JP2017073944A - ガス絶縁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価にアークを消弧できるガス絶縁装置を提供する。
【解決手段】一つの実施の形態に係るガス絶縁装置は、導電性の通電部と、収容部と、絶縁性の反応部とを備える。前記収容部は、間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する。前記反応部は、前記収容部の内部において前記通電部又は前記壁に塗布され、加熱されることにより第2のガスを発生させる。
【選択図】図2
【解決手段】一つの実施の形態に係るガス絶縁装置は、導電性の通電部と、収容部と、絶縁性の反応部とを備える。前記収容部は、間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する。前記反応部は、前記収容部の内部において前記通電部又は前記壁に塗布され、加熱されることにより第2のガスを発生させる。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、ガス絶縁装置に関する。
ガス絶縁装置は、例えば、絶縁ガスが封入された金属製のタンクと、当該タンクに収容され、高電圧が印加される高電圧部とを有する。絶縁ガスは、前記タンクと前記高電圧部との間を絶縁し、タンクの内部でアークが発生することを抑制する。
タンクと高電圧部との間に絶縁ガスが存在しても、タンクの内部でアークが発生する可能性がある。
一つの実施の形態に係るガス絶縁装置は、導電性の通電部と、収容部と、絶縁性の反応部とを備える。前記収容部は、間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する。前記反応部は、前記収容部の内部において前記通電部又は前記壁に塗布され、加熱されることにより第2のガスを発生させる。
以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
図1は、第1の実施形態に係るガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)10を概略的に示す正面図である。ガス絶縁開閉装置10は、ガス絶縁装置の一例であり、例えば、電気機器とも称され得る。なお、ガス絶縁装置はガス絶縁開閉装置10に限らず、ガス絶縁母線(GIB:Gas Insulated Busbar)のような他の装置であっても良い。
図1に示すように、ガス絶縁開閉装置10は、主母線11,12と、ブッシング13とを備えているとともに、六フッ化硫黄(SF6)ガスが充填された接地容器内に、断路器14,15と、遮断器16と、変流器17と、接続母線18とを収容した開閉設備として構成される。遮断器16は、例えば、電流を遮断する際に、開閉器のアーク放電している電極間に高絶縁性を有する六フッ化硫黄ガスを吹き付けることで、放電を消滅させる。
図2は、第1の実施形態の接続母線18を示す断面図である。なお、以下に説明する構成は、接続母線18に限らず、主母線11,12のようなガス絶縁開閉装置10の他の部分に適用されても良い。
図2に示すように、接続母線18は、複数の高電圧導体21と、接続容器22とを有する。高電圧導体21は、通電部の一例であり、例えば、導体とも称され得る。接続容器22は、収容部の一例であり、例えば、タンクとも称され得る。
各図に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、接続母線18の長さに沿う。Y軸は、接続母線18の幅に沿う。Z軸は、接続母線18の高さに沿う。
高電圧導体21は、例えば、X軸に沿う方向に延びる導電性の部材である。X軸に沿う方向は、延び方向の一例である。高電圧導体21は、通電用の部材であり、高い電圧が印加される。高電圧導体21はそれぞれ、凸型接続導体31と、凹型接続導体32と、ガイド34と、留め輪35とを有する。
凸型接続導体31は、第1の部材の一例であり、例えば、導体又は延部とも称され得る。凹型接続導体32は、第2の部材の一例であり、例えば、導体又は端部とも称され得る。ガイド34は、反応部の一例である。
凸型接続導体31は、金属のような導体によって作られ、導電性を有する。凸型接続導体31は、延部41と、凸部42とを有する。延部41は、X軸に沿う方向に延びる円柱状に形成される。凸部42は、延部41のX軸に沿う方向における端部から突出する円柱状の部分である。なお、延部41及び凸部42は、他の形状に形成されても良い。凸部42の直径は、延部41の直径よりも短い。
延部41は、X軸に沿う方向に延びる高電圧導体21の中心軸(以下、中心軸と称する)の径方向に向く外周面41aと、X軸に沿う方向に向く端面41bとを有する。外周面41aは、第1の周面の一例である。凸部42も、中心軸の径方向に向く外周面42aと、X軸に沿う方向に向く端面42bとを有する。外周面42aは、第1の面の一例である。凸部42は、延部41の端面41bから突出する。
凹型接続導体32は、金属のような導体によって作られ、導電性を有する。凹型接続導体32は、周壁45と、端壁46とを有する。周壁45は、X軸に沿う方向に延びる円筒状に形成される。端壁46は、X軸に沿う方向における周壁45の一方の端部を塞ぐ。
周壁45は、中心軸の径方向外側に向く外周面45aと、中心軸の径方向内側に向く内周面45bとを有する。内周面45bは、第2の面の一例である。端壁46は、X軸に沿う方向に向く外面46aと、外面46aの反対側に位置する内面46bとを有する。
凹型接続導体32の内部に、凸型接続導体31の凸部42の一部が収容される。凸部42の外周面42aは、中心軸の径方向に間隔を介して周壁45の内周面45bに対向する。凸部42の端面42bは、X軸に沿う方向に間隔を介して端壁46の内面46bに対向する。
凹型接続導体32は、複数の接続部49をさらに有する。接続部49は、周壁45及び端壁46と別個に形成される。複数の接続部49は、金属のような導体によって作られ、導電性を有する。
複数の接続部49は、周壁45の内周面45bと、凸型接続導体31の凸部42の外周面42aとの間に介在する。複数の接続部49は、中心軸の周方向に配置される。接続部49は、周壁45の内周面45bに取り付けられるとともに、例えばバネによって、凸部42の外周面42aに押し付けられる。これにより、凸型接続導体31と凹型接続導体32とが、互いに接触し電気的に接続する。
凹型接続導体32の複数の接続部49が、凸型接続導体31の凸部42に接触する。しかし、接続部49が凸部42の外周面42aに接触するため、凸型接続導体31は、X軸に沿う方向に移動可能である。
ガイド34は、例えば、消弧剤が混合された合成樹脂によって作られ、絶縁性を有する。本実施形態における消弧剤は、例えば、炭酸水素ナトリウムである。なお、消弧剤は、他の材料であっても良い。
消弧剤である炭酸水素ナトリウムは、270℃以上の温度に加熱されることにより、吸熱反応を生じる。当該吸熱反応の熱化学方程式は、以下のように表される。
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O−30kcal/mol
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2O−30kcal/mol
上記の熱化学方程式によって示されるように、消弧剤である炭酸水素ナトリウムは、加熱されることにより二酸化炭素(CO2)を発生させる吸熱反応を生じる。二酸化炭素は、第2のガスの一例である。なお、第2のガスはこれに限らない。
合成樹脂によって作られたガイド34は、金属によって作られた凸型接続導体31よりも軟らかい。同じく、ガイド34は、金属によって作られた凹型接続導体32よりも軟らかい。
ガイド34は、例えば、円環状に形成される。ガイド34の外径は、凹型接続導体32の周壁45の内径よりも僅かに小さい。ガイド34の内径は、凸型接続導体31の凸部42の外径よりも僅かに小さい。ガイド34は、中心軸の径方向において、凸部42の外周面42aと、周壁45の内周面45bとの間に介在する。ガイド34によって、凸型接続導体31の中心軸と凹型接続導体32の中心軸とが実質的に一致させられる。
留め輪35は、凹型接続導体32の周壁45の内周面45bに固定される。ガイド34は、中心軸の軸方向において、凹型接続導体32の接続部49と、留め輪35との間に位置する。留め輪35は、ガイド34が凹型接続導体32の内部から外れることを抑制する。
接続容器22は、複数のタンク51と、複数のスペーサ52とを有する。スペーサ52は、支持部の一例である。図2は、複数のスペーサ52のうち一つのスペーサ52のみを示す。
タンク51は、金属のような導体によって作られ、導電性を有する。タンク51は、高電圧導体21と六フッ化硫黄ガスG1とを収容し、接地電位に設定される。六フッ化硫黄ガスG1は、第1のガスの一例であり、絶縁性を有する。なお、第1のガスは他のガスであっても良い。タンク51は、壁55と、フランジ56とを有する。
壁55は、X軸に沿う方向に延びる円筒状に形成される。壁55は、例えば、曲げ加工又は引き抜き加工によって作られる。壁55の中心軸は、タンク51に収容された高電圧導体21の中心軸と実質的に一致する。壁55は、中心軸の径方向に間隔を介して高電圧導体21を囲む。
壁55は、外面55aと内面55bとを有する。外面55aは、中心軸の径方向外側に向く。内面55bは、外面55aの反対側に位置し、中心軸の径方向内側に向く。このため、内面55bは、タンク51に収容された高電圧導体21に向く。
高電圧導体21の外面21aは、壁55の内面55bに向く。詳しく述べると、凸型接続導体31の延部41の外周面41aと、凸部42の外周面42aとは、壁55の内面55bに向く。さらに、凹型接続導体32の周壁45の外周面45aは、壁55の内面55bに向く。延部41の外周面41aと、周壁45の外周面45aとは、高電圧導体21の外面21aの少なくとも一部を形成する。
フランジ56は、壁55の外面55aに、例えば溶接によって取り付けられる。フランジ56は、壁55のX軸に沿う方向における端部に位置する。フランジ56は、壁55の外面55aから、中心軸の径方向に延びる。
スペーサ52は、タンク51のX軸に沿う方向における端部を塞ぐとともに、高電圧導体21を支持するための部材である。言い換えると、スペーサ52は、タンク51の内部の六フッ化硫黄ガスG1を隔離するとともに、高電圧導体21を支持する。スペーサ52は、導電部61と、絶縁部62とを有する。
導電部61は、金属のような導体によって作られ、導電性を有する。導電部61は、例えば、実質的に円盤状に形成される。導電部61は、実質的に中心軸上に配置され、中心軸の径方向において壁55から離間する。
導電部61の一方の面に、一つの高電圧導体21の凹型接続導体32の、端壁46の外面46aが接触する。一方、導電部61の他方の面に、他の高電圧導体21の凹型接続導体32の、端壁46の外面46aが接触する。このため、導電部61は、一つの高電圧導体21と他の高電圧導体21との間に介在し、二つの高電圧導体21を電気的に接続する。
絶縁部62は、合成樹脂のような絶縁体によって作られ、絶縁性を有する。絶縁部62は、導電部61に対して中心軸の径方向外側に位置し、導電部61を囲む。絶縁部62は、例えば注型によって、導電部61と一体に形成される。絶縁部62は、X軸に沿う方向(例えば図2の左方向)に向かうに従って直径が小さくなる略円錐台の筒状に形成される。
中心軸の径方向における絶縁部62の外側の端部は、中心軸の径方向に延びる。絶縁部62の当該端部は、タンク51のフランジ56に、例えば、ボルト65によって固定される。ボルト65は、タンク51にスペーサ52を固定するとともに、二つのタンク51を互いに固定する。
絶縁部62は、導電部61を、壁55から離間した位置に支持する。さらに、絶縁部62は、当該導電部61に接触する凹型接続導体32を、壁55から離間した位置に支持する。絶縁部62は、壁55と導電部61との間を絶縁し、さらに壁55と高電圧導体21との間を絶縁する。
上記のように、スペーサ52は、凹型接続導体32を支持することで、高電圧導体21を、壁55から離間した位置に支持する。スペーサ52はこれに限らず、例えば、凸型接続導体31と壁55との間に介在することで、高電圧導体21を、壁55から離間した位置に支持しても良い。
タンク51は、トラップ71をさらに有する。トラップ71は、例えば、壁55に取り付けられた実質的に四角形の箱状に形成される。なお、トラップ71は他の形状に形成されても良い。トラップ71は、例えば溶接によって、壁55に取り付けられる。
トラップ71は、開口部71aを有する。開口部71aは、壁55から、タンク51の内部に開口する。これにより、トラップ71は、壁55の内面55bに開口する凹部72を形成する。
凹部72は、タンク51の下方の端部において、壁55の内面55bに設けられる。凹部72は、X軸に沿う方向において、スペーサ52の近傍に位置する。なお、凹部72は他の位置に設けられても良い。
トラップ71は、ケース75を有する。ケース75は、例えば、パンチングメタルによって作られた箱である。ケース75は、例えば、凹部72にネジによって固定される。ケース75の内部は、ケース75に形成された複数の孔を介して、タンク51の内部に接続される。
中心軸の径方向において、ケース75の高さは、凹部72の深さよりも低い。このため、ケース75は、凹部72に収容され、壁55の内面55bから突出しない。なお、ケース75の寸法はこれに限らない。
接続母線18は、吸着剤77と、消弧剤78と、袋79とをさらに有する。消弧剤78は、反応部の一例であり、例えば、粉体とも称され得る。袋79は、封入部材の一例であり、例えば、収容部材とも称され得る。
吸着剤77と、消弧剤78と、袋79とは、凹部72に収容されたケース75に収容される。このため、吸着剤77と、消弧剤78と、袋79とは、凹部72に配置される。なお、吸着剤77と、消弧剤78と、袋79とは、例えば、凹部72の内部であって、ケース75の外に配置されても良い。
吸着剤77は、例えば、袋に封入されたゼオライトである。吸着剤77は、タンク51の内部の水分を除去する。消弧剤78は、ガイド34に混合された消弧剤と同じく、例えば、炭酸水素ナトリウムである。消弧剤78は、粉末状に形成されるが、他の状態に形成されても良い。袋79は、例えば、紙又は合成樹脂のフィルムによって作られる。消弧剤78は、袋79に収容される。
接続母線18は、第1の塗装部81と、第2の塗装部82と、第3の塗装部83と、を有する。第1乃至第3の塗装部81〜83は、反応部の一例であり、例えば、覆部とも称され得る。第1乃至第3の塗装部81〜83はそれぞれ、例えば、消弧剤が混合された絶縁性の塗料によって作られる。なお、第1乃至第3の塗装部81〜83はこれに限らない。
第1の塗装部81は、壁55の内面55bに塗布される。言い換えると、第1の塗装部81は、タンク51の内部において、壁55に塗布される。第1の塗装部81は、壁55の内面55bに付着し、内面55bを覆う。
第2及び第3の塗装部82,83は、高電圧導体21の外面21aに塗布される。言い換えると、第2及び第3の塗装部82,83は、タンク51の内部において、高電圧導体21に塗布される。第2及び第3の塗装部82,83は、高電圧導体21の外面21aに付着し、外面21aを覆う。
詳しく述べると、第2の塗装部82は、凸型接続導体31の延部41の外周面41aに塗布され、外周面41aを覆う。第3の塗装部83は、凹型接続導体32の周壁45の外周面45aに塗布され、外周面45aを覆う。なお、第2の塗装部82は、延部41の端面41bと、凸部42の外周面42aの一部にさらに塗布されても良い。
図3は、第1の実施形態のアークAcが発生した接続母線18を示す断面図である。図3に示すように、上記の接続母線18の内部において、アークAcが発生する可能性がある。なお、アークAcの発生は、タンク51に収容された六フッ化硫黄ガスG1によって抑制されている。
アークAcは、例えば、高電圧導体21とタンク51の壁55との間で発生する。例えば、壁55の内面55b上に異物Dが存在することがある。異物Dに電界が集中することで、壁55の異物Dが存在する位置と、高電圧導体21との間で、アークAcが発生する。なお、アークAcが発生する位置及び理由はこれに限らない。
アークAcは、例えば、電磁力によりスペーサ52の近傍で滞留することがある。アークAcは、近傍の温度を例えば数千℃まで上昇させる。なお、アークAcは、当該アークAcの近傍に限らず、タンク51の内部の温度を上昇させる。
アークAcにより、ガイド34、第1の塗装部81、第2の塗装部82、及び第3の塗装部83に含まれる消弧剤が加熱される。これにより、ガイド34、第1の塗装部81、第2の塗装部82、及び第3の塗装部83の消弧剤が吸熱反応を生じ、図3に矢印で示すガスG2を発生させる。本実施形態のガスG2は、吸熱反応によって生じる二酸化炭素であり、第2のガスの一例である。
さらに、アークAcにより、ケース75の内部も加熱される。このため、袋79が破損し、消弧剤78が露出される。消弧剤78は、アークAcにより加熱されることで吸熱反応を生じ、ガスG2を発生させる。
以上のように、アークAcによって加熱された消弧剤が、吸熱反応を生じる。アークAcの熱が吸熱反応により吸収されることで、アークAcが消弧しやすくなる。そして、地絡電流又は短絡電流が流れると、遮断器16で回路が遮断され、放電が終結する。
アークAcが発生していない通常の状態において、接続容器22の内部は、定格電流が流される高電圧導体21により、例えば約100℃に加熱される。消弧剤は、このような通常時の温度では吸熱反応を生じず、所定の温度まで加熱されることで吸熱反応を生じる。
第1の実施の形態に係るガス絶縁開閉装置10において、絶縁性の第1乃至第3の塗装部81〜83が、接続容器22の内部において、導電性の高電圧導体21、又は接続容器22の導電性の壁55に塗布される。第1乃至第3の塗装部81〜83に含まれる消弧剤は、加熱されることによりガスG2を発生させる。例えば、高電圧導体21と壁55との間でアークAcが発生した場合、当該アークAcによって加熱された第1乃至第3の塗装部81〜83がガスG2を発生させる化学反応(吸熱反応)を生じる。これにより、アークAcが消弧しやすくなり、接続容器22の損傷が抑制される。加熱されることによりガスG2を発生させる消弧剤として、例えば、炭酸水素ナトリウムが利用可能である。このような消弧剤により、例えば、壁55の厚さを増大させることよりも安価にアークAcが消弧され、接続容器22の損傷が抑制される。さらに、第1乃至第3の塗装部81〜83が塗布によって高電圧導体21又は壁55に設けられることで、消弧剤を容易に接続容器22の内部に設けることが可能である。
第1乃至第3の塗装部81〜83、ガイド34、及び消弧剤78は、加熱されることによりガスG2を発生させる吸熱反応を生じる。すなわち、高電圧導体21と壁55との間でアークAcが発生した場合、当該アークAcによって加熱された第1乃至第3の塗装部81〜83、ガイド34、及び消弧剤78がガスG2を発生させる吸熱反応を生じる。当該吸熱反応により、アークAcの近傍が冷却されることで、アークAcが消弧されやすくなり、接続容器22の損傷が抑制される。
壁55の内面55b上に、異物Dが存在することがある。異物Dが帯電すると、当該異物Dが例えば高電圧導体21に印加される電圧によって生じるクーロン力により接続容器22の内部を移動する。異物Dがスペーサ52に到達すると、アークAcが発生する可能性がある。一方、本実施形態では、絶縁性の第1の塗装部81が壁55の内面55bに塗布される。これにより、壁55から異物Dへ電荷が移動し当該異物Dが帯電することが抑制される。従って、帯電した異物Dが接続容器22の内部を移動することが抑制される。異物Dの移動が抑制されることで、アークAcの発生が抑制されるとともに絶縁破壊が防止される。このことにより、接続容器22の損傷が抑制される。なお、異物Dが移動したとしても、当該異物Dはトラップ71によって回収される。このように、トラップ71により、アークAcの発生が抑制される。
第2及び第3の塗装部82,83が高電圧導体21の外面21aに塗布される。これにより、電圧が印加された高電圧導体21から電子が放出することが抑制されて、絶縁破壊強度が向上する。高電圧導体21からの電子の放出が抑制されることで、電子が壁55に到達することによるアークAcの発生が抑制される。さらに、第2及び第3の塗装部82,83が塗布されることにより高電圧導体21の輻射率が増大する。このため、例えば高電圧導体21と六フッ化硫黄ガスG1との間の熱交換が容易となり、高電圧導体21が冷却されやすくなる。
第2の塗装部82が高電圧導体21の凸型接続導体31の延部41の外周面41aに塗布される。これにより、電圧が印加された高電圧導体21の凸型接続導体31から電子が放出することが抑制されて、絶縁破壊強度が向上する。高電圧導体21からの電子の放出が抑制されることで、電子が壁55に到達することによるアークAcの発生が抑制される。さらに、第2の塗装部82が塗布されることにより凸型接続導体31の輻射率が増大する。このため、例えば凸型接続導体31と六フッ化硫黄ガスG1との間の熱交換が容易となり、凸型接続導体31が冷却されやすくなる。
第3の塗装部83が高電圧導体21の凹型接続導体32の周壁45の外周面45aに塗布される。これにより、電圧が印加された高電圧導体21の凹型接続導体32から電子が放出することが抑制されて、絶縁破壊強度が向上する。高電圧導体21からの電子の放出が抑制されることで、電子が壁55に到達することによるアークAcの発生が抑制される。さらに、第3の塗装部83が塗布されることにより凹型接続導体32の輻射率が増大する。このため、例えば凹型接続導体32と六フッ化硫黄ガスG1との間の熱交換が容易となり、凹型接続導体32が冷却されやすくなる。
加熱されることによりガスG2を発生させる消弧剤78が、壁55の内面55bに設けられた凹部72に配置される。これにより、高電圧導体21と壁55との間でアークAcが発生した場合、当該アークAcによって加熱された消弧剤78がガスG2を発生させる化学反応を生じる。これにより、アークAcが消弧し、接続容器22の損傷が抑制される。さらに、消弧剤78が凹部72に配置されることで、より多量の消弧剤78を接続容器22の内部に配置しやすい。
消弧剤78は、粉末状であり、凹部72に配置される袋79に収容される。これにより、例えば消弧剤78を樹脂と混合するような加工をすることなく、消弧剤78を接続容器22の内部に容易に配置できる。また、粉末である消弧剤78が接続容器22の内部で移動することが抑制される。
加熱されることによるガスG2を発生させる絶縁性のガイド34が、凸型接続導体31の凸部42の外周面42aと、凹型接続導体32の周壁45の内周面45bとの間に介在する。これにより、接続容器22の内部でアークAcが発生した場合、当該アークAcによって加熱されたガイド34がガスG2を発生させる化学反応を生じる。これにより、アークAcが消弧し、接続容器22の損傷が抑制される。さらに、ガイド34は、凸型接続導体31及び凹型接続導体32よりも軟らかい。このため、凸型接続導体31及び凹型接続導体32が互いに接触することにより異物Dが発生し、当該異物DによりアークAcが発生することが抑制される。
消弧剤は、定格電流が流される高電圧導体21によって加熱される温度では吸熱反応を生じず、アークAcによって加熱される所定の温度まで加熱されることで吸熱反応を生じる。これにより、消弧剤の不要な吸熱反応を生じることが抑制され、ガス絶縁開閉装置10の信頼性の低下が抑制される。
以下に、第2の実施の形態について、図1乃至図3を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
第2の実施形態のガス絶縁開閉装置10の形状は、第1の実施形態のガス絶縁開閉装置10の形状と実質的に同一である。第2の実施形態のガイド34、第1の塗装部81、第2の塗装部82、及び第3の塗装部83に含まれる消弧剤と、消弧剤78とは、第1の実施形態の消弧剤と異なる。
第2の実施形態の消弧剤は、例えば、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)である。なお、消弧剤は、他の高分子材料のような、他の材料であっても良い。消弧剤であるPTFEは、例えば、500℃以上の温度に加熱されることにより軟化する。PTFEはさらに加熱されることにより、分解し、昇華(ガス化)する。言い換えると、PTFEは、加熱されることにより、ガス化したPTFEを発生させる昇華を起こす。ガス化したPTFEは、第2のガスの一例である。
図3に示すように、アークAcが発生すると、アークAcは、近傍の温度を例えば数千℃まで上昇させる。なお、アークAcは、当該アークAcの近傍に限らず、タンク51の内部の温度を上昇させる。
アークAcにより、ガイド34、第1の塗装部81、第2の塗装部82、及び第3の塗装部83に含まれる消弧剤が加熱される。これにより、ガイド34、第1の塗装部81、第2の塗装部82、及び第3の塗装部83の消弧剤が昇華を起こし、図3に矢印で示すガスG2を発生させる。本実施形態のガスは、ガス化したPTFEであり、第2のガスの一例である。
さらに、アークAcにより、ケース75の内部も加熱される。このため、袋79が破損し、消弧剤78が露出される。消弧剤78は、アークAcにより加熱されることで昇華を起こし、ガスG2を発生させる。
以上のように、アークAcによって加熱された消弧剤が、昇華を起こす。ガスG2が発生することにより、アークAcの近傍の圧力が上昇する。これにより、アークAcが移動することで細くなり、抵抗が増大することで、アークAcが消弧しやすくなる。そして、地絡電流又は短絡電流が流れると、遮断器16で回路が遮断され、放電が終結する。
アークAcが発生していない通常の状態において、接続容器22の内部は、定格電流が流される高電圧導体21により、例えば約100℃に加熱される。消弧剤は、このような通常時の温度では昇華を起こさず、所定の温度まで加熱されることで昇華を起こす。
第2の実施形態のガス絶縁開閉装置10において、第1乃至第3の塗装部81〜83、ガイド34、及び消弧剤78は、加熱されることによりガスG2を発生させる昇華を起こす。すなわち、高電圧導体21と壁55との間でアークAcが発生した場合、当該アークAcによって加熱された第1乃至第3の塗装部81〜83、ガイド34、及び消弧剤78がガスG2を発生させる昇華を起こす。当該昇華によりアークAc近傍の圧力が増大し、アークAcが移動することで細くなり、抵抗が増大する。これにより、アークAcが消弧され、接続容器22の損傷が抑制される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、加熱されることにより第2のガスを発生させる絶縁性の反応部が、収容部の内部において通電部又は壁に塗布される。これにより、安価にアークが消弧される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…ガス絶縁開閉装置、21…高電圧導体、21a…外面、22…接続容器、31…凸型接続導体、32…凹型接続導体、34…ガイド、41…延部、41a…外周面、42…凸部、42a…外周面、45…周壁、45b…内周面、51…タンク、52…スペーサ、55…壁、55b…内面、62…絶縁部、72…凹部、78…消弧剤、79…袋、81…第1の塗装部、82…第2の塗装部、83…第3の塗装部、G1…六フッ化硫黄ガス、G2…ガス、Ac…アーク。
Claims (12)
- 導電性の通電部と、
間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する収容部と、
前記収容部の内部において前記通電部又は前記壁に塗布され、加熱されることにより第2のガスを発生させる絶縁性の反応部と、
を具備するガス絶縁装置。 - 前記反応部は、加熱されることにより前記第2のガスを発生させる吸熱反応を生じる、請求項1のガス絶縁装置。
- 前記反応部は、加熱されることにより前記第2のガスを発生させる昇華を起こす、請求項1のガス絶縁装置。
- 前記壁は、前記通電部に向く内面を有し、
前記反応部は、前記内面に塗布される、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つのガス絶縁装置。 - 前記通電部は、前記壁に向く外面を有し、
前記反応部は、前記外面に塗布される、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つのガス絶縁装置。 - 前記通電部は、延び方向に延びる導電性の第1の部材と、前記支持部に支持されるとともに前記延び方向に移動可能に前記第1の部材に接触する導電性の第2の部材と、を有し、
前記第1の部材は、前記壁に向く第1の周面を有し、
前記反応部は、前記第1の周面に塗布される、
請求項1乃至請求項5のいずれか一つのガス絶縁装置。 - 前記通電部は、延び方向に延びる導電性の第1の部材と、前記支持部に支持されるとともに前記延び方向に移動可能に前記第1の部材に接触する導電性の第2の部材と、を有し、
前記第2の部材は、前記壁に向く第2の周面を有し、
前記反応部は、前記第2の周面に塗布される、
請求項1乃至請求項5のいずれか一つのガス絶縁装置。 - 導電性の通電部と、
間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記壁に設けられ前記通電部に向くとともに凹部が設けられた内面と、前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する収容部と、
前記凹部に配置され、加熱されることにより第2のガスを発生させる絶縁性の反応部と、
を具備するガス絶縁装置。 - 前記凹部に配置される封入部材をさらに具備し、
前記反応部は、粉末状であり、前記封入部材に収容される、
請求項8のガス絶縁装置。 - 前記反応部は、加熱されることにより前記第2のガスを発生させる吸熱反応を生じる、請求項8又は請求項9のガス絶縁装置。
- 前記反応部は、加熱されることにより前記第2のガスを発生させる昇華を起こす、請求項8又は請求項9のガス絶縁装置。
- 延び方向に延びるとともに第1の面を有する導電性の第1の部材と、間隔を介して前記第1の面に対向する第2の面を有するとともに前記延び方向に移動可能に前記第1の部材に接触する導電性の第2の部材と、を有する通電部と、
間隔を介して前記通電部を囲む導電性の壁と、前記第2の部材を支持して前記通電部を前記壁から離間した位置に支持する絶縁性の支持部と、を有し、前記通電部及び絶縁性の第1のガスを収容する収容部と、
前記第1の面と前記第2の面との間に介在し、加熱されることにより第2のガスを発生させ、前記第1の部材より軟らかく、前記第2の部材より軟らかい、絶縁性の反応部と、
を具備するガス絶縁装置。
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