JP2017126451A - 二次電池 - Google Patents

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寛 北川
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Abstract

【課題】構成を簡略化することができる二次電池を提供する。
【解決手段】イオン交換体30は、正極10と負極20とを仕切ることにより正極10と負極20とを電気的に絶縁分離すると共に、キャリアイオンの伝導性を有する。また、電解液40は、正極10と負極20との間に設けられている。そして、電解液40は、正極10側の溶媒と、負極20側の溶媒と、が同じものである。しかしながら、電解液40は、イオン交換体30よりも正極10側の溶媒に含まれる第1溶質と、イオン交換体30よりも負極20側の溶媒に含まれる第1溶質と、が異なっている。これにより、イオン交換体30を基準として正極10側と負極20側とを完全に分離する構成が不要となる。したがって、二次電池の構成を簡略化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、充放電可能に構成された二次電池に関する。
従来より、正負両極間に金属イオンのみを透過するセパレータが設けられた二次電池が、例えば特許文献1で提案されている。正極は正極側の外装用管とセパレータとによって構成された正極側空間に収容されている。金属材料によって構成された負極は負極側の外装用管とセパレータとによって構成された負極側空間に収容されている。
そして、水性電解液が正極側空間に注液されていると共に、有機電解液が負極側空間に注液されている。このように、正極側の電解液と負極側の電解液とが完全に分離されているので、負極の電圧が制限されない。
特開2011−81971号公報
しかしながら、上記従来の技術では、正極側と負極側とで電解液の種類が異なるので、各電解液が混ざらないように各電解液を完全に分離しなければならない。このため、二次電池の構成が複雑になってしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、構成を簡略化することができる二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、キャリアイオンを吸蔵放出可能に構成された正極(10)と、キャリアイオンを吸蔵放出可能に構成された負極(20)と、を備えている。
また、正極と負極とを仕切ることにより正極と負極とを電気的に絶縁分離すると共に、キャリアイオンの伝導性を有するイオン交換体(30)と、正極と負極との間に設けられた電解液(40)と、を備えている。
そして、電解液は、正極側の溶媒と、負極側の溶媒と、が同じであると共に、イオン交換体よりも正極側の溶媒に含まれる第1溶質と、イオン交換体よりも負極側の溶媒に含まれる第2溶質と、が異なる。
これによると、正極側と負極側とで電解液の溶媒が共通しているので、イオン交換体を基準として正極側と負極側とを完全に分離する構成が不要となる。すなわち、正極と負極との間にイオン交換体が配置され、正極側と負極側とにそれぞれ異なる溶質が設けられた状態で、正極と負極との間に共通の溶媒が注液されるという簡易な構成を実現することができる。したがって、二次電池の構成を簡略化することができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る二次電池の構成図である。 本発明の第2実施形態に係る二次電池の構成図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る二次電池は、正負極間における電解質イオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池である。電解質イオンは、Mgイオン等の金属イオンである。本実施形態に掛かる二次電池はマグネシウム二次電池として構成されている。
図1に示されるように、二次電池は、正極10、負極20、イオン交換体30、及び電解液40を備えて構成されている。
正極10及び負極20は、キャリアイオンとしてMgイオン(Mg2+)を吸蔵放出可能に構成されている。正極10は、正極集電体、正極活物質、導電材、及びバインダ等を有している。また、負極20は、負極集電体、負極活物質、導電材、及びバインダ等を有している。
具体的に、正極10は、正極集電体に酸化剤として正極活物質が設けられたものである。負極20は、負極集電体に還元剤として負極活物質が設けられたものである。正極集電体及び負極集電体は、電気を取り出すための端子としての役割を果たす。正極集電体及び負極集電体は、例えば板状に構成されている。
正極活物質及び負極活物質は、キャリアイオンを送り出し受け取る酸化/還元反応を行う物質である。すなわち、正極活物質及び負極活物質は、キャリアイオンとしてMgイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極活物質及び負極活物質は、MgまたはMgを含む化合物で構成されている。正極活物質は、正極集電体の片面または両面に塗布されている。同様に、負極活物質は、負極集電体の片面または両面に塗布されている。
導電材は、正極活物質や負極活物質に電子の供給パスを提供する役割を果たす。導電材として、例えば炭素材料、金属粉、導電性ポリマー等が用いられる。バインダは、活物質や導電材を相互結着すると共に集電体に結着させるためのものである。
イオン交換体30は、正極10と負極20とを仕切ることにより正極10と負極20とを電気的に絶縁分離するセパレータである。イオン交換体30は、Mgイオンの伝導性を有している。つまり、イオン交換体30は、電子を通さないが、Mgイオンを通す性質を持つ。また、イオン交換体30は、負電荷を持つことにより電解液40を構成する成分に含まれる陰イオンを反発させる。これにより、イオン交換体30は、陽イオンであるMgイオンのみを通すことができる。
さらに、イオン交換体30は、複数の細孔31を有する多孔質材料によって構成されている。細孔31のサイズが0.5nm未満の場合、Mgイオンがイオン交換体30の内部を動きづらくなる。一方、細孔31のサイズが20nmよりも大きい場合、イオン交換体30のイオンの選択性が低下するので、Mgイオン以外の他のイオンがイオン交換体30を通過してしまう。したがって、細孔31のサイズは、0.5nm以上、20nm以下であることが好ましい。イオン交換体30として、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の多孔性合成樹脂膜が用いられる。
電解液40は、正極10と負極20との間に設けられている。すなわち、電解液40は、イオン交換体30と正極10との空隙、及び、イオン交換体30と負極20との空隙に設けられている。
電解液40は、溶媒と溶質とで構成されている。そして、電解液40は、イオン交換体30よりも正極10側の溶媒と、イオン交換体30よりも負極20側の溶媒と、が同じものである。
溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、スルホラン、エチルノルマルプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン等が用いられる。
また、電解液40は、イオン交換体30よりも正極10側の溶媒に含まれる第1溶質と、イオン交換体30よりも負極20側の溶媒に含まれる第2溶質と、が異なっている。つまり、正極10側と負極20側とで溶媒に溶けている電解質(塩)が異なっている。
イオン交換体30よりも正極10側の溶媒に含まれる第1溶質は、スルホンイミドアニオンを含んでいる。例えば、第1溶質として、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(BETI)等が用いられる。
例えば、第1溶質としてMgTFSI等のMg塩が用いられる。TFSIイオンは、負電荷を持つイオン交換体30によって反発させられるので、イオン交換体30よりも負極20側に移動することが規制されている。
一方、イオン交換体30よりも負極20側の溶媒に含まれる第2溶質は、塩素を含んでいる。つまり、第2溶質は、金属と塩素とで構成されており、マグネシウムと塩素からなるイオンを含んでいる。例えば、第2溶質として、MgCl等のMgイオンが用いられる。
具体的な例として、正極10側の溶媒をモノグライムとし、第1溶質として0.5MのMgTFSIを用いる。また、負極20側の溶媒を正極10側と同じモノグライムとし、第2溶質としてMgClとAlClとを2:1で混合した0.25Mのものを用いる。このような組み合わせが可能になる。
以上が本実施形態に係る二次電池の全体構成である。充電時では、Mgイオンが正極10側から負極20側に移動すると共に電子が負極20に移動する。一方、放電時では、図1に示されるように、Mgイオンが負極20側から正極10側に移動すると共に電子が正極10に移動する。このようにして、二次電池の充放電が繰り返される。
なお、二次電池は、ラミネート型、コイン型、円筒型、角型等の密閉の形態や、電解液40が巡回するフロー電池として構成される。上述のように、溶媒は正極10側と負極20側とで共通しているので、溶媒を収容するための簡易な筐体を用いて二次電池を構成することができる。
ここで、本実施形態に係る二次電池の構成に対する一つの比較例として、正極10側と負極20側との両方で電解液40の溶質をMgTFSIとした構成が考えられる。しかし、MgTFSIが負極20の材料と反応して分解されてしまう。これにより、負極活物質等の表面に被膜が形成されてしまう。
別の比較例として、正極10側と負極20側との両方で電解液40の溶質をMgClとした構成が考えられる。しかし、MgClが正極10の材料と反応して塩素が発生してしまう。このように、電解液40の溶質を同じものにしてしまうと、二次電池の出力や寿命が低下してしまう。
上記の比較例に対し、本実施形態では、正極10側と負極20側とで電解液40の溶媒が共通とされ、溶質が異なっている。言い換えると、正極10側で安定な塩が用いられ、負極20側で安定な塩が用いられ、反応イオンは同一になっている。このため、正極10側では塩素の分解は発生しない。また、負極20側では被膜の形成は起こらない。
そして、電解液40の溶質すなわち塩が分離されているので、正極10側及び負極20側の両方で安定性を確保することができる。また、当該安定性を担保するための構成が不要になる。さらに、正極10及び負極20の材料の選択肢が増えるので、二次電池のエネルギー密度や寿命を向上させることができる。
また、電解液40の溶媒が共通であるので、イオン交換体30を通しての溶媒の移動が問題にならない。このため、正極10側と負極20側とを完全に分離するための固体電解質セパレータが必要ない。したがって、イオン交換体30を基準として正極10側と負極20側とで溶媒の移動を制限するための構成が不要になる。
例えば、正極10側と負極20側とで溶媒が異なる構成では、捲回体や積層体を作った後に溶媒の注液ができないため、通常のプロセスで二次電池を作成することができない。また、二次電池の製造のコストも高くなる。これに対し、本実施形態に係る二次電池では、正極10側と負極20側とで溶媒が共通であるので、通常のプロセスで二次電池を容易に製造することができる。
具体的には、各溶質を固体としてイオン交換体30、正極10、負極20にそれぞれ塗布したり混合したりする。そして、正極10と負極20との間にイオン交換体30を配置し、正極10側と負極20側とにそれぞれ異なる溶質を設けた状態で、正極10及び負極20に共通の溶媒を筐体に注液する。このように、簡易な構成を実現することができる。したがって、二次電池の構成を簡略化することができる。
さらに、Mgイオンがイオン交換体30を介して移動する構成になっているので、Mgイオンの移動が容易になっている。そのため、固体電解質セパレータを備えた構成よりもMgイオンの拡散速度が早くなるので、二次電池の出力を大きくすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、二次電池は空気電池として構成されている。このため、図2に示されるように、正極10は空気中の酸素を正極活物質として利用するように構成されている。例えば、正極10として、多孔質のカーボンペーパーや発泡Ni等が用いられる。これにより、正極10を軽量化することができ、ひいては二次電池を小型化することができる。
例えば、放電時ではMg+O→MgOの反応が起こる一方、充電時ではMgO→Mg+Oの反応が起こる。そして、正極10側と負極20側とで溶質が異なっているので、例えば正極10側でMgClとOとが反応してMg(ClOが生成されてしまうと充電時に負極20側にMgイオンが戻らなくなるということは起こらない。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された二次電池の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、キャリアイオンとして、Li、Na、Al、Zn等の他の金属イオンが用いられても良い。この場合、キャリアイオンに応じた正極10、負極20、及び各溶質によって二次電池が構成される。
上記各実施形態で示されたイオン交換体30は電解液40を構成する成分に含まれる陰イオンを反発させるものが用いられたが、これは一例である。二次電池の構成上、イオン交換体30は電解液40を構成する成分に含まれる陽イオンを反発させるものが用いられても良い。
10 正極
20 負極
30 イオン交換体
40 電解液

Claims (5)

  1. キャリアイオンを吸蔵放出可能に構成された正極(10)と、
    前記キャリアイオンを吸蔵放出可能に構成された負極(20)と、
    前記正極と前記負極とを仕切ることにより前記正極と前記負極とを電気的に絶縁分離すると共に、前記キャリアイオンの伝導性を有するイオン交換体(30)と、
    前記正極と前記負極との間に設けられた電解液(40)と、
    を備え、
    前記電解液は、前記正極側の溶媒と、前記負極側の溶媒と、が同じであると共に、前記イオン交換体よりも前記正極側の溶媒に含まれる第1溶質と、前記イオン交換体よりも前記負極側の溶媒に含まれる第2溶質と、が異なる二次電池。
  2. 前記イオン交換体は、複数の細孔(31)を有する多孔質材料によって構成されていると共に、負電荷を持つことにより前記電解液を構成する成分に含まれる陰イオンを反発させる請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記正極が酸素を正極活物質として用いる空気電池として構成されている請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記キャリアイオンは、Mgイオンである請求項1ないし3のいずれか1つに記載の二次電池。
  5. 前記第1溶質はスルホンイミドアニオンを含み、前記第2溶質はマグネシウムと塩素からなるイオンを含んでいる請求項4に記載の二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7417293B2 (ja) 2019-03-29 2024-01-18 ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社 論理集積回路及び論理集積回路による制御方法

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