JP2017092577A - 無線チャネル解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノイズが多い環境でもチャネル統計量を高精度に推定する。
【解決手段】無線チャネル解析装置は、無線通信路を介して受信された複数のパイロット信号を含む観測データを時間軸上の各スロットについて取得する観測データ取得部22と、観測データ取得部22が取得した観測データを適用した尤度の算定を含む粒子フィルタにより、無線通信路のチャネル統計量およびチャネル歪の確率分布をスロット毎に推定する解析処理部24とを具備し、解析処理部24は、解析対象のスロットの後方のスロットの観測データを適用したカルマン平滑化により解析対象のスロットにおける尤度を算定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信路(チャネル)を解析する技術に関する。
時系列に観測される観測データを解析する技術が従来から提案されている。例えば非特許文献1には、粒子フィルタとカルマンフィルタとを併用することで、システムの状態とパラメータとを同時に推定する技術が開示されている。
Maria Paula Rios and Hedibert Freitas Lopes, "The Extended Liu and West Filter: Parameter Learning in Markov Switching Stochastic Volatility Models," State-Space Models, p. 23-61, Springer, 2013
ところで、無線通信路を利用した無線通信では、障害物等による反射や散乱に起因した相異なる複数の経路の電波が相互に干渉することで信号歪(以下「チャネル歪」という)が発生し得る。チャネル歪(フェージング)を補償するには、携帯電話機等の端末装置の移動速度や遅延スプレッド等のチャネル統計量を推定することが必要である。前述の非特許文献1の技術を利用すれば、粒子フィルタとカルマンフィルタとの併用によりチャネル歪とチャネル統計量とを同時に推定することが可能である。
しかし、非特許文献1の技術のように、粒子フィルタに適用される尤度をカルマンフィルタのみで算定する技術では、無線通信路にノイズが多い環境のもとで過剰適合(overfitting)が発生し易く、結果的にチャネル統計量を高精度に推定できないという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、ノイズが多い環境でもチャネル統計量を高精度に推定することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る無線チャネル解析装置は、無線通信路を介して受信された複数のパイロット信号を含む観測データを時間軸上の各スロットについて取得する観測データ取得部と、前記観測データ取得部が取得した観測データを適用した尤度の算定を含む粒子フィルタにより、前記無線通信路のチャネル統計量およびチャネル歪の確率分布をスロット毎に推定する解析処理部とを具備し、前記解析処理部は、解析対象のスロットの後方のスロットの観測データを適用したカルマン平滑化により前記解析対象のスロットにおける前記尤度を算定する。
本発明によれば、ノイズが多い環境でもチャネル統計量を高精度に推定することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る通信システムの構成図である。 パイロット信号の説明図である。 粒子フィルタの説明図である。 解析処理のフローチャートである。 尤度算定処理のフローチャートである。 尤度算定処理のフローチャートである。 ノイズが少ない環境で対比例により移動速度を推定した結果のグラフである。 ノイズが多い環境で対比例により移動速度を推定した結果のグラフである。 ノイズが多い環境で第1実施形態により移動速度を推定した結果のグラフである。 第1実施形態の効果の説明図である。 第2実施形態における初期値設定処理のフローチャートである。 第2実施形態における第1初期化処理の説明図である。 第2実施形態における第2初期化処理の説明図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の通信システム100を例示する構成図である。第1実施形態の通信システム100は、音声通話やデータ通信等の移動体通信サービスを提供するシステムであり、相互に無線通信が可能な無線基地局12と端末装置14とを具備する。実際には複数の無線基地局12と複数の端末装置14とが通信システム100に包含されるが、図1では1個の無線基地局12と1個の端末装置14とを便宜的に図示した。
各端末装置14は、例えば携帯電話機やスマートフォン等の可搬型の通信装置(ユーザ装置:User Equipment)である。タブレット端末,パーソナルコンピュータ,UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer),携帯型ゲーム装置等の通信端末も端末装置14として利用され得る。無線基地局12は、移動体通信網を構成する通信装置であり、端末装置14との間で無線通信が可能である。例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)に準拠した通信方式で各端末装置14と無線通信するeNB(evolved Node B)が無線基地局12として好適に利用される。具体的には、下りリンクの無線送信方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、上りリンクの無線送信方式としてSC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用される。ただし、無線基地局12と端末装置14との間の通信方式は以上の例示に限定されない。
図1に例示される通り、第1実施形態の端末装置14は、無線通信部20と観測データ取得部22と解析処理部24とチャネル補償部26とを具備する。端末装置14の各要素は、例えば記憶装置に記憶されたプログラムを演算処理装置(CPU)が実行することで実現される。ただし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)等の電子回路で端末装置14の一部または全部の機能を実現することも可能である。
無線通信部20は、無線通信路(無線チャネル)を介して無線基地局12と通信する要素であり、例えば電波を送受信するアンテナを含んで構成される。具体的には、無線通信部20は、無線基地局12から送信された下りリンク信号を受信するとともに、上りリンク信号を生成して無線基地局12に送信する。
図2は、無線基地局12が端末装置14に送信する下りリンク信号(OFDM信号)の説明図である。図2に例示される通り、第1実施形態の下りリンク信号は、周波数軸上の相異なるサブキャリアと時間軸上の相異なるサブフレームとに対応する複数のリソースエレメントを包含する。無線基地局12と端末装置14との間の無線通信路の状態の推定のために参照されるパイロット信号(具体的には、CRS:Cell-specific Reference Signal)が、時間-周波数領域内の複数のリソースエレメントに分散して配置される。
観測データ取得部22は、無線通信部20が受信した下りリンク信号から時間軸上のスロット毎に観測データy(t)を取得する。記号tは、観測データ取得部22が観測データy(t)を取得する任意の1個のスロットを意味する。観測データy(t)は、無線通信路を介して受信された複数のパイロット信号を配列したベクトルである。例えば、1個のサブフレーム(例えば図2の0,7,……)に配置された複数のパイロット信号の配列が観測データy(t)として生成される。すなわち、任意の1個のスロットは、時間軸上の複数のサブフレームのうち観測データ取得部22が観測データy(t)を取得したサブフレームに相当する。
無線基地局12と端末装置14との間の無線通信路では、建造物等の障害物による反射や散乱に起因した相異なる複数の経路の電波が相互に干渉することでチャネル歪(フェージング)が発生し得る。図1の解析処理部24は、観測データ取得部22が取得した観測データy(t)を利用して、無線通信路のチャネルの状態であるチャネル歪と当該チャネルに関する統計量であるチャネル統計量とをスロット毎に推定する。具体的には、第1実施形態の解析処理部24は、観測データy(t)を適用した粒子フィルタ(Particle filter)によりチャネル歪とチャネル統計量とを同時かつ実時間的に推定する。チャネル統計量は、例えば、端末装置14の移動速度(すなわちドップラー周波数)または遅延スプレッドである。第1実施形態では、1種類のチャネル統計量(具体的には移動速度)の推定を便宜的に想定する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の端末装置14は、下りリンクの無線通信路のチャネル歪およびチャネル統計量を解析する装置(無線チャネル解析装置)として機能する。
図1のチャネル補償部26は、解析処理部24による推定結果に応じたチャネル補償を実行する。具体的には、チャネル補償部26は、制御チャネルおよびデータチャネルの振幅および位相を解析処理部24による解析結果に応じてサブキャリア毎に調整する。解析処理部24による解析結果を利用したチャネル補償には、公知の技術が任意に採用され得る。
解析処理部24による無線通信路の解析について以下に詳述する。第1実施形態では無線通信路の解析に状態空間モデルを利用する。一般的な状態空間モデルは、以下の数式(1)の観測方程式と数式(2)の状態方程式とで表現される。
Figure 2017092577

数式(1)の記号θ(t)は、無線通信路のチャネル歪に相当する状態ベクトルを意味する。また、数式(1)の記号F(t)は各サブキャリアのパイロット信号の観測行列を意味し、数式(2)の記号G(t)は各サブキャリアのパイロット信号の遷移行列を意味する。数式(1)の記号v(t)および数式(2)の記号w(t)は、複素正規分布に従うノイズベクトルである。
第1実施形態では、無線通信路のチャネル歪およびチャネル統計量の同時推定に拡張状態(augmented state)を利用する。拡張状態は、線形・ガウス型の部分θ(t)と非線形・非ガウス型の部分ψ(t)とを包含する。線形・ガウス型の部分θ(t)は無線通信路のチャネル歪に相当し、非線形・非ガウス型の部分ψ(t)は、超パラメータとしてのチャネル統計量に相当する。
第1実施形態の解析処理部24は、無線通信路のチャネル統計量ψ(t)およびチャネル歪θ(t)を粒子フィルタにより推定する。具体的には、粒子フィルタは、チャネル統計量ψ(t)およびチャネル歪θ(t)の確率分布を複数(N個)の粒子の配列で近似的に表現する。粒子フィルタに利用される粒子の個数Nは任意(例えば10個〜100個)である。図3に模式的に例示される通り、N個の粒子の各々は、実現値(Ralization)と加重値(Weight)との組合せで指定される。
第1実施形態の解析処理部24は、以下の数式(3)で表現される第(t-1)番目のスロットのN個の粒子から、数式(4)で表現される第t番目のスロットのN個の粒子を生成する。
Figure 2017092577

数式(4)で表現される通り、第t番目のスロットにおける第n番目(n=1〜N)の1個の粒子は、実現値(ψ(t)(n),m(t)(n),C(t)(n))と加重値ω(t)(n)とで表現される。具体的には、第n番目の粒子の実現値は、無線通信路のチャネル統計量ψ(t)(n)と、チャネル歪θ(t)の確率分布(例えば複素正規分布)を規定する平均(平均ベクトル)m(t)(n)および共分散(共分散行列)C(t)(n)とを包含する。第1実施形態の解析処理部24は、解析対象となる第t番目のスロットの各粒子の実現値(ψ(t)(n),m(t)(n),C(t)(n))および加重値ω(t)(n)を、直前(第(t-1)番目)のスロットの各粒子の実現値(ψ(t-1)(n),m(t-1)(n),C(t-1)(n))および加重値ω(t-1)(n)を利用した処理(以下「解析処理」という)で算定する。
図4は、任意の第t番目のスロットを解析対象として解析処理部24が実行する解析処理のフローチャートである。時間軸上の複数のスロットの各々が順番に解析対象として選択されてスロット毎に図4の解析処理が実行される。
解析処理を開始すると、解析処理部24は、超パラメータとしてのチャネル統計量ψ(t-1)(n)の粒子毎の移動平均μ(n)と共分散Γとを算定する(QA1)。具体的には、解析処理部24は、直前のスロットまでの過去のチャネル統計量ψ(t-1)(n)の移動平均μ(n)を以下の数式(5)の演算で粒子毎に算定するとともに、N個の粒子にわたるチャネル統計量ψ(t-1)(n)の共分散Γを以下の数式(6)の演算で算定する。
Figure 2017092577

数式(5)の記号αは忘却係数であり、1以下の正数に設定される。数式(5)の記号Eω(t-1) (n)[ψ(t-1)(n)]は、加重値ω(t-1)(n)を適用したチャネル統計量ψ(t-1)(n)の加重平均を意味する。また、数式(4)の記号Varω(t-1) (n)[ψ(t-1)(n)]は、加重値ω(t-1)(n)を適用したチャネル統計量ψ(t-1)(n)の共分散を意味する。
次に、解析処理部24は、第(t-1)番目のスロットにおけるN個の粒子から補助インデックス(auxiliary index)knを選別する(QA2)。第1実施形態の例示のように補助インデックスknの選別により粒子の縮退を抑制する粒子フィルタは、特に補助粒子フィルタ(auxiliary particle filter)として、例えばMichael K Pitt and Neil Shephard, "Filtering Via Simulation: Auxiliary Particle Filters," Journal of the American Statistical Association (American Statistical Association) 94 (446): 590-591に開示されている。
第(t-1)番目のスロットにおける第n番目の粒子が補助インデックスknとして選別される確率P(kn=n)は、以下の数式(7)で表現される。
Figure 2017092577

数式(5)の記号(1:t-1)は、第1番目から第(t-1)番目のスロットの時系列を意味する。また、記号~は推定値を意味する。例えば、数式(7)の推定値ψ~(t)(n)は、チャネル統計量ψ(t)(n)の推定値である。第1実施形態では、数式(5)で算定された移動平均μ(n)を推定値ψ~(t)(n)として利用する(ψ~(t)(n)=μ(n))。
数式(7)の記号p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))は、第1番目から第(t-1)番目までのスロットの観測データy(1:t-1)とチャネル統計量ψ(t)(n)の推定値ψ~(t)(n)とが観測されたときの第t番目のスロットの観測データy(t)の尤度(第1尤度の具体例)を意味する。数式(7)から理解される通り、確率P(kn=n)は、加重値ω(t-1)(n)と尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))との積に相当する確率分布に従う。第1実施形態のステップQA2は、尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する処理(以下「尤度算定処理」という)QBを包含する。
図5は、尤度算定処理QBのフローチャートである。尤度算定処理QBを開始すると、解析処理部24は、解析対象である第t番目のスロットが特定のスロット(以下「特定スロット」という)に該当するか否かを判定する(QB1)。第1実施形態の解析処理部24は、スロットのM個分を周期として複数のスロットの時系列から特定スロットを順次に選択する。具体的には、解析処理部24は、解析対象のスロットの番号tを定数Mで除算した剰余(t mod M)が0である場合に、当該スロットは特定スロットに該当すると判定する一方、剰余が0でない場合には、解析対象のスロットは特定スロットに該当しないと判定する。定数Mは、所定の正数(例えば5)に設定される。
解析対象のスロットが特定スロットに該当しない場合(QB1:NO)、解析処理部24は、第t番目のスロットまでの観測データy(t)を適用したカルマンフィルタ(Kalman filter)により第t番目のスロットの尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する(QB2)。すなわち、尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))は以下の数式(8)で表現される。
Figure 2017092577

数式(8)の記号hypは超パラメータ(hyperparameter)を意味し、記号priは事前分布(prior distribution)を意味し、記号datは観測データ(data)を意味する。すなわち、解析処理部24は、解析対象のスロットにおけるチャネル統計量ψ(t)(n)の推定値ψ~(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t-1)の確率分布(m(t-1)(n),C(t-1)(n))と、解析対象のスロットの観測データy(t)とに応じた数式(8)の尤度L(hyp,pri,dat)を、数式(7)の尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))として算定する。
他方、解析対象のスロットが特定スロットに該当する場合(QB1:YES)、解析処理部24は、解析対象である第t番目のスロットに対して時間的に後方のスロットの観測データy(t:t+λ)を適用したカルマン平滑化(Kalman smoother)により第t番目のスロットの尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する(QB3)。第1実施形態のカルマン平滑化は、ラグλを所定の正数(例えば5)に設定した固定ラグ平滑化である。
具体的には、解析対象のスロットが特定スロットに該当する場合、解析処理部24は、以下の数式(9)で表現される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する。
Figure 2017092577
すなわち、解析処理部24は、解析対象のスロットにおけるチャネル統計量ψ(t)(n)の推定値ψ~(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t-1)の確率分布(s~(t-1)(n),S~(t-1)(n))と、解析対象のスロットの観測データy(t)とに応じた数式(9)の尤度L(hyp,pri,dat)を、数式(7)の尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))として算定する。解析処理部24は、第t番目から第(t+λ)番目までの(λ+1)個のスロットの観測データy(t:t+λ)を適用した数式(10)のカルマン平滑化により、チャネル歪θ(t-1)の確率分布(平滑化分布)の平均s~(t-1)(n)および共分散S~(t-1)(n)を算定する。
Figure 2017092577

記号KSはカルマン平滑化を意味する。数式(10)から理解される通り、解析処理部24は、解析対象のスロットにおけるチャネル統計量ψ(t)(n)の推定値ψ~(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t-1)の確率分布(m(t-1)(n),C(t-1)(n))と、第t番目から第(t+λ)番目までの(λ+1)個のスロットの観測データy(t:t+λ)とを適用したカルマン平滑化により、数式(9)の平均s~(t-1)(n)および共分散S~(t-1)(n)を算定する。
以上の説明から理解される通り、第1実施形態の解析処理部24は、複数のスロットのうち特定スロット(t mod M=0)についてはカルマン平滑化により尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する一方、特定スロット以外の各スロット(t mod M≠0)については、当該スロットまでの観測データy(t)を適用したカルマンフィルタにより尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する。特定スロット以外の各スロットではカルマンフィルタにより算定される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))が、特定スロットではカルマン平滑化により算定される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))に修正される、とも換言され得る。以上が尤度算定処理QBの具体例である。
図4に例示した移動平均μ(n)および共分散Γの算定(QA1)と補助インデックスknの設定(QA2)とを以上の手順で実行すると、解析処理部24は、粒子フィルタのN個の粒子の各々について、第1処理QC1と第2処理QC2と第3処理QC3とを実行する。各処理の具体例を以下に詳述する。
第1処理QC1は、超パラメータであるチャネル統計量ψ(t)(n)(すなわち拡張状態のうち非線形・非ガウス型の部分)を粒子の実現値として特定する処理である。具体的には、解析処理部24は、補助インデックスknについて数式(5)の演算で算定された移動平均μ(kn)と数式(6)の演算で算定された共分散Γとで規定される確率分布からチャネル統計量ψ(t)(n)を抽出する。チャネル統計量ψ(t)(n)の抽出対象となる確率分布の種類は任意であるが、例えばベータ分布が好適に採用され得る。
第2処理QC2は、解析対象である第t番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t)(すなわち拡張状態のうち線形・ガウス型の部分)の確率分布の平均s(t)(n)および共分散S(t)(n)を実現値として算定する処理である。第2処理QC2で算定された平均s(t)(n)および共分散S(t)(n)は、チャネル歪θ(t)の確率分布の平均m(t)(n)および共分散C(t)(n)の実現値として直後のスロットで使用される(m(t)(n)←s(t)(n),C(t)(n)←S(t)(n))。第2処理QC2で算定される平均s(t)(n)および共分散S(t)(n)の確率分布(例えば複素正規分布)を以下では「平滑化分布」と表記する。
第1実施形態の解析処理部24は、以下の数式(11)で表現されるカルマン平滑化で平均s(t)(n)および共分散S(t)(n)(すなわち平滑化分布)を算定する。第2処理QC2のカルマン平滑化は、前述のステップQB3のカルマン平滑化と同様に、所定の正数(例えば5)をラグλとする固定ラグ平滑化である。
Figure 2017092577

数式(11)から理解される通り、解析処理部24は、第1処理QC1で算定したチャネル統計量ψ(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t-1)の確率分布(m(t-1)(kn),C(t-1)(kn))と、第t番目から第(t+λ)番目までの(λ+1)個のスロットの観測データy(t:t+λ)とを適用したカルマン平滑化によりチャネル歪θ(t)の平滑化分布(s(t)(n),S(t)(n))を粒子の実現値(m(t)(n),C(t)(n))として算定する。第1実施形態の解析処理部24は、観測データ取得部22が観測データy(t)を取得するスロットの全部について、第2処理QC2ではカルマン平滑化により平滑化分布を算定する。
第3処理QC3は、第n番目の粒子の加重値ω(t)(n)を算定する処理である。具体的には、第1実施形態の解析処理部24は、以下の数式(12)の演算で加重値ω(t)(n)を算定する。
Figure 2017092577

数式(12)の分子の記号p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))は、第1番目から第(t-1)番目までのスロットの観測データy(1:t-1)とチャネル統計量ψ(t)(n)とが観測されたときの第t番目のスロットの観測データy(t)の尤度(第2尤度の例示)を意味する。第1実施形態の第3処理QC3は、数式(12)の尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))を算定する尤度算定処理QDを包含する。
図6は、尤度算定処理QDのフローチャートである。尤度算定処理QDを開始すると、解析処理部24は、図5の尤度算定処理QBと同様に、解析対象である第t番目のスロットが特定スロットに該当するか否かを判定する(QD1)。具体的には、解析処理部24は、解析対象のスロットの番号tを定数Mで除算した剰余が0である場合に、当該スロットが特定スロットに該当すると判定する一方、剰余が0でない場合には、解析対象のスロットが特定スロットに該当しないと判定する。
解析対象のスロットが特定スロットに該当しない場合(QD1:NO)、解析処理部24は、第t番目のスロットまでの観測データy(t)を適用したカルマンフィルタにより第t番目のスロットの尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))を算定する(QD2)。すなわち、尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))は以下の数式(13)で表現される。
Figure 2017092577

数式(13)から理解される通り、解析処理部24は、第1処理QC1で算定したチャネル統計量ψ(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおけるチャネル歪θ(t-1)の確率分布(m(t-1)(kn),C(t-1)(kn))と、解析対象のスロットの観測データy(t)とに応じた尤度L(hyp,pri,dat)を、数式(12)の尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))として算定する。
他方、解析対象のスロットが特定スロットに該当する場合(QD1:YES)、解析処理部24は、第(t-1)番目のスロットについて第2処理QC2のカルマン平滑化で算定されたチャネル歪θ(t-1)の確率分布(s(t-1)(n),S(t-1)(n))から尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))を算定する。具体的には、解析対象のスロットが特定スロットに該当する場合、解析処理部24は、以下の数式(14)で表現される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))を算定する。
Figure 2017092577

すなわち、解析処理部24は、第1処理QC1で算定したチャネル統計量ψ(t)(n)と、第(t-1)番目のスロットにおける第2処理QC2でカルマン平滑化により算定されたチャネル歪θ(t-1)の平滑化分布(s(t-1)(n),S(t-1)(n))と、当該解析対象のスロットまでの観測データy(t)とに応じた尤度L(hyp,pri,dat)を、数式(12)の尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))として算定する。
以上の説明から理解される通り、第1実施形態の解析処理部24は、複数のスロットのうち特定スロット(t mod M=0)については、当該特定スロットの前方(第(t-1)番目)のスロットにおける第2処理QC2でカルマン平滑化により算定されたチャネル歪θ(t-1)の確率分布(s(t-1)(n),S(t-1)(n))に応じた尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))から加重値ω(t)(n)を算定する一方、特定スロット以外のスロット(t mod M≠0)については、当該スロットまでの観測データy(t)を適用したカルマンフィルタで算定される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))から加重値ω(t)(n)を算定する。特定スロット以外の各スロットではカルマンフィルタにより算定される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))が、特定スロットではカルマン平滑化により算定される尤度p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n))に修正される、とも換言され得る。以上が尤度算定処理QDの具体例である。
粒子フィルタのN個の粒子の各々について図4の第1処理QC1から第3処理QC3を反復すると、解析処理部24は、第3処理QC3で粒子毎に算定した加重値ω(t)(n)を正規化する(QE1)。具体的には、以下の数式(15)で表現される通り、N個の粒子にわたる加重値ω(t)(1)〜ω(t)(N)の総和により個々の粒子の加重値ω(t)(n)を除算することで、N個の粒子にわたる総和が1となる加重値ω(t)(1)〜ω(t)(N)を算定する。
Figure 2017092577
以上に説明した通り、第1処理QC1で算定されたチャネル統計量ψ(t)(n)と、第2処理QC2で算定されたチャネル歪θ(t)の確率分布(m(t)(n),C(t)(n))とを実現値として、第3処理QC3の加重値ω(t)(n)で規定されるN個の粒子が生成される。解析処理部24は、N個の粒子で表現される確率分布から解析対象のスロットのチャネル統計量ψ(t)を推定する(QE2)。具体的には、第1実施形態の解析処理部24は、N個の粒子で表現される確率分布の代表値をチャネル統計量ψ(t)として算定する。例えば、N個の粒子にわたるチャネル統計量ψ(t)(1)〜ψ(t)(N)の平均値、または、加重値ω(t)(n)が最大となるチャネル統計量ψ(t)(n)が、第t番目のチャネル統計量ψ(t)の推定結果として算定される。図1のチャネル補償部26は、前述の通り、解析処理部24がスロット毎に算定するチャネル統計量ψ(t)を利用したチャネル補償を実行する。
以上に説明した通り、第1実施形態では、無線通信路のチャネル統計量ψ(t)およびチャネル歪θ(t)の確率分布を推定する粒子フィルタにおいて、解析対象のスロットに対して時間的に後方のスロットの観測データy(t:t+λ)を適用したカルマン平滑化により尤度(p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n)),p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))が算定される。したがって、以下に例示される通り、尤度の算定にカルマンフィルタのみを利用する構成(以下「対比例」という)と比較して、無線通信路にノイズが多い環境でもチャネル統計量ψ(t)を高精度に推定できるという利点がある。対比例は、非特許文献1の技術を無線通信路の解析に適用した構成である。
図7および図8は、チャネル統計量ψ(t)の一例である移動速度Vを対比例の構成で推定した結果のグラフである。複数回にわたる推定結果の平均と全体の90%の推定値の分布とが図7および図8では併記されている。図7は、伝送データのビット毎のエネルギーEbとノイズのエネルギーN0との比Eb/N0が20[dB]である環境、すなわちノイズが少ない環境での推定結果である。他方、図8は、比Eb/N0が0[dB]である環境、すなわち図7と比較してノイズが多い環境での推定結果である。ドップラー周波数fDは140[Hz]であり、遅延スプレッドσTは1.0[μs]である。また、実際の移動速度V(正解)は75.6[km/h]である。
図7から理解される通り、ノイズが少ない環境では、対比例の構成でも移動速度Vを高精度に推定することが可能である。しかし、対比例の構成では、ノイズが多い環境において推定精度が低下する、という傾向が図8から確認できる。推定精度の低下の原因としては、例えば推定処理での過剰適合が想定される。
図9は、図8と同様に比Eb/N0が0[dB]である環境(すなわちノイズが多い環境)のもとで第1実施形態の構成により移動速度Vを推定した結果のグラフである。図8に図示した対比例の推定結果が図9には併記されている。図7および図8と同様に、ドップラー周波数fDは140[Hz]であり、遅延スプレッドσTは1.0[μs]である。また、実際の移動速度V(正解)は75.6[km/h]である。第1実施形態によれば、ノイズが多い環境でも、対比例と比較して移動速度Vを高精度に推定できることが、図9から確認できる。また、第1実施形態によれば、対比例と比較して推定結果が迅速に収束するという利点もある。
図10は、移動速度Vの誤差の絶対値に関する累積分布(CDF:Cmulative Distribution Function)を第1実施形態と対比例とについて併記したグラフである。図10では、比Eb/N0の複数の数値(Eb/N0={0,4,8,12,16,20})とドップラー周波数fDの複数の数値(fD=14×{2,4,6,8,10}[Hz])と遅延スプレッドσT(σT=1.0[μs])との全通りの組合せが想定されている。第1実施形態によれば、対比例と比較して移動速度Vを高精度に推定できることが図10からも確認できる。
ところで、時間軸上の全部のスロットについてカルマン平滑化により尤度(p(y(t)|y(1:t-1),ψ(t)(n)),p(y(t)|y(1:t-1),ψ~(t)(n))を算定する構成のようにカルマン平滑化による尤度の算定の頻度が過度に高い構成では、チャネル統計量ψ(t)の推定精度が却って低下する可能性がある。第1実施形態では、複数のスロットから選択された特定スロットについてはカルマン平滑化により尤度を算定する一方、特定スロット以外のスロットについてはカルマンフィルタにより尤度が算定されるから、カルマン平滑化の頻度の過多に起因した推定精度の低下を抑制してチャネル統計量ψ(t)を高精度に推定できるという利点がある。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態では、無線通信路のチャネル統計量ψ(t)が1種類の統計量(移動速度V)を含む場合を便宜的に例示したが、第2実施形態のチャネル統計量ψ(t)は、複数種の統計量を包含する。具体的には、第2実施形態のチャネル統計量ψ(t)は、移動速度V(第1統計量の例示)および遅延スプレッドσT(第2統計量の例示)の2種類の統計量を包含する。複数種の統計量を含むチャネル統計量ψ(t)は、第1実施形態と同様の構成および動作により推定することが可能である。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
ところで、図4の解析処理は、解析対象のスロットの直前のスロットにおけるN個の粒子を更新する処理であり、第1回目(すなわち初回)の解析処理では、無線通信路のチャネル統計量ψ(t)を特定の初期値に設定する必要がある。解析処理による推定精度は、第1回目の解析処理に適用されるチャネル統計量ψ(t)の初期値の適否に依存する。以上の事情を考慮して、第2実施形態の解析処理部24は、図4の解析処理の開始前に図11の初期値設定処理QFを実行することでチャネル統計量ψ(t)(移動速度V,遅延スプレッドσT)の初期値を設定する。観測データ取得部22が最初に所定個(例えばλ個)の観測データy(t)を取得した段階で図11の初期値設定処理QFが実行され、初期値設定処理QFで設定されたチャネル統計量ψ(t)の初期値が第1回目の解析処理に適用される。観測データ取得部22が解析処理の開始前に取得する観測データy(t)を以下では「初期観測データ」と表記する。
図11に例示される通り、初期値設定処理QFは、第1初期化処理qAと第2初期化処理qBとを包含する。第1初期化処理qAは、チャネル統計量ψ(t)のうち移動速度Vの初期値を設定する処理であり、第2初期化処理qBは、チャネル統計量ψ(t)のうち遅延スプレッドσTの初期値を設定する処理である。第1初期化処理qAの実行後に第2初期化処理qBが開始される。
第1初期化処理qAを開始すると、解析処理部24は、遅延スプレッドσTを暫定的な所定値(例えば0)βに設定する(qA1)。そして、解析処理部24は、所定値βに設定された遅延スプレッドσTのもとで移動速度Vを相異なる候補値ηAに変化させた複数の場合の各々について周辺尤度(marginal likelihood)ρAを算定する(qA2)。周辺尤度ρAは、所定個の初期観測データy(t)が観測されたという条件のもとで移動速度Vが候補値ηAである尤度を意味する。具体的には、解析処理部24は、所定個の初期観測データy(t)を適用したカルマン平滑化により候補値ηA毎に周辺尤度ρAを算定する。
図12は、移動速度V(候補値ηA)と周辺尤度ρAとの関係を例示するグラフである。図12に例示される通り、移動速度Vの数値範囲RAを所定の間隔(刻み幅)で区画する各境界の数値が候補値ηAとして利用される。数値範囲RAは、移動速度Vが現実的にとり得る数値の範囲に設定される。図12では、移動速度Vの下限値0[km/h]から上限値300[km/h]までの数値範囲RAを5[km/h]の間隔で区画する複数の数値が候補値ηAとして例示されている。
図12に例示される通り、周辺尤度ρAは、特定の候補値ηAの近傍で最大となる。第2実施形態の解析処理部24は、周辺尤度ρAが最大となる候補値ηA(図12の例示では55[km/h])を移動速度Vの初期値として選択する(qA3)。すなわち、複数の初期観測データy(t)から算定される周辺尤度ρAを最大化する候補値ηAが移動速度Vの初期値として採択される(MAP(Maximum a posteriori)推定)。以上が第1初期化処理qAの具体例である。
第1初期化処理qAの実行後に第2初期化処理qBを開始すると、解析処理部24は、第1初期化処理qAで選択した初期値に移動速度Vを設定する(qB1)。そして、解析処理部24は、当該移動速度Vのもとで遅延スプレッドσTを相異なる候補値ηBに変化させた複数の場合の各々について周辺尤度ρBを算定する(qB2)。周辺尤度ρBは、所定個の初期観測データy(t)が観測されたという条件のもとで遅延スプレッドσTが候補値ηBである尤度を意味する。具体的には、解析処理部24は、所定個の初期観測データy(t)を適用したカルマン平滑化により候補値ηB毎に周辺尤度ρBを算定する。
図13は、遅延スプレッドσT(候補値ηB)と周辺尤度ρBとの関係を例示するグラフである。図13に例示される通り、遅延スプレッドσTの数値範囲RBを所定の間隔で区画する各境界の数値が候補値ηBとして利用される。数値範囲RBは、遅延スプレッドσTが現実的にとり得る数値の範囲に設定される。図13では、遅延スプレッドσTの下限値0.2[μs]から上限値5.0[μs]までの数値範囲RBを0.1[μs]の間隔で区画する複数の数値が候補値ηBとして例示されている。
図13から理解される通り、周辺尤度ρBは、特定の候補値ηBの近傍で最大となる。解析処理部24は、周辺尤度ρBが最大となる候補値ηB(図13の例示では0.9[μs])を遅延スプレッドσTの初期値として選択する(qB3)。すなわち、複数の初期観測データy(t)から算定される周辺尤度ρBを最大化する候補値ηBが遅延スプレッドσTの初期値として採択される。以上が第2初期化処理qBの具体例である。前述の通り、初期値設定処理QFの実行後に、第1初期化処理qAで設定された移動速度Vの初期値と第2初期化処理qBで設定された遅延スプレッドσTの初期値とを適用した図4の解析処理が実行される。
以上に説明した通り、第2実施形態では、所定値βの遅延スプレッドσTのもとで周辺尤度ρAを最大化する候補値ηAが移動速度Vの初期値として設定され、当該初期値の移動速度Vのもとで周辺尤度ρBを最大化する候補値ηBが遅延スプレッドσTの初期値として設定される。したがって、例えば移動速度Vや遅延スプレッドσTの初期値を乱数に設定する構成と比較して、解析処理によりチャネル統計量ψ(t)を高精度に推定することが可能である。
<変形例>
前述の形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、無線基地局12から端末装置14までの下りリンクの無線通信路を解析処理の対象としたが、端末装置14から無線基地局12までの上りリンクの無線通信路についても、前述の各形態と同様の構成および方法によりチャネル歪およびチャネル統計量を推定することが可能である。上りリンクの無線通信路を解析する構成では、観測データ取得部22および解析処理部24(さらにはチャネル補償部26)が無線基地局12に搭載される。
(2)第2実施形態では、第1初期化処理qAで移動速度Vの初期値を設定するとともに第2初期化処理qBで遅延スプレッドσTの初期値を設定したが、第1初期化処理qAで初期化される第1統計量と第2初期化処理qBで初期化される第2統計量との組合せは以上の例示に限定されない。例えば、移動速度V以外のチャネル統計量(例えば遅延スプレッドσT)を第1統計量として第1初期化処理qAで初期値を設定し、遅延スプレッドσT以外のチャネル統計量(例えば移動速度V)を第2統計量として第2初期化処理qBで初期値を設定することも可能である。
(3)前述の各形態では、移動速度Vおよび遅延スプレッドσTを例示したが、無線チャネル解析装置が解析するチャネル統計量は以上の例示に限定されない。例えば、サブキャリア毎のチャネルゲインに関する平均パワーをチャネル統計量として推定することも可能である。
(4)前述の各形態で例示した観測データ取得部22および解析処理部24としてコンピュータを機能させるプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体が好例であるが、半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、通信網を介した配信の形態で前述のプログラムを提供することも可能である。
100……通信システム、12……無線基地局、14……端末装置、20……無線通信部、22……観測データ取得部、24……解析処理部、26……チャネル補償部。

Claims (6)

  1. 無線通信路を介して受信された複数のパイロット信号を含む観測データを時間軸上の各スロットについて取得する観測データ取得部と、
    前記観測データ取得部が取得した観測データを適用した尤度の算定を含む粒子フィルタにより、前記無線通信路のチャネル統計量およびチャネル歪の確率分布をスロット毎に推定する解析処理部とを具備し、
    前記解析処理部は、解析対象のスロットの後方のスロットの観測データを適用したカルマン平滑化により前記解析対象のスロットにおける前記尤度を算定する
    無線チャネル解析装置。
  2. 前記解析処理部は、前記チャネル統計量の推定値と、前記解析対象のスロットの前方のスロットにおける前記チャネル歪の確率分布と、前記解析対象のスロットの後方のスロットの観測データとを適用したカルマン平滑化により、前記解析対象のスロットにおける第1尤度を前記尤度として算定する
    請求項1の無線チャネル解析装置。
  3. 前記解析処理部は、複数のスロットのうち特定スロットについてはカルマン平滑化により前記第1尤度を算定する一方、前記特定スロット以外のスロットについては、当該スロットまでの観測データを適用したカルマンフィルタにより前記第1尤度を算定する
    請求項1または請求項2の無線チャネル解析装置。
  4. 前記解析処理部は、前記粒子フィルタの複数の粒子の各々について、前記スロット毎に、
    前記チャネル統計量を当該粒子の実現値として確率分布から算定する第1処理と、
    前記第1処理で算定した前記チャネル統計量と、前記解析対象のスロットの前方のスロットにおける前記チャネル歪の確率分布と、前記解析対象のスロットの後方のスロットの観測データとを適用したカルマン平滑化により、前記解析対象のスロットにおける前記チャネル歪の確率分布を当該粒子の実現値として算定する第2処理と、
    前記第1処理で算定した前記チャネル統計量と、前記解析対象のスロットの前方のスロットにおける前記第2処理で算定された前記チャネル歪の確率分布と、当該解析対象のスロットまでの観測データとに応じた第2尤度を前記尤度として算定し、前記第2尤度から当該粒子の加重値を算定する第3処理とを実行する
    請求項1から請求項3の何れかの無線チャネル解析装置。
  5. 前記解析処理部は、
    前記第3処理において、複数のスロットのうち特定スロットについては、当該特定スロットの前方のスロットにおける前記第2処理で算定された前記チャネル歪の確率分布に応じた前記第2尤度から前記加重値を算定する一方、前記特定スロット以外のスロットについては、当該スロットまでの観測データを適用したカルマンフィルタにより算定される前記チャネル歪の確率分布に応じた前記第2尤度から前記加重値を算定する
    請求項4の無線チャネル解析装置。
  6. 前記チャネル統計量は、第1統計量および第2統計量を含み、
    前記解析処理部は、
    前記第2統計量を所定値に設定するとともに前記第1統計量を相異なる第1候補値に設定した複数の場合の各々について、前記観測データ取得部が最初に取得した所定個の観測データを適用したカルマン平滑化により周辺尤度を算定し、当該周辺尤度が最大となる前記第1候補値を前記第1統計量の初期値として選択する第1初期化処理と、
    前記第1初期化処理で選択された初期値に前記第1統計量を設定するとともに前記第2統計量を相異なる第2候補値に設定した複数の場合の各々について、前記所定個の観測データを適用したカルマン平滑化により周辺尤度を算定し、当該周辺尤度が最大となる前記第2候補値を前記第2統計量の初期値として選択する第2初期化処理とを実行する
    請求項1から請求項5の何れかの無線チャネル解析装置。
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