JP2017128509A - シリカガラスルツボの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設計データに対する三次元形状の一致度が高い回転モールド法でのシリカガラスルツボの製造方法を提供する。【解決手段】当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、その一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する。また、一致度が所定の水準を下回っている場合には、物性パラメータの変更および変更後の物性パラメータによる再度のシミュレーションを繰り返し、一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる回転モールド法での改善製造条件を設定する。その結果、シリカガラスルツボの設計データおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。すなわち、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、シリカガラスルツボの製造方法に関する。
シリカガラスルツボの製造方法は、一例では、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程を備える(この方法を「回転モールド法」と称する)。
アーク熔融工程の初期にはシリカ粉層を強く減圧することによって気泡を除去して透明シリカガラス層(以下、「透明層」と称する。)を形成し、その後、減圧を弱くすることによって気泡が残留した気泡含有シリカガラス層(以下、「気泡含有層」と称する。)を形成することによって、内表面側に透明層を有し、外表面側に気泡含有層を有する二層構造のシリカガラスルツボを形成することができる。
一方、チョクラルスキー(以下、CZという。)法によりシリカガラスルツボを用いてシリコン単結晶を引上げて製造するために、固体であるシリコン単結晶と液体であるシリコン融液との固液界面形状や、この固液界面近傍の温度分布を、コンピュータによりシミュレーションを行って数値解析を行う方法の開発が精力的に行われている。
例えば、特許文献1には、メッシュ構造でモデル化したホットゾーンの各部材の物性値をコンピュータに入力し、各部材の表面温度分布をヒータの発熱量及び各部材の輻射率に基づいて求めることが記載されている。
特開2009−190926号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術は、シリカガラスルツボを回転モールド法で製造する際のシミュレーションには用いることが困難であった。そして、シリカガラスルツボを回転モールド法で製造する際には、様々な要因により設計データとは異なる三次元形状のシリカガラスルツボが得られることが多い。そのため、これまでは、設計データと同じ三次元形状のシリカガラスルツボを実際に回転モールド法で製造することは困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することを目的とする。
本発明の一態様によれば、シリカガラスルツボの回転モールド法での製造条件の設定を支援する装置が提供される。この装置は、任意の型式、製造ロット又はシリアルナンバーのシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得する設計データ取得部と、その設計データに基づいてシリカガラスルツボの回転モールド法での製造条件データを設定する製造条件データ設定部と、伝熱計算、流体計算及び構造計算からなる群から選ばれる1種以上の計算が可能な計算エンジンを用いて、その製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを得るシミュレーション部と、その計算エンジンが用いる物性パラメータを設定する物性パラメータ設定部と、その製造条件に基づいて回転モールド法で製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する測定データ取得部と、その設計データ、そのシミュレーションデータ、その測定データのうち2種類のデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する一致度判定部と、そのシミュレーションデータ又は製造条件データの出力部と、を備える。
また、この物性パラメータ設定部は、当初の物性パラメータに基づいて得られたそのシミュレーションデータおよびその測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、その一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する改善物性パラメータ設定部を有している。そして、この製造条件設定部は、その設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる回転モールド法での製造条件を設定する改善製造条件データ設定部を有している。
この構成によれば、当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、物性パラメータの変更および変更後の物性パラメータによる再度のシミュレーションを繰り返し、その一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定するため、シミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。また、この構成によれば、設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる回転モールド法での製造条件を設定するため、設計データおよびシミュレーションデータの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。その結果、この構成によれば、シリカガラスルツボの設計データおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。すなわち、この構成によれば、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
また、本発明の一態様によれば、上記の装置によって得られる、シミュレーションデータを生成する装置が提供される。
このシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度は、上述のとおり所定の水準以上である。そのため、このシミュレーションデータを用いれば、回転モールド法で実際に製造されるシリカガラスルツボの三次元形状を精度よく予測することができる。
また、本発明の一態様によれば、上記の装置によって得られる、改善製造条件データを生成する装置が提供される。
この改善製造条件データを用いた場合には、上述のとおり設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる。そして、上記の装置を用いる場合には、上述のとおり当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、物性パラメータの変更および変更後の物性パラメータによる再度のシミュレーションを繰り返し、その一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定するため、シミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。そのため、この改善製造条件データを用いれば、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
本発明によれば、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
本実施形態の装置の動作原理を説明するための概念図である。 本実施形態の装置を用いて得られた改善製造条件データを用いて、シリカガラスルツボの製造プロセスにおけるアーク電源および減圧機構のフィードバック制御をより緻密におこなうことについて説明するための概念図である。 本実施形態の装置の全体構成を説明するための機能ブロック図である。 本実施形態の装置のシミュレーション部、製造条件データ設定部および物性パラメータ設定部の詳しい構成を説明するための機能ブロック図である。 本実施形態の装置で用いるシリカガラスルツボの測定データのデータ構成について説明するためのデータテーブルである。 本実施形態の装置の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の装置で用いるシリカガラスルツボの測定データをロボットアームおよび測距部を用いて測定する方法について説明するための測定工程図である。 図7における測定原理を説明するための概念図である。 図7における内部測距部の測定結果を示すグラフである。 図7における外部測距部の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<シリカガラスルツボの製造条件の設定を支援する装置>
図1は、本実施形態の装置の動作原理を説明するための概念図である。本実施形態の装置を用いてシリカガラスルツボの製造条件を設定する際には、シリカガラスルツボを三次元CADなどで設計した設計データをまず用意する。この三次元CADの設計データは、二次元CADの設計データを三次元CADの設計データに変換したものであってもよい。
次いで、その設計データに基づいてシリカガラスルツボを製造するための製造条件データ(例えば、アーク電力、減圧条件、モールド回転数などのタイムテーブル)を設定する。この場合、当初の製造条件データとしては、例えば、熟練のオペレータ又はエンジニアが過去の知識および経験に基づいて、適切であると判断した製造条件データを設定してもよい。あるいは、当初の製造条件データとしては、過去のシリカガラスルツボの製造記録において所定の型式のシリカガラスルツボの品質検査の結果が良好であった製造条件データをそのまま用いてもよい。
そして、この当初設定した製造条件データを用いて、電源、カーボン電極、カーボンモールド、減圧機構などを備えるシリカガラスルツボの製造装置を用いて、モールド上に積層したシリカ粉(別名として、石英粉ともいう)を熔融してシリカガラスルツボを製造する。具体的には、回転モールドの内表面に平均粒径300μm程度のシリカ粉を堆積させてシリカ粉層を形成するシリカ粉層形成工程と、モールド側からシリカ粉層を減圧しながら、シリカ粉層をアーク熔融させることによってシリカガラス層を形成するアーク熔融工程によって、シリカガラスルツボを製造する。
このとき、アーク熔融工程の初期にはシリカ粉層を強く減圧することによって気泡を除去して透明層を形成し、その後、減圧を弱くすることによって気泡が残留した気泡含有層を形成することによって、内表面側に透明層を有し、外表面側に気泡含有層を有する二層構造のシリカガラスルツボを形成することができる。
そして、後述するロボットアームを用いてこのシリカガラスルツボの三次元形状を測定して、シリカガラスルツボの三次元形状の測定データを得る。
また、上述の当初設定した製造条件データを用いてシリカガラスルツボを製造した場合に得られると想定されるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを、例えば応力解析および熱流体解析などの数値解析手法を用いて生成する。このときに、カーボンモールド、天然石英粉、合成シリカ粉、透明層、気泡含有層などについての物性パラメータ(例えば、密度、誘電率、透磁率、磁化率、剛性率、ヤング率、導電率、分極率、硬度、比熱、線膨張率、沸点、融点、ガラス転移点、伝熱係数、ポアソン比など)を設定する。これらの物性パラメータとしては、市販のシミュレーションソフトウェアに付属するデフォルトの物性パラメータを当初の物性パラメータとして用いることができる。あるいは、熟練のオペレータ又はエンジニアが過去の知識および経験に基づいて、適切であると判断した物性パラメータを設定してもよい。
その後、上述のようにして得られたシミュレーションデータおよび測定データの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回る場合には、カーボンモールド、天然石英粉、合成シリカ粉、透明層、気泡含有層などについての物性パラメータを変更して、上記の一致度が所定の水準以上になるまでシミュレーションを繰り返す。その結果、上記の一致度が所定の水準以上になった物性パラメータを改善物性パラメータとして採用する。このような一致度を示す指標としては、既存の各種のパターンマッチング法を用いることができる。
続いて、その改善物性パラメータを用いた場合の設計データおよびシミュレーションデータの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回る場合には、シリカガラスルツボを製造するための製造条件データ(例えば、アーク電力、減圧条件、モールド回転数などのタイムテーブル)を変更して、上記の一致度が所定の水準以上になるまでシミュレーションを繰り返す。その結果、上記の一致度が所定の水準以上になった製造条件データを改善製造条件データとして採用する。このような一致度を示す指標としては、既存の各種のパターンマッチング法を同様に用いることができる。
このようにすれば、当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、その一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定するため、シミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。また、このようにすれば、設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定するため、設計データおよびシミュレーションデータの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。その結果、このようにすれば、シリカガラスルツボの設計データおよび測定データの三次元形状の一致度を所定の水準以上に高めることができる。すなわち、このようにすれば、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
図2は、本実施形態の装置を用いて得られた改善製造条件データを用いて、シリカガラスルツボの製造プロセスにおけるアーク電源および減圧機構のフィードバック制御をより緻密におこなうことについて説明するための概念図である。図1で説明した手法を用いて得られた改善製造条件データを用いることによって、この図に示すように、アーク電力、減圧条件、モールド回転数などのタイムテーブルにおいて、より緻密なフィードバックをかけることができる。その結果、設計データに対する三次元形状の一致度が高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
図3は、本実施形態の装置の全体構成を説明するための機能ブロック図である。この製造条件設定支援装置1000には、任意の型式、製造ロット又はシリアルナンバーのシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得する設計データ取得部104が設けられている。この設計データ取得部104は、熟練のオペレータ又はエンジニアが操作部124を通じて入力したシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得することができる。また、この設計データ取得部104は、外部のサーバ126に格納されているシリカガラスルツボの三次元形状の設計データをネットワーク118を介して取得してもよい。
この製造条件設定支援装置1000には、設計データに基づいてシリカガラスルツボの製造条件データを設定する製造条件データ設定部140が設けられている。この製造条件データ設定部140は、熟練のオペレータ又はエンジニアが操作部124を通じて入力したシリカガラスルツボの製造条件データ(例えば、アーク電力、減圧条件、モールド回転数などのタイムテーブル)を当初の製造条件データとして設定することができる。また、この製造条件データ設定部140は、外部のサーバ126に格納されている過去のシリカガラスルツボの製造記録において所定の型式のシリカガラスルツボの品質検査の結果が良好であった製造条件データをネットワーク118を介して取得してもよい。
この製造条件設定支援装置1000には、伝熱計算、流体計算及び構造計算からなる群から選ばれる1種以上の計算が可能な計算エンジンを用いて、上記の製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを応力解析および熱流体解析などの数値解析手法を用いて得るシミュレーション部112を備える。また、この製造条件設定支援装置1000には、上記のシミュレーション部112の計算エンジンが用いる物性パラメータを設定する物性パラメータ設定部106が設けられている。この物性パラメータ設定部106は、熟練のオペレータ又はエンジニアが操作部124を通じて入力したカーボンモールド、天然石英粉、合成シリカ粉、透明層、気泡含有層などについての物性パラメータ(例えば、密度、誘電率、透磁率、磁化率、剛性率、ヤング率、導電率、分極率、硬度、比熱、線膨張率、沸点、融点、ガラス転移点、伝熱係数、ポアソン比など)を当初の物性パラメータとして設定することができる。あるいは、この物性パラメータ設定部106は、外部のサーバ126に格納されている物性パラメータなどをネットワーク118を介して取得してもよい。または、この物性パラメータ設定部106は、物性パラメータ記憶部142に格納されている市販のシミュレーションソフトウェアに付属するデフォルトの物性パラメータを当初の物性パラメータとして用いることができる。
この製造条件設定支援装置1000には、上記の製造条件に基づいて実際に製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する測定データ取得部102が設けられている。この測定データ取得部102は、後述する測定装置128から測定データをネットワーク118を介してダイレクトに取得することができる。あるいは、この測定データ取得部102は、外部のサーバ126に格納されているシリカガラスルツボの三次元形状の測定データをネットワーク118を介して取得してもよい。
この製造条件設定支援装置1000には、上記の設計データ、上記のシミュレーションデータ、上記の測定データのうち2種類のデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する一致度判定部114が設けられている。この一致度判定部114は、既存の各種のパターンマッチング法を行うことができればよい。このようなパターンマッチングの手法としては残差マッチング、正規化相関法、位相限定相関、幾何マッチング、ベクトル相関、一般化ハフ変換などを好適に用いることができる。
この製造条件設定支援装置1000には、シミュレーションデータ又は製造条件データの出力部116が設けられている。この出力部116は、シミュレーションデータ又は製造条件データを画像表示部122を通して画像データとして出力することができる。また、この出力部116は、シミュレーションデータ又は製造条件データをネットワーク120を介して画像表示部130、プリンタ132、サーバ134などに出力することもできる。
図4は、本実施形態の装置のシミュレーション部、製造条件データ設定部および物性パラメータ設定部の詳しい構成を説明するための機能ブロック図である。この図に示すように、上記のシミュレーション部112には、伝熱計算エンジン204、流体計算エンジン206、構造計算エンジン208などを格納する計算エンジン記憶部210が設けられている。そして、このシミュレーション部112には、これらの伝熱計算エンジン204、流体計算エンジン206、構造計算エンジン208を計算エンジン記憶部210から読み込んで、応力解析および熱流体解析などの数値解析を行う解析部202も設けられている。
上記の物性パラメータ設定部106には、当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する改善物性パラメータ設定部402が設けられている。一致度判定部114においてシミュレーションデータおよび測定データの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回る場合には、一致度判定部114が物性パラメータ設定部106に物性パラメータの変更命令を受け渡す。そして、この変更命令を受け取った物性パラメータ設定部106の改善物性パラメータ設定部402は、例えば、カーボンモールド、天然石英粉、合成シリカ粉、透明層、気泡含有層などについての物性パラメータ(例えば、密度、誘電率、透磁率、磁化率、剛性率、ヤング率、導電率、分極率、硬度、比熱、線膨張率、沸点、融点、ガラス転移点、伝熱係数、ポアソン比など)を変更する。こうして変更された改善物性パラメータはシミュレーション部112に受け渡される。この改善物性パラメータを受け取ったシミュレーション部112は、改善物性パラメータを用いて再度シミュレーションを行ってシミュレーション結果を一致度判定部114に受け渡す。この一連の動作が上記の一致度が所定の水準以上になるまで繰り返される。
上記の製造条件データ設定部140には、設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定する改善製造条件設定部308が設けられている。この改善製造条件設定部308には、アーク放電条件設定部302、回転数設定部304、減圧条件設定部306が設けられている。一致度判定部114において設計データおよびシミュレーションデータの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回る場合には、一致度判定部114が製造条件データ設定部140に製造条件データの変更命令を受け渡す。そして、この変更命令を受け取った製造条件データ設定部140の改善製造条件設定部308は、アーク放電条件設定部302、回転数設定部304、減圧条件設定部306に製造条件データ(例えば、アーク電力、減圧条件、モールド回転数などのタイムテーブル)を変更させる。こうして変更された改善製造条件データはシミュレーション部112に受け渡される。この改善製造条件データを受け取ったシミュレーション部112は、改善製造条件データを用いて再度シミュレーションを行ってシミュレーション結果を一致度判定部114に受け渡す。この一連の動作が上記の一致度が所定の水準以上になるまで繰り返される。
図5は、本実施形態の装置で用いるシリカガラスルツボの測定データのデータ構成について説明するためのデータテーブルである。この図に示すように、測定データ取得部102は、後述する測定装置128からこの図に示すようなデータ構造を有する測定データをネットワーク118を介してダイレクトに取得することができる。この測定データでは、それぞれの位置A、位置B、位置C、位置D、位置Eごとに、内側XYZ座標、外側XYZ座標、気泡含有率、FT−IRスペクトル、ラマンスペクトル、表面粗さなどのデータがテーブル形式で記録されている。
図6は、本実施形態の装置の動作を説明するためのフローチャートである。最初に、この製造条件設定支援装置1000の電力がオンになり一連の動作が開始される。すると、まず、設計データ取得部104が外部のサーバ126に格納されているシリカガラスルツボの三次元形状の設計データをネットワーク118を介して取得する(S102)。次に、製造条件データ設定部140が、外部のサーバ126に格納されている過去のシリカガラスルツボの製造記録において所定の型式のシリカガラスルツボの品質検査の結果が良好であった製造条件データをネットワーク118を介して取得する(S104)。
続いて、物性パラメータ設定部106が、外部のサーバ126に格納されている物性パラメータなどをネットワーク118を介して取得する(S106)。そして、シミュレーション部112が、上記の製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを応力解析および熱流体解析などの数値解析手法を用いて得る(S108)。
他方、上記の製造条件データを用いて、電源、カーボン電極、カーボンモールド、減圧機構などを備えるシリカガラスルツボの製造装置によって、モールド上に積層したシリカ粉を熔融して実際にシリカガラスルツボを製造する(S110)。そして、測定データ取得部102が、上記の製造条件に基づいて実際に製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する(S112)。
その後、一致度判定部114が、上記のシミュレーションデータおよび上記の測定データを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する(S114)。具体的には、一致度判定部114においてシミュレーションデータおよび測定データの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回るかどうか判定する(S116)。もしも、シミュレーションデータおよび測定データの一致度が所定の水準を下回る場合には、改善物性パラメータ設定部402が一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する(S118)。この場合、シミュレーション部112が、改善物性パラメータを用いてシミュレーションをやり直す。一方、シミュレーションデータおよび測定データの一致度が所定の水準以上である場合には、その物性パラメータをそのまま使う。
次に、一致度判定部114が、上記の設計データおよび上記のシミュレーションデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する(S120)。具体的には、一致度判定部114において設計データおよびシミュレーションデータの一致度を計算してその一致度が所定の水準を下回るかどうか判定する(S122)。もしも、設計データおよびシミュレーションデータの一致度が所定の水準を下回る場合には、改善製造条件設定部308が一致度が所定の水準以上となる改善製造条件データを設定する(S124)。この場合、シミュレーション部112が、改善製造条件データを用いてシミュレーションをやり直す。一方、設計データおよびシミュレーションデータの一致度が所定の水準以上である場合には、その製造条件データをそのまま使う。そして、出力部116が、シミュレーションデータ又は製造条件データをネットワーク120を介して画像表示部130、プリンタ132、サーバ134などに出力する(S126)。これで、一連の動作が終了する。
<シリカガラスルツボの三次元形状測定装置>
以下、図7〜図10を用いて、上記の実施形態で用いるシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得するためのシリカガラスルツボの三次元形状測定方法を説明する。
<シリカガラスルツボ>
図7は、本実施形態の装置で用いるシリカガラスルツボの測定データをロボットアームおよび測距部を用いて測定する方法について説明するための測定工程図である。測定対象であるシリカガラスルツボ11は、内表面側に透明層13と、外表面側に気泡含有層15を有するものであり、開口部が下向きになるように回転可能な回転台9上に載置されている。シリカガラスルツボ11は、曲率が比較的大きいラウンド部11bと、上面に開口した縁部を有する円筒状の側壁部11aと、直線または曲率が比較的小さい曲線からなるすり鉢状の底部11cを有する。本実施形態において、ラウンド部とは、側壁部11aと底部11cを連接する部分で、ラウンド部の曲線の接線がシリカガラスルツボの側壁部11aと重なる点から、底部11cと共通接線を有する点までの部分のことを意味する。言い換えると、シリカガラスルツボ11の側壁部11aが曲がり始める点が側壁部11aとラウンド部11bの境界である。さらに、ルツボの底の曲率が一定の部分が底部11cであり、ルツボの底の中心からの距離が増したときに曲率が変化し始める点が底部11cとラウンド部11bとの境界である。
<内部ロボットアーム、内部測距部>
ルツボ11に覆われる位置に設けられた基台1上には、内部ロボットアーム5が設置されている。内部ロボットアーム5は、複数のアーム5aと、これらのアーム5aを回転可能に支持する複数のジョイント5bと、本体部5cを備える。本体部5cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。内部ロボットアーム5の先端にはルツボ11の内表面形状の測定を行う内部測距部17が設けられている。内部測距部17は、ルツボ11の内表面に対してレーザー光を照射し、内表面からの反射光を検出することによって内部測距部17からルツボ11の内表面までの距離を測定する。本体部5c内には、ジョイント5b及び内部測距部17の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部5c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント5bを回転させてアーム5を動かすことによって、内部測距部17を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、内部測距部17をルツボ内表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ内表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、内部測距部17の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図7(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図7(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって内部測距部17を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め内部測距部17内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、内部測距部17内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部5cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部5cに送られるようにする。内部測距部17は、本体部5cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
ルツボの開口部から底部11cまでの測定が終わると、回転台9を少し回転させ、同様の測定行う。この測定は、底部11cから開口部に向かって行ってもよい。回転台9の回転角は、精度と測定時間とを考慮して決定されるが、例えば、2〜10度である。回転角が大きすぎると測定精度が十分でなく、小さすぎると測定時間が掛かりすぎる。回転台9の回転は、内蔵プログラム又は外部入力信号に基づいて制御される。回転台9の回転角は、ロータリーエンコーダ等によって検出可能である。回転台9の回転は、内部測距部17及び後述する外部測距部19の移動と連動してすることが好ましく、これによって、内部測距部17及び外部測距部19の三次元座標の算出が容易になる。
後述するが、内部測距部17は、内部測距部17から内表面までの距離(内表面距離)、及び内部測距部17から透明層13と気泡含有層15の界面までの距離(界面距離)の両方を測定することができる。ジョイント5bの角度はジョイント5bに設けられたロータリーエンコーダ等によって既知であるので、各測定点での内部測距部17の位置の三次元座標及び方向が既知になるので、内表面距離及び界面距離が求まれば、内表面での三次元座標、及び界面での三次元座標が既知となる。そして、ルツボ11の開口部から底部11cまでの測定が、ルツボ11の全周に渡って行われるので、ルツボ11の内表面の三次元形状、及び界面の三次元形状が既知になる。また、内表面と界面の間の距離が既知になるので、透明層13の厚さも既知になり、透明層の厚さの三次元分布が求められる。
<外部ロボットアーム、外部測距部>
ルツボ11の外部に設けられた基台3上には、外部ロボットアーム7が設置されている。外部ロボットアーム7は、複数のアーム7aと、これらのアームを回転可能に支持する複数のジョイント7bと、本体部7cを備える。本体部7cには図示しない外部端子が設けられており、外部とのデータ交換が可能になっている。外部ロボットアーム7の先端にはルツボ11の外表面形状の測定を行う外部測距部19が設けられている。外部測距部19は、ルツボ11の外表面に対してレーザー光を照射し、外表面からの反射光を検出することによって外部測距部19からルツボ11の外表面までの距離を測定する。本体部7c内には、ジョイント7b及び外部測距部19の制御を行う制御部が設けられている。制御部は、本体部7c設けられたプログラム又は外部入力信号に基づいてジョイント7bを回転させてアーム7を動かすことによって、外部測距部19を任意の三次元位置に移動させる。具体的には、外部測距部19をルツボ外表面に沿って非接触で移動させる。従って、制御部には、ルツボ外表面の大まかな形状データを与え、そのデータに従って、外部測距部19の位置を移動させる。より具体的には、例えば、図7(a)に示すようなルツボ11の開口部近傍に近い位置から測定を開始し、図7(b)に示すように、ルツボ11の底部11cに向かって外部測距部19を移動させ、移動経路上の複数の測定点において測定を行う。測定間隔は、例えば、1〜5mmであり、例えば2mmである。測定は、予め外部測距部19内に記憶されたタイミングで行うか、又は外部トリガに従って行う。測定結果は、外部測距部19内の記憶部に格納されて、測定終了後にまとめて本体部7cに送られるか、又は測定の度に、逐次本体部7cに送られるようにする。外部測距部19は、本体部7cとは別に設けられた制御部によって制御するように構成してもよい。
内部測距部17と外部測距部19は、同期させて移動させてもよいが、内表面形状の測定と外表面形状の測定は独立して行われるので、必ずしも同期させる必要はない。
外部測距部19は、外部測距部19から外表面までの距離(外表面距離)を測定することができる。ジョイント7bの角度はジョイント7bに設けられたロータリーエンコーダ等によって既知であるので、外部測距部19の位置の三次元座標及び方向が既知になるので、外表面距離が求まれば、外表面での三次元座標が既知となる。そして、ルツボ11の開口部から底部11cまでの測定が、ルツボ11の全周に渡って行われるので、ルツボ11の外表面の三次元形状が既知になる。以上より、ルツボの内表面及び外表面の三次元形状が既知になるので、ルツボの壁厚の三次元分布が求められる。
<距離測定の詳細>
次に、図8を用いて、内部測距部17及び外部測距部19による距離測定の詳細を説明する。
図8に示すように、内部測距部17は、ルツボ11の内表面側(透明層13側)に配置され、外部測距部19は、ルツボ11の外表面側(気泡含有層15側)に配置される。内部測距部17は、出射部17a及び検出部17bを備える。外部測距部19は、出射部19a及び検出部19bを備える。また、内部測距部17及び外部測距部19は、図示しない制御部及び外部端子を備える。出射部17a及び19aは、レーザー光を出射するものであり、例えば、半導体レーザーを備えるものである。出射されるレーザー光の波長は、特に限定されないが、例えば、波長600〜700nmの赤色レーザー光である。検出部17b及び19bは、例えばCCDで構成され、光が当たった位置に基づいて三角測量法の原理に基づいてターゲットまでの距離が決定される。
内部測距部17の出射部17aから出射されたレーザー光は、一部が内表面(透明層13の表面)で反射し、一部が透明層13と気泡含有層15の界面で反射し、これらの反射光(内表面反射光、界面反射光)が検出部17bに当たって検出される。図8から明らかなように、内表面反射光と界面反射光は、検出部17bの異なる位置に当たっており、この位置の違いによって、内部測距部17から内表面までの距離(内表面距離)及び界面までの距離(界面距離)がそれぞれ決定される。好適な入射角θは、内表面の状態、透明層13の厚さ、気泡含有層15の状態等によって、変化しうるが例えば30〜60度である。
図9は、市販のレーザー変位計を用いて測定された実際の測定結果を示す。図9に示すように、2つのピークが観察されており、Near側のピークが内表面反射光によるピークであり、Far側のピークが界面反射光によるピークに対応する。このように、透明層13と気泡含有層15の界面からの反射光によるピークもクリアに検出されている。従来は、このような方法で界面の特定がなされたことがなく、この結果は非常に斬新である。
内部測距部17から内表面までの距離が遠すぎる場合や、内表面又は界面が局所的に傾いている場合には、2つのピークが観測されない場合がある。その場合には、内部測距部17を内表面に近づけたり、内部測距部17を傾けてレーザー光の出射方向を変化させて、2つのピークが観測される位置及び角度を探索することが好ましい。また、2つのピークが同時に観測されなくても、ある位置及び角度において内表面反射光によるピークを観測し、別の位置及び角度において界面反射光によるピークを観測するようにしてもよい。また、内部測距部17が内表面に接触することを避けるために、最大近接位置を設定しておいて、ピークが観測されない場合でも、その位置よりも内表面に近づけないようにすることが好ましい。
また、透明層13中に独立した気泡が存在する場合、この気泡からの反射光を内部測距部17が検出してしまい、透明層13と気泡含有層15の界面を適切に検出できない場合がある。従って、ある測定点Aで測定された界面の位置が前後の測定点で測定された界面の位置から大きく(所定の基準値を超えて)ずれている場合には、測定点Aでのデータを除外してもよい。また、その場合、測定点Aからわずかにずれた位置で再度測定を行って、得られたデータを採用してもよい。
また、外部測距部19の出射部19aから出射されたレーザー光は、外表面(気泡含有層15)の表面で反射し、その反射光(外表面反射光)が検出部19bに当たって検出され、検出部19b上での検出位置に基づいて外部測距部19と外表面の間の距離が決定される。図10は、市販のレーザー変位計を用いて測定された実際の測定結果を示す。図4に示すように、1つのピークのみが観察される。ピークが観測されない場合には、外部測距部19を内表面に近づけたり、外部測距部19を傾けてレーザー光の出射方向を変化させて、ピークが観測される位置及び角度を探索することが好ましい。
本発明者らは、ルツボの性能向上や品質管理を容易にするには、ルツボの内表面の三次元形状や透明層の厚さの三次元分布のデータを取得することが必須であると考えたが、ルツボが透明体であるので、光学的に三次元形状を測定することは困難であった。ルツボ内表面に光を照射して画像を取得し、その画像を解析する方法も試してみたが、この方法では、画像の解析に非常に長い時間がかかるため、ルツボの内表面全体の三次元形状の測定には到底使えるものではなかった。
このような状況において、本発明者らは、ルツボの内表面に対して斜め方向からレーザー光を照射したところ、ルツボ内表面からの反射光(内表面反射光)に加えて、透明層と気泡含有層の界面からの反射光(界面反射光)も検出が可能であることを見出した。透明層と気泡含有層の界面は、気泡含有率が急激に変化する面であるが、空気とガラスの界面のような明確な界面ではないため、透明層と気泡含有層の界面からの反射光が検出可能であることは驚くべき発見であった。そして、上記の実施形態のシリカガラスルツボの製造条件の設定を支援する装置は、このようなシリカガラスルツボの三次元形状測定装置の開発があって初めて可能になったものである。
<シリカガラスルツボの三次元形状に関連付けられた特性値>
上記の設計データ、上記のシミュレーションデータ、上記の測定データは、いずれも上記のシリカガラスルツボの三次元形状に関連付けられた特性値のデータを含んでいてもよい。この特性値としては、例えば、気泡含有率、表面粗さ、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルから選ばれる1種以上の特性値を好適に用いることができる。
この場合には、一致度判定部114は、上記の設計データ、上記のシミュレーションデータ、上記の測定データのうち2つのデータに含まれる特性値の一致度も判定するように構成される。そして、改善物性パラメータ設定部402は、当初の物性パラメータに基づいて得られたシミュレーションデータおよび測定データの三次元形状又は特性値の一致度のいずれかが所定の水準を下回っている場合には、三次元形状及び特性値の一致度がともに所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定するように構成される。また、改善製造条件設定部308は、設計データとの三次元形状及び特性値の一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定するように構成される。
このように、三次元形状にくわえて、気泡含有率、表面粗さ、赤外吸収スペクトルおよびラマンスペクトルなどの特性値についても考慮に入れることによって、より一層シミュレーションの精度を高めることができる。その結果、設計データに対する三次元形状の一致度がさらに高いシリカガラスルツボを回転モールド法で製造することができる。
<ルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法>
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において、各測定点に対応した位置のルツボの壁での気泡分布を測定することによって、気泡分布の三次元分布を決定する。各測定点でのルツボの壁での気泡分布の測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、焦点が合った面からの情報を選択的に取得することができる共焦点顕微鏡を用いれば気泡の位置が明確に分かるクリアな画像が取得できるので、高精度な測定が可能である。また、焦点位置をずらしながら各焦点位置の面において画像を取得して合成することによって気泡の三次元配置が分かり、各気泡のサイズが分かるので、気泡分布を求めることができる。焦点位置を移動させる方法としては、(1)ルツボを移動させたり、(2)プローブを移動させたり、(3)プローブの対物レンズを移動させたりする方法がある。
測定点の配置は、特に限定されないが、例えば、ルツボの開口部から底部に向かう方向には5〜20mm間隔で配置し、円周方向には例えば10〜60度間隔である。具体的な測定は、例えば、共焦点顕微鏡用プローブを内部ロボットアーム5の先端に取り付け、内部測距部17と同様の方法で、非接触で内表面に沿って移動させる。内部測距部17を移動させる際には、内表面の大雑把な三次元形状が分かっているだけで内表面の正確な三次元形状は分かっていなかったので、その大雑把な三次元形状に基づいて内部測距部17を移動させていたが、気泡分布の測定時には、内表面の正確な三次元形状が分かっているので、共焦点顕微鏡用プローブを移動させる際に、内表面とプローブとの距離を高精度に制御することが可能である。
共焦点顕微鏡用プローブをルツボの開口部から底部まで移動させ、その移動経路上の複数点で気泡分布を測定した後は、回転台9を回転させて、ルツボ11の別の部位の気泡分布の測定を行う。このような方法でルツボの内表面全体に渡って気泡分布を測定することができ、その測定結果により、ルツボの気泡分布の三次元分布を決定することができる。
<ルツボの内表面の表面粗さの三次元分布の決定方法>
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の表面粗さを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点での表面粗さの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、焦点が合った面からの情報を選択的に取得することができる共焦点顕微鏡を用いれば、高精度な測定が可能である。また、共焦点顕微鏡を用いれば、表面の詳細な三次元構造の情報を取得することができるので、この情報を用いて表面粗さを求めることができる。表面粗さには、中心線平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均高さRzがあり、これらの何れを採用してもよく、表面の粗さを反映する別のパラメータを採用してもよい。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。
<ルツボの内表面の赤外吸収スペクトルの三次元分布の決定方法>
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面の赤外吸収スペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点での赤外吸収スペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けて赤外線を照射してその反射光を検出し、照射光のスペクトルと反射光のスペクトルの差分を求めることによって測定することができる。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。
<ルツボの内表面のラマンスペクトルの三次元分布の決定方法>
ルツボの内表面の三次元形状が求まった後は、この三次元形状上の複数の測定点において内表面のラマンスペクトルを測定することによって、その三次元分布を決定する。各測定点でのラマンスペクトルの測定方法は、非接触式であれば特に限定されないが、内表面に向けてレーザー光を照射してそのラマン散乱光を検出することによって測定することができる。なお、測定点の配置および具体的な測定方法は、上記のルツボの気泡分布の三次元分布の決定方法の場合と同様である。

Claims (2)

  1. シリカガラスルツボの製造条件の設定を支援する装置を用いたシリカガラスルツボの製造方法であって、
    前記装置は、
    任意の型式、製造ロット又はシリアルナンバーのシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得する設計データ取得部と、
    前記設計データに基づいてシリカガラスルツボの製造条件データを設定する製造条件データ設定部と、
    伝熱計算、流体計算及び構造計算からなる群から選ばれる1種以上の計算が可能な計算エンジンを用いて、前記製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを得るシミュレーション部と、
    前記計算エンジンが用いる物性パラメータを設定する物性パラメータ設定部と、
    前記製造条件に基づいて製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する測定データ取得部と、
    前記設計データ、前記シミュレーションデータ、前記測定データのうち2種類のデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する一致度判定部と、
    前記シミュレーションデータ又は製造条件データの出力部と、
    を備え、
    前記物性パラメータ設定部は、当初の物性パラメータに基づいて得られた前記シミュレーションデータおよび前記測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、前記物性パラメータの変更および変更後の物性パラメータによる再度のシミュレーションを繰り返し、前記一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する改善物性パラメータ設定部を有しており、
    前記製造条件データ設定部は、前記設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定する改善製造条件データ設定部を有し、
    前記改善製造条件データ設定部で設定された改善製造条件データを用いた製造プロセスによる、
    シリカガラスルツボの製造方法。
  2. シリカガラスルツボの製造条件の設定を支援する装置を用いたシリカガラスルツボの製造方法であって、
    前記装置は、
    任意の型式、製造ロット又はシリアルナンバーのシリカガラスルツボの三次元形状の設計データを取得する設計データ取得部と、
    前記設計データに基づいてシリカガラスルツボの製造条件データを設定する製造条件データ設定部と、
    伝熱計算、流体計算及び構造計算からなる群から選ばれる1種以上の計算が可能な計算エンジンを用いて、前記製造条件によって得られるシリカガラスルツボの三次元形状のシミュレーションデータを得るシミュレーション部と、
    前記計算エンジンが用いる物性パラメータを設定する物性パラメータ設定部と、
    前記製造条件に基づいて製造されたシリカガラスルツボの三次元形状の測定データを取得する測定データ取得部と、
    前記設計データ、前記シミュレーションデータ、前記測定データのうち2種類のデータを比較対照して、両者の三次元形状の一致度を判定する一致度判定部と、
    前記シミュレーションデータ又は製造条件データの出力部と、
    を備え、
    前記物性パラメータ設定部は、当初の物性パラメータに基づいて得られた前記シミュレーションデータおよび前記測定データの三次元形状の一致度が所定の水準を下回っている場合には、前記一致度が所定の水準以上となる改善物性パラメータを設定する改善物性パラメータ設定部を有しており、
    前記製造条件データ設定部は、当初の製造条件に基づいて得られた前記シミュレーションデータの一致度が所定の水準を下回っている場合には、前記製造条件の変更および変更後の製造条件による再度のシミュレーションを繰り返し、前記設計データとの一致度が所定の水準以上となるシミュレーションデータが得られる製造条件を設定する改善製造条件データ設定部を有し、
    前記改善製造条件データ設定部で設定された改善製造条件データを用いた製造プロセスによる、
    シリカガラスルツボの製造方法。
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