JP2017123797A - ビフェニル分解菌の探索方法、オリゴヌクレオチド、及びビフェニル分解菌 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビフェニル分解菌を効率よく、かつ精度よく探索することが可能なビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌を提供する。【解決手段】本発明の一形態に係るビフェニル分解菌の探索方法は、土壌から複数の菌を分離する工程を含む。ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補が検出される。【選択図】図2
Description
本発明は、ビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌に関する。
PCBsは、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、ビフェニル誘導体の一つである。PCBsは、一般に、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等に優れた性質を有し、このような優れた性質を活かして非常に多岐にわたる分野の製品に使用されてきたが、生体に対する毒性が高いことが判明している。これにより、現在ではPCBsの使用が規制されているが、PCBsは化学的な安定性が高いため、既に使用されている製品を介して生体や環境へ悪影響を及ぼすことが懸念されている。
そこで、PCBs等のビフェニル誘導体を無害化する取り組みがなされている。
例えば、特許文献1には、微生物を含む組成物を用いてビフェニル又はその誘導体(例えばPCBs)を分解させる技術が記載されている。同文献には、PCBs分解用組成物の製造に使用し得る微生物のスクリーニング方法として、ビフェニルを単一の炭素現として生育し得る微生物からのスクリーニングを繰り返し行うことが記載されている(同文献の段落[0021]参照)。
例えば、特許文献1には、微生物を含む組成物を用いてビフェニル又はその誘導体(例えばPCBs)を分解させる技術が記載されている。同文献には、PCBs分解用組成物の製造に使用し得る微生物のスクリーニング方法として、ビフェニルを単一の炭素現として生育し得る微生物からのスクリーニングを繰り返し行うことが記載されている(同文献の段落[0021]参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーニング方法によれば、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を繰り返しスクリーニングすることから、目的の微生物の探索に長時間を要していた。
また、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を培養し、増殖させようとした場合、目的とする微生物以外の微生物も増殖する可能性があった。このため、培養工程の後、多くの検体を試験対象とした代謝試験を実施する必要が生じ、目的の微生物を取得するまでさらに長時間を要する可能性があった。
さらに、特殊な環境で長時間微生物を培養した場合、遺伝的な偏りが生じ、当初の生物相から変化が生じる可能性もあった。
また、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を培養し、増殖させようとした場合、目的とする微生物以外の微生物も増殖する可能性があった。このため、培養工程の後、多くの検体を試験対象とした代謝試験を実施する必要が生じ、目的の微生物を取得するまでさらに長時間を要する可能性があった。
さらに、特殊な環境で長時間微生物を培養した場合、遺伝的な偏りが生じ、当初の生物相から変化が生じる可能性もあった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ビフェニル分解菌を効率よく、かつ精度よく探索することが可能なビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るビフェニル分解菌の探索方法は、土壌から複数の菌を分離する工程を含む。
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補が検出される。
上記ビフェニル分解菌の探索方法によれば、土壌から分離した菌に対して、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることにより、ビフェニル分解酵素をコードする遺伝子を有するビフェニル分解菌候補を簡便に、かつ効率よく検出することができる。さらに、ビフェニル分解酵素遺伝子の有無に基づいてビフェニル分解菌候補を検出できるため、ビフェニル分解菌の可能性が高いビフェニル分解菌候補を選抜することが可能となる。
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補が検出される。
上記ビフェニル分解菌の探索方法によれば、土壌から分離した菌に対して、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることにより、ビフェニル分解酵素をコードする遺伝子を有するビフェニル分解菌候補を簡便に、かつ効率よく検出することができる。さらに、ビフェニル分解酵素遺伝子の有無に基づいてビフェニル分解菌候補を検出できるため、ビフェニル分解菌の可能性が高いビフェニル分解菌候補を選抜することが可能となる。
上記土壌は、植物根圏土壌であってもよい。
植物根圏土壌は、微生物を豊富に含むため、ビフェニル分解菌候補を検出できる確率を高めることができる。
植物根圏土壌は、微生物を豊富に含むため、ビフェニル分解菌候補を検出できる確率を高めることができる。
上記ビフェニル分解酵素をコードするDNAは、複数の既知のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。
これにより、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列を、多様な菌のビフェニル誘導体をコードするDNAに共通する配列に基づいて決定することができ、ビフェニル分解菌候補を精度よく検出することができる。
これにより、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列を、多様な菌のビフェニル誘導体をコードするDNAに共通する配列に基づいて決定することができ、ビフェニル分解菌候補を精度よく検出することができる。
この場合、上記複数の既知のビフェニル分解菌は、5以上の既知のビフェニル分解菌を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補をより精度よく検出することができる。
これにより、ビフェニル分解菌候補をより精度よく検出することができる。
上記ビフェニル分解菌の探索方法は、さらに、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が上記溶液中のビフェニル誘導体又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する工程を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補のうち、実際にビフェニル又はその誘導体を分解菌する菌をビフェニル分解菌と推定することができる。
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が上記溶液中のビフェニル誘導体又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する工程を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補のうち、実際にビフェニル又はその誘導体を分解菌する菌をビフェニル分解菌と推定することができる。
具体的には、上記ビフェニル誘導体は、PCBs(ポリ塩化ビフェニル類)であってもよい。
本発明の他の形態に係るオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能である。
また、本発明のさらに他の形態に係るビフェニル分解菌は、
土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する。
土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する。
以上のように、本発明によれば、ビフェニル分解菌を効率よく、かつ精度よく探索することが可能なビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌を提供することができる。
[本発明の概要]
本発明は、遺伝子マーカーを用いてビフェニル分解酵素遺伝子の有無を診断することで、PCBs等のビフェニル誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌を検出することを特徴とする。以下、詳細について説明する。
本発明は、遺伝子マーカーを用いてビフェニル分解酵素遺伝子の有無を診断することで、PCBs等のビフェニル誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌を検出することを特徴とする。以下、詳細について説明する。
[ビフェニル誘導体]
ビフェニル誘導体とは、ビフェニルを母体とし、ビフェニルに官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなどの改変がなされた化合物をいう。ビフェニル誘導体は、一般に安定性が高く、生分解性が低い。
具体的には、ビフェニル誘導体は、後述するPCBs、アルキルビフェニル等が挙げられる。
ビフェニル誘導体とは、ビフェニルを母体とし、ビフェニルに官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなどの改変がなされた化合物をいう。ビフェニル誘導体は、一般に安定性が高く、生分解性が低い。
具体的には、ビフェニル誘導体は、後述するPCBs、アルキルビフェニル等が挙げられる。
[PCBs]
PCBsは、上述のように、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、一般式は、C12H(10−n)Cln (1≦n≦10)で表される。具体的には、PCBsとしては、3,4,4',5−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4'−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3,3',4,4'−ペンタクロロビフェニール、2,3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2',3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール等を挙げることができる。
PCBは、通常PCB単体の混合物として市販されており、これらがコンデンサやトランスに使用されている。その具体例としては、鐘淵化学(株)のKC−200(2塩化ビフェニル)、KC−300(3塩化ビフェニル)、KC−400(4塩化ビフェニル)、KC−500(5塩化ビフェニル)、KC−600(6塩化ビフェニル)、KC−1000(KC500/トリクロロベンゼン=60/40(質量比)の混合物)や、三菱モンサント(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等が挙げられる。
これらのPCBsは、ビフェニル分解菌により分解されることが知られている(特許文献1参照)。
PCBsは、上述のように、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、一般式は、C12H(10−n)Cln (1≦n≦10)で表される。具体的には、PCBsとしては、3,4,4',5−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4'−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3,3',4,4'−ペンタクロロビフェニール、2,3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2',3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール等を挙げることができる。
PCBは、通常PCB単体の混合物として市販されており、これらがコンデンサやトランスに使用されている。その具体例としては、鐘淵化学(株)のKC−200(2塩化ビフェニル)、KC−300(3塩化ビフェニル)、KC−400(4塩化ビフェニル)、KC−500(5塩化ビフェニル)、KC−600(6塩化ビフェニル)、KC−1000(KC500/トリクロロベンゼン=60/40(質量比)の混合物)や、三菱モンサント(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等が挙げられる。
これらのPCBsは、ビフェニル分解菌により分解されることが知られている(特許文献1参照)。
[ビフェニル分解菌]
ビフェニル分解菌は、ビフェニル分解酵素をコードするDNA(以下、ビフェニル分解酵素遺伝子とも称する)を有する真正細菌である。ビフェニル分解菌としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する真正細菌が挙げられるが、これに限定されない。
なお、以下の説明において単に「菌」という場合、真正細菌をいうものとする。
ビフェニル分解酵素は、ビフェニルを分解する酵素であり、さらにビフェニルを分解することで、PCBs等のビフェニル誘導体も分解することが可能である。ビフェニル分解菌としては、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼ、ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼ、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ等を挙げることができる。
ビフェニル分解酵素遺伝子は、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphA、ジハイドロジオールデヒドロゲナーゼをコードするBphB、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphC、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼをコードするBphD等が挙げられる。
ビフェニル分解菌は、ビフェニル分解酵素をコードするDNA(以下、ビフェニル分解酵素遺伝子とも称する)を有する真正細菌である。ビフェニル分解菌としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する真正細菌が挙げられるが、これに限定されない。
なお、以下の説明において単に「菌」という場合、真正細菌をいうものとする。
ビフェニル分解酵素は、ビフェニルを分解する酵素であり、さらにビフェニルを分解することで、PCBs等のビフェニル誘導体も分解することが可能である。ビフェニル分解菌としては、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼ、ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼ、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ等を挙げることができる。
ビフェニル分解酵素遺伝子は、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphA、ジハイドロジオールデヒドロゲナーゼをコードするBphB、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphC、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼをコードするBphD等が挙げられる。
図1は、ビフェニル分解菌として知られているシュードモナス属細菌(Pseudomonas sp.)KKS102株におけるPCBsの分解経路を模式的に示す図である(例えば、Kikuchi Y. et al, Journal of Bacteriology, Vol.176, No.6, p.1689-1694, 1994参照)。なお、上述の分解経路は一例であり、他の細菌においては異なる経路をとり得る。
この経路において、PCBsは、まず、ビフェニルジオキシゲナーゼ(BphA酵素)により、2つの水酸基(OH)が付加される。BphA酵素は4つのサブユニット(BphA1、BphA2、BphA3、BphA4)から構成されている。そして、図1に示す通り、BphA1とBphA2とが複合体を形成し、基質との結合及び酸素添加反応を触媒し、フェレドキシンが電子伝達体として機能し、フェレドキシンリダクターゼがNAD又はNADPHとフェレドキシンの酸化還元反応を触媒する。
続いてジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ(BphB酵素)によって、BphAの産物から2つの水素が除かれた後、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC酵素)により、BphB産物に酸素1分子が付加され、HOPDA(BphDの誘導基質)が生成する。ついで、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ(BphD酵素)が、HOPDAを安息香酸と2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートとに分解する。
その後、図示はしないが、2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートヒドラターゼ(BphE酵素)、4−ヒドロキシ−2−オキソバレレートアルドラーゼ(BphF酵素)及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(BphG酵素)によりアセチルCoAとピルビン酸に転換されると考えられる。
この経路において、PCBsは、まず、ビフェニルジオキシゲナーゼ(BphA酵素)により、2つの水酸基(OH)が付加される。BphA酵素は4つのサブユニット(BphA1、BphA2、BphA3、BphA4)から構成されている。そして、図1に示す通り、BphA1とBphA2とが複合体を形成し、基質との結合及び酸素添加反応を触媒し、フェレドキシンが電子伝達体として機能し、フェレドキシンリダクターゼがNAD又はNADPHとフェレドキシンの酸化還元反応を触媒する。
続いてジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ(BphB酵素)によって、BphAの産物から2つの水素が除かれた後、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC酵素)により、BphB産物に酸素1分子が付加され、HOPDA(BphDの誘導基質)が生成する。ついで、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ(BphD酵素)が、HOPDAを安息香酸と2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートとに分解する。
その後、図示はしないが、2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートヒドラターゼ(BphE酵素)、4−ヒドロキシ−2−オキソバレレートアルドラーゼ(BphF酵素)及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(BphG酵素)によりアセチルCoAとピルビン酸に転換されると考えられる。
[ビフェニル分解菌の探索方法]
図2は、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法は、複数の菌を分離するステップ(ST11)と、ビフェニル分解菌候補を検出するステップ(ST12)と、ビフェニル分解菌候補に対してビフェニル分解試験を行い、ビフェニル分解菌を検出するステップ(ST13)と、を含む。以下、各ステップについて説明する。
図2は、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法は、複数の菌を分離するステップ(ST11)と、ビフェニル分解菌候補を検出するステップ(ST12)と、ビフェニル分解菌候補に対してビフェニル分解試験を行い、ビフェニル分解菌を検出するステップ(ST13)と、を含む。以下、各ステップについて説明する。
まず、図2に示すように、土壌から複数の菌を分離する(ST11)。
ここでいう土壌は、PCBs等のビフェニル誘導体による汚染が疑われていない土壌でもよい。本発明は、ビフェニル分解菌を非常に効率よく検出できるため、汚染が疑われていない土壌からでもビフェニル分解菌を検出することができる。
また、ここでいう土壌は、例えば植物根圏土壌でもよい。植物根圏土壌は、植物の根の周囲の土壌をいい、植物の根の一部を含んでいてもよい。植物の根は、呼吸の作用や栄養分と水分を吸収する作用によって、周囲の土壌の栄養分組成を変化させるとともに、pHを変化させ得る。また、植物の根は、分泌物を分泌させるとともに、根毛を脱落させ得る。これにより、植物根圏土壌は、他の領域の土壌と比較して異なる組成を有し、一般に多くの微生物を含む。さらに、植物由来の化合物がビフェニル分解遺伝子を誘発させることが知られているため、このような化合物が存在し得る植物根圏土壌は、ビフェニル分解遺伝子を有するビフェニル分解菌を含む可能性がある。したがって、本発明の土壌として植物根圏土壌を用いることで、ビフェニル分解菌を検出する可能性を高めることができる。
なお、土壌は上記に限定されず、浄水場等の活性汚泥、PCBs等による汚染が疑われる土壌等でもよい。
ここでいう土壌は、PCBs等のビフェニル誘導体による汚染が疑われていない土壌でもよい。本発明は、ビフェニル分解菌を非常に効率よく検出できるため、汚染が疑われていない土壌からでもビフェニル分解菌を検出することができる。
また、ここでいう土壌は、例えば植物根圏土壌でもよい。植物根圏土壌は、植物の根の周囲の土壌をいい、植物の根の一部を含んでいてもよい。植物の根は、呼吸の作用や栄養分と水分を吸収する作用によって、周囲の土壌の栄養分組成を変化させるとともに、pHを変化させ得る。また、植物の根は、分泌物を分泌させるとともに、根毛を脱落させ得る。これにより、植物根圏土壌は、他の領域の土壌と比較して異なる組成を有し、一般に多くの微生物を含む。さらに、植物由来の化合物がビフェニル分解遺伝子を誘発させることが知られているため、このような化合物が存在し得る植物根圏土壌は、ビフェニル分解遺伝子を有するビフェニル分解菌を含む可能性がある。したがって、本発明の土壌として植物根圏土壌を用いることで、ビフェニル分解菌を検出する可能性を高めることができる。
なお、土壌は上記に限定されず、浄水場等の活性汚泥、PCBs等による汚染が疑われる土壌等でもよい。
このような土壌から複数の菌を分離するには、例えば、平板希釈法を適用することができる。具体的には、まず、採取された土壌を液体培地や滅菌水等で希釈する。例えば、植物の根を含む植物根圏土壌を採取した場合は、固形分である根などをすりつぶし、採取した土壌の重量の9倍の液体で希釈する。これを10倍希釈として、例えば10倍ずつ希釈していき、102倍、103倍、104倍…の土壌希釈液を生成する。この作業により生成された各土壌希釈液を、それぞれ寒天培地へ播種する。あるいは、既知の最適な希釈倍率の土壌希釈液のみを寒天培地へ播種してもよい。植物根圏土壌の場合、最適な土壌の希釈倍率は一例として108倍である。
寒天培地は、典型的には、シャーレを用いた平板培地であるが、これに限定されない。寒天培地は、滅菌処理したものを用いることができる。
そして、土壌希釈液を播種した寒天培地を1日〜10日ほど培養し、複数の菌のコロニーを形成させることで、複数の菌を分離する。培養条件は特に限定されず、通常の細菌培養に用いる条件を適用することができる。形成されたコロニーは、次ステップにおいて検体として用いられる。なお、次ステップで用いられるコロニーは、隣接するコロニーと分離して形成されたものが用いられる。これにより、異なる菌株のコンタミネーションを防止することができる。
寒天培地は、典型的には、シャーレを用いた平板培地であるが、これに限定されない。寒天培地は、滅菌処理したものを用いることができる。
そして、土壌希釈液を播種した寒天培地を1日〜10日ほど培養し、複数の菌のコロニーを形成させることで、複数の菌を分離する。培養条件は特に限定されず、通常の細菌培養に用いる条件を適用することができる。形成されたコロニーは、次ステップにおいて検体として用いられる。なお、次ステップで用いられるコロニーは、隣接するコロニーと分離して形成されたものが用いられる。これにより、異なる菌株のコンタミネーションを防止することができる。
続いて、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出する(ST12)。
本ステップでは、上記オリゴヌクレオチドがハイブリダイズした遺伝子を有する菌を、ビフェニル分解菌候補として検出することができる。
ここでいうハイブリダイズは、本発明のオリゴヌクレオチドがビフェニル分解酵素遺伝子内の標的配列と相補的に結合することである。
また、ここでいう「ビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズする」とは、ビフェニル分解酵素遺伝子の一部のDNA配列にハイブリダイズすること、及びビフェニル分解酵素遺伝子の全体にハイブリダイズすることを含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法のプライマー、ハイブリダイゼーション法の核酸プローブ、固相担体に結合された捕捉プローブ等、分子生物学的な種々の検出方法に用いることができる。なお、本発明のオリゴヌクレオチドは、標識化されずに用いられてもよいし、放射性物質や蛍光・発光物質、酵素や酵素基質等の標識物によって標識化して核酸プローブやプライマーとして用いることもできる。オリゴヌクレオチドの詳細については、後述する。
本ステップでは、上記オリゴヌクレオチドがハイブリダイズした遺伝子を有する菌を、ビフェニル分解菌候補として検出することができる。
ここでいうハイブリダイズは、本発明のオリゴヌクレオチドがビフェニル分解酵素遺伝子内の標的配列と相補的に結合することである。
また、ここでいう「ビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズする」とは、ビフェニル分解酵素遺伝子の一部のDNA配列にハイブリダイズすること、及びビフェニル分解酵素遺伝子の全体にハイブリダイズすることを含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法のプライマー、ハイブリダイゼーション法の核酸プローブ、固相担体に結合された捕捉プローブ等、分子生物学的な種々の検出方法に用いることができる。なお、本発明のオリゴヌクレオチドは、標識化されずに用いられてもよいし、放射性物質や蛍光・発光物質、酵素や酵素基質等の標識物によって標識化して核酸プローブやプライマーとして用いることもできる。オリゴヌクレオチドの詳細については、後述する。
分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出するには、例えば、上記オリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法により標的配列が増幅するか否か確認することができる。
具体的には、まず、前ステップにおいて形成されたコロニーに含まれる菌のDNAをテンプレートとして、PCR増幅用反応液を調製する。テンプレートDNAは、各コロニーに含まれる菌体からDNAを抽出したものとすることができる。PCR反応液は、テンプレートDNA、プライマー対、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ、及び滅菌蒸留水等を混合したものとすることができる。あるいは、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ等に替えて、予めこれらの試薬が混合された市販のPCR用酵素を用いることもできる。次に、サーマルサイクラー等を用いて熱変性反応、アニーリング反応、及び伸長反応を連続して行い、これを所定サイクル繰り返すことにより、PCR法による増幅反応を行う。PCR法における反応条件等は、使用するポリメラーゼの種類やプライマーのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。そして、その反応後の反応液中の増幅産物を確認し、所望のDNA断片が増幅されているか否か確認する。このように、所望のDNA断片が増幅されている(陽性)菌を、ビフェニル分解菌候補として検出する。
増幅産物の確認方法も特に限定されず、例えば、アガロースゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、シーケンス解析による塩基配列を決定する方法等を適用することができる。このうち、アガロースゲル電気泳動法が簡便に増幅産物を確認でき、より好ましい。
具体的には、まず、前ステップにおいて形成されたコロニーに含まれる菌のDNAをテンプレートとして、PCR増幅用反応液を調製する。テンプレートDNAは、各コロニーに含まれる菌体からDNAを抽出したものとすることができる。PCR反応液は、テンプレートDNA、プライマー対、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ、及び滅菌蒸留水等を混合したものとすることができる。あるいは、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ等に替えて、予めこれらの試薬が混合された市販のPCR用酵素を用いることもできる。次に、サーマルサイクラー等を用いて熱変性反応、アニーリング反応、及び伸長反応を連続して行い、これを所定サイクル繰り返すことにより、PCR法による増幅反応を行う。PCR法における反応条件等は、使用するポリメラーゼの種類やプライマーのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。そして、その反応後の反応液中の増幅産物を確認し、所望のDNA断片が増幅されているか否か確認する。このように、所望のDNA断片が増幅されている(陽性)菌を、ビフェニル分解菌候補として検出する。
増幅産物の確認方法も特に限定されず、例えば、アガロースゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、シーケンス解析による塩基配列を決定する方法等を適用することができる。このうち、アガロースゲル電気泳動法が簡便に増幅産物を確認でき、より好ましい。
また、本ステップでは、1種類のビフェニル分解酵素に対応するオリゴヌクレオチドのみならず、異なるビフェニル分解酵素にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを用いて、ビフェニル分解菌候補を検出してもよい。上述のように、通常、ビフェニル分解菌は、BphA,BphB,BphC及びBphD(BphA〜BphD)の分解酵素をコードするDNAを有していると考えられる。このため、例えば、S12のステップが以下のようなステップを含んでいてもよい。
まず、BphA〜BphDのうちの1つの酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、S11で分離された菌のDNAにハイブリダイズさせる。その後、S11で分離された菌、又は前ステップでハイブリダイズされた菌に、BphA〜BphDのうちの他の酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
これにより、遺伝子診断によって実際にビフェニルの分解能を有する菌を精度よく検出することができる。
まず、BphA〜BphDのうちの1つの酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、S11で分離された菌のDNAにハイブリダイズさせる。その後、S11で分離された菌、又は前ステップでハイブリダイズされた菌に、BphA〜BphDのうちの他の酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
これにより、遺伝子診断によって実際にビフェニルの分解能を有する菌を精度よく検出することができる。
最後に、PCBsを含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し(ビフェニル分解試験)、分解すると判定された場合、当該ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)。
本ステップでは、まず、ビフェニル分解菌候補として検出された各菌を、ビフェニル又はその誘導体を添加した溶液に加え、ビフェニル又はその誘導体と反応させる。ビフェニルの誘導体としては、例えば、PCBs、アルキルビフェニル等を用いることができ、このうちPCBsとしては、上述の「PCBs」の説明で挙げた化合物等を用いることができる。また、ビフェニル又はその誘導体の溶液中の濃度としては、例えば0.05〜1000mg/L、好ましくは1〜100mg/L程度とすることができる。ビフェニル分解菌候補の添加量は特に限定されない。また、培地は、ビフェニル分解菌候補が培養可能な培養液を用いることができる。培養条件は特に限定されず、例えば温度が約20〜40℃、好ましくは25〜35℃、さらに好ましくは約30℃であり、pHは6〜9とすることができる。また、反応中、溶液を攪拌してもよい。反応期間は例えば1〜5日とすることができる。
続いて、各培養液中に添加したPCBsが分解されたか否か評価する。評価方法は、例えば、ガスクロマトグラフィ等を適用することができる。
本ステップでは、まず、ビフェニル分解菌候補として検出された各菌を、ビフェニル又はその誘導体を添加した溶液に加え、ビフェニル又はその誘導体と反応させる。ビフェニルの誘導体としては、例えば、PCBs、アルキルビフェニル等を用いることができ、このうちPCBsとしては、上述の「PCBs」の説明で挙げた化合物等を用いることができる。また、ビフェニル又はその誘導体の溶液中の濃度としては、例えば0.05〜1000mg/L、好ましくは1〜100mg/L程度とすることができる。ビフェニル分解菌候補の添加量は特に限定されない。また、培地は、ビフェニル分解菌候補が培養可能な培養液を用いることができる。培養条件は特に限定されず、例えば温度が約20〜40℃、好ましくは25〜35℃、さらに好ましくは約30℃であり、pHは6〜9とすることができる。また、反応中、溶液を攪拌してもよい。反応期間は例えば1〜5日とすることができる。
続いて、各培養液中に添加したPCBsが分解されたか否か評価する。評価方法は、例えば、ガスクロマトグラフィ等を適用することができる。
以上の各ステップにより、ビフェニル分解菌を検出することができる。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法は、ST11及びST12のステップで精度よくビフェニル分解菌候補を検出できるならば、ST13のステップを有さなくてもよい。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法は、ST11及びST12のステップで精度よくビフェニル分解菌候補を検出できるならば、ST13のステップを有さなくてもよい。
さらに、ST13のステップでビフェニル分解菌候補を培養している間にDNA配列が変化する可能性がある場合には、以下に示すように再度遺伝子診断を行ってもよい。
すなわち、ST13のステップの後、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、ST13で推定されたビフェニル分解菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記推定されたビフェニル分解菌がビフェニル分解菌であることを確認してもよい。本ステップは、ST12と同様に行うことができる。
また、本ステップにおけるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたものと同一のオリゴヌクレオチドでもよいし、異なるものでもよい。例えば、本ステップで用いるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたオリゴヌクレオチドがターゲットとするビフェニル分解酵素遺伝子とは異なるビフェニル分解酵素遺伝子をターゲットとするものでもよい。
これにより、ビフェニル分解能を有するビフェニル分解菌をより確実に探索することができる。
すなわち、ST13のステップの後、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、ST13で推定されたビフェニル分解菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記推定されたビフェニル分解菌がビフェニル分解菌であることを確認してもよい。本ステップは、ST12と同様に行うことができる。
また、本ステップにおけるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたものと同一のオリゴヌクレオチドでもよいし、異なるものでもよい。例えば、本ステップで用いるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたオリゴヌクレオチドがターゲットとするビフェニル分解酵素遺伝子とは異なるビフェニル分解酵素遺伝子をターゲットとするものでもよい。
これにより、ビフェニル分解能を有するビフェニル分解菌をより確実に探索することができる。
[オリゴヌクレオチド]
本発明のオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることができるものである。
上記DNAは、複数のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。当該複数のビフェニル分解菌としては、ビフェニル分解酵素遺伝子を有し、かつそのビフェニル分解酵素遺伝子のアミノ酸配列が既知の細菌を適用することができる。具体的には、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する既知のビフェニル分解菌が挙げられる。
また、配列類似性の比較対象となる複数のビフェニル分解菌は、例えば、5以上のビフェニル分解菌を含んでいてもよく、より好ましくは8以上のビフェニル分解菌を含んでいればよい。これにより、アミノ酸配列の相同性について精度よく検討することができる。
また、配列類似性の高いアミノ酸配列は、例えば、比較対象となる複数のビフェニル分解菌において、同一のアミノ酸が4以上連続する配列を含むアミノ酸配列をいうものとする。
例えば、オリゴヌクレオチドは、PCR用のプライマーの場合、上記アミノ酸配列に対応する塩基配列をそれぞれ有する複数のプライマーを混合した、いわゆる縮重プライマーとすることができる。これにより、上記アミノ酸配列に対応するコドンの揺らぎを考慮して、1回のPCRでより多くの菌株を検出することができる。また、複数のプライマーの数は、例えば128以下、好ましくは48以下、より好ましくは32以下とすることができる。これにより、PCR反応液中の実効的なプライマー濃度の低下を抑制し、プライマーの検出感度を維持することができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることができるものである。
上記DNAは、複数のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。当該複数のビフェニル分解菌としては、ビフェニル分解酵素遺伝子を有し、かつそのビフェニル分解酵素遺伝子のアミノ酸配列が既知の細菌を適用することができる。具体的には、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する既知のビフェニル分解菌が挙げられる。
また、配列類似性の比較対象となる複数のビフェニル分解菌は、例えば、5以上のビフェニル分解菌を含んでいてもよく、より好ましくは8以上のビフェニル分解菌を含んでいればよい。これにより、アミノ酸配列の相同性について精度よく検討することができる。
また、配列類似性の高いアミノ酸配列は、例えば、比較対象となる複数のビフェニル分解菌において、同一のアミノ酸が4以上連続する配列を含むアミノ酸配列をいうものとする。
例えば、オリゴヌクレオチドは、PCR用のプライマーの場合、上記アミノ酸配列に対応する塩基配列をそれぞれ有する複数のプライマーを混合した、いわゆる縮重プライマーとすることができる。これにより、上記アミノ酸配列に対応するコドンの揺らぎを考慮して、1回のPCRでより多くの菌株を検出することができる。また、複数のプライマーの数は、例えば128以下、好ましくは48以下、より好ましくは32以下とすることができる。これにより、PCR反応液中の実効的なプライマー濃度の低下を抑制し、プライマーの検出感度を維持することができる。
[ビフェニル分解菌]
本発明のビフェニル分解菌は、土壌から複数の菌を分離し(ST11)、PCBsを分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、当該分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、当該分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し(ST12)、ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)、ことで検出されたビフェニル分解菌である。すなわち、本発明のビフェニル分解菌は、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることが可能なDNAを有し、PCBsを分解することが可能な菌である。
なお、本発明のビフェニル分解菌は、特定された種や属に属するものではなく、上記各ステップを実施することにより検出されるものであればよい。
本発明のビフェニル分解菌は、土壌から複数の菌を分離し(ST11)、PCBsを分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、当該分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、当該分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し(ST12)、ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)、ことで検出されたビフェニル分解菌である。すなわち、本発明のビフェニル分解菌は、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることが可能なDNAを有し、PCBsを分解することが可能な菌である。
なお、本発明のビフェニル分解菌は、特定された種や属に属するものではなく、上記各ステップを実施することにより検出されるものであればよい。
[ビフェニル分解用組成物]
さらに、本発明のビフェニル分解菌は、ビフェニル又はその誘導体を分解するためのビフェニル分解用組成物に含まれていてもよい。この場合、ビフェニル分解用組成物には、ビフェニル分解菌を培養した培養物が含まれ得る。当該培養物は、菌体を含む培養液をそのまま粉体にしたものでもよい。また、当該培養物は、水や界面活性剤などで洗浄して菌体を回収したものでもよいし、遠心分離による集菌や密度勾配遠心法、二相分離法等により菌体を回収したものでもよい。
また、当該組成物が液剤である場合には、当該組成物は、必要に応じて、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、安定化剤、緩衝剤等を含んでいてもよい。
また、当該組成物が粉剤である場合には、上記培養物から得られる菌体を乾燥させ、粉末状にすることができる。また、当該組成物は、必要に応じて、スキムミルク等の保護剤、製剤化のための増量剤や賦形剤等を含んでいてもよい。
このようなビフェニル分解用組成物により、コンデンサやトランスその他の物品に含まれるPCBsを分解することで、PCBsを無害化することが可能となる。
さらに、本発明のビフェニル分解菌は、ビフェニル又はその誘導体を分解するためのビフェニル分解用組成物に含まれていてもよい。この場合、ビフェニル分解用組成物には、ビフェニル分解菌を培養した培養物が含まれ得る。当該培養物は、菌体を含む培養液をそのまま粉体にしたものでもよい。また、当該培養物は、水や界面活性剤などで洗浄して菌体を回収したものでもよいし、遠心分離による集菌や密度勾配遠心法、二相分離法等により菌体を回収したものでもよい。
また、当該組成物が液剤である場合には、当該組成物は、必要に応じて、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、安定化剤、緩衝剤等を含んでいてもよい。
また、当該組成物が粉剤である場合には、上記培養物から得られる菌体を乾燥させ、粉末状にすることができる。また、当該組成物は、必要に応じて、スキムミルク等の保護剤、製剤化のための増量剤や賦形剤等を含んでいてもよい。
このようなビフェニル分解用組成物により、コンデンサやトランスその他の物品に含まれるPCBsを分解することで、PCBsを無害化することが可能となる。
[本発明の作用効果]
以下、本発明の作用効果を、比較例を示して説明する。
図3は、本発明の比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、比較例においては、まずPCBs汚染土壌を少量採取し、PCBsを添加した集積培養を行う(ST21)。ビフェニル分解菌がビフェニルを単一の炭素源として生育し得るという特徴を鑑み、この集積培養は、所定濃度のビフェニルを炭素源として含む培地を用いて好気的に行うことができる(特許文献1参照)。これにより、ビフェニル耐性菌及びビフェニル資化菌を選択的に培養する。
続いて、培養された複数の菌を分離する(ST22)。本ステップでは、ST21において培養された培地又はその希釈液を寒天培地に塗布することで、寒天培地上にコロニーを形成させる。
続いて、本実施形態のST13と同様に、PCBsを含む溶液中に分離されたコロニーに含まれる菌を添加して当該菌が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、当該菌をビフェニル分解菌と推定する(ST23)。
以下、本発明の作用効果を、比較例を示して説明する。
図3は、本発明の比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、比較例においては、まずPCBs汚染土壌を少量採取し、PCBsを添加した集積培養を行う(ST21)。ビフェニル分解菌がビフェニルを単一の炭素源として生育し得るという特徴を鑑み、この集積培養は、所定濃度のビフェニルを炭素源として含む培地を用いて好気的に行うことができる(特許文献1参照)。これにより、ビフェニル耐性菌及びビフェニル資化菌を選択的に培養する。
続いて、培養された複数の菌を分離する(ST22)。本ステップでは、ST21において培養された培地又はその希釈液を寒天培地に塗布することで、寒天培地上にコロニーを形成させる。
続いて、本実施形態のST13と同様に、PCBsを含む溶液中に分離されたコロニーに含まれる菌を添加して当該菌が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、当該菌をビフェニル分解菌と推定する(ST23)。
上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法においては、集積培養により目的の遺伝的特性を有する菌を選抜するため、ST21のステップに7日から30日程度要していた。また、ST22のステップはST11と同様の5日程度、ST23のステップはST13と同様の7日程度要していた。
一方で、本実施形態の探索方法では、DNAマーカーを用いて遺伝子診断を行うST22のステップに要する時間は、1〜2日程度である。すなわち、比較例の探索方法と比較して、全体の工程に要する時間を格段に短縮することが可能となる。
一方で、本実施形態の探索方法では、DNAマーカーを用いて遺伝子診断を行うST22のステップに要する時間は、1〜2日程度である。すなわち、比較例の探索方法と比較して、全体の工程に要する時間を格段に短縮することが可能となる。
また、上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法においては、ST23のビフェニル分解試験の対象となる菌が、集積培養されて分離された全ての菌となり得る。このため、網羅的に確認するためには、ビフェニル分解遺伝子の有無によらず集積培養されて分離された多数の菌に対して分解試験を行う必要があった。
一方で、本実施形態の探索方法では、ST12のステップで遺伝子診断を行うため、ビフェニル分解菌である可能性の高い菌のみ分解試験の対象とすることができる。これにより、ST13のステップにおける手数を大幅に減少させ、網羅的で、かつ非常に効率のよい選抜を行うことができる。また、分解試験に係るコストを低減できるとともに、全体のステップに要する時間をより一層短縮することができる。
一方で、本実施形態の探索方法では、ST12のステップで遺伝子診断を行うため、ビフェニル分解菌である可能性の高い菌のみ分解試験の対象とすることができる。これにより、ST13のステップにおける手数を大幅に減少させ、網羅的で、かつ非常に効率のよい選抜を行うことができる。また、分解試験に係るコストを低減できるとともに、全体のステップに要する時間をより一層短縮することができる。
さらに、上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法では、ビフェニル等の化合物を含む条件下で集積培養を行う際、ビフェニル資化菌のみならず、特殊な代謝系を有する菌が増加する可能性がある。これにより、生物相に偏りが生じる可能性があった。
一方で、本実施形態の探索方法では、培養期間が短いため、生物相の偏りに対するリスクを低減することができ、目的のビフェニル分解菌を容易に検出することができる。さらに、本実施形態の探索方法では、培養した菌のDNA配列が変異した可能性がある場合には、上記DNAマーカーを用いて再度遺伝子診断を行うことにより、確実にビフェニル分解菌を検出することが可能となる。
一方で、本実施形態の探索方法では、培養期間が短いため、生物相の偏りに対するリスクを低減することができ、目的のビフェニル分解菌を容易に検出することができる。さらに、本実施形態の探索方法では、培養した菌のDNA配列が変異した可能性がある場合には、上記DNAマーカーを用いて再度遺伝子診断を行うことにより、確実にビフェニル分解菌を検出することが可能となる。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法を応用して、ビフェニル又はその誘導体を蓄積することが可能なビフェニル蓄積菌を探索してもよい。
この場合は、ビフェニル分解酵素に替えてビフェニル又はその誘導体の蓄積に関与する酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、これらの分離された複数の菌からビフェニル蓄積菌候補を検出することができる。
これによっても、ビフェニル及びその誘導体を処理することが可能な細菌を探索することができる。
この場合は、ビフェニル分解酵素に替えてビフェニル又はその誘導体の蓄積に関与する酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、これらの分離された複数の菌からビフェニル蓄積菌候補を検出することができる。
これによっても、ビフェニル及びその誘導体を処理することが可能な細菌を探索することができる。
以下、実施例を示し、本実施形態をより詳細に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1:BphA遺伝子にハイブリダイズするプライマー対の作成]
(プライマーの準備)
まず、ビフェニル分解酵素であるBphAのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表1に示す。
(プライマーの準備)
まず、ビフェニル分解酵素であるBphAのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表1に示す。
続いて、これらの細菌におけるBphAのアミノ酸配列をアライメントした。アミノ酸配列のアライメントには、GENETYX(登録商標)-MAC遺伝情報処理ソフトウェア(株式会社ゼネティックス製)を用いた。アライメントの結果を、図4、図5、図6及び図7に示す。同図中の「*」は、選択された複数の細菌において同一のアミノ酸となる配列を示す。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図4〜図7を参照し、例えば「*」が5以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」、「Fwd3」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」、「Rev3」)の各アミノ酸配列が選択された。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図4〜図7を参照し、例えば「*」が5以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」、「Fwd3」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」、「Rev3」)の各アミノ酸配列が選択された。
そして、選択されたプライマー候補のアミノ酸配列に対応する塩基配列及びプライマーとしての配列適性に基づいて、フォワードプライマー(Forward Primer)及びリバースプライマー(Reverse Primer)の塩基配列を決定した。決定された塩基配列を、表2に示す。なお、作成されたフォワードプライマー及びリバースプライマーは、いずれも、32種類の異なる配列のDNA断片を含む縮重プライマーである。また、表2中のフォワードプライマーのうちの1つと、リバースプライマーのうちの1つとからなるプライマーの組が、1つのプライマー対を構成し得る。
[実施例2:プライマー対を用いたビフェニル分解菌の探索]
続いて、実施例1で作成されたプライマーを用いて、ビフェニル分解菌の探索を行った。
続いて、実施例1で作成されたプライマーを用いて、ビフェニル分解菌の探索を行った。
(複数の菌の分離)
まず、異なる場所の複数の植物根圏土壌を採取した。植物根圏土壌としては、例えば、ラベンダー、シソ、パセリ等の根及びその周囲の土壌を採取した。
採取された土壌を段階的に希釈して寒天培地に塗布し、コロニーを形成させた。このうち、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーが、隣接するコロニーと分離しており、コロニー数も適当であった。
続いて、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーのうち、コロニーの形状、色等の外観が異なる約3000個のコロニーを選択し、新しい寒天培地へ移植した。コロニーが移植された寒天培地を、マスタープレートと称する。移植されたコロニーは、識別のためナンバリングした。なお、同様の外観を有するコロニーは同一種である可能性が高いため、重複を避け、これらのうち1つのコロニーを選択するようにした。なお、本ステップは、約500個のコロニーを選択し、移植する作業を6回繰り返すことで行った。
まず、異なる場所の複数の植物根圏土壌を採取した。植物根圏土壌としては、例えば、ラベンダー、シソ、パセリ等の根及びその周囲の土壌を採取した。
採取された土壌を段階的に希釈して寒天培地に塗布し、コロニーを形成させた。このうち、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーが、隣接するコロニーと分離しており、コロニー数も適当であった。
続いて、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーのうち、コロニーの形状、色等の外観が異なる約3000個のコロニーを選択し、新しい寒天培地へ移植した。コロニーが移植された寒天培地を、マスタープレートと称する。移植されたコロニーは、識別のためナンバリングした。なお、同様の外観を有するコロニーは同一種である可能性が高いため、重複を避け、これらのうち1つのコロニーを選択するようにした。なお、本ステップは、約500個のコロニーを選択し、移植する作業を6回繰り返すことで行った。
(遺伝子マーカーによるビフェニル分解菌候補の検出)
マスタープレートに形成された各コロニーから菌を採取してマイクロプレートの各ウェルに付着させ、当該各ウェルにTE(Tris-EDTA)バッファを注入した。TEバッファは、10mMのTris-HCl(pH8.0)及び1mMのEDTAからなる。そして、TEバッファが注入されたマイクロプレートに対して95℃、5分の加熱処理を行い、菌体からDNAを溶出させた。
続いて、新たなPCR用マイクロプレートを準備し、実施例1で作成したフォワードプライマー(Forward Primer)1と、リバースプライマー(Reverse Primer)1をそれぞれ含むPCR反応液を分注した。このPCR反応液は、例えばフォワードプライマー、リバースプライマー、市販のPCR用酵素、滅菌水をそれぞれ含み、PCR用酵素の製品マニュアル及びプライマーの縮重を参照して調製された。分注には、マルチチャンネルの分注器を使用した。このPCR反応液に、ピンレプリケータを用いて溶出されたDNAを含むDNA溶液を少量混和させた。
続いて、調製したPCR反応液に対し、サーマルサイクラーを用いて、遺伝子増幅処理を行った。遺伝子増幅処理は、PCR用酵素の製品マニュアルを参照し、実施した。なお、アニーリング温度は、プライマーのTm値を考慮し、調整された。
続いて、反応後のPCR反応液から所定量を分取し、アガロースゲルで電気泳動を行った。電気泳動後、アガロースゲルを常法に従って染色し、紫外線(UV)ライトボックス上にてアガロースゲルを撮像した。撮像された画像に基づいてPCR増幅産物を確認した。プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が確認された場合、陽性と判定した。
その結果、約3000個の菌株のうち、約2%で陽性と判定した。陽性と判定された菌株を、ビフェニル分解菌候補とした。
なお、本ステップ(ST12)には、2日を要した。
マスタープレートに形成された各コロニーから菌を採取してマイクロプレートの各ウェルに付着させ、当該各ウェルにTE(Tris-EDTA)バッファを注入した。TEバッファは、10mMのTris-HCl(pH8.0)及び1mMのEDTAからなる。そして、TEバッファが注入されたマイクロプレートに対して95℃、5分の加熱処理を行い、菌体からDNAを溶出させた。
続いて、新たなPCR用マイクロプレートを準備し、実施例1で作成したフォワードプライマー(Forward Primer)1と、リバースプライマー(Reverse Primer)1をそれぞれ含むPCR反応液を分注した。このPCR反応液は、例えばフォワードプライマー、リバースプライマー、市販のPCR用酵素、滅菌水をそれぞれ含み、PCR用酵素の製品マニュアル及びプライマーの縮重を参照して調製された。分注には、マルチチャンネルの分注器を使用した。このPCR反応液に、ピンレプリケータを用いて溶出されたDNAを含むDNA溶液を少量混和させた。
続いて、調製したPCR反応液に対し、サーマルサイクラーを用いて、遺伝子増幅処理を行った。遺伝子増幅処理は、PCR用酵素の製品マニュアルを参照し、実施した。なお、アニーリング温度は、プライマーのTm値を考慮し、調整された。
続いて、反応後のPCR反応液から所定量を分取し、アガロースゲルで電気泳動を行った。電気泳動後、アガロースゲルを常法に従って染色し、紫外線(UV)ライトボックス上にてアガロースゲルを撮像した。撮像された画像に基づいてPCR増幅産物を確認した。プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が確認された場合、陽性と判定した。
その結果、約3000個の菌株のうち、約2%で陽性と判定した。陽性と判定された菌株を、ビフェニル分解菌候補とした。
なお、本ステップ(ST12)には、2日を要した。
(ビフェニル分解試験及びビフェニル分解菌の検出)
続いて、ビフェニル分解菌候補を用いて、ビフェニル分解試験を行った。
まず、ビフェニル分解菌候補を少量の液体培地にそれぞれ播種し、この液体培地にアルキルビフェニルをそれぞれ添加した。液体培地は、R2A液体培地、ISP Medium No2、SCD培地(カゼインダイジェスト培地)、及び水を等量ずつ混合したものを用いた。なお、ISP Medium No2は、酵母エキス、麦芽エキス、グルコース等を含む培地である。ビフェニル分解菌候補については、直径1〜2mmのコロニーを2個程度播種した。アルキルビフェニルについては、2,2',5,5'-テトラメチルビフェニル、3,3',4,4'-テトラメチルビフェニル、3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルをいずれも5 mg/lとなるように添加した。また、容器は、それぞれ25 mlの容量の共栓付試験管を用いた。
そして、これらのサンプルを30℃で4〜7日間振とう培養した。
続いて、サンプル中のアルキルビフェニルが分解されたか否かを判定するため、反応後の培養液中のアルキルビフェニルをヘキサンにより抽出し、GC(ガスクロマトグラフィ)−FIDにより分析した。
GC−FIDの条件は、以下の通りである。注入量は、2 μLであった。注入法は、スプリットレス注入法を適用した。注入口の温度は、250℃であった。加熱条件としては、オーブンセットポイントが100℃、そのまま1分維持し、その後20℃/分で200℃に達するまで温度を上昇させ、200℃から6℃/分で260℃に達するまで温度を上昇させ、260℃で1分間維持した。測定時間は、約17分であった。
なお、ビフェニル及び4,4'-ジメチルビフェニルは、内部標準物質として用いた。
評価方法としては、培養液に添加したアルキルビフェニルが半分以下に減少した菌株を、ビフェニル分解菌と推定した。
続いて、ビフェニル分解菌候補を用いて、ビフェニル分解試験を行った。
まず、ビフェニル分解菌候補を少量の液体培地にそれぞれ播種し、この液体培地にアルキルビフェニルをそれぞれ添加した。液体培地は、R2A液体培地、ISP Medium No2、SCD培地(カゼインダイジェスト培地)、及び水を等量ずつ混合したものを用いた。なお、ISP Medium No2は、酵母エキス、麦芽エキス、グルコース等を含む培地である。ビフェニル分解菌候補については、直径1〜2mmのコロニーを2個程度播種した。アルキルビフェニルについては、2,2',5,5'-テトラメチルビフェニル、3,3',4,4'-テトラメチルビフェニル、3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルをいずれも5 mg/lとなるように添加した。また、容器は、それぞれ25 mlの容量の共栓付試験管を用いた。
そして、これらのサンプルを30℃で4〜7日間振とう培養した。
続いて、サンプル中のアルキルビフェニルが分解されたか否かを判定するため、反応後の培養液中のアルキルビフェニルをヘキサンにより抽出し、GC(ガスクロマトグラフィ)−FIDにより分析した。
GC−FIDの条件は、以下の通りである。注入量は、2 μLであった。注入法は、スプリットレス注入法を適用した。注入口の温度は、250℃であった。加熱条件としては、オーブンセットポイントが100℃、そのまま1分維持し、その後20℃/分で200℃に達するまで温度を上昇させ、200℃から6℃/分で260℃に達するまで温度を上昇させ、260℃で1分間維持した。測定時間は、約17分であった。
なお、ビフェニル及び4,4'-ジメチルビフェニルは、内部標準物質として用いた。
評価方法としては、培養液に添加したアルキルビフェニルが半分以下に減少した菌株を、ビフェニル分解菌と推定した。
表3に、GC−FIDの分析結果の一例を示す。同表は、各サンプルのGC−FIDによって得られたクロマトグラム(分析波形)に基づいて算出した、各物質のピーク面積値(エリア面積値)を示す。なお、同一条件下で、同一物質のピーク面積値は試料量におよそ比例することが知られている。
同表では、異なるビフェニル分解菌候補を播種した4種類のサンプルを用いており、それぞれサンプル1〜4と記載している。また、「STD 0.5 ppm」は、培養液に添加したものと同種のアルキルビフェニルをそれぞれ0.5 ppm(0.5 mg/l)相当となるように添加した混合標準液の結果を示し、「NC」は、サンプルと同様にアルキルビフェニルを添加し、かつビフェニル分解菌候補を播種していない、ネガティブコントロール(Negative Control)の結果を示す。また、「操作BL」は、クロマトグラフのベースラインの値を示す。
同表に示すように、サンプル1〜3とNCの結果とを比較すると、各アルキルビフェニルとも、ピーク面積値が半減していた。この結果から、サンプル1〜3に播種したビフェニル分解菌候補は、いずれもビフェニル分解菌と推定することができた。
同表では、異なるビフェニル分解菌候補を播種した4種類のサンプルを用いており、それぞれサンプル1〜4と記載している。また、「STD 0.5 ppm」は、培養液に添加したものと同種のアルキルビフェニルをそれぞれ0.5 ppm(0.5 mg/l)相当となるように添加した混合標準液の結果を示し、「NC」は、サンプルと同様にアルキルビフェニルを添加し、かつビフェニル分解菌候補を播種していない、ネガティブコントロール(Negative Control)の結果を示す。また、「操作BL」は、クロマトグラフのベースラインの値を示す。
同表に示すように、サンプル1〜3とNCの結果とを比較すると、各アルキルビフェニルとも、ピーク面積値が半減していた。この結果から、サンプル1〜3に播種したビフェニル分解菌候補は、いずれもビフェニル分解菌と推定することができた。
さらに、推定されたビフェニル分解菌を用いて、再度実施例1で作成したプライマーによるPCRを行い、陽性が確認できた菌株を、ビフェニル分解菌として決定し、保存した。
なお、上述の説明においては、フォワードプライマー1と、リバースプライマー1をプライマー対としてPCRを行ったが、フォワードプライマー2及びリバースプライマー2、フォワードプライマー1及びリバースプライマー2、並びにフォワードプライマー2及びリバースプライマー1をそれぞれプライマー対として含むPCRを行った場合も、同様にビフェニル分解菌候補の決定及びビフェニル分解菌の推定を行うことができた。
以上のように、実施例1で作成したプライマー対を用いて遺伝子診断をすることで、ビフェニル分解遺伝子を有すると推定されるビフェニル分解菌候補を選抜することができた。これにより、ビフェニル分解試験を実施する菌株数を大幅に減少させることができ、効率よくビフェニル分解菌を検出できることが確認された。
[実施例3:BphD遺伝子にハイブリダイズするプライマー対の作成]
まず、ビフェニル分解酵素であるBphDのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表4に示す。
まず、ビフェニル分解酵素であるBphDのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表4に示す。
続いて、これらの細菌におけるBphDのアミノ酸配列をアライメントした。アライメントは、実施例1と同様に行った。アライメントの結果を、図8、図9及び図10に示す。同図中の「*」は、選択された複数の細菌において同一のアミノ酸となる配列を示す。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図8〜図10を参照し、例えば「*」が4以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」)の各アミノ酸配列が選択された。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図8〜図10を参照し、例えば「*」が4以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」)の各アミノ酸配列が選択された。
そして、選択されたプライマー候補のアミノ酸配列に対応する塩基配列に基づいて、フォワードプライマー(Forward Primer)及びリバースプライマー(Reverse Primer)の塩基配列を決定した。決定された塩基配列を、表5に示す。なお、作成されたフォワードプライマー及びリバースプライマーは、いずれも、48種類又は32種類の異なる配列のDNA断片を含む縮重プライマーである。また、表4中のフォワードプライマーのうちの1つと、リバースプライマーのうちの1つとからなるプライマーの組が、1つのプライマー対を構成し得る。
作成したこれらのプライマーを、実施例2で決定及び保存されたビフェニル分解菌を検体とするPCRに用い、プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が検出できることを確認した。なお、PCRは、実施例2の「遺伝子マーカーによるビフェニル分解菌候補の検出」で説明した手順で行った。
これにより、実施例3で作成したプライマーも、本発明のオリゴヌクレオチドとしてビフェニル分解菌候補の検出に用いることができることが確認された。
これにより、実施例3で作成したプライマーも、本発明のオリゴヌクレオチドとしてビフェニル分解菌候補の検出に用いることができることが確認された。
本発明は、ビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌に関する。
PCBsは、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、ビフェニル誘導体の一つである。PCBsは、一般に、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等に優れた性質を有し、このような優れた性質を活かして非常に多岐にわたる分野の製品に使用されてきたが、生体に対する毒性が高いことが判明している。これにより、現在ではPCBsの使用が規制されているが、PCBsは化学的な安定性が高いため、既に使用されている製品を介して生体や環境へ悪影響を及ぼすことが懸念されている。
そこで、PCBs等のビフェニル誘導体を無害化する取り組みがなされている。
例えば、特許文献1には、微生物を含む組成物を用いてビフェニル又はその誘導体(例えばPCBs)を分解させる技術が記載されている。同文献には、PCBs分解用組成物の製造に使用し得る微生物のスクリーニング方法として、ビフェニルを単一の炭素現として生育し得る微生物からのスクリーニングを繰り返し行うことが記載されている(同文献の段落[0021]参照)。
例えば、特許文献1には、微生物を含む組成物を用いてビフェニル又はその誘導体(例えばPCBs)を分解させる技術が記載されている。同文献には、PCBs分解用組成物の製造に使用し得る微生物のスクリーニング方法として、ビフェニルを単一の炭素現として生育し得る微生物からのスクリーニングを繰り返し行うことが記載されている(同文献の段落[0021]参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーニング方法によれば、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を繰り返しスクリーニングすることから、目的の微生物の探索に長時間を要していた。
また、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を培養し、増殖させようとした場合、目的とする微生物以外の微生物も増殖する可能性があった。このため、培養工程の後、多くの検体を試験対象とした代謝試験を実施する必要が生じ、目的の微生物を取得するまでさらに長時間を要する可能性があった。
さらに、特殊な環境で長時間微生物を培養した場合、遺伝的な偏りが生じ、当初の生物相から変化が生じる可能性もあった。
また、ビフェニルを単一の炭素源として生育し得る微生物を培養し、増殖させようとした場合、目的とする微生物以外の微生物も増殖する可能性があった。このため、培養工程の後、多くの検体を試験対象とした代謝試験を実施する必要が生じ、目的の微生物を取得するまでさらに長時間を要する可能性があった。
さらに、特殊な環境で長時間微生物を培養した場合、遺伝的な偏りが生じ、当初の生物相から変化が生じる可能性もあった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ビフェニル分解菌を効率よく、かつ精度よく探索することが可能なビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るビフェニル分解菌の探索方法は、土壌から複数の菌を分離する工程を含む。
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補が検出される。
上記ビフェニル分解菌の探索方法によれば、土壌から分離した菌に対して、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることにより、ビフェニル分解酵素をコードする遺伝子を有するビフェニル分解菌候補を簡便に、かつ効率よく検出することができる。さらに、ビフェニル分解酵素遺伝子の有無に基づいてビフェニル分解菌候補を検出できるため、ビフェニル分解菌の可能性が高いビフェニル分解菌候補を選抜することが可能となる。
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補が検出される。
上記ビフェニル分解菌の探索方法によれば、土壌から分離した菌に対して、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることにより、ビフェニル分解酵素をコードする遺伝子を有するビフェニル分解菌候補を簡便に、かつ効率よく検出することができる。さらに、ビフェニル分解酵素遺伝子の有無に基づいてビフェニル分解菌候補を検出できるため、ビフェニル分解菌の可能性が高いビフェニル分解菌候補を選抜することが可能となる。
上記土壌は、植物根圏土壌であってもよい。
植物根圏土壌は、微生物を豊富に含むため、ビフェニル分解菌候補を検出できる確率を高めることができる。
植物根圏土壌は、微生物を豊富に含むため、ビフェニル分解菌候補を検出できる確率を高めることができる。
上記ビフェニル分解酵素をコードするDNAは、複数の既知のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。
これにより、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列を、多様な菌のビフェニル誘導体をコードするDNAに共通する配列に基づいて決定することができ、ビフェニル分解菌候補を精度よく検出することができる。
これにより、上記オリゴヌクレオチドの塩基配列を、多様な菌のビフェニル誘導体をコードするDNAに共通する配列に基づいて決定することができ、ビフェニル分解菌候補を精度よく検出することができる。
この場合、上記複数の既知のビフェニル分解菌は、5以上の既知のビフェニル分解菌を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補をより精度よく検出することができる。
これにより、ビフェニル分解菌候補をより精度よく検出することができる。
上記ビフェニル分解菌の探索方法は、さらに、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が上記溶液中のビフェニル誘導体又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する工程を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補のうち、実際にビフェニル又はその誘導体を分解菌する菌をビフェニル分解菌と推定することができる。
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が上記溶液中のビフェニル誘導体又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する工程を含んでいてもよい。
これにより、ビフェニル分解菌候補のうち、実際にビフェニル又はその誘導体を分解菌する菌をビフェニル分解菌と推定することができる。
具体的には、上記ビフェニル誘導体は、PCBs(ポリ塩化ビフェニル類)であってもよい。
本発明の他の形態に係るオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能である。
また、本発明のさらに他の形態に係るビフェニル分解菌は、
土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する。
土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、上記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に上記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して上記ビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、上記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する。
以上のように、本発明によれば、ビフェニル分解菌を効率よく、かつ精度よく探索することが可能なビフェニル分解菌の探索方法、それに用いるオリゴヌクレオチド、及びその方法により検出されたビフェニル分解菌を提供することができる。
[本発明の概要]
本発明は、遺伝子マーカーを用いてビフェニル分解酵素遺伝子の有無を診断することで、PCBs等のビフェニル誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌を検出することを特徴とする。以下、詳細について説明する。
本発明は、遺伝子マーカーを用いてビフェニル分解酵素遺伝子の有無を診断することで、PCBs等のビフェニル誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌を検出することを特徴とする。以下、詳細について説明する。
[ビフェニル誘導体]
ビフェニル誘導体とは、ビフェニルを母体とし、ビフェニルに官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなどの改変がなされた化合物をいう。ビフェニル誘導体は、一般に安定性が高く、生分解性が低い。
具体的には、ビフェニル誘導体は、後述するPCBs、アルキルビフェニル等が挙げられる。
ビフェニル誘導体とは、ビフェニルを母体とし、ビフェニルに官能基の導入、酸化、還元、原子の置き換えなどの改変がなされた化合物をいう。ビフェニル誘導体は、一般に安定性が高く、生分解性が低い。
具体的には、ビフェニル誘導体は、後述するPCBs、アルキルビフェニル等が挙げられる。
[PCBs]
PCBsは、上述のように、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、一般式は、C12H(10−n)Cln (1≦n≦10)で表される。具体的には、PCBsとしては、3,4,4',5−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4'−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3,3',4,4'−ペンタクロロビフェニール、2,3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2',3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール等を挙げることができる。
PCBは、通常PCB単体の混合物として市販されており、これらがコンデンサやトランスに使用されている。その具体例としては、鐘淵化学(株)のKC−200(2塩化ビフェニル)、KC−300(3塩化ビフェニル)、KC−400(4塩化ビフェニル)、KC−500(5塩化ビフェニル)、KC−600(6塩化ビフェニル)、KC−1000(KC500/トリクロロベンゼン=60/40(質量比)の混合物)や、三菱モンサント(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等が挙げられる。
これらのPCBsは、ビフェニル分解菌により分解されることが知られている(特許文献1参照)。
PCBsは、上述のように、ビフェニルの1個以上の水素原子を塩素原子で置換した化合物の総称であり、一般式は、C12H(10−n)Cln (1≦n≦10)で表される。具体的には、PCBsとしては、3,4,4',5−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4'−テトラクロロビフェニール、3,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3,3',4,4'−ペンタクロロビフェニール、2,3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2,3',4,4',5−ペンタクロロビフェニール、2',3,4,4',5−ペンタクロロビフェニール等を挙げることができる。
PCBは、通常PCB単体の混合物として市販されており、これらがコンデンサやトランスに使用されている。その具体例としては、鐘淵化学(株)のKC−200(2塩化ビフェニル)、KC−300(3塩化ビフェニル)、KC−400(4塩化ビフェニル)、KC−500(5塩化ビフェニル)、KC−600(6塩化ビフェニル)、KC−1000(KC500/トリクロロベンゼン=60/40(質量比)の混合物)や、三菱モンサント(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等が挙げられる。
これらのPCBsは、ビフェニル分解菌により分解されることが知られている(特許文献1参照)。
[ビフェニル分解菌]
ビフェニル分解菌は、ビフェニル分解酵素をコードするDNA(以下、ビフェニル分解酵素遺伝子とも称する)を有する真正細菌である。ビフェニル分解菌としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する真正細菌が挙げられるが、これに限定されない。
なお、以下の説明において単に「菌」という場合、真正細菌をいうものとする。
ビフェニル分解酵素は、ビフェニルを分解する酵素であり、さらにビフェニルを分解することで、PCBs等のビフェニル誘導体も分解することが可能である。ビフェニル分解菌としては、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼ、ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼ、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ等を挙げることができる。
ビフェニル分解酵素遺伝子は、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphA、ジハイドロジオールデヒドロゲナーゼをコードするBphB、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphC、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼをコードするBphD等が挙げられる。
ビフェニル分解菌は、ビフェニル分解酵素をコードするDNA(以下、ビフェニル分解酵素遺伝子とも称する)を有する真正細菌である。ビフェニル分解菌としては、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する真正細菌が挙げられるが、これに限定されない。
なお、以下の説明において単に「菌」という場合、真正細菌をいうものとする。
ビフェニル分解酵素は、ビフェニルを分解する酵素であり、さらにビフェニルを分解することで、PCBs等のビフェニル誘導体も分解することが可能である。ビフェニル分解菌としては、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼ、ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼ、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ等を挙げることができる。
ビフェニル分解酵素遺伝子は、具体的には、ビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphA、ジハイドロジオールデヒドロゲナーゼをコードするBphB、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼをコードするBphC、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼをコードするBphD等が挙げられる。
図1は、ビフェニル分解菌として知られているシュードモナス属細菌(Pseudomonas sp.)KKS102株におけるPCBsの分解経路を模式的に示す図である(例えば、Kikuchi Y. et al, Journal of Bacteriology, Vol.176, No.6, p.1689-1694, 1994参照)。なお、上述の分解経路は一例であり、他の細菌においては異なる経路をとり得る。
この経路において、PCBsは、まず、ビフェニルジオキシゲナーゼ(BphA酵素)により、2つの水酸基(OH)が付加される。BphA酵素は4つのサブユニット(BphA1、BphA2、BphA3、BphA4)から構成されている。そして、図1に示す通り、BphA1とBphA2とが複合体を形成し、基質との結合及び酸素添加反応を触媒し、フェレドキシンが電子伝達体として機能し、フェレドキシンリダクターゼがNAD又はNADPHとフェレドキシンの酸化還元反応を触媒する。
続いてジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ(BphB酵素)によって、BphAの産物から2つの水素が除かれた後、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC酵素)により、BphB産物に酸素1分子が付加され、HOPDA(BphDの誘導基質)が生成する。ついで、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ(BphD酵素)が、HOPDAを安息香酸と2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートとに分解する。
その後、図示はしないが、2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートヒドラターゼ(BphE酵素)、4−ヒドロキシ−2−オキソバレレートアルドラーゼ(BphF酵素)及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(BphG酵素)によりアセチルCoAとピルビン酸に転換されると考えられる。
この経路において、PCBsは、まず、ビフェニルジオキシゲナーゼ(BphA酵素)により、2つの水酸基(OH)が付加される。BphA酵素は4つのサブユニット(BphA1、BphA2、BphA3、BphA4)から構成されている。そして、図1に示す通り、BphA1とBphA2とが複合体を形成し、基質との結合及び酸素添加反応を触媒し、フェレドキシンが電子伝達体として機能し、フェレドキシンリダクターゼがNAD又はNADPHとフェレドキシンの酸化還元反応を触媒する。
続いてジヒドロジオールジヒドロゲナーゼ(BphB酵素)によって、BphAの産物から2つの水素が除かれた後、2,3−ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼ(BphC酵素)により、BphB産物に酸素1分子が付加され、HOPDA(BphDの誘導基質)が生成する。ついで、2−ヒドロキシル−6−オキソ−6−フェニルヘキサ−2,4−ジエン酸ヒドロラーゼ(BphD酵素)が、HOPDAを安息香酸と2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートとに分解する。
その後、図示はしないが、2−ヒドロキシペンタ−2,4−ジエノエートヒドラターゼ(BphE酵素)、4−ヒドロキシ−2−オキソバレレートアルドラーゼ(BphF酵素)及びアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(BphG酵素)によりアセチルCoAとピルビン酸に転換されると考えられる。
[ビフェニル分解菌の探索方法]
図2は、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法は、複数の菌を分離するステップ(ST11)と、ビフェニル分解菌候補を検出するステップ(ST12)と、ビフェニル分解菌候補に対してビフェニル分解試験を行い、ビフェニル分解菌を検出するステップ(ST13)と、を含む。以下、各ステップについて説明する。
図2は、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、本発明に係るビフェニル分解菌の探索方法は、複数の菌を分離するステップ(ST11)と、ビフェニル分解菌候補を検出するステップ(ST12)と、ビフェニル分解菌候補に対してビフェニル分解試験を行い、ビフェニル分解菌を検出するステップ(ST13)と、を含む。以下、各ステップについて説明する。
まず、図2に示すように、土壌から複数の菌を分離する(ST11)。
ここでいう土壌は、PCBs等のビフェニル誘導体による汚染が疑われていない土壌でもよい。本発明は、ビフェニル分解菌を非常に効率よく検出できるため、汚染が疑われていない土壌からでもビフェニル分解菌を検出することができる。
また、ここでいう土壌は、例えば植物根圏土壌でもよい。植物根圏土壌は、植物の根の周囲の土壌をいい、植物の根の一部を含んでいてもよい。植物の根は、呼吸の作用や栄養分と水分を吸収する作用によって、周囲の土壌の栄養分組成を変化させるとともに、pHを変化させ得る。また、植物の根は、分泌物を分泌させるとともに、根毛を脱落させ得る。これにより、植物根圏土壌は、他の領域の土壌と比較して異なる組成を有し、一般に多くの微生物を含む。さらに、植物由来の化合物がビフェニル分解遺伝子を誘発させることが知られているため、このような化合物が存在し得る植物根圏土壌は、ビフェニル分解遺伝子を有するビフェニル分解菌を含む可能性がある。したがって、本発明の土壌として植物根圏土壌を用いることで、ビフェニル分解菌を検出する可能性を高めることができる。
なお、土壌は上記に限定されず、浄水場等の活性汚泥、PCBs等による汚染が疑われる土壌等でもよい。
ここでいう土壌は、PCBs等のビフェニル誘導体による汚染が疑われていない土壌でもよい。本発明は、ビフェニル分解菌を非常に効率よく検出できるため、汚染が疑われていない土壌からでもビフェニル分解菌を検出することができる。
また、ここでいう土壌は、例えば植物根圏土壌でもよい。植物根圏土壌は、植物の根の周囲の土壌をいい、植物の根の一部を含んでいてもよい。植物の根は、呼吸の作用や栄養分と水分を吸収する作用によって、周囲の土壌の栄養分組成を変化させるとともに、pHを変化させ得る。また、植物の根は、分泌物を分泌させるとともに、根毛を脱落させ得る。これにより、植物根圏土壌は、他の領域の土壌と比較して異なる組成を有し、一般に多くの微生物を含む。さらに、植物由来の化合物がビフェニル分解遺伝子を誘発させることが知られているため、このような化合物が存在し得る植物根圏土壌は、ビフェニル分解遺伝子を有するビフェニル分解菌を含む可能性がある。したがって、本発明の土壌として植物根圏土壌を用いることで、ビフェニル分解菌を検出する可能性を高めることができる。
なお、土壌は上記に限定されず、浄水場等の活性汚泥、PCBs等による汚染が疑われる土壌等でもよい。
このような土壌から複数の菌を分離するには、例えば、平板希釈法を適用することができる。具体的には、まず、採取された土壌を液体培地や滅菌水等で希釈する。例えば、植物の根を含む植物根圏土壌を採取した場合は、固形分である根などをすりつぶし、採取した土壌の重量の9倍の液体で希釈する。これを10倍希釈として、例えば10倍ずつ希釈していき、102倍、103倍、104倍…の土壌希釈液を生成する。この作業により生成された各土壌希釈液を、それぞれ寒天培地へ播種する。あるいは、既知の最適な希釈倍率の土壌希釈液のみを寒天培地へ播種してもよい。植物根圏土壌の場合、最適な土壌の希釈倍率は一例として108倍である。
寒天培地は、典型的には、シャーレを用いた平板培地であるが、これに限定されない。寒天培地は、滅菌処理したものを用いることができる。
そして、土壌希釈液を播種した寒天培地を1日〜10日ほど培養し、複数の菌のコロニーを形成させることで、複数の菌を分離する。培養条件は特に限定されず、通常の細菌培養に用いる条件を適用することができる。形成されたコロニーは、次ステップにおいて検体として用いられる。なお、次ステップで用いられるコロニーは、隣接するコロニーと分離して形成されたものが用いられる。これにより、異なる菌株のコンタミネーションを防止することができる。
寒天培地は、典型的には、シャーレを用いた平板培地であるが、これに限定されない。寒天培地は、滅菌処理したものを用いることができる。
そして、土壌希釈液を播種した寒天培地を1日〜10日ほど培養し、複数の菌のコロニーを形成させることで、複数の菌を分離する。培養条件は特に限定されず、通常の細菌培養に用いる条件を適用することができる。形成されたコロニーは、次ステップにおいて検体として用いられる。なお、次ステップで用いられるコロニーは、隣接するコロニーと分離して形成されたものが用いられる。これにより、異なる菌株のコンタミネーションを防止することができる。
続いて、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出する(ST12)。
本ステップでは、上記オリゴヌクレオチドがハイブリダイズした遺伝子を有する菌を、ビフェニル分解菌候補として検出することができる。
ここでいうハイブリダイズは、本発明のオリゴヌクレオチドがビフェニル分解酵素遺伝子内の標的配列と相補的に結合することである。
また、ここでいう「ビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズする」とは、ビフェニル分解酵素遺伝子の一部のDNA配列にハイブリダイズすること、及びビフェニル分解酵素遺伝子の全体にハイブリダイズすることを含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法のプライマー、ハイブリダイゼーション法の核酸プローブ、固相担体に結合された捕捉プローブ等、分子生物学的な種々の検出方法に用いることができる。なお、本発明のオリゴヌクレオチドは、標識化されずに用いられてもよいし、放射性物質や蛍光・発光物質、酵素や酵素基質等の標識物によって標識化して核酸プローブやプライマーとして用いることもできる。オリゴヌクレオチドの詳細については、後述する。
本ステップでは、上記オリゴヌクレオチドがハイブリダイズした遺伝子を有する菌を、ビフェニル分解菌候補として検出することができる。
ここでいうハイブリダイズは、本発明のオリゴヌクレオチドがビフェニル分解酵素遺伝子内の標的配列と相補的に結合することである。
また、ここでいう「ビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズする」とは、ビフェニル分解酵素遺伝子の一部のDNA配列にハイブリダイズすること、及びビフェニル分解酵素遺伝子の全体にハイブリダイズすることを含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法のプライマー、ハイブリダイゼーション法の核酸プローブ、固相担体に結合された捕捉プローブ等、分子生物学的な種々の検出方法に用いることができる。なお、本発明のオリゴヌクレオチドは、標識化されずに用いられてもよいし、放射性物質や蛍光・発光物質、酵素や酵素基質等の標識物によって標識化して核酸プローブやプライマーとして用いることもできる。オリゴヌクレオチドの詳細については、後述する。
分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出するには、例えば、上記オリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCR法により標的配列が増幅するか否か確認することができる。
具体的には、まず、前ステップにおいて形成されたコロニーに含まれる菌のDNAをテンプレートとして、PCR増幅用反応液を調製する。テンプレートDNAは、各コロニーに含まれる菌体からDNAを抽出したものとすることができる。PCR反応液は、テンプレートDNA、プライマー対、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ、及び滅菌蒸留水等を混合したものとすることができる。あるいは、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ等に替えて、予めこれらの試薬が混合された市販のPCR用酵素を用いることもできる。次に、サーマルサイクラー等を用いて熱変性反応、アニーリング反応、及び伸長反応を連続して行い、これを所定サイクル繰り返すことにより、PCR法による増幅反応を行う。PCR法における反応条件等は、使用するポリメラーゼの種類やプライマーのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。そして、その反応後の反応液中の増幅産物を確認し、所望のDNA断片が増幅されているか否か確認する。このように、所望のDNA断片が増幅されている(陽性)菌を、ビフェニル分解菌候補として検出する。
増幅産物の確認方法も特に限定されず、例えば、アガロースゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、シーケンス解析による塩基配列を決定する方法等を適用することができる。このうち、アガロースゲル電気泳動法が簡便に増幅産物を確認でき、より好ましい。
具体的には、まず、前ステップにおいて形成されたコロニーに含まれる菌のDNAをテンプレートとして、PCR増幅用反応液を調製する。テンプレートDNAは、各コロニーに含まれる菌体からDNAを抽出したものとすることができる。PCR反応液は、テンプレートDNA、プライマー対、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ、及び滅菌蒸留水等を混合したものとすることができる。あるいは、DNAポリメラーゼ、dNTP、PCR用反応バッファ等に替えて、予めこれらの試薬が混合された市販のPCR用酵素を用いることもできる。次に、サーマルサイクラー等を用いて熱変性反応、アニーリング反応、及び伸長反応を連続して行い、これを所定サイクル繰り返すことにより、PCR法による増幅反応を行う。PCR法における反応条件等は、使用するポリメラーゼの種類やプライマーのTm値等を考慮して、適宜決定することができる。そして、その反応後の反応液中の増幅産物を確認し、所望のDNA断片が増幅されているか否か確認する。このように、所望のDNA断片が増幅されている(陽性)菌を、ビフェニル分解菌候補として検出する。
増幅産物の確認方法も特に限定されず、例えば、アガロースゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、シーケンス解析による塩基配列を決定する方法等を適用することができる。このうち、アガロースゲル電気泳動法が簡便に増幅産物を確認でき、より好ましい。
また、本ステップでは、1種類のビフェニル分解酵素に対応するオリゴヌクレオチドのみならず、異なるビフェニル分解酵素にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを用いて、ビフェニル分解菌候補を検出してもよい。上述のように、通常、ビフェニル分解菌は、BphA,BphB,BphC及びBphD(BphA〜BphD)の分解酵素をコードするDNAを有していると考えられる。このため、例えば、S12のステップが以下のようなステップを含んでいてもよい。
まず、BphA〜BphDのうちの1つの酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、S11で分離された菌のDNAにハイブリダイズさせる。その後、S11で分離された菌、又は前ステップでハイブリダイズされた菌に、BphA〜BphDのうちの他の酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
これにより、遺伝子診断によって実際にビフェニルの分解能を有する菌を精度よく検出することができる。
まず、BphA〜BphDのうちの1つの酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、S11で分離された菌のDNAにハイブリダイズさせる。その後、S11で分離された菌、又は前ステップでハイブリダイズされた菌に、BphA〜BphDのうちの他の酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
これにより、遺伝子診断によって実際にビフェニルの分解能を有する菌を精度よく検出することができる。
最後に、PCBsを含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し(ビフェニル分解試験)、分解すると判定された場合、当該ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)。
本ステップでは、まず、ビフェニル分解菌候補として検出された各菌を、ビフェニル又はその誘導体を添加した溶液に加え、ビフェニル又はその誘導体と反応させる。ビフェニルの誘導体としては、例えば、PCBs、アルキルビフェニル等を用いることができ、このうちPCBsとしては、上述の「PCBs」の説明で挙げた化合物等を用いることができる。また、ビフェニル又はその誘導体の溶液中の濃度としては、例えば0.05〜1000mg/L、好ましくは1〜100mg/L程度とすることができる。ビフェニル分解菌候補の添加量は特に限定されない。また、培地は、ビフェニル分解菌候補が培養可能な培養液を用いることができる。培養条件は特に限定されず、例えば温度が約20〜40℃、好ましくは25〜35℃、さらに好ましくは約30℃であり、pHは6〜9とすることができる。また、反応中、溶液を攪拌してもよい。反応期間は例えば1〜5日とすることができる。
続いて、各培養液中に添加したPCBsが分解されたか否か評価する。評価方法は、例えば、ガスクロマトグラフィ等を適用することができる。
本ステップでは、まず、ビフェニル分解菌候補として検出された各菌を、ビフェニル又はその誘導体を添加した溶液に加え、ビフェニル又はその誘導体と反応させる。ビフェニルの誘導体としては、例えば、PCBs、アルキルビフェニル等を用いることができ、このうちPCBsとしては、上述の「PCBs」の説明で挙げた化合物等を用いることができる。また、ビフェニル又はその誘導体の溶液中の濃度としては、例えば0.05〜1000mg/L、好ましくは1〜100mg/L程度とすることができる。ビフェニル分解菌候補の添加量は特に限定されない。また、培地は、ビフェニル分解菌候補が培養可能な培養液を用いることができる。培養条件は特に限定されず、例えば温度が約20〜40℃、好ましくは25〜35℃、さらに好ましくは約30℃であり、pHは6〜9とすることができる。また、反応中、溶液を攪拌してもよい。反応期間は例えば1〜5日とすることができる。
続いて、各培養液中に添加したPCBsが分解されたか否か評価する。評価方法は、例えば、ガスクロマトグラフィ等を適用することができる。
以上の各ステップにより、ビフェニル分解菌を検出することができる。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法は、ST11及びST12のステップで精度よくビフェニル分解菌候補を検出できるならば、ST13のステップを有さなくてもよい。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法は、ST11及びST12のステップで精度よくビフェニル分解菌候補を検出できるならば、ST13のステップを有さなくてもよい。
さらに、ST13のステップでビフェニル分解菌候補を培養している間にDNA配列が変化する可能性がある場合には、以下に示すように再度遺伝子診断を行ってもよい。
すなわち、ST13のステップの後、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、ST13で推定されたビフェニル分解菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記推定されたビフェニル分解菌がビフェニル分解菌であることを確認してもよい。本ステップは、ST12と同様に行うことができる。
また、本ステップにおけるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたものと同一のオリゴヌクレオチドでもよいし、異なるものでもよい。例えば、本ステップで用いるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたオリゴヌクレオチドがターゲットとするビフェニル分解酵素遺伝子とは異なるビフェニル分解酵素遺伝子をターゲットとするものでもよい。
これにより、ビフェニル分解能を有するビフェニル分解菌をより確実に探索することができる。
すなわち、ST13のステップの後、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、ST13で推定されたビフェニル分解菌の遺伝子にハイブリダイズさせることで、上記推定されたビフェニル分解菌がビフェニル分解菌であることを確認してもよい。本ステップは、ST12と同様に行うことができる。
また、本ステップにおけるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたものと同一のオリゴヌクレオチドでもよいし、異なるものでもよい。例えば、本ステップで用いるオリゴヌクレオチドは、ST12で用いたオリゴヌクレオチドがターゲットとするビフェニル分解酵素遺伝子とは異なるビフェニル分解酵素遺伝子をターゲットとするものでもよい。
これにより、ビフェニル分解能を有するビフェニル分解菌をより確実に探索することができる。
[オリゴヌクレオチド]
本発明のオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることができるものである。
上記DNAは、複数のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。当該複数のビフェニル分解菌としては、ビフェニル分解酵素遺伝子を有し、かつそのビフェニル分解酵素遺伝子のアミノ酸配列が既知の細菌を適用することができる。具体的には、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する既知のビフェニル分解菌が挙げられる。
また、配列類似性の比較対象となる複数のビフェニル分解菌は、例えば、5以上のビフェニル分解菌を含んでいてもよく、より好ましくは8以上のビフェニル分解菌を含んでいればよい。これにより、アミノ酸配列の相同性について精度よく検討することができる。
また、配列類似性の高いアミノ酸配列は、例えば、比較対象となる複数のビフェニル分解菌において、同一のアミノ酸が4以上連続する配列を含むアミノ酸配列をいうものとする。
例えば、オリゴヌクレオチドは、PCR用のプライマーの場合、上記アミノ酸配列に対応する塩基配列をそれぞれ有する複数のプライマーを混合した、いわゆる縮重プライマーとすることができる。これにより、上記アミノ酸配列に対応するコドンの揺らぎを考慮して、1回のPCRでより多くの菌株を検出することができる。また、複数のプライマーの数は、例えば128以下、好ましくは48以下、より好ましくは32以下とすることができる。これにより、PCR反応液中の実効的なプライマー濃度の低下を抑制し、プライマーの検出感度を維持することができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることができるものである。
上記DNAは、複数のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいてもよい。当該複数のビフェニル分解菌としては、ビフェニル分解酵素遺伝子を有し、かつそのビフェニル分解酵素遺伝子のアミノ酸配列が既知の細菌を適用することができる。具体的には、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカニボラックス(Alcanivorax)属、バークホルデリア(Burkholderia)属、コマモナス(Comamonas)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、シュードモナス(Pseudomanas)属、及びシュードキサントモナス(Pseudoxanthomonas)等に属する既知のビフェニル分解菌が挙げられる。
また、配列類似性の比較対象となる複数のビフェニル分解菌は、例えば、5以上のビフェニル分解菌を含んでいてもよく、より好ましくは8以上のビフェニル分解菌を含んでいればよい。これにより、アミノ酸配列の相同性について精度よく検討することができる。
また、配列類似性の高いアミノ酸配列は、例えば、比較対象となる複数のビフェニル分解菌において、同一のアミノ酸が4以上連続する配列を含むアミノ酸配列をいうものとする。
例えば、オリゴヌクレオチドは、PCR用のプライマーの場合、上記アミノ酸配列に対応する塩基配列をそれぞれ有する複数のプライマーを混合した、いわゆる縮重プライマーとすることができる。これにより、上記アミノ酸配列に対応するコドンの揺らぎを考慮して、1回のPCRでより多くの菌株を検出することができる。また、複数のプライマーの数は、例えば128以下、好ましくは48以下、より好ましくは32以下とすることができる。これにより、PCR反応液中の実効的なプライマー濃度の低下を抑制し、プライマーの検出感度を維持することができる。
[ビフェニル分解菌]
本発明のビフェニル分解菌は、土壌から複数の菌を分離し(ST11)、PCBsを分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、当該分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、当該分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し(ST12)、ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)、ことで検出されたビフェニル分解菌である。すなわち、本発明のビフェニル分解菌は、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることが可能なDNAを有し、PCBsを分解することが可能な菌である。
なお、本発明のビフェニル分解菌は、特定された種や属に属するものではなく、上記各ステップを実施することにより検出されるものであればよい。
本発明のビフェニル分解菌は、土壌から複数の菌を分離し(ST11)、PCBsを分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、当該分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、当該分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し(ST12)、ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に検出されたビフェニル分解菌候補を添加してビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する(ST13)、ことで検出されたビフェニル分解菌である。すなわち、本発明のビフェニル分解菌は、上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることが可能なDNAを有し、PCBsを分解することが可能な菌である。
なお、本発明のビフェニル分解菌は、特定された種や属に属するものではなく、上記各ステップを実施することにより検出されるものであればよい。
[ビフェニル分解用組成物]
さらに、本発明のビフェニル分解菌は、ビフェニル又はその誘導体を分解するためのビフェニル分解用組成物に含まれていてもよい。この場合、ビフェニル分解用組成物には、ビフェニル分解菌を培養した培養物が含まれ得る。当該培養物は、菌体を含む培養液をそのまま粉体にしたものでもよい。また、当該培養物は、水や界面活性剤などで洗浄して菌体を回収したものでもよいし、遠心分離による集菌や密度勾配遠心法、二相分離法等により菌体を回収したものでもよい。
また、当該組成物が液剤である場合には、当該組成物は、必要に応じて、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、安定化剤、緩衝剤等を含んでいてもよい。
また、当該組成物が粉剤である場合には、上記培養物から得られる菌体を乾燥させ、粉末状にすることができる。また、当該組成物は、必要に応じて、スキムミルク等の保護剤、製剤化のための増量剤や賦形剤等を含んでいてもよい。
このようなビフェニル分解用組成物により、コンデンサやトランスその他の物品に含まれるPCBsを分解することで、PCBsを無害化することが可能となる。
さらに、本発明のビフェニル分解菌は、ビフェニル又はその誘導体を分解するためのビフェニル分解用組成物に含まれていてもよい。この場合、ビフェニル分解用組成物には、ビフェニル分解菌を培養した培養物が含まれ得る。当該培養物は、菌体を含む培養液をそのまま粉体にしたものでもよい。また、当該培養物は、水や界面活性剤などで洗浄して菌体を回収したものでもよいし、遠心分離による集菌や密度勾配遠心法、二相分離法等により菌体を回収したものでもよい。
また、当該組成物が液剤である場合には、当該組成物は、必要に応じて、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、安定化剤、緩衝剤等を含んでいてもよい。
また、当該組成物が粉剤である場合には、上記培養物から得られる菌体を乾燥させ、粉末状にすることができる。また、当該組成物は、必要に応じて、スキムミルク等の保護剤、製剤化のための増量剤や賦形剤等を含んでいてもよい。
このようなビフェニル分解用組成物により、コンデンサやトランスその他の物品に含まれるPCBsを分解することで、PCBsを無害化することが可能となる。
[本発明の作用効果]
以下、本発明の作用効果を、比較例を示して説明する。
図3は、本発明の比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、比較例においては、まずPCBs汚染土壌を少量採取し、PCBsを添加した集積培養を行う(ST21)。ビフェニル分解菌がビフェニルを単一の炭素源として生育し得るという特徴を鑑み、この集積培養は、所定濃度のビフェニルを炭素源として含む培地を用いて好気的に行うことができる(特許文献1参照)。これにより、ビフェニル耐性菌及びビフェニル資化菌を選択的に培養する。
続いて、培養された複数の菌を分離する(ST22)。本ステップでは、ST21において培養された培地又はその希釈液を寒天培地に塗布することで、寒天培地上にコロニーを形成させる。
続いて、本実施形態のST13と同様に、PCBsを含む溶液中に分離されたコロニーに含まれる菌を添加して当該菌が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、当該菌をビフェニル分解菌と推定する(ST23)。
以下、本発明の作用効果を、比較例を示して説明する。
図3は、本発明の比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、比較例においては、まずPCBs汚染土壌を少量採取し、PCBsを添加した集積培養を行う(ST21)。ビフェニル分解菌がビフェニルを単一の炭素源として生育し得るという特徴を鑑み、この集積培養は、所定濃度のビフェニルを炭素源として含む培地を用いて好気的に行うことができる(特許文献1参照)。これにより、ビフェニル耐性菌及びビフェニル資化菌を選択的に培養する。
続いて、培養された複数の菌を分離する(ST22)。本ステップでは、ST21において培養された培地又はその希釈液を寒天培地に塗布することで、寒天培地上にコロニーを形成させる。
続いて、本実施形態のST13と同様に、PCBsを含む溶液中に分離されたコロニーに含まれる菌を添加して当該菌が溶液中のPCBsを分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、当該菌をビフェニル分解菌と推定する(ST23)。
上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法においては、集積培養により目的の遺伝的特性を有する菌を選抜するため、ST21のステップに7日から30日程度要していた。また、ST22のステップはST11と同様の5日程度、ST23のステップはST13と同様の7日程度要していた。
一方で、本実施形態の探索方法では、DNAマーカーを用いて遺伝子診断を行うST22のステップに要する時間は、1〜2日程度である。すなわち、比較例の探索方法と比較して、全体の工程に要する時間を格段に短縮することが可能となる。
一方で、本実施形態の探索方法では、DNAマーカーを用いて遺伝子診断を行うST22のステップに要する時間は、1〜2日程度である。すなわち、比較例の探索方法と比較して、全体の工程に要する時間を格段に短縮することが可能となる。
また、上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法においては、ST23のビフェニル分解試験の対象となる菌が、集積培養されて分離された全ての菌となり得る。このため、網羅的に確認するためには、ビフェニル分解遺伝子の有無によらず集積培養されて分離された多数の菌に対して分解試験を行う必要があった。
一方で、本実施形態の探索方法では、ST12のステップで遺伝子診断を行うため、ビフェニル分解菌である可能性の高い菌のみ分解試験の対象とすることができる。これにより、ST13のステップにおける手数を大幅に減少させ、網羅的で、かつ非常に効率のよい選抜を行うことができる。また、分解試験に係るコストを低減できるとともに、全体のステップに要する時間をより一層短縮することができる。
一方で、本実施形態の探索方法では、ST12のステップで遺伝子診断を行うため、ビフェニル分解菌である可能性の高い菌のみ分解試験の対象とすることができる。これにより、ST13のステップにおける手数を大幅に減少させ、網羅的で、かつ非常に効率のよい選抜を行うことができる。また、分解試験に係るコストを低減できるとともに、全体のステップに要する時間をより一層短縮することができる。
さらに、上記比較例に係るビフェニル分解菌の探索方法では、ビフェニル等の化合物を含む条件下で集積培養を行う際、ビフェニル資化菌のみならず、特殊な代謝系を有する菌が増加する可能性がある。これにより、生物相に偏りが生じる可能性があった。
一方で、本実施形態の探索方法では、培養期間が短いため、生物相の偏りに対するリスクを低減することができ、目的のビフェニル分解菌を容易に検出することができる。さらに、本実施形態の探索方法では、培養した菌のDNA配列が変異した可能性がある場合には、上記DNAマーカーを用いて再度遺伝子診断を行うことにより、確実にビフェニル分解菌を検出することが可能となる。
一方で、本実施形態の探索方法では、培養期間が短いため、生物相の偏りに対するリスクを低減することができ、目的のビフェニル分解菌を容易に検出することができる。さらに、本実施形態の探索方法では、培養した菌のDNA配列が変異した可能性がある場合には、上記DNAマーカーを用いて再度遺伝子診断を行うことにより、確実にビフェニル分解菌を検出することが可能となる。
なお、本発明のビフェニル分解菌の探索方法を応用して、ビフェニル又はその誘導体を蓄積することが可能なビフェニル蓄積菌を探索してもよい。
この場合は、ビフェニル分解酵素に替えてビフェニル又はその誘導体の蓄積に関与する酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、これらの分離された複数の菌からビフェニル蓄積菌候補を検出することができる。
これによっても、ビフェニル及びその誘導体を処理することが可能な細菌を探索することができる。
この場合は、ビフェニル分解酵素に替えてビフェニル又はその誘導体の蓄積に関与する酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、これらの分離された複数の菌からビフェニル蓄積菌候補を検出することができる。
これによっても、ビフェニル及びその誘導体を処理することが可能な細菌を探索することができる。
以下、実施例を示し、本実施形態をより詳細に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1:BphA遺伝子にハイブリダイズするプライマー対の作成]
(プライマーの準備)
まず、ビフェニル分解酵素であるBphAのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表1に示す。
(プライマーの準備)
まず、ビフェニル分解酵素であるBphAのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表1に示す。
続いて、これらの細菌におけるBphAのアミノ酸配列をアライメントした。アミノ酸配列のアライメントには、GENETYX(登録商標)-MAC遺伝情報処理ソフトウェア(株式会社ゼネティックス製)を用いた。アライメントの結果を、図4、図5、図6及び図7に示す。同図中の「*」は、選択された複数の細菌において同一のアミノ酸となる配列を示す。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図4〜図7を参照し、例えば「*」が5以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」、「Fwd3」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」、「Rev3」)の各アミノ酸配列が選択された。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図4〜図7を参照し、例えば「*」が5以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」、「Fwd3」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」、「Rev3」)の各アミノ酸配列が選択された。
そして、選択されたプライマー候補のアミノ酸配列に対応する塩基配列及びプライマーとしての配列適性に基づいて、フォワードプライマー(Forward Primer)及びリバースプライマー(Reverse Primer)の塩基配列を決定した。決定された塩基配列を、表2に示す。なお、作成されたフォワードプライマー及びリバースプライマーは、いずれも、32種類の異なる配列のDNA断片を含む縮重プライマーである。また、表2中のフォワードプライマーのうちの1つと、リバースプライマーのうちの1つとからなるプライマーの組が、1つのプライマー対を構成し得る。
[実施例2:プライマー対を用いたビフェニル分解菌の探索]
続いて、実施例1で作成されたプライマーを用いて、ビフェニル分解菌の探索を行った。
続いて、実施例1で作成されたプライマーを用いて、ビフェニル分解菌の探索を行った。
(複数の菌の分離)
まず、異なる場所の複数の植物根圏土壌を採取した。植物根圏土壌としては、例えば、ラベンダー、シソ、パセリ等の根及びその周囲の土壌を採取した。
採取された土壌を段階的に希釈して寒天培地に塗布し、コロニーを形成させた。このうち、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーが、隣接するコロニーと分離しており、コロニー数も適当であった。
続いて、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーのうち、コロニーの形状、色等の外観が異なる約3000個のコロニーを選択し、新しい寒天培地へ移植した。コロニーが移植された寒天培地を、マスタープレートと称する。移植されたコロニーは、識別のためナンバリングした。なお、同様の外観を有するコロニーは同一種である可能性が高いため、重複を避け、これらのうち1つのコロニーを選択するようにした。なお、本ステップは、約500個のコロニーを選択し、移植する作業を6回繰り返すことで行った。
まず、異なる場所の複数の植物根圏土壌を採取した。植物根圏土壌としては、例えば、ラベンダー、シソ、パセリ等の根及びその周囲の土壌を採取した。
採取された土壌を段階的に希釈して寒天培地に塗布し、コロニーを形成させた。このうち、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーが、隣接するコロニーと分離しており、コロニー数も適当であった。
続いて、108倍希釈の土壌希釈液を塗布した寒天培地に形成されたコロニーのうち、コロニーの形状、色等の外観が異なる約3000個のコロニーを選択し、新しい寒天培地へ移植した。コロニーが移植された寒天培地を、マスタープレートと称する。移植されたコロニーは、識別のためナンバリングした。なお、同様の外観を有するコロニーは同一種である可能性が高いため、重複を避け、これらのうち1つのコロニーを選択するようにした。なお、本ステップは、約500個のコロニーを選択し、移植する作業を6回繰り返すことで行った。
(遺伝子マーカーによるビフェニル分解菌候補の検出)
マスタープレートに形成された各コロニーから菌を採取してマイクロプレートの各ウェルに付着させ、当該各ウェルにTE(Tris-EDTA)バッファを注入した。TEバッファは、10mMのTris-HCl(pH8.0)及び1mMのEDTAからなる。そして、TEバッファが注入されたマイクロプレートに対して95℃、5分の加熱処理を行い、菌体からDNAを溶出させた。
続いて、新たなPCR用マイクロプレートを準備し、実施例1で作成したフォワードプライマー(Forward Primer)1と、リバースプライマー(Reverse Primer)1をそれぞれ含むPCR反応液を分注した。このPCR反応液は、例えばフォワードプライマー、リバースプライマー、市販のPCR用酵素、滅菌水をそれぞれ含み、PCR用酵素の製品マニュアル及びプライマーの縮重を参照して調製された。分注には、マルチチャンネルの分注器を使用した。このPCR反応液に、ピンレプリケータを用いて溶出されたDNAを含むDNA溶液を少量混和させた。
続いて、調製したPCR反応液に対し、サーマルサイクラーを用いて、遺伝子増幅処理を行った。遺伝子増幅処理は、PCR用酵素の製品マニュアルを参照し、実施した。なお、アニーリング温度は、プライマーのTm値を考慮し、調整された。
続いて、反応後のPCR反応液から所定量を分取し、アガロースゲルで電気泳動を行った。電気泳動後、アガロースゲルを常法に従って染色し、紫外線(UV)ライトボックス上にてアガロースゲルを撮像した。撮像された画像に基づいてPCR増幅産物を確認した。プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が確認された場合、陽性と判定した。
その結果、約3000個の菌株のうち、約2%で陽性と判定した。陽性と判定された菌株を、ビフェニル分解菌候補とした。
なお、本ステップ(ST12)には、2日を要した。
マスタープレートに形成された各コロニーから菌を採取してマイクロプレートの各ウェルに付着させ、当該各ウェルにTE(Tris-EDTA)バッファを注入した。TEバッファは、10mMのTris-HCl(pH8.0)及び1mMのEDTAからなる。そして、TEバッファが注入されたマイクロプレートに対して95℃、5分の加熱処理を行い、菌体からDNAを溶出させた。
続いて、新たなPCR用マイクロプレートを準備し、実施例1で作成したフォワードプライマー(Forward Primer)1と、リバースプライマー(Reverse Primer)1をそれぞれ含むPCR反応液を分注した。このPCR反応液は、例えばフォワードプライマー、リバースプライマー、市販のPCR用酵素、滅菌水をそれぞれ含み、PCR用酵素の製品マニュアル及びプライマーの縮重を参照して調製された。分注には、マルチチャンネルの分注器を使用した。このPCR反応液に、ピンレプリケータを用いて溶出されたDNAを含むDNA溶液を少量混和させた。
続いて、調製したPCR反応液に対し、サーマルサイクラーを用いて、遺伝子増幅処理を行った。遺伝子増幅処理は、PCR用酵素の製品マニュアルを参照し、実施した。なお、アニーリング温度は、プライマーのTm値を考慮し、調整された。
続いて、反応後のPCR反応液から所定量を分取し、アガロースゲルで電気泳動を行った。電気泳動後、アガロースゲルを常法に従って染色し、紫外線(UV)ライトボックス上にてアガロースゲルを撮像した。撮像された画像に基づいてPCR増幅産物を確認した。プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が確認された場合、陽性と判定した。
その結果、約3000個の菌株のうち、約2%で陽性と判定した。陽性と判定された菌株を、ビフェニル分解菌候補とした。
なお、本ステップ(ST12)には、2日を要した。
(ビフェニル分解試験及びビフェニル分解菌の検出)
続いて、ビフェニル分解菌候補を用いて、ビフェニル分解試験を行った。
まず、ビフェニル分解菌候補を少量の液体培地にそれぞれ播種し、この液体培地にアルキルビフェニルをそれぞれ添加した。液体培地は、R2A液体培地、ISP Medium No2、SCD培地(カゼインダイジェスト培地)、及び水を等量ずつ混合したものを用いた。なお、ISP Medium No2は、酵母エキス、麦芽エキス、グルコース等を含む培地である。ビフェニル分解菌候補については、直径1〜2mmのコロニーを2個程度播種した。アルキルビフェニルについては、2,2',5,5'-テトラメチルビフェニル、3,3',4,4'-テトラメチルビフェニル、3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルをいずれも5 mg/lとなるように添加した。また、容器は、それぞれ25 mlの容量の共栓付試験管を用いた。
そして、これらのサンプルを30℃で4〜7日間振とう培養した。
続いて、サンプル中のアルキルビフェニルが分解されたか否かを判定するため、反応後の培養液中のアルキルビフェニルをヘキサンにより抽出し、GC(ガスクロマトグラフィ)−FIDにより分析した。
GC−FIDの条件は、以下の通りである。注入量は、2 μLであった。注入法は、スプリットレス注入法を適用した。注入口の温度は、250℃であった。加熱条件としては、オーブンセットポイントが100℃、そのまま1分維持し、その後20℃/分で200℃に達するまで温度を上昇させ、200℃から6℃/分で260℃に達するまで温度を上昇させ、260℃で1分間維持した。測定時間は、約17分であった。
なお、ビフェニル及び4,4'-ジメチルビフェニルは、内部標準物質として用いた。
評価方法としては、培養液に添加したアルキルビフェニルが半分以下に減少した菌株を、ビフェニル分解菌と推定した。
続いて、ビフェニル分解菌候補を用いて、ビフェニル分解試験を行った。
まず、ビフェニル分解菌候補を少量の液体培地にそれぞれ播種し、この液体培地にアルキルビフェニルをそれぞれ添加した。液体培地は、R2A液体培地、ISP Medium No2、SCD培地(カゼインダイジェスト培地)、及び水を等量ずつ混合したものを用いた。なお、ISP Medium No2は、酵母エキス、麦芽エキス、グルコース等を含む培地である。ビフェニル分解菌候補については、直径1〜2mmのコロニーを2個程度播種した。アルキルビフェニルについては、2,2',5,5'-テトラメチルビフェニル、3,3',4,4'-テトラメチルビフェニル、3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルをいずれも5 mg/lとなるように添加した。また、容器は、それぞれ25 mlの容量の共栓付試験管を用いた。
そして、これらのサンプルを30℃で4〜7日間振とう培養した。
続いて、サンプル中のアルキルビフェニルが分解されたか否かを判定するため、反応後の培養液中のアルキルビフェニルをヘキサンにより抽出し、GC(ガスクロマトグラフィ)−FIDにより分析した。
GC−FIDの条件は、以下の通りである。注入量は、2 μLであった。注入法は、スプリットレス注入法を適用した。注入口の温度は、250℃であった。加熱条件としては、オーブンセットポイントが100℃、そのまま1分維持し、その後20℃/分で200℃に達するまで温度を上昇させ、200℃から6℃/分で260℃に達するまで温度を上昇させ、260℃で1分間維持した。測定時間は、約17分であった。
なお、ビフェニル及び4,4'-ジメチルビフェニルは、内部標準物質として用いた。
評価方法としては、培養液に添加したアルキルビフェニルが半分以下に減少した菌株を、ビフェニル分解菌と推定した。
表3に、GC−FIDの分析結果の一例を示す。同表は、各サンプルのGC−FIDによって得られたクロマトグラム(分析波形)に基づいて算出した、各物質のピーク面積値(エリア面積値)を示す。なお、同一条件下で、同一物質のピーク面積値は試料量におよそ比例することが知られている。
同表では、異なるビフェニル分解菌候補を播種した4種類のサンプルを用いており、それぞれサンプル1〜4と記載している。また、「STD 0.5 ppm」は、培養液に添加したものと同種のアルキルビフェニルをそれぞれ0.5 ppm(0.5 mg/l)相当となるように添加した混合標準液の結果を示し、「NC」は、サンプルと同様にアルキルビフェニルを添加し、かつビフェニル分解菌候補を播種していない、ネガティブコントロール(Negative Control)の結果を示す。また、「操作BL」は、クロマトグラフのベースラインの値を示す。
同表に示すように、サンプル1〜3とNCの結果とを比較すると、各アルキルビフェニルとも、ピーク面積値が半減していた。この結果から、サンプル1〜3に播種したビフェニル分解菌候補は、いずれもビフェニル分解菌と推定することができた。
同表では、異なるビフェニル分解菌候補を播種した4種類のサンプルを用いており、それぞれサンプル1〜4と記載している。また、「STD 0.5 ppm」は、培養液に添加したものと同種のアルキルビフェニルをそれぞれ0.5 ppm(0.5 mg/l)相当となるように添加した混合標準液の結果を示し、「NC」は、サンプルと同様にアルキルビフェニルを添加し、かつビフェニル分解菌候補を播種していない、ネガティブコントロール(Negative Control)の結果を示す。また、「操作BL」は、クロマトグラフのベースラインの値を示す。
同表に示すように、サンプル1〜3とNCの結果とを比較すると、各アルキルビフェニルとも、ピーク面積値が半減していた。この結果から、サンプル1〜3に播種したビフェニル分解菌候補は、いずれもビフェニル分解菌と推定することができた。
さらに、推定されたビフェニル分解菌を用いて、再度実施例1で作成したプライマーによるPCRを行い、陽性が確認できた菌株を、ビフェニル分解菌として決定し、保存した。
なお、上述の説明においては、フォワードプライマー1と、リバースプライマー1をプライマー対としてPCRを行ったが、フォワードプライマー2及びリバースプライマー2、フォワードプライマー1及びリバースプライマー2、並びにフォワードプライマー2及びリバースプライマー1をそれぞれプライマー対として含むPCRを行った場合も、同様にビフェニル分解菌候補の決定及びビフェニル分解菌の推定を行うことができた。
以上のように、実施例1で作成したプライマー対を用いて遺伝子診断をすることで、ビフェニル分解遺伝子を有すると推定されるビフェニル分解菌候補を選抜することができた。これにより、ビフェニル分解試験を実施する菌株数を大幅に減少させることができ、効率よくビフェニル分解菌を検出できることが確認された。
[実施例3:BphD遺伝子にハイブリダイズするプライマー対の作成]
まず、ビフェニル分解酵素であるBphDのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表4に示す。
まず、ビフェニル分解酵素であるBphDのアミノ酸配列が既知である菌を選択した。選択された細菌の一覧を、表4に示す。
続いて、これらの細菌におけるBphDのアミノ酸配列をアライメントした。アライメントは、実施例1と同様に行った。アライメントの結果を、図8、図9及び図10に示す。同図中の「*」は、選択された複数の細菌において同一のアミノ酸となる配列を示す。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図8〜図10を参照し、例えば「*」が4以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」)の各アミノ酸配列が選択された。
続いて、相互に配列類似性の高いアミノ酸配列を選択した。図8〜図10を参照し、例えば「*」が4以上連続する配列を選択した。この結果、フォワードプライマー候補(「Fwd1」、「Fwd2」)及びリバースプライマー候補(「Rev1」、「Rev2」)の各アミノ酸配列が選択された。
そして、選択されたプライマー候補のアミノ酸配列に対応する塩基配列に基づいて、フォワードプライマー(Forward Primer)及びリバースプライマー(Reverse Primer)の塩基配列を決定した。決定された塩基配列を、表5に示す。なお、作成されたフォワードプライマー及びリバースプライマーは、いずれも、48種類又は32種類の異なる配列のDNA断片を含む縮重プライマーである。また、表4中のフォワードプライマーのうちの1つと、リバースプライマーのうちの1つとからなるプライマーの組が、1つのプライマー対を構成し得る。
作成したこれらのプライマーを、実施例2で決定及び保存されたビフェニル分解菌を検体とするPCRに用い、プライマー対がハイブリダイズするDNA配列の塩基数から予測される長さのDNA断片が検出できることを確認した。なお、PCRは、実施例2の「遺伝子マーカーによるビフェニル分解菌候補の検出」で説明した手順で行った。
これにより、実施例3で作成したプライマーも、本発明のオリゴヌクレオチドとしてビフェニル分解菌候補の検出に用いることができることが確認された。
これにより、実施例3で作成したプライマーも、本発明のオリゴヌクレオチドとしてビフェニル分解菌候補の検出に用いることができることが確認された。
Forward primer of primer pair hybridized with BphA gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphA gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphA gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphA gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphD gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphD gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphD gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphD gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphA gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphA gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphA gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphD gene
Forward primer of primer pair hybridized with BphD gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphD gene
Reverse primer of primer pair hybridized with BphD gene
Claims (8)
- 土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、前記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、前記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出する
ビフェニル分解菌の探索方法。 - 請求項1に記載のビフェニル分解菌の探索方法であって、
前記土壌は、植物根圏土壌である
ビフェニル分解菌の探索方法。 - 請求項1又は2に記載のビフェニル分解菌の探索方法であって、
前記ビフェニル分解酵素をコードするDNAは、複数の既知のビフェニル分解菌のビフェニル分解酵素のアミノ酸配列において相互に配列類似性の高いアミノ酸配列に対応する塩基配列を含む
ビフェニル分解菌の探索方法。 - 請求項3に記載のビフェニル分解菌の探索方法であって、
前記複数の既知のビフェニル分解菌は、5以上の既知のビフェニル分解菌を含む
ビフェニル分解菌の探索方法。 - 請求項1から4のいずれの1項に記載のビフェニル分解菌の探索方法であって、さらに、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に前記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して前記ビフェニル分解菌候補が前記溶液中のビフェニル誘導体又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、前記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する
ビフェニル分解菌の探索方法。 - 請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のビフェニル分解菌の探索方法であって、
前記ビフェニル誘導体は、PCBs(ポリ塩化ビフェニル類)である
ビフェニル分解菌の探索方法。 - ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチド。
- 土壌から複数の菌を分離し、
ビフェニル及びその誘導体を分解することが可能なビフェニル分解菌の有するビフェニル分解酵素をコードするDNAにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチドを、前記分離された複数の菌のDNAにハイブリダイズさせることで、前記分離された複数の菌からビフェニル分解菌候補を検出し、
ビフェニル又はその誘導体を含む溶液中に前記検出されたビフェニル分解菌候補を添加して前記ビフェニル分解菌候補が溶液中のビフェニル又はその誘導体を分解するか否か判定し、分解すると判定された場合、前記ビフェニル分解菌候補をビフェニル分解菌と推定する
ことで検出されたビフェニル分解菌。
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|---|---|---|---|---|
| CN118360189A (zh) * | 2024-03-29 | 2024-07-19 | 华南农业大学 | 一株耐铜的丛毛单胞菌及其应用 |
-
2016
- 2016-01-13 JP JP2016004090A patent/JP2017123797A/ja active Pending
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|---|---|---|---|---|
| CN118360189A (zh) * | 2024-03-29 | 2024-07-19 | 华南农业大学 | 一株耐铜的丛毛单胞菌及其应用 |
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