JP2017105901A - 水性樹脂分散体組成物 - Google Patents

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高橋  毅
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暁良 金子
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Abstract

【課題】 本発明は、ポリアミド樹脂基材に対する密着性に優れる塗膜を形成可能な水性樹脂分散体組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体組成物であって、平滑なポリアミド樹脂基材表面に、硬化後の塗膜の膜厚が10μmになるように塗布し、硬化塗膜が耐剥離試験において剥離片が認められない、水性樹脂分散体組成物。
ただし、耐剥離試験は、塗膜上に2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がす工程を5回繰り返す試験方法であり、剥離片は粘着テープに付着する塗膜の切り込み片とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料やコーティング剤、プライマー、合成皮革、接着剤等の各種用途に広く利用可能な水性樹脂分散体組成物に関する。
ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂分散体は、塗料やコーティング剤の原料、例えば、航空機・自動車等の内外装、住宅の外壁面および床材、また家電製品の筐体、パソコン、携帯電話・スマートフォン等の電子機器の筐体等の塗料、コーティング剤の原料として広く利用されている。
各用途で要求される性能を満たすために、ポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物が検討されている。例えば、水性ポリウレタンと、特定の溶融範囲を有するポリオレフィンワックスと、架橋剤とを含有することで、物品の表面に様々な意匠性を付与できるとともに、塗膜表面が溶剤と接触しても溶剤痕が目立たない水性表面処理剤が記載されている(特許文献1参照)。
ナイロン6、又はナイロン6/6.6共重合物等に代表されるポリアミドフィルムは、食品や非食品等の包装材料等の様々な用途で有用であることが知られている(特許文献2参照)。
特開2014−70128号公報 特開2007−130866号公報
本発明は、ポリアミド樹脂基材に対する密着性に優れる塗膜を形成可能な水性樹脂分散体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含み、ポリアミド樹脂基材表面の硬化塗膜(膜厚10μm)が、耐剥離試験において剥離片が認められない水性樹脂分散体組成物は、ポリアミド樹脂基材に対する密着性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、具体的には、以下のとおりである。
[1] ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体組成物であって、平滑なポリアミド樹脂基材表面に、硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、硬化した塗膜が、耐剥離試験において剥離片が認められない、水性樹脂分散体組成物である。
ただし、耐剥離試験は、塗膜上に2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がす工程を5回繰り返す試験方法であり、剥離片は粘着テープに付着する塗膜の切り込み片とする。
[2] ポリウレタン樹脂が、少なくとも、(a)ポリオールと、(b)酸性基含有ポリオールと、(c)ポリイソシアネート化合物とを構成成分とする、前記[1]に記載の水性樹脂分散体組成物である。
[3] さらに、光重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する前記[1]又は[2]に記載の水性樹脂分散体組成物である。
である。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の樹脂分散体組成物を含有するコーティング剤組成物である。

[5] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の水樹脂分散体組成物を含有する塗料組成物である。
[6] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の水樹脂分散体組成物を用いてなる樹脂フィルムである。
[7] 合成樹脂からなる表面を有する基材と、合成樹脂面上に形成される樹脂層とを有し、樹脂層が、前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の水性樹脂分散体組成物を用いてなる積層体。
[8] 合成樹脂面が、ポリアミド樹脂からなる表面である、前記[7]に記載の積層体。
本発明によれば、ポリアミド樹脂基材に対する密着性に優れる水性樹脂分散体組成物を得ることができる。
<水性樹脂分散体組成物>
本発明の水性樹脂分散体組成物は、ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含むものである。また本発明の水性樹脂分散体組成物は、平滑なポリアミド樹脂基材表面に、硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、硬化した塗膜が、耐剥離試験において剥離片が認められないものである。
以下、各構成について詳細に説明する。
<ポリウレタン樹脂>
本発明におけるポリウレタン樹脂は、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを構成成分とするものであれば特に制限されない。本発明においては、ポリウレタン樹脂が水分散型(以下、水性ポリウレタン樹脂分散体と称して説明する場合がある)である場合には、さらに酸性基含有ポリオール(b)を構成成分としてもよい。組成物中に保護コロイド、乳化剤、界面活性剤を含まなくても安定した水分散が可能となるからである。
以下、ポリウレタン樹脂の構成成分について、説明する。
<<(a)ポリオール>>
ポリオールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリジエンポリオール等を用いることができる。ポリオールは、1種類のみ用いてもよく、複数種を併用してもよい。中でも、耐光性及び耐加水分解性に優れることから、ポリカーボネートポリオールを含むことが好ましい。
本発明において、ポリカーボネートポリオールは、分子中にカーボネート結合を有するポリオールであれば特に制限されないが、例えば、ジオール等のポリオールモノマーがカーボネート結合でつながったものであることが好ましい。またポリカーボネートポリオールは、分子中にカーボネート結合を含んでいれば特に制限されず、例えば、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
上記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量としては、特に制限されないが、400〜8000であることが好ましい。この範囲である場合、適切な粘度及び良好な取り扱い性が容易に得られる。また、ソフトセグメントとしての性能の確保が容易であり、得られた水性ポリウレタン樹脂分散体を用いて塗膜を形成した場合に割れの発生を抑制し易く、さらに、イソシアネート化合物(c)との反応性が充分で、ウレタンプレポリマーの製造を効率的に行うことができる。ポリカーボネートポリオール(a)は、数平均分子量が400〜4000であることがより好ましい。
なお、数平均分子量は、JIS K 1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価(mgKOH/g)で算出する。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数であり、ポリカーボネートポリオールがポリカーボネートジオールの場合は価数が2となる。
ポリカーボネートポリオールは、ポリオールモノマーとホスゲンとを用いたホスゲン法や、ポリオールモノマーと炭酸エステルとを用いたエステル交換法により製造することができる。特にエステル交換法で得られるポリカーボネートポリオールは、塩素の混入がない、着色しにくい等の利点から好ましい。
このようなポリカーボネートポリオールの構成成分となるポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリオールモノマー、脂環構造を有するポリオールモノマー、芳香族ポリオールモノマー、ポリエステルポリオールモノマー、ポリエーテルポリオールモノマー等を挙げることができる。
脂肪族ポリオールモノマーは、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール;イソプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分岐鎖状脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコールが挙げられる。
脂環構造を有するポリオールモノマーは、特に制限されないが、例えば、1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,7−ノルボルナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ポリオールモノマーは、特に制限されないが、例えば、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、6−ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール、アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。
上述したポリオールモノマーは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル、ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステルが挙げられる。その他に、ポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲン等も使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオールの製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、ジメチルカーボネートが特に好ましい。
ポリオールモノマー及び炭酸エステルからポリカーボネートポリオールを製造する方法としては、例えば、反応器中に炭酸エステルと、この炭酸エステルのモル数に対して過剰のモル数のポリオールモノマーとを加え、温度160〜200℃、圧力50mmHg程度で5〜6時間反応させた後、更に数mmHg以下の圧力において200〜220℃で数時間反応させる方法が挙げられる。上記反応においては副生するアルコールを系外に抜き出しながら反応させることが好ましい。その際、炭酸エステルが副生するアルコールと共沸することにより系外へ抜け出る場合には、過剰量の炭酸エステルを加えてもよい。また、上記反応において、チタニウムテトラブトキシド等の触媒を使用してもよい。
本発明に用いるポリカーボネートポリオールは、特に制限されないが、例えば、主鎖に脂環構造を有しないポリオールモノマーと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールや、主鎖に脂環構造を有するポリオールモノマーと炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールや、主鎖に脂環構造を有するポリオールモノマーと他のポリオールモノマー(主鎖に脂環構造を有しないポリオールモノマー)と炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
具体的には、1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,5−ペンタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール等が挙げられる。
本発明においては、高い硬度を発揮する塗膜が得られる等の点から、主鎖に脂環構造を有するポリカーボネートポリオールを用いることができる。その場合、主鎖に脂環構造を有するポリカーボネートポリオールは、数平均分子量が400〜5000であるものが好ましく、400〜3000であるものがより好ましく、500〜2000であるものが特に好ましい。
主鎖に脂環構造を有するポリカーボネートポリオールを用いる場合、ポリカーボネートポリオールにおける脂環構造含有率は、固形分基準で65質量%以下であることが好ましい。この範囲であれば、脂環構造の存在により、硬度に優れた塗膜が得られ易く、その一方で、脂環構造の含有率が大きくなりすぎて、水性ポリウレタン樹脂分散体製造時のプレポリマーの粘度が高くなり取り扱いが困難となるといった事態を回避しやすい。脂環構造含有率は、55質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、脂環構造含有率は、ポリカーボネートポリオール中の脂環式基の重量割合をいうことする。例えば、シクロヘキサン残基等のシクロアルカン残基(1,4−ヘキサンジメタノールの場合は、シクロヘキサンから2つの水素原子を除いた部分)や、テトラヒドロフラン残基等の不飽和へテロ環残基(テトラヒドロフランジメタノールの場合は、テトラヒドロフランから2つの水素原子を除いた部分)に基づき、算出した値をいう。
また本発明に用いる(a)ポリオールがポリカーボネートポリオールを含む場合、さらにその他のポリオールを併用してもよい。ここで、その他のポリオールは、使用するポリカーボネートポリオールや、後述する酸性基含有ポリオールと異なるポリオールである。その他のポリオールとしては、高分子量ジオールや低分子量ジオールを用いることができ、例えば、数平均分子量が8000を超えるポリカーボネートジオール、
ポリウレタン樹脂は、(a)ポリカーボネートポリオール及び(b)酸性基含有ポリオール以外に、任意で(d)その他のポリオールを構成成分とするものであってもよい。(d)その他のポリオールとしては、例えば、高分子量ジオールや低分子量ジオールを用いることができる。
高分子量ジオールとしては、特に制限はないが、数平均分子量が400〜4000のものを使用できる。具体的には、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール等を用いることができる。前記ポリカーボネートジオールとしては、特に制限されないが、具体的にはポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリへキサメチレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオールや、ポリ1,4−キシリレンカーボネートジオール等の芳香族ポリカーボネートジオールや、複数種の脂肪族ジオールと炭酸エステルとの反応生成物であるポリカーボネートジオールや脂肪族ジオールと芳香族ジオールと炭酸エステルとの反応生成物であるポリカーボネートジオール、脂肪族ジオールとダイマージオールと炭酸エステルとの反応生成物であるポリカーボネートジオール等の共重合ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。前記脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。前記芳香族ジオールとしては、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。前記ポリエステルジオールとしては、特に制限されないが、具体的にはポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。前記ポリエーテルジオールとしては、特に制限されないが、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。更に、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等を用いてもよい。
低分子量ジオールとして、特に制限はないが、数平均分子量が60以上400未満であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の炭素数2〜9の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン等の炭素数6〜12の脂環式構造を有するジオールなどを挙げることができる。更に、前記低分子量ジオールとして、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子量多価アルコールを用いてもよい。
なお、その他のポリオールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<(b)酸性基含有ポリオール化合物>>
(b)酸性基含有ポリオール化合物は、一分子中に2個以上の水酸基と、1個以上の酸性基を有するものである。ここで、酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等があげられる。特に(b)酸性基含有ポリオールとしては、一分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシ基とを有する化合物を有するものが好ましい。(b)酸性基含有ポリオール化合物は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(b)酸性基含有ポリオール化合物としては、具体的には、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸;N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。中でも入手の容易さの観点から、2個のメチロール基を含む炭素数4〜12のアルカン酸(ジメチルロールアルカン酸)が好ましく、ジメチロールアルカン酸の中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸がより好ましい。
(b)酸性基含有ポリオール化合物の酸性基は、中和剤を用いて中和することができる。上記酸性基の中和は、特に制限されず、例えば、後述するポリウレタンプレポリマーを製造した段階や、ポリウレタン樹脂を水系媒体中に分散させる前の段階、ポリウレタン樹脂を水系媒体中に分散させると同時、ポリウレタン樹脂を水系媒体中に分散させた後の段階等に行うことができる。
中和剤としては、酸性基を中和することができれば特に制限されず、酸性基の種類等に応じて適宜選択できる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール(DMAP)等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ塩類、アンモニア等が挙げられる。中でも、好ましくは有機アミン類を用いることができ、より好ましくは3級アミンを用いることができ、最も好ましくはトリエチルアミンを用いることができる。
<<(c)ポリイソシアネート化合物>>
(c)ポリイソシアネート化合物としては、特に制限されず、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等を使用することができる。
芳香族ポリイソシアネートとして、具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、具体的には、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、具体的には、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−ジクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネートの一分子当たりのイソシアナト基は通常2個であるが、本発明におけるポリウレタン樹脂がゲル化をしない範囲で、トリフェニルメタントリイソシアネートのようなイソシアナト基を3個以上有するポリイソシアネートも使用することができる。
上記のポリイソシアネートの中でも、硬化後の塗膜物性が良好になる(例えば硬度が高くなる)という観点から、脂環構造を有する脂環式ポリイソシアネート化合物が好ましく、反応の制御が行いやすいという点から、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)が特に好ましい。
<ポリウレタン樹脂またはポリウレタン>
ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂の固形分(ただし、酸性基を中和するための中和剤を除く)に対する脂環構造含有割合が、例えば2〜65質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜25質量%であることが特に好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、10,000〜2,000,000であることが好ましく、10,000〜1,000,000であることがより好ましく、100,000〜300,000であることが特に好ましい。
ここで、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<重合性不飽和結合を有する化合物>
本発明における重合性不飽和結合を有する化合物は、光ラジカル発生剤の共存下や、熱ラジカル発生剤の共存下で重合するものが好ましいが、25℃においてイソシアナト基とは反応しない化合物であることが好ましい。
重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ビニル基又はアリル基などのエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。重合性不飽和結合を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有する基を1個有する(1官能性)化合物であってもよく、2個以上有する(多官能性)化合物であってもよい。具体的には、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物や5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を好適に用いることができる。
重合性不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物としては、モノマー類の(メタ)アクリレート化合物や、ポリウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物、ポリアルキレン(メタ)アクリレート系化合物などのポリマー類の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
モノマー類の(メタ)アクリレート化合物としては、モノ(メタ)アクリレートやポリ(メタ)アクリレートが使用可能である。具体的に、モノ(メタ)アクリレートとしては、アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのモノマー類の(メタ)アクリレート化合物の中でも、硬度の点から、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサ(メタ)アクリレートといったポリ(メタ)アクリレートが好ましい。これは、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有することによって、モノ(メタ)アクリレート同士の場合よりも、より高分子量化し易いためである。
また、ポリマー類の(メタ)アクリレート化合物としては、公知のものを用いることができる。特に分子内にポリアルキレングリコール構造を有している化合物が好ましく、分子内に下記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール構造を有している化合物が特に好ましい。ポリマー類の(メタ)アクリレート化合物は、分子内にポリアルキレングリコール構造を有することによって、より水系媒体に分散しやすくなり、得られる水性ポリウレタン分散体の保存安定性が向上する。また、ポリアルキレングリコール構造が、下記一般式(1)で表される構造である場合、ポリマー類の(メタ)アクリレート化合物自体の保存安定性が高く、水系媒体への分散性も高いため、特に好ましい。
Figure 2017105901

(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖アルキル基を示し、nは1〜10の整数を示す。)
前記分子内にポリアルキレングリコール構造を有している化合物であるポリマー類の(メタ)アクリレート化合物としては、モノ(メタ)アクリレートの他、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記ポリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(6モル)変性トリメチロールプロパントリアクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) LR8863)等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(BASF社製Laromer(登録商標) PO33F)、エチレンオキサイド(3モル)変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また重合性不飽和結合を有する化合物としては、市販のものをそのまま用いても良い。市販品としては、例えば、日本油脂社製ブレンマーシリーズ、BASF社製Laromer(登録商標)の各グレードなどが挙げられる。
前記ポリアルキレングリコール構造を有している化合物以外のポリマー類の(メタ)アクリレートとしては、例えば、分子末端に重合性不飽和結合を有するアクリル系ポリマーなどが使用できる。
前記分子末端に重合性不飽和結合を有するアクリル系ポリマーとしては、例えば、分子片末端に重合性二重結合を有するポリブチルアクリレート(綜研化学社製「アクトフローBGV−100T」)や、分子両末端に重合性二重結合を有するポリブチルアクリレート(綜研化学社製「アクトフロー」などが挙げられる。
重合性不飽和結合を有する化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
重合性不飽和結合を有する化合物の割合は、本発明の水性樹脂分散体組成物の機能・特性を発揮できる程度であれば特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂と重合性不飽和結合を有する化合物との全固形分100重量%のうち、3〜60重量%であることが好ましい。この範囲であれば、塗膜の乾燥性に優れ、かつ、高い塗膜の硬度が得られやすく、さらに水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性も良好としやすい。中でも3〜50重量%であることがより好ましく、3〜40重量%であることがさらに好ましく、3〜25重量%であることが特に好ましい。
重合性不飽和結合を有する化合物の(メタ)アクリル当量は、90〜300が好ましい。この範囲であれば、水性ポリウレタン樹脂分散体の貯蔵安定性が良好で、塗膜の耐光性及び硬度が良好なものが得られやすい。重合性不飽和結合を有する化合物の(メタ)アクリル当量は、90〜150がより好ましい。重合性不飽和結合を有する化合物を複数種併用する場合には、各重合性不飽和結合を有する化合物の(メタ)アクリル当量に、全重合性不飽和結合を有する化合物中の各重合性不飽和結合を有する化合物の割合を乗じたものの和が、重合性不飽和結合を有する化合物の(メタ)アクリル当量となる。また、本明細書において、(メタ)アクリル当量とは、メタクリル当量及びアクリル当量のことを指し、下記式で表される。
(メタ)アクリル当量=((メタ)アクリレート化合物の分子量)/(1分子中の(メタ)アクリロイル基数)
本発明において、重合性不飽和結合を有する化合物として、2官能(メタ)アクリレート化合物(C1)及び3官能以上の(メタ)アクリレート化合物(C2)を併用することが好ましい。ここで、「2官能(メタ)アクリレート化合物」とは、1分子内に(メタ)アクリロイル基を2つ有する化合物を表し、「3官能以上の(メタ)アクリレート化合物」とは、1分子内に(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する化合物を表す。
(2官能(メタ)アクリレート化合物(C1))
本発明において、2官能(メタ)アクリレート化合物(C1)は、特に制限されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエーテルジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールエポキシジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性エポキシジ(メタ)アクリレート、フタル酸エポキシジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールエポキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記2官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、入手の容易さ、光照射によるアクリロイル基の消費割合が高く、得られる塗膜の耐光性に優れる点から、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテルジ(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは、ポリエーテルジ(メタ)アクリレートであり、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらの2官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
前記ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート(数平均分子量242、例えば新中村化学工業社製APG−100、ダイセルオルネクス社製DPGDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(数平均分子量300、例えば東亞合成社製アロニックスM−220、新中村化学工業社製APG−200、ダイセルオルネクス社製TPGDA等)、ヘプタプロピレングリコールジアクリレート(数平均分子量536、例えば東亞合成社製アロニックスM−225、新中村化学工業社製APG−400等、日立化成工業製FA-P240A)、ウンデカプロピレングリコールジアクリレート(数平均分子量808、例えば東亞合成社製アロニックスM−270、新中村化学工業社製APG−700、日立化成工業製FA-P270A等)等が挙げられる。前記ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、特に制限はないが、硬い塗膜が得られる点から500以下であることが好ましい。
中でもポリウレタン樹脂水分散体の安定性の点からジプロピレングリコールジアクリレートやトリプロピレングリコールジアクリレートが好ましく、ポリウレタン樹脂水分散体の皮膚刺激性の点からトリプロピレングリコールジアクリレートがより好ましい。
(3官能以上の(メタ)アクリレート化合物(C2))
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物(C2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。前記3官能以上の(メタ)アクリレートの中でも、ポリウレタン樹脂水分散体の安定性の観点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましく、紫外線照射時のアクリロイル基の消費量の観点から、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートがより好ましい。これらの3官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。例えば、トリ(メタ)アクリレート化合物及びテトラ(メタ)アクリレート化合物の併用が挙げられる。
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物(C2)としては、入手の容易さと得られる塗膜の硬度が高い点から、分子内に平均して2個以上のエーテル結合を有さない3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、分子内にエーテル結合を有さない3官能の(メタ)アクリレート化合物及び/又は分子内にエーテル結合を有さない4官能の(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、分子内にエーテル結合を有さないトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。前記トリオールトリアクリレートの中でも、入手容易性からトリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリロイル化合物(C1)と、3官能以上の(メタ)アクリロイル化合物(C2)を併用する場合には、それぞれの割合は、重量比で、5:95〜95:5が好ましい。この範囲であれば、硬度、耐光性に優れた塗膜が得られやすい。それぞれの割合は、より好ましくは、90:10〜20:80であり、さらに好ましくは、80:20〜40:60である。
<ポリオレフィン樹脂>
本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、オレフィン化合物の単独重合体または共重合体である。オレフィン化合物の単独重合体としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または線状低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−ヘキセン)等の炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体を挙げることができる。またオレフィン化合物の共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体等を挙げることができる。
また、本発明においては、極性基が導入されたポリオレフィン樹脂も使用できる。極性基が導入されたポリオレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリオレフィン;エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニリデン共重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−メタクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルアミド共重合体、エチレン−メタクリルアミド共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリルレート共重合体、エチレン−イソプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−イソブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸金属塩共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物、エチレン−ビニルプロピオネート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン−ビニル単量体共重合体;塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
また本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、常温で水に完全に溶解(水溶性)または微分散可能(水分散性)であるものを用いることができる。水分散性ポリオレフィン樹脂としては、自己分散型と強制分散型に分類することができる。自己分散型はポリマー中に含まれるイオン性基を中和することによって水性媒体中に分散するが、分散安定性の観点から、アニオン性基を有するポリマーを塩基性化合物で中和することが好ましい。また強制分散型はポリマーを界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、あるいは両性界面活性剤)などにより水性媒体中に分散する。
本発明に用いるポリオレフィン樹脂としては、特に制限されず、目的とする水性樹脂分散体組成物の用途・特性等に応じて適宜選択することができる。具体的には、ポリエチレンやポリプロピレンワックス、エチレンやプロピレンとの共重合系ワックス等の合成ワックスを乳化したもの、カルボキシルカルボキシル基を含むエチレン系共重合体を乳化したもの、ポリオレフィン樹脂のエマルジョン、変性ポリオレフィン樹脂のエマルジョン、ポリプロピレンとイソプロピルアルコールとを含むもの等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の含有割合は、本発明の水性樹脂分散体組成物の機能・特性を発揮できる程度であれば特に制限されない。例えば、ポリウレタン樹脂と重合性不飽和結合を有する化合物の合計:ポリオレフィン樹脂の割合が、固形分重量比で、5:95〜95:5が好ましい。この範囲であれば、ポリアミド樹脂基材への密着性の高い塗膜が得られやすい。また上記割合は、90:10〜10:90が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、70:30〜30:70が特に好ましい。
<水性樹脂分散体組成物>
本発明の水性樹脂分散体組成物は、少なくとも上述したポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含むものである。
本発明の水性樹脂分散体組成物は、さらに、光重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有するものであってもよい。
<<光重合開始剤>>
光重合開始剤としては、一般に使用されるものが使用でき、例えば、紫外線照射によって、容易に開裂して2個のラジカルができる光開裂型および/または水素引き抜き型、あるいはこれらを混合して使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6,−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタノンなどが挙げられる。好ましくは、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。
なお、光重合開始剤の添加量としては、水性樹脂分散体組成物の全固形分に対して0.5〜10重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましい。
<<熱ラジカル重合開始剤>>
熱ラジカル重合開始剤は、加熱することでラジカルを発生する化合物、すなわち、熱エネルギーを吸収し、分解してラジカル種を発生する化合物であり、特に制限されない。このような熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物を挙げることができる。
有機過酸化物としては、特に制限されず、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類されるものが好ましい。
これらの有機過酸化物の具体例としては、例えば特開2015−004040号公報に記載のものが挙げられる。
アゾ化合物(「アゾ系熱ラジカル重合開始剤」とも称する)としては、水溶性アゾ系熱ラジカル重合開始剤、油溶性アゾ系熱ラジカル重合開始剤、高分子アゾ系熱ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
これらのアゾ化合物の具体例としては、例えば特開2015−004040号公報に記載のものが挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱ラジカル重合開始剤の添加量としては、水性樹脂分散体組成物の全固形分に対して0.5〜10重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましい。
<<水系媒体>>
本発明においては、上述したポリウレタン樹脂等が水系媒体中に分散している。水系媒体としては、例えば水や、水と親水性有機溶媒との混合媒体などが挙げられる。
水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水などが挙げられる。中でも入手の容易さ、塩の影響により粒子が不安定になることなどを考慮すると、イオン交換水を用いることが好ましい。
また親水性有機溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類;出光興産社製「エクアミド」に代表されるβ−アルコキシプロピオンアミド等のアミド類;2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール(DMAMP)等の水酸基含有三級アミンなどが挙げられる。
水系媒体中の親水性有機溶媒の量は、特に制限されないが、例えば0〜20質量%が好ましい。
<<水性樹脂分散体組成物の製造方法>>
本発明の水性樹脂分散体組成物の製造方法としては、ポリウレタン樹脂と、重合性不飽和結合を有する化合物と、ポリオレフィン樹脂とを水系媒体中に分散できる方法であれば特に制限されない。
例えば、ポリウレタン樹脂が分散しているポリウレタン樹脂分散体と、重合性不飽和結合を有する化合物と、ポリオレフィン樹脂とを混合する方法を用いてもよい。また本発明においては、ポリウレタンプレポリマーと、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂とを水系媒体中に分散し、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂の存在下で、ポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤とを反応させる方法を用いてもよい。
本発明におけるポリウレタン樹脂の製造方法としては、全ての原料を一度に反応させるワンショット法や、イソシアネート末端のポリウレタンプレポリマーを製造した後に鎖延長剤を反応させるプレポリマー法などが挙げられる。
プレポリマー法によるポリウレタン樹脂の製造方法について説明する。
プレポリマー法による製造方法の一例としては、
(a)ポリカーボネートポリオールと、(b)酸性基含有ポリオール化合物と、(c)ポリイソシアネート化合物と、場合により、(d)その他のポリオールとを反応させて(A)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)と、
(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)と、
ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)と、
(A)ポリウレタンプレポリマーと、(A)ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)と
を含む方法などが挙げられる。
(A)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)は、不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、大気雰囲気下で行ってもよい
(A)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)において、水系媒体中にポリウレタンプレポリマーを分散させる方法としては、特に制限されないが、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されている水系媒体中に、(A)ポリウレタンプレポリマーを添加する方法、ホモミキサーやホモジナイザー等によって攪拌されている(A)ポリウレタンプレポリマーに水系媒体を添加する方法等がある。
(A)ポリウレタンプレポリマーと(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)で用いられる鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水等が挙げられ、中でも好ましくは1級ジアミン化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上述した工程(δ)は冷却下でゆっくりと行ってもよく、場合によっては60℃以下の加熱条件下で反応を促進して行ってもよい。冷却下における反応時間は、0.5〜24時間程度であり、60℃以下の加熱条件下における反応時間は、0.1〜6時間程度である。
当該方法において、(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)と、(A)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)とは、どちらを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
上記のようにして得たポリウレタン樹脂分散体とラジカル重合性化合物とを混合することによって水性樹脂分散体を得ることができる。また、ポリウレタンプレポリマーとラジカル重合性化合物とを水系媒体中に分散させ、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂の存在下で、ポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤とを反応させることもできる。
ポリウレタンプレポリマーと、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂とを水系媒体中に分散させ、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂の存在下でポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤とを反応させる水性樹脂分散体組成物の製造方法について説明する。
(a)ポリカーボネートポリオールと、(b)酸性基含有ポリオール化合物と、(c)ポリイソシアネートと、場合により、(d)その他のポリオールとを反応させてポリウレタンプレポリマー(A)を得る工程(α)と、ポリウレタンプレポリマー(A)と重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂とを水系媒体中に分散させる工程(γ)と、ポリウレタンプレポリマー(A)と、ポリウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応性を有する鎖延長剤(B)とを反応させる工程(δ)とを含む。
工程(γ)としては、例えば、ポリウレタンプレポリマー(A)と、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂と、水系媒体とを一度に混合して分散させる方法、ポリウレタンプレポリマー(A)を水系媒体中に分散させた後に重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂を添加する方法、ポリウレタンプレポリマー(A)と重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂とを混合した後に水系媒体と混合する方法、重合性不飽和結合を有する化合物及び/又はポリオレフィン樹脂を分散させた水系媒体中にポリウレタンプレポリマー(A)を分散させる方法等がある。
この際、鎖延長剤(B)は、予め水系媒体中に添加しておいてもよいし、ポリウレタンプレポリマー(A)と一緒に水系媒体中に添加してもよい。
工程(γ)は、重合性不飽和結合を有する化合物の二重結合の不必要な消費を避けるため、酸素存在下で行うのが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の重合性不飽和結合の不必要な消費を避けるため、重合禁止剤を添加しておくこともできる。
重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノンなどのキノン系重合禁止剤;2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールなどのアルキルフェノール系重合禁止剤;フェノチアジンなどの芳香族アミン系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイリオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジ−p−フルオロフェニルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)等のアミン系重合禁止剤;ほか2,2−ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)−アニリンオキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウムクロライド;ジエチルヒドロキシルアミン、環状アミド、ニトリル化合物、置換尿素、ベンゾチアゾール、ビス−(1,2,2,6,6ペンタメチル−4−ピペジニル)セパケート、乳酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸などの有機酸;有機ホスフィン、亜リン酸塩などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
特にキノン系重合禁止剤とアルキルフェノール系重合禁止剤とを併用することにより、重合性不飽和結合の重合による消費がより少なくできる。
重合禁止剤の添加量は、例えば、ポリウレタン樹脂100重量部に対し0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部とすることができる。
<<水性樹脂分散体組成物塗膜>>
本発明の水性樹脂分散体組成物は、平滑なポリアミド樹脂基材表面に、硬化後の塗膜(硬化塗膜)の膜厚が10μmになるように塗布し、硬化塗膜が耐剥離試験において剥離片が認められないことを特徴とするものである。
ここで、水性樹脂分散体組成物は、エネルギー線硬化性組成物であってもよく、熱硬化性組成物であってもよい。またエネルギー線照射および加熱の両方によって硬化する組成物であってもよい。
また硬化塗膜の膜厚は10μmであり、上述した耐剥離試験が可能であれば特に制限されない。ここで、本発明においては、10±2μmとすることができる。
<<<耐剥離試験>>>
本発明における耐剥離試験は、硬化塗膜上に2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がす工程(圧着・引き剥がし工程)を5回繰り返す試験方法である。なお、剥離片は粘着テープに付着する塗膜の切り込み片とする。
本発明においては、硬化塗膜が、耐剥離試験において、圧着・引き剥がし工程を5回繰り返す場合に、剥離片が認められない、すなわち、硬化塗膜がすべて基材上に残存するものである(以下、100/100(5)と記載する)。当該工程を5回繰り返しても剥離片が認められない場合、当該基材への密着性が良好であると認められるからである。
また本発明においては、圧着・引き剥がし工程を6回繰り返す場合に剥離片が認められない(100/100(6))ことが好ましく、圧着・引き剥がし工程を7回繰り返す場合に剥離片が認められない(100/100(7))ことがさらに好ましい。
硬化塗膜の形成方法としては、特に制限されず、種々の方法を用いることができる。例えば、水性樹脂分散体組成物をコーティングし、必要に応じて乾燥工程を経て、水性樹脂分散体組成物をエネルギー線照射及び/又は加熱により硬化させることにより形成することが好ましい。
なお、水性樹脂分散体組成物のコーティングの方法としては、具体的には、ディッピング法、ロールコーティング法、リバースロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スプレーコーティング法、ナイフコーティング法、エアーナイフコーティング法、バーコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。
<<<ポリアミド樹脂基材>>>
ポリアミド樹脂基材は、ポリアミド樹脂を含む基材である。このようなポリアミド樹脂基材としては、上述した耐剥離試験を実施可能なものであれば特に制限されず、一般的なものを使用することができる。基材の形状としては、目的・用途等に応じて適宜選択できるものであり、特に制限されない。また当該基材は、種々の添加剤を含むものであってもよい。
本発明の水性樹脂分散体組成物は、必要に応じて、増粘剤、光増感剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物及びコーティング剤は、少なくとも上述した水性樹脂分散体組成物を含有するものであり、必要に応じて、他の樹脂を添加することができる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。これらは1種のみで、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
また他の樹脂は、一種以上の親水性基を有することが好ましい。ここで、親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
前記他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、通常、酸成分とアルコ−ル成分とのエステル化反応またはエステル交換反応によって製造することができる。
前記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を使用することができる。
前記ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度が好ましく、50〜250mgKOH/g程度がより好ましく、80〜180mgKOH/g程度がさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、15〜100mgKOH/g程度がより好ましく、25〜60mgKOH/g程度がさらに好ましい。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000が好ましく、1,000〜300,000がより好ましく、1,500〜200,000がさらに好ましい。
前記アクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂が好ましい。前記水酸基含有アクリル樹脂は、水酸基含有重合性不飽和モノマーおよび該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとを、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の既知の方法によって共重合させることにより製造できる。
前記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基および重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記水酸基含有アクリル樹脂は、カチオン性官能基を有することが好ましい。
カチオン性官能基を有する水酸基含有アクリル樹脂については、例えば、前記重合性不飽和モノマーの一種として、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等のカチオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを用いることにより製造できる。
前記水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜100mgKOH/g程度がより好ましく、3〜60mgKOH/g程度がさらに好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基等の酸基を有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜150mgKOH/g程度がより好ましく、5〜100mgKOH/g程度がさらに好ましい。
前記水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜100,000がより好ましく、さらに好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好適である。
前記ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体または共重合体が挙げられ、例えばポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、ポリオキシブチレン系ポリエーテル、ビスフェノールA又はビスフェノールF等の芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等が挙げられる。
前記ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール化合物から製造された重合体が挙げられ、例えばビスフェノールA・ポリカーボネート等が挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物との反応によって得られるウレタン結合を有する樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。
前記アルキド樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等の多塩基酸と多価アルコールに、さらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキド樹脂が挙げられる。
本発明の塗料組成物及びコーティング剤には、硬化剤を含有させることにより、前記塗料組成物又はコーティング剤を用いた塗膜又は複層塗膜、コーティング膜の耐水性等を向上させることができる。
前記硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、カルボジイミド等を用いることできる。前記硬化剤は、一種のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
前記アミノ樹脂としては、例えば、アミノ成分とアルデヒド成分との反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。前記アミノ成分としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。アルデヒド成分としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、前述のポリイソシアネート化合物のポリイソシアネート基にブロック剤を付加することによって得られるものが挙げられ、ブロック化剤としては、フェノール、クレゾール等のフェノール系、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール系、マロン酸ジメチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系、アセトアニリド、酢酸アミドなどの酸アミド系、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムなどのラクタム系、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド系、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム系、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミンなどのアミン系等のブロック化剤が挙げられる。
前記メラミン樹脂としては、例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロールメラミン;これらのメチロールメラミンのアルキルエーテル化物又は縮合物;メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物等をあげることができる。
本発明の塗料組成物及びコーティング剤には、着色顔料や体質顔料、光輝性顔料を添加することができる。
前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を併用して使用できる。特に、着色顔料として、酸化チタンおよび/またはカーボンブラックを使用することが好ましい。
前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を併用して使用できる。特に、体質顔料として、硫酸バリウムおよび/またはタルクを使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
前記光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を使用することができる。
本発明の塗料組成物及びコーティング剤には、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
本発明の塗料組成物及びコーティング剤の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。一般的には、塗料組成物及びコーティング剤は、前記水性ポリウレタン樹脂分散体と上述した各種添加剤を混合し、水系媒体を添加し、塗装方法に応じた粘度に調製することにより製造される。
塗料組成物の被塗装材質又はコーティング剤の被コーティング材質としては、金属、プラスチック、無機物、木材等が挙げられる。
塗料組成物の塗装方法又はコーティング剤のコーティング方法としては、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等が挙げられる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法は、特に制限されず、例えば、以下のような製造方法が挙げられる。
本発明の樹脂フィルムは、上述した水性樹脂分散体組成物を用いてなるものである。当該樹脂フィルムの厚さは、特に制限されないが、例えば10nm〜50μmとすることができ、100nm〜30μmがより好ましく、500nm〜20μmとすることがさらに好ましい。
本発明の積層体は、合成樹脂からなる表面を有する基材と、合成樹脂面上に形成される樹脂層とを有するものであり、樹脂層が上述した水性樹脂分散体組成物を硬化したものである。本発明においては、上記合成樹脂がポリアミド樹脂であることが好ましい。
なお、本発明の積層体は、樹脂層を介して基材と他の層とが接する積層体であってもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
[製造例1]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標)UH200(宇部興産製;数平均分子量2007;水酸基価55.9mgKOH/g;ポリオール成分が1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、450グラム)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(48.0グラム)と、イソホロンジイソシアネート(181グラム)とを、N−エチルピロリドン(249グラム)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.4グラム)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で5時間加熱し、反応させた。80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(36.3グラム)を添加・混合して反応混合物を得た。得られた反応混合物(723グラム)を80℃まで冷却した後、Laromer LR 8863(BASF社製;アクリルオリゴマー;115グラム)を混合し、強攪拌下、水(1264グラム)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(52.1グラム)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体1を得た。
[製造例2]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標) UM90(3/1)(宇部興産製;数平均分子量916;水酸基価122mgKOH/g;ポリオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール=3:1のモル比のポリオール混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、179グラム)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(31.8グラム)と、
イソホロンジイソシアネート(169グラム)とを、N−エチルピロリドン(163グラム)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3グラム)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で3.5時間加熱した。反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(24.0グラム)を添加・混合した。反応混合物(517グラム)とトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)とトリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA:分子量300)の混合物(モル比1:1、147グラム)を混合し、強攪拌下のもと水(1438グラム)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(89.5グラム)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体2を得た。
[実験例1〜10、参考例1〜7]
製造例1、2で得られた混合物に含まれるポリウレタン樹脂と、ポリオレフィン樹脂とが、固形分基準で、下表1〜5に記載の割合となるように、混合・撹拌し、水性樹脂分散体組成物を得た。
(密着性の評価)
水性樹脂分散体組成物をポリアミド基材上に硬化後の膜厚が10μmになるように均一にそれぞれ塗布し、硬化させた塗膜(硬化塗膜)において、塗膜上に2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がす工程を5回繰り返し、粘着テープに付着する塗膜の切り込み片(剥離片)を計算する。
本評価の結果を、下表1〜5に示す。
Figure 2017105901
Figure 2017105901
Figure 2017105901
Figure 2017105901
Figure 2017105901
上記表1〜5に記載する各構成の詳細は下記の通りである。
PO樹脂1:ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレンワックス乳化重合品)
PO樹脂2:ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン(含有率:27重量%)、イソプロピルアルコール含有、極性基導入型)
PO樹脂3:ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン(含有率:30重量%)Tg:−20℃程度)
表1に示すように、実験例1、2では、参考例1、2に比べて、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。ここで、参考例1はポリウレタン樹脂と重合性不飽和結合を有する化合物とを含み、参考例2はポリオレフィン樹脂のみを含む。なお、参考例1で示すように、ポリウレタン樹脂及び重合性不飽和結合を有する化合物のみを含むものであっても、その硬化塗膜がポリアミド樹脂基材への密着性を発揮できる場合がある。しかしながら、ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体では、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が特に良好であることが確認できた。
また表2に示すように、実験例3、4では、参考例1、3に比べて、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。さらに表3に示すように、実験例5、6では、参考例1、4に比べて、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。
表1〜3に示すように、ポリオレフィン樹脂の種類によらず、ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体では、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。
表4に示すように、実験例7、8では、参考例5、6に比べて、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。また表5に示すように、実験例9、10では、参考例5、7に比べて、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。
ここで、表2及び表4と、表3及び表5とから、ポリウレタン樹脂や重合性不飽和結合を有する化合物の種類によらず、ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体では、得られる硬化塗膜のポリアミド樹脂基材への密着性が良好であることが確認できた。
[参考製造例1]
撹拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標) UM90
(3/1)(宇部興産製;数平均分子量916;水酸基価122mgKOH/g;ポリオ
ール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール=3:1の
モル比のポリオール混合物と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオ
ール、175g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(26.0g)と、水素添加MDI(165g)とを、N−エチルピロリドン(138g)中、ジブチル錫ジラウレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で6時間加熱した。反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(19.6g)を添加・混合したもののうち、404gを抜き出し、強撹拌のもと水(587g)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(61.2g)を加えて、水性ポリウレタン樹脂分散体3を得た。
[参考製造例2]
攪拌機および加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL UC100(宇部興産社製;数平均分子量1012;水酸基価110.8mgKOH/g;1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール(脂環構造の割合:49.5重量%)、160グラム)と、PTMG(数平均分子量1958、26.9グラム)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(23.2グラム)と、水素添加MDI(167.6グラム)とを、N−エチルピロリドン(150.8グラム)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3グラム)存在下、窒素雰囲気下で、80−90℃で4時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、4.49重量%であった。反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(17.5グラム)を添加・混合したもののうち、409.7グラムを抜き出し、強攪拌下のもと水(551.7グラム)の中に加えた。ついで35重量%2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(66.9グラム)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体4を得た。
[参考製造例3]
撹拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ETERNACOLL(登録商標) UH200(宇部興産製;数平均分子量2,000;水酸基価56mgKOH/g;1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、301g)と、2,2−ジメチロールプロピオン酸(16.1g)と、イソホロンジイソシアネート(84.0g)とを、N−エチルピロリドン(133g)中、ジブチル錫ジラウレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜95℃で5時間加熱した。反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン(12.2g)を添加・混合したもののうち、506gを、強撹拌のもと水(760g)の中に加えた。ついで、35重量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(30.0g)を加えて、水性ポリウレタン樹脂
分散体5を得た。
Figure 2017105901
Figure 2017105901
Figure 2017105901
なお、表6〜8より、本発明の水性樹脂分散体組成物は、重合性不飽和結合を有する化合物を含まない場合でも、本発明の効果を奏しうることが確認できる。
本発明の水性樹脂分散体組成物は、塗料やコーティング剤、プライマー、合成皮革、接着剤等の原料等として広く利用できる。

Claims (8)

  1. ポリウレタン樹脂、重合性不飽和結合を有する化合物、及びポリオレフィン樹脂を含む水性樹脂分散体組成物であって、
    平滑なポリアミド樹脂基材表面に、硬化後の塗膜の膜厚が10μmになるように塗布し、硬化塗膜が耐剥離試験において剥離片が認められない、水性樹脂分散体組成物。
    ただし、耐剥離試験は、塗膜上に2mm間隔で切り込みを入れ、100マスの碁盤目部分を形成し、粘着テープを碁盤目部分に圧着して引き剥がす工程を5回繰り返す試験方法であり、剥離片は粘着テープに付着する塗膜の切り込み片とする。
  2. ポリウレタン樹脂が、少なくとも、(a)ポリオールと、(b)酸性基含有ポリオールと、(c)ポリイソシアネート化合物とを構成成分とする、請求項1に記載の水性樹脂分散体組成物。
  3. さらに、光重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載の水性樹脂分散体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体組成物を含有するコーティング剤組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体組成物を含有する塗料組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体組成物を用いてなる樹脂フィルム。
  7. 合成樹脂からなる表面を有する基材と、合成樹脂面上に形成される樹脂層とを有し、
    樹脂層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性樹脂分散体組成物を硬化したものである積層体。
  8. 合成樹脂面が、ポリアミド樹脂からなる表面である、請求項7に記載の積層体。
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