JP2017127903A - 作業装置 - Google Patents

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Naoya Konagai
直哉 小長井
浩 磯部
Hiroshi Isobe
浩 磯部
清悟 坂田
Seigo Sakata
清悟 坂田
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Abstract

【課題】コンパクトな構成でありながら、高速・高精度できめ細かい動作で作業を行うことができ、作業中に発生する不要物が周囲に飛散することを防止できる作業装置を提供する。【解決手段】作業装置100はリンク作動装置1を備える。リンク作動装置1は、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3が、3組以上のリンク機構4を介して姿勢を変更可能に連結され、先端側のリンクハブ3が上向きとなるよう配置される。先端側のリンクハブ13に、先端が下向きとなるようにエンドエフェクタ52が取り付けられる。エンドエフェクタ52の先端は、基端側のリンクハブ2よりも下方に突出している。基端側のリンクハブ2と作業平面60との間の範囲でエンドエフェクタ52の側面部の外周を覆い、下端に下向きに開口する円形の開口部62を有する円筒状の飛散防止部材61が、基端側のリンクハブ2に設けられる。【選択図】図2

Description

この発明は、製造工程等で用いられ、人の手を介さず、自動できめ細かい作業を高速・高精度で行うことができる作業装置に関する。
従来の自動溶接機は、特許文献1〜3の提案のような、多関節ロボットの先端に溶接トーチを搭載したものが一般的であった。これらの多関節ロボットを用いた自動溶接機は、作業範囲を広く取れるが、ロボット本体が大型となるため、動作範囲等を考慮すると、設置するのに広い占有スペースが必要となる。また、多関節ロボットは複数の軸で構成されるため、従来の自動溶接機では、きめ細かい動作を高速で行うことができず、精密な溶接が難しい。
そこで、リンク作動装置と1軸以上の直動アクチュエータとを組み合わせることで、コンパクトな構成でありながら、高速・高精度できめ細かい動作を実現することができる自動溶接機が考案されている(特許文献4)。前記リンク作動装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結したパラレルリンク機構を備え、このパラレルリンク機構を姿勢制御用アクチュエータで駆動することで、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを任意の姿勢に変更する装置である。
特開平06−079472号公報 特開2002−120093号公報 特開2010−253538号公報 特開2015−100802号公報
しかし、上記リンク作動装置を用いた自動溶接機にも、新たな課題があることが分かった。すなわち、溶接中にスパッタが発生し、このスパッタが周囲に飛散して被溶接体の溶接個所以外に部分に付着する可能性がある。スパッタが被溶接体に付着した場合、スパッタ除去のための工程が必要となり、作業能率の低下を招くこととなる。
自動溶接機以外の作業装置についても、自動溶接機と同様に、作業中に発生する不要物が周囲に飛散することによる問題がある。例えば、インクのコーティング装置ではインクが飛散し、洗浄装置ではごみが飛散し、バリ取り機では切粉が飛散する。このように不要物が周囲に飛散することにより、作業環境の悪化を招く。
この発明の目的は、コンパクトな構成でありながら、高速・高精度できめ細かい動作で作業を行うことができ、作業中に発生する不要物が周囲に飛散することを防止できる作業装置を提供することである。
この発明の作業装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させる姿勢制御用アクチュエータが設けられたリンク作動装置を備え、
このリンク作動装置が、前記先端側のリンクハブが上向きとなるように、前記基端側のリンクハブが架台に直接または間接的に固定されることによって前記架台に設置され、かつ前記先端側のリンクハブに先端が下向きとなるようにエンドエフェクタが取り付けられ、このエンドエフェクタの先端が前記基端側のリンクハブよりも下方に突出している作業装置において、
前記基端側のリンクハブと前記エンドエフェクタによる作業が行われる作業平面との間の範囲で前記エンドエフェクタの側面部の外周を覆い、下端に下向きに開口する円形の開口部を有する円筒状の飛散防止部材が、前記基端側のリンクハブに設けられていることを特徴とする。
この構成によると、リンク作動装置の先端側のリンクハブに先端が下向きとなるように取り付けられたエンドエフェクタによって、作業平面に配置された被作業体に対して作業を行う。その際、各姿勢制御用アクチュエータによって基端側のリンクハブに対する先端側のリンクハブの姿勢を変更させることで、エンドエフェクタの角度を変えることができる。リンク作動装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結した構成であるため、コンパクトでありながら、高速、高精度で、広範な作動範囲の動作が可能である。
基端側のリンクハブにエンドエフェクタの側面部の外周を覆う飛散防止部材が設けられているため、作業中に発生する不要物が周囲に飛散することを防止できる。インク、樹脂材等のコーティング装置の場合、インク自体、樹脂材自体は不要物ではないが、被作業体に付着せずに飛散したインクや樹脂材は不要物である。溶接機で発生するスパッタ、洗浄装置で洗い落とされたごみ、バリ取り機で除去された切粉は、それ自体が不要物である。
飛散防止部材により不要物の飛散を被作業体の近辺の限られた範囲内に止めることにより、作業後に不要物を除去する工程を省くか、または大幅に軽減することができる。また、飛散防止部材は基端側のリンクハブに設けられているため、リンク作動装置が作動しても飛散防止部材の高さ位置は変わらない。このため、飛散防止部材の下端と作業平面との間の上下距離を狭くすることができ、不要物が周囲に飛散することを防止するのに有効である。
この発明の作業装置において、前記基端側のリンクハブの中心軸および前記先端側のリンクハブの中心軸が同一直線上にあるとき、前記先端側の球面リンク中心から前記エンドエフェクタの先端までの距離の方が、前記先端側の球面リンク中心から前記作業平面までの距離よりも短くされている。
なお、前記「基端側の球面リンク中心」は、前記基端側のリンクハブと前記基端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記基端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点を指す。
前記「基端側のリンクハブの中心軸」は、前記基端側の球面リンク中心を通り前記基端側のリンクハブと前記基端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸と直角に交わる直線を指す。
前記「先端側の球面リンク中心」は、前記先端側のリンクハブと前記先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記先端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点を指す。
前記「先端側のリンクハブの中心軸」は、前記先端側の球面リンク中心を通り前記先端側のリンクハブと前記先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸と直角に交わる直線を指す。
前記飛散防止部材の前記開口部の半径は次式、
Figure 2017127903
但し、
r:飛散防止部材の開口部の半径
a:基端側の球面リンク中心から作業平面までの距離
b:基端側の球面リンク中心と先端側の球面リンク中心との間隔
θmax:基端側のリンクハブの中心軸に対して先端側のリンクハブの中心軸が傾斜した垂直角度の最大値
を充足する。
リンク作動装置が原点位置の姿勢にあるとき、すなわち前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸とが同一直線上にあるとき、先端側の球面リンク中心からエンドエフェクタの先端までの距離の方が先端側の球面リンク中心から作業平面までの距離よりも短くなるように、エンドエフェクタが先端側のリンクハブに取り付けられている。このため、リンク作動装置がどの姿勢にあるときでも、エンドエフェクタの先端が作業平面よりも上方に位置し、エンドエフェクタが被作業体と干渉しない。
エンドエフェクタの先端は、飛散防止部材の開口部を介して、作業平面と対向する。飛散防止部材の開口部の半径rを、式1を充足する値としたことにより、リンク作動装置の任意の姿勢に対してエンドエフェクタと飛散防止部材とが干渉しないようにできる。開口部の半径rを式1の右辺の値となるべく近い値とすることで、飛散防止部材の下端を作業平面に近接させて、不要物の飛散をより一層防止することができる。
この発明において、前記架台に対し前記リンク作動装置を進退させる1軸以上の直動アクチュエータ、および前記架台に対し被作業体を進退させる1軸以上の直動アクチュエータの両方またはいずれか一方が設けられていても良い。
この場合、1軸以上の直動アクチュエータでリンク作動装置または被作業体を平面上で移動させると共に、リンク作動装置を作動させて基端側のリンクハブに対する先端側のリンクハブの姿勢を変更しながら、先端側のリンクハブに取り付けたエンドエフェクタにより被作業体に対して作業を行う。これにより、被作業体に対して角度を付けながら、被作業体の複数方向の面に対して作業できる。
この発明において、前記飛散防止部材は、前記エンドエフェクタの側面部の外周に配置された円筒状の側面部と、この側面部の下端縁から内周側に張り出す円環状の底面部とを有し、この底面部の内周部分が前記開口部とされていても良い。
この構成であると、飛散防止部材の側面部で受け止められた不要物が落下しても、その不要物が底面部で受けられるため、被作業体に不要物が付着することを防げる。
前記飛散防止部材の前記底面部は、内径側に行くに従い高さ位置が高くなる円すい台状であっても良い。上記円すい台状の形状における上底面が前記開口部となる。
飛散防止部材の底面部が上記円すい台状であると、リンク作動装置の内外で何らかの衝撃が生じた場合でも、底面部に受けられている不要物が落下し難い。
前記飛散防止部材の前記底面部の内周縁に、上方に立ち上がる立上り部が設けられていても良い。
リンク作動装置の内外で生じた何らかの衝撃により、底面部で受けられている不要物が移動する場合、立上り部が開口部から不要物が落下するので防ぎ、被作業体に不要物が付着することを防止できる。
この発明において、前記飛散防止部材における作業中に発生する不要物を受ける面に、前記不要物を吸着する機能を持つ不要物吸着層が設けられていても良い。
飛散防止部材の不要物を受ける面に不要物吸着層が設けられていると、飛散防止部材に当たった不要物が跳ね返るのを防止することができる。これにより、飛散防止部材で跳ね返った不要物が下方に落下するのを防げる。飛散防止部材が円筒状である場合、不要物吸着層が設けられる面は内周面である。また、飛散防止部材が側面部と底面部とを有する場合、不要物吸着層が設けられる面は、側面部の内周面、底面部の上面、および底面部の下面の少なくともいずれか1つである。
この発明において、前記エンドエフェクタが溶接トーチであっても良い。これにより、作業装置が自動溶接機として構成される。この自動溶接機は、コンパクトな構成でありながら、高速・高精度できめ細かい動作を行うことができ、溶接作業中に発生するスパッタが被溶接体に付着することを防ぐことができる。
この発明の作業装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させる姿勢制御用アクチュエータが設けられたリンク作動装置を備え、このリンク作動装置が、前記先端側のリンクハブが上向きとなるように、前記基端側のリンクハブが架台に直接または間接的に固定されることによって前記架台に設置され、かつ前記先端側のリンクハブに先端が下向きとなるようにエンドエフェクタが取り付けられ、このエンドエフェクタの先端が前記基端側のリンクハブよりも下方に突出している作業装置において、前記基端側のリンクハブと前記エンドエフェクタによる作業が行われる作業平面との間の範囲で前記エンドエフェクタの側面部の外周を覆い、下端に下向きに開口する円形の開口部を有する円筒状の飛散防止部材が、前記基端側のリンクハブに設けられているため、コンパクトな構成でありながら、高速・高精度できめ細かい動作で作業を行うことができ、作業中に発生する不要物が周囲に飛散することを防止できる。
この発明の一実施形態にかかる作業装置である自動溶接機の一部を省略した正面図である。 図1の部分拡大図である。 同自動溶接機の一部を省略した平面図である。 同自動溶接機の主要部の斜視図である。 図2のV−V断面図である。 図2のVI−VI断面図である。 同リンク作動装置の一つのリンク機構を直線で表現した図である。 同リンク作動装置の基端側のリンクハブに対する溶接トーチの取付部の断面図である。 ウィービング動作を含む溶接軌道の一例を示す図である。 飛散防止部材の異なる実施形態の断面図である。 飛散防止部材のさらに異なる実施形態の断面図である。 飛散防止部材のさらに異なる実施形態の断面図である。 飛散防止部材のさらに異なる実施形態の断面図である。 この発明の他の実施形態にかかる作業装置である洗浄機の一部を省略した正面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる作業装置であるコーティング装置の一部を省略した正面図である。 この発明のさらに他の実施形態にかかる作業装置であるバリ取り機の一部を省略した正面図である。
この発明の一実施形態を図1〜図8と共に説明する。
図1はこの発明の一実施形態にかかる作業装置である自動溶接機の一部を省略した正面図、図3はその一部を省略した平面図である。図1および図3に示すように、この自動溶接機100は、作業台または地面に固定した架台50に、2軸の直動アクチュエータを組み合わせたアクチュエータ組合せ体であるXYステージ51を介してリンク作動装置1を設置し、このリンク作動装置1にエンドエフェクタとして溶接トーチ52を取り付けてなる。また、架台50から離れた位置に、ワイヤ供給装置53および冷却水装置54が設けられている。
XYステージ51は、架台50に固定され左右方向(X軸方向)に進退動作するX軸直動アクチュエータ55と、このX軸直動アクチュエータ55の底面に設けられたステージに固定され前後方向(Y軸方向)に進退動作するY軸直動アクチュエータ56とを有し、Y軸直動アクチュエータ56の底面がリンク作動装置1を設置するステージとなっている。架台50へのX軸直動アクチュエータ55の固定、およびX軸直動アクチュエータ55へのY軸直動アクチュエータ56の固定は、ボルト等により行う。
次に、リンク作動装置1について説明する。
図2は図1の部分拡大図であり、図4は自動溶接機の主要部の斜視図である。図2に示すように、リンク作動装置1は、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を3組のリンク機構4を介して姿勢変更可能に連結したパラレルリンク機構1aを備え、このパラレルリンク機構1aを複数の姿勢制御用アクチュエータ20(図4)で作動させる構成である。なお、図2では、1組のリンク機構4のみが図示され、姿勢制御用アクチュエータ20は図示が省略されている。
各リンク機構4は、基端側の端部リンク部材5、先端側の端部リンク部材6、および中央リンク部材7で構成され、4つの回転対偶からなる4節連鎖のリンク機構をなす。基端側および先端側の端部リンク部材5,6は、一端がそれぞれ基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3にそれぞれ回転自在に連結されている。中央リンク部材7は、両端に基端側および先端側の端部リンク部材5,6の他端がそれぞれ回転自在に連結されている。
図5は図2のV−V断面図、図6は図2のVI−VI断面図である。パラレルリンク機構1aは、2つの球面リンク機構を組み合わせた構成である。具体的には、基端側のリンクハブ2(図5)および先端側のリンクハブ3(図6)と基端側の端部リンク部材5(図5)および先端側の端部リンク部材6(図6)との各回転対偶の中心軸O1(図5),O3(図6)、および、基端側の端部リンク部材5(図5)および先端側の端部リンク部材6(図6)と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸O2(図5),O4(図6)が、それぞれの球面リンク中心PA(図5),PB(図6)で交差している。
言い換えると、基端側の球面リンク中心PA(図5)は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との各回転対偶の中心軸O1、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸O2がそれぞれ交差する点を指す。同様に、先端側の球面リンク中心PB(図6)は、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6との各回転対偶の中心軸O3、および先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸O4がそれぞれ交差する点を指す。
また、各リンク機構4につき、リンクハブ2(図5),3(図6)と端部リンク部材5,6との各回転対偶から球面リンク中心PA,PBまでの距離d,dは同じであり、かつ端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との各回転対偶から球面リンク中心PA,PBまでの距離は同じである。ここで言う「リンクハブ2(3)と端部リンク部材5(6)との回転対偶の位置」は、例えばリンクハブ2(3)と端部リンク部材5(6)との回転対偶の中心軸O1(O3)における、端部リンク部材5(6)を支持する軸受14(34)の軸方向の中心位置(軸受14(34)が複数並ぶ場合は、複数の並びの中心位置)で示される。端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸O2,O4は、図2のように交差角γを持っていてもよいし、平行であってもよい。
3組のリンク機構4は、基端側と先端側とが幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、図7のように、各リンク部材5,6,7を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材7の中央部に対する基端側部分と先端側部分が対称を成す形状であることを言う。図7は、パラレルリンク機構1a(図5、図6)の1組のリンク機構4を直線で表現した図である。この実施形態のリンク機構4は回転対称タイプで、基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6との位置関係が、中央リンク部材7の中心線Cに対して回転対称となる位置構成になっている。
基端側のリンクハブ2と先端側のリンクハブ3と3組のリンク機構4とで、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3が直交2軸周りに回転自在な2自由度機構が構成される。言い換えると、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3を、回転が2自由度で姿勢変更自在な機構である。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。また、コンパクトである分、迅速な動作を行える。
例えば、球面リンク中心PA,PBを通り、リンクハブ2,3と端部リンク部材5,6との各回転対偶の中心軸O1(図5),O3(図6)に対して直角に交わる直線をリンクハブ2,3の中心軸QA,QBとした場合、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと先端側のリンクハブ3の中心軸QBの折れ角θ(図7)の最大値を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の旋回角φ(図7)を0°〜360°の範囲に設定できる。折れ角θは、基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが傾斜した水平角度のことである。各リンク機構4の姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心PA,PB間の距離bは変化しない。
各リンク機構4が次の各条件を満たす場合、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6とは同じに動く。
条件1:各リンク機構4におけるリンクハブ2,3と端部リンク部材5,6との回転対偶の中心軸O1,O3の角度および長さが互いに等しい。
条件2:リンクハブ2,3と端部リンク部材5,6との回転対偶の中心軸O1,O3、および端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との回転対偶の中心軸O2,O4が、基端側および先端側において球面リンク中心PA,PBで交差する。
条件3:基端側の端部リンク部材5と先端側の端部リンク部材6の幾何学的形状が等しい。
条件4:中央リンク部材7における基端側部分と先端側部分の幾何学的形状が等しい。
条件5:中央リンク部材7の対称面に対して、中央リンク部材7と端部リンク部材5,6との角度位置関係が基端側と先端側とで同じである。
図5に示すように、基端側のリンクハブ2は、平板状の土台10と、この土台10に設けられた3個の支持軸取付部材11と、これら各支持軸取付部材11にそれぞれ取り付けられた3個の支持軸12とで構成される。土台10は、中央部に円形の貫通孔10aを有し、一部が前記Y軸直動アクチュエータ56(図1)に固定されるステージ取付部10bとなっている。3個の支持軸取付部材11(図5)は、土台10の貫通孔10aの周囲に円周方向等配で配置されている。各支持軸12の軸心は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶の中心軸O1と一致する。
前記各支持軸12に、基端側の端部リンク部材5の一端が、2個の軸受14を介して回転自在に支持されている。また、基端側の端部リンク部材5の他端に、2個の軸受15を介して中央リンク部材7の一端に設けられた回転軸16が回転自在に支持されている。軸受14,15は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナットによる締付けでもって所定の予圧量が付与された状態で固定されている。基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶の中心軸O1と、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶の中心軸O2とが成す角度αは、90°未満としている。図の例では、45°である。
土台10には、3組のリンク機構4のすべてに、基端側の端部リンク部材5を回動させて基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を任意に変更させる姿勢制御用アクチュエータ20と、この姿勢制御用アクチュエータ20の動作速度を基端側の端部リンク部材5に減速して伝達する減速機構21とが設けられている。姿勢制御用アクチュエータ20はロータリアクチュエータ、より詳しくは減速機20a付きのサーボモータであって、モータ固定部材22により土台10に固定されている。減速機構21は、姿勢制御用アクチュエータ20の減速機20aと、歯車式の減速部23とでなる。姿勢制御用アクチュエータ20および減速機構21は、3組のリンク機構4のうち2組にだけ設けても良い。2組あれば、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を確定することができる。
歯車式の減速部23は、姿勢制御用アクチュエータの出力軸20bにカップリング25を介して回転伝達可能に連結された小歯車26と、基端側の端部リンク部材5に固定され前記小歯車26と噛み合う大歯車27とで構成されている。小歯車27は両側に軸部を有し、これら軸部がそれぞれ、土台10に固定された回転支持部材28に2個の軸受29を介して回転自在に支持されている。図示例では、小歯車26および大歯車27は平歯車であり、大歯車27は、扇形の周面にのみ歯が形成された扇形歯車である。大歯車27は小歯車26よりもピッチ円半径が大きく、姿勢制御用アクチュエータ20の出力軸20bの回転が基端側の端部リンク部材5へ、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の回転軸O1回りの回転に減速して伝達される。その減速比は、例えば10以上とされている。
この例では、減速機構21に平歯車を使用しているが、その他の機構(例えば、かさ歯車やウォーム機構)でも良い。また、この例では、大歯車27は基端側の端部リンク部材5と別部材とされているが、基端側の端部リンク部材5と一体であってもよい。
姿勢制御用アクチュエータ20の回転軸心および小歯車26の回転軸心は同軸上に位置する。これら回転軸心は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶軸O1と平行で、かつ土台10からの高さが同じとされている。
図6に示すように、先端側のリンクハブ3は、中央部に円形の貫通孔30aを有する円環板状の先端部材30と、この先端部材30に設けられた3個の支持軸取付部材31と、これら各支持軸取付部材31にそれぞれ取り付けられた3個の支持軸32とで構成される。3個の支持軸取付部材31は、先端部材30の貫通孔30aの周囲に円周方向等配で配置されている。各支持軸32の軸心は、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶の中心軸O3と一致する。先端部材30の外周部の1箇所に、トーチ取付部材33がボルト(図示せず)等により固定して設けられている。
前記各支持軸32に、先端側の端部リンク部材6の一端が、2個の軸受34を介して回転自在に支持されている。また、先端側の端部リンク部材6の他端に、2個の軸受35を介して中央リンク部材7の他端に設けられた回転軸36が回転自在に支持されている。軸受34,35は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナットによる締付けでもって所定の予圧量が付与された状態で固定されている。先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶の中心軸O3と、先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶の中心軸O4とが成す角度βは、前記角度αと同じである。
上記リンク作動装置1は、図1のように、Y軸直動アクチュエータ56の下側を向くステージに土台10のステージ取付部10bの先端側の面をボルト等で固定することにより、基端側のリンクハブ2が下側で先端側のリンクハブ3が上側となり、かつ基端側のリンクハブ2の中心軸QAが上下方向を向くように設置される。これにより、互いに直交するX軸直動アクチュエータ55およびY軸直動アクチュエータ56を進退動作させることで、リンク作動装置1が基端側のリンクハブ2の中心軸QAと直交する平面(この例では水平面)上で移動させられる。
図2に示すように、溶接トーチ52は湾曲部52aを有しており、先端部材30の前記トーチ取付部材33に取り付けられる。具体的には図8に示すように、トーチ取付部材33の断面半円形の凹部33aに溶接トーチ52の円筒状の把持部52bを嵌めると共に、トーチ取付部材33の反対側からトーチ押え部材37を被せてその断面半円形の凹部37aに溶接トーチ52の把持部52bを嵌め、トーチ取付部材33とトーチ押え部材37とをボルト38で結合する。これにより、トーチ取付部材33とトーチ押え部材37で把持部52bを挟み付けて、溶接トーチ52を固定する。固定された溶接トーチ52の先端部の中心軸は、先端側のリンクハブ3の中心軸QBと一致させてある。このように先端側のリンクハブ3に取り付けられた溶接トーチ52は、3組以上のリンク機構のうちの2組のリンク機構4の間に配置され、下向きの先端が基端側のリンクハブ2よりも下方に突出している。
図1において、溶接トーチ52の根元からケーブル58が出ており、その先端が前記ワイヤ供給装置53および冷却水装置54に繋がっている。ワイヤ供給装置53は、溶接機制御装置57の指令により、溶接トーチ52に対してケーブル58を介してワイヤ(図示せず)を任意の速度で送り出す装置である。冷却水装置54は、溶接トーチ52の先端部を冷却するための冷却水を、ケーブル58内の配管(図示せず)を介して供給する装置である。他に、シールドガスを供給する配管等(図示せず)も溶接トーチ52に接続される。
図2において、基端側のリンクハブ2の土台10の下面に、土台10と作業平面60との間の範囲で溶接トーチ52の外周を覆う円筒状の飛散防止部材61が取り付けられている。作業平面60は、溶接トーチ52により溶接される2つの被溶接体70,71の溶接個所となる平面である。被溶接体70,71は請求項で言う「被作業体」である。この実施形態の場合、作業平面60は水平面である。飛散防止部材61の下面は、円形の開口部62となっている。
自動溶接機100に用いられる飛散防止部材61は、板金等の難燃性かつ耐熱性が高い材質からなる薄い板材を円筒状に加工したものである。飛散防止部材61に用いる材質としては、難燃性、耐熱性が高い材質であれば板金以外であってもよい。飛散防止部材61の内周面には、スパッタを吸着する機能を持つ不要物吸着層63が設けられている。この例の不要物吸着層63は、飛散防止部材61の内周面に貼り付けられた粘着性を有するシート材である。不要物吸着層63としては、他に、スパッタを吸着する機能を持つ塗料を飛散防止部材61の内周面に塗布した塗膜であっても良い。
図2のようにリンク作動装置1が原点位置の姿勢にあるとき、すなわち基端側のリンクハブ2の中心軸QAおよび先端側のリンクハブ3の中心軸QBが同一直線上にあるとき、先端側の球面リンク中心PBから溶接トーチ52の先端までの距離cの方が、先端側の球面リンク中心PBから作業平面60までの距離(a+b)(a,bについては次段に記載)よりも短くなるように、溶接トーチ52が先端側のリンクハブ3に取り付けられている。このため、リンク作動装置1がどの姿勢にあるときでも、溶接トーチ52の先端が作業平面60よりも上方に位置し、溶接トーチ52が被溶接体70,71と干渉しない。
また、飛散防止部材61の開口部62の半径rは、式1を充足するように定められている。
Figure 2017127903
但し、
r[mm]:飛散防止部材61の開口部の半径
a[mm]:基端側の球面リンク中心PAから作業平面60までの距離
b[mm]:基端側の球面リンク中心PAと先端側の球面リンク中心PBとの間隔
θmax[°]:基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが傾斜した垂直角度(折れ角)θの最大値
式1はパラレルリンク機構1aの独自の動きから導出された式であり、パラレルリンク機構1aの折れ角θに対する各部材の回転、および各部材の間隔の拘束条件を利用している。具体的には、リンク作動装置1の折れ角θの最大値θmaxに対する基端側の球面リンク中心PAから作業平面60までの距離aと、基端側の球面リンク中心PAと先端側の球面リンク中心PBとの間隔bとの位置関係から導出している。
図1の例では、溶接トーチ52によって溶接される被溶接体は、地面に載置された例えば円形のブロック状の被溶接体70と、このブロック状の被溶接体70の上に載置された板状の被溶接体71とからなり、板状の被溶接体71の周囲をブロック状の被溶接体70の上面に溶接する状態を示している。この場合、ブロック状の被溶接体70の上面が前記作業平面60となる。被溶接体70,71をジャッキ機構等により高さ調節可能としても良い。
この自動溶接機100は、X軸直動アクチュエータ55およびY軸直動アクチュエータ56を進退動作させてリンク作動装置1を水平面上で移動させると共に、リンク作動装置1を作動させて基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢を変更しながら、先端側のリンクハブ3に取り付けられた溶接トーチ52により被溶接体70,71に対して溶接を行う。これにより、被溶接体70,71に対して角度を付けながら、被溶接体70,71の複数方向の面に対して溶接できる。また、溶接トーチ52を搭載するリンク作動装置1は、先に説明したように、先端側のリンクハブ3の可動範囲が広く、かつ迅速な動作を行えるため、溶接トーチ52の先端のきめ細かい動作を高速で実現できる。このため、被溶接体70,71に対して精密な溶接作業を行うことができる。さらに、ワイヤ供給装置53が設けられているため、リンク作動装置1の動作により溶接トーチ52の先端部と被溶接体70,71との距離が変動する場合でも、安定した溶接を実現できる。
X軸直動アクチュエータ55およびY軸直動アクチュエータ56が、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと直交する平面上で進退動作するように設けられているため、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと直交する平面、例えば水平面上での溶接作業が容易である。また、溶接トーチ52は、その先端部の中心軸が先端側のリンクハブ3の中心軸QBと一致するように設置されているため、先端側のリンクハブ3の角度と溶接トーチ52の先端部の角度が一致し、溶接トーチ52の先端部の姿勢制御が容易である。
溶接トーチ52は細長い形状のものが多い。そのため、溶接トーチ52を先端部が先端側のリンクハブ3に対して先端側を向くように設置すると、慣性モーメントが大きくなり、移動速度の低下や位置決め精度の悪化を招く(図示せず)。しかし、この自動溶接機100のように、溶接トーチ52を先端部が先端側のリンクハブ3に対して基端側のリンクハブ2の側を向き、かつ基端側のリンクハブ2よりも下方に突出させて設置すると、溶接トーチ52の先端部の位置がリンク作動装置1の回転中心に近づくため、溶接トーチ52の慣性モーメントを小さくすることができ、高速動作や高い位置決め精度を実現できる。また、リンク作動装置1の構成部品のうち溶接トーチ52の先端部が最下部に位置するため、自動溶接機100と被溶接体70,71とが干渉し難い。
基端側および先端側のリンクハブ2,3と基端側および先端側の端部リンク部材5,6の回転対偶の中心軸O1,O2と、基端側および先端側の端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との回転対偶の中心軸O3,O4とが成す角度α,βを90°未満としたことで、各リンク機構4の配列の内側の空間を広く取れる。このため、溶接トーチ52を各リンク機構4の配列の内側の空間に配置し易い。
この実施形態の溶接トーチ52は湾曲形状をしているため、溶接トーチ52の先端部の中心軸を先端側のリンクハブ3の中心軸QBと一致させた場合、溶接トーチ52の根元部は各リンク機構4の配列の外側に出た状態となる。溶接トーチ52を任意の2組のリンク機構4の間に配置したことで、溶接トーチ52が各リンク機構4を干渉することを避けられる。これにより、溶接トーチ52を各リンク機構4の配列の内側の空間に配置する構成としても、リンク作動装置1の大型化を防止できる。
この自動溶接機100を用いて行う溶接の例を図9に示す。この溶接軌道80は、所望の溶接位置付近に位置する基準線81に対して、円を描きながら進行方向に進むウィービング動作を行う。この自動溶接機100を用いると、制御装置57(図1)の制御により、XYステージ51により基準線81に沿う動作を行い、リンク作動装置1により円を描く動作を行うことで、上記溶接軌道80になぞる溶接を容易に行える。このように、基準線81に沿う動作と、円を描く動作をそれぞれ別の機構で行うことで、両動作の同時制御が容易となる。このような円を描くウィービング動作を行うと、軌道の方向が連続的に変化するため、移動速度の急な変化がなく、高速で滑らかなウィービング動作を実現できる。
この例では、基準線81を円としているが、他の軌跡の基準線であっても構わない。また、溶接軌道80は、制御装置57によりすべて軌道計算により生成しても良く、ティーチングにより基準線81を作成し、ウィービングの径を指定することで生成しても良い。
この自動溶接機100は、溶接トーチ52の下端部の外周を覆う飛散防止部材61が設けられているため、溶接中に発生するスパッタが周囲に飛散することを防止し、スパッタの被溶接体70,71への付着を溶接個所の近辺の限られた範囲内に止めることができる。飛散防止部材61の内周面に、不要物吸着層63が設けられているため、飛散防止部材61の内周面に当たったスパッタが跳ね返るのを防止することができる。これにより、飛散防止部材61の内周面で跳ね返ったスパッタが下方に落下するのを防げる。このため、溶接作業後に、被溶接体70,71への付着したスパッタを除去する工程を省くか、または大幅に軽減することができる。
また、飛散防止部材61は基端側のリンクハブ2に設けられているため、リンク作動装置1が作動しても飛散防止部材61の高さ位置は変わらない。このため、飛散防止部材61の下端と作業平面60との間の上下距離を狭くすることができ、スパッタが周囲に飛散することを防止するのに有効である。
溶接トーチ52の先端は、飛散防止部材61の開口部62を介して、作業平面60と対向している。飛散防止部材61の開口部62の半径rを、前記式1を充足する値としたことにより、リンク作動装置1の任意の姿勢に対して溶接トーチ52と飛散防止部材61とが干渉しないようにできる。開口部62の半径rを式1の右辺の値となるべく近い値とすることで、飛散防止部材61の下端を作業平面60に近接させて、スパッタの飛散をより一層防止することができる。
図10は飛散防止部材の異なる実施形態の断面図である。この飛散防止部材61は、溶接トーチ52の側面部の外周に配置された円筒状の側面部61aと、この側面部61aの下端縁から内周側に延びる円環状の底面部61bとを有し、この底面部61bの内周部分が前記開口部62となっている。この場合も、開口部62の半径rが前記式1を充足する値とされている。
図10の例では、1枚の板材を折り曲げ加工することで、側面部61aと底面部61bとが一体に成形しているが、側面部61aと底面部61bとを別々に加工して、両者を互いに取り付けても良い。
この構成であると、飛散防止部材61の側面部61aで受け止められたスパッタが落下しても、そのスパッタが底面部61bで受けられるため、下方の被溶接体(図示せず)にスパッタが付着することを防げる。このように、底面部61bがスパッタを受けるため、側面部61aの内周面に不要物吸着層が設けられていなくても、飛散防止部材61からスパッタが落下することを防げる。底面部61bの下面に不要物吸着層を設けても良い。
図11は飛散防止部材のさらに異なる実施形態の断面図である。この飛散防止部材61も側面部61aと底面部61bとからなるが、底面部61bが、内径側に行くに従い高さ位置が高くなる円すい台状とされている。詳しくは、底面部61bの形状は、円すい台を構成する側面の形状である。上記円すい台状の形状における上底面が開口部62となる。飛散防止部材61の底面部61bが円すい台状であると、リンク作動装置(図示せず)の内外で何らかの衝撃が生じた場合でも、底面部61bに受けられているスパッタが落下し難い。
図12に示すように、図11の飛散防止部材61の底面部61bの下面に不要物吸着層63を設けても良い。底面部61bの下面に不要物吸着層63が設けられていると、底面部61bに向かって下方から飛んでくるスパッタを捕獲することができる。このため、スパッタが底面部61で跳ね返って被溶接体(図示せず)に付着することを防止できる。図12の例では、底面部61bの下面にのみ不要物吸着層63が設けられているが、側面部61aの内周面や底面部61bの上面に不要物吸着層を設けても良い。
図13は飛散防止部材のさらに異なる実施形態の断面図である。この飛散防止部材61は、水平状の底面部61bの内周縁に、上方に立ち上がる立上り部61cが設けられている。この立上り部61cは、底面部61bの内周縁の全周に連続して設けられている。この構成によると、リンク作動装置(図示せず)の内外で生じた何らかの衝撃により、底面部61bで受けられているスパッタが移動した場合、立上り部61cがスパッタを開口部62から落下するので防ぎ、被溶接体(図示せず)にスパッタが付着することを防止できる。
図1の実施形態は、リンク作動装置1がXYステージ51により水平面上で移動可能に設置され、被溶接体70,71が位置固定で設置されているが、これとは逆に、リンク作動装置1が位置固定で設置され、被溶接体70,71がXYステージ51により水平面上で移動可能に設置された構成としても良い。また、リンク作動装置1がX軸直動アクチュエータ55により左右方向に進退可能に設置され、被溶接体70,71がY軸直動アクチュエータ56により前後方向に進退可能に設置された構成としても良い。さらに、リンク作動装置1がY軸直動アクチュエータ56により前後方向に進退可能に設置され、被溶接体70,71がX軸直動アクチュエータ55により左右方向に進退可能に設置された構成としても良い。いずれの構成も、図1の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
上記実施形態の作業装置は、エンドエフェクタとして溶接トーチ52が取り付けられて自動溶接機100として構成されているが、この発明は、自動溶接機以外の作業装置にも適用できる。
図14は、この発明の他の実施形態にかかる作業装置である洗浄機の一部を省略した正面図である。この洗浄機101は、エンドエフェクタとしてノズル110が設けられており、このノズル110から噴射される洗浄液またはエアによって被作業体140を洗浄する。被作業体140は、被作業体載置台141の上に載置されている。ノズル110は、その先端の吐出口110aが下向きとなるように先端側のリンクハブ3に取り付けられている。ノズル110の吐出口110aは、基端側のリンクハブ2よりも下方に突出している。
図14のようにリンク作動装置1が原点位置の姿勢にあるとき、先端側の球面リンク中心PBからノズル110の先端までの距離cの方が、先端側の球面リンク中心PBから作業平面60までの距離(a+b)よりも短くなるように、ノズル110が先端側のリンクハブ3に取り付けられている。このため、リンク作動装置1がどの姿勢にあるときでも、ノズル110の先端が作業平面60よりも上方に位置し、ノズル110が被作業体140および被作業体載置台141と干渉しない。
基端側のリンクハブ2には、洗浄液またはエアが周囲に飛散することを防止する飛散防止部材61が設けられている。飛散防止部材61は、自動溶接機100の飛散防止部材61(図2参照)と同様に、基端側のリンクハブ2と作業平面60との間の範囲でノズル110の側面部の外周を覆い、下端に下向きに開口する円形の開口部62を有する円筒状である。飛散防止部材61の内周面には、洗浄液またはエアによって洗い落されて舞い上がったごみ等の不要物を吸着する不要物吸着層63が設けられている。飛散防止部材61の開口部62の半径rは、前記式1を充足するように定められている。
他は、図2の自動溶接機100と同じ構成である。
この洗浄機101は、エンドエフェクタであるノズル110の側面部の外周を覆う飛散防止部材61が設けられているため、洗浄液またはエアが被作業体140の周囲に飛散することを防止できる。図2の自動溶接機100と同様に、飛散防止部材61は基端側のリンクハブ2に設けられているため、リンク作動装置1が作動しても飛散防止部材61の高さ位置は変わらない。このため、飛散防止部材61の下端と作業平面60との間の上下距離を狭くすることができ、洗浄液またはエアが周囲に飛散することを防止するのに有効である。
また、飛散防止部材61の内周面に、不要物吸着層63が設けられているため、飛散防止部材61の内周面に当たったごみ等の不要物が跳ね返るのを防止することができる。これにより、飛散防止部材61の内周面で跳ね返った不要物が下方に落下するのを防げる。飛散防止部材61の開口部62の半径rが、前記式1を充足する値とされているため、リンク作動装置1の任意の姿勢に対してノズル110と飛散防止部材61とが干渉しない。
図15は、この発明のさらに他の実施形態にかかる作業装置であるコーティング装置の一部を省略した正面図である。このコーティング装置102は、エンドエフェクタとして塗布具120が取り付けられており、この塗布具120によって被作業体140にインク、樹脂材等を塗布する。塗布具120は、先端側のリンクハブ3に設置された上下方向の直動アクチュエータ121に取り付けられ、上下位置を変更可能である。図15は塗布具120が作業平面60より少し高い位置にある待機状態を示しており、この待機状態から、先端の塗布部120aが被作業体140に接する高さまで塗布具120を下降させて塗布作業を行う。
前記待機状態において、先端側の球面リンク中心PBから塗布具120の先端までの距離cの方が、先端側の球面リンク中心PBから作業平面60までの距離(a+b)よりも短くなるように、塗布具120が先端側のリンクハブ3に取り付けられている。このため、待機状態では、リンク作動装置1がどの姿勢にあるときでも、塗布具120の先端が作業平面60よりも上方に位置し、塗布具120が被作業体140および被作業体載置台141と干渉しない。
基端側のリンクハブ2には、前記自動溶接機100および前記コーティング装置102のものと同様の飛散防止部材61が設けられている。これにより、作業時にインク、樹脂材等が周囲に飛散することを防止できる。
他は、前記自動溶接機100や前記コーティング装置102と同じ構成である。
図16は、この発明のさらに他の実施形態にかかる作業装置であるバリ取り機の一部を省略した正面図である。このバリ取り機103は、エンドエフェクタとして回転研摩具130が取り付けられており、この回転研摩具130によって被作業体140のバリを除去する。前記コーティング装置102と同様に、回転研摩具130は、先端側のリンクハブ3に設置された上下方向の直動アクチュエータ121に取り付けられ、上下位置を変更可能である。図16は回転研摩具130が作業平面60より少し高い位置にある待機状態を示しており、この待機状態から、先端の研摩体130aが被作業体140に接する高さまで回転研摩具130を下降させてバリ取り作業を行う。
前記待機状態における回転研摩具130の位置は、前記コーティング装置102の塗布具120の場合と同様であり、それによりコーティング装置102の場合と同様の作用・効果が得られる。
また、基端側のリンクハブ2に、前記コーティング装置102のものと同様の飛散防止部材61が設けられており、それによりコーティング装置102の場合と同様の作用・効果が得られる。
図14に示す洗浄機101、図15に示すコーティング装置102、および図16に示すバリ取り機103は、いずれも単純な円筒形の飛散防止部材61が使用されているが、図10〜図13に示す形状の飛散防止部材61を使用してもよい。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…リンク作動装置
2…基端側のリンクハブ
3…先端側のリンクハブ
4…リンク機構
5…基端側の端部リンク部材
6…先端側の端部リンク部材
7…中央リンク部材
20…姿勢制御用アクチュエータ
50…架台
52…溶接トーチ(エンドエフェクタ)
55…X軸直動アクチュエータ
56…Y軸直動アクチュエータ
60…作業平面
61…飛散防止部材
61a…側面部
61b…底面部
61c…立上り部
62…開口部
63…不要物吸着層
70,71…被溶接体
100…自動溶接機(作業装置)
101…洗浄機(作業装置)
102…コーティング装置(作業装置)
103…バリ取り機(作業装置)
110…ノズル(エンドエフェクタ)
120…塗布具(エンドエフェクタ)
130…回転研摩具(エンドエフェクタ)
140…被作業体
O1…基端側のリンクハブと基端側の端部リンク部材との回転対偶の中心軸
O2…基端側の端部リンク部材と中央リンク部材との回転対偶の中心軸
O3…先端側のリンクハブと先端側の端部リンク部材との回転対偶の中心軸
O4…先端側の端部リンク部材と中央リンク部材との回転対偶の中心軸
PA…基端側の球面リンク中心
PB…先端側の球面リンク中心
QA…基端側のリンクハブの中心軸
QB…先端側のリンクハブの中心軸

Claims (8)

  1. 基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結され、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更させる姿勢制御用アクチュエータが設けられたリンク作動装置を備え、
    このリンク作動装置が、前記先端側のリンクハブが上向きとなるように、前記基端側のリンクハブが架台に直接または間接的に固定されることによって前記架台に設置され、かつ前記先端側のリンクハブに先端が下向きとなるようにエンドエフェクタが取り付けられ、このエンドエフェクタの先端が前記基端側のリンクハブよりも下方に突出している作業装置において、
    前記基端側のリンクハブと前記エンドエフェクタによる作業が行われる作業平面との間の範囲で前記エンドエフェクタの側面部の外周を覆い、下端に下向きに開口する円形の開口部を有する円筒状の飛散防止部材が、前記基端側のリンクハブに設けられていることを特徴とする作業装置。
  2. 請求項1に記載の作業装置において、前記基端側のリンクハブと前記基端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記基端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点が基端側の球面リンク中心と称され、この基端側の球面リンク中心を通り前記基端側のリンクハブと前記基端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸と直角に交わる直線が基端側のリンクハブの中心軸と称され、かつ前記先端側のリンクハブと前記先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記先端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点が先端側の球面リンク中心と称され、この先端側の球面リンク中心を通り前記先端側のリンクハブと前記先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸と直角に交わる直線が先端側のリンクハブの中心軸と称される場合、
    前記基端側のリンクハブの中心軸および前記先端側のリンクハブの中心軸が同一直線上にあるとき、前記先端側の球面リンク中心から前記エンドエフェクタの先端までの距離の方が、前記先端側の球面リンク中心から前記作業平面までの距離よりも短く、
    前記飛散防止部材の前記開口部の半径が次式、
    Figure 2017127903
    但し、
    r:飛散防止部材の開口部の半径
    a:基端側の球面リンク中心から作業平面までの距離
    b:基端側の球面リンク中心と先端側の球面リンク中心との間隔
    θmax:基端側のリンクハブの中心軸に対して先端側のリンクハブの中心軸が傾斜した垂直角度の最大値
    を充足する作業装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の作業装置において、前記架台に対し前記リンク作動装置を進退させる1軸以上の直動アクチュエータ、および前記架台に対し被作業体を進退させる1軸以上の直動アクチュエータの両方またはいずれか一方が設けられている作業装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の作業装置において、前記飛散防止部材は、前記エンドエフェクタの側面部の外周に配置された円筒状の側面部と、この側面部の下端縁から内周側に張り出す円環状の底面部とを有し、この底面部の内周部分が前記開口部とされている作業装置。
  5. 請求項4に記載の作業装置において、前記飛散防止部材の前記底面部は、内径側に行くに従い高さ位置が高くなる円すい台状である作業装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の作業装置において、前記飛散防止部材の前記底面部の内周縁に、上方に立ち上がる立上り部が設けられている作業装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の作業装置において、前記飛散防止部材における作業中に発生する不要物を受ける面に、前記不要物を吸着する機能を持つ不要物吸着層が設けられている作業装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の作業装置において、前記エンドエフェクタが溶接トーチである作業装置。
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