JP2017072772A - 鍵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】押鍵開始時の鍵タッチ感を良好に保ち、かつストッパによって跳ね返されたハンマーが鍵にふたたび当たったときの鍵タッチ感を悪化させない鍵装置を提供する。
【解決手段】鍵装置は、前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する白鍵10と、押鍵操作による鍵の回動により駆動されて回動し、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマー20と、前記回動したハンマー20を衝突させてハンマー20を跳ね返すハンマーストッパ33(又は発音体)とを備えている。ハンマーストッパ33(又は発音体)の跳ね返しによるハンマー20の白鍵10への衝突時の衝撃を和らげる第1緩衝部材23を、ハンマー20(又は白鍵10)に設ける。
【選択図】図3
【解決手段】鍵装置は、前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する白鍵10と、押鍵操作による鍵の回動により駆動されて回動し、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマー20と、前記回動したハンマー20を衝突させてハンマー20を跳ね返すハンマーストッパ33(又は発音体)とを備えている。ハンマーストッパ33(又は発音体)の跳ね返しによるハンマー20の白鍵10への衝突時の衝撃を和らげる第1緩衝部材23を、ハンマー20(又は白鍵10)に設ける。
【選択図】図3
Description
本発明は、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマーを備えた鍵装置に関する。
従来から、下記特許文献1,2に示されているように、押鍵操作による鍵の回動により駆動されて回動し、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマーを備えた鍵装置はよく知られている。また、下記特許文献2には、鍵の押鍵操作に対してレットオフ感を付与するために、鍵の回動に連動して回動するウィペンを介して、押鍵操作による鍵の回動によりハンマーを間接的に駆動することも示されている。
このような鍵装置においては、演奏者が鍵の前部を押すことにより押鍵操作を開始すると、鍵の前部は下方に移動して回動し始める。この鍵の回動によりハンマーが駆動されて、ハンマーも回動し始める。そして、鍵の押し切り時には、ハンマーは、ストッパに衝突して、ストッパにより跳ね返され、鍵にふたたび当たる。このような鍵装置の動作により、鍵の押鍵開始時には、演奏者は、ハンマーによる反力を鍵タッチとして感じる。また、鍵の押し切り時において、ストッパによって跳ね返されたハンマーが鍵にふたたび当たったときには、演奏者は、鍵を介してハンマーの慣性力による振動を鍵タッチとして感じる。
前記従来の鍵装置においては、押鍵開始時に演奏者に対して良好な鍵タッチ感を与えるためには、ハンマーに設けた錘の重量をある程度大きくしておく必要がある。しかし、ハンマーに設けた錘の重量が大きいと、鍵の前端部における上方向の荷重の時間変化を示す図4のグラフにおいて破線で示すように、ストッパによって跳ね返されたハンマーが鍵にふたたび当たったときには、鍵を介して演奏者の指に伝わる振動は大きくなり、鍵タッチ感が悪化する。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好に保ったうえで、ストッパによって跳ね返されたハンマーが鍵にふたたび当たったときの鍵タッチ感を悪化させないようにした鍵装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、第1発明の特徴は、前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する鍵(10)と、押鍵操作による鍵の回動により駆動されて回動し、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマー(20)と、前記回動したハンマーを衝突させてハンマーを跳ね返すストッパ(33)又は発音体とを備えた鍵装置において、押鍵操作によるハンマーの駆動時には鍵がハンマーの所定の第1当接位置に当接し、かつストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動時には第1当接位置とは位置を異ならせたハンマーの第2当接位置が鍵に当接するようにし、ハンマーの第2当接位置に、鍵がストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材(23)を設けたことにある。
この場合、第1緩衝部材は、例えば、フェルト、スポンジなどの柔らかな材料で構成される。また、この場合、例えば、ハンマーに回動中心から上下方向に延びた延設部分を設けて、回動によるハンマーの水平方向の移動量を大きくするようにするとよい。
前記のように構成した第1発明においては、演奏者が鍵の前部を押すことにより押鍵操作を開始すると、鍵は上下方向に回動し始める。この鍵の回動により、鍵はハンマーの第1当接位置に当接してハンマーを駆動し、ハンマーも回動し始める。このとき、演奏者はハンマーによる反力を鍵を介して鍵タッチとして感じる。そして、この鍵の押鍵時すなわち鍵の押し切り時には、ハンマーはストッパ又は発音体によって跳ね返されて前記とは逆方向に回動する。そして、ハンマーの第2当接位置が鍵に当接して、ハンマーの回動は受け止められる。このとき、演奏者はハンマーの慣性力による振動を鍵を介して感じる。この第1発明においては、ハンマーの第2当接位置に、鍵がストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材が設けられている。そのため、ハンマーの重量をある程度大きくしておいても、前記ハンマーの慣性力による振動は小さくなり、演奏者は前記ハンマーの慣性力による大きな振動を感じない。また、ハンマーの重量はある程度大きくてもよいので、押鍵開始時における鍵タッチ感は良好である。その結果、本発明によれば、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好に保ったうえで、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。
また、第1発明の他の特徴は、押鍵操作によるハンマーの駆動時にハンマーを駆動する鍵の駆動位置と同じ位置で、ストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動を受け止めるようにし、ハンマーの第1当接位置又は鍵の駆動位置に、第1緩衝部材よりも固い部材であって、押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材(24)を設けたことにある。また、第1発明の他の特徴は、押鍵操作によるハンマーの駆動時にハンマーを駆動する鍵の駆動位置とは位置を異ならせた受け止め位置で、ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動を受け止めるようにし、ハンマーの第1当接位置又は鍵の駆動位置に、第1緩衝部材よりも固い部材であって、前記押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材(24a)を設けたことにもある。
これらの場合、第2緩衝部材は、例えば、ゴム、人工皮革などの多少柔らかな材料で構成される。これによれば、押鍵操作によるハンマーの駆動時に、鍵の駆動位置がハンマーの第1当接位置に当接したときに受ける衝撃が適度に緩和され、押鍵操作によるハンマーの駆動時における鍵タッチ感もより良好になるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
また、第2発明の特徴は、前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する鍵(10)と、押鍵操作による鍵の回動により駆動されて回動し、鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマー(20)と、前記回動したハンマーを衝突させてハンマーを跳ね返すストッパ(33)又は発音体とを備えた鍵装置において、押鍵操作によるハンマーの駆動時には所定の駆動位置でハンマーを駆動し、かつストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動時には駆動位置とは位置を異ならせた鍵の受け止め位置でハンマーを受け止めするようにし、ハンマーの受け止め位置に、鍵がストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材(23)を設けたことにある。
この場合も、第1緩衝部材は、例えば、フェルト、スポンジなどの柔らかな材料で構成される。また、この場合も、例えば、ハンマーに回動中心から上下方向に延びた延設部分を設けて、回動によるハンマーの水平方向の移動量を大きくするようにするとよい。
前記のように構成した第2発明においても、演奏者が鍵の前部を押すことにより押鍵操作を開始すると、鍵は上下方向に回動し始める。この鍵の回動により、鍵は駆動位置でハンマーを駆動し、ハンマーも回動し始める。このとき、演奏者はハンマーによる反力を鍵を介して鍵タッチとして感じる。そして、この鍵の押鍵時すなわち鍵の押し切り時には、ハンマーはストッパ又は発音体によって跳ね返されて前記とは逆方向に回動する。そして、ハンマーの回動は、鍵の受け止め位置で受け止められる。このとき、演奏者はハンマーの慣性力による振動を鍵を介して感じる。この第2発明においては、鍵の受け止め位置に、鍵がストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材が設けられている。そのため、ハンマーの重量をある程度大きくしておいても、前記ハンマーの慣性力による振動は小さくなり、演奏者は前記ハンマーの慣性力による大きな振動を感じない。また、ハンマーの重量はある程度大きくてもよいので、押鍵開始時における鍵タッチ感は良好である。その結果、第2発明によっても、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好に保ったうえで、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。
また、第2発明の他の特徴は、押鍵操作によるハンマーの駆動時に鍵の駆動位置が当接するハンマーの当接位置と同じ位置が、ストッパ又は発音体の跳ね返しによるハンマーの回動時に鍵の受け止め位置に当接するようにし、鍵の駆動位置又はハンマーの当接位置に、第1緩衝部材よりも固い部材であって、押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材(24)を設けたことにある。
この場合も、第2緩衝部材は、例えば、ゴム、人工皮革などの多少柔らかな材料で構成される。これによれば、押鍵操作によるハンマーの駆動時に、鍵の駆動位置がハンマーの当接位置に当接したときに受ける衝撃が適度に緩和され、押鍵操作によるハンマーの駆動時における鍵タッチ感もより良好になるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
以下、本発明の一実施形態に係り、電子鍵盤楽器に適用されて複数の白鍵及び黒鍵を備えた鍵盤装置内に設けた鍵装置について、図面を用いて説明する。図1は、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。なお、本明細書においては、図1の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図1の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
鍵装置は、白鍵10及びハンマー20を備えている。白鍵10は、樹脂により成型されて、縦断面形状が方形状であって前後方向に長尺状に形成されている。白鍵10の前後方向の中間部には、白鍵10の幅方向に延設された円形孔10aが形成されている。円形孔10aには、図示しない鍵盤フレーム(すなわち鍵盤装置内に固定された支持部材)側に設けられた回動軸11を摺動可能に侵入させている。したがって、白鍵10は、回動軸11周りに上下方向に回動可能に鍵盤フレームに組み付けられている。すなわち、白鍵10は、回動軸11の中心を支点として、その前端部及び後端部を上下方向に回動可能に鍵盤フレームに支持されている。また、前後中間位置であって円形孔10aの後方の白鍵10の上面には、上方に向けて突出した突起10bが白鍵10と一体成型されて設けられている。なお、この突起10bが設けられた位置が、第1発明における鍵の駆動位置に対応する。
鍵盤フレームにおける白鍵10の後端部の下方位置には、上ストッパ31が鍵盤フレームに一体的に設けられ又は固定されている。上ストッパ31は、白鍵10の後端の下方への変位を規制するもので、白鍵10の離鍵状態では白鍵10の後端部の下面に当接している。鍵盤フレームにおける白鍵10の前端部の下方位置には、下ストッパ32が鍵盤フレームに一体的に設けられ又は固定されている。下ストッパ32は、白鍵10の前端の下方への変位を規制するもので、白鍵10の離鍵状態では白鍵10の前端部の下面から離れて位置する。これらの上ストッパ31及び下ストッパ32は、樹脂により成型されて、それらの上面には、フェルト、スポンジなどの緩衝部材が固着されている。
ハンマー20は、樹脂により成型されて、前後方向に延設された前後延設部20a及び上下方向に延設された上下延設部20bを有する鈎型(L字型)に形成されている。ハンマー20は、前後延設部20aを白鍵10の後部上方に位置させ、かつ上下延設部20bの上部を白鍵10の前後方向中間であって白鍵10よりも上方に位置させるとともに、上下延設部20bの下部を白鍵10の前後方向中間であって白鍵10よりも下方に位置させている。ハンマー20の上下延設部20bの下端部には、ハンマー20の幅方向に延設された円形孔20cが形成されている。円形孔20cには、鍵盤フレーム側に設けられた回動軸21を摺動可能に侵入させている。したがって、ハンマー20は、回動軸21周りに上下方向に回動可能に鍵盤フレームに組み付けられている。すなわち、ハンマー20は、回動軸21の中心を支点として、その前後延設部20aを上下方向に回動可能に鍵盤フレームに支持されている。
ハンマー20の前後延設部20aの後端部には、金属製の錘22が固着されている。錘22は、ハンマー20の前後延設部20aの後端部を下方へ付勢するものであり、白鍵10の押鍵に対して反力を付与、すなわち白鍵10の前端部に上方向の荷重を付加するものである。前後延設部20aの中間部下面には、第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24が固着されている。第1緩衝部材23は、フェルト、スポンジなどの柔らかい材質の部材で構成され、第2緩衝部材24よりも後側に位置している。第2緩衝部材24は、第1緩衝部材23よりも固く、ゴム、人工皮革などの多少柔らかい材質の部材で構成されている。白鍵10の離鍵状態では、白鍵10に設けた突起10bが第2緩衝部材24の下面に当接している。なお、第1緩衝部材23が設けられているハンマー20の前後延設部20aの下面位置が、第1発明におけるハンマーの第2当接位置に対応する。また、第2緩衝部材24が設けられているハンマー20の前後延設部20aの下面位置が、第1発明におけるハンマーの第1当接位置に対応する。
鍵盤フレームにおけるハンマー20の前後延設部20aの後端部(錘22)の上方位置には、ハンマーストッパ33が鍵盤フレームに一体的に設けられ又は固定されている。ハンマーストッパ33は、ハンマー20の前後延設部20aの後端の上方への変位を規制するもので、白鍵10の離鍵状態では前後延設部20a(錘22)の上面から離れて位置する。また、ハンマーストッパ33も、樹脂により成型されて、それらの下面には、フェルト、スポンジなどの緩衝部材が固着されている。
次に、上記のように構成した鍵装置の動作を説明する。演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図1の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は回動軸11周りに回動して、白鍵10の前端部が下方へ変位するとともに、白鍵10の後端部が上ストッパ31から離れて上方へ変位する。この白鍵10の回動により、突起10bがハンマー20の中間部を第2緩衝部材24を介して押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが前方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。このような押鍵開始時には、ハンマー20(錘22)により、白鍵10の前端部における上方への荷重は図4の矢印Aで示すように急激に増加する。そして、演奏者は、この急激に増加する荷重を、押鍵操作に対する反力すなわち押鍵操作開始時における鍵タッチとして感じる。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止する。この白鍵10を押し切った際に、白鍵10の前端部における上方への荷重は図4の矢印Bで示すように急激に多少増加し、演奏者は、この急激に多少増加する荷重を、押鍵操作に対する反力すなわち押し切り時における鍵タッチ(ストップ感)として感じる。一方、白鍵10の回動が停止しても、白鍵10と共に回動していたハンマー20は慣性により回動し続けるので、第2緩衝部材24の下面は突起10bから離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。この状態が図2に示す状態である。なお、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、第1緩衝部材23の下面が押し切った状態にある白鍵10の突起10bに当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。これは、この状態では、突起10bは離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の下方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは前方にある程度大きく変位している。したがって、この場合には、突起10bは第1緩衝部材23の下面に当接することになる。
この状態が、ハンマーストッパ33によるハンマー20の跳ね返しにより、ハンマー20の前後延設部20aが白鍵10にふたたび当たった状態であり、鍵装置は図3に示す状態となる。このとき、第1緩衝部材23を介した、白鍵10の突起10bへのハンマー20の前後延設部20aの下面の衝突による衝撃より、白鍵10には、多少の振動が発生する。しかし、第1緩衝部材23による衝撃の緩和により、図4の矢印Cで示すように、白鍵10の前端部における上方への荷重は一瞬増加するが、その増加量は小さい。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、白鍵10は回動軸11周りに回動して、白鍵10の前端部が上方へ変位するとともに、白鍵10の後端部が下方に変位する。そして、白鍵10の後端部の下面が上ストッパ31に当接して、白鍵10の前記回動は停止する。また、ハンマー20は、白鍵10と共に、回動軸21周りに回動して、白鍵10の回動停止と同時に、ハンマー20の前記回動も停止し、鍵装置は前述した図1の離鍵状態に復帰する。
また、前述した白鍵10の押鍵動作において、演奏者が白鍵10の前端部をゆっくり押した場合には、白鍵10の突起10bは、第2緩衝部材24の下面を摺動して移動した後に、第1緩衝部材23の下面を摺動し始める。この第2緩衝部材24の下面から第1緩衝部材23の下面への突起10bの移動時には、第1緩衝部材23は第2緩衝部材24よりも柔らかいので、白鍵10の前端部における上方への荷重は一瞬多少減少する。これにより、演奏者は、押鍵時における軽いレットオフ感を感じることができる。
なお、鍵盤装置は、白鍵10及び黒鍵の両者を備えているが、上記実施形態では、白鍵10についてのみ説明した。しかし、黒鍵の形状は白鍵とは異なるが、それ以外の黒鍵に関する部分は白鍵10の場合と同じである。すなわち、黒鍵とハンマーとの関係、黒鍵及びハンマーの回動構造などは、白鍵10の場合と同じであるので、黒鍵に関する説明を省略する。
また、上述した鍵盤装置は電子鍵盤楽器に適用されるものであるが、楽音信号の発生についても省略した。ここで、楽音信号の発生について簡単に説明しておく。例えば、白鍵10の下方には、鍵盤フレームに固定された図示省略した鍵スイッチが設けられており、この鍵スイッチは白鍵10の押鍵時にオンし、かつ離鍵時にオフするようになっている。そして、この鍵スイッチのオン・オフ動作に応答して、楽音信号を発生する楽音信号発生回路を動作させて、楽音信号を楽音として発生させる。
上記実施形態に係る鍵装置においては、上記説明からも理解できるように、ハンマー20の前後延設部20aの下面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の前後延設部20aの白鍵10の突起10bへの当接時の衝撃を和らげるようにしている。そのため、ハンマー20の重量すなわち錘22の重量をある程度大きくしておいても、ハンマー20の慣性力による振動は小さくなり、演奏者は、前後延設部20aの突起10bへの当接時において、ハンマーの慣性力による大きな振動を感じない。これにより、ハンマー20の重量はある程度大きくてもよいので、押鍵開始時における鍵タッチ感は良好である。その結果、上記実施形態によれば、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好に保ったうえで、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。
また、上記実施形態においては、ハンマー20の前後延設部20aの下面に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けるようにした。これによれば、突起10bによるハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和することができるようにもなり、押鍵開始時おける鍵タッチ感がより良好になるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記実施形態においては、白鍵10の押鍵操作により駆動されるハンマー20の前後延設部20aの下面位置に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、押鍵操作によりハンマー20を駆動する位置である突起10bの上端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材を設けるようにしてもよい。この変形例によっても、突起10bによるハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
a.第1変形例
次に、上記実施形態において白鍵10の下方に設けた回動軸21を、白鍵10の上方に設けるようにした第1変形例について説明する。図5は、第1変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第1変形例でも、上記実施形態と同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ符号を用いて説明する。なお、第1変形例の説明においても、図5の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図5の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
次に、上記実施形態において白鍵10の下方に設けた回動軸21を、白鍵10の上方に設けるようにした第1変形例について説明する。図5は、第1変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第1変形例でも、上記実施形態と同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ符号を用いて説明する。なお、第1変形例の説明においても、図5の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図5の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
この第1変形例では、ハンマー20を上記実施形態とは上下逆にして位置させる。そして、前後延設部20aは白鍵10の後部上方にて前後方向に延設しており、上下延設部20bは前後延設部20aの前端部から上方に延設している。上下延設部20bの上端部には、円形孔20cが設けられている。円形孔20cには、鍵盤フレーム側に設けられた回動軸21が摺動可能に侵入している。また、第1緩衝部材23と第2緩衝部材24は、上記実施形態とは前後逆にして、前後延設部20aの下面に固着されている。すなわち、第1緩衝部材23が第2緩衝部材24の前方に位置する。突起10bは、白鍵10の上面に設けられており、その上端が白鍵10の離鍵状態では第2緩衝部材24の下面に当接している。他の構成は、上記実施形態と同じである。なお、この第1変形例においても、突起10bが設けられた位置が第1発明における鍵の駆動位置に対応し、第1緩衝部材23が設けられているハンマー20の前後延設部20aの下面位置が第1発明におけるハンマーの第2当接位置に対応し、かつ第2緩衝部材24が設けられているハンマー20の前後延設部20aの下面位置が第1発明における第1当接位置に対応する。
前記のように構成した第1変形例においては、演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図5の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は上記実施形態の場合と同様な回動軸11周りの回動により、突起10bがハンマー20の中間部を第2緩衝部材24を介して押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが後方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止し、白鍵10を押し切った状態となる。一方、ハンマー20は慣性力により回動し続け、第2緩衝部材24の下面は突起10bから離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。なお、この第1変形例においても、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、第1緩衝部材23の下面が押し切った状態にある白鍵10の突起10bに当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。これは、この状態では、突起10bは離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の上方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは後方にある程度大きく変位している。したがって、この場合には、突起10bは第1緩衝部材23の下面に当接することになる。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、上記実施形態の場合と同様に、白鍵10は回動軸11周りに回動するとともに、ハンマー20は回動軸21周りに回動して、鍵装置は前述した図5の離鍵状態に復帰する。
また、この第1変形例においても、前述した白鍵10の押鍵動作において、演奏者が白鍵10の前端部をゆっくり押した場合には、白鍵10の突起10bは、第2緩衝部材24の下面を摺動して移動した後に、第1緩衝部材23の下面を摺動し始める。したがって、この第1変形例においても、演奏者は、上記実施形態の場合と同様に、押鍵時における軽いレットオフ感を感じることができる。
前記第1変形例に係る鍵装置においても、ハンマー20の前後延設部20aの下面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の前後延設部20aの白鍵10の突起10bへの当接時の衝撃を和らげるようにしている。 また、第1変形例においても、ハンマー20の前後延設部20aの下面に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けて、突起10bによるハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和するようにしている。したがって、第1変形例においても、上記実施形態と同様に、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好にできるとともに、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。また、第2緩衝部材24により、押鍵開始時における機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第1変形例においても、白鍵10の押鍵操作により駆動されるハンマー20の前後延設部20aの下面位置に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、押鍵操作によりハンマー20を駆動する位置である突起10bの上端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材を設けるようにしてもよい。この変形例によっても、突起10bによるハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
b.第2変形例
次に、上記実施形態においてハンマー20の前後延設部20aの下面に設けた第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24を、白鍵10の上面に設けるようにした第2変形例について説明する。図6は、第2変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第2変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第2変形例の説明においても、図6の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図6の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
次に、上記実施形態においてハンマー20の前後延設部20aの下面に設けた第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24を、白鍵10の上面に設けるようにした第2変形例について説明する。図6は、第2変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第2変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第2変形例の説明においても、図6の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図6の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
この第2変形例では、第1緩衝部材23と第2緩衝部材24は、上記実施形態とは前後逆にして、白鍵10の後部上面に固着されている。すなわち、第1緩衝部材23は第2緩衝部材24よりも前方に位置する。そして、この第2変形例においては、上記実施形態の突起10bに代えて、ハンマー20の前後延設部20aの下面に、下方に向けて突出した突起20dが設けられ、突起20dの下端が、白鍵10の離鍵状態では、第2緩衝部材24の上面に当接している。他の構成は、上記実施形態と同じである。なお、この第2変形例においては、第1緩衝部材23が設けられている白鍵10の上面位置が第2発明における鍵の受け止め位置に対応し、第2緩衝部材24が設けられている白鍵10の上面位置が第2発明における鍵の駆動位置に対応し、かつ突起20dが設けられた位置が第2発明におけるハンマーの当接位置に対応する。
前記のように構成した第2変形例においては、演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図6の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は上記実施形態の場合と同様な回動軸11周りの回動により、白鍵10の上面に設けた第2緩衝部材24がハンマー20に設けた突起20dを押し上げる。すなわち、白鍵10が第2緩衝部材24を介してハンマー20を押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが前方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止し、白鍵10を押し切った状態となる。一方、ハンマー20は慣性力により回動し続け、ハンマー20の突起20dは第2緩衝部材24の上面から離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。なお、この第2変形例においても、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、ハンマー20に設けた突起20dの下端が、押し切った状態にある白鍵10に設けた第1緩衝部材23の上面に当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。これは、この状態では、第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24は離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の下方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは前方にある程度大きく変位している。したがって、この場合には、突起20dは第1緩衝部材23の上面に当接することになる。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、上記実施形態の場合と同様に、白鍵10は回動軸11周りに回動するとともに、ハンマー20は回動軸21周りに回動して、鍵装置は前述した図6の離鍵状態に復帰する。
また、この第2変形例においても、前述した白鍵10の押鍵動作において、演奏者が白鍵10の前端部をゆっくり押した場合には、ハンマー20に設けた突起20dは、第2緩衝部材24の上面を摺動して移動した後に、第1緩衝部材23の上面を摺動し始める。したがって、この第2変形例においても、演奏者は、上記実施形態の場合と同様に、押鍵時における軽いレットオフ感を感じることができる。
前記第2変形例に係る鍵装置においても、白鍵10の後部上面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の前後延設部20aに設けた突起20dの白鍵10への当接時の衝撃を和らげるようにしている。また、第2変形例においても、白鍵10の後部上面に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けて、第2緩衝部材24及び突起20dを介したハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和するようにしている。したがって、第2変形例においても、上記実施形態と同様に、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好にできるとともに、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。また、第2緩衝部材24により、押鍵開始時における機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第2変形例においても、押鍵操作時にハンマー20を駆動する白鍵10の前後延設部20aの下面位置に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、押鍵操作により白鍵10により駆動される位置である突起20d側の下端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材を設けるようにしてもよい。この変形例によっても、突起10bを介したハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
c.第3変形例
次に、上記第2変形例において白鍵10の下方に設けた回動軸21を、白鍵10の上方に設けるようにした第3変形例について説明する。図7は、第3変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第3変形例でも、上記第2変形例と同様な部品を用いるので、上記第2変形例と同じ符号を用いて説明する。なお、第3変形例の説明においても、図7の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図7の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
次に、上記第2変形例において白鍵10の下方に設けた回動軸21を、白鍵10の上方に設けるようにした第3変形例について説明する。図7は、第3変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第3変形例でも、上記第2変形例と同様な部品を用いるので、上記第2変形例と同じ符号を用いて説明する。なお、第3変形例の説明においても、図7の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図7の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
この第3変形例では、ハンマー20を上記第2変形例とは上下逆にして、上記第1変形例と同様に位置させる。すなわち、前後延設部20aは白鍵10の後部上方にて前後方向に延設しており、上下延設部20bは前後延設部20aの前端部から上方に延設している。上下延設部20bの上端部に設けた円形孔20cには、鍵盤フレーム側に設けられた回動軸11が摺動可能に侵入している。また、第1緩衝部材23と第2緩衝部材24は、上記第2変形例とは前後逆にして、白鍵10の後部上面に固着されている。すなわち、第1緩衝部材23は第2緩衝部材24よりも後方に位置する。突起20dは、ハンマー20の前後延設部20a下面に設けられており、その下端が白鍵10の離鍵状態では第2緩衝部材24の上面に当接している。他の構成は、上記第2変形例と同じである。なお、この第3変形例においても、第1緩衝部材23が設けられている白鍵10の上面位置が第2発明における鍵の受け止め位置に対応し、第2緩衝部材24が設けられている白鍵10の上面位置が第2発明における鍵の駆動位置に対応し、かつ突起20dが設けられた位置が第2発明におけるハンマーの当接位置に対応する。
前記のように構成した第3変形例においては、演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図7の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は上記第2変形例の場合と同様な回動軸11周りの回動により、白鍵10の上面に設けた第2緩衝部材24がハンマー20に設けた突起20dを押し上げる。すなわち、白鍵10が第2緩衝部材24を介してハンマー20を押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが後方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止し、白鍵10を押し切った状態となる。一方、ハンマー20は慣性力により回動し続け、ハンマー20の突起20dは第2緩衝部材24の上面から離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。なお、この第3変形例においても、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、ハンマー20に設けた突起20dが押し切った状態にある白鍵10に設けた第1緩衝部材23の上面に当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。これは、この状態では、第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24は離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の上方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは後方にある程度大きく変位している。したがって、この場合にも、突起20dは第1緩衝部材23の上面に当接することになる。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、上記実施形態の場合と同様に、白鍵10は回動軸11周りに回動するとともに、ハンマー20は回動軸21周りに回動して、鍵装置は前述した図6の離鍵状態に復帰する。
また、この第3変形例においても、前述した白鍵10の押鍵動作において、演奏者が白鍵10の前端部をゆっくり押した場合には、ハンマー20に設けた突起20dは、第2緩衝部材24の上面を摺動して移動した後に、第1緩衝部材23の上面を摺動し始める。したがって、この第3変形例においても、演奏者は、上記実施形態の場合と同様に、押鍵時における軽いレットオフ感を感じることができる。
前記第3変形例に係る鍵装置においても、白鍵10の後部上面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の前後延設部20aに設けた突起20dの白鍵10への当接時の衝撃を和らげるようにしている。また、第3変形例においても、白鍵10の後部上面に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けて、第2緩衝部材24及び突起20dを介したハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和するようにしている。したがって、第3変形例においても、上記実施形態(第2変形例)と同様に、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好にできるとともに、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。また、第2緩衝部材24により、押鍵開始時における機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第3変形例においても、押鍵操作時にハンマー20を駆動する白鍵10の前後延設部20aの上面位置に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、押鍵操作により白鍵10により駆動される位置である突起20dの下端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材を設けるようにしてもよい。この変形例によっても、突起10bを介したハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
d.第4変形例
次に、押鍵操作によるハンマー20の駆動時にハンマー20を駆動する白鍵10の駆動位置と、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の回動を受け止める白鍵10の受け止め位置とを異ならせ、かつ押鍵操作によるハンマー20の駆動時に白鍵10の駆動位置が当接するハンマー20の当接位置と、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の回動時に白鍵10の受け止め位置に当接するハンマー20の当接位置を異ならせた第4変形例について説明する。図8(A)は、第4変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第4変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第4変形例の説明においても、図8(A)の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図8(A)の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
次に、押鍵操作によるハンマー20の駆動時にハンマー20を駆動する白鍵10の駆動位置と、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の回動を受け止める白鍵10の受け止め位置とを異ならせ、かつ押鍵操作によるハンマー20の駆動時に白鍵10の駆動位置が当接するハンマー20の当接位置と、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の回動時に白鍵10の受け止め位置に当接するハンマー20の当接位置を異ならせた第4変形例について説明する。図8(A)は、第4変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第4変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第4変形例の説明においても、図8(A)の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図8(A)の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
この第4変形例においては、白鍵10には、その後端から前方へ所定の長さに渡って上面を上記実施形態よりも高くした支持部10cが設けられている。支持部10cの上面前端部は方形状に切り欠かれており、この切り欠かれた部分に第2緩衝部材24が固着されている。ハンマー20の前後延設部20aには、その前端部において下面を上記実施形態よりも低くした支持部20eが設けられている。第1緩衝部材23は、支持部20eの後方位置にて、ハンマー20の前後延設部20aの下面に固着されている。そして、白鍵10の離鍵状態において、第1緩衝部材23の下面は、ハンマー20の支持部20eよりも後方にて、白鍵10の支持部10cの上面にほぼ当接している。また、第2緩衝部材24の上面は、ハンマー20の支持部20eの下面後端部に当接している。他の構成は、上記実施形態と同じである。なお、この第4変形例においては、第2緩衝部材24が設けられている白鍵10の支持部10cの上面位置が第1発明における鍵の駆動位置に対応し、第1緩衝部材23に対向する白鍵10の支持部10cの上面位置が第1発明における受け止め位置に対応し、ハンマー20の支持部20eの下面後端部位置が第1発明におけるハンマーの第1当接位置に対応し、かつ第1緩衝部材23が設けられているハンマー20の前後延設部20aの下面位置が第1発明におけるハンマーの第2当接位置に対応する。
前記のように構成した第4変形例においては、演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図8(A)の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は上記実施形態の場合と同様な回動軸11周りの回動により、白鍵10の支持部10cに設けた第2緩衝部材24がハンマー20の支持部20eの下面後端部を押し上げる。すなわち、白鍵10が第2緩衝部材24を介してハンマー20を押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが前方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。なお、ハンマー20の押し上げ時には、第1緩衝部材23の下面は支持部10cの上面にほぼ当接しているが、第1緩衝部材23は第2緩衝部材24よりも柔らかいので、支持部10cによる第1緩衝部材23の押し上げはない。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止し、白鍵10を押し切った状態となる。一方、ハンマー20は慣性力により回動し続け、ハンマー20の支持部20eは白鍵10の支持部10cに設けた第2緩衝部材24の上面から離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。なお、この第4変形例においても、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、ハンマー20の前後延設部20aの下面に設けた第1緩衝部材23が、押し切った状態にある白鍵10の支持部10cの上面に当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。図8(B)は、この状態にある鍵装置を示している。これは、この状態では、白鍵10の支持部10cは離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の下方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは前方にある程度大きく変位している。したがって、この場合には、支持部10cの上面であって第2緩衝部材24の後方位置に、第1緩衝部材23の下面が当接することになる。なお、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aの前方への変位により、第2緩衝部材24はハンマー20の支持部20eの後方に位置する。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、上記実施形態の場合と同様に、白鍵10は回動軸11周りに回動するとともに、ハンマー20は回動軸21周りに回動して、鍵装置は前述した図8(A)の離鍵状態に復帰する。
前記第4変形例に係る鍵装置においても、ハンマー20の前後延設部20aの下面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の下面の白鍵10への当接時の衝撃を和らげるようにしている。また、第4変形例においては、白鍵10の支持部10cの上面前端部に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けて、第2緩衝部材24を介したハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和するようにしている。したがって、第4変形例においても、上記実施形態と同様に、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好にできるとともに、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。また、第2緩衝部材24により、押鍵開始時における機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第4変形例においては、押鍵操作時にハンマー20を駆動する白鍵10の支持部10cの前端部に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、図8(A)及び図8(B)に破線で示すように、押鍵操作により白鍵10により駆動される位置であるハンマー20の支持部20eの後端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材24aを設けるようにしてもよい。この変形例によっても、白鍵10によるハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
e.第5変形例
次に、上記第4変形例においてハンマー20の前後延設部20aの下面に設けた第1緩衝部材23を白鍵10側に設け、かつ上記第4変形例において白鍵10の支持部10cの前端部に設けた第2緩衝部材24をハンマー20側に設けるようにした第5変形例について説明する。図9(A)は、第5変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第5変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第5変形例の説明においても、図9(A)の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図9(A)の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
次に、上記第4変形例においてハンマー20の前後延設部20aの下面に設けた第1緩衝部材23を白鍵10側に設け、かつ上記第4変形例において白鍵10の支持部10cの前端部に設けた第2緩衝部材24をハンマー20側に設けるようにした第5変形例について説明する。図9(A)は、第5変形例に係り、離鍵状態にある鍵装置の概略側面図である。この第5変形例でも、上記実施形態とほぼ同様な部品を用いるので、上記実施形態と同じ部分には上記実施形態と同じ部品の符号を用いて説明する。なお、第5変形例の説明においても、図9(A)の左側及び右側をそれぞれ鍵装置の後側及び前側とし、図9(A)の上側及び下側をそれぞれ鍵装置の上側及び下側として説明する。
この第5変形例においても、白鍵10には、上記第4変形例と同様に、その後端から前方へ所定の長さに渡って上面を上記実施形態よりも高くした支持部10cが設けられている。支持部10cの上面には、その前端から所定距離だけ隔てた位置に第1緩衝部材23が固着されている。ハンマー20の前後延設部20aには、上記第4変形例と同様に、その前端部において下面を上記実施形態よりも低くした支持部20eが設けられている。この支持部20eの下面後端部は方形状に切り欠かれており、この切り欠かれた部分に第2緩衝部材24が固着されている。そして、白鍵10の離鍵状態において、第1緩衝部材23の上面は、ハンマー20の支持部20eよりも後方の前後延設部20aの下面にほぼ当接している。また、第2緩衝部材24の下面は、第1緩衝部材23よりも前側位置にて白鍵10の支持部10cの上面前端部に当接している。他の構成は、上記実施形態と同じである。なお、この第5変形例においては、白鍵10の支持部10cの上面前端部位置が第1発明における鍵の駆動位置に対応し、第1緩衝部材23が設けられている白鍵10の支持部10cの上面位置が第1発明における鍵の受け止め位置に対応し、第2緩衝部材24が設けられているハンマー20の支持部20eの後端部位置が第1発明におけるハンマーの第1当接位置に対応し、かつ第1緩衝部材23が対向するハンマー20の前後延設部20aの下面位置が第1発明におけるハンマーの第2当接位置に対応する。
前記のように構成した第5変形例においては、演奏者による演奏開始前には、鍵装置は図9(A)の状態にある。この状態で、演奏者が白鍵10の前端部上面を図示矢印のように押すと、白鍵10は上記実施形態の場合と同様な回動軸11周りの回動により、白鍵10の支持部10cの上面前端部分がハンマー20に設けた第2緩衝部材24を押し上げる。すなわち、白鍵10が第2緩衝部材24を介してハンマー20を押し上げる。これにより、ハンマー20は回動軸21周りに回動し始めて、ハンマー20の前後延設部20aが前方に変位するとともに、前後延設部20aの後端部が上方へ変位する。なお、この場合も、ハンマー20の押し上げ時には、第1緩衝部材23の上面は前後延設部20aの下面にほぼ当接しているが、第1緩衝部材23は第2緩衝部材24よりも柔らかいので、第1緩衝部材23による前後延設部20aの押し上げはない。
白鍵10は、押し続けられることにより、その前端部を下方にさらに変位させて、前端部の下面が下ストッパ32に当接して、白鍵10の回動も停止し、白鍵10を押し切った状態となる。一方、ハンマー20は慣性力により回動し続け、ハンマー20に設けた第2緩衝部材24は白鍵10の支持部10cの上面から離れ、ハンマー20の前後延設部20aは上方へ変位する。そして、ハンマー20がさらに回動すると、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)の上面がハンマーストッパ33に当接(衝突)して、ハンマー20の回動は停止する。なお、この第5変形例においても、白鍵10をフルストロークさせないで、白鍵10を強くかつ速く押鍵した場合には、白鍵10は下ストッパ32に当接する前に回動が停止するが、ハンマー20は慣性で回動し続け、ハンマーストッパ33に当接した後、その回動は停止する。
そして、ハンマー20の前後延設部20a(錘22)のハンマーストッパ33への衝突により、ハンマー20は、ハンマーストッパ33により跳ね返されて、回動軸21周りに前記と逆方向に回動し始めて、その前後延設部20aの後端部を下方へ変位させる。このハンマー20の回動がさらに進むと、ハンマー20の前後延設部20aの下面が、押し切った状態にある白鍵10に設けた第1緩衝部材23の上面に当接(衝突)して、ハンマー20の回動も停止する。図9(B)は、この状態にある鍵装置を示している。これは、この状態では、第1緩衝部材23は離鍵時に比べて上方に変位しているが、前方への変位量は極めて少ない。これ対して、ハンマー20には上下延設部20bが設けられて、回動中心を白鍵10の下方に位置させているので、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aは前方にある程度大きく変位している。したがって、この場合には、第1緩衝部材23の上面に、ハンマー20における支持部20eよりも後方位置の前後延設部20aの下面が当接することになる。なお、この状態では、ハンマー20の前後延設部20aの前方への変位により、第2緩衝部材24は白鍵10の支持部10cの前方に位置する。
その後、演奏者が白鍵10の前端部の押圧を解除すなわち離鍵すれば、上記実施形態の場合と同様に、白鍵10は回動軸11周りに回動するとともに、ハンマー20は回動軸21周りに回動して、鍵装置は前述した図9(A)の離鍵状態に復帰する。
前記第5変形例に係る鍵装置においても、白鍵10の支持部10cの上面に第1緩衝部材23を設けて、ハンマーストッパ33の跳ね返しによるハンマー20の前後延設部20aの下面の白鍵10への当接時の衝撃を和らげるようにしている。また、第5変形例においても、ハンマー20の支持部20eの下面に、第1緩衝部材23よりも固い第2緩衝部材24を設けて、第2緩衝部材24を介したハンマー20の駆動時における衝撃も適度に緩和するようにしている。したがって、第5変形例においても、上記実施形態と同様に、押鍵開始時の鍵タッチ感を良好にできるとともに、鍵の押し切り時の鍵タッチ感を悪化させないようにすることができる。また、第2緩衝部材24により、押鍵開始時における機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第5変形例においては、押鍵操作時に白鍵10の支持部10cの上面前端部により駆動されるハンマー20の支持部20eの後端部に第2緩衝部材24を設けるようにした。しかし、この第2緩衝部材24に代え又は加えて、図9(A)及び図9(B)に破線で示すように、押鍵操作によりハンマー20の支持部20eの下面後端部を駆動する白鍵10の支持部10cの前端部に第2緩衝部材24と同様な固さの緩衝部材24aを設けるようにしてもよい。この変形例によっても、白鍵10によるハンマー20の駆動時における衝撃を適度に緩和することができるようになるとともに、機械的な雑音を小さくすることもできる。
なお、上記第4変形例及び第5変形例においては、ハンマー20の回動中心すなわち回動軸21を白鍵10の下方に設けるようにした。しかし、これに代えて、上述した第1変形例及び第3変形例のように、ハンマー20を上下逆して位置させて、ハンマー20の回動中心である回動軸21を白鍵10の上下延設部20bの上端部に対向する位置に設けるようにしてもよい。そして、この場合には、上記第4変形例及び第5変形例における第1緩衝部材23及び第2緩衝部材24を前後逆にして位置させる。これによっても、上記第4変形例及び第5変形例と同様な効果が期待される。
また、本発明に係る鍵装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
上記実施形態及び各種変形例においては、白鍵10の押鍵開始時における白鍵10によるハンマー20の駆動すなわちハンマー20の押し上げにおいては、衝撃を多少緩和するゴム、人工皮革などの第2緩衝部材24を介して白鍵10でハンマー20を押し上げるようにした。しかし、樹脂成形された白鍵10とハンマー20との樹脂同士の衝突による衝撃が問題なければ、上記実施形態及び各種変形例において、第2緩衝部材24をなくすようにしてもよい。
また、上記実施形態及び各種変形例では、白鍵10の押鍵時に、白鍵10をハンマー20に直接的に当接させて、ハンマー20を直接的に駆動するようにした。しかし、これに代えて、白鍵10の押鍵時に、白鍵10の回動に連動して回動する他の部材を介して押鍵操作による白鍵10の回動をハンマー20に伝達して、白鍵10の回動に対してハンマー20を間接的に駆動するようにしてもよい。この場合、例えば、先行技術で特許文献2として採用した特開平10−49166号公報に示されているように、鍵の押鍵操作に対してレットオフ感を付与するためのウィペンを、前記他の部材として採用することができる。
さらに、上記実施形態及び各種変形例では、電子鍵盤楽器の鍵盤装置に本発明を適用した。しかし、本発明は、鍵盤装置を有する自然楽器にも適用できる。この場合、上述したハンマーストッパ33は、楽器音信号を振動により発生させる弦、振動板などの発音体に置き換えられる。この変形例においては、ハンマー20が押鍵操作により回動したとき、ハンマー20は発音体に衝突し、発音体を振動させて楽音を発生させる。これと同時に、発音体はハンマー20の衝突によりハンマー20を跳ね返す。したがって、上記ハンマーストッパ33を弦、振動板などの発音体に置き換えた場合でも、上記実施形態及び各種変形例と同様な効果を期待できる。また、ハンマー20は発音体に衝突した後に発音体から離れるので、ハンマー20が発音体を押さえ続けて振動が急速に減衰することなく、振動が長く持続するという効果もある。
10…白鍵、10a…円形孔、10b…突起、10c…支持部、11…回動軸、12…錘、20…ハンマー、20a…前後延設部、20b…上下延設部、20c…円形孔、20d…突起、20e…支持部、21…回動軸、22…錘、23…第1緩衝部材、24…第2緩衝部材、24a…緩衝部材、31…上ストッパ、32…下ストッパ、33…ハンマーストッパ
Claims (6)
- 前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する鍵と、
押鍵操作による前記鍵の回動により駆動されて回動し、前記鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマーと、
前記回動したハンマーを衝突させて前記ハンマーを跳ね返すストッパ又は発音体とを備えた鍵装置において、
前記押鍵操作によるハンマーの駆動時には前記鍵が前記ハンマーの所定の第1当接位置に当接し、かつ前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動時には前記第1当接位置とは位置を異ならせた前記ハンマーの第2当接位置が前記鍵に当接するようにし、
前記ハンマーの第2当接位置に、前記鍵が前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材を設けたことを特徴とする鍵装置。 - 前記請求項1に記載の鍵装置において、
前記押鍵操作によるハンマーの駆動時に前記ハンマーを駆動する鍵の駆動位置と同じ位置で、前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動を受け止めるようにし、
前記ハンマーの第1当接位置又は前記鍵の駆動位置に、前記第1緩衝部材よりも固い部材であって、前記押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材を設けたことを特徴とする鍵装置。 - 前記請求項1に記載の鍵装置において、
前記押鍵操作によるハンマーの駆動時に前記ハンマーを駆動する鍵の駆動位置とは位置を異ならせた受け止め位置で、前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動を受け止めるようにし、
前記ハンマーの第1当接位置又は前記鍵の駆動位置に、前記第1緩衝部材よりも固い部材であって、前記押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材を設けたことを特徴とする鍵装置。 - 前後方向に長尺状に形成されて上下方向に回動可能に支持され、演奏者の押離鍵操作により上下方向に回動する鍵と、
押鍵操作による前記鍵の回動により駆動されて回動し、前記鍵の押鍵操作に対して反力を付与するハンマーと、
前記回動したハンマーを衝突させて前記ハンマーを跳ね返すストッパ又は発音体とを備えた鍵装置において、
前記押鍵操作によるハンマーの駆動時には所定の駆動位置で前記ハンマーを駆動し、かつ前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動時には前記駆動位置とは位置を異ならせた前記鍵の受け止め位置で前記ハンマーを受け止めするようにし、
前記ハンマーの受け止め位置に、前記鍵が前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動を受け止めるときの衝撃を和らげる第1緩衝部材を設けたことを特徴とする鍵装置。 - 前記請求項4に記載の鍵装置において、
前記押鍵操作によるハンマーの駆動時に前記鍵の駆動位置が当接する前記ハンマーの当接位置と同じ位置が、前記ストッパ又は発音体の跳ね返しによる前記ハンマーの回動時に前記鍵の受け止め位置に当接するようにし、
前記鍵の駆動位置又は前記ハンマーの当接位置に、前記第1緩衝部材よりも固い部材であって、前記押鍵操作によるハンマーの駆動時における衝撃を和らげる第2緩衝部材を設けたことを特徴とする鍵装置。 - 前記請求項1乃至5のうちのいずか一つに記載の鍵装置において、
前記ハンマーに回動中心から上下方向に延びた延設部分を設けて、回動による前記ハンマーの水平方向の移動量を大きくするようにした鍵装置。
Priority Applications (1)
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JP2015200686A JP2017072772A (ja) | 2015-10-09 | 2015-10-09 | 鍵装置 |
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JP2015200686A JP2017072772A (ja) | 2015-10-09 | 2015-10-09 | 鍵装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020034716A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | 株式会社河合楽器製作所 | 電子鍵盤楽器の鍵盤装置 |
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2015
- 2015-10-09 JP JP2015200686A patent/JP2017072772A/ja active Pending
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