JP2017106146A - 繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は防寒用として十分な保温性を得られる厚みを備えつつ実用的な耐久性をも備え、かつ、柔軟で装用感が良く、美観にも優れた繊維製品を提供する。
【解決手段】少なくとも一部に編地層とパイル層から成る厚地部を備え、該パイル層は第一のパイル糸によって構成された第一のパイルと、第二のパイル糸によって構成された第二のパイルからなり、該第二のパイルは該第一のパイルの内側に構成する。該第一のパイル糸は吸湿性や肌触りといった機能に優れた糸とし、該第二のパイル糸は保温性に優れた糸とする。該第二のパイル糸は、ポリウレタン弾性糸を芯線にポリプロピレン中空糸を巻きつけた壁撚糸とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、編地で構成された繊維製品に関するものである。より詳細には、厚みが大きく保温性に優れた靴下、レッグウォーマー、アームウォーマーのような繊維製品であって、特にパイル編組織を備えたものに関する。
従来より、低温環境下での作業時やスポーツ時の防寒用として靴下が利用されており、近年では、いわゆる室内履き(ルームスリッパ)のように利用することも可能な極めて厚手の靴下も流通している。また、靴下に限らず、レッグウォーマー、アームウォーマーのような筒構造を備えた繊維製品も多く上市されている。近年の省エネ意識の高まりから室内の暖房温度を低めに設定することもしばしば行われる状況下、このような繊維製品は、今後ますます活用される機会が増えると予想される。
このような繊維製品の例として、登録実用新案第30228470号公報には、靴下の地厚部を編成生地(ニット地)或いはこれに追加工程を加えたパイル編組織あるいは起毛組織とした靴下が開示されている。また、特開2006−97189号公報には異なる数種類のパイル長のパイル編組織を含む靴下が開示されている。パイル編組織は、編地の面にリング状にわな(ループ)を出して編むことで編地の表面或いは両面をパイルで覆ったものであるから、その厚さにかかわらず非常に柔軟で装用感が良く、また、パイルに多くの空気を含んで優れた保温性を示すなど、防寒用の繊維製品として優れた特徴を有している。
ところが、靴下やレッグウォーマー、アームウォーマーのような繊維製品は肌に直接装用することがほとんどであるため、頻繁に洗濯されることが常である。こうなると、パイル長の長いパイル編組織では、パイルが寝てしまったりつぶれたりして詰まってしまい、厚みが薄くなってしまう。当然にパイルに含んでいた空気も少なくなり、保温性も低下する。また、頻繁な洗濯を要しない用途であっても、単にパイル長の長いパイル編組織の繊維製品は梱包・輸送段階で同様の不都合を発生しがちである。この為、パイル編組織の繊維製品によって防寒用として実用的な耐久性を有するだけの厚みのものを得ることは困難であった。
別の方法で厚手靴下を実現している例として、特開2014−163017号公報には口ゴム部で連続する略筒形状の編地から形成された内筒体と外筒体を口ゴム部で折り返して爪先部を縫着した二重靴下が開示されている。この二重靴下では、靴下本体が二重とされているのみならず、内筒体と外筒体の対向面にパイルが設けられており、良好な保温性を実現するために必要な十分な厚みが確保されている。また、各々のパイル編組織のパイル長は極端に長くなくとも全体としての厚みを確保できるため、耐久性の点でも比較的良好である。
しかし、靴下本体が二重構造であるため、編地としての柔軟性には劣り装用者に固い印象を与えやすい。また、装用時に二重構造の編地にずれが生じて一方の編地にしわが生じることがあり、この部分が装用者に違和感を与える場合がある。
登録実用新案第3028470号公報 特開2006−97189号公報 特開2014−163017号公報
発明が解決しようとする課題、上記のような従来の欠点が解消された繊維製品を提供することである。すなわち、防寒用として十分な保温性を得られる厚みを備えつつ実用的な耐久性をも備え、かつ、柔軟で装用感が良く、二重構造とした場合のような編地のずれによってしわを生じて装用者に不快感を与えるような事態も発生しがたい、繊維製品を提供しようとするものである。
加えて、本発明は空気を多く含んだ厚い編地による保温性という基本機能を維持しつつ、優れた外観が実現でき、さらに蒸れの防止や装用者の皮膚の荒れの防止などの付加機能が付与された繊維製品を提供することも目的としている。
(1)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
少なくとも一部に厚地部を備えており、
該厚地部は主糸によって構成された編地層とパイル層から成り、
該パイル層は第一のパイル糸によって構成された第一のパイルと、第二のパイル糸によって構成された第二のパイルからなり、
該第二のパイルは該第一のパイルの内側に構成されている、
ことを特徴とする繊維製品としている。
本発明に係る繊維製品は、十分な保温性を得られる厚みを備えることを重要な特徴としているが、必ずしも繊維製品全体が均一な厚みを備えている必要はない。例えば、繊維製品が靴下である場合には、足底と冷たい床の間を断熱するために足底部を厚地部とする一方で、足甲部はさほどの厚みを必要としない場合も考えられる。したがって、本発明に係る繊維製品は少なくともその一部に厚地部を備えることを特徴とする。ただし、繊維製品がレッグウォーマーやアームウォーマーの場合など繊維製品全体を厚地部とする方が製品の機能や使い勝手の点で好ましい場合には、繊維製品全体を厚地部とすることも可能である。
厚地部は、主糸によって、いわゆる平編またはゴム編によって編まれた編地層と、主糸と共に編まれているものの、編地層の面にリング状にわな(ループ)を出すように編まれたパイル層から構成されるが、本発明においては、パイル層が第一のパイル糸によって構成された第一のパイルと、第二のパイル糸によって構成された第二のパイルからから構成されており、かつ、第二のパイルが第一のパイルの内側に設けられているという、いわば二重パイル構造を備えていることを大きな特徴としている。
単一のパイルでパイル長を長くすると、繊維製品の使用または洗濯等に伴ってパイルが寝てしまったりつぶれたりして詰まった状態となり、厚みが薄くなるとともに保温性も低下してしまう。一方で、本発明に係る厚地部は、パイル長の長い第一のパイルの内側に、パイル長の短い第二のパイルが設けられている為、これが支えとなって容易にはパイルが寝てしまったりつぶれてしまったりすることがなく、長期間にわたって十分な厚みを維持し、当然に保温性をも維持する。
また、第二のパイルは第一のパイルの内側に隠れている状態であるので、第二のパイルを機能性を重視した糸で構成し、第一のパイルを快適性を重視した糸で構成し、さらに、編地層を意匠性及び耐久性を重視した糸で構成するなどして、それぞれの糸の利点を生かした繊維製品とすることができる。より具体的に説明すると、この例では編地層は最外層であって繊維製品の装用時に外部から視認される部分であるので、美しくかつ強靭なウール及びポリエステル等の素材の糸で構成し、第二のパイルは保温性に特に優れたポリプロピレン素材の糸で構成し、第一のパイルは装用感の良い綿系の糸で構成することができる。この例では、軽く保温性に優れる(保水性がほとんどなく熱伝導率も低い)というポリプロピレン糸の利点を利用する一方で、滑りやすく吸湿性がほとんどないことによる欠点の顕在化を防いだ優れた繊維製品を実現している。すなわち、編地層があるためにポリプロピレン糸はほとんど外部に露出しないため滑りやすさは問題にならない。また、第一のパイルに覆われている為に、吸湿性が無いがゆえに汗がたまって不快感を発生するという問題も発生しない。このように、十分な厚みを確保してすぐれた保温性を備えているのみならず、特徴ある各種の糸の利点を引き出した繊維製品を提供できることは、本発明の大きな効果の一つである。
なお、編地層を構成する糸の種類、第一のパイル糸の種類、第二のパイル糸の種類については、上記の例に限られず、目的に応じて様々なものを使用可能であることは言うまでもない。
すでに説明したとおり、本発明に係る繊維製品では、厚地部が第一のパイル糸及び第二のパイル糸によって構成されたパイル層を備え、第二のパイルが第一のパイルの内側に構成されていることを特徴としている。このような特徴的な構造を実現する方法として、特殊なパイル・シンカー、すなわち、編地糸と第二のパイル糸と第一のパイル糸をそれぞれ異なる深さで掛けることのできる凹部が設けられたパイル・シンカーを備えた編機を使用することができる。
(2)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記編地層は、主糸と補強糸によって構成されている、
ことを特徴とする(1)に記載の繊維製品としている。
本発明に係る繊維製品は、比較的強い張力や摩擦に耐え得ることが必要な場合がある。例えば、本発明を靴下に適用した場合には、装用者が歩行した際に床との間で強い摩擦にさらされる場合が発生し得るし、レッグウォーマーに適用した場合には装用時に装用者の足から抜け落ちてしまわないだけの張力を維持できなければならない。そこで、編地層が主糸に補強糸を加えて編まれた添え糸編構成とされることが好ましい。
添え糸編構成は、くるみやかぶせともいわれる通り、一方の糸(主糸)が他方(補強糸)を覆うように編んだ組織であるので、本発明に係る繊維製品においては、外部から視認されやすい主糸にはウール等の美しく肌触りにも優れた素材の糸を用い、外部からあまり視認されることのない補強糸には丈夫で張力に耐えるポリウレタン糸を用いることが好ましい。このような構成を採用することで、機能性・耐久性に優れ、かつ、意匠性や肌触りも良好な繊維製品とすることができる。
(3)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記第二のパイル糸は弾性糸である、
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維製品としている。
すでに、本発明に係る繊維製品は、その厚地部を特殊なパイル・シンカーを備えた編機で作り得ることは説明したとおりであるが、本願発明の発明者は一般的な織機によって本発明に係る繊維製品を製造する方法をも発明した。すなわち、第二のパイル糸を弾性糸としてこれに張力を加えつつ第一のパイル糸と共に編機に給糸してパイル編を行うと、編み上がったパイルのうち弾性糸で構成された第二のパイルが縮んで第一のパイルの内側に収まり、結果として本発明に係る繊維製品の厚地部が出来上がるという方法である。
この構成によると、従来から使用されてきた編機に大きな改造を施すことなく本発明に係る繊維製品を製造することが可能であり、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になるという利点がある。
なお、第二のパイル糸として使用する弾性糸は用途に応じて任意のものを選択可能であるが、例えば、伸縮性に富むナイロン製又はポリウレタン製の芯線とし、目的に応じた種類の糸を巻きつかせた壁撚糸を用いることができる。この場合、芯線はその伸縮性によってパイルとして編み上がったのちに縮み、第一のパイルの内側に収まる第二のパイルを作る役割を果たす。巻きつけられた糸は、断熱性や吸湿発熱性などの機能を有する糸とすることでそれらの機能を奏する第二のパイルとなる。このようにすることで、たとえ弾性が少ない機能性繊維によっても第二のパイルを自由に形成することが可能となる。
例えば、ポリプロピレン素材の中空糸は、熱伝導率が非常に低く吸水性もほとんどない為極めて保温性が高いため、保温性という点では極めて好ましいものの、身体に装用して使用する繊維製品としてはあまりに滑り易くかつ汗がたまることによる不快感を生じるという欠点も存在する。第一のパイルで包み込まれて直接身体に触れない第二のパイルをこの素材で構成すると、欠点が顕在化しない優れた繊維製品が得られる。もっとも、ポリプロピレン素材は結晶性が高く弾性に富むとはいい難いため、これに張力を加えつつ第一のパイル糸とともにパイル編を行っても第二のパイルが第一のパイルの内側にはうまく収まらない。しかし、弾性に富むナイロン製又はポリウレタン製の芯線にこれらを巻きつかせた壁撚糸とすることで目的が達成される。同様に、割繊糸その他の様々な優れた保温性を実現可能な糸で第二のパイルを構成することができる。
(4)上記説明した解決するため、本発明においては、
前記第二のパイル糸の熱収縮率が前記第一のパイル糸の熱収縮率よりも大きい、
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維製品としている。
本発明に掛かる第二のパイルは、第二のパイル糸として熱収縮性を有する糸を使用し、これと第一のパイル糸とともに編み機に給糸してパイル編を行なうことによって製造することもできる。繊維製品が編み上がった後に、これを熱処理することで第二のパイル糸が縮んで第一のパイルの内側に収まり、結果として本発明に係る繊維製品の厚地部が出来上がるという方法である。
この構成によっても先の例と同様、従来から使用されてきた編機に大きな改造を施すことなく本発明に係る繊維製品を製造することが可能であり、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になるという利点がある。
なお、結晶性の高い樹脂を原料とする繊維は多かれ少なかれ熱収縮性を有していることが多いが、本発明においては第一のパイル糸よりも第二のパイル糸のほうが熱による縮みが多ければ目的を達成することは明らかである。したがって、第一のパイル糸が熱収縮性を示す糸であってもかまわないが、この場合には第二のパイル糸の熱収縮率のほうが大きいことが必要である。なお、第一のパイル糸が全く熱収縮性を示さない、つまり、熱収縮率が0であっても一向に差し支えないことはいうまでも無い。
(5)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記第二のパイル糸はアルカリ処理によって収縮性を示す糸である、
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維製品としている。
本発明に掛かる第二のパイルは、第二のパイル糸としてアルカリ処理によって収縮性を有する糸を使用し、これと第一のパイル糸とともに編み機に給糸してパイル編を行なうことによって製造することもできる。繊維製品が編み上がった後に、これをアルカリ処理することで第二のパイル糸が縮んで第一のパイルの内側に収まり、結果として本発明に係る繊維製品の厚地部が出来上がるという方法である。
この構成によっても、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になるという利点があることは先の例と同様である。
加えて、しばしば例えば綿などの素材の繊維製品を適当な糊等でマスキングし、アルカリ処理によって部分的に収縮させることで繊維製品を部分的にシボ状の凹凸や縮みを形成するリップル加工が行なわれているが、このような加工を行う繊維製品の場合には本発明の特徴である二重のパイル層の形成と同一工程でリップル加工を行なうことが可能となり、工程の簡素化を通じて、より安価に本発明に掛かる繊維製品を提供可能になるという利点が得られる。
(6)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記第二のパイル糸は少なくともその一部に吸湿発熱性を示す繊維を含む、
ことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一に記載の繊維製品としている。
親水性の繊維の表面積を大きくしすることで吸湿した際の水和熱(凝集熱)による発熱が強く感じられる吸湿発熱繊維が広く利用されるようになっているが、これら繊維は大きな表面積を得るために一般に非常に細く強度や耐久性も一般の繊維と比較して劣る場合がほとんどである。しかし、本発明に掛かる第二のパイル糸の少なくとも一部にこのような吸湿発熱繊維を含むことにすれば、吸湿発熱繊維は第一のパイルに包まれているために外部との摩擦にさらされることもなく強度や耐久性上の問題を生じない。また、吸湿発熱繊維のみからなる糸では、その性質上第二のパイルを形成することが難しい場合も考えられる(例えば、弾性にあまり富まない吸湿発熱繊維からなる糸では(3)に記載の発明を実施することが難しい)が、例えば弾性に富むポリウレタン製の芯線と吸湿発熱繊維で構成した壁撚糸とすれば(3)に記載の発明として実施することが容易となる。
ところで、いわゆる機能性繊維による糸として吸湿発熱性繊維による糸の例を説明したが、本発明に掛かる第二のパイル糸にはこれに限らず様々な機能性繊維による糸を用いることができる。一例として、特開2007−314914号公開特許公報に開示されたこめ油を含有する化学繊維をあげることができる。この繊維は、こめ油やγ−オレザノール、フェルラ酸といった成分を含有するレーヨン繊維であり、これを含む糸で繊維製品を作ると徐々にこれら成分が放出されて装用者の皮膚に移行し、皮膚の荒れ等の症状の緩和が期待できるというものである。この繊維を含む糸で第二のパイルを形成すると、この糸では仮に強度や耐久性が不足したとしても問題とならず、しかし、この糸の機能は発揮されるという好ましい繊維製品とすることができる。このように、様々な機能性繊維の特有の機能を活かし、強度や耐久性や外観といった点に弱点があったとしてもこれの顕在化を防いだ繊維製品が得られる点が本発明の大きな利点の一つである。
(7)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記第二のパイル糸は少なくともその一部にポリプロピレン繊維,ナイロン繊維,ポリエステル繊維,中空繊維,割繊繊維のいずれかを含む、
ことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一に記載の繊維製品としている。
第二のパイルが様々な素材・技法で構成可能であることはすでに説明したとおりであり、第二のパイル糸に機能性繊維を含む構成とすることで優れた繊維製品を得られることも上記したとおりである。しかし、本発明に係る繊維製品の厚地部は二重のパイル構造を備えた非常に厚く多くの空気を含むパイル層を備えている為、特殊な機能性繊維を用いるまでもなく十分な保温性を有している。従って、市場に流通する様々な繊維で第二のパイル糸を構成しても多くの場合は十分な効果が得られるのであるが、特に好ましくは、ポリプロピレン繊維,ナイロン繊維,ポリエステル繊維を含む糸を第二のパイル糸とすると良い。ポリプロピレン繊維の保温性等についてはすでに説明したとおりであるが、ナイロン繊維やポリエステル繊維も吸水性が低く比較的良好な保温性を有するほか安価で大量に市場に流通しているため、これらを用いた繊維製品も安価に実現できるという利点もあるからである。
また、第二のパイル糸の少なくとも一部に中空繊維,割繊繊維のいずれかを含む糸を使用することも好ましい選択である。中空繊維は繊維内部に空気層が作られている為に軽くて保温性に富むものであるし、割繊繊維も一般に極めて細い多数の繊維の束として使用されることになるため、多くの空気を含んで良好な保温性を実現できるからである。また、様々な材料や構造の繊維を混合して第二のパイル糸とすることも自由である。
(8)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
前記パイル層に、第三のパイル糸によって構成された第三のパイルが設けられ、
該第三のパイルは前記第二のパイルの内側に構成されている、
ことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一に記載の繊維製品としている。
すでに説明したとおり、(1)〜(7)に記載した繊維製品の厚地部にはパイル層が設けられ、ここには第一のパイルの内側に第二のパイルが構成されるという二重構造を備えることで、極めて厚みのある繊維製品であるにもかかわらず、長期間の使用や繰り返される洗濯にも耐えて十分な厚みを維持し、よって良好な保温性も維持される。しかし、極めて気温の低い環境下で長時間の作業を行わなければならない場合など、さらなる保温性を必要とする場合には、第二のパイルの内側に第三のパイルを設けることが可能である。このようにすると、第一のパイルや第二のパイルのパイル長をさらに長くしてもパイルが寝てしまったりつぶれてしまったりすることが防止され、また、パイル層の厚みの増大に伴って保温性もさらに向上した繊維製品が得られる。
第三のパイル層の構成方法は、すでに説明してきた第二のパイル層の構成方法をそのまま流用することができる。すなわち、(i)編地糸と第三のパイル糸と第二のパイル糸と第一のパイル糸をそれぞれ異なる深さで掛けることのできる凹部が設けられたパイル・シンカーを備えた編み機を使用する、(ii)第二のパイル糸と第三のパイル糸を弾性糸とし、第三のパイル糸に第二のパイル糸よりも強い張力を加えつつパイル編みを行い、編み上がった第二のパイルよりも第三のパイルの方がより大きく縮むことにで第二のパイルの内側に第三のパイルが収まるようにする、(iii)第二のパイル糸や第三のパイル糸を熱やアルカリ処理による収縮性を備えたもので構成し、この際の収縮率がより大きいものを第三のパイル糸とする、といった構成とする、または、これらを組み合わせることができる。
なお、第一のパイル〜第三のパイルまでを備えた繊維製品においても、表面に露出して視認される第一のパイルには快適性を重視した糸で構成し、第二のパイルや第三のパイルは機能性を重視した糸で構成するなどすることが好ましいことは言うまでもない。
(9)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
(1)〜(8)のいずれか一に記載の繊維製品である、
ことを特徴とする靴下としている。
柔軟で厚みがあって極めて保温性が高く、しかも肌に触れる面は快適性の高い糸で構成されている厚地部を備えることを特徴とする本発明に係る繊維製品として、靴下は最も好ましい例である。足の冷えに悩む人が多いことは周知のとおりであり、このような人々にとって良好な装用感と保温性を備えた本発明は悩みの解決手段となるものである。
本発明に係る靴下は、装用面すなわち靴下を装用した際に足の皮膚に直接接触する面をパイル層が設けられている面とすることも、逆に編地層が設けられている面とすることも可能である。前者の場合は、第一のパイル層が足の皮膚に直接接触するので第一のパイル糸を肌触りの良い装用感の良い素材とする一方で、編地層には外観が美しく上部で耐久性に優れた素材を用いるのが良い。また、後者の場合にはこの逆であることが好ましいことは言うまでもない。いずれの場合であっても、厚地部を構成するパイル層の十分な厚み及び第二のパイル(及び、設けた場合には第三のパイル層)によって極めて優れた保温性が得られる。
また、両面すなわちパイル層が設けられている面と編地層が設けられている面のどちらを装用面として使用することも可能な、いわゆるリバーシブル仕様としてもよい。第一のパイル糸と編地層を構成する糸の両方を美しい外観や耐久性の観点で選択したとしても、なお第二のパイル糸を機能の観点で選択することが可能であるので、両面が美しい外観を呈するリバーシブル仕様としても保温性などの機能を犠牲にすることなく優れた靴下を提供することが可能である。
さらに、本発明に係る靴下は厚地部を部分的に設けることも可能であり、一例として、靴下底部の床面のみに厚地部を設けることも可能である。このようにすると、体温が多く奪われる冷たい床との接触面の保温性を高め効果的に冷えを抑制できる一方で、その他の部分は相対的に薄くてかさばらないようにできるほか、靴下を編製するために必要な糸の量が少なくて済むために、安価に靴下を提供できるという利点が得られる。もっとも、厚地部を靴下のどの部分に設けるかは適宜設定することが可能であり、例えば、足首の冷えを防ぐために底部に加えて足首をくるむ部分に厚地部を設けることなどが可能である。
また、本発明に係る靴下は、少なくともその一部に第一のパイルとその内側に構成された第二のパイルを有する厚地部を備えることが特徴であるが、靴下の備える厚地部のすべてがこのような構成を備えていなくてもよい。例えば、足底部と足首をくるむ部分には第一のパイルと第二のパイルを有する極めて厚みの大きな厚地部を設けるが、これ以外の部分、例えば足の甲部やふくらはぎを包む部分は第一のパイルのみからなるやや厚みの薄い厚地部をもうけ、さらに、靴下の口近くはパイル層を設けずに編地層のみとするいうことも可能である。このように各々の箇所に最適な構成を採ることで、保温性、装用感、コストなどの多くの要素のバランスの良い優れた靴下を提供することができる。
(10)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
(1)〜(8)のいずれか一に記載の繊維製品である、
ことを特徴とするレッグウォーマーとしている。
ふくらはぎやひざ、大腿部などの保温を目的とするレッグウォーマーも本発明に係る繊維製品として好ましい例である。靴を装用する場合、特に、重量物を扱う作業時等に装用される安全靴などではサイズのバリエーションも限られ、本発明に係る厚みの大きな靴下の使用時には靴の装用が困難な場合があるが、このような場合でも本発明に係るレッグウォーマーを装用すれば相当程度の冷えの防止を図れる。
レッグウォーマーは通常は比較的単純な筒状に編まれた繊維製品であるが、上記の通り外出時に装用されることが多い。また、女性がスカートを着用した際にレッグウォーマーを使用した場合のように外部から明瞭に視認される状態で使用されることが多い為、高い意匠性が求められる。この為、装用面をパイル層側とした場合には、外面になる編地層はウール製の糸など美しい外観が得られるもので構成すると良い。また、装用面を編地層側とした場合には、外面になるパイル層の最外装に現れる第一のパイルに美しい外観が得られる糸を用いると良い。本発明に掛かるパイル層においては、第一のパイルの内側に第二のパイルが隠れるため、第一のパイル糸と第二のパイル糸が混ざって表面に現れることがなく、美観を損ねることが無い点で優れている。
なお、一般にレッグウォーマーとはふくらはぎやひざ、大腿部を覆う筒状の繊維製品を差す言葉として使われることが多いが、本発明が意図するレッグウォーマーは両端が開いた筒状の繊維製品で足の保温を目的にするものを指す意図であり、したがって、足首の周りだけを覆って保温を図る繊維製品や、膝の回りだけを覆って保温を図る繊維製品をも含む概念である。これらは、足首ウォーマーや膝ウォーマーとでも称呼することも可能であろうが、これらを含めてレッグウォーマーと称呼しているのである。
(11)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
(1)〜(8)のいずれか一に記載の繊維製品である、
ことを特徴とするアームウォーマーとしている。
上腕部から肘部、下腕部にかけての保温を目的とするアームウォーマーも本発明に係る繊維製品として好ましい例である。本発明に掛かるアームウォーマーは非常に大きな厚みを有して良好な保温性を奏するものの、編地部自体の厚みはさほどでもないために柔軟であり、腕のように動きの多い部分に装用しても動きを妨げずに快適に使用することができる。アームウォーマーを実現する際の素材の選択等については、レッグウォーマーの場合とほぼ同様である。
なお、一般にアームウォーマーとは上腕部から肘部、下腕部にかけての保温を目的とする筒状の繊維製品を差す言葉として使われることが多いが、本発明が意図するアームウォーマーは両端が開いた筒状の繊維製品で手腕の保温を目的にするものを指す意図であり、したがって、手首の周りだけを覆って保温を図る繊維製品や、肘の回りだけを覆って保温を図る繊維製品をも含む概念である。これらは、手首ウォーマーや肘ウォーマーとでも称呼することも可能であろうが、これらを含めてアームウォーマーと称呼しているのである。
(12)上記説明した課題を解決するため、本発明においては、
(1)〜(8)のいずれか一に記載の繊維製品である、
ことを特徴とする胴体保温具としている。
周長が数十センチ程度の筒状の繊維製品が人体の胴体の保温具として使用されることがしばしばある。代表的なものとして、いわゆる腹巻や、幼児に就寝時に着用させるスリーパーなどがあげられる。この用途の場合にも、本発明の非常に大きな厚みを有しつつも柔軟で良好な保温性を有するという特徴は極めて好ましいものである。また、皮膚がデリケートな乳幼児用のスリーパーとして使用する場合などでは、スリーパーに縫目があるとこれが皮膚障害に原因となることがあるが、本発明では全く縫目のない編物であるスリーパーが得られるため、このような不具合も発生しない。
なお、腹巻のように通常は衣類の上から着用するために直接皮膚に触れない胴体保温具とする場合には、第二のパイル糸にも装用感を優先したものではなく、強度や耐久性を重視したものを使うことができるし、スリーパーの様に衣類の上から着用するとはいえ手指や首部などの皮膚に直接触れる胴体保温具とする場合にはやわらかく滑らかであるなど装用感を優先したものを選択することが好ましいことは言うまでもない。
(1)編地層とパイル層から成る厚地部を備え、該パイル層は第一のパイル糸によって構成された第一のパイルと、これの内側に構成された第二のパイル糸によって構成された第二のパイルからなることを特徴とする繊維製品としたので、非常に大きな厚みを備えた極めて高い保温性を備えた繊維製品を提供できるという効果を奏する。また、第二のパイルが第一のパイルの内側に設けられているという、いわば二重パイル構造を備えていることから、繊維製品の使用または洗濯等を経ても長期間にわたって厚み及び保温性を維持するという効果も奏する。
また、厚地部であっても繊維製品としてのしなやかさ(曲がりやすさ)を決める編地層は薄いものであり、非常に大きな厚みを備えているにもかかわらず、しなやかで装用感の良い繊維製品が提供できるという効果を奏する。さらに、厚地部の第一のパイルは皮膚に直接触れる一方で、第二のパイルは皮膚に直接触れることがほとんど無いため、第一のパイル糸を肌触り等を重視した素材としつつ第二のパイル糸を保温性他に優れた機能性繊維にて構成し、装用感と保温性他の機能の両立を図るといったように、目的に応じて様々な特徴を備えた繊維製品を柔軟に設計することが可能であるという効果を奏する。
(2)編地層を主糸と補強糸によって構成したので、外部から視認されやすい主糸をウール等の意匠性に優れた美しい素材の糸で構成し、補強糸に強い張力が得られるポリウレタン素材の糸で構成するなど、意匠性と強度等の両立を図り、目的に応じて様々な特徴を備えた繊維製品を柔軟に設計することが可能であるという効果を奏する。なお、これは繊維製品の皮膚に直接触れる面をパイル面とした場合の説明になるが、皮膚に直接触れる面を編地面とすることも可能であり、この場合はパイル面に意匠性が、編地面に装用感が求められることになる。本発明に係る繊維製品はこのような場合にも、すでに説明した方法と同様の方法で編地層やパイル層を適切に設計できることは言うまでもない。
(3)第二のパイル糸を弾性糸で構成することとしたので、特殊な編機によらずに一般的な編機によって本発明に係る繊維製品を製造できるという効果を奏する。これにより、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になる。
また、第二のパイル糸を弾性糸を芯線としてこれに保温性他目的に応じた種類の糸を巻きつかせた壁撚糸で構成することで、多様な機能を備えた第二のパイルを備えた繊維製品を実現することができる。
(4)第二のパイル糸の熱収縮率を第一のパイル糸の熱収縮率よりも大きく設定したので、特殊な編機によらずに一般的な編機によって本発明に係る繊維製品を製造できるという効果を奏する。これにより、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になる。
(5)第二のパイル糸はアルカリ処理によって収縮性を示す糸で構成したので、特殊な編機によらずに一般的な編機によって本発明に係る繊維製品を製造できるという効果を奏する。これにより、設備投資の削減などを通じて、より安価に本発明に係る繊維製品を提供可能になる。
(6)第二のパイル糸は少なくともその一部に吸湿発熱性を示す繊維を含む構成としたので、第一のパイル糸によって強度や耐久性や外観を確保しつつ、吸湿発熱性を示す繊維の発熱機能をも備えた繊維製品を提供できるという効果を奏する。同様に、吸湿発熱性を示す繊維に限らず、皮膚の荒れを防止する機能を備えたものなどさまざまな機能性繊維の有する機能を備えつつ、強度や耐久性や外観等も優れた繊維製品を提供することも可能である。
(7)第二のパイル糸は少なくともその一部にポリプロピレン繊維,ナイロン繊維,ポリエステル繊維,中空繊維,割繊繊維のいずれかを含む繊維製品としたので、優れた保温性を備えた繊維製品を安価に提供できるという効果を奏する。
(8)第三のパイル糸によって構成された第三のパイルが第二のパイルの内側に構成されている構成としたので、(1)〜(7)に記載の繊維製品よりもさらに厚みのある繊維製品であり、しかも長期間の使用や繰り返される洗濯にも耐えて十分な厚みを維持し、よって良好な保温性も維持可能な繊維製品を提供できるという効果を奏する。
(9)本発明に係る繊維製品であることを特徴とする靴下としたので、柔軟で厚みがあって極めて保温性が高くしかも肌に触れる面は快適性の高い糸で構成されている靴下を提供できるという効果を奏する。また、厚地部を靴下底部など部分的に設けることで、必要な部分の保温性のみを高めることで靴下を編製するために必要な糸の量が少なくて済むために、安価に靴下を提供できるという利点が得られる。さらに、厚地部についても、第二のパイルを備える非常に厚みの大きな部分と第一のパイルのみからなるやや薄手の厚地部を場所に応じて使い分けることで、前記特徴をますます顕著なものとすることができる。
(10)本発明に係る繊維製品であることを特徴とするレッグウォーマーとしたので、柔軟で厚みがあって極めて保温性が高くしかも肌に触れる面は快適性の高い糸で構成されたレッグウォーマーを提供できるという効果を奏する。また、レッグウォーマーを装用した際に外面となる層を意匠性の高い糸で構成し、第二のパイル層に機能性繊維を含む糸を使用することで、美しい外観と当該繊維の有する機能を両立したレッグウォーマーを提供することができるという効果を奏する。
(11)本発明に係る繊維製品であることを特徴とするアームウォーマーとしたので、非常に大きな厚みを有して良好な保温性を奏しつつも編地部自体の厚みはさほどでもないために柔軟で腕のように動きの多い部分に装用しても動きを妨げずに快適に使用することがかのうなアームウォーマーを提供できるという効果を奏する。
(12)本発明に係る繊維製品であることを特徴とする胴体保温具としたので、すでに説明したような優れた効果が得られるほか、胴体保温具の一例として幼児に就寝時に着用させるスリーパーとした場合には、優れた保温性を備えた全く縫目のない編物であるスリーパーであることから皮膚がデリケートな乳幼児用としても皮膚障害を発生しにくいという効果が得られる。。
本発明の実施方法を示した説明図である。 本発明の実施方法を示した説明図である。
以下、図面を用いて本発明に係る繊維製品について説明する。
図1は、本発明に係る繊維製品の厚地部の編組織を示す説明図である。本発明に係る繊維製品の特長は厚地部にあるため、以下、厚地部の編組織について説明を行うが、本発明に係る繊維製品には厚地部以外の編組織を含む場合があり、この部分は従来から知られた構成であるために説明は省略する。また、図1は編組織の説明図であるが、図を見やすくするために編組織を構成する緯(よこ)一列のみを実線で表示し、これの上下については点線で表示している。また、これら点線で表示した部分の編組織については、パイル層を構成する糸の表示を省略し、編地層を構成する糸のみを表示している。これも、図を見やすくし、本発明の特徴をより明瞭に理解する助けとするためである。
さて、本発明に係る繊維製品の編地層(6)は、いわゆる添糸編技法によって編製した編組織であり、繊維製品を装用した際に外側の面に露出する主糸(1)を適当な滑りにくさや実用上十分な強度を備えておりかつ外観上も美しいウール素材を主とした糸で構成している。また、補強糸(2)には強い張力を発生して繊維製品を装用した際に適度な締め付けを与えることができるポリウレタン弾性繊維糸(いわゆるスパンデックスと言われるもの)を使用した。ここで、補強糸(2)は主糸(1)とともに平編組織を構成するが、繊維製品の外側の面(図では下方向)からみて補強糸(2)は主糸(1)に覆われるように編まれている為、実質的には美しいウール素材の主糸(1)による編組織のみが外部から視認され、美しい外観の繊維製品が得られる。
パイル層(5)は、第一のパイル糸(3)で構成される第一のパイル(7)及び第二のパイル糸(4)で構成される第二のパイル(8)からなり、図に示す通り、第二のパイル(8)は第一のパイル(7)の内側に収まっている。
次に、第二のパイル糸(4)は、ポリウレタン弾性繊維糸を芯線にポリプロピレン中空糸を巻きつけた壁撚糸で構成とした。ポリプロピレンは極めて吸水性が低く熱伝導率も低い為に断熱性に優れる反面、吸湿性の低さから皮膚に直接触れると汗がたまって不快感を生じやすく、また、すべりやすすぎるといった欠点を有するのだが、第二のパイル(8)は第一のパイル(7)に覆われるように編まれている為、このような欠点は顕在化することなく、優れた断熱性のみが生かされることになる。なお、ポリプロピレン中空糸では、単なるポリプロピレン糸よりもさらに熱伝導率が低く軽いという特徴があるため、本実施例で採用したものである。
次に第二のパイル糸(4)の芯線にポリウレタン弾性繊維糸を使用した理由は、第二のパイル(8)が第一のパイル(7)によって覆われるような構造を得るためである。すなわち、本実施例に係る繊維製品の厚地部を編製する際に、伸縮性に劣るコットン又はレーヨン素材を主とした第一のパイル糸(3)と伸縮性に優れるポリウレタン弾性繊維糸を使用した第二のパイル糸(4)を張力を付与した状態で、同時に編機に給糸する。こうすると、編機のパイルシンカーに第一のパイル糸(3)と第二のパイル糸(4)が掛かり、同じパイル長のパイルが形成される。ところが、第二のパイル糸(4)は伸縮性のある糸に張力が加えられた状態であったので、編製が終わって張力が失われると伸縮して、形成していたパイル長が短くなる。このようにして、第一のパイル(7)のパイル長よりも短いパイル長の第二のパイル(8)が形成され、図に示すとおり、第二のパイルが第一のパイルの内側に設けられているという、いわば二重パイル構造が得られることになる。
この製法の利点は、従来から使用されてきた編機に大きな改造を加えることなく本発明に係る繊維製品を製造することが可能になる点であり、専用の製造装置の開発等に必要な大きい投資を節約し、より安価に本発明に係る繊維製品を提供することができる。
なお、本実施例では、主糸にウール素材を主とした糸、補強糸にポリウレタン弾性繊維糸、第一のパイル糸にコットン又はレーヨン素材を主とした糸、第二のパイル糸にポリウレタン弾性繊維糸を芯線にポリプロピレン中空糸を巻きつけた壁撚糸を使用したが、本発明に係る繊維製品を構成する糸はこれらに限られず、発明の目的や課題解決手段を逸脱しない範囲において任意の選択が可能であることは言うまでもない。例えば、第二のパイル糸にないるん弾性糸を芯線としてポリエステル割繊糸を巻きつけた壁撚糸を使用するといった態様は、当業者が必要に応じて実施することができる、本発明の技術的範囲に属する変形例である。
本発明に係る第二の実施例は、第二のパイル糸(4)に熱収縮ポリエステル糸を芯線に、ポリエステル割線糸を巻きつけた壁撚糸を使用していることを除けば、実施例1と同様である。この実施例では、繊維製品の編製が終わったのちに、繊維製品全体に対して熱処理を行う。これにより、第二のパイル糸(4)の熱収縮ポリエステル糸が伸縮し、形成していた第二のパイル(8)のパイル長が短くなる。このようにして、第一のパイル(7)のパイル長よりも短いパイル長の第二のパイル(8)が形成され、図1に示すとおり、第二のパイルが第一のパイルの内側に設けられているという、いわば二重パイル構造が得られることになる。
この製法の利点は、第二のパイル糸(4)を編機に給糸する際の張力を制御する必要なく、単に第一のパイル糸(3)と第二のパイル糸(4)を同時に編機に給糸して繊維製品を編製することができ、パイル長の調整は編機と無関係な熱処理工程で行うことができる点である。つまり、事実上編機の改造・調整によらずに本発明に係る繊維製品を製造することができるので、従来からある編機で従来からある繊維製品を製造しつつ、適宜本発明に係る繊維製品の製造もおこなうというように、設備投資によらない多品種少量生産を行えるという利点がある。
なお、本実施例では熱処理によって第二のパイル糸(4)を収縮させることで、第二のパイル(8)のパイル長を短くしているが、別の方法、例えば、第二のパイル糸(4)としてアルカリ処理によって収縮する糸を使用して同様の効果を得ることも可能である。
図3は本発明に係る繊維製品の一実施例である靴下の説明図である。この靴下の編製に使用した糸は実施例1で説明したとおりである。
さて、本実施例に係る靴下では、冷たい床等に接して冷えの原因となりやすい足底部の保温性(断熱性)を高めるため、この部分を厚地部(9)としている。本発明に係る繊維製品に特徴的な非常に厚みがあり保温性の高い厚地部(9)の働きにより、冷たい床にあっても装用者は冷たさを感じず快適に過ごすことができる。また、本実施例では足底部以外の部分は厚みが比較的薄い編地部(10)とした。これにより、必要以上に足元にボリューム感が出ることを回避すると共に、靴下の編製に必要な糸の量を減らし、安価に本発明に係る靴下を提供することができる。
なお、靴下全体を厚地部とすることも可能である。床がつめたいのみならず、部屋の気温そのものが低い場合などには足の裏のみならず、足元全体が冷える場合もあり、このような場合には保温性の高い厚地部で全体を編製した靴下を装用することで冷えを防ぐことができる。
ところで、以上の実施例では編地層を外面(すなわち皮膚に直接触れない面)、パイル層を内面(すなわち皮膚に直接触れる面)とした場合について説明した。適切な素材の糸で構成したパイル地は肌触り等の装用感に優れており、また、美観に優れるウールを主体の糸を主糸として構成した編地層は美観に優れるため、このような構成は好ましい実施例である。しかし、あえてパイル層を外面としてその特有の質感を生かした意匠とするなど、表裏を逆転して利用することも可能である。この場合、それぞれの層を構成する糸の種類は適宜変更することができることは言うまでもない。
以上説明したとおり、本発明は防寒用として十分な保温性を得られる厚みを備えつつ実用的な耐久性をも備え、かつ、柔軟で装用感が良く、美観にも優れた繊維製品を提供するものであり、産業上の価値は極めて高い。
1 主糸
2 補強糸
3 第一のパイル糸
4 第二のパイル糸
5 パイル層
6 編地層
7 第一のパイル
8 第二のパイル
9 厚地部
10 編地部

Claims (12)

  1. 少なくとも一部に厚地部を備えており、
    該厚地部は主糸によって構成された編地層とパイル層から成り、
    該パイル層は第一のパイル糸によって構成された第一のパイルと、第二のパイル糸によって構成された第二のパイルからなり、
    該第二のパイルは該第一のパイルの内側に構成されている、
    ことを特徴とする繊維製品。
  2. 前記編地層は、主糸と補強糸によって構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
  3. 前記第二のパイル糸は弾性糸である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維製品。
  4. 前記第二のパイル糸の熱収縮率が前記第一のパイル糸の熱収縮率よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維製品。
  5. 前記第二のパイル糸はアルカリ処理によって収縮性を示す糸である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維製品。
  6. 前記第二のパイル糸は少なくともその一部に吸湿発熱性を示す繊維を含む、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の繊維製品。
  7. 前記第二のパイル糸は少なくともその一部にポリプロピレン繊維,ナイロン繊維,ポリエステル繊維,中空繊維,割繊繊維のいずれかを含む、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の繊維製品。
  8. 前記パイル層に、第三のパイル糸によって構成された第三のパイルが設けられ、
    該第三のパイルは前記第二のパイルの内側に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一に記載の繊維製品。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一に記載の繊維製品である、
    ことを特徴とする靴下。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか一に記載の繊維製品である、
    ことを特徴とするレッグウォーマー。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか一に記載の繊維製品である、
    ことを特徴とするアームウォーマー。
  12. 請求項1〜請求項8のいずれか一に記載の繊維製品である、
    ことを特徴とする胴体保温具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110804794A (zh) * 2019-10-28 2020-02-18 武汉纺织大学 基于中空聚酯纤维的双组分热湿舒适性面料及其制备方法
CN112695448A (zh) * 2020-12-03 2021-04-23 信泰(福建)科技有限公司 一种具有隐形纹路组织的针织鞋面及其制作方法

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