JP2017101743A - 球面軸継手装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数および製造コストを低減可能な球面軸継手装置を提供する。【解決手段】ドラッグリンク10のエンド11に開設された軸受凹部12と、軸受凹部12に嵌入された軸受部材30と、球面軸20に形成され軸受部材30に摺動自在に嵌入された凸球面部21と、球面軸20の凸球面部21を臨む開口を閉塞したエンドキャップ50とを備えている球面軸継手装置において、硬質樹脂が使用されて耐摩耗構造に構成された押さえ部材40をエンドキャップ50と凸球面部21との間にエンドキャップ50に反力をとって凸球面部21を軸受凹部12に押圧するように装填する。押さえ部材30に傾斜面46を形成し、エンドキャップ50に傾斜面46に対応する円錐台斜面形状の押圧部54を形成し、傾斜面46にはかしめ部18のかしめ加工時に押圧部54に押し潰される突起47を形成する。【選択図】図1
Description
本発明は、球面軸継手装置に関し、例えば、自動車に搭載されるステアリングシステムのタイロッドやドラッグリンクおよびサスペンションシステムのリンクに利用して有効なものに関する。
一般に、自動車に搭載されるステアリングシステムのタイロッドやドラッグリンクにおいては、その両端部に球面軸継手装置がそれぞれ設けられている。
従来のこの種の球面軸継手装置として、次のように製造されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
ナックルアームまたはピットマンアームに固定される球面軸はその凸球面部に軸受部材が嵌合された状態で、タイロッドまたはドラッグリンクの端部(エンド)に開設された軸受凹部に挿入される。
他方、エンドプラグ(エンドキャップ)の上にスプリングが載せられ、スプリングの上に押さえ部材がスプリングシートを介して載せられた組立体が別のアッセンブリ工程において準備される。
そして、組立体は球面軸が挿入された軸受凹部に挿入されて押さえ部材が凸球面部の下端面に当接され、軸受凹部の開口部に形成されたかしめ部がかしめ加工されることにより固定される。
この球面軸継手装置において、球面軸は凸球面部が軸受凹部に軸受部材および押さえ部材を介して三次元方向に回動自在に支持されているとともに、軸受部材および押さえ部材は軸受凹部にスプリングによってガタツキなく押し付けられている。
ナックルアームまたはピットマンアームに固定される球面軸はその凸球面部に軸受部材が嵌合された状態で、タイロッドまたはドラッグリンクの端部(エンド)に開設された軸受凹部に挿入される。
他方、エンドプラグ(エンドキャップ)の上にスプリングが載せられ、スプリングの上に押さえ部材がスプリングシートを介して載せられた組立体が別のアッセンブリ工程において準備される。
そして、組立体は球面軸が挿入された軸受凹部に挿入されて押さえ部材が凸球面部の下端面に当接され、軸受凹部の開口部に形成されたかしめ部がかしめ加工されることにより固定される。
この球面軸継手装置において、球面軸は凸球面部が軸受凹部に軸受部材および押さえ部材を介して三次元方向に回動自在に支持されているとともに、軸受部材および押さえ部材は軸受凹部にスプリングによってガタツキなく押し付けられている。
しかしながら、前記した球面軸継手装置においては、軸受凹部によって球面軸を支承するのに軸受部材、押さえ部材、スプリングシート、スプリングおよびエンドプラグが使用されているため、部品点数が多く、かつまた、エンドプラグ、スプリング、スプリングシートおよび押さえ部材の組立体は別のアッセンブリ工程において組み立てておく必要があるため、製造コストが高くなるという問題点がある。
本発明の目的は、部品点数および製造コストを低減することができる球面軸継手装置を提供することにある。
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
第一継手部材に開設された軸受凹部と、前記軸受凹部に嵌入された軸受部材と、第二継手部材に形成され前記軸受部材に摺動自在に嵌入された凸球面部と、前記第二継手部材に形成された前記凸球面部を臨む開口を閉塞したエンドキャップと、高分子化合物が使用されて耐摩耗構造に構成され、前記エンドキャップと前記凸球面部との間に前記エンドキャップに反力をとって前記凸球面部を前記軸受凹部に押圧するように装填された押さえ部材と、を備えている球面軸継手装置。
第一継手部材に開設された軸受凹部と、前記軸受凹部に嵌入された軸受部材と、第二継手部材に形成され前記軸受部材に摺動自在に嵌入された凸球面部と、前記第二継手部材に形成された前記凸球面部を臨む開口を閉塞したエンドキャップと、高分子化合物が使用されて耐摩耗構造に構成され、前記エンドキャップと前記凸球面部との間に前記エンドキャップに反力をとって前記凸球面部を前記軸受凹部に押圧するように装填された押さえ部材と、を備えている球面軸継手装置。
前記した手段によれば、部品点数および製造コストを低減することができる。
以下、図面に即して本発明の一実施形態を説明する。
図1〜図2は本発明の一実施形態を示している。
本実施形態において、本発明に係る球面軸継手装置は、自動車のステアリングシステムのドラッグリンクに使用されるものとして構成されており、三次元方向の回動を確保するように構成されている。
図1に示されているように、本実施形態に係る球面軸継手装置は、第一継手部材としてのドラッグリンク10と、第二継手部材としての球面軸20と、軸受部材30と、押さえ部材40と、エンドキャップ50と、ブーツ60とを備えている。
本実施形態において、本発明に係る球面軸継手装置は、自動車のステアリングシステムのドラッグリンクに使用されるものとして構成されており、三次元方向の回動を確保するように構成されている。
図1に示されているように、本実施形態に係る球面軸継手装置は、第一継手部材としてのドラッグリンク10と、第二継手部材としての球面軸20と、軸受部材30と、押さえ部材40と、エンドキャップ50と、ブーツ60とを備えている。
ドラッグリンク10はエンド11を備えており、エンド11には略円柱形の中空形状に形成された軸受凹部12が、エンド11の端部に配されて長手方向と直交する方向に貫通するように開設されている。軸受凹部12の一端部(以下、上端部とする)には半球形の凹球面部13が形成されており、軸受凹部12の下端部には円柱内周面形の円柱内周面部14が形成されている。
エンド11の円柱内周面部14の下側には、位置決め部15が円柱内周面部14の内径よりも大径の円柱内周面形に形成されており、位置決め部15と円柱内周面部14との境目には段差16が同心に配されて垂直方向下向きに形成されている。
エンド11の円柱内周面部14の下側には、位置決め部15が円柱内周面部14の内径よりも大径の円柱内周面形に形成されており、位置決め部15と円柱内周面部14との境目には段差16が同心に配されて垂直方向下向きに形成されている。
エンド11の位置決め部15の下側にはエンドキャップ取付部17が、位置決め部15の内径よりも大径の円柱内周面形に形成されている。エンドキャップ50はエンドキャップ取付部17に下側から当接された後に、エンドキャップ取付部17の下側に突設された円筒形状部を巻きかしめ加工されて形成されるかしめ部18によって締結される。
球面軸20は略球体(ボール)形状に形成された凸球面部21を備えており、凸球面部21には連結部22が凸球面部21の球心の延長線上に沿うように突設されている。連結部22の下端部には凹曲面形状のネック部23が形成されており、ネック部23の上側には円柱形状のブーツ取付部24が形成されている。ブーツ取付部24の上側には雄テーパ部25が形成されており、雄テーパ部25の上側には雄ねじ部26が形成されている。
図1に示されているように、球面軸20は組付部材としてのナックルアームまたはピットマンアーム(以下、アーム部材という)27に、アーム部材27に開設された取付孔としてのテーパ孔28内に雄テーパ部25が挿通された後に、ナット29が雄ねじ部26に螺合されることにより、締結される。
軸受部材30はポリアセタール樹脂が使用されて、アッパシート部31とロアシート部32とが一体成形されており、軸受凹部12に嵌入されるグリース給脂式軸受構造および球面軸受構造に構成されている。
すなわち、軸受部材30はポリアセタール樹脂が使用されて、全体的に上下端部が平行に切り欠かれた球形の中空体に一体成形されており、アッパシート部31の内側球面とロ
アシート部32の内側球面とが軸受部材30の球形中空体の内形である凹球面部33を構成している。凹球面部33は球面軸20の凸球面部21に対応されており、凸球面部21を略全体的に包囲している。
すなわち、軸受部材30はポリアセタール樹脂が使用されて、全体的に上下端部が平行に切り欠かれた球形の中空体に一体成形されており、アッパシート部31の内側球面とロ
アシート部32の内側球面とが軸受部材30の球形中空体の内形である凹球面部33を構成している。凹球面部33は球面軸20の凸球面部21に対応されており、凸球面部21を略全体的に包囲している。
凹球面部33の下端部には位置決め筒35が同軸に配されて垂直方向下向きに突設されている。位置決め筒35は上側係止部36が上端に水平に形成され、下側係止部37が下端に水平に形成されている。軸受部材30が軸受凹部12に嵌入されて、エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結されると、上側係止部36および下側係止部37がエンド11の段差16およびエンドキャップ50に位置規制されるので、軸受部材30は軸受凹部12に位置決めされた状態になる。
押さえ部材40は樹脂またはゴムのような高分子化合物の一例である、耐荷重性の高い剛性および耐摩耗性を有した硬質樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)が使用されて、外径が軸受部材30の位置決め筒35の内径よりも小径であって、高さが位置決め筒35の高さよりも高い円柱形状に形成されている。そして、押さえ部材40はグリース給脂式軸受構造および球面軸受構造に構成されている。
図2に示されているように、押さえ部材40の上端面には押接面41が、球面軸20の凸球面部21に対応する凹球面形状に形成されており、押接面41上には一定幅一定深さのグリース保持溝42が4条、十字形に配されて没設されている。押さえ部材40の中心線上にはグリース溜43が円形孔形状に開設されており、グリース溜43の上端には各グリース保持溝42の内側端がそれぞれ接続している。
押さえ部材40の下端面におけるグリース溜43の周縁には当接部44が一定幅一定高さの円形リング形状に突設されている。
押さえ部材40の下端面における中間部には略台形穴形状に形成された肉盗み45が6個、同一半径上において放射状に配されて没設されている。
押さえ部材40の下端部外周には円形リング形状の傾斜面46がC面取り形状に形成されており、傾斜面46上には一定幅一定高さの突起47が6条、放射状に配置されて突設されている。
図2に示されているように、押さえ部材40の上端面には押接面41が、球面軸20の凸球面部21に対応する凹球面形状に形成されており、押接面41上には一定幅一定深さのグリース保持溝42が4条、十字形に配されて没設されている。押さえ部材40の中心線上にはグリース溜43が円形孔形状に開設されており、グリース溜43の上端には各グリース保持溝42の内側端がそれぞれ接続している。
押さえ部材40の下端面におけるグリース溜43の周縁には当接部44が一定幅一定高さの円形リング形状に突設されている。
押さえ部材40の下端面における中間部には略台形穴形状に形成された肉盗み45が6個、同一半径上において放射状に配されて没設されている。
押さえ部材40の下端部外周には円形リング形状の傾斜面46がC面取り形状に形成されており、傾斜面46上には一定幅一定高さの突起47が6条、放射状に配置されて突設されている。
エンドキャップ50は鋼等の金属が使用されて円形皿形状に形成されている。エンドキャップ50の外周縁部は被締結部51を形成しており、被締結部51はエンド11のエンドキャップ取付部17に嵌入されて、かしめ部18によって締結されている。
エンドキャップ50の被締結部51の内側には位置決め部52が水平に形成されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、位置決め部52は下側係止部37に係止して上側係止部36を段差16に係止させることにより、軸受部材30を軸受凹部12に位置決めしている。
エンドキャップ50の皿形状の底にはシート部53が円形平板形状に形成されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、シート部53は押さえ部材40の当接部44に当接することにより、押さえ部材40の下端を受けた状態になる。
エンドキャップ50の位置決め部52とシート部53との間には押圧部54が円錐台斜面形状に形成されており、押圧部54の傾斜角は押さえ部材40の傾斜面46の傾斜角と対応されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、エンドキャップ50の押圧部54が傾斜面46を押圧することにより、押さえ部材40上端面の押接面41を球面軸20下端面の凸球面部21に押接させて、軸受凹部12と軸受部材30と凸球面部21との相互間にガタが発生するのを防止している。
エンドキャップ50の被締結部51の内側には位置決め部52が水平に形成されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、位置決め部52は下側係止部37に係止して上側係止部36を段差16に係止させることにより、軸受部材30を軸受凹部12に位置決めしている。
エンドキャップ50の皿形状の底にはシート部53が円形平板形状に形成されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、シート部53は押さえ部材40の当接部44に当接することにより、押さえ部材40の下端を受けた状態になる。
エンドキャップ50の位置決め部52とシート部53との間には押圧部54が円錐台斜面形状に形成されており、押圧部54の傾斜角は押さえ部材40の傾斜面46の傾斜角と対応されている。エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17にかしめ部18によって締結された状態において、エンドキャップ50の押圧部54が傾斜面46を押圧することにより、押さえ部材40上端面の押接面41を球面軸20下端面の凸球面部21に押接させて、軸受凹部12と軸受部材30と凸球面部21との相互間にガタが発生するのを防止している。
ブーツ60はゴムまたは樹脂等の可撓性を有する材料が用いられて、大略円筒形状に形成されており、球面軸20とドラッグリンク10のエンド11との間に、軸受凹部12の
上面開口を被覆するように装着されている。ブーツ60内にはグリース70が充填されている。
ブーツ60の中間部には蛇腹部61が断面「つ」字形状に一体成形されており、蛇腹部61は軸心方向(上下方向)に開閉変形することにより、アーム部材27とエンド11との間の相対変位を吸収する。
ブーツ60の下端部には下側取付部62が円形リング形状に形成されており、下側取付部62はエンド11の上端部外周に嵌合されて固定されている。ブーツ60の上端部には上側取付部63が円形リング形状に形成されており、上側取付部63は球面軸20のブーツ取付部24に固定されている。
上側取付部63の上面外周縁にはリップ64が同心円に形成されて上向きに突設されている。リップ64は断面が長方形形状の円形リング形状に形成されて斜め外向きに突設されており、アーム部材27の下面に押接している。上側取付部63の上面における中間部には押接部65が、断面が半円形の円形リング形状に形成されて垂直に形成されており、押接部65はアーム部材27の下面に当接されたリテーナ66に押接している。
上面開口を被覆するように装着されている。ブーツ60内にはグリース70が充填されている。
ブーツ60の中間部には蛇腹部61が断面「つ」字形状に一体成形されており、蛇腹部61は軸心方向(上下方向)に開閉変形することにより、アーム部材27とエンド11との間の相対変位を吸収する。
ブーツ60の下端部には下側取付部62が円形リング形状に形成されており、下側取付部62はエンド11の上端部外周に嵌合されて固定されている。ブーツ60の上端部には上側取付部63が円形リング形状に形成されており、上側取付部63は球面軸20のブーツ取付部24に固定されている。
上側取付部63の上面外周縁にはリップ64が同心円に形成されて上向きに突設されている。リップ64は断面が長方形形状の円形リング形状に形成されて斜め外向きに突設されており、アーム部材27の下面に押接している。上側取付部63の上面における中間部には押接部65が、断面が半円形の円形リング形状に形成されて垂直に形成されており、押接部65はアーム部材27の下面に当接されたリテーナ66に押接している。
以上の構成に係る球面軸継手装置の作用および効果を説明する。
球面軸20の凸球面部21がエンド11の凹球面部13に軸受部材30によって摺動自在に支持されているので、球面軸20に固定されたアーム部材27はドラッグリンク10に対して三次元方向に揺動することができる。
このとき、エンドキャップ50の押圧部54が傾斜面46を押圧することにより、押さえ部材40の押接面41を球面軸20の凸球面部21に押接させて、軸受凹部12と軸受部材30と凸球面部21との相互間にガタが発生するのを防止している。
アーム部材27がドラッグリンク10に対して揺動すると、ブーツ60の蛇腹部61が軸心方向(上下方向)に開閉変形することにより、アーム部材27とエンド11との間の相対変位を吸収するので、アーム部材27はドラッグリンク10に対してブーツ60に妨害されることなく、スムーズに揺動することができる。
また、アーム部材27のドラッグリンク10に対する揺動時には、ブーツ60のリップ64および押接部65がアーム部材27の下面にブーツ60自体の弾性力によって押接しているので、ブーツ60はシールを維持することができる。
このとき、エンドキャップ50の押圧部54が傾斜面46を押圧することにより、押さえ部材40の押接面41を球面軸20の凸球面部21に押接させて、軸受凹部12と軸受部材30と凸球面部21との相互間にガタが発生するのを防止している。
アーム部材27がドラッグリンク10に対して揺動すると、ブーツ60の蛇腹部61が軸心方向(上下方向)に開閉変形することにより、アーム部材27とエンド11との間の相対変位を吸収するので、アーム部材27はドラッグリンク10に対してブーツ60に妨害されることなく、スムーズに揺動することができる。
また、アーム部材27のドラッグリンク10に対する揺動時には、ブーツ60のリップ64および押接部65がアーム部材27の下面にブーツ60自体の弾性力によって押接しているので、ブーツ60はシールを維持することができる。
以下、ドラッグリンク10のエンド11と球面軸20との組付作業について説明する。
まず、軸受部材30が装着された球面軸20がドラッグリンク10のエンド11の軸受凹部12に下端開口から挿入される。これにより、軸受部材30はドラッグリンク10のエンド11の軸受凹部12と凸球面部21との間に嵌入された状態になる。
次いで、押さえ部材40が軸受凹部12の下端開口から軸受部材30の位置決め筒35内に挿入されて、押さえ部材40の押接面41が球面軸20の凸球面部21の下面に当接される。グリース70が位置決め筒35やグリース溜43に適宜に供給される。
続いて、エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17内に嵌入されるとともに、エンドキャップ取付部17の下側に突設された円筒形状部が巻きかしめ加工され、この巻きかしめ加工によって形成されるかしめ部18によってエンドキャップ50の被締結部51が締結される。この巻きかしめ加工の際に、押さえ部材40の傾斜面46に突設された突起47がかしめ力によって押し潰される(塑性変形される)。
突起47が押し潰された押さえ部材40はエンドキャップ50に反力をとって、軸受部材30を凸球面部21に押接させることにより、凸球面部21を軸受部材30を介して軸受凹部12に押し付け、球面軸20を押さえ付けた状態になる。
続いて、エンドキャップ50がエンドキャップ取付部17内に嵌入されるとともに、エンドキャップ取付部17の下側に突設された円筒形状部が巻きかしめ加工され、この巻きかしめ加工によって形成されるかしめ部18によってエンドキャップ50の被締結部51が締結される。この巻きかしめ加工の際に、押さえ部材40の傾斜面46に突設された突起47がかしめ力によって押し潰される(塑性変形される)。
突起47が押し潰された押さえ部材40はエンドキャップ50に反力をとって、軸受部材30を凸球面部21に押接させることにより、凸球面部21を軸受部材30を介して軸受凹部12に押し付け、球面軸20を押さえ付けた状態になる。
その後、ブーツ60が球面軸20とドラッグリンク10のエンド11との間に軸受凹部
12の上面開口を被覆するように装着される。
12の上面開口を被覆するように装着される。
球面軸20の雄テーパ部25がアーム部材27のテーパ孔28内に挿通され、雄ねじ部26にナット29が螺合されて球面軸20がアーム部材27に固定される。
ところで、本実施形態のように押さえ部材が硬質樹脂によって成形されており、かつ、スプリングが使用されていないと、かしめ部を形成する巻きかしめ加工時の公差(かしめ部の高さ寸法)について極めて厳格な精度が、次のような理由で要求されることになる。
球面軸継手装置においては、かしめ部の高さを調整することにより、球面軸への押さえ部材の押圧力を制御し、もって、規定のトルクを創出している。
押さえ部材とエンドキャップとの間にスプリングが介設されている場合には、スプリングの弾性変形によって巻きかしめ加工時の誤差を補償することができるが、スプリングが介設されていない場合には巻きかしめ加工時の誤差を補償することができない。
したがって、押さえ部材が硬質樹脂によって成形されており、かつ、スプリングが使用されていないと、かしめ部を形成する巻きかしめ加工時の公差について極めて厳格な精度が要求されることになる。
球面軸継手装置においては、かしめ部の高さを調整することにより、球面軸への押さえ部材の押圧力を制御し、もって、規定のトルクを創出している。
押さえ部材とエンドキャップとの間にスプリングが介設されている場合には、スプリングの弾性変形によって巻きかしめ加工時の誤差を補償することができるが、スプリングが介設されていない場合には巻きかしめ加工時の誤差を補償することができない。
したがって、押さえ部材が硬質樹脂によって成形されており、かつ、スプリングが使用されていないと、かしめ部を形成する巻きかしめ加工時の公差について極めて厳格な精度が要求されることになる。
本実施形態においては、かしめ部18を形成する巻きかしめ加工時に、押さえ部材40の傾斜面46に突設された突起47がかしめ力によって押し潰される(塑性変形される)ことにより、巻きかしめ加工時の誤差を補償することができるので、その分、かしめ部を形成する巻きかしめ加工時の公差についての精度を緩和することができる。
本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)スプリングおよびスプリングシートを廃止することにより、部品点数および組付工数を低減することができるので、球面軸継手装置の製造コストを低減することができる。
(2)押さえ部材を硬質樹脂によって一体成形することにより、球面軸継手装置の製造コストを低減することができ、かつ、球面軸継手装置を軽量化することができる。
(3)軸受部材を球面軸の凸球面部に嵌合させた状態で球面軸を軸受凹部に挿入し、次いで、押さえ部材を軸受凹部に装填すれば組付作業を完了することができるため、軸受部材と押さえ部材とをオフラインにおいて別組みする工程を廃止することができる。その結果、球面軸継手装置の製造コストをより一層低減することができる。
(4)押さえ部材をグリース給脂式軸受構造に構成することにより、押さえ部材の摩耗を防止することができるので、軸受凹部と軸受部材と球面軸と押さえ部材との相互間にガタが発生するのを抑止ないしは殆ど抑止することができる。
(5)かしめ部を形成する巻きかしめ加工時に、押さえ部材の傾斜面に突設された突起がかしめ力によって押し潰されることにより、巻きかしめ加工時の誤差を補償することができるので、その分、かしめ部を形成する巻きかしめ加工時の公差についての精度を緩和することができる。
(6)押さえ部材に傾斜面を形成し、エンドキャップに傾斜面に対応する円錐台斜面形状の押圧部を形成することにより、押さえ部材の押圧力は軸受部材を球面軸の凸球面部の球心に向かって作用する状態になるため、押さえ部材は軸受凹部と軸受部材と凸球面部との相互間にガタが発生するのをより一層確実に防止することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、押さえ部材はポリブチレンテレフタレート樹脂を使用して形成するに限らず、ポリアセタール樹脂やポリウレタンエラストマー等を使用して形成してもよい。
また、押さえ部材は、グリース給脂式軸受構造によって耐摩耗構造に構成するに限らず、無給脂式軸受構造によって耐摩耗構造に構成してもよい。
押さえ部材の突起は、放射状に配置するに限らず、同心円に配置してもよいし、散点状に配置してもよい。
本発明に係る球面軸継手装置は、ステアリングのドラッグリンクやタイロッドに適用するに限らず、サスペンションのリンク等にも適用することができる。
10…ドラッグリンク、11…エンド、12…軸受凹部、13…凹球面部、14…円柱内周面部、15…位置決め部、16…段差、17…エンドキャップ取付部、18…かしめ部、
20…球面軸、21…凸球面部、22…連結部、23…ネック部、24…ブーツ取付部、25…雄テーパ部、26…雄ねじ部、
27…アーム部材、28…テーパ孔(取付孔)、29…ナット、
30…軸受部材、31…アッパシート部、32…ロアシート部、33…凹球面部、35…位置決め筒、36…上側係止部、37…下側係止部、
40…押さえ部材、41…押接面、42…グリース保持溝、43…グリース溜、44…当接部、45…肉盗み、46…傾斜面、47…突起、
50…エンドキャップ、51…被締結部、52…位置決め部、53…シート部、54…押圧部、
60…ブーツ、61…蛇腹部、62…下側取付部、63…上側取付部、64…リップ、65…押接部、
70…グリース。
20…球面軸、21…凸球面部、22…連結部、23…ネック部、24…ブーツ取付部、25…雄テーパ部、26…雄ねじ部、
27…アーム部材、28…テーパ孔(取付孔)、29…ナット、
30…軸受部材、31…アッパシート部、32…ロアシート部、33…凹球面部、35…位置決め筒、36…上側係止部、37…下側係止部、
40…押さえ部材、41…押接面、42…グリース保持溝、43…グリース溜、44…当接部、45…肉盗み、46…傾斜面、47…突起、
50…エンドキャップ、51…被締結部、52…位置決め部、53…シート部、54…押圧部、
60…ブーツ、61…蛇腹部、62…下側取付部、63…上側取付部、64…リップ、65…押接部、
70…グリース。
Claims (4)
- 第一継手部材に開設された軸受凹部と、前記軸受凹部に嵌入された軸受部材と、第二継手部材に形成され前記軸受部材に摺動自在に嵌入された凸球面部と、前記第二継手部材に形成された前記凸球面部を臨む開口を閉塞したエンドキャップと、高分子化合物が使用されて耐摩耗構造に構成され、前記エンドキャップと前記凸球面部との間に前記エンドキャップに反力をとって前記凸球面部を前記軸受凹部に押圧するように装填された押さえ部材と、を備えている球面軸継手装置。
- 前記押さえ部材が硬質樹脂が使用されて形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軸継手装置。 - 前記押さえ部材の前記エンドキャップとの押接部分には突起が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の球面軸継手装置。 - 前記押さえ部材に傾斜面が形成され、前記エンドキャップに前記傾斜面に対応する円錐台斜面形状の押圧部が形成され、前記傾斜面に前記突起が形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の球面軸継手装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015235373A JP2017101743A (ja) | 2015-12-02 | 2015-12-02 | 球面軸継手装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015235373A JP2017101743A (ja) | 2015-12-02 | 2015-12-02 | 球面軸継手装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017101743A true JP2017101743A (ja) | 2017-06-08 |
Family
ID=59015586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015235373A Pending JP2017101743A (ja) | 2015-12-02 | 2015-12-02 | 球面軸継手装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017101743A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024060473A1 (zh) * | 2022-09-22 | 2024-03-28 | 中山宝益五金塑胶制品有限公司 | 一种球形云台结构 |
-
2015
- 2015-12-02 JP JP2015235373A patent/JP2017101743A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2024060473A1 (zh) * | 2022-09-22 | 2024-03-28 | 中山宝益五金塑胶制品有限公司 | 一种球形云台结构 |
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