JP2017135916A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】緊急操舵が行われた場合に、操舵に対する応答性能を向上させる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の制御装置は、車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御する電流制御部を備える。電流制御部は、操舵の舵角速度に基づいて、PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出するKDゲイン算出部540を有する。
【選択図】図8
【解決手段】車両の制御装置は、車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御する電流制御部を備える。電流制御部は、操舵の舵角速度に基づいて、PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出するKDゲイン算出部540を有する。
【選択図】図8
Description
本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
従来、例えば下記の特許文献1には、車輪のスリップ率、タイヤデータ、操舵角及び車速に基づいて電力供給手段を制御する装置が開示されている。また、下記の特許文献2には、車速と操舵角から自動車の運動状態を検知し、検知した運動状態に基づいてモータの出力トルクを演算し、演算結果に応じてモータに供給する電圧を制御する装置が開示されている。
自動車の運転状態において、運転者が道路上の障害物を避けようとする場合など、緊急操舵が行われる場合がある。このような場合に通常と同様の制御を行うと、緊急操舵時にモータの出力が不足し、障害物の回避性能が低下するといった問題が生じる。
従来の駆動力配分制御では、操舵ふらつきに応じて電力消費に関連するパラメータの制御量を調整しておらず、過渡的な入力が累積した場合に電力消費が過剰になる可能性がある。また、車両の緊急回避など旋回支援制御を行う技術では、旋回に伴う制御目標値(目標ヨーレート等)を指定するものが多いが、その技術では駆動目標トルクに対するモータの応答性や、旋回支援制御に対する車両の応答性能を高めることはできない。更に、既存の電力供給装置は、電流、電圧など回路に関する状態量を基にエネルギーマネジメント制御を行っているものの、車両の挙動に対して最適な制御を行うものではない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、緊急操舵が行われた場合に、操舵に対する応答性能を向上させることが可能な、新規かつ改良された車両の制御装置及び車両の制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御する電流制御部を備え、前記電流制御部は、操舵の舵角速度に基づいて、前記PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出する微分項補正ゲイン算出部を有する、車両の制御装置が提供される。
前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が大きいほど前記微分項補正ゲインを大きくするものであっても良い。
また、前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が第1の所定値以上の場合にカウント値をインクリメントし、前記舵角速度が第2の所定値以下の場合にカウント値をデクリメントするカウント部を備え、前記カウント値が大きくなるほど前記微分項補正ゲインを大きくするものであっても良い。
また、前記モータの回転数が所定値以上の場合に、前記モータの効率が所定値以上となる領域に達するまで前記モータの回転数を抑制するものであっても良い。
また、進行路上に障害物がある場合に、前記モータの効率が所定値以上となる領域に達するまで前記モータの回転数を抑制するものであっても良い。
また、前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が第1のしきい値以下の場合は前記微分項補正ゲインを最小にするものであっても良い。
また、前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が第2のしきい値以上の場合は前記微分項補正ゲインを最大にするものであっても良い。
また、走行路の路面状況から求まる操舵に関する第1の状態量と運転者の操舵入力から求まる第2の状態量とに基づいて、前記PID制御の積分項の出力を補正するための積分項補正ゲインを算出する積分項補正ゲイン算出部を更に備えるものであっても良い。
また、前記積分項補正ゲイン算出部は、前記第1の状態量と前記第2の状態量との差分を時間微分して得られる微分値に基づいて、前記積分項補正ゲインを算出するものであっても良い。
また、前記積分項補正ゲイン算出部は、前記微分値が大きいほど前記積分項補正ゲインを小さくするものであっても良い。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御するステップと、操舵の舵角速度に基づいて、前記PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出するステップと、を備える、車両の制御方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、緊急操舵が行われた場合に、操舵に対する応答性能を向上させることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
1.第1の実施形態
まず、図1を参照して、本発明の各実施形態に係る車両1000の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1000を示す模式図である。図1に示すように、車両1000は、前輪100,102、後輪104,106、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動する駆動力発生装置(モータ)108,110,112,114、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれの車輪速を検出する車輪速センサ116,118,120,122、ステアリングホイール124、舵角センサ130、パワーステアリング機構140、ヨーレートセンサ150、横加速度センサ160、制御装置(コントローラ)200、外界認識部220、電力供給部400を有して構成されている。
まず、図1を参照して、本発明の各実施形態に係る車両1000の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1000を示す模式図である。図1に示すように、車両1000は、前輪100,102、後輪104,106、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動する駆動力発生装置(モータ)108,110,112,114、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれの車輪速を検出する車輪速センサ116,118,120,122、ステアリングホイール124、舵角センサ130、パワーステアリング機構140、ヨーレートセンサ150、横加速度センサ160、制御装置(コントローラ)200、外界認識部220、電力供給部400を有して構成されている。
本実施形態に係る車両1000は、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動するためにモータ108,110,112,114が設けられている。このため、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれで駆動トルクを制御することができる。従って、前輪100,102の操舵によるヨーレート発生とは独立して、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動することで、トルクベクタリング制御によりヨーレートを発生させることができる。特に、後輪104,106のトルクを個別に制御することで、ステアリング操舵系とは独立してヨーレートを発生させることができる。後輪104,106は、制御装置200の指令に基づき、後輪104,106に対応するモータ112,114が制御されることで、駆動トルクが制御される。
パワーステアリング機構140は、ドライバによるステアリングホイール124の操作に応じて、トルク制御又は角度制御により前輪100,102の舵角を制御する。舵角センサ130は、運転者がステアリングホイール124を操作して入力した舵角θhを検出する。ヨーレートセンサ150は、車両1000の実ヨーレートγを検出する。車輪速センサ116,118,120,122は、車両1000の車両速度Vを検出する。
なお、本実施形態はこの形態に限られることなく、前輪100,102を駆動するモータ108,110が設けられておらず、後輪104,106のみがモータ112,114で独立して駆動力を発生する車両であっても良い。また、後輪104,106を駆動するモータ112,114が設けられておらず、前輪100,102のみがモータ108,110で独立して駆動力を発生する車両であっても良い。
図2は、本実施形態に係る車両1000が行う操舵による旋回制御(操安制御)を示す模式図である。操舵による旋回制御では、ドライバによるステアリングホイール130の操作に応じて後輪104,106に駆動力差を生じさせることで、車両1000の旋回を支援する。図2に示す例では、ドライバ(運転者)の操舵により車両1000が左に旋回している。また、後輪104,106の駆動力差によって、右側の後輪106に前向きの駆動力を発生させ、左側の後輪104には右側の後輪106に対して駆動力を抑制、または後ろ向きに駆動力を発生させることで、左右に駆動力差を発生させ、左回りの旋回を支援する方向にモーメントを発生させている。
図3は、制御装置200とその周辺の構成を示す模式図である。制御装置200は、駆動目標トルク演算部300、電力供給部400、を有して構成されている。電力供給部400は、電流制御器500を有している。制御装置200は、モータ電流の出力を決めるためにPID制御を実施する。なお、図3では、制御装置200と電力供給部400は一体に構成された例を示しているが、両者は別体に構成されていても良い。
図3において、車載センサ210は、アクセル開度センサ、車両速度Vを検出する速度センサ、前輪100,102及び後輪104,106の車輪速VwFL(左前輪),VwFR(右前輪),VwRL(左後輪),VwRR(右後輪)を検出するセンサ等を含む。
外界認識部220は、外部の環境を認識するための構成要素である。一例として、外界認識部220は、ステレオカメラを備える。外界認識部220が備えるステレオカメラは、車両外部を撮像し、車両外部の画像情報、特に車両前方の路面、走行レーンを示す車線、先行車、信号機、各種標識類の画像情報を取得する。ステレオカメラは、CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を有する左右1対のカメラを有して構成され、車両外の外部環境を撮像することで画像情報を取得する。
外界認識部220は、左右1対のカメラによって自車両進行方向を撮像して得られた左右1組のステレオ画像対に対し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって対象物(先行車など)までの距離情報を生成して取得することができる。また、外界認識部220は、三角測量の原理によって生成した距離情報に対して、周知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め設定しておいた三次元的な立体物データ等と比較することにより、立体物データや白線データ等を検出することができる。これにより、外界認識部220は、走行レーンを示す車線、一時停止の標識、停止線、ETCゲートなどを認識することもできる。外界認識部220は、レーザーレーダー、ナビゲーションシステム等により外界を認識するものであっても良い。
駆動目標トルク演算部300は、ステアリング操舵角θh、車両速度V、ヨーレートγに基づいて、車輪に付与する制御目標トルク(左右トルク)MotTrqTgtを各輪分算出する。なお、制御目標トルクMotTrqTgtについては、ステアリングホイール130による操安制御や外界認識部220による車両制御で算出される状態量や、マップで与えられる指示値など、算出手段の如何を問わないものとする。
駆動目標トルク演算部300が演算した制御目標トルクMotTrqTgtは、電力供給部400に入力される。電力供給部400は、以下の式に基づいて、制御目標トルクMotTrqTgtと、誘起電圧から算出されるトルク−電流換算係数Keから、モータ制御に必要な電流の制御目標値I_Tgtを算出する。
図4は、電力供給部400が備える電流制御器500の構成を示す模式図である。図4に示すように、電流制御器500は、KIゲイン算出部510、微分演算部530、KDゲイン算出部540、積分演算部550、操舵角微分部560、比例項乗算部570、減算部580、積分項乗算部590、微分項乗算部592、加算部594、を有して構成される。電流制御器500は、車両1000の車輪100,102,104,106を駆動するモータ108,110,112,114の電流をPID制御により制御する。
図5は、KIゲイン算出部510の構成を示す模式図である。KIゲイン算出部510は、第1基準ヨーレート算出部512、第2基準ヨーレート算出部514、減算部516、微分演算部518、絶対値演算部519、カウント部(操舵ふらつき判定部)520、積分補正係数算出部522、乗算部524を有して構成されている。
減算部580は、電流の制御目標値I_Tgtから実電流I_Ansを減算し、電流の補償値ΔIを算出する。すなわち、電流の補償値ΔIは以下の式から算出される。
また、第1基準ヨーレート算出部512は、車両1000の進行路の曲率R及び車両速度Vに基づいて、進行路に沿って車両1000が走行する場合に車両1000に発生すると予測されるヨーレートに相当する第1基準ヨーレートγ_Std1を算出する。第1基準ヨーレートγ_Std1は、積分項KI *(KIゲイン)の算出に用いられる。具体的には、第1基準ヨーレート算出部512は、外界認識部220から出力される車両1000の進行路の形状を示す情報に基づいて得られる進行路の曲率R及び車両速度Vを下記の式(1)に代入することにより、第1基準ヨーレートγ_Std1を算出する。第1基準ヨーレートγ_Std1は、車両1000の進行路の形状に関連する第1の状態量の一例である。
第2基準ヨーレート算出部514は、ステアリング操舵量θh及び車両速度Vに基づいて、車両1000に発生しているヨーレートのモデル値に相当する第2基準ヨーレートγ_Std2を算出する。第2基準ヨーレートγ_Std2も積分項KI *(KIゲイン)の算出に用いられる。第2基準ヨーレートγ_Std2は、車両1000の走行状態に関連する第2の状態量の一例である。具体的には、第2基準ヨーレート算出部514は、一般的な平面2輪モデルを表す下記の式(2)、式(3)を連立して解くことで、第2基準ヨーレートγ_Std2(式(2)、式(3)におけるγ)を算出する。
なお、変数、定数は以下の通りである。
<変数>
γ:車両ヨーレート
V:車両速度
δ:タイヤ舵角(前輪舵角)
θh:ステアリング操舵角
<定数>
lf:車両重心点から前輪中心までの距離
lr:車両重心点から後輪中心までの距離
m:車両重量
Kf:コーナリングパワー(フロント)
Kr:コーナリングパワー(リア)
Gh:ステアリング操舵角からタイヤ舵角への変換ゲイン(ステアリングギヤ比)
<変数>
γ:車両ヨーレート
V:車両速度
δ:タイヤ舵角(前輪舵角)
θh:ステアリング操舵角
<定数>
lf:車両重心点から前輪中心までの距離
lr:車両重心点から後輪中心までの距離
m:車両重量
Kf:コーナリングパワー(フロント)
Kr:コーナリングパワー(リア)
Gh:ステアリング操舵角からタイヤ舵角への変換ゲイン(ステアリングギヤ比)
式(2),式(3)のタイヤ舵角δは、直接センシングできないため、第2基準ヨーレート算出部514は、式(4)を用いて、ステアリング操舵角θhを変換ゲインGhで除算することによって、タイヤ舵角δを算出する。変換ゲインGhとして、ステアリングギア比が用いられる。なお、第2基準ヨーレート算出部514は、ステアリング操舵角θhとタイヤ舵角δの関係性を規定する一般的なステアリングモデルを用いて、ステアリング操舵角θhからタイヤ舵角δを算出してもよい。第2基準ヨーレート算出部514は、算出されたタイヤ舵角δ及び車両速度Vを式(2)、式(3)へ代入することにより、第2基準ヨーレートγ_Std2を算出する。
また、第2基準ヨーレート算出部514は、ステアリング操舵量として、パワーステアリング機構140に設けられるトルクセンサによって検出されるステアリング操舵トルクを用いて、第2基準ヨーレートγ_Std2を算出してもよい。具体的には、第2基準ヨーレート算出部514は、ステアリング操舵トルクとタイヤ舵角δの関係性を規定する一般的なステアリングモデルを用いて、ステアリング操舵トルクからタイヤ舵角δを算出する。そして、算出されたタイヤ舵角δ及び車両速度Vを式(2)、式(3)へ代入することにより、第2基準ヨーレートγ_Std2が算出される。
減算部516は、第1基準ヨーレート算出部512により算出された第1基準ヨーレートγ_Std1から第2基準ヨーレート算出部514により算出された第2基準ヨーレートγ_Std2を減算することによって、γ_Std1とγ_Std2との差である基準ヨーレート偏差Δγ_Stdを求める。すなわち、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdは、下記式(5)により求められる。γ_Std1とγ_Std2との差である基準ヨーレート偏差Δγ_Stdは、第1の状態量と第2の状態量とを比較して算出される第3の状態量の一例である。
なお、目標軌跡と車両中心線から算出される「目標軌跡と車両前方位置との偏差(ε)」をタイヤ転舵量相当の値に換算し、基準ヨーレートの偏差(Δγ_Std)を算出しても良い。
なお、本発明の技術的範囲は、第1の状態量及び第2の状態量として、それぞれγ_Std1及びγ_Std2が用いられる例に限定されない。例えば、第1の状態量及び第2の状態量として、それぞれ車両1000の中心の現在位置に対する進行路上の前方の地点の方向を示す値及び車両1000の車体が現在向く方向を示す値が用いられてもよい。その場合、制御装置200は、車両1000の中心の現在位置に対する進行路上の前方の地点の方向と車体が現在向く方向のなす角に基づいて、第3の状態量を算出してもよい。また、第1の状態量及び第2の状態量として、それぞれ進行路上の前方の地点の位置を示す値及び車両1000の車体が現在向く方向上の地点の位置を示す値が用いられてもよい。その場合、制御装置200は、進行路上の前方の地点と車体が現在向く方向上の地点との車両1000の横方向の偏差に基づいて、第3の状態量を算出してもよい。
上記の進行路上の前方の地点は、例えば、車両1000が将来的に到達しうる進行路上の基準点である。また、車体が現在向く方向上の地点は、例えば、外界認識部220により検出される車両前方における所定の注視点である。なお、制御装置200は、車両1000の中心の現在位置に対する進行路上の前方の地点の方向と車体が現在向く方向のなす角又は進行路上の前方の地点と車体が現在向く方向上の地点との車両1000の横方向の偏差をタイヤ舵角δ相当のパラメータに換算することによって、偏差Δγ_Stdに相当する値を、第3の状態量として、算出してもよい。具体的には、タイヤ舵角δとして換算された値、車両速度V及び式(2)、式(3)から得られるγが、偏差Δγ_Stdに相当する値として求められ得る。
微分演算部518は、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdを微分し、得られた微分値を絶対値演算部519へ出力する。絶対値演算部519は、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdの微分値の絶対値を算出し、操舵ふらつき判定部520へ出力する。本実施形態では、以上のようにして得られた基準ヨーレートの偏差Δγ_Stdの微分値が、路面ないし操舵の変化量に相関がある事に着目し、車両のふらつき具合を判定する尺度として利用する。
図6は、基準ヨーレートの偏差Δγ_Std微分値の絶対値に基づくカウンタ処理を示す模式図である。操舵ふらつき判定部520は、図6に基づいて、カウンタのカウント値Cntを設定する。具体的には、図6の縦軸は、各サンプリング時のふらつき判定用カウンタの変化量ΔCntを示しており、カウンタ値Cntは変化量ΔCntの積算値とされる。図6に示すように、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdの微分値の絶対値が所定のしきい値(TH_HIGH)以上となった場合は、ふらつき判定用カウンタのカウント値Cntをインクリメントする。また、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdの微分値の絶対値が、所定の閾値(TH_LOW)以下になった場合には、0を下限値としてカウント値Cntをデクリメントする。また、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdの微分値の絶対値が、TH_LOWとTH_HIGHの範囲内(閾値含まず)の場合は、変化量ΔCntを0とし、カウンタ値Cntを保持する。
操舵ふらつき判定部520が算出したカウンタ値Cntは、積分補正係数算出部522に入力される。図7は、積分補正係数算出部522が積分項補正係数KIAdjustCoefを算出する際に用いるマップを示す模式図である。積分補正係数算出部522は、カウント値Cntを図7のマップに当てはめ、積分項補正係数KIAdjustCoefを算出する。図7に示すように、カウント値CntがTH1より大きい場合、積分項補正係数KIAdjustCoefを減少方向(0を下限値とする)へ徐々に変化させることで、微分操舵(操舵ふらつき)の累積に伴って生じるインバータ出力電流のドリフトを抑制する。カウント値がTH2に到達すると、積分項補正係数KIAdjustCoefは0となる。積分補正係数算出部522は、算出した積分項補正係数KIAdjustCoefを乗算部524へ出力する。なお、図7ではカウント値Cntに基づいて積分項補正係数KIAdjustCoefを減少させているが、基準ヨーレート偏差Δγ_Stdの微分値の大きさに基づいて、微分値が大きいほど積分項補正係数KIAdjustCoefを小さくするように制御しても良い。
乗算部524は、積分項補正係数KIAdjustCoefと、初期値として設定した積分項KI_Initを乗算することで、PID制御で用いる積分項KI *を算出する。すなわち、積分項KI *は以下の式から算出される。
以上のようにしてKIゲイン算出部510が算出した積分項KI *は、積分項乗算部590に入力される。一方、積分演算部550は、電流の補償値ΔIの積分値を算出する。積分項乗算部590は、積分演算部550が算出したΔIの積分値と積分項KI *を乗算し、その結果を加算部594に出力する。
次に、微分項KD *(KDゲイン)の算出について説明する。図8は、KDゲイン算出部540とその周辺の構成を示す模式図である。KDゲイン算出部540は、絶対値算出部542、微分補正係数算出部544、乗算部546、を有している。操舵角微分部560は、ステアリング操舵角θhの微分値(舵角速度)θvを算出する。絶対値算出部542は、微分値θvの絶対値|θv|を算出する。絶対値|θv|は、微分補正係数算出部544に入力される。また、KDゲイン算出部540には、微分値θvと、モータ回転数N、モータトルクTrqAns、環境情報が入力される。
微分補正係数算出部544は、事前にモータ回転数を落とし、緊急回避時に必要な出力トルクを確保できるよう、モータの回転数を制御した状況下で舵角速度θvの絶対値|θv|を参照し、舵角速度θvの絶対値|θv|を入力とするゲインマップによって、微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する。なお、事前にモータ回転数を落とす処理については、図22に基づいて後で詳細に説明する。
図9は、微分補正係数算出部544が微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する処理を示すフローチャートである。また、図10は、微分補正係数算出部544が微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する際に用いるマップを示す模式図である。
先ず、図9のステップS100では、モータ回転数N、モータトルクTrqAns、環境情報を取得する。次のステップS110では、環境情報に基づいて進行路面上に障害物があるか否かを判定し、障害物がある場合はステップS120へ進む。
ステップS120では、モータトルクTrqAnsとモータ回転数Nから算出された効率αNOWが所定のしきい値α以上か否かを判定し、αNOW<αの場合はステップS130へ進む。ステップS130では、モータ効率が所定のしきい値α以上になる領域に到達するまで、モータ回転数の抑制指令を出す。
図11及び図12は、ステップS130において、モータ回転数の抑制が行われる様子を説明するための模式図である。図11及び図12は、モータ効率マップを示しており、図11は、モータ回転数を抑制する前の状態を示している。上述のように、微分項KD *(KDゲイン)の算出で用いるパラメータとして、(モータトルクTrqAns、モータ回転数N、進行路面の環境情報)を取得した上で、モータトルクTrqAnsとモータ回転数Nに基づいて、図11に示すモータ効率マップから、現時点でのモータ効率を推定する。
そして、ステップS110,S120の判定の結果、「進行路面に障害物がある」状況であり、かつ「モータ回転数Nが所定の閾値α以上である」場合には、図12に示すように、モータ効率が所定の閾値以上になる回転数になるまでモータの回転を抑制し、車両の操作に対してトルク出力を高めやすい状態へ変化させる(ステップS130)。図22は、ステップS130の処理を行うための構成を示すブロック図である。図22に示す構成は、KDゲイン算出部540に設けられる。図22において、モータ効率マップ562は、図11及び図12に示すマップに相当する。モータ回転数N、モータトルクTrqAnsをモータ効率マップ562に当てはめることで、効率αNOWが算出される。効率αNOWは比較演算子564にてしきい値αと比較され、αNOW≧αの場合は効率フラグ“1”が論理演算子566に出力され、αNOW<αの場合は効率フラグ“0”が論理演算子566に出力される。論理演算子566は、環境情報を示すフラグと効率フラグの論理積(AND)を演算し、その結果(回転数指示フラグ)をスイッチ568へ出力する。ここで、路面に障害物が無い場合は環境情報を示すフラグが“1”とされ、路面に障害物が有る場合は環境情報を示すフラグが“0”とされる。また、モータ回転数制限処理部569は、しきい値αとモータトルクTrqAnsに基づいて、モータ効率マップからモータ回転数制限目標値N_Limを算出し、スイッチ568へ出力する。スイッチ568には、回転数指示フラグに基づいて、回転数指示フラグがオン(=1)の場合は、要求モータ回転数N_Reqとしてモータ回転数Nを出力し、回転数指示フラグがオフ(=0)の場合は、要求モータ回転数N_Reqとしてモータ回転数制限目標値N_Limを出力する。図3及び図4に示すように、要求モータ回転数N_Reqが駆動力発生装置(モータ)108,110,112,114に出力され、要求モータ回転数N_Reqに基づいてモータ108,110,112,114の回転数が制御される。
次のステップS140以降では、図10のマップに基づいて微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する。図10に示すように、舵角速度θvの絶対値|θv|がしきい値θv_1以上の場合、舵角速度θvの絶対値|θv|が大きくなるほど微分項補正係数KDAdjustCoefの値は増加する。また、舵角速度θvの絶対値|θv|がしきい値θv_2以上の場合、微分項補正係数KDAdjustCoefの値は1とされる。
先ず、ステップS140では、|θv|≧θv_2であるか否かを判定し、|θv|≧θv_2の場合はステップS150へ進む。ステップS150では、微分項補正係数KDAdjustCoefを1とする。
ステップS140で|θv|≧θv_2でない場合は、ステップS160へ進む。ステップS160では、|θv|≧θv_1であるか否かを判定し、|θv|≧θv_1の場合はステップS170へ進む。ステップS170では、以下の式より微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する。
KDAdjustCoef=(1/(θv_2−θv_1))×(|θv|−θv_1)
ステップS160で|θv|≧θv_1でない場合は、ステップS180へ進む。ステップS180では、微分項補正係数KDAdjustCoefを0とする。
また、ステップS110で進行路面上に障害物がない場合、又は、ステップS120でN<αの場合はステップS180へ進み、微分項補正係数KDAdjustCoefを0とする。
以上のように、図9のステップS140以降の処理によれば、図10のマップに基づいて微分項補正係数KDAdjustCoefを算出することができる。
また、KDゲイン算出部540の乗算部546は、微分項補正係数KDAdjustCoefと、初期値として設定した微分項KD_Initを乗算することで、PID制御で用いる微分項KD *を算出する。すなわち、微分項KD *は以下の式から算出される。
以上のようにしてKDゲイン算出部540が算出した微分項KD *は、比例項乗算部592に入力される。一方、微分演算部530は、電流の補償値ΔIの微分値を算出する。比例項乗算部592は、微分演算部530が算出したΔIの微分値と微分項KD *を乗算し、その結果を加算部594に出力する。
また、比例項乗算部570は、電流の補償値ΔIに比例項KPを乗算し、その結果を加算部594に出力する。
加算部594は、入力された各値を加算することで、以下の式からPID制御量PIDCtrlTgtを算出する。
ここで、積分項KI *を操舵ふらつきの推移に応じて段階的に0に近づけることで、出力電流のドリフトを制御し、車両の直安性と電費を向上させることができる。また、微分項KD *を、進行路上の障害物の有無と、操舵速度の推移に応じて補正係数を徐々に増やすことで、出力電流の立ち上がりを早め、操舵時の車両の応答性能を向上させることができる。
加算部594は、制御量PIDCtrlTgtをモータ電気回路600へ出力する。モータ電気回路600は、公知の技術により構成され、PID制御量PIDCtrlTgtの入力を受けて、モータ駆動時の実電流I_Ansを出力する。車両1000が備える各モータ108,110,112,114は、各輪について算出された実電流I_Ansに基づいて駆動される。また、実電流I_Ansは減算部580へ入力される。
なお、スイッチング素子等の電気回路の構成要素として、SiCやGaNなど、従来技術で利用されている半導体(Si)に比べバンドギャップが大きい半導体を用いたパワーデバイスを活用した部品(IGBT、MOSFET)を採用することで、エネルギーマネジメント性能の向上と、スイッチング時の応答性能を向上させることが可能である。
以上のように構成された本実施形態において、積分項KI *(KIゲイン)の算出においては、外界認識部220により取得した進行路面の形状(曲率R)と車両速度Vから算出される「第1の状態量(第1基準ヨーレートγ_Std1)」と、ドライバの操舵入力と車速Vから算出される「第2の状態量(第2基準ヨーレートγ_Std2)」を比較した結果から、操舵ふらつきを判定する。ここで、操舵ふらつき判定部520によるカウント値Cntに基づいて、カウント値Cntが大きいほど、操舵ふらつきが大きいものとして、操舵ふらつきの推移に応じて電力供給部400のPID制御で用いる係数(積分項KI *)が0に変化する。これにより、ドライバの操舵ふらつきに伴う出力電流とトルク出力のドリフトを抑制することができ、車両1000の直進安定性と電費の向上を図ることができる。
なお、積分項KI *(KIゲイン)の算出においては、操舵ふらつき状態を認識し始めた時点から経過した時間の推移に応じて、電力供給手段の制御で用いる係数(PID制御の積分項)を0に徐変させるようにしても良い。
また、微分項KD *(KDゲイン)の算出においては、障害物等進行路面の状態と、舵角速度θvによって表される、進路変更等に伴う操舵入力の緊急操舵の度合に応じて、電力供給部400のPID制御で用いる係数(微分項KD *)を増加する。これにより、一時的にモータ出力電流の立ち上がりを早め、緊急回避時の操舵に対する応答性能が向上するようにモータ駆動電流を出力することが可能となる。また、微分項KD *(KDゲイン)の算出においては、「進行路面に障害物がある」状況であり、かつ「モータ回転数Nに伴って算出されるαNOWが所定の閾値α未満である」場合には、モータ効率が所定の閾値以上になる回転数になるまでモータの回転を抑制することで、車両の操作に対して予めトルク出力を高めやすい状態へ変化させることにより、緊急回避時の操舵に対する応答性能を向上することができる。
なお、微分項KD *(KDゲイン)の算出においては、進行路面上に障害物を検知しドライバが回避のための操作を行った際には、ステアリング操舵の入力度合とその緊急度合に応じて、電力供給手段の制御で用いる係数(PID制御の微分項)を一時的に有効にすることで、緊急回避時の旋回性能と車両の応答性能を向上しても良い。
図13及び図14は、本実施形態の制御による効果を説明するための特性図であって、操舵ふらつきが継続的に生じている場合を示している。ここで、図13は、比較例として、本実施形態による制御を行わない場合を示している。図14は、本実施形態による制御を行った場合を示している。図13及び図14では、モータトルク(ふらつき成分のみを抽出したもの)、操舵ふらつき判定部520のカウント値(Cnt)、PID制御量(PIDCtrlTgt)、モータ電流量(実電流I_Ans)、をそれぞれ示している。
図13に示すように、本実施形態による制御を行わずにPI制御を行い、インバータを駆動した場合、操舵のふらつき成分によりモータ電流量が増幅され、電費が悪化する。また、本実施形態による制御を行わずにPID制御を行い、インバータを駆動した場合、モータ電流量がPI制御の場合に比べて更に増幅され、電費が更に悪化する。
一方、図14に示すように、本実施形態による制御を行った場合は、基準ヨーレートの偏差Δγ_Std微分値の絶対値の大きさに応じてカウント値Cntがインクリメントされ、カウント値がn1に達すると、積分項補正係数KIAdjustCoefが1から0へ推移し始める。また、カウント値がn2に達すると、積分項補正係数KIAdjustCoefが0となる。従って、操舵ふらつきに応じて積分項補正係数KIAdjustCoefの値を低下させることで、PID制御量(PIDCtrlTgt)が低下する。これにより、操舵ふらつきに応じてモータ電流量のドリフト防止を実現することができる。また、微分項も補正することで、モータ電流量の収束性を向上することもできる。これにより、エネルギーロスが抑制され、電力消費を抑えることが可能となる。
また、図15は、本実施形態の制御による効果を示す特性図であって、車両速度V、操舵角θh、制御目標トルクMotTrqTgtの変化量ΔTrqTgt、モータトルクTrqAnsの変化量ΔTrqAns、ヨーレートγ、初期位置からの移動量(横方向)、が変化する様子を示している。図15では、障害物が路上に存在する場合に、障害物を避けるように操舵を行った場合を模式的に示している。図15では、本実施形態の効果を比較するため、本実施形態の制御により障害物の有無に応じて微分項KD *を補正した場合と、本実施形態の制御を行わない場合のモータトルクと車両の状態量を示している。このため、変化量ΔTrqAns、ヨーレートγ、初期位置からの移動量(横方向)については、本実施形態による制御を行った場合(破線)と、本実施形態による制御を行わない場合(実線)のそれぞれの特性を示している。
図15に示すように、本実施形態では、障害物等進行路面の状態と進路変更に伴う操舵入力の推移に応じて電力供給部400の制御で用いる係数(PID制御の微分項KD *)を増加することで、一時的に出力電流の立ち上がりを早め、緊急回避時の操舵に対する応答性能を向上させている。これにより、モータトルクTrqAnsの変化量ΔTrqAnsは、障害物検知に伴って微分項KD *が補正され、進路変更等に伴う操舵入力の緊急操舵の度合に応じて微分項KD *を増加させることにより、モータ出力電流の立ち上がりを早め、緊急回避時の操舵に対する応答性能が向上する。ヨーレートγについては、本実施形態の制御を行うことでモータ出力の立ち上がりを早めたことにより、旋回がより早く行われるように旋回状態が変化していることが判る。また、初期位置からの移動量(横方向)についても、本実施形態の制御を行うことで車両軌跡がより早い段階から横方向に移動し、障害物の回避が支援されていることが判る。
以上説明したように第1の実施形態によれば、積分項KI *(KIゲイン)の算出においては、進行路面の形状(曲率R)及び車両速度Vから算出される「第1の状態量(第1基準ヨーレートγ_Std1)」と、ドライバの操舵入力と車速Vから算出される「第2の状態量(第2基準ヨーレートγ_Std2)」を比較した結果から、操舵ふらつきを判定することができる。そして、操舵ふらつき判定部520によるカウント値Cntに基づいて、カウント値Cntが大きいほど、操舵ふらつきが大きいものとして、操舵ふらつきの推移に応じて電力供給部400のPID制御で用いる係数(積分項KI *)を0に変化させることで、ドライバの操舵ふらつきに伴う出力電流とトルク出力のドリフトを抑制することができ、車両1000の直進安定性と電費の向上を図ることができる。
また、微分項KD *(KDゲイン)の算出においては、障害物等の有無など進行路面の状態と、舵角速度θvによって表される緊急操舵の度合に応じて、電力供給部400のPID制御で用いる係数(微分項KD *)を増加することで、一時的にモータ出力電流の立ち上がりを早め、緊急回避時の操舵に対する応答性能が向上するようにモータ駆動電流を出力することが可能となる。
2.第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した「第1の状態量」と「第2の状態量」を、ステアリング操舵角相当の状態量で算出し、操舵ふらつきの判定を行う。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した「第1の状態量」と「第2の状態量」を、ステアリング操舵角相当の状態量で算出し、操舵ふらつきの判定を行う。
第2の実施形態に係る制御装置200の構成は、図3に示した第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、積分項KI *(KIゲイン)の算出で用いる第1基準ヨーレート(γ_Std1)を、曲率R及び車両速度Vから算出する。その後、操舵角θhからヨーレートγを算出するモデルに関する逆モデルを用いて、第1基準ヨーレート(γ_Std1)から操舵基準量(タイヤ舵角相当)δ_std1を算出し、操舵基準量δ_std1にステアリングギヤ比Ghを積算して、第1の状態量として第1基準操舵角θh_1を算出する。すなわち、第1基準操舵角θh_1は、以下の式から算出される。なお、下式において、Sfはスタビリティファクタであり、lはホイールベースである。
なお、上記では、ステアリング転舵角を「タイヤ転舵角×ステアリングギア比」で算出しているが、ステアリングに関する逆モデルを用いてステアリング転舵角を計算してもよい。
また、第1の実施形態の第2の状態量に相当する指標として、第2の実施形態では、ドライバーによるステアリング操舵角θhを取得する。すなわち、第2基準操舵角θh_2は、ステアリング操舵角θhである(θh_2=θh)。
そして、第2の実施形態では、第1基準操舵角θh_1と第2基準操舵角θh_2の差分の微分値が、路面ないし操舵の変化量に相関がある事に着目し、車両のふらつき具合を判定する尺度として利用する。
図16は、第2の実施形態に係るKIゲイン算出部510の構成を示す模式図である。第2の実施形態において、KIゲイン算出部510は、第1基準操舵角演算部525、第2基準操舵角取得部526、減算部527、微分演算部528、絶対値演算部529、操舵ふらつき判定部521を有する。第1基準操舵角演算部525は、車両速度Vと曲率Rに基づいて第1基準操舵角θh_1を演算する。また、第2基準操舵角取得部526は、第2基準操舵角θh_2としてステアリング操舵角θhを取得する。
減算部527は、第1基準操舵角演算部525により算出された第1基準操舵角θh_1から第2基準操舵角取得部526が取得した第2基準操舵角θh_2を減算することによって、θh_1とθh_2との差である基準操舵角偏差Δθhを求める。すなわち、基準操舵角偏差Δθhは、下記式により求められる。θh_1とθh_2との差である基準操舵角偏差Δθhは、第1の状態量と第2の状態量とを比較して算出される第3の状態量の一例である。
なお、目標軌跡と車両中心線から算出される目標軌跡と車両前方位置との偏差(ε)から基準ヨーレートの偏差(Δγ_Std)を算出し、ステアリング操舵角の偏差相当の値を算出しても良い。
微分演算部528は、基準操舵角偏差Δθhを微分し、得られた微分値を絶対値演算部529へ出力する。絶対値演算部529は、基準操舵角偏差Δθhの微分値の絶対値を算出し、操舵ふらつき判定部521へ出力する。第2の実施形態では、以上のようにして得られた基準操舵角偏差Δθhの微分値が、路面ないし操舵の変化量に相関がある事に着目し、車両のふらつき具合を判定する尺度として利用する。
図17は、基準操舵角偏差Δθhの微分値の絶対値に基づくカウンタ処理を示す模式図である。操舵ふらつき判定部521は、図17に基づいて、カウンタのカウント値Cntを設定する。具体的には、図17の縦軸は、各サンプリング時のふらつき判定用カウンタの変化量ΔCntを示しており、カウンタ値Cntは変化量ΔCntの積算値とされる。図17に示すように、基準操舵角偏差Δθhの微分値の絶対値が所定のしきい値(TH_HIGH)以上となった場合は、ふらつき判定用カウンタのカウント値Cntをインクリメントする。また、基準操舵角偏差Δθhの微分値の絶対値が、所定の閾値(TH_Low)以下になった場合には、0を下限値としてカウント値Cntをデクリメントする。また、基準操舵角偏差Δθhの微分値の絶対値が、TH_LOWとTH_HIGHの範囲内(閾値含まず)の場合は、変化量ΔCntを0とし、カウンタ値Cntを保持する。
操舵ふらつき判定部521が算出したカウンタ値Cntは、積分補正係数算出部522に入力される。以降の処理は第1の実施形態と同様である。
以上説明したように第2の実施形態によれば、ステアリング操舵角相当の状態量に基づいて、操舵ふらつきの判定を行うことができる。そして、操舵ふらつきが大きい場合は、積分項KI *(KIゲイン)を低下させることで、ドライバの操舵ふらつきに伴う出力電流とトルク出力のドリフトを抑制することができ、車両1000の直進安定性と電費の向上を図ることができる。
3.第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、微分項KD *(KDゲイン)の算出に関し、急操舵の継続時間に応じて微分項補正係数KDAdjustCoefを増減させる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、微分項KD *(KDゲイン)の算出に関し、急操舵の継続時間に応じて微分項補正係数KDAdjustCoefを増減させる。
図18は、第3の実施形態に係るKDゲイン算出部540とその周辺の構成を示す模式図である。図18に示す構成例では、図8に示した第1の実施形態の構成に対し、急操舵継続判定部(カウント部)543が追加されている。
図18において、絶対値算出部542は、ステアリング操舵角θhの微分値(舵角速度)θvの絶対値|θv|を急操舵継続判定部543へ出力する。第3の実施形態では、操舵速度θvの絶対値|θv|が急操舵の大きさに関連がある事に着目し、急操舵の継続状況を判定する尺度として以下のカウンタを利用する。図19は、絶対値|θv|に基づくカウンタ処理を示す模式図である。急操舵継続判定部543は、図19に基づいて、カウンタのカウント値Cntを設定する。具体的には、図19の縦軸は、各サンプリング時の急操舵継続判定用カウンタの変化量ΔCntを示しており、カウンタ値Cntは変化量ΔCntの積算値とされる。図19に示すように、ステアリング操舵角θhの微分値(舵角速度)θvの絶対値|θv|が所定のしきい値(TH_HIGH)以上となった場合は、急操舵継続判定用カウンタのカウント値Cntをインクリメントする。また、絶対値|θv|が、所定の閾値(TH_LOW)以下になった場合には、0を下限値としてカウント値Cntをデクリメントする。また、絶対値|θv|が、TH_LOWとTH_HIGHの範囲内(閾値含まず)の場合は、変化量ΔCntを0とし、カウンタ値Cntを保持する。
急操舵継続判定部543が算出したカウンタ値Cntは、微分補正係数算出部544に入力される。図20は、微分補正係数算出部544が微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する際に用いるマップを示す模式図である。微分補正係数算出部544は、カウント値Cntを図20のマップに当てはめ、微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する。図20に示すように、カウント値CntがCnt_1より大きい場合、微分項補正係数KDAdjustCoefを増加方向へ徐々に変化させる。カウント値がCnt_2に到達すると、微分項補正係数KDAdjustCoefは1となる。微分補正係数算出部544は、算出した微分項補正係数KDAdjustCoefを乗算部546へ出力する。以降の処理は第1の実施形態と同様である。
図21は、第3の実施形態において、微分補正係数算出部544が微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する処理を示すフローチャートである。図21において、ステップS200〜S230の処理は、第1の実施形態で説明した図9のステップS100〜S130の処理と同様である。ステップS230でモータ回転数の抑制指示を出した後、ステップS240以降では、急操舵の継続判定を行う。
先ず、ステップS240では、|θv|≧TH_HIGHであるか否かを判定し、|θv|≧TH_HIGHの場合はステップS250へ進む。ステップS250では、急操舵継続判定部543が前回値からカウント値Cntを増やす。
ステップS240で|θv|≧TH_HIGHでない場合は、ステップS260へ進む。ステップS260では、|θv|≧TH_LOWであるか否かを判定し、|θv|≧TH_LOWの場合はステップS270へ進む。ステップS270では、前回値のカウント値Cntを保持する。
ステップS260で|θv|≧TH_LOWでない場合は、ステップS280へ進む。ステップS280では、前回値からカウント値Cntを減らす。
ステップS250,S270,S280の後はステップS290へ進む。ステップS290では、カウント値Cntを図20のマップに当てはめ、微分項補正係数KDAdjustCoefを算出する。
以上のように、図21のステップS240以降の処理によれば、図19のカウント処理の結果得られたカウント値Cntを図20のマップに適用することで、微分項補正係数KDAdjustCoefを算出することができる。微分項補正係数KDAdjustCoefを算出した後の処理は、第1の実施形態と同様である。
以上説明したように第3の実施形態によれば、微分項KD *(KDゲイン)を算出する際に、ステアリング操舵角θhの微分値(舵角速度)θvに基づいて、微分値θvが大きい状態が継続するほど、微分項KD *を増加することができる。これにより、微分値θvが大きい状態が継続するほど、一時的にモータ出力電流の立ち上がりを早め、緊急回避時の操舵に対する応答性能が向上するようにモータ駆動電流を出力することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
200 制御装置
500 電流制御器
510 KIゲイン算出部
540 KDゲイン算出部
543 急操舵継続判定部(カウント部)
500 電流制御器
510 KIゲイン算出部
540 KDゲイン算出部
543 急操舵継続判定部(カウント部)
Claims (11)
- 車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御する電流制御部を備え、
前記電流制御部は、操舵の舵角速度に基づいて、前記PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出する微分項補正ゲイン算出部を有することを特徴とする、車両の制御装置。 - 前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が大きいほど前記微分項補正ゲインを大きくすることを特徴とする、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記微分項補正ゲイン算出部は、前記舵角速度が第1の所定値以上の場合にカウント値をインクリメントし、前記舵角速度が第2の所定値以下の場合にカウント値をデクリメントするカウント部を備え、
前記カウント値が大きくなるほど前記微分項補正ゲインを大きくすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。 - 前記モータの回転数が所定値以上の場合に、前記モータの効率が所定値以上となる領域に達するまで前記モータの回転数を抑制することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 進行路上に障害物がある場合に、前記モータの効率が所定値以上となる領域に達するまで前記モータの回転数を抑制することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 前記微分項補正ゲイン算出部は、
前記舵角速度が第1のしきい値以下の場合は前記微分項補正ゲインを最小にすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記微分項補正ゲイン算出部は、
前記舵角速度が第2のしきい値以上の場合は前記微分項補正ゲインを最大にすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 走行路の路面状況から求まる操舵に関する第1の状態量と運転者の操舵入力から求まる第2の状態量とに基づいて、前記PID制御の積分項の出力を補正するための積分項補正ゲインを算出する積分項補正ゲイン算出部を更に備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の車両の制御装置。
- 前記積分項補正ゲイン算出部は、
前記第1の状態量と前記第2の状態量との差分を時間微分して得られる微分値に基づいて、前記積分項補正ゲインを算出することを特徴とする、請求項8に記載の車両の制御装置。 - 前記積分項補正ゲイン算出部は、前記微分値が大きいほど前記積分項補正ゲインを小さくすることを特徴とする、請求項9に記載の車両の制御装置。
- 車両の車輪を駆動するモータの電流をPID制御により制御するステップと、
操舵の舵角速度に基づいて、前記PID制御の微分項の出力を補正するための微分項補正ゲインを算出するステップと、
を備えることを特徴とする、車両の制御方法。
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CN109017447A (zh) * | 2018-07-31 | 2018-12-18 | 大连民族大学 | 无人驾驶车辆总的驱动力矩输出方法 |
KR20190076803A (ko) * | 2017-12-22 | 2019-07-02 | 현대모비스 주식회사 | 전동식 파워 스티어링 시스템의 토크 보상 장치 및 방법 |
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2016
- 2016-01-29 JP JP2016015414A patent/JP2017135916A/ja active Pending
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