JP2017088119A - 船舶の操船制御方法および船舶の操船制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】目標とする船速を設定してエンジン制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることが可能な船舶の操船制御方法を提供する。
【解決手段】この船舶の操船制御方法は、エンジンが設けられた船舶の操船制御方法であって、目標船速を設定し、船舶の実際の船速を検出し、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御する。
【選択図】図6
【解決手段】この船舶の操船制御方法は、エンジンが設けられた船舶の操船制御方法であって、目標船速を設定し、船舶の実際の船速を検出し、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御する。
【選択図】図6
Description
この発明は、船舶の操船制御方法および船舶の操船制御システムに関する。
従来、船舶の操船制御システムが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
上記特許文献1には、エンジンと、エンジンの出力を操作するスロットル機構と、船舶の加速を制御するマイクロプロセッサとを備える船舶の操船制御システムが開示されている。この船舶の操船制御システムのマイクロプロセッサは、目標回転数、加速割合、オーバーシュート割合およびオーバーシュート期間を設定することにより、時間の関数としての加速プロフィールを作成し、作成した加速プロフィールに基づいてエンジンの回転速度を制御している。
上記特許文献2には、エンジンと、エンジンの出力を操作するスロットル装置と、船舶の加速を制御するマイクロプロセッサとを備える船舶の操船制御システムが開示されている。この船舶の操船制御システムのマイクロプロセッサは、実際の船舶の加速プロフィールを学習して記憶し、記憶した加速プロフィールに基づいてエンジンの回転速度を制御している。
上記特許文献1および2に記載の船舶の制御システムでは、加速プロフィールに基づいてエンジン(エンジンの回転速度)を制御することができる。しかしながら、目標とする船速を設定してフィードバック制御によりエンジンを制御する場合には、エンジン回転数などの変化に対して船舶の実際の船速の追従が遅いため、実際の船速を目標とする船速に近づけるのに時間を要する場合がある。この場合、応答性が良くないという不都合がある。また、応答性を向上させるために、制御ゲインを高く設定した場合には、オーバーシュートやハンチングが発生するため、収束性が良くないという不都合がある。これらのため、目標とする船速を設定してエンジンを制御する場合には、応答性と収束性とを両立することが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、目標とする船速を設定してエンジンを制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることが可能な船舶の操船制御方法および船舶の操船制御システムを提供することである。
この発明の第1の局面による船舶の操船制御方法は、エンジンが設けられた船舶の操船制御方法であって、目標船速を設定し、船舶の実際の船速を検出し、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御する。
この第1の局面による船舶の操船制御方法では、上記のように、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御する。これにより、目標船速と実際の船速との差にのみ基づいて目標エンジン回転数を設定するようにフィードバック制御を行う場合に比べて、エンジン回転数の立ち上がりを早くすることができるので、実際の船速を目標とする船速に近づけるのに要する時間を短縮させて、応答性を向上させることができる。そして、応答性を向上させるために制御ゲインを高く設定しなくてもよいので、実際の船速を目標船速に容易に略収束させて、収束性を向上させることができる。これらの結果、目標とする船速を設定してエンジンを制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることができる。
上記第1の局面による船舶の操船制御方法において、好ましくは、目標船速と基本エンジン回転数とを関連付けたマップから、目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得する。このように構成すれば、マップから基本エンジン回転数が取得されるので、基本エンジン回転数を取得するために複雑な演算を行う場合に比べて、基本エンジン回転数を取得するための処理負荷を軽減することができる。
この場合、好ましくは、マップは、更新可能である。このように構成すれば、マップを更新することによって、マップの精度を向上させることができる。その結果、応答性と収束性とをより両立しやすくすることができる。
上記マップが更新可能な構成において、好ましくは、実際のエンジン回転数を取得し、実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいて、マップを更新する。このように構成すれば、船舶の実際の船速と実際のエンジン回転数との関係を、マップにより学習させて更新することができる。その結果、船舶の実際の使用状況をマップに反映させることができるので、船舶の実際の使用状況においてマップの精度を向上させることができる。これにより、応答性と収束性とをより一層両立しやすくすることができる。船舶では、船舶毎の固有の特性や船舶の重量変化などに起因して船速とエンジン回転数との関係が変化するため、船舶の実際の船速と実際のエンジン回転数との関係をマップにより学習させて更新することができることは、特に有効である。
この場合、好ましくは、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実際の船速が目標船速に略収束した場合に、この場合における実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいて、マップを更新する。このように構成すれば、定常走行状態における実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいてマップを更新することができるので、マップの精度をより向上させることができる。
上記第1の局面による船舶の操船制御方法において、好ましくは、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を加減する補正を行うことにより、目標エンジン回転数を取得する。このように構成すれば、基本エンジン回転数を容易に補正することができるので、目標エンジン回転数を容易に取得することができる。
上記第1の局面による船舶の操船制御方法において、好ましくは、所定の条件が成立しない場合は、基本エンジン回転数の補正を制限する。このように構成すれば、所定の条件が成立しない場合に、基本エンジン回転数が過度に補正されることを抑制することができるので、応答性と収束性とが低下することを抑制することができる。
この場合、好ましくは、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正するための補正量を取得し、所定の条件が成立しない場合は、補正量を制限するとともに、制限後の補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正し、所定の条件が成立する場合は、補正量を制限することなく補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正する。このように構成すれば、所定の条件が成立しない場合に、基本エンジン回転数が過度に補正されることを抑制することができるとともに、所定の条件が成立する場合に、基本エンジン回転数を適切に補正することができる。
上記補正量を取得する構成において、好ましくは、補正量に上限値および下限値を設けることにより、補正量を制限する。このように構成すれば、補正量が上限値と下限値との間の値になるように補正量を制限することができるので、基本エンジン回転数が過度に補正されることを容易に抑制することができる。
上記所定の条件が成立しない場合に基本エンジン回転数の補正を制限する構成において、好ましくは、所定の条件は、実際の船速が所定の船速に到達するという条件、エンジンの実際のエンジン回転数が所定のエンジン回転数に到達するという条件、目標船速と実際の船速との差が所定の値に到達するという条件、エンジンの制御を開始してから所定の時間が経過するという条件のうちの少なくともいずれか1つの条件を含む。このように構成すれば、上記のような条件に基づいて、所定の条件が成立したか否かを容易に判断することができる。
上記第1の局面による船舶の操船制御方法において、好ましくは、エンジンのスロットルを制御することにより、エンジンを制御する。このように構成すれば、エンジンの出力を容易に制御することができる。
上記第1の局面による船舶の操船制御方法において、好ましくは、目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御する。このように構成すれば、ユーザが目標船速制御を開始させることを所望する場合に、応答性と収束性とを両立しやすい目標船速制御を行うことができる。
この場合、好ましくは、船舶を加速する加速モードの開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいてエンジンを制御する。このように構成すれば、加速モードにおいて、応答性と収束性とを両立しやすい目標船速制御を行うことができる。この結果、たとえば、加速モードにおいて水上スキーやウェークボードなどをトーイングする場合に、オーバーシュートやハンチングが発生することを抑制することができるので、トーイング用のロープの張りが緩むことを抑制することができる。
この発明の第2の局面による船舶の操船制御システムは、エンジンと、目標船速を設定する設定部と、船舶の実際の船速を検出する船速検出部と、目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を記憶する記憶部と、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を記憶部から取得するとともに、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいてエンジンを制御する制御部と、を備える。
この第2の局面による船舶の操船制御システムでは、上記のように、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいてエンジンを制御する制御部を設ける。これにより、上記第1の局面による船舶の操船制御方法の場合と同様に、目標とする船速を設定してエンジンを制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることができる。
上記第2の局面による船舶の操船制御システムにおいて、好ましくは、記憶部には、目標船速と基本エンジン回転数とを関連付けたマップが記憶されており、制御部は、目標船速と基本エンジン回転数とを関連付けたマップから、目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得するように構成されている。このように構成すれば、マップから基本エンジン回転数が取得されるので、基本エンジン回転数を取得するために演算を行う場合に比べて、基本エンジン回転数を取得するための処理負荷を軽減することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、実際のエンジン回転数を取得し、実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいて、マップを更新するように構成されている。このように構成すれば、船舶の実際の船速と実際のエンジン回転数との関係を、マップにより学習させて更新することができる。その結果、船舶の実際の使用状況をマップに反映させることができるので、船舶の実際の使用状況においてマップの精度を向上させることができる。これにより、応答性と収束性とをより一層両立しやすくすることができる。船舶では、船舶毎の固有の特性や船舶の重量変化などに起因して船速とエンジン回転数との関係が変化するため、船舶の実際の船速と実際のエンジン回転数との関係をマップにより学習させて更新することができることは、特に有効である。
上記マップを更新する構成において、好ましくは、制御部は、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実際の船速が目標船速に略収束した場合に、この場合における実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいて、マップを更新するように構成されている。このように構成すれば、定常走行状態における実際の船速と実際のエンジン回転数とに基づいてマップを更新することができるので、マップの精度をより向上させることができる。
上記第2の局面による船舶の操船制御システムにおいて、好ましくは、制御部は、所定の条件が成立しない場合は、基本エンジン回転数の補正を制限するように構成されている。このように構成すれば、所定の条件が成立しない場合に、基本エンジン回転数が過度に補正されることを抑制することができるので、応答性と収束性とが低下することを抑制することができる。
上記第2の局面による船舶の操船制御システムにおいて、好ましくは、目標船速制御の開始の指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、制御部は、指示受付部により目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実際の船速が目標船速に近づくようにエンジンを制御するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが目標船速制御を開始させることを所望する場合に、応答性と収束性とを両立させながら船舶の船速を制御することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、指示受付部により船舶を加速する加速モードの開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実際の船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいてエンジンを制御するように構成されている。このように構成すれば、加速モードにおいて、応答性と収束性とを両立しやすい目標船速制御を行うことができる。この結果、たとえば、加速モードにおいて水上スキーやウェークボードなどをトーイングする場合に、オーバーシュートやハンチングが発生することを抑制することができるので、トーイング用のロープの張りが緩むことを抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、目標とする船速を設定してエンジン制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることが可能な船舶の操船制御方法および船舶の操船制御システムを提供することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[一実施形態]
(船舶の構成)
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による船舶の操船制御システム100を備えた船舶1の構成について説明する。なお、図中、FWDは、船舶1の前進方向を示しており、BWDは、船舶1の後進方向を示している。図中、Rは、船舶1の右舷(スターボード)方向を示しており、Lは、船舶1の左舷(ポートサイド)方向を示している。
(船舶の構成)
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による船舶の操船制御システム100を備えた船舶1の構成について説明する。なお、図中、FWDは、船舶1の前進方向を示しており、BWDは、船舶1の後進方向を示している。図中、Rは、船舶1の右舷(スターボード)方向を示しており、Lは、船舶1の左舷(ポートサイド)方向を示している。
船舶1は、図1および図2に示すように、船体2と、1機の船外機3と、ステアリングホイール4と、リモコン5と、タッチパネル端末6と、GPS(グローバルポジショニングシステム)装置7と、制御装置8とを備えている。なお、タッチパネル端末6は、特許請求の範囲の「指示受付部」の一例である。GPS装置7は、特許請求の範囲の「船速検出部」の一例である。制御装置8は、特許請求の範囲の「設定部」および「制御部」の一例である。
図1に示すように、船体2には、トーイングロープ取付部21が設けられている。船体2のトーイングロープ取付部21には、トーイングロープ21aの一方端が取り付けられている。トーイングロープ21aの他方端は、水上スキーヤー(水上スキーを行う人)やウェークボーダー(ウェークボードを行う人)などにより把持されている。つまり、船舶1は、水上スキーやウェークボードなどをトーイングすることが可能な船舶である。
図1および図2に示すように、船外機3は、船体2に推力を与える推進機である。船外機3は、船体2の後部に取り付けられている。船外機3は、船体2に推力を与えるための動力源としてのエンジン31を含んでいる。船外機3は、エンジン31の下方に延びるように配置されるドライブシャフト(図示せず)と、ドライブシャフトと直交(交差)する方向に延びる1本のプロペラシャフト(図示せず)と、プロペラシャフトの後端部に取り付けられ、プロペラシャフトと共に回転される1つのプロペラ(図示せず)とを含んでいる。船外機3では、エンジン31により発生された駆動力が、ドライブシャフトとプロペラシャフトとを介して、プロペラに伝達される。これにより、プロペラが回転して、船外機3から船体2に推力が与えられる。
船外機3は、エンジン31の回転数を検出するための回転数検出部32と、エンジン31のスロットルの開度を変更するためのスロットルアクチュエータ33とを含んでいる。エンジン31は、スロットルアクチュエータ33により変更されるスロットルの開度に応じて、回転数が変化する。回転数検出部32により検出されたエンジン31の回転数(以下、「エンジン回転数」ともいう)は、制御装置8により取得される。
ステアリングホイール4は、船体2を操舵するために設けられている。ステアリングホイール4は、制御装置8を介して、転舵装置(図示せず)に接続されている。そして、ステアリングホイール4の操作に基づいて、転舵装置により船外機3が転舵されることによって、船体2が操舵される。
リモコン5は、船外機3のシフトおよび出力(スロットルの開度)を操作するために設けられている。リモコン5は、制御装置8を介して、船外機3に接続されている。そして、リモコン5の操作に基づいて、船外機3の出力およびシフト(前進、後進または中立)が制御される。
タッチパネル端末6は、船体2の移動を操作するためや、船舶1の運転状態のモードの選択および切り替えるためなどに用いられる。具体的には、タッチパネル端末6は、船外機3を制御して、船舶1の移動を操作することが可能である。タッチパネル端末6は、持ち運び可能であり、船舶1の任意の場所においてユーザが把持して船舶1を操船することが可能である。タッチパネル端末6は、たとえば、タブレット端末である。
タッチパネル端末6は、船舶1に関する情報を表示する。たとえば、タッチパネル端末6には、船舶1の船速、エンジン31の回転数、燃料(ガソリン)の残量および消費量、燃費、エンジン31の温度、バッテリの容量、運転状態のモードなどの情報が表示される。タッチパネル端末6は、ユーザの操作により、運転状態のモードの選択を受け付ける。運転状態のモードは、自動で船舶1を操縦させるためのオートクルーズモード、船舶1の着岸時および離岸時のための離着岸モード、低速で航行させるためのトローリングモード、水上スキーやウェークボードなどをトーイングするための加速モード(トーイングモード)を含む。タッチパネル端末6は、有線通信または無線通信により制御装置8に通信可能に接続されている。
GPS装置7は、船舶1の位置および速度(船速)を検出するために設けられている。GPS装置7により検出された船舶1の位置および船速は、制御装置8により取得される。
制御装置8は、船外機3、ステアリングホイール4、リモコン5、タッチパネル端末6、およびGPS装置7などからの情報に基づいて、船外機3などを制御する。
制御装置8には、記憶部8aが設けられている。記憶部8aには、船舶1の定常走行状態における船速とエンジン回転数とを関連付けたマップが記憶されている。
図3に、船舶1の定常走行状態における船速とエンジン回転数との関係の一例を示す。記憶部8aには、たとえば、定常走行状態における船速V1〜V8と、船速V1〜V8のそれぞれの場合におけるエンジン回転数R1〜R8とをそれぞれ関連付けたマップが記憶されている。なお、図3で示す8組の関連付けた値は単なる例示であり、マップは、8組以外の関連付けた値を含んでいてもよい。
(船舶の操船制御システムの目標船速制御に関する構成)
船舶の操船制御システム100は、図2に示すように、船外機3と、ステアリングホイール4と、リモコン5と、タッチパネル端末6と、GPS装置7と、制御装置8と、記憶部8aとを備えている。以下では、船舶の操船制御システム100による、船舶1の目標船速制御について説明する。
船舶の操船制御システム100は、図2に示すように、船外機3と、ステアリングホイール4と、リモコン5と、タッチパネル端末6と、GPS装置7と、制御装置8と、記憶部8aとを備えている。以下では、船舶の操船制御システム100による、船舶1の目標船速制御について説明する。
ここで、本実施形態では、制御装置8は、タッチパネル端末6により目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、目標船速制御を開始する。具体的には、タッチパネル端末6により船舶1を加速する加速モード(トーイングモード)の開始の指示を受け付けた場合に、目標船速制御を開始する。
本実施形態では、制御装置8は、図4に示すように、目標とする船速(以下、「目標船速」という)を設定する。そして、制御装置8は、設定された目標船速に関連付けられたエンジン回転数(以下、「基本エンジン回転数」という)を記憶部8aから取得する。
そして、制御装置8は、目標船速と船舶1の実際の船速(以下、「実船速」という)との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標とするエンジン回転数(以下、「目標エンジン回転数」という)として設定する。そして、制御装置8は、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実船速が目標船速に近づくように船外機3のエンジン31を制御する。この際、制御装置8は、船外機3のスロットルアクチュエータ33によりエンジン31のスロットルを制御することによって、エンジン31を制御する。このように、船舶1の操船制御システム100による目標船速制御が行われる。
図4を参照して、目標船速制御の制御ロジックを説明する。
目標船速制御では、制御装置8は、図4に示すように、まず、目標船速を取得して設定する。なお、目標船速は、固定の値(たとえば、最終目標船速)であってもよいし、図5に示すように最終目標船速に到達するまでに変化する可変の値であってもよい。最終目標船速は、たとえば、タッチパネル端末6を用いてユーザが指定することが可能である。船舶1の操船制御システム100は、実船速が最終目標船速に近づくように目標船速制御を行う。
制御装置8は、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を記憶部8aのマップから取得する。たとえば、設定された目標船速が図3に示すV1である場合には、基本エンジン回転数として図3に示すR1が記憶部8aから取得される。
制御装置8は、GPS装置7により検出される船舶1の実船速を取得する。そして、制御装置8は、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を加減する補正を行うことにより、目標エンジン回転数を取得して設定する。
具体的には、制御装置8は、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正するための補正量を取得する。具体的には、制御装置8は、目標船速と実船速との差の絶対値が大きくなるのに応じて、補正量の絶対値が大きくなるように補正量を取得する。制御装置8は、目標船速と実船速との差が正の値である場合には、正の補正量を取得する。制御装置8は、目標船速と実船速との差が負の値である場合には、負の補正量を取得する。
制御装置8は、取得された補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を加減する補正を行い、目標エンジン回転数を取得して設定する。
制御装置8は、船外機3の回転数検出部32により検出される実際のエンジン回転数(以下、「実エンジン回転数」という)を取得する。そして、制御装置8は、目標エンジン回転数と実エンジン回転数との差に応じて、目標エンジン回転数と実エンジン回転数との差を減じるように(実エンジン回転数が目標エンジン回転数に近づくように)スロットルアクチュエータ33によるエンジン31のスロットルの制御(スロットル制御)を行う。制御装置8は、エンジン31のスロットルを制御して、エンジン31の回転数を制御することによって、船舶1の目標船速制御を行う。
<補正の制限に関する構成>
制御装置8は、目標船速制御におけるエンジン31の制御が開始されてから所定の条件が成立するまでは、基本エンジン回転数の補正を制限する。具体的には、制御装置8は、補正量に上限値および下限値を設けることにより、補正量を制限する。
制御装置8は、目標船速制御におけるエンジン31の制御が開始されてから所定の条件が成立するまでは、基本エンジン回転数の補正を制限する。具体的には、制御装置8は、補正量に上限値および下限値を設けることにより、補正量を制限する。
制御装置8は、所定の条件が成立しない場合(目標船速制御におけるエンジン31の制御が開始されてから所定の条件が成立するまで)は、補正量を制限するとともに、制限後の補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正する。すなわち、制御装置8は、所定の条件が成立しない場合であって、上限値よりも大きい補正量または下限値よりも小さい補正量が取得された場合には、上限値または下限値を基本エンジン回転数に付加する。
一方、制御装置8は、所定の条件が成立する場合(所定の条件が成立した後)は、補正量を制限することなく補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正する。すなわち、制御装置8は、所定の条件が成立する場合は、目標船速と実船速とに応じて取得された補正量をそのまま基本エンジン回転数に付加する。
所定の条件としては、たとえば、実船速が所定の船速に到達するという条件や、エンジン31の実エンジン回転数が所定のエンジン回転数に到達するという条件、目標船速と実船速との差が所定の値に到達するという条件、エンジン31の制御を開始してから所定の時間が経過するという条件などの条件を用いることが可能である。
<マップの更新に関する構成>
記憶部8aに記憶されたマップは、更新可能である。マップは、たとえば、手動で更新することが可能である。マップは、たとえば、船舶1の操船制御システム100により自動で更新することが可能である。
記憶部8aに記憶されたマップは、更新可能である。マップは、たとえば、手動で更新することが可能である。マップは、たとえば、船舶1の操船制御システム100により自動で更新することが可能である。
本実施形態では、制御装置8は、実船速と実エンジン回転数とに基づいて、マップを更新する。具体的には、制御装置8は、目標船速制御において、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実船速が目標船速に略収束した場合(つまり、定常走行状態とみなせるような場合)に、この場合における実船速と実エンジン回転数とに基づいて、マップを更新する。より具体的には、制御装置8は、この場合における実船速と実エンジン回転数とを関連付けた情報により、マップを更新する。これにより、船舶1の実船速と実エンジン回転数との関係が、学習されて、マップに反映される。
(目標船速制御の制御例)
図5に、船舶1の操船制御システム100目標船速制御における目標船速と、実船速と、時間との関係の一例を示す。図5では、これらに加えて、第1比較例による実船速、第2比較例による実船速、第3比較例による実船速、および第4比較例による実船速も示す。
図5に、船舶1の操船制御システム100目標船速制御における目標船速と、実船速と、時間との関係の一例を示す。図5では、これらに加えて、第1比較例による実船速、第2比較例による実船速、第3比較例による実船速、および第4比較例による実船速も示す。
図5に示す例では、時点t0において、目標船速制御が開始されている。図5に示す例では、目標船速は、時点t0から所定の時点までは、時間に応じて徐々に大きくなるとともに、所定の時点以降は、固定の値(最終目標船速)になるように変更されて設定されている。
第1比較例および第2比較例は、共に、図5に示す目標船速に応じてエンジン回転数を制御するフィードフォワード制御のみにより目標船速制御を行う場合の実船速の一例を示している。すなわち、第1比較例および第2比較例は、図4における目標船速に応じてマップから基本エンジン回転数を取得してエンジン31を制御する処理までが行われた状態を示している。フィードフォワード制御では、風や波、潮などの外的要因の影響を目標船速制御に反映させることができない。このため、エンジン回転数を所定の回転数に維持した場合でも、風や波、潮などの外的要因の影響によって、第1比較例のように最終目標船速よりも大きい状態で実船速が維持されてしまう場合や、第2比較例のように最終目標船速よりも小さい状態で実船速が維持されてしまう場合がある。したがって、エンジン回転数を制御するフィードフォワード制御のみにより目標船速制御を行う場合には、最終目標船速に収束しない場合がある。
第3比較例および第4比較例は、共に、図5に示す目標船速に応じてフィードバック制御のみにより目標船速制御を行う場合の実船速の一例を示している。第3比較例では、実船速が最終目標船速に徐々に収束していくものの、本実施形態の船舶1の操船制御システム100による目標船速制御を行う場合に比べて、実船速が最終目標船速に収束するまでに時間を要する。また、第3比較例では、実船速が最終目標船速に収束するまでに、オーバーシュートが発生する。
第4比較例は、第3比較例の場合に比べて、制御ゲインを高く設定した場合の例である。第4比較例では、第3比較例に比べて実船速が最終目標船速に到達するまでの時間が短縮されている一方、第3比較例に比べてより大きなオーバーシュートが発生する。また、第4比較例では、ハンチングが発生しやすくなる。このように、フィードバック制御のみにより目標船速制御を行う場合には、応答性および収束性を両立させることが困難である。
一方、本実施形態の船舶1の操船制御システム100による目標船速制御では、目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数(フィードフォワード成分)と、目標船速と実船速とに基づく補正量(フィードバック成分)とを組み合わせて船舶1の目標船速制御を行うことが可能である。この結果、オーバーシュートやハンチングが発生することを抑制しつつ、実船速を目標船速(最終目標船速)に迅速に略収束させることが可能である。これにより、フィードバック制御のみにより目標船速制御を行う場合、およびフィードフォワード制御のみにより目標船速制御を行う場合に比べて、応答性と収束性とを両立しやすくすることが可能である。
なお、図5に示す例では、時点t1において、所定の条件が成立し、時点t2において、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実船速が目標船速に略収束した状態となる。
この場合、時点t0から時点t1までの間は、所定の条件が成立していないため、基本エンジン回転数の補正が制限された状態で、目標エンジン回転数が取得され、目標エンジン回転数に基づくエンジン31の制御が行われる。これにより、時点t1までに基本エンジン回転数が過度に補正されるのを抑制することができるので、時点t1以降において、オーバーシュートが発生してしまうのをより抑制することが可能である。そして、時点t1以降は、所定の条件が成立しているため、基本エンジン回転数の補正が制限されることなく、目標エンジン回転数が取得され、目標エンジン回転数に基づくエンジン31の制御が行われる。これにより、基本エンジン回転数が最終目標船速に対応するエンジン回転数に対してずれていた場合(第1比較例や第2比較例のような場合)にも、基本エンジン回転数を適切に補正して、実船速を最終目標船速に略収束させることが可能である。
また、時点t2では、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実船速が目標船速に略収束したと制御装置8により判断される。そして、時点t2における実船速と実エンジン回転数とに基づいて、記憶部8aに記憶されたマップが更新される。
(目標船速制御処理)
次に、図6を参照して、本実施形態の船舶1の操船制御システム100による目標船速制御処理をフローチャートに基づいて説明する。目標船速制御処理は、制御装置8により行われる。
次に、図6を参照して、本実施形態の船舶1の操船制御システム100による目標船速制御処理をフローチャートに基づいて説明する。目標船速制御処理は、制御装置8により行われる。
ユーザにより目標船速制御の開始(加速モードの開始)が指示されると、図6に示すように、まず、ステップS1において、目標船速が取得されて設定される。
ステップS2において、記憶部8aに記憶されたマップから、ステップS1において設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数が取得される。
ステップS3において、GPS装置7により検出される実船速が取得される。
ステップS4において、目標船速と実船速との差に応じて、ステップS2において取得された基本エンジン回転数を補正するための補正量が取得される。
ステップS5において、所定の条件が成立しているか否かが判断される。すなわち、実船速が所定の船速に到達したか否かや、エンジン31の実エンジン回転数が所定のエンジン回転数に到達したか否か、目標船速と実船速との差が所定の値に到達したか否か、エンジン31の制御を開始してから所定の時間が経過したか否かなどが判断される。所定の条件が成立していると判断される場合には、ステップS6に進む。所定の条件が成立していないと判断される場合には、ステップS7に進む。
ステップS6では、ステップS4において取得された補正量を制限する。具体的には、ステップS6では、まず、ステップS4において上限値よりも大きい補正量または下限値よりも小さい補正量が取得されたか否かが判断される。ステップS4において上限値よりも大きい補正量が取得されたと判断される場合には、上限値または下限値を補正量とすることによって、補正量を制限する。ステップS4において下限値よりも小さい補正量が取得されたと判断される場合には、下限値を補正量とすることによって、補正量を制限する。ステップS4において上限値以下でかつ下限値以上の補正量が取得されたと判断される場合には、補正量を制限しないで、ステップS4において取得された補正量をそのまま用いる。なお、ステップS6を経由することなく、ステップS7に進む場合にも、補正量を制限しないで、ステップS4において取得された補正量をそのまま用いる。
ステップS7において、基本エンジン回転数を補正することによって目標エンジン回転数が取得されて設定される。具体的には、ステップS6において補正量が制限されている場合には、制限後の補正量を基本エンジン回転数に付加することによって、基本エンジン回転数を補正して、目標エンジン回転数が取得されて設定される。ステップS6において補正量が制限されていない場合には、ステップS4において取得された補正量をそのまま基本エンジン回転数に付加することによって、基本エンジン回転数を補正して、目標エンジン回転数が取得されて設定される。
ステップS8において、船外機3の回転数検出部32により検出される実エンジン回転数が取得される。
ステップS9において、目標エンジン回転数と実エンジン回転数との差を減じるようにスロットル制御が行われる。すなわち、スロットルアクチュエータ33により、目標エンジン回転数と実エンジン回転数との差を減じるように、スロットル開度が変化される。その後、ステップS1に戻る。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実船速が目標船速に近づくようにエンジン31を制御するように制御装置8を構成する。これにより、目標船速と実船速との差にのみ基づいて目標エンジン回転数を設定するようにフィードバック制御を行う場合(第3比較例の場合)に比べて、エンジン回転数の立ち上がりを早くすることができるので、実船速を目標とする船速に近づけるのに要する時間を短縮させて、応答性を向上させることができる。そして、応答性を向上させるために制御ゲインを高く設定しなくてもよいので、実船速を目標船速に容易に略収束させて、収束性を向上させることができる。これらの結果、目標とする船速を設定してエンジン31を制御する場合にも、応答性と収束性とを両立しやすくすることができる。
本実施形態では、上記のように、目標船速と基本エンジン回転数とを関連付けた記憶部8aのマップから、目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得するように制御装置8を構成する。これにより、マップから基本エンジン回転数が取得されるので、基本エンジン回転数を取得するために複雑な演算を行う場合に比べて、基本エンジン回転数を取得するための制御装置8の処理負荷を軽減することができる。
本実施形態では、上記のように、マップは、更新可能である。これにより、マップを更新することによって、マップの精度を向上させることができる。その結果、応答性と収束性とをより両立しやすくすることができる。
本実施形態では、上記のように、実エンジン回転数を取得し、実船速と実エンジン回転数とに基づいて、マップを更新するように制御装置8を構成する。これにより、船舶1の実船速と実エンジン回転数との関係を、マップにより学習させて更新することができる。その結果、船舶1の実際の使用状況をマップに反映させることができるので、船舶1の実際の使用状況においてマップの精度を向上させることができる。これにより、応答性と収束性とをより一層両立しやすくすることができる。船舶1では、船舶1毎の固有の特性や船舶1の重量変化などに起因して船速とエンジン回転数との関係が変化するため、船舶1の実船速と実エンジン回転数との関係をマップにより学習させて更新することができることは、特に有効である。
本実施形態では、上記のように、目標船速が一定時間変化せず、かつ、実船速が目標船速に略収束した場合に、この場合における実船速と実エンジン回転数とに基づいて、マップを更新するように制御装置8を構成する。これにより、定常走行状態における実船速と実エンジン回転数とに基づいてマップを更新することができるので、マップの精度をより向上させることができる。
本実施形態では、上記のように、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を加減する補正を行うことにより、目標エンジン回転数を取得するように制御装置8を構成する。これにより、基本エンジン回転数を容易に補正することができるので、目標エンジン回転数を容易に取得することができる。
本実施形態では、上記のように、所定の条件が成立しない場合は、基本エンジン回転数の補正を制限するように制御装置8を構成する。これにより、所定の条件が成立しない場合に、基本エンジン回転数が過度に補正されることを抑制することができるので、応答性と収束性とが低下することを抑制することができる。
本実施形態では、上記のように、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正するための補正量を取得し、所定の条件が成立しない場合は、補正量を制限するとともに、制限後の補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正し、所定の条件が成立する場合は、補正量を制限することなく補正量を基本エンジン回転数に付加することにより、基本エンジン回転数を補正するように制御装置8を構成する。これにより、所定の条件が成立しない場合に、基本エンジン回転数が過度に補正されることを容易に抑制することができるとともに、所定の条件が成立する場合に、基本エンジン回転数を適切に補正することができる。
本実施形態では、上記のように、補正量に上限値および下限値を設けることにより、補正量を制限するように制御装置8を構成する。これにより、補正量が上限値と下限値との間の値になるように補正量を制限することができるので、基本エンジン回転数が過度に補正されることを容易に抑制することができる。
本実施形態では、上記のように、所定の条件として、実船速が所定の船速に到達するという条件、エンジン31の実エンジン回転数が所定のエンジン回転数に到達するという条件、目標船速と実船速との差が所定の値に到達するという条件、エンジン31の制御を開始してから所定の時間が経過するという条件のうちの少なくともいずれか1つの条件を用いる。これにより、上記のような条件に基づいて、所定の条件が成立したか否かを容易に判断することができる。
本実施形態では、上記のように、エンジン31のスロットルを制御することにより、エンジン31を制御するように制御装置8を構成する。これにより、エンジン31の出力を容易に制御することができる。
本実施形態では、上記のように、目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいて、実船速が目標船速に近づくようにエンジン31を制御するように制御装置8を構成する。これにより、ユーザが目標船速制御を開始させることを所望する場合に、応答性と収束性とを両立しやすい目標船速制御を行うことができる。
本実施形態では、上記のように、船舶1を加速する加速モードの開始の指示を受け付けた場合に、設定された目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、目標船速と実船速との差に応じて、基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された目標エンジン回転数に基づいてエンジン31を制御するように制御装置8を構成する。これにより、加速モードにおいて、応答性と収束性とを両立しやすい目標船速制御を行うことができる。この結果、たとえば、加速モードにおいて水上スキーやウェークボードなどをトーイングする場合に、オーバーシュートやハンチングが発生することを抑制することができるので、トーイング用のロープの張りが緩むことを抑制することができる。
(変形例)
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の設定部と制御部とが一体的に制御装置に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設定部と制御部とが別体で設けられていてもよいし、設定部と制御部とが制御装置以外の装置に設けられていてもよい。
上記実施形態では、船舶の推進機として、エンジンが設けられた船外機を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、エンジンが設けられた推進機であれば、船外機以外の推進機を用いてもよい。たとえば、船舶の推進機として、船内機やジェット推進機、船内外機などを用いてもよい。
上記実施形態では、船舶に1機の船外機(推進機)が設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶に2機以上の推進機が設けられていてもよい。
上記実施形態では、GPS装置を用いて船舶の実船速を検出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、GPS装置以外の装置を用いて船舶の実船速を検出してもよい。たとえば、ピトー管を用いて、静圧と動圧との差から船舶の実船速を検出してもよいし、水車装置を用いて、水車の回転数から船舶の実船速を検出してもよい。
上記実施形態では、タッチパネル端末を用いて目標船速制御の開始の指示を受け付けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、タッチパネル端末以外の装置を用いて目標船速制御の開始の指示を受け付けてもよい。たとえば、ジョイスティックなどの装置を用いて開始の指示を受け付けてもよい。
上記実施形態では、船速(目標船速)に関連付けした基本エンジン回転数を、マップを用いて取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船速(目標船速)に関連付けした基本エンジン回転数を、関数(計算式)を用いて取得してもよい。
上記実施形態では、所定の条件が成立するまでは、補正量に上限値および下限値を設けることにより、補正量を制限した例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、所定の条件が成立するまでは、補正を行わないことにより、補正量を制限してもよい。この場合、所定の条件が成立するまでは、基本エンジン回転数をそのまま目標エンジン回転数として用いればよい。
上記実施形態では、船舶を加速する加速モード(トーイングモード)の開始の指示を受け付けた場合に、目標船速制御を開始した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、加速モード以外のモードの開始を受け付けた場合に、目標船速制御を開始してもよい。たとえば、オートクルーズモードの開始を受け付けた場合に、目標船速制御を開始してもよい。
上記実施形態では、説明の便宜上、制御装置の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
1 船舶
6 タッチパネル端末(指示受付部)
7 GPS装置(船速検出部)
8 制御装置(制御部、設定部)
8a 記憶部
31 エンジン
100 船舶の操船制御システム
6 タッチパネル端末(指示受付部)
7 GPS装置(船速検出部)
8 制御装置(制御部、設定部)
8a 記憶部
31 エンジン
100 船舶の操船制御システム
Claims (20)
- エンジンが設けられた船舶の操船制御方法であって、
目標船速を設定し、
前記船舶の実際の船速を検出し、
設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて、前記実際の船速が前記目標船速に近づくように前記エンジンを制御する、船舶の操船制御方法。 - 前記目標船速と前記基本エンジン回転数とを関連付けたマップから、前記目標船速に関連付けられた前記基本エンジン回転数を取得する、請求項1に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記マップは、更新可能である、請求項2に記載の船舶の操船制御方法。
- 実際のエンジン回転数を取得し、
前記実際の船速と前記実際のエンジン回転数とに基づいて、前記マップを更新する、請求項3に記載の船舶の操船制御方法。 - 前記目標船速が一定時間変化せず、かつ、前記実際の船速が前記目標船速に略収束した場合に、この場合における前記実際の船速と前記実際のエンジン回転数とに基づいて、前記マップを更新する、請求項4に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を加減する補正を行うことにより、前記目標エンジン回転数を取得する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の船舶の操船制御方法。
- 所定の条件が成立しない場合は、前記基本エンジン回転数の補正を制限する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正するための補正量を取得し、
前記所定の条件が成立しない場合は、前記補正量を制限するとともに、制限後の前記補正量を前記基本エンジン回転数に付加することにより、前記基本エンジン回転数を補正し、
前記所定の条件が成立する場合は、前記補正量を制限することなく前記補正量を前記基本エンジン回転数に付加することにより、前記基本エンジン回転数を補正する、請求項7に記載の船舶の操船制御方法。 - 前記補正量に上限値および下限値を設けることにより、前記補正量を制限する、請求項8に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記所定の条件は、前記実際の船速が所定の船速に到達するという条件、前記エンジンの実際のエンジン回転数が所定のエンジン回転数に到達するという条件、前記目標船速と前記実際の船速との差が所定の値に到達するという条件、前記エンジンの制御を開始してから所定の時間が経過するという条件のうちの少なくともいずれか1つの条件を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記エンジンのスロットルを制御することにより、前記エンジンを制御する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の船舶の操船制御方法。
- 目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて、前記実際の船速が前記目標船速に近づくように前記エンジンを制御する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の船舶の操船制御方法。
- 前記船舶を加速する加速モードの開始の指示を受け付けた場合に、設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて前記エンジンを制御する、請求項12に記載の船舶の操船制御方法。
- エンジンと、
目標船速を設定する設定部と、
前記船舶の実際の船速を検出する船速検出部と、
前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を記憶する記憶部と、
設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を前記記憶部から取得するとともに、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて前記エンジンを制御する制御部と、を備える、船舶の操船制御システム。 - 前記記憶部には、前記目標船速と前記基本エンジン回転数とを関連付けたマップが記憶されており、
前記制御部は、前記目標船速と前記基本エンジン回転数とを関連付けた前記マップから、前記目標船速に関連付けられた前記基本エンジン回転数を取得するように構成されている、請求項14に記載の船舶の操船制御システム。 - 前記制御部は、実際のエンジン回転数を取得し、前記実際の船速と前記実際のエンジン回転数とに基づいて、前記マップを更新するように構成されている、請求項15に記載の船舶の操船制御システム。
- 前記制御部は、前記目標船速が一定時間変化せず、かつ、前記実際の船速が前記目標船速に略収束した場合に、この場合における前記実際の船速と前記実際のエンジン回転数とに基づいて、前記マップを更新するように構成されている、請求項16に記載の船舶の操船制御システム。
- 前記制御部は、所定の条件が成立しない場合は、前記基本エンジン回転数の補正を制限するように構成されている、請求項14〜17のいずれか1項に記載の船舶の操船制御システム。
- 目標船速制御の開始の指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記指示受付部により前記目標船速制御の開始の指示を受け付けた場合に、設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて、前記実際の船速が前記目標船速に近づくように前記エンジンを制御するように構成されている、請求項14〜18のいずれか1項に記載の船舶の操船制御システム。 - 前記制御部は、前記指示受付部により前記船舶を加速する加速モードの開始の指示を受け付けた場合に、設定された前記目標船速に関連付けられた基本エンジン回転数を取得し、前記目標船速と前記実際の船速との差に応じて、前記基本エンジン回転数を補正して目標エンジン回転数として設定し、設定された前記目標エンジン回転数に基づいて前記エンジンを制御するように構成されている、請求項19に記載の船舶の操船制御システム。
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