JP2017127315A - ブレビバクテリウム・オーランチアカム(Brevibacterium aurantiacum)から単離されたポリペプチド及び癌の治療を目的とするその使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】癌の治療を目的とする方法及び医薬組成物の提供。
【解決手段】ブレビバクテリウム・オーランチアカムから単離された、メチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性を示すポリペプチド。また、前記ポリペプチドをコードする核酸を単離し、形質転換された宿主細胞を用いたポリペプチドの製造方法、及び癌の治療を目的とする前記ポリペプチドの使用する方法。
【選択図】なし
【解決手段】ブレビバクテリウム・オーランチアカムから単離された、メチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性を示すポリペプチド。また、前記ポリペプチドをコードする核酸を単離し、形質転換された宿主細胞を用いたポリペプチドの製造方法、及び癌の治療を目的とする前記ポリペプチドの使用する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、メチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性を示すブレビバクテリウム・オーランチアカム(Brevibacterium aurantiacum)から単離されたポリペプチドならびに癌の治療を目的とするそれらの使用に関する。
メチオニン欠乏下で成長した癌細胞の細胞毒性は十分に確立されている。メチオニンの欠乏は癌細胞の死を誘導するが一方、正常細胞ははるかに抵抗性である。この相対的な選択性の理由は不明である。正常細胞も癌細胞も、十分な葉酸、コバラミン、及びホモシステインが供給されればメチオニンを合成することができる。しかし、大多数の腫瘍細胞はそれらが合成することのできる以上の量のメチオニンを必要とし、外因性の供給が欠如すると、増殖抑制を受けるか、又は死滅する。
不可逆的にL−メチオニンのα、γ−脱離を触媒して、メタンチオール、α−ケトブチレート、及びアンモニアの生成をもたらすメチオニンガンマリアーゼ(L−メチオニン−α−デアミノ−γ−メルカプトエタンリアーゼ;MGL)の作用により、インビトロ及びインビボのメチオニン欠如を達成することができる。いくつかの微生物からの精製又は種々の細菌種及び原生動物由来の酵素をコードする遺伝子の組換えにより、種々のMGLが製造されている。メチオニン欠如の抗腫瘍作用についての大多数の研究では、潜在的に病原性のシュードモナス菌であるシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のMGL(Pp−MGL)が使用されている。
Pp−MGLにより獲得されたメチオニン欠如は、ヒトの種々のタイプの癌の治療に現在用いられている薬剤であるフルオロピリミジン5−フルオロウラシル(FUra)の細胞毒性作用を増強する(Machover et al.、2001;Machover et al.、2002)。増強は、メチオニン欠如により誘導された葉酸減少の細胞内プール改変によるものであり、また、ことによると、細胞死に対して有利に働く細胞機構の発現における変化(DNAの脱メチル化に関連し得る)によるものと思われる(Machover et al.、2001;Machover et al.、2002)。また別の研究者は、Pp−MGLの同時投与により、腫瘍担持マウスにおけるFUra及びシスプラチンの増強を示している。
クリニックでは、組換えPp−MGL導入を目的として動物実験が行われている。しかし、このタンパク質により再抗原投与したサルに致死的なアナフィラキシーショック症候群が観察されており、天然組換えPp−MGLのさらなる開発を妨げている。現在のところ、ペグ化によるタンパク質の免疫原性低下の試みは成功していない。
この前臨床データから、P.p.MGL及び、ことによると、これまでに述べられた他の推定上の十分に特性化されたMGLは全てヒトにとって潜在的な病原体である種々の微生物に由来(すなわち、アエロモナス(Aeromonas)種、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)及びトレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、ならびに原生動物の膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、及び赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)起源)であって、これらの禁止的な免疫原性により、安全な条件下で血漿中の持続的なメチオニン欠如に必要な酵素を静脈内投与することができなかったと考えられた。
しかし、癌に対する新規薬剤の開発が要望されている。この意味で、腫瘍細胞の増殖を抑制する新規治療ターゲットの特性化がきわめて望ましいことが示唆されてきた。したがって、当技術分野では、食物に豊富に存在する非病原性の微生物由来のメチオニンガンマリアーゼが要望されており、このMGLは経口免疫寛容により利益を得て、癌治療のためにMGLを必要としている対象の血流内へのその投与が可能になると思われる。
本発明は、癌の治療を目的とする方法及び医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、ブレビバクテリウム・オーランチアカムのメチオニンガンマ−リアーゼ及び癌の治療を目的とするそれらの使用に関する。
[発明の詳細な説明]
本発明は、ブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC9175;以前は、ブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacterium linens))由来のメチオニンガンマ−リアーゼの開発に関する。
本発明は、ブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC9175;以前は、ブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacterium linens))由来のメチオニンガンマ−リアーゼの開発に関する。
本発明者らは、芳香及び色素産生、ならびに食物病原体の成長を阻害するその性質を特徴とするチーズ熟成微生物であるB.オーランチアカム(ATCC9175)中の種々の硫黄含有アミノ酸の存在下でのトランスクリプトーム分析により、遺伝子発現を試験した。驚くべきことに、これらの試験により、同じ微生物において以前に記載されたもの(Amarita et al.,2004)とは大きく異なる新規の推定上メチオニンガンマ−リアーゼ(MGL)の配列同定が導かれた。
本発明者らは、B.オーランチアカム由来の推定上MGLの最適化遺伝子を含有する発現プラスミドにより、大腸菌(E.coli)の産生株を形質転換した。作製された組換え酵素、MGL−BL929は、メチオニンに対して、4.33 U/mg〜7.21U/mg、すなわちP.putida由来の酵素で見出されたものに近い値の特異的活性を示した。本発明者らは、作製されたMGL−BL929が、メチオニンガンマ−リアーゼ活性に加えて、ホモシステイナーゼ活性を有することを実証した。また、本発明者らは、MGL−BL929が、
− 長期間、腫瘍細胞培養培地由来のメチオニン及びホモシステインを欠如させ、
− 腫瘍細胞培養条件下で、またインビトロのヒト血清中で安定であり、
− 培養物中で増殖している種々のヒト腫瘍細胞に対して、高い細胞毒活性を有し、
− 癌細胞に対しては高い細胞毒性の濃度において、正常細胞の増殖には影響を与えず、
− 細胞増殖抑制剤の細胞毒活性を増強(調節)し、
− 細胞増殖抑制剤に対する前の細胞耐性を無効化すること
を、実証した。
− 長期間、腫瘍細胞培養培地由来のメチオニン及びホモシステインを欠如させ、
− 腫瘍細胞培養条件下で、またインビトロのヒト血清中で安定であり、
− 培養物中で増殖している種々のヒト腫瘍細胞に対して、高い細胞毒活性を有し、
− 癌細胞に対しては高い細胞毒性の濃度において、正常細胞の増殖には影響を与えず、
− 細胞増殖抑制剤の細胞毒活性を増強(調節)し、
− 細胞増殖抑制剤に対する前の細胞耐性を無効化すること
を、実証した。
定義
用語「メチオニンガンマ−リアーゼ」又は「MGL」は、当技術分野における一般的な意味を有し、L−メチオニンのα,γ−脱離を不可逆的に触媒し、メタンチオール、α−ケトブチレート、及びアンモニアの生成をもたらす酵素であるL−メチオニン−α−デアミノ−γ−メルカプトエタンリアーゼのことである。
用語「メチオニンガンマ−リアーゼ」又は「MGL」は、当技術分野における一般的な意味を有し、L−メチオニンのα,γ−脱離を不可逆的に触媒し、メタンチオール、α−ケトブチレート、及びアンモニアの生成をもたらす酵素であるL−メチオニン−α−デアミノ−γ−メルカプトエタンリアーゼのことである。
用語「ホモシステイナーゼ活性」は、当技術分野における一般的な意味を有し、L−ホモシステインリアーゼ活性のことである。
用語「ブレビバクテリウム・リネンス」は、他の3つの種、すなわち、Gavrishら、2004に記載されている通り、ブレビバクテリウム・オーランチアカム,ブレビバクテリウム・アンチクーム(Brevibacterium antiquum)及びブレビバクテリウム・ペルメンス(Brevibacterium permense)も含む。ATCC9175株は、American Type Culture CollectionにB.linens ATCC9175として寄託されており、最近、Gavrishら(2004)により提案されている通り、B.aurantiacum ATCC9175として再命名された。
RNA、ポリペプチド、タンパク質、又は酵素などの発現産物を「コードする配列」又は「コード化する」配列は、発現した時に、そのRNA、ポリペプチド、タンパク質、又は酵素の産生をもたらすヌクレオチド配列であり、すなわち、このヌクレオチド配列は、そのポリペプチド、タンパク質又は酵素に関するアミノ酸配列をコードする。タンパク質をコードする配列は、開始コドン(通常はATG)及び終止コドンを含み得る。
ポリペプチド(すなわち、本発明のメチオニンガンマ−リアーゼ)又はヌクレオチド配列を言う場合の「精製した」又は「単離した」とは、指示された分子が同じタイプの他の生物学的高分子が実質的に存在しない中で存在していることを意味する。本明細書に用いられる用語の「精製した」とは、好ましくは、同じタイプの生物学的高分子が少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%存在していることを意味する。特定のポリペプチドをコードする「単離された」核酸分子は、対象のポリペプチドをコードしない他の核酸分子が実質的に無い核酸分子のことであるが、しかし該分子は、組成物の基本的な特徴に有害な影響を与えないいくつかの追加の塩基又は部分を含み得る。
用語「PEG」は、サイズ又はPEGの末端における修飾に関わらず、任意のポリエチレングリコール分子を包含し、nが20〜2300の整数であり、XがH又は末端修飾、例えばアルキルである式、X−(CH2CH2O)n−OHにより表すことができる。
「ペグ化」は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖がポリペプチドに結合される過程を意味する。用語「ペグ化ポリペプチド」は、前記ポリペプチドに共有結合した少なくとも1個のPEG基を含むポリペプチドを意味する。
本明細書に用いられる用語「対象」は、齧歯類、ネコ、イヌ、及び霊長類などの哺乳類を意味する。本発明による対象はヒトであることが好ましい。
メチオニンガンマ−リアーゼポリペプチド
したがって、本発明は、配列番号:1により記載されたアミノ酸配列を含む単離された、合成又は組換えメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチド又はその機能保存的変異体を提供する。
したがって、本発明は、配列番号:1により記載されたアミノ酸配列を含む単離された、合成又は組換えメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチド又はその機能保存的変異体を提供する。
したがって、本発明は、配列番号:1により記載されたメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドの機能保存的変異体を包含する。機能保存的変異体は、配列番号:1のポリペプチドの構造(及びそれをコードするDNA配列において)においてなされ得る、かつそれでも望ましい特徴(MGL及びホモシステイナーゼ)を有する機能的分子が得られる修飾及び変化から得られ得る。
したがって、「機能保存的変異体」は、タンパク質又は酵素における所与のアミノ酸残基を、ポリペプチドの全体のコンホメーション及び機能を変えることなく、非限定的に、アミノ酸を同様の性質(例えば、極性、水素結合能力、酸性、塩基性、疎水性、芳香性など)を有するものと置換などをして、変化させたものである。保存されたとして指示されたもの以外のアミノ酸は、タンパク質中で異なっていてもよく、その結果、同様の機能を有する任意の2つのタンパク質間のタンパク質又はアミノ酸配列の類似性パーセントは変化することがあり得、例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づいたCluster Methodなどのアライメント方式により決定した際に、70%から99%であり得る。「機能保存的変異体」は、BLAST又はFASTAアルゴリズムにより決定した際に、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも85%、さらに好ましくは、少なくとも90%、さらに一層好ましくは、少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、それらは比較対象の天然タンパク質又は親タンパク質と同じか、又は実質的に同様の性質又は機能を有する。2つのアミノ酸配列は、80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超のアミノ酸が同一である場合に、又は約90%超、好ましくは95%超のアミノ酸が類似性(機能的に同一性)である場合に、「実質的に相同性」又は「実質的に類似性」である。類似性又は相同性の配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group,Program Manual for the GCG Package、Version 7、Madison、ウィスコンシン州)パイルアッププログラム、又はBLAST、FASTAなどの任意の配列比較アルゴリズムを用いるアライメントにより同定されることが好ましい。
アミノ酸の変化は、表1によるDNA配列におけるコドンを変化させることによって達成できる。
例えば、タンパク質構造において、あるアミノ酸を、メチオニンガンマ−リアーゼの能力又はホモシステイナーゼの能力の相当大きな損失なしに、他のアミノ酸と置換することができる。これは、そのタンパク質の生物学的機能活性を規定するタンパク質の相互作用的能力であり性質であるので、あるアミノ酸置換は、タンパク質配列中で、そして勿論、そのDNAコード化配列中で行うことができ、それでも同様の性質を有するタンパク質が得られる。したがって、本発明のポリペプチド配列、又は前記ポリペプチドをコードする対応DNA配列に、それらの生物学的機能活性の相当大きな損失なしに種々の変更を行い得ることが考慮されている。
前記メチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性は、本明細書後記の当技術分野で周知の種々の技法によって評価することができる。
ポリペプチドのアミノ配列に変更を行う場合、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮できる。タンパク質への相互作用的な生物学的機能の授与におけるアミノ酸ヒドロパシー指標の重要性は当技術分野で一般的に認識されている。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特性は、生じるタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそれが、タンパク質と、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などの他の分子との相互作用を規定することが認められている。各アミノ酸は、それらの疎水性及び電荷の特性に基づいてヒドロパシー指標が定められており、これらは:イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。
あるアミノ酸を、同様のヒドロパシーの指標又はスコアを有する他のアミノ酸と置換しても、同様の生物学的活性を有するタンパク質、すなわち、生物学的機能の等価なタンパク質が得られることは、当技術分野で知られている。
したがって、先に概説した通り、アミノ酸の置換は一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づく。前記の種々の特性を考慮に入れる典型的な置換は当技術分野で周知であり:アルギニンとリシン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとスレオニン;グルタミンとアスパラギン;及びバリン、ロイシンとイソロイシンが挙げられる。
機能保存的変異体のメチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性は、例えば、即時的適用に関するアッセイなど当技術分野で公知のメチオニンガンマ−リアーゼ活性及びホモシステイナーゼ活性をアッセイする任意の方法に従って評価できる。
本発明のポリペプチドは、単独で、又は組み合わせて、非限定的に、任意の化学的、生物学的、遺伝子的又は酵素的な技法など、それ自体当技術分野で公知の任意の技法により作製できる。
当業者は、所望の配列のアミノ酸配列を知り、ポリペプチドを作製する標準的技法により前記ポリペプチドを容易に作製することができる。例えば、これらは、周知の固相法を用い、好ましくは、市販のペプチド合成装置(Applied Biosystems、Foster City、カリフルニア州、により製造されたものなど)を用い、製造元の説明書に従って合成することができる。
あるいは、現在当技術分野で周知の組換えDNA技法により、本発明のポリペプチドを合成することができる。これらの断片は、例えば、所望の(ポリ)ペプチドをコードするDNA配列を発現ベクター内に組み込み、このようなベクターを、所望のポリペプチドを発現する好適な真核生物又は原核生物の宿主内に導入した後、DNA発現産物として得て、それらから、後に周知の技法を用いて単離することができる。
本発明のポリペプチドは、単離(例えば、精製)形態で用いることもできるし、膜又は脂質小胞(例えば、リポソーム)などとしてベクター内に含有させることもできる。
特定の実施態様において、本発明によるポリペプチドは、それらの治療的有効性を改善するために改変する可能性が考慮されている。治療的化合物のこのような改変は、毒性の低下、循環時間の増加、又は生体内分布の改変のために使用し得る。例えば、潜在的に重要な治療的化合物の毒性を、生体内分布を改変する種々の薬剤担体媒体と組み合わせることによって、有意に低下させることができる。
薬剤のバイアビリティーを高める戦略の1つは、水溶性ポリマーの利用である。種々の水溶性ポリマーが、生体内分布を改変し、細胞取込み様式を改善し、生理学的バリアーの透過性を変化させ;生体からのクリアランス速度を改変することを示している。ターゲティング効果又は徐放効果を達成するために、ポリマー鎖上に末端基として、骨格の一部として、又はペンダント基として、薬剤部分を含有する水溶性ポリマーが合成されている。
例えば、ペグ化は、数多くのポリペプチドを修飾するための十分に確立され、検証された方法である(Chapman、2002)。これらの利点としては、とりわけ:(a)ポリマーが分子の見かけの大きさを糸球体濾過限界以上に増加させる結果としての腎クリアランス回避、及び/又は細胞クリアランス機構の回避によるインビボでの循環半減期の著しい改善;(b)PEGが結合している分子の抗原性及び免疫原性の低下;(c)薬物動態の改善;(d)共役タンパク質の抗タンパク分解性の増強(Cunningham−Rundles et.al.、1992);ならびに(e)PEG化ポリペプチドの熱安定性及び機械的安定性の改善が挙げられる。
したがって、本発明のポリペプチドが、1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)基と共有結合できることは有利である。
したがって、本発明の一態様では、修飾が、ポリペプチドに共有結合した単一のポリエチレングリコール基を含む修飾ポリペプチドが提供される。他の態様では、1つ、2つ、3つ又はそれ以上のポリエチレングリコール基に共有結合した修飾ポリペプチドが提供される。1つ以上のPEGは、約1kDaから約100kDaの範囲の分子量を有し得るが、約10kDaから約60kDa、又は約10kDaから約40kDaの範囲の分子量を有することが好ましいであろう。当業者は、所望の投与量、循環時間、タンパク分解に対する抵抗性、免疫原性などの異なる要因を考慮することにより、ペグ化ポリペプチドの治療的使用のされ方に基づき、好適なPEGの分子量を選択することができる。
一実施態様において、本発明のPEGの一端は、ヒドロキシ又はメトキシ、すなわち、XがH、又はCH3(「メトキシPEG」)で終わっている。また、このようなPEGは、互いに結合している1つ以上のPEG側鎖からなり得る。1つ超のPEG鎖を有するPEGは、分枝PEGと呼ばれる。分枝PEGは、例えば、グリセロール、ペンタエリスリオール、及びソルビトールなどの種々のポリオールにポリエチレンオキシドを加えることにより調製することができる。例えば、4つ腕の分枝PEGは、ペンタエリスリオールとエチレンオキシドから調製することができる。PEGの一形態として、リシンの一級アミノ基を介して結合した2つのPEG側鎖(PEG2)が挙げられる(Monfardini,et al.、1995)。
ポリペプチドへのPEG基の共有結合を達成するために、ポリマー分子のヒドロキシル末端基は、活性化形態で、すなわち、反応性官能基(それらの例としては、一級アミノ基、ヒドラジド(HZ)、チオール、スクシナート(SUC)、スクシンイミジルスクシナート(SS)、スクシンイミジルスクシンアミド(SCA)、スクシンイミジルプロピオナート(SPA)、スクシンイミジルカルボキシメチレート(SCM)、ベンゾトリアゾールカルボナート(BTC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、アルデヒド、ニトロフェニルカルボナート(NPC)、及びトレシレート(TRES)が挙げられる)で提供しなければならない。好適な活性化ポリマー分子は、例えば、Shearwater Polymers社(Huntsville、アラバマ州、米国)から、又はPolyMASC Pharmaceuticals社(英国)から市販されている。あるいは、ポリマー分子は、例えば、国際公開公報第90/13540号に開示されているような、当技術分野で公知の従来の方法によって活性化することができる。本発明に用いるための直鎖状又は分枝状活性化ポリマー分子の具体的な例は、Shearwater Polymers社の1997年及び2000年のカタログ(研究及び薬剤に関する官能基化生体適合性ポリマー、ポリエチレングリコール及び誘導体。参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。活性化PEGポリマーの具体的な例としては、以下の直鎖状PEG類:NHS−PEG(例えば、SPA−PEG、SSPA−PEG、SBA−PEG、SS−PEG、SSA−PEG、SC−PEG、SG−PEG、及びSCM−PEG)、及びNOR−PEG、BTC−PEG、EPOX−PEG、NCO−PEG、NPC−PEG、CDI−PEG、ALD−PEG、TRES−PEG、VS−PEG、IODO−PEG、及びMAL−PEGならびにPEG2−NHSなどの分枝状PEG類が挙げられる。
ポリペプチドと活性化ポリマー分子との結合は、従来の任意の方法を用いて行われる。従来の方法は当業者に公知である。使用すべき活性化方法及び/又は結合化学は、ポリペプチドの結合基ならびにPEG分子の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルデヒド、ケトン、スルフヒドリル、スクシンイミジル、マレイミド、ビニルスルホン又はハロアセテートである)に依存することを、当業者は認識されるであろう。
一実施態様において、ポリペプチドは、アミノ酸D及びE(COOHに対して)、T、Y及びS(OHに対して)、K(NH2に対して)、C(少なくとも1つのシステインが保存される場合はSHに対して)又は/ならびにQ及びN((アミド官能基に対して)において、PEG類と結合する。
一実施態様において、PEG化の追加部位は、1つ以上のリシン残基導入による特定部位の変異誘発によって導入することができる。例えば、1つ以上のアルギニン残基をリシン残基へと変異させ得る。別の実施態様では、追加のPEG化部位は、本発明のポリペプチド上のアミノ酸を修飾することによって化学的に導入される。
一実施態様において、PEGは、リンカーを介してポリペプチドに結合される。好適なリンカーは当業者に周知である。好ましい例は、シアヌル酸塩化物である(Abuchowski et al.、1977;米国特許第4,179,337号)。
本発明のペグ化ポリペプチドを精製するために、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)及びイオン交換クロマトグラフィーなどの技術分野で公知の従来の分離及び精製技法を用いることができる。生成物はSDS−PAGEを用いて分離することもできる。
一実施態様において、本発明により提供されたペグ化ポリペプチドは、非修飾ポリペプチドよりも、少なくとも50%、75%、100%、150%、又は200%超のインビボ血清半減期を有する。
別の実施態様において、本発明のポリペプチドは、技術分野で周知の腫瘍ターゲティング薬に共有結合される。非限定例としては、フィブロネクチンのEDBドメインに特異的な抗体、血管内皮成長因子受容体2に結合する抗体又は薬剤、線維芽細胞成長因子受容体−1に結合する抗体又は分子、CD31と相互作用する抗体又は薬剤、腫瘍リンパ内皮と相互作用する抗体又は薬剤(Podoplanin、Lyve−1)、あるいはRGDペプチドなどのαVβ3インテグリンに結合する抗体又は薬剤、あるいは腫瘍膜結合ターゲット及び細胞内ターゲットと相互作用する抗体又は薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
核酸、ベクター及び組換え宿主細胞
本発明の別の目的は、本発明によるメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドをコードする単離された、合成又は組換え核酸に関する。特定の一実施態様において、前記核酸は、配列番号:2で記載された配列を含む。別の特定の実施態様において、前記核酸は、配列番号:3で記載された配列を含む。
本発明の別の目的は、本発明によるメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドをコードする単離された、合成又は組換え核酸に関する。特定の一実施態様において、前記核酸は、配列番号:2で記載された配列を含む。別の特定の実施態様において、前記核酸は、配列番号:3で記載された配列を含む。
典型的には、前記核酸は、DNA分子又はRNA分子であり、これを、プラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ又はウィルスベクターなどの任意の好適なベクターに含ませることができる。用語「ベクター」、「クローニングベクター」及び「発現ベクター」は、宿主を形質転換して導入された配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進するために、DNA配列又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)を宿主細胞内に導入することのできるベヒクルを意味する。
したがって、本発明の別の目的は、本発明の核酸を含むベクターに関する。
このようなベクターは、対象に投与した際に前記ポリペプチドの発現を生じさせるか指示するために、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどの調節要素を含み得る。ベクターは、複製及び/又は選択性マーカーの1つ又はいくつかの起点をさらに含み得る。プロモーター領域は、コード配列に関して、ホモローグであってもヘテロローグであってもよく、インビボ使用を含めて、任意の適切な宿主細胞において、遍在的な、構成的な、調節された及び/又は組織特異的な発現を提供する。プロモーターの例としては、細菌プロモーター(T7、pTAC、Trpプロモーターなど)、ウィルスプロモーター(LTR、TK、CMV−IEなど)、哺乳動物遺伝子プロモーター(アルブミン、PGKなど)などが挙げられる。
プラスミドの例としては、複製の起点を含む複製プラスミド、又は、例えば、pUC、pcDNA、pBRなどの組込みプラスミドが挙げられる。ウィルスベクターの例としては、アデノウィルス、レトロウィルス、ヘルペスウィルス及びAAVのベクターが挙げられる。このような組換えウィルスは、パッケージング細胞のトランスフェクション又はヘルパープラスミドもしくはウィルスによる一時的トランスフェクションによるなど、当技術分野で公知の技法によって作製できる。ウィルスパッケージング細胞の典型的な例としては、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞などが挙げられる。このような複製−欠損組換えウィルスを生成するための詳細なプロトコルは、例えば、国際公開公報第95/14785号、国際公開公報第96/22378号、米国特許第5,882,877号、米国特許第6,013,516号、米国特許第4,861,719号、米国特許第5,278,056号及び国際公開広報第94/19478号に見出すことができる。
本発明の別の目的は、本発明による核酸及び/又はベクターにより、トランスフェクションしたか、感染させたか、又は形質転換させた細胞に関する。用語の「形質転換」は、宿主細胞が導入された遺伝子又は配列を発現させて、所望の物質、典型的には、導入された遺伝子又は配列によりコードされたタンパク質又は酵素を産生するように、「外来」(すなわち、外因性又は細胞外の)遺伝子、DNA又はRNAの配列を宿主細胞に導入することを意味する。導入されたDNA又はRNAを受け入れて発現した宿主細胞は「形質転換された」ものである。
本発明の核酸は、好適な発現系において本発明の組換えポリペプチドを産生するために使用できる。用語「発現系」は、例えば、ベクターにより運ばれ、宿主細胞に導入された外来DNAにコードされたタンパク質発現のための、好適な条件下での宿主細胞及び適合性のベクターを意味する。
一般的な発現系としては、大腸菌宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞とバキュロウィルスベクター、及び哺乳動物宿主細胞とベクターが挙げられる。宿主細胞の他の例としては、原核細胞(細菌など)及び真核細胞(酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例としては、大腸菌、クリベロマイセス属又はサッカロミセス属の酵母、哺乳動物細胞系(例えば、Vero細胞、CHO細胞、3T3細胞、COS細胞など)、ならびに初代の、又は確立された哺乳動物細胞培養物(例えば、リンパ芽細胞、線維芽細胞、胚性細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞などから産生された)が挙げられる。より具体的には、本発明は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)又は前駆体内皮細胞(PEC)などの血管細胞もしくは内皮細胞もしくはそれらの派生物を考慮している。
本発明はまた、本発明によるメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を作製する方法に関するものでもあり、前記方法は、(i)インビトロ又はエクスビボで上記の組換え核酸又はベクターをコンピテント宿主細胞内に導入すること、(ii)得られた組換え宿主細胞を、インビトロ又はエクスビボで培養すること、(iii)場合により、前記メチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドを発現及び/又は分泌する細胞を選択することからなるステップを含む。このような組換え宿主細胞を、先に記載したように、本発明によるメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドを製造するために用いることができる。
本発明はさらに、本発明によるメチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドを製造する方法に関するものであり、この方法は、(i)前記メチオニンガンマ−リアーゼポリペプチドの発現を可能にする好適な条件下で本発明による形質転換宿主細胞を培養すること;及び(ii)発現したポリペプチドを回収することからなるステップを含む。
治療的な方法及び使用
一実施態様において、本発明は、癌の治療を必要とする対象に本発明のポリペプチド又は核酸の治療的有効量を投与することを含む癌の治療方法を提供する。
一実施態様において、本発明は、癌の治療を必要とする対象に本発明のポリペプチド又は核酸の治療的有効量を投与することを含む癌の治療方法を提供する。
本発明に関連して、本明細書に用いられる「治療すること」又は「治療」という用語は、このような用語が適用される障害もしくは病態、又はこのような障害もしくは病態の1つ以上の症状の進行を逆転、緩和、抑制すること、又はそれを予防することを意味する。
本発明によれば、用語「対象」又は「それを必要とする対象」は、癌に罹患した、又は罹患する可能性の高いヒト又は非ヒト哺乳動物が意図されている。
本発明のポリペプチドの「治療的有効量」は、任意の医療処置に適用できる妥当な利益/危険率で、癌を治療するための(例えば、腫瘍の増殖を制限するための、又は腫瘍の転移を遅延化するか、もしくは阻止するための)ポリペプチドの十分な量を意味する。しかし、本発明のポリペプチド及び組成物の1日の使用総量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医により決定されることは理解されるであろう。任意の具体的な対象に対する具体的な治療的有効用量レベルは、治療されている障害及び障害の重症度;使用される具体的ポリペプチドの活性;使用される具体的組成物、対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;投与の時間、投与の経路、及び使用される具体的なポリペプチドの排泄速度;治療の継続期間;使用される具体的なポリペプチドと組み合わせて、又は同時に使用される薬剤;及び医療分野で周知の同様な要因などの種々の要因に依る。例えば、化合物の用量を、所望の治療効果の達成に必要な用量より低いレベルで開始して、所望の治療効果が達成されるまで、徐々に用量を増加させることは、十分に当技術分野の範囲内にある。
特定の一実施態様において、本発明のポリペプチド又は核酸は、酵素の補助因子など、ポリペプチドの機能に必要な1種以上の薬剤と同時に投与できる。例えば、前記の酵素補助因子は、ピリドキサルリン酸である。
特定の一実施態様において、本発明のポリペプチド又は核酸は、1種以上の化学療法剤又は放射線療法剤と連続して、又は同時に投与できる。
一実施態様において、前記化学療法剤又は放射線療法剤は、抗癌剤として用いられる治療的活性剤である。例えば、前記抗癌剤としては、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メトトレキサート、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア類、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどの白金錯体、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン、エトポシド及びテニポシドなどのエピポドフィロトキシン類、イリノテカン及びトポテカンなどのカンプトテシン類、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル及びロイコボリンと組み合わせた5−フルオロウラシル、ドセタキセル及びパクリタキセルなどのタキサン類、レバミソール、エストラムスチン、ナイトロジェンマスタード、カルムスチン及びロムスチンなどのニトロウレア類、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビンなどのビンカアルカロイド類、イマチニブメシレート、ヘキサメチルメラミン、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、ATPアーゼ阻害剤、チルホスフィン類、プロテアーゼ阻害剤、ヘルビマイシンA阻害剤、ゲニステイン、エルブスタチンならびにラベンダスチンAが挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において、追加の抗癌剤が、非限定的に、以下のクラスの薬剤:アルキル化剤、植物アルカロイド、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、葉酸代謝拮抗薬、ピリミジン類縁体、プリン類縁体、DNA代謝拮抗剤、タキサン類、ポドフィロトキシン類、ホルモン療法剤、レチノイド類、光増感剤又は光線力学的治療剤、血管新生阻害剤、有糸分裂阻害剤、イソプレニル化阻害剤、細胞分裂阻害剤、アクチノマイシン、ブレオマイシン、アントラサイクリン類、MDR阻害剤及びCa2+ATPアーゼ阻害剤の1種又はそれらの組み合わせから選択できる。
追加の抗癌剤が、非限定的に、サイトカイン類、ケモカイン類、成長因子、成長阻害因子、ホルモン類、可溶性受容体、デコイ受容体、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、単特異性抗体、二特異性抗体又は多特異性抗体、モノボディ、ポリボディから選択できる。
さらなる治療活性剤は、制吐剤であり得る。好適な制吐剤としては、非限定的に、メトクロプラミド、ドムペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アセチルロイシン、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキナミド、ビエタナウチン、ブロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール、メトピマジン、ナビロン、ピパマジン、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール類、チエチルピラジン、チオプロペラジン及びトロピセトロンが挙げられる。好ましい実施態様において、制吐剤はグラニセトロン又はオンダンセトロンである。
別の実施態様において、さらなる治療活性剤は、造血コロニー刺激因子であり得る。好適な造血コロニー刺激因子としては、非限定的に、フィルグラスチム、サルグラモスチム、モルグラモスチム及びエポイエチンアルファが挙げられる。
さらに別の実施態様において、他の治療活性剤は、オピオイド又は非オピオイド鎮痛剤であり得る。好適なオピオイド鎮痛剤としては、非限定的に、モルフィン、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシモルホン、オキシコドン、メトポン、アポモルフィン、ブプレノルフィン、メペリジン、ロペラミド、エトヘプタジン、ベータプロジン、ジフェノキシレート、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、レボルファノール、デキストロメトルファン、フェナゾン、ペマゾシン、シクラゾシン、メタドン、イソメタドン及びプロポキシフェンが挙げられる。好適な非オピオイド鎮痛剤としては、非限定的に、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム及びスリンダクが挙げられる。
さらに別の実施態様において、さらなる治療活性剤は、抗不安薬であり得る。好適な抗不安薬としては、非限定的に、ブスピロン、ならびにジアゼパム、ロラゼパム、オキサザパム、クロラゼペート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド及びアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピン類が挙げられる。
本明細書で用いられる「放射線療法剤」という用語は、非限定的に、癌の治療又は寛解に有効である当業者に公知の任意の放射線療法剤のことを意味する。例えば、放射線療法剤は、小線源照射療法又は放射線核種療法において投与される放射線療法剤であり得る。このような方法は、場合によっては、非限定的に、化学療法薬、及び/又は別の放射線療法薬などの1つ以上の追加の癌療法薬の投与をさらに含み得る。
医薬組成物
本発明の別の目的は、本発明によるポリペプチド又は核酸及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
本発明の別の目的は、本発明によるポリペプチド又は核酸及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
典型的には、本発明によるポリペプチド又は核酸は、薬学的に許容できる賦形剤、及び場合によっては、生体分解性ポリマーなどの徐放マトリクスと組み合わせて、治療組成物を形成することができる。
「薬学的に」又は「薬学的に許容できる」とは、哺乳動物、特にヒトに適切に投与した際に、有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応を生じない分子体及び組成物を意味する。薬学的に許容できる担体又は賦形剤とは、任意のタイプの非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料又は製剤化補助剤のことである。
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は経直腸投与用の本発明の医薬組成物において、活性成分は、単独で、又は別の活性成分と組み合わせて、従来の薬学的支持体との混合物として、単位投与形態で、動物及びヒトに投与することができる。好適な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口懸濁剤又は液剤などの経口投与形態、舌下及び頬側投与形態、エアロゾル剤、インプラント剤、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経真皮、脊髄内及び鼻孔内投与形態ならびに直腸投与形態を含む。
医薬組成物は、注射できる製剤にとって薬学的に許容できるベヒクルを含有することが好ましい。これらは、特定の等張性の滅菌生理食塩水(リン酸ナトリウム又はリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムなど、又はそれらの塩の混合物)、又は、場合に依って、滅菌水又は生理食塩水を添加した際に注射用液剤を構成できる乾燥、特に凍結乾燥組成物であり得る。
注射に使用する好適な医薬形態としては、滅菌水性液剤又は分散剤;ゴマ油、落花生油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射用液剤又は分散剤の即時調製用の滅菌散剤が挙げられる。全ての場合において、滅菌であり、かつ、容易な注射可能性が存在する程度に流動性の形態でなければならない。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、かつ、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に抗して保存されなければならない。
遊離塩基又は薬理学的に許容可能な塩として本発明の化合物を含む液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合した水中で調製することができる。また、分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール類、及びそれらの混合物中で、ならびに油中で調製することができる。貯蔵及び使用の通常条件下、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
メチオニンガンマ−リアーゼは、中性形態又は塩形態で組成物中に製剤化することができる。薬学的に許容できる塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成)が挙げられ、これらは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸により形成される。遊離カルボキシル基により形成される塩も、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合は必要な粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより実現することができる。多くの場合、等張剤、例えば、砂糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の吸収持続は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを用いることにより実現することができる。
滅菌注射用液剤は、必要量の活性ポリペプチドを、適切な溶媒中、必要ならば、上記で挙げた他のいくつかの成分と共に組み込み、引き続き、滅菌濾過することにより調製される。一般に、分散剤は、滅菌した種々の活性成分を、基本的な分散媒体及び上記で挙げた成分のうちから必要な他の成分を含有する滅菌媒体中へ組み込むことにより調製される。滅菌注射用液剤の調製のための滅菌散剤の場合、好ましい調製方法は、先の滅菌濾過したその溶液から活性成分と所望の追加成分の粉末を生成する減圧乾燥法及び凍結乾燥法である。
直接注射用のより濃縮された、又は高濃縮された液剤の調製もまた考慮されており、ここでは、小さな腫瘍領域に対する活性剤のきわめて迅速な透過、高濃度送達をもたらすために、溶媒としてDMSOの使用が予想されている。
製剤化の際、液剤は、投与剤形に適合する様式で、また、治療的に有効な量で投与される。製剤は、上記の注射用液剤のタイプなど、種々の投与剤形で容易に投与されるが、薬剤放出カプセルなども使用できる。
例えば水溶液での非経口投与では、溶液は必要ならば好適に緩衝化し、液体希釈剤は先ず、十分な生理食塩水又はブドウ糖により等張性にする。これらの特定水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、使用できる滅菌水性媒体を、本開示を考慮して、当業者は認識されるであろう。投与量のいくらかの変動は、治療されている対象の条件に依って、必然的に生じるであろう。いずれにしても、投与責任者が個々の対象に対する適切な投与量を決定することになる。
メチオニンガンマ−リアーゼは、1投与量当たり、約0.0001から1.0ミリグラム、又は約0.001から0.1ミリグラム、又は約0.1から1.0ミリグラム、又は約1から10ミリグラム、又はさらに10から100ミリグラムくらいを含むように、治療混合物内に製剤化できる。多投与量を投与することもできる。
静脈内注射又は筋肉内注射などの非経口投与用に製剤化された本発明の化合物に加えて、他の薬学的に許容できる形態としては、例えば、経口投与用の錠剤又は他の固形剤;リポソーム製剤;徐放カプセル剤;及び現在使用されている他の形態が挙げられる。
本発明の別の目的は、1種以上の酵素補助因子を含む、本発明による医薬組成物に関する。例えば、前記酵素補助因子は、ピリドキサールリン酸である。
本発明の別の目的は、1種以上の化学療法剤又は放射線療法剤を含む、本発明による医薬組成物に関する。
以下の実施例と図面により本発明をさらに説明する。しかし、これらの実施例と図面は、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
材料と方法
方法:
ブレビバクテリウム・オーランチアカム(B.aurantiacum;ATCC 9175;以前は、B.linens)由来のメチオニンガンマ−リアーゼ(MGL−BL929)の特性化
種々の硫黄含有アミノ酸の非存在下、及び存在下で培養したブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC 9175)のトランスクリプトーム解析により、代謝及び遺伝子発現の種々の態様を試験した。これらの試験により、B.オーランチアカムゲノム内に推定上のMGLをコードする遺伝子(BL929)が同定された。
方法:
ブレビバクテリウム・オーランチアカム(B.aurantiacum;ATCC 9175;以前は、B.linens)由来のメチオニンガンマ−リアーゼ(MGL−BL929)の特性化
種々の硫黄含有アミノ酸の非存在下、及び存在下で培養したブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC 9175)のトランスクリプトーム解析により、代謝及び遺伝子発現の種々の態様を試験した。これらの試験により、B.オーランチアカムゲノム内に推定上のMGLをコードする遺伝子(BL929)が同定された。
ブレビバクテリウム・オーランチアカムのメチオニンガンマ−リアーゼ(MGL−BL929)の製造
細菌株と増殖製造
大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)の産生株(Agilent technologies、Santa Clara、カリフォルニア州)を、再構成Luria Bertani(LB)ブロス:必要ならば50μg/mLのカナマイシンを添加した純水中に再懸濁した1%トリプトン、5%酵母抽出物(Fluka、StLouis、ミズーリ州)1%NaCl中、200〜250rpmで振盪しながら、30℃で、エルレンマイヤー中、増殖させた。固体培地は、1.5重量/容量%の最終濃度で工業用寒天(Invitrogen、Paisley、英国)を添加することにより調製した。
細菌株と増殖製造
大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)の産生株(Agilent technologies、Santa Clara、カリフォルニア州)を、再構成Luria Bertani(LB)ブロス:必要ならば50μg/mLのカナマイシンを添加した純水中に再懸濁した1%トリプトン、5%酵母抽出物(Fluka、StLouis、ミズーリ州)1%NaCl中、200〜250rpmで振盪しながら、30℃で、エルレンマイヤー中、増殖させた。固体培地は、1.5重量/容量%の最終濃度で工業用寒天(Invitrogen、Paisley、英国)を添加することにより調製した。
ブレビバクテリウム・オーランチアカムのメチオニンガンマ−リアーゼMGL−BL929の製造と精製
B.オーランチアカムコドンの使用を大腸菌の発現系(配列番号:3)に適合させるため、B.オーランチアカム由来のMGL−BL929をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を最適化した。最適化遺伝子を合成し、GeneArt標準操作に従って、大腸菌サブクローニングベクター、公称pMA−BL929内にサブクローニングした。BL929 ORFを、pMA−BL929由来の制限酵素NdeI及びXbaIにより消化し、同酵素により先に消化された大腸菌pGTPc608a発現ベクター(PTacプロモーター、Lacオペレーター、複数のクローニング部位、LacIq及びT1T2ターミネーターを保有するpET9d誘導体)内にライゲーションした。ライゲーション混合物を大腸菌DH5α株のエレクトロコンピテントセル内に形質転換した。得られたプラスミドpGTPc608−BL929を消化及び配列決定により検証した。製造元の推奨に従って、制限酵素T4DNAリガーゼ及びAntarticホスファターゼ(New England Biolabs、Ipswich、マサチューセッツ州)、高フィデリティーPhusionTM DNAポリメラーゼ(Finnzymes、Espoo、フィンランド国)を用いた。DNA精製キットは、Macherey−Nagel(Duren、ドイツ国)から購入した。配列決定は、Genome Express(Meylan、フランス国)により実施した。
B.オーランチアカムコドンの使用を大腸菌の発現系(配列番号:3)に適合させるため、B.オーランチアカム由来のMGL−BL929をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を最適化した。最適化遺伝子を合成し、GeneArt標準操作に従って、大腸菌サブクローニングベクター、公称pMA−BL929内にサブクローニングした。BL929 ORFを、pMA−BL929由来の制限酵素NdeI及びXbaIにより消化し、同酵素により先に消化された大腸菌pGTPc608a発現ベクター(PTacプロモーター、Lacオペレーター、複数のクローニング部位、LacIq及びT1T2ターミネーターを保有するpET9d誘導体)内にライゲーションした。ライゲーション混合物を大腸菌DH5α株のエレクトロコンピテントセル内に形質転換した。得られたプラスミドpGTPc608−BL929を消化及び配列決定により検証した。製造元の推奨に従って、制限酵素T4DNAリガーゼ及びAntarticホスファターゼ(New England Biolabs、Ipswich、マサチューセッツ州)、高フィデリティーPhusionTM DNAポリメラーゼ(Finnzymes、Espoo、フィンランド国)を用いた。DNA精製キットは、Macherey−Nagel(Duren、ドイツ国)から購入した。配列決定は、Genome Express(Meylan、フランス国)により実施した。
大腸菌の産生株BL21(DE3)を、発現プラスミドpGTPc608−BL929により形質転換した。pGTPc608−BL929を保有する単一コロニーを、0.02%ピリドキサル5‘−ホスフェートを添加した35LのGYP培地(酵母抽出物24g/L、大豆ペプトン12g/L、KH2PO44.8g/L、K2HPO42.2g/L及びグリセロール5g/L)を含有する70LのApplikonバイオリアクター中、37℃で増殖させた。培養物が2のOD600nmに達した時、0.1mMのIPTGにより発現を誘導した。当初のグリセロールが完全に枯渇したら、濃縮供給溶液(30重量/容量%のグリセロール及び30重量/容量%の酵母抽出物)を、遠隔制御ポンプにより加えた。ポンプの流速は、pH設定ポイントに基づいて調節した。培養物のOD600nmが40〜50に達したら、細胞を採集した。
細胞を細胞溶解緩衝液(20mMのTris、1mMのPMSF、1mMのEDTA、1mMのDTT、0.1mMのピリドキサル5‘−ホスフェート、pH7.5)中に懸濁させ、高圧均質化により細胞溶解させた。細胞抽出物を、4℃、15,900gで30分の遠心分離により清澄にしてから、0.45μm低レベルタンパク質結合ディスポーザブルフィルター(Sartorius、Gottingen、ドイツ国)に通して濾過した。固体硫酸アンモニウム(AS)を細胞抽出物に加え、0.75Mの最終濃度に到達させ、4℃で16時間撹拌した。サンプルを、4℃、15,900gで30分、遠心分離し、次いで0.45μm低レベルタンパク質結合ディスポーザブルフィルターにより濾過して、すべての沈殿タンパク質を除去してから、Phenyl Sepharose(High Sub)6FastFlow樹脂(GE Healthcare)のカラムに注入した。カラムは、20mMのTris、0.75MのAS、0.1mMのPLP、pH7.5により平衡化した。AS濃度を100%から0%へ、数段階で低下させることにより、タンパク質を溶出させた。MGL−BL929を含有する溶出フラクションをプールし、10kDaのカットオフを有する限外濾過カセットを用いて5倍に濃縮してから、20mMのBis Tris、0.1mMのPLP、pH6.0(Pall、Port Washington、ニューヨーク州)の7容量に対して、ダイアフィルトレーションした。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)溶出液を、20mMのBis Tris、0.1mMのPLP、pH6.0で予め平衡化したDEAE Sepharose FastFlow樹脂(GE Healthcare)充填カラムに通した。NaCl濃度を、0Mから1Mへ数段階で増加させることにより、タンパク質を溶出させた。MGL−BL929を含有する溶出フラクションを回収し、限外濾過カセット(Pall、Port Washington、ニューヨーク州)を用いて3倍に濃縮してから、40mMのNa*PO4、20μMのPLP、pH7.5の7容量に対して、ダイアフィルトレーションした。
DEAE溶出液を、0.2μm低レベルタンパク質結合ディスポーザブルフィルター(Corning、Union City、カリフォルニア州)に通す濾過により清澄にした。エンドトキシンは、Mustang Eカプセル(Pall、Port Washington、ニューヨーク州)に通す濾過により除去した。20mg/mL〜30mg/mLの最終濃度範囲に到達させるために、10kDaのカットオフを有する膜を含有する撹拌セルを用いて、MGL−BL929の濃縮を達成した(Millipore、Billerica、マサチューセッツ州)。精製タンパク質は、−80℃で貯蔵した。酵素の濃度と純度は、キャピラリー電気泳動法、SDS PAGE、及びBradfordアッセイにより判定した。精製酵素のオリゴマー化状態を、Superdex 200 5/150GLカラム(GE Healthcare)を用い、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により調べた。最終産物のエンドトキシン濃度は、Lonza(Testing services)によりアッセイした。
酵素アッセイ
アミノ酸及び置換アミノ酸に対してα,γ脱離反応を触媒する精製酵素の能力を、L−メチオニン、L−ホモシステイン、L−システイン、L−シスタチオニン、S−アデノシルL−メチオニン、S−アデノシルL−ホモシステイン、及びD−メチオニンで、別個に試験した。1mLの最終容量で、25mMの基質を有する100mMのK*PO4、0.01mMのPLP、pH7.5中で酵素をインキュベーションすることにより、活性を測定した。混合物を25℃で10分間インキュベーションし、最終濃度5%までトリクロロ酢酸を添加することにより反応を停止させた。上澄み液に形成したα−ケトブチレートは、320nmで分光光度計を用い、3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾンにより測定した(Soda et al.、1967)。
アミノ酸及び置換アミノ酸に対してα,γ脱離反応を触媒する精製酵素の能力を、L−メチオニン、L−ホモシステイン、L−システイン、L−シスタチオニン、S−アデノシルL−メチオニン、S−アデノシルL−ホモシステイン、及びD−メチオニンで、別個に試験した。1mLの最終容量で、25mMの基質を有する100mMのK*PO4、0.01mMのPLP、pH7.5中で酵素をインキュベーションすることにより、活性を測定した。混合物を25℃で10分間インキュベーションし、最終濃度5%までトリクロロ酢酸を添加することにより反応を停止させた。上澄み液に形成したα−ケトブチレートは、320nmで分光光度計を用い、3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾンにより測定した(Soda et al.、1967)。
細胞毒性試験と細胞株
MGL−BL929の細胞効果を判定するために、7つのヒト腫瘍細胞株を用いた。これらは、5つの接着固形腫瘍由来細胞株(結腸直腸癌細胞株HT29、メトトレキサートに対する(HT29MTX)及びフルオロウラシルに対する(HT29FUra)高レベルの耐性に関して選択されたHT29の2つの安定変異体、卵巣癌細胞株SKOV3、及び肝芽細胞腫由来細胞株(HepG2)、ならびに2つの非接着腫瘍細胞株(T細胞リンパ腫細胞株ジャーカット、及び急性白血病細胞株Rehなど)を含む。同様に、癌細胞に対するMGL−BL9292の選択性を探索するために、ヒト非腫瘍皮膚線維芽細胞(CDGII)を種々の濃度のMGL−BL929に曝露した。
MGL−BL929の細胞効果を判定するために、7つのヒト腫瘍細胞株を用いた。これらは、5つの接着固形腫瘍由来細胞株(結腸直腸癌細胞株HT29、メトトレキサートに対する(HT29MTX)及びフルオロウラシルに対する(HT29FUra)高レベルの耐性に関して選択されたHT29の2つの安定変異体、卵巣癌細胞株SKOV3、及び肝芽細胞腫由来細胞株(HepG2)、ならびに2つの非接着腫瘍細胞株(T細胞リンパ腫細胞株ジャーカット、及び急性白血病細胞株Rehなど)を含む。同様に、癌細胞に対するMGL−BL9292の選択性を探索するために、ヒト非腫瘍皮膚線維芽細胞(CDGII)を種々の濃度のMGL−BL929に曝露した。
細胞株は無マイコプラズマ凍結貯蔵物から解凍し、汚染に対して管理した。5%CO2を含有する大気中、37℃で、10%FBSと抗生物質(ストレプトマイシン、50μg/mL、及びペニシリン、50U/mL)を添加した細胞培養培地(各細胞株の増殖要件に従って、RPMI 1640又はDMEM)中で細胞を維持した。12ウェル細胞プレート中、細胞を0.05U/mLから5U/mLの範囲の濃度の精製組換えMGL−BL929に曝露し、曝露開始から24時間、48時間、72時間、及び96時間後に採集した。Malassezチャンバ中、Trypanブルー色素排除試験により、細胞生存度を測定した。
細胞培養におけるL−メチオニン及びL−ホモシステインの測定
t0〜種々の濃度のMGL−BL929に24時間、48時間、72時間及び96時間曝露させて、10%FBSを添加した細胞培養培地中で指数増殖しているHT29,SKOV3、ジャーカット、及びRehの細胞培養物の上澄み液中、L−メチオニンとL−ホモシステインの濃度を測定した。HT29はDMEM中で、他の3つの細胞株は、RPMI 1640細胞培養培地中で増殖させた。測定はイオン交換クロマトグラフィーにより行った(N.B.、RPMI 1640細胞培養培地中、及びDMEM細胞培養培地中、L−ホモシステインの濃度はそれぞれ、101μmol/Lと201μmol/L)。
t0〜種々の濃度のMGL−BL929に24時間、48時間、72時間及び96時間曝露させて、10%FBSを添加した細胞培養培地中で指数増殖しているHT29,SKOV3、ジャーカット、及びRehの細胞培養物の上澄み液中、L−メチオニンとL−ホモシステインの濃度を測定した。HT29はDMEM中で、他の3つの細胞株は、RPMI 1640細胞培養培地中で増殖させた。測定はイオン交換クロマトグラフィーにより行った(N.B.、RPMI 1640細胞培養培地中、及びDMEM細胞培養培地中、L−ホモシステインの濃度はそれぞれ、101μmol/Lと201μmol/L)。
ウェスタンブロットによるタンパク質安定性の試験
種々の濃度の組換えMGL−BL929に曝露した培養物中のHT29細胞の上澄み液のフラクションを、変性条件下、SDS−PAGEに供し、次いで、精製酵素に対して作出したポリクローナルウサギ抗MGL−BL929血清を用いたウェスタンブロット(WB)により明らかにした。
種々の濃度の組換えMGL−BL929に曝露した培養物中のHT29細胞の上澄み液のフラクションを、変性条件下、SDS−PAGEに供し、次いで、精製酵素に対して作出したポリクローナルウサギ抗MGL−BL929血清を用いたウェスタンブロット(WB)により明らかにした。
ウェスタンブロット解析は、精製組換えMGL−BL929と共に72時間インキュベーションしたヒト血清においても実施した。
結果
ブレビバクテリウム・オーランチアカム(B.aurantiacum;ATCC9175;以前はB.linens)由来のメチオニンガンマ−リアーゼ(MGL−BL929)の特性化
L−システイン及びL−システインプラスL−メチオニンの存在下でのブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC9175)遺伝子発現プロファイルの比較により、メチオニンの存在下、推定上のMGLをコードする遺伝子BL929を含む2つの隣接遺伝子のアップレギュレーションが示された。BL929のアップレギュレーションはメチオニンの分解から生じた大量の揮発性イオウ化合物の生成を伴った(Forquin et al.、2010)。
ブレビバクテリウム・オーランチアカム(B.aurantiacum;ATCC9175;以前はB.linens)由来のメチオニンガンマ−リアーゼ(MGL−BL929)の特性化
L−システイン及びL−システインプラスL−メチオニンの存在下でのブレビバクテリウム・オーランチアカム(ATCC9175)遺伝子発現プロファイルの比較により、メチオニンの存在下、推定上のMGLをコードする遺伝子BL929を含む2つの隣接遺伝子のアップレギュレーションが示された。BL929のアップレギュレーションはメチオニンの分解から生じた大量の揮発性イオウ化合物の生成を伴った(Forquin et al.、2010)。
推定上のBL929遺伝子の配列は、B.linens(ブレビバクテリウム・リネンス BL2 NZ_AAGP01000007、全ゲノムショットガン配列)のゲノム内に同定された。このゲノムは、115535の塩基対(bp)を含む。推定上のMGLヌクレオチド配列BL929は、34415位にあり、1182bp(34415から35596)(配列番号:2)からなる。翻訳タンパク質配列のレファレンスは、ZP_05913004.1(配列番号:1)である。
精製
MGL−BL929の精製は、5L規模の細胞ペレットから4段階のクロマトグラフィーステップの後、均質化して達成された(表1)。この精製方式により、きわめて低レベルのエンドトキシンを含有する94%のタンパク質純度を有する1.2gのMGL−BL929が精製され、23%の回収率に相当した。
MGL−BL929の精製は、5L規模の細胞ペレットから4段階のクロマトグラフィーステップの後、均質化して達成された(表1)。この精製方式により、きわめて低レベルのエンドトキシンを含有する94%のタンパク質純度を有する1.2gのMGL−BL929が精製され、23%の回収率に相当した。
酵素のサイズ
天然酵素の分子量を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により調べた。精製MGL−BL929の流体力学容量は、171.5kDaの球状タンパク質に相当する。変性条件下、キャピラリー電気泳動法によって判定したMGL−BL929の分子量は46.5kDaであるので、前記結果は、MGL−BL929が、単分散ホモ四量体種であることを示唆する。
天然酵素の分子量を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により調べた。精製MGL−BL929の流体力学容量は、171.5kDaの球状タンパク質に相当する。変性条件下、キャピラリー電気泳動法によって判定したMGL−BL929の分子量は46.5kDaであるので、前記結果は、MGL−BL929が、単分散ホモ四量体種であることを示唆する。
基質特異性
種々の基質に対する精製MGL−BL929の酵素活性を、産生されたα−ケト酸の測定(Sodaet al.,1967)により判定した。精製酵素は、L−メチオニン及びL−ホモシステインのα,γ−脱離を触媒した(表2)。この酵素は、L−システイン、L−シスタチオニン、S−アデノシル−L−ホモシステイン及びD−メチオニンに対しては活性を持たなかった。L−ホモシステインに対する精製MGL−BL929の親和性及び特異的活性は、L−メチオニンに対して測定されたものよりも、それぞれ7.3倍と4.8倍大きかった。
種々の基質に対する精製MGL−BL929の酵素活性を、産生されたα−ケト酸の測定(Sodaet al.,1967)により判定した。精製酵素は、L−メチオニン及びL−ホモシステインのα,γ−脱離を触媒した(表2)。この酵素は、L−システイン、L−シスタチオニン、S−アデノシル−L−ホモシステイン及びD−メチオニンに対しては活性を持たなかった。L−ホモシステインに対する精製MGL−BL929の親和性及び特異的活性は、L−メチオニンに対して測定されたものよりも、それぞれ7.3倍と4.8倍大きかった。
培養液中で増殖しているヒト腫瘍細胞株に対して精製MGL−BL929は強い細胞毒活性を発揮する。
大多数の細胞株において、0.5U/mlのMGL−BL929を超えるレベルで、MGL−BL929の細胞毒性が現れ、酵素濃度の増加につれて増大した。表3に、曝露72時間での各細胞株のIC50をまとめてあり、腫瘍細胞と正常細胞において50%の増殖抑制を達成する組換えMGL−BL929の濃度(ユニット/mL)を表している。
種々の腫瘍細胞株におけるIC50には差があり;リンパ腫及び白血病由来細胞ならびに標準的な結腸癌HT29細胞において最低である。他の腫瘍由来細胞において、IC50は、1U/ml〜1.5U/mlに含まれる。興味深いことに、細胞が、酵素と、細胞が十分に耐性を有するメトトレキサート(MTX)1μMとに同時に曝露された場合、HT29MTXにおけるMGL−BL929のIC50は低く(0.3U/ml)、このことは、MGL−BL929が細胞増殖抑制剤に対する前の耐性を克服し得ることを示唆している。MGL−BL929による5−フルオロウラシル(FUra)の増強を強く示唆している結果が、ヒト結腸癌細胞株HT29において得られた。これらの結果から、MGL−BL929は、細胞増殖抑制剤の細胞毒性を増強することができ、これらの化合物に対する前の耐性を克服できると、発明者らは結論づける。
種々の腫瘍細胞株におけるIC50には差があり;リンパ腫及び白血病由来細胞ならびに標準的な結腸癌HT29細胞において最低である。他の腫瘍由来細胞において、IC50は、1U/ml〜1.5U/mlに含まれる。興味深いことに、細胞が、酵素と、細胞が十分に耐性を有するメトトレキサート(MTX)1μMとに同時に曝露された場合、HT29MTXにおけるMGL−BL929のIC50は低く(0.3U/ml)、このことは、MGL−BL929が細胞増殖抑制剤に対する前の耐性を克服し得ることを示唆している。MGL−BL929による5−フルオロウラシル(FUra)の増強を強く示唆している結果が、ヒト結腸癌細胞株HT29において得られた。これらの結果から、MGL−BL929は、細胞増殖抑制剤の細胞毒性を増強することができ、これらの化合物に対する前の耐性を克服できると、発明者らは結論づける。
MGL−BL929に対するヒト非腫瘍線維芽細胞CDGIIの曝露がそれらの増殖に影響を及ぼすのは、癌細胞の細胞毒性に必要な濃度よりきわめて高い濃度レベルにおいてのみである。本発明者らは、4U/mlまでの濃度では、MGL−BL929に曝露した細胞数に測定可能な減少を観察しなかった。図2に示されるように、5U/mlでは、酵素に対する曝露開始から72時間で、わずかな増殖抑制が観察された。
MGL−BL929は、ヒト腫瘍細胞培養物の上澄み液中のL−メチオニン及びL−ホモシステインを長時間枯渇させる。
MGL−BL929への曝露は、試験した4つ全ての細胞株の上澄み液中で、メチオニンのレベルを急速に低下させ、この効果は酵素濃度の増加につれて増大した。図3及び4に示すように、所与のMGL−BL929濃度により達成されたメチオニン枯渇の程度は、全ての実験継続時間中、維持された。
MGL−BL929への曝露は、試験した4つ全ての細胞株の上澄み液中で、メチオニンのレベルを急速に低下させ、この効果は酵素濃度の増加につれて増大した。図3及び4に示すように、所与のMGL−BL929濃度により達成されたメチオニン枯渇の程度は、全ての実験継続時間中、維持された。
増殖中の細胞に由来する、メチオニンの内在性前駆体であるL−ホモシステインでも図は同様である。L−メチオニンに関して、細胞培養物の上澄み液中のL−ホモシステイン濃度は、MGL−BL929への曝露下で、大きく低下し、この効果は酵素濃度の増加につれて増大した。
組換えMGL−BL929は、腫瘍細胞培養条件下で長時間安定である。
HT29細胞培養物の上澄み液中で、組換えMGL−BL929の安定性を試験した。対照は、新鮮なDMEM培地中、1U/mLの精製組換えMGL−BL929である。0時間で1U/mLのMGL−BL929に曝露したHT29細胞の上澄み液を、実験開始から24時間、48時間、72時間、及び96時間で採集した。
HT29細胞培養物の上澄み液中で、組換えMGL−BL929の安定性を試験した。対照は、新鮮なDMEM培地中、1U/mLの精製組換えMGL−BL929である。0時間で1U/mLのMGL−BL929に曝露したHT29細胞の上澄み液を、実験開始から24時間、48時間、72時間、及び96時間で採集した。
ポリクローナルウサギ抗精製MGL−BL929血清を用いて実施したウェスタンブロット解析では、細胞培養の条件下、4日間に検出可能なタンパク質の変化を示すことはできなかった。酵素に対する単回曝露後、同じ期間中の持続的なL−メチオニン枯渇と共に、この所見は、MGL−BL929が、これらの条件下、長時間安定であることを示している。
組換えMGL−BL929は、インビトロのヒト血清において、長時間安定である。
インビトロのヒト血清においても、血清を種々の量の酵素と共にインキュベーションすることにより、組換えMGL−BL929の安定性を試験した。腫瘍細胞培養物の上澄み液に関するウェスタンブロット解析では、酵素とのインキュベーション開始から72時間中にタンパク質の変化は示されなかった。
インビトロのヒト血清においても、血清を種々の量の酵素と共にインキュベーションすることにより、組換えMGL−BL929の安定性を試験した。腫瘍細胞培養物の上澄み液に関するウェスタンブロット解析では、酵素とのインキュベーション開始から72時間中にタンパク質の変化は示されなかった。
発明者らは、94%のタンパク質純度及び低エンドトキシンレベル(31EU/ml)を有する1.2gの組換えMGL−BL929を1バッチ製造し精製した。製造されたMGL−BL929は、高レベルのL−メチオニンγ−リアーゼとL−ホモシステイナーゼの活性を有した。酵素は、(a)腫瘍細胞培養培地から長時間、メチオニンとホモシステインを枯渇させ、(b)腫瘍細胞培養条件下、及びインビトロのヒト血清中、安定であり、(c)培養中に増殖する種々のヒト腫瘍細胞に対して高い細胞毒活性を有し、(d)癌細胞に対して高い細胞毒性である濃度において、正常細胞の増殖に悪影響を及ぼさず、(d)細胞増殖抑制剤の細胞毒活性を増強(調節)し、(d)細胞増殖抑制剤に対する前の細胞耐性を無効化する。したがって、メチオニンガンマ−リアーゼとホモシステイナーゼの活性を示すMGL−BL929の使用は、癌治療において、腫瘍細胞の増殖を低下させ、細胞増殖抑制剤の細胞毒活性を増強し、細胞増殖抑制剤に対する前の細胞耐性を無効化するための選択的独創的な手法である。
Claims (16)
- 配列番号:1で記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はその機能保存的変異体。
- 少なくとも1つのポリエチレングリコール基と共有結合している、請求項1に記載のポリペプチド。
- 腫瘍ターゲティング剤に共有結合している、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
- 請求項1に記載のポリペプチドをコードしている核酸。
- 配列番号:2で記載される配列を含む請求項4に記載の核酸。
- 配列番号:3で記載される配列を含む請求項4に記載の核酸。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸及び/又は請求項7に記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
- 請求項1に記載のポリペプチドを製造する方法であって、(i)前記ポリペプチドを発現させるのに好適な条件下、請求項8に記載の形質転換宿主細胞を培養すること;及び(ii)発現したポリペプチドを回収すること、からなるステップを含む方法。
- 癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドを前記対象に投与するステップを含む方法。
- 癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸を前記対象に投与するステップを含む方法。
- 癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸と1種以上の酵素補助因子との組み合わせを前記対象に投与するステップを含む方法。
- 癌の治療を必要とする対象において癌を治療する方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸と1種以上の化学療法剤又は放射線療法剤との組み合わせを前記対象に投与するステップを含む方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項4〜6のいずれか一項に記載の核酸及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
- 1種以上の酵素補助因子を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
- 1種以上の化学療法剤又は放射線療法剤を含む、請求項14又は15に記載の医薬組成物。
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