(本発明の基礎となる知見)
本発明者等はコージェネレーションシステムについて、コストの上昇の抑制を図りつつ、給湯および殺菌処理を適切に行うために鋭意検討をした。この結果、本発明者等は従来技術には下記のような問題があることを見出した。
すなわち、特許文献1のコージェネレーションシステムでは、上水が、給水管によって貯湯槽に供給され、熱回収配管によって貯湯槽と熱交換器との間を循環している。このような上水は、一般的に、水道水であって、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンを含んでいる。このため、上水が熱交換器で加温されると、上水中の金属イオンにより金属酸化物(スケール)が発生し易い。そして、スケールが熱交換器および熱回収配管に堆積すれば、熱交換効率の低下などの問題が生じる。このスケールの問題に対し、たとえば、スケールが付着しにくい配管を用いると、システムのコスト上昇に繋がる。
また、スケールの発生を抑制するために、熱交換器で加温される媒体に、特許文献1のような貯湯槽の水ではなく、これ以外の熱媒体を用いることが考えられる。この場合、熱媒体が熱回収配管を循環し、貯湯槽の水と熱交換する。しかしながら、貯湯槽に流入する熱媒体の熱量が、貯湯槽において単位時間当たりに受け渡し可能な熱量より大きく、貯湯槽の水と熱媒体との熱交換が十分に行われない場合、熱媒体はその温度が貯湯槽の水の温度より高い状態で貯湯槽から排出される。このような場合、貯湯槽の水温は熱媒体の温度より低いため、熱媒体の温度に基づいて貯湯槽の水温を判定すると、貯湯槽全体の水温が殺菌可能なほど高い温度になったことを正確に検知することができず、貯湯槽の水を適切に殺菌することができない。
このため、特許文献1のコージェネレーションシステムでは、貯湯槽内の温度を測定するために、貯湯槽の上部および下部に温度センサを設けている。この温度センサにより貯湯槽内の温度が殺菌可能な温度になっているかを確認することができる。しかしながら、貯湯槽内の温度を測定する専用の温度センサを設けるため、コスト上昇に繋がる。
そこで、本発明者等は、貯湯槽の水と熱交換する熱媒体の流量を調整すると共に、貯湯槽より下流の熱媒体の温度を検知する温度検知器を貯湯槽の水温を検知する温度検知器として兼用することにより、コストの上昇の抑制を図りつつ、適切な給湯および殺菌処理が可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づいてなされた。
本発明の実施の第1態様に係るコージェネレーションシステムは、発電を行う発電器と、前記発電器からの排熱と冷却水とが熱交換する第1熱交換器と、貯湯水が貯留された貯湯タンクと、前記冷却水と前記貯湯水とが熱交換する第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間を前記冷却水が循環する循環経路と、前記循環経路に前記冷却水を循環させる循環ポンプと、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水の温度を検知する温度検知器と、制御器と、を備え、前記制御器は、前記発電が継続して行われない時間が第1所定時間に達したとき、または、前記貯湯水の供給が継続して行われない時間が第2所定時間に達したとき、前記貯湯水の供給を許可しない給湯禁止モードを設定し、前記発電が行われているとき、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させ、前記温度検知器による検知温度が第1所定温度に達したとき、前記給湯禁止モードを解除する。
この構成によれば、発電が継続して行われない時間が第1所定時間に達したとき、または、貯湯水の供給が継続して行われない時間が第2所定時間に達したとき、殺菌が必要と判定される。このような場合に、給湯禁止モードを設定することにより、貯湯水が供給されない。
この給湯禁止モードでは、循環ポンプにより冷却水の流量を低下させることにより、冷却水の流量を低下させないときと比較して、冷却水の熱量が、第2熱交換器において冷却水から貯湯水に単位時間当たりに受け渡し可能な熱量に近づけることができる。すなわち、第2熱交換器における貯湯水と冷却水との熱交換が十分に行われる。また、より長い時間にわたって第2熱交換器を流出した冷却水の温度を貯湯水の温度に近づけることができるため、冷却水の検知温度から貯湯水の温度を判定できる。すなわち、貯湯水専用の温度検知器を設ける必要がなく、コスト上昇を抑制しつつ、貯湯水全体の温度が殺菌可能なほど高い温度に上がったことをより正確に検知することができ、貯湯水を適切に殺菌することができる。
さらに、温度検知器による検知温度が第1所定温度に達したとき、給湯禁止モードを解除する。これにより殺菌した貯湯水を供給することができ、適切な給湯が実現される。
また、第1熱交換器において排熱と熱交換する冷却水に貯湯水が用いられない。このため、冷却水が第1熱交換により加熱されても、貯湯水に含まれる金属イオンによるスケールの発生が防がれる。よって、スケールによる第1熱交換器における熱交換効率の低下を防止すると共に、スケールの付着を防ぐ高価な部材を用いる必要がなく、コストの上昇を抑えられる。
本発明の実施の第2態様に係るコージェネレーションシステムは、第1の態様において、前記制御器は、前記発電が行われているとき、前記発電の出力を低下させて、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させてもよい。
この構成によれば、発電器の出力の低下により排熱量を低下させることにより、第1熱交換器における熱交換後の冷却水の温度変化が小さくなる。このため、第2熱交換器における熱交換後の貯湯水および冷却水の温度変化を小さくでき、より長い時間にわたって第2熱交換器を通過した冷却水の温度を貯湯水の温度により近づけることができる。
本発明の実施の第3態様に係るコージェネレーションシステムは、第1または第2の態様において、前記制御器は、前記発電が行われているとき、定格出力で前記発電を行わせた後、前記発電の出力を低下させて、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させてもよい。
この構成によれば、定格出力の発電により排熱量が増え、第1熱交換器で排熱により加熱される冷却水の温度が高くなる。このため、第2熱交換器における高温の冷却水と貯湯水との伝熱量が増えるため、短時間に貯湯水を第1所定温度まで加熱することができ、給湯禁止モード解除までの時間の短縮化が図られる。
本発明の実施の第4態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜3のいずれかの態様において、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水を放熱する放熱器をさらに備え、前記温度検知器は、前記第1熱交換器より上流かつ前記放熱器より下流の前記循環経路に設けられ、前記制御器は、前記発電が行われているとき、前記放熱器による放熱を開始させ、前記発電の出力を低下させて、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させ、前記放熱器による放熱量の低下または放熱の停止を行わせてもよい。
この構成によれば、冷却水を放熱することにより、第1熱交換器に流入する冷却水の温度が低下する。このため、第1熱交換器において排熱が冷却水により冷却されるため、高温の排熱がシステム外などに排出されることを防止することができる。
また、放熱量の低下または放熱の停止により放熱器を通過した後の冷却水の温度低下が低減する。このため、この冷却水の検知温度を貯湯水の温度に近づけることができ、検知温度を貯湯水の温度の判定に用いることができる。
本発明の実施の第5態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜4のいずれかの態様において、前記制御器は、前記検知温度が前記第1所定温度に達してからの経過時間が第3所定時間に達した後、前記給湯禁止モードを解除してもよい。この構成によれば、第3所定時間、貯湯水の温度が第1所定温度以上になっている状態が維持されるため、貯湯水をより確実に殺菌することができる。
本発明の実施の第6態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜5のいずれかの態様において、前記第2熱交換器は前記貯湯タンク内に設けられ、前記冷却水は、前記第2熱交換器において前記貯湯タンクの上部から下部へ流通してもよい。
この構成によれば、冷却水は、貯湯タンクの上部から流入し、第2熱交換器で貯湯水と熱交換して、貯湯タンクの下部の貯湯水の温度に近い温度で流出する。このため、冷却水の検知温度に基づいて、貯湯タンクの下部にある低温の貯湯水の温度を判定することができる。この貯湯水の温度は、貯湯タンクの下部ほど低くなっている。よって、検知温度が第1所定温度に達していれば、貯湯水の上部の温度は第1所定温度以上になっており、貯湯水の全体が第1所定温度に達していると判定することができ、より適切に給湯禁止モードを解除することができる。
本発明の実施の第7態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜6のいずれかの態様において、前記貯湯タンクから前記貯湯水を供給する給湯経路と、前記貯湯タンクに上水を供給する給水経路と、前記給湯経路または前記給水経路の少なくとも一方に設けられ、前記給湯経路または前記給水経路を開閉する開閉弁と、をさらに備え、前記制御器は、前記開閉弁の開放を許可せず、前記給湯禁止モードを設定してもよい。この構成によれば、開閉弁の開放を許可しないことにより、給湯経路または給水経路が閉塞され、貯湯タンクからの出湯が禁止される。
本発明の実施の第8態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜6のいずれかの態様において、前記貯湯タンクから前記貯湯水を供給する給湯経路と、前記貯湯タンクおよび前記給湯経路に接続し、前記貯湯タンクに上水を供給する給水経路と、前記給湯経路と前記給水経路との接続点に設けられ、前記給湯経路および前記給水経路を開閉する混合弁と、を備え、前記制御器は、前記混合弁により前記給湯経路の開放を許可せず、前記給湯禁止モードを設定してもよい。この構成によれば、混合弁により給湯経路の開放を許可しないことにより、給湯経路が閉塞され、貯湯タンクからの出湯が禁止される。
本発明の実施の第9態様に係るコージェネレーションシステムは、第1〜8のいずれかの態様において、前記発電器は、燃料電池であり、前記燃料電池から排出された排ガスが流通する排ガス経路をさらに備え、前記第1熱交換器で前記排ガスと前記冷却水とが熱交換してもよい。この構成によれば、燃料電池システムについても、コストの上昇の抑制を図りつつ、給湯および殺菌処理を適切に行うことができる。
本発明の実施の第10態様に係るコージェネレーションシステムは燃料電池システムであり、第1〜9のいずれかの態様において、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水を放熱する放熱器をさらに備え、前記温度検知器は、前記第1熱交換器より上流かつ前記放熱器より下流の前記循環経路に設けられ、前記制御器は、前記発電が行われているとき、前記温度検知器による検知温度が前記第1所定温度より低い第2所定温度になるように前記放熱器による放熱を行い、前記発電の出力を低下させて、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させ、前記温度検知器による検知温度が前記第1所定温度になるように前記放熱器による放熱量を低下させてもよい。
この構成によれば、検知温度が第2所定温度になるように放熱することにより、第1熱交換器に流入する冷却水の温度が低下する。この低温の冷却水により第1熱交換器で排ガスが冷却されるため、排ガス中の水分が凝縮する。たとえば、凝縮水を改質器の改質水として利用すれば、燃料電池システムは水自立が可能になる。
また、発電の出力および冷却水の流量を低下させた状態で、検知温度が前記第1所定温度になるように放熱量を低下させる。これにより、放熱による冷却水の温度低下が減少するため、冷却水の検知温度が貯湯水の温度に近くなる。このため、冷却水の検知温度を貯湯水の温度の判定に用いることができる。
本発明の実施の第11態様に係るコージェネレーションシステムは燃料電池システムであり、第9または第10の態様において、前記燃料電池は、原料ガスおよび改質水を用いて水素含有ガスを生成する改質器、および、前記水素含有ガスおよび酸化剤ガスを用いて前記発電を行うスタックを有し、前記循環経路から分岐点で分岐し、前記冷却水を前記改質水として前記改質器へ流通する改質水経路をさらに備えていてもよい。このように、冷却水を改質水として利用することにより、燃料電池システムは水自立が可能になる。
本発明の実施の第12態様に係るコージェネレーションシステムは燃料電池システムであり、第11の態様において、前記分岐点は、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられていてもよい。この構成によれば、冷却された後、かつ、加熱される前の冷却水を改質水として使用することができる。このため、耐熱性を有する高価な部品などを用いる必要がなく、コスト上昇を抑制できる。
本発明の実施の第13態様に係るコージェネレーションシステムは燃料電池システムであり、第11または第12の態様において、前記分岐点より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水を脱イオン化するイオン交換樹脂フィルタをさらに備えていてもよい。この構成によれば、イオン交換された冷却水を改質水として利用するため、冷却水に含有されるイオンによる改質器の性能低下を抑制することができる。
本発明の実施の第14態様に係るコージェネレーションシステムは燃料電池システムであり、第13の態様において、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水を放熱する放熱器をさらに備え、前記第2熱交換器、前記放熱器、前記温度検知器、前記イオン交換樹脂フィルタ、前記分岐点、および前記第1熱交換器は、前記冷却水の流れ方向においてこの順に前記循環経路に配置されていてもよい。
この構成によれば、第1熱交換器で加熱された高温の冷却水を第2熱交換器に流通させることで、第2熱交換器において冷却水により貯湯水を効率よく昇温できる。また。第2熱交換器で冷却された低温の冷却水を放熱器に流通させることで、放熱器における放熱量を低減できる。さらに、放熱器で放熱された冷却水の温度を温度検知器で検知することで、この検知温度に基づいて放熱を制御できる。さらに、放熱器で放熱された低温の冷却水をイオン交換樹脂フィルタに流通させることで、イオン交換樹脂フィルタの耐熱劣化を防止できる。さらに、冷却水をイオン交換樹脂フィルタを介して第1熱交換器に流通させていることで、冷却水中のイオンによるスケールの発生を防止できる。さらに、放熱器で放熱された低温の冷却水を第1熱交換器に流通させていることで、第1熱交換器での熱交換効率を高めることができる。
本発明の実施の第15態様に係る燃料電池システムの運転方法は、発電を行う燃料電池と、前記燃料電池からの排熱と冷却水とが熱交換する第1熱交換器と、貯湯水が貯留された貯湯タンクと、前記冷却水と前記貯湯水とが熱交換する第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間を前記冷却水が循環する循環経路と、前記循環経路に前記冷却水を循環させる循環ポンプと、前記第1熱交換器より上流かつ前記第2熱交換器より下流の前記循環経路に設けられ、前記冷却水の温度を検知する温度検知器と、を備え、前記発電が継続して行われない時間が第1所定時間に達したとき、または、前記貯湯水の供給が継続して行われない時間が第2所定時間に達したとき、前記貯湯水の供給を許可しない給湯禁止モードを設定し、前記発電が行われているとき、前記循環ポンプにより前記冷却水の流量を低下させ、前記温度検知器による検知温度が第1所定温度に達したとき、前記給湯禁止モードを解除する。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るコージェネレーションシステム100について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るコージェネレーションシステム100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。コージェネレーションシステム100は、発電器10、貯湯タンク11、循環経路12、循環ポンプ13、第1熱交換器14、第2熱交換器15、温度検知器16、および、制御器9を備えている。
発電器10は、発電を行う装置であって、電力とともに熱を発生する。発電器10としては、たとえば、燃料電池、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、蒸気タービンが例示される。発電器10には熱を排出する排熱経路10aが接続されている。排熱経路10aは、第1熱交換器14を介してコージェネレーションシステム100の排出口(図示せず)などに接続されている。排熱としては、燃料排ガスの熱などが例示される。
第1熱交換器14は、発電器10からの排熱と冷却水とが熱交換する熱交換器である。第1熱交換器14は、排熱経路10aおよび循環経路12に設けられ、周知の熱交換器を用いることができる。
循環経路12は、第1熱交換器14と第2熱交換器15との間を冷却水が循環する経路である。たとえば、循環経路12には、第1熱交換器14、循環ポンプ13、第2熱交換器15、および、温度検知器16がこの順(正順)で配置されている。循環ポンプ13によって、冷却水が、これらの機器を正順に通過するよう循環させられる。
循環ポンプ13は、循環経路12に冷却水を循環させるポンプである。循環ポンプ13は、たとえば、循環経路12を流れる単位時間当たりの冷却水の流量を調整できる機能(流量調整機能)を有している。循環ポンプ13は、制御器9からの制御信号に応じて循環経路12を循環する冷却水の流量を調整する。なお、流量調整機能は循環ポンプ13に内蔵されていてもよいし、流量調整機能を有する部品として循環ポンプ13とは別に設けられていてもよい。
貯湯タンク11は、貯湯水が貯留されるタンクである。貯湯タンク11は、たとえば、循環ポンプ13より下流であって温度検知器16より上流の循環経路12に設けられ、第1熱交換器14において回収した熱を貯湯水として貯める。貯湯タンク11の内部空間は循環経路12の内部空間と連通せず、貯湯タンク11は循環経路12と分離して設けられている。このため、貯湯タンク11の貯湯水と循環経路12の冷却水とは、互いに異なる水であって、混ざらない。
貯湯タンク11は給水経路11aにより水道などの給水設備(図示せず)に接続し、たとえば、給水経路11aは貯湯タンク11の下部に接続されている。上水(水道水)は貯湯水として給水経路11aを介して給水設備から貯湯タンク11へ供給される。また、貯湯タンク11は給湯経路11bにより給湯設備(図示せず)に接続し、たとえば、給湯経路11bは貯湯タンク11の上部に接続されている。貯湯水は湯として給湯経路11bを介して貯湯タンク11から給湯設備に供給される。
第2熱交換器15は、冷却水と貯湯水とが熱交換する熱交換器である。第2熱交換器15は循環経路12および貯湯タンク11により構成されている。この循環経路12のうち、冷却水と貯湯水と熱交換して第2熱交換器15を構成する部分を冷却水パイプ12aと称する。なお、図1では、冷却水パイプ12aは、螺旋状に延び、貯湯タンク11の中を貫通するように貯湯タンク11の内部に設けられていている。ただし、冷却水パイプ12aおよび貯湯タンク11は冷却水と貯湯水との熱交換が可能なように設けられていればよい。このため、冷却水パイプ12aは、貯湯タンク11の外周を取り囲むように、貯湯タンク11の外部に設けられていてもよい。
温度検知器16は、第1熱交換器14より上流かつ第2熱交換器15より下流の循環経路12に設けられ、冷却水の温度を検知するセンサである。たとえば、温度検知器16は、発電器10からの排熱を高温のままコージェネレーションシステム100から排出しないため、冷却水が排熱を第1熱交換器14で十分に冷却できるように、第1熱交換器14に流入する冷却水の温度を検知する目的で主に用いられている。温度検知器16は、検知した温度(検知温度)を制御器9に出力する。温度検知器16としては、熱電対およびサーミスタ測温体などが挙げられる。
制御器9は、コージェネレーションシステム100の各構成を制御する。たとえば、制御器9は、温度検知器16の検知温度に基づいて循環ポンプ13の出力(吐出量)を制御する。制御器9は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。制御器9は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
次に、第1実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法を、図2のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。
まず、制御器9は、発電が継続して行われない時間(発電停止時間)が第1所定時間に達したとき、または、貯湯水の供給が継続して行われない時間(給湯休止時間)が第2所定時間に達したとき(ステップS11:YES)、貯湯水の供給を許可しない給湯禁止モードを設定する(ステップS12)。なお、第1所定時間および第2所定時間は、貯湯タンク11の温度および容積などに基づき実験およびシミュレーションなどにより定められる。
このため、制御器9は、前回の発電が停止してからの経過時間(発電停止時間)および前回の給湯が終了してからの経過時間(給湯休止時間)を計測する。そして、発電停止時間が第1所定時間になるまで、または、給湯休止時間が第2所定時間になるまで、発電停止時間および給湯休止時間を計測する(ステップS11:NO)。
発電停止時間が第1所定時間になった場合(ステップS11:YES)、貯湯タンク11の殺菌が必要と判定される。つまり、発電器10が発電していれば、発電器10の排熱により貯湯タンク11の貯湯水は常に高温(たとえば、70℃)に保たれる。しかし、長時間、発電が継続して行われないと、貯湯タンク11の貯湯水の温度が放熱により低下する。たとえば、貯湯タンク11の貯湯水の温度が50℃程度になると、レジオネラ菌などの雑菌が繁殖しやすいとされている。このため、第1所定時間、発電が継続して行われないと、貯湯タンク11の殺菌が必要と判定される。
また、給湯休止時間が第2所定時間になった場合も(ステップS11:YES)、貯湯タンク11の殺菌が必要と判定される。つまり、貯湯タンク11から給湯が行われると、貯湯水が貯湯タンク11から排出されると共に、上水が貯湯タンク11に供給されて、貯湯タンク11の貯湯水は入れ替わる。これに対し、第2所定時間、給湯が継続して行われないと、長期間に亘り貯湯タンク11に貯湯水が滞留するため、貯湯タンク11の殺菌が必要と判定される。
このように、貯湯タンク11の貯湯水を殺菌する必要があると判定された場合、制御器9は給湯禁止モードを設定する(ステップS12)。これにより、貯湯タンク11からの貯湯水の排出が禁止され、貯湯水が給湯されない。
続いて、制御器9は発電器10の発電を監視する(ステップS13)。ここで、発電が行われていない場合には(ステップS13:NO)、制御器9は給湯禁止モードを維持する(ステップS12)。
一方、制御器9は、発電が行われている場合(ステップS13:YES)、循環ポンプ13により冷却水の流量を低下させる(ステップS14)。たとえば、発電停止時間が第1所定時間に達した後、発電が開始された場合、または、給湯休止時間が第2所定時間に達しているが、発電は行われている場合、制御器9は発電が行われていると判定する(ステップS13:YES)。発電時には第1熱交換器14において発電器10からの排熱により冷却水が加熱されて、高温の冷却水が第2熱交換器15へ流入する。このため、第2熱交換器15において貯湯水が高温の冷却水により加熱されて、貯湯タンク11の温度が上昇し、貯湯タンク11の貯湯水が殺菌される。
ここで、制御器9は循環経路12を流れる冷却水の流量を低下させるように循環ポンプ13を制御する(ステップS14)。冷却水の熱量が、第2熱交換器15において冷却水から貯湯水に単位時間当たりに受け渡し可能な熱量により近づくように設定されることが好ましい。具体的には、冷却水の流量は、発電器10の排熱量、循環経路12の配管の断面積、貯湯タンク11の貯湯水の量および温度、第2熱交換器15の熱交換効率などに基づいて、実験から求められる。
このように、第2熱交換器15を流れる冷却水の流量が低下するに伴い、第2熱交換器15に流入する冷却水の熱量が減少する。第2熱交換器15に流入する冷却水の熱量が減少することで、冷却水の熱量が、第2熱交換器15において単位時間当たりに受け渡し可能な熱量に近づく。すなわち、第2熱交換器15における貯湯水と冷却水との熱交換が十分に行われる。また、より長い時間にわたって第2熱交換器15を流出した冷却水の温度を貯湯水の温度に近づけることができるため、冷却水の検知温度から貯湯水の温度を判定できる。すなわち、貯湯水専用の温度検知器を設ける必要がなく、コスト上昇を抑制しつつ、貯湯水全体の温度が殺菌可能なほど高い温度に上がったことをより正確に検知することができ、貯湯水を適切に殺菌することができる。
たとえば、第2熱交換器15において冷却水が貯湯タンク11の上方から下方へ流れる場合、これに伴い冷却水は貯湯水により冷却されるため、冷却水の温度は貯湯タンク11の上部より下部で低くなる。よって、冷却水により加熱される貯湯水の温度も貯湯タンク11の上部より下部で低くなる。そして、冷却水は、このような下部に位置する低温の貯湯水と熱交換してから、第2熱交換器15から流出する。このため、第2熱交換器15から流出した冷却水の温度は、貯湯タンク11で最も低温の貯湯水の温度にほぼ等しくなる。
このように、第2熱交換器15を通過後の冷却水の温度は貯湯水の温度と近くなる。このとき、冷却水の流量を低下させているため、この第2熱交換器15より下流の循環経路12を流れる冷却水の温度を温度検知器16により検知すると、検知温度は貯湯水の温度とほぼ等しくなる時間がより長くなる。よって、制御器9は、温度検知器16による検知温度を貯湯水の温度として取得する。
そして、制御器9は、温度検知器16による検知温度が第1所定温度に達したか否かを監視する(ステップS15)。第1所定温度は、貯湯タンク11および貯湯水を殺菌できる温度であって、たとえば、60℃以上70℃以下である。
制御器9は、温度検知器16による検知温度が第1所定温度に達したとき(ステップS15:YES)、給湯禁止モードを解除する(ステップS16)。このように、検知温度が第1所定温度になると、貯湯タンク11の貯湯水の全体の温度が第1所定温度になっていると判定することができる。このため、貯湯水の温度が殺菌可能なほど高い温度に上がっており、貯湯水は殺菌されたとして、給湯禁止モードを解除する。これにより、殺菌された貯湯水が貯湯タンク11から供給可能になる。
上記構成によれば、発電停止時間が第1所定時間に達したとき、または、貯湯休止時間が第2所定時間に達したとき、給湯禁止モードを設定している。これにより、殺菌が必要と考えられる貯湯水が供給されることが防止される。また、温度検知器16による検知温度が第1所定温度に達したとき、給湯禁止モードを解除している。これにより、殺菌された貯湯水が供給されるため、適切な給湯が実現される。
さらに、発電が行われている場合、循環ポンプ13により冷却水の流量を低下させている。これにより、貯湯水の全体を殺菌可能なほど高い温度に加熱でき、貯湯水を適切に殺菌することができる。また、温度検知器16による検知温度を貯湯水の温度として取得することができる。このため、第1熱交換器14に流入する冷却水の温度を検知する温度検知器16を貯湯水の温度を検知するために兼用でき、コスト上昇の抑制が図られる。
また、第1熱交換器14に用いられる冷却水には、水道水などの上水から成る貯湯水が用いられない。このため、上水が第1熱交換器14に供給されず、第1熱交換器14で上水が加熱されることによりスケールが発生することが防止される。よって、スケール対策の高価な部品を用いることがなく、コスト上昇を抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法を、図3のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。なお、第2実施形態に係るコージェネレーションシステム100は、図1の構成を備える。
図3の運転方法では、図2の運転方法のステップS11〜S16の処理に加えて、ステップS13とステップS14との間にステップS17の処理をさらに実行する。なお、ステップS11〜S16の処理についてはその説明を省略する。
具体的には、制御器9は、発電が行われている場合(ステップS13:YES)、発電の出力を低下させる(ステップS17)。これにより、発電器10の排熱量が低下するため、第1熱交換器14で発電器10からの排熱から冷却水に与えられる熱量が低下する。よって、第2熱交換器15に流入する冷却水の熱量が減少し、冷却水から貯湯水への伝熱量が減少する。
上記構成によれば、循環ポンプ13による冷却水の流量の低下に加えて、発電の出力低下を行っている。これにより、第2熱交換器15に流入する冷却水の熱量を減らして、冷却水から貯湯水への伝熱量を減少させている。第1熱交換器14における熱交換後の冷却水の温度変化が小さくなる。このため、第2熱交換器15における熱交換後の貯湯水および冷却水の温度変化を小さくでき、より長い時間にわたって冷却水を貯湯水の温度にほぼ等しい温度で第2熱交換器15から排出させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法を、図4のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。なお、第3実施形態に係るコージェネレーションシステム100は、図1の構成を備える。
図4の運転方法では、図3の運転方法のステップS11〜S17の処理に加えて、ステップS13とステップS17との間にステップS18の処理をさらに実行する。なお、ステップS11〜S17の処理についてはその説明を省略する。
具体的には、制御器9は、発電が行われている場合(ステップS13:YES)、定格出力で発電を行わせる(ステップS18)。このように、発電器10を定格で発電させると、発電器10からの排熱量が増加する。これにより、第1熱交換器14で発電器10からの排熱から冷却水に与えられる熱量が増加するため、第2熱交換器15に流入する冷却水の熱量も高くなる。よって、第2熱交換器15において冷却水から貯湯水への伝熱量が増えるため、貯湯水が早く加温される。これにより、給湯禁止モードの解除までの期間を短縮化し、適切な給湯を行うことができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係るコージェネレーションシステム100について、図5を参照して説明する。図5のコージェネレーションシステム100は、図1のコージェネレーションシステム100の構成に加えて、放熱器17をさらに備えている。
放熱器17は、第1熱交換器14より上流かつ第2熱交換器15より下流の循環経路12に設けられ、冷却水を放熱する機器である。放熱器17は、循環経路12を流れる冷却水と冷却媒体とを熱交換させる熱交換器である。たとえば、放熱器17としては、冷却媒体が空気であるラジエータが挙げられる。ただし、冷却媒体は空気に限定されず、空気以外の気体、および、液体などが用いられる。
放熱器17はファンを備えており、ファンはそのスイッチ切換えおよび/またはその出力の可変が可能である。ファンのスイッチを入れる、または、ファンの出力を上げてファンが起動することにより、放熱器17による放熱が開始される。一方、ファンのスイッチを切る、または、ファンの出力を下げてファンが停止することにより、放熱器17による放熱が停止される。また、ファンの出力を下げることにより、放熱器17による放熱量が低下する。
温度検知器16は、第1熱交換器14より上流かつ放熱器17より下流の循環経路12に設けられる。これにより、温度検知器16は、第1熱交換器14に流入する冷却水の温度を検知すると共に、放熱器17を通過した冷却水の温度を検知する。なお、温度検知器16による検知温度は、放熱器17の出力制御に用いることができる。
次に、第4実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法を、図6のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。図6の運転方法では、図3の運転方法のステップS11〜S17の処理に加えて、ステップS13とステップS17との間のステップS19の処理、および、ステップS14とステップS15との間のステップS20の処理をさらに実行する。なお、ステップS11〜S17の処理についてはその説明を省略する。
具体的には、制御器9は、発電が行われている場合(ステップS13:YES)、放熱器17による放熱を開始させる(ステップS19)。この放熱により第1熱交換器14より上流の循環経路12で冷却水が冷却されて、第1熱交換器14に流通する冷却水の温度が下がる。したがって、第1熱交換器14における熱交換効率を向上させることができる。
このとき、放熱によって第2熱交換器15より下流の循環経路12で冷却水が冷却されているため、温度検知器16による検知温度は貯湯水の温度より低くなり、検知温度を貯湯水の温度の判定に用いることは容易ではない。このため、制御器9は、発電の出力を低下させ(ステップS17)、冷却水の流量を低下させてから(ステップS14)、放熱器17による放熱量の低下または放熱の停止を行わせる(ステップS20)。このように、放熱量の低下または放熱の停止により、冷却水の温度低下が抑制される。したがって、検知温度が貯湯水の温度と近くなり、検知温度を貯湯水の温度の判定に用いることができる。この検知温度は貯湯水全体の温度とほぼ等しいか貯湯水の温度より低いため、検知温度が第1所定温度になっていれば、貯湯水全体の温度は第1所定温度に達していると判定することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法を、図7のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。なお、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム100は、図1の構成を備える。
図7の運転方法では、図2の運転方法のステップS11〜S16の処理に加えて、ステップS15とステップS16との間にステップS21の処理をさらに実行する。なお、ステップS11〜S16の処理についてはその説明を省略する。
具体的には、制御器9は、温度検知器16による検知温度が第1所定温度に達した後(ステップS15:YES)、それからの経過時間を計測し、この経過時間が第3所定時間に達したか否かを判定する(ステップS21)。ここで、経過時間が第3経過時間に達したとき(ステップS21:YES)、給湯禁止モードを解除する(ステップS16)。なお、第3所定時間は、ゼロより大きな任意の時間である。
これにより、第3所定時間、貯湯水が第1所定温度またはそれより高い温度の状態が維持される。このため、第3所定時間、貯湯水を殺菌可能なほど高い温度に加熱し続けられ、貯湯水をより確実に殺菌することができる。
なお、第5実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法として、図3、図4および図6の運転方法のステップS15とステップS16との間にステップS21の処理をさらに実行してもよい。このうち、図6の運転方法のコージェネレーションシステム100は、図5の構成を備える。
(第6実施形態)
第6実施形態に係るコージェネレーションシステム100について、図8A、図8Bおよび図8Cを用いて説明する。第6実施形態に係るコージェネレーションシステム100では、第2熱交換器15は貯湯タンク11の中に設けられ、第2熱交換器15において冷却水は貯湯タンク11の上部から下部へ流通する。なお、図8A、図8Bおよび図8Cの構成は、図1および図5のコージェネレーションシステム100に用いられる。
図8Aでは、循環経路12の冷却水パイプ12aの上流端が貯湯タンク11の上面に設けられ、冷却水パイプ12aの下流端が貯湯タンク11の下面に設けられている。図8Bでは、冷却水パイプ12aの上流端が貯湯タンク11の第1側面の上部に設けられ、冷却水パイプ12aの下流端が貯湯タンク11の第1側面の下部に設けられている。図8Cでは、冷却水パイプ12aの上流端が貯湯タンク11の第2側面の上部に設けられ、冷却水パイプ12aの下流端が貯湯タンク11の第2側面に対向する第3側面の下部に設けられている。
この図8A〜図8Cのいずれにおいても、冷却水パイプ12aが貯湯タンク11の中に配置されている。貯湯タンク11において冷却水パイプ12aの上流端が下流端より上方に配置されている。循環ポンプ13は、冷却水パイプ12aより上流の循環経路12、冷却水パイプ12a、および冷却水パイプ12aより下流の循環経路12へ冷却水が流れるように冷却水に圧力を与える。これにより、冷却水は、第2熱交換器15において貯湯タンク11の上部から下部へ冷却水パイプ12aを流通する。冷却水は第2熱交換器15において貯湯水により冷却されながら流れるため、貯湯タンク11の上部における貯湯水の温度は貯湯タンク11の下部と同じまたはそれより高くなる。よって、高い温度の貯湯水を貯湯タンク11の上部から給湯経路11bを介して供給することができる。
また、冷却水は、貯湯タンク11の下部に位置する低温の貯湯水と熱交換してから、第2熱交換器15から流出する。このため、第2熱交換器15から流出した冷却水の温度は、貯湯タンク11で最も低温の貯湯水の温度にほぼ等しくなる。よって、この冷却水の温度を検知した温度検知器16による検知温度を貯湯水の温度の判定に用いることができる。
(第7実施形態)
第7実施形態に係るコージェネレーションシステム100について、図9Aおよび図9Bを用いて説明する。第7実施形態に係るコージェネレーションシステム100は、給湯経路11b、給水経路11aおよび開閉弁18をさらに備える。なお、図9Aおよび図9Bの構成は、図1、図5および図8A〜図8Cのコージェネレーションシステム100に用いられる。
給湯経路11bは、貯湯タンク11から貯湯水を供給する経路であって、貯湯タンク11と給湯設備(図示せず)とを接続する。給水経路11aは、貯湯タンク11に上水を供給する経路であって、貯湯タンク11と給水設備(図示せず)とを接続する。給水経路11aは、貯湯タンク11より上流の分岐点11a1において分岐する。この分岐経路11a2は、貯湯タンク11より下流の接続点11a3において給湯経路11bと接続する。
開閉弁18は、給湯経路11bまたは給水経路11aの少なくとも一方に設けられ、給湯経路11bまたは給水経路11aを開閉する弁である。図9Aの開閉弁18は、貯湯タンク11より下流かつ接続点11a3より上流の給湯経路11bに設けられ、給湯経路11bを開閉する。図9Bの開閉弁18は、貯湯タンク11より上流かつ分岐点11a1より下流の給水経路11aに設けられ、給水経路11aを開閉する。なお、開閉弁18は、貯湯タンク11より下流かつ接続点11a3より下流の給湯経路11b、または、貯湯タンク11より上流かつ分岐点11a1より上流の給水経路11aに設けられていてもよい。
第7実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法では、図2〜図4、図6および図7のフローチャートのステップS12の処理において、制御器9は、開閉弁18の開放を許可せず、給湯禁止モードを設定する。
たとえば、給湯設備の操作により給湯が要求されると、給湯禁止モードが設定されていない場合、制御器9は開閉弁18の開放を許可する。これにより、開閉弁18が開き、給水経路11aおよび給湯経路11bが解放される。上水は、給水経路11aを通り貯湯タンク11に供給されて加熱され、貯湯水として給湯経路11bを通り給湯設備に供給される。
一方、給湯禁止モードが設定された場合(ステップS12)、給湯設備の操作により給湯が要求されても、制御器9は開閉弁18の開放を許可しない。これにより、開閉弁18が閉じ、給水経路11aおよび/または給湯経路11bが閉塞される。このため、貯湯水は貯湯タンク11から給湯設備に供給されず、給湯禁止モードが実現される。ただし、上水は、給水経路11aの分岐点11a1から分岐経路11a2を通り、接続点11a3で給湯経路11bに流入し、給湯経路11bを通り給湯設備に供給される。このため、たとえば、上水は、給湯設備で加熱されると、湯として供給され、適切な給湯が実現される。
(第8実施形態)
第8実施形態に係るコージェネレーションシステム100について、図10を用いて説明する。第8実施形態に係るコージェネレーションシステム100は、給湯経路11b、給水経路11aおよび混合弁19をさらに備える。なお、図10の構成は、図1、図5および図8A〜図8Cのコージェネレーションシステム100に用いられる。
混合弁19は、給湯経路11bと給水経路11aとの接続点11a3に設けられ、給湯経路11bおよび給水経路11aを開閉する弁である。混合弁19には、たとえば、三方弁などが用いられる。混合弁19は、たとえば、2つの流入口(第1流入口、第2流入口)および1つの流出口を有し、2つの流入口を開閉する。第1流入口は混合弁19より上流の給湯経路11b(上流給湯経路11b2)に接続され、第2流入口は分岐経路11a2に接続され、流出口は混合弁19より下流の給湯経路11b(下流給湯経路11b1)に接続されている。
第8実施形態に係るコージェネレーションシステム100の運転方法では、図2〜図4、図6および図7のフローチャートのステップS12の処理において、制御器9は、混合弁19により上流給湯経路11b2の開放を許可せず、給湯禁止モードを設定する。
たとえば、給湯設備の操作により給湯が要求されると、給湯禁止モードが設定されていない場合、制御器9は混合弁19により上流給湯経路11b2の開放を許可する。これにより、混合弁19が第1流入口を開いて第2流入口を閉じ、上流給湯経路11b2が解放されて分岐経路11a2が閉塞される。このため、貯湯水が貯湯タンク11から上流給湯経路11b2を介して下流給湯経路11b1へ流れて、給湯設備において給湯される。
なお、給湯温度および給湯量などに基づいて、混合弁19は第1流入口を開くと共に第2流入口を開いてもよい。この場合、上流給湯経路11b2および分岐経路11a2が解放されて、貯湯水と共に上水が混合して下流給湯経路11b1へ流れ、給湯設備に供給される。ここで、制御器9は第1流入口および第2流入口の開口度を変化させることにより、給湯設備に供給される貯湯水と上水との混合割合および混同水の温度を調整することができる。
一方、給湯禁止モードが設定された場合(ステップS12)、給湯設備の操作により給湯が要求されても、制御器9は混合弁19により上流給湯経路11b2の開放を許可しない。これにより、混合弁19が第1流入口を閉じ第2流入口を開き、上流給湯経路11b2が閉塞されて分岐経路11a2が解放される。このため、貯湯水は貯湯タンク11から給湯設備に供給されず、給湯禁止モードが実現される。ただし、分岐経路11a2からの上水が下流給湯経路11b1を通り給湯設備に供給される。このため、たとえば、上水は、給湯設備で加熱されると、給湯が実現される。
(第9実施形態)
第9実施形態に係る燃料電池システム101について、図11を参照して説明する。図1の燃料電池システム101は、図5のコージェネレーションシステム100の構成に加えて、改質器21、改質水経路23およびイオン交換樹脂フィルタ24をさらに備えている。また、燃料電池システム101では、コージェネレーションシステム100の発電器10は燃料電池20であり、排熱経路10aは排ガス経路22である。
燃料電池20は、改質器21およびスタック20aを有している。スタック20aは、水素含有ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電を行う。この発電により水分も生成されて、水分は排ガスに含まれてスタック20aから排出される。酸化剤ガスとは、たとえば、空気が例示できる。燃料電池20は、たとえば、固体酸化物形燃料電池および固体高分子形燃料電池であるとよい。
排ガス経路22は、燃料電池20から排出された排ガスが流通する経路である。排ガス経路22は燃料電池20と燃料電池システム101の排出口(図示せず)などとを第1熱交換器14を介して接続している。たとえば、燃料電池20の燃焼器(図示せず)から排出されたガス(排ガス)が排ガス経路22により燃料電池システム101の外部へ排出される。排ガス経路22を流れる排ガスの温度は、燃料電池20が固体酸化物形燃料電池の場合、たとえば、200℃である。第1熱交換器14では、排ガスと冷却水とが熱交換する。また、排ガス経路22は凝縮水経路22aに分岐し、凝縮水経路22aは、第1熱交換器14より下流の循環経路12に接続されている。
改質器21は、原料および水(改質水)を用いて水素含有ガスを生成する反応器である。改質器21は、触媒の存在下で原料が水蒸気と改質反応して、水素含有ガスを生成する。改質器21は、その触媒の適温、たとえば、600〜700℃に加熱される。また、改質器21には蒸発器(図示せず)が設けられており、ここで、改質水経路23を介して供給された改質水から水蒸気を生成する。また、原料は、原料供給器(図示せず)から供給経路(図示せず)を介して改質器21に供給される。原料は、たとえば、メタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、LPG等の少なくとも炭素および水素から構成される有機化合物を含むガスである。原料供給器は、原料ガスの流量を調整する機能を有する機器であり、たとえば、昇圧器および/または流量調整弁、または、定容積型ポンプが例示される。
改質水経路23は、改質器21の反応で使用される改質水が流通する。改質水経路23は、循環経路12から分岐点12bにおいて分岐している。分岐点12bは、第1熱交換器14より上流かつ第2熱交換器15より下流に位置している。
イオン交換樹脂フィルタ24は、冷却水からイオンを除去する(脱イオン化する)機器である。この除去するイオンとしては、主に改質器21および燃料電池20の触媒を被毒するイオンが挙げられる。イオン交換樹脂フィルタ24は、分岐点12bより上流かつ第2熱交換器15より下流の循環経路12上に設けられている。さらに、イオン交換樹脂フィルタ24の位置は、分岐点12bに近いほど好ましい。好ましくは、冷却水は、循環経路12において第2熱交換器15、放熱器17、温度検知器16、イオン交換樹脂フィルタ24、分岐点12bおよび第1熱交換器14をこの順に流通するとよい。
次に、第9実施形態に係る燃料電池システム101の運転方法を、図12のフローチャートを用いて説明する。この運転方法は、制御器9により制御される。図12の運転方法では、図3の運転方法のステップS11〜S17の処理に加えて、ステップS13とステップS17との間のステップS22の処理、および、ステップS14とステップS15との間のステップS23の処理をさらに実行する。なお、ステップS11〜S17の処理についてはその説明を省略する。
具体的には、制御器9は、発電が行われている場合(ステップS13:YES)、温度検知器16による検知温度が第2所定温度になるように放熱器17による放熱を行う(ステップS21)。第2所定温度は、第1所定温度より低い温度であって、たとえば、第1熱交換器14において排ガスを露点まで冷却することができる冷却水の温度である。この露点は、燃料電池システム101の水自立に必要な量の凝縮水を回収できる温度であって、たとえば、40℃である。
制御器9は、第1熱交換器14に流入する温度を検知し、この検知温度が第2所定温度より高い場合、放熱器17のファンの出力を上げる。これにより、冷却水が放熱器17で放熱されて、第1熱交換器14より上流の循環経路12で冷却水が冷却されて、第1熱交換器14に流通する冷却水の温度が第2所定温度まで下がる。これにより、第1熱交換器14では、排ガス経路22を流れる高温の排ガスが、放熱器17により放熱された低温の冷却水により冷却される。この排ガスが露点まで冷却されると、排ガスに含まれている水蒸気が凝縮して、水(凝縮水)が生成する。そして、凝縮水は、凝縮水経路22aを通り循環経路12に流入し、冷却水として利用される。
また、冷却水は、第2熱交換器15で貯湯水により冷却された後、放熱器17の放熱により冷却される。このように低温になった冷却水がイオン交換樹脂フィルタ24に流入し、ここでイオンが除去される。そして、冷却水の一部が改質水経路23を介して改質器21に改質水として供給され、燃料電池システム101の水自立が実現される。一方、残る冷却水は循環経路12を介して第1熱交換器14に流入する。
このように、温度検知器16による検知温度が第2所定温度になるように放熱器17を制御することにより、燃料電池システム101の水自立は維持される。しかしながら、温度検知器16は放熱により冷却された冷却水の温度を検知しているため、検知温度が貯湯水の温度より低くなる。よって、検知温度を貯湯水の温度に近くするため、制御器9は、発電の出力および冷却水の流量を低下させてから(ステップS17、S14)、温度検知器16による検知温度が第1所定温度になるように放熱器17による放熱量を低下させる(ステップS23)。
これにより、放熱量の低下により冷却水の温度低下が抑制されるため、冷却水の検知温度は貯湯水の温度に近くなる。これにより、検知温度と貯湯水の温度の判定に用いることができる。この検知温度は貯湯水全体の温度より低いため、検知温度が第1所定温度になっていれば、貯湯水全体の温度は第1所定温度に達していると判定することができる。
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。