JP2017075071A - セメント組成物、及び、セメント硬化体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ポゾラン反応性等の潜在的水硬性を有するSiO2と、二次精錬スラグと、水とを混練し、所定の圧力下で成形して製造された製鋼スラグ硬化体が提案されている。かかる製鋼スラグ硬化体によれば、従来、転炉スラグや電気炉スラグと比較して、コンクリート材料の骨材として利用するとモルタルの粘性が高くなり過ぎるといった理由から、骨材として適さないとされていた二次精錬スラグを、硬化体とすることでき、これにより、二次精錬スラグの有効利用が可能となる。
一般的な二次精錬スラグは、精錬容器の構造に起因して撹拌が不十分となり易く、その結果、冷却後に強度の高い部分と低い部分とが混在したり、未反応の遊離石灰が残ったりし易くなるため、転炉スラグや電気炉スラグと比較して品質が不均一であることが多い。
このため、二次精錬スラグをコンクリート材料の骨材として用いると、硬化体が異常膨張を起こす危険性がある等、該骨材としての機能が十分に発揮されないことがわかった。
また、二次精錬スラグの粒径は比較的小さく(粒度分布が微粉側に偏っており)、これにより、骨材として使用しても、歩留が低くなる、セメント組成物の粘性が高くなって、コテ仕上げなどの施工性に劣る、吸水率が大きいことから、スランプの経時変化が大きくなって可使時間が短くなる、等の不具合が生じると考えられる。
セメントと、細骨材と、水とを含有し、
前記細骨材が、二次精錬スラグと砂とを含有してなる。
よって、二次精錬スラグをコンクリート材料として十分に有効利用することが可能となる。
前記砂100容積部に対して、前記二次精錬スラグを0.1〜25容積部含有してなることが好ましい。
よって、二次精錬スラグをコンクリート材料として一層十分に有効利用することが可能となる。
前記セメント組成物を硬化させてなる。
かかるセメントの配合量は、例えば、セメント組成物全体100質量部に対して12〜32質量部とすることが好ましく、13〜26質量部とすることがより好ましい。
セメントの配合量が12〜32質量部であることによって、施工時のコテによる表面仕上げ性がより良好となり、且つ、早期の強度発現性をより確保できるセメント硬化体を製造できるという利点がある。
本実施形態においては、前記細骨材は、JIS A 0203:2014に規定の、10mm網ふるいを全部通過し、5mm網ふるいを質量で85質量%以上通過する骨材である。
二次精錬スラグの絶乾密度は、2.0〜3.0g/m3が好ましく、2.2〜2.6g/m3がより好ましい。
二次精錬スラグの表乾密度は、2.0〜3.5g/m3が好ましく、2.3〜3.0g/m3がより好ましい。
二次精錬スラグの吸水率は、0〜12質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
二次精錬スラグの微粒分量は、0〜15質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
二次精錬スラグの粗粒率は、2〜5が好ましく、2〜4がより好ましい。
また、前記砂はJIS A 5308附属書A:2014「レディーミクストコンクリート用骨材」に示される品質を満足するものが好ましい。
上記砂が、上記品質を満たす上記種類の砂であることによって、比較的細粒分の多い二次精錬スラグを使用した場合にも、細骨材全体での粒度調整がより容易となり、流動性及びコテによる表面仕上げ性の良好なセメント組成物を得易いという利点がある。
二次精錬スラグを0.1〜25容積部含有していることによって、セメント組成物のフレッシュ性状を一層十分なものとし、また、セメント組成物を硬化させてなる硬化体の強度を一層十分に高めることができるため、骨材としての使用が一層可能となる。
よって、二次精錬スラグをコンクリート材料として一層十分に有効利用することが可能となる。
砂を23〜35質量部含有していることによって、流動性及びコテによる表面仕上げ性がより良好なセメント組成物を得易いという利点がある。
水セメント比が10〜60であることによって、コテによる表面仕上げ性がより良好であり、且つ、早期の強度発現性をより確保できる混練物を製造できるという利点がある。
また、粗骨材の配合量は、例えば、セメント組成物全体100質量部に対して好ましくは32〜54質量部、より好ましくは37〜50質量部とすることができる。
また、高性能AE減水剤の配合量は、例えば、セメント100質量部に対して好ましくは0.1〜4質量部、より好ましくは0.5〜2.0質量部とすることができる。
また、空気量調整剤の配合量は、例えば、セメント100質量部に対して好ましくは0.0005〜1質量部、より好ましくは0.001〜0.006質量部とすることができる。
上記スランプ値は、JIS A 1101:2014(コンクリートのスランプ試験方法)によって測定された値である。また、スランプフロー値は、後述する実施例に記載された方法で測定された値である。
荷下ろし時のスランプ値が6.5〜21cm、または、スランプフロー25〜60cmであることによって、コンクリートがより分離することなく、より良好なワーカビリティーが確保できるため、人力施工がより可能となり、汎用性がより高くなるという利点がある。
荷下ろし時のスランプ値またはスランプフロー値を上記の範囲にするうえでは、製造直後において、スランプ値が6.5〜26cm、または、スランプフロー値が25〜75cmであることが好ましく、スランプ値が6.5〜23cm、または、スランプフロー値が30〜65cmであることがよる好ましい。
また、前記セメント組成物のスランプ値またはスランプフロー値の、練り上げから60分間静置したときの減少量が、スランプ値で0〜5cm、スランプフロー値で0〜15cmであることがより好ましい。
上記のように練り上げから60分経過後のスランプ値の減少量が0〜5cm、または、スランプフロー値の減少量が0〜15cmであることによって、製造現場から施工現場までの運搬時間に60分間要した場合にも、コンシステンシーの管理が容易なセメント組成物が得られるという利点がある。
よって、二次精錬スラグをコンクリート材料として十分に有効利用することが可能となる。
このセメント硬化体は、上記のように、セメント、粗骨材、水、及び、必要に応じて他の添加物を混練した後、打設し、硬化させることによって製造される。
本実施形態のセメント硬化体によれば、上記と同様、二次精錬スラグが十分に有効利用することが可能となる。
セメントとして、早強ポルトランドセメント(密度3.14g/cm3)を使用した。
混和剤として、高性能AE減水剤(ポリカルボン酸エーテル系化合物)、及び、空気量調整剤(アルキルエーテル系陰イオン界面活性剤)を使用した。
骨材として、表1に示すように、粗骨材及び細骨材を使用した。粗骨材として、高炉スラグを用い、細骨材として、陸砂と、製鉄所内にて発生した二次精錬スラグとを用いた。
この骨材について、JIS A 5308附属書A:2014に準拠して品質試験を行った。
また、JIS A 1109:2006(細骨材の密度及び吸水率試験方法)、JIS A 1110(粗骨材の密度および吸水率試験方法)に準拠して絶乾密度及び表乾密度を測定した。
さらに、JIS A 1102:2014(骨材のふるい分け試験方法)に準拠してよって、粗粒率を測定した。
結果を表1に示す。この表1には、JIS A 5308附属書A:2014に記載された砂の品質規格値を、併せて示す。
表1に示すように、二次精錬スラグは、JIS A 5308附属書A:2014に記載された砂の品質規格と比較して、絶乾密度は少し小さく、吸水率および微粒分量において著しく大きかった。
室温20℃の恒温室内で、上記セメントと、骨材と、水とを、表2に示す配合で強制二軸ミキサに投入し、練り混ぜを行った。練り混ぜた後、混練物を静置し、練り上がり直後、及び、練り上がりから60分間経過(静置)後において、混練物のスランプフロー値(表4にSFとして示す。)、及び、混練物の空気量(表4にAirとして示す。)を測定した。
また、二次精錬スラグを使用することによって混練物の特性に及ぼされる影響を調べるために、表3に示すように、細骨材に対する二次精錬スラグの混合比率(体積比率)を変化させて、上記混練及び下記測定を行った。
スランプフロー値は、JIS A 1150:2007(コンクリートのスランプフロー試験方法)に準拠して測定した。
空気量は、JIS A 1128:2005(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法)に準拠して測定した。
分離状況は、粗骨材が局部的に集中したり、セメントペーストや水分が時間の経過とともにコンクリート上面に向かって上昇したりするかどうかを目視によって確認し、判定した。そして、上記の現象が確認されない場合、混練物に分離が生じないとして「○」と表し、上記の現象が確認された場合、分離が生じたとして「×」と表した。
粘性は、金ゴテを用いてセメント組成物表面を均した際に、表面のセメントペーストを引っ張るか引っ張らないかを目視によって確認し、判定した。そして、金ゴテでセメントペーストを引っ張らなかった場合を良好として「○」と表し、金ゴテでセメントペーストを引っ張った場合を不良として「×」と表した。
結果を表4に示す。
また、練り上がり60分後において目標のスランプフロー値40±7.5cmを得るためには、高性能AE減水剤を増加させる必要があり、この増加によって、材齢24時間の硬化体の目標曲げ強度3.5N/mm2の確保が困難になると予想され、また、不経済な配合になると考えられた。
このように、高性能AE減水剤を標準使用量(セメント質量×0.9質量%)付近とすると、目標のフレッシュ性状を満足するためには、細骨材中の二次精錬スラグの配合量の上限を25容積%とすることが好ましいことがわかった。
そこで、以下の検討を、細骨材としてスラグ20を用いて行い、陸砂100を用いた場合と比較することとした。
表5の配合で、上記と同様にセメント組成物を調製し、JIS A 1132:2014(コンクリートの強度試験用供試体の作り方)に準拠して、10×10×40cm角柱型の硬化体を作製した。セメント組成物について、上記と同様に、スランプフロー値及び空気量を測定し、硬化体について、曲げ強度を測定し、セメント水比と、セメント組成物のフレッシュ性状及び硬化体の曲げ強度との関係を調べた。
曲げ強度は、JIS A 1106:2006(コンクリートの曲げ強度試験方法)に準拠して測定した。
結果を表5に示す。また、セメント水比と曲げ強度との関係を、図1に示す。
環境条件や材料のバラツキを考慮し、陸砂100及びスラグ20の双方において、水セメント比を35%とする配合で、以下のように試験施工を行った。
表6に示す配合で、陸砂100、及び、スラグ20を用いてセメント組成物を調製し、得られたセメント組成物を、幅員4m×延長20mmの各80m2ずつ打設し、敷均し、被膜養生剤を用いて養生しながら硬化させることにより、道路舗装を行って、試験施工を行った。なお、舗装構成は、表層硬化体30cm、上部路床50cmとし、打込み目地を5m間隔で設置した。
陸砂100、及び、スラグ20を用いたセメント組成物は、いずれも、調製から敷均しまで、作業性が同程度に良好であった。なお、両施工では、打設した厚みが30cmと大きく、また、厚みに対してセメント組成物の粘性が比較的低かったため、随時、施工途中に仕切り板を入れて高さを調製しながら打設した。
また、各セメント組成物を用いて上記と同様にして硬化体を作製し、上記と同様にして硬化体の曲げ強度を測定した。また、圧縮強度を測定した。
圧縮強度は、JIS A 1108:2006(コンクリートの圧縮強度試験方法)に準拠して測定した。
結果を図2に示す。
図2に示すように、陸砂100と比較して、スラグ20では、曲げ強度が低い傾向にあったが、材齢24時間の目標曲げ強度3.5N/mm2を満足する結果が得られた。
なお、上記試験施工では、シート等を用いず、被膜養生剤のみを用いて養生を行ったが、施工翌日にひび割れは確認されず、硬化体は健全な状態であることが確認された。
このように、細骨材が、二次精錬スラグと、砂とを含有することによって、二次精錬スラグをコンクリート材料として有効利用し得ることがわかった。
Claims (3)
- セメントと、細骨材と、水とを含有し、
前記細骨材が、二次精錬スラグと砂とを含有してなるセメント組成物。 - 前記砂100容積部に対して、前記二次精錬スラグを0.1〜25容積部含有してなる、請求項1に記載のセメント組成物。
- 請求項1または2に記載のセメント組成物を硬化させてなるセメント硬化体。
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