JP2017090243A - 回転円筒体の計測装置、基板処理装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

回転円筒体の計測装置、基板処理装置及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い精度で外周面の回転方向の移動量を計測できること。【解決手段】所定の中心線から一定半径の外周面を有する円筒体を、中心線の回りに回転させたときの外周面の回転方向の移動量を計測する回転円筒体の計測装置であって、中心線の回りに円筒体と共に回転すると共に、中心線から所定の半径位置に回転方向に沿って所定間隔で目盛が形成されたスケール部材と、中心線からみて所定方向に配置されて、スケール部材の目盛の移動を検出して、円筒体の回転方向の変位を計測する第1計測装置と、円筒体の外周面の半径の方向に関する変位、又は回転方向に関する部分的な周長の変化を、第1計測装置により計測される回転方向の変位に対応させて、外周面の回転方向の全周に渡って検出することにより、中心線から一定半径の真円に対する外周面の形状誤差に関する情報を計測する第2計測装置と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、回転円筒体の計測装置、基板処理装置及びデバイス製造方法に関する。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、下記特許文献1に開示されているような、円筒状又は円柱状のマスクを用いて基板を露光する露光装置が知られている。
円筒状又は円柱状のマスク(回転円筒体)を用いて基板を露光する場合、マスクのパターンの像を基板に良好に投影露光するために、マスクのパターンの位置情報を正確に取得する必要がある。そのため、円筒状又は円柱状のマスクの位置情報を正確に取得でき、そのマスクと基板との位置関係を正確に調整できる技術が必要である。また、回転ドラムの外周面の一部で可撓性のシート状基板を支持した状態で、シート状基板に精密な加工処理を施す場合にも、回転ドラム(回転円筒体)の周方向における位置を精度よく検出することが求められる。その種の回転円筒体の位置情報取得には、特許文献1にも示されているように、ロータリーエンコーダが使われる。エンコーダは、格子状の目盛を刻設したスケール板と目盛を読み取る検出ヘッドとで構成される。スケール板の目盛の製造誤差又は温度による伸縮等により、位置情報の読み取りに誤差が生じ、回転円筒体の周方向における位置の検出精度が低下する可能性がある。
また、回転円筒体に表面形状のゆがみ(真円からの歪)や回転円筒体の中心線と回転軸との位置ずれ(偏心)等の形状誤差があると、回転位置によって回転角度に対する回転円筒体の表面の移動量が変化する。このため、エンコーダで計測される回転円筒体の周方向における角度変化量から算出される回転円筒体の表面の周方向の移動量と、実際の移動量とに誤差が生じる可能性がある。
特開平8−213305号公報
本発明の第1の態様に従えば、所定の中心線から一定半径の外周面を有する円筒体を、前記中心線の回りに回転させたときの前記外周面の回転方向の移動量を計測する回転円筒体の計測装置であって、前記中心線の回りに前記円筒体と共に回転すると共に、前記中心線から所定の半径位置に前記回転方向に沿って所定間隔で目盛が形成されたスケール部材と、前記中心線からみて所定方向に配置されて、前記スケール部材の目盛の移動を検出して、前記円筒体の回転方向の変位を計測する第1計測装置と、前記円筒体の外周面の前記半径の方向に関する変位、又は回転方向に関する部分的な周長の変化を、前記第1計測装置により計測される前記回転方向の変位に対応させて、前記外周面の回転方向の全周に渡って検出することにより、前記中心線から一定半径の真円に対する前記外周面の形状誤差に関する情報を計測する第2計測装置と、を有する回転円筒体の計測装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、上述の回転円筒体の計測装置と、前記円筒体の外周面の一部に沿って、可撓性の長尺のシート基板の一部分を巻き付けた状態で、前記円筒体を前記軸の回りに回転することによって前記シート基板を搬送する駆動部と、前記円筒体に巻き付けられた前記シート基板の一部分のうち、前記円筒体の外周面の周方向における特定位置で、前記シート基板に所定の処理を施す処理部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、上述の基板処理装置の処理部は、前記シート基板に所定のパターンの形状に応じた光エネルギーを照射する露光装置であり、表面に感光性機能層が形成された前記基板を、前記回転円筒体の外周面の一部で支持した状態で、前記長尺方向に送ることと、前記シート基板の前記回転円筒体で支持される部分に向けて、前記露光装置からの光エネルギーを照射することと、該照射された前記シート基板を処理することにより、前記シート基板上に所定のパターンの形状に対応した層を形成することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
図1は、実施形態に係る基板処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図2は、図1の露光装置の主要部の配置を示す斜視図である。 図3は、図2における照明領域及び投影領域の配置を示す模式図である。 図4は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される投影光学系の構成を示す模式図である。 図5は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される回転ドラムの斜視図である。 図6は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための斜視図である。 図7は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための構成図である。 図8は、実施形態に係るスケール円盤を回転中心線方向に見た、読み取り装置の位置を説明するための説明図である。 図9は、スケールの拡大図である。 図10は、スケールとエンコーダヘッドとの位置関係を示す模式図である。 図11は、外周面の移動量を補正する手順を示すフローチャートである。 図12は、スケールの補正マップの一例を示す図である。 図13は、外周面の移動量を補正する手順を説明するための概念図である。 図14は、外周面の移動量を補正する手順を説明するための概念図である。 図15Aは、一対のエンコーダヘッドからこれらの読み取り値を取得する際のタイミングを示す概念図である。 図15Bは、一対のエンコーダヘッドからこれらの読み取り値を取得する際のタイミングを示す概念図である。 図16は、外周面の移動量を補正する手順を示すフローチャートである。 図17は、基板処理装置(露光装置)の機能を説明するための概念図である。 図18は、基板処理装置(露光装置)の機能を説明するための概念図である。 図19は、スケール円盤の真円度を調整する真円度調整機構を説明するための説明図である。 図20は、スケール円盤の真円度を調整する真円度調整機構を説明するための説明図である。 図21は、実施形態に係る基板処理装置(露光装置)を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法の手順を示すフローチャートである。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
図1は、実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。第1実施形態の基板処理装置は、基板Pに露光処理を施す露光装置EXであり、露光装置EXは、露光後の基板Pに各種処理を施してデバイスを製造するデバイス製造システム1に組み込まれている。先ず、デバイス製造システム1について説明する。
<デバイス製造システム>
デバイス製造システム1は、デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレーを製造するライン(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)である。フレキシブル・ディスプレーとしては、例えば有機ELディスプレー等がある。このデバイス製造システム1は、可撓性(フレキシブル)の基板Pをロール状に巻回した図示しない供給用ロールから、該基板Pが送り出され、送り出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、処理後の基板Pを可撓性のデバイスとして図示しない回収用ロールに巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式となっている。第1実施形態のデバイス製造システム1では、フィルム状のシートである基板Pが供給用ロールから送り出され、供給用ロールから送り出された基板Pが、順次、プロセス装置U1、露光装置EX、プロセス装置U2を経て、回収用ロールに巻き取られるまでの例を示している。ここで、デバイス製造システム1の処理対象となる基板Pについて説明する。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1または2以上を含んでいる。
基板Pは、例えば、基板Pに施される各種処理において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。熱膨張係数は、例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって、プロセス温度等に応じた閾値よりも小さく設定されていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルムや箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。
このように構成された基板Pは、ロール状に巻回されることで供給用ロールとなり、この供給用ロールがデバイス製造システム1に装着される。供給用ロールが装着されたデバイス製造システム1は、供給用ロールから送り出される基板Pに対してデバイスを製造するための各種の処理を繰り返し実行する。このため、処理後の基板Pは複数のデバイスが連なった状態となる。つまり供給用ロールから送り出される基板Pは、多面取り用の基板となっている。なお、基板Pは予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは表面に精密パターニングの為の微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでもよい。
処理後の基板Pは、ロール状に巻回されることで回収用ロールとして回収される。回収用ロールは、図示しないダイシング装置に装着される。回収用ロールが装着されたダイシング装置は、処理後の基板Pを、デバイスごとに分割(ダイシング)することで、複数個のデバイスにする。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺となる方向)の寸法が10m以上である。なお、基板Pの寸法は、上記した寸法に限定されない。
引き続き、図1を参照し、デバイス製造システム1について説明する。デバイス製造システム1は、プロセス装置U1と、露光装置EXと、プロセス装置U2とを備える。なお、図1では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっている。X方向は、水平面内において、プロセス装置U1から露光装置EXを経てプロセス装置U2へ向かう方向である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板Pの幅方向となっている。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(鉛直方向)である。
プロセス装置U1は、露光装置EXで露光処理される基板Pに対して前工程の処理(前処理)を行う。プロセス装置U1は、前処理を行った基板Pを露光装置EXへ向けて送る。このとき、露光装置EXへ送られる基板Pは、その表面に感光性機能層(光感応層)が形成された基板(感光基板)Pとなっている。
ここで、感光性機能層は、溶液として基板P上に塗布され、乾燥することによって層(膜)となる。感光性機能層の典型的なものはフォトレジストであるが、現像処理不要な材料として、紫外線の照射を受けた部分の親撥液性が改質される感光性シランカップリング材(SAM)、或いは紫外線の照射を受けた部分にメッキ還元基が露呈する感光性メッキ還元材等がある。感光性機能層として感光性シランカップリング材を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光されたパターン部分が撥液性から親液性に改質される為、親液性となった部分の上に導電性インク(銀や銅等の導電性ナノ粒子を含有するインク)を選択塗布し、パターン層を形成する。感光性機能層として、感光性メッキ還元材を用いる場合は、基板上の紫外線で露光されたパターン部分にメッキ還元基が露呈する為、露光後、基板を直ちにパラジウムイオン等を含むメッキ液中に一定時間浸漬して無電解メッキすることで、パラジウムによるパターン層が形成(析出)される。
露光装置EXは、プロセス装置U1から供給された基板Pに対して、ディスプレー用の回路または配線等のパターンを描画している。詳細は後述するが、この露光装置EXは、円筒マスクDMの回転と可撓性の基板Pの送り(基板Pを支持する回転ドラムDRの回転)とを同期して駆動させつつ、円筒マスクDMに形成されているパターンの像を基板Pに投影する。
プロセス装置U2は、露光装置EXで露光処理された基板Pに対しての後工程の処理(後処理)を行うことで、露光処理が行われた基板P上にデバイスのパターン層を形成する。プロセス装置U2は、感光性機能層がフォトレジストの場合は現像装置であり、感光性機能層が感光性メッキ還元材の場合は無電解メッキ装置である。
図1から図4を用いて、露光装置EXの構成について説明する。図2は、図1の露光装置の主要部の配置を示す斜視図である。図3は、図2における照明領域及び投影領域の配置を示す模式図である。図4は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される投影光学系の構成を示す模式図である。
図1及び図2に示すように、基板処理装置11は、露光装置(処理部)EXと、搬送装置9と、を含む。また、基板処理装置11は、温調チャンバーEVC内に格納されている。温調チャンバーEVCは、パッシブまたはアクティブな防振ユニットSU1,SU2を介して製造工場の設置面Eに設置される。防振ユニットSU1,SU2は、設置面E上に設けられており、設置面Eからの振動を低減する。温調チャンバーEVCは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板Pの温度による形状変化を抑制している。
露光装置EXは、いわゆる走査露光装置であり、円筒マスクDMの回転と可撓性の基板Pの送りとを同期して駆動させつつ、円筒マスクDMに形成されているパターンの像を、投影倍率が等倍(×1)の投影モジュール(投影光学系)PL(PL1〜PL6)を介して基板Pに投影する。なお、図2に示す露光装置EXは、XYZ直交座標系のY軸を、回転円筒体としての第1ドラム部材21の回転中心線AX1と平行に設定している。同様に、露光装置EXは、XYZ直交座標系のY軸を、回転円筒体としての第2ドラム部材DRの回転中心線AX2と平行に設定している。なお、露光装置EXの構成については、後述する。
搬送装置9は、前工程のプロセス装置U1から搬送される基板Pを、後工程のプロセス装置U2に所定の速度で搬送している。搬送装置9は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、エッジポジションコントローラEPC、駆動ローラDR4、テンション調整ローラRT1、第2ドラム部材DR、テンション調整ローラRT2、駆動ローラDR6、及び駆動ローラDR7を有している。
エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置U1から搬送される基板Pの幅方向における位置を調整する。エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置U1から送られる基板Pの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲に収まるように、基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を修正する。
駆動ローラDR4は、エッジポジションコントローラEPCから搬送される基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向の下流側に送り出すことで、基板Pを第2ドラム部材(回転ドラム)DRへ向けて搬送する。第2ドラム部材DRは、基板P上でパターン露光される部分を円筒面状に支持しつつ、Y方向に延びる回転中心線AX2を中心として、回転中心線AX2の回りに回転することで、基板Pを搬送する。2組のテンション調整ローラRT1,RT2は、第2ドラム部材DRに巻き付けられて支持される基板Pに、所定のテンションを与えている。2組の駆動ローラDR6,DR7は、基板Pの搬送方向に所定の間隔を空けて配置されており、露光後の基板Pに所定のたるみ(あそび)DLを与えている。駆動ローラDR6は、搬送される基板Pの上流側を挟持して回転し、駆動ローラDR7は、搬送される基板Pの下流側を挟持して回転することで、基板Pをプロセス装置U2へ向けて搬送する。このとき、基板Pは、たるみDLが与えられているため、駆動ローラR6よりも搬送方向の下流側において生ずる基板Pの搬送速度の変動を吸収でき、搬送速度の変動による基板Pへの露光処理の影響を縁切りすることができる。
次に、露光装置EXについて説明する。図2に示すように、露光装置EXは、マスク保持装置12、照明機構IU、投影モジュールPL及び制御装置14を備える。露光装置EXは、マスク保持装置12に保持された円筒マスクDMを回転移動させるとともに、搬送装置9によって基板Pを搬送する。照明機構IUともにマスク保持装置12に保持された円筒マスクDMの一部(照明領域IR)を、照明光束EL1によって均一な明るさで照明する。投影モジュールPLは、円筒マスクDM上の照明領域IRにおけるパターンの像を、搬送装置9によって搬送されている基板Pの一部(投影領域PA)に投影する。円筒マスクDMの移動にともなって、照明領域IRに配置される円筒マスクDM上の部位が変化する。また基板Pの移動にともなって、投影領域PAに配置される基板P上の部位が変化する。このようにすることで、円筒マスクDMの表面に形成された所定のパターン(マスクパターン)の像が基板Pに投影される。
制御装置14は、露光装置EXの各部を制御し、各部に処理を実行させる。また、本実施形態において、制御装置14は、搬送装置9を制御する。制御装置14は、上述したデバイス製造システムの複数の基板処理装置を統括して制御する上位制御装置の一部又は全部であってもよい。また、制御装置14は、上位制御装置に制御され、かつ上位制御装置とは別の装置であってもよい。制御装置14は、例えば、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、各種メモリーやOS(Operating System)及び周辺機器等のハードウェアを含む。基板処理装置11の各部の動作の過程は、コンピュータプログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、各種処理が行われる。
コンピュータシステムは、インターネット又はイントラネットシステムに接続可能な場合、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体及びコンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を含む。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にコンピュータプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。また、コンピュータプログラムは、基板処理装置11の機能の一部を実現するためのものでもよく、基板処理装置11の機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものでもよい。上位制御装置は、制御装置14と同様に、コンピュータシステムを利用して実現することができる。
図2に示すように、マスク保持装置12は、円筒マスクDMを保持する第1ドラム部材21、第1ドラム部材21を支持するガイドローラ23、制御装置14の制御指令により第1駆動部26が第1ドラム部材21を駆動する駆動ローラ24及び第1ドラム部材21の位置を検出する第1検出器25を備える。
第1ドラム部材21は、所定の軸となる回転中心線AX1(以下、適宜第1中心軸AX1ともいう)から一定の半径で湾曲した曲面を有する回転円筒体であって、回転中心線AX1の周りを回転する。第1ドラム部材21は、円筒マスクDMの照明領域IRが配置される第1面P1を形成する。本実施形態において、第1面P1は、線分(母線)を、この線分に平行な軸(第1中心軸AX1)周りに回転して形成される面(以下、円筒面という)を含む。円筒面は、例えば、円筒の外周面又は円柱の外周面等である。第1ドラム部材21は、例えばガラス又は石英等で製造され、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)が第1面P1となる。すなわち、本実施形態において、円筒マスクDMの照明領域IRは、回転中心線AX1から一定の半径r1を持つ円筒面状に湾曲している。このように、第1ドラム部材21は、回転中心線AX1から一定半径で湾曲した曲面を有している。そして、第1ドラム部材21は、駆動ローラ24に駆動されて、回転中心線AX1の周りを回転することができる。
円筒マスクDMは、例えば平坦性が高い短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100μm〜500μm)の一方の面に、クロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成される。マスク保持装置12は、円筒マスクDMを第1ドラム部材21の外周面の曲面に倣って湾曲させ、この曲面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。円筒マスクDMは、パターンが形成されていないパターン非形成領域を有し、パターン非形成領域が第1ドラム部材21に取り付けられている。円筒マスクDMは、第1ドラム部材21に対して取り付け及び取り外しが可能である。
なお、円筒マスクDMを極薄ガラス板で構成し、その円筒マスクDMを透明円筒母材による第1ドラム部材21に巻き付ける代わりに、第1ドラム部材21を石英等の透明円筒母材で製造し、その外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成してもよい。この場合も、透明な第1ドラム部材21が円筒マスクDMのパターンの支持部材として機能する。
第1検出器25は、第1ドラム部材21の回転位置を光学的に検出するもので、例えばロータリーエンコーダ等で構成される。第1検出器25は、検出した第1ドラム部材21の回転位置を示す情報、例えば、後述するエンコーダヘッドからの2相信号等を制御装置14に出力する。電動モーター等のアクチュエータ含む第1駆動部26は、制御装置14から入力される制御信号にしたがって、駆動ローラ24を回転させるためのトルク及び回転速度を調整する。制御装置14は、第1検出器25による検出結果に基づいて第1駆動部26を制御することによって、第1ドラム部材21の回転位置を制御する。そして、制御装置14は、第1ドラム部材21に保持されている円筒マスクDMの回転位置と回転速度の一方又は双方を制御する。
搬送装置9は、上述した駆動ローラDR4、テンション調整ローラRT1(以下、第1ガイド部材とも呼ぶ)、基板Pの投影領域PAが配置される第2面P2を形成する第2ドラム部材DR、テンション調整ローラRT2(以下、第2ガイド部材とも呼ぶ)、駆動ローラDR6に加え、第2検出器(回転円筒体の計測装置)35及び第2駆動部36を備える。
本実施形態において、基板Pの搬送経路の上流、すなわち、基板Pの搬送(移動)方向とは反対側から駆動ローラDR4へ搬送されてきた基板Pは、駆動ローラDR4を経由して第1ガイド部材RT1へ搬送される。第1ガイド部材RT1を経由した基板Pは、半径r2の円筒状又は円柱状の第2ドラム部材DRの表面に支持されて、第2ガイド部材RT2へ搬送される。第2ガイド部材RT2を経由した基板Pは、搬送経路の下流へ搬送される。なお、第2ドラム部材DRの回転中心線AX2と、駆動ローラDR4、DR6の各回転中心線とは、いずれもY軸と平行になるように設定される。
第1ガイド部材RT1及び第2ガイド部材RT2は、例えば、基板Pの搬送方向に移動することによって、搬送経路において基板Pに働くテンション等を調整する。また、第1ガイド部材RT1(及び駆動ローラDR4)と第2ガイド部材RT2(及び駆動ローラDR6)とは、例えば、基板Pの幅方向(基板Pの搬送方向と直交する方向であり、Y方向)に移動可能とすることによって、第2ドラム部材DRの外周に巻き付く基板PのY方向の位置等を調整することができる。なお、搬送装置9は、投影モジュールPLの投影領域PAに沿って基板Pを搬送可能であればよく、搬送装置9の構成は適宜変更することができる。
第2ドラム部材DRは、所定の軸となる回転中心線AX2(以下、適宜第2中心軸AX2ともいう)から一定の半径で湾曲した曲面を有する円筒体であって、第2中心軸AX2の周りを回転する回転ドラム(回転円筒体)である。第2ドラム部材DRは、第2面(支持面)P2を形成する。第2面P2は、投影モジュールPLからの結像光束が投射される基板Pの一部分であって、投影領域PAを含む部分を円弧状(円筒状)に支持する。本実施形態において、第2ドラム部材DRは、搬送装置9の一部であるとともに、露光対象の基板Pを支持する支持部材(基板ステージ)を兼ねている。すなわち、第2ドラム部材DRは、露光装置EXの一部であってもよい。このように、第2ドラム部材DRは、その回転中心線AX2(第2中心軸AX2)の周りに回転可能であり、基板Pは、第2ドラム部材DR上の外周面(円筒面)に倣って円筒面状に湾曲し、湾曲した部分の一部に投影領域PAが配置される。
本実施形態において、第2ドラム部材DRは、電動モーター等のアクチュエータを含む第2駆動部36から供給されるトルクによって回転する。第2検出器35は、例えばロータリーエンコーダ等で構成され、第2ドラム部材DRの回転位置を光学的に検出する。第2検出器35は、検出した第2ドラム部材DRの回転位置を示す情報(例えば、後述するエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5からの2相信号等)を制御装置14に出力する。第2駆動部36は、制御装置14から供給される制御信号にしたがって、第2ドラム部材DRを回転させるトルク及び回転速度を調整する。制御装置14は、第2検出器35による検出結果に基づいて第2駆動部36を制御することによって、第2ドラム部材DRの回転位置を制御し、第1ドラム部材21(円筒マスクDM)と第2ドラム部材DRとを同期移動(同期回転)させる。なお、第2検出器35の詳細については後述する。
露光装置EXは、いわゆるマルチレンズ方式の投影モジュールPLを搭載することを想定した露光装置である。投影モジュールPLは、円筒マスクDMのパターンにおける一部の像を投影する複数の投影モジュールを備える。例えば、図2では、中心面P3に対して左側(基板Pの搬送方向とは反対側)に3台の投影モジュール(投影光学系)PL1、PL3、PL5がY方向に一定間隔で配置され、中心面P3の右側(基板Pの搬送方向側)にも3つの投影モジュール(投影光学系)PL2、PL4、PL6がY方向に一定間隔で配置される。
このようなマルチレンズ方式の露光装置EXでは、複数の投影モジュールPL1〜PL6によって露光された領域(投影領域PA1〜PA6)のY方向における端部を走査によって互いに重ね合わせることによって、所望のパターンの全体像を投影する。このような露光装置EXは、円筒マスクDM上のパターンのY方向における寸法が大きくなり、必然的にY方向の幅が大きな基板Pを扱う必要性が生じた場合でも、投影モジュールPLと、投影モジュールPLに対応する照明機構IU側のモジュールとをY方向に増設するだけでよいので、容易にパネルサイズ(基板Pの幅)の大型化に対応できるという利点がある。
なお、露光装置EXは、マルチレンズ方式でなくてもよい。例えば、基板Pの幅方向の寸法がある程度小さい場合等に、露光装置EXは、1台の投影モジュールによってパターンの全幅の像を基板Pに投影してもよい。また、複数の投影モジュールPL1〜PL6は、それぞれ、1個のデバイスに対応するパターンを投影してもよい。すなわち、露光装置EXは、複数個のデバイス用のパターンを、複数の投影モジュールによって並行して投影してもよい。
照明機構IUは、光源装置13及び照明光学系を備える。照明光学系は、複数の投影モジュールPL1〜PL6の各々に対応してY軸方向に並んだ複数(例えば6つ)の照明モジュールILを備える。光源装置は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、レーザーダイオード又は発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光源装置が射出する照明光は、例えばランプ光源から射出される輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等である。光源装置から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバー等の導光部材を介して、複数の照明モジュールILに振り分けられる。
複数の照明モジュールILのそれぞれは、レンズ等の複数の光学部材を含む。本実施形態において、光源装置から出射して複数の照明モジュールILのいずれかを通る光を照明光束EL1と称する。複数の照明モジュールILのそれぞれは、例えばインテグレータ光学系、ロッドレンズ、フライアイレンズ等を含み、均一な照度分布の照明光束EL1によって照明領域IRを照明する。本実施形態において、複数の照明モジュールILは、円筒マスクDMの内側に配置されている。複数の照明モジュールILのそれぞれは、円筒マスクDMの内側から円筒マスクDMの外周面に形成されたマスクパターンの各照明領域IRを照明する。
図3は、本実施形態における照明領域IR及び投影領域PAの配置を示す図である。なお、図3には、第1ドラム部材21に配置された円筒マスクDM上の照明領域IRを−Z側から見た平面図(図3中の左側の図)と、第2ドラム部材DRに配置された基板P上の投影領域PAを+Z側から見た平面図(図3中の右側の図)とが図示されている。図3中の符号Xsは、第1ドラム部材21又は第2ドラム部材DRの回転方向(移動方向)を示す。
複数の照明モジュールILは、それぞれ、円筒マスクDM上の第1から第6照明領域IR1〜IR6を照明する。例えば、第1照明モジュールILは、第1照明領域IR1を照明し、第2照明モジュールILは第2照明領域IR2を照明する。
第1照明領域IR1は、Y方向に細長い台形状の領域として説明するが、投影光学系(投影モジュール)PLのように、中間像面を形成する投影光学系の場合は、その中間像の位置に台形開口を有する視野絞り板を配置できる。このため、第1照明領域IR1は、その台形開口を包含する長方形の領域としてもよい。第3照明領域IR3及び第5照明領域IR5は、それぞれ、第1照明領域IR1と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。また、第2照明領域IR2は、中心面P3に関して第1照明領域IR1と対称的な台形状(又は長方形)の領域である。第4照明領域IR4及び第6照明領域IR6は、それぞれ、第2照明領域IR2と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。
図3に示すように、第1から第6照明領域IR1〜IR6のそれぞれは、第1面P1の周方向に沿って見た場合に、隣り合う台形状見照明領域の斜辺部の三角部が重なるように(オーバーラップするように)配置されている。そのため、例えば、第1ドラム部材21の回転によって第1照明領域IR1を通過する円筒マスクDM上の第1領域A1は、第1ドラム部材21の回転によって第2照明領域IR2を通過する円筒マスクDM上の第2領域A2と一部重複する。
本実施形態において、円筒マスクDMは、パターンが形成されているパターン形成領域A3と、パターンが形成されていないパターン非形成領域A4とを含む。パターン非形成領域A4は、パターン形成領域A3を枠状に囲むように配置されており、照明光束EL1を遮光する特性を有する。円筒マスクDMのパターン形成領域A3は、第1ドラム部材21の回転にともなって移動方向Xsに移動し、パターン形成領域A3のうちのY軸方向における各部分領域は、第1から第6照明領域IR1〜IR6のいずれかを通過する。すなわち、第1から第6照明領域IR1〜IR6は、パターン形成領域A3のY軸方向の全幅をカバーするように配置されている。
図2及び図3に示すように、Y軸方向に並ぶ複数の投影モジュールPL1〜PL6のそれぞれは、第1〜第6照明モジュールILのそれぞれと1対1で対応しており、対応する照明モジュールによって照明される照明領域IR内に現れる円筒マスクDMの部分的なパターンの像を、基板P上の各投影領域PAに投影する。例えば、第1投影モジュールPL1は、第1照明モジュールILに対応し、第1照明モジュールILによって照明される第1照明領域IR1(図3参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第1投影領域PA1に投影する。第3投影モジュールPL3、第5投影モジュールPL5は、それぞれ、第3〜第5照明モジュールILと対応している。第3投影モジュールPL3及び第5投影モジュールPL5は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1と重なる位置に配置されている。
また、第2投影モジュールPL2は、第2照明モジュールILに対応し、第2照明モジュールILによって照明される第2照明領域IR2(図3参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第2投影領域PA2に投影する。第2投影モジュールPL2は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1に対して中心面P3を挟んで対称的な位置に配置されている。
第4投影モジュールPL4、第6投影モジュールPL6は、それぞれ、第4、第6照明モジュールILと対応して配置され、第4投影モジュールPL4及び第6投影モジュールPL6は、Y軸方向から見て、第2投影モジュールPL2と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、照明機構IUの各照明モジュールILから円筒マスクDM上の各照明領域IR1〜IR6に達する光を照明光束EL1とする。また、各照明領域IR1〜IR6中に現れる円筒マスクDMのパターンに応じた強度分布変調を受けて各投影モジュールPL1〜PL6に入射して各投影領域PA1〜PA6に達する光を、結像光束EL2とする。そして、各投影領域PA1〜PA6に達する結像光束EL2のうち、投影領域PA1〜PA6の各中心点を通る主光線は、図2に示すように、第2ドラム部材DRの第2中心軸AX2から見て、中心面P3を挟んで周方向で角度θの位置(特定位置)にそれぞれ配置される。
図3に示すように、第1照明領域IR1におけるパターンの像は第1投影領域PA1に投影され、第3照明領域IR3におけるパターンの像は、第3投影領域PA3に投影され、第5照明領域IR5におけるパターンの像は、第5投影領域PA5に投影される。本実施形態において、第1投影領域PA1、第3投影領域PA3及び第5投影領域PA5は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
また、第2照明領域IR2におけるパターンの像は、第2投影領域PA2に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2は、Y軸方向から見て、中心面P3に関して第1投影領域PA1と対称的に配置される。また、第4照明領域IR4におけるパターンの像は、第4投影領域PA4に投影され、第6照明領域IR6におけるパターンの像は、第6投影領域PA6に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2、第4投影領域PA4及び第6投影領域PA6は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
第1から第6投影領域PA1〜PA6のそれぞれは、第2中心軸AX2に平行な方向において隣り合う投影領域(奇数番目と偶数番目)同士の端部(台形の三角部分)が、第2面P2の周方向において重なるように配置されている。そのため、例えば、第2ドラム部材DRの回転によって第1投影領域PA1を通過する基板P上の第3領域A5は、第2ドラム部材DRの回転によって第2投影領域PA2を通過する基板P上の第4領域A6と一部重複する。第1投影領域PA1と第2投影領域PA2は、第3領域A5と第4領域A6が重複する領域での露光量が、重複しない領域の露光量と実質的に同一となるように、それぞれの形状等が設定されている。
次に、本実施形態の投影光学系PLの詳細構成について図4を参照して説明する。なお、本実施形態において、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれは、第1投影モジュールPL1と同様の構成である。このため、投影光学系PLを代表して、第1投影モジュールPL1の構成について説明し、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれの説明は省略する。
図4に示す第1投影モジュールPL1は、第1照明領域IR1に配置された円筒マスクDMのパターンの像を中間像面P7に結像する第1光学系41と、第1光学系41が形成した中間像の少なくとも一部を基板Pの第1投影領域PA1に再結像する第2光学系42と、中間像が形成される中間像面P7に配置された第1視野絞り43とを備える。
また、第1投影モジュールPL1は、フォーカス補正光学部材44、像シフト補正光学部材45、ローテーション補正機構46及び倍率補正用光学部材47を備えている。フォーカス補正光学部材44は、基板P上に形成されるマスクのパターン像(以下、投影像という)のフォーカス状態を微調整するフォーカス調整装置である。また、像シフト補正光学部材45は、投影像を像面内で微少に横シフトさせるシフト調整装置である。倍率補正用光学部材47は、投影像の倍率を微少補正するシフト調整装置である。ローテーション補正機構46は、投影像を像面内で微少回転させるシフト調整装置である。
円筒マスクDMのパターンからの結像光束EL2は、第1照明領域IR1から法線方向(D1)に出射し、フォーカス補正光学部材44を通って像シフト補正光学部材45に入射する。像シフト補正光学部材45を透過した結像光束EL2は、第1光学系41の要素である第1偏向部材50の第1反射面(平面鏡)p4で反射され、第1レンズ群51を通って第1凹面鏡52で反射され、再び第1レンズ群51を通って第1偏向部材50の第2反射面(平面鏡)p5で反射されて、第1視野絞り43に入射する。第1視野絞り43を通った結像光束EL2は、第2光学系42の要素である第2偏向部材57の第3反射面(平面鏡)p8で反射され、第2レンズ群58を通って第2凹面鏡59で反射され、再び第2レンズ群58を通って第2偏向部材57の第4反射面(平面鏡)p9で反射されて、倍率補正用光学部材47に入射する。倍率補正用光学部材47から出射した結像光束EL2は、基板P上の第1投影領域PA1に入射し、第1照明領域IR1内に現れるパターンの像が第1投影領域PA1に等倍(×1)で投影される。
図2に示す円筒マスクDMの半径をr1とし、第2ドラム部材DRに巻き付いた基板Pの円筒状の表面における半径をr2として、半径r1と半径r2とを等しくした場合、各投影モジュールPL1〜PL6のマスク側における結像光束EL2の主光線は、円筒マスクDMの中心軸AX1を通るように傾けられる。その傾き角は、基板側における結像光束EL2の主光線の傾き角度θ(中心面P3に対して±θ)と同じになる。
上述した傾き角度θを与えるため、図4に示した、光軸AX3に対する第1偏向部材50の第1反射面p4の角度θ1を45°よりもΔθ1だけ小さくし、光軸AX4に対する第2偏向部材57の第4反射面p9の角度θ4を45°よりもΔθ4だけ小さくする。Δθ1とΔθ4とは、図2中に示した角度θに対して、Δθ1=Δθ4=θ/2の関係に設定される。
図5は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される回転ドラムの斜視図である。図6は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための斜視図である。図7は、図2の基板処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための構成図である。図8は、実施形態に係るスケール円盤を回転中心線方向に見た、読み取り装置の位置を説明するための説明図である。なお、図5においては、便宜上、第2から第4投影領域PA2〜PA4のみを図示し、第1、第5、第6投影領域PA1、PA5、PA6の図示を省略している。
図2に示す第2検出器(回転円筒体の計測装置)35は、第2ドラム部材DRの位置(より具体的には回転位置)及び第2ドラム部材DRの外表面の周方向の移動距離を光学的に検出するものであって、スケール部材としての高真円度のスケール円盤(円盤)SDと、読み取り部としてのエンコーダヘッド(第1計測装置)EN1、EN2、EN3、EN4、EN5と、変位センサ(第2計測装置)RF1、RF2、RF3、RF4、RF5と、を含む。
ここで、第2検出器35は、スケール円盤SDと、エンコーダヘッド(第1計測装置)EN1、EN2、EN3、EN4、EN5と、変位センサ(第2計測装置)RF1、RF2、RF3、RF4、RF5と、が1つのユニットとなり、第2ドラム部材DRの回転軸STと直交する第2ドラム部材DRの両方の端部に配置されている。具体的には、第2検出器35は、第2ドラム部材DRの一方の端部に配置されて、スケール円盤SDaと、エンコーダヘッドEN1a、EN2a、EN3a、EN4a、EN5aと、変位センサRF1a、RF2a、RF3a、RF4a、RF5aとを含む第1のユニットと、図5では不図示であるが、以降の図7に示すように第2ドラム部材DRの他方の端部に配置されて、スケール円盤(図円盤)SDbと、エンコーダヘッドEN1b、EN2b、EN3b、EN4b、EN5bと、変位センサRF1b、RF2b、RF3b、RF4b、RF5bとを含む第2のユニットとを有する。なお、本実施形態の第2検出器35は、第2ドラム部材DRの両方の端部に位置したが、1つのユニットを第2ドラム部材DRの少なくとも一方の端部に配置していればよい。
スケール円盤SDは、第2ドラム部材DRの回転軸STと直交する第2ドラム部材DRの両方の端部に固定されている。このため、スケール円盤SDは、回転中心線AX2回りに回転軸STとともに一体的に回転する。
スケール円盤SDの外周面には、回転円筒体の周方向における位置を検出するための位置検出用の目盛としてのスケール(刻線)GPが複数刻設されている。複数のスケールGPは、第2ドラム部材DRが回転する方向に沿って環状に一定ピッチの回折格子状に配列され、かつ第2ドラム部材DRとともに回転軸ST(第2中心軸AX2)の周囲を回転する。スケールGPは、少なくとも第2ドラム部材DRの周方向における位置変化を計測するためのものである。また、図5(及び以降の図6、図7)では、スケール円盤SDの外周面の半径(直径)を第2ドラム部材DRの外周面の半径(直径)よりも小さく表した。しかしながら、両者の半径(直径)は、第2ドラム部材DRの外周面の周方向の移動量(または移動位置)を精密に計測する為に、極力揃えておくのが望ましく、例えば、両者の半径(直径)の差分は±5%以内に設定される。
エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、回転軸ST(第2中心軸AX2)から見てスケールGPの周囲に、スケールGPと対向するように配置されて、スケールGPを非接触で読み取ることができる。また、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、第2ドラム部材DRの周方向において異なる位置に配置されている。
エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、スケールGPの接線方向(XZ面内)における変位の変動に対して計測感度(検出感度)を有する読み取り装置である。図5に示すように、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5の設置方位(回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向)を設置方位線Le1、Le2、Le3、Le4、Le5で表す場合、図8に示すように、設置方位線Le1、Le2が、中心面P3に対して角度±θ°になるように、エンコーダヘッドEN1、EN2が配置される。なお、本実施形態では、角度θは15°であるが、これに限定されるものではない。
図4に示す投影モジュールPL1〜PL6は、基板Pを被処理物体とし、基板Pに光を照射する照射処理を施す露光装置EXの処理部である。露光装置EXは、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線を基板Pに入射させる。投影モジュールPL1、PL3、PL5が第1処理部となり、投影モジュールPL2、PL4、PL6が第2処理部となり、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線が基板Pに入射するそれぞれの位置が、基板Pに光を照射する照射処理を施す特定位置となる。
特定位置は、第2ドラム部材DRの第2中心軸AX2から見て、第2ドラム部材DRの曲面に支持された基板Pにおいて、中心面P3を挟んで周方向に向かって角度±θの位置である。エンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1は、奇数番目の投影モジュールPL1、PL3、PL5の各投影領域(投影視野)PA1、PA3、PA5の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角度θと一致する。エンコーダヘッドEN2の設置方位線Le2は、偶数番目の投影モジュールPL2、PL4、PL6の各投影領域(投影視野)PA2、PA4、PA6の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角度θと一致する。このため、エンコーダヘッドEN1、EN2は、特定位置と第2中心軸AX2とを結ぶ方向に位置するスケールGPを読み取ることになる。
エンコーダヘッドEN4は、エンコーダヘッドEN1よりも基板Pの搬送方向の反対側、つまり露光位置(投影領域)の手前に配置されている。そして、エンコーダヘッドEN4は、設置方位線Le4上に配置される。設置方位線Le4は、エンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1を、基板Pの搬送方向の反対側に向かって回転中心線AX2の軸回りにほぼ90°回転した位置にある。また、エンコーダヘッドEN5は、設置方位線Le5上に配置される。設置方位線Le5は、エンコーダヘッドEN2の設置方位線Le2を、基板Pの送り方向の後方側に向かって回転中心線AX2の軸回りにほぼ90°回転した位置にある。
エンコーダヘッドEN4及びEN5を上述したように配置することで、スケールGPを読み取るエンコーダヘッドEN4、EN5が配置される設置方位線Le4、Le5の方向が、XZ面内かつ回転中心線AX2から見たときに、基板Pに対して結像光束EL2の主光線が基板Pの特定位置に入射する方向とほぼ直交することになる。このため、回転軸STを支持する軸受(ベアリング)の僅かなガタ(2μm〜3μm程度)によって第2ドラム部材DRがZ方向にシフトした場合でも、このシフトによって投影領域PA1〜PA6内で発生し得る結像光束EL2に沿う方向に関する位置誤差を、エンコーダヘッドEN1、EN2によって高精度に計測することができる。
また、エンコーダヘッドEN3は、設置方位線Le3上に配置される。設置方位線Le3は、エンコーダヘッドEN2の設置方位線Le2が回転中心線AX2の軸回りにほぼ120°回転し、かつエンコーダヘッドEN4の設置方位線Le4が回転中心線AX2の軸回りに、設置方位線Le2の回転方向とは反対方向にほぼ120°回転した位置にある。
スケール部材であるスケール円盤SDは、例えば、低熱膨張率の金属、ガラス又はセラミックス等を母材とするのが好ましい。スケール円盤SDは、計測の分解能を高めるために、なるべく大きな直径(例えば直径20cm以上)になるように作られる。図5では、第2ドラム部材DRの直径に対してスケール円盤SDの直径は小さく図示されているが、第2ドラム部材DRの外周面のうち、基板Pが巻き付けられる外周面の直径と、スケール円盤SDのスケールGPの直径とを揃える(ほぼ一致させる)ことで、いわゆる、計測アッベ誤差をさらに小さくすることができる。
スケール円盤SDの周方向に刻設されるスケールGPの最小ピッチは、スケール円盤SDを加工する目盛刻線装置等の性能によって制限されている。このため、スケール円盤SDの直径を大きくすれば、それに応じて最小ピッチに対応した角度計測分解能を高めることができる。スケールGPを読み取るエンコーダヘッドEN1、EN2が配置される設置方位線Le1、Le2の方向を、回転中心線AX2から見たときに、基板Pに対して結像光束EL2の主光線が基板Pに入射する方向と同一にすることにより、例えば、回転軸STを支持する軸受(ベアリング)の僅かなガタ(2μm〜3μm程度)によって第2ドラム部材DRがX方向にシフトした場合でも、このシフトによって投影領域PA1〜PA6内で発生し得る基板Pの送り方向(Xs)に関する位置誤差を、エンコーダヘッドEN1、EN2によって高精度に計測することが可能となる。
変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5は、第2ドラム部材DRの外周面の半径の方向に関する局所的な部分の変位に対して計測感度(検出感度)を有する読み取り装置である。変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5は、レーザ距離計、静電容量変化を計測するギャップセンサー等である。変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5は、回転中心線AXに沿った方向において、第2ドラム部材のDRの端部に対面して配置されており、第2ドラム部材DRの端部の外周面の半径の方向に関する局所的な部分の変位を計測する。また、図5から図7に示すように、変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5の設置方位(回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向)は、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5にそれぞれ対応している。つまり、変位センサRF1は、回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向において、エンコーダヘッドEN1が目盛を読み取る位置と同じ位置の第2ドラム部材DRの外周面の半径の方向に関する局所的な部分の変位を検出する。変位センサRF2とエンコーダヘッドEN2、変位センサRF3とエンコーダヘッドEN3、変位センサRF4とエンコーダヘッドEN4、変位センサRF5とエンコーダヘッドEN5も同様に、回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向の位置が同じ位置で第2ドラム部材DRの外周面の変位の読み取りと、スケール円盤SDの目盛の読み取りを行う。
図6に示すように、第2ドラム部材DRの曲面に支持される基板Pと、図2に示す投影光学系PLにより投影されたマスクパターンの一部分の像とを相対的に位置合せ(アライメント)するために、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AMG1、AMG2が設けられている。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、第2ドラム部材DRの周囲に配置されるパターン検出装置である。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、基板P上に離散又は連続して形成された特定パターン(アライメントマーク等)を検出するための検出プローブであり、この検出プローブによる検出領域は、上述した特定位置(投影領域PA)よりも基板Pの搬送方向とは反対側(上流側)に配置される。
図6に示すように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、Y軸方向(基板Pの幅方向)に一列に並んだ複数(例えば4つ)の検出プローブを有している。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、第2ドラム部材DRのY軸方向における両側端の検出プローブで、基板Pの幅方向における両端付近に形成されたアライメントマークを常時観察又は検出することができる。そして、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、第2ドラム部材DRのY軸方向(基板Pの幅方向)における両側端以外の検出プローブで、例えば、基板P上に長尺方向に沿って複数形成される表示パネルのパターン形成領域の間における余白部等に形成されるアライメントマークを観察又は検出することができる。
図6及び図8に示すように、エンコーダヘッドEN4は、XZ面内かつ回転中心線AX2から見たときに、アライメント顕微鏡MG1による基板Pの観察方向AM1(第2中心軸AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケールGPの径方向に設定される設置方位線Le4上に配置されている。また、エンコーダヘッドEN5は、XZ面内かつ回転中心線AX2から見たときに、アライメント顕微鏡AMG2による基板Pの観察方向AM2(回転中心線AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケールGPの径方向に設定される設置方位線Le5上の各々に配置されている。
このように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出プローブは、第2中心軸AX2から見て第2ドラム部材DRの周囲に配置される。そして、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出プローブは、エンコーダヘッドEN4、EN5が配置された位置と第2中心軸AX2とを結ぶ方向(設置方位線Le4、Le5)が、第2中心軸AX2とアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出領域とを結ぶ方向と一致するよう配置されている。なお、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2及びエンコーダヘッドEN4、EN5が配置される回転中心線AX2周り方向の位置は、図8に示す、基板Pが第2ドラム部材DRに接触し始めるシート進入領域IAと、第2ドラム部材DRから基板Pが外れるシート離脱領域OAとの間に設定される。
アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、露光位置(投影領域PA)の手前に配置されている。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、基板PのY方向の端部付近に形成されたアライメントマーク(数十μm〜数百μm角内の領域に形成)を、基板Pが所定速度で送られている状態で、撮像素子等により高速に画像検出するものである。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、顕微鏡視野(撮像範囲)でマークの像を高速にサンプリングする。そのサンプリングが行われた瞬間に、制御装置14は、エンコーダヘッドEN4によって逐次計測されるスケール円盤SDの回転角度位置を記憶することにより、基板P上のマーク位置と第2ドラム部材DRの回転角度位置との対応関係が求められる。
アライメント顕微鏡AMG1で検出したマークを、アライメント顕微鏡AMG2で検出したときに、エンコーダヘッドEN4によって計測されて記憶された角度位置とエンコーダヘッドEN5によって計測されて記憶された角度位置との差分を、予め精密に較正されている2つのアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の設置方位線Le4、Le5の開き角度(又は顕微鏡視野の周方向の間隔距離)と比較する。そして、前記開き角度(又は顕微鏡視野の間隔距離)が誤差を有している場合は、シート進入領域IAとシート離脱領域OAとの間で、基板Pが第2ドラム部材DR上で僅かに滑っている又は送り方向(周方向)に伸縮している可能性がある。
一般に、パターニング時の位置誤差は、基板P上に形成されるデバイスパターンの微細度及び重ね合わせ精度に応じて決まるが、例えば、下地のパターン層に対して10μm幅の線条パターンを正確に重ね合わせ露光するためには、その数分の一以下の誤差、すなわち、基板P上の寸法に換算して、±2μm程度の位置誤差しか許されないことになる。このような高精度な計測を実現するためには、各アライメント顕微鏡AMG1、AMG2によるマーク画像の計測方向(XZ面内における第2ドラム部材DRの外周接線方向)と、各エンコーダヘッドEN4、EN5の計測方向(XZ面内でのスケールGPの外周接線方向)とを、許容角度誤差内で揃えておく必要がある。
上述したように、エンコーダヘッドEN4、EN5は、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2による基板P上のアライメントマークの計測方向(第2ドラム部材DRの円周面の接線方向)と一致するように配置されている。このため、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2による基板P(マーク)の位置検出時(画像サンプリング時)に、第2ドラム部材DR(スケール円盤SD)が、XZ面内において設置方位線Le4又はLe5と直交した周方向(接線方向)にシフトした場合でも、第2ドラム部材DRのシフトを加味した高精度な位置計測が可能となる。
スケールGPの間隔(回折格子のピッチ)がスケール円盤SDの全周に渡ってどこでも一定であれば、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5の各々からの計測信号(2相信号)をデジタルカウンタで計測した読み値は、スケール円盤SDの回転角度位置に依らず常に正確なものとなる。しかし、スケール円盤SDを第2ドラム部材DRに取り付ける際におけるスケール円盤SDの変形や偏心誤差、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5を取り付ける際のチルト誤差(取付け誤差)、スケール円盤SDの製造時の精度(スケールGPのピッチ誤差)の影響等によって、スケールGPのデジタルカウンタによる読み値と実際のスケール円盤SDの角度位置(スケール面の移動位置)との間には誤差が生じ得る。また、スケール円盤SDをステンレス(SUS)等の金属母材で構成した場合、基板処理装置11の運転中等における装置内の温度変化に起因してスケール円盤SDが伸縮変形することがあり、スケールGPのピッチが時間と共に局所的に変動すると言った誤差も生じ得る。本実施形態では、上述したような原因で発生するスケールGPのピッチ変動による計測誤差を、キャリブレーション動作の下で求める。そして、求められた計測誤差に基づいて、複数のエンコーダヘッド(EN1〜EN5)の各々によって読み取られるスケールGPの読み値を補正することによって、あたかも、スケールGPのピッチ変動が無かったような状態で、スケール円盤SD、すなわち第2ドラム部材DRの回転角度位置(外周面の周方向の移動位置)を高精度に計測するようにする。
ここで、スケール円盤SDのスケールGPのピッチ変動を演算によりキャリブレーションし、キャリブレーション(補正)された読み値に基づいて、第2ドラム部材DRを一定角度回転させた場合であっても、第2ドラム部材DRで移動させる基板Pの送り量がずれる場合がある。それは、スケール円盤SDのスケールGPが形成されたスケール面(円筒面)に対して、第2ドラム部材DRの外周面(円筒面)が局所的に形状誤差(真円からの歪誤差)を持つためである。第2計測装置35に含まれる変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5は、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5の各々の計測位置(設置方位)に対応した第2ドラム部材DRの回転方向の位置で、第2ドラム部材DRの外周面の回転方向の全周に渡って、第2ドラム部材DRの外周面の半径方向の変位を計測することができる。これにより、回転中心線AX2から一定半径の真円に対する第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差(真円からの誤差)を算出することができる。本実施形態では、第2ドラム部材DRの外周面の周方向に沿った離散的な5ヶ所に変位センサRF1〜RF5を設けたので、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの形状誤差に関するデータが5つ得られる。その5つのデータを統計処理(最小二乗近似等)することによって、形状誤差がより高精度に特定される。変位センサRF1〜RF5の計測分解能は、基板P上に既に形成された下地パターンに新たなパターンを重ね合せ露光する際の重ね精度に対応して概ね決まる。例えば、基板Pの送り方向(第2ドラム部材DRの回転方向)に関して必要とされる重ね精度が±1μm程度の場合、変位センサRF1〜RF5の計測分解能もその程度あれば良い。
さらに、制御装置(演算部)14は、スケールGPのピッチ誤差をキャリブレーションした後に、エンコーダヘッドEN1〜EN5の各々によって計測される第2ドラム部材DRの回転方向の角度変化(スケール面の周方向の位置変化)の読み値(カウンタよる計測値)を、変位センサRF1〜RF5で計測された第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差から推定される外周面の周方向の部分的(局所的)な周長誤差に基づいて補正して、第2ドラム部材DRの外周面の回転方向の移動量を算出する。本実施形態では、基板Pが可撓性の薄いシート状であることから、基板Pがテンションを持った状態で第2ドラム部材DRの外周面に支持される場合、基板Pの表面は第2ドラム部材DRの外周面に外形誤差に倣って密着する。従って、第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差から推定される外周面の周方向の部分的(局所的)な周長誤差を加味して、エンコーダヘッドEN1〜EN5の各々で計測される読み値を補正することにより、第2ドラム部材DRの外周面の回転方向の移動量、すなわち、基板Pの移動量や移動位置を高い精度で計測できると共に、基板Pを長い距離に渡って連続して送る際に、第2ドラム部材DRの外周面に外形誤差(周長誤差)に起因して起こり得る基板Pの送り量の累積的な誤差も低減できる。
以上の説明では、第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差を求めるのに、5ヶ所の変位センサRF1〜RF5を用いたが、少なくとも2ヶ所の変位センサだけを用いてもよい。また、本実施形態において、第2ドラム部材DRの外周面(基板Pの表面)の回転方向の移動量や移動位置は、基板P上のアライメントマークをアライメント顕微鏡AMG1、AMG2で検出する際は、第1計測装置としてのエンコーダヘッドEN4、EN5と、第2計測装置としての変位センサRF4、RF5とによって計測された値を使い、基板P上の各投影領域PA1〜PA6による露光位置は、第1計測装置としてのエンコーダヘッドEN1、EN2と、第2計測装置としての変位センサRF1、RF2とによって計測された値を使うのが良い。なお、第1計測装置として用いるエンコーダヘッドと、第2計測装置として用いる変位センサとの組み合わせはこれに限定されない。回転円筒体の計測装置は、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5、変位センサRF1、RF2、RF3、RF4、RF5のいずれを用いてもよい。また、第1計測装置としてのエンコーダヘッドEN4、EN5は、エンコーダヘッドEN4が第1読み取り部となり、エンコーダヘッドEN5が第2読み取り部となる。また、第1読み取り部と第2読み取り部も、スケールGPと対向してこれを読み取り、かつ回転円筒体の周方向においてそれぞれが配置されていればよい。この説明においては、スケール円盤SDの外周面の設けられた複数のスケールGPに対向してスケール円盤SDの周方向に配置される複数(本実施形態では5個)のエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5のうち、便宜上、エンコーダヘッドEN4を第1読み取り部とし、エンコーダヘッドEN5を第2読み取り部としている。しかし、本実施形態において、第1読み取り部と第2読み取り部とはこのような関係に限定されるものではない。
演算部としての制御装置14は、例えばエンコーダヘッドEN4によるスケールGPの読み値(カウンタ計測値)とエンコーダヘッドEN5によるスケールGPの読み値(カウンタ計測値)との差分値を、スケール円盤SDの一定回転角度毎にサンプリング(記憶)する。エンコーダヘッドEN4とエンコーダヘッドEN5との周方向の間隔距離は、固定された一定値であるので、一定回転角度毎にサンプリングされた差分値も一定のはずであるが、スケールGPの局所的なピッチ誤差によって差分値が変化するので、その変化をピッチ誤差として求める。そして、制御装置14は、求めたピッチ誤差を用いてエンコーダヘッドEN4(又はEN5)による読み値をキャリブレーションする為の補正テーブル(補正マップ)を作成する。補正テーブルは、例えばエンコーダヘッドEN4(又はEN5)によって検出されるスケールGP上の原点位置を起点(0度)として、全周360度を適当な角度(例えば1度刻み)で分割した角度毎に、補正値(=基準値−差分値)を記憶したものである。基準値は、エンコーダヘッドEN4とエンコーダヘッドEN5との間で、スケールGPのピッチ誤差がゼロのときに得られる差分値に相当する。
さらに、制御装置14は、スケール円盤SDの周囲のエンコーダヘッドEN4、EN5(又は他のエンコーダヘッドEN1〜3)の各周方向位置において、変位センサRF4、RF5(又は他の変位センサRF1〜RF3)を用いて計測される第2ドラム部材DRの外周面の半径の方向に関する局所的な変位に基づいて、外周面の形状誤差を計測する。この形状誤差の情報は、エンコーダヘッドEN4やEN5(又は他のエンコーダヘッドEN1〜3)で計測される回転角度位置に基づいて、全周360度を適当な角度で分割した角度範囲(例えば1度)ごとに、第1の補正マップとして記憶される。
制御装置14は、第1の補正マップとして記憶された形状誤差の情報を用いて、スケール円盤SDの適当な回転角度毎に、第2ドラム部材DRの外周面の局所的な周長誤差(又はその補正値)を表す第2の補正マップを作成する。第2の補正マップをエンコーダヘッドEN4やEN5(又は他のエンコーダヘッドEN1〜3)による読み値(計測角度位置)に応じて参照することにより、その角度位置における第2ドラム部材DRの外周面(基板P)の移動量の誤差が補正されて、より高い精度で基板Pの移動量を特定することができる。
図9は、スケールGPの拡大図である。図10は、スケールGPとエンコーダヘッドとの位置関係を示す模式図である。図9に示すように、例えば、スケールGPは、立ち上がり部GPaと立ち下がり部GPbとを有する凸部GPtと、隣接する突起部GPtの間の凹部GPuとを有する。本実施形態においては、1つの凸部GPtと1つの凹部GPuとがスケールGPの一単位、すなわちスケールGPの1ピッチに対応する。説明を簡単にする為、エンコーダヘッドENは、スケールGPの立ち上がり部GPaを読み取ったとき、立ち上がりパルスUを出力し、立ち下がり部GPbを読み取ったときに立ち下がりパルスDを出力するものとする。
なお、実際のスケールGPは、凸部GPtと凹部GPuとの各幅が10μm(ピッチは20μm)程度でスケール円盤SDの周方向に繰り返し形成され、エンコーダヘッドENはスケールGPに可干渉性のビームを投射し、その反射光(回折光)を基準格子で受けて再度回折する再回折光を光電検出した信号に基づいて、位相差が90度の2相信号(矩形波)を出力する。その2相信号はデジタル的な内挿処理回路によって、スケールGPの1ピッチ分を1/32、又は1/64に細分化したようなアップパルス信号とダウンパルス信号とに変換される。従って、スケールGPの1ピッチが20μmの場合、アップパルス信号とダウンパルス信号の1パルス(矩形波)分は、スケールGPが20/32(0.625)μm、又は20/64(0.3125)μm移動したことを表す。
図9では、説明を簡単にする為、スケールGPの凸部GPtの立ち上がり部GPaから隣接する凸部GPtの立ち上がり部GPaまでの距離SS1、又は凸部GPtの立ち下がり部GPbから隣接する凸部GPtの立ち下がり部GPbまでの距離SS2が、スケールGPの間隔(1ピッチ)とする。スケールGPの間隔を、スケール間隔SSとする。スケールGPが図9の矢印Rで示す方向に移動したとき、スケール間隔SSをエンコーダヘッドENが出力するパルスで見れば、2個の立ち上がりパルスUと1個の立ち下がりパルスUとが出力された場合又は2個の立ち下がりパルスDと1個の立ち上がりパルスUとが出力された場合に、外周部にスケールGPを有するスケール円盤SD(図8参照)は、その外周部がスケール間隔SS分だけ移動したことになる。エンコーダヘッドENが出力するパルスの種類を区別しなければ、3個のパルスが検出された場合に、スケール円盤SDの外周部がスケール間隔SS分だけ移動したことになる。
図10に示すように、スケール円盤SDの外周部に設けられたスケールGPが矢印Rで示す方向へ移動するものとする。第1読み取り部としてのエンコーダヘッドEN4と、第2読み取り部としてのエンコーダヘッドEN5とが、スケールGPの移動方向に向かってこの順序で配置されている。2個のエンコーダヘッドEN4、EN5は、スケールGPが矢印Rの方向に移動すると、相対的に、スケールGPに対して矢印Rと反対方向に移動するとみなせる。そこで、図10では、2つのエンコーダヘッドEN4、EN5が水平に展開されたスケールGP上に距離XSでピッチ方向に並んでいるものとし、仮想的に、2つのエンコーダヘッドEN4、EN5を矢印Rと反対方向に距離XSだけ移動した状態を模式的に表す。
図8に示すように、一対のエンコーダヘッドEN4、EN5は、エンコーダヘッドEN4と第2中心軸AX2とを結ぶ線(設置方位線Le4)とエンコーダヘッドEN5と第2中心軸AX2とを結ぶ線(設置方位線Le5)とのなす中心角(エンコーダ取付角度)がθsになるように配置されている。従って、取付角度θsは、図10におけるエンコーダ間距離XSに相当している。
一対のエンコーダヘッドEN4、EN5は、基板処理装置11のフレーム等に取り付けられると、エンコーダ取付角度θs及びエンコーダ間距離XSは一定である。上述したように、スケール円盤SDの変形、スケール円盤SDの製造時のスケールGPのピッチ精度、取り付け時の偏心、温度変化に起因するスケール円盤SDの伸縮等によって、スケール間隔SSはスケール円盤SDの周方向において、必ずしも一定ではない。例えば、図10では極端に誇張して示すが、a、c、dで示す区間においては、1つのエンコーダ取付角度θs及び1つのエンコーダ間距離XSの間にスケールGPの3ピッチ分が存在するが、bで示す区間にはスケールGPの2.5ピッチ分が存在し、eで示す区間にはスケールGPの6ピッチ分が存在する。
図10に示す例では、スケール間隔(ピッチ)SSが等間隔(ピッチ誤差が無い状態)であれば、例えば、1つのエンコーダ取付角度θs及び1つのエンコーダ間距離XSの間には規定数(この例では3ピッチ分)のスケールGPが存在するものとする。実際には、上述したスケールGPの誤差要因によって、1つのエンコーダ取付角度θs及び1つのエンコーダ間距離XSの間に存在するスケールGPのピッチ数は、前述した規定数から増減してしまう。図10のaで示す区間でのスケール間隔(ピッチ)をSSa、bで示す区間でのスケール間隔(ピッチ)をSSb、eで示す区間でのスケール間隔(ピッチ)をSSeとした場合、SSb>SSa>SSeの状態になっている。
スケールGPのピッチ間隔がこのような状態の場合でも、各区間a、b、c、d、e毎に、一対のエンコーダヘッドEN4、EN5の各々による読み値の差分値を求めることで、スケールGPのピッチ誤差が求められる。
上記のようにスケールGPのピッチ誤差を、原点を基準としてスケール円盤SDのスケール面の全周に渡って、一定角度位置毎に求めてマップ化することにより、制御装置14は、スケール円盤SDの変形等によってスケールGPにピッチ誤差が生じても、スケールGPの移動距離(回転量)を補正することができるので、精度のよい位置計測(周方向における位置計測)が実現できる。さらに、変位センサRF1〜RF5(第2計測装置35)は、エンコーダヘッドEN1〜EN5の各々の周方向の位置に対応して位置で、第2ドラム部材DRの外周面の各位置の変位を計測する。これにより、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの変形誤差や回転中心線AX2からの偏心誤差が高精度に求められる。偏心誤差が許容範囲以下で十分に小さいとみなされる場合、5ヶ所の変位センサRF1〜RF5を用いずに、1ヶ所、又は2ヶ所の変位センサのみで、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの変形誤差を求めることも可能である。しかしながら、偏心誤差と真円からの変形誤差とが同程度の場合は、多数の変位センサによる計測値(第2ドラム部材DRの外周面の径方向の変位量)を使うことによって、外周面の真円からの変形誤差と偏心誤差とを別けて求めることができる。また、第2ドラム部材DRの回転中に、複数の変位センサの各々による計測値を同時に取得して第2ドラム部材DRの特定の回転位置における外周面の真円からの変形誤差(偏心誤差を含む場合もある)を求めることで、第2ドラム部材DRの外周面の周方向の移動量(すなわち基板Pの移動量)をリアルタイムに求めることができる。もちろん、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの変形誤差や、偏心誤差は、第2ドラム部材DRの特定の回転角度位置を原点とする全周に渡って、一定角度毎(例えば1度毎)の誤差マップ(補正テーブル)として記憶しても良い。
図11は、第2ドラム部材DRの外周面の移動量を補正する手順を示すフローチャートである。図12は、スケールGPのピッチ誤差の補正マップの一例を示す図である。外周面の移動量を補正する場合、一対のエンコーダヘッドEN4、EN5のスケール面上での検出位置(読取位置)の周方向の間隔距離、すなわちエンコーダ間距離XSと、第2ドラム部材DRの基準の半径を予め計測(或いは設計値として設定)しておき、制御装置14が有する記憶部に記憶させる。一対のエンコーダヘッドEN4、EN5がスケールGPを読み取る位置は、スケール円盤SDが真円であり、かつ回転中心線AX2に対してスケール円盤SDが偏心していない状態での位置とすることができる。この場合、図8に示すように、回転中心線AX2からスケール円盤SDの設計上の半径(中心からスケール面までの距離)をrdとしたとき、半径rdで湾曲した円筒状のスケール面上で、一対のエンコーダヘッドEN4、EN5のエンコーダ間距離XSが計測される。図10に示す例において、スケール円盤SDのスケール面は、矢印Rで示す方向、すなわち、エンコーダヘッドEN4からエンコーダヘッドEN5に向かって回転する。
ステップS101において、図1に示す基板処理装置11の処理が開始されていない場合(ステップS101、No)、スケールGP等の補正は実行しない。ステップS101において、基板処理装置11の処理が開始されている場合(ステップS101、Yes)、制御装置14は、所定のタイミングでエンコーダヘッドEN4、EN5及び変位センサRF4、RF5の各々からの読み取り値を取得(サンプリング又はラッチ)する(ステップS102)。所定のタイミングで取得とは、例えば、スケール円盤SDが回転中心線AX2を中心として所定の角度α(度)だけ回転する毎に、制御装置14がエンコーダヘッドEN4、EN5からの2相信号に応じてスケールGPの移動量を計数するデジタルカウンタ回路の計数値をCPU等が読み取ることをいう。スケール円盤SDが等角速度(等周速度)で回転している場合、所定の時間t毎に、制御装置14がエンコーダヘッドEN4、EN5の各々からの2相信号をそれぞれ入力するデジタルカウンタ回路の計数値をCPU等が読み取ってもよい。この例において、α(度)は、例えば、0.1〜0.6度、0.8度、0.9度、1.0〜2.0度等の360度の約数であるが、αはこれに限定されるものではない。
スケール円盤SD(及び第2ドラム部材DR)が等角速度で回転している場合、制御装置14は、時間t毎に各エンコーダヘッドEN4、EN5による計数値、及び変位センサRF3,RF4、RF5からの計測値を取得する。制御装置14が、所定の角度α毎に両方のエンコーダヘッドEN4、EN5からこれらの読み取り値を取得する場合、例えば、スケール円盤SDの回転角度を検出する他のエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3のいずれか1つを回転角度検出手段として使用する。そして、制御装置14は、スケール円盤SDが角度αだけ回転したことを回転角度検出手段が検出したタイミング毎に、両方のエンコーダヘッドEN4、EN5による計数値を取得する。なお、回転角度検出手段は、エンコーダヘッドEN4、EN5のいずれか一方としても良い。例えば、エンコーダヘッドEN4を回転角度検出手段として用いた場合、制御装置14は、スケール円盤SDが角度αだけ回転したことをエンコーダヘッドEN4が検出したタイミング毎に、エンコーダヘッドEN4、EN5の各々からの2相信号を計数するカウンタ回路の計数値を同時にサンプリングする。以上のように、一定角度α毎、又は一定時間t毎に、2つのエンコーダヘッドEN4、EN5の各々による計数値をサンプリングすることを、スケール円盤SD(及び第2ドラム部材DR)の1回転分以上に渡って実行する。
次に、ステップS103に進み、制御装置14は、ステップS102で取得した読み取り値に基づき、スケールGPのピッチ誤差(或いは誤差の補正値)を求める。具体的には、同時にサンプリングされたエンコーダヘッドEN4用のカウンタ回路の計数値と、エンコーダヘッドEN5用のカウンタ回路の計数値との差分値を制御装置14によって求め、スケール円盤SDのスケール面の全周に渡って、ピッチ誤差のマップ又はピッチ誤差を補正する為の補正マップを作成する。マップ作成の為に第2ドラム部材DRも360度以上に渡って回転するので、制御装置14は、変位センサRF1〜RF5の各々によって計測される第2ドラム部材DRの外周面の径方向の変位量を、エンコーダヘッドEN4、EN5(又はEN1〜EN3の各々)による計数値のサンプリングのタイミングで、読み取って逐次記憶する。
また、スケールGP(GPa、GPb)のピッチ誤差の計測に際しては、2つの隣接したエンコーダヘッドEN4、EN5の各々の計測位置の間隔距離に相当するスケールGP上の距離(長さ、或いはスケールGPの格子数)を仮想的な基準距離NSとしても良い。その場合は、例えば、エンコーダヘッドEN1〜EN5が、スケール円盤SDの全周に形成されたスケールGP中の1ヶ所に形成された原点パターンを検出したときに原点信号(Z相信号)を出力する機能を利用する。原点信号は、スケール円盤SDの1回転毎に1回発生するパルス状の信号であり、エンコーダヘッドEN1〜EN5の各々に対応して接続されたデジタルカウンタ回路は、原点信号(パルス)に応答して計数値をゼロリセットするように構成されている。そこで、制御装置14は、エンコーダヘッドEN4による原点パターンの検出でゼロリセットされた後にエンコーダヘッドEN4に対応したカウンタ回路で計数される計数値を、次に原点パターンを検出するエンコーダヘッドEN5からの原点信号の発生に応答してラッチして記憶する。ラッチして記憶されたエンコーダヘッドEN4に対応したカウンタ回路による計数値は、2つのエンコーダヘッドEN4、EN5の間を原点パターンが移動した距離に相当し、その計数値をスケールGP上の基準距離NSとして用いる。これ以降において、エンコーダヘッドEN4、EN5(対応したカウンタ回路)は、スケールGPの計数を継続するとともに、所定の角度α毎又は所定の時間t毎にサンプリングされる各エンコーダヘッドEN4、EN5(対応したカウンタ回路)の各計数値(スケールGPの計数値)NSan、NSbnを取得し、その差分長NSn(NSn=NSan−NSbn)を、図12に示す補正マップ(誤差テーブル)TBcとして逐次記憶していく。スケールGP上のサンプリング範囲内(エンコーダヘッドEN4、EN5の周方向の間隔距離内)でのピッチ誤差をSSrnとすると、ピッチ誤差SSrnは、基準距離NSを基準として、SSrn=NSn−NSによって求められる。ピッチ誤差SSrnは、スケールGPの格子本数の小数点以下の誤差にも対応している。
さらに、制御装置14は、変位センサRF4で計測される変位量Danと、変位センサRF5で計測される変位量Dbnとを所定の角度α毎又は所定の時間t毎にサンプリングして、図12の補正マップ(誤差テーブル)TBc中に、計測されたピッチ誤差SSrnと対応するように逐次記憶する。さらに、制御装置14は、サンプリングされた変位量Danと変位量Dbn、及び事前に設定された第2ドラム部材DRの設計上の基準半径に基づいて、ピッチ誤差SSrnを求めた所定の角度α毎(又は所定の時間t毎)のサンプリング範囲内(エンコーダヘッドEN4、EN5の周方向の間隔距離以下)における第2ドラム部材DRの外周面の周方向の部分距離Lnを演算して、補正マップ(誤差テーブル)TBc中に記憶させる。具体的には、ピッチ誤差SSrnを求めた所定の角度α毎(又は所定の時間t毎)のサンプリング範囲内(エンコーダヘッドEN4、EN5の周方向の間隔距離以下)において、第2ドラム部材DRの外周面と回転中心線AX2との距離である設計上の基準半径で規定される真円の角度αに対応した一部分の半径値を、変位量Da、Dbを用いて計算上で微少に補正することを、所定の角度α毎に繰り返し実行する。それによって得られた角度α毎の補正された半径値を周方向に平均化して360度に渡ってつなげたデータが、真円からの局所的な変形誤差を反映した第2ドラム部材DRの外周面の精密な外形を表すことになる。
ここで、制御装置14は、変位センサRF3、RF4、RF5で検出される第2ドラム部材DRの外周面上の3点の検出結果に基づいて、第2ドラム部材DRの中心軸のズレ(回転中心線AX2の偏心による振れ)も検出し、第2ドラム部材DRの外周面の精密な変形誤差と偏心誤差とを別けて求めることもできる。図6に示すエンコーダヘッドEN3〜EN5の各配置(周方向の位置)に対応して配置される変位センサRF3〜RF5は、図8に示すように、変位センサRF4(EN4)と回転中心線AX2とを結ぶXZ面内での直線と、変位センサRF3(EN3)と回転中心線AX2とを結ぶXZ面内での直線とが成す角度は120度に設定され、変位センサRF5(EN5)と回転中心線AX2とを結ぶXZ面内での直線と、変位センサRF3(EN3)と回転中心線AX2とを結ぶXZ面内での直線とが成す角度は210度に設定されている。しかしながら、それらの角度120度、210度は限定的なものではなく、変位センサRF3とエンコーダヘッドEN3は、変位センサRF4(エンコーダヘッドEN4)から見て、(90−θs/2)度の角度位置であって、変位センサRF5(エンコーダヘッドEN5)から見て、(90+θs/2)度の角度位置であっても良い。
ステップS103で、制御装置14は、その角度αと対応付けて図12に示す補正マップTBcを作成する。なお、図12に示すように補正マップTBcには、エンコーダヘッドEN4に対応したカウンタ回路によるスケールGPの計数値NSa、エンコーダヘッドEN5に対応したカウンタ回路によるスケールGPの計数値NSb、変位センサRF4で計測した変位量Da及び変位センサRF5で計測した変位量Dbも記述する。実際の補正マップTBcとして必要な情報は、計数値NSaと計数値NSbとの差分値NSの基準値からの誤差であるピッチ誤差SSrnと、変位センサRF4、RF5の各々で計測された変位量Da2、Db2に基づいて算出される第2ドラム部材DRの外周面の角度α毎の部分距離Lnである。補正マップTBcは、制御装置14の記憶部に記憶されている。図6、図8に示すように、基板処理装置11が3以上のエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5を有する場合、制御装置14は、エンコーダヘッドEN4、EN5以外、例えば、エンコーダヘッドEN1、EN2と変位センサRF1、RF2を使って補正マップTBcを作成し、スケールGPのピッチ誤差SSrn、第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差(周方向の局所的な部分距離Ln)を求めて、補正してもよい。
次に、ステップS105に進み、基板処理装置11の処理が終了していない場合(ステップS105でNo)には、制御装置14は、ステップS102〜ステップS104を継続し、基板処理装置11の処理が終了した場合(ステップS105でYes)には、制御装置14は、スケールGPのピッチ誤差SSrn、回転角度位置(例えば角度α毎)に対応した第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差に関する補正マップ作成を終了する。なお、補正マップTBcの作成の際、第2ドラム部材DRの1回転で必要な情報(計数値NSa、NSb、変位量Da、Db等)は得られるが、第2ドラム部材DRの複数回の回転で得られる情報を平均化することで、再現性の良い補正マップが得られる。
次に、図13及び図14を用いて、補正処理を模式的に説明する。図13及び図14は、それぞれ、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの形状誤差に起因した基板Pの移動誤差を補正する手順を説明するための概念図である。図11に示すフローチャートに基づいて、、図12に示すような補正マップTBcを作成しておけば、、第2ドラム部材DRの外周面の周方向における一定の単位長を、スケールGPをエンコーダヘッド(EN1〜EN5)で計測したときの角度範囲として精密に特定(換算)することができる。
制御装置14は、まず、図13に示すように、第2ドラム部材DR及びスケール円盤SDを回転させつつエンコーダEN4,EN5で検出した回転角度位置毎のピッチ誤差SSrnに基づいて、スケール円盤SDのスケールGPを0度(例えば原点)〜360度までの直線的なスケール92aとみなしたときの各目盛(格子)位置96a(例えば、角度α毎の位置)を、それぞれ角度間隔θaが一定の目盛(格子)位置96bに換算する。これにより、第2ドラム部材DRの外周面に周方向に沿って角度間隔θaで一定となる目盛位置96bを対応付けることができる。
さらに、図14に示すように、変位センサRF4、RF5で検出した第2ドラム部材DRの外周面の真円からの形状誤差(外周面の径方向の位置変動)97と、角度間隔θaで一定(等間隔)にした目盛位置96bとを重ねると、目盛96bと目盛96bとの間の位置によって、角度間隔θaが一定でも部分距離Lnは変動する。このため、形状誤差97を含む第2ドラム部材DRの外周面を周方向に0度〜360度に渡って直線的に展開した距離スケール98aとみなし、その距離スケール98a上に目盛位置96bを重ねると、位置によって目盛位置96bの間隔が変化することになる。本実施形態の制御装置14は、各目盛位置96bと部分距離Lnとの関係に基づいて、仮想的な距離スケール98a上での各目盛位置96bの間の部分距離Lnが一定距離Lcとなるような目盛位置96cを持つ距離スケール98bに計算上で補正(変換)する。これによって、距離スケール98b上に一定距離Lcごとに設定される各目盛位置96cが並び、距離スケール98b上に設定される各目盛位置96cを、エンコーダヘッド(EN1〜EN5)の各々が計測するスケールGP上の角度スケール92cに対応付けると目盛位置96dとなる。各目盛位置96dの間隔は、ピッチ誤差SSrnや第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差97に基づいて、第2ドラム部材DRの外周面の変形に倣って一定距離となるように補正されたものであり、その一定距離は、第2ドラム部材DRの外周面に密着して搬送される基板Pの搬送距離に相当する。なお、以上の説明で図示した目盛位置96a、96b、96c、96dの各々は、必ずしもスケール円盤SDのスケールGP中の1本1本の格子(例えば、線幅20μmのライン)の位置を表すものでのではなく、一定本数(例えば100本、200本)毎に位置する格子の位置を表すものである。
以上のように、制御装置14は、作成した補正マップTBcに基づいて、エンコーダヘッド(EN1〜EN5)の各々に対応したカウンタ回路の計数値(読み値)を補正して利用することによって、スケール円盤SDのスケールGPのピッチ誤差と、第2ドラム部材DRの外周面の真円からの形状誤差(或いは偏心誤差)とを補正した状態で、基板Pの長尺方向の移動位置や移動距離をリアルタイムに精密に計測することができ、結果的に、基板P上に露光されるデバイスパターンの描画品質が向上する。
制御装置14は、スケール円盤SDが所定速度で回転し続けている間の任意のn回転の期間で、図12に示すような補正マップTBc中の各計測値(計数値NSa、NSbと変位量Da、Db等)を再取得して、ピッチ誤差SSrnや部分距離Lの値を再演算して更新するようにしても良い。このようにすると、補正マップTBcを随時更新するため、環境温度の変化等によるスケール円盤SD及びスケールGP、或いは第2ドラム部材DRの外周面の短時間における変形又は寸法変化等にも迅速に対応できる。
制御装置14がエンコーダヘッドEN4、EN5及び変位センサRF3、RF4、RF5からこれらの読み取り値を取得する際に、取得のタイミングが短いほど、又はエンコーダヘッドEN4、EN5の間隔(図8中の角度θs)が小さいほど、補正マップTBcによる各種の補正精度が向上する。エンコーダヘッドEN4、EN5(或いは他の2ヶ所のエンコーダヘッド)の間隔は、エンコーダヘッドEN4、EN5の物理的な大きさ、及びその他の部品配置との兼ね合い等から、ある程度の制約を受ける。このため、エンコーダヘッドEN4、EN5からこれらの読み取り値を取得する際のタイミングを短くする方が、汎用性は高くなるという利点がある。
図15A及び図15Bは、それぞれ一対のエンコーダヘッドからこれらの読み取り値を取得する際のタイミングを示す概念図である。上述した例では、スケール円盤SDのスケールGPが回転中心線AX2を中心として所定の角度α(度)だけ回転する毎に、制御装置14がエンコーダヘッドEN4、EN5の各々に対応したカウンタ回路による計数値を読取り値として取得した。このときのα(度)は、360度の約数とした。すると、スケール円盤SDが複数回転した場合、エンコーダヘッドEN4、EN5は毎周、スケールGP上の同じ位置を読み取ることになり、エンコーダヘッドEN4、EN5による読取り値(計数値)には固有の周期性が含まれてしまう(図15A参照)。この場合、スケールGPの補正精度を向上させるためには、所定の角度αを小さくする必要があるが、装置の制約等から無闇に角度αを小さくすることはできない。
そこで、本実施形態においては、各エンコーダヘッド(EN1〜EN5)にとって、スケール円盤SDのスケールGPは回転によって無限に続く連続体であるので、必ずしもスケール円盤SDの一周毎の周期性を担保しない方式でも、エンコーダヘッドEN4、EN5を用いて連続的にピッチ誤差SSrnや変位量Da、Db等の測定が可能である。このため、例えば、角度α(度)を360度の約数とならない数とし、スケール円盤SDを複数回転させることにより、エンコーダヘッドEN4、EN5による読み取り位置の周期性を崩すことができる。特に、角度α(度)を360度の約数とならない数で、かつ素数とすることにより、前述した周期性をより効果的に崩すことができる。その結果、図15Bに示すように、所定の角度αが大きくても、スケールGP(スケール円盤SD)が周回を重ねる毎に、スケールGP上の角度α毎の読み取り位置が微小にズレてくるため、結果としてエンコーダヘッドEN4、EN5によるスケールGPの測定間隔を小さくすることができる。
図16は、角度α(度)を360度の約数とならない数とし、スケール円盤SDを複数回転させて、補正マップTBcの各計測値(計数値NSa、NSbや変位量Da、Db)を求める際のフローチャートである。図16に示す例では、スケール円盤SDの複数のスケールGPが回転中心線AX2を中心として所定の角度α(度)だけ回転する毎に一対のエンコーダヘッドEN4、EN5及び変位センサRF3、RF4、RF5がこれらを読み取る場合において、角度αを360度の約数でない素数とした場合の処理手順を示し、角度αは、例えば、7度、或いは11度等とする。
図16のステップS201〜ステップS204の各々は、角度α(度)を360度の約数とした上述の図11におけるステップS101〜ステップS104の各々と同様なので、説明を省略する。ステップS205において、制御装置14は、補正値を求め始めてからスケール円盤SDが規定の回転数まで回転していない場合(ステップS205でNoと判断)、ステップS202〜ステップS205を繰り返す。ステップS205において、制御装置14は、補正値を求め始めてからスケール円盤SDが規定の回転数まで回転した場合(ステップS205でYesと判断)、ステップS206に進む。ステップS206は、角度α(度)を360度の約数とした図11中のステップS105と同様なので説明を省略する。ステップS205における規定の回転数は2回転以上であればよいが、規定の回転数(ステップS202〜S205のループ数)がある数以上になると、スケールGPの補正精度(すなわち補正マップTBcの精度)を向上させる効果は小さくなる。このため、2回転以上の適切な範囲(例えば10回転)で規定の回転数を設定することが好ましい。
図17は、基板処理装置(露光装置)の第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差と偏心誤差が複合した状態を誇張して示した概念図である。本実施形態の露光装置EXは、変位センサRF1〜RF5を設けることで、第2ドラム部材DRの外周面104の真円105からの形状誤差による周方向の局所的な部分距離Ln(例えば、角度α毎)を計測することができる。ここで、図17に示すように、第2ドラム部材DRの機械的な中心軸102が、回転中心線AX2(スケール円盤SDの回転中心軸)に対して偏心している場合で、形状誤差によって中心軸102から外周面104までの距離、つまり半径が回転方向の位置によって微少に変動する形状であっても、第2ドラム部材DRの外周面104の周方向における局所的な部分距離Lnを高い精度で計測することができる。これにより、第2ドラム部材DRの外周面104が図17のように偏心誤差と形状誤差を伴った場合でも、第2ドラム部材DRの外周面104に密着して搬送される基板Pの移動量は、高い精度で計測され、その結果、第2ドラム部材DRの回転制御が精密になり、基板Pに描画(形成)されるパターンの品質や位置決め精度を高めることができる。
図18は、基板処理装置(露光装置)の第2ドラム部材DRの外周面の形状誤差と第2ドラム部材DRの回転中の姿勢変化とが混在した場合を誇張して示す概念図である。図18では、回転中心軸AX2に対する偏心誤差、外周面の形状誤差が理論上でゼロの第2ドラム部材DR(設計上の状態)を破線で表し、実際の第2ドラム部材をDR’で表す。実際の第2ドラム部材DR’の外周面は、例えば、+Y方向側の端部の径が、−Y方向側の端部の径に対して少しだけ大きく、さらに、第2ドラム部材DR’の+Y方向側の端部の機械的な中心点、及び、第2ドラム部材DR’の−Y方向側の端部の機械的な中心点が、それぞれ回転中心軸AX2に対して、XZ面内で異なる方向に異なる程度で偏心しているものとする。
このような場合も、第2ドラム部材DR’の−Y方向側に、スケール円盤SDa(スケールGPa)を計測するエンコーダヘッドEN4a(EN5a)に対応した角度位置で設置される変位センサRF4(RF5)によって計測される変位量Da、Dbと、第2ドラム部材DR’の+Y方向側に、スケール円盤SDb(スケールGPb)を計測するエンコーダヘッドEN4b(EN5b)に対応した角度位置で設置される変位センサRF4(RF5)によって計測される変位量Da、Dbとに基づいて、第2ドラム部材DR’の外周面の形状誤差を推定できる。
また、第2ドラム部材DR’全体が、例えばXY面内でZ軸と平行な軸回りに角度θzだけ傾いた状態、すなわち、第2ドラム部材DR’の両端に突出したシャフトを支持するベアリング等のガタやゆがみによって、回転中心軸AX2を規定するシャフト自体が微小に傾きながら回転している場合もある。そのような場合も、第2ドラム部材DR’のY方向の両側に配置した変位センサRF4(RF5)によって、第2ドラム部材DR’の外周面の形状誤差(単位回転角度当りの外周面の径方向の変位量等)を360度に渡って推定することができる。さらに、シャフト自体が微少に傾いた状態で第2ドラム部材DR’が回転すると、スケール円盤SDa、SDbがエンコーダヘッドEN1〜EN5の各々に対して、僅かに偏心した状態で回転することになり、複数のエンコーダヘッドEN1〜EN5の各々で計測されるスケールGPa、GPbの回転位置(カウンタ回路の計数値)を比較演算することで、第2ドラム部材DR’の回転中の姿勢変化も推定できる。
以上のようにして、エンコーダヘッドEN4、EN5、変位センサRF4、RF5等によって、図12のような補正マップTBcを作成した後は、第2ドラム部材DRの外周面上に図3や図7のように設定される奇数番の投影領域PA1、PA3、PA5用のエンコーダヘッドEN1と、偶数番の投影領域PA2、PA4、PA6用のエンコーダヘッドEN2との各々によるスケールGPの計測値(カウンタ回路の計数値)を、補正マップTBcに基づいて補正して、基板P上の露光位置を特定する為に使うことができる。補正マップTBcは、スケール円盤SDのスケール部GP中の1ヶ所の原点(カウンタ回路をゼロリセットする)を基準に360度に渡って、回転角度α毎の誤差値(補正値)を記憶しているので、エンコーダヘッドEN4、EN5以外のエンコーダヘッドEN1〜EN3の補正マップとしても流用できる。
本実施形態においては、エンコーダヘッドEN4、EN5の両方を基板Pが露光装置EXによって露光処理される部分よりも、第2ドラム部材DRの回転方向とは反対側に配置しているが、一方を露光処理される部分に配置してもよい。例えば、エンコーダヘッドEN5を第1読み取り部とし、エンコーダヘッドEN1を第2読み取り部とし、両者の読み取り値(カウンタ回路の計数値)の差分に基づいてスケールGPのピッチ誤差を求め、エンコーダヘッドEN5の配置に対応した変位センサRF5と、エンコーダヘッドEN1の配置に対応した変位センサRF1とを用いて、外周面の形状誤差を求めて補正マップTBcを作成してもよい。
また、本実施形態では、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、エンコーダヘッドEN4、EN5に対応した位置に配置されているので、基板Pの表面における変化をアライメント顕微鏡AMG1、AMG2で計測することにより、処理位置における基板Pの変化を予測して、処理時に補正することもできる。さらに、エンコーダヘッドEN4、EN5に加え、これらとは異なる位置、例えば、処理位置に配置されているエンコーダヘッドEN1、EN2(及び変位センサRF1、RF2)の少なくとも一方を用いて、回転中心線AX2の振れ(回転中心線AX2と直交する方向における動き)、第2ドラム部材DRの外周面の真円度(形状歪み)、又は第2ドラム部材DRの偏心等を計測して、補正マップを作成し、その補正マップに基づいて、基板P上の処理位置を精密に補正することもできる。
次に、第1読み取り部としてのエンコーダヘッドEN4と第2読み取り部としてのエンコーダヘッドEN5とを配置する間隔について説明する。エンコーダヘッドEN4とエンコーダヘッドEN5とは、エンコーダヘッドEN4と回転中心線AX2とを結ぶ線(設置方位線Le4)とエンコーダヘッドEN5と回転中心線AX2とを結ぶ線(設置方位線Le5)とのなす中心角であるエンコーダ取付角度θs(図8参照)は、90度(270度)、180度以外の角度となるように配置されることが好ましい。さらに、エンコーダ取付角度θsは45度以内が好ましく、このようにすることで、2個のエンコーダヘッドEN4、EN5によって計測されるピッチ誤差の傾向を細かく求めることができる。
また、露光位置に対応して配置されるエンコーダヘッドEN1、EN2の各々に対して、エンコーダヘッドEN4をエンコーダヘッドEN1から90度の位置に配置し、エンコーダヘッドEN5をエンコーダヘッドEN2から90度の位置に配置することによって、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN4、EN5の各計測値(計数値)を、第2ドラム部材DRの1回転に渡って比較演算することによって、回転中心線AX2の振れ、又は第2ドラム部材DRの偏心誤差等を簡単に計測することもできる。
次に、基板処理装置11がスケール円盤SDの真円度を調整する機構を有している場合について説明する。図19、図20は、スケール円盤の真円度を調整する真円度調整機構を説明するための説明図である。上述した図5、図6等では、第2ドラム部材DRの直径に対してスケール円盤SDの直径は小さく図示されているが、第2ドラム部材DRの外周面のうち、基板Pが巻き付けられる外周面の直径と、スケール円盤SDのスケールGPが形成されるスケール面の直径とを揃える(ほぼ一致させる)ことが好ましい。このようにすることで、いわゆる、計測アッベ誤差をさらに小さくすることができる。この場合、露光装置EXは、図19に示すようなスケール円盤SDのスケール面の真円度を調整する真円度調整機構Csを備えることが好ましい。なお、図19は、設置方位線Le4と回転中心軸AX2とを含む面で、第2ドラム部材DRとスケール円盤SDとの一部を破断した断面を示す。
スケール部材であるスケール円盤SDは円環状の部材である。スケールGPを外周面に有するスケール円盤SDは、第2ドラム部材DRの第2中心軸AX2と直交する第2ドラム部材DRの少なくとも一方の端部に固定されている。スケール円盤SDは、第2中心軸AX2の周方向に沿ってスケール円盤SDに設けられた溝Scを、溝Scと同半径でかつ第2中心軸AX2の周方向に沿って第2ドラム部材DRに設けられた溝Dcに対向させている。そして、スケール円盤SDは、溝Scと溝Dcとの間に転動体(例えば、球)等の軸受部材SBを介在させている。
真円度調整機構Csは、スケール円盤SDの内周側に備えられ、調整部材60と、押圧部材PPとを含む。そして、真円度調整機構Csは、例えば設置方位線Le4と平行な方向である、第2中心軸AX2からスケールGPに向かう方向の押圧力を可変できる押圧機構を、回転中心線AX2を中心とする周方向に所定のピッチで複数(例えば、8箇所)備えている。調整部材60は、押圧部材PPを挿通し、スケール円盤SDの雌ネジ部FP3及び第2ドラム部材DRの雌ネジ部FP4にねじ込まれる雄ねじ部61と、押圧部材PPに接触するヘッド部62とを有する。押圧部材PPは、スケール円盤SDの端部に周方向に沿ってスケール円盤SDよりも半径の小さい円環状の固定板である。スケール円盤SDは、第2ドラム部材DRの周方向に向かって、複数の締結部材、すなわち雄ねじ部61及びヘッド部62を含む調整部材60によって、第2ドラム部材DRの少なくとも一方の端部に固定される。
設置方位線Le4をスケール円盤SDの内周側に延長した先には、スケール円盤SDの内周側、かつ第2中心軸AX2と平行かつ第2中心軸AX2を含む断面において傾斜面FP2が形成されている。傾斜面FP2は、第2中心軸AX2に近づくにつれて、第2中心軸AX2と平行な方向の厚みが薄くなるような傾斜面である。押圧部材PPには、第2中心軸AX2に近づくにつれて第2中心軸AX2と平行な方向の厚みが厚くなるような傾斜面FP1が形成されている。そして、押圧部材PPは、スケール円盤SDに対して、傾斜面FP2と傾斜面FP1とが対向するように調整部材60で固定されている。
真円度調整機構Csは、調整部材60の雄ねじ部61をスケール円盤SDの雌ネジ部FP3にねじ込むことにより、押圧部材PPの傾斜面FP1の押圧力が傾斜面FP2に伝達され、スケール円盤SDの内側から外周側に向けて微少量弾性変形する。逆に、雄ねじ部61を反対側に回転させることにより、押圧部材PPの傾斜面FP1の抑制された押圧力が傾斜面FP2に伝達され、スケール円盤SDの外周側から内側に向けて微少量弾性変形する。
真円度調整機構Csは、回転中心線AX2を中心とする周方向に所定のピッチで複数備える調整部材60において、雄ねじ部61を操作することにより、スケールGPの周方向の径を微少量調整することができる。また、真円度調整機構Csは、上述した設置方位線Le1〜Le5上にあるスケールGPを微小変形させることができるので、スケールGPの周方向の径を高精度に調整することができる。したがって、スケール円盤SDの真円度に応じて、適切な位置の調整部材60を操作することにより、スケール円盤SDのスケールGPの真円度を高めたり、回転中心線AX2に対する微少偏心誤差を低減させたりして、360度に渡ってスケールGPのピッチ誤差を所定の範囲内に抑えることができる。なお、真円度調整機構Csが調整する調整量は、スケール円盤SDの直径又は調整部材60の半径位置によって異なるが、最大でも数μm程度である。なお、変位センサRF4は、設置方位線Le4と平行に配置され、第2ドラム部材DRの外周面で基板Pで覆われていない部分Rfpと対向するように配置される。変位センサRF4が光学的なギャップセンサーである場合、部分Rfpは一定の反射率を持って表面粗さが充分に小さい平滑面(鏡面)に加工されている。
図20に示すように、スケール円盤SDは、8個の調整部材60によって第2ドラム部材DRに固定されている。この場合、第1読み取り部としてのエンコーダヘッドEN4と第2読み取り部としてのエンコーダヘッドEN5とは、エンコーダヘッドEN4と第2中心軸AX2とエンコーダヘッドEN5との中心角であるエンコーダ取付角度θsが、隣接する2ヶ所の調整部材60の各々と第2中心軸AX2とを結ぶ線分が成す中心角βよりも小さくなるように配置されることが好ましい。
スケール円盤SDは、調整部材60によって第2ドラム部材DRに固定されるので、調整部材60の近傍では変形が発生する可能性がある。上述したように、θs<βとすることで、エンコーダヘッドEN4、EN5は、隣接する調整部材60間における変形に起因するスケールGPの誤差を確実に検出することができる。その結果、スケールGPの補正精度が向上する。
以上の実施形態の露光装置EXは、図1〜図4に示したように、透過型の円筒マスクDMの内部に設けられた照明機構IUからの照明光でマスクパターンを照明し、その透過光をマルチレンズ方式の投影モジュールPL1〜PL6を介して、第2ドラム部材DRの外周面に支持された基板P上に投影露光する構成であった。しかしながら、少なくとも第2ドラム部材DRのような回転ドラムの外周面の一部で、シート状の基板Pを長尺方向(搬送方向)に湾曲させて支持する基板支持機構(ロールステージ機構)を備えた露光装置であれば、上記の実施形態と同様に、エンコーダヘッドEN1〜EN5と変位センサRF1〜RF5を設けることによって、回転ドラムの外周面の形状誤差やエンコーダ計測用のスケールGPのピッチ誤差等によって生じ得る基板Pの送り誤差(移動量や移動位置の誤差)を低減することができ、基板P上に形成されるパターンの位置を精密に制御できる。
そのような、ロールステージ機構を備えた露光装置であって、透過型の円筒マスクを用いる投影露光装置として、例えば、国際公開WO2013/035661号公報に開示されているように、中空の円筒マスクの内部に投影光学系の一部の光学部材(レンズやミラー)を設けて、円筒マスクの内側の凹状に湾曲したパターン面の投影像を、湾曲支持された基板上に投影露光する装置もある。その他、ロールステージ機構を備えた露光装置としては、反射型の円筒マスクを用いる投影露光装置、透過型の円筒マスクを基板Pに近接(又は接触)させるプロキシミティ(コンタクト)露光装置、マスクを使わずにパターンの設計情報(CADデータ)に基づいて変調される露光ビームを基板Pに投射するマスクレス露光装置等がある。反射型の円筒マスクを用いる投影露光装置としては、例えば、国際公開WO2014/073535号公報に開示されているように、反射型の円筒マスクと投影光学系との間に、偏光ビームスリッター(PBS)と波長板(1/4λ膜)を設け、円筒マスクに向かう照明光束と、円筒マスクのパターンで反射された像光束とを偏光によって効率的に分離させる構成とした投影露光装置がある。
透過型の円筒マスクを用いたプロキシミティ露光装置としては、例えば、国際公開WO2013/136834号公報、又は国際公開WO2013/172048号公報に開示されているように、透過型の円筒マスクの回転中心線が延びる方向の両端部に、回転ドラムの外周面の一部と当接して円筒マスクを回転可能に支持するリング状の支持部を設け、円筒マスクのパターン面と基板との間のギャップを維持する構成、或いは、透過型の円筒マスクの両端部に、回転ドラムの外周面の一部や、回転ドラムで支持された基板の表面と対向するようなリング状又は湾曲したエアパッド部を設け、円筒マスクのパターン面と基板との間のギャップを維持する構成を備えて、ギャップを精密に管理した露光装置がある。さらに、コンタクト露光装置としては、例えば、国際公開WO2013/105317号公報に開示されているように、照明系を内蔵した中空の透過型円筒マスクを基板を支持する回転ドラムとして兼用し、円筒マスクと基板との長尺方向(周方向)の接触長を短くしてコンタクト露光すると共に、円筒マスクと基板との接触位置を相対的に長尺方向に微動可能な構成とし、基板上に露光されるパターンの位置を精密に調整可能とした露光装置もある。
マスクレス露光装置としては、例えば、国際公開WO2014/034161号公報に開示されているように、回転ポリゴンミラーによって走査されるビームをCADデータに応じて変調させて基板に照射する描画モジュールを、回転ドラムの回転軸の方向に複数配置した直描方式の露光装置、或いは、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)の複数の可動マイクロミラーの各々の角度位置をCADデータに応じて制御し、DMDで反射されたパターン像に対応した光分布を基板に投射するDMD方式の露光装置がある。
以上に挙げた各種方式の露光装置でも、シート状の基板を支持する回転ドラムの回転角度位置や基板の送り量の計測には、スケール円盤SDと複数のエンコーダヘッド(ENn)とが使われので、回転ドラムの周囲に変位センサ(RFn)を設けることによって、回転ドラムの外周面の形状誤差(スケールのピッチ誤差も考慮した周方向の局所的な部分距離Lnの変動)による基板の送り誤差に伴うパターンの露光位置のずれを精密に補正することができる。
上述説明した実施形態とその変形例、及び上述の実施形態が同様に適用可能な装置として先に挙げた、国際公開WO2013/035661号公報、国際公開WO2014/073535号公報、国際公開WO2013/136834号公報、国際公開WO2013/172048号公報、国際公開WO2013/105317号公報、国際公開WO2014/034161号公報の各々に開示された基板処理装置は、いずれも露光装置であった。しかしながら、シート状のフレキシブルな基板を長尺方向に送る回転ドラムを備え、回転ドラムで支持された基板に精密なパターニングを施したり、基板上のパターンを検査したりする装置であれば、露光装置に限られずに実施形態と同様の構成が適用できる。
例えば、特許第5294141号に開示されているように、搬送ローラの外周面の一部で支持されたシート基板上に、液滴塗布部(インクジェット等)からの液滴を塗布して、配線や電極のパターンを形成する印刷(塗布)装置、或いは、国際公開WO2011/126132号公報に開示されているように、回転ドラムの回りの周方向に沿って複数の処理部(塗布部等)を配置し、回転ドラムで支持された基板上に複数の処理を連続して施すような構成の処理装置であっても良い。
また、上記実施形態では、いずれも第2計測装置を変位センサRF1〜RF5としたが、これに限定されない。第2計測装置は、固定された撮像装置(CCD、CMOS等のカメラヘッド)を用いることもできる。この場合、第2ドラム部材(回転ドラム)DRの外周面に基準パターン(基準指標)が形成されていれば、エンコーダヘッド(EN1〜EN5)によって計測される第2ドラム部材DRの一定回転角度毎に、第2ドラム部材の基準パターンを撮像装置で撮影し、その画像情報に基づいて、第2ドラム部材の外周面の局所的な部分距離Lnの変動を計測することも可能である。そのためには、国際公開WO2014/034161号公報に開示されているように、第2ドラム部材(回転ドラム)DRの外周面に、所定の反射率となるように調整された基準パターン(線状パターン)を、周方向に一定ピッチで形成すると良い。その場合、第2計測装置としての撮像装置による撮像領域の大きさは、周方向に関して少なくとも2ヶ所の基準パターンが含まれるように設定される。その2ヶ所の基準パターンの周方向のピッチ(間隔)は設計上で既知なので、撮像装置で順次撮像される画像情報を比較することによって、周方向に隣り合う基準パターンの間隔の誤差が計測できる。その誤差は、上述の実施形態で求めた局所的な部分距離Lnの誤差に相当する。なお、第2計測装置は、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2とし、基板Pが第2ドラム部材DRに掛け回される前に、第2ドラム部材DRの外周面に形成された基準パターンの周方向の間隔変動を計測しても良い。
ところで、上述の実施形態では、補正マップTBcの作成の際に、エンコーダヘッドEN4、EN5と変位センサRF4、RF5を使った。エンコーダヘッドEN、4EN5と変位センサRF4、RF5の各設置方位は、第2ドラム部材DRの回転中心軸AX2から見ると、いずれも基板Pが第2ドラム部材DRの外周面に接触している範囲内に存在する。そこで、図5、図6で示したように、基板Pが第2ドラム部材DRの外周面に接触していない範囲に配置されるエンコーダヘッドEN3と同じ設置方位に配置される変位センサRF3を、両端側の変位センサRF3a、RF3bの中間部に、少なくとも1つ追加することにより、第2ドラム部材DRの外周面のY方向の中央部分での真円からの形状誤差を求めることができる。すなわち、先の図18で示すような第2ドラム部材DRの外周面の周期的な形状誤差や姿勢誤差を、さらに正確に求めることができる。
また、上述の実施形態におけるエンコーダヘッドEN1〜EN5と、変位センサRF1〜RF5は、低熱膨張係数の金属材料(インバー等)やセラミックス材料(ガラスセラミック等)による支持部に一体に固設するのが望ましい。
(デバイス製造方法)
図21は、実施形態に係る基板処理装置(露光装置)を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法の手順を示すフローチャートである。このデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS301)。次いで、CAD等で設計された各種レイヤー毎のパターンに基づいて、必要なレイヤー分の円筒マスクDMを製作する(ステップS302)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールFR1を準備しておく(ステップS303)。なお、このステップS303で用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたもの、でもよい。
次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成するとともに、そのバックプレーンに積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS304)。このステップS304には、先の各実施形態で説明した露光装置EX、EX2、EX3、EX4を用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング材を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程又は銀ナノ粒子を含有した導電性インク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。
次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(対環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS305)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行われる(ステップS306)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレー)を製造することができる。
上記実施形態においては、円筒型マスクの外周面に形成されるパターンは、遮光パターンや反射パターンとしたが、位相パターンであっても良い。
また、上記実施形態の露光装置は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度及び光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、露光装置の組立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組立工程は、各種サブシステム相互の機械的接続、電気回路の配線接続及び気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組立工程の前に、各サブシステム個々の組立工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組立工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の置換又は変更を行うこともできる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態で引用した露光装置等に関するすべての公開公報及び米国特許の記載を援用して本明細書の記載の一部とする。このように、上記実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態及び運用技術等は、すべて本発明の範囲に含まれる。
11 基板処理装置
14 制御装置
21 第1ドラム部材
25 第1検出器
35 第2検出器
60 調整部材
61 雄ねじ部
62 ヘッド部
AX1 回転中心線(第1中心軸)
AX2 回転中心線(第2中心軸)
Cs 真円度調整機構
DM 円筒マスク
DR 第2ドラム部材
EN、EN1、EN2、EN3、EN4、EN5 エンコーダヘッド
EX 露光装置
P 基板
SD スケール円盤
TBc 補正マップ

Claims (10)

  1. 所定の中心線から一定半径の外周面を有する円筒体を、前記中心線の回りに回転させたときの前記外周面の回転方向の移動量を計測する回転円筒体の計測装置であって、
    前記中心線の回りに前記円筒体と共に回転すると共に、前記中心線から所定の半径位置に前記回転方向に沿って所定間隔で目盛が形成されたスケール部材と、
    前記中心線からみて所定方向に配置されて、前記スケール部材の目盛の移動を検出して、前記円筒体の回転方向の変位を計測する第1計測装置と、
    前記円筒体の外周面の前記半径の方向に関する変位、又は回転方向に関する部分的な周長の変化を、前記第1計測装置により計測される前記回転方向の変位に対応させて、前記外周面の回転方向の全周に渡って検出することにより、前記中心線から一定半径の真円に対する前記外周面の形状誤差に関する情報を計測する第2計測装置と、
    を有する回転円筒体の計測装置。
  2. 前記第1計測装置によって計測される前記円筒体の回転方向の変位に基づいて、前記外周面の回転方向の移動量を求める際、前記外周面の回転方向に関する部分的な周長の変動を、前記計測される形状誤差に応じて算出する演算部をさらに有する
    請求項1に記載の回転円筒体の計測装置。
  3. 前記第1計測装置は、前記スケール部材の前記目盛を読み取る第1読み取り部と、前記円筒体の周方向において前記第1読み取り部とは異なる角度位置に配置されて、前記目盛を読み取る第2読み取り部と、を有し、
    前記演算部は、前記第1読み取り部による前記目盛の読み取り値と、第2読み取り部による前記目盛の読み取り値との差分に基づいて、前記スケール部材の前記目盛の周方向のピッチ誤差を求め、前記円筒体の回転方向の移動量を算出する際に補正値として用いる、
    請求項2に記載の回転円筒体の計測装置。
  4. 前記第2計測装置は、前記円筒体の外周面までの距離の変化を計測し、前記円筒体の外周面の径方向の変位を計測する
    請求項1から3のいずれか一項に記載の回転円筒体の計測装置。
  5. 前記第2計測装置は、前記円筒体の外周面の周方向の複数の位置に形成された基準パターンを撮像する撮像装置を有し、前記撮像装置で取得した画像に基づいて、前記円筒体の外周面の回転方向に関する部分的な周長の変化を計測する請求項1から3のいずれか一項に記載の回転円筒体の計測装置。
  6. 前記第2計測装置は、前記周方向の異なる3箇所の測定点の各々に配置された3つの変位センサを有し、該3つの変位センサの各々で計測される前記円筒体の外周面の径方向の変動に基づいて、前記円筒体の回転軸に対する偏心を検出し、
    前記演算部は、前記偏心を加味して前記円筒体の前記外周面の回転方向に関する部分的な周長の変化を算出する
    請求項2から5のいずれか一項に記載の回転円筒体の計測装置。
  7. 前記スケール部材は、前記軸方向における前記円筒体の両端の各々に配置されており、
    前記第1計測装置は、前記両端に配置された前記スケール部材のそれぞれの目盛を検出し、
    前記第2計測装置は、前記軸方向における前記円筒体の両端の各々の近傍における前記円筒体の外周面の前記半径の方向に関する変位、又は回転方向に関する部分的な周長の変化を計測する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の回転円筒体の計測装置。
  8. 請求項2から7のいずれか一項に記載の回転円筒体の計測装置と、
    前記円筒体の外周面の一部に沿って、可撓性の長尺のシート基板の一部分を巻き付けた状態で、前記円筒体を前記軸の回りに回転することによって前記シート基板を搬送する駆動部と、
    前記円筒体に巻き付けられた前記シート基板の一部分のうち、前記円筒体の外周面の周方向における特定位置で、前記シート基板に所定の処理を施す処理部と、
    前記駆動部の動作を制御する制御部と、を有する基板処理装置。
  9. 前記制御部は、前記処理部が前記基板に対して前記所定の処理を施しているときに、前記演算部によって算出された前記外周面の回転方向に関する部分的な周長の変動に応じて、前記円筒体の外周面の周方向の移動量が一定になるように、前記円筒体の回転を制御する
    請求項8に記載の基板処理装置。
  10. 請求項8または9に記載の基板処理装置の処理部は、前記シート基板に所定のパターンの形状に応じた光エネルギーを照射する露光装置であり、
    表面に感光性機能層が形成された前記基板を、前記回転円筒体の外周面の一部で支持した状態で、前記長尺方向に送ることと、
    前記シート基板の前記回転円筒体で支持される部分に向けて、前記露光装置からの光エネルギーを照射することと、
    該照射された前記シート基板を処理することにより、前記シート基板上に所定のパターンの形状に対応した層を形成することと、を含む
    デバイス製造方法。
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