以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
[ペイロードフェアリング]
本実施の形態では、本発明に係るペイロードフェアリングの代表的な一例として、衛星フェアリングを例示して本発明を具体的に説明する。まず、代表的な衛星フェアリングの構成について、図1(A)〜(C)、並びに、図2(A),(B)を参照して具体的に説明する。
図1(A)、図1(B)または図1(C)に示すように、衛星フェアリング10A、10Bまたは10Cは、略円錐筒形状を有しており、図示しない打上げロケットの先頭部に取り付けられ、内部に収納空間を有する。この収納空間には、ペイロードである人工衛星40Aまたは40B(図中点線で図示)が収納される。
図1(A)に示す衛星フェアリング10Aは、前端から順にノーズキャップ部11、ノーズコーン部12、およびシリンダ部13の三つの部位から構成されている。ノーズキャップ部11は、衛星フェアリング10Aの前端に位置し、略半球状に形成される。ノーズコーン部12は、ノーズキャップ部11から見て後側に位置し、略円錐状に形成される。シリンダ部13は、ノーズコーン部12から見て後側に位置し、略筒状に形成される。
図1(B)に示す衛星フェアリング10Bは、前端から順にノーズキャップ部11、ノーズコーン部12、シリンダ部13およびリアコーン部14を有する。ノーズキャップ部11、ノーズコーン部12およびシリンダ部13の構成は衛星フェアリング10Aと同様であるが、リアコーン部14は、シリンダ部13から見て後側に位置し、シリンダ部13よりも外径が小さくなった逆円錐台状に形成される。
図1(C)に示す衛星フェアリング10Cは、前端から順にノーズキャップ部11、ノーズコーン部12、シリンダ部13およびリアコーン部15を有する。ノーズキャップ部11、ノーズコーン部12およびシリンダ部13の構成は衛星フェアリング10Aまたは10Bと同様である。リアコーン部15は、衛星フェアリング10Bのリアコーン部14と同様に、シリンダ部13から見て後側に位置するが、シリンダ部13よりも外径が大きくなった円錐台状に形成される。
衛星フェアリング10A〜10Cは、いずれも二つのフェアリング片110を分離可能に互いに結合することにより構成される。フェアリング片110は、衛星フェアリング10A〜10Cを縦方向(長手方向)に略二分割する形状に構成され、これらフェアリング片110は図示しない分離機構により分離可能に結合されている。
衛星フェアリング10Aでは、一方のフェアリング片110aは、ノーズキャップ部11とノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分で構成され、他方のフェアリング片110bは、ノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分で構成される。衛星フェアリング10Bでは、一方のフェアリング片110aは、ノーズキャップ部11とノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分とリアコーン部14の縦半分で構成され、他方のフェアリング片110bは、ノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分とリアコーン部14の縦半分で構成される。衛星フェアリング10Cでは、一方のフェアリング片110aは、ノーズキャップ部11とノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分とリアコーン部15の縦半分で構成され、他方のフェアリング片110bは、ノーズコーン部12の縦半分とシリンダ部13の縦半分とリアコーン部15の縦半分で構成される。
なお、図1(A)〜図1(C)に示す衛星フェアリング10A〜10Cでは、ノーズキャップ部11は、一方のフェアリング片110aに残る構成となっているが、衛星フェアリング10A〜10Cの構成はこれに限定されず、ノーズキャップ部11も縦半分に二分割され、他方のフェアリング片110bの一部を構成してもよい。
フェアリング片110(すなわち衛星フェアリング10A〜10C)は、図2(A)に模式的に示すようなハニカムサンドイッチパネル20(以下、適宜「ハニカムパネル20」と略す)により構成されている。このハニカムパネル20は、基材であるハニカムコア21の両面に表面材であるスキン材22を貼り合わせたサンドイッチ構造を有している。また、ハニカムパネル20には、内部のハニカムコア21に連通する浸水排気用開口部25A,25Bが設けられている。なお、実際のハニカムパネル20は、フェアリング片110の具体的な形状(すなわちペイロードフェアリングの具体的な形状)に応じて湾曲構造等を含んでいる(図3または図4参照)が、図2(A)では、ハニカムパネル20の構成を説明する便宜上、平板状に模式化している。
図2(A)に示す模式的な構成のハニカムパネル20では、複数枚(図2(A)では3枚)のハニカムコア21が接合されて単一の基材を構成しており、複数枚(図2(A)の表面の例では2枚)のスキン材22が接続されて単一の表面材を構成している。言い換えれば、ハニカムパネル20は、複数枚のスキン材22により構成される両面層の間に、複数枚のハニカムコア21により構成される基材が挟持されている。
ハニカムパネル20のパネル端部26には、分離機構ハウジング31が取り付けられている。後述するように、パネル端部26および分離機構ハウジング31によりフェアリング片結合部111が構成される。分離機構ハウジング31は、フェアリング片110同士を分離可能に結合する分離機構をフェアリング片結合部111に取り付けるための構成部材であり、図示しないボルト等のファスナ部材によりパネル端部26に取り付けられている。
ハニカムパネル20においては、ハニカムコア21同士が接続された部位がコアスプライス部23であり、スキン材22同士が接続された部位がスキンスプライス部24である。コアスプライス部23は、ハニカムコア21の端面同士を接着剤により接合することにより構成される。また、スキンスプライス部24は、例えば図2(A)に示すように、複数のスキン材22の縁同士を、当該スキン材22と同等の材料を重ねて接着剤または締結部材(ボルト等)で接合したり、あるいは、図示しないが、スキン材22の端部同士を直接重ねて接合したりすることにより構成される。なお、コアスプライス部23およびスキンスプライス部24の具体的な構成は特に限定されず、宇宙機の分野で公知の手法または材料を用いて構成されればよい。
ハニカムコア21は、例えば、図2(B)に示すように、所定の断面形状を有する中空セル211を平面状に複数並列した構成を有している。図2(B)に示す構成では、中空セル211は中空の断面形状が六角形である六角コアとなっている。また、中空セル211には、隣接する中空セル211同士を互いに連通する連通部として、例えばスロット210が設けられている。これにより、ハニカムコア21を構成する多数の中空セル211は全体的に連通していることになる。
浸水排気用開口部25A,25Bは、前述したように、ハニカムパネル20の内部のハニカムコア21に連通する開口部であり、フェアリング片110の内面側またはハニカムパネル20の側面に形成される。浸水排気用開口部25A,25Bは、ハニカムコア21の中空セル211を露出させるように構成されており、例えば、図2(B)に示すように、浸水排気用開口部25Aは、スキン材22の一部を例えば円形に切り欠いて構成され、浸水排気用開口部25Bは、図2(A)に示すように、分離機構ハウジング31等の枠体に設けられている。なお、浸水排気用開口部25A,25Bの具体的な構成については後に詳述する。また、本実施の形態では、後述するように、浸水排気用開口部25Bはボルト孔35を兼ねている。
[フェアリング片]
次に、衛星フェアリング10A〜10Cを構成するフェアリング片110の具体的な構成の一例について、図3〜図5(A)を参照して説明する。
フェアリング片110としては、例えば、図3に示すように、1枚のハニカムパネル20Aにより構成されたものを挙げることができる。言い換えれば、図3に示す構成では、1枚のハニカムパネル20Aが1個のフェアリング片110となっている。ハニカムパネル20Aは、合計20枚のハニカムコア21により構成されており、フェアリング片110の長手方向(縦方向)に10枚のハニカムコア21が接合され、周方向(横方向)に2枚ずつハニカムコア21が接合されている。なお、図3では、コアスプライス部23を破線で図示している。
また、他のフェアリング片110の構成例としては、図4に示すように、複数枚(例えば3枚)のハニカムパネル20B〜20Dにより構成されたものを挙げることができる。図4に示すフェアリング片110は、基本的には図3に示すフェアリング片110と同様に、20枚のハニカムコア21で構成されているが、これらハニカムコア21は、3枚のハニカムパネル20B〜20Dを構成するように接合され、これらハニカムパネル20B〜20Dは、パネル結合フレーム16により互いに結合されている。言い換えれば、図4に示す構成では、3枚のハニカムパネル20B〜20Dがパネル結合フレーム16を介して結合されることにより1個のフェアリング片110が構成されている。
図4に示すように、ハニカムパネル20B〜20Dは、フェアリング片110の長手方向(縦方向)に沿って並列しており、ハニカムパネル20Bおよびハニカムパネル20Cがパネル結合フレーム16に結合され、ハニカムパネル20Cおよびハニカムパネル20Dがパネル結合フレーム16によって結合されている。
ハニカムパネル20Bは、フェアリング片110の先端側であるノーズコーン部12を構成し、図4に示す例では、8枚のハニカムコア21を接合することにより構成されている。ハニカムパネル20Cは、フェアリング片110の胴部であるシリンダ部13の大部分を構成し、図4に示す例では、8枚のハニカムコア21を接合することにより構成されている。ハニカムパネル20Dは、フェアリング片110のシリンダ部13の後端側(ロケットに結合される側)を構成し、図4に示す例では、4枚のハニカムコア21を接合することにより構成されている。
ハニカムパネル20B〜20Dのいずれも、ハニカムコア21が周方向に2枚ずつ接合されている。したがって、ハニカムパネル20Bおよびハニカムパネル20Cは、長手方向にはハニカムコア21が4枚接合され、ハニカムパネル20Dは、長手方向にハニカムコア21が2枚接合されている。なお、フェアリング片110の構成は図3または図4に示す構成に限定されず、例えば、長手方向も周方向もペイロードである人工衛星40A,40Bの大きさに合わせてハニカムコア21の枚数を設定することができる。また、図4に示すように複数枚のハニカムパネル20でフェアリング片110が構成される場合も、3枚に限定されず4枚以上であってもよいし、2枚であってもよい。
パネル結合フレーム16は、ハニカムパネル20B〜20Dの縁部に取り付けられている。図5(A)に示すように、パネル結合フレーム16同士は、例えばファスナ部材162を介して連結される。これにより、ハニカムパネル20B〜20Dを互いに結合することができる。図5(A)に示す構成例では、ハニカムパネル20のパネル縁部20aに対して、当該縁部の外側を覆うようにパネル結合フレーム16が取り付けられ、パネル結合フレーム16およびパネル縁部20aを貫通するようにファスナ部材161が挿入されている。これにより、パネル縁部20aにパネル結合フレーム16が固定される。
なお、ハニカムパネル20の部位のうち、フェアリング片結合部111を構成する部位、すなわち他のフェアリング片110を構成するハニカムパネル20と結合する部位を、パネル端部26と称する。これに対して、図4に示すように、フェアリング片110が複数のハニカムパネル20で構成されている場合に、ハニカムパネル20同士を結合する部位を、前記の通り、パネル縁部20aと称するものとする。
ここで、図5(A)に示す構成例では、パネル縁部20aはパネル結合フレーム16の内部を埋めるように奥まで挿入されておらず、パネル結合フレーム16の内部には、フレーム内空間163が生じている。しかしながら、パネル結合フレーム16の取付け構成はこれに限定されない。例えば、フレーム内空間163が生じないようにパネル縁部20aがパネル結合フレーム16の奥まで挿入された状態で、ファスナ部材161でパネル結合フレーム16が固定されてもよい。
また、ハニカムパネル20同士を結合する際には、それぞれのハニカムパネル20の側面(パネル縁部20aの周面)同士を突き合わせて連結することになる。パネル縁部20aにはパネル結合フレーム16が設けられているので、ハニカムパネル20の側面はパネル結合フレーム16で覆われていることになる。それゆえ、図5(A)に示すように、パネル結合フレーム16の外面(ハニカムパネル20の側面に対応)同士を突き合わせて、外面同士を貫通するようにファスナ部材162を挿入する。これにより、パネル結合フレーム16を介してハニカムパネル20同士を結合することができる。
なお、ファスナ部材161,162の具体的な構成は特に限定されず、公知のものを好適に用いることができる。また、パネル結合フレーム16をハニカムパネル20に固定する構成も、ファスナ部材161をハニカムパネル20の厚み方向に貫通させる構成に限定されず、公知のさまざまな固定構成を採用することができる。同様に、パネル結合フレーム16同士を結合する構成も、ファスナ部材162を貫通させる構成に限定されず、公知のさまざまな結合構成を採用することができる。
フェアリング片110は、前述したように、他のフェアリング片110と結合して衛星フェアリング10A〜10Cを構成する。また、衛星フェアリング10A〜10Cはロケットの先端部に取り付けられる。そのため、図3または図4に示すように、フェアリング片110は、他のフェアリング片110と結合するためのフェアリング片結合部111と、ロケットに結合するためのロケット結合部112とを有している。フェアリング片結合部111およびロケット結合部112は、いずれも図3または図4には図示しない分離機構を備えており、この分離機構を介して、他のフェアリング片110またはロケットの先端部に結合される。
前術したように、フェアリング片110は、1枚または複数枚のハニカムパネル20により構成される。それゆえ、フェアリング片結合部111またはロケット結合部112における分離機構の取付け部位は、ハニカムパネル20のパネル側面の一部となり得る。また、図3または図4に示すように、ハニカムパネル20A〜20Dには、フェアリング片110の内面となる位置に浸水排気用開口部25Aが設けられているとともに、フェアリング片結合部111に浸水排気用開口部25Bが設けられている。
[浸水排気用開口部]
次に、フェアリング片110に設けられる浸水排気用開口部25A,25Bについて、図2(A)〜図5(A)に加えて、図5(B)、図6(A)および図6(B)を参照して具体的に説明する。
前記の通り、フェアリング片110は1枚または複数枚のハニカムパネル20により構成されており、ハニカムパネル20は、複数枚のハニカムコア21を接合したものを基材として構成される。そして、それぞれのハニカムコア21には、フェアリング片110の内面またはフェアリング片結合部111となる位置に、当該ハニカムコア21の内部に連通する浸水排気用開口部25A,25Bが設けられている。
ハニカムコア21には、前述したように、当該ハニカムコア21を構成する複数の中空セル211同士を互いに連通するスロット(連通部)210が設けられる。それゆえ、スロット(連通部)210を介してハニカムコア21の内部全体が連通しているとともに、浸水排気用開口部25A,25Bを介して、ハニカムコア21の内部が外部に連通していることになる。また、ハニカムパネル20は、前述したように、複数のハニカムコア21がコアスプライス部23を介して接合されたものであり、コアスプライス部23は、ハニカムコア21同士を接着剤層で接合することにより構成される。接着剤層には透水性がないため、浸水排気用開口部25A,25Bは、コアスプライス部23で分断されるそれぞれのハニカムコア21に設けられることになる。
浸水排気用開口部25Aは、図2(A)〜図4、図5(B)、図6(A)および図6(B)に示すように、フェアリング片110の内面(すなわち衛星フェアリング10A〜10Cの収納空間の内側となる面)に設けられる。それゆえ、浸水排気用開口部25Aは「パネル内面開口部」と表現することができる。浸水排気用開口部25Aは、図2(B)に模式的に示すように、スキン材22を切り欠いて形成されるが、これに限定されず、図5(B)に示すように、パネル結合フレーム16に形成されてもよい。
ここで、例えば、浸水排気用開口部25Aの形成位置が、パネル結合フレーム16とパネル縁部20aとが重なっている位置であれば(図5(A)参照)、浸水排気用開口部25Aは、スキン材22およびパネル結合フレーム16の双方を切り欠いて形成されてもよい。また、浸水排気用開口部25Aの形成位置が、パネル結合フレーム16のみ、すなわち、フレーム内空間163に対応する位置であれば(図5(A)参照)、浸水排気用開口部25Aは、パネル結合フレーム16のみを切り欠いて形成されればよい。
浸水排気用開口部25Bは、図2(A)および図6(A)に示すように、パネル端部26に取り付けられる分離機構ハウジング31に設けられる。パネル端部26および分離機構ハウジング31は、フェアリング片結合部111を構成しており(図6(A)において点線で囲んだ領域を参照)、分離機構ハウジング31が取り付けられるパネル端部26は、ハニカムコア21の中空セル211が露出する開放端となっている。それゆえ、分離機構ハウジング31に浸水排気用開口部25Bが形成されることにより、当該浸水排気用開口部25Bは中空セル211に連通することになる。なお、図2(A)に模式的に示すように、分離機構ハウジング31は、ハニカムパネル20においてパネル側面を構成している。それゆえ、浸水排気用開口部25Bは「パネル側面開口部」と表現することができる。
浸水排気用開口部25A,25Bの具体的な構成は特に限定されない。例えば、図2(A)〜図6(B)に示すように、浸水排気用開口部25A,25Bの形状は円形であればよいが、もちろんこれに限定されず、矩形また五角形以上の多角形であってもよい。また、浸水排気用開口部25A,25Bの形状または開口径(内径)は特に限定されない。浸水排気用開口部25A,25Bは、後述するようにフェアリング片110が海上に着水したときに、当該フェアリング片110を構成するハニカムパネル20の内部に海水を良好に導入することができる形状または開口径であればよい。
例えば、パネル内面に形成される浸水排気用開口部25Aについては、中空セル211の中空部分が一つ以上露出できる形状または開口径であれば好ましい。例えば図6(A),(B)に示す構成では、浸水排気用開口部25Aは、中空セル211の内面側の端部を露出するようにスキン材22を切り欠いて形成される(図2(B)参照)。それゆえ、浸水排気用開口部25Aは、中空セル211の断面の少なくとも一部が露出する大きさの開口となっていれば、後述する海水の浸入または空気の排気が生じやすくなる。なお、浸水排気用開口部25Aの大きさは特に限定されず、前記の通り、海水の浸入が可能な程度に、中空セル211の断面の少なくとも一部が露出する程度の大きさであればよい。図2(B)で図示する浸水排気用開口部25Aは、中空セル211の断面が一つ以上露出する大きさであるが、これより小さくてもよいし大きくてもよい。
また、パネル側面に形成される浸水排気用開口部25Bについては、図6(A)に示すように、分離機構ハウジング31に設けられるボルト孔35を利用することができる。具体的には、例えば、分離機構が作動すれば分離機構ハウジング31のボルト孔35が開放される。このとき、パネル端部26は開放端であるため、中空セル211のスロット(連通部)210は露出するように開放されている。これにより、ハニカムコア21のパネル端部26がボルト孔35を介して外気に通じることができる。それゆえ、分離機構ハウジング31のボルト孔35を浸水排気用開口部25Bとして利用可能となる。
これにより、パネル端部26のボルト孔35(浸水排気用開口部25B)からスロット(連通部)210を介してハニカムコア21内に海水を浸入させやすくすることができるとともに、スロット(連通部)210を介してハニカムコア21内の空気を排気させることができる。なお、パネル端部26において、ハニカムコア21が露出している状態を良好に維持するために、分離機構ハウジング31以外の公知の枠材等を取り付けてもよい。
浸水排気用開口部25A,25Bの形成位置も特に限定されないが、それぞれのハニカムコア21の内部に海水を浸入させるために、浸水排気用開口部25A,25Bは、各ハニカムコア21においてフェアリング片110の周方向および長手方向の端部となる位置に設けられていることが好ましい。これにより、ハニカムコア21の四隅近傍が開放されることになり、ハニカムコア21の多くの部分を良好に浸水させることができる。例えば、図6(A)または図6(B)に示すように、浸水排気用開口部25A,25Bは、ハニカムパネル20を構成するハニカムコア21において、周方向および長手方向の端部またはその近傍に形成されればよい。
図6(A)に示す構成はパネル端部26が開放端となっている例であり、図6(B)に示す構成はパネル端部26が開放端ではない(パネル端部26においてハニカムコア21が露出していない閉止端となっている)例である。図6(A)に示す構成では、ハニカムコア21の周方向の一端に分離機構ハウジング31が取り付けられるので、ハニカムコア21の一端に浸水排気用開口部25Bが設けられ、ハニカムコア21の他端に浸水排気用開口部25Aが設けられる。また、図6(B)に示す構成では、パネル端部26が閉止端であるので、ハニカムコア21の一端に隣接するパネル内面に浸水排気用開口部25Aが設けられてもよい。この構成では、閉止端ではハニカムコア21が露出していないので、ボルト孔35は浸水排気用開口部25Bとして機能しない。
さらに、図5(B)に模式的に示すように、浸水排気用開口部25Aは、パネル結合フレーム16の一部を切り欠いて形成されてもよい。また、図2(A)に模式的に示すように、ハニカムパネル20が周方向に3枚以上のハニカムコア21で構成される場合も、それぞれのハニカムコア21について、周方向および長手方向の両端部近傍に浸水排気用開口部25A,25Bが形成されればよい。また、図示しないが、パネル端部26が開放端であっても、周方向の一端に浸水排気用開口部25Aが設けられてもよい。つまり、浸水排気用開口部25Aをハニカムコア21に設ける場合、図6(A)および図6(B)の構成を組み合わせた構成を採用することもできる。
なお、ハニカムコア21の内部を良好に浸水させることができれば、浸水排気用開口部25A,25Bは、フェアリング片110の周方向の端部および長手方向の端部の少なくともいずれかに設けられていればよい。つまり、浸水排気用開口部25A,25Bは、周方向の端部および長手方向の端部のいずれにも設けられていることが好ましいが、ハニカムコア21の内部に海水を良好に導入できるのであれば、周方向の端部のみに設けられてもよいし、長手方向の端部のみに設けられてもよい。
また、浸水排気用開口部25A,25Bは、ペイロードフェアリングの収納空間を外部から隔離する観点から、前述したように、フェアリング片110の内面となる位置であるか、フェアリング片結合部111における外気または宇宙空間に曝されない位置に設けられればよい。
フェアリング片110の内面はペイロードである人工衛星40A,40Bを収納する収納空間を確定する面となっているが、フェアリング片110の外面は、外気または宇宙空間に曝される面である。そのため、収納空間を外気または宇宙空間から隔離する観点から、フェアリング片110の内面に浸水排気用開口部25Aが形成される。また、フェアリング片110同士が分離機構により結合して衛星フェアリング10A〜10Cを構成している場合には、それぞれのフェアリング片110は、フェアリング片結合部111同士を突き合わせて結合している状態にある。そのため、フェアリング片結合部111における外気または宇宙空間に曝されない位置に浸水排気用開口部25Bを設けることで、収納空間の隔離に影響を及ぼすおそれを回避することができる。
なお、フェアリング片110の内面における浸水排気用開口部25Aの形成位置は特に限定されないが、図3または図4において一点鎖線で示す部位113に対応する位置に設けられていればよい。この部位113は、フェアリング片110の内側における周方向の中央部分であって長手方向に広がる領域となっているので、便宜上、この部位113を「内面中央部113」と称する。フェアリング片110の周方向(横方向)の断面すなわち横断面の形状は略円弧状となっているが、内面中央部113は、フェアリング片110の横断面における凸部または凹部の頂点に対応する領域となる。
ここで、内面中央部113の具体的な範囲(内面中央部113の幅)については特に限定されず、少なくとも凹部または凸部の頂点近傍であって、少なくとも2個の浸水排気用開口部25Aを設けることができる程度の幅であればよい。図3または図4に示す例では、フェアリング片110の周方向が2枚のハニカムコア21で構成されているが、この場合、凹部または凸部の頂点近傍は、各ハニカムコア21の端面同士を突き合わせて接合した位置に相当する。浸水排気用開口部25Aは、この頂点近傍となる端部(一方の端部)にそれぞれ設けられている。それゆえ、この例では、内面中央部113は、少なくとも周方向に2個の浸水排気用開口部25Aを設けられる程度の幅であればよい。
また、図示しないが、フェアリング片110の周方向が1枚のハニカムコア21で構成されていたり、3枚以上のハニカムコア21で構成されていたりすれば、フェアリング片110の頂点近傍となる位置に少なくとも周方向に1個の浸水排気用開口部25Aを設け、ハニカムコア21の周方向の両端部にそれぞれ浸水排気用開口部25Aを設ける構成を採用することができる。また、図3または図4に示す例であっても、互いに突き合わせて接合される2枚のハニカムコア21の端面同士を連通させておけば、頂点近傍に浸水排気用開口部25Aを1個のみ設けることもできる。これらの場合は、内面中央部113の幅は、少なくとも周方向に1個の浸水排気用開口部25Aが設けられる程度の幅であればよい。
したがって、内面中央部113の幅の下限は、周方向に1〜2個の浸水排気用開口部25Aを設けることができる程度であればよい。一方、内面中央部113の幅の上限については、頂点を含み、フェアリング片110の周方向長さの1/4〜1/3程度となる幅であればよい。内面中央部113の幅がこの程度の範囲内であれば、頂点近傍と見なすことができる位置に浸水排気用開口部25Aを設けることができる。
このように、フェアリング片110を基準としたときには、浸水排気用開口部25Aは、ハニカムコア21における内面中央部113(フェアリング片110の内側であって周方向の中央部)に相当する位置に設けられていることが好ましい。ただし、フェアリング片110における浸水排気用開口部25Aが設けられる部位は、内面中央部113に限定されない。例えば、フェアリング片110において内面中央部113とともに他の部位に浸水排気用開口部25Aが設けられてもよいし、内面中央部113以外の部位に浸水排気用開口部25Aが設けられてもよい。
浸水排気用開口部25A,25Bには、前記の通りハニカムコア21が露出しており、このハニカムコア21を構成する中空セル211には、前記の通りスロット(連通部)210が設けられる。このスロット(連通部)210は、隣接する中空セル211同士を連通し、中空セル211内に海水を導入でき、中空セル211内の空気を排出できるものであればよく、その形成位置、形状、またはサイズ等については特に限定されない。ただし、スロット(連通部)210は中空セル211内において海水の流れが蛇行するような位置に形成されることが好ましい。
例えば、図2(B)に示すような六角形断面の中空セル211では、六角筒を構成する三対の対向面のうち全ての対向面にスロット(連通部)210を形成するのではなく、二対の対向面にそれぞれスロット(連通部)210を形成する構成を挙げることができる。一対の対向面のみにスロット(連通部)210を形成すると、浸水排気用開口部25A,25Bから導入された海水は、対向面のスロット(連通部)210を直線状に流れるだけで蛇行しない。それゆえ、少なくとも二対の対向面にスロット(連通部)210を形成すれば、中空セル211内に流れ込む海水をできるだけ蛇行させるようにすることができる。
[フェアリング片の水没]
次に、フェアリング片110の水没について、図3〜図6(B)に加えて、図7(A),(B)、図8(A),(B)並びに図9(A)〜(C)を参照して具体的に説明する。
衛星フェアリング10A〜10Cは、打上げロケットにより目的の高度および軌道を目指して移送される。この途中で、人工衛星40Aまたは40Bを露出させるために衛星フェアリング10A〜10Cは開頭分離してロケットの頭部から切り離される。切離されたフェアリング片110は例えば海上に落下する。例えば、図7(A)または図8(A)に示すように、フェアリング片110が内面を上側に向けた状態(収納空間を上方の大気に向けた状態、凹状態)で海面に着水すれば、図3または図4においてブロック矢印Cに示すように、ロケット結合部112側(後端側)からフェアリング片110の内部に海水が入り込む。
フェアリング片110の内面中央部113には、前記の通り複数の浸水排気用開口部25Aが設けられている。そのため、図3、図4、図5(B)、図6(A)、図6(B)、図7(A)および図8(A)においてブロック矢印Aに示すように、浸水排気用開口部25Aからハニカムコア21内に海水が浸入する。
ここで、1枚のハニカムコア21において、分離機構ハウジング31が取り付けられる端部を「周方向の一端」とし(図6(A)、図6(B)参照)、内面中央部113側となる端部を「周方向の他端」としたときに、当該ハニカムコア21では、周方向の他端となる部位には内面中央部113に浸水排気用開口部25Aが設けられている一方、周方向の一端となる部位、すなわちフェアリング片結合部111には、図3、図4、図5(B)、図6(A)および図7(A)に示す例では浸水排気用開口部25Bが設けられており、図6(B)および図8(A)に示す例では浸水排気用開口部25Aが設けられている。フェアリング片結合部111は、開放端であるパネル端部26と、このパネル端部26に取り付けられる分離機構ハウジング31とで構成されており、浸水排気用開口部25Bは、分離機構ハウジング31に形成されている。
前述したように、ハニカムコア21を構成する複数の中空セル211は、互いにスロット(連通部)210で連通している。それゆえ、浸水排気用開口部25Aから浸入した海水は、スロット(連通部)210を介して周方向の他端から中空セル211内を徐々に満たしていく。しかも、図3、図4、図5(B)、図6(A)および図7(A)に示す例では、ブロック矢印Bに示すように、開放端であるパネル端部26を介して浸水排気用開口部25Bから、図6(B)および図8(A)に示す例では周方向の一端に設けられた浸水排気用開口部25Aから、ハニカムコア21内の空気が排気(排出)される。それゆえ、中空セル211内では、海水に押し出されるように空気がスロット(連通部)210から排出され、最終的に周方向の一端に設けられた浸水排気用開口部25Bまたは浸水排気用開口部25Aから排気されることになる。
一方、図7(B)または図8(B)に示すように、フェアリング片110が内面を下側に向けた状態(収納空間を下方の海面に向けた状態、凸状態)で海面に着水すれば、ブロック矢印Aに示すように、フェアリング片110のフェアリング片結合部111が海水中に浸ることになる。それゆえ、図7(B)に示す例では、フェアリング片結合部111に設けられた浸水排気用開口部25Bから、図8(B)に示す例では、フェアリング片結合部111に設けられた浸水排気用開口部25Aからハニカムコア21内部に海水が浸入する。
前述したように、ハニカムコア21を構成する複数の中空セル211にはスロット(連通部)210が設けられているので、スロット(連通部)210を介して周方向の一端から中空セル211内を徐々に海水で満たしていく。中空セル211が海水で満たされていくときにはスロット(連通部)210を介して中空セル211内の空気が排気される。そのため、図7(B)および図8(B)においてブロック矢印Bに示すように、ハニカムコア21内の空気は、最終的に周方向の他端に位置する浸水排気用開口部25Aから排気されることになる。
このように、ハニカムパネル20(フェアリング片110)に設けられる浸水排気用開口部25A,25Bは、ハニカムパネル20を構成するハニカムコア21に連通している。そのため、フェアリング片110が凹状態で海面に着水しても凸状態で海面に着水しても、これら浸水排気用開口部25A,25Bによりハニカムコア21の内部を空気から海水に良好に置換することができる。その結果、海上に着水したフェアリング片110を円滑に水没させることができる。
ここで、図3または図4に示すフェアリング片110は、図1(A)に示す衛星フェアリング10Aに対応し、ノーズコーン部12およびシリンダ部13を有する構成である。それゆえ、図9(A)(並びに図3または図4)においてブロック矢印Cに示すように、フェアリング片110が凹状態で海上に着水すれば、その後端からフェアリング片110の収納空間内に海水が入り込む。ところがフェアリング片110が、図1(B)に示す衛星フェアリング10Bに対応していれば、ノーズコーン部12およびシリンダ部13に加えてリアコーン部14を有している。リアコーン部14はシリンダ部13よりも後端側の内径が小さくなるような略円錐台の外形状を有しているため、図9(B)に示すように、フェアリング片110の後端が海面よりも上に位置することになる。これにより、フェアリング片110が凹状態で海上に着水しても、海水は後端から収納空間内に入り込むことができない。
そこで、例えば、図9(B)および図9(C)に示すように、フェアリング片110の後端側がリアコーン部14となっている場合には、このフェアリング片110のシリンダ部13となる位置に、着水時に外側に開放可能な導水孔32が設けられてもよい。この導水孔32は、例えば、図9(C)に示すように、フェアリング片110のシリンダ部13を貫通する開口を保持する枠体321と、この枠体321に開閉可能に取り付けられる逆止弁322と、を備えている。
逆止弁322は、フェアリング片110の内側から外側に向かって開閉可能に構成されている。衛星フェアリング10Bが起立状態またはロケットによる飛行時には、逆止弁322は自重または外圧で閉止し、衛星フェアリング10Bの内圧が外部よりも高くなった場合、あるいは、フェアリング片110が凹状態で着水したときには、逆止弁322は自重で外側に向けて開く構成となっている。それゆえ、フェアリング片110が凹状態で海上に着水したときには、当該フェアリング片110の後端から海水が入り込めなくても、導水孔32の逆止弁322が海面に向かって開放されるので、図9(C)のブロック矢印Dに示すように、フェアリング片110の収納空間側に海水が導入される。
収納空間側に導入された海水は、内面中央部113に設けられる浸水排気用開口部25Aからハニカムコア21内に浸入可能であり、ハニカムコア21内の空気は、フェアリング片結合部111に設けられる浸水排気用開口部25Bから排気可能である。そのため、フェアリング片110が、後端側にリアコーン部14を有する構成であっても、収納空間内に良好に海水を導くことができる。その結果、フェアリング片110を円滑に水没させることができる。
[変形例]
本実施の形態では、ペイロードフェアリングの代表的な一例として、図1(A)〜(C)に示す衛星フェアリング10A〜10Cを例示したが、本発明に係るペイロードフェアリングはこれに限定されず、ペイロードとして人工衛星40A,40B以外の他の宇宙機を収納する構成であってもよい。また、図1(A)〜(C)に示す衛星フェアリング10A〜10Cは、ロケットの上段に取り付けられる構成であるが、衛星フェアリング10A〜10Cの後端がロケットの上段部を覆う構成となっていてもよい。
また、本実施の形態では、ハニカムコア21として、図2(B)および図10(A)に示すように、六角形断面の中空セル211を有する六角コアを例示しているが、ハニカムコア21は六角コアに限定されず、その他の公知の構成を好適に用いることができる。
例えば、ハニカムコア21の他の構成としては、図10(B)または図10(C)に示すように、断面がT字状の中空セル212を有するフレキシブルコア(登録商標)を挙げることができる。T字の横線に対応する領域を横領域、T字の縦線に対応する領域を縦領域としたときに、このフレキシブルコアでは、二つの中空セル212の横領域の間に縦領域の先端が介在するような配置で、複数の中空セル212が積み重ねられた構成を有している。スロット(連通部)210は、中空セル212内に浸入する海水が蛇行するような位置に設けられている。
例えば、図10(B)では、一つのスロット(連通部)210が、任意の中空セル212の横領域のうち、隣接する他の中空セル212の縦領域に対応する側面部の一つに設けられ、他の一つのスロット(連通部)210が、任意の中空セル212の横領域のうち、隣接する他の中空セル212の横領域に対応する側面部の一つに設けられる。また、図10(C)では、縦領域と横領域との接点となる部位(横領域において縦領域の付け根となる部位)にそれぞれ一つずつスロット(連通部)210が設けられている。
また、ハニカムコア21の他の構成としては、図10(D)に示すように、六角形断面を一方向に延伸させたような断面の中空セル213を有するOXコア(登録商標)、図10(E)に示すように、横断面が略星形のような中空セル214を有するダブルフレキシブルコア(登録商標)等を挙げることができる。これら中空セル213または中空セル214に対しても、内部に浸入する海水が蛇行するように、セル内部空間を挟んで対角線を形成するような位置にそれぞれスロット(連通部)210が設けられている。
また、中空セル211同士は、公知の連通部により互いに連通していればよく、連通部の構成は、図2(B)および図10(A)〜図10(E)に示すようなスロット210のみに限定されない。例えば、図10(F)に示すように、中空セル211には、連通部として、スロット210ではなくドリル孔220が形成されてもよい。ドリル孔の形成方法または形成位置等の諸条件は特に限定されず、例えば、公知のドリル装置を用いて好適な箇所にドリル孔220を形成すればよい。
さらに、本実施の形態では、導水孔32の開放方向は特に限定されない。例えば、着水時に周方向に開放可能に構成されてもよいし、打上げ時または飛行時に衛星フェアリング10A〜10C内と外部空間とを十分に遮断できるのであれば、内側に開放可能な構成であってもよい。いずれにせよ導水孔32は着水時に開放されることで、フェアリング片110の内面側に海水を導入することができる構成であればよい。
また、本実施の形態では、フェアリング片110の内面(すなわち衛星フェアリング10A〜10Cの収納空間の内側となる面)に設けられる浸水排気用開口部25Aとして、前述したようにスキン材22を切り欠いて形成される構成(図2(B)または図6(A),(B)等参照)と、パネル結合フレーム16を切り欠いて形成される構成(図5(B)参照)とを例示しているが、浸水排気用開口部25Aの構成はこれらに限定されない。例えば、フェアリング片110の構成によっては、スキン材22およびパネル結合フレーム16以外の部材が、当該フェアリング片110の内面に位置することもあり得るが、このような他の部材にも浸水排気用開口部25Aを形成することが可能である。
このように、本発明に係るペイロードフェアリングは、複数のフェアリング片を分離可能に互いに結合して構成され、内部にペイロードを収納する収納空間を有し、それぞれのフェアリング片は、複数枚のハニカムコアを接合したものを基材とするハニカムサンドイッチパネルにより構成され、ハニカムコアには、当該ハニカムコアを構成する複数の中空セル同士を互いに連通するスロットが設けられるとともに、フェアリング片の内面または当該フェアリング片同士の結合部となる位置には、内部に連通する浸水排気用開口部が設けられている構成となっている。
これにより、ペイロードフェアリングが着水したときには、浸水排気用開口部からハニカムコアの内部に海水が浸入する。ハニカムコアを構成する中空セルには、互いを連通するスロットが設けられているので、スロットを介してハニカムコア全体に海水が導入されることになる。また、中空セル内部の空気は、スロットを介して浸水排気用開口部からハニカムコア外部に排出することができるので、ハニカムコア全体の空気を容易に海水に置き換えることができる。それゆえ、フェアリング片をより迅速に水没させることができる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。