JP2017137048A - 人工浮島 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、この様な現象を引き起こしている根本原因は膨張し続ける巨大な都市から排出されるCO2に起因していると考え、大都市の在り方を見直す方法として、自然界と人間圏が恒久的に共存できる浮島未来都市の必要性に着目したものである。浮島の規模は自由に拡大が可能であるが、1島20km2で10万人が住むことを前提とした商業性のあるレベルでの実用化が望まれている。
この様な課題を解消するため、本発明は、超大型発泡体ブロックに高強度の樹脂コーティングを施したものを樹脂接着で拡大して人工島の主要構造物としたものである。更に人工島としての変動荷重(雨や樹木の生長等)に対する対策として、発泡体の人工大地に円形の穴を空け、樹脂でコーティングされた薄肉大型鋼管からなる中空パイプを差し込み合体させ、中空パイプの上部を閉鎖し、下部を開放させ海中に差し込む。中空パイプの中の可変加圧空気をコントロールすることで、自在な浮力が発生し、変動荷重の対応が可能になる。人工大地の上部都市空間の屋根部分を含む外部側も超大型発泡ブロック構造で覆い、さらにその上部に自然林を植え付けることで、内部空間は陸上の地下都市空間と類似した環境になる。構造体が発泡体と薄肉大型鋼管からなる中空パイプで構成される為、接続拡大が容易であり、超軽量・低コストの海上人工都市の構築が可能になる。
本発明の好ましい態様は、前記上部発泡体ブロックの上面は、屋根および/または地盤を構成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記発泡体ブロックの上面は、地盤を構成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記上部発泡体ブロックの下面と前記発泡体ブロックの上面との間の空間は、都市空間を構成することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記海中凧を前記柱に沿って上下に移動させることにより、前記海中凧に加わる海流の力を制御するようにしたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記中空パイプ内の加圧空気の内圧を制御することにより、前記上部発泡体ブロックおよび前記発泡体ブロックに積載される荷重に対応可能とすることを特徴とする。
(1)人工島を定点制御するための大きなエネルギーを消費することなく、浮島を支える構造体は簡易な構造であり、かつ赤道直下に設置する場合においても赤道潜流の影響を受けることがない人工浮島を提供することができる。
(2)大型ブロック軽量構造(発泡体樹脂コーティングブロックと円筒形パイプの合体構造)の全体構造から、海中または水中に浮力を求めて沈める部分を深く伸ばすことを必要とせず、海流または水流の影響を受けない水深50m程度の深さにフロート基礎を納めることができる。
(3)従来の海上人工浮島都市は大容量の鉄とコンクリートを基軸の構造体としているが、本発明は、発泡体を高強度の耐久性のある樹脂で覆っている上部発泡体ブロックと、底部が開放され上部を閉鎖している中空パイプを垂直に立てて間隔をあけ、上部発泡体ブロックに接続させてあるもので、上部は数十メートルから百数十メートルまで伸ばし、下部は海面下または水面下最長50mまで沈めることにより、中空パイプの管内に加圧空気を注入制御することで島の最上部に位置する自然環境等の変動荷重を自在にコントロールすることができる。
(4)人工浮島を一定の場所(キリバス共和国排他経済水域付近)に留めるエネルギーは、赤道直下の上層部南赤道海流とその数十メートルから百数十メートル以下数百メートルの範囲で全く逆方向に表層流の3倍程度の速さで流れる直下層の赤道潜流のエネルギーを利用して、人工浮島から海中に伸ばした柱に取り付けた海中凧を上下させることで、浮島の移動を抑制して浮島を定点制御することができる。
(5)本発明の構造体は、発泡体・樹脂コーティング・中空パイプの合体構造であり、従来技術と比較して、鉄とコンクリートの使用が僅かであり、内圧が掛かった薄肉の大型パイプは上層部の構造を支える強度を有する。従ってコストに関しても、少ない質量とそれに伴う建設費の低減により、大幅に低減される。陸上の大都市(東京)と比較しても低コストで構築できる可能性が高い。
(6)従来の浮島における既存のフロート構造は、溶接工法を採用しているポンツーン式構造で船の基準に従った剛構造を基盤としている為、高価なものになっていたが、本発明によれば、発泡体・樹脂コーティング・中空パイプからなる構造は、全てが柔軟な構造で成立していることから、浮島の拡大縮小は短時間で自由に行うことができる。
図1は、本発明に係る人工浮島の全体構成を示す縦断面図である。図1に示すように、人工浮島1は、発泡体2の上下面を高強度の耐久性のあるポリウレア等の樹脂3で覆うことにより形成された上部発泡体ブロック4と、下端が開放され上端が閉塞されている多数の中空パイプ5とを備えている。多数の中空パイプ5は、互いに間隔をあけて上部発泡体ブロック4の下面に接続されている。これら中空パイプ5は上部発泡体ブロック4の下面に樹脂で接着されている。中空パイプ5の上端は、予め蓋をして閉塞した後に上部発泡体ブロック4と接着してもよく、また接着時に上部発泡体ブロック4により閉塞してもよい。中空パイプ5内には加圧空気が注入されている。上部発泡体ブロック4の上面は、人工浮島1の上面になっており、屋根兼地盤を構成している。したがって、上部発泡体ブロック4の上面に土等を盛ることにより、木や草花等の植物を生育することができる。
図2および図3に示すように、発泡体6をポリウレアを代表とする樹脂7で包んだ発泡体ブロック8に補強リング9を先行して取り付け、薄肉の中空パイプ5を垂直に立てて隣接する中空パイプ5間に間隔をあけて補強リング9にはめ込む。中空パイプ5の上端は、発泡体2の上下面を高強度の耐久性のあるポリウレア等の樹脂3で覆うことにより形成された上部発泡体ブロック4に接続されている。中空パイプ5の上端は蓋をし、圧縮空気が漏れないようにする。中空パイプ5の下端は海中に差し込み蓋は付けないで開口している。そして、中空パイプ5の中に加圧空気を入れ、海水面を押し下げることで、中空パイプ5内に均等な圧力が発生する力を利用して上部の構造体を支える。中空パイプ5の内圧のコントロールにより、上部の変動積載荷重(雨水及び樹木の生長)に対し柔軟に対応できるシステムとなる。
1)自然エネルギーの活用
人工浮島1において、膨大な自然エネルギー(太陽光発電・風力発電・温度差発電・海流発電)を安価で作り出すことが可能になり、このエネルギーを使うことと、太平洋赤道直下の静かな海域特性から、ロケット発射場などの宇宙センター・精密機械加工拠点・水産資源研究等多岐にわたる生産拠点としての価値を生み出す。
2)浮島の室温コントロールシステム
浮島は海面上の発泡体の人工大地と上部構造も含めた屋根材の発泡体とその上に覆う自然林により、陸上の地下空間と同様な条件を作り出すことで、外気・海中からの熱負荷を最小限に抑えられる。しかし内部空間で人間圏が発生するエネルギーによる温度上昇もまた遮断され、蓄熱される。その解決方法として、直下の海水のエネルギーを有効に利用する。深海においては3℃〜4℃程度で、海面近くは29℃〜30℃程度であり、これらの熱エネルギーを海中にパイプを挿入し汲み上げることで、温度差発電を最高の効率で実現できると共に、温度差発電の使用済み深層水の10℃前後に上昇した冷水を使い、自在に浮島の内部温度調整が安価で可能になる。
3)空気清浄システム
屋内の汚れた空気の浄化方法として、海中に汚れた空気を通すことで容易に空気の浄化が可能になる。
4)海洋牧場の生産及び研究拠点となる
サンゴ礁の生育に必要な綺麗な海水と多量の海洋深層水とを、海水温をベースに発電した電気を用いて安価に供給できる環境から、海洋牧場の生産拠点として、人類の食糧事情の改善を見込める。
5)数百年の耐久性がある人工浮島
構造体を酸化させないことと、太陽光による劣化防止が重要になる。浮島は太陽光を森林帯で100%防いでいる。酸化に関しては水分と酸素の供給を防ぐ必要があり、水分は多いが酸素が少ない海中の条件で、また海中は発泡体樹脂コーティングによりブロックされ、かつ海水の撹拌が起こらないから、酸化が起こりにくい。海上においては外気に面さない人工地下空間となっている為、陸上の室内空間と同様な条件となっていて、発泡体を沿岸地域外気面での耐候性の強い樹脂コーティングにより保護されていることから、数百年のメンテナンスフリーを実現させることができる。
2 発泡体
3 樹脂
4 上部発泡体ブロック
5 中空パイプ
7 樹脂
8 発泡体ブロック
9 補強リング
10 海中凧
11 柱
12 ワイヤー
14 チェーン
15 重錘
Claims (9)
- 海上または水上に浮かべられる人工浮島であって、
発泡体の上面を樹脂で覆うことにより形成された上部発泡体ブロックであって、人工浮島の上面を構成する上部発泡体ブロックと、
下端が開口され上端が閉塞されて垂直方向に延びている中空パイプであって、互いに間隔をあけて前記上部発泡体ブロックの下面に接続されている複数の中空パイプとを備え、
前記中空パイプ内には加圧空気が注入され、前記中空パイプ内に下端の開口から侵入する海水または水によって前記加圧空気が圧縮されることにより、前記上部発泡体ブロックに浮力を与えることを特徴とする人工浮島。 - 前記上部発泡体ブロックの下方に、発泡体の上面を樹脂で覆うことにより形成された発泡体ブロックを設け、前記複数の中空パイプは前記発泡体ブロックに差し込まれていることを特徴とする請求項1記載の人工浮島。
- 前記上部発泡体ブロックの上面は、屋根および/または地盤を構成することを特徴とする請求項1または2記載の人工浮島。
- 前記発泡体ブロックの上面は、地盤を構成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工浮島。
- 前記上部発泡体ブロックの下面と前記発泡体ブロックの上面との間の空間は、都市空間を構成することを特徴とする請求項3または4記載の人工浮島。
- 前記発泡体ブロックから吊り下げた柱に海流の力を受ける海中凧を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工浮島。
- 前記海中凧を前記柱に沿って上下に移動させることにより、前記海中凧に加わる海流の力を制御するようにしたことを特徴とする請求項6記載の人工浮島。
- 前記発泡体ブロックに加わる上層海流による力を前記上層海流の真下を逆方向に流れている赤道潜流により前記海中凧に加わる力により相殺することにより、前記発泡体ブロックを所定位置に留めるようにしたことを特徴とする請求項6または7記載の人工浮島。
- 前記中空パイプ内の加圧空気の内圧を制御することにより、前記上部発泡体ブロックおよび前記発泡体ブロックに積載される荷重に対応可能とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の人工浮島。
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