JP2017099615A - 輸液ポンプおよび輸液ポンプの制御方法 - Google Patents

輸液ポンプおよび輸液ポンプの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加速度センサを用いることなく、輸液スタンドの移動に伴う点滴筒の揺れを、より簡易な方法で安価で精度よく検知する輸液ポンプを提供する。【解決手段】輸液ポンプ6は、点滴筒3を滴下する液滴を検知する滴落検知器7から液滴の滴下によって波形が変化する滴下検知信号を取得し、取得した滴下検知信号に基づいて液滴の体積の変化を検知することにより、加速度センサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、輸液ポンプおよび輸液ポンプの制御方法に関する。
栄養状態の改善および維持、並びに病態の治療等のため、患者の状態に応じた輸液を患者の静脈に挿入した注射針から投与する点滴が医療機関において広く行われている。
患者に点滴を行う場合、患者に投与する輸液の流量を監視および制御する輸液ポンプが用いられる。したがって、従来から輸液ポンプにおいて、患者に投与される輸液の流量をできるだけ正確に計測するための手法が提案されている。
例えば、特許文献1では、点滴筒を落下する液滴の加速度を加速度センサで計測し、加速度センサが出力する波形データの振幅から点滴筒を落下する液滴数を算出し、算出した液滴数と予め定められた液滴数との比較結果から、液滴数が正常か否か判定する手法が提案されている。
また、特許文献2では、チューブを流れる液滴の搬送を行うフィンガを駆動するモータの回転数を検知して輸液の流量を監視し、当該流量が予め設定された流量の範囲を超える場合に警報を発する手法が提案されている。
特開2015−125105号公報 特開平6−63135号公報
一方、病院等の医療機関において、点滴中の患者は、輸液が入った輸液バッグおよび輸液ポンプ等が装着された輸液スタンドと共に、例えば診察室或いはトイレ等へ移動することがある。この場合、輸液スタンドの移動および振動等によって、輸液バッグと輸液ポンプとの間に設けられた点滴筒を滴下する液滴が予め設定されている体積より小さい状態で滴下し易くなるため、点滴筒を滴下する液滴の滴下数が一時的に増加することがある。
しかし、点滴筒を滴下する液滴の滴下数が増加したとしても、輸液スタンドの移動に伴う点滴筒の揺れによって、液滴が点滴筒の点滴口から垂れ下がることができる最大の大きさになる前に滴下するため、点滴筒を滴下する各液滴の体積が予め設定されている体積より小さくなる。したがって、輸液スタンドと共に移動中の患者に投与される輸液の流量と、点滴筒が揺れていない状態で患者に投与される輸液の流量との差分は、差異がないとみなせる範囲内に収まる傾向にある。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、点滴中の患者が輸液スタンドと共に移動した場合、点滴筒を滴下する液滴の滴下数の増加を検知して、液滴の流量には変化がないにもかかわらず、輸液ポンプが警報を出力することになる。
輸液ポンプが警報を出力した場合、状況によっては患者の生命に関係する事項であるため、その都度看護師等の医療従事者が輸液ポンプの正常動作を確認する必要がある。また、一般に、輸液ポンプは警報の出力を行った場合、患者の安全確保の観点から輸液の搬送動作を停止するため、医療従事者は、輸液ポンプを操作して輸液の搬送動作を再開させる作業を行う必要があり、医療従事者の負担を増加させる一因となっている。
したがって、より簡易な方法で患者の移動等に伴う点滴筒の揺れを精度良く検知し、患者の移動に伴って誤って出力される警報を抑制することが好ましい。
点滴筒の揺れを検知するには、例えば特許文献1のように、点滴筒に加速度センサを取り付ける方法が考えられるが、点滴筒の揺れの検知に必要な構成部品が増加してしまい、コストが上昇するという問題が発生する。
本発明は、上記事実を考慮して成されたものであり、加速度センサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知する輸液ポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る輸液ポンプは、点滴筒を滴下する液滴を検知する検知器から前記液滴の滴下によって波形が変化する信号を取得し、取得した前記信号に基づいて前記液滴の体積の変化を検知する。このように、液滴の滴下によって波形が変化する信号から液滴の体積の変化を検知することにより、加速度センサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知することができる。
本発明に係る輸液ポンプは、前記液滴の体積の変化に基づいて前記液滴の流量を制御する第1の制御と、液体を搬送する搬送部における液体の搬送速度を制御して前記液滴の流量を制御する第2の制御を行う制御部を更に備え、前記検知部は、前記液滴の体積の変化に基づいて前記点滴筒の揺れを検知し、前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知された場合、前記制御部は、前記液滴の流量の制御を前記第1の制御から前記第2の制御に切り替える制御を行うことができる。
本発明に係る検知部は、前記信号を微分した波形の振幅または前記信号から得られる所定期間における前記液滴の滴下数によって、前記液滴の体積の変化を検知することができる。
本発明に係る検知部は、前記信号を微分した波形の振幅によって前記液滴の体積の変化を検知する際、前記信号を微分した波形の振幅が閾値より大きい場合に前記点滴筒が揺れていると検知し、所定期間における前記信号から得られる前記液滴の滴下数によって前記液滴の体積の変化を検知する際、静止している前記点滴筒での第1の所定期間における前記液滴の滴下数と、前記信号から得られる第2の所定期間における前記液滴の滴下数との割合が予め定めた範囲を超える場合に前記点滴筒が揺れていると検知することができる。これによって、加速度センサ等の点滴筒の揺れを直接計測するセンサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知することができる。
本発明に係る制御部は、前記第2の制御において、前記搬送部における液体の搬送速度を、前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知される前の搬送速度となるように制御することができる。これによって、点滴筒の揺れを検知した場合であっても、輸液の流量を予め定めた流量に維持することができる。
本発明に係る制御部は、前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知されなくなった場合、前記液滴の流量の制御を前記第2の制御から前記第1の制御に切り替える制御を行うことができる。これによって、第2の制御による制御期間が制限されるため、専用のチューブを用いることなく第2の制御を実行することができる。
本発明に係る輸液ポンプは、前記点滴筒の揺れに伴う警報を出力する出力部を更に備え、前記制御部は、前記第2の制御の実行期間は前記警報を出力しないように前記出力部を制御することができる。これによって、第2の制御の実行期間における点滴筒の揺れに伴う誤警報の出力を抑制することができる。
本発明に係る輸液ポンプの制御方法は、点滴筒を滴下する液滴を検知する検知器から前記液滴の滴下によって波形が変化する信号を取得し、取得した前記信号に基づいて前記液滴の体積の変化を検知する。このように、液滴の滴下によって波形が変化する信号から液滴の体積の変化を検知することにより、加速度センサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知することができる。
本発明に係る輸液ポンプによれば、加速度センサを用いることなく、点滴筒の揺れを検知する輸液ポンプを提供することができる、という効果がある。
装置群の概略構成の一例を示す図である。 点滴筒および滴落検知器の一例を示す図である。 滴落検知器で液滴を検知する仕組みを説明するための模式図である。 輸液ポンプにおける輸液の搬送機構の概略構成の一例を示す図である。 フィンガ部の構造の一例を示す図である。 フィンガ部における輸液の搬送原理を説明するための模式図である。 輸液ポンプの機能ブロック図の一例を示す図である。 輸液ポンプをコンピュータで実現する場合の構成の一例を示す図である。 第1実施形態に係る制御プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 点滴筒が静止状態にある場合の滴下検知信号および滴下検知信号の微分波形の一例である。 点滴筒が揺れている場合の滴下検知信号および滴下検知信号の微分波形の一例である。 滴下検知信号の波形の変動を説明するための模式図である。 歩行時に、第1実施形態に係る輸液ポンプで計測された滴下検知信号の微分波形の一例を示す図である。 第2実施形態に係る制御プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 歩行時に、第2実施形態に係る輸液ポンプで計測された滴下検知信号から算出した適合率の変化の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では、同じ働きを担う構成要素または処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る輸液ポンプ6を含む、輸液を実施する際に用いられる装置群1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、装置群1は、例えば輸液バッグ2、点滴筒3およびチューブ4を有する輸液セット5、輸液ポンプ6、滴落検知器7、通信線8、並びに輸液スタンド9を含む。
輸液バッグ2には、患者の症状に応じて患者に投与される輸液が入っており、輸液バッグ2のチューブ接続口2Aに輸液セット5のチューブ4の一端が取り付けられる。また、チューブ4は輸液ポンプ6内部を通過するように輸液ポンプ6に取り付けられ、輸液ポンプ6による輸液の搬送動作によって、輸液バッグ2の輸液がチューブ4に搬送される。
一方、輸液バッグ2に接続していないチューブ4の他方の一端には、図示しない注射針が取り付けられ、図示しない注射針が患者の静脈等に差し込まれることで、チューブ4内の輸液が患者の体内に投与される。
輸液バッグ2と輸液ポンプ6を接続するチューブ4には点滴筒3が設けられ、点滴筒3には、点滴筒3を滴下する液滴を検知する滴落検知器7が取り付けられている。滴落検知器7で検知した情報は電気信号に変換され、通信線8によって輸液ポンプ6に出力される。
また、輸液バッグ2は輸液スタンド9の上端の図示しないフックに吊り下げられ、輸液スタンド9の取り付け台9Aには輸液ポンプ6が設置される。そして、輸液スタンド9の図示しない床接地部分には、輸液スタンド9が移動可能となるように車輪が設けられており、患者は点滴をしたまま輸液スタンド9を引いて装置群1と移動することができる。
図2は、点滴筒3および点滴筒3に取り付けられた滴落検知器7の一例を詳細に示した図である。
点滴筒3は輸液の一時的な貯留部であり、点滴筒3の上方にはチューブ4が接続された点滴口31が存在する。点滴口31を通過する輸液は、表面張力の影響によってその形状を液滴に変え、液滴が1滴ずつ滴下することで、点滴筒3の下方に輸液が貯留される。なお、点滴筒3は、点滴口31から滴下する液滴および点滴筒3に貯留される輸液の量が目視できる程度に透明な素材で形成されている。
滴落検知器7は、その中央部に点滴筒3を取り付けるための取り付け孔を備える。滴落検知器7は、取り付け孔に取り付けられた点滴筒3を通過するように照射された赤外線71の受光量の変化に基づいて、点滴口31から滴下する液滴を検知し、赤外線71の受光量の変化を示す滴下検知信号を通信線8によって輸液ポンプ6に出力する。
図3は、滴落検知器7によって液滴を検知する仕組みを説明するための図である。
滴落検知器7は、例えば液滴の滴下方向と直交する方向に沿った一方の端部に赤外線71を照射する赤外線LED72を備え、かつ、他方の端部に赤外線LED72から照射された赤外線71を受光するフォトトランジスタ73を備える。
滴落検知器7は、液滴が赤外線71を通過した場合に、フォトトランジスタ73で受光される赤外線71の受信強度が変化することを利用して、フォトトランジスタ73で受光した赤外線71の受信強度を電気信号に変換し、滴下検知信号として輸液ポンプ6に出力する。
次に、輸液ポンプ6における輸液の搬送動作について説明する。
図4は、輸液ポンプ6の内部に含まれる輸液の搬送機構の概略構成例を示す図である。
図4に示すように、輸液ポンプ6は、輸液の搬送機構の駆動源となるモータ61、モータ61の回転に伴って回転する駆動ギア62、駆動ギア62と嵌合し、単位時間あたりの駆動ギア62の回転数に応じて予め定めたギア比に基づき回転数を可変する変速ギア63、チューブ4を挟み込み、変速ギア63の回転に伴って駆動するフィンガによってチューブ4内の輸液を搬送するフィンガ部64を含む。また、輸液ポンプ6は、磁界の変化を検知するホールセンサ66を含む。ホールセンサ66は、変速ギア63に取り付けられて、変速ギア63の回転と共に回転する磁石65による磁界の変化から、変速ギア63の回転を検知し、変速ギア63が1回転する毎に回転信号を端子TP1に出力する。端子TP1は、例えば後述する輸液ポンプ6の検知部および制御部に接続され、ホールセンサ66の回転信号および予め定められた駆動ギア62と変速ギア63のギア比に基づいて、モータ61の回転数を検知することができる。
図5は、図4に示すフィンガ部64の内部構造の一例を示す図である。フィンガ部64は、変速ギア63と共に回転するシャフト70に取り付けられた略楕円形状をした複数のカム67、回転する各々のカム67による押圧度合いに応じて水平方向に移動する複数のフィンガ68、および力が加えられても移動しないように輸液ポンプ6内部に固定された加圧板69を含む。
シャフト70は、各々のカム67の重心点と異なる箇所に取り付けられ、かつ、各々のカム67は、隣り合うカム67と長軸の方向が異なるようにシャフト70に取り付けられる。したがって、変速ギア63の回転に伴って各々のカム67がシャフト70を中心に偏心回転を行うことで、図5に示すように輸液の搬送方向に沿って配置された複数のフィンガ68が上方から下方に向かって水平方向に順次往復移動する波状運動(蠕動運動という場合もある)を行う。なお、ここで水平方向とは、輸液の搬送方向に対して直交する方向をいう。
チューブ4は、フィンガ68と加圧板69によって形成される間隙を通るように配置されているため、チューブ4がフィンガ68によって上方から下方に向かって順次押下され、チューブ4内の輸液が輸液バッグ2から患者に向かって搬送される。
なお、各々のフィンガ68には、例えばバネ等の弾性体が接続され、カム67によって水平方向に押下されていない場合には、予め定めた位置に復帰するようになっている。したがって、この場合にはフィンガ68によるチューブ4の押下も停止される。
図6は、チューブ4内の輸液が搬送される様子を示した図である。
図6(A)は、例えば複数のフィンガ68のうち、最も上方に位置するフィンガ68Aから最も下方に位置するフィンガ68Bによってチューブ4が加圧板69に押下されている状態を示している。図6(A)の状態から、フィンガ68の波状運動によってチューブ4の押下位置が図6(B)→図6(C)→図6(D)のように上方から下方に順次移動することで、図6(A)においてフィンガ68Aとフィンガ68Bによって距離Lに亘り堰き止められていたチューブ4内の液滴が患者側に搬送される。
輸液ポンプ6によってチューブ4内の液滴が患者側に搬送されると、新たな輸液が輸液バッグ2から供給されて点滴筒3の点滴口31から液滴となって滴下し、点滴筒3に貯留される。
このように、装置群1では、輸液ポンプ6での輸液の搬送動作によって輸液を患者に投与している。すなわち、輸液ポンプ6によって、患者に投与する輸液の流量が医師等によって指示された流量に近づくように制御している。
こうした輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式には、大きく分けて滴下制御方式と容積制御方式の2種類が存在する。
滴下制御方式は、滴落検知器7で点滴筒3を滴下する液滴の滴下数を計測することにより、チューブ4を流れる輸液の流量を算出し、算出した輸液の流量が輸液ポンプ6に予め設定されている流量に近づくように輸液ポンプ6のモータ61の単位時間あたりの回転数を制御することで、フィンガ68の波状運動による輸液の搬送速度、すなわち輸液の流量を制御する制御方式である。
輸液セット5は、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)T3211:2011によって、点滴筒3での液滴の滴下数が20滴で1mlとなるタイプ(20滴/mlの輸液セット5)と、60滴で1mlになるタイプ(60滴/mlの輸液セット5)の2通りの規格が規定されている。
したがって、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数に基づいて、チューブ4を流れる輸液の流量を算出することができる。
一方、容積制御方式は、容積制御用として指定された専用の輸液セット5を用いて、チューブ4に対するフィンガ68の波状運動の速度を制御することで、輸液の流量を制御する制御方式である。チューブ4の内径と、フィンガ68によって押下され、輸液が堰き止められる位置間の距離(図6(A)の距離L)は予め既知であることから、モータ61が1回転することで搬送される輸液の容量も輸液セット5および輸液ポンプ6の仕様により予め規定される。したがって、輸液ポンプ6のモータ61の単位時間あたりの回転数を制御することで輸液の流量を制御することができる。
輸液の流量の制御方式として容積制御方式を用いた場合、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数を計測することなく輸液の流量を制御することができるため、滴落検知器7は不要となる。
しかしながら、前述したように容積制御方式は、複数のフィンガ68の波状運動によって、フィンガ68がチューブ4を押下した際にチューブ4内に堰き止められる輸液の容量が一定であることを利用した輸液の流量の制御方式であるため、塑性変形し難い専用の輸液セット5を用いたとしても、チューブ4がフィンガ68で繰り返し押下され続けるとチューブ4の復元力が低下して、チューブ4の断面が変形することがある。このような場合には、フィンガ68で堰き止められる輸液の容量が変化するため、モータ61の単位時間あたりの回転数に基づいて算出した輸液の流量と、実際に患者に投与される輸液の流量との間に誤差が生じ、適正な流量で患者に輸液を投与できない状況が発生することがある。
また、輸液の流量の制御方式として滴下制御方式を用いた場合、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数から輸液の流量を制御できるため、特にチューブ4の塑性特性や内径の精度等にこだわる必要がない。したがって、滴下制御方式では、市販されている何れの輸液セット5も使用することができる。
しかしながら、前述したように、輸液セット5における液滴の滴下数と体積との関係はJISによって規定されているが、実際には、例えば輸液の表面張力及び密度等の影響により、点滴筒3を滴下する液滴の体積が変化することがある。このような場合には、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数に基づいて算出した輸液の流量と、実際に患者に投与される輸液の流量との間に誤差が生じるため、適正な流量で患者に輸液を投与できない状況が発生することがある。
また、点滴中の患者が滴下制御方式を用いた輸液ポンプ6を含む装置群1と共に移動する場合、前述したように、患者に投与される輸液の流量に変化は見られないにもかかわらず、移動の際の点滴筒3の揺れよって点滴筒3を滴下する液滴の滴下数が一時的に増加するため、輸液ポンプ6が誤って警報を通知する場合がある。
以降では、加速度センサを用いることなく点滴筒3の揺れを検知し、揺れを検知している間は滴下制御を停止する輸液ポンプ6の一例について詳細に説明する。
図7は、第1実施形態に係る輸液ポンプ6の各機能部の一例を示した図である。
輸液ポンプ6は、検知部10、切り替え部20、制御部30、搬送部40および出力部50を含む。
検知部10は、滴落検知器7、切り替え部20および制御部30と接続され、滴落検知器7から滴下検知信号を受け付けると、当該滴下検知信号を制御部30に出力する。
また、検知部10は、滴下検知信号の微分波形を算出する。検知部10は、算出した滴下検知信号の微分波形に基づいて、点滴筒3を滴下した液滴の体積の変化を検知すると共に、液滴の体積の変化に基づいて、点滴筒3における揺れの有無を検知する。検知部10は、点滴筒3の揺れを検知した場合、揺れ検知信号を切り替え部20に出力する。
切り替え部20は、検知部10および制御部30と接続され、揺れ検知信号を検知部10から受け付けると、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える指示(以降、制御切り替え信号という)を制御部30に出力する。なお、歩行モードの制御内容については、後ほど説明する。
制御部30は、検知部10、切り替え部20、搬送部40および出力部50と接続され、滴下検知信号を検知部10から受け付けると、単位時間あたりの液滴の滴下数からチューブ4を流れる輸液の流量を算出し、当該輸液の流量を予め設定された流量に近づけるためのモータ61の単位時間あたりの回転数を含む指示(以降、回転数指示という)を、搬送部40に出力する。この際、制御部30は、算出した輸液の流量と予め設定された流量との差分が予め許容されている値を超えた場合、異常を通知する指示(以降、異常通知指示という)を出力部50に出力する。
一方、制御部30は、滴下制御方式を歩行モードに切り替える制御切り替え信号を切り替え部20から受け付けると、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える。
搬送部40は、制御部30と接続され、回転数指示を制御部30から受け付けると、モータ61の単位時間あたりの回転数を回転数指示で指示された回転数に設定し、モータ61の回転に伴うフィンガ68の波状運動によって、チューブ4内の輸液を搬送する。
出力部50は、制御部30と接続され、異常通知指示を制御部30から受け付けると、警告音等を出力する。
また、図7に示した輸液ポンプ6の各機能部は、図8に示すように、例えばコンピュータ60で実現可能である。
コンピュータ60は、CPU(Central Processing Unit)60A、ROM(Read Only Memory)60B、RAM(Random Access Memory)60Cおよび入出力インターフェース(I/O:Input/Output)60Dが、バス60Eを介して各々接続される。I/O60Dには、滴落検知器7、モータ61、アラーム74および入力機器75が接続される。
アラーム74は、CPU60Aの制御によって、例えば警告音を出力する。入力機器75は、例えばスイッチ、ボタンおよびタッチパネル等の入力デバイスを含み、患者或いは医療従事者による指示を受け付け、受け付けた指示内容をCPU60Aに通知する。なお、I/O60Dに接続される装置は一例であり、例えば輸液ポンプ6の動作状況等を表示する表示装置をI/O60Dに接続してもよい。
コンピュータ60に実行させる輸液ポンプ6の制御プログラムは、例えばROM60Bに予め記憶され、これをCPU60Aが読み込んで実行する。なお、制御プログラムは、CD−ROM等の記録媒体によって提供するようにしてもよい。
図9は、輸液ポンプ6のCPU60Aによって実行される制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図9に示すフローチャートは、例えば、入力機器75を介して輸液の搬送を開始する指示をCPU60Aが受け付けた場合に実行される。
まず、ステップS10において、制御部30は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を滴下制御方式に設定し、搬送部40のモータ61を駆動し、輸液の搬送を開始する。この場合、制御部30は、ホールセンサ66の回転信号および予め定められた駆動ギア62と変速ギア63のギア比に基づいて、モータ61を回転し始めてからの回転数を計測する。以降、輸液ポンプ6は、制御方式の変更を指示されるまで、滴下制御方式によって輸液の流量の制御を行う。
ステップS20において、検知部10は、輸液の搬送に伴い点滴筒3の点滴口31を滴下する液滴の滴下検知信号を滴落検知器7から取得する。検知部10は、取得した滴下検知信号を表すデータを、例えば時系列順にRAM60Cの予め定めた領域に記憶する。なお、滴下検知信号を表すデータを、単に「滴下検知信号」という場合がある。
ステップS30において、制御部30は、モータ61の回転数が規定回転数R1に達したか否かを判定し、モータ61の回転数が規定回転数R1に達していない場合には、ステップS20に戻る。そして、モータ61の回転数が規定回転数R1に達するまで、液滴の滴下検知信号を滴落検知器7から取得して、RAM60Cの予め定めた領域に記憶する。
一方、ステップS30の判定処理が肯定判定の場合、すなわち、モータ61の回転数が規定回転数R1に達した場合には、ステップS40に移行する。
ステップS40において、検知部10は、ステップS20で記憶した滴下検知信号をRAM60Cから読み出し、読み出した滴下検知信号毎に、滴下検知信号を時間軸に沿って微分した微分データを生成する。
図10は、患者が輸液スタンド9を動かしていない場合、すなわち、点滴筒3が揺れていない場合に観測される滴下検知信号および当該滴下検知信号の微分データの波形の一例を示している。
波形86は滴下検知信号の波形を表し、波形87は滴下検知信号の微分データの波形を表している。ここで、図10に示すグラフの横軸は時刻を表し、“-100〜100”の範囲で示されるグラフの左側の縦軸は滴下検知信号の波形、すなわち、波形86の電圧値を表している。また、“-80〜240”の範囲で示されるグラフの右側の縦軸は滴下検知信号の微分データの波形、すなわち、波形87の電圧値を表している。
一方、図11は、患者が輸液スタンド9と共に移動して、点滴筒3が揺れている場合に観測される滴下検知信号および当該滴下検知信号の微分データの波形の一例を示している。
波形88は滴下検知信号の波形を表し、波形89は滴下検知信号の微分データの波形を表している。ここで、図10と同様に、図11に示すグラフの横軸は時刻を表し、“-100〜100”の範囲で示されるグラフの左側の縦軸は波形88の電圧値を表している。また、“-80〜240”の範囲で示されるグラフの右側の縦軸は波形89の電圧値を表している。
例えば図10の波形86に示すように、滴下検知信号は期間T1では所定の電圧値を示し、時刻t1を境にして減少し始める。その後、時刻t2を経過すると電圧値が上昇し始め、時刻t3で最大値となる。そして、時刻t3を経過すると再び電圧値が減少し始め、時刻t4を境にして今度は上昇に転じ、期間T6で再び所定の電圧値を示す傾向にある。こうした滴下検知信号の波形の特徴は、図11に示した波形88にも見られる。
このように滴下検知信号の波形が変化する理由について、図12を用いて説明する。
液滴が赤外線71を通過していない状態では、赤外線LED72からフォトトランジスタ73に向かって所定の強度を有する赤外線71が照射されるため、フォトトランジスタ73における赤外線71の受信強度は略一定となる(図12(A)参照)。したがって、期間T1において滴下検知信号は所定の電圧値を示す。
液滴が滴下して、液滴の下方が赤外線71に到達すると、液滴によって赤外線71が屈折し、赤外線LED72から照射される赤外線71の一部がフォトトランジスタ73に照射されなくなる(図12(B)参照)。したがって、期間T2において滴下検知信号の電圧値は所定の電圧値から減少していく。
更に液滴が滴下して、液滴の中心部が赤外線71の照射位置に近づくと、今度は、屈折する赤外線71の量が減少し始め、赤外線71がフォトトランジスタ73に向かって直進して照射されるようになる(図12(C)参照)。凸レンズの中心を通る光は屈折せずに直進する性質があり、この場合、液滴が凸レンズとして機能しているためである。したがって、期間T3において滴下検知信号の電圧値は上昇する。
なお、赤外線71が液滴の中心部を照射する場合、液滴のレンズ効果によってフォトトランジスタ73における赤外線71の受信強度が、液滴を通過せずに赤外線71が照射されている図12(A)の状態より大きくなる傾向にある。したがって、赤外線71が液滴の中心部を照射している時刻t3での滴下検知信号の電圧値は、期間T1における所定の電圧値より大きくなることがある。
更に液滴が滴下して、赤外線71の照射位置が液滴の中心部から液滴の上方に移動すると、再び液滴によって赤外線71が屈折し、赤外線LED72から照射される赤外線71の一部がフォトトランジスタ73に照射されなくなる(図12(D)参照)。したがって、期間T4において滴下検知信号の電圧値は減少していく。
そして、液滴が赤外線71の照射位置を通過し終わる過程において、屈折する赤外線71の量が減少し始め、代わりにフォトトランジスタ73に向かって直進する赤外線71の量が増加するため、期間T5において滴下検知信号の電圧値が上昇する。その後、液滴が赤外線71の照射範囲を通過し終わると、図12(A)と同様に、赤外線71は屈折せず、フォトトランジスタ73に向かって直進して照射されるようになるため、フォトトランジスタ73における赤外線71の受信強度が略一定となり、期間T6において滴下検知信号が所定の電圧値を示す。その結果、滴下検知信号の波形86、88は、図10および図11に示すような形状となる。
一方、点滴筒3が揺れていない場合における滴下検知信号の波形86を時刻に沿って微分したものが図10に示す波形87であり、点滴筒3が揺れている場合における滴下検知信号の波形88を時刻に沿って微分したものが図11に示す波形89である。ここで、波形87、89の時刻t3における振幅に着目すれば、波形87より波形89の方が大きいことがわかる。
これは、液滴が点滴口31から滴下する際、点滴筒3が揺れることで液滴に初速度が付加されるため、液滴が自由落下した場合の落下速度より落下速度が速くなるためである。
すなわち、滴下検知信号の微分波形の振幅に基づいて、点滴筒3が揺れているか否かを判定することができる。
したがって、検知部10は、滴下検知信号の微分波形の振幅を算出する。ここで、滴下検知信号の微分波形の振幅とは、滴下検知信号の微分波形の変動の大きさを定量的に表す値をいい、滴下検知信号の微分波形におけるピーク値に限定されない。例えば、滴下検知信号の微分波形のうち、最も低い電圧値から最も高い電圧値までの変動の大きさを表すピークトゥーピーク値、或いは、滴下検知信号の微分波形が変動する期間T2〜T5における電圧値の絶対値の平均等を振幅として用いてもよい。
また、振幅の算出対象となる滴下検知信号についても特に制限はなく、例えば検知部10で直近に取得した滴下検知信号の微分波形から振幅を算出する以外に、モータ61がM1回転(M1は正の整数)する間に検知部10で取得した各々の滴下検知信号の微分波形に対して振幅を算出し、算出した振幅を平均化して最終的な振幅を求めるようにしてもよい。
ステップS50において、検知部10は、ステップS40で算出した滴下検知信号の微分波形の振幅を取得し、当該微分波形の振幅が予め定めた閾値A1より大きいか否かを判定する。そして、微分波形の振幅が閾値A1より大きい場合には、検知部10は点滴筒3が揺れていると判定し、揺れ検知信号を切り替え部20に出力してステップS60に移行する。一方、微分波形の振幅が閾値A1以下の場合には、検知部10は、点滴筒3が揺れていないと判定して後述するステップS60〜S110の処理を実行せずにステップS120に移行する。
なお、微分波形の振幅と比較する閾値A1は、ステップS40で適用する振幅の算出方法に基づいて、点滴筒3を実際に揺らした際に得られる滴下検知信号の実験データ、または点滴筒3の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め設定される値である。
点滴筒3が揺れていると判定された場合、前述したように、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数が一時的に増加することがあるため、滴下制御方式では、実際には輸液の流量に変化がないにもかかわらず、輸液の流量が規定値より増加したと誤判定し、輸液の流量を減少させるように搬送部40のモータ61の単位時間あたりの回転数を制御する場合がある。そのため、輸液の流量が予め設定された流量より少なくなってしまうことがある。また、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数の増加に伴い、輸液ポンプ6が警報を通知してしまうことがある。
したがって、ステップS60において、検知部10から揺れ検知信号を受信した切り替え部20は、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える制御切り替え信号を、制御部30に出力する。
そして、切り替え部20から制御切り替え信号を受信した制御部30は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を、滴下制御方式から歩行モードに切り替える設定を行う。
歩行モードでは、制御部30は、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数にかかわらず、輸液の流量の制御方式を切り替えようとした直前のモータ61の単位時間あたりの回転数で、モータ61を回転し続けるように搬送部40を制御する。
また、歩行モードでは、制御部30は、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数に基づいて輸液の流量を算出しないようにする。したがって、歩行モードの期間中、制御部30は、算出した輸液の流量と予め設定された流量との差分が予め許容されている値を超えた場合であっても、異常通知指示を出力部50に出力しないようにする。
更に、制御部30は、歩行モードに設定してからのモータ61の回転数を計測する。
ステップS70において、検知部10は、ステップS20と同様に、輸液の搬送に伴い点滴筒3の点滴口31を滴下する液滴の滴下検知信号を滴落検知器7から取得して、取得した滴下検知信号を時系列順にRAM60Cの予め定めた領域に記憶する。
ステップS80において、制御部30は、ステップS60で歩行モードに設定してからのモータ61の回転数が規定回転数R2に達したか否かを判定し、モータ61の回転数が規定回転数R2に達していない場合には、ステップS70に移行する。そして、モータ61の回転数が規定回転数R2に達するまで、ステップS70で液滴の滴下検知信号を滴落検知器7から取得して、RAM60Cの予め定めた領域に記憶する。
なお、規定回転数R2の値に制限はないが、点滴筒3の揺れが収まると考えられる程度の時間に対応した値に設定することが好ましい。
一方、ステップS80の判定処理が肯定判定の場合、すなわち、モータ61の回転数が規定回転数R2に達した場合には、ステップS90に移行する。
ステップS90において、検知部10はステップS40と同様に、ステップS70で記憶した滴下検知信号をRAM60Cから読み出し、読み出した滴下検知信号毎に、滴下検知信号の微分データを生成する。そして、検知部10は、生成した微分データに基づいた滴下検知信号の微分波形の振幅を算出する。
ステップS100において、検知部10は、ステップS90で算出した滴下検知信号の微分波形の振幅が閾値A1より大きいか否かを判定する。そして、微分波形の振幅が閾値A1より大きい場合には、検知部10は、まだ点滴筒3が揺れていると判定してステップS70に移行する。
なお、ステップS70に移行する際、計測していたモータ61の回転数を0に設定する。したがって、点滴筒3が揺れていると判定された場合には、再びモータ61の回転数が規定回転数R2に達した際に、滴下検知信号の微分波形の振幅と閾値A1とを比較して、点滴筒3が揺れているか否か判定することになる。
一方、滴下検知信号の微分波形の振幅が閾値A1以下の場合には、検知部10は点滴筒3の揺れが収まり静止状態にあると判定して、ステップS110に移行する。この際、検知部10は、点滴筒3の揺れが収まったことを通知する信号を切り替え部20に出力する。
点滴筒3が静止状態にあると判定される場合には、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数が規定範囲内に戻ったものとみなすことができるため、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式に戻しても、点滴筒3の揺れによって輸液の流量が規定値より増加したと誤判定する可能性が低くなる。
したがって、ステップS110において、切り替え部20は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を歩行モードから滴下制御方式に切り替える制御切り替え信号を、制御部30に出力する。当該制御切り替え信号を受信した制御部30は、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式に設定する。また、制御部30はモータ61の回転数を“0”に設定する。
ステップS120において、制御部30は、例えば入力機器75から終了指示を受け付けたか否かを判定し、終了指示を受け付けていない場合には、ステップS20に移行する。そして、ステップS20〜S120の各処理を繰り返し実行することで、輸液の流量を制御する。一方、終了指示を受け付けた場合には、図9に示した制御プログラムを終了する。
図13は、実験者が歩行する際、歩行に伴って装置群1を輸液スタンド9と共に移動させた場合に記録された滴下検知信号の微分波形の一例である。図13に示すように、実験者が歩行を開始した場合、静止時に比べて滴下検知信号の微分波形の振幅が大きくなる傾向が認められる。
図13の滴下検知信号の微分波形を用いて、実験者の歩行時(すなわち、点滴筒3の揺れを検知した場合)においても輸液の流量の制御方式を歩行モードに切り替えることなく滴下制御方式のままとする、従来の輸液ポンプでの流量異常検知による警報通知回数を解析したところ、109回であった。
一方、図13の滴下検知信号の微分波形を用いて、輸液ポンプ6で図9に示した制御プログラムを実行した場合の流量異常検知による輸液ポンプ6の警報通知回数を解析したところ、静止時に4回の警報が通知されるにとどまった。すなわち、第1実施形態に係る輸液ポンプ6は、図13の滴下検知信号の微分波形に対して、流量異常検知による警報回数を約96.3%低減した。
また、輸液ポンプ6で搬送する輸液の流量および輸液セット5を変更して同様の比較実験を繰り返し行った結果、流量異常検知による警報回数が平均して約95%以上低減する傾向が認められた。
このように第1実施形態に係る輸液ポンプ6によれば、滴落検知器7から取得した滴下検知信号の微分波形の振幅を算出し、当該振幅が閾値A1より大きい場合に点滴筒3が揺れていると判定して、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える。そして、歩行モードにおいて滴落検知器7から取得した滴下検知信号の微分波形の振幅が閾値A1以下になった場合に点滴筒3の揺れが収まったと判定し、輸液の流量の制御方式を歩行モードから滴下制御方式に切り替える。
したがって、点滴筒3に加速度センサを取り付けることなく、点滴筒3の揺れを検知することができる。
また、点滴筒3が揺れていると判定された期間は、輸液の流量の制御方式が歩行モードに設定されることから、歩行モードにおける輸液の流量を歩行モードに切り替えようとした直前の流量に維持することができる。
したがって、滴下制御方式のように、点滴筒3が揺れている場合に、液滴の流量には変化がないにもかかわらず輸液の流量が規定値より増加したと誤判定し、輸液の流量を減少させることがない。また、点滴筒3の揺れによって発生する、液滴の滴下数の一時的な増加に伴う誤警報の通知を抑制することができる。
更に、点滴筒3が揺れている期間はモータ61の単位時間あたりの回転数を固定して輸液の流量を制御し、点滴筒3が揺れていない期間は、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数に応じて輸液の流量を制御するため、容積制御方式のように専用の輸液セット5を用いることなく、輸液の流量を制御することができる。
なお、点滴筒3が揺れている場合、点滴筒3の点滴口31から滴下する液滴の体積は、点滴筒3が揺れていない場合より小さくなるため、換言すれば、輸液ポンプ6は、滴下検知信号の微分波形の振幅に基づいて液滴の体積の変化を検知しているということができる。
また、第1実施形態に係る輸液ポンプ6では、滴落検知器7から取得した滴下検知信号の微分波形の振幅から点滴筒3の揺れを検知する例を説明した。しかし、点滴筒3の揺れを検知する方法はこれに限られない。
前述したように、点滴筒3が揺れると液滴に初速度が付加されるため、この場合の液滴の落下速度は、液滴が自由落下した場合の落下速度より速くなる。したがって、図11に示した波形89のように、点滴筒3が揺れている場合には、滴下検知信号の微分波形が変動する時刻t1〜時刻t5の長さが、点滴筒3が揺れていない場合の滴下検知信号の微分波形(図10の波形87参照)の時刻t1〜時刻t5の長さより短くなることがある。したがって、滴下検知信号の微分波形の変動期間の長さに基づいて、点滴筒3の揺れを検知することも可能であると考えられる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、滴下検知信号の微分波形における振幅の変動に基づいて、点滴筒3の揺れを検知する輸液ポンプ6の例を示した。第2実施形態では、所定期間における液滴の滴下数の変動に基づいて、点滴筒3の揺れを検知する輸液ポンプ6の例について説明する。
第1実施形態で説明したように、点滴中の患者が輸液ポンプ6を含む装置群1と共に移動する場合、移動の際の点滴筒3の揺れよって点滴筒3を滴下する液滴の滴下数が一時的に増加する。
一方、点滴筒3の揺れが大きくなるにつれて、液滴が液滴の滴下方向に対して角度を持って点滴筒3を滴下するようになるため、場合によっては、点滴口31を滴下する液滴が、赤外線LED72による赤外線71の照射範囲を通過しない状況が発生することがある。したがって、点滴筒3が揺れている場合、点滴筒3を滴下する実際の液滴の滴下数は一時的に増加しているにも関わらず、滴落検知器7で検知される液滴の滴下数は一時的に減少するという状況が発生することがある。
したがって、例えば、静止状態にある点滴筒3の所定期間における液滴の滴下数(基準滴下数)に対する、滴落検知器7で検知された所定期間における液滴の滴下数の割合を適合率として算出し、当該適合率が予め定めた範囲を超える場合に、輸液ポンプ6は点滴筒3が揺れていると判定することができる。
以降では、適合率を用いて点滴筒3の揺れを検知する輸液ポンプ6について説明する。なお、第2実施形態に係る輸液ポンプ6の各機能部の構成は、第1実施形態に係る輸液ポンプ6の各機能部の構成を示した図7と同様であり、図8に示したコンピュータ60で実現可能である。
図14は、輸液ポンプ6のCPU60Aによって実行される、第2実施形態に係る制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図14に示すフローチャートは、例えば、入力機器75を介して輸液の搬送を開始する指示をCPU60Aが受け付けた場合に実行される。
まず、ステップS200において、制御部30は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を滴下制御方式に設定し、搬送部40のモータ61を、予め設定された輸液の流量に応じた角速度(初期角速度)で駆動し、輸液の搬送を開始する。この場合、制御部30は、ホールセンサ66の回転信号および予め定められた駆動ギア62と変速ギア63のギア比に基づいて、モータ61を回転し始めてからのモータ61の回転数を計測する。以降、輸液ポンプ6は、制御方式の変更を指示されるまで、滴下制御方式による輸液の流量の制御を実行する。また、制御部30は、例えばRAM60Cの予め定めた領域に記憶される判定カウンタVの値を“0”に初期化する。なお、判定カウンタVは、処理の繰り返し数を管理するためのカウンタである。
ステップS210において、制御部30は、例えばRAM60Cの予め定めた領域に予め記憶されている、予め設定された輸液の流量に応じた基準滴下数を取得する。この場合、基準滴下数に対応する所定期間は、例えばモータ61が初期角速度で規定回転数M2だけ回転する期間となる。
なお、規定回転数M2は、20滴/mlの輸液セット5と、60滴/mlの輸液セット5とで、異なる値に設定してもよい。
基準滴下数は、装置群1の実験データ、または装置群1の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により、予め設定された輸液の流量に応じて予め算出される値である。なお、ステップS210において、制御部30は、RAM60Cに予め記憶された基準滴下数を取得する代わりに、滴下検知信号の波形の変化に基づいて基準滴下数を実際に計測するようにしてもよい。以降、モータ61が規定回転数M2だけ回転することを、「1セット」という場合がある。
ステップS220において、検知部10は、滴下検知信号の波形の変化に基づいてモータ61の1セット中における液滴の滴下数(測定滴下数)を計測する。この場合、測定滴下数を計測する期間(測定滴下数に対応する所定期間)は、例えばステップS220の実行中におけるモータ61の角速度で、モータ61が規定回転数M2だけ回転する期間となる。そして、検知部10は、(1)式を用いて適合率を算出する。
(数1)
CR=MD/CD ・・・(1)
ここで、CRは適合率、MDは測定滴下数、CDは基準滴下数を示す。例えば、測定滴下数が基準滴下数と同じであれば、適合率は“1”となる。すなわち、適合率が“1”の場合は、点滴筒3は静止状態にあることを示す。
また、ステップS220において、検知部10は、判定カウンタVの値を1つ増加する。
ステップS230において、検知部10は、例えばRAM60Cの予め定めた領域に予め記憶される繰り返し回数Q1(Q1は正の整数)を取得する。そして、検知部10は、判定カウンタVの値が繰り返し回数Q1と一致するか否か判定する。否定判定の場合にはステップS220に戻り、ステップS220で再び測定滴下数を計測して適合率を算出する。一方、肯定判定の場合にはステップS240に移行する。すなわち、繰り返し回数Q1は、滴下制御の実行中における適合率の算出回数を規定する値である。
なお、ステップS220で算出した適合率から点滴筒3が揺れているか否かを判定するためには、複数の適合率に基づいて判定した方が判定精度が上がるため、繰り返し回数Q1は、“2”以上であることが好ましい。
ステップS240において、検知部10は、ステップS220で繰り返し回数Q1にわたって連続して算出した適合率の各々が予め定めた範囲を超えているか否かを判定する。具体的には、予め定めた範囲の下限を下限値D1、上限を上限値D2とすれば、検知部10は、ステップS220で繰り返し回数Q1にわたって連続して算出した適合率の各々が、下限値D1未満か、または上限値D2より大きいか否かを判定する。
前述したように、点滴筒3が静止している状態での適合率(=1)に対して、ステップS220で算出した適合率が予め定めた範囲を超える場合に点滴筒3が揺れているとみなすことができる。したがって、一例として、ここでは適合率が±10%の範囲を超えた場合に、点滴筒3が揺れていると判定する。すなわち、下限値D1は“0.9”、上限値D2は”1.1”となる。
なお、適合率の下限値D1および上限値D2の値はこれに限られない。例えば、下限値D1および上限値D2の値は、20滴/mlの輸液セット5と、60滴/mlの輸液セット5とで、異なる値に設定してもよい。
ステップS240の判定処理が肯定判定の場合には、検知部10は、点滴筒3が揺れていると判定し、揺れ検知信号を切り替え部20に出力してステップS250に移行する。一方、否定判定の場合には、検知部10は、点滴筒3は揺れていないと判定して、後述するステップS250〜S290の処理を実行せずにステップS300に移行する。
既に説明したように、滴下制御方式の場合、点滴筒3の揺れに伴う液滴の滴下数の一時的な変動により、実際には輸液の流量に変化がないにもかかわらず、輸液の流量が規定範囲を超えて変動したと誤判定される場合が考えられる。
したがって、ステップS250において、検知部10から揺れ検知信号を受信した切り替え部20は、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える制御切り替え信号を制御部30に出力する。
そして、切り替え部20から制御切り替え信号を受信した制御部30は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を、滴下制御方式から第1実施形態で説明した歩行モードに切り替える設定を行う。また、制御部30は、判定カウンタVの値を“0”に初期化する。
ステップS260において、検知部10はステップS220と同様に、滴下検知信号の波形の変化に基づいてモータ61の1セット中における測定滴下数を計測し、適合率を算出する。また、検知部10は、判定カウンタVの値を1つ増加する。
ステップS270において、検知部10は、例えばRAM60Cの予め定めた領域に予め記憶される繰り返し回数Q2(Q2は正の整数)を取得する。そして、検知部10は、判定カウンタVの値が繰り返し回数Q2と一致するか否か判定する。否定判定の場合にはステップS260に戻り、ステップS260で再び測定滴下数を計測して適合率を算出する。一方、肯定判定の場合にはステップS280に移行する。すなわち、繰り返し回数Q2は、歩行モードにおける適合率の算出回数を規定する値である。
なお、点滴筒3の揺れが収まり静止状態になるまでには所定の時間を要すると考えられることから、繰り返し回数Q2は“2”以上であることが好ましい。
ステップS280において、検知部10は、ステップS270で繰り返し回数Q2にわたって連続して算出した適合率の各々が、下限を下限値D1、上限を上限値D2とする予め定めた範囲を超えているか否かを判定する。
ステップS280の判定処理が肯定判定の場合、点滴筒3はまだ揺れているとみなすことができるため、検知部10は、判定カウンタVを“0”に初期化してステップS260に移行する。そして、検知部10は、点滴筒3の揺れが収まったとみなすことができるまで、ステップS260〜S280を繰り返す。
一方、ステップS280の判定処理が否定判定の場合、ステップS290に移行する。この場合、検知部10は、点滴筒3の揺れが収まったとみなし、点滴筒3の揺れが収まったことを通知する信号を切り替え部20に出力する。
ステップS290において、切り替え部20は、輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式を歩行モードから滴下制御方式に切り替える制御切り替え信号を、制御部30に出力する。当該制御切り替え信号を受信した制御部30は、輸液の流量の制御方式を歩行モードから滴下制御方式に切り替える。また、制御部30は、判定カウンタVを“0”に初期化する。
なお、制御部30は、ステップS280で下限値D1以上かつ上限値D2以下の値を有すると判定されたQ2個の適合率に対応する各測定滴下数のうち、直近に計測された測定滴下数から時系列順にQ3個(ただし、Q3≦Q2)の測定滴下数を取得し、例えばQ3個の測定滴下数の平均値を新たな基準滴下数として、以降の適合率の算出に用いるようにしてもよい。
例えばチューブ4の変形等によって静止状態にある点滴筒3の基準滴下数が変化することも考えられるため、輸液ポンプ6の動作に伴って基準滴下数を随時更新することにより、基準滴下数を固定値とした場合に比べて、点滴筒3が揺れているか否かを精度よく判定することができる。
ステップS300において、制御部30は、例えば入力機器75から終了指示を受け付けたか否かを判定し、終了指示を受け付けていない場合には、ステップS220に移行する。そして、ステップS220〜S300の各処理を繰り返し実行することで、輸液の流量を制御する。一方、終了指示を受け付けた場合には、図14に示した制御プログラムを終了する。
なお、本実施形態では、(1)式を用いて適合率を算出したが、適合率の算出方法はこれに限られない。適合率は基準滴下数と測定滴下数との割合を示す値であれば、どのような算出式を用いてもよいため、例えば(2)式を用いて適合率を算出してもよい。
(数2)
CR=CD/MD ・・・(2)
図15は、実験者が歩行する際、歩行に伴って20滴/mlの輸液セット5を用いた装置群1を、輸液スタンド9と共に移動させた場合に得られた適合率の変化を示す記録の一例である。図15に示すように、実験者が歩行して輸液ポンプ6における輸液の流量の制御方式が歩行モードとなっている区間では、他の区間に比べて適合率の変動が大きくなる傾向が認められる。
図15の適合率の変化に基づいて、実験者の歩行時(すなわち、点滴筒3の揺れを検知した場合)においても輸液の流量の制御方式を歩行モードに切り替えることなく滴下制御方式のままにした、従来の輸液ポンプでの流量異常検知による警報通知回数を解析したところ、20滴/mlの輸液セット5を用いた場合には92回、60滴/mlの輸液セット5を用いた場合には17回となった。
一方、図15の適合率の変化に基づいて、輸液ポンプ6で図14に示した制御プログラムを実行した場合の流量異常検知による輸液ポンプ6の警報通知回数を解析したところ、20滴/mlの輸液セット5を用いた場合には1回、60滴/mlの輸液セット5を用いた場合には5回となり、流量異常検知による警報回数が、それぞれ約98.9%および約70.6%低減した。
このように第2実施形態に係る輸液ポンプ6によれば、輸液ポンプ6の動作中に測定滴下数を計測し、計測した測定滴下数と、点滴筒3が静止状態にある場合に計測した基準滴下数とに基づいて適合率を算出する。そして、算出した適合率が予め定めた範囲を超える場合に点滴筒3が揺れていると判定し、第2実施形態に係る輸液ポンプ6は、輸液の流量の制御方式を滴下制御方式から歩行モードに切り替える。
一方、歩行モード中に計測した測定滴下数から算出した適合率が予め定めた範囲以内に含まれる場合には、点滴筒3の揺れが収まったと判定し、第2実施形態に係る輸液ポンプ6は、輸液の流量の制御方式を歩行モードから滴下制御方式に切り替える。
したがって、点滴筒3に加速度センサを取り付けることなく、点滴筒3の揺れを検知することができる。
また、第1実施形態と同様に、点滴筒3が揺れていると判定された期間は、輸液の流量の制御方式が歩行モードに設定されることから、歩行モードにおける輸液の流量を歩行モードに切り替えようとした直前の流量に維持することができる。
したがって、滴下制御方式のように、点滴筒3が揺れている場合に、液滴の流量には変化がないにもかかわらず輸液の流量が規定範囲を超えて変動したと誤判定し、輸液の流量を変化させることがない。また、点滴筒3の揺れによって発生する、液滴の滴下数の一時的な変化に伴う誤警報の通知を抑制することができる。
更に、点滴筒3が揺れている期間はモータ61の単位時間あたりの回転数を固定して輸液の流量を制御し、点滴筒3が揺れていない期間は、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数に応じて輸液の流量を制御するため、容積制御方式のように専用の輸液セット5を用いることなく、輸液の流量を制御することができる。
なお、点滴筒3が揺れている場合、点滴筒3の点滴口31から滴下する液滴の体積は、点滴筒3が揺れていない場合より小さくなるため、換言すれば、輸液ポンプ6は、適合率に基づいて液滴の体積の変化を検知しているということができる。
なお、各実施形態では、フィンガ68を用いて輸液を搬送する、いわゆる「フィンガポンプ」と称される輸液ポンプ6を用いて動作説明を行った。しかし、輸液ポンプ6に、ローラが回転しながらチューブ4をしごいて輸液を搬送する「ローラポンプ」と称される輸液ポンプを用いてもよいことは言うまでもない。
また、容積制御方式を採用している輸液ポンプでは、モータ61の単位時間あたりの回転数を制御することで輸液の流量を調整するため、滴落検知器7は不要である。しかし、例えばチューブ4に対するフィンガ68の押し当て圧力が不足し、チューブ4内の輸液が輸液ポンプ6で堰き止められない状況が発生した場合、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数が上昇し始める。すなわち、点滴筒3を滴下する液滴の滴下数から輸液ポンプ6の異常を検知することができるため、点滴筒3に滴落検知器7を取り付ける場合がある。
この場合、容積制御方式を採用している輸液ポンプに対して、各実施形態に示した点滴筒3の揺れの検知手法を適用するようにしてもよい。
以上、各実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は各実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
1・・・装置群、2・・・輸液バッグ、2A・・・チューブ接続口、3・・・点滴筒、4・・・チューブ、5・・・輸液セット、6・・・輸液ポンプ、7・・・滴落検知器、8・・・通信線、9・・・輸液スタンド、10・・・検知部、20・・・切り替え部、30・・・制御部、31・・・点滴口、40・・・搬送部、50・・・出力部、60・・・コンピュータ、60A・・・CPU、60B・・・ROM、60C・・・RAM、60D・・・I/O、60E・・・バス、61・・・モータ、62・・・駆動ギア、63・・・変速ギア、64・・・フィンガ部、65・・・磁石、66・・・ホールセンサ、67・・・カム、68(68A、68B) ・・・フィンガ、69・・・加圧板、70・・・シャフト、71・・・赤外線、72・・・赤外線LED、73・・・フォトトランジスタ、74・・・アラーム、75・・・入力機器、A1・・・閾値、D1・・・下限値、D2・・・上限値、M2・・・規定回転数、Q1、Q2・・・繰り返し回数、R1、R2・・・規定回転数、V・・・判定カウンタ

Claims (8)

  1. 点滴筒を滴下する液滴を検知する検知器から前記液滴の滴下によって波形が変化する信号を取得し、取得した前記信号に基づいて前記液滴の体積の変化を検知する検知部
    を備えた輸液ポンプ。
  2. 前記液滴の体積の変化に基づいて前記液滴の流量を制御する第1の制御と、液体を搬送する搬送部における液体の搬送速度を制御して前記液滴の流量を制御する第2の制御を行う制御部を更に備え、
    前記検知部は、前記液滴の体積の変化に基づいて前記点滴筒の揺れを検知し、
    前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知された場合、前記制御部は、前記液滴の流量の制御を前記第1の制御から前記第2の制御に切り替える制御を行う
    請求項1記載の輸液ポンプ。
  3. 前記検知部は、前記信号を微分した波形の振幅または前記信号から得られる所定期間における前記液滴の滴下数によって、前記液滴の体積の変化を検知する
    請求項2記載の輸液ポンプ。
  4. 前記検知部は、前記信号を微分した波形の振幅によって前記液滴の体積の変化を検知する際、前記信号を微分した波形の振幅が閾値より大きい場合に前記点滴筒が揺れていると検知し、所定期間における前記信号から得られる前記液滴の滴下数によって前記液滴の体積の変化を検知する際、静止している前記点滴筒での第1の所定期間における前記液滴の滴下数と、前記信号から得られる第2の所定期間における前記液滴の滴下数との割合が予め定めた範囲を超える場合に前記点滴筒が揺れていると検知する
    請求項3記載の輸液ポンプ。
  5. 前記制御部は、前記第2の制御において、前記搬送部における液体の搬送速度を、前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知される前の搬送速度となるように制御する
    請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の輸液ポンプ。
  6. 前記制御部は、前記検知部によって前記点滴筒の揺れが検知されなくなった場合、前記液滴の流量の制御を前記第2の制御から前記第1の制御に切り替える制御を行う
    請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の輸液ポンプ。
  7. 前記点滴筒の揺れに伴う警報を出力する出力部を更に備え、
    前記制御部は、前記第2の制御の実行期間は前記警報を出力しないように前記出力部を制御する
    請求項2〜6の何れか1項に記載の輸液ポンプ。
  8. 点滴筒を滴下する液滴を検知する検知器から前記液滴の滴下によって波形が変化する信号を取得し、取得した前記信号に基づいて前記液滴の体積の変化を検知する
    ことを含む輸液ポンプの制御方法。
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