JP2017116219A - 空気調和機 - Google Patents

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久史 武市
Hisashi Takechi
久史 武市
貴光 黒川
Takamitsu Kurokawa
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Abstract

【課題】複数の圧縮機を具備する空気調和機において、一部の圧縮機を停止させるとともに残りの圧縮機を運転させる場合であっても、油を効率良く利用できるようにする。【解決手段】気液分離器Aにより分離されたガス冷媒を各圧縮機C1、C2に吸入させるとともに、互いに独立して設けられた複数の吸入管410,420と、気液分離器Aにより分離された油を複数の吸入管410,420に分配する油分配機構500とをさらに具備し、油分配機構500が、一端が気液分離器Aにおける油導出ポートに接続されたメイン管510と、メイン管510の他端に接続された分岐部520と、一端が分岐部520に接続されるとともに他端が互いに異なる吸入管410,420に接続された複数の分岐管531、532とを有し、各分岐管531、532の他端を、吸入管410,420における鉛直方向下端部G1、G2に接続した。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の圧縮機を備えた空気調和機に関するものである。
この種の空気調和機は、特許文献1に示すように、並列に設けられた第1圧縮機及び第2圧縮機と、蒸発器を通過した冷媒が導入される気液分離器と、前記気液分離器により分離されたガス冷媒を各圧縮機に吸入させる第1吸入管及び第2吸入管とを具備したものがある。
この空気調和機は、前記気液分離器により分離された油を各圧縮機に戻す第1油戻し配管及び第2油戻し配管とをさらに具備している。これらの油戻し配管は、一端側が気液分離器の油取り出し部に接続された共通の配管であり、他端側が共通の配管から分岐して第1吸入管又は第2吸入管に接続された分岐配管である。
ところで、上述した構成において、一方の圧縮機を停止させるとともに他方の圧縮機を運転させる場合、停止させた圧縮機に接続された分岐管に油が取り残されてしまい、この油は圧縮機を停止させている間利用されないことになる。
しかしながら、特許文献1に記載された構成は、各圧縮機に油を均一に戻すことのみを目的としたものであり、一方の圧縮機を停止させた場合に油が効率良く利用することができなくなってしまうことについては、なんら考慮されていない。
特開平10−73330号公報
そこで本願発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、複数の圧縮機を具備する空気調和機において、一部の圧縮機を停止させたとしても、より多くの油を圧縮機に戻せるようにすることを課題とするものである。
すなわち、本願発明に係る空気調和機は、複数の圧縮機と、蒸発器を通過した冷媒が導入される気液分離器とを具備するものであって、前記気液分離器により分離されたガス冷媒を前記各圧縮機に吸入させるとともに、互いに独立して設けられた複数の吸入管と、前記気液分離器により分離された油を前記複数の吸入管に分配する油分配機構とをさらに具備し、前記油分配機構が、一端が前記気液分離器における油導出ポートに接続されたメイン管と、前記メイン管の他端が接続された分岐部と、一端が分岐部に接続されるとともに他端が互いに異なる前記吸入管に接続された複数の分岐管とを有している。
そして、この空気調和機は、前記各分岐管の他端が、前記吸入管における鉛直方向下端部に接続されていることを特徴とする。
このような空気調和機であれば、各分岐管の他端が、吸入管における鉛直方向下端部に設けられているので、一部の圧縮機を停止させた場合に、停止させた圧縮機に接続された吸入管内の油は、自重で分岐管に流れ込む。そして、この油は、分岐部を介して運転している圧縮機に接続された吸入管へ流入し、運転している圧縮機に供給される。
このように、本願発明によれば、一部の圧縮機を停止させたとしても、従来よりも多くの油を運転している圧縮機に戻すことができる。
具体的な実施態様としては、第1圧縮機及び第2圧縮機と、前記各圧縮機に対応して設けられた第1吸入管及び第2吸入管と、前記第1吸入管に接続される第1分岐管及び前記第2吸入管に接続される第2分岐管とを具備しており、下記の式を満たすように構成されている構成が挙げられる。
hmax≧|P1−P2|
ΔP_ARV+h_ARV≧Max|Pa−Px|
ただし、hmaxは、分岐部から第1吸入管と第1分岐管との接続部分までの揚程圧差又は分岐部から第2吸入管と第2分岐管との接続部分までの揚程圧差のうち大きい方の圧力、P1は、前記第1吸入管内における鉛直方向下端部の圧力、P2は、前記第2吸入管内における鉛直方向下端部の圧力、ΔP_ARVは、前記メイン管の抵抗値、h_ARVは、気液分離器の底面から第1吸入管又は第2吸入管の鉛直方向下端部までの揚程圧差、Paは、気液分離器内の圧力、Pxは、P1又はP2である。
このような構成であれば、第1圧縮機と第2圧縮機との容量が異なる場合であっても、停止させた一方の圧縮機から運転している他方の圧縮機へと油を戻すことができる。
前記油分配機構が、前記メイン管に設けられた開閉弁を有していることが好ましい。
このような構成であれば、気液分離器により分離された液冷媒量が多い場合に、開閉弁を閉じれば、液冷媒が圧縮機に流れ込むことを防ぐことができる。
油分配機構を構成する配管の実施態様としては、前記各分岐管の抵抗値と前記メイン管の抵抗値とが、η:(1−η)であることが好ましい。
ただし、ηは、0.5以上0.8以下である。
前記分岐部としては、第1分岐管が接続される第1ポート、第2分岐管が接続される第2ポート、及びメイン管が接続される第3ポートを有したT継手が好ましい。
これならば、分岐部を簡単な構成で安価なものにすることができるうえ、分岐管を流れる油の動圧に起因してメイン管の油流れが妨げられることを防ぐことができる。
前記複数の圧縮機それぞれに対応して設けられ、前記圧縮機から吐出された油含有冷媒から油を分離する複数の油分離器と、前記油分離器により分離された油が導入されるとともに、この油分離器に対応した圧縮機とは別の圧縮機に前記油を導出するための複数の油導出管とをさらに具備していることが好ましい。
このような構成であれば、各油分離器によって分離された油を、これらの各油分離器に対応する圧縮機とは別の圧縮機に供給させることができるので、複数の異容量の圧縮機を運転させる場合であっても、特定の圧縮機に油が偏る、いわゆる偏油を防ぐことができる。
前記各油導出管が、その一端が前記油分離器の油導出口に接続されるとともに、他端が
前記吸入管における前記分岐管との接続箇所よりも圧縮機側に接続されていることが好ましい。
このような構成であれば、油導出管から吸入管に流れ込んだ油は自重で分岐管へ流れ込むので、一部の圧縮機を停止させたとしても、油分離器により分離された油を確実に別の運転している圧縮機に戻すことができる。
このように構成した本発明によれば、複数の圧縮機を具備する空気調和機において、一部の圧縮機を停止させたとしても、従来よりも多くの油を圧縮機に戻すことができる。
本実施形態における空気調和機の冷媒回路を模式的に示す回路図。 同実施形態の気液分離器の構成を模式的に示す図。 同実施形態における油の流れを説明する図。 同実施形態の油分離器の構成を模式的に示す図。 同実施形態の油分離器の構成を示す断面図。 同実施形態の油分離器の構成を示す断面図。 同実施形態の油分離器の効果を示す実験データ。 同実施形態の油分離器の油含有冷媒の流れをシミュレーションした結果。 同実施形態の油分離器の効果を示す実験データ。 同実施形態の油分離器の効果を示す実験データ。 同実施形態の油分離器の効果を示す実験データ。 その他の実施形態における空気調和機の冷媒回路を模式的に示す回路図。 その他の実施形態の油分離器の構成を模式的に示す図。 その他の実施形態の油分離器の構成を模式的に示す図。 その他の実施形態の油分離器の構成を模式的に示す図。
以下に本発明に係る空気調和機の一実施形態について説明する。
本実施形態の空気調和機300は、図1に示すように、複数の圧縮機Cと、気液分離器Aと、油分離器100とを有する冷媒回路200を備えたものである。
なお、当業者であれば理解できようが、この冷媒回路200は、図示していないが、四方弁、室外熱交換器、膨張弁、及び室内熱交換器を有していることはいうまでもない。
本実施形態では、2つの圧縮機C(以下、これらを区別する場合は第1圧縮機C1及び第2圧縮機C2という)が設けられており、これらの圧縮機Cは互いに容量が異なるように設計されたものである。
なお、圧縮機Cの個数は2つに限定されるものではないし、各圧縮機Cの容量は例えば互いに等しくするなど適宜変更して構わない。
気液分離器Aは、暖房運転又は冷房運転に応じて蒸発器として機能する室内熱交換器又は室外熱交換器を通過した冷媒が導入されて、この冷媒をガス冷媒と油を含む液冷媒とに分離するものである。
本実施形態の空気調和機300は、図1に示すように、気液分離器Aにより分離されたガス冷媒を第1圧縮機C1及び第2圧縮機C2に吸入させるとともに、互いに独立して設けられた第1吸入管410及び第2吸入管420と、気液分離器Aにより分離された油を各吸入管410、420に分配して供給する油分配機構500とをさらに具備している。
前記各吸入管410、420は、一端開口が気液分離器A内に位置するとともに、他端開口が各圧縮機Cの供給ポートに連通したものである。
より具体的に説明すると、各吸入管410は、一端開口が気液分離器A内の上部に位置しており、そこから下方に延びて気液分離器Aの底部を貫通している。そこから、各吸入管410、420は、さらに下方に延びたあと、複数回湾曲(或いは屈曲)して、他端開口が気液分離器Aの底部よりも上方に位置する圧縮機Cの供給ポートに例えば溶接等で接続されている。つまり、各吸入管410、420の一端開口は、他端開口よりも上方に位置している。
ここでは、図1に示すように、第1吸入管410の鉛直方向下端部G1が、第2吸入管420の鉛直方向下端部G2よりも上方に位置するようにしている。なお、ここでいう鉛直方向下端部は、各吸入管410、420における鉛直方向の最も下側に位置する部分である。
前記油分配機構500は、一端が気液分離器Aにおける油導出ポートに接続されたメイン管510と、メイン管510の他端が接続された分岐部520と、一端が分岐部520に接続されるとともに他端が互いに異なる吸入管410、420に接続される第1分岐管531及び第2分岐管532とを有している。
前記メイン管510は、気液分離器Aの底部に溜まった油が流れ込むように配置されたものであり、具体的には一端開口が前記底部から所定の高さに位置するとともに、そこから下方に延びて前記底部を貫通している。
かかる構成において、気液分離器Aにより分離された液冷媒量が多い場合には、液冷媒の液面がメイン管510の一端開口よりも高くなり、メイン管510に液冷媒が流れ込んでしまう。
そこで、本実施形態では、メイン管510に電磁弁等の開閉弁Vを設けており、例えば分離された液冷媒量や液冷媒の液面高さが所定の閾値以上となった場合に、ユーザや図示しない制御装置が前記開閉弁Vを閉じることで、液冷媒が圧縮機に流れ込むことを防ぐようにしている。なお、この開閉弁Vは必ずしも設けなければならないものではない。
前記分岐部520は、メイン管510と各分岐管531、532との間に介在するとともに、圧縮機C及び気液分離器Aよりも下方に配置されており、具体的には、第1分岐管531が接続される第1ポート、第2分岐管532が接続される第2ポート、及びメイン管510が接続される第3ポートを有したT継手である。
なお、分岐部520は、メイン管510や各分岐管531、532の配置などに応じて、例えばY継手などに適宜変更して良い。
そして、本実施形態の各分岐管531、532は、他端が吸入管410、420における鉛直方向下端部G1、G2に接続されている。
より詳細に説明すると、前記各分岐管531、532は、一端開口が前記分岐部520に接続されるとともに、そこから上方に延びて他端開口が各吸入管410、420における鉛直方向下端部G1、G2に接続されて各吸入管410、420内に連通している。
言い換えれば、本実施形態の各分岐管531、532は、各吸入管410、420における鉛直方向の最も下側に位置する部分に接続されるとともに、そこからさらに下方に延びるように設計されたものである。
このように構成された油分配機構500は、本実施形態では下記の関係式を満たすように、各配管が設計されている。
hmax≧|P1−P2|
ΔP_ARV+h_ARV≧Max|Pa−Px|
ただし、hmaxは、分岐部520から第1吸入管410と第1分岐管531との接続部分までの揚程圧差又は分岐部520から第2吸入管420と第2分岐管532との接続部分までの揚程圧差のうち大きい方の圧力、P1は、第1吸入管410内における鉛直方向下端部G1の圧力、P2は、第2吸入管420内における鉛直方向下端部G2の圧力、ΔP_ARVは、メイン管510の抵抗値、h_ARVは、気液分離器Aの底面から第1吸入管410又は第2吸入管420の鉛直方向下端部G1又はG2までの揚程圧差、Paは、気液分離器A内の圧力、Pxは、P1又はP2である。
また、各分岐管531、532やメイン管510の管径は、分岐管531、532の抵抗値とメイン管510の抵抗値とが、η:(1−η)となるように設計されている。ただし、ηは、0.5以上0.8以下である。
より詳細には、各分岐管531、532やメイン管510の管径は、第1分岐管531の流量及びメイン管510の流量の合計と、第2分岐管532の流量及びメイン管510の流量の合計との比が、第2圧縮機C2と第1圧縮機C1との容積比と等しくなるように設計されており、各吸入管410、420の管径が互いに等しい場合には、この比は、第2吸入管420と第1吸入管410との流量比に等しくなる。
前記油分離器100は、圧縮機Cから吐出された油を含んだ冷媒(以下、油含有冷媒ともいう)から油を分離するものであり、各圧縮機Cそれぞれに対応して複数設けられている。
各油分離器100の具体的な構成については後述する。
ここでは、前記油分離器100により分離された油が導入されるとともに、この油分離器100に対応した圧縮機Cとは別の圧縮機Cに前記油を導出するための複数の油導出管40が設けれている。
前記各油導出管40は、その一端が前記油分離器100の油導出口に接続されるとともに、他端が前記吸入管410、420における前記分岐管531、532との接続箇所よりも圧縮機C側に接続されている。
各油導出管40にはキャピラリー管たる毛細配管Tが設けられており、油分離器100により分離された油の略全てが毛細配管Tを流れて圧縮機Cに戻るようにしている。
上述したように構成された空気調和機300によれば、各分岐管531、532の他端が、吸入管410、420における鉛直方向下端部G1、G2に接続されているので、図3に示すように、一方の圧縮機C1を停止させたとしても、停止させた圧縮機C1に接続された吸入管410内の油は、この吸入管410に接続された第1分岐管531に向かって自重で流れ込む。そして、この油は、分岐部520を介して第2分岐管532に流れ込み、他方の圧縮機C2に供給される。したがって、一方の圧縮機C1を停止させた場合であっても、多くの油を運転している圧縮機C2に戻すことができる。もちろん、他方の圧縮機C2を停止させた場合も同様のことがいえる。
また、第1吸入管410及び第2吸入管420を互いに独立して設けているので、これらの吸入管410、420の一部を共通化した場合に比べて、各吸入管410、420の管径を小さくすることができる。
その結果、これらの吸入管410、420に曲げやすい小径のものを用いることができ、省スペース化及びコンパクト化を図ることができる。
そのうえ、小径の配管を用いることにより、大径の配管と比べて高度な溶接技術を必要とせず、溶接不良を低減することできる。
さらに、油導出管40が、油分離器100により分離された油をこの油分離器100に対応した圧縮機Cとは別の圧縮機Cに導出するので、本実施形態のように第1圧縮機C1及び第2圧縮機C2が異容量である場合であっても、特定の圧縮機Cに油が偏る、いわゆる偏油を防ぐことができる。
ところで、圧縮機Cに戻される油のうち、大部分は油分離器100から圧縮機Cに供給される分であり、残りは気液分離器Aから圧縮機Cに供給される分である。
大部分の油における偏油を防ぐことができることは、上述したとおりである。
一方、残りの油に関しては、分岐管531、532やメイン管510の管径が、第1分岐管531の流量及びメイン管510の流量の合計と、第2分岐管532の流量及びメイン管510の流量の合計との比が、第2圧縮機C2と第1圧縮機C1との容積比と等しくなるように設計されているので、この少量の油における偏油をも防ぐことできる。
次に、本実施形態の油分離器100について説明する。
本実施形態の油分離器100は、遠心力を用いて油含有冷媒から油を遠心分離させ、油を分離させたあとの冷媒(以下、分離後冷媒ともいう)を例えば図示しない熱交換器に導出するとともに、分離させた油を再び圧縮機Cに戻すように構成されている。
具体的に説明すると、前記油分離器100は、図4〜図6に示すように、油含有冷媒から油を分離させるための分離空間Sを有する容器10と、油含有冷媒を容器10内に導入する導入管20と、分離後冷媒を容器10から導出する冷媒導出管30と、分離させた油を容器10から導出する油導出管40とを具備するものである。
以下、各部について説明する。
容器10は、図4に示すように、上端及び下端が開口した概略円筒状をなすものであり、ここでは等断面形状の本体部11と、本体部11の上部に設けられて上方に向かって徐々に縮径する上側テーパ部12と、本体部11の下部に設けられて下方に向かって徐々に縮径するとともに、分離された油を貯留する下側テーパ部13とを有している。
この容器10は、図5及び図6に示すように、中心軸O1に直交する断面が円形状をなす内周面14を有し、この内周面14によって前記分離空間Sを形成したものであり、内周面14を油含有冷媒が旋回しながら上方から下方に向かって流れるように構成されている。
導入管20は、図4及び図5に示すように、油含有冷媒を容器10の内周面14に沿って旋回させるように前記容器10内に導入するものであり、容器10の側壁15を貫通して設けられている。本実施形態の導入管20は、上側テーパ部12の下方、より詳細には本体部11の上端部を貫通しており、その管軸O2が容器10の中心軸O1に対して直交するよう設けられている。
具体的にこの導入管20は、油含有冷媒を容器10内に導入する導入口21を有した断面円形状の円筒管であり、前記導入口21が形成されるとともに、側壁15を貫通する先端部22と、前記先端部22の上流側に連続して設けられるとともに、前記先端部22から高さ方向に湾曲して上方に延びる後端部23とを有している。
より詳細に説明すると、この導入管20は、油含有冷媒を導入口21から内周面14の接線方向に沿って吐出させるべく、先端部22の管軸O2と容器10の中心軸O1とが交差しないように、前記管軸O2を前記中心軸O1からずらして設けられている。ここでは、前記管軸O2が前記中心軸O1と直交し、前記先端部22の管軸O2と前記後端部23における直線部分の管軸O3とのなす角度θが略90度となるようにしている。なお、前記なす角度θは、0度より大きく且つ180度より小さければ適宜変更して構わない。
本実施形態では、導入管20の管軸O2を含み、容器の中心軸O1に直交する断面において、前記管軸O2を挟んだ導入管20の先端部20aが、中心軸O1に平行な第1仮想平面上に位置している。
より具体的には、前記導入口21は、容器10の中心軸O1と平行な第1仮想平面X1上に形成されており、冷媒導出管30の外周面31を臨むように、導入管20の管軸O2と直交する面に対して傾いて開口している。
冷媒導出管30は、分離後冷媒が下方から上方に流れるものであり、図5及び図6に示すように、容器10の図示しない上端開口にガタなく差し込まれて容器10の中心軸O1と同軸上に設けられている。
具体的のこのものは、外径が前記容器10の内径よりも小さい等断面形状の円筒管であり、前記容器10内に位置するとともに分離後冷媒が流入する導出口32を有している。
この導出口32は、容器10の上端から所定距離の位置に設けられており、ここでは導出口32よりも下方における容器10の容積が0.6L以下となるようにしている。
また、本実施形態では、前記導出口32が、上述した下側テーパ部13よりも上方、つまり本体部11の下端よりも上方に位置するように設けられており、これにより下側テーパ部13に貯留された油が飛散したとしても、その油が導出口32内に流れ込まないようにしている。
油導出管40は、容器10の下側テーパ部13に溜まった油を容器10内から導出するものであり、図4に示すように、下側テーパ部13に設けられている。
具体的にこのものは、容器10の底壁に形成された図示しない下端開口にガタなく嵌め込まれた等断面形状の円筒管である。
しかして、本実施形態の油分離器100は、図5に示すように、第1仮想平面X1と、この第1仮想平面X1に平行で冷媒導出管30の外周面31に接する第2仮想平面X2との離間距離L1が、前記導入管20の内径D1の0.32倍以上となるように構成されている。
より詳細には、前記離間距離L1は、前記導入管20における導入口側端部の内径D1の0.32倍以上である。
ここで、第1仮想平面X1と第2仮想平面X2との離間距離L1と油分離効率との関係を示す実験データを図7に示し、油含有冷媒の流れをシミュレーションした結果を図8に示す。
なお、図7に示す実験データは、油分離器100に導入される油流量(冷媒流量に油潤滑率をかけたもの)が多い状態を想定したものであり、実験条件は、冷媒流量が1000kg/h、油潤滑率が1.4%、導入管20の内径D1が17.05mmである。また、図8に示すシミュレーションは、前記離間距離L1を導入管20の内径D1の0.32倍とした条件で行なっている。
この実験データから分かるように、油分離効率は、前記離間距離L1を徐々に増大させていくと、導入管20の内径D1の0.32倍になるまで向上し、0.32倍以上ではほぼ横ばいになる傾向がみられる。
このことは、前記離間距離L1が導入管20の内径D1の0.32倍以上になると、図8に示すように、導入管20から導入された油含有冷媒の略全てが、冷媒導出管30に対して左右片側に流れて、同一方向に旋回するためである。
また、本実施形態の油分離器100は、導出口32から導入口21の中心までの高さ、すなわち導出口32から導入管20の管軸O2までの高さL2が、導入管20の内径D1の3.0倍以上且つ4.5倍以下となるように構成されており、より具体的には導入管20の内径D1の3.0倍以上且つ4.0倍以下にしてある。
ここで、前記高さL2と油分離効率との関係を示す実験データを図9に示す。なお、実験条件は、上記の実験条件と同一である。
この実験データから分かるように、油分離効率は、前記高さL2の増大に伴い上昇するが、導入管20の内径D1の3.0倍以上になるとほぼ横ばいになり、4.0倍以上になると徐々に低下する傾向がみられる。
このことは、前記高さL2が導入管20の内径D1の3.0倍よりも小さいと、油含有冷媒から油が分離される前に、冷媒導出管30から冷媒とともに油が導出されるためである。また、前記高さL2が導入管20の内径D1の4.0倍よりも大きいと、導入管20から導入された冷媒が内周面14を旋回するうちに、その旋回方向が徐々に下向きに変わってしまい、油含有冷媒が冷媒導出管30の導出口32近傍に到達した時点では遠心力が低下しており、分離された油が内周面14から離脱して導出口32に流れ込んでしまうからである。
なお、本実施形態では、導出口32から導入管20の管軸O2までの高さL2は、導入管20を流れる冷媒流量、冷媒導出管30の外周面31と容器10の内周面14との離間距離L3、及び導入管20の内径D1をパラメータとして設定されていても良い。
具体的には、導入管20から流入される冷媒が6m/s以上であり、前記離間距離L3が、冷媒導出管30の内径D2の1.0倍以上2.0倍以下の場合に、前記高さL2が、上述したように導入管20の内径D1の3.0倍以上且つ4.0倍以下となるように設定されている。このような構成であれば、油分離器100を小型化しながらも、油分離効率を向上させることができる。
ここで、前記離間距離L2と油分離効率との関係を図10に示す。なお、実験条件は、上記の実験条件と同一である。
この実験データから分かるように、油分離効率は、前記離間距離L2が冷媒導出管30の内径D2の1.0倍以上になると大きく上昇する傾向がみられる。
このことは、前記離間距離L2が導入管20の内径D1の1.0倍よりも短いと、分離された油が冷媒導出管30の導出口32に流れ込んでしまうからである。
また、導入管20の内径D1が、容器10の内径D3の0.16倍以上且つ0.44倍以下としている。なお、ここでは、容器10の内径D3は例えば50.8mmである。
より具体的に説明すると、導入管20の内径D1は9.5mm以上且つ22.4mm以下であり、容器10の中心軸O1を含み、導入管20の管軸O2と直交する断面において、前記管軸O2から、前記管軸O2に対して中心軸O1と反対側の内周面14までの離間距離L4が、10.6mm以上且つ13.2mm以下となるようにしている。
このような構成であれば、導入管20から導入される油含有冷媒を確実に内周面14に沿って旋回させることができ、分離効率を向上させることができる。
そのうえ、本実施形態では、導入管20の上方に油が滞留することを防ぐべく、本体部11の上端、つまり上側テーパ部12の下端から、導入管20の管軸O2までの高さ寸法L5が、上側テーパ部12の高さ寸法L6以下となるようにしている。
ここで、本実施形態の油分離器100と従来のものとを比較した実験データを図11に示す。
この実験データからわかるように、本実施形態に係る油分離器100によれば、導入管20から導入された油含有冷媒の一部が、従来のように旋回方向と逆向きに流れることを防いでいることにより、従来に比べて圧力損失を低減させることができる。
これにより、導入される油含有冷媒の流速を速くした場合であっても圧力損失を抑えることができ、速い流速による大きな遠心力を用いて、油を効率良く分離させることができ、ひいては油分離器100を小型化することが可能となる。
なお、油分離器を小型化して、特に本実施形態のように冷媒導出管30の導出口32よりも下方における容器10の容積が0.6L以下にした場合、油分離器100には分離された油を溜めておくスペースが小さくなる。このことから、分離された油量が多い場合は、油導出管40のみならず、冷媒導出管30から油が流れ出てしまうという問題が生じる。
そこで、従来は、小型の油分離器を用いた場合、冷媒回路に、毛細配管に並列に設けられたバイパス管と、このバイパス管に設けれた電磁弁とを設け、例えば圧縮機の起動時など油含有冷媒に含まれる油量が多いときに、前記電磁弁を開けて油分離器により分離された油を確実に圧縮機に戻せるようにしている。
これに対して、本実施形態の冷媒回路200は、従来よりも径寸法の大きい毛細管を用いることで、分離された油を確実に圧縮機Cに戻せるように構成されており、電磁弁を不要にすることでコスト削減を図っている。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、2つの圧縮機を具備する空気調和機を説明したが、図12に示すように、3つの圧縮機C1〜C3を具備する構成や、それ以上の圧縮機を具備する構成であっても構わない。
また、前記実施形態の吸入管は、気液分離器の底部を貫通していたが、気液分離器の側壁部を貫通していても良い。
さらに、前記実施形態の油導出管は、他端が吸入管における分岐管との接続箇所よりも圧縮機側に接続されていたが、導出管の他端は、吸入管における分岐管との接続箇所よりも気液分離器側に接続されていても良い。
油分離器に関していえば、例えば、前記実施形態では、導入管が等断面形状の円筒管であったが、図13に示すように、導入口21に向かって徐々に縮径する縮径部を有していても良い。
この場合、第1仮想平面X1と第2仮想平面X2との離間距離L1は、導入管20おける先端部の内径D1の0.32倍以上であれば良い。
また、油分離器100は、図14に示すように、容器10内の下部に設けられて分離空間Sを上下に仕切る油飛散防止プレート50をさらに具備するものであっても良い。
この油飛散防止プレート50は、下側テーパ部13よりも上方に例えば溶接などにより固定されており、分離された油を上方から下方に通過させる油通過口51が形成された板状のものである。
より具体的にこのものは、外周部が容器10の内周面14に沿った円板状をなすものであり、その外周部を切り欠いて例えば周方向に沿って等間隔に複数の前記油通過口51が形成されている。なお、ここでは、4つの油通過口51が形成されているが、その個数は適宜変更して構わない。
前記実施形態では、導入管の導入口が第1仮想平面上に形成されていたが、図15に示すように、導入口21は例えば下流側に湾曲した形状をなし、第1仮想平面X1上に形成されていなくても良い。
また、前記実施形態の導入管は、その管軸が容器の中心軸と直交するように設けられていたが、前記管軸が前記中心軸と直交する方向に対して下向き又は上向きに傾いていても良い。
さらに、前記実施形態の油導出管は、容器の底壁を貫通していたが、容器の下部に設けられていれば良く、側壁部の下部を貫通したものであっても良い。
そのうえ、前記実施形態の容器は円筒形状をなすものであったが、中心軸に沿った断面が円形状の内周面を有していれば良く、外形は四角柱形状や多角柱形状をなすものであっても構わない。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
300・・・空気調和機
200・・・冷媒回路
C ・・・圧縮機
A ・・・気液分離器
91 ・・・第1吸入管
92 ・・・第2吸入管
G1 ・・・鉛直方向下端部
G2 ・・・鉛直方向下端部
80 ・・・油分配機構
81 ・・・メイン管
82 ・・・分岐部
831・・・第1分岐管
832・・・第2分岐管

Claims (7)

  1. 複数の圧縮機と、蒸発器を通過した冷媒が導入される気液分離器とを具備する空気調和機であって、
    前記気液分離器により分離されたガス冷媒を前記各圧縮機に吸入させるとともに、互いに独立して設けられた複数の吸入管と、
    前記気液分離器により分離された油を前記複数の吸入管に分配する油分配機構とをさらに具備し、
    前記油分配機構が、
    一端が前記気液分離器における油導出ポートに接続されたメイン管と、
    前記メイン管の他端が接続された分岐部と、
    一端が分岐部に接続されるとともに他端が互いに異なる前記吸入管に接続された複数の分岐管とを有し、
    前記各分岐管の他端が、前記吸入管における鉛直方向下端部に接続されていることを特徴とする空気調和機。
  2. 第1圧縮機及び第2圧縮機と、前記各圧縮機に対応して設けられた第1吸入管及び第2吸入管と、前記第1吸入管に接続される第1分岐管及び前記第2吸入管に接続される第2分岐管とを具備しており、下記の式を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
    hmax≧|P1−P2|
    ΔP_ARV+h_ARV≧Max|Pa−Px|
    ただし、hmaxは、分岐部から第1吸入管と第1分岐管との接続部分までの揚程圧差又は分岐部から第2吸入管と第2分岐管との接続部分までの揚程圧差のうち大きい方の圧力、P1は、前記第1吸入管内における鉛直方向下端部の圧力、P2は、前記第2吸入管内における鉛直方向下端部の圧力、ΔP_ARVは、前記メイン管の抵抗値、h_ARVは、気液分離器の底面から第1吸入管又は第2吸入管の鉛直方向下端部までの揚程圧差、Paは、気液分離器内の圧力、Pxは、P1又はP2である。
  3. 前記油分配機構が、前記メイン管に設けられた開閉弁を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の空気調和機。
  4. 前記各分岐管の抵抗値と前記メイン管の抵抗値とが、η:(1−η)であることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の空気調和機。
    ただし、ηは、0.5以上0.8以下である。
  5. 前記分岐部が、第1分岐管が接続される第1ポート、第2分岐管が接続される第2ポート、及びメイン管が接続される第3ポートを有したT継手であることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の空気調和機。
  6. 前記複数の圧縮機それぞれに対応して設けられ、前記圧縮機から吐出された油含有冷媒から油を分離する複数の油分離器と、
    前記油分離器により分離された油が導入されるとともに、この油分離器に対応した圧縮機とは別の圧縮機に前記油を導出するための複数の油導出管とをさらに具備していることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の空気調和機。
  7. 前記各油導出管が、その一端が前記油分離器の油導出口に接続されるとともに、他端が
    前記吸入管における前記分岐管との接続箇所よりも圧縮機側に接続されていることを特徴とする請求項6記載の空気調和機。
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