JP2017108660A - 末梢血好中球アポトーシス測定方法 - Google Patents

末梢血好中球アポトーシス測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体内における好中球のアポトーシス割合を、採血後の好中球に与える影響を最小限に抑え、迅速、且つ簡便にリアルタイムに把握する末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法の提供。【解決手段】(a)生体血液試料から好中球を分離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄を行い、1×107/mL以上の濃度となる好中球懸濁液(リン酸緩衝生理食塩水)を調製する工程と、(b)前記好中球懸濁液を、アポトーシスDyeと混和した後培養する工程と、(c)培養後の好中球懸濁液を、血球計算盤により顕微鏡で検鏡し、1視野中の好中球の総カウント数に対する染色されたアポトーシス陽性好中球の割合を計算する工程、を含む、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。前記遠心分離が400〜800gにて3−10分行い、アポトーシスDyeの濃度が2〜5%であり、培養が5%炭酸ガス/37℃で8〜10分間培養する方法。【選択図】図3

Description

本発明は、末梢血好中球アポトーシス測定方法、詳細には、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法に関する。
好中球は、5種類ある白血球の1種類であり、中性色素に染まる殺菌性特殊顆粒を持つ顆粒球である。
血液成分としての白血球の正常数は、3000〜9000/μLと言われており、好中球は、その白血球の約50〜70%を占め、白血球のなかで一番多く、盛んな遊走運動(アメーバ様運動)を行い、主に生体内に侵入してきた細菌や真菌類を貪食、殺菌を行うことで、感染を防ぐ役割を果たし、また、エステラーゼ分泌などの機能を有している。
特に、末梢血好中球は、感染時などで増加し、生体防御の第一線として機能し、炎症マーカーのひとつでもある。
この好中球は、病原体と遭遇すると、それらを貪食、殺菌、分解するが、その過程でアポトーシス(細胞死)やネクローシス(壊死)を引き起こすことが知られている。
すなわち、感染時には、血管内に存在する病原体自体(細菌の場合には、菌血症状態:血流中に細菌が存在する状態)や、病原体に反応して血中に放出されたアポトーシス誘導物質(TNFαや、Fasリガンドなど)が、好中球のアポトーシスを誘導する可能性が高い。
実際、これまでの報告でも重症外傷患者や敗血症患者では、末梢血好中球のアポトーシスが増加し、病態の重症度との関連性が示唆されている(非特許文献1、2)。
その点を確認するべく本発明者らは、感染症を含めた何らかの炎症を有し、C reactive protein(C反応性蛋白:CRP)が上昇している患者の末梢血好中球のアポトーシスを調べ、健常人と比較・検討した。
すなわち、末梢血から好中球を分離後、アネキシンV(Annnexin V)キットと核染色素であるヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたアポトーシスの検出を、フローサイトメトリーにて行った(後記する検討例参照)。
その結果、健常人では、早期および晩期アポトーシス割合はそれぞれ2.2〜10.2%、0.5〜3.4%であった。一方、CRP陽性患者(感染患者)では早期および晩期アポトーシス割合はそれぞれ0.5〜85.6%、0〜75.7%であり、健常人に比べてアポトーシス割合は増加していることが確認できた。
このように、感染症などの炎症を有する病態では、末梢血中の好中球アポトーシス割合が増加しており、逆に、生存好中球割合は減少していることが判明する。
すなわち、好中球アポトーシス割合の増加とそれに伴う生存好中球割合の減少は、末梢血中に好中球が生体防御に十分な「数」存在していても、正常機能を有する生存好中球数は減少しているため、総和としての機能低下が考えられる。
すなわち、好中球の「数」の評価だけでなく、如何なるステージの好中球アポトーシスであるか否かの、「質」の評価も重要と考えられる。
ところで、血液中に存在する病因物質を、体外循環を通して除去し、場合によっては不足しているものを補う血液浄化療法が知られており、透析・ろ過・吸着・分離などの方法として臨床的に広く採用されている療法である。
例えば、最も広く行われている血液浄化療法としては、慢性腎不全患者に対する血液透析療法が挙げられる。
その他、肝不全や血栓性血小板減少性紫斑病、活動性のある膠原病でステロイドや免疫抑制剤の投与だけでは改善が難しいケースでは、血液を液体成分(血漿)と細胞成分(赤血球・白血球・血小板)に分離して、血漿成分を破棄して新鮮な血漿を補うという血漿交換療法も含まれ、また、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の患者に対する血球除去療法(Leukocytapheresis)などもある。
アフェレーシス(Apheresis)は、上記した血液浄化療法の一つであり、血漿交換(plasma exchange、PE)、二重濾過法(double filtration plasmapheresis、DFPP)、血漿吸着療法(plasma adsorption、PA)、直接血液灌流法(direct hemoperfusion、DHP)、白血球除去療法(Leukocytapheresis)などが知られており、その基本は、患者の血管から血液を取り出し、必要な(または不要な)成分や細胞を除去した後に、その血液を患者の体内に戻すことが行われており、そのなかでも、血球除去療法は、手術部位感染を防御していることが知られている。
また、術後における血球除去療法は、特に潰瘍性大腸炎患者の場合には、手術部位感染の進行を抑制していることが知られている。
その点からみると、好中球機能不全(Neutrophil dysfunction)は、術後感染症と関連付けられているといえ、術後感染症の抑制には血球除去療法が極めて有効なものであるといえる。
すなわち、血球除去療法は、血液浄化療法の一種として、血管内の液性因子が病態に関与している疾患であること、その液性因子が血漿交換により除去されること、アフェレーシスにより臨床的に改善することが証明されていることなどの特性により、例えば、病原菌との戦いにより細胞死(アポトーシス)した白血球を除去し、生存する白血球を再度体内に戻すことで、生体防御機能(感染防御)を有効に発揮しているものと考えられる。
Anne Morrison C, et al. J Infect. 2013 Jan; 66(1):87-94. Martins PS, et al. Shock. 2003 Sep; 20(3):208-12
その点から判断すると、血球除去療法においては、血液中の細胞死した好中球、すなわちアポトーシス好中球の割合を見極め、かかるアポトーシス好中球を除去し、生存好中球を戻すことで、好中球の生体防御機能を有効に発揮させることが重要であるといえる。
すなわち、感染症などの炎症を有する病態にあっては、末梢血中の好中球アポトーシス割合が増加しており、逆に、生存好中球割合は減少しているとしても、血球除去療法としてのアフェレーシスに際しては、好中球アポトーシスの割合を確実に見極めることが必要である。
従来の好中球アポトーシスの割合の測定は、上記したフローサイトメトリーを用いたアネキシンV(Annexin V)とPI(ヨウ化プロピジウム)によるアポトーシス検出法が一般的な方法である。
この方法は、細胞膜の内側に局在している陰性荷電リン脂質であるフォスファチジルセリン(PS)と高い親和性で結合するカルシウム依存性のリン脂質結合タンパクアネキシンV(Annexin V)を用いることによる測定方法である。
通常は細胞膜の内側に局在しているPSが、アポトーシス初期段階では細胞膜の外側に表出する。すなわち、早期アポトーシス細胞は、細胞膜の構造を保ったままでPSが細胞膜外側に転移した状態であり、このPSと高い親和性で結合するAnnexin V(アネキシンV)を用いることで、早期アポトーシスの検出が可能となる。
しかしながら、かかるフローサイトメトリーを用いたアネキシンV(Annexin V)とPI(ヨウ化プロピジウム)によるアポトーシス検出法は一般的な方法であっても、高価なフローサイトメーターが必要であることであること、測定条件設定がやや煩雑であるといった問題がある。
加えて、この方法では、培養(シャーレ上、静止状態、培養液、CO濃度など)は、生体内環境とは著しく異なるため、好中球生存割合、およびアポトーシス割合を変化させてしまうと考えられ、生体内を循環している好中球の状態(主に生存割合とアポトーシス割合)を正確に把握することは困難であるといえる。
血球除去療法においては、採血後(生体外に取り出した後)、好中球の状態にできるだけ外的影響を与えないようにしてアポトーシス割合を判定することが肝要であり、生体内における好中球の状態(アポトーシス割合)をリアルタイムに把握するためには、採血後の好中球に与える影響をできるだけ最小限に抑える必要があるが、かかる要求を満足する好中球アポトーシスを測定する方法はこれまで検討されていなかった。
したがって、本発明は、上記現状を鑑み、生体内における好中球のアポトーシス割合を、採血後の好中球に与える影響をできるだけ最小限に抑え、迅速、且つ簡便にリアルタイムに把握する末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法を提供することを課題とする。
上記した課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、
(1)以下のステップを含んでなる、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法であって、
(a)生体血液試料から好中球を分離し、末梢血好中球アポトーシスを測定するのに好適な状態となるよう、赤血球溶血バッファーにより混入する血液試料中の赤血球を測定の障害とならない程度に溶出し、次いで、遠心分離処理した後リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄を行い、1×10/mL以上の濃度となる好中球懸濁液を調製するステップと、
(b)得られた好中球懸濁液を、アポトーシスDye(APOPercentage Dye)と混和した後培養するステップと、
(c)培養後の好中球懸濁液を、血球計算盤により顕微鏡にて検鏡し、1視野における好中球の総カウント数に対する染色されたアポトーシス陽性好中球の割合を計算するステップ、
を含む、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法、
である。
より具体的な態様としての本発明は、
(2)ステップ(a)の赤血球溶血バッファーが、ACK lysing bufferである上記(1)に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法;
(3)ステップ(a)の遠心分離を、400〜800gにて3〜10分による遠心分離である上記(1)に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法;
(4)ステップ(b)のアポトーシスDye(APOPercentage Dye)の濃度が、2〜5%である上記(1)に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法;
(5)ステップ(b)の培養が、5%炭酸ガス/37℃恒温培養条件下に8〜15分間培養するものである上記(1)に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法;
(6)ステップ(c)における検鏡が、1視野における好中球の総カウント数として、30〜100個程度とする上記(1)に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法;
である。
本発明が提供する方法により、採血後、生体血液試料中における好中球の状態にできるだけ外的影響を与えないよう最小限に抑え、迅速、且つ簡便にリアルタイムに把握する末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法が提供される。
したがって、本発明により、好中球の早期アポトーシスを、従来のフローサイトメトリーを用いたアネキシンV(Annexin V)とPI(ヨウ化プロピジウム)によるアポトーシス検出法よりも簡便にかつ廉価で、生体内を循環している好中球の状態(主に生存割合とアポトーシス割合)を正確に検出できる方法が提供され、血球除去療法(Leukocytapheresis)に有効に役立てることができる利点を有している。
図1は、検討例1によるアネキシンV(Annnexin V)及びヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーによる健常人の場合の末梢血好中球の存在及びアポトーシス割合結果を示した図である。 図2は、検討例1によるアネキシンV(Annnexin V)及びヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーによるCRP陽性患者における末梢血好中球の存在及びアポトーシス割を示した図である。 図3は、本発明の検討例4における患者1のアポトーシス割合を示した図であり、図中下段に、従来のアネキシンV(Annnexin V)及びヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーによる結果を併せて示した。 図4は、本発明の検討例4における患者2のアポトーシス割合を示した図であり、図中下段に、従来のアネキシンV(Annnexin V)及びヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーによる結果を併せて示した。 図5は、本発明の検討例4における患者3のアポトーシス割合を示した図であり、図中下段に、従来のアネキシンV(Annnexin V)及びヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーによる結果を併せて示した。
本発明は、上記したとおりその基本は、
(a)生体血液試料から好中球を分離し、末梢血好中球アポトーシスを測定するのに好適な状態となるよう、赤血球溶血バッファーにより混入する血液試料中の赤血球を測定の障害とならない程度に溶出し、次いで、遠心分離処理した後リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄を行い、1×10/mL以上の濃度となる好中球懸濁液を調製するステップと、
(b)得られた好中球懸濁液を、アポトーシスDye(APOPercentage Dye)と混和した後培養するステップと、
(c)培養後の好中球懸濁液を、血球計算盤により顕微鏡にて検鏡し、1視野における好中球の総カウント数に対する染色されたアポトーシス陽性好中球の割合を計算するステップ、
を含む、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法である。
以下に、実施例に代え、本発明者らが検討した試験内容、及び試験結果を記載することにより、本発明を詳細に説明していく。
検討例1:健常人とCRP陽性患者における末梢血好中球のアポトーシスの検討比較
感染症を含めた何らかの炎症を有し、C reactive protein(C反応性蛋白:CRP)が上昇している患者(16名)の末梢血好中球のアポトーシスを調べ、健常人(6名)と比較・検討した。
すなわち、末梢血から好中球を分離後、アネキシンV(Annnexin V)キットと核染色色素であるヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたアポトーシスの検出を、フローサイトメトリーにて行った。
アポトーシスの判定は、アネキシンV(Annexin V)陽性かつPI陰性を早期アポトーシス(early apoptosis)、アネキシンV(Annexin V)陽性かつPI陽性を晩期アポトーシス(late apoptosis)と判定した。また、アネキシンV(Annexin V)陰性かつPI陰性は生存(viability)、アネキシンV(Annexin V)陰性かつPI陽性はネクローシス(necrosis:壊死)と判定した。
すなわち、以下のとおりである。
アポトーシスの判定:
アネキシンV陽性/PI陰性:早期アポトーシス(early apoptosis)
アネキシンV陽性/PI陽性:晩期アポトーシス(late apoptosis)
アネキシンV陰性/PI陰性:生存(viability)
アネキシンV陰性/PI陽性:ネクローシス(necrosis:壊死)
その結果、健常人では、早期および晩期アポトーシス割合はそれぞれ2.2〜10.2%、0.5〜3.4%であった。一方、CRP陽性患者(感染患者)では早期および晩期アポトーシス割合はそれぞれ0.5〜85.6%、0〜75.7%であり、健常人に比べてアポトーシス割合は増加していることが確認できた。
上記検討における、健常人の場合の末梢血好中球の存在及びアポトーシス割合を、図1として示した。
また、CRP陽性患者における末梢血好中球の存在及びアポトーシス割合を、図2として示した。
本発明者らは、この末梢血好中球のアポトーシスの検討を、アネキシンV(Annnexin V)キットと核染色色素であるヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーに代え、接触培養細胞のアポトーシスを検出するキットとして市販されているAPOPercentage(登録商標)Apoptosis Assay Kitで使用されているアポトーシス色素である、APOPercentage Dye(以下、Dye)を用いた新たな好中球アポトーシス検出法を検討した。
このキットで使用されるアポトーシス色素である APOPercentage Dye(以下、Dye)は、フォスファチジルセリン(PS)が細胞膜の内葉(細胞質側)から細胞の表面に移動、露出する際に細胞内に取り込まれる。したがって、APOPercentage Apoptosis Assay Kitは、フォスファチジルセリン(PS)露出を伴うアポトーシス(早期アポトーシス)を検出可能なキットであるが、接触培養細胞を用いている。
かかる点を考慮し、APOPercentage Apoptosis Assay Kitで使用されているアポトーシス色素である APOPercentage Dye を用いた好中球アポトーシス検出法として、
1.接着培養細胞ではなく、好中球のアポトーシスが検出できること、
2.そのために、好中球アポトーシスに特化した好中球調整法、Dyeの濃度、培養時間、血球計算盤によるアポトーシス判定ができるか否か、
を検討した。
すなわち、本発明が目的とする課題は、生体内を循環している好中球の状態(主に生存割合とアポトーシス割合)をできるだけ正確に把握することから、採血した生体血液試料について、好中球の状態にできるだけ影響を与えないようにしてアポトーシス割合を判定することが肝要であることから、接触培養細胞を用いないことが可能か否かを検討した。
その結果、測定手順自体の迅速性、簡便性を考慮し、好中球アポトーシスに特化した好中球調整法、使用するDyeの濃度、培養時間の短縮化、並びに、血球計算盤による、アポトーシスの判定により、生体内を循環している好中球の状態、すなわち、好中球の生存割合とアポトーシス割合が、比較的正確に把握することができることを見出したのである。
特に、本願発明の特異点としては、アポトーシス色素である APOPercentage Dye を用いる点、その上で、血球計算盤を用いてアポトーシスの割合を測定する点にある。
血球計算盤を用いた好中球生存率判定は、トリパンブルー染色にて一般的に行われている。しかしながらこの方法では、好中球の細胞膜が壊れてトリパンブルーが細胞内に浸透し染色され、したがって、早期アポトーシスは生存と判定され、正確なアポトーシスの割合を判定することはできない。
これに対して、APOPercentage Apoptosis Assay KitのDyeは、Rose Bengalをもとに作成されていることから、PSの移動に伴ってDyeが細胞内に入り染色されるものであり、トリパンブルー染色では判定できない、細胞膜は正常に保たれているけれどもPSが露出している早期アポトーシスを正確に判定でき、採血した生体血液試料について、好中球の状態にできるだけ影響を与えないようにしてアポトーシス割合の測定が可能となったのである。
その「好中球分離及び調整法」、「Dyeの濃度及び培養時間」並びに、「血球計算盤を用いた好中球アポトーシス測定」の実際を、以下に順次記載し、説明していく。
検討例2:好中球分離及び調整法の検討
Polymorphprep(ポリモルホプレップ:登録商標)(Axis Shield PoC AS, Oslo, Norway)を用いて、常法により、好中球の分離を行った。
なお、ポリモルホプレップ(Polymorphprep)は、Sodium diatrizoate とDextran の無菌調製済溶液であり、ヒト単核球(monocyte)・多核球(polymorphonuclear leukocyte)を2層に分離する試薬である
赤血球の混入が多くなる場合は、赤血球溶解バッファーであるAmmonium-chloride-potassium (ACK) lysing buffer (Lonza, Walkersville, MD, USA)を用い、赤血球の溶血を行い、好中球へのダメージを最小限とするために、好中球pelletにACK lysing buffer は2mL程度とし、10回程度のpipetting後速やかに遠心分離(5分程度)し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄した。
好中球懸濁液は1×10/mL以上の濃度に調整すると、血球計算盤を用いた好中球アポトーシス判定が迅速にできることが判明した。
検討例3:Dyeの濃度及び培養時間の検討
APOPercentage Apoptosis Assay Kitは接着培養細胞のアポトーシスを検出するキットであるため、好中球アポトーシス検出に特化したDyeの濃度及び培養時間を検討した。
その結果、Dyeは3%に調整し(原液3μL+buffer97μL)、3%Dyeと1×10/mLの好中球懸濁液を等量で混和し、10分間程度、CO培養器(5%CO、37℃)で培養するのが良い結果を与えるものであった。
なお、10分間以上の培養時間では偽陽性(アポトーシス陽性細胞でない細胞も染まる)率が上昇する恐れがあることが判明した。
検討例4:血球計算盤を用いた好中球アポトーシスの割合の検討
3% Dyeと1×10/mLの好中球懸濁液を10分間程度で培養後、遠心分離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄した。
その後、血球計算盤に3%Dye により染色した好中球懸濁液をいれ、顕微鏡にて検鏡した。
その結果、1×10/mL以上の懸濁液では1視野に40個くらいの好中球のカウントが可能であり、ピンク色から赤色した好中球をアポトーシス陽性好中球とし、その割合を計算することができた。
その具体的結果として、インフォームドコンセントに基づく患者1、患者2及び患者3の本発明の方法に基づくアポトーシス割合を図3〜図5として示した。
なお、参考のため、下段に従来のアネキシンV(Annnexin V)キットと核染色色素であるヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)を用いたフローサイトメトリーにより測定した末梢血好中球のアポトーシス割合を示した。
上記する検討例は、本発明の一実施例として検討であり、本発明が目的とする、生体内における好中球のアポトーシス割合を、採血後の好中球に与える影響をできるだけ最小限に抑え、迅速、且つ簡便にリアルタイムに把握する末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法としての範囲を逸脱しない限り、「好中球分離及び調整法」、「Dyeの濃度及び培養時間」並びに、「血球計算盤を用いた好中球アポトーシス測定」における種々の条件を変更することが可能であり、かかる変更の結果、目的とする末梢血好中球アポトーシスの割合を測定することができる以上、かかる変更の範囲は本願発明の技術的範囲に包含される。
なお、具体的には、例えば、ステップ(a)の遠心分離を、低速域の遠心で、好中球生存性への影響を少なくするべく400〜800gにて3〜10分による遠心分離とすること、ステップ(b)のアポトーシス色素(APOPercentage Dye)の濃度を2〜5%とすること、ステップ(b)の培養を、好中球生存性への影響を少なくするべく5%炭酸ガス/37℃恒温培養条件下に8〜15分間培養すること、ステップ(c)における検鏡を、1視野における好中球の総カウント数として、30〜100個程度とすること等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明により、好中球の早期アポトーシスを、フローサイトメトリーを用いたアネキシンV(Annexin V)及びPI(ヨウ化プロピジウム)によるアポトーシス検出法よりも簡便に、かつ廉価で検出でき、特に生体内を循環している好中球の状態(主に生存割合とアポトーシス割合)を正確に検出できる方法が提供され、血球除去療法(Leukocytapheresis)に有効に役立てることができる。

Claims (6)

  1. 以下のステップを含んでなる、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法であって、
    (a)生体血液試料から好中球を分離し、末梢血好中球アポトーシスを測定するのに好適な状態となるよう、赤血球溶血バッファーにより混入する血液試料中の赤血球を測定の障害とならない程度に溶出し、次いで、遠心分離処理した後リン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄を行い、1×10/mL以上の濃度となる好中球懸濁液を調製するステップと、
    (b)得られた好中球懸濁液を、アポトーシスDye(APOPercentage Dye)と混和した後培養するステップと、
    (c)培養後の好中球懸濁液を、血球計算盤により顕微鏡にて検鏡し、1視野における好中球の総カウント数に対する染色されたアポトーシス陽性好中球の割合を計算するステップ、
    を含む、末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
  2. ステップ(a)の赤血球溶血バッファーが、ACK lysing bufferである請求項1に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
  3. ステップ(a)の遠心分離を、400〜800gにて3〜10分による遠心分離である請求項1に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
  4. ステップ(b)のアポトーシスDye(APOPercentage Dye)の濃度が、2〜5%である請求項1に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
  5. ステップ(b)の培養が、5%炭酸ガス/37℃恒温培養条件下に8〜15分間培養するものである請求項1に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
  6. ステップ(c)における検鏡が、1視野における好中球の総カウント数として、30〜100個程度とする請求項1に記載の末梢血好中球アポトーシスの割合を測定する方法。
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