JP2017087584A - ブロー成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外表面に繊維層を一体的に形成したブロー成形品を得ることが可能なブロー成形品の製造方法を提供する。【解決手段】成形型の型面に形成された絶縁層を帯電させて帯電層を形成する成形型帯電工程S1と、成形型の帯電層に吸着可能な電荷で繊維片を帯電させる繊維帯電工程S2と、帯電した繊維片を成形型の帯電層に静電吸着させる静電吸着工程S3と、繊維片が静電吸着した成形型のキャビティ内に位置するパリソン内に流体を吹き込んで、当該キャビティに沿った形状にパリソンを賦形するブロー成形工程S4とを備え、成形型の型面に静電吸着した繊維片が付着したパリソンを冷却固化することで外表面に繊維層を形成する。【選択図】図1
Description
この発明は、外表面に繊維層を形成したブロー成形品の製造方法に関するものである。
車両用部品や家具等で用いられる樹脂成形部品には、コスト的に優位なブロー成形品が広く採用されている。このようなブロー成形品は、部品の取付位置や用途に合わせて、成形品の外表面に布等からなる表皮を設けて、成形品の加飾性や、手触り感触を向上したり、繊維層による断熱特性や吸音特性の向上を図ることが行われている。このような、繊維状の表皮を備えたブロー成形品は、ブロー成形により予め形成された基材となる樹脂成形部品の外表面に、不織布やウレタン樹脂発泡体等を接着剤や接着テープにより接着する方法(接着法)や、成形型の型面に表皮となる不織布やウレタン樹脂発泡体等を予め配置した状態でブロー成形する方法(一体成形法)が一般に知られている。このような、一体成形法としては、例えば特許文献1に開示されるように、型面に不織布等から形成された表皮シートを保持した保持部材を配置した一対の成形型の間に、ダイスヘッドとマンドレルの間から筒状に押し出されて下方に垂下する軟化状態のパリソンを臨ませて型締めすると共に、当該パリソン内部に加圧ガスを吹き込んで成形型のキャビティに沿った所定の形状に賦形した後に冷却して脱型することにより行われる。
しかしながら、前述した接着法により外表面に繊維状の表皮を備えたブロー成形品を製造する場合は、基材となる樹脂成形部品の成形後に接着剤や接着テープにより不織布等を接着する工程が必要となり、作業工数の増加による生産効率の低下やコスト上昇の要因となる。特に、近年における世界的なモータリゼーションの進展に伴って車両が従来よりも高温地域から低温地域まで幅広い温度地域で供用されるようになっており、接着法により繊維状の表皮を備えたブロー成形品を採用した場合に、低温地域において接着不良が発生したり、高温地域においてブリード現象等が発生する可能性が高まりつつある。また、接着剤や接着テープには溶剤として揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)が使用されていることが多く、作業環境の改善や環境負荷の軽減が求められる近年では、このような接着剤や接着テープの使用を極力回避することが求められる。
ところで、前述した一体成形法では、接着剤や接着テープを用いて接着することによる不具合は回避することが可能である。しかしながら、基材と一体化される不織布自体に接着剤が含まれており、このような接着剤を含む素材を一体化して外表面に繊維層を形成する場合には、前述した問題を完全に回避することは困難である。また、軟質状態のパリソンが冷却硬化する際の収縮に伴って不織布等の表皮材との間に歪みが生じ、不織布等の表皮材がずれたり外観不良が生じる原因ともなる。また、不織布等の表皮シートを追従させ得る成形型の型面形状には限りがあり、製品形状が制約される難点がある。更に、不織布等の表皮シートを保持部材に保持する工程や、成形後に保持部材を成形型から取り外す工程が必要となり、生産効率が低い問題がある。
すなわち本発明は、従来の技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、外表面に繊維層を一体的に形成したブロー成形品を得ることが可能なブロー成形品の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
外表面に繊維層を有するブロー成形品を製造する方法であって、
成形型の型面に形成された絶縁層を帯電させて帯電層を形成する成形型帯電工程と、
前記成形型の帯電層に吸着可能な電荷で繊維片を帯電させる繊維帯電工程と、
前記帯電した繊維片を前記成形型の帯電層に静電吸着させる静電吸着工程と、
前記繊維片が静電吸着した前記成形型のキャビティ内に位置するパリソン内に流体を吹き込んで、当該キャビティに沿った形状にパリソンを賦形するブロー成形工程とを備え、
前記成形型の型面に静電吸着した前記繊維片が付着したパリソンを冷却固化することで外表面に繊維層を形成するようにしたことを要旨とする。
このように、型面に形成した絶縁層を帯電させて繊維片を吸着した成形型を用いてブロー成形する際に、当該繊維片がブロー成形品の外表面に付着することで、繊維層を一体的に形成することができる。すなわち、ブロー成形品の外表面に繊維層を形成する際に、接着剤等により接着する後工程を設ける必要がなく、生産効率の向上やコスト削減に寄与し得る。また、接着剤を含む素材を一切用いることなくブロー成形品の外表面に繊維層を形成できるから、接着剤に起因した問題を回避できる。また、型面に繊維片を静電的に吸着させた状態の成形型を用いてブロー成形を行うことで、不織布等のシート状の繊維を用いることなくブロー成形品の外表面に繊維層を形成することができる。このため、型面を凹凸形状や湾曲形状等の任意形状に形成した成形型を用いてブロー成形を行うことができ、外表面に繊維層を有するブロー成形品の形状の自由度が向上する。また、軟質状態のパリソンが冷却固化する際の収縮に伴って、当該パリソンと繊維片により形成される繊維層がずれることはなく、外表面に繊維層を有するブロー成形品の外観を良好な状態に維持することができる。
外表面に繊維層を有するブロー成形品を製造する方法であって、
成形型の型面に形成された絶縁層を帯電させて帯電層を形成する成形型帯電工程と、
前記成形型の帯電層に吸着可能な電荷で繊維片を帯電させる繊維帯電工程と、
前記帯電した繊維片を前記成形型の帯電層に静電吸着させる静電吸着工程と、
前記繊維片が静電吸着した前記成形型のキャビティ内に位置するパリソン内に流体を吹き込んで、当該キャビティに沿った形状にパリソンを賦形するブロー成形工程とを備え、
前記成形型の型面に静電吸着した前記繊維片が付着したパリソンを冷却固化することで外表面に繊維層を形成するようにしたことを要旨とする。
このように、型面に形成した絶縁層を帯電させて繊維片を吸着した成形型を用いてブロー成形する際に、当該繊維片がブロー成形品の外表面に付着することで、繊維層を一体的に形成することができる。すなわち、ブロー成形品の外表面に繊維層を形成する際に、接着剤等により接着する後工程を設ける必要がなく、生産効率の向上やコスト削減に寄与し得る。また、接着剤を含む素材を一切用いることなくブロー成形品の外表面に繊維層を形成できるから、接着剤に起因した問題を回避できる。また、型面に繊維片を静電的に吸着させた状態の成形型を用いてブロー成形を行うことで、不織布等のシート状の繊維を用いることなくブロー成形品の外表面に繊維層を形成することができる。このため、型面を凹凸形状や湾曲形状等の任意形状に形成した成形型を用いてブロー成形を行うことができ、外表面に繊維層を有するブロー成形品の形状の自由度が向上する。また、軟質状態のパリソンが冷却固化する際の収縮に伴って、当該パリソンと繊維片により形成される繊維層がずれることはなく、外表面に繊維層を有するブロー成形品の外観を良好な状態に維持することができる。
請求項2に係る発明は、
前記静電吸着工程では、前記成形型を型締めした状態でキャビティ内に前記帯電した繊維片を循環供給して、当該成形型の帯電層に繊維片を静電吸着させた後に、当該キャビティ内の余剰繊維片を除去することを要旨とする。
このように、成形型を型締めした状態でキャビティ内に帯電した繊維片を循環供給することで、成形型の帯電した型面に対して均一に繊維片を吸着させることができるから、ブロー成形品の外表面に形成される繊維層が斑になるのを防止できる。また、型締めした成形型のキャビティに繊維片を循環供給することで、繊維片が周囲に飛散するのを防止し得る。
前記静電吸着工程では、前記成形型を型締めした状態でキャビティ内に前記帯電した繊維片を循環供給して、当該成形型の帯電層に繊維片を静電吸着させた後に、当該キャビティ内の余剰繊維片を除去することを要旨とする。
このように、成形型を型締めした状態でキャビティ内に帯電した繊維片を循環供給することで、成形型の帯電した型面に対して均一に繊維片を吸着させることができるから、ブロー成形品の外表面に形成される繊維層が斑になるのを防止できる。また、型締めした成形型のキャビティに繊維片を循環供給することで、繊維片が周囲に飛散するのを防止し得る。
請求項3に係る発明は、
前記パリソンと同一素材の樹脂から形成された繊維片を帯電させて前記成形型の帯電層に静電吸着させることを要旨とする。
このように、パリソンと同一素材の樹脂から形成された繊維片を用いることで、パリソンと繊維片の一体性を高めることができる。これにより、ブロー成形品の外表面から繊維層が剥がれたりして欠損するのを効果的に防ぐことができ、ブロー成形品の外観を良好な状態に維持し得る。
前記パリソンと同一素材の樹脂から形成された繊維片を帯電させて前記成形型の帯電層に静電吸着させることを要旨とする。
このように、パリソンと同一素材の樹脂から形成された繊維片を用いることで、パリソンと繊維片の一体性を高めることができる。これにより、ブロー成形品の外表面から繊維層が剥がれたりして欠損するのを効果的に防ぐことができ、ブロー成形品の外観を良好な状態に維持し得る。
本発明によれば、外表面に繊維層を一体的に形成したブロー成形品が得られる。
次に、本発明に係るブロー成形品の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
ここで、本発明に係る外表面に繊維層110を有するブロー成形品100の製造方法は、種々のブロー成形品の製造に適用し得るものであるが、実施例では自動車に配設される車両用部品であるサンバイザを例示する。図6は、自動車に配設される一般的な自動車用サンバイザを概略で示す平面図である。このサンバイザは、サンバイザの外形を形成する内部が中空のバイザ本体102と、該バイザ本体102の外表面を覆うように設けられて繊維片40(後述)を凝集した繊維層110と、バイザ本体102を自動車の図示しない車体天井部に回転可能に軸支する天井取付ステイ104とを基本構成として備えている。すなわち、このサンバイザ100は、熱可塑性樹脂から形成された基材としてのバイザ本体102の外表面に繊維層110が形成されており、サンバイザ100の加飾性や、手触り感触を向上して感性的な質感を高めると共に、当該繊維層110により断熱特性や吸音特性といった機能性の向上を図っている。
実施例のブロー成形品100の製造方法は、図1に示すように、成形型12の型面14a,14aに形成された絶縁層16を帯電させて帯電層16Aを形成する成形型帯電工程S1と、成形型12に形成した帯電層16Aに吸引される電荷で繊維片40を帯電させる繊維帯電工程S2と、帯電した繊維片40を成形型12の帯電層16Aに静電吸着させる静電吸着工程S3と、繊維片40が静電吸着した成形型12を用いてブロー成形するブロー成形工程S4とを備えた製造方法により製造される。すなわち、型締めした成形型12のキャビティ18に位置するパリソンP内に流体を吹き込んで、当該キャビティ18に沿った形状にパリソンPを賦形することにより、成形型12の型面14a,14aに静電吸着した繊維片40をパリソンPに付着させ、この状態でパリソンPが冷却固化することで、不織布等の表皮材を用いることなく外表面に繊維層110が形成されたブロー成形品100を製造し得るものである。
前記成形型12は、図2に示すように、図示省略した型移動機構により互いに近接・離間する複数(実施例では2つ)の割型14,14を備えており、複数の割型14,14を近接移動させて閉鎖することで(型締めした際)、ブロー成形によりパリソンPを賦形するためのキャビティ18が画成されるようになっている。なお、各割型14,14においてキャビティ18を画成する型面14a,14aは、ブロー成形品100としてのサンバイザの外形状に合わせたキャビティ18を画成するよう適宜の凹凸形状に形成される。
また、前記成形型12(割型14,14)の型面14a,14aには絶縁層16が形成されており、帯電装置80(後述)により絶縁層16を所定の電荷で帯電させることで、型面14a,14aに帯電層16Aを形成し得るよう構成されている。ここで、絶縁層16としては、電気絶縁性を有する絶縁素材により形成することができ、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等の各種合成樹脂素材や、クロロプレンゴム、ウレタンゴム等のゴム素材等により形成することができる。なお、成形型12に形成される絶縁層16は、ブロー成形するパリソンPの溶融温度によって溶融しない耐熱性を有する絶縁素材により形成される。特には、耐熱性に優れ、電気絶縁性(体積抵抗率)が高いフッ素樹脂により絶縁層16を形成することが好ましい。また、フッ素樹脂により絶縁層16を形成することで、成形後に成形型12からのブロー成形品100(実施例ではサンバイザ)の脱型性を高くでき、生産効率を向上することが可能になる。
ここで、前記帯電装置80は、先の尖ったコロナ放電電極(図示せず)を出力部82に備え、当該コロナ放電電極に対して高電圧を印加することによりコロナ放電を生起させて、当該コロナ放電により空気中に正イオンまたは負イオンを発生させることで、絶縁体(実施例では絶縁層16や繊維片40)を帯電させるものである。この帯電装置80は、出力部82にコロナ放電電極として正電極および負電極を独立して備えており、正電極および負電極の何れかに高電圧(例えば30,000V〜50,000V)を印加することにより、正イオンおよび負イオンを選択的に発生させ得るよう構成され、絶縁体(実施例では絶縁層16や繊維片40)を正電荷および負電荷の何れかに選択的に帯電させることができるよう構成されている。ここで、成形型12の型面14a,14aにフッ素樹脂により絶縁層16を形成する場合は、当該フッ素樹脂が負の電荷で帯電し易い性質を有することから、帯電装置80から負イオンを発生させて、帯電層16Aを形成することが好ましい。
また、前記成形型12の絶縁層16は、帯電させた際により多くの電荷を蓄え得るようにすることが好ましい。すなわち、成形型12の絶縁層16を帯電して形成される帯電層16Aにより多くの電荷を貯めることにより、当該帯電層16Aに対して静電吸着可能な繊維片40が増え、これによりブロー成形品100の外表面に形成される繊維層110の厚みを増大させることが可能になることから、ブロー成形品100の質感や機能性を高めることができる。言い換えると、静電容量が大きくなるよう絶縁層16を形成することが好ましく、C(静電容量)、ε(絶縁層の誘電率)、S(絶縁層の面積)、d(絶縁層の厚み)とした場合に、静電容量はC=ε×S/dにより表されることから、絶縁層16の厚みを薄くすることが望ましい。なお、絶縁層16の厚みは、適宜に調整することができるが、サンバイザのように大量生産される場合は、帯電層16Aに対する繊維片40の吸着不足を生じないように、誘電率2.0〜2.6程度のフッ素樹脂により0.05mm以下の厚みで成形型12の型面14aに絶縁層16を形成することが好適である。
また、成形型12は、割型14,14を型締めした状態で、キャビティ18の上部を外部に連通する上部開口20が形成されると共に、当該キャビティ18の下部を外部に連通する下部開口22が形成されるよう構成されている。すなわち、割型14,14を型締めした状態で、成形型12の上部開口20を介してキャビティ18内に繊維片40を導入し得るよう構成されると共に、帯電層16Aに静電吸着していない余剰の繊維片40を成形型12の下部開口22を介してキャビティ18から排出し得るようになっている。
そして、成形型12の上部開口20を開閉する上シャッタ24が、当該成形型の上部に設けられると共に、成形型12の下部開口22を開閉する下シャッタ26が、成形型12の下部に設けられている。上シャッタ24および下シャッタ26の夫々は、パリソンPの供給方向と交差する方向(実施例では水平方向)へ互いに近接・離間移動が可能に構成された一対のシャッタ部材28から構成されている。この上シャッタ24および下シャッタ26の各シャッタ部材28には、シリンダやモータ等のアクチュエータ30により作動されるロッドが接続されている。すなわち、上シャッタ24に対応するアクチュエータ30の作動に伴って、上部開口20を閉鎖する閉鎖位置(図4(a)に2点鎖線で示す)と、上部開口20を開放する開放位置(図4(b)に実線で示す)との間を上シャッタ24のシャッタ部材28が移動するよう構成され、下シャッタ26に対応するアクチュエータ30の作動に伴って、下部開口22を閉鎖する閉鎖位置(図4(a)に2点鎖線で示す)と、下部開口22を開放する開放位置(図4(b)に実線で示す)との間を下シャッタ26のシャッタ部材28が移動するよう構成される。
このように、上シャッタ24を開放位置に保持することで、上部開口20を介してキャビティ18内に繊維片40を導入することができると共に、下シャッタ26を開放位置に保持することで、下部開口22を介してキャビティ18から繊維片40を排出することができるようになっている。そして、ブロー成形する際には、上下のシャッタ24,26を閉鎖位置に移動させることで、成形型12のキャビティ18を閉じると共に、パリソンPを挟むようになっている。なお、上シャッタ24には、キャビティ18内のパリソンPの内部に空気を吹き込むブローピン(図示せず)が進退可能な孔が設けられている。
前記成形型12の帯電層16Aに静電吸着する繊維片40は、帯電可能な繊維により形成されたものであって、また、繊維片40は、成形型12の上部開口20からキャビティ18内に導入した際に、成形型12の帯電した帯電層16Aの静電気的な吸引力(静電気力)により吸引されて付着し得る程度に微少かつ軽量な短繊維により形成することが好ましい。この繊維片40として、長さ0.3〜1.0mm程度、直径10〜100μm程度、質量0.1〜1μg程度の短繊維を採用することで、繊維片40を帯電層16Aに対して好適に静電吸着させ得るが、この範囲に限られるものではない。また、繊維片40は、帯電装置80により成形型12の帯電層16Aに吸着可能な電荷で帯電させ得る素材により形成されたものを採用することができる。具体的には、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ナイロン(PA)繊維、ポリエステル(PEs)繊維、アラミド繊維、ビニロン(PVA)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維、ポリウレタン(PU)繊維、レーヨン、アセテート繊維等の各種化学繊維や、綿や絹等の天然繊維等により形成することができる。ここで、成形型12の絶縁層16をフッ素樹脂により形成した場合は、フッ素樹脂が(−)の電荷で帯電し易い性質があることから、フッ素樹脂より(+)の電荷で帯電し易い素材により繊維片40を形成する。具体的には、ポリプロピレン(PP)繊維や、ナイロン(PA)繊維等を好適に採用できる。
また、前記繊維片40は、ブロー成形するパリソンPと同一素材の樹脂から形成されたものを採用することが好ましい。すなわち、同一素材の樹脂から成るパリソンPと繊維片40とを用いることで、物質間の極性の差異等に起因した接合不良が生じることがなく、冷却固化したパリソンPと繊維片40とが良好に馴染んでブロー成形品100からの繊維片40の離脱を生じ難くすることができる。また、ブロー成形時に溶融した軟化状態のパリソンPに流体を吹き込んで賦形した際に、当該パリソンPの熱により繊維片40の一部を軟化させてパリソンPと一体化することができる。
実施例の繊維片40は、適宜の大きさおよび形状に形成された箱状の繊維収容部42に収容されており、当該繊維収容部42に収容した状態で帯電装置80により帯電するよう構成されている(図3(b)参照)。この繊維収容部42は、上方に開口する箱状に形成されており、当該上方開口を介して出力部82を内部に臨ませた状態で帯電装置80を作動することで、繊維片40を所定の電荷で帯電させ得るようになっている。ここで、後述するように、繊維収容部42を利用して繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給して静電吸着する場合は、当該繊維収容部42の上方開口を蓋部材43で塞ぐよう構成される。この際に、繊維収容部42と蓋部材43との間にシール材(図示せず)を介在させて気密性を保持して、空気を循環させた際に、当該繊維収容部42と蓋部材43との隙間から繊維片40が外部に飛散しないようにすることが好ましい。また、前記蓋部材43は、繊維収容部42に対して図示しない留め具により固定され、繊維収容部42を循環する空気の圧力により蓋部材43が外れないよう構成される。
ここで、繊維収容部42を利用して繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給する場合の構成の一例を説明する。図4(a)に示すように、繊維収容部42には、所定箇所(この例では2箇所)に接続口42a,42bが形成されており、各接続口42a,42bに送風ダクト44A,44Bが接続されている。ここで、一方の接続口42aに接続する送風ダクト44Aは、成形型12の上部開口20に対して連通するように着脱可能に形成され、他方の接続口42bに接続する送風ダクト44Bは、成形型12の下部開口22に対して連通するように着脱可能に形成される。そして、送風ダクト44A,44Bの経路途中に送風機46が配設されている。すなわち、各送風ダクト44A,44Bを成形型12の対応する上部開口20および下部開口22に接続した状態で、送風機46を作動することにより、その空気流により繊維収容部42の繊維片40が成形型12のキャビティ18内に送られ、キャビティ18を通過した繊維片40が繊維収容部42に戻るように循環するようになっている。
すなわち、繊維収容部42、送風ダクト44A,44Bおよび送風機46は、成形型12のキャビティ18内に繊維片40を循環供給する循環供給手段を構成している。ここで、送風ダクト44A,44Bや送風機46において繊維片40が接触する部位は、繊維片40に帯電させた電荷が逃げないように絶縁素材で形成したり、絶縁加工を施すことが好ましい。すなわち、循環供給手段において繊維片40が接触する部位に電気絶縁性を持たせることで、繊維帯電工程で帯電させた繊維片40の電荷を保持可能な時間を長くすることができ、循環する過程で成形型12の帯電層16Aに繊維片40を効率的に静電吸着させることができるようになる。また、成形型12の上部開口20から下部開口22に向けてキャビティ18内を下降するよう繊維片40を循環させてもよく、また下部開口22から上部開口20に向けてキャビティ18内を上昇するよう繊維片40を循環させてもよい。なお、図4(a)には、キャビティ18内を下降するよう繊維片40を循環させるように循環供給手段が設けられた状態を図示してある。
また、前記繊維収容部42において空気の吹き出し側(出口側)となる接続口42aには、繊維片40が通過不能な網目寸法に形成されたフィルタ48を着脱可能に取り付け得るようになっている(図3(b)参照)。すなわち、フィルタ48を取り外した状態で送風機46を作動して、繊維収容部42の繊維片40を成形型12のキャビティ18に循環させた後に、フィルタ48を繊維収容部42の吹き出し側の接続口42aに取り付けることで、成形型12の帯電層16Aに静電吸着しない余剰の繊維片40を繊維収容部42に回収して、当該キャビティ18内の余剰繊維片40を除去し得るようにしてある。
次に、本発明のブロー成形品100の製造方法について、前述した工程毎に説明する。前記成形型帯電工程S1では、図3(a)に示すように、成形型12の割型14,14を型開きした状態で、当該割型14,14の型面14a,14aに設けられた絶縁層16に前記帯電装置80の出力部82を対向させる。この状態で、帯電装置80の図示しない操作スイッチの操作によりコロナ放電電極に高電圧を印加することでコロナ放電を生起させて、発生したイオンを絶縁層16に放射することにより、放射したイオンの電荷に応じて当該絶縁層16を帯電させる。例えば、フッ素樹脂により形成された絶縁層16に対して帯電装置80から負イオンを発生させることで、負の電荷を帯びた帯電層16Aを成形型12の型面14a,14aに形成する。ここで、コロナ放電により帯電装置80からイオンを放射可能な範囲(帯電可能な範囲)は限られることから、当該帯電装置80の出力部82を型面14aに沿って移動することで、絶縁層16全体を帯電させて帯電層16Aを形成する。ここで、成形型12の型面14aから一定の距離を保ったまま帯電装置80の出力部82を移動することにより、絶縁層16全体を均一に帯電させることができる。
また、繊維帯電工程S2では、繊維収容部42に所定量の繊維片40を収容した状態で、当該繊維収容部42の上方開口から帯電装置80の出力部82を繊維片40に対向させる。この状態で、帯電装置80の図示しない操作スイッチの操作によりコロナ放電電極に高電圧を印加することでコロナ放電を生起させて、発生したイオンを繊維片40に放射することにより、放射したイオンの電荷に応じて当該繊維片40を帯電させる。ここで、繊維片40は、成形型12に形成する帯電層16Aの電荷と反対の電荷を帯びるように帯電装置80を操作して帯電させる。すなわち、成形型12の帯電層16Aと反対の電荷で繊維片40が帯電することで、当該帯電層16Aと繊維片40との間に静電気的な吸引力(静電気力)を作用させて、当該繊維片40を成形型12の帯電層16Aに静電吸着することができる。例えば、フッ素樹脂により形成された成形型12の絶縁層16を負の電荷で帯電させて帯電層16Aを形成する場合は、帯電装置80から正イオンを発生させて繊維片40を正の電荷を帯びるように帯電させる。なお、前述のように、コロナ放電により帯電装置80からイオンを放射可能な範囲(帯電可能な範囲)は限られることから、当該帯電装置80の出力部82を繊維収容部42内で移動することで、収容された繊維片40全体を帯電させる。ここで、繊維片40から一定の距離を保ったまま帯電装置80の出力部82を移動することにより、繊維片40全体を均一に帯電させることができる。
静電吸着工程S3では、帯電した繊維片40を成形型12の帯電層16Aに静電吸着させて、成形型12の型面14a,14aに繊維片40が付着した層を形成する。ここで、繊維片40は、成形型12を型開きした状態および型締めした状態の何れの状態で行うことも可能である。すなわち、成形型12を型開きした状態では、成形型12の帯電層16Aと繊維片40との間に静電気力が作用する程度まで帯電層16Aに繊維片40を近づけることで、繊維収容部42に収容した繊維片40を帯電層16Aに向けて飛翔させて吸着することができる。また、繊維収容部42に収容した繊維片40をエアスプレーや送風機等により成形型12の帯電層16Aに積極的に吹き付けることで、繊維片40を帯電層16Aに効率良く静電吸着することができる。
また、成形型12を型締めした状態では、成形型12の上部開口20からキャビティ18内に繊維片40を導入することで、成形型12の帯電層16Aとの間に作用する静電気力により繊維片40を帯電層16Aに静電吸着させることができる。ここで、キャビティ18内に繊維片40を循環供給しない場合は、キャビティ18内で繊維片40を循環させるようにすることが好ましい。例えば、型締めした成形型12の下部開口22を下シャッタ26で閉鎖すると共にキャビティ18内に気流生起手段を臨ませ、当該気流生起手段によりキャビティ18内で気流を発生させて繊維片40をキャビティ18内で舞い上がらせることにより、成形型12の帯電層16Aに繊維片40を効率良く静電吸着させることができる。また、キャビティ18内で繊維片40が循環することにより成形型12の帯電層16Aに対して均一に繊維片40を吸着させることができるから、ブロー成形品100の外表面に形成される繊維層110が斑になるのを防止できる。ここで、成形型12の上部開口20を介して、空気を吹き出す送風管(図示せず)を気流生起手段としてキャビティ18内に差し込んだり、気流生起手段として送風機をキャビティ18内に臨ませることが可能である。
また、気流生起手段によりキャビティ18内で気流を発生する際には、成形型12の上部開口20を上シャッタ24で閉鎖したり、繊維片40が通過不能な網目寸法に形成されたフィルタにより当該上部開口20を塞いで、キャビティ18内で舞い上がる繊維片40がキャビティ18の外に飛散しないようにすることが好ましい。このように、型締めした成形型12のキャビティ18から繊維片40が飛散するのを防止することで、良好な環境で繊維片40を成形型12の帯電層16Aに静電吸着させることができる。
また、成形型12を型締めした状態では、繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給して帯電層16Aに繊維片40を静電吸着させることができる。すなわち、繊維収容部42を利用して繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給する場合の構成の一例を説明する。図4(a)に示すように、繊維収容部42の接続口42a,42bに接続した送風ダクト44A,44Bを成形型12の上部開口20および下部開口22に接続して送風機46を作動することにより、その空気流により繊維収容部42の繊維片40が成形型12のキャビティ18内に送られ、キャビティ18を通過した繊維片40が繊維収容部42に戻るように循環させることができる。
このように、成形型12を型締めした状態でキャビティ18内に帯電した繊維片40を供給することで、成形型12の帯電層16Aに繊維片40を効率良く静電吸着させることができる(図4(b)参照)。また、キャビティ18内で繊維片40が循環することにより成形型12の帯電層16Aに対して均一に繊維片40を吸着させることができるから、ブロー成形品100の外表面に形成される繊維層110が斑になるのを防止できる。また、型締めした成形型12のキャビティ18に繊維片40を循環供給することで、繊維片40が周囲に飛散するのを防止でき、良好な環境で繊維片40を成形型12の帯電層16Aに静電吸着させることができる。
また、静電吸着工程S3では、型締めした状態で成形型12の帯電層16Aに対して繊維片40を静電吸着する場合は、帯電層16Aへの繊維片40の静電吸着が完了した後に、成形型12の帯電層16Aに静電吸着しない余剰繊維片40をキャビティ18から除去する。すなわち、繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給しない構成の場合は、成形型12の下シャッタ26を開放して下部開口22にブロア等の吸引装置を接続して吸引することで、成形型12のキャビティ18から余剰繊維片40を回収除去することができる。繊維片40を成形型12のキャビティ18内に循環供給する構成の場合は、繊維収容部42において空気の吹き出し側(出口側)となる接続口42aにフィルタ48を取り付けることにより、成形型12の帯電層16Aに静電吸着しない余剰繊維片40をキャビティ18から除去することができる。このように、成形型12のキャビティ18から余剰繊維片40を除去することで、当該成形型12によりブロー成形して製造されたブロー成形品100に形成される繊維層110に斑が生じるのを防ぐことができる。また、余剰繊維片40をキャビティ18から除去しつつ、同時に繊維収容部42に回収することで、生産効率が向上すると共に設備を簡略化することができる利点がある。
ブロー成形工程では、繊維片40を型面14a,14a(帯電層16A)に静電吸着させた成形型12により軟化状態のパリソンPをブロー成形して、当該型面14a,14aに沿うようにパリソンPを賦形することで、キャビティ18の形状に合わせたブロー成形品100に成形する。このブロー成形工程では、押出ブロー成形法や射出ブロー成形法等の公知のブロー成形方法を好適に採用できる。ここで、押出ブロー成形は、図5(a)に示すように、押出機で加熱溶融された軟化状態の熱可塑性樹脂をノズル50から押し出したパリソンPを、型開きした成形型12の割型14,14の間に臨ませるように下方に垂下させた状態で、成形型12を型締めして当該パリソンPを挟んで中空状に形成し、当該中空状のパリソンPの内部に空気を吹き込んで賦形した後に冷却してブロー成形品100を得る方法である。ここで、ノズル50に形成された環状の供給路から中空筒状のパリソンPを垂下させて、型締めした成形型12によりパリソンPの下部を挟んで袋状に形成する構成を採用してもよく、またノズル52に形成されたスリット状の供給路から一定間隔離間した状態でシート状のパリソンPを垂下させて、型締めした成形型12によりパリソンPの外周縁を挟んで袋状に形成する構成を採用してもよい。また、図示しないが射出ブロー成形は、熱可塑性樹脂によりプリフォームとも称される試験管状の有底パリソンPを射出成形し、このパリソンPを成形型12のキャビティ18内に配置して樹脂のガラス転移点以上の温度でブロー成形する成形法である。なお、熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な樹脂であればよく、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PEs)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(S)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)等を好適に採用できる。
このように、型面14aに形成した絶縁層16を帯電させて形成される帯電層16Aに繊維片40を吸着した成形型12を用いてブロー成形することで、キャビティ18に沿って賦形されたパリソンPに繊維片40を付着することができ、この状態でパリソンPを冷却固化させることで、当該繊維片40により外表面に繊維層110が形成されたブロー成形品100を得ることができる(図5(b)参照)。すなわち、ブロー成形品100の外表面に繊維層110を形成する際に、接着剤等により接着する後工程を設ける必要がなく、生産効率の向上やコスト削減に寄与し得る。また、接着剤を含む素材を一切用いることなくブロー成形品100の外表面に繊維層110を形成できるから、接着剤の使用に起因する接着不良やブリード現象等の問題を回避できる。また、接着剤や接着剤を使用した素材(不織布等)を使用することなくブロー成形品100の外表面に繊維層110を形成できるから、揮発性有機化合物の使用に関連する諸問題も回避することができる。
また、型面14a,14aに繊維片40を静電吸着させた状態の成形型12を用いてブロー成形を行うことで、不織布等のシート状の繊維を用いることなくブロー成形品100の外表面に繊維層110を形成することができる。このため、型面14a,14aを凹凸形状や湾曲形状等の任意形状に形成した成形型12を用いてブロー成形を行うことができ、外表面に繊維層110を有するブロー成形品100の形状の自由度が向上する。また、型面14a,14a(帯電層16A)には微小な繊維片40が静電吸着しているだけで、繊維片40同士が相互に結合したものではない。このため、軟質状態のパリソンPが冷却固化する際に、パリソンPに付着した繊維片40を追従させることができ、冷却固化による収縮に伴ってパリソンPと繊維片40により形成される繊維層110がずれることはなく、外表面に繊維層110を有するブロー成形品100の外観を良好な状態に維持することができる。更に、ブロー成形に伴って成形型12の帯電層16Aに静電吸着させた繊維片40がパリソンPに付着することで、ブロー成形後に成形型12から繊維片40の保持部材を取り外す必要がなく、生産効率を高めることができる。
更に、パリソンPと同一素材の樹脂から形成された繊維片40を用いることで、パリソンPと繊維片40の一体性を高めることができる。これにより、ブロー成形品100の外表面から繊維層110が剥がれたりして欠損するのを効果的に防ぐことができ、ブロー成形品100の外観を良好な状態に維持し得る。
(変更例)
本発明に係るブロー成形品の製造方法は、実施例に例示した形態に限らず種々の変更が可能である。以下に、変更例の一例を示す。
(1) 実施例では、ブロー成形品として自動車のサンバイザを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、乗員室と荷室が連続した所謂ハッチバック車等において荷室を被覆して乗員室と区切るリアパーセルシェルフや、車体後部のラゲッジルームの床面に形成された上方開口するカーゴフロアボックスや、当該カーゴフロアボックスの蓋体、その他ヘッドレストやアームレスト等をブロー成形する際に、本発明を好適に採用できる。また、自動車用の部品以外にも、建造物の中空の内壁材や、パーティションボード等を製造する際に、本発明を好適に採用できる。すなわち、本発明は、成形型を利用してブロー成形品を製造する際に採用することが可能である。
(2) 実施例では、成形型における型面全体に絶縁層を形成して、絶縁層全体を帯電するようにしたが、成形型に形成した絶縁層を部分的に帯電させるようにしてもよい。このように、成形型の絶縁層を部分的に帯電させて帯電層を形成することで、成形型において繊維片を静電吸着する範囲を選択的に調節することができる。同様に、成形型の型面に対して部分的に絶縁層を形成してもよい。
本発明に係るブロー成形品の製造方法は、実施例に例示した形態に限らず種々の変更が可能である。以下に、変更例の一例を示す。
(1) 実施例では、ブロー成形品として自動車のサンバイザを例に挙げたが、これに限定されない。例えば、乗員室と荷室が連続した所謂ハッチバック車等において荷室を被覆して乗員室と区切るリアパーセルシェルフや、車体後部のラゲッジルームの床面に形成された上方開口するカーゴフロアボックスや、当該カーゴフロアボックスの蓋体、その他ヘッドレストやアームレスト等をブロー成形する際に、本発明を好適に採用できる。また、自動車用の部品以外にも、建造物の中空の内壁材や、パーティションボード等を製造する際に、本発明を好適に採用できる。すなわち、本発明は、成形型を利用してブロー成形品を製造する際に採用することが可能である。
(2) 実施例では、成形型における型面全体に絶縁層を形成して、絶縁層全体を帯電するようにしたが、成形型に形成した絶縁層を部分的に帯電させるようにしてもよい。このように、成形型の絶縁層を部分的に帯電させて帯電層を形成することで、成形型において繊維片を静電吸着する範囲を選択的に調節することができる。同様に、成形型の型面に対して部分的に絶縁層を形成してもよい。
12 成形型,16 絶縁層,16A 帯電層,18 キャビティ,40 繊維片
100 ブロー成形品,110 繊維層,P パリソン
100 ブロー成形品,110 繊維層,P パリソン
Claims (3)
- 外表面に繊維層を有するブロー成形品を製造する方法であって、
成形型の型面に形成された絶縁層を帯電させて帯電層を形成する成形型帯電工程と、
前記成形型の帯電層に吸着可能な電荷で繊維片を帯電させる繊維帯電工程と、
前記帯電した繊維片を前記成形型の帯電層に静電吸着させる静電吸着工程と、
前記繊維片が静電吸着した前記成形型のキャビティ内に位置するパリソン内に流体を吹き込んで、当該キャビティに沿った形状にパリソンを賦形するブロー成形工程とを備え、
前記成形型の型面に静電吸着した前記繊維片が付着したパリソンを冷却固化することで外表面に繊維層を形成するようにした
ことを特徴とするブロー成形品の製造方法。 - 前記静電吸着工程では、前記成形型を型締めした状態でキャビティ内に前記帯電した繊維片を循環供給して、当該成形型の帯電層に繊維片を静電吸着させた後に、当該キャビティ内の余剰繊維片を除去する請求項1記載のブロー成形品の製造方法。
- 前記パリソンと同一素材の樹脂から形成された繊維片を帯電させて前記成形型の帯電層に静電吸着させる請求項1または2記載のブロー成形品の製造方法。
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