JP2017120072A - 波板式揚力増強ブレ−ド - Google Patents
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Abstract
【課題】風力発電は5〜20m/秒の風が有れば24時間、日照、場所に関係なく発電でき、古来より優れたエネルギーであるが、更に広く一般に普及させる為には弱風時の性能を引き上げ、強風での風の抗力を抑える相矛盾した問題と安価に作れる事等が課題である。【解決手段】 本発明は揚力をあぶり出す概念である循環Γを実在流体であるトタン状波板の凹凸面で立体的に分割された法面に適用し、受風面側の凸面の流れも凹面に至る両側斜め法面毎の縮流で加速され減圧された表凹面の揚力で強調され、更に回転時の裏面のコアンダ効果による流れは裏凹面に引き寄せられ曲げられた反作用による裏面揚力との表裏合成駆動力と成り、加えて後縁排出口で凹凸面毎に隣接して反転したカルマン渦収斂時の滑らかな合流による反力とで、従来型ブレード以上の性能(図4)を得、しかもこれを丈夫で軽量、超安価なポリカ波板で簡単に作れる波板式揚力増強ブレ−ドを実現した。【選択図】図1
Description
本発明は風力発電装置において、より弱風から強風迄の発電可能範囲を広げて発電率向上を図り、且つ構造が簡単で安価に作れる風車や飛行機翼のブレードに関するものである。
従来の風力発電用の風車のブレードに関し、ブレ−ドの面積を多くして気体や流体の力で回転力を増すことを狙った特許文献1「気体や流体の流れにに対して回転効率がいい羽根(ブレ−ド)」(本書類添付図5)の請求項5では「気体や流体の当たるブレ−ド面の縦に溝を入れる..」と、請求項11で「気体や流体が当たるブレ−ド面に横に溝を入れる..」と、ブレードの裏と表で溝の方向が異なる抗力式だが、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」は、トタン状ブレードで表裏とも溝の向きとピッチは同じで、その凹凸面間の立体的な両側斜め法面毎の縮流で加速して減圧された表凹面の揚力を引き出す原理と異なり、風抜きスリットも有り構造も異なる。
次に、渦の安定化を図り、振動や騒音を小さくする特許文献2「風車翼」の第2実施形態の風車翼図(本書類添付図6)は、ブレードの表面のみで凸面をリブレットと称するもので構成しているが、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」は、トタン状のブレードで表裏共、均質な波板構造で凹凸面の方向も同じで、その凹凸面間の立体的な両側斜め法面を活かして法面毎の縮流で加速して減圧された表凹面の揚力を引き出す原理と、裏の凹面でコアンダー効果を活かす構造とは異なり、また表側凸面には風抜きスリットもフラットもあり全く形態も異なる。
次に特許文献3「風力発電装置用ブレード」(本書類添付図7)の請求項1では、「風力発電装置用ブレード本体の裏面所要個所に、ブレード本体の回転時の遠心力によるスパン方向の風の流れを堰止めるための整流板を、弦長方向へ延びるように取り付けて..」は、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」では裏面にも表面にも「整流板」は無く、表裏面共凹凸波板構造でその両側斜め法面毎の縮流で加速して減圧された表凹面の揚力を引き出す原理であり全く異なり、風抜きスリットもフラットあるので構造も異なる。
次に表面から裏面に貫通するスリットを設けた特許文献4「風車用ブレード及びプロペラ用ブレード」(本書類添付図8)請求項1では「..後縁から前縁側に向けて延び表面から裏面に貫通するスリットを、先端から付け根部側に..前記表面側に起立するように湾曲又は折曲させた表側リブを形成..」は、本発明「波板式揚力増強ブレ−ド」図2と比較の通り、前縁にはスリットは無く逆にフラップで閉じられ、全体にフラット面は無く全面は波状の凹凸板で且つ、その両側斜め法面毎の縮流で加速し減圧された表凹面の揚力を引き出す原理と全く異なり、またスリットの後方にフラップが有り排出気体を安定化させる構造もあり異なる。
更に特許文献5「流体エネルギー回収用回転体」(本書類添付図9)の請求項1「流体受圧面5..の表面に末広がり状に多数の縦溝6が形成された丈の短いブレード1を、回転体に多数取付けたこと..」とあるが、本発明「波板式揚力増強ブレ−ド」では、トタン状の表裏とも全面波板で、その凹凸面間の斜め法面で縮流して加速し個々凹面で独立して揚力を引き出し、且つ凸面頂上に抗力低減スリットを設けており原理、形状、構造とも異なる。
次に特許文献6「物体表面に凹凸を付ける事による流体抵抗の軽減技術」(本書類添付図10)の請求項1では「空気中を飛行する飛行機..等の胴体、翼..の表面に凹凸を付ける」とあるが、図1のゴルフボールのくぼみと同じ凹凸構造で、本発明「波板式揚力増強ブレ−ド」でのトタン状波板の流れる筋面とは異なり、形状、構造、原理とも全く異なる。
「飯塚尚彦発行「基礎流体力学」 2010年4月8日 産業図書株式会社出版 P130〜134他 59〜75、P130〜134他
以上述べたように発電量を増やすには揚力を増やして稼働率を上げることであり、自然環境で長時間続く軽風域(1〜3m/秒:気象庁風力階級表)で如何に発電開始風力値を下げるかで、従来のブレードでは揚力を引き出す構造が不足し、更には暴風(風速が20m/秒以上:同表)時の風の抵抗を軽減させ風車の稼働風力上限値(カットオフ)を上げる等の策も必要である。
本発明は、このような従来の構造の問題を変革するもので、ブレードを立体的に分割して考え弱風性能を引き上げ安定化させ、風抜きスリットで連続面による抗力を減らして強風に強くするものである。
上記目的のため、理想流体で揚力を導き出す概念の循環Γ(ガンマー:クッタ・ジュコーフスキーの定理)を三次元的に増やせるトタン状波板に注目し、その凹凸面間の斜め法面で循環Γを斜めに独立して繰り返し反転させ生じさせ、後縁排出口で凹凸面毎に隣接して反転したカルマン渦収斂時の滑らかな合流を図り安定化させる。ここで循環とは一般にΓと書き、流れの場において一つの閉曲線をとり、その閉曲線の微小部分をds、そこを通過する流体の速度をVとすると、Vのds方向の速度成分Vs=Vcos θとdsとの積を閉曲線について積分した値を称す。
先ず風を受けて回転する長尺ブレードの受風面側幅方向の前縁から後縁方向にトタン板状の湾曲波板や三角波板等の表裏凹凸面板を流れ方向に沿わせ、各々の凹凸面間の両側斜面で表面積を約1.2倍広げ、更に前縁をシリコンゴム等で丸みを持たせ風の抵抗を抑えたブレードを形成する。
更に、凹凸波面板ブレードの受風面側各凸面の前縁及び後縁部をブレード幅の約20%程度残し、その間の残り60%を1ピッチ波板幅の10%程度切り抜いて細長い風抜きスリットとし、残した後縁部の凸面をフラップとして活かすことによりブレードの回転時に裏面の凹面側に集まった風が表側凸面のスリットから抜けて、表面の風量が増加する事で、より揚力も増す。
また、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」を飛行機の翼に利用する場合、飛行機の翼の下側を受風面として凹凸波面板を張り付けるだけでも凹面に至る両側斜め法面の縮流で流速が早まり反力で加速し、コアンダー効果により浮上を助けている。
風が迎い角で受風面側の前縁に当たれば、回転方向の逆方向に風が流れ各々の波板面の流れ方向の両凸面頂上から凹面両側の斜法面の風も凹面中央の谷に集められて後縁に高速に流れるため圧力が下がり揚力が生れ、凸面頂上側は逆に圧力が高まり、凹凸面間の立体的な両斜め法面の部分で、圧力差が生れ循環Γ(ガンマー)が斜めに立体的に生じる結果、波板全体では従来型ブレードのように揚力を得て回転駆動力となる。
また、凹凸面毎の隣接反転繰り返しが生じ、後縁でカルマン渦も逆回りで相殺されるためより滑らかに合流して乱れが減少するため反力が維持され騒音は減り、後縁の排出箇所では(ベルヌーイの定理により)圧力が下がり、吸い出し効果によって前縁からの流れも良くなる。
更に後縁に残されている波板凸面部のフラップによりブレード回転時の排出流がクッタの条件から、よどみ点がより風下に移りカルマン渦の影響が減少するため後縁での排出能力が減らず、また風抜きスリットにより急激な突風等に対する風の抵抗を減らす強風対策機能となる。
次に、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」を飛行機の翼に利用することにより、翼の前縁と下から来る風で揚力が増強出来且つ、凹凸面間の縦斜法面毎に圧力差の反転繰り返しが生じ、後縁でカルマン渦も繰り返し逆回りになるので渦が相殺されることによって風の乱れが減少し安定化して騒音も減らすことが出来、逆に翼長を短くすれば飛行時の抗力を抑え、更なる燃費向上と高速化につながる可能性(未確認)もある。
以上、本発明により自然風での同一形状サイズ風車での軽負荷測定で従来のフラットブレード以上の結果(図4)を得、しかも丈夫で軽量、超安価なポリカ波板等で簡単に作れる手段を実現した。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は波板ブレードによるロータ表受風面側全景図で、図2は波板ブレード受風面側詳細で、図3は波板ブレード動作原理詳細説明で、図4は自然風における従来型フラットブレードとの性能比較図である。
先ず風を受けて回転するブレードの受風面側(図1)の波板ブレード(1)の前縁(3)から後縁(5)方向にトタン板状の表裏が湾曲した波板(1)の表裏凹凸面板を流れ方向に沿わせ、更に前縁を丸くカバー(4)してブレードを形成する。
これにより、風(図2−23)が迎い角(図3−37)で受風面側の前縁(図1−3)に当たれば、回転方向の逆方向に風(図3−31)が流れ各々の波面板の流れ方向の両凸面頂上(図2−24)から凹面両側の斜法面(26)の風も凹面中央(25)に集められて後縁に高速に流れるため排出口で反力が増え加速されると同時に圧力が下がり(図3−32)、凸面頂上側は逆に圧力が高まり(33)、凹凸面間の立体的な斜め法面(26)の部分で、圧力差が生れ、揚力(36)を得る。
また凹凸面の後縁毎のカルマン渦(34、35)の隣接反転繰り返しにより渦が相殺されることによって風の乱れが減少し安定化するため騒音も減り、揚力も増加すると共に、後縁の排出口では(ベルヌーイの定理により)圧力が下がり、吸い出し効果によって前縁からの流れも良くなりブレードでの回転駆動力を増強させる。
更に、この凹凸波板面ブレードの受風面側各凸面の前縁及び後縁部をブレード幅の20%程度残し、その間(ブレード幅の残り60%)を1ピッチ波板幅の10%程度の幅で切り抜いて細長い風抜きスリット(6)とし、残した後縁をフラップ(27)として形成することにより、ブレードの回転時に裏面(29)の凹面側(表面側の凸面:24)に集まった風が表側凸面のスリット(6)から抜けて、表面の風量が増加する事により揚力も更に増す効果も生じる。
また後縁に残された波板のフラップ(27)によりブレード回転時に、クッタの条件から、よどみ点が風下に移動しカルマン渦の影響が減少(35)することによって後縁での排出能力が向上する効果と、これが風抜きスリット(6)となりより急な突風等に対する風の抵抗を減じる強風対策機能となる。
更に、本発明の「波板式揚力増強ブレ−ド」を飛行機の翼に利用する方法において、凹凸波面板を翼の下側に張り付けることにより揚力を増強しカルマン渦を減らす効果や、逆に翼長を短くすれば、高速飛行時の抗力を抑え、更なる燃費向上と高速化につながる可能性がある。
1 波板ブレード
2 回転軸
3 前縁
4 前縁風避けカバー
5 後縁
6 風抜きスリット
7 回転方向
21 回転軸側
22 先端側
23 風の方向
24 凸面側
25 凹面側
26 斜め法面
27 後縁フラップ
28 表受風面側
29 裏面側
31 風の流れ
32 高速域(減圧域)
33 低速域(加圧域)
34 表凹面のカルマン渦(±ωy)
35 裏凹面のカルマン渦(±ωy)
36 揚力
37 迎い角
38 循環Γ(一点鎖線で表示)
2 回転軸
3 前縁
4 前縁風避けカバー
5 後縁
6 風抜きスリット
7 回転方向
21 回転軸側
22 先端側
23 風の方向
24 凸面側
25 凹面側
26 斜め法面
27 後縁フラップ
28 表受風面側
29 裏面側
31 風の流れ
32 高速域(減圧域)
33 低速域(加圧域)
34 表凹面のカルマン渦(±ωy)
35 裏凹面のカルマン渦(±ωy)
36 揚力
37 迎い角
38 循環Γ(一点鎖線で表示)
Claims (3)
- 風車を構成するブレードに関し、風を受けて回転する長尺ブレードの受風面の前縁から後縁方向にトタン板状の表裏が湾曲した波板や三角波板等の表裏凹凸面板を流れ方向に沿わせ、更に前縁を丸くカバーしてブレードを形成することにより、受風面側の凸面から凹面に至る両側斜め法面の縮流で加速され減圧された表凹面の揚力と、回転時の裏面のコアンダ効果によって裏面の流れは裏凹面に引き寄せられ曲げられた反作用による裏面の揚力との合成された駆動力に加え、後縁排出口で凹凸面毎に隣接して反転したカルマン渦収斂時の滑らかな合流により反力が弱まらず、ブレードの回転駆動力を増強させる機能を保持したことを特徴とする、波板式揚力増強ブレード。
- 上記請求項1のブレードにおいて、更に凹凸波板面ブレードの受風面側各凸面の前縁及び後縁部をブレード幅の20%程度残し、その間を1ピッチ波板幅の10%程度の幅で切り抜いて細長い風抜きスリットを形成し、残した後縁の凸面をフラップとして形成することによりブレード回転時の裏面の排出流を、クッタの条件から、よどみ点が風下に移動してカルマン渦が減少することによって後縁での排出能力が維持される効果と、風抜きスリットにより急な突風等に対する風の抵抗を減じる強風対策機能を具備したことを特徴とする、波板式揚力増強ブレ−ド。
- 上記請求項1、2の波板面ブレードを飛行機の翼に利用する方法において、凹凸波板面を翼の下側に張り付けることにより容易に揚力を増強しカルマン渦を減らす効果や、逆に翼長を短くして張り付ければ、飛行時の抗力を減らし、燃費向上や高速化につながる可能性を有した事を特徴とする波板式揚力増強ブレ−ド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015257871A JP2017120072A (ja) | 2015-12-28 | 2015-12-28 | 波板式揚力増強ブレ−ド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family
ID=59271788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015257871A Pending JP2017120072A (ja) | 2015-12-28 | 2015-12-28 | 波板式揚力増強ブレ−ド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017120072A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109083806A (zh) * | 2018-08-02 | 2018-12-25 | 辽宁工程技术大学 | 一种波浪翼型叶片及风力机 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11201021A (ja) * | 1998-01-06 | 1999-07-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 風車翼 |
JP2006521485A (ja) * | 2003-02-28 | 2006-09-21 | ヴェスタス,ウィンド,システムズ エー/エス | 風力タービン羽根の製造方法、風力タービン羽根、前カバー、及び前カバーの使用 |
JP2007046559A (ja) * | 2005-08-11 | 2007-02-22 | Kikukawa Kogyo Kk | 風力発電機用ブレード |
JP2015158168A (ja) * | 2014-02-24 | 2015-09-03 | 竹田 眞司 | 気体や流体の流れにに対して回転効率がいい羽根(ブレ−ド) |
-
2015
- 2015-12-28 JP JP2015257871A patent/JP2017120072A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20170704 |