JP2017146269A - 荷電粒子測定装置及び荷電粒子測定方法 - Google Patents

荷電粒子測定装置及び荷電粒子測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】検出器ごとに信号処理回路を設けること無く、簡易な構成により複数の検出器から出力された検出信号を測定できる荷電粒子測定技術を提供する。
【解決手段】荷電粒子測定装置10は、荷電粒子の検出時に検出信号sを出力する検出器11と、検出信号sを分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が検出器11ごとに異なる遅延信号s、sを発生させる伝送時間差発生部16と、遅延信号s、sにおける発生時間の時間差を測定する時間差測定部25と、遅延信号s、sの遅延時間と遅延時間の遅延時間差を各検出器11に対応させて保存する遅延時間情報保存部26と、測定された発生時間の時間差を保存された遅延時間差と照合し、合致する遅延時間差に対応する検出器11を特定する検出器特定部27と、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間に基づき検出信号sの発生時間を求める発生時間導出部28と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、ミュオンなどの荷電粒子を検出する荷電粒子測定技術に関する。
構造物内部をイメージングする技術として、地表に到達する宇宙線ミュオンを観測して内部を透視する技術が知られている。
この技術は、例えば火山またはピラミッドなどの大型で内部への立ち入りが困難なものに対して好適に利用されてきた。ミュオンを用いて構造物の内部を透視する方法として、ミュオンの粒子束の減衰を測定する透過法やミュオンのクーロン多重散乱角を測定する散乱法が知られている。また、散乱法においては、クーロン多重散乱による軌跡の変位を測定する変位法も知られている。
ミュオンによる透視技術では、透視の対象となる構造物にミュオン軌跡検出器が外設される。そして、この検出器によりミュオンの飛行軌跡を検出して、軌跡を解析することで構造物内部のイメージングが行われる。
一般的なミュオン軌跡検出器は、ドリフトガスが封入されたドリフトチューブの配列が多層にして構成されている。
ドリフトチューブは、その中心に陽極ワイヤが張られており、ミュオンのような荷電粒子がドリフトチューブ内を通過すると内部に封入されているガスが電離されて電子が発生する。この発生した電子が、陽極ワイヤに到達することでミュオンの通過が検出される。
電子が陽極ワイヤに到達するまでのドリフト時間からドリフト半径(陽極ワイヤからの距離)を換算することが可能であるため、検出器の大きさ以下の精度でミュオンの通過位置を測定可能となる。そして、ミュオンが通過した各ドリフトチューブの通過位置に基づいてのミュオンの軌跡が導出される。
特開2012−501450号公報 特開2013−209486号公報
上述のような、ドリフトチューブなどの検出器を複数用いてミュオン軌跡を測定する技術では、ドリフトチューブから出力される検出信号を処理する信号増幅器や検出回路などの信号処理回路はドリフトチューブごとに設置される。
このため、ミュオンの軌跡を精度良く算出するため複数層のドリフトチューブを用いて測定する場合、測定システム全体で必要な信号処理機器の数が増加するという問題があった。
また、ミュオン軌跡を測定する技術では、一定時間内に複数のドリフトチューブで同時に発生した信号を1つのイベントとして取得する必要がある。このため、信号処理回路間の時刻同期などの制御や回路の接続等の配線作業などの作業が、ドリフトチューブの設置数が増加するほど複雑になるという問題があった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、検出器ごとに信号処理回路を設けること無く、簡易な構成により複数の検出器から出力された検出信号を測定できる荷電粒子測定技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る荷電粒子測定装置は、荷電粒子を検出した際に検出信号を出力する複数の検出器と、出力された前記検出信号を分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が前記検出器ごとに異なる2つの遅延信号を発生させる伝送時間差発生部と、発生された2つの前記遅延信号における発生時間の時間差を測定する時間差測定部と、前記伝送時間差発生部で発生させる2つの前記遅延信号の前記遅延時間と前記遅延時間の遅延時間差とを前記検出器のそれぞれに対応させて予め保存する遅延時間情報保存部と、測定された発生時間の時間差を保存された前記遅延時間差と照合し、合致する前記遅延時間差に対応する前記検出器を特定する検出器特定部と、前記遅延信号の発生時間と特定された前記検出器に対応する前記遅延時間とに基づいて前記検出信号の発生時間を求める発生時間導出部と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る荷電粒子測定方法は、荷電粒子を検出した際に検出信号を出力する複数の検出器を用いて、出力された前記検出信号を分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が前記検出器ごとに異なる2つの遅延信号を伝送時間差発生部において発生させるステップと、発生された2つの前記遅延信号における発生時間の時間差を測定するステップと、前記伝送時間差発生部で発生させる2つの前記遅延信号の前記遅延時間と前記遅延時間の遅延時間差とを前記検出器のそれぞれに対応させて予め保存するステップと、測定された発生時間の時間差を保存された前記遅延時間差と照合し、合致する前記遅延時間差に対応する前記検出器を特定するステップと、前記遅延信号の発生時間と特定された前記検出器に対応する前記遅延時間とに基づいて前記検出信号の発生時間を求めるステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態により、検出器ごとに信号処理回路を設けること無く、簡易な構成により複数の検出器から出力された検出信号を測定できる荷電粒子測定技術を提供する。
第1実施形態に係る荷電粒子測定装置の構成図。 本実施形態に適用されるドリフトチューブの断面図。 (A)、(B)本実施形態に適用されるドリフトチューブの配置例を示す図。 (A)本実施形態に適用されるドリフトチューブの配置例を示す図、(B)ドリフトチューブとシンチレータとを組み合わせた場合の配置例を示す図。 (A)、(B)伝送時間差発生部において、2つの遅延信号が出力される状態を示す説明図。 2つの遅延信号における遅延時間の遅延時間差を検出器ごとに計算した計算例(第1実施形態)。 遅延時間情報保存部に保存される遅延時間情報の一例を示す図。 2つの遅延信号に基づいて検出信号の発生時間を導出する方法を説明する説明図。 第1実施形態に係る荷電粒子の測定手順を示すフローチャート。 第2実施形態に係る荷電粒子測定装置の構成図。 2つの遅延信号における遅延時間の遅延時間差を検出器ごとに計算した計算例(第2実施形態)。 (A)伝送時間差発生部から出力された2つの遅延信号を示す図、(B)2つの遅延信号がAD変換されたパルス信号を示す図、(C)遅延信号の一方に付加遅延時間が設定された状態を示す図、(D)付加遅延時間が設定された遅延信号と設定されていない遅延信号との論理和を示す図。 第2実施形態に係る荷電粒子の測定手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係る荷電粒子測定装置の構成図。 波高値を変化させた場合の、2つの遅延信号における発生時間の時間差の測定分布。 第3実施形態に係る荷電粒子の測定手順を示すフローチャート。 第4実施形態に係る荷電粒子測定装置の構成図。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように第1実施形態に係る荷電粒子測定装置10は、荷電粒子を検出した際に検出信号sを出力する複数の検出器11(11,11,11,11,11)と、出力された検出信号sを分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が検出器11ごとに異なる2つの遅延信号s、sを発生させる伝送時間差発生部16と、発生された2つの遅延信号s、sにおける発生時間の時間差を測定する時間差測定部25と、伝送時間差発生部16で発生させる2つの遅延信号s、sの遅延時間と遅延時間の遅延時間差とを検出器11のそれぞれに対応させて予め保存する遅延時間情報保存部26と、測定された発生時間の時間差を保存された遅延時間差と照合し、合致する遅延時間差に対応する検出器11を特定する検出器特定部27と、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間とに基づいて検出信号sの発生時間を求める発生時間導出部28と、を備える。なお、図1は、検出器11において荷電粒子を検出した場合の例を示している。
検出器11は、ミュオンなどの荷電粒子の通過を検出して、検出信号sを出力する荷電粒子測定器であり、少なくとも3つ以上が配置される。各検出器11には、検出器11を相互に識別するための識別番号(チャンネルID)が付与されている。
荷電粒子の通過を検出した検出器11から出力された検出信号sは、伝送時間差発生部16に入力される。ドリフトチューブなどの高電圧で駆動する検出器11を用いる場合には、小電圧で駆動する計算処理装置23を保護するため、各検出器11と伝送時間差発生部16との接続間に耐圧コンデンサ15を設けても良い。
検出器11としては、電離ガスを内部に封入して、荷電粒子によってガスから電離された電子を検出して電気信号を出力するドリフトチューブや荷電粒子が通過した際に発光するシンチレータ材を長尺状にして、検出した光信号を電気信号に変換して出力するシンチレータ等が例示される。
図2は、ドリフトチューブ12の断面図を示している。ドリフトチューブ12は、アルミニウム製の円筒管であり、円筒管の中心に高電圧を印加した陽極ワイヤ13が張られている。そして、ドリフトチューブ12内には、希ガスを主成分とする電離ガスが封入されている。ミュオンが、ドリフトチューブ12内を通過すると、電離ガスが電離されてイオンと電子に分離する。
分離した電子が、陽極ワイヤ13に移動され陽極ワイヤ13の近傍で電子雪崩を起こると、数pC〜数100pCの電荷を発生させる。このとき、ドリフトチューブ12から検出信号sが出力されて、検出器11におけるミュオンの通過が検出される。
電離ガスの電離により電子が発生する時間Tμと電子が陽極ワイヤ13に到達する時間(検出信号sの発生時間T)から陽極ワイヤ13までの電子の移動時間が判明する。この移動時間に基づいて陽極ワイヤ13までの電子の移動距離を求めることで、ドリフトチューブ12内でのミュオンの通過位置が測定できる。
図3、図4は、本実施形態に適用されるドリフトチューブ12の配置例を示す図である。図3(A)の例では、複数のドリフトチューブ12を平行に配列させた3層のドリフトチューブ層を、各ドリフトチューブ層が画成する平面の法線方向に積層させて構成されている。また、図3(B)の例では、中心位置をずらして近接させた2層のドリフトチューブ層を1組とし、3組のドリフトチューブ層を積層させて構成して、あわせて6層で配置されている。
ドリフトチューブ層を3層以上にしてミュオンの通過を検出することで、検出された各ドリフトチューブ12の通過位置に基づいてミュオンの軌跡を導出できる。
また、図4(A)の例では、ドリフトチューブ層を2層ずつ交互に直交させて積み重ねてあわせて12層のドリフトチューブ層で配置している。このように、ドリフトチューブ12の配列方向を直交させたドリフトチューブ層を積層することで、ミュオンの軌跡を3次元的に検出することが可能となる。図4(B)の例では、12層のドリフトチューブ層の上部に板状のシンチレータ14を平行に配列したシンチレータ層が配置されている。
伝送時間差発生部16(図1)は、検出器11から出力された検出信号sを分岐させ、分岐させた2つの信号をそれぞれ遅延させる。そして、2つの信号における遅延時間の遅延時間差が検出器11ごとに異なる遅延信号s、sを出力する。
具体的には、伝送時間差発生部16は、コイル17とコンデンサ18から成る遅延回路19が多段に接続されている。そして、各検出器11から出力される検出信号sは、遅延回路19間のそれぞれに入力される。
伝送時間差発生部16に入力された検出信号sは、2つの出力方向に分岐される。分岐された2つの信号は、遅延回路19の段数に応じてそれぞれ遅延される。
図5(A)、(B)は、伝送時間差発生部16において、検出器11から出力された検出信号sから2つの遅延信号s、sが出力される状態を示す図である。
伝送時間差発生部16の一方の出力端からは、2段の遅延回路19、19を介して遅延された遅延信号sが出力される(図5(A))。そして、他方の出力端からは、4段の遅延回路19、19、19、19を介して遅延された遅延信号sが出力される(図5(B))。
遅延回路19による遅延時間は、下記式(1)のように記載される。遅延時間は、遅延回路19の段数nに比例して長くなる。したがって、検出信号sの入力位置が伝送時間差発生部16の出力端に近くなるほど場合、一方の遅延信号における遅延時間は短くなり、他方の遅延信号における遅延時間は長くなる。
Figure 2017146269
そして、検出器11ごとに出力される検出信号sを伝送時間差発生部16の異なる位置に入力することで、発生する2つの遅延信号s、sの遅延時間は検出器11ごとに変化する。このため、遅延時間の遅延時間差は検出器11ごとに異なるものとなる。
なお、ここでの“遅延時間の遅延時間差”とは、伝送時間差発生部16から出力される遅延信号s、sのいずれか一方の発生時間を基準時間にし、この基準時間から他方の遅延信号の発生時間までの時間差(経過時間)により測定されるものを意味する。つまり、遅延信号sの発生時間を基準とした場合に、遅延信号sの発生時間より遅延信号sの発生時間が早い場合にはマイナスの時間差となる。
図6は、検出器11を10チャンネル設けて、2つの遅延信号s、sにおける遅延時間の遅延時間差を検出器11ごとに計算した計算例である。なお、1段の遅延回路19で約36n(s)の遅延時間を発生するものとして計算している。図6に示されるように、相互に異なる遅延時間の遅延時間差が検出器11ごとに発生する。
なお、発生させる遅延時間差を調整可能とするため、遅延回路19を構成するコイル17及びコンデンサ18は、インダクタンス及び静電容量が可変なものが望ましい。また、伝送時間差発生部16は、コイル17とコンデンサ18から成る遅延回路19を用いた構成に限定されるものでは無く、入力信号を遅延可能なインバータなどの遅延回路を多段に構成することで実現しても良い。
図1に戻って説明を続ける。
伝送時間差発生部16から出力された遅延信号s、sのそれぞれは、信号増幅器22(22,22)に伝送される。なお、伝送時間差発生部16と信号増幅器22との間には、抵抗20(20,20)と接地された抵抗21(21,21)とが設けられており、信号増幅器22に入力される遅延信号s、sの電流値が調整される。
信号増幅器22は、伝送時間差発生部16から出力された遅延信号s、sを増幅する。なお、検出器11にドリフトチューブ12を用いた場合には、ドリフトチューブ12で検出される最少数pCの電荷を、計測可能なレベルまで増幅する増幅器が望ましい。なお、信号を増幅する方法は、チャージアンプ、カレントアンプ等の公知の手法を適用できる。
計算処理装置23は、信号受付部24と、時間差測定部25と、遅延時間情報保存部26と、検出器特定部27と、発生時間導出部28と、荷電粒子軌跡計算部29と、を備える。
計算処理装置23を構成する各ユニットの機能は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の他、HDD(Hard Disk Drive)や光ディスク装置等の外部記憶装置を含む記憶媒体である記憶回路に保持された所定のプログラムコードを、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(programmable logic device)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサなどの電子回路において実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等の電子回路を用いたハードウェア処理で実現しても良いし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現しても良い。
信号受付部24は、信号増幅器22で増幅された遅延信号s、sを受け付ける。
時間差測定部25は、受け付けた遅延信号s、sのそれぞれについて、信号の発生時間を測定する。発生時間(信号の立ち上がり時間)は、例えば遅延信号s、sの電圧値が設定された共通の閾値を超えた時間を測定することで求められる。そして、時間差測定部25は、求めた遅延信号s、sの発生時間に基づいて時間差を測定する。
なお、時間差は、遅延信号s、sのいずれか一方の発生時間を基準時間にし、この基準時間から他方の遅延信号の発生時間までの時間差(経過時間)により測定される。
遅延時間情報保存部26は、伝送時間差発生部16で発生させる遅延信号s、sの遅延時間と遅延時間の遅延時間差とを遅延時間情報として検出器11のそれぞれに対応させて予め保存する。
遅延時間情報は、計算処理装置23あるいは別の計算機上において、遅延回路19の接続構成、コイル17のインダクタンス、コンデンサ18の静電容量などの伝送時間差発生部16の詳細構成に基づいてシミュレーション計算により求められる。あるいは、検出信号sを模擬した模擬信号を伝送時間差発生部16に入力して遅延時間情報を予め求めても良い。
図7は、10チャンネルの検出器11を設けた場合の、遅延時間情報保存部26に保存される遅延時間情報の一例を示す図である。検出器11のそれぞれに対応させて、遅延信号sの遅延時間Tdelay、遅延信号sの遅延時間Tdelay’、及び遅延時間の遅延時間差Tが計算され保存される。
検出器特定部27は、時間差測定部25で測定された遅延信号s、sの発生時間差を遅延時間情報の遅延時間差と照合する。そして、合致する遅延時間差に対応する検出器11を、検出信号sが出力された検出器11として特定する。なお、遅延時間情報の遅延時間差との照合は、遅延信号s、sの発生時間差において発生し得る誤差を加味しても良い。
発生時間導出部28は、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間情報の遅延時間とに基づいて検出信号sの発生時間を求める。
具体的には、遅延信号sの発生時間から、遅延時間情報として保存されている遅延信号sの遅延時間を減算することで検出信号sの発生時間を求める。あるいは、遅延信号sの発生時間から、遅延時間情報として保存されている遅延信号sの遅延時間を減算することで検出信号sの発生時間を求める。
図8は、遅延信号s、sに基づいて検出信号sの発生時間Tを導出する方法を説明する図である(適宜、図1参照)。
1つの検出器11から出力された検出信号sが伝送時間差発生部16に入力されると、遅延信号s、sが発生する。遅延信号sは、検出信号sを遅延時間Tdelayだけ遅延させた信号となり、遅延信号sは、検出信号sを遅延時間Tdelay’だけ遅延させた信号となる。
時間差測定部25は、遅延信号sa、の発生時間Ts、Tsを測定して、測定された発生時間Ts、Tsから遅延時間差Tを測定する。遅延時間差Tは検出器11ごとに異なるため、検出信号sがいずれの検出器11から出力されたものかを特定できる。
そして、遅延信号sの発生時間Tsから遅延時間Tdelayを減算する、または遅延信号sの発生時間Tsから遅延時間Tdelay’を減算することで検出信号sの発生時間Tが導出される。
なお、検出信号sの発生時間Tは、遅延信号sの発生時間Tsに基づいて求めた発生時間Tと遅延信号sの発生時間Tsに基づいて求めた発生時間Tとの平均値により求めても良いし、遅延信号s、sの内で遅延時間が少ない遅延信号の発生時間に基づいて求めた発生時間Tを優先的に選択しても良い。
コイル17及びコンデンサ18から成る遅延回路19を多段に接続して伝送時間差発生部16の両端から出力される遅延信号s、sの出力波形は、完全に一致せず、波高値及び立ち上がり時間が異なる場合がある。
検出信号sの入力位置が伝送時間差発生部16の両端から同程度の距離にある検出器11については出力波形に大きな差は生じない。しかし、入力位置が伝送時間差発生部16の出力端に近くなればなるほど場合、出力波形に差が生じて、遅延信号s、sの発生時間に基づいて計算される発生時間Tには差が生じる。
このため、下記式(2)のように示すように、2つの遅延信号から導出された検出信号sの発生時間Tに対して補正係数を乗じて発生時間Tを求めて良い。
Figure 2017146269
具体的には、発生時間導出部28は、遅延時間が小さい方の遅延信号に基づく発生時間Tと、遅延時間が大きい方の遅延信号に基づく発生時間Tとをそれぞれ求める。そして、遅延時間が小さい方の遅延信号に基づく発生時間Tに対する比重を大きく設定した補正係数を、求めた2つの発生時間Tに乗じて検出信号sの発生時間Tを求める。f(x)は、遅延時間が小さい方の比重が大きくなるように設定される。
このように、2つの遅延信号から導出された検出信号sの発生時間Tを用いることで、発生時間Tの時間分解能を向上させることができる。なお、補正係数f(x)は、遅延信号を模擬した模擬信号を信号受付部24に直接入力した場合に求めた発生時間Tと、伝送時間差発生部16に検出信号sを模擬した模擬信号を挿入した場合に求めた発生時間Tとを比較し、2つの誤差が最も小さくなる値とすることで最適化される。
荷電粒子軌跡計算部29(図1)は、各検出器11の検出信号sの発生時間Tに基づいて検出器11内における荷電粒子(ミュオン)の通過位置を測定する。そして、各検出器11における荷電粒子の通過位置に基づいて荷電粒子の飛行軌跡を求める。なお、荷電粒子の飛行軌跡を求める場合は、検出器11にドリフトチューブ12を用い、複数のドリフトチューブ12を配列させたドリフトチューブ層を多層に設ける。
ここで、ミュオンの軌跡を求める方法を具体的に説明する。
まず、検出器11内のミュオンの通過位置を測定する上で、ミュオンの通過を検出したドリフトチューブ12内で電離により電子が発生する時間Tμが必要となる。この時間Tμは、各検出器11から出力された検出信号sの発生時間T及びミュオンを検出したドリフトチューブ12の位置情報などを用いて、ミュオンが検出器11内を通過した場合に想定され得る時間を最小二乗法などのフィティングによるシミュレーション解析により求められる。なお、図4(B)で示したように、ドリフトチューブ12と時間応答の速いシンチレータ14と組み合わせて構成した場合には、シンチレータ14における検出信号sの発生時間を時間Tμとしても良い。
電離時間Tμが求められると、検出信号sの発生時間Tと電離時間Tμとから陽極ワイヤ13(図2参照)までの電子の移動時間が判明する。この移動時間は陽極ワイヤ13までの電子の移動距離(ドリフト半径)に換算できるため、各ドリフトチューブ12内でのミュオンの通過位置が測定される。そして、各ドリフトチューブ12の通過位置の共通接線を求めることでミュオンの飛行軌跡が導出される。
図9は、第1実施形態に係る荷電粒子測定装置10の測定手順を示すフローチャートである(適宜、図1参照)。
ミュオンなどの荷電粒子の通過を検出した検出器11は、検出信号sを出力する(S10)。伝送時間差発生部16は、検出器11から出力された検出信号sを分岐させ、分岐させた2つの信号をそれぞれ遅延させる。そして、2つの信号における遅延時間の遅延時間差が検出器11ごとに異なる遅延信号s、sを出力する(S11)。
時間差測定部25は、受け付けた遅延信号s、sのそれぞれについて信号の発生時間を測定し、発生時間の時間差を測定する(S12)。そして、検出器特定部27は、時間差測定部25で測定された遅延信号s、sの発生時間差を遅延時間情報の遅延時間差と照合して、合致する遅延時間差に対応する検出器11を特定する(S13)。
発生時間導出部28は、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間情報の遅延時間とに基づいて検出信号sの発生時間Tを導出する(S14)。
以上のように、本実施形態では、複数の検出器11から出力される検出信号sを伝送時間差発生部16にまとめて入力して、発生させた遅延信号s、sの遅延時間差に基づいて検出器11を特定する。そして、遅延信号s、sの発生時間に基づいて検出器11の発生時間Tを求める。
これにより、計算処理装置23に出力される信号数が2つに低減されるとともに、信号増幅器22や信号処理を行う計算処理装置23が1つに共通化される。このため、従来のように検出器11ごとに信号処理回路を設ける必要は無く、簡易な構成により複数の検出器11から出力された検出信号sを測定できる。さらに、ケーブル配線数やシステムの設置に係る作業数を大幅に低減できる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る荷電粒子測定装置10の構成図を示している。なお、図10において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第2実施形態に係る荷電粒子測定装置10が第1実施形態と異なる点は、AD変換回路30(30,30)と、付加遅延設定部31と、OR回路32と、を備える点にある。
AD変換回路30は、信号増幅器22で増幅された2つの遅延信号s、sをデジタル信号に変換する。なお、AD変換回路30は、AD変換後のパルス幅を計算処理装置23の時間分解能に合わせて調整する機能や一定の時間内に信号入力がない場合に次に入力された信号をトリガーにしてAD変換する機能などを備えても良い。
付加遅延設定部31は、AD変換回路30と計算処理装置23との間に設けられて、デジタル信号に変換された2つの遅延信号s、sのうちいずれか一方を入力する。ここでは、遅延信号sを入力するものとする。
付加遅延設定部31は、入力した遅延信号sに対して、検出器11ごとに異なる遅延時間の遅延時間差のうちで、最大となる遅延時間差以上の時間を遅延させる。
付加遅延設定部31は、メモリを保有したFPGAやPLD等のプロセッサで構成して、遅延信号s(パルス信号)をON/OFFすることで必要な時間分を遅延させても良いし、遅延信号sを伝送するケーブル長を変えるなどして物理的に遅延させても良い。
なお、付加遅延設定部31を用いて遅延信号sを遅延させる場合、遅延時間情報保存部26に保存される遅延時間情報は、付加遅延設定部31で遅延される遅延時間分を加味して保存される。
図11は、付加遅延設定部31において遅延信号sを遅延させた場合の、遅延時間の遅延時間差を検出器11ごとに計算した計算例である。図6(第1実施形態)と同様に10チャンネルの検出器11を設けて、付加遅延設定部31において遅延信号sに対して約400nsecの時間を遅延させる。
図6の場合では、遅延時間差は約−350n(s)〜+350n(s)となり、遅延信号sが遅延信号sよりも先に計算処理装置23に到達する場合、遅延信号s、sの時間差を測定する時間差測定部25において時間を遡るマイナスの評価が必要であった。
一方、付加遅延設定部31において、遅延時間差の最大値である350n(s)以上の時間を遅延させることで、遅延時間差は約50n(s)〜+750n(s)となる。このため、計算処理装置23には遅延信号sが遅延信号sよりも必ず先に到達するため、時間差測定部25で時間を遡るマイナスの評価は必要無い。マイナスの評価が無くなることで、時間差測定部25における測定処理が容易となる。
OR回路32は、付加遅延設定部31により遅延された遅延信号sと遅延されていない遅延信号sとの論理和をとり、2つの遅延信号s、sを1つのデジタル信号にまとめて計算処理装置23に出力する。OR回路32を用いて遅延信号s、sを1つのデジタル信号にまとめることで、計算処理装置23に入力される信号数を1つに集約できる。
なお、OR回路32回路で遅延信号s、sを1つにまとめた場合、時間差測定部25は、1つ目の信号の立ち上がり時間と、2つの信号の立ち上がり時間の時間差から遅延信号s、sにおける発生時間の時間差を測定する。
図12(A)〜(D)は、付加遅延設定部31を用いて遅延信号sを遅延させる方法を説明する図である(適宜、図10参照)。
図12(A)は、伝送時間差発生部16から出力された遅延信号s、sを示している。AD変換回路30は、アナログ信号である遅延信号s、sをパルス信号に変換する(図12(B))。
そして、付加遅延設定部31は、遅延信号sに対して付加遅延時間Tadd分を遅延させる(図12(C))。OR回路32は、付加遅延設定部31により遅延された遅延信号sと遅延されていない遅延信号sとの論理和をとり、1つのデジタル信号にまとめて計算処理装置23に出力する(図12(D))。
図13は、第2実施形態に係る荷電粒子測定装置10の測定手順を示すフローチャートである(適宜、図10参照)。なお、第1実施形態に係る荷電粒子測定装置10の測定手順と同一の手順については記載を省略して説明する。
荷電粒子の通過を検出した検出器11は、検出信号sを出力する(S20)。そして、伝送時間差発生部16は、検出信号sから遅延信号s、sを出力する(S21)。
AD変換回路30は、信号増幅器22で増幅された遅延信号s、sをデジタル信号に変換する(S22)。そして、付加遅延設定部31は、遅延信号sに対して付加遅延させる(S23)。
時間差測定部25は、受け付けた遅延信号s、sのそれぞれについて信号の発生時間を測定し、発生時間の時間差を測定する(S24)。そして、検出器特定部27は、遅延信号s、sの発生時間差を遅延時間情報の遅延時間差と照合して、合致する遅延時間差に対応する検出器11を特定する(S25)。
発生時間導出部28は、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間情報の遅延時間とに基づいて検出信号sの発生時間Tを導出する(S26)。
このように、第2実施形態では、付加遅延設定部31を備えることで、時間差測定部25において時間を遡るマイナスの評価は必要無くなるため、測定処理が容易となる。また、OR回路32を備えることで、計算処理装置23に入力される信号数を1つに集約でき、装置の構成を簡素化できる。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係る荷電粒子測定装置10の構成図を示している。なお、図14において第1実施形態(図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第3実施形態における荷電粒子測定装置10が第1実施形態と異なる点は、AD変換回路30(30a,30b)と、波高推定部33と、時間差補正部34と、を備える点にある。なお、第2実施形態で示した、付加遅延設定部31と、OR回路32と、を備えても良い。
AD変換回路30は、信号増幅器22で増幅された2つの遅延信号s、sをデジタル信号に変換する。なお、AD変換回路30は、後段の波高推定部33において遅延信号s、sの波高値が推定可能となる方法、例えば多閾値を設定した変換方法などを用いてデジタル変換を行う。
波高推定部33は、デジタル信号に変換された遅延信号s、sに基づいて遅延信号s、sの波高値を推定する。
波高値を推定する方法は、AD変換回路30において少なくとも3つ以上の閾値を設定してデジタル変換した場合に、それぞれの閾値を通過する時間を測定する。そして、複数の閾値を通過する時間情報を用いて最小二乗法等の波形フィティングを実行して波高値を推定する方法がある。
また、AD変換回路30において2つの閾値を設定してデジタル変換した場合に、それぞれの閾値を通過する2つの時間を測定する。2つの測定時間の時間差と波高値には相関がある(時間差が大きくなる程、波高値は小さくなる)ため、これらの相関関係を予め求めておき、測定した時間差に基づいて波高値を推定する方法を用いても良い。
また、AD変換回路30において1つの閾値を設定してデジタル変換した場合に、その閾値を超える時間を測定する。閾値を超える時間と波高値には相関がある(閾値を超える時間が大きくなる程、波高値は大きくなる)ため、これらの相関関係を予め求めておき、測定した閾値を超える時間に基づいて波高値を推定する方法を用いても良い。
ところで、パルス信号の発生時間を測定する場合、アナログ信号の波高値に依存して測定の読み取り誤差(タイムウォーク)が生じる場合がある。このため、伝送時間差発生部16から出力される遅延信号s、sの波高値が変化した場合、時間差測定部25で測定される遅延信号s、sの発生時間の時間差に誤差が発生するおそれがある。
図15は、遅延信号s、sの波高値を40mV〜180mVに変化させた場合の、測定された遅延信号s、sの発生時間差における測定分布を示している。なお、時間差の真値は約200nsecであり、2つの遅延信号s、sの波高値は同等のものとする。
図15に示されるように、遅延信号s、sの波高値が大きい場合、AD変換の閾値が2つの出力波形にたいして十分小さいためタイムウォークの影響が小さく、比較的良い時間分解能を得ることができる。一方、遅延信号s、sの波高値が小さい場合には、AD変換の閾値が2つの出力波形の最大値が近くなるためタイムウォークの影響が大きくなり、時間分解能は劣化する。
遅延信号s、sの波高値と時間差のずれ(真値と測定分布の中心値とのずれ)には相関があるため、遅延信号s、sの波高値を求めることで遅延信号s、sの発生時間差における誤差を補正することができる。
時間差補正部34は、遅延信号s、sの波高値に応じて生じる遅延信号s、sの発生時間差における誤差について、波高値をパラメータとして、シミュレーション計算または遅延信号s、sを模擬した模擬信号を用いて予め求める。
そして、時間差補正部34は、波高推定部33で推定された波高値に対応する遅延時間差の誤差に基づき、時間差測定部25で測定された遅延信号s、sの発生時間の時間差を補正する。
さらに、発生時間導出部28は、遅延信号s、sの波高値に応じて生じる遅延信号s、sの発生時間の誤差を、シミュレーション計算または遅延信号s、sを模擬した模擬信号を用いて予め求めておき、波高推定部33で推定された波高値に対応する誤差に基づき遅延信号s、sの発生時間を補正しても良い。
図16は、第3実施形態に係る荷電粒子測定装置10の測定手順の一例を示すフローチャートである(適宜、図14参照)。なお、図16において第1実施形態(図1)と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
荷電粒子の通過を検出した検出器11は、検出信号sを出力する(S30)。そして、伝送時間差発生部16は、検出信号sから遅延信号s、sを出力する(S31)。
AD変換回路30は、信号増幅器22で増幅された2つの遅延信号s、sをデジタル信号に変換する(S32)。そして、波高推定部33は、AD変換回路30でデジタル信号に変換された遅延信号に基づいて遅延信号の波高値を推定する(S33)。
時間差測定部25は、受け付けた遅延信号s、sのそれぞれについて信号の発生時間を測定し、発生時間の時間差を測定する(S34)。
時間差補正部34は、発生時間の時間差を推定された波高値に応じて補正する(S35)。そして、検出器特定部27は、補正された遅延信号s、sの発生時間差を遅延時間情報の遅延時間差と照合して、合致する遅延時間差に対応する検出器11を特定する(S36)。
発生時間導出部28は、遅延信号s、sの発生時間と特定された検出器11に対応する遅延時間情報の遅延時間とに基づいて検出信号sの発生時間Tを導出する(S37)。
このように、第3実施形態では、測定された時間差を波高値に応じて補正することで、遅延信号s、sの波高値が変化した場合であっても、検出信号sの発生時間Tを正確に求めることができる。
(第4実施形態)
図17は、第4実施形態に係る荷電粒子測定装置10の構成図を示している。なお、図17において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第4実施形態における荷電粒子測定装置10が第1実施形態と異なる点は、異常計数判定部35と、遮断スイッチ36(36,36,36,36,36)と、スイッチ制御部37と、をさらに備える点にある。
検出器11にドリフトチューブ12を用いた場合、電離ガスのリークなどを起因としてで、検出器11から出力される検出信号sが異常に増加する場合がある。特定の検出器11で発生する信号が極度に増加すると、他の検出器11で出力される検出信号sにより伝送時間差発生部16で発生する遅延信号の間に増加した信号が重なるおそれがある。この場合、遅延時間差に基づいて検出器11の特定が正確にできず、検出信号sの発生時間Tが誤って導出されるおそれがある。
異常計数判定部35は、検出器特定部27で特定された検出器11のチャネルIDを取得して、検出器別に計数を行う。そして、一定時間内に所定の回数(検出器11の異常出力を判定するための回数)以上が計数された検出器11の異常を出力する。
遮断スイッチ36は、各検出器11と伝送時間差発生部16との間に設けられて、伝送時間差発生部16への検出信号sの出力を遮断(停止)可能なスイッチである。遮断スイッチ36は、通常時は導通されており、検出器11の異常が出力された場合に遮断される。
スイッチ制御部37は、異常計数判定部35において異常が出力された場合、異常が出力された検出器11に対応する遮断スイッチ36に対して、遮断を指令する制御信号を送信する。これにより、異常と判定された検出器11から伝送時間差発生部16への検出信号sの出力は停止される。
検出器11から伝送時間差発生部16への検出信号sの出力制御は、遮断スイッチ36にリレー回路やCMOSスイッチ等を適用してスイッチ制御部37による自動制御でも良いし、遮断スイッチ36に、伝送時間差発生部16とグランドとの切り替え可能なジャンパ等を適用して、検出器11の異常が出力された場合に手動で切り替えても良い。
このように、検出器11で異常出力が発生した場合であっても、該当する検出器11からの出力を停止させることで、他の検出器11から出力される検出信号sの発生時間Tが誤って導出されることが防止される。
以上述べた各実施形態の荷電粒子測定装置によれば、複数の検出信号を伝送時間差発生部にまとめて入力して、伝送時間差発生部16で発生させた遅延信号に基づいて各検出信号の発生時間を求めることで、検出器ごとに信号処理回路を設けること無く、簡易な構成により複数の検出器から出力された検出信号を測定できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…荷電粒子測定装置、11(11,11,11,11,11)…検出器、12(11)…ドリフトチューブ、13…陽極ワイヤ、14(11)…シンチレータ、15…耐圧コンデンサ、16…伝送時間差発生部、17…コイル、18…コンデンサ、19(19,19,19,19,19)…遅延回路、20(20,20)…抵抗、21(21,21)…抵抗、22(22,22)…信号増幅器、23…計算処理装置、24…信号受付部、25…時間差測定部、26…遅延時間情報保存部、27…検出器特定部、28…発生時間導出部、29…荷電粒子軌跡計算部、30(30,30)…AD変換回路、31…付加遅延設定部、32…OR回路、33…波高推定部、34…時間差補正部、35…異常計数判定部、36(36,36,36,36,36)…遮断スイッチ、37…スイッチ制御部。

Claims (10)

  1. 荷電粒子を検出した際に検出信号を出力する複数の検出器と、
    出力された前記検出信号を分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が前記検出器ごとに異なる2つの遅延信号を発生させる伝送時間差発生部と、
    発生された2つの前記遅延信号における発生時間の時間差を測定する時間差測定部と、
    前記伝送時間差発生部で発生させる2つの前記遅延信号の前記遅延時間と前記遅延時間の遅延時間差とを前記検出器のそれぞれに対応させて予め保存する遅延時間情報保存部と、
    測定された発生時間の時間差を保存された前記遅延時間差と照合し、合致する前記遅延時間差に対応する前記検出器を特定する検出器特定部と、
    前記遅延信号の発生時間と特定された前記検出器に対応する前記遅延時間とに基づいて前記検出信号の発生時間を求める発生時間導出部と、を備えることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  2. 前記伝送時間差発生部は、コイルとコンデンサから成る遅延回路が多段に接続されて、前記検出器から出力される各検出信号は遅延回路間のそれぞれに入力されることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子測定装置。
  3. 前記検出器にドリフトチューブを用い、複数のドリフトチューブを配列させたドリフトチューブ層を多層に設けて、
    前記検出信号の発生時間に基づいて前記ドリフトチューブ内における前記荷電粒子の通過位置を測定して、この通過位置から前記荷電粒子の飛行軌跡を求める荷電粒子軌跡計算部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の荷電粒子測定装置。
  4. 前記伝送時間差発生部により発生された2つの前記遅延信号をデジタル信号に変換するAD変換回路と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷電粒子測定装置。
  5. デジタル信号に変換された2つの前記遅延信号のうちいずれか一方に対して、前記検出器ごとに異なる前記遅延時間の前記遅延時間差のうちで最大の遅延時間差以上の時間を遅延させる付加遅延設定部と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子測定装置。
  6. 前記付加遅延設定部により遅延された前記遅延信号と遅延されていない前記遅延信号との論理和をとり、1つのデジタル信号にまとめて出力するOR回路をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の荷電粒子測定装置。
  7. デジタル信号に変換された前記遅延信号に基づいて前記遅延信号の波高値を推定する波高推定部と、
    前記遅延信号の波高値に応じて生じる前記遅延時間差の誤差を予め求めて、推定された波高値に対応する前記遅延時間差の誤差に基づき測定された時間差を補正する時間差補正部と、を備えることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の荷電粒子測定装置。
  8. 前記発生時間導出部は、前記遅延時間が小さい方の前記遅延信号の発生時間に基づく前記検出信号の第1の発生時間及び前記遅延時間が大きい方の前記遅延信号の発生時間に基づく前記検出信号の第2の発生時間をそれぞれ求めて、第1の発生時間に対する比重を大きく設定した補正係数を、第1の発生時間及び第2の発生時間のそれぞれに乗じて前記検出信号の発生時間を求めることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の荷電粒子測定装置。
  9. 前記検出器特定部で特定された前記検出器を検出器別に計数して、一定時間内に所定の回数以上が計数された前記検出器の異常を出力する異常計数判定部と、
    各前記検出器と前記伝送時間差発生部との間に設けられて、前記伝送時間差発生部への前記検出信号の出力を遮断可能なスイッチと、を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の荷電粒子測定装置。
  10. 荷電粒子を検出した際に検出信号を出力する複数の検出器を用いて、
    出力された前記検出信号を分岐させ遅延させて、遅延時間の遅延時間差が前記検出器ごとに異なる2つの遅延信号を伝送時間差発生部において発生させるステップと、
    発生された2つの前記遅延信号における発生時間の時間差を測定するステップと、
    前記伝送時間差発生部で発生させる2つの前記遅延信号の前記遅延時間と前記遅延時間の遅延時間差とを前記検出器のそれぞれに対応させて予め保存するステップと、
    測定された発生時間の時間差を保存された前記遅延時間差と照合し、合致する前記遅延時間差に対応する前記検出器を特定するステップと、
    前記遅延信号の発生時間と特定された前記検出器に対応する前記遅延時間とに基づいて前記検出信号の発生時間を求めるステップと、を含むことを特徴とする荷電粒子測定方法。
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