JP2017132951A - 6価クロム処理剤を用いた革または革製品の製造方法および6価クロム処理剤を用いた革または革製品 - Google Patents

6価クロム処理剤を用いた革または革製品の製造方法および6価クロム処理剤を用いた革または革製品 Download PDF

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Abstract

【課題】革の製造過程において、外観を変化させずに6価クロム処理剤により革を処理できる革の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の革の製造方法は、皮に対してクロムなめしを行って革を得るクロムなめし工程と、該革の銀面に仕上げ処理を行う仕上げ工程とを含む革の製造方法であって、さらに、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、6価クロム処理剤の基準量Aを求める基準量確定工程と、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、(i)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で2回以上塗布する(塗布量の合計は上記基準量A以上である。)などの6価クロム処理工程とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、6価クロム処理剤を用いた革または革製品の製造方法および6価クロム処理剤を用いた革または革製品に関する。
革製品は時計用バンドやハンドバックなどさまざまな製品に使用されている。特に時計バンドやハンドバックは革の外観が商品価値を高め、消費者の満足度を高めている。また、このような商品では、革は直接肌に触れる構造をしており、革が肌に触れる感触が製品の付加価値を更に高めていることはいうまでもない。
このような革製品を製造するには、革の大きなシートをはじめに製造することが必要である。革を製造するには、ワニや牛など革製品に使用したい動物の皮を得る。このままでは耐久性に劣り使用できないので、これになめし処理を施す。この処理により耐熱性や耐久性が付与され、皮から革が製造される。こうして得られた革について、好みの色に着色したり、表面の形を整えたりして革のシートを得る。これを用いて革製品にするには、使用する形状に切り、芯材等に接着剤を使用して貼り付けるなどして加工する。このような革製品の製造は古来行われている手法で広く一般に知られている。
なめしは、皮を処理して耐久性のある革を得る方法で、植物から採取されるタンニンが用いられた時代もあったが、この処理では耐熱性、柔軟性、弾力性が不十分である。このため最近では、クロムなめし剤(塩基性硫酸クロム)を用いる耐熱性、柔軟性、弾力性が高いクロムなめしが主流となっている。クロムなめし法は、世界的比率が90%を超え、最大の経済的重要性を有する。水和クロム錯体がコラーゲンペプチド骨格のグルタミン酸およびアスパラギン酸のカルボキシル基の間に埋め込まれることにより、耐久性があり柔らかい皮革が得られる。クロムなめしの方法は公知で幅広く知られており、たとえば、非特許文献1に解説がされている。
耐熱性、柔軟性、弾力性に優れる高品質な皮革または革製品は、通常、クロムなめしを行うことにより得られる。クロムなめしを行うためのクロムなめし剤の中にはクロムを含有しており、これを用いてなめし処理を施した皮革または革製品中には結果として、多量のクロムが残留する。
クロムなめし剤のクロムは3価であるが、皮革または革製品の製造工程で加熱や接着などにより6価に酸化されることがある。また、クロムなめし剤に不純物として混入している6価クロムが、皮革または革製品に混入することもある。このような皮革または革製品の製造工程から含まれる6価クロムの他に、皮革または革製品中の3価クロムが、たとえば、光、熱、高温多湿などにより酸化されて生成する6価クロムも存在する。なお、6価クロムの存在は測定試験により確認できる。3価のクロムは無害であるが、6価のクロムは有害であり、皮膚や粘膜に接触すると、肌荒れやアレルギーなどを発症させ、重度であると皮膚炎や腫瘍の原因となり得る。このように人体に対する影響が大きい。また、6価クロムは少量であっても、発がん性、変異原性、生殖毒性の全ての有害性リスクを持っているとされ、その毒性から使用禁止物質としても扱われている。
そこで、皮革または革製品における6価クロムのEU規制が、欧州連合官報に規則(EU)番号3014/2014(Regulations(EU)、No 3014/2014)として2014年3月26日に公表された。該Regulationsによると、2015年5月1日より、革製品および肌に接触する部分に革が含まれる製品について、人体への影響(特に皮膚への刺激性)を考慮して、革および革部分の全乾燥重量中に、3mg/kg(3ppm)以上の酸化クロム(VI)を含む革製品が、規制されることになった。なお、該Regulationsには、皮革または革製品中の6価クロムの定量法として、EN ISO 17075標準法が現在利用できる国際的な唯一の分析法と記載されている(Regulationsの(6))。
これに対して、特許文献1の実施例2には、なめし処理された皮革に、アスコルビン酸の水溶液を滴下して、該皮革に含まれる6価クロムを無害化したことが記載されている。
特開2008−231388号公報
特定非営利活動法人 日本皮革技術協会、"皮革の知識"、[online]、[平成27年12月14日検索]、インターネット<URL:http://www.hikaku-kyo.org/htdoc/hikakunochisiki-04.htm>
ところで、アスコルビン酸など6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤によって革を処理する際には、革の外観が変化する場合があった。
そこで、本発明の目的は、革の製造過程において、外観を変化させずに6価クロム処理剤により革を処理できる革の製造方法を提供することにある。
本発明の革の製造方法は、皮に対してクロムなめしを行って革を得るクロムなめし工程と、該革の銀面に仕上げ処理を行う仕上げ工程とを含む革の製造方法であって、さらに、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、該仕上げ処理された革の銀面の裏面に、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を濃度a(質量%)で含む6価クロム処理剤を塗布して、仕上げ処理された銀面に6価クロム処理剤がしみ出しはじめるまでの6価クロム処理剤の基準量A(革1m2あたりの量(mL))を求める基準量確定工程と、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、(i)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で2回以上塗布するか(塗布量の合計は上記基準量A以上である。)、(ii)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)を超える濃度で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で1回以上塗布する、6価クロム処理工程とを含むことを特徴とする。
本発明の革の製造方法によれば、革の製造過程において、外観を変化させずに6価クロム処理剤により革を処理できる。
<革の製造方法>
本発明の革の製造方法は、クロムなめし工程と仕上げ工程とを含む。
クロムなめし工程は、皮に対してクロムなめしを行って革を得る工程である。この工程に用いる皮としては、特に限定されず、牛皮、羊皮、やぎ皮、豚皮、馬皮、シカ皮、カンガルー皮、ダチョウ皮、トリ皮、魚の皮などが挙げられる。さらに、カメ目ウミガメ科に属するウミガメ、トカゲ亜目オオトカゲ科に属するオオトカゲ、トカゲ亜目テーイッド科に属するデグー、ヘビ亜目ボア科に属するアミメニシキヘビ、インドニシキヘビ、ヘビ亜目ウミヘビ科に属するウミヘビ、エラブウミヘビ、ヘビ亜目ヘビ科に属するミズヘビ、ワニ目クロコダイル科に属するニューニギアワニ、ワニ目アリゲーター科に属するミシシッピーワニ、カイマンなどの爬虫類の皮が挙げられる。また、クロムなめしは、通常の方法により行うことができる。
仕上げ工程としては、グレージング処理、ラッカー処理などが挙げられる。グレージング処理は、たとえばメノウまたはガラスなどを使用して革の銀面を磨き、艶を出す処理である。ラッカー処理は、たとえば樹脂および溶剤からなる組成物を塗布し、溶剤を蒸発させ、樹脂の膜を形成して光沢を出す処理である。
本発明の革の製造方法は、さらに基準量確定工程と6価クロム処理工程とを含む。ここでは、クロムなめし後に革に含まれ得る6価のクロムを3価のクロムにする。6価クロム処理工程では、方法(i)または(ii)によって6価クロム処理剤を塗布するが、これにより革がその効用および目的を達するまで、通常、6価クロム量が規則(EU)番号3014/2014による規制値未満の状態を保てる。また、6価クロム処理工程では、方法(i)または(ii)によって6価クロム処理剤を塗布するが、1回の塗布では仕上げ処理された革の銀面まで到達しない量を用いるため、6価クロム処理剤によって革の外観を変化させることはない。なお、6価クロム処理剤の塗布後時間がたつにつれて、たとえば引き続いて行われる革または革製品の製造過程が進むにつれて、6価クロム還元化合物は、革の銀面に向かって徐々に拡散していくと考えられる。最終的に拡散が進んで平衡に達しても、革の外観を変化させることはないと考えられる。
本発明に用いる革の上記例示の中でも爬虫綱ワニ目に属する動物(ワニ)の革は高級であり、デリケートな外観を有しており、またグレージング処理されることが多い。このため、基準量確定工程と6価クロム処理工程とを含む本発明の革の製造方法は、ワニ革に対してより好ましく用いられ、グレージング処理されたワニ革に対して特に好ましく用いられる。
以下に、基準量確定工程および6価クロム処理工程についてさらに詳しく説明する。
<基準量確定工程>
基準量確定工程では、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を濃度a(質量%)で含む6価クロム処理剤を用いる。
〔6価クロム処理剤〕
6価クロム処理剤は、6価クロム還元化合物と溶媒とを含む。
(6価クロム還元化合物)
上記6価クロム処理剤に含まれる6価クロム還元化合物は、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る化合物である。
このような6価クロム還元化合物として、特許文献1に記載されたアスコルビン酸の他、本発明者が提案した化合物(国際出願PCT/JP2015/71509(国際出願日:平成27年7月29日))が挙げられる。以下に、本発明者が提案した6価クロム還元化合物について説明する。
上記6価クロム還元化合物は、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る化合物であり、たとえば、少なくとも、6価クロムと作用して3価に還元性を有する(3価に還元する性能を有する)C原子、O原子、H原子とからなり、3つの炭素間に1重結合と、2重結合を有し、中心の炭素に水酸基を有する下記式(1)に示される有機化合物(A)が挙げられる。式(1)に示される構造は、6価クロムと作用して3価に還元性を有する。
Figure 2017132951
式(1)中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C、H、Oで構成される置換基(C、Hおよび必要に応じてOで構成される置換基)で、不飽和結合のカルボニル基を含むことが好ましいが、アルデヒド基、カルボキシル基といった反応性の官能基は有しない。また、アミン基、イソシアネート基などの窒素含有基、硫酸基などの硫黄含有基などの官能基も有しないことが好ましい。R1またはR2と、R3、R4またはR5のいずれかとは、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(1)に示される構造を有する化合物は、環式炭化水素であってもよく、さらに単環または縮合環で構成される芳香族炭化水素であってもよい。なお、芳香族炭化水素である場合、π結合は実際は式(1)の炭素1、炭素2の間の二重結合の部分にとどまらず、非局在化している。また、環式炭化水素または芳香族炭化水素は、置換基を有していてもよい。
該有機化合物(A)は、式(1)に示される構造およびヒドロキシル基を有し、かつ、その構造中に、アルデヒド基およびカルボキシル基といった反応性の官能基を有しないことが好ましい。
また、該6価クロム還元化合物として、該有機化合物(A)に加えて、6価クロムと作用して3価に還元性を有する式(1)に示される構造を有し、かつ、ヒドロキシフェニル基、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない有機化合物(B)を含むことが好ましい。また、アミン基、イソシアネート基などの窒素含有基、硫酸基などの硫黄含有基などの官能基も有しないことが好ましい。
有機化合物(A)または(B)としては、たとえば、下記化合物(式(2)〜(14))およびその誘導体が挙げられる。本発明では、これらの混合物を用いることも好ましい。
Figure 2017132951
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なお、上記式(2)〜(12)、(14)における炭素2が、たとえば上記式(1)の炭素2に対応している。
6価クロム還元化合物は、有害な6価クロムに作用して、無害な化合物に化学変化をさせる有機化合物である。この化合物はたとえば6価のクロムを還元して3価のクロムとして無害化ができる。
一般に還元剤は、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、水素化ジブチルアルミニウム、シュウ酸、ギ酸などが知られている。これらの代表的還元剤を用いた場合、種々の問題がある。
水素化アルミニウムリチウムを用いた場合、薬剤は粉末状の強い還元剤であるが、水と激しく反応し水素を発生するため引火性を伴い危険である。革または革製品は、通常、皮膚(汗)に触れることや、雨などに晒されることが多いため、このような引火性物質は使用に耐えない。
水素化ホウ素ナトリウムを用いた場合、薬剤はやや吸湿性があり水分により分解しやすいので、密栓して保存しなければならない。汗や雨等の水分により生成した水溶液は、薬剤が分解生成物のため、強い塩基性を示す。そのため、皮膚(肌)や粘膜などに悪影響する。酸性および中性条件で分解して水素を発生するため、アルカリ溶液中で保存しなければならないため、革または革製品中に含有させることができない。水で分解し水素を発生するため、取り扱いも困難である。
ヒドラジンは、アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体であり、空気に触れると白煙を生じるので使用に耐えない。水に易溶で、強い還元性を持ち、分解しやすく引火性があるので取り扱いも困難である。
水素化ジブチルアルミニウムを用いた場合、薬剤は無色液体だが、湿気に弱いため、不活性ガス雰囲気下で保存・使用することになるので一般の大気中で活用することは困難である。
シュウ酸を用いた場合には、薬剤は体内で血液中のカルシウムイオンと強く結合するため毒性があり、毒物および劇物取締法により医薬用外劇物に指定されている。このような毒物を革または革製品に使用することは目的に合わず使用に耐えない。
ギ酸を用いた場合には、液体のギ酸溶液や蒸気は皮膚や目に対して有害であり、特に目に対して回復不能な障害を与えてしまう場合もある。また、吸入すると肺水腫などの障害を与えることがあるため使用には耐えない。この他、慢性的な曝露により肝臓や腎臓に悪影響を及ぼすと考えられていること、アレルギー源としての可能性も考えられていることから本発明の目的に合わず使用に耐えない。
このようなことから本出願人は、革または革製品に使用できる6価クロム還元化合物を種々鋭意調査実験し、目的に見合った化合物を見出した。
6価クロム還元化合物として含まれる有機化合物(A)および(B)は、6価クロムの処理機能がありこれを無害化する基本性能はもとより、これで処理した革または革製品が皮膚に触れた状態で、肌荒れ等の影響を及ぼさないことと、有毒性を有しないものである。また、(A)および(B)は、それぞれの還元性によっても互いに分解を引き起こさず、また、反応せず互いに干渉し得ない化合物であることが、好ましい。該有機化合物としては、上記化学式(1)に示される基本骨格を有する化合物が好ましく、C、H、Oの原子からなる安定なものが好ましい。
上記化学式(1)に示される構造を有する該有機化合物には、アルデヒド基、カルボキシル基といった官能基を有しない。また、アミン基、イソシアネート基などの窒素含有基、硫酸基などの硫黄含有基などの官能基も有しないことが好ましい。このような官能基は反応性があるので革または革製品を使用中に予期しない反応をする恐れがあるため、6価クロム還元化合物には適さない。該有機化合物は、6価クロムに作用して6価として検出されない化合物を生成し、6価クロムを無害化することができる。
(有機化合物(A))
有機化合物(A)は、上記化学式(1)に示される構造およびたとえば下記化学式(15)に示すヒドロキシフェニル基を有する。該官能基を有することで、革中において、即効性もあり、長く安定して滞留し、長期にわたり還元作用を有し、耐熱性に優れる。それゆえ、長期にわたり、6価クロムの生成が抑制される。また、革に含まれることで、汗や雨などの水分によっても分解されにくい。このような優れた効果を有する理由については定かではないが、なめしによって、通常、皮の主成分であるコラーゲンは化学的に架橋され安定化されている。有機化合物(A)が有するヒドロキシフェニル基が、特に、該コラーゲンとの相互作用が高いため長く保持される一方で、該コラーゲンに完全に取り込まれず、海島構造の島部分のようになり、還元性を有するほどの自由度をもって取り込まれているためと推測している。有機化合物(A)としては、革に用いるため、安全性が高く、環境への負荷が少ない化合物が好ましい。
Figure 2017132951
化学式(15)中、Raは、一価の基または二価の基である。一価の基としては、水素原子、炭化水素基または酸素含有基が挙げられる。二価の基としては、二価の炭化水素基または二価の酸素含有基が挙げられる。この中でも、水素原子、一価の炭化水素基、二価の炭化水素基またはヒドロキシル基であることが、革中に対してより相溶性を得ることができるため、好ましい。Raは、それぞれ独立であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、Raは、隣接する基が互いに結合して芳香環や脂肪族環を形成していてもよい。また、Raが、他のヒドロキシフェニル基のRaと結合していてもよい。Raの全てが同時に水素原子ではないことが好ましく、革中にて、より即効性があり、安定して長期にわたってより良好な還元性を示すことから、化学式(15)で表される基は、ジヒドロキシフェニル基またはトリヒドロキシフェニル基がより好ましく、1,2,3−トリヒドロキシフェニル基がより好ましい。
炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール(aryl)基あるいは置換アリール(aryl)基などが挙げられる。たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル(allyl)基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンジル基、クミル基を挙げることができ、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基などの酸素含有基を含むものも炭化水素基(たとえば、アルコキシル基)として挙げられる。また、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)を含むものも炭化水素基として挙げられる。
酸素含有基としては、ヒドロキシル基が挙げられる。
有機化合物(A)としては、たとえば、上記化学式(2)〜(12)および(14)、
フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−tert−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、チモール、イソチモール、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、
1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、
1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン等のテトラヒドロキシナフタレン、
3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、9−ヒドロキシアントラセン、1−ヒドロキシピレン、1−ヒドロキシフェナントレン、9−ヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールフルオレン、フェノールフタレイン、
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、
カテコール系タンニン、ピロガロール系タンニン、五倍子タンニン、没食子酸タンニン、フロロタンニンなどのタンニン類、
アントシアニン、ルチン、クエルセチン、フィセチン、ダイゼイン、ヘスペレチン、ヘスピリジン、クリシン、フラボノー、ヘスペレチンなどのフラボノイド類、
カテキン、ガロカテキン、カテキンガラート、エピカテキン、エピカロカテキン、エピカテキンガレート、エピカロカテキンガレート、プロシアニジン、テアフラビンなどのカテキン類、
クルクミン、リグナン、
ロドデンドロール[4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノール]、
アセチルロドデンドロール、ヘキサノイルロドデンドロール、オクタノイルロドデンドロール、ドデカノイルロドデンドロール、テトラデカノイルロドデンドロール、ヘキサデカノイルロドデンドロール、オクタデカノイルロドデンドロール、4−(3−アセトキシブチル)フェニルアセテート、4−(3−プロパノイルオキシブチル)フェニルプロパノエート、4−(3−オクタノイルオキシブチル)フェニルオクタノエート、4−(3−パルミトイルオキシブチル)フェニルパルミテート等のアシル化ロドデンドロール、
4−(3−メトキシブチル)フェノール、4−(3−エトキシブチル)フェノール、4−(3−オクチルオキシブチル)フェノール等のロドデンドロールアルキルエーテル体、
ロドデンドロール−D−グルコシド(αまたはβ体)、ロドデンドロール−D−ガラクトシド(αまたはβ体)、ロドデンドロール−D−キシロシド(αまたはβ体)、ロドデンドロール−D−マルトシド(αまたはβ体)等のロドデンドロール配糖体等、
αトコフェロール、βトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロールなどを挙げることができる。
また、これらの誘導体、たとえば、アルコキシル基を有する化合物、エステル化物なども挙げられる。具体的には、たとえば、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジエチルエーテル、5−プロピルピロガロール−1−メチルエーテルなどが挙げられる。
有機化合物(A)としては、たとえば、上記化学式(2)に示した構造(1,2,3−Trihydoroxybenzene骨格)の化合物やその誘導体が有る。このような化合物は6価クロムの除去機能を有する。
この誘導体としては上記化学式(2)に示した化合物の4,5,6位に、炭化水素基または酸素含有基などの置換基を有するものがある。好ましい置換基としては、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数1〜20のエステル化物、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数1〜10のエステル化物が挙げられる。これらの基については、上記に記載の通りである。なお、後述の化合物の誘導体についても同様である。たとえば、上記化学式(3)に示した化合物などの没食子酸のエステルや、上記化学式(2)の構造を1分子中に複数有する上記化学式(4)に示した化合物や該化合物の誘導体などがある。カテコール系タンニン、ピロガロール系タンニン、五倍子タンニン、没食子酸タンニン、フロロタンニンなどのタンニン類などが挙げられる。
このように、4,5,6位に導入する置換基は、それぞれの使用法にあった置換基を導入することができる。たとえば、エステル系の溶媒に溶かして使用する場合にはエステル基を導入し相溶性を高めることもできる。
本発明において、上記有機化合物(A)として、(i)没食子酸のエステルと、(ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことが好ましく、(i)没食子酸のエステルと、(ii)タンニン酸を含むことがより好ましい。
没食子酸のエステルは、分子量が比較的小さいため、革からブリードし易いと考えられるが、タンニン酸の部分構造を有するため、還元力を維持しながら、タンニン酸およびその誘導体と好適に相互作用し、ブリードし難くなる。革中においても還元力があり、即効性が高い。還元力はアスコルビン酸ほどではないが、タンニン酸より還元力が高いため、アスコルビン酸が分解し還元力を喪失した後においても、長期にわたり還元力を発揮する(のちに6価へ酸化されたクロムイオンを再度還元することができる)。没食子酸のエステルは、革中において、汗や雨などの水分に対しても強く、分解されにくい。
タンニン酸およびその誘導体は、嵩高く、そもそもなめし処理に用いられるように、革中のコラーゲンなどに対して親和性がよいためブリードし難く、革中において長期にわたり還元力を維持できる。それゆえ、より長期にわたり、6価クロムの生成を抑制することができる。また、タンニン酸およびその誘導体は、ヒト(皮膚)に対して、低刺激性であるため、安全性が高い。還元力は、アスコルビン酸および没食子酸のエステルに比べて遅行性であるが、革と親和性が良く、分解されにくいため、アスコルビン酸および没食子酸のエステルに比べて、革製品がその効用および目的を達するまで還元力を維持することができる。
それゆえ、これらの化合物を含むと、革への浸透性が高く、長く革中に滞留でき、長期にわたり安定して還元することができる。さらに、ポリフェノール類は、還元性が強いため、褐変や色落ちが懸念されるが、これらの化合物は、色落ちの前に、革中に取り込まれるため、退色や変色し難く、革の色味や風合いを損なうおそれが少ないため、好ましい。
また、上記化学式(2)では、1位、2位、3位に水酸基を有しているが、同様に1位、2位、4位に水酸基が導入された骨格(上記化学式(5))、1位、3位、5位に水酸基が導入された骨格(上記化学式(6))の化合物についても同様の効果がある。また、誘導体についても同様の効果がある。
また、上記化学式(2)では1つの芳香族環に3つの水酸基が導入されているが、1つの水酸基を有する化合物または2つの水酸基を有する化合物についても同様に6価クロム除去機能を有する。この様な骨格としてはたとえば、フェノール、BHT、上記化学式(7)、上記化学式(8)、上記化学式(9)の化合物およびその誘導体がある。
芳香族環を複数結合した化合物に水酸基を有する化合物も同様の効果を有している。ナフタレン環に1つまたは、複数の水酸基を有するものなどが挙げられる。たとえば2つの水酸基を有する化合物としては上記化学式(10)、上記化学式(11)に示すものがある。この様な化合物の誘導体についても前述した化合物同様に6価クロム除去機能がある。
芳香族環が3つ連なったアントラセンに対して、水酸基を1つないし複数個任意の位置に導入した化合物についても同様の機能を示す。この様な化合物としては、たとえば上記化学式(12)に示す化合物がある。また、これらの誘導体についても同様に6価クロム除去機能を有している。
上記化学式(1)に示される化合物としては、たとえば、長鎖アルキル基と複合環を有する化合物がある。この様な化合物は、有機性が高くなり水溶性が低下する。しかし、一方で有機溶剤との親和性が高くなるので、炭化水素系の溶媒にも溶解できる利点がある。該化合物としては、たとえば、上記化学式(14)に示す化合物がある。
上記化学式(1)に示される化合物としては、カテキン、ガロカテキン、カテキンガラート、エピカテキン、エピカロカテキン、エピカテキンガレート、エピカロカテキンガレート、プロシアニジン、テアフラビンなどのカテキン類、およびカテキン類の誘導体であることも好ましい。これらのカテキン類は、安全性に優れ、革中においても還元力が高い。
(有機化合物(B))
有機化合物(B)は、上記化学式(1)に示される構造を有するが、たとえば上記化学式(15)に示すヒドロキシフェニル基を有さない。該ヒドロキシフェニル基を含まないことで、革中に浸透し難くなるが、化学式(1)に示される構造を有するので、革の表面にある6価クロムを3価クロムに好適に還元させ、無毒化させることができる。そのため、該化合物(B)を用いることで、汗や雨などの水分に溶解した6価クロムイオンの環境への溶出およびヒトへの曝露を即効性良く抑制できる。該有機化合物(B)としては、たとえば、ヘテロ環を有する化合物がある。ヘテロ環としてはフラン、クロメン、イソクロメン、キサンテンなどがある。この様な誘導体としては、たとえば上記化学式(13)に示した構造の化合物やその誘導体、エリソルビン酸やその誘導体、4−ヒドロキシフラン−2(5H)−オンが有る。このような化合物は6価クロムの除去機能を有する。
アスコルビン酸の誘導体としては、特に限定されないが、たとえば、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸グルコシド(2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸)、アスコルビン酸グルコサミン、デヒドロアスコルビン酸等を挙げることができる。
エリソルビン酸の誘導体としては、エリソルビン酸エステル等を挙げることができる。
本発明において、上記有機化合物(B)が、アスコルビン酸およびエリソルビン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、アスコルビン酸であることがより好ましい。該化合物は、分解し易いため長期にわたり効果を実現できず、革からブリードし易いが、ヒト(皮膚)に対して低刺激性であり安全性に優れ、還元力も高く、即効性も高い。そのため、該化合物(B)を含む処理剤を革に接触させることで、6価クロムイオンの環境への溶出およびヒトへの曝露を効果的かつ未然に防ぐことができる。また、特に表面を迅速に無毒化処理できるため、肌荒れやアレルギーなどの発症を好適に抑制することができる。該化合物(B)は、有機化合物(A)とも反応せず相溶しなく、該化合物(A)によって分解されないので、該処理液に好適に混合することができる。また、還元力が強いため、該化合物を含むことで、有機化合物(A)による褐色化や色落ちを防止できる。さらに分解性が高いため、色つきがし難く、革の色味や風合いを損なうことがないため、好ましい。
このように、上記化学式(1)に示される基本骨格を分子中に含む化合物であれば6価クロムを無害化し除去することができる。
(6価クロム還元化合物の好ましい態様)
6価クロム還元化合物として、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)と、タンニン(A−ii)とを組み合わせて用いることがより好ましい。
化合物(A−i)は下記式(A−i)で表される。
Figure 2017132951
式中、nは、0、1または2を表す。すなわち、化合物(A−i)は、ベンゼン、ナフタレンまたはアントラセン構造を有する。
11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または下記式(a−i)で表される基を表す。ここで、R19は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Figure 2017132951
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。
nが0のとき、R11〜R14、R16およびR17のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。R11〜R14、R16およびR17のうち、2個がヒドロキシ基である場合および3個がヒドロキシ基である場合は、6価クロムを還元する能力が高くなるため好ましい。
nが1または2のとき、R11〜R18のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。nが1または2のとき、R11〜R18のうち、2個がヒドロキシ基である場合および3個がヒドロキシ基である場合は、6価クロムを還元する能力が高くなるため好ましい。
なお、nが2のとき、複数あるR15は、同一であっても異なっていてもよく、R18についても同様である。
16とR17とは相互に一体となって5員環または6員環を形成していてもよく、該環を構成する原子としては炭素原子の他に酸素原子が含まれていてもよい。また、該環は置換基として炭素数1〜16のアルキル基を有していてもよい。炭素数1〜16のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
化合物(A−i)としては、具体的には、上述した式(2)、(3)、(5)〜(12)、(14)で表される化合物や、上述した例示化合物が挙げられる。化合物(A−i)は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
タンニン(A−ii)は、加水分解性タンニンであっても、縮合型タンニンであってもよい。加水分解性タンニンとしては、タンニン酸(上記式(4)で表される化合物)等のガロタンニン、エラジタンニンなどが挙げられる。後述する処理剤を調製する観点からは、加水分解性タンニンが好適に用いられる。タンニン(A−ii)は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、化合物(A−i)、タンニン(A−ii)において、ヒドロキシ基が結合している炭素が、たとえば上記式(1)の炭素2に対応している。
6価クロム還元化合物として、化合物(A−i)、タンニン(A−ii)とともに、さらに下記式(B−i)で表される化合物(B−i)および下記式(B−ii)で表される化合物(B−ii)から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
Figure 2017132951
式中、Xは、下記式(b−i)〜(b−iii)で表される基のいずれかを表す。ここで、оは、0〜3の整数を表し、pは、1〜3の整数を表し、qは、1〜17の整数を表す。
Figure 2017132951
化合物(B−i)および化合物(B−ii)としては、具体的には、上述した式(13)で表される化合物や、上述した例示化合物が挙げられる。化合物(B−i)および化合物(B−ii)はそれぞれ単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、化合物(B−i)および化合物(B−ii)を組み合わせて用いてもよい。
化合物(A−i)、(A−ii)、(B−i)または(B−ii)を6価クロム還元化合物として用いて革の処理を行うと、すなわち化合物(A−i)、(A−ii)、(B−i)または(B−ii)が革に含まれるように処理を行うと、革に処理前から存在している6価クロムのみならず、処理後に何らかの原因で生成する6価クロムをも還元し、たとえば無害な3価クロムとすることができる。いいかえると、革または革製品がその効用および目的を達するまで、6価クロム量が規則(EU)番号3014/2014による規制値未満の状態を保てる。特に、即効性の高い化合物(A−i)と遅行性の化合物(A−ii)とを組み合わせると、革または革製品がその効用および目的を達するまで、より確実に規制値未満の状態を保てる。さらに、化合物(A−i)および/または(A−ii)とともに、還元力および即効性の高い化合物(B−i)および/または(B−ii)を組み合わせると、処理時に、革の特に表面付近に存在している6価クロムを効果的に還元できる。
6価クロム還元化合物によって処理する場合は、具体的には、6価クロム還元化合物を含む処理剤(本明細書において、6価クロム処理剤、6価クロム処理液ともいう。)を用いる。この6価クロム処理剤中において、有機化合物(A)および(B)の割合は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、重量%比((A):(B))で、50〜90:10〜50であることが好ましく、50〜80:20〜50であることがより好ましく、50〜70:30〜50であることがさらに好ましい(ただし、(A)と(B)との合計を100重量%とする)。有機化合物(B)は、即効性に優れるが、革に浸透しにくいため長期安定性を得られない。そのため、有機化合物(B)の量は、有機化合物(A)に比して、同程度か、少ない方が好ましい。一方、10重量%未満であると、革の表面にある6価クロムを3価クロムに好適に還元させ、無毒化させることができないおそれがある。
該6価クロム処理剤が、上記(i)没食子酸のエステルと、上記(ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と、有機化合物(B)とを含む場合、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、重量%比((i):(ii):(B))で、1〜20:30〜89:10〜50の割合が好ましく、3〜17:33〜77:20〜50の割合がより好ましく、5〜15:35〜65:30〜50の割合がさらに好ましい(ただし、(i)、(ii)および(B)の合計を100重量%とする)。有機化合物(A)の量比については、前述のとおりである。有機化合物(B)としては、化合物(i)および(ii)と相溶せず、化合物(ii)に取り込まれず、好適に革の表面を還元させることができるため、アスコルビン酸および/またはエリソルビン酸が好ましい。化合物(i)および(ii)は、主として、革の内部の6価クロムを還元させる作用を有する。アスコルビン酸、没食子酸プロピルおよびタンニン酸は、OECDテストガイドライン(OECD Guidelines for the Testing of Chemicals)に規定する、発がん性、皮膚感作性および皮膚刺激性について、革または革製品に使用する濃度での国際的安全性の基準を満たしている。化合物(i)は、還元力が高いが、比較的分解し易い。一方、化合物(ii)は、化合物(i)を部分構造として有するため、化合物(ii)が分解されることで化合物(i)を得ることができるが、還元力は、アスコルビン酸および没食子酸のエステルに比べて遅行性である。そのため、化合物(ii)の量は、化合物(i)に比べて、多い方が好ましい。また、化合物(i)は、化合物(ii)および有機化合物(B)に比べて、ヒト(皮膚)に対して、若干、過敏性を有するおそれも指摘されており、比較的に着色性のおそれもあるため、化合物(ii)および有機化合物(B)よりも少ない量で用いることが好ましい。化合物(i)の量が1重量%未満であると、革中の6価クロムを迅速に無毒化できず、有機化合物(B)で処理しきれない量の、あるいは、有機化合物(B)が失活したあとに、未処理の6価クロムイオンが表面に溶出するおそれがある。ポリフェノール類は、還元性が強いため、褐色化や色落ちが懸念されるが、これらの量比で用いると、色落ちの前に、革中により好適に取り込まれ易くなるため、さらに退色や変色し難くなり、革の色味や風合いを殆ど損なうことがなくなるため、好ましい。また、これらの量比であれば、水および有機溶媒の両方に溶けやすくなるため、好ましい。該処理液は、長期信頼性が得られるため、好ましい。
また、6価クロム処理剤が化合物(A−i)とタンニン(A−ii)とを含む場合、化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)の割合は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、重量%比((A−i):(A−ii))で、11〜70:30〜89が好ましく、23〜67:33〜77がより好ましく、35〜50:50〜65がさらに好ましい(ただし、(A−i)および(A−ii)の合計を100重量%とする)。これにより、長期にわたり6価クロムが低減された状態を維持できる。
また、6価クロム処理剤が化合物(A−i)と、タンニン(A−ii)と、化合物(B−i)および/または(B−ii)とを含む場合、化合物(A−i)、タンニン(A−ii)、ならびに化合物(B−i)および(B−ii)の合計の割合は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、重量%比((A−i):(A−ii):(B−i)および(B−ii)の合計)で、1〜20:30〜89:10〜50が好ましく、3〜17:33〜77:20〜50がより好ましく、5〜15:35〜65:30〜50がさらに好ましい(ただし、(A−i)、(A−ii)、(B−i)および(B−ii)の合計を100重量%とする)。なお、これらの割合が好ましい理由は、上記において(i)を(A−i)に、(ii)を(A−ii)に、(B)を(B−i)および(B−ii)に置き換えた場合と同じである。
(溶媒)
6価クロム還元化合物を含む処理剤は、たとえば、6価クロム還元化合物を、水、炭素原子数1〜3のアルコール(プロパノール、イソプロパノール(IPA)、メタノールおよびエタノール)、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサン、ヘプタンなどの単独有機溶媒、水と該有機溶媒との混合溶媒あるいは有機溶媒を複数種混合した揮発性有機溶媒に溶解させ処理液とすることが好ましい。溶媒としては、水、炭素原子数1〜3のアルコール、ヘキサンおよびヘプタンから選ばれる少なくとも1種以上の溶媒を用いることが好ましく、2種以上の溶媒を用いると好適な処理液を得ることができるため、より好ましい。トルエンなどの炭化水素系溶媒は、革に対して浸透性に優れるが、ヒトに対して有害であることが多いので、出来れば、使用を避けた方がよい。
6価クロム処理剤は、革に対して浸透性を有することが好ましい。処理液中に有機溶媒を含むと、革は比較的脂溶性であるため好適に浸透させることができるため好ましく、水と炭素原子数1〜3のアルコールを含むと、さらに、高い安全性とハンドリング性が得られ、革の色合い、色味および風合いなどを損なわず、退色および褐色化を起こさないで浸透させることができるため、より好ましい。
処理液に用いる溶媒としては、革の色合い、色味および風合いなどを損なわず、退色および褐色化を起こさないために、特にデザイン性を有する革を処理する場合には、水のみが好ましい。
有機化合物(B)は、比較的水溶性を示すことが多いが、有機化合物(A)は、フェニル基を有するため、比較的疎水性を示すことが多い。そのため、処理液に用いる溶媒としては、有機化合物(A)を好適に溶解させ、さらに、有機化合物(B)も溶解させることを考慮すると、無極性溶媒と比べると色落ちが起こることがあるが、極性溶媒を含むことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルコールを用いることがより好ましく、IPAが、高いハンドリング性が得られ、比較的、革の色合い、色味および風合いなどを損なわず、退色および褐色化を起こさず、他の溶媒との混和性にも優れ、多種の有機化合物に対する溶解性にも優れる観点から、さらに好ましい。また、高い安全性が得られ、有機化合物(B)を容易に溶解させることができるため、さらに水を含むことが好ましい。処理液が水とアルコールを含む場合、重量%比(水:アルコール)で、20〜80:20〜80が好ましく、30〜70:30〜70がより好ましく、40〜60:40〜60が、有機化合物(A)と(B)を好適に溶解、混合させることができ、革の色合い、色味および風合いなどを損なわず、退色および褐色化を起こさず処理できるため、さらに好ましい(ただし、両者の合計量を100質量%とする)。溶媒として水のみでは、革は撥水性があり、比較的疎水性(脂溶性)であるため、浸透しない恐れがあるが、水と炭素原子数1〜3のアルコールを含む処理液であれば、デザイン性を損なうことなく、程よい揮発性を有するため革のより深部まで浸透させることができるため、好ましい。また、該アルコールの量比が80重量%を超えると、該アルコールの引火点を考慮すると、工場内の火災の原因になるおそれがあるため、好ましくない。該アルコールとしてIPAを用いる場合、引火点を考慮すると、60重量%以下が好ましい。一方、該アルコールの量比が20重量%未満であると、革への溶解性の向上が図れないおそれがある。
有機化合物(B)として、アスコルビン酸および/またはエリソルビン酸を用いた場合、該化合物は水溶性が高いため、水以外の極性溶媒に対しても溶解しにくい。有機化合物(A)として、没食子酸のエステルおよび/またはタンニン酸の誘導体を用いた場合、該化合物は比較的疎水性が高いため、水に溶解しにくい。特に、没食子酸のエステルおよび/またはタンニン酸の誘導体は、無極性溶媒に溶解しにくい。なお、タンニン酸は、両親媒性である。
処理液に用いる溶媒としては、革の長期にわたる還元性の維持をより得ることが目的の場合、水よりも、無極性有機溶媒が好ましく、着色成分を抽出することなく、揮発性が高いことから色変化が他の非水系溶媒と比較して小さいので、ヘキサンおよびヘプタンから選ばれる少なくとも1種の溶媒がより好ましく、乾燥速度も速く作業性に富むことから、ヘキサンがさらに好ましい。これらの溶媒は、揮発性が良く、短時間で、比較的疎水性である有機化合物(A)を好適に溶解させ、比較的脂溶性である、革に好適に浸透させることができるため、好ましい。また、無極性有機溶媒は、比較的親水性の有機化合物を溶解させることが難しいため、使用できる有機化合物を適宜選択する必要がある。また、有機化合物(A)が比較的水溶性である場合には、ヘキサンおよび/またはヘプタンとの相溶性を考慮すると、水に比べて該有機化合物(A)を溶解させにくいが、炭素原子数1〜3のアルコールを用いることが好ましく、IPAを用いることが、革への影響度が少なく、安全性およびハンドリング性が得られることから、より好ましい。無極性溶媒と該アルコールとの混合溶媒は、革への影響度が少ないため、革のより深部まで浸透させることができ、また、多種多様な革に用いることができ、高い生産性が得られるため、好ましい。さらに、IPAは、ヘキサンやヘプタンなどに比して揮発性が低いので、作業中に溶媒が揮発しても、処理剤が析出することがなく、長時間にわたり作業を行うことができる。また、混合溶媒とすることで、種々の有機化合物を溶解させることができるため、好ましい。処理液が炭素原子数1〜3のアルコールと、ヘキサンおよび/またはヘプタンを含む場合、重量%比(アルコール:ヘキサンおよび/またはヘプタン)で、20〜90:10〜80が好ましく、35〜85:15〜65がより好ましく、45〜80:20〜55が、革への影響度が少なく、有機化合物(A)と(B)を比較的良好に溶解、混合させることができるため、さらに好ましい(ただし、両者の合計量を100質量%とする)。アルコールを90重量%超えて用いると、品質上は問題ないが、革表面が色落ちするおそれがある。
(処理剤中での成分の量)
6価クロム処理剤は、6価クロム還元化合物をたとえば濃度a質量%で含むが、濃度a(質量%)は、好ましくは0.01〜10.0質量%の範囲から選択する。
6価クロム還元化合物として有機化合物(A)のみを用いる場合は、濃度a(質量%)の範囲は、好ましくは0.01〜10.0質量%、より好ましくは0.1〜7.0質量%、さらに好ましく0.3〜5.0質量%、さらにより好ましくは0.5〜3.0質量%、最も好ましくは0.5〜2.0質量%である。該量で含まれると、革に対する退色や変色が特に少なくなるため、好ましい。また、長期にわたり6価クロムが低減された状態を維持できる。
有機化合物(A)と(B)とを組み合わせて用いる場合は、有機化合物(A)および(B)の濃度の合計である濃度a(質量%)の範囲は、好ましくは0.01〜10.0質量%、より好ましくは0.1〜7.0質量%、さらに好ましく0.3〜5.0質量%、さらにより好ましくは0.5〜3.0質量%、最も好ましくは0.5〜2.0質量%である。該量で含まれると、革に対する退色や変色が特に少なくなるため、好ましい。また、長期にわたり6価クロムが低減された状態を維持できる。
なお、6価クロム処理剤が化合物(A−i)および/またはタンニン(A−ii)と、必要に応じて化合物(B−i)および/または(B−ii)とを含むときは、これらの量は、上記量において(A)を(A−i)および(A−ii)の合計に、(B)を(B−i)および(B−ii)の合計に置き換えた場合と同じである。
また、6価クロム処理剤が化合物(A−i)および/またはタンニン(A−ii)と、必要に応じて化合物(B−i)および/または(B−ii)とを含むときは、上記量以外の説明についても、(i)(没食子酸のエステル)を(A−i)に、(ii)(タンニン酸)を(A−ii)に、(A)を(A−i)および(A−ii)に、(B)を(B−i)および(B−ii)に置き換えた場合が適用される。
6価クロム処理剤の調製方法は、6価クロム還元化合物が溶解できる限り特に限定されない。
6価クロム処理剤は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、革に対して迅速に浸透させ、無害化させる観点から、25℃における動粘度が、0.001(cSt)以上5(cSt)未満であることが好ましく、0.01(cSt)以上4.5(cSt)以下であることがより好ましく、0.05(cSt)以上4.3(cSt)以下であることがさらに好ましく、0.1(cSt)以上4.0(cSt)以下であることがさらにより好ましい。なお、動粘度は上記成分をたとえば上記の量で用いることで調整できる。特開2008−272552号公報には、アスコルビン酸を含み、粘度が5cP以上となる増粘剤によって増粘されている6価クロム汚染土壌用処理剤(水溶液)についての記載がある。該公報に記載の通り、処理剤の粘度が5cP未満であると、土壌への浸透性が高すぎて土壌中に万遍なく浸透しないため、5cP未満の処理剤は、土壌中の6価クロムの処理目的に使用することができない。革中の主成分であるコラーゲンは、化学的に架橋され安定化させているため、粘度が5cP以上となる処理剤では、革に対して、浸透しないおそれがある。
〔基準量Aの求め方〕
仕上げ工程で仕上げ処理された革について、該仕上げ処理された革の銀面の裏面に、上記6価クロム還元化合物を濃度a(質量%)で含む6価クロム処理剤を塗布し、仕上げ処理された銀面に6価クロム処理剤がしみ出しはじめるまでの6価クロム処理剤の基準量A(たとえば革の所定の面積あたりの量)を求める。
塗布は、スプレー、ロールコーター等によって行われる。
基準量Aは、革1m2あたりの重さ(gなど)、体積(mLなど)として実際の値を求めてもよいが、これに対応する値が求められる場合は、必ずしも上記のような実際の値を求めなくてもよい。たとえば、スプレーの場合は、所定の面積を有する革の処理面にむらなく均一な量が付着するよう処理剤をスプレーし、6価クロム処理剤がしみ出しはじめるまでのスプレー時間を測定する。スプレーから吐出される処理剤の量はスプレー時間に比例するため、上記スプレー時間を上記所定の面積あたりの基準量Aとできる。
なお、銀面に6価クロム処理剤がしみ出しはじめる時点は、銀面に処理剤の丸いしみが見え出す時点である。これは、通常銀面を触ると冷たさを感じる時点でもある。
なお、基準量確定工程で用いる革は、通常革製品の原料としては利用せず、基準量Aを求めるためのみに使用する。基準量確定工程で用いる革としては、6価クロム処理工程で用いる革と、繊維の太さや密度などの性状ができるだけ近い革であることが好ましい。
<6価クロム処理工程>
6価クロム処理工程では、基準量確定工程で求めた基準量Aを利用して、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、下記方法(i)または(ii)のように処理を行う。
方法(i)では、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で2回以上塗布する。ここで、塗布量の合計は上記基準量A以上であり、好ましくは上記基準量Aの1〜10倍であり、より好ましくは上記基準量Aの1〜5倍、最も好ましくは上記基準量Aの1倍である。
具体的には、塗布量の合計が上記基準量Aと等しい場合は、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/x倍の量でx回塗布することができる。ここでxは2以上の整数である。
塗布の手間および塗布後の6価クロム還元化合物の浸透を考慮すると、xは好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。
塗布は、基準量確定工程と同様にスプレー、ロールコーター等によって行われる。
基準量Aを、革1m2あたりの重さ(gなど)、体積(mLなど)、実際の値として求めた場合には、革1m2あたり、上記基準量A(gまたはmLなど)の1/x倍の量でx回塗布してもよい。あるいは、たとえば、スプレーの場合は、x=2ならば、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤(すなわち、基準量確定工程で用いた処理剤と同じ濃度で6価クロム還元化合物を含む処理剤)を用い、上記裏面に対して、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/2倍の量となるように均一に1回目のスプレーを行う。その後、上記と同じ裏面に対して、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/2倍の量となるように均一に2回目のスプレーを行う。具体的には、1回目、2回目ともに、基準量確定工程で求めたスプレー時間の1/2の時間ずつスプレーを行う。
塗布量の合計が上記基準量Aよりも大きい場合は、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/x倍の量でx回を超える回数塗布することができる。ここでxは2以上の整数である。たとえば、x=2ならば、上記基準量Aの1/2倍の量で、3回以上塗布する。また、上記基準量Aがスプレー時間で確定している場合は、上記スプレー時間の1/2の時間ずつ3回以上スプレーする。なお、塗布量の合計の好ましい範囲は上述のとおりである。
さらに、各回の塗布量(あるいはスプレー時間)は異なっていてもよい。1回の塗布量(あるいはスプレー時間)が上記基準量A未満の量であり、塗布量の合計が上記基準量A以上であればよい。なお、塗布量の合計の好ましい範囲は上述のとおりである。
方法(ii)では、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)を超える濃度で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で1回以上塗布する。ここで、塗布量の合計は上記基準量A以上であってもよく、好ましくは上記基準量Aの1〜10倍であってもよく、より好ましくは上記基準量Aの1〜5倍であってもよい。いいかえると、塗布量の合計の上限は、上記基準量A以上であってもよく、好ましくは上記基準量Aの10倍であってもよく、より好ましくは上記基準量Aの5倍であってもよい。また、上記濃度a(質量%)を超える濃度とは、具体的には、たとえばa質量%を超えており、かつ0.01質量%〜10.0質量%である。
具体的には、塗布量の合計が上記基準量Aと等しい場合、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度ya(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/y倍の量で1回塗布することができる。ここでyは1を超える数である。
塗布後の6価クロム還元化合物の浸透を考慮すると、yは好ましくは1.5〜4であり、より好ましくは1.5〜2.5である。
塗布は、基準量確定工程と同様にスプレー、ロールコーター等によって行われる。
基準量Aを、革1m2あたりの重さ(gなど)、体積(mLなど)、実際の値として求めた場合には、濃度ya(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、革1m2あたり、上記基準量A(gまたはmLなど)の1/y倍の量で1回塗布してもよい。あるいは、たとえば、スプレーの場合は、y=2ならば、濃度2a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤(すなわち、基準量確定工程で用いた処理剤に対して2倍の濃度で6価クロム還元化合物を含む処理剤)を用い、上記裏面に対して、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/2倍の量となるように均一にスプレーを行う。具体的には、基準量確定工程で求めたスプレー時間の1/2の時間スプレーを行う。
塗布量の合計が上記基準量Aよりも大きい場合は、仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度ya(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、基準量確定工程と同じ所定の面積あたり、上記基準量Aの1/y倍の量で2回以上塗布することができる。ここでyは1を超える数である。たとえば、y=2ならば、上記基準量Aの1/2倍の量で2回以上塗布する。また、上記基準量Aがスプレー時間で確定している場合は、上記スプレー時間の1/2の時間ずつ2回以上スプレーする。なお、塗布量の合計の好ましい範囲は上述のとおりである。
さらに、2回目以降の塗布量(あるいはスプレー時間)や処理剤中の6価クロム還元化合物の濃度は、それぞれ1回目の塗布量(あるいはスプレー時間)や処理剤中の6価クロム還元化合物の濃度と異なっていてもよい。1回の塗布量(あるいはスプレー時間)が上記基準量A未満の量であればよい。なお、塗布量の合計の好ましい範囲は上述のとおりである。
なお、方法(i)、(ii)のいずれにおいても、複数回塗布する場合は、塗布後、革を乾燥させてから次の回の塗布を行うことが好ましい。
ここで、方法(i)においては、スプレー時間以外の処理条件は、基準量確定工程と同じであり、方法(ii)においては、スプレー時間および処理剤中の6価クロム還元化合物の濃度以外の処理条件は、基準量確定工程と同じである。
方法(i)、(ii)のいずれによっても、1回の塗布では仕上げ処理された革の銀面まで到達しない量の処理剤を用いるため、6価クロム処理剤によって革の外観を変化させることはない。
なお、6価クロム処理剤の塗布後時間がたつにつれて、たとえば引き続いて行われる革または革製品の製造過程が進むにつれて、6価クロム還元化合物は、革の銀面に向かって徐々に浸透していくと考えられる。最終的に浸透が進んで平衡に達しても、革の外観を変化させることはないと考えられる。
この6価クロム還元化合物の拡散を促進させるためには、6価クロム処理工程後の革を、20〜30℃で、湿度の高い環境(たとえば80〜90%RH)にしばらく(たとえば1〜7日)置いておくことが好ましい。
6価クロム還元化合物を含む処理剤によって革を処理すると、6価クロム還元化合物が、革中の6価クロムを3価クロムに還元する。そして、革全体が、3価クロムとともに、上記還元に使われなかった残りの6価クロム還元化合物が含まれた状態となる。6価クロム還元化合物による処理後、6価クロム還元化合物の拡散が進むと、革は、ISO17075:2008−02に準拠して測定された6価クロムの含有量が通常3ppm未満、好ましくは2ppm以下となる。なお、3価クロム含有量は、革によって異なるため特に限定されないが、通常4000ppm以上であり、4500ppm以上、さらに5000ppm以上含まれる場合もある。また、6価クロム処理剤による処理の前後で全クロム含有量は変化しない。
上記処理によって革中に6価クロム還元化合物が含有され、6価クロム還元化合物の拡散が進んだ状態になると、処理後に、無害なクロムが有害な6価のクロムに変化した場合にも、この6価クロムを6価クロム還元化合物で無害化できる。すなわち、6価クロム除去剤で処理された革は、革製品となった後その効用または目的を達するまで6価クロムが規制値未満である状態を維持できる。
なお、本発明の革の製造方法においては、上述した工程の他に、通常行われている水漬け工程、脱毛工程、再石灰漬け工程、脱灰・ベーチング工程、ピックル工程、漉き工程、シェービング工程、再なめし工程、染色工程、加脂工程、さらなる仕上げ工程などが適宜行われてもよい。
<革>
本発明の革は、クロムなめしされており、かつ仕上げ処理された革であって、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を含み、該6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれている。本発明の革においては、仕上げ処理によって施された革の外観がそのまま保持されている。本発明の革は、たとえば上述した革の製造方法によって得られる。
<革製品の製造方法および革製品>
本発明の革製品の製造方法は、上述した革の製造方法により革を製造し、次いで該革を加工する加工工程を含む。上記革製品の製造方法においては、革の製造過程で仕上げ処理によって施された革の外観がそのまま保持されている。
革製品(革の加工品)としては、たとえば、靴、衣料、帽子、手袋、ベルト、財布、名刺入れ、時計バンド、かばん、ソファー、クッションカバー、ブックカバー、筆入れ、携帯電話ケース、システム手帳、キーケース、自動車内装、眼鏡ケース、工具入れが挙げられる。
加工工程は通常の方法により行われる。具体的には、革製品は、革のシートを必要とする形に切り取り、これに芯材や革同士を接着剤や縫うなどして貼りあわせて得られる。たとえば、時計バンドの場合は、芯となる材料の周り、すなわち表面と裏面とに、バンドの形状に切り取った革を、接着剤で貼り合わせ、加熱して得られる。また、製品によっては周囲を縫うなどして質感を出して完成させる。
本発明の革製品は、上述した革を含む。革製品(革の加工品)の例示は上記のとおりである。上記革製品においては、革の製造過程で仕上げ処理によって施された革の外観がそのまま保持されている。また、本発明の革製品は、たとえば上述した革製品の製造方法によって得られる。
以上より、本発明は以下に関する。
[1]
皮に対してクロムなめしを行って革を得るクロムなめし工程と、該革の銀面に仕上げ処理を行う仕上げ工程とを含む革の製造方法であって、さらに、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、該仕上げ処理された革の銀面の裏面に、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を濃度a(質量%)で含む6価クロム処理剤を塗布して、仕上げ処理された銀面に6価クロム処理剤がしみ出しはじめるまでの6価クロム処理剤の基準量Aを求める基準量確定工程と、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、(i)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で2回以上塗布するか(塗布量の合計は上記基準量A以上である。)、(ii)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)を超える濃度で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で1回以上塗布する、6価クロム処理工程とを含むことを特徴とする革の製造方法。
6価クロム処理工程とを含むことを特徴とする革の製造方法。
上記方法(i)、(ii)のいずれによっても、1回の塗布では仕上げ処理された革の銀面まで到達しない量の処理剤を用いるため、6価クロム処理剤によって革の外観を変化させることはない。
[2]
前記6価クロム還元化合物が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造およびヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(A)であることを特徴とする[1]に記載の革の製造方法。
Figure 2017132951
(R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C、H、Oで構成される置換基である。R1またはR2と、R3、R4またはR5のいずれかとは、互いに結合して環を形成していてもよい)。
[3]
前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、ジヒドロキシフェニル基またはトリヒドロキシフェニル基とを有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする[2]に記載の革の製造方法。
[4]
前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、1,2,3−トリヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする[3]に記載の革の製造方法。
[5]
前記有機化合物(A)が、
(i)没食子酸のエステルと、
(ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と
であることを特徴とする[4]に記載の革の製造方法。
[6]
前記化合物(ii)がタンニン酸であることを特徴とする[5]に記載の革の製造方法。
[7]
前記6価クロム還元化合物が、さらに、6価クロムと作用して3価に還元性を有する前記化学式(1)に示される構造を有し、かつ、ヒドロキシフェニル基、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(B)を含むことを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載の革の製造方法。
[8]
前記有機化合物(B)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、エリソルビン酸およびエリソルビン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[7]に記載の革の製造方法。
[9]
前記6価クロム還元化合物が、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の革の製造方法。
Figure 2017132951
(nは、0、1または2を表す。R11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または下記式(a−i)で表される基(R19は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。nが0のとき、R11〜R14、R16およびR17のうち少なくとも1個はヒドロキシ基であり、nが1または2のとき、R11〜R18のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。nが2のとき、複数あるR15は、同一であっても異なっていてもよく、R18についても同様である。R16とR17とは相互に一体となって5員環または6員環を形成していてもよく、該環は置換基として炭素数1〜16のアルキル基を有していてもよい。)。
Figure 2017132951
[10]
前記6価クロム還元化合物が、さらに下記式(B−i)で表される化合物(B−i)および下記式(B−ii)で表される化合物(B−ii)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[9]に記載の革の製造方法。
Figure 2017132951
(Xは、下記式(b−i)〜(b−iii)で表される基(оは、0〜3の整数を表し、pは、1〜3の整数を表し、qは、1〜17の整数を表す。)のいずれかを表す。)
Figure 2017132951
上記〔2〕〜〔10〕に記載された6価クロム還元化合物を用いると、革または革製品がその効用および目的を達するまで、6価クロム量が規則(EU)番号3014/2014による規制値未満の状態を保てる。
[11]
クロムなめしされており、かつ仕上げ処理された革であって、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を含み、該6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを特徴とする革。
上記革においては、仕上げ処理によって施された革の外観がそのまま保持されている。
[12]
前記6価クロム還元化合物が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造およびヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(A)であることを特徴とする[11]に記載の革。
Figure 2017132951
(R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C、H、Oで構成される置換基である。R1またはR2と、R3、R4またはR5のいずれかとは、互いに結合して環を形成していてもよい)。
[13]
前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、ジヒドロキシフェニル基またはトリヒドロキシフェニル基とを有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする[12]に記載の革。
[14]
前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、1,2,3−トリヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする[13]に記載の革。
[15]
前記有機化合物(A)が、
(i)没食子酸のエステルと、
(ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と
であることを特徴とする[14]に記載の革。
[16]
前記化合物(ii)がタンニン酸であることを特徴とする[15]に記載の革。
[17]
前記6価クロム還元化合物が、さらに、6価クロムと作用して3価に還元性を有する前記化学式(1)に示される構造を有し、かつ、ヒドロキシフェニル基、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(B)を含むことを特徴とする[12]〜[16]のいずれかに記載の革。
[18]
前記有機化合物(B)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、エリソルビン酸およびエリソルビン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[17]に記載の革。
[19]
前記6価クロム還元化合物が、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[11]に記載の革。
Figure 2017132951
(nは、0、1または2を表す。R11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または下記式(a−i)で表される基(R19は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。nが0のとき、R11〜R14、R16およびR17のうち少なくとも1個はヒドロキシ基であり、nが1または2のとき、R11〜R18のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。nが2のとき、複数あるR15は、同一であっても異なっていてもよく、R18についても同様である。R16とR17とは相互に一体となって5員環または6員環を形成していてもよく、該環は置換基として炭素数1〜16のアルキル基を有していてもよい。)。
Figure 2017132951
[20]
前記6価クロム還元化合物が、さらに下記式(B−i)で表される化合物(B−i)および下記式(B−ii)で表される化合物(B−ii)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[19]に記載の革。
Figure 2017132951
(Xは、下記式(b−i)〜(b−iii)で表される基(оは、0〜3の整数を表し、pは、1〜3の整数を表し、qは、1〜17の整数を表す。)のいずれかを表す。)
Figure 2017132951
上記〔12〕〜〔20〕に記載された6価クロム還元化合物を用いると、革または革製品がその効用および目的を達するまで、6価クロム量が規則(EU)番号3014/2014による規制値未満の状態を保てる。
[21]
[1]〜[10]のいずれかに記載の革の製造方法により革を製造し、次いで該革を加工する加工工程を含むことを特徴とする革製品の製造方法。
[22]
[11]〜[20]のいずれかに記載の革を含むことを特徴とする革製品。
上記革製品の製造方法または革製品においては、革の製造過程で仕上げ処理によって施された革の外観がそのまま保持されている。
[実施例]
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
〔実施例1−1〕
クロムなめしおよび銀面へのグレージング処理を行ったワニの革シートを用意した。この革について、ISO17075:2008−02の手法で求めた6価クロムの含有量は、8ppmであった。また、革について全クロムの含有率を蛍光X線分析器(エネルギー分散型蛍光X線分析装置、日本電子株式会社製JSX−3202EV ELEMENT ANALYZER)で分析したところ、7141ppmであった。なお、基準試料として、日本電子株式会社製 JSX3000シリーズ 基準試料1、JSX3000シリーズ 基準試料2およびJSX3000シリーズ エネルギー校正基準試料を用いた。測定は、日本電子株式会社資料QuickManual(番号EY07007−J00、J00 EY07007G、2007年8月版)に基づき、JSX starterにつづき PlasticD3により実施した。
次に、水およびIPA(50質量%:50質量%)の混合溶液に対して、化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5gおよび化学式(13)で示される化合物2.0gを混合して溶解し、6価クロム処理剤を得た。ここで、処理剤の全量が500gとなるように混合溶液を用いた。該処理剤の25℃における動粘度は3.7(cSt)であった。なお、動粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、溶媒として、IPAと水(1vol:1vol)の混合溶媒を用い、温度25.0℃で測定した。
(基準量確定工程)
革製品の原料としないしっぽに近い部分(直径8cm)の革について、銀面の裏面に対して上記処理剤をスプレーしたところ、スプレー開始から5秒で銀面にしみ出しはじめた。したがって、基準量Aは5秒であった。なお、革の処理面にむらなく均一な量が付着するよう処理剤をスプレーした。
(6価クロム処理工程、方法(i)(x=2の場合))
基準量確定工程に用いたワニ革について、革製品の原料とする腹部分(直径8cm、厚さ1.5mm)を切り抜いた。銀面の裏面に対して、スプレー時間以外の条件は基準量確定工程と同一にして、処理剤を2.5秒スプレーした。この革を乾燥させたのち、もう一度、銀面の裏面に対して、スプレー時間以外の条件は基準量確定工程と同一にして、処理剤を2.5秒スプレーした。なお、革の処理面にむらなく均一な量が付着するよう処理剤をスプレーした。
乾燥後、革の一部を切り取って、6価クロム還元化合物を検出できる下記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。
この検査液は、革に滴下した場合、該革に6価クロム還元化合物が含まれていると青色に発色する。また、革に含まれる6価クロム還元化合物の量が多いほど濃い色の発色が見られる。銀面の裏面から厚さ方向に0.5mmずつシェービングしたサンプル、すなわち革の銀面の裏面から0.5mmまでのシェービングサンプル、0.5mmを超え1.0mmまでのシェービングサンプルおよび残りのサンプルに対して、検査液を滴下したところ、この順で発色の濃さが薄くなった。
(検査液)
水とIPAとを50:50(重量%比)で混合し、水性溶媒を調製した。塩化鉄(III)5gを上記水性溶媒95gに溶解し、5質量%の濃度で塩化鉄(III)が含まれる検査液を作製した。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前と外観上の変化は見られなかった。
〔実施例1−2〕
実施例1−1と同様にして、基準量確定工程までを行った。
(6価クロム処理工程、方法(ii)(y=2の場合))
水およびIPA(50質量%:50質量%)の混合溶液に対して、化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5gおよび化学式(13)で示される化合物2.0gを混合して溶解し、6価クロム処理剤を得た。ここで、処理剤の全量が250gとなるように混合溶液を用いた。このようにして、基準量確定工程で用いた処理剤に対して2倍の濃度で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を得た。
基準量確定工程に用いたワニ革について、革製品の原料とする腹部分(直径8cm、厚さ1.5mm)を切り抜いた。銀面の裏面に対して、スプレー時間および6価クロム処理剤中の6価クロム還元化合物の濃度以外の条件は基準量確定工程と同一にして、処理剤を2.5秒スプレーした。
乾燥後、革の一部を切り取って、上記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。なお、検査は、実施例1−1と同様の方法で行った。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前との外観上の変化は見られなかった。
〔実施例2−1〕
化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5g、化学式(13)で示される化合物2.0gの代わりに、化学式(3)で示される化合物1.5gおよび化学式(4)で示される化合物3.5gを用いたほかは、実施例1−1と同様に基準量確定工程および6価クロム処理工程を行い、6価クロム処理剤による処理を行った革を得た。
乾燥後、革の一部を切り取って、上記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。なお、検査は、実施例1−1と同様の方法で行った。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前との外観上の変化は見られなかった。
〔実施例2−2〕
化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5g、化学式(13)で示される化合物2.0gの代わりに、化学式(3)で示される化合物1.5gおよび化学式(4)で示される化合物3.5gを用いたほかは、実施例1−2と同様に基準量確定工程および6価クロム処理工程を行い、6価クロム処理剤による処理を行った革を得た。
乾燥後、革の一部を切り取って、上記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。なお、検査は、実施例1−1と同様の方法で行った。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前との外観上の変化は見られなかった。
〔実施例3−1〕
混合溶液の代わりにエタノールを用い、化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5g、化学式(13)で示される化合物2.0gの代わりに、化学式(4)で示される化合物15gを用いたほかは、実施例1−1と同様に基準量確定工程および6価クロム処理工程を行い、6価クロム処理剤による処理を行った革を得た。
乾燥後、革の一部を切り取って、上記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。なお、検査は、実施例1−1と同様の方法で行った。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前との外観上の変化は見られなかった。
〔実施例3−2〕
混合溶液の代わりにエタノールを用い、化学式(3)で示される化合物0.5g、化学式(4)で示される化合物2.5g、化学式(13)で示される化合物2.0gの代わりに、化学式(4)で示される化合物15gを用いたほかは、実施例1−2と同様に基準量確定工程および6価クロム処理工程を行い、6価クロム処理剤による処理を行った革を得た。
乾燥後、革の一部を切り取って、上記検査液で検査したところ、6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを確認した。なお、検査は、実施例1−1と同様の方法で行った。
上記革の残りの部分は、温度25℃、湿度90%RHの部屋に7日間保存した。保存後の革について、ISO17075:2008−02で6価クロムの含有量を測定したところ、6価クロムは検出限界(2ppm)以下であった。全クロムの含有率は、蛍光X線分析器で分析したところ、6価クロム処理剤による処理前と変化していなかった。また、グレージング処理された革の銀面について、6価クロム処理剤による処理前との外観上の変化は見られなかった。

Claims (22)

  1. 皮に対してクロムなめしを行って革を得るクロムなめし工程と、該革の銀面に仕上げ処理を行う仕上げ工程とを含む革の製造方法であって、
    さらに、仕上げ工程で仕上げ処理された革について、該仕上げ処理された革の銀面の裏面に、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を濃度a(質量%)で含む6価クロム処理剤を塗布して、仕上げ処理された銀面に6価クロム処理剤がしみ出しはじめるまでの6価クロム処理剤の基準量Aを求める基準量確定工程と、
    仕上げ工程で仕上げ処理された革について、(i)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で2回以上塗布するか(塗布量の合計は上記基準量A以上である。)、(ii)仕上げ処理された革の銀面の裏面に、濃度a(質量%)を超える濃度で6価クロム還元化合物を含む6価クロム処理剤を、上記基準量A未満の量で1回以上塗布する、6価クロム処理工程とを含むことを特徴とする革の製造方法。
  2. 前記6価クロム還元化合物が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造およびヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(A)であることを特徴とする請求項1に記載の革の製造方法。
    Figure 2017132951
    (R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C、H、Oで構成される置換基である。R1またはR2と、R3、R4またはR5のいずれかとは、互いに結合して環を形成していてもよい)。
  3. 前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、ジヒドロキシフェニル基またはトリヒドロキシフェニル基とを有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする請求項2に記載の革の製造方法。
  4. 前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、1,2,3−トリヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする請求項3に記載の革の製造方法。
  5. 前記有機化合物(A)が、
    (i)没食子酸のエステルと、
    (ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    であることを特徴とする請求項4に記載の革の製造方法。
  6. 前記化合物(ii)がタンニン酸であることを特徴とする請求項5に記載の革の製造方法。
  7. 前記6価クロム還元化合物が、さらに、6価クロムと作用して3価に還元性を有する前記化学式(1)に示される構造を有し、かつ、ヒドロキシフェニル基、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(B)を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の革の製造方法。
  8. 前記有機化合物(B)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、エリソルビン酸およびエリソルビン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項7に記載の革の製造方法。
  9. 前記6価クロム還元化合物が、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の革の製造方法。
    Figure 2017132951
    (nは、0、1または2を表す。R11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または下記式(a−i)で表される基(R19は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。nが0のとき、R11〜R14、R16およびR17のうち少なくとも1個はヒドロキシ基であり、nが1または2のとき、R11〜R18のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。nが2のとき、複数あるR15は、同一であっても異なっていてもよく、R18についても同様である。R16とR17とは相互に一体となって5員環または6員環を形成していてもよく、該環は置換基として炭素数1〜16のアルキル基を有していてもよい。)。
    Figure 2017132951
  10. 前記6価クロム還元化合物が、さらに下記式(B−i)で表される化合物(B−i)および下記式(B−ii)で表される化合物(B−ii)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9に記載の革の製造方法。
    Figure 2017132951
    (Xは、下記式(b−i)〜(b−iii)で表される基(оは、0〜3の整数を表し、pは、1〜3の整数を表し、qは、1〜17の整数を表す。)のいずれかを表す。)
    Figure 2017132951
  11. クロムなめしされており、かつ仕上げ処理された革であって、6価のクロムを3価のクロムに還元し得る6価クロム還元化合物を含み、該6価クロム還元化合物の量が、該革の仕上げ処理された銀面の裏面から、仕上げ処理された銀面に向かって少なくなる量で含まれていることを特徴とする革。
  12. 前記6価クロム還元化合物が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造およびヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(A)であることを特徴とする請求項11に記載の革。
    Figure 2017132951
    (R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、C、H、Oで構成される置換基である。R1またはR2と、R3、R4またはR5のいずれかとは、互いに結合して環を形成していてもよい)。
  13. 前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、ジヒドロキシフェニル基またはトリヒドロキシフェニル基とを有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする請求項12に記載の革。
  14. 前記有機化合物(A)が、6価クロムと作用して3価に還元性を有する化学式(1)に示される構造と、1,2,3−トリヒドロキシフェニル基を有し、かつ、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない化合物であることを特徴とする請求項13に記載の革。
  15. 前記有機化合物(A)が、
    (i)没食子酸のエステルと、
    (ii)タンニン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    であることを特徴とする請求項14に記載の革。
  16. 前記化合物(ii)がタンニン酸であることを特徴とする請求項15に記載の革。
  17. 前記6価クロム還元化合物が、さらに、6価クロムと作用して3価に還元性を有する前記化学式(1)に示される構造を有し、かつ、ヒドロキシフェニル基、アルデヒド基およびカルボキシル基を有さない、有機化合物(B)を含むことを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の革。
  18. 前記有機化合物(B)が、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、エリソルビン酸およびエリソルビン酸の誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項17に記載の革。
  19. 前記6価クロム還元化合物が、下記式(A−i)で表される化合物(A−i)およびタンニン(A−ii)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の革。
    Figure 2017132951
    (nは、0、1または2を表す。R11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または下記式(a−i)で表される基(R19は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表す。nが0のとき、R11〜R14、R16およびR17のうち少なくとも1個はヒドロキシ基であり、nが1または2のとき、R11〜R18のうち少なくとも1個はヒドロキシ基である。nが2のとき、複数あるR15は、同一であっても異なっていてもよく、R18についても同様である。R16とR17とは相互に一体となって5員環または6員環を形成していてもよく、該環は置換基として炭素数1〜16のアルキル基を有していてもよい。)。
    Figure 2017132951
  20. 前記6価クロム還元化合物が、さらに下記式(B−i)で表される化合物(B−i)および下記式(B−ii)で表される化合物(B−ii)から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項19に記載の革。
    Figure 2017132951
    (Xは、下記式(b−i)〜(b−iii)で表される基(оは、0〜3の整数を表し、pは、1〜3の整数を表し、qは、1〜17の整数を表す。)のいずれかを表す。)
    Figure 2017132951
  21. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の革の製造方法により革を製造し、次いで該革を加工する加工工程を含むことを特徴とする革製品の製造方法。
  22. 請求項11〜20のいずれか1項に記載の革を含むことを特徴とする革製品。
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