JP2017099785A - 超音波診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波診断システムを構成する複数の装置間において通信の障害により送受信条件が不一致となることを抑制できるシステムを提供する。【解決手段】CPUブロック68は判定処理部68Aと保全処理部68Bを備えている。判定処理部68Aは、通信の状況を示すステータス情報に基づいて通信の障害直前状態を判定する判定手段として機能する。保全処理部68Bは、障害直前状態と判定された場合にFE装置とBE装置をともに超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行させる保全手段として機能する。これにより、保全状態となった後にFE装置とBE装置の装置間に通信の障害が発生しても、装置間において共通の送受信条件を維持することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、超音波診断システムに関する。
超音波診断システム(超音波診断装置を含む)は、生体に対して超音波を送受して得られた受信信号に基づいて生体内の超音波画像を形成する。超音波診断システムが互いに独立した複数の装置(ユニット、モジュール)で構成される場合、それら複数の装置間において通信によりデータを遣り取りするのが一般的である。例えば、特許文献1には、超音波プローブと装置本体との間で無線通信を行う超音波診断装置が記載されている。
超音波診断システムを構成する複数の装置間における通信では、各装置の動作条件などを設定するデータも遣り取りされる。例えば、超音波の送受信に係る送受信条件の設定データなどが遣り取りされる。そのため、例えば、複数の装置間において送受信条件の設定データを遣り取りしている最中に装置間の通信が途絶えてしまうと、装置間において送受信条件が不一致となる可能性がある。
また、通信の復旧後に装置間において送受信条件の設定データを遣り取りしてから超音波診断システムを再始動させるとしても、超音波の送受信に係る送受信条件は多数の設定項目の組み合わせにより決定されるため、送受信条件の設定には膨大な量の設定データが必要とされ、再始動までに時間がかかってしまう。
特開2010−227227号公報
本発明は、上述した背景技術に鑑みて成されたものであり、その目的は、超音波診断システムを構成する複数の装置間において通信の障害により送受信条件が不一致となることを抑制することにある。
上記目的にかなう好適な超音波診断システムは、超音波の送受信を制御する第1装置と、前記第1装置との間で通信を行うことにより前記第1装置の動作を制御するとともに前記第1装置から得られる超音波の受信情報を処理する第2装置と、を有し、前記第2装置は、前記通信の状況を示すステータス情報に基づいて当該通信の障害直前状態を判定する判定手段と、前記障害直前状態と判定された場合に、前記第1装置と前記第2装置をともに、超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行させる保全手段とを備えることを特徴とする。
上記構成において、第1装置と第2装置は例えば無線通信により互いにデータを遣り取りする。第1装置の好適な具体例は、超音波の送受回路と受信回路を備えたフロントエンド装置であり、第2装置の好適な具体例は、フロントエンド装置から得られる超音波の受信情報に基づいて超音波画像を形成して表示する機能を備えたバックエンド装置である。また、上記超音波診断システムの好適な具体例には、第1装置としての超音波プローブと第2装置としての装置本体を備え、超音波プローブと装置本体との間で無線通信を行う超音波診断装置も含まれる。また、通信の障害直前状態とは、第1装置と第2装置との間において通信を正常に行うことができない障害状態に至る蓋然性が高い状態である。障害直前状態には、例えば、その後に実際に障害状態に至る場合はもちろん、その後に通信状況が改善されて障害状態に至らない場合が含まれてもよい。
そして、上記システムによれば、第1装置と第2装置の装置間における通信が障害直前状態と判定された場合に、第1装置と第2装置がともに、超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行するため、例えば、保全状態となった後に装置間に通信の障害が発生しても、装置間において共通の送受信条件を維持することができる。そのため、例えば、通信の復旧後に送受信条件の設定をやり直す必要がなく、通信の復旧後に直ちに超音波診断を開始することができる。
望ましい具体例において、前記第1装置は、前記保全状態において超音波の送受信を停止させ、前記第2装置は、前記保全状態において、前記受信情報に基づいて形成された超音波の静止画像を表示する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記第2装置は、前記保全状態において、前記送受信条件の変更操作を含むユーザ操作の入力を受け付けないロック状態となる、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記第2装置の判定手段は、前記第1装置との間における前記通信により転送される有効データの転送レートに基づいて当該通信が障害直前状態にあるか否かを判定する、ことを特徴とする。
望ましい具体例において、前記第2装置の判定手段は、前記第1装置との間における無線による前記通信の信号強度に基づいて当該通信が障害直前状態にあるか否かを判定することを特徴とする。
望ましい具体例において、前記第2装置は、前記保全状態において当該保全状態中における前記通信の状況を示す情報を提示する、ことを特徴とする。
本発明により、超音波診断システムを構成する複数の装置間において通信の障害により送受信条件が不一致となることが抑制される。
本発明の実施において好適な超音波診断システムの全体構成図である。 FE装置のブロック図である。 BE装置のブロック図である。 CPUブロック内の機能ブロック図である。 信号強度と最高実効速度の対応関係を示す理論表の具体例を示す図である。 保全処理の手順を示すフローチャートである。
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断システムの全体構成図である。超音波診断システム10は、病院等の医療機関で使用される医療機器であり、被検者(生体)に対して超音波診断を行うためのものである。図1の超音波診断システム10は、大別して、フロントエンド(FE)装置12、バックエンド(BE)装置14、及び、プローブ16によるシステムとして構成されている。FE装置12は生体から見て近い装置でありBE装置14は生体から見て遠い装置である。FE装置12及びBE装置14は別体化されており、それぞれが可搬型装置を構成している。FE装置12及びBE装置14は、それらが離れたセパレート状態において動作可能であり、また、それらが結合したドッキング状態で動作可能である。なお、図1はセパレート状態を示している。
プローブ16は、生体表面に当接された状態において超音波の送受波を行う送受波器である。プローブ16は、直線状又は円弧状に配列された複数の振動素子からなる1Dアレイ振動子を備えている。アレイ振動子によって超音波ビームが形成され、それが繰り返し電子走査される。電子走査ごとに生体内にビーム走査面が形成される。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式、等が知られている。1Dアレイ振動子に代えて三次元エコーデータ取込空間を形成可能な2Dアレイ振動子を設けることも可能である。図1に示す構成例では、プローブ16はケーブル28を介してFE装置12に接続されている。プローブ16が無線通信によってFE装置12に接続されてもよい。その場合にはワイヤレスプローブが利用される。複数のプローブがFE装置12に接続された状態において、それらの中から実際に使用するプローブ16が選択されてもよい。体腔内に挿入されるプローブ16がFE装置12に接続されてもよい。
FE装置12とBE装置14は、図1に示すセパレート状態において、無線通信方式により電気的に相互に接続される。本実施形態では、それらの装置は第1無線通信方式及び第2無線通信方式により相互に接続されている。図1においては、第1無線通信方式による無線通信経路18及び第2無線通信方式による無線通信経路20が明示されている。第1無線通信方式は第2無線通信方式に比べて高速であり、本実施形態では、その方式を利用してFE装置12からBE装置14へ超音波受信データが伝送される。すなわち、第1無線通信方式がデータ伝送用として利用されている。第2無線通信方式は第1無線伝送方式よりも低速、簡易な通信方式であり、本実施形態では、その方式を利用してBE装置14からFE装置12へ制御信号が伝送される。すなわち、第2無線通信方式が制御用として利用されている。
FE装置12とBE装置14とが物理的に結合されたドッキング状態においては、FE装置12とBE装置14とが有線通信方式により電気的に接続される。上記2つの無線通信方式に比べて、有線通信方式はかなり高速である。図1においては、2つの装置間に有線通信経路22が示されている。電源ライン26は、ドッキング状態において、FE装置12からBE装置14内へ直流電力を供給するためのものである。その電力がBE装置14の稼働で用いられ、また、BE装置14内のバッテリの充電で用いられる。
符号24はACアダプタ(AC/DCコンバータ)から供給されるDC電源ラインを示している。ACアダプタは必要に応じてFE装置12に接続される。FE装置12もバッテリを内蔵しており、バッテリを電源としつつ稼働することが可能である。FE装置12は後に示すようにボックス状の形態を有している。FE装置12の構成及び動作については後に詳述する。
一方、BE装置14は本実施形態においてタブレット形態あるいは平板状の形態を有している。それは基本的には一般的なタブレットコンピュータと同様の構成を備えている。もっとも、BE装置14には超音波診断用の各種の専用ソフトウエアが搭載されている。それには、動作制御プログラム、画像処理プログラム、等が含まれる。BE装置14は、タッチセンサ付きの表示パネル30を有している。それは入力器及び表示器を兼ねたユーザーインターフェイスとして機能する。図1においては、表示パネル30上に超音波画像としてのBモード断層画像が表示されている。ユーザは、表示パネル30上に表示されたアイコン群を利用して各種の入力を行う。表示パネル30上において、スライド操作や拡大操作等を行うことも可能である。
診断用途、検査者の嗜好等に応じて、セパレート状態及びドッキング状態の内で選択された使用態様で、超音波診断システム10を動作させることが可能である。よって、使い勝手の良好な超音波診断システムを提供できる。
なお、BE装置14は、病院内LANに対して無線通信方式及び有線通信方式によって別途接続され得る。それらの通信経路については図示省略されている。BE装置14(又はFE装置12)が、超音波診断のために機能する他の専用装置(例えばリモートコントローラ)に無線通信方式又は有線通信方式により、別途接続されてもよい。
図2はFE装置12のブロック図である。図中の個々のブロックは、プロセッサ、電子回路等のハードウエアによって構成される。送信信号生成回路38は、プローブ接続回路40を介して、プローブ内の複数の振動素子に対して並列的に複数の送信信号を供給する回路である。この供給によりプローブにおいて送信ビームが形成される。生体内からの反射波が複数の振動素子で受波されると、それらから複数の受信信号が出力され、複数の受信信号がプローブ接続回路40を介して受信信号処理回路42に入力される。受信信号処理回路42は、複数のプリアンプ、複数のアンプ、複数のA/D変換器などを備える。受信信号処理回路42から出力された複数のデジタル受信信号が受信ビームフォーマ46に送られる。受信ビームフォーマ46は、複数のデジタル受信信号に対して整相加算処理を適用し、整相加算後の信号としてビームデータを出力する。そのビームデータは受信ビームに対応する深さ方向に並ぶ複数のエコーデータからなるものである。なお、1つの電子走査で得られた複数のビームデータによって受信フレームデータが構成される。
送受信コントローラ44は、BE装置から送られてきた送受信制御データに基づいて、送信信号生成及び受信信号処理を制御するものである。ビームプロセッサ50は、時系列順で入力される個々のビームデータに対して、検波処理、対数変換処理、相関処理等の各種のデータ処理を施す回路である。制御部52は、FE装置12の全体動作を制御している。この他、ビームプロセッサ50から順次送られてくるビームデータをBE装置へ有線伝送又は無線伝送するための制御を実行している。本実施形態では、制御部52は、有線通信器としても機能している。無線通信器54は第1無線通信方式で通信を行うためのモジュールである。無線通信器56は第2無線通信方式で通信を行うためのモジュールである。符号18は第1無線通信方式に従う無線通信経路を示しており、符号20は第2無線通信方式に従う無線通信経路を示している。それぞれは双方向伝送経路であるが、本実施形態では、前者を利用してFE装置12からBE装置へ大量の受信データが伝送され、後者を利用してBE装置からFE装置12へ制御信号が伝送される。符号64は有線通信用端子を示しており、そこには有線通信経路22が接続される。符号66は電源用端子を示しており、そこには電源ライン26が接続される。電源ライン26は上記のようにFE装置12からBE装置へ直流電力を供給するためのラインである。
バッテリ60は例えばリチウムイオン型のバッテリであり、そこにおける充放電は電源コントローラ58によって制御される。バッテリ駆動時において、バッテリ60からの電力が電源コントローラ58を介して、FE装置12内の各回路へ供給される。符号62はACアダプタ接続時における電源ラインを示している。ACアダプタ接続時には電源コントローラ58の作用によって、外部電力がFE装置12内の各回路へ供給される。その際に、バッテリ60の充電量が100%未満であれば、外部電力を用いてバッテリ60が充電される。
超音波診断動作時(送受信時)において、FE装置12は、BE装置側での制御に従って、プローブに対する複数の送信信号の供給と、その後に得られる複数の受信信号の処理とを繰り返し実行する。これにより得られる時系列順のビームデータが、セパレート状態では無線通信により、ドッキング状態では有線通信により、BE装置へ順次伝送される。その際においては個々のビームデータが複数のパケットに変換され、いわゆるパケット伝送方式により、個々のビームデータが伝送される。
なお、動作モードとしては、Bモードの他、CFMモード、Mモード、Dモード(PWモード、CWモード)等の各種のモードが知られている。高調波イメージングや弾性情報イメージング用の送受信処理が実行されてもよい。図1においては生体信号入力回路等の回路が図示省略されている。
図3はBE装置14のブロック図である。図中、各ブロックはプロセッサ、回路、メモリ等のハードウエアを示している。CPUブロック68は、CPU70、内部メモリ72等を備えている。内部メモリ72はワーキングメモリ、あるいは、キャッシュメモリとして機能する。CPUブロック68に接続された外部メモリ80には、OS、各種の制御プログラム、各種の処理プログラム等が格納されている。後者にはスキャンコンバート処理プログラムが含まれる。その外部メモリ80は、リングバッファ構造を有するシネメモリとしても機能する。内部メモリ72上にシネメモリが構成されてもよい。
CPUブロック68は、複数のビームデータに基づくスキャンコンバート処理により表示フレームデータを生成する。それは超音波画像(例えば断層画像)を構成するものである。その処理が順次実行され、動画像が生成される。CPUブロック68は、超音波画像表示のための各種の処理をビームデータ又は画像に施す。その他、BE装置14の動作を制御し、また、超音波診断システム全体を制御している。
タッチパネルモニタ(表示パネル)78は、入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。具体的には、タッチパネルモニタ78は、液晶表示器及びタッチセンサを備え、ユーザーインターフェイスとして機能する。タッチパネルモニタ78には超音波画像を含む表示画像が表示され、また、操作用の各種ボタン(アイコン)が表示される。
無線通信器74は、第1無線通信方式に従って無線通信を行うためのモジュールである。その際の無線通信経路が符号18で示されている。無線通信器76は、第2無線通信方式に従って無線通信を行うためのモジュールである。その際の無線通信経路が符号20で示されている。CPUブロック68は有線通信方式に従って有線通信を行う機能も備えている。ドッキング状態においては有線通信端子92に有線通信ラインが接続される。また、電源端子94に電源ライン26が接続される。
CPUブロック68には、I/F回路82を介して、複数の検出器84〜90が接続されている。それには照度センサ、近接センサ、温度センサなどが含まれてもよい。GPS等のモジュールが接続されてもよい。I/F回路82はセンサコントローラとして機能する。
バッテリ102はリチウムセラミック型のバッテリであり、その充放電は電源コントローラ100によって制御されている。電源コントローラ100は、バッテリ動作時においてバッテリ102からの電力をBE装置14内の各回路に供給する。非バッテリ動作時において、FE装置から供給された電力、又は、ACアダプタから供給された電力をBE装置14内の各回路に供給する。符号104はACアダプタを経由した電源ラインを示している。
BE装置14は、FE装置を制御しつつ、FE装置から送られてくるビームデータを順次処理して超音波画像を生成し、それをタッチパネルモニタ78に表示する。その際においては超音波画像と共に操作用グラフィック画像も表示される。通常のリアルタイム動作においては、BE装置14とFE装置とが無線又は有線で電気的に接続され、両者の同期が図られつつ、超音波診断動作が継続的に実行される。フリーズ状態においては、BE装置14において送信信号生成回路、受信信号生成回路の動作が停止され、電源コントローラ100における昇圧回路の動作も停止する。BE装置においては、フリーズ時点で静止画像表示となり、その内容が維持される。BE装置に外部表示器を接続できるように構成してもよい。
CPUブロック68において形成された超音波画像は、タッチパネルモニタ78に表示される。CPUブロック68は、超音波画像を含む表示画像を形成してタッチパネルモニタ78に表示させる。
また、BE装置14のCPUブロック68は、FE装置12(図2)とBE装置14との間における通信の状態に応じて、超音波の送受信に係る送受信条件を保全する処理を実行する機能を備えている。
図4は、CPUブロック68内の機能ブロック図である。CPUブロック68は、判定処理部68Aと保全処理部68Bを備えている。判定処理部68Aは、通信の状況を示すステータス情報に基づいて通信の障害直前状態を判定する判定手段として機能する。保全処理部68Bは、障害直前状態と判定された場合にFE装置12(図2)とBE装置14(図3)をともに超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行させる保全手段として機能する。
判定処理部68Aは、FE装置12とBE装置14との間における無線による通信の信号強度に基づいて通信が障害直前状態にあるか否かを判定する第1判定を行う。
第1判定において、判定処理部68Aは無線通信器76から得られる信号強度に基づいて判定を行う。無線通信器76は、第2無線通信方式に従って無線通信を行うためのモジュールであり、超音波による診断中に、FE装置12とBE装置14との間において第2無線通信方式により遣り取りされる信号の強度に係るデータ(信号強度データ)を時々刻々と判定処理部68Aに出力する。
無線通信器76は、FE装置12の無線通信器56から送信されて無線通信器76が受信した信号の信号強度データを出力する。なお、無線通信器76から送信されてFE装置12の無線通信器56が受信した信号の信号強度データが、無線通信器56から無線通信器76に送信され、無線通信器56から送信された信号強度データを無線通信器76が判定処理部68Aに出力してもよい。
判定処理部68Aは、無線通信器76から時々刻々と出力される信号強度データに基づいて、現在の信号強度で可能な最高実効速度(理論値)を導出することにより、第2無線通信方式の現在の帯域幅が十分に足りているか否かを判定する。
判定処理部68Aは、例えば、信号強度(感度)と最高実効速度(データレート)との対応関係を示す理論表または理論式を利用して、無線通信器76から出力される信号強度データに応じた最高実効速度(データレート)を導出する。
図5には、信号強度(感度)と最高実効速度(データレート)との対応関係を示す理論表の具体例が図示されている。図5に例示する理論表は、無線通信器76から出力される信号強度(感度)と、その信号強度により第2無線通信方式において可能な最高実効速度(データレート)との対応関係を示している。図5に例示するような理論表(または理論表に対する理論式)のデータは例えば外部メモリ80に記憶される。
図4に戻り、判定処理部68Aは、外部メモリ80に記憶された理論表(図5)又は理論表に対応した理論式を利用して、無線通信器76から時々刻々と出力される信号強度データに応じた最高実効速度(データレート)を時々刻々と導出する。そして、判定式1が成立しない場合に、通信の障害直前状態であると判定する。
(判定式1)推定実効速度>必要速度
判定式1における推定実効速度は、最高実効速度(データレート)に係数を乗じて算出される。最高実効速度は、理論上最大の実効速度であり、実際の実効速度とは異なるのが一般的であるため、係数(例えば1以下)を乗じて実際の実効速度が推定される。なお、係数は固定値であってもよいし、例えば超音波診断システム10(図1)の利用環境などに応じて係数の値が設定(変更)されてもよい。もちろん、ユーザが係数の値を調整できる構成が採用されてもよい。
また、判定式1における必要速度は、第2無線通信方式により転送されるデータに必要な速度である。例えば、第2無線通信方式を利用してFE装置12からBE装置14へ超音波受信データを伝送するのに必要な速度として、必要速度=1データサイズ×フレームレートが算出される。なお、1データサイズは、1フレームの超音波受信データに対応したデータサイズである。
例えば、1データサイズが65.5KB(縦256ピクセル×横256ピクセル)でありフレームレートが60Hzである場合の必要速度は3.932MBとなる。また、信号強度(感度)が−75dBmであれば、図5に例示する理論表から導出される最高実効速度(データレート)は48Mb/sとなり、係数を0.8に設定していれば推定実効速度が38.4Mb/sとなる。この場合には、推定実効速度(38.4Mb/s)が必要速度(3.932MB)よりも大きいため、判定式1により通信の障害直前状態ではないと判定される。通信の障害直前状態でなければ、例えば超音波の診断が継続される。
これに対し、信号強度(感度)が−80dBmに低下すると、図5に例示する理論表から導出される最高実効速度(データレート)は36Mb/sとなり、係数を0.8に設定していれば推定実効速度が28.8Mb/sとなる。この場合、推定実効速度(28.8Mb/s)が必要速度(3.932MB)よりも小さくなるため、判定式1により通信の障害直前状態である判定される。
以上に説明した第1判定の他に、判定処理部68Aは、FE装置12とBE装置14との間における通信により転送される有効データの転送レートに基づいて通信が障害直前状態にあるか否かを判定する第2判定を行う。
第2判定において、判定処理部68Aは、超音波による診断中に、FE装置12から第2無線通信方式によりBE装置14に転送されて無線通信器76が受信した有効データの転送速度(転送レート)を算出し、算出した転送速度(転送レート)が超音波受信データの転送に十分に足りているか否かを判定する。
判定処理部68Aは、無線通信器76において受信される有効データの実測実効速度を時々刻々と算出する。そして、判定式2が成立しない場合に、通信の障害直前状態であると判定する。
(判定式2)実測実効速度>必要速度
判定式2における実測実効速度は、受信データサイズに移動平均実測フレームレートを乗じて算出される。受信データサイズは、無線通信器76が受信した1フレームの有効データのデータサイズであり、移動平均実測フレームレートは、無線通信器76が受信した有効データのフレームレートに関する移動平均値である。また、判定式2における必要速度は、第2無線通信方式により転送されるデータに必要な速度であり、例えば、判定式1における必要速度と同じ算出式(必要速度=1データサイズ×フレームレート)で算出される。
判定処理部68Aは、超音波診断システム10(図1)による超音波の診断中に時々刻々と第1判定および第2判定を実行する。そして、判定処理部68Aは、第1判定の判定結果と第2判定の判定結果の少なくとも一方に基づいて通信の障害直前状態を判定する。例えば、判定式1と判定式2の少なくとも一方が成立しない場合に通信の障害直前状態であると判定される。また、判定処理部68Aは、第1判定の判定結果と第2判定の判定結果の両方に基づいて通信の障害直前状態を総合判定してもよい。例えば、判定式1が成立せず且つ判定式2も成立しない場合に通信の障害直前状態であると判定されてもよい。
判定処理部68Aにより通信の障害直前状態であると判定されると、保全処理部68Bは、FE装置12(図2)とBE装置14(図3)をともに超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行させる保全処理を実行する。
図6は、保全処理の手順を示すフローチャートである。判定処理部68Aにより通信の障害直前状態であると判定されると、まず、BE装置14(図3)からFE装置12(図2)へ保全開始が指示される(S601)。例えば、BE装置14(CPUブロック68の保全処理部68B)が、第2無線通信方式を介して、FE装置12へ保全開始を指示する。なお、第1無線通信方式を利用して保全開始が指示されてもよい。
次に、FE装置12からBE装置14へ保全開始の了解が伝えられ、FE装置12が保全状態へ移行する(S602)。例えば、FE装置12が、第2無線通信方式を介して、BE装置14へ保全開始の了解を伝える。なお、第1無線通信方式を利用して保全開始の了解が伝えられてもよい。また、FE装置12は、例えば保全開始の指示を受け付けた時点の送受信条件データをメモリ等に記憶して維持し、超音波の送受信を停止させて保全状態へ移行する。
そして、FE装置12の保全開始を確認して、BE装置14が保全状態へ移行する(S603)。例えば、BE装置14は、保全開始を指示した時点の送受信条件データを外部メモリ80(図3)等に記憶して維持することにより保全状態へ移行する。保全状態において、BE装置14は、例えば送受信条件の変更操作を含むユーザ操作の入力を受け付けないロック状態となる、ロック状態では、例えば電源OFFの操作のみを受け付け可能となる。
超音波の送受信に係る送受信条件は、送信フォーカス、診断レンジ、パルス繰り返し周波数(PRF)などの多数の設定項目の組み合わせにより決定されるため、送受信条件の設定には膨大な量の設定データ(送受信条件データ)が必要とされる。図6を利用して説明した保全処理によれば、保全状態において、膨大な量の送受信条件データがBE装置14とFE装置12で互いに一致した状態で維持される。
なお、BE装置14は、保全状態において超音波の静止画像を表示する。例えば、保全状態に移行する時または直前に得られた超音波受信データに基づく超音波画像の静止画像(フリーズ画像)がタッチパネルモニタ78に表示される。また、BE装置14は、保全状態において、保全状態中における通信の状況を示す情報を提示する。例えば、保全状態中における推定実効速度(判定式1参照)や実測実効速度(判定式2参照)などがタッチパネルモニタ78に表示される。
さらに、通信の状況が改善された場合に、FE装置12とBE装置14を保全状態から通常の診断状態に自動復帰させてもよい。例えば、保全状態に移行した後に、判定式1と判定式2が一定時間に亘って成立した場合に、通信の障害直前状態が解消されたと判断して、FE装置12による超音波の送受信処理を再開させてBE装置14へ超音波受信データの転送を開始させてもよい。もちろん、ユーザからの復帰操作に応じてFE装置12とBE装置14を保全状態から通常の診断状態に復帰(マニュアル復帰)させてもよい。
図1の超音波診断システム10によれば、FE装置12とBE装置14の装置間における通信が障害直前状態と判定された場合に、FE装置12とBE装置14がともに、超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行するため、例えば、保全状態となった後に装置間に通信の障害が発生しても、装置間において共通の送受信条件を維持することができる。そのため、例えば、通信の復旧後に膨大な量の送受信条件データの設定をやり直す必要がなく、通信の復旧後に直ちに超音波診断を開始することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
10 超音波診断システム、12 フロントエンド(FE)装置、14 バックエンド(BE)装置、16 プローブ、68 CPUブロック。

Claims (6)

  1. 超音波の送受信を制御する第1装置と、
    前記第1装置との間で通信を行うことにより前記第1装置の動作を制御するとともに前記第1装置から得られる超音波の受信情報を処理する第2装置と、
    を有し、
    前記第2装置は、
    前記通信の状況を示すステータス情報に基づいて当該通信の障害直前状態を判定する判定手段と、
    前記障害直前状態と判定された場合に、前記第1装置と前記第2装置をともに、超音波の送受信に係る現状の送受信条件を保全する保全状態に移行させる保全手段と、
    を備える、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
  2. 請求項1に記載の超音波診断システムにおいて、
    前記第1装置は、前記保全状態において超音波の送受信を停止させ、
    前記第2装置は、前記保全状態において、前記受信情報に基づいて形成された超音波の静止画像を表示する、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
  3. 請求項1または2に記載の超音波診断システムにおいて、
    前記第2装置は、前記保全状態において、前記送受信条件の変更操作を含むユーザ操作の入力を受け付けないロック状態となる、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断システムにおいて、
    前記第2装置の判定手段は、前記第1装置との間における前記通信により転送される有効データの転送レートに基づいて当該通信が障害直前状態にあるか否かを判定する、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断システムにおいて、
    前記第2装置の判定手段は、前記第1装置との間における無線による前記通信の信号強度に基づいて当該通信が障害直前状態にあるか否かを判定する、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断システムにおいて、
    前記第2装置は、前記保全状態において当該保全状態中における前記通信の状況を示す情報を提示する、
    ことを特徴とする超音波診断システム。
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