JP2017131675A - シリンジポンプ - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、医療従事者がこのチューブの折れ曲がりや捻じれを直すと、チューブの閉塞状態が急に解消されるので、薬剤が閉塞状態の解除されたチューブ中を急激に流れて患者に送液されてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、チューブの折れ曲がりや捻じれを直してチューブの閉塞状態が解除された場合に、薬剤がチューブ中を急激に流れないようにしながら薬剤の送液を中止することができ、薬剤の送液動作の安全性を高めることができるシリンジポンプを提供することを目的とする。
前記逆回転を停止するための複数の所定の条件は、下記の1)〜4)であることを特徴とする。
1)閉塞圧が所定(50mmHg)以下となる、
2)前記シリンジ毎に定めた「逆回転量」が所定のステップ数になる、
3)積算量が送液開始時の積算量以下になる、
4)積算量が0になる
上記構成によれば、圧力センサが、チューブが閉塞した状態であることを検出するためにシリンジ押子を押す際の圧力を検出し、制御部は、圧力センサの検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値を超えた時に駆動モータを逆転作動させて、圧力センサが検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値以下になった時には駆動モータの逆転作動を停止させる。これにより、チューブの折れ曲がりや捻じれを直してチューブの閉塞状態が解除された場合に、薬剤がチューブ中を急激に流れないようにしながら薬剤の送液を中止することができ、薬剤の送液動作の安全性を高めることができる。
上記構成によれば、駆動モータとしてステップモータを用いることで、駆動モータを正転作動から逆転作動を容易に行うことができ、しかも圧力センサはシリンジ押子からの圧力を直接受けることができるので、チューブの閉塞状態を検出し易い。
上記構成によれば、駆動モータのロータの逆転作動を停止させる時に、ロータの慣性によりさらにロータが逆回転してしまうのを防ぐことができるので、チューブ内の薬剤を無用に吸引することが無い。
上記構成によれば、報知部が駆動モータの停止を報知するので、医療従事者はこの駆動モータの停止による薬剤の送液動作の中止を、確認することができる。
上記構成によれば、スピーカが駆動モータの停止を音声で報知するので、医療従事者はこの駆動モータの停止による薬剤の送液動作の中止を、音声により確認することができる。
上記構成によれば、表示部が駆動モータの停止を報知するので、医療従事者はこの駆動モータの停止による薬剤の送液動作の中止を、視覚により確認することができる。
上記構成によれば、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、シリンジからの薬液の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、操作パネル部の操作ボタンを操作することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明のシリンジポンプの実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図である。図1と図2に示すシリンジポンプ1は、例えば集中治療室等で使用され、患者に対して、例えば抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬液の微量注入処置を、高い精度で比較的長時間行うことに用いられる微量持続注入ポンプである。
これにより、シリンジ本体201内の薬液は、図2に示すようにチューブ203と留置針204を介して、患者Pに対して正確に送液することができる。このチューブ203は、薬剤171を送るためのラインであり、例えば軟質塩化ビニル等の可撓性の熱可塑性樹脂製のチューブである。チューブ203は、シリンジ本体201の先端の出口部211と留置針204の間をつないでいる。
図2に示すように、シリンジポンプ1は、筐体2を有し、この筐体2は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されている。図1に示すように、筐体2は、フロントカバー2Fとリアカバー2Rを接合して組み立てることにより、防滴性能を有する箱体として構成されている。これにより、後で説明するように、仮に薬液や水分等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫および防滴処理構造を有している。
図2に示すように、シリンジポンプ1は、筐体2と取手2Tを有している。筐体2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が載置されている。筐体2の下部分2Bには、シリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7が載置されている。これにより、医療従事者は、筐体2の上部分2Aの表示部3にカラー表示される情報内容を目視で確認しながら、シリンジ200からの薬液の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、筐体2の表示部3にカラー表示される情報内容を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
図2に示す筐体2の上部分2Aは、筐体2の上半分の部分である。筐体2の下部分2Bは、筐体2の下半分の部分である。図1と図2に示す例では、シリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7は、X方向に沿って並べて載置されている。シリンジ設定部6は、複数種類の収容量の異なるシリンジの中から、例えば必要とする収容量のシリンジ200を選択して着脱可能にはめ込んで装着することができる。
また、このクランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ設定部6の収容部8に収容して取り付ける際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向に引っ張ってR2方向に90度回して、スプリングの力によりY2方向に戻すことで、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により固定することができる。
これにより、シリンジ本体201内の薬液は、チューブ203と留置針204を通じて、患者Pに対して高い精度で比較的長時間かけて送液することができる。なお、図1と図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。
図3(C)に示す最も薬液の収容量が小さいシリンジ400は、シリンジ本体401と、シリンジ押子402を有しており、シリンジ本体401は本体フランジ409を有し、シリンジ押子402は押子フランジ405を有している。シリンジ本体401には、薬液の目盛410が形成されている。シリンジ本体401の出口部411には、フレキシブルなチューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(A)に示すシリンジ200は、例えば薬液の収容量が10mLであり、図3(B)に示すシリンジ300は、例えば薬液の収容量が5mLであり、図3(C)に示すシリンジ400は、例えば薬液の収容量が2.0mLである。
図4において、シリンジポンプ1は、全体的な動作の制御を行う制御部(コンピュータ)100を有している。この制御部100は、例えばワンチップのマイクロコンピュータであり、ROM(読み出し専用メモリ)101,RAM(ランダムアクセスメモリ)102、不揮発性メモリ103、そしてクロック104を有する。クロック104は、所定の操作により現在時刻の修正ができ、現在時刻の取得や、所定の送液作業の経過時間の計測、送液の速度制御の基準時間の計測等ができる。
なお、製造メーカによって、同じ容量のシリンジであっても、シリンジ本体201,301,401は、それぞれ大きさ(容量,外径,長さ等),シリンジ押子202,302,403が僅かに異なる。
さらに、薬剤を送り出すため、押子フランジ205,305,405を押圧する力も僅かに異なる。
このため、製造メーカ及びそれぞれのシリンジサイズに応じた(それぞれのシリンジ毎)の閉塞圧のデータを記憶部に記憶しておく。
駆動モータ133は、2相ステップモータあるいは3相ステップモータを使用しているが、モータドライブ134は、制御部100の指令CTにより、後で説明する正転用の入力電流波形SCWあるいは逆転用の入力電流波形SCCWを駆動モータ133に供給するようになっている。
なお、薬剤情報MFとしては、例えば、薬剤メーカ名,薬剤名,薬剤投与の予定量(mL)の上限・下限値,流量(mL/h)の上限・下限値,禁忌情報等である。
なお、圧力センサ900は、必ずしもシリンジ押子押圧部材10に設ける必要はない。
これに対して、例えば、図2のシリンジポンプ1と患者Pの位置関係によっては、チューブ203の一部分が折れ曲がったり捻じれたりして、チューブ203を閉塞してしまうことがある。チューブ203が閉塞状態になると、薬剤171が患者Pに送液することができなくなる。このため、シリンジ押子押圧部材10が、シリンジ押子202をT方向に押す際に、シリンジ押子202がT方向に移動しにくくなり、この結果圧力センサ900は押子フランジ205により強く押されてしまうので、図4に示す圧力センサ900が出力する圧力測定信号PSが予め定めた閉塞圧判断基準値LCを超えることになる。
図5は、図2に示すシリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7の一部分を示す斜視図である。図6は、図5に示すシリンジ設定部6とシリンジ押子駆動部7の一部分を、E方向から拡大して見た斜視図である。
図5に示すシリンジ設定部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(図3を参照)を押さえて把持する本体フランジ押さえ部500と、本体フランジ検出部600を有している。
図5と図6に示すように、本体フランジ押さえ部500は、先端部501と、2つの連結部588を有している。この先端部501は、好ましくは2つの導入部502,503と、これらの導入部502,503の間に形成されている凹部504を有している。
図7に示すシリンジ押子駆動部7は、駆動部本体700と、シリンジ押子押圧部材10と、このシリンジ押子押圧部材10に連結されている押圧操作部701を有する。駆動部本体700は、フロントカバー2Fの本体収容部2M内の下部に収容され、押圧操作部701とシリンジ押子押圧部材10は、延長部2N内に収容されている。
このブーツ800は、図2に示すシリンジ押子202をシリンジ本体201側に押してシリンジ本体201内の薬液を送る際に、弾性変形して収縮可能な部材である。図5に示すように、ブーツ800は、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、シリンジ押子押圧部材10の本体部80の間に載置されている。ブーツ800は、弾性変形により伸縮可能な例えばゴムやプラスチックにより作られており、シリンジ押子押圧部材10がX1方向とX2方向に移動するのに伴って、伸張と収縮ができる。
ブーツ800は、図4に示す送りネジ135等の機械要素を覆うために防沫構造になっている。これにより、例えばシリンジ本体201内の薬液がこぼれたり、上方に載置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液や水分等が飛散しても、送りネジ135等の機械要素に対して付着するのを防ぐ。
図6に示すように、左側の連結部分830は、本体フランジ把持部500の穴部599を通って、シリンジ本体保持部8Dの右側側面部8V側に固定されている。
これにより、シリンジ押子押圧部材10が左側に移動してブーツ800が弾性変形して収縮されると、第2凸部分821,822,823が、より直径の大きい第1凸部分に対して入り込むようになっている。
図2と図8に示すように、シリンジ押子駆動部7は、本体カバー2の延長部2N内に収容して保持されている。この延長部2Nは、本体カバー2の下部分からX1方向に延長することにより形成されている。図2に示すように、延長部2Nは、上側面部701と、下側面部702と、右側面部703を有している。この延長部2Nは、上側面部701と下側面部702と右側面部703と、図8に示すすでに説明した収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、により囲まれた空間SPを有しており、この空間SP内にはシリンジ押子駆動部7が収容されている。
図4に示すシリンジ押子駆動部7の駆動モータ133は、制御部100の指令により駆動されると、送りネジ135を回転させてシリンジ押子押圧部材10をT方向に移動させる。これにより、シリンジ押子押圧部材10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液することができる。
圧力センサ900は、破線で示すように、この本体部80に載置されており、しかも2つの把持部材81,82の間に位置されている。これにより、2つの把持部材81,82が図2に示す押子フランジ205の付近を把持した状態で、圧力センサ900は、図2に示す押子フランジ205から直接圧力を受けて圧力を検出することができる。
図9は、駆動モータ133の構造例を示し、図10は、図9に示す駆動モータ133に与えるパルス状の入力電流波形SCW、SCCWを示している。
図9に示す駆動モータ133は、例えば2相4極型のステップモータであり、マグネットロータ180と、電磁石のステータ181を有している。マグネットロータ180は、N極とS極を有する永久磁石であり、ステータ181の中で回転可能である。マグネットロータ180は、出力軸133Kに固定されている。ステータ181は、例えば時計方向に90度ごとに載置された4つの励磁コイル、すなわちコイル181A,181B,181C,181Dを有している。コイル181Aは、X端子であり、コイル181Bは、Y端子であり、コイル181Cは、Xバー端子であり、そしてコイル181Dは、Yバー端子である。
また、図9に示す駆動モータ133のコイル181A,181B,181C,181Dに対して、図4に示す制御部100の指令CTにより、モータドライバ134から図10(B)に示す逆転用の2相励磁のパルス状の入力電流波形SCCWを付与すると、図9(D)から図9(A)に示すように、マグネットロータ180は、逆転方向CCWに回転するようになっている。
図11は、シリンジポンプ1の駆動モータ113の動作例を示すフロー図である。
図11に示すステップST1では、医療従事者が、図3に示す複数種類の薬剤が収容されているシリンジ200,300,400の中から、例えば薬剤が収容されているシリンジ200を選択して、図1と図2に示すように、シリンジ200をシリンジポンプ1に対して装着する。医療従事者は、図2に示すように、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により固定する。シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に固定できる。しかも、本体フランジ209の一部分は、本体フランジ押さえ部500により把持する。
シリンジ本体201が収容部8のシリンジ本体保持部8D内に固定されると、図4に示すポテンションメータ122がシリンジ200のシリンジ本体201を検出したことを示すシリンジ識別信号CRを制御部100に送るので、制御部100は例えば図3に示す複数種類のシリンジ本体201,301,401の内からシリンジ本体201が装着されたことを判別する。しかも、圧力センサ900は、シリンジ200の押子フランジ205により押されるので、圧力センサ900から圧力測定信号PSを制御部100に送る。
図9(A)に示すマグネットロータ180の出力軸133Kと、図4に示す送りネジ135とは、図示しないギヤ装置により連結されている。従って、出力軸133Kの回転に伴って図4に示す送りネジ135が回転することにより、送りネジ135は、シリンジ押子押圧部材10を、T方向に少しずつ移動させることができる。これにより、シリンジ押子202は、図2に示すシリンジ本体201内の薬液を、チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液することができる。
ステップST3において、制御部100は、送られてくる圧力測定信号PSが、チューブ203の予め定めた閉塞判断基準値LC以下であるか、閉塞判断基準値LCを超えているかを判断する。閉塞判断基準値LCは、例えばシリンジポンプ1と患者Pの位置関係によっては、チューブ203の一部が折れ曲がったり捻じれたりして、チューブ203を閉塞してしまっている場合等を想定しており、このような状態を予め実測すること等により求めることができる。
このチューブ203についての予め定めた閉塞判断基準値LCの値としては、例えば閉塞圧が300mmHgである(但し、使用環境に応じて、「L」:200mmHg,「MH」:300mmHg,「H」の500mmHgの3段階から設定・選択したり、200〜300mmHgの間で任意に設定できるようにしてもよい。)。この場合に、制御部100は、複数の圧力測定信号PSの移動平均の圧力値をとって、チューブ203の閉塞値とする。制御部100は、得られた閉塞値と、閉塞圧判断基準値LCとを比較する。制御部100は、例えば20個の圧力測定信号PSの移動平均をとって、この圧力測定信号PSの移動平均値をチューブ203の閉塞値とすることができる。これにより、チューブ203の閉塞値は、ノイズを避けることができる。
また、駆動モータ133を逆回転することによる閉塞緩和処理によりチューブ203内の薬剤を吸引できる量の値は、シリンジポンプ1に設定されたシリンジの大きさに応じて、制御部100が選択することができる。
図4の制御部100は、図3に例示する複数種類のシリンジ200,300,400及びその製造メーカに応じて、異なる値の吸引すべき薬剤の積算量のテーブルを有している。制御部100は、ポテンションメータ122からのシリンジ識別信号CRにより、例えば図3に示す複数種類のシリンジ本体201,301,401の内のどの容量のシリンジが装着されているかを判別でき、メニュー選択ボタン4Eでその製造メーカを選択できるので、制御部100は、この例では判別した例えば最も容量の大きいシリンジ本体201に応じた吸引すべき薬剤の積算量を、薬剤の積算量のテーブルから選択することができる。
なお、押子フランジ205,305,405に設けたRFIDに製造メーカを記憶しておき、読取装置で自動で読み取るようにしてもよい。
そこで、ステップST4では、制御部100の指令CTにより、モータドライバ134から図10(A)に示す正転用の2相励磁のパルス状の入力電流波形SCWを付与するのを停止することで、駆動モータ133のマグネットロータ180の正転は停止する。
ステップST4で駆動モータ133のマグネットロータ180の正転が停止すると、ここの時点で必要に応じて、ステップST5では、図4の制御部100は、表示部ドライバ130に指令を与えて、表示部3において、「駆動モータが停止」したことを警告表示するとともに、表示部3の表示画面は例えば「黄色の背景」から「白色の背景」に変更することにより、医療従事者に注意を喚起する。また、制御部100は、スピーカ131により、音声により「駆動モータが停止」したことを報知する。
逆回転を停止するための複数の所定の条件として、1)閉塞圧が所定(50mmHg)以下、2)シリンジ毎に定めた「逆回転量」が所定のステップ数に達する、3)積算量が送液開始時の積算量以下、4)積算量が0、等がある。
ここで、積算量とは、所定の薬剤が収容された全く新しいシリンジ200,300,400を、シリンジポンプ1のシリンジ載置部に載置した後、送液を開始して患者に送液される全部の送液量である。
装着されているシリンジのサイズにより、図9の駆動モータ133のマグネットロータ180を逆転方向CCWに回転する逆回転量が変わる。これは、制御部100が既に説明したように、例えばシリンジ本体201の装着を把握しているので、例えば図2に示すシリンジ本体201のサイズに応じて、図4の制御部100は、モータドライバ134に対して駆動モータ133のマグネットロータ180を逆転方向CCWの逆回転量を指示することで、シリンジ本体201のサイズに応じたチューブ203内の減圧を行う。ただし、チューブ203を減圧する際に、チューブ203の閉塞により生じた加圧力を解消するだけであり、チューブ203内がマイナスの圧力にならないようにする。つまり、マグネットロータ180を逆回転する場合には、マグネットロータ180は、予め定めたシリンジ毎に定めた「逆回転量」分のステップ数だけ逆回転させる。
もし、チューブ203内がマイナスの圧力になると、チューブ203を通じて患者Pの例えば血液等がシリンジ本体201側に吸引されてしまうおそれがあるので、チューブ203内がマイナスの圧力にならないようにチューブ203内の圧力を調整するために、制御部100はマグネットロータ180を逆転方向CCWの逆回転量を設定する必要がある。
このように、ステップST7において駆動モータ133の逆転作動が停止したら、ステップST5に示すように、図4の制御部100は、表示部ドライバ130に指令を与えて、表示部3において、「駆動モータが停止」したことを警告表示するとともに、表示部3の表示画面は例えば「黄色の背景」から「白色の背景」に変更することにより、医療従事者に注意を喚起する。また、制御部100は、スピーカ131、赤色に点灯または点滅するランプ4Aにより、音声により「駆動モータが停止」したことを報知する。
また、何かの原因で、図8に示すシリンジ押子押圧部材10の2つの把持部材81,82から押子フランジ205が外れてしまった場合には、押子フランジ205はもはや圧力センサ900に当接していないので圧力センサ900の圧力測定信号PSが無くなる。この場合にも、制御部100は、駆動モータ133のマグネットロータ180の逆回転を停止するとともに、報知部であるスピーカ131、赤色に点灯または点滅するランプ4Aや表示部3を用いて警報を出す。
これらの場合にも、ステップST5で示すように、図4の制御部100は、表示部ドライバ130に指令を与えて、表示部3において、「駆動モータが停止」したことを警告表示するとともに、表示部3の表示画面は例えば「黄色の背景」から「白色の背景」に変更することにより、医療従事者に注意を喚起する。また、制御部100は、スピーカ131や赤色に点灯または点滅するランプ4Aにより、音声により「駆動モータが停止」したことを報知する。
これにより、圧力センサが、チューブが閉塞した状態であることを検出するためにシリンジ押子を押す際の圧力を検出し、制御部は、圧力センサの検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値を超えた時に駆動モータを逆転作動させて、圧力センサが検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値以下になった時には駆動モータの逆転作動を停止させる。
すなわち、圧力センサの検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値を超えた時は、チューブの折れ曲がりや捻じれを原因とする閉塞が生じていると考えられるので、そのまま薬液を送り続けると多量の薬液が所定箇所で滞留する可能性がある。そこで、駆動モータを逆転させて、このような事態を回避する。圧力センサが検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値以下になった時には、チューブの折れ曲がりや捻じれが解消されたことが想定できるので、チューブの所定箇所に滞留された薬液があっても、その滞留状態を解消することができる。
これにより、チューブの折れ曲がりや捻じれを直してチューブの閉塞状態が解除された場合に、薬剤がチューブ中を急激に流れないようにしながら薬剤の送液を中止することができ、薬剤の送液動作の安全性を高めることができる。
制御部は、駆動モータの逆転作動を停止する際に、駆動モータの励磁を一定時間維持させるので、駆動モータのロータの逆転作動を停止させる時に、ロータの慣性によりさらにロータが逆回転してしまうのを防ぐことができ、チューブ内の薬剤を無用に吸引することが無い。
報知部は、駆動モータが停止されたことを音声で知らせるスピーカであることを特徴とするので、スピーカが駆動モータの停止を音声で報知するので、医療従事者はこの駆動モータの停止による薬剤の送液動作の中止を、音声により確認することができる。
報知部は、駆動モータが停止されたことを表示する表示部であるので、表示部が駆動モータの停止を報知するので、医療従事者はこの駆動モータの停止による薬剤の送液動作の中止を、視覚により確認することができる。
駆動モータ133は、2相ステップモータ以外に、例えば3相ステップモータでも良い。
Claims (8)
- 薬剤が充填されているシリンジのシリンジ押子を押すことで、前記シリンジ内の前記薬剤を、チューブを介して患者に送液するシリンジポンプであって、
前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、
駆動モータと、
前記駆動モータの正転作動により前記シリンジ押子を押して前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液する移動部材と、
前記チューブが閉塞した状態であることを検出するために前記シリンジ押子を押す際の圧力を検出する圧力センサと、
前記シリンジ設定時に装着された前記シリンジに対して前記圧力センサの検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値を超えた時に、前記駆動モータの逆回転を開始させることで閉塞緩和処理を行い、その後、前記逆回転を停止するため、下記の1)〜3)の3つの条件を記憶しておき、前記3つの条件のうちいずれの条件に達しても前記駆動モータの逆転作動を停止させる制御部と
1)閉塞圧が所定(50mmHg)以下となる、
2)前記シリンジ毎に定めた「逆回転量」が、装着された前記シリンジに対して、所定のステップ数になる、
3)積算量が前回の積算量を含むとき、今回の送液開始時の積算量以下になる、
を有することを特徴とするシリンジポンプ。 - 薬剤が充填されているシリンジのシリンジ押子を押すことで、前記シリンジ内の前記薬剤を、チューブを介して患者に送液するシリンジポンプであって、
前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、
駆動モータと、
前記駆動モータの正転作動により前記シリンジ押子を押して前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液する移動部材と、
前記チューブが閉塞した状態であることを検出するために前記シリンジ押子を押す際の圧力を検出する圧力センサと、
前記シリンジ設定時に装着された前記シリンジに対して前記圧力センサの検出する圧力が予め定めた閉塞判断基準値を超えた時に、前記駆動モータの逆回転を開始させることで閉塞緩和処理を行い、その後、前記逆回転を停止するため、下記の1)〜3)の3つの条件を記憶しておき、前記3つの条件のうちいずれの条件に達しても前記駆動モータの逆転作動を停止させる制御部と
1)閉塞圧が所定(50mmHg)以下となる、
2)前記シリンジ毎に定めた「逆回転量」が、装着された前記シリンジに対して、所定のステップ数になる、
3)積算量が0になる、
を有することを特徴とするシリンジポンプ。 - 前記駆動モータはステップモータであり、前記圧力センサは移動部材に載置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリンジポンプ。
- 前記制御部は、前記駆動モータの前記逆転作動を停止する際に、前記駆動モータの前記逆転作動の励磁を一定時間維持させることを特徴とする請求項3に記載のシリンジポンプ。
- 前記駆動モータが停止されると、前記駆動モータが停止されたことを報知する報知部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリンジポンプ。
- 前記報知部は、前記駆動モータが停止されたことを音声で知らせるスピーカであることを特徴とすることを特徴とする請求項5に記載のシリンジポンプ。
- 前記報知部は、前記駆動モータが停止されたことを表示する表示部であることを特徴とする請求項5に記載のシリンジポンプ。
- 前記シリンジポンプの本体の上部分には、情報を表示する前記表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が載置され、前記シリンジポンプの本体の下部分には、前記シリンジ設定部と前記移動部材が載置されていることを特徴とする請求項7に記載のシリンジポンプ。
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