JP2017143201A - 光源装置及び情報取得装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高出力かつ安価な光源装置を提供する。【解決手段】主面を有する基体と、前記主面に実装された発光素子と、前記主面に実装され、前記発光素子からの射出光を増幅する光増幅器と、を有し、前記発光素子からの射出光の放射角について、前記基体の前記主面に対して垂直方向の拡がり角が10度以下であり、前記光増幅器は、前記発光素子からの前記射出光が入射される入射面に入射端を有する複数の光導波路を有し、前記複数の光導波路のうちの隣接する2つの光導波路の中心間の間隔は、前記発光素子からの前記射出光の中心波長の3倍以上、10倍以下であることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、光源装置及び情報取得装置に関する。
特許文献1には、面発光レーザ素子と増幅用のDFB(Distributed FeedBack)レーザ素子が1つのパッケージに実装された半導体レーザモジュールが記載されている。面発光レーザ素子及びDFBレーザ素子は、それぞれ異なるサブマウントに実装され、光軸が一致するように配置されている。これにより、面発光レーザ素子から射出されたレーザ光をDFBレーザ素子で増幅及び波長変換して射出する半導体レーザモジュールが実現されている。
発光素子と光増幅器を組み合わせた光源装置に対し、高出力かつ安価であることが要求されることがある。特許文献1に記載されている半導体レーザモジュールの出力とコストは、この要求を満たすことが困難な場合がある。
そこで、本発明は上述の課題に鑑みて、高出力かつ安価な光源装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る光源装置は、主面を有する基体と、前記主面に実装された発光素子と、前記主面に実装され、前記発光素子からの射出光を増幅する光増幅器と、を有し、前記発光素子からの射出光の放射角について、前記基体の前記主面に対して垂直方向の拡がり角が10度以下であり、前記光増幅器は、前記発光素子からの前記射出光が入射される入射面に入射端を有する複数の光導波路を有し、前記複数の光導波路のうちの隣接する2つの光導波路の中心間の間隔は、前記発光素子からの前記射出光の中心波長の3倍以上、10倍以下であることを特徴とする。
高出力かつ安価な光源装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。第1の実施形態において本発明が適用され得る光源モジュールの基本構成を説明する。第2及び第3の実施形態において、第1の実施形態のより具体的な構成を説明する。
第1乃至第3の実施形態に係る光源モジュールは、例えば、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、以下OCTと呼ぶ)等の情報取得装置のための光源装置として用いられ得る。OCTは、物体、生体等の測定対象物の断層像を取得する技術である。OCTによる断層像の撮影は非破壊・非侵襲で行うことが可能である。そのため、OCTは工業製品の検査装置、医療用の診断装置等に用いられる。第4の実施形態において、第1乃至第3の実施形態に係る光源モジュールを用いたOCT装置の構成を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る光源モジュールの構造図である。図1(a)は、光源モジュール1の断面図であり、図1(b)は基板12を上面方向から見た平面図である。光源モジュール1は、基板12と、基板12の主面上に実装された半導体レーザ10及び半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier、以下SOAと呼ぶ)14を有する光源装置である。基板12は、実装の容易性のため図1(a)及び図1(b)に示されているように板状の形状であることが望ましい。しかしながら、基板12は、半導体レーザ10及び半導体光増幅器14を実装するための基体としての機能を有していればよく、その形状は板状に限定されない。
図1は、第1の実施形態に係る光源モジュールの構造図である。図1(a)は、光源モジュール1の断面図であり、図1(b)は基板12を上面方向から見た平面図である。光源モジュール1は、基板12と、基板12の主面上に実装された半導体レーザ10及び半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier、以下SOAと呼ぶ)14を有する光源装置である。基板12は、実装の容易性のため図1(a)及び図1(b)に示されているように板状の形状であることが望ましい。しかしながら、基板12は、半導体レーザ10及び半導体光増幅器14を実装するための基体としての機能を有していればよく、その形状は板状に限定されない。
発光素子である半導体レーザ10はCANパッケージ11に実装される。CANパッケージ11は、主として金属材料により構成されるパッケージ部材であり、半導体基板に形成された半導体レーザ10を実装することができる。実装が比較的容易なCANパッケージ11を採用することにより、光源モジュール1の実装コストを低減することができる。しかしながら、CANパッケージ11を用いることは必須ではなく、樹脂パッケージ等の他の実装部材を用いてもよい。
半導体レーザ10が実装されたCANパッケージ11は、半導体レーザ用の位置決め機構13に合わせて基板12に載置される。CANパッケージ11は必要に応じて基板12に固定してもよい。固定の方法としては、はめあい、半田接合、接着剤による接着、高出力レーザによる溶接等の方法を、適宜単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。CANパッケージ11は、半導体レーザ10の射出面16が基板12の主面に垂直な向き(図1(a)及び図1(b)のx軸方向)となるように実装される。
同様に、SOA14は、半導体レーザ10から射出される光を増幅するための光増幅器である。SOA14は、SOA用の位置決め機構15に合わせて基板12に載置され、必要に応じて上述の方法等により固定される。SOA14は、SOA14の入射面17が、半導体レーザ10の射出面16と向き合うように実装される。SOA14の射出面には光ファイバが光実装され、SOA14で増幅された光は光ファイバを介して射出される。
2つの位置決め機構13、15は、半導体レーザ10及びSOA14を実装する際に、半導体レーザ10から射出された光がSOA14に形成されている光導波路の少なくとも一部に入射される所定の位置に導かれるように、あらかじめ設計されている。
位置決め機構13、15は、半導体レーザ10及びSOA14の平面方向(x軸方向、y軸方向)の位置及び高さ(z軸方向)の位置が、部材を載置するだけで所定の位置に導かれるよう設計されている。例えば、位置決め機構13、15は、基板12の主面に形成された孔とすることができる。この孔に合わせて半導体レーザ10及びSOA14を載置することにより位置決めがなされる。また、位置決め機構13、15は、板状又はピン状の突き当てジグとすることができる。この突き当てジグに沿って半導体レーザ10及びSOA14を載置することにより位置決めがなされる。図1では、位置決め機構13、15は孔であるものとして図示されているが、位置決め機構13、15の構造はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係る光源モジュール1は、基板12が位置決め機構13、15を有しているため、各部品の実装時の位置合わせが容易である。そのため、各光学部品の精密な光軸調整を行う回数を低減することができ、実装工程の削減及び実装時間の短縮が可能である。したがって、本実施形態では、特許文献1のような精密な光軸調整を要する構成に比べ、実装コストが低減され、安価な光源装置を提供することが可能となる。
ここで、半導体レーザ10の放射角に関して説明する。半導体レーザ10の放射角のうち、基板12の主面に対して垂直方向(図1(a)及び図1(b)のz軸方向)の拡がり角は、10度以下であることが望ましい。拡がり角が垂直方向に10度より大きい場合、半導体レーザ10から射出される光のうちSOA14の光導波路に入射されない成分が増大し、光源モジュール1の出力を低下させる場合がある。そのため、拡がり角を垂直方向に10度以下とすることにより、半導体レーザ10から射出される光を効率よくSOA14の光導波路に入射させることができ、光源モジュール1を高出力化することができる。
また、基板12の主面に対して垂直方向の拡がり角は、基板12の主面に対して平行方向(図1(a)及び図1(b)のy軸方向)の拡がり角よりも小さいことがより望ましい。半導体レーザ10の放射角をこのように設定することにより、半導体レーザ10から射出される光をより効率的にSOA14の光導波路に入射させることが可能となり、光源モジュール1をより高出力化することができる。
半導体レーザ10は、単一横モードの光を射出する面発光レーザであることが望ましい。この面発光レーザは、垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER、以下VCSELと呼ぶ)であることがより望ましい。半導体レーザ10がVCSELである場合、光の射出方向はVCSELが形成される基板に対して垂直な方向である。したがって、VCSELの基板をCANパッケージ11等のパッケージに実装する際に基板の背面をCANパッケージ11の実装面に接着することができる。そのため、端面発光レーザの場合のように、基板を垂直に立てるためのステム部材が不要であるため、VCSELは端面発光レーザよりも低コストで実装することができる。
また、半導体レーザ10は、電流狭窄型VCSELであることがより望ましい。電流狭窄型VCSELは、狭窄形状により基板12の主面に対し垂直方向(図1(a)及び図1(b)のz軸方向)と平行方向(図1(a)及び図1(b)のy軸方向)の放射角を制御することができる。そのため、電流狭窄型VCSELは、本実施形態の光源モジュール1に好適に用いられ得る。
なお、本実施形態の半導体レーザ10から射出される光をSOA14で増幅する構成は、半導体レーザ10としてVCSELを用いた場合に、より有効である。VCSELは、垂直方向に共振させてレーザ発振させる構造であるため、端面発光レーザと比較して活性層の体積が小さくなり、OCT用の光源としては出力が十分でない場合がある。本実施形態では、SOA14によりVCSELから射出された光を増幅する構成であるため、OCTの光源として十分な出力が確保される。
半導体レーザ10は、射出される光の波長を可変とする波長可変機構を有していてもよい。波長可変機構を有することにより、本実施形態の光源モジュール1は、波長掃引型OCT(Swept Source OCT、以下SS−OCTと呼ぶ)への適用が可能となる。SS−OCTでは、波長可変機構を有する光源から射出された光を2つに分岐する。そして、分岐された一方の光は測定対象物に照射され反射される。この反射光を所定の光路長だけ進んだ他方の光と干渉させることにより、干渉光の強度を取得することができる。これらを波長掃引しつつ行うことにより測定対象物の断層像を取得することができる。
波長可変機構の一例としては、半導体レーザ10を外部共振器構造として構成した場合には、回折格子を用いるリトロウ型、回折格子とミラーを用いるリットマン型、あるいは、モーター、アクチュエータ等により共振器を可動させる方式を用いることができる。
また、半導体レーザ10としてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)−VCSELを用いることにより、波長可変機構の機能を持たせてもよい。MEMS−VCSELは、VCSELの2つのミラーのうちの一方のミラーをVCSELと一体で作り込み、発光部分とミラーとの間の距離を可変とした構成のMEMSミラーを用いるものである。発光部分とミラーとの間の距離に応じて発振波長が変化するため、MEMS−VCSELは、波長可変レーザとして機能する。半導体レーザ10をMEMS−VCSELとすることにより、半導体レーザ10が小型化され、より低コストでの製造が可能となる。
MEMS−VCSELは、連続した波長可変が実現できる。また、MEMS可動部を高速に動作させることが可能であるため、MEMS−VCSELは、波長可変を高速に行うことができる。また、発光部に消費電力の少ないVCSELを用いているため、MEMS−VCSELは低消費電力での動作が可能である。更に、MEMS−VCSELは、縦モードがシングルモードとなるように設計しやすい。このため、MEMS−VCSELを用いたOCT用光源は、縦モードがマルチモードとなりやすい外部共振器型レーザ及び端面発光型レーザを用いた場合と比較して、取得された画像のコヒーレンスリバイバルノイズが低減され得る。ここで、コヒーレンスリバイバルノイズについて説明する。外部共振器型の光源では、外部共振器の長さをLとすると、長さLごとに全ての波長の光が節になる特異点が存在する。例えば、レンズの表面反射によるノイズがあった場合、そのノイズが実際の反射面だけでなく、そこからn×L離れた位置にも現れる。このような現象がコヒーレンスリバイバルノイズと呼ばれる。
半導体レーザ10とSOA14との間に、ロッドレンズ等のレーザ光集光のためのレンズを更に実装してもよい。この構成により、半導体レーザ10として端面発光レーザを適用し易くなる。例えば、半導体レーザ10が、基板12の主面と平行方向(図1(a)及び図1(b)のy軸方向)についてはマルチモードであり、垂直方向(図1(a)及び図1(b)のz軸方向)については基本モードである端面発光レーザであるものとする。この場合、レンズによりレーザ光を集光することで、レンズで集光されたレーザ光の放射角について、垂直方向の拡がり角を実効的に10度以下にすることが可能である。
ここで、「実効的に」とは、半導体レーザ10とロッドレンズの機能を合わせて一つの「光源」と考えた際に、SOA14に入射される「光源」からの光の垂直方向の拡がり角が、10度以下に相当するという意味である。
上述のレンズを実装しない場合には、半導体レーザ10の射出面16と、SOA14の入射面17と間の距離を以下のように設定することが望ましい。すなわち、射出面16と、入射面17と間の距離が、基板12の主面と平行方向(図1(a)及び図1(b)のy軸方向)のビームウエストwが射出時のビーム径の1.2倍である距離以下となるように位置決め機構13、15を配置することが望ましい。
ここで、sは、半導体レーザ10から射出されるレーザ光の射出時のビーム径である。例えば、半導体レーザ10が電流狭窄型VCSELである場合には、sはその狭窄径に相当する。xは、図1(a)及び図1(b)において射出面16の位置を0としたときのx方向の位置である。kは、半導体レーザ10から射出されるレーザ光の波数である。半導体レーザ10から射出されるレーザ光の波長をλとすると、波数kは、k=(2π/λ)と算出される。
図2は、式(1)に基づいてビームウエストw、すなわち、ビーム径の拡がりを計算した結果を示すグラフである。横軸は、半導体レーザ10の射出面16からの距離x(μm)である。縦軸はビームウエストw(μm)である。また、半導体レーザ10から射出されるレーザ光の射出時のビーム径を4μm、レーザ光の波長を850nmとする。
図2より、ビーム径の拡がりは、距離xが0μmから30μm付近までの範囲では十分に小さい。距離xが80μm付近においてビームウエストwは4.8μm程度となり、射出時のビーム径の1.2倍程度となる。距離xがこれよりも大きくなると、ビームウエストwは急激に増大する。ビームウエストが増大すると、SOA14の光導波路に入射されるレーザ光のエネルギーが減少し、光源モジュールの出力が低下する。したがって、半導体レーザ10の射出面16と、SOA14の入射面17との間隔が80μm以下となるように位置決め機構13、15の位置を設定することが望ましい。
図3(a)及び図3(b)は第1の実施形態に係るSOA14の構造図である。図3を用いてその構成を説明する。図3(a)は、SOA14の上面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A’線における断面図である。
まず、図3(a)を参照してSOA14の上面視構造を説明する。SOA14には、複数(3本)のリッジ21及び上部電極202、203が形成されている。複数のリッジ21は、入射光102を伝搬させる光導波路として機能する。入射光102は入射面17から、複数のリッジ21のうちの一部又は全部に入射され、SOA14において増幅される。増幅された光は、射出面105から射出光106として射出される。なお、図3(a)に図示されているように、複数のリッジ21は、SOA14の入射面17及び射出面105の法線方向に対して傾斜した向きとなっている。入射面17及び射出面105における光の反射を低減させるためである。
上部電極202、203は複数のリッジ21の上方に形成される。上部電極202、203は、SOA14の増幅度を制御する制御用電極である。制御用電極の形状、個数、配置等の構成は図3の構成に限られるものではなく、制御用電極が少なくとも1つあればよい。ただし、制御用電極の形状、個数、位置等については、リッジ21の設計に依存するため、これらについては後述する。
上部電極202、203は、複数のリッジ21を略垂直な方向(図3(a)においては上下方向、図1(b)においてはy軸方向)に横切るように形成される。言い換えると、複数のリッジ21の並行する部分(x軸方向の位置が同じ部分)に対し同じ制御用電極で一様に制御が行われるように上部電極202、203が形成されている。
本実施形態では図3(a)に示されるように、射出面105に複数のリッジ21の射出端が面している。すなわち、本実施形態では、複数のリッジ21から射出光106が射出され得る構成となっている。この場合、複数のリッジ21のうち射出光106の強度が最大となるリッジ21の射出端を1つ選択して、その射出端からの射出光に光軸が合うよう光ファイバを光実装して、SOA14の射出端とする。これにより、SOA14の効率をより向上させることができる。
図3(a)には、リッジの本数が3本図示されているが、これに限られるものではない。また、図3(a)には3本のリッジが平行に並んでいる構成を記載しているが、これに限るものではなく、互いに平行でなくてもよい。
ここで、入射面17において、複数のリッジ21のうちの隣接する2つの間隔が、半導体レーザ10から射出される光の中心波長の3倍以上、10倍以下とする。ここで、複数のリッジ21の間隔とは、各リッジ21の中心間の間隔と定義する。また、本実施形態において、射出光の中心波長とは、半導体レーザ10(発光素子)から射出される光の波長が固定の場合は、その波長スペクトルの中心波長と定義される。また、半導体レーザ10(発光素子)から射出される光の波長が時間的に変化する場合、すなわち、波長が掃引される場合は、射出される光の最短波長と最長波長の中間の波長と定義される。また、複数のリッジ21のうちの隣接する2つのリッジ21の間隔は、半導体レーザ10から射出される光の中心波長の3倍以上、5倍以下とすることがより望ましい。リッジ21の間隔と波長との関係を上述のように設定すべき根拠について説明する。
リッジ21の間隔を小さくすると、同面積内により多くの個数のリッジ21を形成することが可能となる。これにより、半導体レーザ10からの射出光がSOA14の光導波路に入射される割合を大きくすることが可能となり、高効率化が実現され得る。なお、上述の観点から、プロセス限界を超えない範囲で、リッジ21の個数をなるべく多くすることがより望ましい。ここでプロセス限界とは、各リッジ21を電気的、光学的に独立して形成するためのエッチングプロセス、電極を分離して形成するための電極形成プロセス等の限界である。
しかしながら、SOA14の光導波路の設計及びSOA14の実装の制約の観点からリッジ21の間隔の範囲には制限がある。複数の光導波路が近接している場合、ある一つの光導波路にのみ光が入射したとしても、入射光が光導波路内を伝搬する間に、近接する光導波路に光のパワーが移動する。ある光導波路から隣接する他の光導波路に光のパワーが完全に移動するまでの光導波路の長さを、結合長と呼ぶ。SOA14の複数のリッジ21の長さは、結合長を考慮して決定する必要がある。例えば、光導波路の長さが結合長の半分である場合には、入射光のパワーの半分が隣接するリッジ21に移動するため好ましくない。したがって、複数のリッジ21の長さは結合長の整数倍に近付けることが望ましい。
リッジ21の間隔が中心波長の3倍より小さい場合、伝搬する光がシングルモードとなる幅よりもリッジ21の間隔が狭くなり、SOA14の増幅効率が低下することがある。したがって、リッジ21の間隔は中心波長の3倍以上とすることで、SOA14の増幅効率を高くすることができ、光源モジュール1が高出力化される。
リッジ21の間隔が中心波長の10倍より大きい場合、結合長を考慮してSOA14の長さを長く設計する必要があり、光源モジュール1の構成部品を標準バタフライパッケージに収めることが困難になる。そのため、パッケージが大型化し、製造コストが増大し得る。したがって、リッジ21の間隔は中心波長の10倍以下とすることが望ましい。また、リッジ21の間隔は中心波長の5倍以下とすることがより望ましい。このようにすることで、SOA14の長さをより短く設計することができるので、標準バタフライパッケージに光学部品等の他の部品を入れるスペースが確保できる。そのため、これらの部品のための専用パッケージを利用する必要がなくなり、製造コストを更に低減することが可能となる。したがって、これらの構成によれば、光源モジュール1を安価に提供することができる。
以上の理由により、複数のリッジ21のうちの隣接する2つの間隔は、半導体レーザ10から射出される光の中心波長の3倍以上、10倍以下とすることが高出力化及び低価格化の両立の観点で望ましい。更に、3倍以上、5倍以下とすることでさらなる低価格化が可能であるため、より望ましい。なお、これらの複数のリッジ21の間隔の限定は、上述した半導体レーザ10の放射角の限定と組み合わせることがより望ましい。これらはいずれも光源モジュール1の高出力化に寄与する構成であり、これらを複合することにより、光源モジュール1を更に高出力化できるためである。すなわち、半導体レーザ10については、基板12の主面に対して垂直方向に対する射出光の拡がり角を10度以下とし、かつ、SOA14については、複数のリッジ21の間隔を、中心波長の3倍以上、10倍以下とすることが望ましい。
リッジ21が1つのみである場合は、そのリッジ21に半導体レーザ10からの射出光が入力されるまでアライメントを繰り返すか、あるいは、より精密に位置決め機構13、15を作製する必要がある。よって、実装に要するコストは高くなる。一方、SOA14が複数のリッジ21を有する場合、半導体レーザ10からの射出光が複数のリッジ21のうちのいずれか1つに入射されればよいため、アライメントの際の移動量を少なくすることができ、あるいは位置決め機構13、15の作製精度を低くすることができる。したがって、リッジ21が複数であることにより、リッジ21が1つのみである場合と比較して、実装に要するコストが低減される。
上述のように複数のリッジ21は、互いに平行でない配置としてもよい。この場合、SOA14の射出面105において、複数のリッジ21が互いに異なる方向に射出光106を射出することが可能となる。また、SOA14の射出面105を曲面とすることによっても、射出光106の方向差をつけることが可能である。
以上のように、複数のリッジ21が互いに異なる方向に射出光106を射出することにより、あるリッジ21の射出端において、隣接するリッジ21の射出端からの射出される光による影響を受けにくくなる。そのため、SOA14をパッケージに実装した後の光ファイバへの光実装がより容易になる。
更に、射出面105に射出端を有するリッジ21の個数は、入射面17に入射端を有するリッジ21の個数より少なくてもよい。例えば、入射面17におけるリッジ21が複数で、射出面105におけるリッジ21が1つとしてもよい。このような場合、射出光106の射出位置が固定されるため、SOA14をパッケージに実装した後の光ファイバへの光実装がより容易になる。
次に、図3(b)を参照してSOA14の断面構造を説明する。SOA14は、下部電極110、基板111、第1導電型クラッド層112、活性層113、第1導電型とは異なる導電型の第2導電型クラッド層114、コンタクト層115、絶縁層117、上部電極202を有する。第2導電型クラッド層114に形成された凸部が上述のリッジ21に対応する。なお、第2導電型クラッド層114の凸部が形成されている位置の活性層113、第1導電型クラッド層112にも同様に凸部を有する構成としてリッジ21の構造を形成してもよい。
活性層113には、非対称量子井戸構造を用いることができる。非対称量子井戸構造を用いることにより、SOA14は、広い波長帯域において効率的に増幅を行うことができる。
なお、本明細書において、非対称量子井戸構造とは、次のように定義する。量子井戸1つから構成されている単量子(Single Quantum Well)構造とは異なり、非対称量子井戸構造は、複数の量子井戸を有する。量子井戸の個数が2つの場合は、複数の量子井戸を構成する各層について、組成、厚さの少なくとも1つが量子井戸間で異なる構成を非対称量子井戸構造と呼ぶ。また、量子井戸数が3つ以上の場合は、複数の量子井戸のうちのいずれか1つの量子井戸を構成する各層の組成、厚さ、間隔の少なくとも1つが他の量子井戸のそれらと異なる構成を非対称量子井戸構造と呼ぶ。
このような構成とすることで、SOA14に対する電流注入量を制御することにより利得のピーク強度を、長波長側から短波長側にシフトさせることが可能となる。したがって、電流注入量を制御することにより、広波長帯域にわたる光出力の増幅が可能である。
また、本実施形態のSOA14は、制御用電極を複数有する多電極構造を有している。複数の制御用電極を介して電流を注入することにより、制御用電極が1つの場合と比べてより効果的に広波長帯域にわたる光出力の増幅が可能となる。
本実施形態の半導体レーザ10、SOA14の構造及び配置を上述の各構成とすることにより、高出力かつ安価な光源モジュールを提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る光源モジュール1000について説明する。第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化することもある。また、第1の実施形態をより具体化した構成要素については、対応関係のみを説明し、重複する説明を省略することもある。
第2の実施形態に係る光源モジュール1000について説明する。第1の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化することもある。また、第1の実施形態をより具体化した構成要素については、対応関係のみを説明し、重複する説明を省略することもある。
まず、図4(a)及び図4(b)を参照して、本実施形態の光源モジュール1000の構成を説明する。第1の実施形態における半導体レーザ10は、本実施形態ではMEMS−VCSEL18に対応する。第1の実施形態におけるSOA14は、本実施形態ではSOA40に対応する。第1の実施形態における位置決め機構13、15は、本実施形態では基板12の主面に形成された孔19、20に対応する。
MEMS−VCSEL18は、射出光の波長を1010nmから1080nmの範囲で掃引することが可能である。z方向の拡がり角は9.5度である。MEMS−VCSEL18は、CANパッケージ11を基板12に実装する前にCANパッケージ11にあらかじめ実装する。この際、MEMS−VCSEL18のCANパッケージ11上での実装位置は、CANパッケージ11を基板12に実装したときにMEMS−VCSEL18の射出光がSOA40の入射面17の複数の光導波路のいずれかに入射される位置となるようにする。
CANパッケージ11は、基板12に形成されている孔19にはめ込まれ、接着剤で接着されることにより位置が固定される。孔20は、SOA40の入射面17と、MEMS−VCSEL18の射出面16との間の距離が、70μmとなる位置に形成される。この距離とすることで、MEMS−VCSEL18のビームウエストが、ビーム径の1.2倍以下となる。SOA40は、基板12に形成されている孔20にはめ込まれ、接着剤で接着されることにより位置が固定される。
このように光源モジュール1000を構成することで、MEMS−VCSEL18からの射出光のうちの一部が、SOA40の入射面17における複数の光導波路の一部又は全部に入射される。
図5(a)及び図5(b)は、第2の実施形態に係るSOA40の構造図である。図5(a)は、SOA40の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のB−B’線における断面図である。
第1の実施形態における複数のリッジ21は、本実施形態では2本の平行なリッジ41に対応する。リッジ21の幅は3μm、複数のリッジ21の中心間隔は6μmである。上部電極202の長さ(図5(a)における左右方向の距離)は321μmであり、上部電極203の長さ(図5(a)における左右方向の距離)は3309μmである。上部電極202と上部電極203の間は、非電極領域39となっている。本実施形態のSOA40の構成及び入射光の波長の場合、結合長はおよそ2.15mmとなる。そこで、本実施形態では非電極領域39の長さを670μmとすることで、光導波路全体の長さを結合長の約2倍とする。
続いて、図5(b)等を参照しつつSOA40の構造及び製造工程を説明する。第1の実施形態における下部電極110は、本実施形態では下部電極49に対応する。第1の実施形態における基板111は、本実施形態ではGaAs基板42に対応する。第1の実施形態における第1導電型クラッド層112は、本実施形態ではn型クラッド層43に対応する。第1の実施形態における活性層113は、本実施形態では活性層44に対応する。第1の実施形態における第2導電型クラッド層114は、本実施形態ではp型クラッド層45に対応する。第1の実施形態におけるコンタクト層115は、本実施形態ではコンタクト層46に対応する。第1の実施形態における絶縁層117は、本実施形態では絶縁層48に対応する。
まず、n型のGaAs基板42のウエハ上にn型クラッド層43としてn型Al0.9Ga0.1Asを形成する。次に、活性層44として単一量子井戸構造のGa0.7In0.3Asをその上に形成する。次に、p型クラッド層45としてp型Al0.9Ga0.1Asをその上に形成する。次に、コンタクト層46として高ドープのp型GaAsをその上に形成する。これらの各層は、順次、エピタキシャル成長となるように形成される。形成方法としては、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が用いられる。
これらの各層が積層されたウエハには、フォトリソグラフィ法及びウェット/ドライエッチング法を用いて、光導波路としてリッジ41が形成される。リッジ41を形成することにより、活性層内の光導波路部分に入射光を閉じ込め、伝搬させることができる。この形成は、例えば以下のように行われ得る。まず、スパッタ法を用いてウエハ上に酸化シリコン(SiO2)を形成する。その後、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジストで光導波路形成のためのストライプ状マスクを形成する。その後、ウェットエッチングによりSiO2を選択的に除去し、続いてドライエッチングによりマスク以外の部分の半導体を選択的に除去する。このとき、除去する部分はp型クラッド層45の途中までとする。
光導波路の幅、すなわち、リッジ41の幅は伝搬する光をシングルモードとするために3μmの幅とする。入射面17及び射出面105における反射を抑えるために、リッジ41は入射面17及び射出面105の法線方向に対して約7度傾斜させている。
次に、真空蒸着法及びフォトリソグラフィを用いてp電極である上部電極203を形成する。上部電極203は、例えばTi/Auである。なお、上部電極202も上部電極203と同時に形成される。上部電極202及び上部電極203はリッジ41上に導波方向に対して直列にそれぞれが電気的に分離された状態で複数配置される。
更に、非電極領域のコンタクト層(図示せず)を、クエン酸過水を用いてウェットエッチングして除去し、電気的に絶縁された領域とする。複数のコンタクト層46は、絶縁層48によりそれぞれ電気的に分離されている。上部電極203は、複数のコンタクト層に対して共通に接続されるように形成される。
下部電極49を形成する前に、GaAs基板42の底面を研磨して、GaAs基板42を100μm程度の厚さにまで薄くする。こうすることで、ファセット面での劈開が容易となる。そして、GaAs基板42の底面に下部電極49を真空蒸着法により形成する。n電極である下部電極49は、例えばAuGe/Ni/Auである。その後、良好な電気特性を得るため、ウエハを高温窒素雰囲気中でアニールして、電極と半導体を合金化する。最後に、劈開により入射面17及び射出面105としてファセット面を出すことによりSOA40が完成する。
上述の構造、形成方法、半導体材料、電極材料、誘電体材料などは実施形態として開示したものに限られるものではなく、本発明の主旨を外れないものであれば、他の方法や材料を利用することも可能である。一例としては、本実施形態のSOA40の構成は、以下に例示するような変形が可能である。
GaAs基板42はp型のGaAs基板であってもよく、その場合は各半導体層の導電型もそれに応じて変更させる。本実施形態において、活性層44は、単一量子井戸構造としているが、量子井戸は複数個であってもよい。その場合、組成及び井戸幅が複数の量子井戸間で統一された多重量子井戸構造であってもよく、統一されていない非対称多重量子井戸構造であってもよい。また、活性層44の材料は、上述のものに限られるものではなく、例えば、GaAs、GaInP、AlGaInN、AlGaInAsP、AlGaAsSb等の発光材料であってもよい。また、活性層44は、導波方向に対して一定の厚さ及び一定の組成とすることが望ましいが、本実施形態の効果が得られる範囲であればこれに限定されない。
光導波路であるリッジ41の形状は、直線形状かつ一定の幅であり、更に一定の屈折率とすることが望ましいが、本実施形態の効果が得られる範囲であればこれに限定されない。例えば、曲線、折れ線等の形状で屈曲した光導波路形状であってもよく、分岐部を有する光導波路形状であってもよい。また、光導波路の幅及び屈折率の少なくとも1つが導波方向に変化するように構成されていてもよい。また、本実施形態では、シングルモードのレーザ光を伝搬させ得るためにリッジ41の幅を3μmとした例を示しているが、この幅を適宜変化させることでマルチモードのレーザ光を伝搬させ得る構造としてもよい。
本実施形態では、光導波路としてリッジ41を用いたリッジ型光導波路を採用した例を示しているが、これに限定されない。例えば、ストライプ型の活性層、あるいは電流ブロック層を設けることで、電流又は光を閉じ込める構造としてもよい。
本実施形態では、各端面における反射を抑えるために、光導波路が端面付近で各端面の法線方向に対して約7度傾斜されているが、本実施形態の効果が得られる範囲であればこれに限定されず、適宜角度を変更可能である。
本実施形態では、制御用電極として設けられた上部電極の個数は2つとしているが、本実施形態の効果が得られる範囲であればこれに限定されず、適宜変更可能である。また、上部電極に代えて下部電極が複数個配置される構造であってもよく、上部電極と下部電極の両方が複数個配置される構造であってもよい。
SOA40は、入射面17及び射出面105の一方又は両方の端面における光及び電流の集中を抑えるために、これらの端面付近に非利得領域が形成されている構成であってもよい。また、入射面17及び射出面105の一方又は両方の端面での反射を抑えるために、端面に反射防止膜が形成されている構成であってもよい。
本実施形態では、非電極領域39の幅は光導波路上で一定とした例を示しているが、本実施形態の効果が得られる範囲であればこれに限定されない。また、非電極領域39ではコンタクト層46が除去されるものとして説明したが、非電極領域39において、コンタクト層46の一部又は全部が除去されていない構成であってもよい。
以上のように作製されたSOA40は、基板12の孔20に載置され、接着剤で固定する。このように構成することで、MEMS−VCSEL18から射出された入射光102のうちの少なくとも一部がSOA40のうちのいずれかの光導波路において増幅され、射出光106として出力される。射出光106が複数の光導波路から射出される場合には、射出光の強度が最も強い光導波路を光ファイバ(不図示)に光実装することで、SOA40の射出端とする。
図6は、本実施形態の光源モジュール1000を駆動する駆動回路のブロック図である。駆動回路は、信号発生装置901、電圧増幅器903及び電流制御器905を有する。電圧増幅器903は、MEMS−VCSEL18のMEMS部に供給する電圧値を制御することで、発振波長を変化させ、射出されるレーザ光の波長を制御する。電流制御器905は、SOA40の上部電極202、203に供給する電流値を制御する。信号発生装置901は、電圧増幅器903及び電流制御器905に同じ波形の信号を供給する。こうすることで、MEMS−VCSEL18のMEMS部の駆動とSOA40の駆動とを時間的に同期させることができる。なお、MEMS−VCSEL18のMEMS部に供給する電圧値と発振波長との関係はあらかじめ取得しておく。これにより、レーザ光の波長に応じてSOA40の駆動電流値を制御することができる。電流制御器905は、SOA40の複数の上部電極202、203の各々に注入する電流量を個別に制御できる機構を備えている。なお、駆動回路の各ブロックの機能は、光源モジュール1000の内部に設けられていてもよく、光源モジュール1000が搭載される装置に設けられていてもよい。
以上のように本実施形態では第1の実施形態のより具体的な構成を説明した。本実施形態のMEMS−VCESL18、SOA40の構造及び配置を上述の各構成とすることにより、高出力かつ安価な光源モジュールを提供することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る光源モジュールについて説明する。第1、第2の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化することもある。また、第1、第2の実施形態を具体化又は変形した構成要素については、対応関係のみを説明し、重複する説明を省略することもある。なお、光源モジュールにおいて半導体レーザの射出面とSOA500の入射面の距離は80μm、その位置でのビームウエストは4.8μmである。光源モジュールのうち、SOA500以外の部分の構成は第2の実施形態とMEMS−VCSEL18の射出光の波長を除いて同様であるため、説明を省略する。
第3の実施形態に係る光源モジュールについて説明する。第1、第2の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化することもある。また、第1、第2の実施形態を具体化又は変形した構成要素については、対応関係のみを説明し、重複する説明を省略することもある。なお、光源モジュールにおいて半導体レーザの射出面とSOA500の入射面の距離は80μm、その位置でのビームウエストは4.8μmである。光源モジュールのうち、SOA500以外の部分の構成は第2の実施形態とMEMS−VCSEL18の射出光の波長を除いて同様であるため、説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)は、第3の実施形態に係るSOA500の構造図である。図7(a)は、SOA500の上面図であり、図7(b)は、図7(a)のC−C’線における断面図である。
図7(a)を参照して、SOA500の上面視構造のうち、主として第1、第2実施形態との差異点を説明する。本実施形態では、SOA500において、入射面101側に面するリッジ508の個数が3つである。各リッジ508の幅は3μm、各リッジ508の中心間距離は4μmとする。この3つのリッジ508が光導波路の途中の非電極領域39において1本のリッジに光結合されてリッジ509となっており、これにより、射出面105側に面するリッジ509の個数は1つとなっている。なお本実施形態では3つのリッジ508の全部が光結合されているが、そのうちの一部のみが光結合される構成であってもよい。
図7(b)を参照して、SOA500の断面構造のうち、主として第2実施形態との差異点を説明する。第2の実施形態における下部電極49は、本実施形態では下部電極507に対応する。第2の実施形態におけるGaAs基板42は、本実施形態ではGaAs基板501に対応する。第2の実施形態におけるn型クラッド層43は、本実施形態ではn型クラッド層502に対応する。第2の実施形態における活性層44は、本実施形態では活性層503に対応する。第2の実施形態におけるp型クラッド層45は、本実施形態ではp型クラッド層504に対応する。第2の実施形態におけるコンタクト層46は、本実施形態ではコンタクト層506に対応する。第2の実施形態における絶縁層48は、本実施形態では絶縁層505に対応する。本実施形態では、第2の実施形態と一部の層の組成が異なる。n型クラッド層502は、n型Al0.5Ga0.5Asである。p型クラッド層504は、p型Al0.5Ga0.5Asである。
次に本実施形態における活性層503の非対称量子井戸構造の詳細について、図8のバンド図を参照しつつ説明する。本実施形態における活性層503は、2つの量子井戸構造1001、1002を含む。第1の量子井戸構造1001は、Al0.2Ga0.8Asのガイド層、厚さ8nmのIn0.07Ga0.93As層の井戸層、厚さ10nmのAl0.2Ga0.8Asのバリア層を積層した構造である。また、第2の量子井戸構造1002は、厚さ10nmのAl0.2Ga0.8Asのバリア層、厚さ6nmのAl0.03Ga0.97As層の井戸層、Al0.2Ga0.8Asのガイド層を積層した構造である。なお、第1の量子井戸構造と第2の量子井戸構造とは、厚さ10nmのAl0.2Ga0.8Asのバリア層を共有している。
この量子井戸構造では第1の量子井戸構造1001(In0.07Ga0.93As/Al0.2Ga0.8As)の1次準位E1と、第2の量子井戸構造1002(Al0.03Ga0.97As/Al0.2Ga0.8As)の基底準位E2とが略一致している。量子井戸構造Aの各準位の発光波長は、第1の量子井戸構造1001の基底準位E0は約880nm、1次準位E1は約800nm、第2の量子井戸構造1002の基底準位E2は約800nmである。
本実施形態の構造では、3つのリッジ508が光導波路の途中で1つのリッジ509になることにより、近接リッジに光のパワーが移動することに関する結合長を考慮することなく、SOA500の光導波路の長さの設計が可能となる。
また、SOA500からの射出光106の射出位置が固定されるため、射出位置が複数の場合と比べてSOA14をパッケージに実装した後の光ファイバへの光実装がより容易になる。
以上のように本実施形態では第2の実施形態を変形した構成例を説明した。本実施形態のSOA500の構造及び配置を上述の各構成とすることにより、高出力かつ安価な光源モジュールを提供することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態として、第1乃至第3の実施形態に係る光源モジュールを用いた情報取得装置の1つである光干渉断層計(OCT)の例を、図9を参照して説明する。
第4の実施形態として、第1乃至第3の実施形態に係る光源モジュールを用いた情報取得装置の1つである光干渉断層計(OCT)の例を、図9を参照して説明する。
図9は、第4の実施形態に係るOCT400のブロック図である。OCT400は、測定対象物410の断層像等の情報を取得する情報取得装置である。OCT400は、光源装置401、干渉光学系402、情報取得部405、光検出光学系450、表示部460、レンズ470を有する。光源装置401は第1乃至第3の実施形態に係る光源モジュールである。
干渉光学系402は、分波干渉部420、参照光学系430、照射光学系440を有する。参照光学系430は、コリメータレンズ431、432、反射鏡433を有する。照射光学系440は、コリメータレンズ441、442、反射鏡443を有する。光検出光学系450は、分光部403、干渉光検出部404、コリメータレンズ451、452を有する。干渉光学系402は、光源装置401からの光を測定対象物410へ照射する照射光と、参照光とに分波し、測定対象物410に照射された光の反射光と、参照光とによる干渉光を発生させる。この干渉光は、測定対象の測定対象物410の情報を有する。分光部403で分光された干渉光は、干渉光検出部404の異なる位置に異なる波長の光が照射される形で干渉光検出部404に受光される。
光源装置401から射出された光は、レンズ470を介してファイバカプラである分波干渉部420に入射される。この入射光は、干渉光学系402の分波干渉部420によって、照射光と参照光とに分波される。照射光は、照射光学系440を経て測定対象の測定対象物410に反射されて反射光となり、参照光学系430で反射された参照光と分波干渉部420で干渉光を生じる。すなわち、入射光を照射光と参照光とに分波する分波干渉部420は、分波のためのファイバカプラが反射光と参照光を干渉させる機能をも有する。光検出光学系450は、分波干渉部420で生じた干渉光を検出する。情報取得部405は、光検出光学系450で検出された光に基づいて測定対象物410の情報、例えば断層像に関する情報を得る。表示部460は、得られた断層像を表示する。
分波干渉部420により分波された光の一部である参照光は光ファイバを介して参照光学系430へ入射される。参照光はコリメータレンズ431、432を経由して反射鏡433で反射し、反射した参照光は再度コリメータレンズ431、432を経由して光ファイバへ入射する。分波干渉部420で分波されたもう一方の光である照射光は、光ファイバを介して照射光学系440へ入射される。照射光は、コリメータレンズ441、光路を90°曲げるための反射鏡443、コリメータレンズ442を介して測定対象物410へ入射される。測定対象物410からの反射光は、コリメータレンズ442、反射鏡443、コリメータレンズ441を経由して光ファイバに戻る。
参照光学系430及び照射光学系440から戻った光は、分波干渉部420を通過し、光検出光学系450へ入射される。この光はコリメータレンズ451、回折格子等を含む分光部403、コリメータレンズ451を経由して、干渉光検出部404で受光される。干渉光検出部404は、分光部403により分光された光のスペクトル情報を得るためのラインセンサ等を含む。
なお、上述の説明では、参照光学系430は反射鏡433を有し、反射鏡433で反射した光が分波干渉部420に戻る構成の例を示した。しかしながら、参照光学系430は、反射鏡433に代えて、所定の光路長の光路を通過して分波干渉部420に戻る構成であってもよい。
本実施形態に係るOCT400は、眼科、歯科、皮膚科等の分野において、動物、人等の生体の断層像に関する情報を取得することができる。生体の断層像に関する情報とは、生体の断層像のみならず、断層像を得るために必要な数値データをも含み得る。本実施形態に係るOCT400は、特に、測定対象を人体の眼底とし、眼底の断層像に関する情報を取得するために用いることが好適である。
OCT用光源には、高出力であることと、低価格であることが求められる。高出力であることが求められる理由は、高精度化のためである。光源からの光出力が小さいと、測定対象物からの反射光が弱くなり、ノイズの影響が相対的に大きくなるため、S/N比が低下する。また、参照光の強度が弱くなることによるS/N比の低下も生じ得る。したがって、光源を高出力化することが、OCTの高精度化につながる。また、OCTの価格全体に占める光源装置の価格の割合は比較的大きいため、より安価にOCTを提供するためには、光源装置を低価格化することが有効である。
このような要求特性に対し、第1乃至第3実施形態の光源モジュールを用いることにより、高出力かつ低価格なOCT用光源が提供される。したがって、本実施形態によれば、高精度かつ低価格なOCTが提供される。
なお、本実施形態では、情報取得装置の一例としてOCTの一例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなくその他の情報処理装置にも適用可能である。また、本実施形態に示すOCTの構成はOCTの構成の一例である。したがって、第1乃至第3実施形態の光源モジュールは、その他のブロック図の構成によるOCTにも同様に適用可能である。
1 光源モジュール(光源装置)
10 半導体レーザ(発光装置)
12 基板(基体)
13、15 位置決め機構
10 半導体レーザ(発光装置)
12 基板(基体)
13、15 位置決め機構
Claims (19)
- 主面を有する基体と、
前記主面に実装された発光素子と、
前記主面に実装され、前記発光素子からの射出光を増幅する光増幅器と、
を有し、
前記発光素子からの射出光の放射角について、前記基体の前記主面に対して垂直方向の拡がり角が10度以下であり、
前記光増幅器は、前記発光素子からの前記射出光が入射される入射面に入射端を有する複数の光導波路を有し、前記複数の光導波路のうちの隣接する2つの光導波路の中心間の間隔は、前記発光素子からの前記射出光の中心波長の3倍以上、10倍以下であることを特徴とする光源装置。 - 前記複数の光導波路のうちの隣接する2つの光導波路の中心間の間隔は、前記発光素子からの前記射出光の中心波長の3倍以上、5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記発光素子からの前記射出光の放射角について、前記基体の前記主面に対して垂直方向の拡がり角が前記主面に対して平行方向の拡がり角よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
- 前記発光素子は、単一横モードの光を射出する面発光レーザであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記発光素子の射出面と、前記光増幅器の入射面との間の距離が、前記基体の前記主面に対して平行方向における、前記発光素子からの前記射出光のビームウエストが射出時におけるビーム径の1.2倍になる距離以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記発光素子は、
前記基体の前記主面に対して平行方向についてはマルチモードであり、垂直方向については基本モードである端面発光レーザと、
前記端面発光レーザと前記光増幅器との間に配置されたレンズと、
を更に備え、
前記端面発光レーザから射出され、前記レンズで集光されたレーザ光の放射角について、前記基体の前記主面に対して垂直方向の拡がり角が実効的に10度以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記基体は、前記発光素子及び前記光増幅器を前記主面上に実装する際に、前記発光素子から射出される光が前記光増幅器に入射される位置に前記発光素子及び前記光増幅器を導く位置決め機構を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記位置決め機構は、前記基体の前記主面に形成された複数の孔を含み、前記複数の孔に合わせて前記発光素子及び前記光増幅器を載置することにより前記位置決めがなされることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
- 前記位置決め機構は、前記基体の前記主面に形成された突き当てジグを含み、前記突き当てジグに沿って前記発光素子及び前記光増幅器を載置することにより前記位置決めがなされることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
- 前記発光素子からの前記射出光は前記複数の光導波路のうちの一部に入射されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器の複数の光導波路の射出端のうちの1つを前記光増幅器の射出端とすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器の複数の光導波路が互いに異なる方向に光を射出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器の複数の光導波路の一部又は全部が、前記光増幅器において光結合されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記発光素子が、CANパッケージに実装された半導体レーザを有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器は、並行する複数の光導波路を一様に制御する制御用電極を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記発光素子は、射出される光の波長を可変とする波長可変機構を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器の活性層は、複数の量子井戸を有し、前記複数の量子井戸のうちの少なくとも1つの構造が他の量子井戸と異なる非対称量子井戸構造を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記光増幅器の活性層は、制御用電極を複数有する多電極構造を有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光源装置。
- 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を測定対象物へ照射する照射光と参照光とに分岐させ、前記測定対象物に照射された前記照射光の反射光と前記参照光とによる干渉光を発生させる干渉光学系と、
前記干渉光を受光する検出部と、
を有することを特徴とする情報取得装置。
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WO2019138795A1 (ja) * | 2018-01-11 | 2019-07-18 | 横河電機株式会社 | ガス検出器用光源、ガス検出器 |
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2016
- 2016-02-12 JP JP2016024464A patent/JP2017143201A/ja active Pending
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