JP2017114784A - オクタデセン酸化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ヒトなどの動物において、抗酸化作用などの有用な薬理活性を示すに至る因子として、水酸基を含有する不飽和脂肪酸を提供することを目的とする。
【解決手段】
【化1】

(R,R´は、水素又は水酸基のいずれかであるが少なくとも一方が水酸基である)
で示されたオクタデセン酸化合物、また、このうちR´が水素、Rが水酸基である11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸であることオクタデセン酸化合物などにより解決することができた。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の構造を有するオクタデセン酸化合物及びそれを含有した食品、化粧品、医薬品に関する。
一般に、不飽和脂肪酸には人体に対して有用な生理活性を示す化合物が知られている。例えば、自然界において魚油に多く含有されるDHA(ドコサヘキサエン酸)又はEPA(エイコサペンタエン酸)をヒトが摂取することにより、血中の中性脂肪量を減少させ心臓病の危険を低減するなどの効果が知られており、これら不飽和脂肪酸は、サプリメントや食品添加物として利用されている。
また、例えば、特許文献1には、分子内に水酸基を有する不飽和脂肪酸として、α−ヒドロキシ−シス−Δ9−オクタデセンという炭素数が18個で9位のみに二重結合を有し、2位に水酸基を有する水酸基含有不飽和脂肪酸(明細書中ではOHODと略称表示されている)が、マウスに埋め込まれた腫瘍細胞による癌の進行の予防及び処置における重大な因子であることなど動物に対して有用な薬理活性を示すことについて開示されている。
特開2015−61856号公報
しかしながら、特許文献1に記載の2位に水酸基を有する水酸基含有不飽和脂肪酸は、上記のような有用な薬理活性を示すことが公知になっていたとしても、生体内における代謝反応は極めて複雑であり、とりわけ2位に位置する水酸基は非常に反応性に富んだ置換基であるために、分子鎖における位置などが異なると、所望の薬理活性を示さない可能性がある。
また、特許文献1では、抗酸化作用などのヒトなど動物において有用な薬理活性を、2位に水酸基などの置換基を有する不飽和脂肪酸が示すことは何ら開示または示唆されていない。
そこで、本発明では、上記課題を鑑み、ヒトなどの動物において、抗酸化作用などの有用な薬理活性を示すに至る因子として、水酸基を含有する不飽和脂肪酸を提供することを目的とする。
〔1〕本発明は、上記課題を解決するために発明者らにより鋭意工夫されたものであり、

(R,R´は、水素又は水酸基のいずれかであるが少なくとも一方が水酸基である)
で示されたオクタデセン酸化合物である。
〔2〕そして、R´が水素、Rが水酸基である11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸であることを特徴とする前記〔1〕に記載のオクタデセン酸化合物である。
〔3〕そして、海藻に含有されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載のオクタデセン酸化合物である。
〔4〕そして、前記〔1〕から前記〔3〕のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする食品である。
〔5〕そして、前記〔1〕から前記〔3〕のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする化粧品である。
〔6〕そして、前記〔1〕から前記〔3〕のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬品である。
本発明により、ヒトなどの動物において、抗酸化作用などの有用な薬理活性を示すに至る因子として、水酸基を含有する不飽和脂肪酸を提供することができる。
11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸などを用いたヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量を比較したウエスタンブロッティング法による結果を示す図である。 11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度変化による酸化酵素CYP1A1の発現量を比較したウエスタンブロッティング法による結果を示す図である。 ベンゾピレンの段階的酸化反応を示す反応式である。 11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸などを用いた酸化酵素CYP1A1の発現量を比較したウエスタンブロッティング法による結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、範囲を表す表現は上限と下限を含むものである。
本発明における

(R,R´は、水素又は水酸基のいずれかであるが少なくとも一方が水酸基である)
で示されたオクタデセン酸化合物は、炭素数が18であり、9位及び10位の炭素間にのみシス型の不飽和結合である二重結合を有し、その二重結合に隣接する8位又は11位の少なくとも一方に水酸基を有する脂肪酸である。具体的には、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸、8−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸であることが好ましい。二重結合の隣接する位置に水酸基を有すると、ヒトなどの動物において、抗酸化作用などの有用な薬理活性を示すに至る因子として機能する。
本発明のオクタデセン酸化合物は、研究室や工場などにおいて有機合成の手法を用いて合成された化合物でもよいが、自然界に存在する物品に含有されている状態から抽出された化合物であることが好ましい。
自然界に存在する物品とは、具体的には、褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻である。さらに具体的には、褐藻類としては、昆布、ひじき、わかめ、もずくなどを用いることが好ましく、紅藻類としては、赤かえでのり、赤とさかのり、あまのりなどが好ましく、緑藻類としてはあおさのりなどが好ましい。これらの海藻中には、個体差によっても異なるが11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸や8−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が所定の割合で含有されているため、一般に食用として古くから食されてきた物品であるので安全性についても大きな問題がなく、需要者にも天然物由来であることから使用や飲食することに抵抗がなく、海産物として市場から入手しやすいため安定的に供給することができる点などから、本発明のオクタデセン酸化合物は、含有されている海藻から抽出されたものであることが好ましい。
また、上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻は、同じ種類であったとしても産地により見た目や味が変化するとともに、本発明のオクタデセン酸化合物の含有割合が異なることもあるが、特に産地が限定されるわけではない。
上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を原料として、本発明のオクタデセン酸化合物が抽出される場合、それら海藻に対して所定量のエタノール、水、酢酸エチルなどの極性を有する溶媒、あるいはn−ヘキサンなどの極性を有しない溶媒によって5〜60度などの温度で抽出されることが好ましい。それら海藻は、海から獲ってきた状態の水気のあるものであっても、それらを乾燥したものであっても、その乾燥したものを水で戻したものであってもよい。このうち、抽出の効率が良いなどの理由から乾燥した海藻を用いることがより好ましい。また、褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を単独で原材料とすることも、各々所定の割合でブレンドして原材料とすることもできる。さらに、本発明のオクタデセン酸化合物に対する抽出の効率を考慮すると、乾燥した上記の海藻を断片状又は粉末状に砕いたものをエタノールで30〜50℃で所定時間抽出することが好ましい。なお、水で抽出すると海藻出汁となる。
そして、上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を原料として、抽出する作業を行わずに、獲ってきた海藻そのままの状態、乾燥した状態、又は乾燥して断片状又は粉末に加工した状態で、そのままの食品、あるいは他の食材を混合するなどの加工をした食品とすることもできる。
さらに、上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を原料として抽出して得られた海藻エキスを用いて、他の食材に添加した食品や、食品として使用可能である添加剤及び材料とともに、固形状である錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤及びトローチ剤、またはペースト状や液状の飲料剤等の形態に調製してなるサプリメント(機能性食品)とすることもできる。
そして、上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を原料として抽出して得られた海藻エキスを用いて、ヒトなどの動物の体表面に付着して抗酸化作用等の効果が発現させるために、他の成分と配合するなどして液状又は固形状の化粧品とすることもできる。
そして、上記の褐藻類、紅藻類、緑藻類などの海藻を原料として抽出して得られた海藻エキスを用いて、ヒトなどの動物に作用して抗酸化作用等の効果が発現させるために、他の成分と配合するなどして、錠剤、丸剤、粉剤、シロップ剤、乳剤、液剤、カプセル剤、注射剤のような製剤化した内服薬、外用薬、注射薬などの医薬品とすることもできる。
海藻として、乾燥昆布100gを500mlのエタノールで24時間抽出した。この抽出物を用いてカラムクロマトグラフィーにて、ヘキサンあるいは酢酸エチルを展開溶媒にして11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を分離した。シリカゲルプレートによる薄層クロマトグラフィ(TLC)では、ヘキサン:酢酸エチル=1:1の混合溶媒を展開溶媒として用いたとき、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸のRf値は、0.39であった。
11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の構造は、プロトン及びカーボンの核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR)、および高速液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS)などを用いて同定した。
H−NMR(Bruker社製、商品名「Bruker Advance 400 instrument」、共鳴周波数400Hz)において、テトラメチルシランを内部標準とする重クロロホルムを溶媒にして分析したところ、2位の水素のケミカルシフト値は2.34ppm(t)、3位〜7位の水素のケミカルシフト値は1.41ppm(m)、8位の水素のケミカルシフト値は2.03ppm(q)、9位の水素のケミカルシフト値は5.63ppm(m)、10位の水素のケミカルシフト値は5.45ppm(dd)、11位の水素のケミカルシフト値は4.05ppm(q)、12位の水素のケミカルシフト値は1.62ppm(q)、13位〜17位の水素のケミカルシフト値は1.41ppm(m)、18位の水素のケミカルシフト値は0.88ppm(t)であった。
そして、13C−NMR(Bruker社製、商品名「Bruker Advance 400 instrument」、共鳴周波数100Hz)において、テトラメチルシランを内部標準とする重クロロホルムを溶媒にして分析したところ、1位の炭素のケミカルシフト値は178.95ppm、2位の炭素のケミカルシフト値は33.83ppm、3位〜7位の炭素のケミカルシフト値は29.13ppm、8位の炭素のケミカルシフト値は31.99ppm、9位の炭素のケミカルシフト値は133.10ppm、10位の炭素のケミカルシフト値は132.36ppm、11位の炭素のケミカルシフト値は77.20ppm、12位の炭素のケミカルシフト値は24.57ppm、13位〜17位の炭素のケミカルシフト値は29.13ppm、18位の炭素のケミカルシフト値は14.08ppmであった。
また、LC−MS(Thermo Scientific社製、商品名「Q−Exactive」)において、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に対して、ジメチルジスルフィドにて−SCH基を付加反応させて得られた化合物を試薬にして、電子イオン化法を用いて分析したところ、391.2m/zに分子イオンピークが認められ、201.1m/z、343.2m/zなどにフラグメントの相対強度の大きいイオンピークが認められた。これらの結果から、付加反応する前の化合物が、9位の炭素と10位の炭素との間に二重結合が位置することを確認することができた。
上記のように、分離及び同定した11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を用いて、まず、薬理効果として抗酸化性について確認した。
〔実施例1〕
48wellマルチプレートにヒト肝がん由来HepG2細胞を3.0×10cellsとなるように播種し、24時間にわたり事前に培養した。培地は、10%ウシ胎仔血清、100UI/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含むDulbecco‘s modified Eagle’s medium (DMEM)を用いた。そして、培地であるDMEMに終濃度が30μg/mlになるように11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を加え、ヒト肝がん由来HepG2細胞に添加して24時間静置した。その後、その細胞を回収して、細胞内に発現した抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図1に示す。
ここで、抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)は、外部からのストレスによって肝臓、脾臓、マクロファージなどで誘導され、細胞を酸化から保護する生体防御機構を担う重要な酵素として知られている。そして、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)は、細胞内におけるKeap1−Nrf2システムにおいて転写因子Nrf2が外部ストレスに応答して小Maf群因子とヘテロ二量体を形成して、解毒化酵素の遺伝子上流域に存在する抗酸化剤応答配列(ARE)に結合することにより、転写及び解読されて合成される。
このような生体反応において、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を投与することにより、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)を発現することができれば、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)を介して抗酸化作用を引き起こさせる原因因子として考えることができる。
〔比較例1〕
実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化2で示す10−ヒドロキシ−オクタデカン酸を用いた以外は、実施例1と同様にヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図1に示す。
〔比較例2〕
実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化3で示す10−ヒドロキシ−12(Z)−オクタデセン酸を用いた以外は、実施例1と同様にヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図1に示す。
〔比較例3〕
実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化4で示す12−ヒドロキシ−オクタデカン酸を用いた以外は、実施例1と同様にヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図1に示す。

また、実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸など脂肪酸を使用しなかった以外は、実施例1と同様にヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果をcontrolとして図1に示す。
図1に示すように、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)のバンドにおいて、実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が最も濃く表れていることから、実験で用いた炭素数が18個の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸において、実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)を最も多く発現させられることがわかった。これにより、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)を産生し、ヒトなどの動物において、抗酸化作用という有用な薬理活性を示すに至る有用な抗酸化因子である化合物であることが分かった。
次に、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を用いて、薬理効果として抗がん性について確認した。
〔実施例2〕
48wellマルチプレートにHepG2細胞を3.0×10cellsとなるように播種し、24時間にわたり事前に培養した。培地は、10%ウシ胎仔血清、100UI/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含むDulbecco‘s modified Eagle’s medium (DMEM)を用いた。そして、培地であるDMEMに終濃度が3μg/mlになるように11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を加え、ヒト肝がん由来HepG2細胞に添加して、その1時間後にベンゾピレン(BaP)を5μMのとなるようにベンゾピレン(BaP)を添加し、24時間静置した。この細胞内に発現したベンゾピレンの酸化酵素であるCYP1A1の発現量をウエスタンブロッティング法を用いて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図2に示す。
ベンゾピレンの酸化酵素であるCYP1A1は、ベンゾピレンが体内に侵入するとそれを代謝するために、肝臓など種々の臓器及び組織で誘導発現される。そして、図3に示すように、一般に、酸化酵素CYP1A1は、生体内でベンゾピレンを酸化しベンゾピレン誘導体(I)を生成し、そして、さらにその誘導体(I)を酸化してベンゾピレン誘導体(II)を生成するという一連の代謝反応を進める一翼を担っている。このベンゾピレン誘導体(II)は、DNAの変性に寄与し、がん組織を形成する原因となっている。
このような生体反応において、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を投与することにより、酸化酵素CYP1A1の発現を抑制することができれば、ベンゾピレンの代謝が進まずDNAの変成を引き起こすベンゾピレン誘導体(II)の産生を抑制することができるので、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、酸化酵素CYP1A1の抑制を行うことにより、ベンゾピレン存在下におけるが抗がん作用を引き起こさせる抗がん因子として考えることができる。
〔実施例3〕
実施例2で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度を10μg/mlとした以外は、実施例2と同様に酸化酵素CYP1A1の発現の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図2に示す。
〔実施例4〕
実施例2で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度を30μg/mlとした以外は、実施例2と同様に酸化酵素CYP1A1の発現の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図2に示す。
〔比較例4〕
実施例2で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度を0μg/ml、すなわち、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を用いなかった以外は、実施例2と同様に酸化酵素CYP1A1の発現の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図2に示す。
図2に示すように、酸化酵素CYP1A1のバンドにおいて、比較例4における11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸を用いなかった例において最も濃く表れ、実施例2から実施例4へと11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度が増加するに従って徐々に薄くなっていることから、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が、酸化酵素CYP1A1の発現を抑制し、さらに濃度依存性があることが分かった。これにより、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、ベンゾピレンの酸化酵素であるCYP1A1の産生を抑制し、ベンゾピレンの代謝反応を阻害することにより、ヒトなどの動物において、ベンゾピレンに対する抗がん作用という有用な薬理活性を示すに至る有用な抗がん因子である化合物であることが分かった。
また、実施例3で行った実験と、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸と構造が似ている他の化合物を用いた実験を比較した。すなわち、まず実施例3と同様に、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸の濃度を10μg/mlとして酸化酵素CYP1A1の発現の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図4に示す。
〔比較例5〕
実施例3で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化2で示した10−ヒドロキシ−オクタデカン酸を用いた以外は、実施例3と同様に酸化酵素CYP1A1の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図4に示す。
〔比較例6〕
実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化3で示す10−ヒドロキシ−12(Z)−オクタデセン酸を用いた以外は、実施例3と同様に酸化酵素CYP1A1の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図4に示す。
〔比較例7〕
実施例1で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸に変えて、化4で示す12−ヒドロキシ−オクタデカン酸を用いた以外は、実施例3と同様に酸化酵素CYP1A1の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果を図4に示す。
また、実施例3で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸など脂肪酸を使用しなかった以外は、実施例3と同様に酸化酵素CYP1A1の発現量をウエスタンブロッティング法にて検証した。なお、他の例との比較のために、他の例と同量のβ−アクチン(β−actin)を用いて、内部標準とした。この結果をcontrolとして図4に示す。
図4に示すように、酸化酵素CYP1A1のバンドにおいて、実施例3で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が最も薄く表れていることから、実験で用いた炭素数が18個の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸において、実施例3で用いた11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸が、酸化酵素CYP1A1の発現を最も抑制させられることがわかった。これにより、11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、ベンゾピレンの酸化酵素であるCYP1A1の産生を抑制し、ベンゾピレンの代謝反応を阻害することにより、ヒトなどの動物において、ベンゾピレンに対する抗がん作用という有用な薬理活性を示すに至る有用な抗がん因子である化合物であることが分かった。
以上のように、炭素数が18個の不飽和脂肪酸において、二重結合に隣接する炭素に水酸基を有する11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸、8−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸などの化1に示す化合物が、ヒトなどの動物において、抗酸化作用及び抗がん作用などの有用な薬理活性を示すに至る因子であることが分かり、有用な化合物であることが分かった。

Claims (6)


  1. (R,R´は、水素又は水酸基のいずれかであるが少なくとも一方が水酸基である)
    で示されたオクタデセン酸化合物。
  2. R´が水素、Rが水酸基である11−ヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸であることを特徴とする請求項1に記載のオクタデセン酸化合物。
  3. 海藻に含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオクタデセン酸化合物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする食品。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする化粧品。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のオクタデセン酸化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬品。
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