JP2017133001A - 接着剤用原料ポリイミド樹脂、カバーレイフィルム及びボンディングシート - Google Patents
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Abstract
【課題】環状シロキサン化合物からなる揮発成分が発生せず、繰り返し高温に曝されても、配線層とカバーレイフィルムの接着力が低下しないポリイミド樹脂接着剤の提供。【解決手段】カバーレイフィルムの接着剤層又はボンディングシートの接着剤層を形成するための接着剤用原料ポリイミド樹脂が、重量平均分子量が20,000〜150,000の範囲内であり、芳香族テトラカルボン酸無水物、炭素数24〜48の脂肪族ジアミン、4,4’—ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、及び、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどの芳香族ジアミンを重合してなる、ポリイミド樹脂接着剤。【選択図】なし
Description
本発明は、フレキシブルプリント配線板等の回路基板においてカバーレイフィルムの接着剤層やボンディングシートの接着剤層を形成するために有用な接着剤用原料ポリイミド樹脂に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化の進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度の実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器における可動部分の配線や、ケーブル、コネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。
FPCには、配線部分を保護する目的でカバーレイフィルムが用いられる。カバーレイフィルムは、ポリイミド樹脂などの合成樹脂製のカバーレイ用フィルム材と接着剤層とを積層して形成されている。FPCの製造においては、例えば熱プレス等の方法を用いて回路基板に接着剤層を介してカバーレイ用フィルム材を貼り付けている。接着剤層は、銅配線などの回路配線パターンとカバーレイ用フィルム材との両方に対して、高い接着性が要求される。このようなカバーレイフィルム用の接着剤として、比較的低温の熱圧着条件で加工が可能で、耐熱性などの特性に優れたものとして、シロキサンユニットを有するポリイミド樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂に、リン酸エステル系、フタル酸エステル系、ポリエステル系及び脂肪酸エステル系から選ばれる1種以上の可塑剤を配合してなるプリント基板用接着剤樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、接着フィルムに用いるポリイミド樹脂の低温貼付性、低吸湿性、熱時における接着力、耐PCT性を改善する目的で、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物と、特定構造のシロキサンジアミンとを反応させた後に、他の酸無水物及び/又は他のジアミンを反応させるポリイミド樹脂の製造方法が提案されている(例えば特許文献2)。
上記特許文献1、2に挙げたように、シロキサン骨格を含むポリイミド樹脂は、適度な柔軟性と熱に対する接着耐久性を備えているため、FPCのカバーレイフィルム用接着剤としての用途に適している。しかし、シロキサン骨格を含むポリイミド樹脂には、原料に由来する環状シロキサン化合物が含まれる場合があり、この環状シロキサン化合物が高温環境下に長期曝露されることで揮散し、電子部品における電気接点に付着することで導通不良を引き起こす可能性が懸念されている。そのため、シロキサン化合物を使用しないポリイミド樹脂接着剤の開発が望まれている。
さらに、自動車のエンジンルーム内などに配備されるFPCを使用した車載用電子機器では、繰り返し150℃程度の高温環境に置かれるため、長期間の使用でFPCのカバーレイフィルムと配線との接着力が低下し、配線保護機能が大幅に低下してしまうという問題が生じている。FPCの用途拡大に伴い、車載用電子機器に限らず、同様に過酷な温度環境でFPCが使用される場面は今後も増加していくものと予想される。このことから、高温環境で使用されるFPCにおいて、カバーレイフィルムの接着力の低下に対して対策を講ずることが強く求められている。
従って、本発明の課題は、環状シロキサン化合物からなる揮発成分を発生させず、さらに繰り返し高温にさらされる使用環境でも、配線層とカバーレイフィルムとの接着力を低下させない接着剤層を形成可能なポリイミド樹脂を提供することである。
本発明の接着剤用原料ポリイミド樹脂は、カバーレイフィルムの接着剤層又はボンディングシートの接着剤層を形成するための接着剤用原料ポリイミド樹脂であって、重量平均分子量が20,000〜150,000の範囲内であり、下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するものである。
式(1)、(2)中、Arは芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物から誘導される4価の芳香族基、R1はダイマー酸から誘導される炭素数24〜48の範囲内にある脂肪族ジアミンから誘導される2価のジアミン残基、R2は4,4’―ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、及び、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンよりなる群から選ばれる芳香族ジアミンから誘導される2価のジアミン残基をそれぞれ表す。
本発明の接着剤用原料ポリイミド樹脂は、前記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンが、炭素数36の脂肪族ジアミンであってもよい。
本発明のカバーレイフィルムは、カバーレイ用フィルム材と接着剤層とが積層されたカバーレイフィルムであって、前記接着剤層が、請求項1又は2に記載の接着剤用原料ポリイミド樹脂を含むことを特徴とする。
本発明のボンディングシートは、基材フィルムと接着剤層とが積層されたボンディングシートであって、前記接着剤層が、請求項1又は2に記載の接着剤用原料ポリイミド樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の接着剤用原料ポリイミド樹脂は、原料としてシロキサン化合物を必須としないため、電子部品に悪影響を与える環状シロキサンからなる揮発成分の発生を防止できる。また、本発明の接着剤用原料ポリイミド樹脂を用いて接着剤層を形成した樹脂フィルムは、金属配線層との接着性に優れており、この樹脂フィルムをカバーレイフィルム等の用途で使用した回路基板や電子部品の信頼性も向上させることができる。
[架橋ポリイミド樹脂]
架橋ポリイミド樹脂は、(A)ケトン基を有するポリイミド樹脂、及び(B)少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有するアミノ化合物、を反応させて得られる架橋ポリイミド樹脂である。(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、脂肪族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂である。このポリイミド樹脂におけるケトン基は、前記酸無水物成分と前記ジアミン成分のどちらか片方、あるいは両方に由来するものである。そして、ポリイミド樹脂におけるケトン基に、前記(B)成分のアミノ基が反応してC=N結合を形成していることにより、ポリイミド樹脂がアミノ化合物によって架橋された構造を有している。
架橋ポリイミド樹脂は、(A)ケトン基を有するポリイミド樹脂、及び(B)少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有するアミノ化合物、を反応させて得られる架橋ポリイミド樹脂である。(A)成分は、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、脂肪族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂である。このポリイミド樹脂におけるケトン基は、前記酸無水物成分と前記ジアミン成分のどちらか片方、あるいは両方に由来するものである。そして、ポリイミド樹脂におけるケトン基に、前記(B)成分のアミノ基が反応してC=N結合を形成していることにより、ポリイミド樹脂がアミノ化合物によって架橋された構造を有している。
[(A)ケトン基を有するポリイミド樹脂]
架橋ポリイミド樹脂に用いる(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂は、具体的には、例えば下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂を挙げることができる。
架橋ポリイミド樹脂に用いる(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂は、具体的には、例えば下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂を挙げることができる。
上記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂において、基Ar及び基R2の片方若しくは両方、好ましくは基Ar中にケトン基を含み、このケトン基が、アミノ化合物との架橋反応に関与する。すなわち、基Ar及び/又は基R2中のケトン基に、前記(B)成分の少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物を反応させてC=N結合を形成させることにより、ポリイミド樹脂がアミノ化合物によって架橋される。
一般式(1)及び(2)で表される構成単位において、ケトン基を含む基Arを形成するために好ましい芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば下記の式(3)で表される3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を挙げることができる。
また、一般式(1)及び(2)で表される構成単位において、基Arを形成するための原料となる芳香族テトラカルボン酸無水物としては、上記ケトン基を有するもの以外に、例えば、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA、別名;5,5’−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等を使用することができる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
一般式(1)で表される構成単位において、基R1(脂肪族ジアミンから誘導される2価のジアミン残基)を形成するための原料としては、分子内に環状構造を有する脂肪族ジアミン、炭素数24〜48の範囲内にある脂肪族ジアミン、又はダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンが好ましく、より好ましくは炭素数24〜48の範囲内にあるダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンがよい。ここで、環状構造とは、芳香族環以外の脂肪族環状構造を意味し、環内に不飽和結合を有していてもよい。また、脂肪族ジアミンの炭素数が24未満であると可溶性が低下し取り扱いが困難になる場合があり、炭素数が48を超えるとポリイミド樹脂同士のイミン結合による架橋が形成されない場合がある。上記のような脂肪族ジアミンを選択することで、ポリイミド樹脂に柔軟性を与え、しかもイミン結合を有効に形成させることができ、高温環境での使用においても接着力の低下を生じさせないようにすることができる。
基R1の脂肪族ジアミンから誘導される2価のジアミン残基を形成するための原料として好ましく用いられる上記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンは、ダイマー酸のカルボキシル基をヒドロキシル基に転化したのち、更にアミノ基に転化させた脂肪族ジアミンである。すなわち、ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンは、例えばオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸とし、これを還元したのち、アミノ化することにより得られる。このような脂肪族ジアミンとして、例えばDDA(炭素数36の脂肪族ジアミン、クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074)等の市販品を用いることができる。
また、一般式(2)で表される構成単位において、基R2(芳香族ジアミンから誘導される2価のジアミン残基)を形成するため用いることができるケトン基を有するジアミン化合物として、例えば、4,4’―ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BABP)、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン(BABB)等の芳香族ジアミンを挙げることができる。さらに、一般式(2)で表される構成単位において、基R2を形成するための原料となる他の芳香族ジアミンとしては、例えば、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミンは、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
一般式(1)及び(2)で表したように、本発明では、ジアミン成分として、脂肪族ジアミンと芳香族ジアミンとを組み合わせて用いることが可能であるが、架橋ポリイミド樹脂に高温環境下での十分な接着力を付与する観点から、全ジアミン成分中の脂肪族ジアミンのモル比[m/(m+n)]を、例えば0.5〜1.0の範囲内とすることが好ましく、0.8〜1.0の範囲内とすることがより好ましく、1.0とすることが最も好ましい。
[ポリイミド樹脂の合成]
上記(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂は、上記芳香族テトラカルボン酸無水物、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン(必要な場合)を溶媒中で反応させ、前駆体樹脂であるポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
上記(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂は、上記芳香族テトラカルボン酸無水物、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン(必要な場合)を溶媒中で反応させ、前駆体樹脂であるポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜300℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
また、上記(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂は、芳香族テトラカルボン酸無水物、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン(必要な場合)との反応で得られるイミド構造となる。例えばカバーレイフィルムの接着剤として使用する場合には、銅の拡散を抑制するために完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミドの一部がアミド酸となっていてもよい。そのイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm−1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm−1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出される。
[アミノ化合物]
上記(B)成分の少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物としては、(I)ジヒドラジド化合物、(II)芳香族ジアミン、(III)脂肪族アミン等を例示することができる。
上記(B)成分の少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物としては、(I)ジヒドラジド化合物、(II)芳香族ジアミン、(III)脂肪族アミン等を例示することができる。
(I)ジヒドラジド化合物:
ジヒドラジド化合物としては、下記一般式(4)で表されるものを挙げることができる。
ジヒドラジド化合物としては、下記一般式(4)で表されるものを挙げることができる。
一般式(4)中、基R3は、例えば単結合、脂肪族基、芳香族基等を挙げることができる。R3として好ましいものを、ジヒドラジド化合物の例示によって説明すると、次の化合物が挙げられる。例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ二酸ジヒドラジド、4,4−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジン二酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられる。以上のジヒドラジド化合物は、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
(II)芳香族ジアミン:
芳香族ジアミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビスアニリンフルオレン等が好ましく挙げられる。さらに、芳香族ジアミンの他の例として、2,2−ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1−(4−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1−(3−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4’−(4−アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4’−(3−アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジ−2,6−キシリジン、4,4’−メチレン−2,6−ジエチルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4'’−ジアミノ−p−テルフェニル、3,3'’−ジアミノ−p−テルフェニル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。以上の芳香族ジアミンは、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
芳香族ジアミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビスアニリンフルオレン等が好ましく挙げられる。さらに、芳香族ジアミンの他の例として、2,2−ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1−(4−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1−(3−アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4’−(4−アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4’−(3−アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレンジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジ−2,6−キシリジン、4,4’−メチレン−2,6−ジエチルアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4'’−ジアミノ−p−テルフェニル、3,3'’−ジアミノ−p−テルフェニル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、ピペラジン等を挙げることができる。以上の芳香族ジアミンは、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
(III)脂肪族アミン:
脂肪族アミンとしては、例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン等のジアミノアルカン類、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、N−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン等の窒素原子を含有するアミン類、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカン等の酸素原子を含有するアミン類、2,2’−チオビス(エチルアミン)等の硫黄原子を有するアミン類等を挙げることができる。以上の脂肪族アミンは、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
脂肪族アミンとしては、例えば、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン等のジアミノアルカン類、トリス(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、N−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン等の窒素原子を含有するアミン類、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカン等の酸素原子を含有するアミン類、2,2’−チオビス(エチルアミン)等の硫黄原子を有するアミン類等を挙げることができる。以上の脂肪族アミンは、単独でもよいし、2種類以上混合して用いることもできる。
上記(I)ジヒドラジド化合物、(II)芳香族ジアミン、(III)脂肪族アミン等の少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物の中でも、特にジヒドラジド化合物が最も好ましい。ジヒドラジド化合物を使用した場合は、他のアミノ化合物を使用した場合に比べて接着剤樹脂組成物の硬化時間を短縮させることができる。これは、ジヒドラジド化合物の第1級のアミノ基がケトン基と反応して得られる生成物が、セミカルバゾン様の分子構造となり、分子間のNH同士の水素結合による2量体構造を形成することによって生成物の安定性が向上するため、反応の平衡が生成物側に偏り、原料であるポリイミド樹脂のケトン基とジヒドラジド化合物のアミノ基を生成する方向への逆反応が起こりにくくなることに因るものと考えられる。
また、上記(I)ジヒドラジド化合物、(II)芳香族ジアミン、(III)脂肪族アミン等のアミノ化合物は、例えば(I)と(II)の組み合わせ、(I)と(III)との組み合わせ、(I)と(II)と(III)との組み合わせのように、カテゴリーを超えて2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、(B)成分のアミノ化合物による架橋で形成される網目状の構造をより密にするという観点から、(B)成分のアミノ化合物は、その分子量(アミノ化合物がオリゴマーの場合は重量平均分子量)が5,000以下であることが好ましく、より好ましくは90〜2,000、更に好ましくは100〜1,500がよい。この中でも、100〜1,000の分子量をもつアミノ化合物が特に好ましい。アミノ化合物の分子量が90未満になると、アミノ化合物の1つのアミノ基がポリイミド樹脂のケトン基をC=N結合を形成するにとどまり、残りのアミノ基の周辺が立体的に嵩高くなるために残りのアミノ基はC=N結合を形成しにくい傾向となる。
[架橋ポリイミド樹脂(硬化物)の製造]
架橋ポリイミド樹脂は、上記(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂を含む樹脂溶液に、(B)成分の少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有するアミノ化合物を加えて、ポリイミド樹脂中のケトン基とアミノ化合物の第1級アミノ基とを縮合反応させることにより製造される。この縮合反応により、樹脂溶液(接着剤樹脂組成物)は硬化して硬化物となる。この場合、アミノ化合物の添加量は、ケトン基1モルに対し、第1級アミノ基が合計で0.004モル〜1.5モル、好ましくは0.005モル〜1.2モル、より好ましくは0.03モル〜0.9モル、最も好ましくは0.04モル〜0.5モルとなるようにアミノ化合物を添加することができる。ケトン基1モルに対して第1級アミノ基が合計で0.004モル未満となるようなアミノ化合物の添加量では、アミノ化合物によるポリイミド樹脂の架橋が十分ではないため、ポリイミド樹脂を含む接着剤樹脂組成物を硬化させた後の硬化物において半田耐熱性が発現しにくい傾向となり、アミノ化合物の添加量が1.5モルを超えると未反応のアミノ化合物が熱可塑剤として作用し、同硬化物において半田耐熱性を低下させたり、高温での長期耐熱性を低下させたりする傾向がある。
架橋ポリイミド樹脂は、上記(A)成分のケトン基を有するポリイミド樹脂を含む樹脂溶液に、(B)成分の少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有するアミノ化合物を加えて、ポリイミド樹脂中のケトン基とアミノ化合物の第1級アミノ基とを縮合反応させることにより製造される。この縮合反応により、樹脂溶液(接着剤樹脂組成物)は硬化して硬化物となる。この場合、アミノ化合物の添加量は、ケトン基1モルに対し、第1級アミノ基が合計で0.004モル〜1.5モル、好ましくは0.005モル〜1.2モル、より好ましくは0.03モル〜0.9モル、最も好ましくは0.04モル〜0.5モルとなるようにアミノ化合物を添加することができる。ケトン基1モルに対して第1級アミノ基が合計で0.004モル未満となるようなアミノ化合物の添加量では、アミノ化合物によるポリイミド樹脂の架橋が十分ではないため、ポリイミド樹脂を含む接着剤樹脂組成物を硬化させた後の硬化物において半田耐熱性が発現しにくい傾向となり、アミノ化合物の添加量が1.5モルを超えると未反応のアミノ化合物が熱可塑剤として作用し、同硬化物において半田耐熱性を低下させたり、高温での長期耐熱性を低下させたりする傾向がある。
また、縮合反応の条件は、(A)成分ポリイミド樹脂におけるケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基が反応してイミン結合(C=N結合)を形成する条件であれば、特に制限されない。アミノ化合物の種類にもよるが、例えば(B)成分のアミノ化合物として脂肪族アミンを使用する場合は、常温においてもポリイミド樹脂におけるケトン基と縮合させることが可能であるが、加熱によって縮合反応を促進することが好ましい。(B)成分のアミノ化合物として脂肪族アミンを使用する場合は、例えば60〜200℃の範囲内で加熱縮合を行うことが好ましく、芳香族アミンを使用する場合は、例えば120〜220℃の範囲内で加熱縮合を行うことが好ましい。加熱縮合の温度は、縮合によって生成する水を系外へ放出させるため、又はポリイミド樹脂の合成の後に引き続いて加熱縮合反応を行なう場合に当該縮合工程を簡略化するため等の理由で、例えば120〜220℃の範囲内が好ましく、140〜200℃の範囲内がより好ましい。反応時間は、1時間〜24時間程度が好ましく、反応の終点は、例えばフーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1670cm−1付近のポリイミド樹脂におけるケトン基に由来する吸収ピークの減少又は消失、及び1635cm−1付近のイミン基に由来する吸収ピークの出現により確認することができる。
(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級のアミノ基との加熱縮合は、例えば、
(a)ポリイミド樹脂の合成(イミド化)に引き続き、アミノ化合物を添加して加熱すること、
(b)ジアミン成分として予め過剰量のアミノ化合物を仕込んでおき、ポリイミド樹脂の合成(イミド化)に引き続き、イミド化(若しくはアミド化)に関与しない残りのアミノ化合物とともにポリイミド樹脂を加熱すること、又は、
(c)アミノ化合物を添加したポリイミド樹脂の組成物を所定の形状に加工した後(例えば任意の基材に塗布した後やフィルム状に形成した後)に加熱すること、
等によって行うことができる。
(a)ポリイミド樹脂の合成(イミド化)に引き続き、アミノ化合物を添加して加熱すること、
(b)ジアミン成分として予め過剰量のアミノ化合物を仕込んでおき、ポリイミド樹脂の合成(イミド化)に引き続き、イミド化(若しくはアミド化)に関与しない残りのアミノ化合物とともにポリイミド樹脂を加熱すること、又は、
(c)アミノ化合物を添加したポリイミド樹脂の組成物を所定の形状に加工した後(例えば任意の基材に塗布した後やフィルム状に形成した後)に加熱すること、
等によって行うことができる。
上記(b)の場合、過剰のアミノ化合物は、ポリイミド樹脂の製造時における末端置換基として酸無水物基を封止する反応に消費され、生成するポリイミド樹脂の分子量が極端に低下することがあるので、硬化物において十分な耐熱性が得られにくい傾向がある。そのため、予め過剰量のアミノ化合物を仕込む場合[上記(b)]は、本発明の効果を損なわない範囲内において適宜用いることが好ましい。アミノ化合物における少なくとも2つの第1級アミノ基を有効にケトン基と反応させてC=N結合を形成させるためには、上記(a)又は(c)のように、アミノ化合物をポリイミド樹脂の合成(イミド化)を完了した後に添加することが好ましい。上記(c)の場合、加熱縮合は、例えばアミノ化合物とポリイミド樹脂とが混合した状態の組成物によってカバーレイフィルムの接着剤層を形成する際に行う熱処理の熱や、該接着剤層を形成した後、配線層を有する回路基板に熱圧着させる際の熱などを利用して行うこともできる。
[無機フィラー]
架橋ポリイミド樹脂は、任意の(C)成分として、平均粒径が2〜25μmの範囲内の板状の無機フィラーを含有することができる。(C)成分の無機フィラーを配合することによって、架橋ポリイミド樹脂を例えばカバーレイフィルムの接着剤層に利用する場合に、ガスバリア性を有する無機フィラーにより、大気中の酸素の透過が遮断される結果、銅配線の酸化と銅の拡散が抑制されて長期耐熱性を向上させることができる。
架橋ポリイミド樹脂は、任意の(C)成分として、平均粒径が2〜25μmの範囲内の板状の無機フィラーを含有することができる。(C)成分の無機フィラーを配合することによって、架橋ポリイミド樹脂を例えばカバーレイフィルムの接着剤層に利用する場合に、ガスバリア性を有する無機フィラーにより、大気中の酸素の透過が遮断される結果、銅配線の酸化と銅の拡散が抑制されて長期耐熱性を向上させることができる。
(C)成分の無機フィラーとしては、接着剤層に十分なガスバリア性を付与するために、板状のものを用いることが好ましい。ここで「板状」とは、例えば、扁平状、平板状、薄片状、鱗片状等を含む意味で用い、無機フィラーの厚みが、平面部分の長径又は短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。特に、鱗片状の無機フィラーを用いることが好ましい。別の観点から、「板状」はフィラー粒子の長径と厚みとの比(長径/厚み)が好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であるものを意味する。また、板状の無機フィラーは、上記長径と平均粒径との関係が、長径≧平均粒径>0.4×長径であることが好ましく、より好ましくは長径≧平均粒径≧0.5×長径であることがよい。なお、本発明においてフィラー粒子の長径(又は短径)及び厚み並びに長径と厚みとの比は、実体顕微鏡により任意10粒のフィラーを測定したときの平均値とする。無機フィラーの形状が板状でなく、例えば球状である場合には、接着剤層のガスバリア性が低下して配線層の酸化が進行し、カバーレイフィルムの接着強度が低下する場合があるが、板状フィラー配合の効果を損なわない範囲で、板状以外の形状の無機フィラーを配合することを妨げるものではない。
(C)成分の無機フィラーとしては、例えばタルク、マイカ、セリサイト、クレイ、カオリン等の絶縁性の無機フィラーを用いることが好ましい。
無機フィラーは、レーザー回折法により算出した平均粒径が2〜25μmの範囲内であることが好ましく、5〜20μmの範囲内であることがより好ましい。ここで、無機フィラーの粒径は、粒子の長手直径の平均値を基準とする。平均粒径が上記上限値を超えると、カバーレイフィルムの接着剤層の表面荒れが生じる傾向があり、上記下限値を下回ると、酸素透過を抑制する効果が得られにくい。
また、無機フィラーの粒度分布は、個数基準で、粒径10μm以下が好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、粒径20μm以上が10%以下であることが好ましい。粒径10μm以下の無機フィラーが60%未満であると、接着剤樹脂組成物をフィルム化した際に、フィラーが層状に並ばす、フィルム表面に突起が現れ、フィルム表面の荒れの原因となる。また、粒径20μm以上の無機フィラーが10%を超えると、フィルム表面に突起が現れ、フィルム表面の荒れの原因となり、例えば15μm以下の薄いフィルムを作製した際には、表面荒れの傾向になりやすい。また、無機フィラーの粒径の頻度分布は、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜70μmがより好ましい。頻度分布が、上記上限値を超えると、接着剤層の表面荒れが生じる傾向があり、上記下限値を下回ると、酸素透過を抑制する効果が得られにくい。
(C)成分の無機フィラーの配合量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜200重量部であり、好ましくは10〜150重量部であり、更に好ましくは30〜100重量部であり、望ましくは40〜80重量部である。上記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラーの配合量が5重量部未満では、配合の効果が得られず、酸素透過を抑制する効果が得られない。また、上記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラーの配合量が200重量部を超えると、接着剤層が脆弱となり、その結果として接着剤層での凝集破壊による強度低下が生じるため、見かけ上の接着性が著しく低下する。また、本発明において無機フィラーは、板状のものを用いるが、板状でない無機フィラーを併用することも可能である。板状でない無機フィラーを併用する場合には、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラー全体(板状およびその他形状の合計)の配合量が200重量部を超えないようにすることが好ましい。
[作用]
架橋ポリイミド樹脂おいて、上記(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基との反応は、脱水縮合反応である。つまり、ポリイミド樹脂中のケトン基の炭素原子と第1級アミノ基の窒素原子がC=N結合を形成する結果、鎖状のポリイミド樹脂がアミノ化合物によって架橋されて網目状の高分子を形成するものと考えられる。ポリイミド樹脂は分子間相互作用を生じにくいため、ポリイミド樹脂の配向制御は困難であるが、このような架橋構造が生じると、ポリイミド樹脂における見かけ上の高分子量化のみならず、ポリイミド樹脂の分子同士をある程度拘束することが可能になるので、ポリイミド樹脂の耐熱性が向上し、極めて優れた半田耐熱性が得られると考えられる。また、C=N結合における窒素原子近傍が立体的に嵩高くなることにより、ポリイミド樹脂に含まれる極性基の銅原子の求核能を低下させることによって、銅配線からの銅の接着剤層への拡散を抑制することができ、高温環境での使用における接着強度の低下を抑制する効果が得られるものと考えられる。このような理由により、アミノ化合物は、少なくとも2つのアミノ基を有する必要があり、アミノ基の数は好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3である。また、アミノ基を3つ以上有するアミノ化合物では、2つのアミノ基がC=N結合を形成した後の架橋構造体が立体的に嵩高くなるために、残りの未反応のアミノ基がケトン基と反応しにくくなることから、アミノ基の数は2であることが特に好ましい。さらに、上記のとおり接着剤樹脂組成物の硬化時間を短縮するという観点では、アミノ化合物としてジヒドラジド化合物を用いることが最も好ましい。
架橋ポリイミド樹脂おいて、上記(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基との反応は、脱水縮合反応である。つまり、ポリイミド樹脂中のケトン基の炭素原子と第1級アミノ基の窒素原子がC=N結合を形成する結果、鎖状のポリイミド樹脂がアミノ化合物によって架橋されて網目状の高分子を形成するものと考えられる。ポリイミド樹脂は分子間相互作用を生じにくいため、ポリイミド樹脂の配向制御は困難であるが、このような架橋構造が生じると、ポリイミド樹脂における見かけ上の高分子量化のみならず、ポリイミド樹脂の分子同士をある程度拘束することが可能になるので、ポリイミド樹脂の耐熱性が向上し、極めて優れた半田耐熱性が得られると考えられる。また、C=N結合における窒素原子近傍が立体的に嵩高くなることにより、ポリイミド樹脂に含まれる極性基の銅原子の求核能を低下させることによって、銅配線からの銅の接着剤層への拡散を抑制することができ、高温環境での使用における接着強度の低下を抑制する効果が得られるものと考えられる。このような理由により、アミノ化合物は、少なくとも2つのアミノ基を有する必要があり、アミノ基の数は好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3である。また、アミノ基を3つ以上有するアミノ化合物では、2つのアミノ基がC=N結合を形成した後の架橋構造体が立体的に嵩高くなるために、残りの未反応のアミノ基がケトン基と反応しにくくなることから、アミノ基の数は2であることが特に好ましい。さらに、上記のとおり接着剤樹脂組成物の硬化時間を短縮するという観点では、アミノ化合物としてジヒドラジド化合物を用いることが最も好ましい。
また、架橋ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂を合成する原料として脂肪族ジアミン、好ましくはダイマージアミンを用いることにより、シロキサンジアミンを使用しなくても、シロキサン構造を有するポリイミド樹脂と同等以上の柔軟性や熱に対する接着耐久性などの特性を得ることができる。このため、電子部品に悪影響を与える環状シロキサンの揮発がないシロキサンフリーの接着剤層を形成できる。なお、本発明では、ジアミン成分として、シロキサン構造を有するシロキサンジアミンを用いないことが好ましいが、その使用を完全に排除するものではない。例えば電子部品に悪影響を与えない程度の微量の揮発量に抑えることが可能であればジアミン成分として脂肪族ジアミンとともにシロキサンジアミンを併用してもよい。
[接着剤樹脂組成物]
接着剤樹脂組成物は、ケトン基を有するポリイミド樹脂[(A)成分]と、少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物[(B)成分]と、を必須成分として含有する。この接着剤樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分を混合もしくは混練させることにより、並びに/または(A)成分及び(B)成分を含有した状態で加熱することにより、前記ポリイミド樹脂のケトン基とアミノ化合物の第1級のアミノ基とが縮合反応してC=N結合を形成する性質を有する。すなわち、ポリイミド樹脂とアミノ化合物との縮合反応によって硬化物である架橋ポリイミド樹脂に変化する。接着剤樹脂組成物において、(A)成分の重量平均分子量は10,000〜200,000が好ましく、20,000〜150,000がより好ましい。(A)成分の重量平均分子量が10,000未満であると、接着剤樹脂組成物を溶液にした場合の流動性の制御が困難になり、また硬化物の耐熱性の低下が生じる傾向になる。一方、重量平均分子量が200,000を超えると、溶剤への可溶性を損なう傾向になる。
接着剤樹脂組成物は、ケトン基を有するポリイミド樹脂[(A)成分]と、少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物[(B)成分]と、を必須成分として含有する。この接着剤樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分を混合もしくは混練させることにより、並びに/または(A)成分及び(B)成分を含有した状態で加熱することにより、前記ポリイミド樹脂のケトン基とアミノ化合物の第1級のアミノ基とが縮合反応してC=N結合を形成する性質を有する。すなわち、ポリイミド樹脂とアミノ化合物との縮合反応によって硬化物である架橋ポリイミド樹脂に変化する。接着剤樹脂組成物において、(A)成分の重量平均分子量は10,000〜200,000が好ましく、20,000〜150,000がより好ましい。(A)成分の重量平均分子量が10,000未満であると、接着剤樹脂組成物を溶液にした場合の流動性の制御が困難になり、また硬化物の耐熱性の低下が生じる傾向になる。一方、重量平均分子量が200,000を超えると、溶剤への可溶性を損なう傾向になる。
接着剤樹脂組成物は、ケトン基1モルに対し、第1級アミノ基が合計で0.004モル〜1.5モル、好ましくは0.005モル〜1.2モル、より好ましくは0.03モル〜0.9モル、特に好ましくは0.04モル〜0.5モルとなるようにアミノ化合物を含有することができる。
また、接着剤樹脂組成物には、上記(A)成分のポリイミド樹脂、(B)成分のアミノ化合物の他に、任意成分として上記(C)成分の無機フィラーを含有することが好ましい。さらに必要に応じて、他の任意成分として可塑剤、エポキシ樹脂などの他の樹脂成分、硬化促進剤、カップリング剤、充填剤、顔料、溶剤、難燃剤などを適宜配合することができる。ただし、可塑剤には、極性基を多く含有するものがあり、それが銅配線からの銅の拡散を助長する懸念があるため、可塑剤は極力使用しないことが好ましい。
接着剤樹脂組成物に上記(C)成分以外の任意成分を配合する場合は、例えば、(A)成分のポリイミド樹脂100重量部に対し、任意成分の合計で1〜50重量部の配合量とすることが好ましく、2〜7重量部の配合量とすることがより好ましい。
以上のようにして得られる接着剤樹脂組成物は、これを用いて接着剤層を形成した場合に優れた柔軟性と熱可塑性を有するものとなり、例えばFPC、リジッド・フレックス回路基板などの配線部を保護するカバーレイフィルム用の接着剤として好ましい特性を有している。カバーレイフィルムの接着剤層として使用する場合、カバーレイ用フィルム材の片面に接着剤樹脂組成物を溶液の状態(例えば、溶剤を含有するワニス状)で塗布した後、例えば60〜220℃の温度で熱圧着させることにより、カバーレイ用フィルム材層と接着剤層を有するカバーレイフィルムを形成できる。この場合、熱圧着の際の熱を利用して(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基とを加熱縮合させることができる。また、熱圧着の際の加熱縮合が充分でない場合でも、熱圧着の後に更に熱処理を施して加熱縮合させることもできる。熱圧着後に熱処理を施す場合、熱処理温度は、例えば60〜220℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。また、任意の基材上に、接着剤樹脂組成物を溶液の状態(例えば、溶剤を含有するワニス状)で塗布し、例えば80〜180℃の温度で乾燥した後、剥離することにより、接着剤フィルムを形成し、この接着剤フィルムを、上記カバーレイ用フィルム材と例えば60〜220℃の温度で熱圧着させることによっても、カバーレイ用フィルム材層と接着剤層を有するカバーレイフィルムを形成できる。この場合も、熱圧着の際の熱を利用して(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基とを加熱縮合させることができる。以上のように、接着剤樹脂組成物は、(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基とが未反応の状態で種々の形態に加工して利用できる。更にまた、接着剤樹脂組成物は、任意の基材上に、スクリーン印刷により溶液の状態で被覆膜を形成し、例えば80〜180℃の温度で乾燥させて使用することもできる。好ましくは更に130〜220℃の温度で所定時間熱処理し、被覆膜を完全に硬化させることにより、硬化物を形成することもできる。
[カバーレイフィルム・ボンディングシート]
カバーレイフィルムは、カバーレイフィルム材と、該カバーレイフィルム材に積層された、上記接着剤樹脂組成物により構成される接着剤層とを備えている。カバーレイフィルムにおけるカバーレイ用フィルム材としては、限定する趣旨ではないが、例えばポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリイミド系樹脂フィルムや、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどを用いることができる。これらの中でも、優れた耐熱性を持つポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましい。カバーレイ用フィルム材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下が好ましい。また、接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば10μm以上50μm以下が好ましい。
カバーレイフィルムは、カバーレイフィルム材と、該カバーレイフィルム材に積層された、上記接着剤樹脂組成物により構成される接着剤層とを備えている。カバーレイフィルムにおけるカバーレイ用フィルム材としては、限定する趣旨ではないが、例えばポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリイミド系樹脂フィルムや、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどを用いることができる。これらの中でも、優れた耐熱性を持つポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましい。カバーレイ用フィルム材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下が好ましい。また、接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば10μm以上50μm以下が好ましい。
また、接着剤樹脂組成物をフィルム状に形成したものは、例えば多層FPCのボンディングシートとしても利用することができる。ボンディングシートとして用いる場合、任意の基材フィルム上に、接着剤樹脂組成物を溶液の状態で塗布し、例えば80〜180℃の温度で乾燥した後、剥離して得られる接着剤フィルムをそのままボンディングシートとして使用してもよいし、この接着剤フィルムを任意の基材フィルムと積層した状態で使用してもよい。ボンディングシートとして用いる場合も、熱圧着の際の熱を利用してポリイミド樹脂のケトン基とアミノ化合物の第1級アミノ基とを加熱縮合させることができるし、熱圧着の後に更に熱処理を施して加熱縮合させることもできる。
また、カバーレイフィルムやボンディングシートは、接着剤面に離型材を貼り合わせて離型材層を有する形態としてもよい。離型材の材質は、カバーレイフィルムやボンディングシートの形態を損なうことなく剥離可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、これらの樹脂フィルムを紙上に積層したものなどを用いることができる。
[回路基板]
回路基板は、以上のようにして得られるカバーレイフィルムやボンディングシートを備えている限り、その構成に特に制限はない。例えば、回路基板の好ましい形態は、少なくとも、基材と、基材上に所定のパターンで形成された銅などの金属からなる配線層と、該配線層を覆うカバーレイフィルムとを備えている。回路基板の基材としては、特に限定する趣旨ではないが、FPCの場合は、上記カバーレイ用フィルム材と同様の材質を用いることが好ましく、ポリイミド系樹脂製の基材を用いることが好ましい。
回路基板は、以上のようにして得られるカバーレイフィルムやボンディングシートを備えている限り、その構成に特に制限はない。例えば、回路基板の好ましい形態は、少なくとも、基材と、基材上に所定のパターンで形成された銅などの金属からなる配線層と、該配線層を覆うカバーレイフィルムとを備えている。回路基板の基材としては、特に限定する趣旨ではないが、FPCの場合は、上記カバーレイ用フィルム材と同様の材質を用いることが好ましく、ポリイミド系樹脂製の基材を用いることが好ましい。
回路基板は、カバーレイフィルムを用いることにより、優れた柔軟性と熱可塑性を有する接着剤層が配線間に充填され、カバーレイフィルムと配線層との高い密着性が得られる。
また、回路基板は、多層回路基板として構成してもよい。この場合、カバーレイフィルムだけでなく、ボンディングシートにも、接着剤樹脂組成物から得られる接着剤フィルムを用いることができる。
回路基板の製造は、特に限定されるものではないが、例えば銅張積層板などの金属張積層板の金属箔を化学エッチング等の方法で所定のパターンに回路加工した後、その回路上の必要な部分にカバーレイフィルムを積層し、例えば熱プレス装置などを用いて熱圧着する方法などを挙げることができる。この場合、圧着条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度は好ましくは130℃以上220℃以下、より好ましくは140℃以上200℃以下、圧力は0.1MPa以上4MPa以下とすることが好ましい。なお、カバーレイフィルムの状態で、(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級アミノ基とが未反応である場合は、カバーレイフィルムを回路配線に熱圧着させる際の熱を利用して縮合反応を起こさせることができる。すなわち、カバーレイフィルムの接着剤層が配線層に当接するように配置し、両部材を熱圧着する工程と同時に、接着剤層中に含まれる(A)成分のポリイミド樹脂のケトン基と(B)成分のアミノ化合物の第1級のアミノ基とを縮合反応させてC=N結合を形成させることが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[接着強度の測定]
接着強度は、幅10mm、長さ100mmに切り出した試験片の接着剤面を銅箔(35μm厚み)の光沢面(防錆金属を除去したもの)の上に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間6時間の条件で加熱(但し、参考例7については、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間24時間の条件で加熱)した後、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ−M1)を用いて、180°方向に50mm/分の速度で引き剥がす時の力を接着強度とする。
接着強度は、幅10mm、長さ100mmに切り出した試験片の接着剤面を銅箔(35μm厚み)の光沢面(防錆金属を除去したもの)の上に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間6時間の条件で加熱(但し、参考例7については、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間24時間の条件で加熱)した後、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ−M1)を用いて、180°方向に50mm/分の速度で引き剥がす時の力を接着強度とする。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC−8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC−8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた。
[反りの評価方法]
反りの評価は、以下の方法で行った。厚さ25μmのカプトンフィルム上に乾燥後の厚さが35μmになるようにポリイミド接着剤を塗布した。この状態でカプトンフィルムが下面になるように置き、フィルムの4隅の反り上がっている高さの平均を測定し、5mm以下を「良」、5mmを超える場合を「不可」とした。
反りの評価は、以下の方法で行った。厚さ25μmのカプトンフィルム上に乾燥後の厚さが35μmになるようにポリイミド接着剤を塗布した。この状態でカプトンフィルムが下面になるように置き、フィルムの4隅の反り上がっている高さの平均を測定し、5mm以下を「良」、5mmを超える場合を「不可」とした。
本実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸無水物(別名;5,5’−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)
BAPP:2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
BAFL:ビスアニリンフルオレン
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、アミン価;205mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマージアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
N−12:ドデカン二酸ジヒドラジド
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
K−1:タルク(日本タルク株式会社製、商品名;MICRO ACE K−1、形状;鱗片状、平均長径;7.0μm、平均短径;5.8μm、長径と厚みとの比;15以上、平均粒子径;6.6μm、メジアン径(D50);6.9μm、最大粒子径;64.9μm、最小粒子径;0.5μm、最頻径;8.7μm、粒径10μm以下の積算粒子量;77%、粒径20μm以上の積算粒子量;5%)
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸無水物(別名;5,5’−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)
BAPP:2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン
BAFL:ビスアニリンフルオレン
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、アミン価;205mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマージアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
N−12:ドデカン二酸ジヒドラジド
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
K−1:タルク(日本タルク株式会社製、商品名;MICRO ACE K−1、形状;鱗片状、平均長径;7.0μm、平均短径;5.8μm、長径と厚みとの比;15以上、平均粒子径;6.6μm、メジアン径(D50);6.9μm、最大粒子径;64.9μm、最小粒子径;0.5μm、最頻径;8.7μm、粒径10μm以下の積算粒子量;77%、粒径20μm以上の積算粒子量;5%)
参考合成例1
3000mlのセパラブルフラスコに、111.96gのBTDA(0.347モル)、188.04gのDDA(0.347モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液aを得た。得られたポリイミド溶液aにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は75,700であった。
3000mlのセパラブルフラスコに、111.96gのBTDA(0.347モル)、188.04gのDDA(0.347モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液aを得た。得られたポリイミド溶液aにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は75,700であった。
参考合成例2
3000mlのセパラブルフラスコに、105.66gのBPDA(0.359モル)、194.34gのDDA(0.359モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液bを得た。得られたポリイミド溶液bにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は60,100であった。
3000mlのセパラブルフラスコに、105.66gのBPDA(0.359モル)、194.34gのDDA(0.359モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液bを得た。得られたポリイミド溶液bにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は60,100であった。
実施例1
3000mlのセパラブルフラスコに、63.51gのBTDA(0.197モル)、61.14gのODPA(0.197モル)、106.66gのDDA(0.197モル)、68.67gのBAFL(0.197モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液cを得た。得られたポリイミド溶液cにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は68,600であった。
3000mlのセパラブルフラスコに、63.51gのBTDA(0.197モル)、61.14gのODPA(0.197モル)、106.66gのDDA(0.197モル)、68.67gのBAFL(0.197モル)、420gのN−メチル−2−ピロリドン及び280gのキシレンを装入し、40℃で1時間良く混合して、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、80gのN−メチル−2−ピロリドン及び200gのキシレンを加えてイミド化を完結したポリイミド溶液cを得た。得られたポリイミド溶液cにおける固形分は29.5重量%であり、ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は68,600であった。
参考合成例1、2及び実施例1の結果を表1にまとめた。
[参考例1]
参考合成例1で得られたポリイミド溶液aの169.49g(固形分として50g)に3.5gのN−12(0.014モル)及び25gのK−1を配合し、20.07gのN−メチル−2−ピロリドンを加えて希釈し、更に1時間攪拌することでポリイミド溶液1を得た。
参考合成例1で得られたポリイミド溶液aの169.49g(固形分として50g)に3.5gのN−12(0.014モル)及び25gのK−1を配合し、20.07gのN−メチル−2−ピロリドンを加えて希釈し、更に1時間攪拌することでポリイミド溶液1を得た。
得られたポリイミド溶液1をポリイミドフィルム(デュポン社製、商品名;カプトンENS、縦×横×厚さ=200mm×300mm×25μm)の片面に塗布し、80℃で15分間乾燥を行い、接着剤層厚さ25μmのカバーレイフィルム1とした。このカバーレイフィルム1を表面の防錆金属層を除去した銅箔上に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間6時間の条件で加熱し、評価サンプル1を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.5kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、評価サンプル1における接着剤層の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、1673cm−1付近にBTDA由来のケトン基の吸収が減少していることが確認され、更に1635cm−1付近にイミン基の吸収が確認された。
さらに、ポリイミドフィルムの両面に銅により回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例1で得られたカバーレイフィルム1をプリント基板の回路面に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間6時間の条件で加熱し、カバーレイフィルムを備えた配線基板1を得た。
[参考例2]
参考例1における25gのK−1を配合したことの代わりに、K−1を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液2を得たのち、カバーレイフィルム2を得、評価サンプル2を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.8kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1における25gのK−1を配合したことの代わりに、K−1を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液2を得たのち、カバーレイフィルム2を得、評価サンプル2を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.8kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例2で得られたカバーレイフィルム2をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板2を得た。
[参考例3]
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、2.0gのN−12(0.008モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液3を得たのち、カバーレイフィルム3を得、評価サンプル3を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.4kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、2.0gのN−12(0.008モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液3を得たのち、カバーレイフィルム3を得、評価サンプル3を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.4kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例3で得られたカバーレイフィルム3をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板3を得た。
[参考例4]
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、1.0gのN−12(0.004モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液4を得たのち、カバーレイフィルム4を得、評価サンプル4を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.5kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、1.0gのN−12(0.004モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液4を得たのち、カバーレイフィルム4を得、評価サンプル4を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.5kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例4で得られたカバーレイフィルム4をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板4を得た。
[参考例5]
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、5.0gのN−12(0.019モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液5を得たのち、カバーレイフィルム5を得、評価サンプル5を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.4kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、5.0gのN−12(0.019モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液5を得たのち、カバーレイフィルム5を得、評価サンプル5を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.4kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例5で得られたカバーレイフィルム5をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板5を得た。
[参考例6]
参考例1におけるポリイミド樹脂aの代わりに、実施例1で得られたポリイミド樹脂cを使用したこと、及び3.5gのN−12を配合したことの代わりに、0.9gのN−12(0.003モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液6を得たのち、カバーレイフィルム6を得、評価サンプル6を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.0kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1におけるポリイミド樹脂aの代わりに、実施例1で得られたポリイミド樹脂cを使用したこと、及び3.5gのN−12を配合したことの代わりに、0.9gのN−12(0.003モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液6を得たのち、カバーレイフィルム6を得、評価サンプル6を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.0kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例6で得られたカバーレイフィルム6をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板6を得た。
[参考例7]
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、5.0gのBAPP(0.012モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液7を得た。カバーレイフィルム7を得た。このカバーレイフィルム7を表面の防錆金属層を除去した銅箔上に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間24時間の条件で加熱し、評価サンプル7を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.3kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、5.0gのBAPP(0.012モル)を配合したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液7を得た。カバーレイフィルム7を得た。このカバーレイフィルム7を表面の防錆金属層を除去した銅箔上に置き、温度170℃、圧力1MPa、時間1分の条件でプレスし、その後オーブンにて温度150℃、時間24時間の条件で加熱し、評価サンプル7を得た。硬化後の銅箔との接着強度は1.3kN/mであった。また、カバーレイフィルムの反りも問題なかった。
さらに、参考例1と同様にして、回路{配線幅/配線間隔(L/S)=25μm/25μm}が形成されたプリント基板を用意し、参考例7で得られたカバーレイフィルム7をプリント基板の回路面に置き熱圧着して、カバーレイフィルムを備えた配線基板7を得た。
参考例8
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、N−12を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例1における3.5gのN−12を配合したことの代わりに、N−12を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例9
参考例1におけるポリイミド溶液aの代わりに、参考合成例2で得られたポリイミド溶液bを使用したこと、及び3.5gのN−12を配合したことの代わりに、N−12を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例1におけるポリイミド溶液aの代わりに、参考合成例2で得られたポリイミド溶液bを使用したこと、及び3.5gのN−12を配合したことの代わりに、N−12を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例10
参考例1におけるポリイミド溶液aの代わりに、参考合成例2で得られたポリイミド溶液bを使用したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例1におけるポリイミド溶液aの代わりに、参考合成例2で得られたポリイミド溶液bを使用したこと以外は、参考例1と同様にして、ポリイミド溶液を得たのち、カバーレイフィルムを得、評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、参考例1と同様にして評価した。
参考例1〜参考例10の結果をまとめて表2、表3に示した。なお、表2、表3中のモル比は、ポリイミド樹脂中のケトン基1モルに対するアミノ化合物中の第1級アミノ基の合計のモル比を意味する。
表2及び表3より、(A)成分のポリイミド樹脂と(B)成分のアミノ化合物との反応によって得られた架橋ポリイミド樹脂を接着剤に用いた参考例1〜7のカバーレイフィルムは、いずれも銅箔との接着強度が十分なものであった。また、参考例1〜7のカバーレイフィルムは、架橋ポリイミド樹脂中にシロキサン骨格を含まないため、環状シロキサンの揮発の問題を考慮する必要がないものであった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、上記実施の形態では、架橋ポリイミド樹脂の用途として、FPCなどの回路基板のカバーレイフィルムやボンディングシート用の接着剤を例に挙げたが、上記以外の用途、例えばテープオートメーティッドボンディング(TAB)、チップサイズパッケージ(CSP)等における接着用樹脂の形成にも利用できる。
Claims (4)
- カバーレイフィルムの接着剤層又はボンディングシートの接着剤層を形成するための接着剤用原料ポリイミド樹脂であって、
重量平均分子量が20,000〜150,000の範囲内であり、下記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するものである接着剤用原料ポリイミド樹脂。
- 前記ダイマー酸から誘導される脂肪族ジアミンが、炭素数36の脂肪族ジアミンである請求項1に記載の接着剤用原料ポリイミド樹脂。
- カバーレイ用フィルム材と接着剤層とが積層されたカバーレイフィルムであって、
前記接着剤層が、請求項1又は2に記載の接着剤用原料ポリイミド樹脂を含むことを特徴とするカバーレイフィルム。 - 基材フィルムと接着剤層とが積層されたボンディングシートであって、
前記接着剤層が、請求項1又は2に記載の接着剤用原料ポリイミド樹脂を含むことを特徴とするボンディングシート。
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