JP2017131218A - Ebウイルス関連nk細胞リンパ増殖性疾患からnk細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定方法 - Google Patents

Ebウイルス関連nk細胞リンパ増殖性疾患からnk細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定方法 Download PDF

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岡 剛史
Takashi Oka
剛史 岡
佳奈 鷲尾
Kana Washio
佳奈 鷲尾
正 吉野
Tadashi Yoshino
正 吉野
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Abstract

【課題】EEBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定方法の提供。
【解決手段】特定の遺伝子、(A−1)GPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2等、(A−2)RFC2、PLK1、DHFR、CDC45L、PTPN11、BIRC5等、(B−1)TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1等、(B−2)TNFRSF10A、CCND2、PDGFRA、FADS1等、(C)ZNF569、ZNF836、PALLD、SOX4、ZNF91、LEF1等、(D−1)MSN、HLA−DPB1、SLC16A3、MYO6等、(D−2)ATAD3A、LOC100129935、TJP1、SSX1等から選択される1種以上の遺伝子の発現量を測定する疾患の検査補助のための測定方法。
【選択図】図9

Description

本発明は、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患及び/又はNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、具体的には蚊刺過敏症(hypersensitivity to the Mosquito Bite; HMB)、慢性活動性EBウイルス感染症(Chronic Active EBV infection; CAEBV)、EBV陽性NK細胞性リンパ腫(NK Lymphoma)、EBV陽性NK細胞性白血病(NK Leukemia)への4つの病態のいずれかへの進展を段階的に進展していく各疾患の検査補助のための測定方法に関する。
EBウイルス(Epstein-Barr virus:以下、単に「EBV」という場合もある。)は、ヒトヘルペスウイルス科に属する、170kbpのDNAウイルスで、90%以上の成人で感染が見られる。唾液を介してBリンパ球に感染し、通常は潜伏感染(latent infection)しているが、時に再活性化して溶解感染(lytic infection)を起こし、宿主の唾液と共に他者に感染したり、宿主の他のBリンパ球や組織に感染を起こす。EBVはヒト発がんウイルスとして最初に同定されたウイルスであり、悪性B細胞性リンパ腫や胃がん、上咽頭がん等の発症と関連があることが分かっている。
1996年以降は、EBVとEBV関連T/NKリンパ増殖性疾患(EBV-associated T/NK-cell LPD)、すなわち蚊刺過敏症(HMB)、種痘様水疱症、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)などとの関連についても注目が集まっている。これらの疾患群は、欧米では稀で、日本を含む東アジアで多く見られるのも重要な特徴の一つである。これらのEBV関連T/NKリンパ増殖性疾患では、長期間経過すると、血球貪食症候群などの致命的な合併症や、EBV陽性NK/T細胞性リンパ腫/白血病(EBV-associated NK/T cell Lymphoma/Leukemia)を発症し、致命的となる症例がしばしば報告されている。EBV陽性NK/T細胞性リンパ腫(EBV-associated NK/T Lymphoma)は、鼻腔や咽頭に発生し、顔面正中部に向かって進行する破壊性の壊死性肉芽腫性病変を中心とする悪性リンパ腫である。肺・皮膚・消化管などの他臓器への浸潤、血球貪食症候群などが高頻度に出現し、極めて予後不良である。時に白血病化しEBV陽性NK細胞性白血病(EBV-associated NK Leukemia)を発症する。HMB、CAEBV、NK/T細胞性リンパ腫/白血病は段階的に病態が進展していく疾患群であることが推測される。上記において、NK細胞はナチュラルキラー(natural killer)細胞である。
子供や若年成人に発症するCAEBVは、EBV関連T/NKリンパ増殖性疾患を示す難治性疾患であり、2008年度のWHOの造血器腫瘍分類で初めて登録された新しい疾患概念である。病期病態的には、1)いわゆる前腫瘍状態を示す病期、から、2)非腫瘍性でクローナルな増殖を示す病期、3)腫瘍性でクローナルな増殖を示す病期、に分類される。症状は多彩かつ重篤で、無治療では致命的であり、根治のためには骨髄移植が必要である。感染症と悪性腫瘍の二つの側面を持つが、その発症機序・病態についてはまだ未解明な点が多い。
従来CAEBVは、組織又は末梢血中でのEBV感染細胞の増殖を証明することで診断されていた。CAEBV診断基準はいくつか報告されており、例えば「EBウイルス感染症研究会(http:/www.ebken.org)から「慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)診断指針」が2003年に発表され、わが国ではこの診断基準に従ってCAEBVの診断を行っている。具体的には、1)持続的あるいは再発する伝染性単核症様症状、2)VCA、EA抗体価高値を伴う異常なEBV抗体反応又は組織病変(含末梢血)におけるEBVゲノム量の増加、3)慢性的に経過し既知の疾患とは異なること、などの3項目を満たすことを要する。より具体的にはEBV-DNA量をリアルタイムPCR法により測定したり、組織でのEBV-EBER1(EB virus-encoded RNA1)in situ ハイブリダイゼーション(in situ hybridization; ISH)法によるウイルス感染細胞増加の確認により診断することができる(非特許文献1)。また、フローサイトメトリーによってウイルス感染細胞を検出・同定する方法について開示がある(特許文献1)。しかしながら、上記の方法では他のEBV感染症との識別が困難であり、さらに腫瘍性増殖を早期に診断することは極めて困難であるのが実情である。CAEBV診断、病態の進展及び治療の効果判定・モニタリングなどに使用可能な高感度かつ高精度な特異的マーカーの開発が待たれている。
従来の疾患診断、特にがん疾患診断は、血液、尿中のバイオマーカー測定による生化学的検査、カメラ、内視鏡等による画像検査が主体であった。しかし、現状では、上述のように疾患特異的なバイオマーカーが発見されていないものや画像検査が評価の対象とならない疾患も数多く存在し、早期診断や治療効果の判定、予後診断を困難にしている。一方、創薬、薬理学、毒性学、診断に供する知見を得るための新たな研究手法として、メタボローム等の解析が行われている。また、メタボロームの解析方法として、例えば、主成分分析(principal component analysis:PCA)及び部分最小自乗法(PLS)などの統計解析を用い、取得したスコアの座標配置による群分けを行い、ローディングプロットによる化合物を同定してマーカーを選別する方法自体は公知である。しかしながら、EBV関連T/NKリンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、具体的にはHMB、CAEBVから、NK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病の4つの病態を段階的に進展していく各疾患の診断に利用可能な有望なバイオマーカーの開発は十分とはいえない。
モダンメディア56巻5号2010、93-99頁
国際公開パンフレットWO2009/116266号公報
本発明は、EBV関連NKリンパ増殖性疾患及び/又はNK細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定方法を提供することを課題とする。具体的にはHMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病への4つの病態のいずれかへの進展を段階的に進展していく各疾患の検査補助のための測定方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、被検者から採取された生体検体中から、特定の有限個の解析対象成分を選別して定量し、主成分分析を行なうことにより、他のEBV感染症との識別が容易となる検査用バイオマーカーを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.採取された生体検体について、GPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9、RFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026、GINS3、PRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR、PROK2、TNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18、ATL3、TC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、USP9Y、PTPLAD2、RFESD、ALKBH3、IDG2、NPHP3、CTNNBIP1、GNAI1、IPAR6、CCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SAMD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、NAP1L5、FUNDC1、CD2、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRB3、ATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2、NEFH、ITGA6、SPHK1、SFN、FGF9、TMP3、CSF1R、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3及びZNF320から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、蚊刺過敏症(HMB)、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)、NK細胞性リンパ腫(NK Lymphoma)、NK細胞性白血病(NK Leukemia)のいずれかへの進展に至る疾患の検査補助のための測定方法。
2.前項1に記載の遺伝子が、(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)のクラスターに分類され、(A−1)がGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9であり、(A−2)がRFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026、GINS3であり、(B−1)がPRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR、PROK2であり、(B−2)がTNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18、ATL3であり、(C)がTC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、USP9Y、PTPLAD2、RFESD、ALKBH3、IDG2、NPHP3、CTNNBIP1、GNAI1、IPAR6であり、(D−1)がCCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SAMD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、NAP1L5、FUNDC1、CD2、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRB3であり、(D−2)がATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2、NEFH、ITGA6、SPHK1、SFN、FGF9、TMP3、CSF1R、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3、ZNF320と分類され、(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)及び(D−2)から選択されるいずれかのクラスターに含まれる遺伝子群のうち、いずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、前項1に記載の測定方法。
3.(A−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であると判定するための、前項2に記載の測定方法。
4.(A−1)に分類される遺伝子群がGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9である、前項3に記載の測定方法。
5.(A−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であると判定するための、前項2に記載の測定方法。
6.(A−2)に分類される遺伝子群がBIRC5、PTPN11、CDC45L、RFC2、DHFR、PLK1である、前項5に記載の測定方法。
7.(B−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人及びHMB患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMBからCAEBV及び/又はNK細胞性腫瘍進 展に至ると判定するための、前項2に記載の測定方法。
8.(B−1)に分類される遺伝子群がTSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMRである、前項7に記載の測定方法。
9.(B−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人又はHMB患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMBからCAEBV及び/又はNK細胞性腫瘍進展 に至ると判定するための、前項2に記載の測定方法。
10.(B−2)に分類される遺伝子群がATL3、TNFRSF10A、FADS1、CCND2、PDGFRAである、前項9に記載の測定方法。
11.(C)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者又はCAEBV患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMB及び/又はCAEBVからNK細胞性腫瘍進展に至る と判定するための、前項2に記載の測定方法。
12.(C)に分類される遺伝子群がPALLD、ZNF836、ZNF91、ZNF569、USP9Y、SOX4、LEF1である、前項11に記載の測定方法。
13.(D−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者、CAEBV患者又はEBV関連NK細胞性リンパ腫患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞性リンパ腫からNK細胞性白血病進展に至ると判定するための、前項2に記載の測定方法。
14.(D−1)に分類される遺伝子群がBCL6、ATXN1、SMAD3、MSN、HLA-DPB1、SLC16A3、MYO6である、前項13に記載の測定方法。
15.(D−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者、CAEBV患者又はEBV関連NK細胞性リンパ腫患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBV関連NK細胞性リンパ腫からNK細胞性白血病進展に至ると判定するための、前項2に記載の測定方法。
16.(D−2)に分類される遺伝子群がMECOM、SPANXA2、SPANXB1、NEFH、TJP1、LOC100129935、SSX1、SSX2、ATAD3Aである、前項15に記載の測定方法。
17.EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患が、HMB及び/又は CAEBVであり、NK細胞性腫瘍進展に至る疾患が、NK細胞性リンパ腫及び/又はNK細胞性白血病である、前項1〜16のいずれか1に記載の測定方法。
本発明の検査方法によれば、EBV関連NKリンパ増殖性疾患及び/又はNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、具体的にはHMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病への4つの病態のいずれかへの進展について特異的かつ感度よく検査することができる。その結果、他のEBV感染症との識別が容易となり、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患等の重篤な疾患の発症や移行を早期に診断することができ、その結果早期に治療することが可能となる。このことにより、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患とEBV陽性NK細胞性リンパ腫及びEBV陽性NK細胞性白血病発症予防法の開発、さらには原因遺伝子等の特定が可能となることが期待され、より有効な治療方法の開発に大きく寄与することが期待される。
マイクロアレイ法により、EBV感染に伴って特異的に発現量が変化している遺伝子を検出した結果を示す図である。(参考例1) マイクロアレイ法により、病態の悪性化に伴って特異的に発現量が変化している遺伝子を検出した結果を示す図である。(参考例1) マイクロアレイ法により、腫瘍化に伴って特異的に発現量が変化している遺伝子を検出した結果を示す図である。(参考例1) マイクロアレイ法により、白血病化に伴って特異的に発現量が変化している遺伝子を検出した結果を示す図である。(参考例1) 主成分分析結果1を示す図である。(参考例3) 主成分分析結果2を示す図である。(参考例3) 各病態と各遺伝子のmRNA発現の関係を確認した結果図である。(実施例1) 各病態と各遺伝子のmRNA発現の関係を確認した結果図である。(実施例1) 各病態と各遺伝子のmRNA発現の関係を確認した結果図である。(実施例1) 各細胞株について、各タンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより確認した結果を示す写真図である。(実施例3) 各細胞株について、培地成分の違いによるCyclinD1タンパク質の発現の違いを確認した結果図である。CyclinD1タンパク質の発現は培地成分による影響を受けない。(実施例4) 各細胞株について、培地成分の違いによる細胞周期に及ぼす影響を確認した結果図である。細胞周期は培地成分による影響を受けない。(実施例4) 反応性リンパ様過形成(RLH:Reactive lymphoid hyperplasia)、CAEBV及びNK/T細胞性リンパ腫の各患者由来の生体検体について、Fas、CD56及びDAPI(核染色)による蛍光三重染色を行い、各細胞でのアポトーシス関連遺伝子の発現を確認した結果図である。(実施例5)
(本発明の検査方法)
本発明は、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患及び/又はNK細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定方法に関する。具体的には蚊刺過敏症(HMB)、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)、EBV陽性NK細胞性リンパ腫(NK Lymphoma)、EBV陽性NK細胞性白血病(NK Leukemia)への4つの病態のいずれかへの進展を段階的に進展していく各疾患の検査補助のための測定方法に関する。本発明は、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患におけるHMB及びCAEBVと、NK細胞性腫瘍におけるEBV陽性NK細胞性リンパ腫及びEBV陽性NK細胞性白血病への進展の状態の検査補助のための測定方法として実施することができる。
HMBは蚊アレルギーともいい、蚊に刺されると疼痛を伴う著明な発赤・腫脹・皮膚潰瘍を生じ、高熱・肝障害・リンパ節腫大等の全身症状を伴う。経過中に、血球貪食症候群、 CAEBV等を合併することがある。
CAEBVは、高熱・肝障害・リンパ節腫大等の、伝染性単核球症様の症状が、長期にわたり持続、又は反復して見られる疾患で、血球貪食症候群・心筋炎・間質性肺炎等を合併し長期予後は極めて不良である。モノクローナルな増殖を示すEBV感染NK/T細胞を末梢血中に認める。
NK/T細胞性リンパ腫は、鼻腔や咽頭に発生し、顔面正中部に向かって進行する破壊性の壊死性肉芽腫性病変を中心とする悪性リンパ腫である。肺・皮膚・消化管などの他臓器への浸潤、血球貪食症候群などが高頻度に出現し、極めて予後不良である。時に白血病化し、NK細胞性白血病となる。
これらの疾患では、長期間経過すると、血球貪食症候群などの致命的な合併症や、NK/T細胞性リンパ腫/白血病を発症し致命的となる症例がしばしば報告されている。HMB、CAEBV、NK/T細胞性リンパ腫/白血病は段階的に病態が進展していく疾患群であることが推測され、早期の診断が重要である。
NK細胞はいくつかのサブセットに分類される。例えばCD56brightCD16- (CD56強陽性・CD16陰性)NK細胞は、リンパ節・脾臓・扁桃等に多く偏在する。形態学的には顆粒を有さず、KIR(Killer cell Immunoglobulin-like Receptors)の発現がなく、ADCCを惹起できず、強い細胞傷害性も示さない。サイトカイン産生量が多く、免疫調節作用をもっていることが示唆される。CD56dimCD16+(CD56弱陽性・CD16陽性)NK細胞は主に末梢血中に存在する。細胞質には細胞傷害性顆粒を多数有し、KIR、NKG2レセプター発現あり、ADCCを惹起し、強い細胞傷害性を示す。サイトカイン産生は少ない。
本発明の検査方法によれば、EBV感染者又は感染の可能性がある者から採取された生体検体について測定することで、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、例えばHMB、CAEBVからEBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病等の各種疾患の状況を判定することが可能となる。
本発明の検査方法は、採取された生体検体について行うことができる。本明細書において、「採取された生体検体」とは、遺伝子の分析可能な検体であればよく特に限定されないが、例えば血液、骨髄液、胸水・腹水、脳脊髄液や唾液、喀痰、尿などの生体液やリンパ節生検材料が挙げられる。血液の場合には、例えば末梢血単核球(PBMC)が取扱いに好適である。本明細書では、「生体検体」とは生体から採取したものをいい、生体検体に対して何らかの処理を行い、検査に供されるものを「試料」という場合がある。発明の検査方法に供するための試料の調製方法は、特に限定されず、自体公知の方法又は今後開発されるあらゆる方法を適用することができる。
本発明のEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患の検査補助のための測定は、測定対象遺伝子群から選択される1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することにより達成される。遺伝子発現量の測定方法は、特に限定されず、自体公知の方法又は今後開発されるあらゆる方法が適用されうる。代表的な例として、PCR等の遺伝子増幅法を用いることで解析することができる。具体的にはRT-PCR法が挙げられる。また、組織免疫染色によってもよい。感度よく測定する方法は、適宜選択することができる。EBV感染者又は感染の可能性がある患者について、上記採取された生体検体中の解析対象遺伝子から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子発現パターンを解析することで、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、例えばHMB、CAEBVからEBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病等の各種疾患の状況を判定することが可能となる。
測定対象遺伝子群は、例えばGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9、RFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026、GINS3、PRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR、PROK2、TNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18、ATL3、TC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、USP9Y、PTPLAD2、RFESD、ALKBH3、IDG2、NPHP3、CTNNBIP1、GNAI1、IPAR6、CCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SAMD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、NAP1L5、FUNDC1、CD2、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRB3、ATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2、NEFH、ITGA6、SPHK1、SFN、FGF9、TMP3、CSF1R、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3、ZNF320とすることができる。これらの遺伝子は、クラスター(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)に分類することができる。
上記(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)のクラスターに分類されるいずれかに含まれる遺伝子について、いずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することで、HMB、CAEBV、NK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病のいずれかへの進展に至る疾患、例えばHMB、CAEBVからEBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病等の各種疾患の状況を判定することが可能となる。各測定対象遺伝子のうち、各疾患の状況に応じて遺伝子発現が減少又は増加する遺伝子を測定することで、疾患の状況を把握することができる。例えば、クラスター(A−1)に分類される遺伝子群はEBV感染に伴って遺伝子発現が減少傾向を示し、クラスター(A−2)に分類される遺伝子群はEBV感染に伴って遺伝子発現が増加する傾向を示し、クラスター(B−1)に分類される遺伝子群はHMBから、CAEBV、腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫)への進展に伴って遺伝子発現が減少する傾向を示し、クラスター(B−2)に分類される遺伝子群はHMBからCAEBVへの進展に伴って遺伝子発現が増加する傾向を示し、クラスター(C)に分類される遺伝子群はHMB、CAEBVのEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍(EBV陽性NK細胞性リンパ腫/白血病)への進展に伴って遺伝子発現が減少する傾向を示し、クラスター(D−1)に分類される遺伝子群はHMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が減少する傾向を示し、クラスター(D−2)に分類される遺伝子群はHMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が増加する傾向を示す。したがって、本発明の検査方法において、下記に列挙する遺伝子の発現をマーカーとすることができる。
(A−1)クラスターA-1に分類される遺伝子として、例えばGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1 &2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F及びLY9が挙げられる。
(A−2)クラスターA-2に分類される遺伝子として、例えばRFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026及びGINS3が挙げられる。
(B−1)クラスターB-1に分類される遺伝子としては、例えばPRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1 及び OSMRが挙げられる。クラスターB-1に多く含まれるアポトーシス制御に関わる遺伝子として、例えばCADM1、CRTAM及びPROK2が挙げられる。
(B−2)クラスターB-2に分類される遺伝子としては、例えばTNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18及びATL3が挙げられる。
(C)クラスターCに分類される遺伝子としては、例えばTC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、PHACTR2、USP9Y及びPTPLAD2が挙げられる。クラスターCに多く含まれる酸化還元に関連する遺伝子としては、例えばRFESD、ALKBH3、DHRS3、GPD2、IDG2 及び NPHP3が挙げられる。クラスターCに多く含まれるWntレセプターシグナル経路の制御等に関連する遺伝子としては、例えばSOX4、ADCY9、CTNNBIP1、GNAI1、KLRB1、LEF1、IPAR6 及び USP9Yが挙げられる。
(D−1)クラスターD-1に分類される遺伝子として、例えばCCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SMAD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、GNAQ、NAP1L5及びFUNDC1が挙げられる。クラスターD-1に分類されるMHC-IIタンパク質複合体又は細胞接着分子(Cell adhesion molecules: CAMs)に関連する遺伝子としては、例えばCD2、ICOS、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB3及びHLA-DRB4が挙げられる。
(D−2)クラスターD-2に分類される遺伝子として、例えばATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2及びNEFHが挙げられる。クラスターD-2に分類される癌パスウェイに関連する遺伝子として、例えばITGA6、SPHK1、SFN、TJP1、FGF9及びTMP3が挙げられる。癌原遺伝子や転写制御に関連する遺伝子として、例えばCSF1R、MECOM、SSX1、SSX2、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3及びZNF320が挙げられる。
より好適には以下の(1)〜(7)に分類する遺伝子の発現量を測定することで、疾患の状況を把握することができる。
(1)EBV感染に伴うEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患において、遺伝子発現が減少する遺伝子群(クラスターA−1に含まれる)
GPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9
(2) EBV感染に伴うEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患において、遺伝子発現が増加する遺伝子群(クラスターA−2に含まれる)
BIRC5、PTPN11、CDC45L、RFC2、DHFR、PLK1
(3)HMBからCAEBV、更に腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫)への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(クラスターB−1に含まれる)
TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR
(4)HMBからCAEBV、更に腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫/白血病)への進展に伴って遺伝子発現が増加する遺伝子群(クラスターB−2に含まれる)
ATL3、TNFRSF10A、FADS1、CCND2、PDGFRA
(5)HMB、CAEBVから腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫/白血病)への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(クラスターCに含まれる)
PALLD、ZNF836、ZNF91、ZNF569、USP9Y、SOX4、LEF1
(6)HMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(クラスターD−1に含まれる)
BCL6、ATXN1、SMAD3、MSN、HLA-DPB1、SLC16A3、MYO6
(7)HMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が増加する遺伝子群(クラスターD−2に含まれる)
MECOM、SPANXA2、SPANXB1、NEFH、TJP1、LOC100129935、SSX1、SSX2、ATAD3A
(予備的検討)
本発明の検査方法に係る発明を完成させるに当たり、まず初めに各種遺伝子発現プロファイルを確認した。網羅的遺伝子発現解析に基づいて主成分分析を行い、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患に係る各疾患のバイオマーカーの解析を行った。複数個の解析対象遺伝子について主成分分析を行うことで、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る各疾患に関連する細胞に含まれる各種遺伝子を、例えばマイクロアレイ解析や次世代シーケンサー(NGS: Next Generation Sequencer)解析により行うことができる。
次に、各種遺伝子発現プロファイルに基づいて各遺伝子の特性を確認する。特性の確認は、GO(Gene Ontology)解析によることができる。特性解析にはDAVID(the Database for Annotation, Visualization and Integrated Discovery、「<http://david.abcc.ncifcrf.gov/>」を活用することができる。
クラスターA-1に分類される遺伝子群は、SH3(Src-homology 3)ドメイン、免疫グロブリンサブタイプ、サイトスケレトン(細胞骨格)、ニューロトロフィン(神経栄養作用を有するタンパク質群)のシグナルパスウェイ、サーカディアン・リズム(circadian rhythm)及び転写制御に関連する。クラスターA-2に分類される遺伝子群は、Membrane-encoded lumen、DNA複製及びDNA代謝プロセス、RNA結合及びRNAプロセシング、細胞周期及び細胞分裂に関連する。クラスターB-1に分類される遺伝子群は、リンパ球を介する免疫、膜、ジスルフィド結合、リン代謝プロセス及びアポトーシス制御等に関連する。クラスターB-2に分類される遺伝子群は、小胞体、細胞内シグナルカスケード、膜画分、リン酸塩代謝プロセス及びイオントランスポート等に関連する。クラスターCは、転写制御、C2膜ターゲットタンパク、酸化還元、Wntレセプターシグナル経路の制御等に関連する。クラスターD-1に分類される遺伝子群は、MHC-IIタンパク質複合体、細胞接着分子(CAMs)、リソソーム、生合成のプロセスの負調節、核内ホルモン受容体、転写抑制因子活動、RNA代謝プロセスの負の制御等に関連する。クラスターD-2に分類される遺伝子群は、癌原遺伝子、癌パスウェイ、胚の形態形成、増殖の正の制御及び接着接合部(Adhesion junction)等に関連する。
さらに、主成分分析(PCA)を行った結果、1)正常PBMC、2)NKタイプ細胞(健常人CD56(+)CD16(-) NK細胞、HMB由来細胞、CAEBV由来細胞及びNK細胞性リンパ腫由来細胞)と、3)NK細胞性白血病由来細胞の3種類の発現カテゴリーが認められた(図5)。次にNKタイプ細胞について主成分分析(PCA)を行なった結果、2−1)健常人CD56(+)CD16(-) NK細胞と、2−2)CAEBV由来細胞及びNK細胞性リンパ腫由来細胞と2−3)HMB由来細胞及び3)NK細胞性白血病由来細胞に分類された(図6)。これによれば、CAEBVとEBV陽性NK細胞性リンパ腫の遺伝子発現パターンは類似することが観察された。
予備的検討では、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患は、HMB、CAEBVからNK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病の4つの病態へと段階的に進展していく疾患群として捉え、遺伝子発現プロファイル解析を行った。EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患では、正常NK細胞と比較して、細胞増殖を促進するサイクリン、CDK等の遺伝子と、細胞周期を止めるp53、p21、chk1/2等の遺伝子のいずれにおいても、その発現が増強していた。また、アポトーシス制御に関わる遺伝子群でも、survivinやBcl-XL等のアポトーシス回避分子のみならず、FASやTRAILR、Caspase 3といったアポトーシス誘導分子についても、その遺伝子発現が増強していた。特に、アポトーシス誘導分子はHMB・CAEBVで、アポトーシス回避分子はリンパ腫/白血病で発現がより強く見られる傾向にあった。EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患では、 JAK/STATシグナル経路に関わる分子の多くに遺伝子発現量の変化が見られた。JAK/STAT系にシグナルを伝達するレセプター群、レセプター直下のSHP1、SHP2、SOCS3等の分子、JAK/STAT系のout putに相当する分子等で、いずれも細胞増殖を促進する方向への発現量の変化を認めた。
EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、具体的にはHMB、CAEBVから、EBV陽性NK細胞性リンパ腫、EBV陽性NK細胞性白血病への4つの病態における遺伝子発現プロファイルでは、感染症(細胞周期停止)及び腫瘍(細胞増殖促進、アポトーシス回避)の両方の特徴的な発現パターンを認めた。HMB、CAEBVではアポトーシス誘導分子が強く発現しており、これらの疾患が完全な腫瘍ではない(前がん病変である)ことを示唆している。一方、リンパ腫、白血病においては、細胞周期の促進に関わる分子やアポトーシス回避分子の遺伝子発現が、HMB、CAEBVと比較してより強く認められ、この2疾患が悪性腫瘍としての性質をより明確に持っていることを示していた。こういった発現パターンは、末梢血中にEBV DNAが増加している、HMB → CAEBV → NK細胞性リンパ腫 → NK細胞性白血病と段階的に進展していく傾向にある、等の臨床的特徴と合致していた。
JAK/STATシグナル経路に関わる分子の発現が多く見られ、特に、レセプター直下の脱リン酸化酵素であるSHP1・SHP2に特徴的な発現パターンが見られた。SHP1は造血細胞の細胞増殖・生存等に関わる分子で、多くの造血系腫瘍でプロモーターのメチル化による発現抑制が報告されている。また、SHP2も、腫瘍遺伝子としてヘリコバクター・ピロリ感染に伴う胃がんの発症等に関わっているとする報告がある。本明細書に於いてもSHP1、SHP2の腫瘍特異的な発現パターンがHMBの段階から認められ、これらの分子がEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患の発症に深く関わっている可能性が示唆された。
本発明の理解を助けるために、以下に参考例及び実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。なお、参考例は本発明を完成させるに至った経緯を示す例である。
(参考例1)マイクロアレイによる各種遺伝子発現プロファイルの確認
本発明の検査方法に係る発明を完成させるに当たり、まず初めにEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患は、HMB、CAEBVからNK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病の4つの病態へと段階的に進展していく疾患群として捉え、遺伝子発現プロファイル解析を行った。遺伝子発現プロファイル解析で使用した各細胞を以下に示した。本参考例では、HMB、CAEBV、NK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病、それぞれ患者由来細胞のmRNAを抽出し、マイクロアレイ法により、各病態特異的に発現する遺伝子を検出し、CAEBV検査用バイオマーカーの予備的検討を行った。
1)使用細胞
a)PBMC:Ficoll-Hypaque 法を用いて健常ドナー末梢血より採取した。
b)CD56(+)CD16(-) normal NK:MACS CD56+CD16-NK cell Isolation Kit を用いて健常ドナーの扁桃組織より採取した。
c)KAI3:HMB患者の末梢血由来細胞株
10%ウシ胎児血清、50 U/ml IL-2添加AIM-Vで培養した。
d)SNK10:CAEBV患者末梢血由来培養細胞株
10%ヒト血清、700 U/ml IL-2添加gm+RPMIで培養した。
e)HANK1:NK/T細胞性リンパ腫患者の原発巣由来細胞株
10%ウシ胎児血清、100 U/ml IL-2添加IMDMで培養した。
f)SNK6:NK/T細胞性リンパ腫患者の原発巣由来細胞株
10%ヒト血清、700 U/ml IL-2添加gm+RPMIで培養した。
g)NK-YS:NK/T細胞性白血病患者の末梢血由来細胞株
10%ウシ胎児血清、100 U/ml IL-2添加IMDMで培養した。
本実施例において使用した各細胞の特性を表1に示した。
2)マイクロアレイ
上記の細胞を回収し、mRNA抽出用試薬(RNeasy Mini又は Micro kit:QIAGEN)を用いてmRNAを抽出し、GeneChip(R) One-cycle Target Labeling Kit(Affymetrix社)を用いて抽出したmRNAを標識染色し、 GeneChip(R) Human Genome U133 Plus2.0(Affymetrix社)にハイブリダイゼーションを行った。その後、生命科学研究用ソフト(Subio Platform)を用いて解析した。各病態において健常の状態と比べて、発現量が変化した遺伝子について相対的変化の傾向を図1〜4に示した。
1.EBV感染に伴うEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患において遺伝子発現が減少する遺伝子群(図1左: (A-1))
GPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9
2. EBV感染に伴うEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患において遺伝子発現が増加する遺伝子群(図1右: (A-2))
BIRC5、PTPN11、CDC45L、RFC2、DHFR、PLK1
3.HMBからCAEBV更に腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫)への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(図2: (B-1))
TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR
4.HMBからCAEBV更に腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫/白血病)への進展に伴って遺伝子発現が増加する遺伝子群 (図3左: (B-2))
ATL3、TNFRSF10A、FADS1、CCND2、PDGFRA
5.HMB、CAEBVから腫瘍化(EBV陽性NK細胞性リンパ腫/白血病)への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(図3右: (C))
PALLD、ZNF836、ZNF91、ZNF569、USP9Y、SOX4、LEF1
6.HMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が減少する遺伝子群(図4左: (D-1))
BCL6、ATXN1、SMAD3、MSN、HLA-DPB1、SLC16A3、MYO6
7.HMB、CAEBV、EBV陽性NK細胞性リンパ腫からEBV陽性NK細胞性白血病への進展に伴って遺伝子発現が増加する遺伝子群(図4右: (D-2))
MECOM、SPANXA2、SPANXB1、NEFH、TJP1、LOC100129935、SSX1、SSX2、ATAD3A
(参考例2)各遺伝子の特性
本参考例では、各種遺伝子発現プロファイルに基づいて特性の確認は、GO(Gene Ontology)解析を行い、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患に係る各疾患の遺伝子の特性を確認した。特性により遺伝子群について分類した。特性解析にはDAVID(the Database for Annotation, Visualization and Integrated Discovery、「<http://david.abcc.ncifcrf.gov/>」を活用した。
上記の結果、各遺伝子群のクラスター(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)を機能分類することができた(表2参照)。表2において、クラスター(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)に分類される各クラスターに含まれる遺伝子群について、おのおの代表される7種類の機能を示し、関連する遺伝子の数を示した。
(A−1)に分類される遺伝子群は、SH3(Src-homology 3)ドメイン、免疫グロブリンサブタイプ、サイトスケレトン、ニューロトロフィンのシグナルパスウェイ、サーカディアン・リズム及び転写制御に関連する。(A−2)に分類される遺伝子群は、Membrane-encoded lumen、DNA複製及びDNA代謝プロセス、RNA結合及びRNAプロセシング、細胞周期及び細胞分裂に関連する。(B−1)に分類される遺伝子群は、リンパ球を介する免疫、膜、ジスルフィド結合、リン代謝プロセス及びアポトーシス制御等に関連する。(B−2)に分類される遺伝子群は、小胞体、細胞内シグナルカスケード、膜画分、リン酸塩代謝プロセス及びイオントランスポート等に関連する。(C)は、転写制御、C2膜ターゲットタンパク、酸化還元、Wntレセプターシグナル経路の制御等に関連する。(D−1)に分類される遺伝子群は、MHC-IIタンパク質複合体、細胞接着分子(CAMs)、リソソーム、生合成のプロセスの負調節、核内ホルモン受容体、転写抑制因子活動、RNA代謝プロセスの負の制御等に関連する。(D−2)に分類される遺伝子群は、癌原遺伝子、癌パスウェイ、胚の形態形成、増殖の正の制御及び接着接合部(Adhesion junction)等に関連する。
(参考例3)各種遺伝子の主成分分析(principal component analysis:PCA)
複数個の解析対象遺伝子について主成分分析を行うことで、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る各疾患に関連する遺伝子の解析を行うことができる。
さらに、主成分分析(PCA)を行った結果、1)正常PBMC、2)NKタイプ細胞(健常人CD56(+)CD16(-) NK細胞、HMB由来細胞、CAEBV由来細胞及びNK細胞性リンパ腫由来細胞)と、3)NK細胞性白血病由来細胞の3種類の発現カテゴリーが認められた(図5)。次にNKタイプ細胞について主成分分析(PCA)を行なった結果、2−1)健常人CD56(+)CD16(-) NK細胞と、2−2)CAEBV由来細胞及びNK細胞性リンパ腫由来細胞と2−3)HMB由来細胞及び3)NK細胞性白血病由来細胞に分類された(図6)。これによれば、CAEBVとEBV陽性NK細胞性リンパ腫の遺伝子発現パターンは類似することが観察された。
(実施例1)各病態と各種遺伝子の発現
各遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患では、正常NK細胞と比較して、細胞増殖を促進するサイクリン、CDK等の遺伝子と、細胞周期を止めるp53、p21、chk1/2等の遺伝子のいずれにおいても、その発現が増強していた(図7参照)。また、アポトーシス制御に関わる遺伝子群でも、survivinやBcl-XL等のアポトーシス回避分子のみならず、FASやTRAILR、Caspase 3といったアポトーシス誘導分子についても、その遺伝子発現が増強していた(図8参照)。特に、アポトーシス誘導分子はHMB及びCAEBVで、アポトーシス回避分子はリンパ腫、白血病で発現がより強く見られる傾向にあった。EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患では、 JAK/STATシグナル経路に関わる分子の多くに遺伝子発現量の変化が見られた(図9)。JAK/STAT系にシグナルを伝達するレセプター群、レセプター直下のSHP1、SHP2、SOCS3等の分子、JAK/STAT系のout putに相当する分子等で、いずれも細胞増殖を促進する方向への発現量の変化を認めた(図9)。
EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、具体的にはHMB、CAEBVから、NK細胞性リンパ腫、NK細胞性白血病における遺伝子発現プロファイルでは、感染症(細胞周期停止)及び腫瘍(細胞増殖促進・アポトーシス回避)の両方の特徴的な発現パターンを認めた。
HMB及びCAEBVではアポトーシス誘導分子が強く発現しており、これらの疾患が完全な腫瘍ではない(前がん病変である)ことを示唆している。一方、リンパ腫、白血病においては、細胞周期の促進に関わる分子やアポトーシス回避分子の遺伝子発現が、HMB及びCAEBVと比較してより強く認められ、この二疾患が悪性腫瘍としての性質をより明確に持っていることを示していた。こういった発現パターンは、末梢血中にEBV DNAが増加し、HMB → CAEBV → NK細胞性リンパ腫 → NK細胞性白血病と段階的に進展していく傾向にある、等の臨床的特徴と合致していた。
JAK/STATシグナル経路に関わる分子の発現が多く見られ、特に、レセプター直下の脱リン酸化酵素であるSHP1、SHP2に特徴的な発現パターンが見られた(図9)。
SHP1は造血細胞の細胞増殖抑制的制御や生存等に関わる癌抑制遺伝子で、多くの造血系腫瘍でプロモーターのメチル化による発現抑制が報告されている。また、SHP2は、恒常的過剰発現により癌遺伝子として機能しヘリコバクター・ピロリ感染に伴う胃がんの発症等に関わっているとする報告がある。本実施例での実験に於いてもSHP1及びSHP2の腫瘍特異的な発現パターンがHMBの段階から認められ、これらの分子がEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患の発症に深く関わっている可能性が示唆された。
一方、EBV感染に伴って活性化するとされるNFkB経路、MAPK経路、PI3K/Akt経路等については、関連遺伝子の明らかな発現量の変化は見られなかった。これらの分子はリン酸化がその活性化に関わっており、これらの経路の活性化については現在解析中である。病態の悪性化に伴って、他の腫瘍で報告されている複数の腫瘍抑制遺伝子の発現が著明に低下していた。また、EBV感染腫瘍では、各遺伝子のプロモーターのCpG島のメチル化がその病態に関わっている可能性が強く疑われる。
(実施例2)NK/T細胞性リンパ腫患者及びCAEBV患者における遺伝子発現の確認
NK/T細胞性リンパ腫患者及びCAEBV患者の生体検体について免疫染色を行い、SHP1、SHP2、Surevivin及びFasの各遺伝子の発現を確認した。なお、本実施例に係る試験は岡山大学病院及び名古屋大学附属病院各々の倫理委員会の承認を得て行なった。生体検体は発症部位である、卵巣(ovary)、鼻腔(nose)、骨髄(BM)、眼窩(orbita)、皮膚(skin)、脾臓(spleen)、肝臓(liver)、心臓(heart)又は反応性リンパ様過形成(RLH: Reactive Lymphoid Hyperplasia)の病理組織を用いた。免疫染色用の検体は常法によりパラフィンブロックを用いて処理した。抗体は抗CD56抗体、抗CD3抗体 (Novocastra, Newcastle upon Tyne, UK)、抗CD16抗体 (Becton Dickinson, San Jose, CA, USA)、抗Survivinモノクローナル抗体 (Cell signaling technology, Beverly, MA, USA)、抗SHP2ポリクローナル抗体 (GeneTex, San Antonio, TX, USA)及び抗SH-PTP1ポリクローナル抗体 (Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, MA, USA)を用いて行った。本実施例では、CD56陽性細胞(CD56(+))について確認した。
その結果を表3に示した。免疫染色においても、対照(Norm NK:正常NK細胞及びNormT:正常Tリンパ球)に比べてSHP1は各疾患患者において減少の傾向を示し、SHP2は各疾患患者において増加の傾向を示した。アポトーシス制御にかかるSurvivinは対照に比べて各疾患患者において増加の傾向を示した。アポトーシス誘導にかかるFasについてはCAEBV患者において対照(5%)よりも非常に増加し(71.4%)、NK/T細胞性リンパ腫患者では対照よりも高増加傾向であったが、CAEBV患者よりは低かった(20%)。
(実施例3)各細胞株についての各タンパク質発現の確認
本実施例では、各細胞株(HeLa(子宮頚部扁平上皮癌由来:陽性対照)、NormPBMC1、NormPBMC2、KAI3(HMB患者由来)、SNK10(CAEBV患者由来)、HANK1(NK細胞性リンパ腫患者由来)、SNK6(NK細胞性リンパ腫患者由来)、NKYS(NK細胞性白血病患者由来)について、ウエスタンブロッティングによりCyclin-D1、Cyclin-E2、Cyclin-A2、Fas、Survivin、SHP1及びSHP2の発現を確認した。その結果、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至りCyclin-D1、-E2、-A2及びSHP2タンパク質の発現は増加傾向を示したのに対し、SHP1タンパク質の発現は減少傾向を示した。アポトーシス誘導にかかるFasタンパク質の発現は、SNK10細胞が最も強かった。アポトーシス制御にかかるSurvivinタンパク質の発現は、HANK1細胞及びSNK6細胞が最も強かった(図10)。
細胞周期は周期的に発現する異なったCyclinと周期的に活性化するCDKによって制御されている。このうちG1期は外からの刺激を受け入れる唯一の時期で、高等生物の細胞周期の中で運命を決定する上で重要であり,G1チェックポイントと呼ばれている。Cyclin-D1, -E2はG1チェックポイントにおいて細胞周期を正に制御する重要なタンパクであり、この実施例の結果で示すようにこれらのタンパク質発現はmRNA発現と呼応し、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展にともない発現増加がみられる事は腫瘍性増殖の進展とよく一致している。一方Cyclin-A2はCDK2(Cyclin-dependent kinase-2)と複合体を形成し、DNAの複製を誘導しS期の進行に重要な役割を果たしていると同時に、G2期においてはCDK1と複合体を形成しG2/M期への進行の制御(G2チェックポイント)を行っている。この実施例の結果はCyclin-A2タンパク質発現はmRNA発現と呼応し、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展にともない発現増加がみられることは腫瘍性増殖の進展とよく一致している。
Fasリガンドが受容体Fasに結合すると細胞にアポトーシスを誘導する。CAEBV細胞株であるSNK10は特に強くFasを発現しており、CAEBV細胞がアポトーシスし易い現象とよく一致している。一方NKリンパ腫/白血病細胞であるSNK6,NK-YSにはFasの発現が減少しており、腫瘍細胞が細胞死から逃れる特徴を示している。Survivnはカスペースの活性化を阻害してアポトーシスを抑制する機能を持っているが、NKリンパ腫/白血病細胞であるHANK1, SNK6, NK-YSに強く発現が認められる事は腫瘍細胞が細胞死から逃れる特徴とよく一致している。
SHP1は造血細胞の細胞増殖抑制的制御や生存等に関わる癌抑制遺伝子で、多くの造血系腫瘍でプロモーターのメチル化による発現抑制が報告されている。また、SHP2は、恒常的過剰発現により癌遺伝子として機能しヘリコバクター・ピロリ感染に伴う胃がんの発症等に関わっているとする報告がある。本実施例での実験に於いてもSHP1は腫瘍特異的に発現減少が認められ,SHP2は腫瘍化に伴う発現増大パターンがHMBの段階から認められ、これらの分子がEBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患の発症に深く関わっている可能性がタンパク発現レベルでも示唆された。
(実施例4)各細胞株について培地成分の違いによる影響
本実施例では、参考例1に示す各細胞株について、培養に使用する培地成分を変えたときのCyclinD1タンパク質の発現及び細胞周期に及ぼす影響を確認した。以下の3種類の培地を使用した。
培地1(medium1):10%ヒト血清、700 U/ml IL-2添加gm+RPMI培地
培地2(medium2):10%ウシ胎児血清、50 U/ml IL-2添加AIM-V培地
培地3(medium3):10%ウシ胎児血清、100 U/ml IL-2添加IMDM培地
その結果、培地の違いによるCyclinD1タンパク質の発現及び細胞周期について差はほとんど認められなかった。このことより、細胞周期関連遺伝子の発現変化は病態進展に伴う各細胞固有の遺伝子発現の差を反映していると考えられた(表4、図11、12参照)。
(実施例5)各細胞株についてのアポトーシス関連遺伝子の発現
本実施例では、反応性リンパ様過形成(RLH:Reactive lymphoid hyperplasia)、CAEBV及びNK/T細胞性リンパ腫の各患者の生体検体について、Fas、CD56及びDAPI(核染色)による蛍光三重染色を行い、各細胞でのアポトーシス関連遺伝子の発現を確認した。本実施例に係る試験は、岡山大学病院内倫理委員会の承認を得た上で病理組織より取得し、行った。その結果を図13に示した。
a)RLH患者検体をラビット抗Fas抗体で処理し、抗ラビットIgG Alexa488(緑)で染色
b)RLH患者検体をマウス抗CD56抗体で処理し、抗マウスIgG Alexa555(赤)で染色
c)RLH患者検体をDAPI(青)で核染色
d)a), b)及び c)を統合した。RLH患者検体において、Fas陽性細胞中にCD56(+)NK細胞はなかった。
e)CAEBV患者検体をラビット抗Fas抗体で処理し、抗ラビットIgG Alexa488(緑)で染色
f)CAEBV患者検体をマウス抗CD56抗体で処理し、抗マウスIgG Alexa555(赤)で染色
g)CAEBV患者検体をDAPI(青)で核染色
h)e), f)及び g)を統合した。 CAEBV患者検体において、Fas陽性細胞中にCD56(+)NK細胞が認められた(矢印部分)
i)NK/T細胞性リンパ腫患者検体をラビット抗Fas抗体で処理し、抗ラビットIgG Alexa488(緑)で染色
j)NK/T細胞性リンパ腫患者検体をマウス抗CD56抗体で処理し、抗マウスIgG Alexa555(赤)で染色
k)NK/T細胞性リンパ腫患者検体をDAPI(青)で核染色
l)i), j)及び k)を統合した。 NK/T細胞性リンパ腫患者検体において、CD56(+)NK細胞は確認されなかった。
Fasタンパクの発現が免疫組織化学の方法によりCAEBV患者検体に強く認められ,NK/T細胞性リンパ腫患者検体において検出されなかった(表3参照)。この結果は、培養細胞を用いたマイクロアレイ解析で検出されたmRNA発現変化が患者検体を用いたタンパク質発現変化と一致している事を示している。
以上、詳述したように、本発明の検査補助のための測定方法は、一つのバイオマーカーによるものではなく、マルチマーカーによる検査を主体としたものであり、患者の病態をより詳しく反映することができる。これにより、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患からNK細胞性腫瘍進展に至る疾患、例えばHMB及びCAEBVと、NK細胞性リンパ腫及びNK細胞性白血病について特異的かつ感度よく検査することができる。その結果、他のEBV感染症との識別が容易となり、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患等の重篤な疾患の発症や移行を早期に診断することができ、その結果早期に治療することが可能となる。このことにより、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患発症やNK細胞性リンパ腫及びNK細胞性白血病への進展の予防法の開発、さらには原因遺伝子等の特定が可能となることが期待され、より有効な治療方法の開発に大きく寄与することが期待される。

Claims (17)

  1. 採取された生体検体について、GPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9、RFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026、GINS3、PRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR、PROK2、TNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18、ATL3、TC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、USP9Y、PTPLAD2、RFESD、ALKBH3、IDG2、NPHP3、CTNNBIP1、GNAI1、IPAR6、CCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SAMD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、NAP1L5、FUNDC1、CD2、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRB3、ATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2、NEFH、ITGA6、SPHK1、SFN、FGF9、TMP3、CSF1R、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3及びZNF320から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、蚊刺過敏症(HMB)、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)、NK細胞性リンパ腫(NK Lymphoma)、NK細胞性白血病(NK Leukemia)のいずれかへの進展に至る疾患の検査補助のための測定方法。
  2. 請求項1に記載の遺伝子が、(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)、(D−2)のクラスターに分類され、(A−1)がGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9であり、(A−2)がRFC2、PTP4A1、JAK3、STAT3、CISH (CIS)、MAT2A、DDX3X、ACSL3、ETF5A、PLK1、DHFR、FOXM1、CDC45L、CXCL10、NFE2L3、FDXR、PTPN11、BIRC5、MINA、DHRS2、ELL2、CYP51A1、GEMIN4、BRWD2、TSR1、RAD54B、LOC389831、UHRF1ECT2、LOC100289026、GINS3であり、(B−1)がPRKCD、GPR56、B4GALT6、CUX1、LGR4、MXRA7、MYOF、PCNX、PLAU、PTPRN2、SEPT9、AKT3、TRPM6、TSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMR、PROK2であり、(B−2)がTNFRSF10A、CCDC125、NHEDC2、CCND2、FADS2、PDGFRA、RCAN2、FADS1、HGF、CLIC2、RPAIN、UTP18、ATL3であり、(C)がTC2N、SNX20、ZNF569、ZNF836、DDX3Y、PALLD、SOX4、TJP2、DHRS3、PHACTR2、ADCY9、ZNF91、METTL7A、CRY1、SATB2、KLRB1、LPAR6、SEMA4A、LEF1、TMEM9、GPD2、SUSD1、SYTL1、USP9Y、PTPLAD2、RFESD、ALKBH3、IDG2、NPHP3、CTNNBIP1、GNAI1、IPAR6であり、(D−1)がCCDC141、SLC35E4、MSN、TMEM189、HLA-DPB1、PEPD、GNAQ、SLC16A3、BIN1、NINJ1、MYO6、BCL6、ATXN1、PRPS2、TCIRG1、VDR、ZNF140、ASNS、CRIP1、SAMD3、DIAPH2、CYB5A、ABAT、HLADRB4、TP63、ICOS、HLADRA、RHOB、GPD1L、HLA-BQB1、MFSD1、ZDHHC2、BCOR、C12orf23、NAP1L5、FUNDC1、CD2、ITGB7、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRB3であり、(D−2)がATAD3A、NOX5、SNTG2、LOC643201、LOC100129935、TJP1、SSX1、SSX2、SSX3、SSX4、SPANXB1、MECOM、SPANXA2、NEFH、ITGA6、SPHK1、SFN、FGF9、TMP3、CSF1R、SSX2B、SSX5、SSX8、TIMP3、ZNF320と分類され、(A−1)、(A−2)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D−1)及び(D−2)から選択されるいずれかのクラスターに含まれる遺伝子群のうち、いずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
  3. (A−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患であると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  4. (A−1)に分類される遺伝子群がGPR82、MYO18B、CYP1B1、S100A8、HBA1、HBA2、NRGN、NR4A2、AREG、PTPN6、HBB、CD6、LYZ、PPBP、RNF130、FAIM3、KLF4、RASA3、FAM26F、LY9である、請求項3に記載の測定方法。
  5. (A−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患であると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  6. (A−2)に分類される遺伝子群がBIRC5、PTPN11、CDC45L、RFC2、DHFR、PLK1である、請求項5に記載の測定方法。
  7. (B−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人又はHMB患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMBからCAEBV及び/又はNK細胞性腫瘍進 展に至ると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  8. (B−1)に分類される遺伝子群がTSPO、SHC4、CRTAM、CADM1、OSMRである、請求項7に記載の測定方法。
  9. (B−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人又はHMB患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMBからCAEBV及び/又はNK細胞性腫瘍進展 に至ると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  10. (B−2)に分類される遺伝子群がATL3、TNFRSF10A、FADS1、CCND2、PDGFRAである、請求項9に記載の測定方法。
  11. (C)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者又はCAEBV患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞リンパ増殖性疾患であるHMB及び/又はCAEBVからNK細胞性腫瘍進展に至る と判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  12. (C)に分類される遺伝子群がPALLD、ZNF836、ZNF91、ZNF569、USP9Y、SOX4、LEF1である、請求項11に記載の測定方法。
  13. (D−1)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者、CAEBV患者又はEBV関連NK細胞性リンパ腫患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が低い場合に、EBV関連NK細胞性リンパ腫からNK細胞性白血病進展に至ると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  14. (D−1)に分類される遺伝子群がBCL6、ATXN1、SMAD3、MSN、HLA-DPB1、SLC16A3、MYO6である、請求項13に記載の測定方法。
  15. (D−2)に分類される遺伝子群から選択されるいずれか1種又は複数種の遺伝子の発現量を測定することを特徴とし、健常人、HMB患者、CAEBV患者又はEBV関連NK細胞性リンパ腫患者から採取された生体検体の測定値に比べて遺伝子発現量が高い場合に、EBV関連NK細胞性リンパ腫からNK細胞性白血病進展に至ると判定するための、請求項2に記載の測定方法。
  16. (D−2)に分類される遺伝子群がMECOM、SPANXA2、SPANXB1、NEFH、TJP1、LOC100129935、SSX1、SSX2、ATAD3Aである、請求項15に記載の測定方法。
  17. EBウイルス関連NK細胞リンパ増殖性疾患が、蚊刺過敏症及び/又は慢性活動性EBウイルス感染症であり、NK細胞性腫瘍進展に至る疾患が、NK細胞性リンパ腫及び/又はNK細胞性白血病である、請求項1〜16のいずれか1に記載の測定方法。
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