JP2017077578A - レーザ肉盛方法 - Google Patents

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信吾 岩谷
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Abstract

【課題】肉盛層における穴状欠陥の発生を抑制することができるレーザ肉盛方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るレーザ肉盛方法は、シリンダヘッド粗形材90において、ポートの燃焼室側開口端91に円環状のザグリ溝92を形成する工程と、レーザ出射孔119と同軸に形成された、複数の領域に仕切られた円環状の吐出孔117から金属粉53を供給しつつ、レーザ出射孔119からレーザビームを照射してザグリ溝92にバルブシート用の肉盛層93を順次形成する工程と、を備えたレーザ肉盛方法であって、肉盛層を順次形成する工程において、ザグリ溝92に沿ってレーザビームを進行させて肉盛層93を形成する際、前記複数の領域のうち、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉53を供給する。
【選択図】図14

Description

本発明はレーザ肉盛方法に関し、特にバルブシート用の肉盛層を順次形成するレーザ肉盛方法に関する。
バルブシート用の肉盛方法としては、ザグリ溝に金属粉を供給しながらレーザビームを照射して肉盛層を形成するレーザ肉盛方法(いわゆるレーザクラッド法)が知られている。
例えば、特許文献1には、レーザビームを出射する出射孔と同軸に形成された円環状の吐出孔から金属粉を供給するレーザ肉盛方法が開示されている。
特開2005−219060号公報
発明者らは、ザグリ溝に沿ってレーザビームを進行させて肉盛層を形成する際、レーザビームの進行方向前方においてザグリ溝に堆積した余剰な金属粉(余剰粉)が、レーザビームに近づくことにより半ば溶融して玉状の金属凝集体になった後、溶融プールに吸収されると、肉盛層内に穴状欠陥が発生することを見出した。そして、発明者らは、このような余剰粉は、吐出孔におけるレーザビーム進行方向後方側の吐出領域から吐出されていることを見出した。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、肉盛層における穴状欠陥の発生を抑制することができるレーザ肉盛方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るレーザ肉盛方法は、シリンダヘッド粗形材において、ポートの燃焼室側開口端に円環状のザグリ溝を形成する工程と、レーザ出射孔と同軸に形成された、複数の領域に仕切られた円環状の吐出孔から金属粉を供給しつつ、前記レーザ出射孔からレーザビームを照射して前記ザグリ溝にバルブシート用の肉盛層を順次形成する工程と、を備えたレーザ肉盛方法であって、前記肉盛層を順次形成する工程において、前記ザグリ溝に沿って前記レーザビームを進行させて前記肉盛層を形成する際、前記複数の領域のうち、前記レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから前記金属粉を供給する、方法である。
このような方法によれば、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉を供給するため、レーザビームの進行方向前方に堆積する余剰粉を抑制することができる。このため、肉盛層における穴状欠陥の発生を抑制することができる。
本発明によれば、肉盛層における穴状の欠陥の発生を抑制することができるレーザ肉盛方法を提供することができる。
実施の形態1にかかるレーザ肉盛装置の構成を示す模式図である。 実施の形態1にかかる同軸ノズルの全体構成を示す断面模式図である。 図2のX−X断面を示す模式図である。 実施の形態1にかかるレーザ肉盛装置における、金属粉の供給に関する構成を示す模式図である。 特許文献1における、金属粉の供給に関する構成を示す模式図である。 肉盛層に発生する空孔を示す模式図である。 特許文献1に記載された構成による加工の様子を示す模式図である。 加工点付近(図7の破線部分)の様子を拡大した模式図である。 取り代について示す模式図である。 図4に示されるような構成の場合の実際の加工時の溶融プール付近の様子を示す写真である。 図5に示されるような構成の場合の実際の加工時の溶融プール付近の様子を示す写真である。 取り代の値の測定結果を示すグラフである。 図5に示されるような構成の場合の金属粉の供給の様子を示す模式図である。 図4に示されるような構成の場合の金属粉の供給の様子を示す模式図である。 実施の形態2にかかるレーザ肉盛装置における、金属粉の供給に関する構成を示す模式図である。 取り代の値の測定結果を示すグラフである。 粉末金属充填空間の他の分割例について示す模式図である。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係るレーザ肉盛装置の構成を示す模式図である。
レーザ肉盛装置1は、加工部分に対し、粉末材料である金属粉を供給しながらレーザビームを照射して肉盛層を形成する装置である。より具体的には、レーザ肉盛装置1は、シリンダヘッド粗形材90のポートの燃焼室側開口端91に形成された円環状のザグリ溝92に沿ってレーザビームを進行させて肉盛層93を形成する。シリンダヘッド粗形材90は、例えば鋳鉄やアルミニウム合金などからなる鋳物である。シリンダヘッド粗形材90は、燃焼室を備えており、燃焼室は、吸気ポート及び排気ポートといったポートを備えている。これらポートのそれぞれにおいて、燃焼室側の開口の周縁に、開口を囲む円環状のザグリ溝92が形成されている。ザグリ溝92は、機械加工により形成される。レーザ肉盛装置1は、このザグリ溝92に肉盛層93を形成する。なお、金属粉は、例えば、銅粉末を含むものである。
レーザ肉盛装置1の後述する同軸ノズル13から吐き出された金属粉及び不活性ガスは、ザグリ溝92に吐出される。また、同軸ノズル13からはレーザビームが出射され、ザグリ溝92の加工点が照射される。ザグリ溝92に金属粉が供給されつつ、レーザビームが照射されることにより、ザグリ溝92において金属粉が溶融・凝固し、バルブシート用の肉盛層93が形成される。なお、この溶融の際、肉盛層93におけるレーザビームの対向面には溶融プールが形成される。
肉盛層93の形成工程では、図1に示すように、同軸ノズル13を、円環状のザグリ溝92の中心軸Aを軸として回転させる。中心軸Aは、ザグリ溝92の円環において直交する2つの直径に垂直で、円環の中心を通る軸をいう。このようにして、ザグリ溝92の全周に肉盛層93を形成する。なお、同軸ノズル13を移動させる方向、すなわち、レーザビームの進行方向を加工方向95という。
レーザ肉盛装置1は、レーザ加工ヘッド10と、粉末材料供給装置20と、切り替え弁30と、配管ホース31a、31bとを備えている。より具体的には、レーザ加工ヘッド10と、粉末材料供給装置20とが、切り替え弁30及び配管ホース31a、31bを介して接続されている。
まず、粉末材料供給装置20について図1を参照して説明する。粉末材料供給装置20は、レーザ加工ヘッド10の後述する同軸ノズル13へ金属粉をキャリアガスにより圧送供給する装置である。粉末材料供給装置20は、粉末供給部(フィーダー)21と、粉末供給部21にキャリアガスによる圧力を供給するための圧力供給装置22とを備える。キャリアガスは、例えば、窒素またはアルゴン等の不活性ガスである。
粉末供給部21は、耐圧型の密閉容器211を有し、密閉容器211内に、超音波フィーダ212を備えている。密閉容器211は、金属粉を外部へ吐き出すための粉吐出口213が設けられる。また、密閉容器211には、密閉容器211の中の圧力(内圧)を検出するための圧力センサ214が設けられている。粉吐出口213は、切り替え弁30と接続しており、密閉容器211からキャリアガスとともに吐き出された金属粉は、切り替え弁30を及び配管ホース31a、31bを介して、加工ヘッドの同軸ノズル13へと導かれる。
超音波フィーダ212は、密閉容器211に密閉収容されている。超音波フィーダ212は、ホッパー215、ロードセル216、超音波モータ217を備え、ホッパー215に収容された金属粉を、密閉容器211の粉吐出口213へ定量的に流動させるためのものである。この超音波フィーダ212は、超音波振動により金属粉を定量的かつ連続的に粉吐出口213へ送り出すようになっている。
ロードセル216は、ホッパー215等の重さを検出するための荷重センサである。ロードセル216による検出結果により、超音波フィーダ212からの金属粉の送り出し量が制御される。超音波モータ217は、ホッパー215の出口から配管ホース218を介して入力される金属粉に対し、超音波振動を付与する。ホッパー215に投入された粉体は、超音波モータ217の動作により、粉吐出口213から吐き出される。
圧力供給装置22は、キャリアガスを密閉容器211の中に供給することにより、密閉容器211の粉吐出口213にキャリアガスによる圧力を供給するためのものである。圧力供給装置22は、キャリアガスの供給源であるガス供給装置221と、マスフローコントローラ222と、ストップバルブ223とを備え、それらが配管ホース224により直列に接続される。マスフローコントローラ222の出力側は、密閉容器211に接続される。ガス供給装置221は、図示しないボンベ及びガスレギュレータなどにより構成されている。なお、ボンベには、窒素ガスなどのキャリアガスが貯留されている。キャリアガスは、ガスレギュレータで圧力調整された後、マスフローコントローラ222で所定流量に調整され、密閉容器211の中に導入される。配管ホース224の途中にはストップバルブ223が設けられており、ガス供給装置221から供給されるキャリアガスを規制することができる。
次に、レーザ加工ヘッド10について説明する。
レーザ加工ヘッド10は、レーザビーム発生部11、集光レンズ12、及び同軸ノズル13を含んでいる。レーザビーム発生部11は、レーザ発振器などにより構成され、レーザビームを出力する。集光レンズ12は、レーザ発生部から発生したレーザビームを集光し、同軸ノズル13に導く。
同軸ノズル13について、図2及び図3を参照して説明する。図2は同軸ノズル13の全体構成を示す断面模式図である。また、図3は図2のX−X断面を示す模式図である。
同軸ノズル13は、円柱状の本体部101と、本体部101に同軸状に結合されたノズル部102とからなる。本体部101は外側部材103と外側部材103の中央空間に嵌めこまれた内側部材104とを備えており、外側部材103と内側部材104との間には不活性ガスを充填する円環状のガス充填空間105と、キャリアガスとともに金属粉を充填する粉末金属充填空間106とが形成されている。ガス充填空間105には、外側部材103に穿設されたガス供給路107と、内側部材の内壁に穿孔して形成した複数のガス吐出路108とが開口しており、ガス供給路107とガス吐出路108とはガス充填空間105を介して連通している。
粉末金属充填空間106には複数の供給路109が開口しており、粉末金属充填空間106は分割部(セパレータ)110によって各々の供給路109に対応する充填領域111に分割されている。また、粉末金属充填空間106の底部には粉末金属を同軸ノズル13の先端の吐出孔117へ誘導する多数の誘導孔112が底部の円周に沿って軸線Hと平行に外側部材103の下面に開口するように形成されている。なお、軸線Hは、同軸ノズル13の軸の中心線である。
ノズル部102は本体部101に結合した外側ノズル部材113と、外側ノズル部材113に内嵌された内側ノズル部材114とで構成されている。ノズル部102は結合部材115で本体部101に螺合されている。外側ノズル部材113と内側ノズル部材114との間には本体部101に形成された誘導孔112に連通する複数の粉末金属の吐出通路116がノズル部102の吐出孔117に開口するように設けられている。
また、内側ノズル部材114の内部には本体部101の内側部材104の中央空間に連通したレーザ通路118が形成されており、レーザ通路118は内側ノズル部材114の先端で開口してレーザ出射孔119を形成している。したがって、集光レンズ12により導かれたレーザビームは、内側部材104の中央空間及びレーザ通路118を通過して、レーザ出射孔119から加工点Wに出射される。また、レーザ通路118はガス吐出路108から吐出された窒素ガスなどの不活性ガスの通路も兼ねており、不活性ガスはレーザ出射孔119から加工点Wへ噴射される。
このような構成により、キャリアガスとともに供給路109に供給された粉末金属は、粉末金属充填空間106の分割部110で区画された充填領域111に充填され、充填された粉末金属は、誘導孔112と吐出通路116を通って吐出孔117から加工点Wの周辺へ吐出される。そして、吐出された粉末金属は、レーザビームによって溶融し加工点に肉盛り層を形成する。
ここで、レーザ肉盛装置1における金属粉の供給に関して、さらに説明する。図4は、レーザ肉盛装置1における、金属粉の供給に関する構成を示す模式図である。上述の通り、粉末金属充填空間106は分割部110によって各供給路109に対応する充填領域111に分割されている。具体的には、図4に示されるように、粉末金属充填空間106は、充填領域111aと充填領域111bとに分割されている。図4に示した例では、より詳細には、充填領域111aと充填領域111bは、上述の軸線Hに対して点対象であり、それぞれ軸線Hに直交する平面上において軸線Hを基準にして略90°の範囲を有している。充填領域111a及び充填領域111bのうち、一方は、加工方向95の前方、すなわちレーザビームの進行方向前方に配置され、他方は、加工方向95の後方、すなわちレーザビームの進行方向後方に配置される。
充填領域111aには、供給路109の一つである供給路109aが接続されている。また、充填領域111bには、供給路109の一つである供給路109bが接続されている。供給路109aは、配管ホース31aに接続されており、配管ホース31aを介して切り替え弁30に接続されている。同様に、供給路109bは、配管ホース31bに接続されており、配管ホース31bを介して切り替え弁30に接続されている。
切り替え弁30は、例えば、3方弁バルブにより構成されており、入力側が配管ホース120を介して粉末供給部21に接続されており、出力側が配管ホース31a、31bを介して供給路109a、109bに接続されている。切り替え弁30は、このような構成により、粉末供給部21から流入する金属粉の流出先を切り替える。すなわち、切り替え弁30は、金属粉の流出先が充填領域111a又は充填領域111bのいずれか一方となるよう切り替える。具体的には、充填領域111a及び充填領域111bのうち加工方向95の前方に配置された方のみに金属粉が流入するよう、切り替え弁30により切替えられる。これにより、複数の領域に仕切られた円環状の吐出孔117のうち、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉がザグリ溝92の加工点に供給されることとなる。なお、加工方向95は、ザグリ溝の周方向に対し正転方向又は逆転方向に設定することができ、切り替え弁30は、加工方向95に応じて切り替えを行うこととなる。
ここで、比較例について説明する。図5は、特許文献1における、金属粉の供給に関する構成を示す模式図である。特許文献1に記載の構成では、図5に示されるように、粉末金属充填空間106は、4つの充填領域500a、500b、500c、500dに分割されている。また、4の充填領域500a、500b、500c、500dのそれぞれは、供給路501a、501b、501c、501dが接続されており、供給路501a、501b、501c、501d及び配管ホース502を介して粉末供給部21に接続されている。ここで、特許文献1における構成では、切り替え弁30が設けられていないため、粉末供給部21からの金属粉は、コネクター503で分岐し、4つの充填領域500a、500b、500c、500dに同時に供給される。
発明者らは、図5に示される構成により、加工を行った場合、肉盛層93において図6に示されるような空孔(穴状欠陥)50が発生すること発見した。そして、この空孔の発生により、未溶着といった問題も発生する。
そして、発明者らは、特許文献1に記載された構成による加工においてレーザビームの進行方向前方においてザグリ溝92に余剰粉が堆積し、この堆積した余剰粉がレーザビームに近づくことにより半ば溶融して玉状の金属凝集体になった後、溶融プール(レーザビームが金属粉を溶かしている部分)に吸収されることで、このような穴状欠陥が発生することを見出した。図7は、特許文献1に記載された構成による加工の様子を示す模式図である。また、図8は加工点付近(図7の破線部分)の様子を拡大した模式図である。つまり、穴状欠陥は、図7及び図8に示されるように溶融プール51よりも前方に吹き飛ばされてこぼれた金属粉(余剰粉)52がある場合に、発生する。このような、こぼれた余剰粉52は、加工の進行方向後方の供給路501cから供給された金属粉がキャリアガスとともに流されて溶融プール51を通り過ぎることにより生じる。なお、図8において破線で示される矢印が、加工の進行方向後方からの金属粉の供給方向である。
これに対し、本実施の形態にかかるレーザ肉盛装置1は、上述の通り、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉を供給するため、レーザビームの進行方向前方に堆積する余剰粉を抑制することができる。このため、肉盛層における穴状欠陥の発生を抑制することができる。
また、特許文献1に記載の構成では、図5に示すように、供給路501a、501b、501c、501dへ延びる4本の配管ホース502によってキャリアガスとともに金属粉が供給されるため、吐出孔から吐出される粉量は、4本の配管ホース502のそれぞれを流れる粉量に左右される。しかしながら、配管ホース502を分岐するコネクター503の影響で必ずしも4本の配管ホース502で均等な粉量とはならない。このため、同軸ノズルの吐出孔から出る粉量は、円周で均等にならない場合がある。このような不均衡が生じると、取り代の減少を招く。なお、取り代とは、肉盛層の表面と、肉盛層を製品形状(図9における破線)の表面との幅であり、図9において取り代Tとして示されている。
これに対し、本実施の形態にかかるレーザ肉盛装置1は、上述の通り、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉を供給するため、円周方向の複数の領域における吐出量の不均衡という問題が回避され、取り代の減少を抑制することができる。
ここで、本実施の形態にかかるレーザ肉盛装置1を用いるレーザ肉盛方法について説明する。このレーザ肉盛方法では、まず、シリンダヘッド粗形材90において、ポートの燃焼室側開口端91に円環状のザグリ溝92を形成する。次に、レーザ出射孔119と同軸に形成された、複数の領域に仕切られた円環状の吐出孔117から金属粉を供給しつつ、レーザ出射孔119からレーザビームを照射してザグリ溝92にバルブシート用の肉盛層93を順次形成する。ただし、肉盛層の形成工程においては、ザグリ溝92に沿ってレーザビームを進行させて肉盛層93を形成する際、吐出孔117の複数の領域のうち、レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから金属粉を供給する。
次に、本実施の形態にかかるレーザ肉盛装置1についての実験結果を説明する。ここでは、図4に示されるような構成が採用されている。また、主な加工条件は、次の通りである。粉末供給部21に供給されるガスは、流量5L/minの窒素であり、粉末供給部21から供給される粉量は0.75g/sである。また、2.9kwの出力のレーザビームを加工点に照射した。また、同軸ノズル13の先端の移動速度は、15mm/sとした。
なお、比較のため、図5に示されるような構成を用いた場合についても実験を行った。主な加工条件は、粉末供給部21に供給されるガスが流量10L/minの窒素である点を除き、上記加工条件と同じである。
図10は、図4に示されるような構成の場合の実際の加工時の溶融プール51付近の様子を示す写真である。また、図11は、図5に示されるような構成の場合の実際の加工時の溶融プール51付近の様子を示す写真である。図10及び図11において、写真中の矢印の先に、レーザビームの進行方向前方に堆積した余剰粉が示されているが、図に示されるように、図4に示されるような構成の場合の方がこの余剰粉は少ないことがわかる。また、肉盛層における内部欠陥すなわち穴状欠陥の発生についても、図5に示されるような構成の場合には発見されたものの、図4に示されるような構成の場合には発見されなかった。
図12は、取り代の値の測定結果を示すグラフである。なお、図12に示したグラフでは、図4に示されるような構成の場合(実施の形態1)の測定結果と、図5に示されるような構成の場合(比較例)の測定結果とが示されている。なお、比較例の測定結果では、4本の配管ホース502の粉量誤差が5%以下である場合の測定結果と、10%の場合の測定結果とが示されている。また、測定結果については、レーザビームの進行方向が正転の場合の結果と逆転の場合の結果が併記されている。図12では、測定結果として、測定の最大値から最小値までの範囲が図示されている。また、測定結果の図示における丸印は、平均値を示している。
図12に示されるように、図4に示されるような構成による加工による取り代Tは、比較例に比べて、大きい。なお、比較例にかかる構成では、取り代Tの値の範囲は、±0.25mm程度であったのに対し、図4に示されるような構成の場合の構成では、取り代Tの値の範囲は、±0.13mm程度であり、約2倍の安定性が得られた。また、比較例では、正転か逆転か、粉量誤差がどの程度であるか、により取り代にばらつきがあるが、図4に示されるような構成では、そのようなばらつきが抑制されている。
また、歩留りは、次のような結果となった。なお、歩留りは、供給した粉量に対する肉盛層(クラッド)の重量の割合であり、下記式(1)のように表される。
歩留り=(肉盛層の重量)/(供給した粉量)×100% ・・・(1)
図4に示されるような構成の場合の歩留りは、86〜92%であった。また、図5に示されるような構成で、4本の配管ホース502の粉量誤差が5%以下である場合の歩留りは、83〜88%であった。さらに、図5に示されるような構成で、4本の配管ホース502の粉量誤差が10%である場合の歩留りは、正転のとき84〜90%であり、逆転のとき83〜86%であった。なお、ここで示す歩留りの値は、測定結果の範囲(3σ)である。このように、図4に示されるような構成の場合、比較例に比べて、歩留りが向上する。なお、測定結果の歩留りの中央値も、向上している。
このように本実施の形態にかかるレーザ肉盛装置1において、余剰粉の抑制及び歩留りの向上ができるのは、比較例の場合、図13に示すように、加工方向の後方からの金属粉53が溶融プール51の前方に多くこぼれるのに対し、本実施の形態の場合、図14に示すように、加工方向の前方のみから金属粉53が供給されるため、溶融プール51の前方にこぼれる金属粉53が少なく、金属粉53が溶融プール51に取り込まれやすいためである。
実施の形態2
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1にかかるレーザ肉盛装置1では、切り替え弁30によって、吐出孔117のうち、レーザビームの進行方向後方に位置する領域からはガスが出なくなる。この場合、加工点からのスパッタ又はヒュームが、吐出孔117の当該領域の吐き出し部分につきやすくなる。そこで、本実施の形態では、図15に示されるように、吐出孔117のうちレーザビームの進行方向後方に位置する領域から窒素などの不活性ガスを吐出するように、切り替え弁32を設けている。
切り替え弁32は、切り替え弁30と同様、例えば、3方弁バルブにより構成されている。また、切り替え弁32に接続した入力側の配管ホース34からはガスが流入し、切り替え弁32は、切り替え弁32の出力側に接続した配管ホース35a、35bのうち一方からガスを流出させる。配管ホース35aは、配管ホース31aに接続しており、配管ホース35bは、配管ホース31bに接続している。
切り替え弁32は、このような構成により、ガスの流出先を切り替える。加工の際、充填領域111a及び充填領域111bのうち加工方向の後方に配置された方のみにガスが流入するよう、切り替え弁32により切替えられる。
次に、実施の形態2にかかるレーザ肉盛装置1についての実験結果を説明する。主な加工条件は、上述と同様である。ただし、切り替え弁32にも、流量5L/minの窒素を供給し、加工の際、加工方向の後方に配置された方のみからガスを吐出するよう切り替え弁32を切り替えた。実験結果では、実施の形態2にかかるレーザ肉盛装置1においても内部欠陥は発生しなかった。
図16は、取り代の値の測定結果を示すグラフである。なお、図16に示したグラフでは、図15に示されるような構成の場合(実施の形態2)の測定結果に加え、図4に示されるような構成の場合(実施の形態1)の測定結果が示されている。また、歩留りは、84〜90%であった。さらに、取り代Tの値の範囲は、±0.16mm程度であった。実施の形態1の場合に比べて、0.03mm悪化しているが、吐出孔117にスパッタ又はヒュームが付着する恐れがなくなり、上述の通り実施の形態1と同様の効果を確認することができた。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、分割部110により、図17に示すように、粉末金属充填空間が充填領域121a、121bに分割されてもよい。図17に示した例では、充填領域121aと充填領域121bは、軸線Hに対して点対象であり、それぞれ軸線Hに直交する平面上において軸線Hを基準にして略180°の範囲を有している。
1 レーザ肉盛装置
10 レーザ加工ヘッド
11 レーザビーム発生部
12 集光レンズ
13 同軸ノズル
20 粉末材料供給装置
21 粉末供給部
22 圧力供給装置
30、32 切り替え弁
31a、31b、34、35a、35b、120、218、224、502 配管ホース
51 溶融プール
52 余剰粉
53 金属粉
90 シリンダヘッド粗形材
91 燃焼室側開口端
92 ザグリ溝
93 肉盛層
95 加工方向
101 本体部
102 ノズル部
103 外側部材
104 内側部材
105 ガス充填空間
107 ガス供給路
106 粉末金属充填空間
108 ガス吐出路
109、109a、109b、501a、501b、501c、501d 供給路
110 分割部
111、111a、111b、121a、121b、500a、500b、500c、500d 充填領域
112 誘導孔
113 外側ノズル部材
114 内側ノズル部材
115 結合部材
116 吐出通路
117 吐出孔
118 レーザ通路
119 レーザ出射孔
211 密閉容器
212 超音波フィーダ
213 粉吐出口
214 圧力センサ
215 ホッパー
216 ロードセル
217 超音波モータ
221 ガス供給装置
222 マスフローコントローラ
223 ストップバルブ
503 コネクター
A 中心軸
H 軸線
W 加工点

Claims (1)

  1. シリンダヘッド粗形材において、ポートの燃焼室側開口端に円環状のザグリ溝を形成する工程と、
    レーザ出射孔と同軸に形成された、複数の領域に仕切られた円環状の吐出孔から金属粉を供給しつつ、前記レーザ出射孔からレーザビームを照射して前記ザグリ溝にバルブシート用の肉盛層を順次形成する工程と、を備えたレーザ肉盛方法であって、
    前記肉盛層を順次形成する工程において、
    前記ザグリ溝に沿って前記レーザビームを進行させて前記肉盛層を形成する際、前記複数の領域のうち、前記レーザビームの進行方向前方に位置する領域のみから前記金属粉を供給する、
    レーザ肉盛方法。
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