JP2017119676A - 前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物を提供する。【解決手段】前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物は、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体の抽出物から獲得され、少なくともアンクチン酸K(AnK)を含む第1の薬剤と、少なくともアントロキノノールB(AnQB)を含む第2の薬剤と、を含む。前記第1の薬剤又は前記第2の薬剤の単独投与に比べ、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤の両方が投与された場合、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に相乗効果を発揮する。【選択図】なし

Description

本発明は、前立腺癌の治療に用いられ第1の薬剤及び第2の薬剤を含む医薬組成物に関し、より詳しくは、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物から別々に得られ、特に、少なくともアンクチン酸K(AnK)を含む第1の薬剤と少なくともアントロキノノールB(Antroquinonol B;AnQB)を含む第2の薬剤とを含んで前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物に関する。
医療用語の「腫瘍(tumor)」とは、異常な細胞の増殖により形成される組織塊を指す。異常な細胞は、増殖により周囲又は遠隔した組織を浸食し、組織の正常な生理機能に影響を及ぼす。通常、腫瘍は、組織病理学的検査により良性か悪性か判定される。健康な細胞が浸食されると、異常な細胞の複製が起こり易くなる。一般に、悪性腫瘍は癌と呼ばれる。周知の通り、多くのタイプの癌は、遺伝子の異常(すなわち、突然変異)により引き起こされる。ここ数十年、癌は、台湾人の死亡を引き起こす諸原因の10位以内に入っている。
癌は、細胞が制御を失って成長し始めると発生する。身体の何れの部位にある細胞は、何れも癌化する可能性があり、且つ身体の他の部位に転移する可能性がある。悪性腫瘍は、周囲組織まで成長(浸潤)又は身体の遠隔部位にまで広がる(転移)し得る癌細胞群である。
癌細胞は、急激に増殖して周囲組織や血管又はリンパ管近傍の壁に浸潤し、血流又はリンパ系を通って身体の他の部位に転移する。癌細胞は、遠隔部位にある毛細血管中に引っかかると移動を停止し、その周囲の組織に転移する。その後、癌細胞は、新たな部位で小さな腫瘍を形成する(微小転移と呼ばれる)。
リンパ系は、組織液、廃棄物及び免疫系細胞を含むリンパと、感染への抵抗に重要な役割を果たす免疫系細胞から成る小さな豆形状のリンパ節と、リンパ節に接続され血液の代わりにリンパと呼ばれる透明な流体を有する点を除いて小さな静脈に類似したリンパ管と、を含む。このようなリンパ系は、身体の他の部位に癌が転移する際の一つの重要な経路となる。
アンドロゲンは、生体内で働いているステロイドホルモンの一つであり、雄性ホルモンや男性ホルモンとも呼ばれる。アンドロゲンは、例えば、前立腺癌、良性の前立腺肥大、男性型脱毛症、座瘡及び乳癌等の疾病に関わり、アンドロゲン受容体(AR)に結合することで機能を発揮し、細胞核中で遺伝子の転写を制御する。アンドロゲン受容体は、リガンド依存性転写因子として働く核内受容体スーパーファミリーの一員である。
アンドロゲン受容体は、アンドロゲン標的組織、例えば、前立腺、骨格筋、肝臓、皮膚及び中枢神経系(CNS)で主に発現され、前立腺で最も高い発現が見られる。リガンド非結合アンドロゲン受容体は、細胞レベルで見ると主に細胞質に局在し、そこで主にリガンド結合領域(LBD)を介して熱ショックタンパク質複合体と結合している。リガンドと結合したアンドロゲン受容体は、細胞核内に入り、例えば、増殖、分化、アポトーシス及び分泌といった多様な生体プロセスに関わる標的遺伝子を活性化する。様々なアンドロゲン受容体に対するリガンドが発見され、筋肉疲労、貧血、良性前立腺肥大症及び前立腺癌の治療に用いられている(Gao W等、 Drug Discov Today 2007; 12:241-248)。
前立腺癌(PCa)は、多くの西洋諸国において最も一般的な致死性非皮膚悪性腫瘍であり、アンドロゲンは、前立腺癌の発症に影響を与える主要因子の1つである(Hendriksen P J等、 Cancer Res 2006: 66:5012-20)。アンドロゲン‐アンドロゲン受容体の活性は、前立腺の成長、分化及び発癌と密接に関係している(Culig Z. Urology 2003; 62:21-6;Heinlein C A等、 Endocr Rev 2004; 25:276-308)。また、アンドロゲン受容体タンパク質の発現は、遠隔転移(distant metastasis)及び切除抵抗性(ablation-resistant)を含むほぼ全ての前立腺癌(PCa)で検出される(Shah R B等、 Cancer Res 2004; 64:9209-06)。
また、アンドロゲン受容体は、診断及び治療評価の双方で前立腺癌の血清バイオマーカとして最も広く用いられている前立腺特異抗原(PSA)遺伝子の転写を増加させる(Balk SP等、 J Clin Oncol 2003; 21:383-91; Cleutjens K B等、 Mol Endocrinol 1997; 11:148-61)。アンドロゲン及びアンドロゲン受容体を介したシグナル伝達経路は、正常な前立腺細胞と悪性の前立腺細胞との状態には違いがあるが、これら両方の細胞に必須である(Hendriksen P J等、 Cancer Res 2006; 66:5012-20; Denmeade S R等, Prostate 1996; 28:251-65)。
初期診断では、ほとんどの前立腺癌が、アンドロゲンの産生又は作用を妨害して前立腺癌の成長を阻害するアンドロゲン除去療法に良好な反応を示す(Craft N等、 Cancer Res 1999; 59:5030-6)。しかしながら、前立腺癌細胞は、次第にアンドロゲン非依存性(androgen-independent)又はホルモン耐性(hormone-resistant)となり、患者の疾病の進行に伴って腫瘍が転移する。これは、ホルモン耐性が出現しても、多くの前立腺癌が前立腺癌の進行を促進し続けるアンドロゲン受容体を依然として発現しているためだと考えられる。
このようにアンドロゲン受容体は、疾病の異なる段階に関与しているので、癌性前立腺細胞においてアンドロゲン受容体活性を標的とすることは、前立腺癌の治療に効果的な方法となる。また、アンドロゲン受容体活性の阻害は、例えば、男性型脱毛症、座瘡及び乳癌といった他のタイプのアンドロゲン受容体関連疾病の治療にも有益である。それにもかかわらず、既存の抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(niutamide)及びビカルタミド(bicalutamide))は、重い副作用を誘発するだけでなく、末期の前立腺癌に対しては一時しのぎに過ぎないか非効果的である。このため、アンドロゲン受容体活性に関連した前立腺癌及び他の疾病に対して、より効果的な治療化合物の開発又は探索が切に望まれている。
前立腺は、ほぼクルミ大の大きさを有する男性の性腺である。前立腺は、性交中に精子が尿道を通って陰茎から放出されるのを助ける濃厚な流体を生産する。前立腺は膀胱の真下且つ直腸の真正面にあるので、医師は、直腸にゴム手袋をはめた指を挿入して前立腺の大きさ及び状態を調べることができる。この直腸指診(DRE)は、長年に亘って前立腺癌及び非癌性障害である良性前立腺肥大症を検出するためのゴールドスタンダードとなっている。
1985年にFDAは、前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれる物質の血中レベルをモニタする最初の検査を承認した。PSAの血中レベルの上昇は、癌の存在を示している。今では幾つかの企業が、専門家によれば患者のスクリーニング及びモニタリングを革新したと言われるPSA検査を承認している。
前立腺特異抗原(PSA)は、基本的に前立腺細胞に限定されているので、前立腺癌の理想的なマーカーとなる。健康な前立腺は、安定した量のPSAを産生するが(典型的には4ナノグラム/ミリリットル以下若しくはPSA値が「4」又はそれ以下)、癌細胞は、癌の重症度に対応して増大する量のPSAを産生する。レベル4から10は、患者が前立腺癌を患っている疑いを医師に持たせ、50以上の数値は、腫瘍が身体の別の部位にまで広がっていることを示唆する。
大部分のPSA検査は、「総PSA」又は血液タンパク質に結合したPSA量を計測する。3月にFDAは、総PSAだけでなく、血中を非結合状態で浮遊している「遊離PSA」と呼ばれる成分も測定するタンデムR検査を承認した。これら2つの比較は、他の原因によりPSAがやや上昇した男性の癌可能性を医師が排除するのを助ける。ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(Journal of the American Medical Association)の1995年の研究は、遊離型PSA検査によってPSAが4から10の間の患者における不必要な前立腺生体検査が約20%減少したことを示している。
高感度検査機器の利用は、いつ、どれぐらいの頻度で男性は前立腺癌の検査を受けるべきか、50歳以下で兆候が出ていない男性も日頃から検査を受けるべきかといった論争を生み出した。反対する者は、大規模スクリーニングは高価であり、早期検出が疾病の死亡率を下げるかどうかは結論が出ていないと主張している。一方、支持する者は、早期検出こそが治癒の可能性を最も高め、且つ命を救うことに繋がると主張している。アメリカがん協会(American Cancer Society)及びアメリカ泌尿器科学会(American Urological Association)は、50歳以上の全ての男性及び40歳以上の危険性の高い男性には、直腸指診と共に毎年のPSA検査を勧めている。
前立腺癌は、アメリカ人男性では3番目に多い癌である。前立腺癌は、主に老年の男性に発症する。10人の症例の内の約6人の症例は、65歳又はそれ以上の男性で診断され、40歳未満では稀である。発症と診断されたときの患者の平均年齢は、約66歳である。また、前立腺癌は、台湾人男性でも3番目に多い皮膚癌以外の癌である。
癌の治療法は、手術、化学療法及び放射線治療の3種類に分けられる。手術での切除による治療では、癌が発生した組織を除去することに重きが置かれる。しかしながら、手術での切除、化学療法及び放射線治療は、ヒトの細胞、組織、更には器官まで破壊し得る不可逆的方法である。このため、癌を有効的に治療又は抑制するだけなく、癌患者に不可逆的な二次傷害を与えない方法を提供することが急務である。
前立腺癌の危険性を高める因子としては、高齢、疾病のファミリーヒストリ及び人種等が挙げられる。約99%の症例は、50歳以上の男性で起こる。一等親以内の親族が前立腺癌を患った場合、危険性が2倍から3倍にまで高まる。前立腺癌は、アメリカでは白人よりも白人以外でより多く発症している。他の関連する因子としては、加工肉、赤肉又は乳製品の多い食事若しくは特定の野菜の少ない食事が挙げられる。淋病との関係も指摘されているが、その関連の原因は分かっていない。前立腺癌は、バイオプシによっても診断される。医療イメージングが、その後、癌が身体の他の部位に広がっていないか判定するために行われる。
多くのケースは、能動的監視又は経過観察(watchful waiting)により安全にフォローされている。他の治療は、手術、放射線療法、ホルモン療法又は化学療法の組み合わせを含む。疾病が前立腺の内部にのみ発生している場合、治癒可能である。疾病が骨にまで広がっている患者には、鎮痛剤、ビスホスホネート類、標的療法及び他の治療法が有効である。治療の結果は、患者の年齢、他の健康問題並びに癌の攻撃性及び伸張性に依存する。
大部分の前立腺癌患者は、疾病により死亡する訳ではない。アメリカでの5年生存率は99%に達する。全世界で前立腺癌は2番目に多い癌であり、男性の癌関連死では5位にあたる。2012年には前立腺癌が110万人の男性に発症し、約30万7千人が死亡した。前立腺癌は、84の国々において男性の最も一般的な癌であり、先進国で特に多い。発展途上国でも発症率が年々増加している。前立腺癌の検出率は、PSA検査の増加によって多くの地域で80年代及び90年代に顕著に増加した。無関係な死因により死亡した男性の研究では、60歳以上の30%から70%で前立腺癌が見つかった。
癌細胞は、時間の推移に伴って付近の組織、例えば、腋窩リンパ節や肺等に侵入することがあり、このように癌細胞が移動する過程は「転移」と略称される。前立腺癌を引き起こす確実な原因の大半は未だ分かっていないが、危険因子はいくつか知られている。
前立腺癌のステージ、腫瘍の大きさ及びその成長速度は、提供すべき治療法を決定する目安となる。前立腺癌は比較的侵襲性が高く、既存の治療法では限られた長期的成功しか得られない点が大きな問題であり、前立腺癌の治療法は過去数十年に亘って遅々として発展しなかった。
治療オプションとしては、腫瘍を除去する手術や化学治療を含む薬剤治療がある。化学治療法としては、標的療法(targeted-therapy)、放射線治療(radiation therapy)及び免疫療法(immunotherapy)等が挙げられる。
前立腺癌が腺体の外に広がっていない場合、前立腺癌の治癒には手術が選択されることが多い。前立腺癌手術の主要なタイプは、前立腺全摘術として知られる。この手術で外科医は、前立腺全体に加えて貯精嚢を含む周囲組織も摘出する。前立腺全摘術は、異なる方式で行うこともできる。
予後の生存率(見通し(outlook))を一層増加させるため、患者は自身の発症病徴や状況に類似の予後生存率統計データにより治療法を選択することができるが、治療の前には医師に充分に問い合わせて適切な治療法を決めた方が良い。
ここで、現代医学による手術法、化学療法及び放射線治療法等を癌治療方法として採用することができる以外に、特定の薬用植物を利用することにより癌を治療することが近年多くなってきている。これは、数世紀に亘って個人の健康維持や患者の疾病治療に地方、民間を通じて広く汎用されており、一般に、伝統的医学知識や民族的保健・治療法と称される。そのうち、漢方薬を使用する中国伝統医学(TCM)について記載する。
中国伝統医学(TCM)によれば、ベニクスノキタケ及びその菌糸体やそれらを使用した製品は、野生のベニクスノキタケの子実体と同様の医療効率で、例えば、抗酸化剤、抗アレルギー及び免疫刺激効果等を有し、人間自身の抗癌能力を活性化させて身体の健康を改善させ、治療に関連する症状や副作用を軽減させる機能を付与する薬用植物としてよく採用される(例えば、特許文献1参照)。
このため、ベニクスノキタケ製品及び/又は特にその活性成分が抽出された多くの製品、例えば、ベニクスノキタケオイル(Antrodia oil)、ベニクスノキタケ抽出物、ベニクスノキタケの組み合わせ等が、各種の医学、健康管理に広く応用されている。また、ベニクスノキタケ及び野生の牛樟が、近年、台湾政府により生物学の宝の1つに列挙されている。
ベニクスノキタケは、固有種の真菌である非菌網細菌(non-mesh skirt bacteria)で、台湾の海抜4500メートルから2000メートルの山地の森林で牛樟の内部心材(又は暗い色の/湿潤な木の表面)で生長する。これは、長年キノコや真菌を生み、且つ楠(具体的にはベニクスノキタケ)で数十年或いは更に長い時間をかけて腐った樹の幹の内壁や枯れた倒木の湿潤な表面のみで生長する。
ベニクスノキタケは、トリテルペン、免疫刺激多糖(例えば-D‐グルカン多糖)、アデノシン、ナイアシン、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、ステロイド、ビタミン、必須ミネラル及び他の医薬学的な活性成分(principle)を多く含んでいる。
また、ベニクスノキタケ抽出物及び/又はベニクスノキタケオイルは、人間の身体にとって重要な栄養素を多く含み、例えば、オレイン酸(oleic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、リノール酸(linoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、リノレン酸(linolenic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、アラキジン酸(arachidic acid)、ベヘン酸(behenic acid)、テトラコサン酸(tetracosanoic acid)、酢酸ヘプタデシル(n-heptadecyl acid)、ヘプタデカン酸(n-heptadecenoic acid)、ビタミンA(vitamin A)、ビタミンB、ビタミンE及びミネラルを含む。
そして、ベニクスノキタケは、様々な優れた機能や効果を示し、例えば、細胞の生存力、解毒力、遊離基除去力や免疫力等を増強させる機能、血圧や血糖値の低下を抑制する効果、アラニンアミノ基転移率やヒスタミン放出率を減少させる機能、腫瘍の転移発生率を抑制させる機能、肝細胞の再生能力を強化させる機能、マクロファージの捕食能力を増強させる機能及び効果等がある他に、人間に係る免疫疾病、冠状動脈疾病、心臓病、炎症の発生率を減少する効果や、身体の健康状態を改善及び増強する能力も有する。
そして、上述の医療効果を有するベニクスノキタケ及びベニクスノキタケの抽出物は、抗癌有効成分、抗癌剤又は抗癌医薬組成物として人々の注目を集めているが、ベニクスノキタケ又はその抽出物に含まれる具体的な活性成分又は生物活性構成が何であるかは、正確には分かっていない。そのため、ベニクスノキタケの抽出物及びそれらの抗癌活性成分を含む薬剤又は抗癌医薬組成物は、抗癌剤又は治療薬品として前立腺癌の治療や抑制に単独に使用することは今まで承認されていない。
これにより、医学及び薬剤学に至っては、前立腺癌の治療薬品について先行技術の欠点を解決でき、且つ前立腺癌の予防又は治療や抑制に用いることができる医薬組成物の開発が急務であり、また、人々を満足させられる優れた治療効果を有すると共に、医学及び薬剤学の承認された前立腺癌治療用薬品及びそれを使用した治療法又は前立腺癌を抑制できる薬品及びその投与方法の提供も求められている。
特開2014−214113号公報
上述を鑑み、本出願案の発明者は、従来の先行技術に残っているこれらの欠点及び問題に対して鋭意検討して研究を行った。
その結果、活性成分又は構成として、例えば、ベニクスノキタケから抽出されるアンクチン酸K(AnK)及び/又はアントロキノノールB(AnQB)を含む医薬組成物又はこれらを組み合わせたものを前立腺癌の治療及び/又は抑制に使用すると、驚くべきことに従来の抗癌剤による効果と比べ、予想を超える優れた効果を与えることが見い出された。
予想を超える優れた効果は、例えば、少なくとも発癌活性の低下又は調節、増殖の抑制、更には前立腺癌細胞の退縮、前立腺癌及び腫瘍転移の治療及び/又は抑制を含む。
これらの予想を超える優れた効果に加え、優れた化学的、生物学的、機械科学的及び物理学的特性を有するほか、良好な透過率及び輸送性能を更に有することも分かった。
また、前記医薬組成物又は組み合わせは、ユーザが摂取しやすく(短時間で消化及び吸収できる)、癌の治療及び/又は抑制のための薬品又はアジュバントとして用いることができ、また、特定の前立腺癌細胞に対して使用されると効果的に前立腺癌を抑制及び治療することができる。
従って、上記課題を解決するために、本発明は、(1)少なくとも、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体の抽出物から獲得されるアンクチン酸K(AnK)を含む第1の薬剤と、(2)少なくとも、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体から獲得されるアントロキノノールB(AnQB)を含む第2の薬剤と、を含むことを特徴として前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物は、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤の両方が投与された場合であれば、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に対し、前記第1の薬剤又は前記第2の薬剤の単独投与の場合より優れた相乗効果を発揮する。
本発明の一実施形態に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤は、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に有効なものであり、医薬学的に有効な量のアンクチン酸K(AnK)であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る医薬組成物において、前記第2の薬剤は、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に有効なものであり、医薬学的に有効な量のアントロキノノールB(AnQB)であることが好ましい。
また、本発明の他の一実施形態に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、植物性原薬(BDS)の調剤であることが好ましい。また、投与方式は特に限定されないが、例えば、併用投与、毎日の処方で投与、エピソード療法、静脈投与又は経口投与が例として挙げられ、それらの投与方式から任意に選択された方式で癌患者に投与することができる。
なお、本発明の更に他の一実施形態に係る医薬組成物において、アンクチン酸K(AnK)の含有量及び/又はアントロキノノールB(AnQB)の含有量は80mgから90mgの範囲であることが好ましく、それらの含有量の比率(AnK:AnQB)は約25:35から約35:25、約75:25から約25:75又は約100:17から約17:100の範囲内であることが好ましい。
更に、本発明の別の一実施形態に係る医薬組成物において、医薬学上許容可能な成分を更に含むことができる。例えば、媒介物、キャリア、希釈剤又は賦形剤を含む。賦形剤は、乳糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、じゃがいも澱粉、ゼラチン及びトラガカントから成る群から選択した少なくとも1つの成分を含むことが好ましい。
このほか、本発明の更なる他の一実施形態に係る医薬組成物において、吸収促進剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、塗布剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、調味剤、保湿剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、殺菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤及びそれらの混合物で組成されるグループから選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む。
本発明の精神及び内容をより完全且つ容易に理解できるようにするため、以下では本発明の各実施例をより詳細に描写し、具体的に各特定の実施形態を説明する。
しかしながら、本発明の技術分野で通常知識を有する当業者であれば、本発明は当然ながらこれらの実施例に限定されず、且つ本発明と同一又は同様の機能、効果又は過程を利用して本発明を達成できることを理解できるであろう。
まず、以下で用いられる用語、記述又は慣用句に関する記述的指示又は定義は、以下で別々に記載される。
他の定義がない限り、本明細書中で用いられる全ての技術及び科学用語は、クレームする対象物が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を持つ。
ちなみに、先の一般的な記載及び以下の詳細な記載は、例示及び説明に過ぎず、クレームする如何なる対象物も制限しない。本出願案において、他に明確な説明がない限り、単数を使用していても複数の場合を含む。
なお、上述及び下述の説明の中で明確な規定がない限り、本明細書及び付随のクレームで用いられる単数形式「一(a/an)」及び「前記(the)」は複数を含む。本出願案において、他の説明がない限り、「又は(or)」は「及び/又は(and/or)」を意味する。また、用語「を含む(including)」及び「を含む(include、includes及びincluded)」の使用は、何ら制限を表すものではない。
また、本明細書で使用する表題部分は、組織的な目的を表すものであり、記載される対象物を制限するものではない。
更に、本明細書で使用する用語「治療(treatment又はtreating)」は、部分的又は完全に重症度を軽減させ、発生プロセスを遅らせ及び/又は医療的病状、異常及び/又は行為障害の発生確率の1つ又は複数の兆候を抑制するために、ある種の医学的病状、兆候、疾病、病症又は初期病状を有する個別の被験者又は患者に対して医薬的及び/又は生理的効果を達成するために抑制、治癒又は緩和処理を実施することを指す。
本明細書で使用する用語「有効量(effective amount)」とは、ある量で癌の医療薬が直接的又は間接的に投与される際に、癌細胞の数が減少する効果又は癌の治療や抑制等の具体的な目的を達成可能な量を指す。
本明細書で使用する用語「特定量(certain amount)」とは、疾病の治療や抑制に対し一定の効果を発揮できるように、その患者に投与する特定の有効量を指す。
本明細書で使用する用語「個体(或いは個別被験者)」又は「患者」とは、治療に用いられる化合物及び/又は方法を許容できる人間を指すが、互換に用いられ得る。特別に説明しない限り、「個体(或いは個別被験者)」又は「患者」は、雄及び雌の両性別を含む。また、特別に説明しない限り、本発明に係る医薬組成物及び/又は方法が適用される治療対象としての個体又は患者は、人間を指すことが一般的である。
この明細書において、本発明の範囲を限定するパラメータの数値は、検査方法による標準偏差をそれぞれ実質的に含むため、その数値の近似値を表示することも含まれている。しかしながら、実施例の具体的な実施方法においては、なるべく正確に前記値を示す。
本明細書において、「近似(又は約)」とは、本発明が属する技術分野で通常知識を有する者により判定される。
通常、本明細書で使用する「約(about)」は、実験での予期する誤差範囲内の量を含む。このため、「約10μg」とは「約10μg」及び「10μg」を表す。許容可能な標準偏差の範囲内の実際値を指し、これは正確な量を含み、例えば、±10%で表示された実際値は、特定値の±5%、±1%又は±0.5%の範囲内を意味する。
本発明の一実施形態に係る前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物は、第1の薬剤及び第2の薬剤を含んでおり、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、それぞれベニクスノキタケの抽出物から別々に獲得されるものであることが好ましい。
本発明に係る前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物において、前記第1の薬剤は限定されないが、少なくともアンクチン酸K(AnK)を含むことが好ましい。ここで、「アンクチン酸K(AnK)」とは、通常、以下の化1に示す化学構造を有し、分子式はC2944、且つ分子量は488.7であるものを意味する。なお、アンクチン酸Kは、アントシンKとも言われる。
Figure 2017119676
ベニクスノキタケは、文献の記載の通り、癌治療に用いられる生物活性成分、例えば、アンクチン酸K(AnK)を多く含んでいる。本発明に係る前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物において、前記第1の薬剤が含むアンクチン酸K(AnK)としては、例えば、ベニクスノキタケの抽出物から精製又は分離することにより獲得されたものを使用することができる。
ベニクスノキタケから抽出される抽出物には、文献の記載の通り、癌の治療に有効な成分が多く含まれており、例えば、セスキテルペノイド(セスキテルペノイド化合物)、ジテルペン、トリテルペン、ステロイド、五員環構造のフラン(Furan)類、ピロール(Pyrrole)類、フェニルプロパノイド化合物(Lignoids)、ベンゼノイド化合物(Benzenoids)、スーパーオキシドディスムターゼ、アミノ酸等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分であるセスキテルペノイドとしては、例えば、アントロシン(Antrocin)が例として挙げられるが、特に限定されることはなく、それに類似するものを使用することもできる。
また、ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分であるジテルペン(ジテルペン化合物)としては、例えば、19‐ヒドロキシラブダ‐8(17)‐エン-16,15‐オリド、3β,19‐ジヒドロキシラブダ‐8(17)、11E‐ジエン‐16,15‐オリド、13‐epi‐3β,19‐ジヒドロキシラブダ‐8(17),11E‐ジエン‐16,15‐オリド、19‐ヒドロキシラブダ‐8(17),13‐ジエン‐6,15‐オリド、14‐デオキシ‐11,12‐ジデヒドロアンドログラフ‐オリド、14‐デオキシ‐アンドログラフォリド、ピヌソリジン酸(pinusolidic acid)等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
また、ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分であるトリテルペンとしては、例えば、カンホラチンB(Camphoratin B)、カンホラチンA、アントシンK(Antcin K)、アントシンI(ザンクイン酸B、3α‐ヒドロキシ‐4α‐メチルエルゴスト(methylergost)‐8,24(28)‐ジエン‐7,11‐ジオン‐26-‐酸)、カンホラチンE、アントシンH(ザンクイン酸C、3α,12α‐ジヒドロキシ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐7,11‐ジオン‐26‐酸)、メチルアントシネート(methyl antcinate)H(3α,12α‐ジヒドロキシ‐7,11‐ジオキソ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐26‐酸エステル(oate))、ザンクイン酸E、カンホラチンC、カンホラチンH、カンホラチンI、アントシンA(1,4α‐メチルエルゴスト‐8,4(8)‐ジエン‐3,11‐ジオン‐26‐酸)、カンホラチンJ、メチルアントシネートA(4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐3,11‐ジオン‐26‐メチル)、アントシンE(3,11‐ジオキソ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,14,24(28)‐トリエン‐26‐酸)、アントシンC(7β‐ヒドロキシ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐3,11‐ジオン‐26‐酸)、カンホラチンG、アントシンF(3,11‐ジオキソ‐7β‐ヒドロキシ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,14,24(28)‐トリエン‐26‐酸)、カンホラチンD、カンホラチンF、メチルアントシネートG(7α‐アセトキシ‐3,11‐ジオキソ‐4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐26‐酸エステル)、アントシンB(ザンクイン酸A、4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐3,7,11‐トリオン‐26‐酸)、アントシンD(ザンクイン酸F、14‐ヒドロキシ‐4α‐メチル‐3,7,11‐トリオキソエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐26‐酸)、メチルアントシネートB(4α‐メチルエルゴスト‐8,24(28)‐ジエン‐3,7,11‐トリオン‐26‐メチル)、デヒドロビリコ酸、エブリコール(eburicol)(24‐メチレンジヒドロラノステロール)、エブリコ酸(35)、7スルフレン酸(sulphurenic acid)、ベルシスポン酸(versisponic acid)D、デヒドロエブリコ酸、デヒドロスルフレン酸、15α‐アセチルデヒドロスルフレン酸、3β,15α‐ジヒドロキシラノスタ‐7,9(11)、24‐トリエン‐21酸、epi‐フリーデリノール(epi-friedelinol)等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
ステロイドとしては、例えば、β‐シトステロール、スチグマステロール(44),16エルゴステロールペルオキシド、エルゴステロールD、エルゴステロール、β‐シトステノン(sitostenone)、エルゴスタ‐4,7,8(14)、22‐テトラエン‐3‐オン、エルゴスタ‐2,4,8(14)、22‐テトラエン‐3‐オン等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
また、ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分である五員環構造のフラン(Furan)類、或いはピロール(Pyrrole)類としては、例えば、アントロシンナモミン(Antrocinnamomin)C(3‐イソブチル‐4‐(4‐ヒドロキシフェニル)フラン‐2,5‐ジオン)、3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]フラン‐2,5‐ジオン、アントロシンナモミンD(2‐ヒドロキシ‐3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチルブタ‐エニルオキシ)フェニル]‐2H‐フラン‐5‐オン)、シス‐3‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐4‐イソブチル‐ジヒドロフラン‐2,5‐ジオン、ジメチル‐2‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐3‐イソブチル‐マレイン酸、3‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐4‐イソブチル‐1H‐ピロール‐2,5‐ジオン、3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]‐1H‐ピロール‐2,5‐ジオン(アントロジン(antrodin)B、カンホラタイミド(camphorataimide)B)、トランス‐3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]ピロリジン‐2,5‐ジオン、アントロシンナモミンB(3‐イソブチル‐4‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐1H‐ピロール‐1‐оle(ole)‐2,5‐ジオン)、3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]‐1H‐ピロール‐1‐оle‐2,5‐ジオン(アントロジンC、カンホラタイミドC)、アントロシンナモミンA(3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]‐1H‐ピロール‐1‐アセトキシ‐2,5‐ジオン)、トランス‐1‐ヒドロキシ‐3‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐4‐イソブチルピロリジン ‐2、5‐ジオン、3R,4S‐1‐ヒドロキシ‐3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]ピロリジン‐2,5‐ジオン)、アントロジンD(カンホラタイミドD、3R,4R‐1‐ヒドロキシ‐3‐イソブチル‐4‐[4‐(3‐メチル‐2‐ブテニロキシ)フェニル]ピロリジン‐2,5‐ジオン)、アントロジオキソラノン(antrodioxolanone)等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
なお、ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分であるフェニルプロパノイドとしては、例えば、(+)-セサミン、(-)-セサミン、4-ヒドロキシセサミン、アプトシモン(Aptosimon)等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分であるベンゼノイド化合物としては、例えば、1,4‐ジメトキシ‐2,3‐メチレン-ジオキシ‐5‐メチルベンゼン、2,5‐ジ-エトキシ‐3,4‐メチレン‐ジオキシベンゾエート、4,5‐ジメトキシ‐2,3‐メチレン‐ジオキシベンゾイック、2,4,5‐トリメトキシベンズアルデヒド、2,3‐メチレン‐ジオキシ‐6‐メチルベンゼン‐1,4‐ジオール、2,4‐ジメトキシ‐6‐メチルベンゼン‐1,3‐ジオール、ベンゾカンフォリン(benzocamphorin)C、5‐メチルベンゾ[1、3]‐ジオキソール‐4,7‐ジオン、2‐メトキシ‐5‐メチル[1、4]ベンゾキノン、2,3‐ジメトキシ‐5‐メチル[1、4]ベンゾキノン、イソブチフェノール、2,3,4,5‐テトラメトキシベンゾイルクロリド、2,2,5,5‐テトラ‐メトキシ‐3,4,3,4‐ビス(メチレンジオキシ)‐6,6‐ジメチルビフェニル、ベンゾカンフォリンE、ベンゾカンフォリンD、アントロカンフィン(antrocamphin)A、アントロカンフィンB、ベンゾカンフォリンA、ベンゾカンフォリンB等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
より詳しくは、ベニクスノキタケの抽出物において、癌の治療に有効な生物成分である他の化合物としては、例えば、α‐トコスピロB、オレインメチル、アントロキノノール、アントロキノノールB、4‐アセチルアントロキノノールB、アデノシン、コルジセピン等が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。
本発明に係る一実施形態において、第1の薬剤は、主成分であるアンクチン酸K(AnK)の他に、副成分を更に含んでいてもよい。副成分としては、例えば、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、トリテルペノイド、ステロイド、五員環骨架を有するフラン類化合物又はピロール類化合物、リグノイド化合物、ベンゼノイド化合物、スーパーオキシドディスムターゼ、アミノ酸、及びそれに類似するものからなる群より選択された少なくとも一つの化合物が挙げられる。第1の薬剤における副成分としては特に限定されることはないが、アントロキノノール、アントロシナモニンA、アントロシナモニンB、アントロキノノールD、ザンクイン酸A、ザンクイン酸C、アントシンK、アントシンC、及びそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましい。
本発明に係る前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物において、第2の薬剤としては、例えば、アントロキノノールB(AnQB)を少なくとも含むものが挙げられるが、これらに特に限定されることはない。この明細書において、「アントロキノノールB(AnQB)」は、以下の化2に示す化学構造を有し、分子式はC2438であり、分子量は406であるものを指すことが一般的である。
Figure 2017119676
本発明に係る一実施形態において、第2の薬剤は、主成分とするアントロキノノールB(AnQB)の他に、副成分を更に含んでもいてもよい。副成分としては、例えば、セスキテルペノイド(セスキテルペノイド化合物)、ジテルペン、トリテルペン、ステロイド、五員環構造のフラン(Furan)類又はピロール(Pyrrole)類、フェニルプロパノイド化合物(Lignoids)、ベンゼノイド化合物(Benzenoids)、スーパーオキシドディスムターゼ及びアミノ酸及びそれに類似するものから成る群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことができる。好ましい副成分は、アントロキノノール、アントロシナモニンA、アントロキノノールD、デヒドロスルフレン酸、ザンクイン酸A、ザンクイン酸C、アントシンK、アントシンC及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つを含むものであればいいが、これに特に限定されることはない。
本発明に係る医薬組成物において、第1の薬剤及び/又は第2の薬剤として使用される抽出物は、例えば、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体を従来に熟知されている精製方法で先行技術の通り分離して獲得することができるが、これに特に限定されることはない。
本発明に係る一実施形態において、前記の抽出物の原料としては、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体であればいいが、これに特に限定されることはない。前記の抽出物の原料種類に拘わらず、本発明に適用される抽出方法は、例えば、非極性溶媒抽出法、高極性溶媒抽出法、低極性溶媒抽出法、高温抽出法、低温抽出法、超臨界抽出法及びそれらを組み合わせた方法から成る群から選択した少なくとも一つが例として挙げられるが、それに類似する方法を利用することもできる。
本発明に係る一実施形態において、ベニクスノキタケの抽出に適合する溶媒としては、例えば、一般的な水、無機溶媒、有機溶媒が例として挙げられるが、これに特に限定されることはなく、それに類似するものが適用される。本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、プロパノール(propanol)等のアルコール(alcohol)、酢酸エチル(ethyl acetate)等のエステル(ester)、ヘキサン(hexane)等のアルカン(alkanes)、クロロメタン(chloromethane)、クロロエタン(chloroethane)等のハロゲン化アルカン(halogenated alkane)が例として挙げられるが、これに特に限定されることはない。好ましくは、水及びエタノールであり、特に好ましくはエタノールである。
本発明に係る一実施形態において、ベニクスノキタケの抽出に適用する抽出温度は特に限定されることはないが、例えば、0℃以下でもよく、0℃から40℃の低温範囲内の温度でもよく、それとも、50℃から150℃の高温範囲内の温度でもよい。
本発明に係る一実施形態において、前記アントロキノノールB(AnQB)及び前記アンクチン酸K(AnK)は、それぞれベニクスノキタケ抽出物からの分離及び/又は精製により獲得することができる。本発明に適用する分離及び/又は精製は特に限定されることはないが、例えば、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、ガス‐液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びそれに類似する方法から選択した少なくとも一つの方法を任意に採用することができる。
具体的には、本発明に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤及び/又は前記第2の薬剤を含むベニクスノキタケの抽出物は、例えば、(A)ベニクスノキタケの子実体に対し、45℃〜100℃の温度範囲内の熱水で抽出することにより、抽出物HW及び残留物HRを得て、(B)得られた前記残留物HRを分留して分留装置中の凝縮液体から収集することにより、抽出物FD及び残留物FRを得て、(C)得られた残留物FRを低極性溶媒に少なくとも4時間浸漬して抽出することにより、抽出物LPS及び残留物LPRを得て、(D)得られた残留物LPRに0℃〜15℃の温度範囲内の氷冷エタノール/水を添加する超低温凝縮により、抽出物IEW及び残留物IERを得て、(E)得られた残留物IERに対して31.26℃の温度及び72atmの圧力の下で溶媒としてCO2を利用した超臨界流体抽出(SCF)法により、抽出物SCF及び残留物SCRを得る抽出方法により獲得されることが好ましいが、これに特に限定されることはない。
本発明に係る前記アントロキノノールB(AnQB)及び/又は前記アンクチン酸K(AnK)に対し、従来技術で用いられている任意の検査方法で検査して医学的効果の有無を確認することができる。例えば、本発明に係る一実施形態において、3‐(4、5‐ジメチルチアゾール‐2‐yl)‐2、S‐ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)のMTT試験、前立腺癌細胞株の細胞生存率の検査により、前立腺癌の治療、前立腺癌細胞の成長の抑制等に医薬的効果があるかどうかを検知することができる。
前記アントロキノノールB(AnQB)及び/又は前記アンクチン酸K(AnK)は、本発明の一実施形態におけるMTT試験において、前立腺癌細胞株であるPC‐3及びDU‐145の生存率を同時に低下させる機能があり、且つ半数阻害濃度(IC50)値が相対的に低いことが証明された。
従って、本発明に係る医薬組成物は、少なくともアンクチン酸K(AnK)を含む第1の薬剤及び少なくともアントロキノノールB(AnQB)を含む第2の薬剤を有するため、前立腺癌細胞の成長の抑制について非常に有用なものである。そして、本発明に係る医薬組成物は、前立腺癌の治療に対し、従来技術より一層治療効果を向上させることができ、更に有効な薬用組成物、薬剤及び製剤に適用することができる。
また、本発明に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、特に限定されることはないが、例えば、植物性原薬(BDS)や調剤に適用することができる。なお、本発明に係る医薬組成物を人間の癌患者に投与する方式は、例えば、併用投与、毎日の処方、エピソード療法、静脈投与又は経口投与が例として挙げられるが、これらの方式に特に限定されることはなく、どのような方式で投与されてもよい。
本発明に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤としてのアンクチン酸K(AnK)及び前記第2の薬剤としてのアントロキノノールB(AnQB)の有効量は、前立腺癌の治療、前立腺癌の転移の予防又は前立腺癌の転移可能性の低下に医薬的に有効な量であればよく、特に限定されることはない。
また、前記第1の薬剤としてのアンクチン酸K(AnK)及び前記第2の薬剤としてのアントロキノノールB(AnQB)の有効量は、それぞれ0.01mg〜2000.0mgの範囲であることが望ましい。例えば、投与される量は0.01mg〜10.0mgの範囲内にする例が、本発明に係る一実施形態に挙げられる。好ましくは0.01mg〜8.50mgの範囲内であり、より好ましくは0.01mg〜6.50mgの範囲内であり、特に好ましくは0.01mg〜5.00mgの範囲内が最適である。
なお、本発明に係る一実施形態の医薬組成物において、前記アンクチン酸K(AnK)の含有量に対する前記アントロキノノールB(AnQB)の含有量の比率(AnK:AnQB)は特に限定されることはないが、例えば、約1.0:1.0から約1.0:20.0の範囲内でもよく、約1.0:1.0から約1.0:15.0の範囲内であることが望ましい。好ましくは、約1.0:1.0から約1.0:9.0の範囲内であり、より好ましくは約3.0:1.0から約1:9.0の範囲内であり、特に好ましくは約9.0:1.0から約1.0:9.0の範囲内で投与される。
また、本発明に係る他の実施形態において、前記医薬組成物は、医薬学的に許容可能な成分を更に含むことができる。その成分としては、例えば、媒介物、キャリア、希釈剤又は賦形剤が例として挙げられるが、特に限定されることはない。なお、本発明に係る他の実施形態において、前記医薬組成物における賦形剤としては、例えば、乳糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、じゃがいも澱粉、ゼラチン、トラガカント及びそれらの混合物から成る群から選択した少なくとも一つの成分や化合物が例として挙げられるが、特に限定されることはない。
このほか、本発明における上記医薬組成物には、添加剤を更に含むことができる。本発明に係る他の実施形態において、上記添加剤としては、例えば、吸収促進剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、塗布剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、調味剤、保湿剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、殺菌剤、甘味料、湿潤剤及びそれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1つの成分又は化合物が例として挙げられるが、特に限定されることはない。
更に、本発明に係る一実施形態において、上記医薬組成物は、更に製作工程で、例えば、液状の製剤にすることができる。前記液状の製剤は、経口投与に適用できる経口懸濁液、乳剤、微乳濁液及び/又は固化液体(エリキシル剤)であることが望ましい。液状の製剤である場合、本発明に係る医薬組成物には、有効成分の他に、甘味料、調味剤、色素、染料等の様々な製剤を添加剤として更に混合することができ、必要に応じて、乳化剤及び/又は懸濁剤、水、アルコール(alcohol)、プロピレングリコール(Propylene glycol)、グリセリン(glycerin)及び他の希釈剤、或いはpH値を保持するための緩衝剤(maintain buffer)を更に含むことができる。
また、本発明に係る上記医薬組成物が液体の製剤である場合、他の実施形態においては、その製剤を更に殺菌することで、無菌での注射溶液又は懸濁液にすることができる。また、その製剤を他の溶液になるように製造することもでき、例えば、静脈注射、筋肉内注射、腹膜内注射又は皮下投与で投与できる溶液にすることが望ましい。
無菌での上述注射溶液又は上記懸濁液には、更に希釈剤を添加することができる。希釈剤としては例えば、1,3‐ブタンジオール(Butanediol)、マンニトール(mannitol)、水、リンガー溶液(Ringer's solution)、 等張食塩水(Isotonic sodium chloride)が例として挙げられるが、これらに特に限定されることはない。その他、薬剤学的に許容可能な天然オイル又は脂肪酸を添加することもできる。この場合、例えば、オレイン酸(oleic acid)、グリセリン誘導物(glycerol derivatives)、オリーブオイル、キャノーラ油及びそれに類似するものが例として挙げられる。
以下、本発明に係る実施形態について、実施例を参照ながら更に詳しく説明する。しかしながら、以下の実施例で例示した実施形態は、本発明の範囲を制限するものではなく、本技術分野で通常知識を有する者ならばそれを容易に修飾、調整及び変更することができるため、これらの修飾、調整や変更も本発明及び付随のクレームの精神の範囲に含まれる。
本発明の実施例の詳細は、以下の通りである。
《実施例1》(ベニクスノキタケによる抽出物A)
まず、本発明に係る医薬組成物において、前記第1の薬剤及び/又は前記第2の薬剤を含むベニクスノキタケの抽出物Aは、(A)ベニクスノキタケの子実体に対して45℃〜100℃の温度範囲内の熱水で抽出することにより、抽出物HW及び残留物HRを得て、(B)得られた前記残留物HRを分留して分留装置中の凝縮液体から収集することにより、抽出物FD及び残留物FRを得て、(C)得られた残留物FRを低極性溶媒に少なくとも4時間浸漬して抽出することにより、抽出物LPS及び残留物LPRを得て、(D)得られた残留物LPRに0℃〜15℃の温度範囲内の氷冷エタノール/水を添加する超低温凝縮により、抽出物IEW及び残留物IERを得て、(E)得られた残留物IERに対して31.26℃の温度及び72atmの圧力の下で溶媒としてCO2を利用した超臨界流体抽出(SCF)法により、抽出物SCF及び残留物SCRを得る抽出方法により獲得された。
その後、抽出物HW、抽出物FD、抽出物LPS、抽出物IEW及び抽出物SCFを均一に混合して混合物を形成した。その混合物を抽出物Aとした。
《実施例2》(抗前立腺癌効果の体外での生存分析)
実施例1で得られた抽出物Aから、アントロキノノールB(AnQB)及びアンクチン酸K(AnK)を別々に単離した。そして、単離したアントロキノノールB(AnQB)及びアンクチン酸K(AnK)を、ヒト前立腺癌細胞であるPC‐3細胞株又はDU‐145細胞株の培地に添加し、MTT(3‐[4,5‐ジメチルチアゾール-2‐基]2,5‐ジフェニルテトラゾリウム臭化物)試験を実行した後、癌細胞の生存率や増殖率を検証して抗癌薬品フィルタモデルで評価した。
PC‐3細胞株は、前立腺癌の研究に用いられる細胞株の1つであり、進行性前立腺癌細胞の生化学的変化の探求及び化学療法薬の反応の評価に用いることができ、また、マウスに皮下腫瘍を発症させることで生体における腫瘍環境モデルの探求にも用いられる。
PC‐3細胞株は、テストステロン‐5‐α還元酵素及び酸性ホスファターゼ活性を有し、PSA(前立腺特異抗原)を発現せず、且つPSMA(前立腺特異的膜抗原)陰性である。また、核型解析は、PC‐3が62本の染色体を有し、ほぼ三倍体であることを示した。Qバンド解析は、Y染色体がないことを示した。電子顕微鏡は、形態学の観点からPC‐3が低分化型腺癌の特性を示すことを明らかにした。PC‐3は、上皮起源の腫瘍細胞と共通した特徴(例えば、多くの微絨毛、接合部複合体、異常な核及び核仁、異常なミトコンドリア、環状ラメラ及び脂質小体)を有する。
DU‐145細胞株及びPC‐3細胞株は、ヒト前立腺癌の「標準的」な細胞株である。DU‐145細胞は、高い転移能を有するPC‐3細胞と比較すると中程度の転移能を有する。
DU‐145細胞株は、脳転移に由来する。DU‐145は、ホルモン感受性を有さず、前立腺特異抗原(PSA)を発現していない。
NF-κBリガンドRANKLの投与は、骨でのDU‐145細胞の浸潤を促進し、骨溶解病変を引き起こすことが示されている。また、DU‐145細胞は、前骨芽細胞前駆体を活性化し、且つRANKL発現を増加させることで、骨への前立腺癌の転移を促進する液性因子を産生する。
ヒト前立腺癌細胞であるPC‐3及びDU‐145は、ウシ胎児血清を含む培地中で18時間培養された後、PBSで1回洗浄され、その後1xトリプシン‐EDTAにより処理され、2500rpmで80分間遠心分離された。上澄み液は捨てられ、細胞ペレットは緩やかな攪拌により200mlの新鮮培地中に再懸濁された。細胞は、96ウェルプレートに載置された。
その後、プレートをELISAリーダにより読み取り、生存率が決定された。半数阻害濃度(IC50)が計算され、生体外(ex vivo)生存アッセイの結果が得られた。
その結果、前立腺癌細胞PC‐3及びDU‐145の生存率が低下したことが示されたので、アントロキノノールB(AnQB)及びアンクチン酸K(AnK)により前立腺癌細胞の成長が抑制されたと推定することができる。換言すれば、医薬学的な有効量のアントロキノノールB(AnQB)及びアンクチン酸K(AnK)は、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に応用し得る。
《実施例3〜8》(本発明の医薬組成物)
実施例1の抽出物Aから分離されたアンクチン酸K(AnK)を活性成分として含む第1の薬剤及び実施例1の抽出物Aから分離されたアントロキノノールB(AnQB)を活性成分として含む第2の薬剤が、表1に示す組成比率に従って均一に混合され、前立腺癌の抑制及び/又は治療に用いられる医薬組成物A〜Fが作製された。
Figure 2017119676
上記実施例2と同様の方式で、ヒト前立腺癌細胞株PC‐3及びDU‐145をそれぞれ培養した後、本発明に係る医薬組成物A〜Fをそれぞれ別々に添加し、各サンプルに対してMTT試験を実行することによって本発明に係る医薬組成物A〜Fが使用される場合の各種前立腺癌細胞活性の抑制効果を評価した。
その評価結果によれば、ヒト前立腺癌細胞株PC‐3及びDU‐145は、本発明に係る医薬組成物A〜Fにより抑制され、特に、医薬組成物A〜FのIC50(pg/ml)は、それぞれ従来技術よりも優れていた。要約すると、この結果は、本発明に係る医薬組成物が各種前立腺癌の治療に医薬効果を示す有効な薬品であることを示している。
なお、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。

Claims (16)

  1. (1)少なくとも、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体の抽出物から獲得されるアンクチン酸K(AnK)を含む第1の薬剤と、
    (2)少なくとも、ベニクスノキタケの子実体又は菌糸体の抽出物から獲得されるアントロキノノールB(AnQB)を含む第2の薬剤と、を含み、前立腺癌の患者を治療するための医薬組成物であって、
    前記第1の薬剤又は前記第2の薬剤の単独投与と比べ、前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤の両方が投与された場合に、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に対して相乗効果を発揮することを特徴とする前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  2. 前記第1の薬剤が、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に対して医薬学的に有効な量のアンクチン酸K(AnK)であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  3. 前記第2の薬剤が、前立腺癌の治療若しくは前立腺癌の転移の防止又は低下に対して医薬学的に有効な量のアントロキノノールB(AnQB)であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  4. 前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、植物性原薬(BDS)の調剤であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  5. アンクチン酸K(AnK)の含有量及び/又はアントロキノノールB(AnQB)の含有量は、80mgから90mgの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物 。
  6. アンクチン酸K(AnK)の含有量に対するアントロキノノールB(AnQB)の含有量の比率(AnK:AnQB)は、約25:35から約35:25の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物 。
  7. アンクチン酸K(AnK)の含有量に対するアントロキノノールB(AnQB)の含有量の比率(AnK:AnQB)は、約75:25から約25:75の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物 。
  8. アンクチン酸K(AnK)の含有量に対するアントロキノノールB(AnQB)の含有量の比率(AnK:AnQB)は、約100:17から約17:100の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物 。
  9. 媒介物、キャリア、希釈剤又は賦形剤を含む医薬学的に許容可能な成分を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  10. 前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、癌患者の治療のために投与されることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  11. 前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、併用投与されることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  12. 前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤は、毎日の処方で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  13. 前記第1の薬剤及び前記第2の薬剤の組成物は、エピソード療法、静脈投与、又は経口投与により投与されることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  14. 前記賦形剤は、乳糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、じゃがいも澱粉、ゼラチン及びトラガカントから成る群から選択した少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする、請求項9に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  15. 吸収促進剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、塗布剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、調味剤、保湿剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、殺菌剤、甘味料、湿潤剤及びそれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1つの添加剤を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
  16. 前記前立腺癌の細胞は、PC‐3細胞株又はDU‐145細胞株であることを特徴とする、請求項1に記載の前立腺癌の治療に用いられる医薬組成物。
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