JP2017110573A - 油圧装置、油圧式無段変速機 - Google Patents

油圧装置、油圧式無段変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】ベーンポンプ装置を回転駆動させるトルクを低減することができる技術を提供する。【解決手段】第1吐出圧力のオイルと、第1吐出圧力よりも小さい第2吐出圧力のオイルとを吐出するポンプユニットと、ポンプユニットを収容し、ポンプユニットから吐出された第1吐出圧力のオイルを外部に吐出する高圧側吐出口117と第2吐出圧力のオイルを外部に吐出する低圧側吐出口118とが形成されているハウジングとを有するベーンポンプ1と、ベーンポンプ1の高圧側吐出口117から吐出されたオイルを流体機器501に案内する高圧側案内路503と、低圧側吐出口118から吐出されたオイルを流体機器501とは異なる潤滑対象部位505に案内する低圧側案内路506と、低圧側案内路506に設けられ、低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505に案内するか流体機器501に案内するかを切り替える切替バルブ508とを備える。【選択図】図19

Description

本発明は、油圧装置及び油圧式無段変速機に関する。
例えば、特許文献1に記載されたベーンポンプは、ロータの中心を通る直径方向で対向する2位置のそれぞれに吐出ポートを設け、2個の吐出ポートの一方をメイン吐出ポートとし、他方をサブ吐出ポートとする。そして、メイン吐出ポートは常に吐出油を流体機器に供給するべく吐出通路、吐出口に接続される。サブ吐出ポートは連通路により吐出通路、吐出口に連通される。
特許文献2に記載されたベーンポンプは、メイン領域とサブ領域の両方にて作動流体の吸込吐出を行う全吐出ポジションとメイン領域のみにて作動流体の吸込吐出を行う半吐出ポジションとを切換える切換弁を備えるベーンポンプであって、切換弁は半吐出ポジションにてベーンがロータに引き込まれてカムリングの内周カム面から離間するようにサブ領域のベーンに導かれる圧力を切換える。
特許文献3に記載された装置は、ポンプから無段変速機への作動油の吐出量を車両の運転状況によって切り換えることにより、燃費性能を良好な状態に保つために、エンジン回転数が低回転である場合に、車両が完全に停止した状態であること等の条件が満たされた状態において、ポンプから吐出される作動油を切換弁によって切り換え、作動油の流通量を低速運転時の約半分に抑制する。
特開2013−50067号公報 特開2011−196302号公報 特開2005−114103号公報
本発明は、ベーンポンプ装置を回転駆動させるトルクを低減することができる油圧装置及び油圧式無段変速機を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、第1吐出圧力の作動流体と、前記第1吐出圧力よりも小さい第2吐出圧力の作動流体とを吐出するポンプユニットと、前記ポンプユニットを収容し、前記ポンプユニットから吐出された前記第1吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第1吐出口と、前記第2吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第2吐出口とが形成されているハウジングと、を有するベーンポンプ装置と、前記ベーンポンプ装置の前記第1吐出口から吐出された作動流体を流体機器に案内する第1案内路と、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記流体機器とは異なる他の部位に案内する第2案内路と、前記第2案内路に設けられ、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記他の部位に案内するか前記流体機器に案内するかを切り替える切替バルブと、を備えることを特徴とする油圧装置である。
また、他の観点から捉えると、本発明は、第1吐出圧力の作動流体と、前記第1吐出圧力よりも小さい第2吐出圧力の作動流体とを吐出するポンプユニットと、前記ポンプユニットを収容し、前記ポンプユニットから吐出された前記第1吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第1吐出口と、前記第2吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第2吐出口とが形成されているハウジングと、を有するベーンポンプ装置と、前記ベーンポンプ装置の前記第1吐出口から吐出された作動流体を無段変速機構部に案内する第1案内路と、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を潤滑対象部位に案内する第2案内路と、前記第2案内路に設けられ、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記潤滑対象部位に案内するか前記第1案内路に案内するかを切り替える切替バルブと、を備えることを特徴とする油圧式無段変速機である。
本発明によれば、ベーンポンプ装置を回転駆動させるトルクを低減することができる油圧装置及び油圧式無段変速機を提供することができる。
実施の形態に係るベーンポンプの外観図である。 ベーンポンプの構成部品の一部をカバー側から見た斜視図である。 ベーンポンプの構成部品の一部をケース側から見た斜視図である。 ベーンポンプの高圧のオイルの流路を示すための断面図である。 ベーンポンプの低圧のオイルの流路を示すための断面図である。 (a)は、ロータ、ベーン及びカムリングを回転軸方向の一方方向に見た図である。(b)は、ロータ、ベーン及びカムリングを回転軸方向の他方方向に見た図である。 カムリングのカムリング内周面における回転角度毎の回転中心からの距離を示す図である。 (a)は、インナサイドプレートを回転軸方向の一方方向に見た図である。(b)は、インナサイドプレートを回転軸方向の他方方向に見た図である。 (a)は、アウタサイドプレートを回転軸方向の他方方向に見た図である。(b)は、アウタサイドプレートを回転軸方向の一方方向に見た図である。 ケースを回転軸方向の一方方向に見た図である。 カバーを回転軸方向の他方方向に見た図である。 高圧オイルの流れを示す図である。 低圧オイルの流れを示す図である。 (a)及び(b)は、インナサイド高圧側凹部とインナサイド低圧側凹部との関係及びインナサイド高圧側貫通孔とインナサイド低圧側凹部との関係を説明するための図である。 インナサイド低圧側吸入上流分離部の回転方向の大きさについて説明する図である。 (a)及び(b)は、アウタサイド高圧側凹部とアウタサイド低圧側貫通孔との関係及びアウタサイド低圧側凹部とアウタサイド高圧側凹部との関係を説明するための図である。 (a)及び(b)は、インナサイド低圧側吸入上流分離部の回転方向の大きさの上限値について説明するための図である。 インナサイド低圧側吸入上流分離部と、高圧側吐出ポートと、低圧側吸入ポートとの関係を示す図である。 本実施の形態に係るベーンポンプが適用される油圧装置の油圧回路の概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るベーンポンプ装置1(以下、「ベーンポンプ1」と称す。)の外観図である。
図2は、ベーンポンプ1の構成部品の一部をカバー120側から見た斜視図である。
図3は、ベーンポンプ1の構成部品の一部をケース110側から見た斜視図である。
図4は、ベーンポンプ1の高圧のオイルの流路を示すための断面図である。図4は、図6のIV−IV部の断面図でもある。
図5は、ベーンポンプ1の低圧のオイルの流路を示すための断面図である。図5は、図6のV−V部の断面図でもある。
本実施の形態に係るベーンポンプ1は、例えば車両のエンジンまたはモータなどからの動力により駆動されて、作動流体の一例としてのオイルを、流体機器に供給するためのポンプである。
また、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、1つの吸入口116から吸入したオイルを、異なる2つの圧力に高め、2つの圧力の内、高圧のオイルを高圧側吐出口117から吐出し、低圧のオイルを低圧側吐出口118から吐出する。より具体的には、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、吸入口116から吸入されて高圧側吸入ポート2(図4参照)からポンプ室に吸入されたオイルを、ポンプ室にて圧力を高めて高圧側吐出ポート4(図4参照)から吐出して高圧側吐出口117から外部に吐出する。加えて、ベーンポンプ1は、吸入口116から吸入されて低圧側吸入ポート3(図5参照)からポンプ室に吸入されたオイルを、ポンプ室にて圧力を高めて低圧側吐出ポート5(図5参照)から吐出して低圧側吐出口118から外部に吐出する。なお、高圧側吸入ポート2、低圧側吸入ポート3、高圧側吐出ポート4及び低圧側吐出ポート5は、ポンプ室に臨む(面する)部分である。
また、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、異なる2つの圧力の内の高圧に高めるオイルを吸入するポンプ室の容積が異なる2つの圧力の内の低圧に高めるオイルを吸入するポンプ室の容積よりも小さい。つまり、高圧側吐出口117は、高圧である小容量のオイルを吐出し、低圧側吐出口118は、低圧である大容量のオイルを吐出する。
ベーンポンプ1は、車両のエンジンまたはモータなどからの駆動力を受けて回転する回転軸10と、回転軸10とともに回転するロータ20と、ロータ20に形成された溝に組み込まれた複数のベーン30と、ロータ20およびベーン30の外周を囲むカムリング40とを備えている。
また、ベーンポンプ1は、カムリング40よりも回転軸10の一方の端部側に配置された一方側部材の一例としてのインナサイドプレート50と、カムリング40よりも回転軸10の他方の端部側に配置された他方側部材の一例としてのアウタサイドプレート60とを備えている。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、ロータ20、10枚のベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50及びアウタサイドプレート60にて、ポンプ室に吸入したオイルの圧力を高めて吐出するポンプユニット70を構成する。
また、ベーンポンプ1は、ロータ20、複数のベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60を収容するハウジング100を備えている。ハウジング100は、有底筒状のケース110と、ケース110の開口部を覆うカバー120とを有している。
<回転軸10の構成>
回転軸10は、ケース110に設けられた後述のケース側軸受け111と、カバー120に設けられた後述のカバー側軸受け121とによって回転可能に支持される。回転軸10には、外周面にスプライン11が形成されており、スプライン11を介してロータ20と連結されている。本実施の形態においては、回転軸10は、例えば車両のエンジンなどのベーンポンプ1の外部に配置された駆動源により動力を受けることによって回転し、スプライン11を介してロータ20を回転駆動する。
なお、本実施の形態に係るベーンポンプ1では、回転軸10(ロータ20)は、図2で時計回転方向に回転するように構成されている。
<ロータ20の構成>
図6(a)は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40を回転軸方向の一方方向に見た図である。図6(b)は、ロータ20、ベーン30及びカムリング40を回転軸方向の他方方向に見た図である。
ロータ20は、概形が円筒状の部材である。ロータ20の内周面には、回転軸10のスプライン11が嵌め込まれるスプライン21が形成されている。ロータ20の外周部には、最外周面22から回転中心方向に凹みベーン30を収容するベーン溝23が、周方向に等間隔に(放射状に)複数(本実施の形態においては10個)形成されている。また、ロータ20の外周部には、最外周面22から回転中心方向に凹んだ凹部24が、隣り合う2つのベーン溝23間に形成されている。
ベーン溝23は、ロータ20の最外周面22及び回転軸10の回転軸方向の両端面にそれぞれ開口する溝である。ベーン溝23は、回転軸方向に見た場合には、図6(a)及び図6(b)に示すように、外周部側が、回転半径方向が長手方向となる長方形であるとともに、回転中心側が、この長方形の短手方向の長さよりも大きな直径の円形状である。つまり、ベーン溝23は、外周部側に直方体状に形成された直方体状溝231と、回転中心側に円柱状に形成された中心側空間の一例としての円柱状溝232とを有している。
<ベーン30の構成>
ベーン30は、直方体状の部材であり、ロータ20のベーン溝23それぞれに1枚ずつ組み込まれている。ベーン30は、回転半径方向の長さがベーン溝23の回転半径方向の長さよりも小さく、幅がベーン溝23の幅よりも小さい。そして、ベーン30は、回転半径方向に移動可能にベーン溝23に保持される。
<カムリング40の構成>
カムリング40は、概形が筒状の部材であり、カムリング外周面41と、カムリング内周面42と、回転軸方向におけるインナサイドプレート50側の端面であるインナサイド端面43と、回転軸方向におけるアウタサイドプレート60側の端面であるアウタサイド端面44とを有している。
カムリング外周面41は、回転軸方向に見た場合に、図6(a)及び図6(b)に示すように回転中心からの距離が全周(ただし一部を除く)に渡って略等しい略円形状である。
図7は、カムリング40のカムリング内周面42における回転角度毎の回転中心からの距離を示す図である。
カムリング40のカムリング内周面42は、回転軸方向に見た場合に、図7に示すように、回転角度毎の回転中心C(図6参照)からの距離(言い換えればベーン30のベーン溝23からの突出量)に2つの凸部が存在するように形成されている。つまり、回転中心Cからの距離が、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約20度から約90度にかけて徐々に大きくなるとともに約160度にかけて徐々に小さくなることで1つ目の凸部42aを形成し、約200度から約270度にかけて徐々に大きくなるとともに約340度にかけて徐々に小さくなることで2つ目の凸部42bを形成するように設定されている。本実施の形態に係るカムリング40においては、図7に示すように、1つ目の凸部42aの大きさが、2つ目の凸部42bの大きさよりも大きくなるように回転角度毎の回転中心Cからの距離が設定されている。また、2つ目の凸部42bの裾野が、1つ目の凸部42aの裾野よりもなだらかとなるように回転角度毎の回転中心Cからの距離が設定されている。つまり、2つ目の凸部42bの裾野における回転角度毎の回転中心Cからの距離の変化は、1つ目の凸部42aの裾野における回転角度毎の回転中心Cからの距離の変化よりも小さい。そして、凸部以外の部位は、回転中心Cからの距離が最小値となるように設定されている。最小値は、ロータ20の最外周面22における回転中心Cからの距離よりも若干大きくなるように設定されている。
カムリング40には、図6(a)に示すように、インナサイド端面43から凹んだ複数の凹部であるインナサイド凹部430と、図6(b)に示すように、アウタサイド端面44から凹んだ複数の凹部であるアウタサイド凹部440とが形成されている。
インナサイド凹部430は、図6(a)に示すように、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部431と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部432と、高圧側吐出ポート4を構成する高圧側吐出凹部433と、低圧側吐出ポート5を構成する低圧側吐出凹部434とを有している。回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部431と低圧側吸入凹部432とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吐出凹部433と低圧側吐出凹部434とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。また、高圧側吸入凹部431及び低圧側吸入凹部432は、回転半径方向にはインナサイド端面43の全域に渡って凹んでおり、周方向には所定角度だけインナサイド端面43から凹んでいる。高圧側吐出凹部433及び低圧側吐出凹部434は、回転半径方向には、カムリング内周面42から、カムリング外周面41に至るまでの所定範囲だけインナサイド端面43から凹んでおり、周方向には所定角度だけインナサイド端面43から凹んでいる。
アウタサイド凹部440は、図6(b)に示すように、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部441と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部442と、高圧側吐出ポート4を構成する高圧側吐出凹部443と、低圧側吐出ポート5を構成する低圧側吐出凹部444とを有している。回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部441と低圧側吸入凹部442とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吐出凹部443と低圧側吐出凹部444とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。また、高圧側吸入凹部441及び低圧側吸入凹部442は、回転半径方向にはアウタサイド端面44の全域に渡って凹んでおり、周方向には所定角度だけアウタサイド端面44から凹んでいる。高圧側吐出凹部443及び低圧側吐出凹部444は、回転半径方向には、カムリング内周面42から、カムリング外周面41に至るまでの所定範囲だけアウタサイド端面44から凹んでおり、周方向には所定角度だけアウタサイド端面44から凹んでいる。
また、回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部431と高圧側吸入凹部441とは、同じ位置に設けられ、低圧側吸入凹部432と低圧側吸入凹部442とは、同じ位置に設けられている。低圧側吸入凹部432及び低圧側吸入凹部442は、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約20度から約90度にかけて設けられており、高圧側吸入凹部431及び高圧側吸入凹部441は、約200度から約270度にかけて設けられている。
また、回転軸方向に見た場合には、高圧側吐出凹部433と高圧側吐出凹部443とは、同じ位置に設けられ、低圧側吐出凹部434と低圧側吐出凹部444とは、同じ位置に設けられている。低圧側吐出凹部434及び低圧側吐出凹部444は、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約130度から約175度にかけて設けられており、高圧側吐出凹部433及び高圧側吐出凹部443は、約310度から約355度にかけて設けられている。
また、カムリング40には、高圧側吐出凹部433と高圧側吐出凹部443とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である高圧側吐出貫通孔45が2つ形成されている。また、カムリング40には、低圧側吐出凹部434と低圧側吐出凹部444とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である低圧側吐出貫通孔46が2つ形成されている。
また、カムリング40には、高圧側吸入凹部431と低圧側吐出凹部434との間のインナサイド端面43と、高圧側吸入凹部441と低圧側吐出凹部444との間のアウタサイド端面44とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である第1貫通孔47が形成されている。また、カムリング40には、低圧側吸入凹部432と高圧側吐出凹部433との間のインナサイド端面43と、低圧側吸入凹部442と高圧側吐出凹部443との間のアウタサイド端面44とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である第2貫通孔48が形成されている。
<インナサイドプレート50の構成>
図8(a)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。図8(b)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の他方方向に見た図である。
インナサイドプレート50は、概形が中央部に貫通孔が形成された円板状の部材であり、インナサイド外周面51と、インナサイド内周面52と、回転軸方向におけるカムリング40側の端面であるインナサイドカムリング側端面53と、回転軸方向におけるカムリング40側とは反対側の端面であるインナサイド非カムリング側端面54とを有している。
インナサイド外周面51は、回転軸方向に見た場合には、図8(a)及び図8(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、カムリング40のカムリング外周面41における回転中心Cからの距離と略同じである。
インナサイド内周面52は、回転軸方向に見た場合には、図8(a)及び図8(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、ロータ20の内周面に形成されたスプライン21の溝底までの距離と略同じである。
インナサイドプレート50には、インナサイドカムリング側端面53から凹んだ複数の凹部で構成されるインナサイドカムリング側凹部530と、インナサイド非カムリング側端面54から凹んだ複数の凹部で構成されるインナサイド非カムリング側凹部540とが形成されている。
インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の高圧側吸入凹部431に対向する位置に形成されて高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部531と、カムリング40の低圧側吸入凹部432に対向する位置に形成されて低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部532とを有している。高圧側吸入凹部531と低圧側吸入凹部532とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
また、インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の低圧側吐出凹部434に対向する位置に形成された低圧側吐出凹部533を有している。
また、インナサイドカムリング側凹部530は、周方向には低圧側吸入凹部532から低圧側吐出凹部533に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にインナサイド低圧側凹部534(連通部の一例)を有している。インナサイド低圧側凹部534は、周方向に低圧側吸入凹部532に対応する位置に形成された低圧側上流凹部534aと、周方向に低圧側吐出凹部533に対応する位置に形成された低圧側下流凹部534bと、低圧側上流凹部534aと低圧側下流凹部534bとを接続する低圧側接続凹部534cとを有している。
また、インナサイドカムリング側凹部530は、周方向には高圧側吐出凹部433に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にインナサイド高圧側凹部535を有している。
また、インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の第1貫通孔47に対向する位置に形成された第1凹部536と、第2貫通孔48に対向する位置に形成された第2凹部537とを有している。
インナサイド非カムリング側凹部540は、外周部に形成されて外周側Oリング57が嵌め込まれる溝である外周側溝541と、内周部に形成されて内周側Oリング58が嵌め込まれる溝である内周側溝542とを有している。外周側Oリング57及び内周側Oリング58は、インナサイドプレート50とケース110との間の隙間をシールする。
また、インナサイドプレート50には、カムリング40の高圧側吐出凹部443に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である高圧側吐出貫通孔55が形成されている。高圧側吐出貫通孔55におけるカムリング40側の開口部と低圧側吐出凹部533の開口部とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
また、インナサイドプレート50には、周方向には高圧側吸入凹部531に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔であるインナサイド高圧側貫通孔56(連通部の一例)が形成されている。インナサイド高圧側貫通孔56におけるカムリング40側の開口部の低圧側下流凹部534b側の端部(後述するインナサイド高圧側貫通孔上流端56e)の周方向の位置と、低圧側上流凹部534aの開口部のインナサイド高圧側凹部535側の端部(後述するインナサイド低圧側凹部上流端534e)の周方向の位置とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
<アウタサイドプレート60の構成>
図9(a)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。図9(b)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の一方方向に見た図である。
アウタサイドプレート60は、概形が中央部に貫通孔が形成された板状の部材であり、アウタサイド外周面61と、アウタサイド内周面62と、回転軸方向におけるカムリング40側の端面であるアウタサイドカムリング側端面63と、回転軸方向におけるカムリング40側とは反対側の端面であるアウタサイド非カムリング側端面64とを有している。
アウタサイド外周面61は、回転軸方向に見た場合には、図9(a)及び図9(b)に示すように、ベースの円形状から2箇所が切り欠かれた形状である。ベースの円形状の回転中心Cからの距離は、カムリング40のカムリング外周面41における回転中心Cからの距離と略同じである。2箇所の切り欠きは、高圧側吸入凹部441に対向する位置に形成されて高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入切り欠き部611と、低圧側吸入凹部442に対向する位置に形成されて低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入切り欠き部612とを有している。アウタサイド外周面61は、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吸入切り欠き部611と低圧側吸入切り欠き部612とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
アウタサイド内周面62は、回転軸方向に見た場合には、図9(a)及び図9(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、ロータ20の内周面に形成されたスプライン21の溝底までの距離と略同じである。
アウタサイドプレート60には、アウタサイドカムリング側端面63から凹んだ複数の凹部で構成されるアウタサイドカムリング側凹部630が形成されている。
アウタサイドカムリング側凹部630は、カムリング40の高圧側吐出凹部443に対向する位置に形成された高圧側吐出凹部631を有している。
また、アウタサイドカムリング側凹部630は、周方向には高圧側吸入切り欠き部611から高圧側吐出凹部631に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にアウタサイド高圧側凹部632(連通部の一例)を有している。アウタサイド高圧側凹部632は、周方向に高圧側吸入切り欠き部611に対応する位置に形成された高圧側上流凹部632aと、周方向に高圧側吐出凹部631に対応する位置に形成された高圧側下流凹部632bと、高圧側上流凹部632aと高圧側下流凹部632bとを接続する高圧側接続凹部632cとを有している。
また、アウタサイドカムリング側凹部630は、周方向にはカムリング40の低圧側吐出凹部444に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にアウタサイド低圧側凹部633を有している。
また、アウタサイドプレート60には、カムリング40の低圧側吐出凹部444に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である低圧側吐出貫通孔65が形成されている。低圧側吐出貫通孔65におけるカムリング40側の開口部と高圧側吐出凹部631の開口部とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
また、アウタサイドプレート60には、周方向には低圧側吸入切り欠き部612に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔であるアウタサイド低圧側貫通孔66(連通部の一例)が形成されている。アウタサイド低圧側貫通孔66におけるカムリング40側の開口部の高圧側下流凹部632b側の端部(後述するアウタサイド低圧側貫通孔上流端66e)の周方向の位置と、高圧側上流凹部632aの開口部のアウタサイド低圧側凹部633側の端部(後述するアウタサイド高圧側凹部上流端632e)の周方向の位置とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。
また、アウタサイドプレート60には、カムリング40の第1貫通孔47に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である第1貫通孔67が、カムリング40の第2貫通孔48に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である第2貫通孔68が形成されている。
<ハウジング100の構成>
ハウジング100は、ロータ20、ベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50及びアウタサイドプレート60を収容する。また、ハウジング100は、回転軸10の一方の端部を内部に収容し、他方の端部を突出させる。
ケース110とカバー120とはボルトにて締め付けられている。
(ケース110の構成)
図10は、ケース110を回転軸方向の一方方向に見た図である。
ケース110は、有底筒状の部材であり、底部の中央部には回転軸10の一方の端部を回転可能に支持するケース側軸受け111を有している。
また、ケース110は、インナサイドプレート50が嵌め込まれるインナサイドプレート嵌合部112を有している。インナサイドプレート嵌合部112は、回転中心Cから近い位置(内径側)にある内径側嵌合部113と、回転中心Cから遠い位置(外径側)にある外径側嵌合部114とを有している。
内径側嵌合部113は、図4に示すように、ケース側軸受け111の外径側に設けられており、インナサイドプレート50のインナサイド内周面52の一部の周囲を覆う内径側覆い部113aと、インナサイドプレート50が底部側へ移動するのを抑制する内径側抑制部113bとを有している。内径側覆い部113aは、回転軸方向に見た場合に、回転中心Cからの距離が、インナサイド内周面52における回転中心Cからの距離よりも小さな円形状である。内径側抑制部113bは、回転軸方向に直交するドーナツ状の面であり、内側の円における回転中心Cからの距離は内径側覆い部113aにおける回転中心Cからの距離と同じであり、外側の円における回転中心Cからの距離はインナサイド内周面52における回転中心Cからの距離よりも小さい。
外径側嵌合部114は、図4に示すように、インナサイドプレート50のインナサイド外周面51の一部の周囲を覆う外径側覆い部114aと、インナサイドプレート50が底部側へ移動するのを抑制する外径側抑制部114bとを有している。外径側覆い部114aは、回転軸方向に見た場合に、回転中心Cからの距離が、インナサイド外周面51における回転中心Cからの距離よりも大きな円形状である。外径側抑制部114bは、回転軸方向に直交するドーナツ状の面であり、外側の円における回転中心Cからの距離は外径側覆い部114aにおける回転中心Cからの距離と同じであり、内側の円における回転中心Cからの距離はインナサイド外周面51における回転中心Cからの距離よりも小さい。
インナサイドプレート50は、インナサイドプレート50の内周側溝542に嵌め込まれた内周側Oリング58が内径側抑制部113bに突き当たるとともに、外周側溝541に嵌め込まれた外周側Oリング57が外径側抑制部114bに突き当たるまで底部側に挿入されている。そして、内周側Oリング58が、インナサイドプレート50の内周側溝542、ケース110の内径側覆い部113a及び内径側抑制部113bに接触するとともに、外周側Oリング57が、インナサイドプレート50の外周側溝541、ケース110の外径側覆い部114a及び外径側抑制部114bに接触することで、ケース110とインナサイドプレート50とがシールされる。これにより、ケース110におけるインナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1と、インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2とが区画される。インナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1は、高圧側吸入ポート2及び低圧側吸入ポート3から吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2は、高圧側吐出ポート4から吐出されたオイルが流通する高圧側吐出流路R2を構成する。
また、ケース110には、ロータ20、ベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50及びアウタサイドプレート60を収容する収容空間とは別に、この収容空間よりも回転半径方向の外側において開口部側から回転軸方向に凹んだケース外側凹部115が形成されている。ケース外側凹部115は、カバー120に形成された後述するカバー外側凹部123に対向し、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するケース低圧側吐出流路R3を構成する。
また、ケース110には、図1、図2に示すように、インナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1とケース110の外部とを連通する吸入口116が形成されている。吸入口116は、ケース110の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。吸入口116は、高圧側吸入ポート2及び低圧側吸入ポート3から吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。
また、ケース110には、図1、図2に示すように、インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2とケース110の外部とを連通する高圧側吐出口117が形成されている。高圧側吐出口117は、ケース110の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。高圧側吐出口117は、高圧側吐出ポート4から吐出されたオイルが流通する高圧側吐出流路R2を構成する。
また、ケース110には、図1、図2に示すように、ケース外側凹部115とケース110の外部とを連通する低圧側吐出口118が形成されている。低圧側吐出口118は、ケース110におけるケース外側凹部115の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。低圧側吐出口118は、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するケース低圧側吐出流路R3を構成する。
なお、吸入口116、高圧側吐出口117及び低圧側吐出口118は、同じ向きに形成されている。つまり、図1に示すように、回転軸10の回転軸方向に直交する一方向から見た場合に、吸入口116、高圧側吐出口117及び低圧側吐出口118の開口部が同一紙面上に表れるように形成されている。言い換えれば、吸入口116、高圧側吐出口117及び低圧側吐出口118が、ケース110の同じ側面110aに形成されている。また、吸入口116、高圧側吐出口117及び低圧側吐出口118を構成する円柱状の孔の方向(柱方向)は同じである。
(カバー120の構成)
図11は、カバー120を回転軸方向の他方方向に見た図である。
カバー120は、中央部に回転軸10を回転可能に支持するカバー側軸受け121を有している。
カバー120には、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65及びアウタサイド低圧側貫通孔66に対向する位置に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー低圧側吐出凹部122が形成されている。カバー低圧側吐出凹部122は、低圧側吐出貫通孔65に対向する位置に形成された第1カバー低圧側吐出凹部122aと、アウタサイド低圧側貫通孔66に対向する位置に形成された第2カバー低圧側吐出凹部122bと、第1カバー低圧側吐出凹部122aと第2カバー低圧側吐出凹部122bとを接続する第3カバー低圧側吐出凹部122cとを有する。
また、カバー120には、カバー低圧側吐出凹部122よりも回転半径方向の外側においてケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー外側凹部123と、カバー低圧側吐出凹部122の第1カバー低圧側吐出凹部122aとカバー外側凹部123とをケース110側の端面よりも回転軸方向の他方方向において接続するカバー凹部接続部124とが形成されている。カバー外側凹部123は、ケース110に形成された上述した収容空間と対向しない位置で開口するように形成されており、ケース外側凹部115と対向する。カバー低圧側吐出凹部122、カバー凹部接続部124及びカバー外側凹部123は、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するカバー低圧側吐出流路R4(図5参照)を構成する。低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルは、カバー凹部接続部124を介してケース低圧側吐出流路R3に流入するとともに、第2カバー低圧側吐出凹部122b及び第3カバー低圧側吐出凹部122cを介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入する。
なお、第2カバー低圧側吐出凹部122b及び第3カバー低圧側吐出凹部122cは、第1カバー低圧側吐出凹部122aよりも浅くかつ幅も狭く形成されており、アウタサイド低圧側貫通孔66に流入するオイル量はケース低圧側吐出流路R3に流入するオイル量よりも少ない。
また、カバー120には、アウタサイドプレート60の高圧側吸入切り欠き部611及び低圧側吸入切り欠き部612に対向する部位、及び、ケース110のインナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1であってカムリング40のカムリング外周面41よりも回転半径方向の外側の空間に対向する部位に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー吸入凹部125が形成されている。
カバー吸入凹部125は、吸入口116から吸入され、高圧側吸入ポート2及び低圧側吸入ポート3からポンプ室内に吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。
また、カバー120には、アウタサイドプレート60の第1貫通孔67、第2貫通孔68それぞれに対向する位置に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだ第1カバー凹部127、第2カバー凹部128が形成されている。
<ベーンポンプ1の組み立て方法>
本実施の形態に係るベーンポンプ1は、以下のように組み立てられている。
ケース110のインナサイドプレート嵌合部112に、インナサイドプレート50が嵌め込まれている。インナサイドプレート50のインナサイドカムリング側端面53とカムリング40のインナサイド端面43とが接触し、カムリング40のアウタサイド端面44とアウタサイドプレート60のアウタサイドカムリング側端面63とが接触するように、ケース110とカバー120が複数(本実施の形態においては5つ)のボルトにて連結されている。
また、カムリング40に形成された第1貫通孔47、アウタサイドプレート60に形成された第1貫通孔67を通した円筒状又は円柱状の位置決めピンの一方の端部がインナサイドプレート50の第1凹部536にて、他方の端部がカバー120の第1カバー凹部127にて保持されている。また、カムリング40に形成された第2貫通孔48、アウタサイドプレート60に形成された第2貫通孔68を通した円筒状又は円柱状の位置決めピンの一方の端部がインナサイドプレート50の第2凹部537にて、他方の端部がカバー120の第2カバー凹部128にて保持されている。これらにより、インナサイドプレート50、カムリング40、アウタサイドプレート60及びカバー120相互間の位置が定められている。
ロータ20及びベーン30は、カムリング40の内部に収容されている。回転軸10は、一方の端部がケース110のケース側軸受け111に回転可能に支持され、他方の端部がハウジング100から露出させられた状態で一方の端部と他方の端部との間の部位がカバー120のカバー側軸受け121に回転可能に支持されている。
<ベーンポンプ1の作用>
本実施の形態に係るベーンポンプ1は、10枚のベーン30を有し、10枚のベーン30がカムリング40のカムリング内周面42に接触することで、隣接する2枚のベーン30、これら隣接する2枚のベーン30間のロータ20の外周面、これら隣接する2枚のベーン30間のカムリング内周面42、インナサイドプレート50のインナサイドカムリング側端面53及びアウタサイドプレート60のアウタサイドカムリング側端面63とで形成されるポンプ室を10個備えている。1個のポンプ室に着目すると、回転軸10が1回転してロータ20が1回転することにより当該ポンプ室は回転軸10の周囲を1回転する。当該ポンプ室が1回転する過程で、高圧側吸入ポート2から吸入したオイルを圧縮して圧力を高めて高圧側吐出ポート4から吐出するとともに、低圧側吸入ポート3から吸入したオイルを圧縮して圧力を高めて低圧側吐出ポート5から吐出する。なお、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、図7に示すように、カムリング40のカムリング内周面42の形状が、回転角毎の回転中心Cからカムリング内周面42までの距離の1つ目の凸部42aの大きさが2つ目の凸部42bの大きさよりも大きくなるように形成されているので、高圧側吐出ポート4から吐出されるオイル量よりも多くの量の低圧のオイルを低圧側吐出ポート5から吐出する。また、2つ目の凸部42bの裾野が、1つ目の凸部42aの裾野よりもなだらかとなるように形成されているので、高圧側吐出ポート4からの吐出圧力は、低圧側吐出ポート5からの吐出圧力よりも高い。
図12は、高圧オイルの流れを示す図である。
高圧側吐出ポート4から吐出されたオイル(以下、「高圧オイル」と称す。)は、インナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55を通りインナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2に流入し、高圧側吐出口117から吐出される。また、インナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55を通ってインナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2に流入した高圧オイルの一部は、インナサイド高圧側貫通孔56を通り、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入する。また、ベーン溝23の円柱状溝232に流入した高圧オイルの一部は、アウタサイドプレート60の高圧側上流凹部632aに流入する。アウタサイドプレート60の高圧側上流凹部632aに流入した高圧オイルの一部は、高圧側接続凹部632c(図9(a)参照)を介して高圧側下流凹部632bに流入する。アウタサイドプレート60の高圧側下流凹部632bに流入した高圧オイルの一部は、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入し、インナサイドプレート50のインナサイド高圧側凹部535に流入する。高圧側上流凹部632a、高圧側接続凹部632c及び高圧側下流凹部632bは、高圧側吸入ポート2から高圧側吐出ポート4にかけて設けられているので、高圧側のポンプ室に対応するベーン溝23の円柱状溝232には高圧オイルが流入する。その結果、圧力が高くなった高圧側のポンプ室のオイルによりベーン30が回転中心方向の力を受けたとしても、ベーン溝23の円柱状溝232には高圧オイルが流入しているのでベーン30の先端はカムリング内周面42に接触し易くなる。
図13は、低圧オイルの流れを示す図である。
一方、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイル(以下、「低圧オイル」と称す。)は、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65を通りカバー低圧側吐出凹部122に流入し、低圧側吐出口118から吐出される。また、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65を通ってカバー低圧側吐出凹部122の第3カバー低圧側吐出凹部122cに流入した低圧オイルの一部は、第2カバー低圧側吐出凹部122bを介してアウタサイド低圧側貫通孔66を通り、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入する。また、ベーン溝23の円柱状溝232に流入した低圧オイルの一部は、インナサイドプレート50の低圧側上流凹部534aに流入する。インナサイドプレート50の低圧側上流凹部534aに流入した低圧オイルの一部は、低圧側接続凹部534c(図8(a)参照)を介して低圧側下流凹部534bに流入する。インナサイドプレート50の低圧側下流凹部534bに流入した低圧オイルの一部は、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入し、アウタサイドプレート60のアウタサイド低圧側凹部633に流入する。低圧側上流凹部534a、低圧側接続凹部534c及び低圧側下流凹部534bは、低圧側吸入ポート3から低圧側吐出ポート5にかけて設けられているので、低圧側のポンプ室に対応するベーン溝23の円柱状溝232には低圧オイルが流入する。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30に対応するベーン溝23の円柱状溝232には低圧オイルが流入しているので、高圧オイルが流入している場合に比べて、ベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧は低い。
<インナサイドプレート50に形成された、ロータ20のベーン溝23と対向するオイル流路について>
以下に、インナサイドプレート50に形成された、高圧オイルの流路となるインナサイド高圧側凹部535と低圧オイルの流路となるインナサイド低圧側凹部534との関係、及び高圧オイルの流路となるインナサイド高圧側貫通孔56と低圧オイルの流路となるインナサイド低圧側凹部534との関係について詳述する。
図14(a)及び図14(b)は、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との関係及びインナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との関係を説明するための図である。図14(a)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。図14(b)は、カムリング40及びインナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。
(インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との関係性について)
インナサイド高圧側凹部535が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、インナサイド低圧側凹部534は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(1)及び(2)の構成とすることで実現している。(1)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが、回転方向(周方向)において、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離している。(2)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間の分離部位の回転方向(周方向)の大きさは、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間に位置するベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しない大きさに設定されている。
(1)の構成は、すなわち、図14(a)に示すように、インナサイド高圧側凹部535の回転方向下流側の端部(以下、「下流端」と称す。)であるインナサイド高圧側凹部下流端535fとインナサイド低圧側凹部534の回転方向上流側の端部(以下、「上流端」と称す。)であるインナサイド低圧側凹部上流端534eとは連続しておらず回転方向における両者の間にはインナサイド低圧側吸入上流分離部538があるということである。そして、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間のインナサイド低圧側吸入上流分離部538は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するインナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55における下流端である高圧側吐出貫通孔下流端55fと、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部532(ポンプ室と対向する部分)における上流端である低圧側吸入凹部上流端532eとの間に位置する。また、図14(b)に示すように、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間のインナサイド低圧側吸入上流分離部538は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するカムリング40の高圧側吐出凹部433(443)の下流端である高圧側吐出凹部下流端433f(443f)と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部432(442)の上流端である低圧側吸入凹部上流端432e(442e)との間に位置する。
図15は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさについて説明する図である。
上記(2)の構成は、例えば、図15に示すように、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wは、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。例えば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wがベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも小さく、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とがベーン溝23の円柱状溝232を跨ぐ大きさである場合には、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通する。ベーン溝23を介してインナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通すると、インナサイド高圧側凹部535にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルが流入してしまう。低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルが流入すると、ベーン30の先端が位置する低圧側のポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端(回転中心側の端部)が位置するベーン溝23のオイルの圧力の方が高くなる。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に低圧オイルが流入している場合よりも高くなってロストルクが発生したり、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室にオイルが漏れたりしてしまう。本実施の形態に係る構成によれば、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しないので、ロストルクの発生やオイルリークが抑制される。また、インナサイド高圧側凹部535にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入することに起因して、ベーン30の先端が位置する高圧側のポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端(回転中心側の端部)が位置するベーン溝23の円柱状溝232のオイルの圧力の方が低くなるおそれがある。そして、ベーン30の先端が位置するポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端が位置するベーン溝23の円柱状溝232のオイルの圧力の方が低くなると、ポンプ室から円柱状溝232にオイルが漏れるおそれがある。本実施の形態に係る構成によれば、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しないので、高圧側のポンプ室から円柱状溝232へのオイルリークが抑制される。
(インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との関係性について)
インナサイド高圧側貫通孔56が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、インナサイド低圧側凹部534は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(3)及び(4)の構成とすることで実現している。(3)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが、回転方向において、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離している。(4)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との間の分離部位の回転方向の大きさは、インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との間に位置するベーン溝23を介して、インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが連通しない大きさに設定されている。
(3)の構成は、すなわち、図14(a)に示すように、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534fとインナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56eとは連続しておらず回転方向における両者の間にはインナサイド高圧側吸入上流分離部539があるということである。そして、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間のインナサイド高圧側吸入上流分離部539は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するインナサイドプレート50の低圧側吐出凹部533における下流端である低圧側吐出凹部下流端533fと、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部531(ポンプ室と対向する部分)における上流端である高圧側吸入凹部上流端531eとの間に位置する。また、図14(b)に示すように、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間のインナサイド高圧側吸入上流分離部539は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するカムリング40の低圧側吐出凹部434(444)の下流端である低圧側吐出凹部下流端434f(444f)と、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部431(441)の上流端である高圧側吸入凹部上流端431e(441e)との間に位置する。
(4)の構成は、例えば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさは、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、インナサイド高圧側貫通孔56にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。
<アウタサイドプレート60に形成された、ロータ20のベーン溝23と対向するオイル流路について>
以下に、アウタサイドプレート60に形成された、高圧オイルの流路となるアウタサイド高圧側凹部632と低圧オイルの流路となるアウタサイド低圧側貫通孔66との関係、及び高圧オイルの流路となるアウタサイド高圧側凹部632と低圧オイルの流路となるアウタサイド低圧側凹部633との関係について詳述する。
図16(a)及び図16(b)は、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との関係及びアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との関係を説明するための図である。図16(a)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。図16(b)は、カムリング40及びアウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。
(アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との関係性について)
アウタサイド高圧側凹部632が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、アウタサイド低圧側貫通孔66は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(5)及び(6)の構成とすることで実現している。(5)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが、回転方向において、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離している。(6)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間の分離部位の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間に位置するベーン溝23を介して、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが連通しない大きさに設定されている。
(5)の構成は、すなわち、図16(a)に示すように、アウタサイド高圧側凹部632の下流端であるアウタサイド高圧側凹部下流端632fとアウタサイド低圧側貫通孔66の上流端であるアウタサイド低圧側貫通孔上流端66eとは連続しておらず回転方向における両者の間にはアウタサイド低圧側吸入上流分離部638がある。そして、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間のアウタサイド低圧側吸入上流分離部638は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するアウタサイドプレート60の高圧側吐出凹部631における下流端である高圧側吐出凹部下流端631fと、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入切り欠き部612(ポンプ室と対向する部分)における上流端である低圧側吸入切り欠き部上流端612eとの間に位置する。また、図16(b)に示すように、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間のアウタサイド低圧側吸入上流分離部638は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するカムリング40の高圧側吐出凹部443(433)の下流端である高圧側吐出凹部下流端443f(433f)と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部442(432)の上流端である低圧側吸入凹部上流端442e(432e)との間に位置する。
(6)の構成は、例えば、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してアウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、アウタサイド高圧側凹部632にある高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。
(アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との関係性について)
アウタサイド高圧側凹部632が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、アウタサイド低圧側凹部633は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(7)及び(8)の構成とすることで実現している。(7)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが、回転方向において、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離している。(8)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との間の分離部位の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との間に位置するベーン溝23を介して、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが連通しない大きさに設定されている。
(7)の構成は、すなわち、図16(a)に示すように、アウタサイド低圧側凹部633の下流端であるアウタサイド低圧側凹部下流端633fとアウタサイド高圧側凹部632の上流端であるアウタサイド高圧側凹部上流端632eとは連続しておらず回転方向における両者の間にはアウタサイド高圧側吸入上流分離部639がある。そして、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間のアウタサイド高圧側吸入上流分離部639は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するアウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65における下流端である低圧側吐出貫通孔下流端65fと、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入切り欠き部611(ポンプ室と対向する部分)における上流端である高圧側吸入切り欠き部上流端611eとの間に位置する。また、図16(b)に示すように、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間のアウタサイド高圧側吸入上流分離部639は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するカムリング40の低圧側吐出凹部444(434)の下流端である低圧側吐出凹部下流端444f(434f)と、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部441(431)の上流端である高圧側吸入凹部上流端441e(431e)との間に位置する。
(8)の構成は、例えば、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさは、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、アウタサイド高圧側凹部632にある高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。
<インナサイド低圧側吸入上流分離部538、インナサイド高圧側吸入上流分離部539、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638及びアウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさの上限値>
図17(a)及び図17(b)は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさの上限値について説明するための図である。
図17(a)に示すように、回転方向の位置に関して、ベーン30の下流端であるベーン下流端30fが高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4f(高圧側吐出凹部433(高圧側吐出凹部443)におけるカムリング内周面42側の開口部の最下流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド高圧側凹部535と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド高圧側凹部535の下流端であるインナサイド高圧側凹部下流端535fが、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fよりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、下流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、高圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部がベーン溝23の円柱状溝232に導入された高圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド高圧側凹部535の下流端であるインナサイド高圧側凹部下流端535fは、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと略等しくてもよい。
また、図17(b)に示すように、回転方向の位置に関して、ベーン30の上流端であるベーン上流端30eが低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3e(低圧側吸入凹部432(低圧側吸入凹部442)におけるカムリング内周面42側の開口部の最上流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド低圧側凹部534と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド低圧側凹部534の上流端であるインナサイド低圧側凹部上流端534eが、低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eよりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、上流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、低圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部が低圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド低圧側凹部534の上流端であるインナサイド低圧側凹部上流端534eは、低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eと略等しくてもよい。
図18は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538と、高圧側吐出ポート4と、低圧側吸入ポート3との関係を示す図である。
以上のことから、回転軸方向に見た場合に、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の分離部角度538Aは、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間のポート間角度34A以下であることが望ましい。言い換えれば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wは、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間の回転方向のポート間角度34A範囲内に収まる大きさであることが望ましい。より具体的には、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の分離部角度538Aは、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eとの間のポート間角度34A以下であることが望ましい。なお、高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート上流端3eとの間の回転方向のポート間角度34Aとは、回転軸方向に見た場合に、高圧側吐出ポート下流端4fと回転中心Cとを結ぶ線と、低圧側吸入ポート上流端3eと回転中心Cとを結ぶ線とがなす鋭角の角度である。
また、同様の理由により、回転軸方向に見た場合に、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の角度は、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eとの間の角度以下であることが望ましい。
ベーン30の下流端であるベーン下流端30fが低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端(不図示)(低圧側吐出凹部434(低圧側吐出凹部444)におけるカムリング内周面42側の開口部の最下流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド低圧側凹部534と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534f(図14参照)が、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端よりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、下流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、低圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部がベーン溝23の円柱状溝232に導入された低圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534fは、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と略等しくてもよい。
また、ベーン30の上流端であるベーン上流端30eが高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端(不図示)(高圧側吸入凹部431(高圧側吸入凹部441)におけるカムリング内周面42側の開口部の最上流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド高圧側貫通孔56と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56e(図14参照)が、高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端よりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、上流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、高圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部が高圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56eは、高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端と略等しくてもよい。
以上のことから、回転軸方向に見た場合に、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間の角度以下であることが望ましい。言い換えれば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさは、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間の角度範囲内に収まる大きさであることが望ましい。より具体的には、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端との間の角度以下であることが望ましい。なお、低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート上流端との間の角度とは、回転軸方向に見た場合に、低圧側吐出ポート下流端と回転中心Cとを結ぶ線と、高圧側吸入ポート上流端と回転中心Cとを結ぶ線とがなす鋭角の角度である。
また、同様の理由により、回転軸方向に見た場合に、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端との間の角度以下であることが望ましい。
なお、本実施の形態においては、上述した(1)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離していること、(3)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離していること、(5)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離していること、(7)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離していることを、吸入ポートおよび吐出ポートを高圧側および低圧側で異ならせることなくカムリング40のカムリング内周面42の形状を異ならせることで異なる2つの圧力に高めるタイプのポンプに適用しているが、特にかかるタイプのポンプに限定されない。例えば、カムリング40のカムリング内周面42の形状を異ならせることなく、吐出ポート形状などポンプ室から吐出されたオイルの流路抵抗を異ならせることで異なる2つの圧力に高めるタイプのポンプに適用してもよい。
図19は、本実施の形態に係るベーンポンプ1が適用される油圧装置500の油圧回路の概略構成図である。
油圧装置500は、例えば油圧式無段変速機(CVT)や油圧式パワーステアリング装置であることを例示することができる。
油圧装置500は、本実施の形態に係るベーンポンプ1と、ベーンポンプ1から供給されたオイルにて作動する流体機器501と、オイルを貯留するオイルパン502とを備えている。また、油圧装置500は、ベーンポンプ1の高圧側吐出口117から吐出されたオイルを流体機器501に案内する高圧側案内路503と、この高圧側案内路503に設けられて流体機器501に供給されるオイルの圧力を制御する制御バルブ504とを備えている。また、油圧装置500は、ベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505に案内する低圧側案内路506と、この低圧側案内路506から分岐して低圧側吐出口118から吐出されたオイルを高圧側案内路503に案内する分岐路507とを備えている。また、油圧装置500は、低圧側案内路506と分岐路507との分岐点に設けられて、低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505に案内するか分岐路507を介して高圧側案内路503(流体機器501)に案内するかを切り替える切替バルブ508を備えている。また、油圧装置500は、流体機器501の状態に応じて切替バルブ508を制御する制御装置510を備えている。
つまり、油圧装置500は、小容量の高圧オイルと大容量の低圧オイルとを吐出するポンプユニット70を有するベーンポンプ1であって、ポンプユニット70を収容し、ポンプユニット70から吐出された高圧オイルを外部に吐出する第1吐出口の一例としての高圧側吐出口117と、低圧オイルを外部に吐出する第2吐出口の一例としての低圧側吐出口118とが形成されているハウジング100を有するベーンポンプ1を備えている。また、油圧装置500は、ベーンポンプ1の高圧側吐出口117から吐出されたオイルを流体機器501に案内する第1案内路の一例としての高圧側案内路503と、ベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを流体機器501とは異なる他の部位の一例としての潤滑対象部位505に案内する第2案内路の一例としての低圧側案内路506とを備えている。また、油圧装置500は、低圧側案内路506に設けられ、ベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505に案内するか流体機器501に案内するかを切り替える切替バルブ508と、切替バルブ508を制御する制御装置510とを備える。
なお、油圧装置500が油圧式無段変速機(CVT)である場合、流体機器501は、プーリを有する無段変速機構部やトルクコンバータなどであることを例示することができる。また、ベーンポンプ1は、油圧装置500の構成要素の一つとして捉えてもいいし、油圧装置500の構成要素ではなく、油圧装置500の外部に備えられて油圧装置500の流体機器501などにオイルを供給するポンプとして捉えてもよい。
以上のように構成された油圧装置500においては、切替バルブ508をベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505に案内する状態にすることにより、ベーンポンプ1の高圧側吐出口117から吐出された高圧である小容量のオイルを流体機器501に供給するとともに低圧側吐出口118から吐出された低圧である大容量のオイルを潤滑用に用いることができる。他方、切替バルブ508をベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを流体機器501の方へ(高圧側案内路503の方へ)供給する状態にすることにより、ベーンポンプ1の高圧側吐出口117から吐出された高圧である小容量のオイルを流体機器501に供給するとともに低圧側吐出口118から吐出された低圧である大容量のオイルをも流体機器501に供給することができる。言い換えれば、本実施の形態に係るベーンポンプ1と切替バルブ508とにより、高圧である小容量のオイルを流体機器501へ供給するとともに低圧である大容量のオイルを潤滑対象部位505に供給する状態と、高圧である小容量のオイルと低圧である大容量のオイルとを流体機器501へ供給する状態とに切り替えることを簡便に実現することができる。
それゆえ、油圧装置500が、例えば、プーリを有する無段変速機構部やトルクコンバータなどの流体機器501を有する油圧式無段変速機である場合、油圧式無段変速機は、急変速時など流体機器501に多くのオイルが必要なとき(第2の状態の一例)に、切替バルブ508を高圧である小容量のオイルと低圧である大容量のオイルとを流体機器501へ供給する状態とすることで、流体機器501に多くのオイルを供給することができる。その一方で、油圧式無段変速機(油圧装置500)は、流体機器501に多くのオイルが必要ではないとき(常用時)(第1の状態の一例)には、切替バルブ508を高圧である小容量のオイルを流体機器501へ供給するとともに低圧である大容量のオイルを潤滑対象部位505に供給する状態とすることで、流体機器501に供給するオイルの容量を低下することができる。その結果、急変速時のみならず常用時においてもポンプにて圧力を高めたオイルを多く流体機器501に供給する構成と比べると、ベーンポンプ1のトルクを低減することができる。
制御装置510は、流体機器501に多くのオイルが要求されている場合にはベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを流体機器501の方へ(高圧側案内路503の方へ)供給するように切替バルブ508を制御する。他方、制御装置510は、流体機器501に多くのオイルが要求されていない場合にはベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505へ供給するように切替バルブ508を制御する。
油圧装置500が、プーリを有する無段変速機構部やトルクコンバータなどの流体機器501を有する油圧式無段変速機である場合を例示して説明する。制御装置510は、油圧式無段変速機(油圧装置500)が搭載された車両が急加速された場合など、無段変速機構部(流体機器501)が急速な変速を要求され、大容量のオイルを必要としている場合(第2の状態の一例)にはベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを無段変速機構部(流体機器501)に供給するように切替バルブ508を制御するとよい。他方、制御装置510は、車両が急加速されていない場合など、無段変速機構部(流体機器501)が急速な変速を要求されておらず、大容量のオイルを必要としていない場合(第1の状態の一例)にはベーンポンプ1の低圧側吐出口118から吐出されたオイルを潤滑対象部位505へ供給するように切替バルブ508を制御するとよい。
なお、制御装置510は、車両のアクセルペダルが大きく急踏込操作された場合(アクセルペダルが所定時間内に所定量以上踏み込まれた場合)に車両が急加速されたと判断して、無段変速機構部が急速な変速を要求されていると判断してもよい。あるいは、制御装置510は、目標変速比の所定時間あたりの変化量が所定値以上である場合に急速な変速を要求されていると判断してもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る油圧装置500によれば、流体機器501に多くの容量のオイルが必要なときに流体機器501に多くのオイルを供給することができる一方で、流体機器501に多くのオイルが必要ではないときには流体機器501に供給するオイルの容量を低下することができる。その結果、流体機器501に多くのオイルが必要なときも必要でないときも常にポンプにて圧力が高められた多くのオイルを流体機器501に供給する構成と比べると、ベーンポンプ1のトルクを低減することができる。
なお、上述した油圧装置500において、低圧側案内路506と分岐路507との分岐点に設けられているのは案内先を切り替える切替バルブ508ではなく、低圧側吐出口118から吐出されて潤滑対象部位505に案内されるオイルの容量を調整する調整バルブであってもよい。
1…ベーンポンプ、10…回転軸、20…ロータ、30…ベーン、40…カムリング、50…インナサイドプレート、60…アウタサイドプレート、70…ポンプユニット、100…ハウジング、110…ケース、120…カバー、500…油圧装置、501…流体機器、502…オイルパン、503…高圧側案内路、504…制御バルブ、505…潤滑対象部位、506…低圧側案内路、507…分岐路、508…切替バルブ、510…制御装置

Claims (7)

  1. 第1吐出圧力の作動流体と、前記第1吐出圧力よりも小さい第2吐出圧力の作動流体とを吐出するポンプユニットと、前記ポンプユニットを収容し、前記ポンプユニットから吐出された前記第1吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第1吐出口と、前記第2吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第2吐出口とが形成されているハウジングと、を有するベーンポンプ装置と、
    前記ベーンポンプ装置の前記第1吐出口から吐出された作動流体を流体機器に案内する第1案内路と、
    前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記流体機器とは異なる他の部位に案内する第2案内路と、
    前記第2案内路に設けられ、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記他の部位に案内するか前記流体機器に案内するかを切り替える切替バルブと、
    を備えることを特徴とする油圧装置。
  2. 前記切替バルブは、前記流体機器が第1の状態である場合には前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記他の部位に案内するように、前記流体機器が第2の状態である場合には前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記流体機器に案内するように切り替えられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の油圧装置。
  3. 前記ベーンポンプ装置の前記ポンプユニットは、前記第1吐出圧力の作動流体を第1容量吐出し、前記第2吐出圧力の作動流体を前記第1容量よりも多い第2容量吐出する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧装置。
  4. 前記ベーンポンプ装置の前記ポンプユニットは、複数枚のベーンと、前記ベーンを回転半径方向に移動可能に支持して回転軸から回転力を受けて回転するロータと、前記ロータの外周面に対向する内周面を有して前記ロータを囲むように配置されたカムリングと、前記カムリングにおける前記回転軸の軸方向の一方の端部側に前記カムリングの開口部を覆うように配置された一方側部材と、前記カムリングにおける前記軸方向の他方の端部側に前記カムリングの開口部を覆うように配置された他方側部材とを有し、前記一方側部材に形成された貫通孔を介して前記第1吐出圧力の作動流体を吐出し、前記他方側部材に形成された貫通孔を介して前記第2吐出圧力の作動流体を吐出する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の油圧装置。
  5. 前記ベーンポンプ装置の前記ポンプユニットは、隣接する2枚の前記ベーン、前記ロータの外周面、前記カムリングの内周面、前記一方側部材及び前記他方側部材にて、前記回転軸の1回転中に前記第1吐出圧力の作動流体と前記第2吐出圧力の作動流体を吐出する複数のポンプ室を形成する
    ことを特徴とする請求項4に記載の油圧装置。
  6. 第1吐出圧力の作動流体と、前記第1吐出圧力よりも小さい第2吐出圧力の作動流体とを吐出するポンプユニットと、前記ポンプユニットを収容し、前記ポンプユニットから吐出された前記第1吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第1吐出口と、前記第2吐出圧力の作動流体を外部に吐出する第2吐出口とが形成されているハウジングと、を有するベーンポンプ装置と、
    前記ベーンポンプ装置の前記第1吐出口から吐出された作動流体を無段変速機構部に案内する第1案内路と、
    前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を潤滑対象部位に案内する第2案内路と、
    前記第2案内路に設けられ、前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記潤滑対象部位に案内するか前記第1案内路に案内するかを切り替える切替バルブと、
    を備えることを特徴とする油圧式無段変速機。
  7. 前記切替バルブは、前記無段変速機構部が急速な変速を要求されていない場合には前記ベーンポンプ装置の前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記潤滑対象部位に案内するように、前記無段変速機構部が急速な変速を要求されている場合には前記第2吐出口から吐出された作動流体を前記無段変速機構部に案内するように切り替えられる
    ことを特徴とする請求項6に記載の油圧式無段変速機。
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