアモルファス層であるLaMnO層212上に、MgO層が成膜されるので、MgO層の配向性は優れたものとなる。このMgO層上にLaMnO層231を介して成膜されるCeO層も高配向化する。中間層20Aの各層212、22、231、232は、中間層20A上に成膜されるRECBO超電導層を高配向化し、超電導特性Jc、つまり、超電導線材1Aの通電特性を向上させる。
また、図3に示す超電導線材1Bのように、超電導線材1Aの構造において、アモルファス層であるLaMnO層212の下層として、Al層211を設けて第1中間層21Bとし、この第1中間層21Bを含む中間層20Bを形成すると、第1中間層21B上の第2中間層22であるMgO層は、更に優れた配向性を有するものとなる。なお、MgO層の下層のLaMnO層212に代えて、GdZr層、Y層のいずれか1種のアモルファス層としてもよい。
超電導線材を、以下の実施例1―8及び比較例1−4のように作製して超電導特性JcおよびNMR装置に応用可能な可撓性を有する(曲げ径φ20mmの状態となる)か否かを調べた。表1は、実施例1―8及び比較例1−4に対応する超電導特性(臨界電流密度)Jc(MA/cm)と可撓性(Φ20mmの曲げ径)とを示す。
<実施例1>
50μm厚のYSZ基板10上に、RFスパッタ法によりアモルファスのLaMnO層(第1中間層21)を成膜し、このLaMnO層(第1中間層)21上に、イオンビームを照射しながらMgO層(第2中間層22)をRFスパッタ法で成膜した。さらに、MgO層上に第3中間層23としてLaMnO層、CeO層を順に積層した。CeO層の配向性(面内配向度)ΔΦは4.8deg.であった。また、この中間層上にPLD法を用いて200nmのYBCO超電導膜を成膜して図2に示す超電導線材1Aと同様の超電導線材を作製した。作製した超電導線材を液体窒素中に浸漬し、4端子法により77K、0テスラで超電導特性Jc(臨界電流密度)を測定した。その結果、表1に示すように、Jc=2.3MA/cmの超電導層が得られた。また、曲げ径φ20mmにした状態では、超電導層、中間層、基板全てにおいてクラックは発生しなかった。
<実施例2>
実施例1の超電導線材においてLaMnO層(第1中間層)21とYSZ基板10との間に第1中間層21としてAl層を設けた図3に示す構造の実施例2の超電導線材を作製した。具体的には、50μm厚のYSZ基板10上に、スパッタリング法等により、第1中間層21としてのAl層を蒸着し、このAl層上に、RFスパッタ法によりアモルファスのLaMnO層を成膜して第1中間層21を形成する。ついで、第1中間層21のLaMnO層(第1中間層)21上に、イオンビームを照射しながらMgO層(第2中間層22)をRFスパッタ法で成膜し、このMgO層上に第3中間層23としてLaMnO層、CeO層を順に積層した。CeO層の配向性(面内配向度)ΔΦは4.5deg.であった。そして、この中間層上にPLD法を用いて200nmのYBCO超電導膜を成膜して、図3に示す超電導線材1Bと同様の超電導線材となった。作製した超電導線材を液体窒素中に浸漬し、4端子法により77K、0テスラで超電導線材の超電導特性Jc(臨界電流密度)を測定した。その結果、表1に示すように、Jc=2.5MA/cmの超電導層が得られた。また、曲げ径φ20mmにした状態では、超電導層、中間層、基板全てにおいてクラックは発生しなかった。
<実施例3−8>
YSZ基板の厚みと、第1中間層の材料とを変更して、実施例1と同様の作製プロセスで第1中間層から第3中間層、超電導層を作製して実施例3から8の超電導線材を製作した。実施例1と同様の方法で超電導線材の超電導特性を測定した。そのときの実施例3から8のYSZ基板の厚み及び第1中間層の材料と、第3中間層の配向性、超電導特性Jc、基板可撓性との関係は、表1に示す結果になった。表1に示すように、実施例3から8のいずれも曲げ径φ20mmにした状態では、超電導層、中間層、基板全てにおいてクラックは発生しなかった。
<比較例1>
100μm厚のYSZ基板上に、実施例1と同様の作製プロセスで、中間層、超電導層を作製した。すなわち、100μm厚のYSZ基板上に、RFスパッタ法によりLaMnO層(第1中間層)21を成膜し、イオンビームを照射しながらMgO層(第2中間層22)をRFスパッタ法で成膜し、MgO層の直上に第3中間層23としてLaMnO層、CeO層を順に積層した。CeO層の配向性(面内配向度)ΔΦは4.8deg.であった。また、この中間層上にPLD法を用いて200nmのYBCO超電導膜を成膜して図2に示す超電導線材1Aと同様の超電導線材を作製した。この超電導線材の超電導特性を実施例1と同様の方法で測定し、撓み度合いを測定した。その結果、Jc=2.2MA/cmの超電導層が得られたが、曲げ径φ20mmにすると破損した。
<比較例2>
20μm厚のYSZ基板上に、実施例1と同様の作製プロセスで、中間層、超電導層を作製した。この超電導線材の超電導特性を実施例1と同様の方法で測定し、撓み度合いを測定しようとした。しかし、これら中間層を成膜する過程で、クラックが発生し、成膜できなかった。超電導特性Jc、可撓性の双方とも測定不能であった。
<比較例3>
50μm厚のYSZ基板上に、イオンビームを照射しながらMgO層(第2中間層に相当)をRFスパッタ法で成膜し、MgO層の直上にLaMnO層(第3中間層に相当)、CeO層(第3中間層に相当)を順に積層した。CeO層の配向性(面内配向度)は無配向であった。また、この中間層上にPLD法を用いて200nmのYBCO超電導膜を成膜して超電導線材を作製した。この超電導線材の超電導特性を実施例1と同様の方法で測定し、撓み度合いを測定した。その結果、Jc=0MA/cmであり、曲げ径φ20mmの状態でもクラックは発生しなかった。
<比較例4>
50μm厚のYSZ基板上に、RFスパッタ法によりLaMnO層(第1中間層21)を成膜し、この第1中間層の真上にLaMnO層(第3中間層に相当)、CeO層(第3中間層に相当)を順に積層した。CeO層の配向性(面内配向度)ΔΦは無配向であった。また、この中間層上にPLD法を用いて200nmのYBCO超電導膜を成膜して超電導線材を作製した。この超電導線材の超電導特性を実施例1と同様の方法で測定し、撓み度合いを測定した。その結果、Jc=0MA/cmの超電導層であり、曲げ径φ20mmでもクラックは発生しなかった。
Figure 2017147189
実施例1−8と比較例1−4との比較検討の結果、40μm厚から70μm厚の範囲でのYSZ基板上に、LaMnO層、GdZr層、Y層のいずれか1種のアモルファス層(第1中間層21に相当)を介してMgO層(第2中間層22に相当)を形成した構成が、超電導特性Jcおよび可撓性が優れていると思われる。これは、MgO層が高配向性を有することにより、中間層自体を高配向化させ、その上に成膜される超電導層を一層高配向化させたものと考えられる。特に、YSZ基板上に、LaMnO層、MgO層、LaMnO層、CeO層を順に成膜した中間層に超電導層を成膜した実施例1の超電導線材がNMR装置の信号検出用コイルとして適切に信号を検出する機能を有し、かつNMR装置にでも適用可能な可撓性を有しつつ、優れた超電導特性Jcを有することが判った。さらに、実施例1と実施例2との比較検討の結果、実施例1の積層構造において、だい1中間層として、表面にMgO層が直接形成されるLaMnO層とYSZ基板10との間にAl層を介設すれば、より優れた超電導特性Jcを有することが判った。なお、Al層は、真上のアモルファス層であるLaMnO層に作用するので、MgO層の下層のLaMnO層に代えて、GdZr層、Y層のいずれか1種のアモルファス層としても、同様の結果が得られると考えられる。
また、実施例1−3と比較例1との比較検討の結果、YSZ基板厚が40μm厚から70μm厚ならφ20mmの曲げ形状に形成できる超電導線材となるが、100μmであると、破損することが判った。これにより、実施例1の構成でYSZ基板の基板厚が少なくとも100μm(比較例1)以上であれば、破損すると考えられる。また、実施例1の構成でYSZ基板の基板厚が20μm(比較例2)以下であれば、中間層をそもそも形成できない。
また、実施例1と比較例3との比較検討の結果、YSZ基板に直接MgO層を成膜した後、第3中間層を成膜した中間層に超電導層を成膜した超電導線材は、超電導特性Jcは0MA/cmであり、NMR装置には応用できないことがわかった。
また、実施例1と比較例4との比較検討の結果、実施例1の構造において、2軸配向層であるMgO層を有さない超電導線材であれば、超電導特性Jcは0MA/cmであり、NMR装置には応用できないことがわかった。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
本発明に係る酸化物超電導線材は、可撓性を有するYSZ基板上に、アモルファス層上に成膜されたMgO層を有する中間層を有し、この中間層上に超電導層を成膜しているので、設置場所に対応して曲げて配置できるとともに、通電特性の優れた超電導線材を提供できる効果を有し、NMR装置等、装置の特性上、金属基板を設置できない場合において、十分適用できる超電導線材として有用である。
1、1A、1B 超電導線材
10 YSZ基板
20、20A、20B 中間層
21、21B 第1中間層
22 第2中間層
23 第3中間層
30 超電導層
40 安定化層
212、231 LaMnO
232 CeO

Claims (7)

  1. 基板上に中間層を介して形成されたREBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択された1種以上の元素を示す)を有する酸化物超電導線材において、
    前記基板は、多結晶YSZ基板であり、
    前記中間層は、前記基板上に形成され、且つ、少なくともアモルファス層を含む第1中間層と、
    前記第1中間層のアモルファス層上に、イオンビームアシスト蒸着法により形成されるMgO層である第2中間層と、
    を有する、
    酸化物超電導線材。
  2. 前記アモルファス層の厚みは20nm以上である、
    請求項1記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記アモルファス層は、LaMnO、SrTiO、REZr(REはGd、Ce、Smのいずれか1種)、RE(REはY、Gd、Smのいずれか1種)のいずれか1種により形成される、
    請求項1または2記載の酸化物超電導線材。
  4. 第2中間層上に、CeO、LaMnO、SrTiOのいずれか1種による第3中間層を有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記第1中間層は、前記アモルファス層と前記基板との間に、当該基板上に成膜されるAl層を有する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記多結晶YSZ基板上に、
    第1中間層として少なくとも前記アモルファス層であるLaMnO層と、
    第1中間層上に形成される第2中間層としてMgO層と、
    第2中間層上に形成される第3中間層としてLaMnO層と、
    第3中間層上に形成される第4中間層として、且つ、前記REBaCuO超電導層の下地層であるCeO層と、
    を有する、
    請求項1記載の酸化物超電導線材。
  7. 基板上に中間層を形成する中間層形成工程と、前記基板に形成された中間層上に、REBaCuO超電導層(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択された1種以上の元素を示す)を形成する超電導層形成工程と、を有する酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記基板は、多結晶YSZ基板であり、
    前記中間層形成工程は、前記基板上に、第1中間層の最上層が少なくともアモルファス層を形成し、
    このアモルファス層上にイオンビームアシスト蒸着法により第2中間層としてMgO層を形成する工程を有する、
    酸化物超電導線材の製造方法。
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