JP2017081910A - 血糖恒常性を維持するための医薬組成物 - Google Patents

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俊彦 矢田
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Abstract

【課題】血糖恒常性を維持するための医薬組成物及び方法の提供。
【解決手段】オキシトシンを含む医薬組成物。前記医薬組成物は、高グルコース濃度(高血糖)存在下でインスリン分泌を高め、低グルコース濃度(低血糖)存在下でグルカゴン分泌を高める。前記医薬組成物は、糖尿病、低血糖症及び肥満からなる群から選択される患者に投与される。
【選択図】なし

Description

本発明は、血糖恒常性を維持するための医薬組成物に関する。
<血糖恒常性の維持>
糖尿病は慢性高血糖の疾患であり、血糖値を下げる治療が必要である。糖尿病治療のために、血糖値を低下させる糖尿病治療薬の投与のみを行うと、重症低血糖により、脳・心血管イベント、死亡リスク等が高まる可能性が示唆されている。重症低血糖と認知症発症の関連も示唆されている。実際に、インスリン製剤、スルホニル尿素(SU)剤等の、従来より使用されている糖尿病治療薬、さらに、SGLT2阻害剤などの新しいタイプの糖尿病治療薬でも、しばしば重症低血糖を起こし、大きな問題となっている。高血糖を有効に是正し、かつ重症低血糖を回避する方法の開発が望まれている。さらに、糖尿病患者以外でも、高血糖状態又は低血糖状態になる可能性のある対象に対し、血糖恒常性を維持するための医薬組成物、方法を提供することは重要である。
<オキシトシン>
オキシトシン (Oxytocin,OXT,OT)は視床下部の室傍核と視索上核の神経細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである(Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly)。2つのシステインを含み、それぞれの硫黄原子が結合して(ジスルフィド構造)、大きな環を作っている。同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンと構造が似ており、アミノ酸2つだけが違う。
オキシトシンには、末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、哺乳類の分娩時に子宮収縮させる。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁放出を促すなどの働きを持つ。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長い。最初は女性に特有な機能に必須なホルモンとして発見されたが、その後、男性にも普遍的に存在することが判明している。また、視床下部の室傍核(PVN)や視索上核(SON)にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉に輸送されて末梢に放出されるとともに、脳の様々な部位に投射し機能を調節している。
特開2013−121936は、オキシトシンを含む末梢投与様の肥満・メタボリックシンドローム治療薬を記載している。
Horm, Res. Vol.30, 10-16 (1988)は、通常状態へのオキシトシン投与により血糖値とグルカゴンレベルが急上昇することを記載している。
Horm, Res. Vol.31, 250-255 (1989)は、I型糖尿病患者にオキシトシンを投与すると、血糖値、グルカゴン、アドレナリン濃度を高めたことを記載している。I型糖尿病患者は膵臓のβ細胞が破壊されインスリン分泌がない。
J Endocr, Vol.108, 293-298 (1986)は、内因性インスリンとグルカゴンの分泌をソマトスタチンで抑制し、さらに、高濃度のインスリンとグルカゴンを注入して肝臓グリコーゲンの分解を固定することでオキシトシンの肝臓への作用を介した血糖値への効果を評価している。ソマトスタチンはインスリンとグルカゴン以外の血糖調節ホルモン、特に成長ホルモンを強力に抑制する。また、高濃度のインスリンとグルカゴンを注入すると、内分泌の原則から膵臓のα細胞とβ細胞の双方に強い抑制がかかると予測される。よって、当該文献からはオキシトシンのインスリン分泌とグルカゴン分泌への作用は明らかでない。
いずれの先行技術文献においても、血糖恒常性を維持するための医薬組成物、方法は開示されていない。
特開2013−121936 特表2002−52800
Horm, Res. Vol.30, 10-16 (1988) Horm, Res. Vol.31, 250-255 (1989) J Endocr, Vol.108, 293-298 (1986)
本発明は、血糖恒常性を維持するための医薬組成物、及び、血糖恒常性を維持するための方法に関する。
本発明者ら上記問題の解決のために鋭意研究を重ね、オキシトシンが血糖値の恒常性を維持する効果を奏することを見出し、本発明を想到した。限定されるわけではないが、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
オキシトシンを含む、血糖恒常性を維持するための医薬組成物。
[態様2]
低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進する、態様1に記載の医薬組成物。
[態様3]
高血糖状態の時にインスリンの分泌を促進する、態様1に記載の医薬組成物。
[態様4]
低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進し、そして、高血糖状態の時にインスリン分泌を促進する、態様1に記載の医薬組成物。
[態様5]
糖尿病、低血糖症及び肥満からなる群から選択される患者に投与される、態様1−4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様6]
糖尿病の患者に投与される、態様1−4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様7]
糖尿病治療薬とともに投与される、態様1−6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様8]
糖尿病治療薬が、インスリン製剤、スルホニル尿素剤、インクレチン関連剤、SGLT2阻害剤、ビアグナイド剤、αグルコシダーゼ阻害薬、及び速効型食後血糖降下薬からなる群から選択される、態様7に記載の医薬組成物。
[態様9]
低血糖状態が、血液中の血糖値が50mg/dl以下の状態である、態様1−8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様10]
高血糖状態は、血液中の血糖値が200mg/dl以上の状態である、態様1−9のいずれか1項に記載の医薬組成物方法。
[態様11]
肥満の患者に投与される、態様1−10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様12]
オキシトシンを、血糖恒常性の維持を必要とする患者に投与することを含む、血糖恒常性を維持するための方法。
[態様13]
オキシトシンの血糖恒常性の維持のための使用。
本発明の、オキシトシンを含む医薬組成物は、高グルコース濃度(高血糖)存在下でインスリン分泌を高め、一方、低グルコース濃度(低血糖)存在下でグルカゴン分泌を高めることにより、血糖恒常性を維持する効果を奏する。
図1Aは、正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(6匹)にグルコースを腹腔内投与して糖負荷をかけた場合(GTT)の血中グルコース濃度の変化を示す図である。横軸は、2g/kgのグルコース投与後の時間(分)を、縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(6匹の平均値)を示す。白丸はグルコースのみを投与した場合、黒丸は、グルコースと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。図1Bは、図1Aに示した正常マウス(C57BL/6マウス)にグルコースを投与した場合の血中のインスリン濃度(ng/ml)(6匹の平均値)を示す棒グラフである。グルコースのみを投与(白棒)、グルコースと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与(黒棒)の各場合について、グルコース投与から15分後の血中インスリン濃度(ng/ml)を測定した結果を示す。 図2は、糖尿病db/dbマウス(II型糖尿病)(6週齢、メス)(6匹)にグルコースを腹腔内投与して糖負荷をかけた場合(GTT)の血中グルコース濃度の変化を示す図である。横軸は、1g/kgのグルコース投与後の時間(分)を、縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(6匹の平均値)を示す。白丸はグルコースのみを投与した場合、黒丸は、グルコースと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。 図3Aは、糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(4匹)にオキシトシンを継続的に投与した場合の体重の変化を示した図である。縦軸は、マウスの体重(g)(4匹の平均値)、横軸は、マウスに浸透圧ポンプを移植後の日数を示す。白丸は生理食塩水を投与した場合、黒丸は、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。図3Bは、図3Aに示した糖尿病db/dbマウスにオキシトシンを継続的に投与した場合の、12日後の体重の増加量(4匹の平均値)を示した棒グラフである。白い棒グラフは生理食塩水を投与した場合、黒い棒グラフは、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。 図4Aは、糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(4匹)にオキシトシンを継続的に浸透圧ポンプを用いて皮下投与した場合の、血中グルコース濃度の変化を示す図である。マウスはオキシトシン(1mg/kg/日)の12日間投与後、6時間(9時−15時)の絶食を行い、糖負荷試験(グルコース投与)を行った(GTT)。横軸は、1g/kgのグルコース投与後の時間(分)を、縦軸は、血中グルコース濃度(mg/dl)(4匹の平均値)を示す。白丸は生理食塩水を投与した場合、黒丸は、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。図4Bは、図4Aに示した糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)にオキシトシンを継続的に投与した場合の、グルコースのAUC(血中濃度−時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)を示す。白い棒グラフは生理食塩水を投与した場合、黒い棒グラフは、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。 図5は、低血糖時及び高血糖時の各々において、正常マウスの膵臓から分離したランゲルハンス島(臓島)にオキシトシンを投与した場合のインビトロにおけるグルカゴン分泌及びインスリン分泌を示した図である。図5A及び図5Bにおいて、横軸の2.8Gは2.8mMグルコースを示し健常者の空腹時よりも低い血糖に相当し、8.3Gは8.3mMグルコースを示し食後の高血糖時に相当する。図5Aの縦軸は、グルカゴン放出の量(pg/膵島/時間)、図5Bの縦軸は、インスリン放出の量(ng/膵島/時間)を示す。黒四角はオキシトシン(10nM)投与から1時間の結果、白四角はコントロール(生理食塩水)の結果を示す。 図6は、低血糖時及び高血糖時の各々において、臓島を更に単一細胞に分離し、膵臓α細胞及びβ細胞(いずれも正常細胞)にオキシトシンを投与した場合の、インビトロにおける活性化を示した図である。2.8Gは空腹時の低血糖時、8.3Gは食後の高血糖時に相当する。図6A−図6Bの横軸は、測定における時間経過(分)を示し、縦軸は、[Ca2+]i(Fura−2蛍光比)を示す。[Ca2+]iは細胞内遊離カルシウム濃度である。図6Aはα細胞(グルカゴン分泌細胞)の結果を、図6Bはβ細胞(インスリン分泌細胞)の結果を示す。図6Aは、α細胞の結果である。図6Aは、2.8G時にオキシトシン投与によりα細胞が活性化されることを示す。8.3G時にもα細胞が活性化されていることを示しているが、グルカゴン分泌は変化しないことが図5Aに示されている。図6Bは、β細胞の結果である。2.8G時にオキシトシン投与によりβ細胞が全く活性化されず、8.3G時に活性化されることを示している。8.3G時にインスリン分泌が上昇することが図5Bに示されている。 図7Aは、正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(12匹)に一晩の絶食後、インスリンを投与した場合の血中グルコース濃度の変化を示す図である。横軸は、2U/kgのインスリン投与後の時間(分)を、縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(12匹の平均値)を示す。白丸はインスリンのみを投与した場合、黒丸は、インスリンと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与(腹腔内投与)した場合の結果である。インスリンは投与後60-150分で重篤な低血糖(30mg/dl)を起すが、オキシトシンの併用投与はこれを防いでいる。図7Bは、低血糖の程度とさらされる時間を総合してその影響を示す指標として、血糖値が50mg/dlから低下した値を、この低血糖が見られる時間(30-180分)に対して積分した値(低血糖面積)を示した。インスリンによる低血糖を、オキシトシン併用投与は有意に軽減している。図7Cは、図7Aに示した正常マウス(C57BL/6マウス)にインスリンを投与した場合の血中のグルカゴン濃度(pg/ml)(12匹の平均値)を示す棒グラフである。インスリンと生理食塩水(0.1ml/10g)を投与(白棒)、インスリンと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与(黒棒)の各場合について、インスリン投与から60分後の血中グルカゴン濃度(pg/ml)上昇をオキシトシンは著明に促進している。 図8は、正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(8匹)に一晩の絶食後、SGLT2阻害剤であるダパグリフロジン(Dapagliflozin)を経口投与した場合の血中グルコース濃度の変化を示す図である。横軸は10mg/kgのダパグリフロジン投与後の時間(時間)を、縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(8匹の平均値)を示す。白丸はダパグリフロジンと生理食塩水(0.1ml/10g)を投与した場合、黒丸は、ダパグリフロジンと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。SGLT2阻害剤による低血糖は、オキシトシンにより軽減されている。 図9は、2型糖尿病患者に食後にスルホニル尿素(SU)剤を投与する際のオキシトシンの併用投与を想定したマウス実験結果である。腹腔内耐糖能試験(IPGTT)に供する2型糖尿病・肥満db/dbマウス(6週齢、オス、6匹)に、スルホニル尿素(SU)剤であるグリベンクラミド(Glibenclamide、Gliben)を投与した場合の血中グルコース濃度の変化を示す図である。マウスは一晩の絶食後、糖負荷試験(グルコースを腹腔内投与)を行った。縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(6匹の平均値)を示す。横軸は、グルコース投与による糖負荷後の時間(分)を示す。 1g/kgのグルコースの負荷 白丸:コントロール(糖負荷のみ、グリベンクラミド、オキシトシン無し) 黒丸:オキシトシン(400μg/kg) 白三角:グリベンクラミド(10mg/kg) 黒三角:グリベンクラミド(10mg/kg)+オキシトシン(400μg/kg) *P<0.05 vs control #P<0.05 vs グリベンクラミド SU剤による低血糖は、オキシトシンにより軽減されている。 図10は、本発明により明らかにされたオキシトシンによる血糖恒常性維持と作用機序に関する模式図である。 図11Aは、正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(7匹)にグルコースを腹腔内投与して糖負荷をかけた場合(GTT)の血中グルコース濃度の変化を示す図である。横軸は、2g/kgのグルコース投与後の時間(分)を、縦軸は血液中グルコース濃度(mg/dl)(7匹の平均値)を示す。白丸はグルコース投与30分前に生理食塩水4μlを経鼻投与した場合、黒丸は、グルコース投与30分前にオキシトシン(1μg)を経鼻投与した場合の結果である。図11Bは、図11Aに示した正常マウス(C57BL/6マウス)のグルコースを投与から15分後の血中のインスリン濃度(ng/ml)(7匹の平均値)を示す棒グラフである。グルコース投与30分前に生理食塩水(4μl)を経鼻投与(白棒)、グルコース投与30分前にオキシトシン(1μg)経鼻投与(黒棒)の各場合について測定した結果を示す。 図12は、低血糖時に膵臓α細胞に、そして高血糖時にβ細胞に、オキシトシンの濃度を変化させて投与した場合の、インビトロにおける活性化を示した図である。図12A−図12Bの横軸は、オキシトシンの濃度(M)の対数を示し、縦軸は、[Ca2+]i(Fura−2蛍光比)を示す。[Ca2+]iは細胞内遊離カルシウム濃度である。図12Aは、空腹時の低血糖時(2.8G)のα細胞(グルカゴン分泌細胞)の結果を示す。α細胞は、低血糖時にオキシトシン濃度依存的に活性化される。図12Bは、食後の高血糖時(8.3G)のβ細胞(インスリン分泌細胞)の結果を示す。β細胞は、高血糖時にオキシトシン濃度依存的に活性化される。オキシトシンは、β細胞と比較してα細胞をより低濃度で活性化する。 図13A及びBは、糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(7匹)にオキシトシンとダパグリフロジンを継続的に投与した場合の血中グルコース濃度の変化を示す図である。図13A及び図13Bにおいて、縦軸は、マウスの各個体(7匹)の血中グルコース濃度(mg/dl)、横軸はマウスに浸透圧ポンプ移植後の日数を示す。図13Aは浸透圧ポンプにて生理食塩水を投与し、図13Bは浸透圧ポンプにてオキシトシン(1mg/kg/日)を投与した。ダパグリフロジン(10mg/kg)は1日1回経口投与し、ダパグリフロジン投与6時間後に血中グルコース濃度を測定した。図13Aにおいて、SGLT2阻害剤であるダパグリフロジンの連投により7匹中2匹(Cont Dapa1及びCont Dapa4)が低血糖となり(赤丸矢印)、翌日に死亡した。一方、図13Bのオキシトシン投与群においてはダパグリフロジンによる低血糖は誘発されず、7例中で死亡例は観察されなかった。図13Cは、ダパグリフロジン投与18日目のマウス血中グルコース濃度の平均値(mg/dl)を示す図である。白い棒グラフ(6匹)は生理食塩水(皮下)+ダパグリフロジン(経口)を投与した場合の、そして黒い棒グラフ(7匹の平均値)はオキシトシン(皮下)+ダパグリフロジン(経口)を投与した場合の結果である。
I.医薬組成物
本発明は、一態様において血液恒常性を維持するための医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物はオキシトシンを含むことを特徴とする。
<オキシトシン>
本明細書において、「オキシトシン」(Oxytocin,OXT,OT)は視床下部の室傍核と視索上核の神経内分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである(Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly)。2つのシステインを含み、それぞれの硫黄原子が結合して(ジスルフィド構造)、大きな環を作っている。同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンと構造が似ており、アミノ酸2つだけが違う。オキシトシンには、末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。
オキシトシンには、複数のアナログが知られており、これらのアナログもオキシトシンと同様の作用を有し、発明の医薬組成物の有効成分として使用しうる。
本明細書及び特許請求の範囲において「オキシトシン」と呼ぶときは、特に記載しない限りオキシトシンアナログも含む。「オキシトシンアナログ」とは、一般に、天然に存在するオキシトシンに類似する任意のペプチドであって、オキシトシン活性を示す全てのペプチドを網羅的に含む。例えば、天然のオキシトシンペプチド内で1または数個のアミノ酸が、置換、欠失または挿入されたペプチドを含む。また、例えば、化学修飾によって、1または数個のアミノ酸が改変された任意のペプチドも含む。
オキシトシンのアナログの例として、例えば、特表2002−52800及び当該文献中に援用されている文献に記載されているものが含まれる。非限定的に4−スレオニン−1−ヒドロキシ−デアミノオキシトシン、9−デアミドオキシトシン、グリシンアミド残基の代わりにウリシン残基を含有するオキシトシンのアナログ;7−D−プロリン−オキシトシンおよびそのデアミノアナログ;(2,4−ジイソロイシン)−オキシトシン、ナトリウム利尿および利尿活性を持つオキシトシンのアナログ;デアミノオキシトシンアナログ;長期作用オキシトシン(OT)アナログ;[1−デスアミノ−1−モノカルバ−E12−Tyr(OMe)]−OT(dCOMOT);カルベトシン、長期作用オキシトシンアナログ;オキシトシンアゴニスト;[Thr4−Gly7]−オキシトシン(TG−OT);オキシトシンアゴニスト;デアミノ−6−カルバ−オキシトシン(dC60)等を含む。同様に、L−371,257、オルトトリグルオロエトキシフェニルアセチルコアを含有する化合物の関連シリーズ(例えば、L374,943)を含む非ペプチドオキシトシンアンタゴニストも知られている。
<血糖恒常性の維持>
本発明の医薬組成物は、血糖恒常性を維持する、という効果を奏する。
「血糖恒常性の維持」とは、低血糖状態及び/又は高血糖状態を抑制し、健常な状態を維持する、あるいは、近づけることを意味する。本発明の医薬組成物は、一態様において、低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進する。別の一態様において、高血糖状態の時にインスリンの分泌を促進する。また別の一態様において、低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進し、そして、高血糖状態の時にインスリン分泌を促進する。
「低血糖状態」は、対象となる動物の種類に応じて異なりうるものであり、当業者に周知である。本明細書及び特許請求の範囲において、非低血糖状態とは、例えば、対象がヒトの場合、非限定的に、好ましくは、血糖値が50mg/dl以下、より好ましくは、60mg/dl以下、最も好ましくは、70mg/dl以下の場合に、「低血糖状態」に該当する。低血糖状態が血液中の血糖値が50mg/dl以下の状態である、とは、血液中の血糖値が50mg/dlあるいはそれより低い状態の際に、本発明の医薬組成物により低血糖状態が抑制されるような効果が得られることを意味する。低血糖状態が血液中の血糖値が70mg/dl以下の状態である、とは、血液中の血糖値が70mg/dlあるいはそれより低い状態の際に、本発明の医薬組成物により低血糖状態が抑制されるような効果が得られることを意味する。
本発明の医薬組成物により「血糖恒常性の維持」されるとは、低血糖状態において、医薬組成物により低血糖状態が抑制されるような効果が得られることを含む。低血糖状態が抑制されるような効果とは、グルカゴンの分泌が促進される、血糖値が上昇する、低血糖状態の期間が短くなる、等の効果を含む、例えば、好ましくは、糖尿病治療薬の投与により血糖値が最も低下する時期(例えば、糖尿病治療薬の投与から約60分後)において、オキシトシンを投与しない場合と比較して、グルカゴンの血中濃度が好ましくは約100%以上、より好ましくは約200%以上、上昇する。本発明の医薬組成物の効果は、あるいは、低血糖の程度とさらされる時間を総合してその影響を示す指標として、例えば、血糖値が50mg/dlから低下した値を、この低血糖が見られる時間(例えば、インスリンの投与から30−180分)に対して積分した値(低血糖面積)をオキシトシン投与の有無で比較することによって、確認することもできる。本願明細書の実施例7において、インスリン投与による低血糖(低血糖面積)が、オキシトシン併用投与により約50%減少した(図7B)。低血糖面積の減少率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、最も好ましくは50%以上である。
「高血糖状態」は、対象となる動物の種類に応じて異なりうるものであり、当業者に周知である。ヒトの糖尿病診断基準は空腹時126mg/dl以上または糖負荷後2時間後に200mg/dl以上である、本明細書及び特許請求の範囲において高血糖状態とは、対象がヒトの場合、非限定的に、血液中の血糖値が、空腹時に好ましくは少なくとも126mg/dl以上、より好ましくは少なくとも100mg/dl以上の状態であるか、あるいは、糖負荷後/食後の例えば2時間後に、好ましくは少なくとも200mg/dl以上、より好ましくは少なくとも150mg/dl以上の状態であることを意味する。高血糖状態が血液中の血糖値が200mg/dl以上の状態である、とは、血液中の血糖値が200mg/dlあるいはそれより高い状態の際に、本発明の医薬組成物により高血糖状態が抑制されるような効果が得られることを意味する。高血糖状態が血液中の血糖値が100mg/dl以下の状態である、とは、血液中の血糖値が100mg/dlあるいはそれより高い状態の際に、本発明の医薬組成物により高血糖状態が抑制されるような効果が得られることを意味する。
本発明の医薬組成物により「血糖恒常性の維持」されるとは、高血糖状態において、医薬組成物により高血糖状態が抑制されるような効果が得られることを含む。高血糖状態が抑制されるような効果とは、インスリンの分泌が促進される、血糖値が低下する、高血糖状態の期間が短くなる、等の効果を含む、例えば、好ましくは、食事(食餌)又は糖負荷により血糖値が最も上昇する時期(例えば、糖負荷から15−30分後)において、オキシトシンを投与しない場合と比較して、インスリンの血中濃度が好ましくは約10%以上、より好ましくは約30%以上、最も好ましくは約50%以上、上昇する(図1B、図11B)。あるいは、血中グルコース濃度が、好ましくは約10%以上、より好ましくは、20%以上、最も好ましくは30%以上低下する(図1A、図11B)。
後述する実施例5において、オキシトシン投与により空腹時にグルカゴンの分泌が促進され、そして、糖負荷時にインスリン分泌を促進することが膵臓組織レベルで確認された。そして、実施例6において、オキシトシンは空腹時に膵臓のα細胞(グルカゴンを分泌)を活性化し、そして、糖負荷時にβ細胞(インスリンを分泌)を活性化することが細胞レベルで確認された(図6、図12)。実施例9の結果の図9は、オキシトシンの単独投与(黒丸)又は併用投与(黒三角)により、高血糖時の血糖値の上昇が抑制され、そして、低血糖時の血糖値の低下が抑制されたことを示している。本発明の医薬組成物は、低血糖時には血糖値を上昇させ、そして高血糖時には血糖値を低下させる、即ち、血糖恒常性の維持に有用である。
本発明の医薬組成物による血糖恒常性の維持とその作用機序の模式図を図10に示した。オキシトシンが膵臓の血中血糖値に応じてα細胞、β細胞に適時作用することにより正常血糖(Normoglycemia)が維持される。
<対象>
本発明の医薬組成物の投与対象は、血糖恒常性の維持が必要とされる対象であれば特に限定されない。本発明の医薬組成物は高血糖状態、低血糖状態の治療、改善の目的の他、予防目的のためにも使用されうる。
対象となる動物は、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等の霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ等のその他の哺乳動物を含む。好ましくは、霊長類、より好ましくはヒトである。
本発明の医薬組成物は、非限定的に、糖尿病、低血糖症及び肥満からなる群から選択される患者に投与される。より好ましくは、糖尿病の患者である。糖尿病は、血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度)が病的に高い状態をさす病名である。無症状の状態から、著しいのどの渇き、大量の尿を排泄する状態、さらには意識障害、昏睡に至るまで様々である。これらの症状を全てまとめて、血糖値やヘモグロビンA1c値が一定の基準を超えている場合を糖尿病という。ヒトの糖尿病診断基準は空腹時126mg/dl以上または糖負荷後2時間後に200mg/dl以上である、
本発明の医薬組成物の有効成分であるオキシトシンは、高血糖時に膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進する。よって、本発明の対象は、好ましくは、2型糖尿病(血中にインスリンは存在するのだが肥満などを原因としてインスリンの働きが悪くなるか、あるいは自己免疫的に破壊された訳ではないが膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整がうまくいない型の糖尿病)、妊娠糖尿病(妊娠中のみ血糖値が異常になる糖尿病の型)である。
「低血糖症」は、血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度)が病的に低い症状をさす。糖尿病治療のために、血糖値を低下させる糖尿病治療薬の投与のみを行うと、重症低血糖により、脳・心血管イベント、死亡リスク等が高まる可能性が示唆されている。また、糖尿病治療とは関係なく、糖分の摂取過多や栄養素の偏り・不足などが引き金となって、さまざまな精神的・肉体的不調が引き起こされることがある。砂糖を多く含むものやぶどう糖への変換が早い炭水化物食品(砂糖を多く含むペットボトルの清涼飲料等。GI値が高いもの全般)を継続して多く摂取しつづけると、膵臓のインスリン分泌のコントロールに異常が発生し、低血糖が頻繁に起こることがある。低血糖症は、通常、血中グルコース濃度が60mg/dL未満である状態をいうが、低血糖症状は60mg/dL以上でも生じる事が有る一方、60mg/dL未満でも自覚症状が無いこともある。
「肥満」は、一般的に正常な状態に比べて体重が多い状態、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状態を言い、体質性のものと症候性のものとに分類される。肥満は多くの疾患の危険因子となる。特に肥満は糖尿病と高い関連性があることが示唆されている。実施例3及び実施例4において、糖尿病マウスにオキシトシンを12日間連続投与すると、高血糖状態を抑制できる(図4)とともに、体重増加が抑制されることが明らかになった。本発明の医薬組成物は、非限定的に、糖尿病患者の血糖恒常性の維持に加えて肥満の治療及び予防に有用である。
<糖尿病治療薬との併用>
本発明の医薬組成物はその一態様において、糖尿病治療剤の併用剤として有用である。本発明の医薬組成物は糖尿病治療薬の併用剤として投与され、糖尿病治療薬による(重度)の低血糖症を予防、軽減又は緩和することが可能である。低血糖症を予防、軽減又は緩和には、本発明の医薬組成物を投与しない場合よりも、血糖値の低下する度合いを抑制する(血糖値を上昇させる)ことの他に、低下する時間を短くする、ことも含む。
非限定的に、糖尿病治療薬は、インスリン製剤、スルホニル尿素剤、インクレチン関連剤、SGLT2阻害剤、ビアグナイド剤、αグルコシダーゼ阻害薬、及び速効型食後血糖降下薬からなる群から選択される。
インスリン製剤は、インスリンの追加分泌を補充する製剤である。作用時間から、超即効型インスリン、即効型インスリン、持効型溶解インスリン、中間型インスリン、及び混合型インスリンなど、種々のインスリンアナログを含む。ノボラピット(登録商標)(ノボ ノルディスク株式会社)、中間型及び混合型のヒューマログ(登録商標)(日本イーライリリー株式会社)、アピドラ(登録商標)(サノフィ株式会社)などの商品が知られている。
スルホニル尿素(SU)剤も、膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促進する作用を有する糖尿病治療薬で、血小板粘着能、凝集能改善、線溶能亢進作用、抗酸化作用等の作用も有する。
インクレチン関連剤は、インクレチンの作用を補助する薬剤である。インクレチンは、食事後に十二指腸、小腸から分泌されるホルモンの総称である。代表的なものにGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)とGIPがあり、いずれもインスリンの分泌を促進する。インクレチンは体内で酵素DPP−4(ジペプチジルペプチダーゼ−4)によって分解されるため、効果が数分しか持続しない。インクレチン関連剤としては、DPP−4阻害薬とGLP−1受容体作動薬(GLP−1アナログ)が存在する。
DPP−4阻害剤(例)
一般名:アログリプチン、商品名:ネシーナ(登録商標)(武田薬品工業)
一般名:シタグリプチン、商品名:グラクティブ(登録商標)(小野薬品工業)
一般名:シタグリプチン、商品名:ジァヌビア(登録商標)(MSD)
GLP−1受容体作動薬(例)
一般名:リラグルチド、商品名:ビクトーザ(登録商標)(ノボ ノルディスク ファーマ)
SGLT2阻害剤は、糖の腎臓での血液中への再吸収を担うSGLT2の働きを阻害する薬剤であり、2014年よりに販売されている新しい糖尿病治療薬である。ダパグリフロジン(フォシーガ(登録商標)、アストラゼネカ他)、イブラグリフロジン(スーグラ(登録商標)、アステラス製薬)などが知られている。
ビアグナイド剤は、肝臓での糖新生を抑制し、インスリンの働きを促進する薬剤である。ブホルミン、メトホルミンが含まれる。
体内に摂取された炭水化物は、小腸において二糖類に分解され、さらに小腸に存在する二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)により単糖類にまで分解されて吸収される。αグルコシダーゼ阻害薬は、α-グルコシダーゼの作用を競合的に阻害することで、糖の分解・吸収を遅らせる作用を有する。アカルボース、ボグリボース、ミグリトールが含まれる。
速効型食後血糖降下薬は、SU剤と同様にSU受容体に作用してインスリン分泌を促進させる、フェニルアラニン誘導体(グリニド系)薬剤である。服用後5−15分で薬効を発現し、数時間で作用消失するという、早効、早失である点がSU剤と異なる。ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニドを含む。
実施例7及び実施例8−1において、糖尿病治療薬とオキシトシンとを正常マウスに併用投与した場合、糖尿病治療薬のみを投与した場合に対し、血中のグルカゴン濃度、及びグルコース濃度が上昇し、低血糖が抑制されたことを示された(図7、図8)。実施例8−2において、糖尿病治療薬とオキシトシンとを糖尿病マウスに併用投与した場合、低血糖が抑制されたことが示された(図13)。また、実施例9において、糖尿病マウスへの糖尿病治療薬とオキシトシンの併用投与により、食餌後の血糖値の上昇(高血糖)が抑制され、そして、糖尿病治療薬の作用による血糖値の低下(低血糖)も抑制され、オキシトシンは血糖恒常性の維持に有用であることが示された。なお、同様の効果が、オキシトシン単独投与の場合にも得られた(図9)。
糖尿病治療薬はその種類により血糖値を低下させる機構は異なる。本発明の医薬組成物の有効成分であるオキシトシンは、低血糖時に膵臓のα細胞(グルカゴンを分泌)を活性化し、そして、高血糖時にβ細胞(インスリンを分泌)を活性化する。オキシトシンは、併用する糖尿病治療薬の種類にかかわらず膵臓のα細胞及びβ細胞に作用しうる。よって、糖尿病治療薬の種類にかかわらず、血糖恒常性の維持という効果を奏することが可能である。
<用法・用量>
オキシトシンは、分娩促進や自閉症治療などで既に臨床使用されており、生体への安全性が担保されている。本発明のオキシトシンを含む医薬組成物の用法、用量は特に限定されない。対象の年齢、体重、性別、症状、疾患の重篤度等の事情に応じて、医師、獣医師の判断のもと適切な用法、用量を決定することが可能である。
非限定的にオキシトシンの所定投与量としては、好ましくは、40μg/kg/日〜1600μg/kg/日程度、より好ましくは、200μg/kg/日〜400μg/kg/日程度である。好ましくは、血糖値が上昇する食事の直後に投与する。所定投与量を7日〜数ヶ月間持続するように長期(長期の期間)投与することが望ましい。
本発明の医薬組成物は、任意の製剤上許容しうる担体(例えば、生理的食塩水、補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50等を挙げることができるが、それらに限定されない)と共に投与することができる。また、適切な賦形剤等を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、製剤上許容しうる担体を調製するために、適切な薬学的に許容可能なキャリアを含み得る。キャリアとしては、シリコーン、コラーゲン、ゼラチン等の生体親和性材料を含んでもよい。あるいはまた、種々の乳濁液であってもよい。さらには、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を含有させてもよい。
本発明の医薬組成物は、経口投与のために適した投与形態において、当該分野で周知の製剤上許容しうる担体を用いて処方され得る。
本発明の医薬組成物の投与経路は、経鼻、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内または腹腔内の毎日〜数日毎の投与が挙げられる。実施例3、実施例8−2で使用したような浸透圧ポンプのインプラントを用いる皮下投与も可能である。なお現状ではオキシトシンそのものの経口投与は有効ではない。
II.血糖恒常性を維持するための方法、使用
本発明はまた、血糖恒常性を維持するための方法を提供する。本発明の方法は、オキシトシンを、血糖恒常性の維持を必要とする患者に投与することを含む。
本発明の方法における、オキシトシンの投与対象、投与量、投与方法等は、医薬組成物に関して上述した通りである。
本発明はさらにまた、オキシトシンの血糖恒常性の維持のための使用に関する。本発明の使用における、オキシトシンの投与対象、投与量、投与方法等は、医薬組成物に関して上述した通りである。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1−1:正常マウスに対するオキシトシン(単独)投与による、高血糖の防止
本実施例では、正常マウスに対するオキシトシン(単独)投与により、高血糖の防止効果が得られることを示す。
正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(6匹)にグルコース(2g/kg)を腹腔内投与して糖負荷をかけ(GTT)、血中グルコース濃度の変化を調べた。具体的には、グルコース投与後経時的に(15分後、30分後、60分後、及び120分後)に、マウスより血液20μlを採取し、グルコカードダイアメーター(アークレイ社)を用いてグルコース濃度を測定した。図1Aに、血中グルコース濃度を示す。白丸はグルコースのみを投与した場合、黒丸は、グルコースと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、グルコース投与後の血中グルコースの上昇が約35%抑制された。
図1Bは、本実施例においてグルコース投与から15分後の血中のインスリン濃度(ng/ml)を示す棒グラフである。インスリン濃度の測定は、インスリンELISAキット(株式会社 森永生科学研究所)を用いて行った。オキシトシンの併用によりインスリンの血中濃度が約50%上昇した。
実施例1−2:正常マウスに対するオキシトシン(単独)投与による、高血糖の防止
本実施例では、正常マウスに対するオキシトシン(単独)経鼻投与により、高血糖の防止効果が得られることを示す。
正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(6匹)にグルコース(2g/kg)を腹腔内投与して糖負荷をかけ(GTT)、血中グルコース濃度の変化を調べた。具体的には、グルコース投与後経時的に(15分後、30分後、60分後、及び120分後)に、マウスより血液20μlを採取し、グルコカードダイアメーター(アークレイ社)を用いてグルコース濃度を測定した。図11Aに、血中グルコース濃度を示す。白丸はグルコース投与30分前に生理食塩水4μlを経鼻投与した場合、黒丸は、グルコース投与30分前にオキシトシン(1μg)経鼻投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、グルコース投与後の血中グルコースの上昇が約30%抑制された。
図11Bは、本実施例においてグルコース投与から15分後の血中のインスリン濃度(ng/ml)を示す棒グラフである。インスリン濃度の測定は、インスリンELISAキット(株式会社 森永生科学研究所)を用いて行った。オキシトシンの併用によりインスリンの血中濃度が約60%上昇した。
実施例2:糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)投与による、高血糖の防止
本実施例では、糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)投与により、高血糖の防止効果が得られることを示す。
糖尿病db/dbマウス(II型糖尿病)(6週齢、メス)(6匹)にグルコース(1g/kg)を腹腔内投与して糖負荷をかけ、実施例1−1と同様に、血中グルコース濃度の変化を調べた。結果を図2に示す。白丸はグルコースのみを投与した場合、黒丸は、グルコースと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、グルコース投与後の血中グルコースの上昇が約25%抑制された。
実施例3:糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)継続投与による、肥満の防止
本実施例では、糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)継続投与により、肥満の防止効果が得られることを示す。
糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(4匹)にオキシトシン(1mg/kg/日)を継続的に皮下投与し、体重の変化を調べた。先ず、マウスに浸透圧ポンプ(Alzet社)を移植後、12日後まで毎日体重を測定した。浸透圧ポンプは、マウス等の実験動物を用いた研究用の、小型の埋め込み可能なポンプで、決められた量の剤を決められた時期にコントロールしながら持続的に投与することを可能にする。結果を図3Aに示す。白丸は生理食塩水を投与した場合、黒丸は、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。
図3Bは、本実施例において12日後の体重の増加量を示した棒グラフである。白い棒グラフは生理食塩水を投与した場合、黒い棒グラフは、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、体重の増加が約45%抑制された。
実施例4:糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)継続投与による、高血糖の防止
本実施例では、糖尿病マウスに対するオキシトシン(単独)継続投与により、高血糖の防止効果が得られることを示す。
糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(4匹)にオキシトシン(1mg/kg/日)の12日継続的に皮下投与後、6時間(9時−15時)の絶食を行った。その後、糖負荷試験(グルコースを腹腔内投与)を行った(GTT)。実施例1−1と同様に、グルコース投与後経時的に(15分後、30分後、60分後、及び120分後)に、血中グルコース濃度を測定した。結果を図4Aに示す。白丸は生理食塩水を投与した場合、黒丸は、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、グルコース投与後の血中グルコースの上昇が約40%抑制された。
図4Bは、本実施例のマウスにおいてグルコースのAUC(血中濃度−時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)を示す。AUCは、EXCELを用いて計算した。白い棒グラフは生理食塩水を投与した場合、黒い棒グラフは、オキシトシン(1mg/kg/日)を投与した場合の結果である。オキシトシンを併用した方が、AUCが約20%抑制された。
実施例5:オキシトシンを投与した場合の膵ランゲルハンス島(膵島)におけるグルコース放出及びインスリン放出の変化
本実施例では、オキシトシンを投与した場合の膵島におけるインビトロでのグルカゴン放出及びインスリン放出の変化を調べた。
空腹時の低血糖時(2.8G)及び食後の高血糖時(8.3G)のマウスの膵島に、オキシトシン(10nM)あるいは生理食塩水(コントロール)を投与した。1時間後にグルカゴン及びインスリンの放出量を調べた。グルカゴンの測定は、グルカゴンEIAキット(株式会社 矢内原研究所)を用いて行った。インスリンの測定は、インスリンELISAキット(株式会社 森永生科学研究所)を用いて行った。
図5A及び図5Bに結果を示す。オキシトシンの投与により低血糖時にはグルカゴンの放出が約125%上昇し、高血糖時にはインスリンの放出が約50%上昇した。オキシトシンは、低血糖時には血糖値を上昇させ、そして高血糖時には血糖値を低下させる、即ち、血糖恒常性の維持に有用であることが理解される。
実施例6−1:オキシトシンを投与した場合の膵島細胞の活性化
本実施例では、低血糖時及び高血糖時の各々において、膵島細胞にオキシトシンを投与した場合の、膵島のα細胞及びβ細胞(いずれも正常細胞)にオキシトシンを投与した場合の、インビトロにおける活性化を調べた。
具体的には、マウスからコラゲナーゼ消化法により分離した膵島をさらに単一細胞にし、細胞内Ca2+濃度([Ca2+)をCa2+感受性蛍光色素のfura−2(同仁社)を用いた蛍光顕微鏡画像解析法により測定した。実験終了後に、抗グルカゴン抗体を用いて免疫染色を行いα細胞の同定を行った。β細胞の同定指標として、8.3G刺激およびインスリン分泌刺激薬のトルブタミド(Tolb;300μM)投与の両方により細胞内Ca2+濃度が上昇したものをβ細胞と判断した。
図6Aはα細胞(グルカゴン分泌細胞)の結果を、図6Bはβ細胞(インスリン分泌細胞)の結果を示す。図6Aは、2.8G時にα細胞がオキシトシン投与により活性化されグルカゴン分泌も上昇することを示す。8.3G時にもα細胞が若干活性化していることを示しているが、グルカゴン分泌は変化していないことが図5Aで確認されている。図6Bは、β細胞の結果である。2.8G時にオキシトシン投与によりβ細胞が全く活性化されないことを示している。8.3G時にオキシトシン投与によりβ細胞が活性化され、インスリン分泌も上昇することが図6Bに示されている。
実施例6−2:オキシトシンを投与した場合の膵島細胞の活性化
本実施例では、低血糖時及び高血糖時の各々において、膵島細胞にオキシトシンを投与した場合の、膵島のα細胞及びβ細胞(いずれも正常細胞)にオキシトシンを投与した場合のインビトロにおける活性化を、オキシトシン濃度を変化させて調べた。
具体的には、実施例6−2でα細胞、β細胞と判断された細胞について、低血糖時に膵臓α細胞に、そして高血糖時にβ細胞に、オキシトシンの濃度を変化させて投与した場合の、インビトロにおける活性化を調べた。図12Aに示した通り、α細胞は低血糖時にオキシトシン濃度依存的に活性化された。図12Bに示した通り、β細胞は高血糖時にオキシトシン濃度依存的に活性化された。オキシトシンは、β細胞と比較してα細胞を10−30倍程度低濃度で活性化する。
実施例7:正常マウスに対するオキシトシン(併用)投与による、低血糖の防止
本実施例では、正常マウスに対するインスリンとのオキシトシンの併用投与により、低血糖の防止効果が得られることを示す。
正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(12匹)にインスリン(Sigma−Aldrich社、以下の実施例において同様)を(2U/kg)腹腔内投与し、実施例1−1と同様に、血中グルコース濃度の変化を調べた。具体的には、インスリン投与後経時的に(30分後、60分後、90分後、120分後、150分後、180分後)、マウスより血液20μlを採取し、グルコカードダイアメーター(アークレイ社)を用いてグルコース濃度を測定した。結果を図7Aに示す。白丸はインスリンのみを投与した場合、黒丸は、インスリンと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与した場合の結果である。オキシトシンの併用投与により、60分後及び150分後において、各々、約40%及び約70%、血中グルコース濃度が上昇した。
図7Bは、低血糖の程度とさらされる時間を総合してその影響を示す指標として、血糖値が50mg/dlから低下した値を、この低血糖が見られる時間(30−180分)に対して積分した値(低血糖面積)を示した。インスリンによる低血糖を、オキシトシン併用投与は約50%軽減している。
図7Cは、本実施例のマウスの血中のグルカゴン濃度(pg/ml)を示す棒グラフである。インスリンと生理食塩水(0.1ml/10g)を投与(白棒)、インスリンと共にオキシトシン(400μg/kg)を併用投与(黒棒)の各場合について、インスリン投与から60分後の血中グルカゴン濃度(pg/ml)を測定した結果を示す。血中グルカゴンの測定は、グルカゴンEIAキット(株式会社 矢内原研究所)を用いて行った。オキシトシンの併用投与により、60分後において約240%血中グルカゴン濃度が上昇した。
実施例8−1:正常マウスに対するオキシトシン(併用)経口投与による、低血糖の防止
本実施例では、正常マウスに対するSGLT2阻害剤とのオキシトシンの併用投与(経口投与)により、低血糖の防止効果が得られることを示す。
1晩絶食させた正常マウス(C57BL/6マウス)(10週齢、オス)(8匹)に、SGLT2阻害剤であるダパグリフロジン(Dapagliflozin)(フォシーガ(登録商標)、Cayman Chemical社)(10mg/kg)を経口投与し、血中グルコース濃度の変化を調べた。白丸はダパグリフロジン経口投与と共に生理食塩水(0.1ml/10g)を腹腔内投与した場合、黒丸は、ダパグリフロジン経口投与と共にオキシトシン(400μg/kg)を腹腔内に併用投与した場合の結果である。図8より、オキシトシン併用投与はダパグリフロジン単独投与による血糖値低下(低血糖状態)を抑制することが明らである。
実施例8−2:糖尿病マウスに対するオキシトシン(併用)皮下投与による、低血糖の防止
本実施例では、糖尿病マウスに対するSGLT2阻害剤とのオキシトシンの併用投与(皮下投与)により、低血糖の防止効果が得られることを示す。
糖尿病db/dbマウス(6週齢、オス)(7匹)に、オキシトシンとダパグリフロジンを継続的に投与した場合の血中グルコース濃度の変化を調べた。オキシトシンは、実施例3と同様の浸透圧ポンプを用いて皮下投与した。ダパグリフロジン(10mg/kg)は1日1回経口投与し、ダパグリフロジン投与6時間後に血中グルコース濃度を測定した。図13Aは浸透圧ポンプにて生理食塩水を投与し、図13Bは浸透圧ポンプにてオキシトシン(1mg/kg/日)を投与した結果を示す。ダパグリフロジンの連投により7匹中2匹(Cont Dapa1及びCont Dapa4)が低血糖となり(赤丸矢印)、翌日に死亡した(図13A)。一方、オキシトシン投与群においてはダパグリフロジンによる低血糖は誘発されず、7例中で死亡例は観察されなかった(図13B)。
図13Cに、ダパグリフロジン投与18日目のマウス血中グルコース濃度の平均値(mg/dl)を示す。白い棒グラフ(6匹の平均値)は生理食塩水(皮下)+ダパグリフロジン(経口)を投与した場合の、そして黒い棒グラフ(7匹の平均値)はオキシトシン(皮下)+ダパグリフロジン(経口)を投与した場合の結果である。オキシトシンを投与した方が、18日目のマウス血中グルコース濃度の平均値が、約60%上昇した。
図13A−Cに示したように、オキシトシン併用投与(継続的投与)はダパグリフロジン単独投与による血糖値低下(低血糖状態)を抑制することが明らである。
実施例9:糖尿病マウスに対するオキシトシン(併用)投与による、血糖恒常性の維持
本実施例では、糖尿病マウス対するスルホニル尿素(SU)剤とのオキシトシンの併用投与により、血糖恒常性の維持の効果が得られることを示す。
腹腔内耐糖能試験(IPGTT)に供する糖尿病肥満db/dbマウス(II型糖尿病)(6週齢、オス、6匹)に、SU剤であるグリベンクラミド(Glibenclamide)(Sigma−Aldrich社)を投与した場合の血中グルコース濃度の変化を調べた。具体的には、マウスを一晩の断食後、糖負荷試験(グルコースを腹腔内投与)を行った。糖負荷と同時に、オキシトシン、及び/又は、グリベンクラミドを腹腔内投与した。結果を図9に示す。
白丸:コントロール(糖負荷のみ、グリベンクラミド、オキシトシン無し)
黒丸:オキシトシン(400μg/kg)
白三角:グリベンクラミド(10mg/kg)
黒三角:グリベンクラミド(10mg/kg)+オキシトシン(400μg/kg)
図8より、オキシトシンをグリベンクラミドと併用投与することにより、糖負荷直後の血糖値の上昇をグリベンクラミドと同程度に抑制し、そして、180−240分経過後は、グリベンクラミド単独投与よりも血糖値低下(低血糖状態)を抑制することが明らかとなった。オキシトシン単独投与でも同様の血糖恒常性の維持の効果が観察された。
本発明において、オキシトシンがグルコース濃度(血糖レベル)により、インスリン分泌とグルカゴン分泌を完全に使い分け(On/Off)、高血糖状態ではインスリン分泌のみを促進し、低血糖状態ではグルカゴン分泌のみを促進することが明らかにされた。本発明の医薬組成物は、1つの有効成分で高血糖状態と低血糖状態の双方を有効に是正する、即ち、血糖恒常性を維持するのに有効である。オキシトシンは既に臨床使用されており、安全性が担保されており、本発明の医薬組成物は臨床への利用が可能である。

Claims (11)

  1. オキシトシンを含む、血糖恒常性を維持するための医薬組成物。
  2. 低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進する、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 高血糖状態の時にインスリンの分泌を促進する、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 低血糖状態の時にグルカゴンの分泌を促進し、そして、高血糖状態の時にインスリン分泌を促進する、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 糖尿病、低血糖症及び肥満からなる群から選択される患者に投与される、請求項1−4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 糖尿病の患者に投与される、請求項1−4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 糖尿病治療薬とともに投与される、請求項1−6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 糖尿病治療薬が、インスリン製剤、スルホニル尿素剤、インクレチン関連剤、SGLT2阻害剤、ビアグナイド剤、αグルコシダーゼ阻害薬、及び速効型食後血糖降下薬からなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 低血糖状態が、血液中の血糖値が50mg/dl以下の状態である、請求項1−8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 高血糖状態は、血液中の血糖値が200mg/dl以上の状態である、請求項1−9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 肥満の患者に投与される、請求項1−10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110432367A (zh) * 2018-05-03 2019-11-12 李新华 一种高血糖或低血糖时救急的胶丸及双重包装

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