1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50に取付けられた遊技盤2(図5参照)とを備えている。遊技機枠50は、図2に示すように、外枠(基枠部に相当)51と内枠52と前枠(前枠部に相当)53とを備えている。外枠51は、パチンコ遊技機1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠52は、外枠51の内側に配置されていて、遊技盤2を取付ける縦長方形状の枠体である。前枠53は、外枠51および内枠52の前面側に配置されていて、遊技盤2を保護する縦長方形状のものである。
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えて構成されている。このヒンジ部54により、前枠53は、外枠51および内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は、外枠51および前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠53の中央には開口部53aが形成されていて、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように透明のガラス板55が開口部53aに取付けられている。なお、開口部53aに取り付けられたガラス板55のうち開口部53aの内側に位置する部分は、遊技領域3を視認可能な「窓部」を構成する。ガラス板55の代わりに透明な合成樹脂板等を用いてもよい。即ち窓部は、前方から遊技領域3を視認可能であればよい。
前枠53は、図3に示すように、ベース枠56と、上側装飾ユニット200と、左側装飾ユニット210と、右側装飾ユニット220と、操作機構ユニット230とを備えて構成されている。ベース枠56は、表面側(前面側)で上側装飾ユニット200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とを着脱可能に取付ける枠体である。このベース枠56には、音声を出力するスピーカ67(図14参照)が設けられている。
上側装飾ユニット200は、ベース枠56の上側に配されるものであり、当該上側装飾ユニット200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とがベース枠56に取付けられている状態(図4参照)で、最も前方に突出している。つまり、上側装飾ユニット200の前後方向の寸法は、ベース枠56に取付けられるどのユニットの前後方向の寸法よりも長くなっている。これにより、本形態の前枠53では、上側装飾ユニット200が強調されていて、従来の前枠に比べて大きなインパクトを与えるようになっている。上側装飾ユニット200の詳細な構成については、後に説明する。
左側装飾ユニット210は、ベース枠56の左側に配されるものであり、左側装飾部材211等を備えている。右側装飾ユニット220は、ベース枠56の右側に配されるものであり、右側装飾部材221等を備えている。また右側装飾ユニット220には、剣の形を模した剣部材222が配されていて、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が剣部材222を下方向に押し込むことができるようになっている。
操作機構ユニット230は、ベース枠56の下側に配されるものであり、右側の下端に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60を備え、ハンドル60の左側に打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62を備えている(図1参照)。また、操作機構ユニット230の上側には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63やセレクトボタン(十字キー)68が設けられている(図1参照)。また、操作機構ユニット230は、打球供給皿61がユニット化されたものである(図1参照)。そこで、操作機構ユニット230を「遊技媒体貯留皿部」と称することもある。
ところで本形態では、図3および図4に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうちパチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ150が配されている。データカウンタ150は、垂直壁面SHに固定されている固定部材151と、この固定部材151に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置152とを備えている。
データ表示装置152は、後述する大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等を表示する略直方体形状のものである。またデータ表示装置152は、遊技者がホールの従業員を呼ぶための呼び出しボタン等を有している。なお、本形態のデータ表示装置152の左右方向の寸法は約300mmであり、データ表示装置152の上下方向の寸法は約200mmである。
このデータカウンタ150では、垂直壁面SHに対するデータ表示装置152の前傾角度θを15度から25度まで可変できるようになっている。なお図4には、データ表示装置152の前傾角度θが最大の25度になっている状態が示されている。本形態では、データ表示装置152の前方上端位置152aから垂直壁面SHまでの距離は約130mmであり、データ表示装置152の前方下端位置152bから垂直壁面SHまでの距離は約80mmになっている。
次に、図5を参照して遊技盤2について説明する。図5に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図14参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(符号省略)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(演出手段に相当)7が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図7参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、ハズレであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技(特別遊技の一例)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留画像表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留画像9A,9Bの表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図7参照)にて表示される第1特図保留の記憶数、および、後述の第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。またセンター装飾体10の上部には、後述する盤可動体15が格納状態にて配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、即ち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
遊技領域3における第1始動口20の右上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図13参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図13参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときのみ遊技球が入球可能となる。なお、電チュー22は、可動部材23が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口21への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口21への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(即ち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(第2特別入賞口開閉部材、羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図13参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図6(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお振分部材71は、遊技盤2に対して左右方向に移動するものであり、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける「退状態(第1の状態)」をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける「進状態(第2の状態)」をとる。
図6(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図6(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1の状態にある。振分部材71が第1の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図6(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図6(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2の状態にある。振分部材71が第2の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。即ち非特定領域しか設けられていない。
図5に戻り、遊技領域3の下部には、普通入賞口27や、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打ち方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打ち方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、左打ちにて第1始動口20への入賞を狙うことができる。一方、右打ちにてゲート28への通過と、第2始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入賞とを狙うことができる。
また図5に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図7に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、および、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄、即ち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図13参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図13参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図13参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、即ち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43は、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄即ち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図7参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図13参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、即ち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.上側装飾ユニットの構成
上側装飾ユニット200は、図8に示すように、外側カバー300と内側カバー400と駆動プレート500と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを備えている。本形態の上側装飾ユニット200では、後述するように左側可動体600Lと右側可動体600Rとが、遊技機枠50よりも上方に移動可能に構成されている点に特徴がある(図11参照)。なお、左側可動体600Lと右側可動体600Rとをまとめて枠可動体(演出用可動部材に相当)600と称することとする。以下、上側装飾ユニット200の各構成部材について順に説明する。
外側カバー300は、上方と後方とが開口している略箱型形状をしていて、内側カバー400と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容するものである。外側カバー300は、合成樹脂で構成されていて、平面視で略台形形状の底壁部310と、底壁部310の左端から起立している左側壁部320と、底壁部310の右端から起立している右側壁部330と、底壁部310の前端から起立している前壁部340とを備えている。なお、この外側カバー300には、後方側の上方を塞ぐように塞ぎ板350が取付けられている。
外側カバー300の前壁部340には、図3に示すように、枠ランプ66が設けられている。具体的には、枠ランプ66は、左側から右側に向かって順番に第1発光部341と第2発光部342と第3発光部343と第4発光部344とによって構成されている。
また、左側壁部320の上端の後方側に左側タッチセンサ321(図15参照)が取付けられていて、左側壁部320の上端および前壁部340の上端の左側に、長尺状の左側タッチ電極322が取付けられている(図11参照)。また、右側壁部330の上端の後方側に右側タッチセンサ331(図15参照)が取付けられていて、右側壁部330の上端および前壁部340の上端の右側に、長尺状の右側タッチ電極332が取付けられている(図11参照)。左側タッチセンサ321は、左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出するものであり、また右側タッチセンサ331は、右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出するものである。具体的には、高周波発振回路を利用する静電容量式のタッチセンサである。なお、左側タッチ電極322と右側タッチ電極332とは、接触しないように互いに離間している。
こうして、左側タッチセンサ321が左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出した場合、又は、右側タッチセンサ331が右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出した場合には、後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが移動(回転)しないようになっている。即ち、人体が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に接触しているときには、後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが移動することができないようになっている。
また、図3および図11に示すように、外側カバー300の左側壁部320には、可動体復帰ボタン(操作部に相当)323が設けられている。可動体復帰ボタン323は、遊技者の操作により後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rをそれぞれの回転待機位置に復帰(変位)させるためのボタンである。可動体復帰ボタン323の効果については後に詳しく説明する。
内側カバー400は、外側カバー300の内側に組み付けられて、外側カバー300とともに、左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容する収容部290(図3および図11を参照)を構成するものである。
左側可動体600Lおよび右側可動体600Rは、内側カバー400(収容部290)に収容されている待機位置(非演出状態)から、上方に移動することにより内側カバー400外(収容部290外)に露出している動作位置(演出状態)へ変位できるようになっている。そのため、左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが内側カバー400外に位置する状態では、左側可動体600Lおよび右側可動体600Rを収容していた内部空間SPが露出することとなる(図11参照)。なお本形態で「収容状態」とは、枠可動体600(左側可動体600L,右側可動体600R)が収容部290に収容され待機位置(回転待機位置)にある状態をいう。また、「非収容状態」とは、可動体600が図11に示す動作位置(回転動作位置)にある状態をいう。
また図3に示すように、内側カバー400の前面部440(内側カバー400のうち外側カバー300の前壁部340の内側に配された部位)のうち左右方向中央の上端には、前後方向に延びる回転軸441が設けられている。この回転軸441は、後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rを回転可能に取付けるものである。但し回転軸441は、前後方向に延びていても、水平方向(鉛直方向と直交する方向)に沿うように延びているわけではなく、前方に向かって斜め下方に傾斜している(図4参照)。この理由については後述する。
駆動プレート500は、左側可動体600Lおよび右側可動体600Rを回転駆動させるためのプレートであり、上側装飾ユニット200のうち後方側に起立した状態で配されている(図8参照)。即ち、外側カバー300および内側カバー400は、後方が開口している略箱型形状であるため、駆動プレート500は外側カバー300および内側カバー400の後方側を塞ぐように配されるものである。
図9(A)(B)(C)に示すように、駆動プレート500の左側には、左側回転ガイド孔502Lが形成されていて、駆動プレート500の右側には、右側回転ガイド孔502Rが形成されている。左側回転ガイド孔502Lと右側回転ガイド孔502Rとは、左右一対で略L字状に形成されていて、前後方向に貫通している。
左側回転ガイド孔502Lには、後述する左側リンク部材630Lの中間部632に設けられている丸軸部632aが挿通される。これにより、左側リンク部材630Lの移動が左側回転ガイド孔502Lによってガイドされることとなる(図9(A)(B)(C)参照)。同様に、右側回転ガイド孔502Rには、後述する右側リンク部材630Rの丸軸部632aが挿通される。これにより、右側リンク部材630Rの移動が右側回転ガイド孔502Rによってガイドされることとなる。左側リンク部材630Lおよび右側リンク部材630Rの動作については、後に詳しく説明する。
図9(A)(B)(C)に示すように、駆動プレート500のうち、左側回転ガイド孔502Lの左下方に左側従動ギヤ511Lが設けられている。左側従動ギヤ511Lは駆動プレート500に回転可能に取付けられていて、径外方端に左側連結部材512Lが一体的に設けられている。左側連結部材512Lは、後述する左側リンク部材630Lの一端部631に設けられている挿通孔631aに連結するものである。そのため、左側従動ギヤ511Lが回転すると、左側連結部材512Lおよび左側リンク部材630Lの一端部631が左側従動ギヤ511Lの径外方端で一体に回転するようになっている。
また、左側従動ギヤ511Lの左上方に左側駆動ギヤ513Lが設けられている(図9(A)(B)(C)参照)。左側駆動ギヤ513Lは、駆動プレート500に回転可能に取付けられていて、左側従動ギヤ511Lと噛合している。なお、駆動プレート500の背面側には、左側回転用モータ521Lが設けられている(図15参照)。この左側回転用モータ521Lは、その出力軸に左側駆動ギヤ513Lを取付けていて、駆動によって左側駆動ギヤ513Lを回転させるものである。そのため、左側回転用モータ521Lが駆動すると、左側駆動ギヤ513Lが回転し、左側駆動ギヤ513Lと噛合している左側従動ギヤ511Lが回転するようになっている。
また、図9(A)(B)(C)に示すように、駆動プレート500のうち、左側回転ガイド孔502Lの下端502Laの下方には、左側第1フォトセンサ531Lが設けられている。左側第1フォトセンサ531Lは、後述する左側リンク部材630Lの中間部632に設けられている第1遮蔽部632b1を検出するためのものである。また、左側回転ガイド孔502Lの上端502Lbの左方には、左側第2フォトセンサ532Lが設けられている。左側第2フォトセンサ532Lは、左側リンク部材630Lの第2遮蔽部632b2を検出するためのものである。
これら左側第1フォトセンサ531Lおよび左側第2フォトセンサ532Lは、光を発光する発光部と発光部から光を受光する受光部とをそれぞれ有している。そして、発光部と受光部との間で発光部からの光が左側リンク部材630Lの第1遮蔽部632b1又は第2遮蔽部632b2によって遮られると、左側リンク部材630Lの位置を検出するようになっている。
即ち左側第1フォトセンサ531Lは、左側リンク部材630Lの第1遮蔽部632b1によって発光部からの光が遮られることで、図9(A)に示す状態にある左側リンク部材630Lを検知する。なお後に詳述するが、このとき、図9(A)に示すように、左側リンク部材630Lとともに変位する左側可動体600Lは待機位置にある。よって、左側第1フォトセンサ531Lは、左側リンク部材630Lの検知を通じて、待機位置にある左側可動体600Lを検知することが可能となっている。また左側第2フォトセンサ532Lは、左側リンク部材630Lの第2遮蔽部632b2によって発光部からの光が遮られることで、図9(C)に示す状態にある左側リンク部材630Lを検知する。なおこのとき、図9(C)に示すように、左側可動体600Lは動作位置にある。よって、左側第2フォトセンサ532Lは、左側リンク部材630Lの検知を通じて、動作位置にある左側可動体600Lを検知することが可能となっている。
ここで、駆動プレート500のうち左側の構成と右側の構成は、左右対称であって同様の構成である。つまり、上述した左側回転ガイド孔502L、左側従動ギヤ511L、左側連結部材512L、左側駆動ギヤ513L、左側第1フォトセンサ531L、左側第2フォトセンサ532Lの構成と、図9(A)(B)(C)に示す右側回転ガイド孔502R、右側従動ギヤ511R、右側連結部材512R、右側駆動ギヤ513R、右側第1フォトセンサ531R、右側第2フォトセンサ532Rの構成とは、左右対称であって同様であるため、対応する部位に「R」の符号を付して詳細な説明は省略する。
次に左側可動体600Lおよび右側可動体600Rについて、図面を用いて説明する。左側可動体600Lは、左側顔部610L(図11参照)と、左側鬣部620L(図11参照)と、左側リンク部材630L(図9参照)とを備えている。左側顔部610Lの表面部601Lは、犬の顔の左半分を模した形状になっている。また、右側可動体600Rは、右側顔部610R(図11参照)と、右側鬣部620R(図11参照)と、右側リンク部材630R(図9参照)とを備えている。右側顔部610Rの表面部601Rは、犬の顔の右半分を模した形状になっている。
ここで、左側可動体600Lは、図3に示すように内側カバー400内に収容されている。具体的には、左側可動体600Lは、図10(A)に示す状態で内側カバー400内に収容されている。左側可動体600Lは、図3に示した状態から回転軸441周りに時計方向に90度回転可能になっている。そこで、左側可動体600Lの図3に示した位置を、「左側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、左側可動体600Lが内側カバー400内に収容されている位置が、左側回転待機位置である。一方、左側可動体600Lが図3に示した状態から時計方向に90度回転した位置(図11参照)を、「左側回転動作位置」と呼ぶこととする。
同様に、右側可動体600Rは、図3に示すように内側カバー400内に収容されている。そして、回転軸441周りに反時計方向に90度回転可能になっている。そこで、内側カバー400内の右側可動体600Rの位置を、「右側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、右側可動体600Rが内側カバー400内に収容されている位置が、右側回転待機位置である。一方、右側可動体600Rが図3に示した状態から反時計方向に90度回転した位置(図11参照)を、「右側回転動作位置」と呼ぶこととする。こうして、本形態では、左側可動体600Lが左側回転動作位置にあるとともに、右側可動体600Rが右側回転動作位置にあるとき、左側可動体600Lの表面部601Lと右側可動体600Rの表面部601Rとによって、犬の顔(一つの装飾形態)が形成されるようになっている(図11参照)。
また図3に示すように、左側可動体600Lの上側には平板状のベース板612が設けられている。また右側可動体600Rの上側には平板状のベース板612が設けられている。よって、左側顔部610L(左側可動体600L)が左側回転待機位置にあるとともに右側顔部610R(右側可動体600R)が右側回転待機位置にあるとき、言い換えると左側顔部610Lおよび右側顔部610Rが内側カバー400内に収容されているときには、左側顔部610Lのベース板612と右側顔部610Rのベース板612とが同じ平面方向に延びて、これらベース板612の外側面(上面)612bが、上側装飾ユニット200(前枠53)の上壁面の一部を形成することとなる(図3参照)。即ち、左側顔部610Lおよび右側顔部610Rが内側カバー400内に収容されているとき、左側顔部610Lのベース板612の外側面(係合面)612bと右側顔部610Rのベース板612の外側面(係合面)612bとが、遊技機枠50の上壁面の一部を形成している。
左側リンク部材630Lは略板状の取付プレート621を回転させるための部材であり、図9(A)に示すように、長手方向の一端部631に挿通孔631aを有している。挿通孔631aは、上述したように、駆動プレート500の左側従動ギヤ511Lに設けられている左側連結部材512Lと連結するためのものである(図9(A)参照)。
また左側リンク部材630Lは、長手方向の中間部632に、後方に突出する丸軸部632aと、左右一対で薄板状の第1遮蔽部632b1および第2遮蔽部632b2とを有している(図9(A)参照)。丸軸部632aは、駆動プレート500の左側回転ガイド孔502Lに挿通されて、取付プレート621の回転に伴って左側回転ガイド孔502Lに沿って移動するものである(図9(A)(B)(C)参照)。各遮蔽部632b1,632b2は、上述したように、左側第1フォトセンサ531L又は左側第2フォトセンサ532Lに検出されるものである。
ここで、左側可動体600Lと右側可動体600Rとは、左右対称で同様の構成である。そのため、以下では左側可動体600Lの構成について説明し、右側可動体600Rの構成については説明を適宜省略する。なお以下の説明において、左側可動体600Lの構成部材と左右一対になっている右側可動体600Rの構成部材について述べる場合、その構成部材の名称を「左側」から「右側」に替えて述べることとし、符号を「L」から「R」に替えて述べることとする。
続いて図9(A)(B)(C)に基づいて、左側リンク部材630Lと右側リンク部材630Rの動作について説明する。なお、以下の説明において、左側可動体600Lに関する名称と、右側可動体600Rに関する名称との両方を説明する場合には、「左側」および「右側」の名称を適宜省略して、総称で説明する。例えば、左側可動体600Lおよび右側可動体600Rについては「可動体600L,600R」として説明し、左側回転待機位置および右側回転待機位置については「回転待機位置」(「待機位置」又は「原点位置」ともいう)として説明する。また、左側回転動作位置および右側回転動作位置については「回転動作位置」(「動作位置」ともいう)として説明する。
図9(A)に示すように、可動体600L,600R(顔部610L,610R)が回転待機位置にあるとき、リンク部材630L,630Rがほぼ水平状で左右方向に延びていて、リンク部材630L,630Rの第1遮蔽部632b1が第1フォトセンサ531L,531Rに検出されている。言い換えると、第1フォトセンサ531L,531Rがリンク部材630L,630Rの第1遮蔽部632b1を検出しているときには、可動体600L,600Rが回転待機位置にあることになる。よって本形態では、第1フォトセンサ531L,531Rは、可動体600L,600Rが回転待機位置にあることを示す検出信号を出力することになっている。
なおこのとき、リンク部材630L,630Rの第2遮蔽部632b2は、第2フォトセンサ532L,532Rに検出されない(図9(A)参照)。よって本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときには、第2フォトセンサ532L,532Rは、回転動作位置にあることを示す検出信号を出力しないで、回転動作位置にないことを示す検知信号を出力している。
図9(A)に示す状態から、駆動プレート500の回転用モータ521L,521Rが駆動すると、駆動ギヤ513L,513Rおよび従動ギヤ511L,511Rが回転して、リンク部材630L,630Rの丸軸部632aが、回転ガイド孔502L,502Rの下端502La,502Raから回転ガイド孔502L,502Rに沿って移動し始める。これにより、図9(B)に示すように、リンク部材630L,630Rが斜め略45度に傾斜した状態になる。このとき、左側可動体600Lは、図9(A)に示す状態から回転軸441周りに時計方向へ略45度回転していて、右側可動体600Rは、図9(A)に示す状態から回転軸441周りに反時計方向へ略45度回転している。
さらに、図9(B)に示す状態から、駆動プレート500の回転用モータ521L,521Rが駆動すると、リンク部材630L,630Rの丸軸部632aが、回転ガイド孔502L,502Rの上端502Lb,502Rbまで移動する。これにより、リンク部材630L,630Rがほぼ鉛直方向に延びて、リンク部材630L,630Rの第2遮蔽部632b2が第2フォトセンサ532L,532Rに検出される。このとき、左側可動体600Lは、図9(A)に示す状態から回転軸441周りに時計方向へ90度回転していて、右側可動体600Rは、図9(A)に示す状態から回転軸441周りに反時計方向へ90度回転している。つまり、可動体600L,600Rが回転動作位置にある。言い換えると、第2フォトセンサ532L,532Rがリンク部材630L,630Rの第2遮蔽部632b2を検出しているときには、可動体600L,600Rが回転動作位置にあることになる。よって本形態では、第2フォトセンサ532L,532Rは、可動体600L,600Rが回転動作位置にあることを示す検出信号を出力することになっている。
なおこのとき、リンク部材630L,630Rの第1遮蔽部632b1は、第1フォトセンサ531L,531Rに検出されない(図9(C)参照)。よって本形態では、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、第1フォトセンサ531L,531Rは、回転待機位置にあることを示す検出信号を出力しないで、回転待機位置にないことを示す検知信号を出力している。
また、左側顔部610Lのベース板612の周縁、および、右側顔部610Rのベース板612の周縁には、永久磁石(図示省略)がそれぞれ取付けられている。よって、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるとき、各ベース板612同士が互いに鉛直方向に延びて係合した場合には、その係合状態を外れ難くすることが可能となっている。
次に、図10(A)(B)(C)(D)に示す正面図に基づいて、左側可動体600Lの一連の動作について説明する。図10(A)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置にあるときには、鬣部材623の一部のみが顔カバー611の開放部611dの外側へ露出している。
そして、図10(A)に示す状態から、左側回転用モータ521Lが駆動し始めると、鬣部材623が顔カバー611の開放部611dの外側へ揺動し始める。これにより、図10(B)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置から回転軸441周りに反時計方向へ45度回転しているときには、鬣部材623の大部分が顔カバー611の開放部611dの外側へ露出している。
続いて、図10(C)に示すように、左側可動体600Lが左側回転動作位置に到達したときには、未だ耳部材614の先端部614bが顔カバー611内に位置している。その後、左側直動用モータ641Lが駆動し始めると、耳部材614の先端部614bが顔カバー611の開口部611cから上方へ突出し始めて、図10(D)に示すように、顔カバー611の外側へ最も突出する。以上、左側可動体600Lの動作について説明したが、左側可動体600Lの動作と右側可動体600Rの動作とは左右対称であること以外同様であるため、右側可動体600Rの動作については説明を省略する。
本形態では、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)に設けられている可動体600L,600Rが、図3に示すように遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uよりも下方に位置する回転待機位置(単に「待機位置」ともいう)から、図11に示すように遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に位置する回転動作位置(単に「動作位置」ともいう)に変位(移動)可能となっている。そのため、従来に比べて遊技機枠50に設けられている可動体による演出のインパクトを強めることが可能となり、遊技者に驚きを与えることが可能となる。なお遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uとは、遊技機枠50の外郭を構成する上下左右の枠縁(上縁50U,下縁50D,左縁50L,右縁50R)のうち、遊技機枠50の上端で左右方向に延びる縁を意味する。
そしてパチンコ遊技機1がホールに設置された状態において、遊技機枠50よりも上方は、遊技機枠50よりも下方、左方、右方に比べて大きなスペースがあって、比較的遊技を邪魔し難い場所である。従って、可動体600L,600Rを遊技機枠50よりも上方へ大きく突出させることが可能となり、可動体600L,600Rとして比較的大きくてインパクトを与えるものになっている。
一方、可動体600L,600Rは、遊技機枠50の上縁50Uよりも下側である回転待機位置で待機することができるため、遊技機枠50としての外形寸法を従来と同じにすることができる。そのため、遊技機枠50を生産する際に既存の生産ラインを使用することが可能であり、且つ遊技機枠50を輸送する際にコンテナ等も現行のものを使用することが可能となる。よって、生産時や輸送時に不具合が生じるのを防止することが可能である。
また本形態では、図3に示すように、可動体600L,600Rが外側カバー300および内側カバー400内に収容されているときには、可動体600L,600Rの各ベース板612の外側面612bが上側装飾ユニット200(前枠53)の上壁面の一部を形成している。これに対して、図11に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、各ベース板612の外側面612bが係合して、可動体600L,600Rの各顔カバー611によって一つの装飾形態(犬の顔)が形成される。そのため、上側装飾ユニット200の上壁面が変形するかのような斬新な演出を行うことが可能となり、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)が変形しないと考えている遊技者にとって、強いインパクトを与えることが可能となる。
また本形態では、2つの可動体600L,600Rが、回転動作位置にあるときには一つの装飾形態(犬の顔)を形成し、回転待機位置にあるときにはその装飾形態を形成しない。つまり、一つの装飾形態を形成する2つの可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置へ変位する際には、左側可動体600Lを回転軸441周りに反時計方向へ90度回転させるのに対して、右側可動体600Rを回転軸441周りに時計方向へ90度回転させる。そのため、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rを外側カバー300および内側カバー400内にコンパクトに収容することが可能となる。
即ち、仮に本形態のような大きな装飾形態を一つの可動体で構成すると、その可動体を外側カバー300および内側カバー400内に収容することが難しくなる。これに対して本形態のように2つの可動体600L,600Rを独立して移動(回転)させることにより、外側カバー300および内側カバー400内にコンパクトに収容することができる。よって、遊技機枠50という配置スペースの限られた構成部品に可動体を設ける場合に、独立して移動可能な2つの可動体600L,600Rを用いることにより、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rをコンパクトに待機させつつ、回転動作位置では大きな装飾形態を形成することが可能となる。
また本形態では、大きな装飾形態を形成する可動体600L,600Rを外側カバー300および内側カバー400内に収容することができる(図3参照)。そのため、可動体600L,600Rが、輸送時の衝撃や遊技時の悪戯等によって破損するのを防止することが可能となる。特に、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rは悪戯され易いものであるところ、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側カバー300および内側カバー400内に完全に隠れるように収容することができる。即ち、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側へ露出させないことができる。そのため、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rで悪戯され難くすることが可能となる。
ところで本形態では、上述したように比較的大きな可動体600L,600Rを収容している上側装飾ユニット200が、図12に示すように、他のユニット(左側装飾ユニット210,右側装飾ユニット220,操作機構ユニット230)よりも前方に突出している。
具体的には、上側装飾ユニット200の前後方向の寸法(前枠53のベース枠56から上側装飾ユニット200の最前端位置P3までの距離)X1は、約255mmになっている。また上側装飾ユニット200の最前端位置P3から上側装飾ユニット200の塞ぎ板350の前端位置(図12参照、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときの後側下端位置)P4までの距離X2は約160mmであり、上記した前端位置P4から前枠53のベース枠56までの距離X3は約110mmになっている。そして上側装飾ユニット200の上下方向の寸法X4は約140mmになっている。なお操作機構ユニット230の前後方向の寸法(前枠53のベース枠56から操作機構ユニット230の前縁230aまでの距離)X5は、165mm程度になっており、上側装飾ユニット200と操作機構ユニット230との前後方向の寸法差は操作機構ユニット230の前後方向の寸法X5の1/3を超えている。
このように本形態では、上側装飾ユニット200は前方に長くて大きいものであるため、前枠53自体が従来に比べて強いインパクトを与えるものになっている。また、このように前方に長い上側装飾ユニット200により、従来よりもホール内の照明装置等が発している光が画像表示装置7の表示画面7aに差し込むのを遮ることが可能となっているため、ホール内の照明装置等が発している光が表示画面7aに映り込んで表示画面7aに表示している画像が見にくくなるのを抑制することが可能となっている。
しかし、上側装飾ユニット200に比較的大きな可動体600L,600Rを設けて、それら大きな可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uよりも上方へ変位する場合、以下の問題点が生じるおそれがある。即ち図4に示すように、パチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ150が配されていて、上述したようにデータ表示装置152が固定部材151に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられている。そのため、仮に可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uから真上(鉛直方向の上向き)へ移動すると、可動体600L,600Rがデータ表示装置152に干渉(当接)するおそれがある。
そこで本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときには、ベース板612が前方に向かって斜め下方に傾斜しているとともに、可動体600L,600Rを回転可能に支持する回転軸441も、前方に向かって斜め下方に傾斜している(図4参照)。そのため、図12に示すように、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ90度回転する際に、可動体600L,600Rが前方に向かって斜め上向きに突出することになる。つまり、可動体600L,600Rは、上下左右方向に沿う仮想鉛直面よりも前方に傾斜した仮想前方傾斜面(図12に示す取付プレート621の背面621bに平行な面)に略沿って変位することとなる。その結果、可動体600L,600Rがデータ表示装置152と干渉するのを防止することが可能となる。
さらに、可動体600L,600Rは、回転動作位置であるときに前方に向かって斜め上向きの前傾姿勢になっている。即ち、可動体600L,600Rの上側が、可動体600L,600Rの下側よりも前方に位置することとなる。そのため、可動体600L,600Rが前方に向かって斜め上向きに突出することと併せて、可動体600L,600Rとデータ表示装置152との干渉をより回避できるようになっている。なお本形態では、図12に示すように、可動体600L,600Rは、垂直壁面SHに対する取付プレート621の背面621bの前傾角度φが25度になるように、前方に向かって斜め上向きに突出する。
ここで、可動体600L,600Rが突出する方向を正確に定義すると以下の通りである。即ち、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに重心よりも上方に位置する任意の部位(上方特定部位、例えば図12に示した可動体600L,600Rが形成する犬の目)について、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるときの当該上方特定部位の位置を示す第1点S1(図12参照)から、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときの当該上方特定部位の位置を示す第2点S2(図12参照)までのベクトルBKの向きが、側面視で(左右方向から見たときに)前方に向かって斜め上向きである。
上述したように本形態では、比較的大きな可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uよりも上向きに突出することになるが、以下の新たな問題点が起こり得る。即ち図12に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるとき、データカウンタ150のデータ表示装置152と遊技者との間に、大きな可動体600L,600Rが位置している。このため、図11に示すように、遊技者がデータ表示装置152に表示されている大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等をほとんど視認できなくなる。そのため、回転動作位置にある大きな可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じることが起こり得る。
そこで本形態では、外側カバー300の左側壁部320に、可動体復帰ボタン323が設けられている。可動体復帰ボタン323は、上述したように、遊技者の操作により可動体600L,600Rを回転待機位置に復帰させるためのボタンである。そのため、図11に示すように可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに、遊技者が可動体復帰ボタン323を操作(押圧)すると、可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置に向かって90度回転し、回転待機位置に復帰する。
このように、回転動作位置にある可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じたとしても、可動体復帰ボタン323の操作により、データ表示装置152と遊技者との間に可動体600L,600Rが位置しないようにできる。こうして、遊技者の意向に応じて、データ表示装置152を視認することが可能となる。なお本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ至る途中で可動体復帰ボタン323が操作された場合でも、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成している。但し、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに可動体復帰ボタン323が操作された場合に限って、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成してもよい。
3.遊技機の電気的構成
次に図13,図14および図15に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図13,図14および図15に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備えていればよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82が含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路(I/Oポート部)87を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROM83は外付けであってもよい。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43bおよび普図保留表示器44が接続されている。即ちこれらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の貸球モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため貸球センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。即ち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図14に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。この演出制御用マイコン91は、第1演出制御手段に相当する。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92が含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路(I/Oポート部)95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107、枠中継基板99(図15参照)が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。画像制御基板100のCPU102は、第2演出制御手段に相当する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介して、スピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。つまり演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に接続された盤可動体15(図5参照)を動作させる。盤可動体15は、センター装飾体10の上部に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は、表示画面7aの周辺部(本形態では上部)でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態(図5参照)から、その折り畳みを解除されて表示画面7aの中央部を含む略全域の前方で露出している露出状態に変位可能なものである。
図15に示すように、枠中継基板99には、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW(スイッチ)63aが接続されるとともに、可動体復帰ボタン323(図3および図11参照)が押下操作されたことを検出する可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが接続されている。従って、演出ボタン63が押下されると、演出ボタン検出SW63aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力され、可動体復帰ボタン323が押下されると、可動体復帰ボタン検出スイッチ323aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200の外側カバー300に設けられている左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331が接続されている。従って、左側タッチ電極322(図11参照)に人体が接触すると、左側タッチセンサ321から枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に検出信号が出力され、右側タッチ電極332(図11参照)に人体が接触すると、右側タッチセンサ331から枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に検出信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200に設けられているモータ類が接続されている。このモータ類とは、上述したように可動体600L,600Rを回転させる左側回転用モータ521Lおよび右側回転用モータ521Rと、耳部材614を直動させる左側直動用モータ641Lおよび右側直動用モータ641Rである。そのため、サブ制御基板90から枠中継基板99の入出力回路96を介してモータ類に駆動信号が出力されると、モータ類が駆動する。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200の駆動プレート500に設けられているフォトセンサ類に接続されている。フォトセンサ類とは、上述したように左側リンク部材630L(図9参照)の位置を検出するための左側第1フォトセンサ531Lおよび左側第2フォトセンサ532Lと、右側リンク部材630R(図9参照)の位置を検出するための右側第1フォトセンサ531Rおよび右側第2フォトセンサ532Rとである。そのため、フォトセンサ類の検出信号は、枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に出力される。
具体的には、左側第1フォトセンサ531Lが左側リンク部材630Lの第1遮蔽部632b1を検出した場合には、左側可動体600Lが回転待機位置にあることを示す検出信号が、枠中継基板99の入出力回路96を介して左側第1フォトセンサ531Lからサブ制御基板90に出力される。また、左側第2フォトセンサ532Lが左側リンク部材630Lの第2遮蔽部632b2を検出した場合には、左側可動体600Lが回転動作位置にあることを示す検出信号が左側第2フォトセンサ532Lからサブ制御基板90に出力される。また、右側第1フォトセンサ531Rが右側リンク部材630Rの第1遮蔽部632b1を検出した場合には、右側可動体600Rが回転待機位置にあることを示す検出信号が右側第1フォトセンサ531Rからサブ制御基板90に出力される。また、右側第2フォトセンサ532Rが右側リンク部材630Rの第2遮蔽部632b2を検出した場合には、右側可動体600Rが回転動作位置にあることを示す検出信号が右側第2フォトセンサ532Rからサブ制御基板90に出力される。
一方、左側第1フォトセンサ531Lが第1遮蔽部632b1を検出していない場合には、左側可動体600Lが回転待機位置にないことを示す検出信号が、左側第1フォトセンサ531Lからサブ制御基板90に出力される。また、左側第2フォトセンサ532Lが第2遮蔽部632b2を検出していない場合には、左側可動体600Lが回転動作位置にないことを示す検出信号が、左側第2フォトセンサ532Lからサブ制御基板90に出力される。また、右側第1フォトセンサ531Rが第1遮蔽部632b1を検出していない場合には、右側可動体600Rが回転待機位置にないことを示す検出信号が右側第1フォトセンサ531Rからサブ制御基板90に出力される。また、右側第2フォトセンサ532Rが第2遮蔽部632b2を検出していない場合には、右側可動体600Rが回転動作位置にないことを示す検出信号が右側第2フォトセンサ532Rからサブ制御基板90に出力される。
なお、演出制御用マイコン91は、盤可動体15や枠可動体600(枠可動体600L,600R)の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15や枠可動体600の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御を実行させてもよい。また、ランプ制御基板107に枠可動体600を接続して、ランプ制御基板107に枠可動体600の動作制御をさせてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
4.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「ハズレ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「ハズレ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種別(大当たりの種別)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図16および図17に示す通りである。図16および図17に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32および開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32および開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14Rおよび16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口35が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14Rおよび16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2の状態(図6(B)参照)から第1の状態(図6(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図16に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。即ち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図18(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図18(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
5.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。即ち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図19(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(即ち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。即ち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図20参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。即ち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。即ち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図19(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図19(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図21参照)。即ち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図21参照)。即ち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および、電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。即ち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および、電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態、即ち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図5参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図22〜図36に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。カウンタの初期値は「0」であり、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」である。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図22に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータスおよびカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
そして、初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S003)。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図18に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成されるいわゆるハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。即ち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、図23に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、装飾図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図13参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。
続いて遊技制御用マイコン81は、後述の始動口センサ検出処理(S103)を実行し、次いで普通動作処理(S104)を実行する。普通動作処理(S104)では、始動口センサ処理(S103)にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図19(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図21参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
続いて遊技制御用マイコン81は、後述する特別動作処理(S105)および特定領域センサ検出処理(S106)を実行する。その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS107に示す保留球数処理と、ステップS108に示す出力処理とを行う。保留球数処理(S107)では、RAM84に記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数および普通図柄保留球数を読み出して、それら各保留球数のデータ(その保留球数をサブ制御基板90に通知するための保留球数コマンド)を、RAM84の出力バッファにセットする。また、出力処理(S108)では、上述の各処理にて、RAM84の出力バッファにセットしたコマンド等をサブ制御基板90等に出力する。
[始動口センサ検出処理]図24に示すように、始動口センサ検出処理(S103)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していなければ(S201でNO)、ステップS205に進む。遊技球が通過していれば(S201でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAM84に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否か判定する(S202)。そして、普通図柄保留球数が4以上であれば(S202でYES)、ステップS205に進む。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S202でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S203)、普通図柄乱数取得処理(S204)を行う。普通図柄乱数取得処理(S204)では、普通図柄乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Hの値、図18(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の普図保留記憶部86のうち現在の普通図柄保留球数に応じた記憶領域に格納する。
ステップS205では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否かを判定する。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合には(S205でNO)ステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S205でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S206)。そして、特図2保留球数が4個に達している場合には(S206でYES)、ステップS209に進むが、特図2保留球数が4個未満である場合には(S206でNO)、特図2保留球数に「1」を加算する(S207)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S208)を行う。特図2関係乱数取得処理(S208)では、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)および変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図18(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた記憶領域に格納する。
ステップS209では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否か判定する。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合には(S209でNO)、本処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図1保留球数が4個に達している場合には(S210でYES)、本処理を終えるが、特図1保留球数が4個未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に1を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理を行う(S212)。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S208)と同様に、大当たり乱数カウンタの値(ラベル−TRND−Aの値)、当たり種別乱数カウンタの値(ラベル−TRND−ASの値)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RCの値)および変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1の値)を取得し(つまり図18(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた記憶領域に格納する。
[特別動作処理]図25に示すように特別動作処理(S105)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S1301でYES)、特別図柄待機処理を行い(S1302)、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S1301でNO、S1303でYES)、特別図柄変動中処理を行い(S1304)、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S1301,S1303で共にNO、S1305でYES)、特別図柄確定処理を行い(S1306)、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S1301,S1303,S1305の全てがNO)、大当たり遊技としての特別電動役物処理を行う(S1307)。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]図26に示すように、特別図柄待機処理(S1302)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1401)。特図2保留球数が「0」である場合(S1401でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1407)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1407でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定する(S1413)。表示画面7aが待機画面である場合には(S1413でYES)、本処理を終えるが、待機画面でない場合には(S1413でNO)、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする(S1414)。
ステップS1401において特図2保留球数が「0」でない場合(S1401でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1402)および特図2変動パターン選択処理(S1403)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1404)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1405)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理を行う(S1406)。特図2変動開始処理(S1406)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1406)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1402)でセットされた特図停止図柄データの情報や、特図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1401でYES且つS1407でNO)、即ち特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1408)および特図1変動パターン選択処理(S1409)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1410)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1411)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理を行う(S1412)。特図1変動開始処理(S1412)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1412)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1408)でセットされた特図停止図柄データの情報や、特図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1401でYESの場合)に限って行われる。即ち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選の方が、第1特図保留に基づく抽選よりも、遊技者にとって利益の大きい大当たり(Vロング大当たり)に当選しやすくなっている(図16参照)。
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1402)と特図1大当たり判定処理(S1408)とは、処理の流れが同じであるため図27に基づいてまとめて説明する。図27に示すように、特図2大当たり判定処理(S1402)又は特図1大当たり判定処理(S1408)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Aの値)を読み出す(S1501)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1402)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bの第1記憶領域(即ち第2特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1408)では、RAM84の第1特図保留記憶部85aの第1記憶領域(即ち第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図19(A))のアドレスをセットする(S1502)。次いで、確変フラグがONか否か、即ち高確率状態であるか否かを判定する(S1503)。そして、高確率状態でなければ(S1503でNO)、即ち通常確率状態(非高確率状態)であれば、大当たり判定テーブル(図19(A))のうち非高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「164」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1504)。一方、高確率状態であれば(S1503でYES)、大当たり判定テーブル(図19(A))のうち高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「649」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1505)。
大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「大当たり」であれば、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図16に示す大当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり種別を判定する(S1506)。その後、大当たりフラグをONするとともに(S1507)、大当たり種別に応じた特図停止図柄データ(図16参照)をRAM84に設けた大当たり種別バッファにセットして(S1508)、本処理を終える。一方、大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「ハズレ」であれば、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1508)、本処理を終える。
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1403)と特図1変動パターン選択処理(S1409)とは、処理の流れが同じであるため図28および図29に基づいてまとめて説明する。図28および図29に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1403)又は特図1変動パターン選択処理(S1409)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1601)。そして、時短状態でなければ(S1601でNO)、即ち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1602)。ONであれば(S1602でYES)、さらに当選した大当たりの種別がVロング大当たりであるか否かを、セットされている特図停止図柄データに基づいて判定する(S1603)。Vロング大当たりである場合には(S1603でYES)、非時短状態中Vロング大当たりテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つVロング大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1604)。
具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP1又はP2が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP21が選択されることとなる。なお、変動パターンP1は、特図停止図柄データが「11H」(図16参照)である場合に選択される変動パターンであり、装飾図柄の変動演出における最終的な停止図柄を金図柄(Vロング大当たりである場合にしか選択されない図柄、具体的には「3」,「5」又は「7」の図柄)とする変動パターンである。これに対して、変動パターンP2は、特図停止図柄データが「12H」(図16参照)である場合に選択される変動パターンであり、装飾図柄の変動演出における最終的な停止図柄を銀図柄(Vロング大当たりであってもVショート大当たりであっても選択される図柄、具体的には「1」,「2」,「4」,「6」又は「8」の図柄)とする変動パターンである。
ここで図20に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、リーチになる場合にそのリーチがノーマルリーチとなるのかスーパーリーチ(SPリーチとも表記する)となるのかも決まる。スーパーリーチとは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
図28のステップS1603において、Vロング大当たりでなければ(S1603でNO)、Vショート大当たりに当選しているので、非時短状態中Vショート大当たりテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つVショート大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1605)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP3が選択されることとなる。なお、特図2の抽選ではVショート大当たりに当選することはない。
またステップS1602において、大当たりフラグがONでなければ(S1602でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1606)。なお、図19(B)に示すように、リーチ成立乱数値は非時短状態であれば「0」〜「13」であり、時短状態であれば「0」〜「5」である。即ち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されるようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1606でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1607)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP4(SPリーチハズレ)又はP5(ノーマルリーチハズレ)が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP22(SPリーチハズレ)又はP23(ノーマルリーチハズレ)が選択されることとなる。
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1606でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1608)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。即ち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP6又はP7が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)ではP24又はP25が選択されることとなる。
またステップS1601において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1601でYES)には、図29に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は、上記ステップS1602〜S1608と同様の流れで処理を行う(S1609〜S1615)。即ち、Vロング大当たりであれば図20の時短状態中且つVロング大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1611)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP11が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP31が選択されることとなる。
またVショート大当たりであれば、図20の時短状態中且つVショート大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1612)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP12が選択される。なお、特図2の抽選ではVショート大当たりに当選することはない。またリーチ有りハズレであれば、図20の時短状態中且つリーチ有りハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1614)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP13(SPリーチハズレ)が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP32(SPリーチハズレ)が選択されることとなる。またリーチ無しハズレであれば、図20の時短状態中且つリーチ無しハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1615)。具体的には、特図1変動パターン選択処理(S1409)では変動パターンP14又はP15が選択され、特図2変動パターン選択処理(S1403)では変動パターンP33又はP34が選択されることとなる。
なお、時短状態中の変動パターン判定テーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無しハズレ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。即ち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、短縮変動としての変動時間は、時短状態中の方が非時短状態中よりも短くなっている。即ち、時短状態中の変動パターン判定テーブルは、非時短状態中の変動パターン判定テーブルよりも特別図柄の変動時間が短くなるようなテーブルとなっている。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図28に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1616)、本処理を終える。セットした変動パターンの情報は変動開始コマンドに含められて、出力処理(S108)によりサブ制御基板90に送られる。
[特別図柄変動中処理]図30に示すように、特別図柄変動中処理(S1304)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図20参照)が経過したか否かを判定する(S1701)。経過していなければ(S1701でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1701でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1702)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1703)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1704)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図31に示すように、特別図柄確定処理(S1306)ではまず、後述の遊技状態管理処理(S1801)を行う。次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1802)。大当たりフラグがONであれば(S1802でYES)、当選した大当たりの種別(種類)に応じた開放パターン(詳しくは図16および図17を参照)をセットする(S1803)。なおこのときに、大当たり遊技中に実行した単位開放遊技(ラウンド遊技)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を、当選した大当たりの種別に応じたラウンド数にセットする。
遊技制御用マイコン81は、ステップS1803に続いて、後述の遊技状態リセット処理を行う(S1804)。その後、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンド(図16参照)をセットするとともに(S1805)、大当たり遊技のオープニングを開始し(S1806)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1807)。
また、ステップS1802において大当たりフラグがONでなければ(S1802でNO)、大当たり遊技を開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1808)、本処理を終える。
[遊技状態管理処理]図32に示すように、遊技状態管理処理(S1801)ではまず、確変フラグがONか否か判定し(S2001)、ONであれば(S2001でYES)、高確率状態中に実行した特別図柄変動の回数をカウントする確変カウンタの値を1ディクリメントする(S2002)。そして、その確変カウンタの値が「0」か否か判定して(S2003)、「0」であれば(S2003でYES)確変フラグをOFFする(S2004)。ステップS2001又はS2003の判定結果がNOであれば、ステップS2005に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、高確率状態への移行時には確変カウンタの値が「160」にセットされるようになっている。この点については後述する。
続いて、時短フラグがONか否か判定し(S2005)、ONであれば(S2005でYES)、時短状態中に実行した特別図柄変動の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントする(S2006)。そして、その時短カウンタの値が「0」か否か判定して(S2007)、「0」であれば(S2007でYES)時短フラグをOFFする(S2008)。ステップS2005又はS2007の判定結果がNOであれば、ステップS2009に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、時短状態への移行時には低確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「100」にセットされ、高確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「160」にセットされるようになっている。この点については後述する。
その後、遊技制御用マイコン81は、現在の遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S2009)、本処理を終える。
[遊技状態リセット処理]図33に示すように、遊技状態リセット処理(S1804)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、ONであれば(S2101でYES)確変フラグをOFFする(S2102)。また、時短フラグがONか否かを判定し(S2103)、ONであれば(S2103でYES)時短フラグをOFFする(S2104)。つまり、大当たり遊技の実行中は、非高確率状態且つ非時短状態に制御される。本形態では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当たり遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
[特別電動役物処理]図34に示すように、特別電動役物処理(S1307)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。大当たり終了フラグは、実行中の大当たり遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否か(即ち大入賞装置の開放中か否か)を判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時間に至ったか否か、即ち大当たりのオープニングの時間が経過して初回のラウンド遊技における開放開始の時間に至ったか、又は、一旦閉鎖した大入賞口を再び開放させるまでのインターバル時間(閉鎖時間)が経過して開放開始の時間に至ったか否かを判定する(S2203)。
ステップS2203の判定結果がNOであれば、そのまま本処理を終える。一方、ステップS2203の判定結果がYESであれば、現在実行中の大当たり遊技がVロング大当たりとしての大当たり遊技か否かを判定する(S2204)。そして、Vロング大当たりでなければ(S2204でNO)ステップS2207に進むが、Vロング大当たりであれば(S2204でYES)、第2大入賞口35を開放させる第14ラウンド若しくは第16ラウンドを開始するタイミングであるか否か、即ちラウンドカウンタの値が「3」若しくは「1」であるか否かを判定する(S2205)。第14ラウンドを開始するタイミングでも第16ラウンドを開始するタイミングでもなければ(S2205でNO)、そのままステップS2207に進む。これに対して、第14ラウンド若しくは第16ラウンドを開始するタイミングであれば(S2205でYES)、V有効期間設定処理を行う(S2206)。
V有効期間設定処理(S2206)では、Vロング大当たりの第14ラウンドおよび第16ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するV有効期間に設定する。なお本形態ではこれ以外の期間(大当たり遊技を実行していないときも含む)を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するV無効期間に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検出処理(図36)を参照)ということである。また、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。なお、V有効期間に第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を含めているのは、第2大入賞口35の閉塞直前に第2大入賞口35へ遊技球が入賞することがあるのを考慮したものである。
即ち本形態では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。なお、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる、即ち大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図35)を参照)。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、即ち高確率状態に設定されることのないようにしている。
ステップS2207では、大当たりの種別に応じた開放パターン(図16および図17参照)に従って大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる。なお、振分部材71は、大当たり遊技(又はラウンド遊技)の開始から常に一定の動作で動いている。Vロング大当たりの開放パターン(Vロング開放パターン)では、第14ラウンドおよび第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞した遊技球が余裕をもって特定領域39を通過できるように開閉部材37が開放される。これに対して、Vショート大当たりの開放パターン(Vショート開放パターン)では、第14ラウンドおよび第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞することがほぼできないように開閉部材37が開放される。また、Vショート開放パターンにおいては、仮に遊技球が第2大入賞口35に入賞できたとしても特定領域39を通過することができないように、振分部材71の動作に対する開閉部材37の開放タイミングが設定されている。
続くステップS2208では、ラウンド指定コマンド送信判定処理を行う。ラウンド指定コマンド送信判定処理(S2208)では、ステップS2207での大入賞口の開放が1回のラウンド遊技中での初めての開放か否かを判定し、そうであれば、実行中の大当たり遊技のラウンド数の情報を含むラウンド指定コマンド(図16参照)を、RAM84の出力バッファにセットする。なお本形態では、1回のラウンド遊技中に複数回の大入賞口の開放がなされることはない。そのため、このステップS2208では、必ずラウンド指定コマンドがセットされることとなる。
特別電動役物処理(図34)のステップS2202において、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2202でYES)、大入賞口の閉鎖条件が成立しているか否かを判定する(S2209)。本形態では、閉鎖条件は、そのラウンド遊技における大入賞口への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では1ラウンド当たり8個)に達したこと、又は、大入賞口を閉鎖させる時間に至ったこと(即ち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図17参照)が経過したこと)のいずれかが満たされていることである。そして、大入賞口の閉鎖条件が成立していなければ(S2209でNO)、本処理を終える。
これに対して、大入賞口の閉鎖条件が成立している場合には(S2209でYES)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖(閉塞)する(S2210)。そして、ステップS2210の閉鎖によって1回のラウンド遊技が終了する場合には(S2211でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2212)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2213)。「0」でなければ(S2213でNO)、次のラウンド遊技を開始するためにそのまま本処理を終える。
一方「0」であれば(S2213でYES)、大当たり遊技を終了させる大当たり終了処理として、大当たりのエンディングコマンド(図16参照)をセットするとともに(S2214)、大当たりのエンディングを開始する(S2215)。そして大当たり終了フラグをセットして(S2216)、本処理を終える。
またステップS2201において大当たり終了フラグがONであれば(S2201でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2217)、エンディング時間が経過していなければ(S2217でNO)、本処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2217でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2218)、大当たりフラグをOFFし(S2219)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S2220)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理において、特別動作処理(図25)として再び特別図柄待機処理(S1302)が実行されることになる。その後、遊技状態設定処理を行って(S2221)、本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図35に示すように、遊技状態設定処理(S2221)ではまず、VフラグがONか否かを判定する(S2301)。VフラグがONでなければ(S2301でNO)、時短フラグをONするとともに(S2302)、時短カウンタに「100」をセットして(S2303)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(即ち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が100回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
一方、ステップS2301においてVフラグがONであれば(S2301でYES)、確変フラグをONするとともに(S2304)、確変カウンタに「160」をセットする(S2305)。その後、VフラグをOFFする(S2306)。続いて、時短フラグをONするとともに(S2307)、時短カウンタに「160」をセットして(S2308)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(即ち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が160回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
ステップS2309では、遊技制御用マイコン81は、今設定した遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。そして、本処理を終える。
[特定領域センサ検出処理]図36に示すように特定領域センサ検出処理(S106)では、遊技制御用マイコン81はまず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。なお本形態では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知は、振分部材71が第1の状態(図6(A))に制御されているときのみなされる。ステップS2401にて検知がなければ(S2401でNO)、本処理を終了するが、検知があれば(S2401でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理(図34)におけるV有効期間設定処理(S2206)にて設定される期間である。V有効期間は、Vロング大当たりの第14ラウンドおよび第16ラウンド中の期間として設定される。
ステップS2402でV有効期間中であると判定した場合には(S2402でYES)、VフラグをONするとともに(S2403)、V通過コマンドをセットして(S2404)、本処理を終える。V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知を行わせるためのコマンドである。
7.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図37〜図48に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図37に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。即ち電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なおRAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータスおよびカウンタ等の値はリセットされる。またステップS4001〜S4003の各処理は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
上記乱数シード更新処理(S4005)に続いて、割り込みを許可する(S4006)。以降、ステップS4004〜S4006をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4007)およびサブ側タイマ割り込み処理(S4008)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4007)では、図38に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、即ち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。ストローブ信号がONでなければ(S4101でNO)、本処理を終えるが、ONであれば(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する(S4102)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4008)に優先して実行される処理である。
[サブ側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図39に示すようなサブ側タイマ割り込み処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4301)、スイッチ処理(S4302)、枠可動体位置検知処理(S4303)および枠可動体任意駆動処理(S4304)を行う。
続いて演出制御用マイコン91は、コマンド送信処理(S4305)および駆動制御処理(S4306)を行う。コマンド送信処理(S4305)では、受信コマンド解析処理等でRAM94の出力バッファにセットした各種コマンドを画像制御基板100に送信する。コマンド送信処理が実行されると、各種コマンドを受信した画像制御基板100は、画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出およびエンディング演出)や、客待ち演出など)を実行する。画像表示装置7を用いた各種演出の詳細については後述する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたりする。
駆動制御処理(S4306)では、所定のタイミングで盤可動体15や枠可動体600を駆動させる。具体的には例えば、後述の変動演出開始処理(S4402)、オープニング演出選択処理(S4406)、ラウンド演出選択処理(S4408)、エンディング演出選択処理(S4410)又は枠可動体任意復帰処理(S4304)でセットした枠可動体駆動データ(枠可動体600を駆動させるためのデータ)や、盤可動体15を駆動させるための盤可動体駆動データに従って枠可動体600を駆動させる。
なお本形態では、この駆動制御処理にて、枠可動体600を待機位置から動作位置へと変位させる第1駆動演出(可動体駆動演出に相当)、および、枠可動体600を動作位置から待機位置へと変位(復帰)させる第2駆動演出を実行する。具体的には、上述の回転用モータ521L,521Rを主に用いて第1駆動演出又は第2駆動演出を実行する。なお各演出にて実行される駆動演出の詳細(内容)については、後述する。また本形態では、枠可動体600が待機位置にない場合には、枠可動体600が上縁50Uの上方に既に出現しているので、第1駆動演出を実行しない。
[受信コマンド解析処理]図40に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)では演出制御用マイコン91はまず、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば(S4401でYES)、後述の変動演出開始処理を行う(S4402)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば(S4403でYES)、変動演出終了処理を行う(S4404)。変動演出終了処理(S4404)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば(S4405でYES)、後述のオープニング演出選択処理を行う(S4406)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば(S4407でYES)、後述のラウンド演出選択処理を行う(S4408)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していれば(S4409でYES)、後述のエンディング演出選択処理を行う(S4410)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していれば(S4411でYES)、V通過報知演出開始処理を行う(S4412)。V通過報知演出開始処理(S4412)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
続いて、その他の処理(S4413)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、遊技状態の把握ために遊技状態指定コマンドに基づき現在の遊技状態を示す遊技状態ステータスの値を設定する処理等)を行って、本処理を終える。
[変動演出開始処理]図41に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S4701)。変動開始コマンドには、変動パターン選択処理(図28および図29)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。変動パターンの情報には、特図1の変動開始であるか特図2の変動開始であるかの情報や、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、特図1又は特図2の大当たり判定処理の判定結果としての図柄を指定する図柄情報等が含まれている(図20参照)。なお、ここで演出制御用マイコン91が取得した遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能である。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4702)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図20のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、枠可動体600や盤可動体15の可動の有無やそのタイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタンを利用する演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
次に演出制御用マイコン91は、選択した変動演出パターンが、枠可動体600の駆動を伴う変動演出パターンであるか否かを判定する(S4703)。枠可動体600の駆動を伴うものでなければ(S4703でNO)、ステップS4705に進む。一方、枠可動体600の駆動を伴うものであれば(S4703でYES)、枠可動体600を駆動させるための枠可動体駆動データをRAM94の所定の駆動データバッファにセットする(S4704)。なお、本処理で演出制御用マイコン91がセットし得る枠可動体駆動データには、上述した第1駆動演出のための出現駆動データと、第2駆動演出のための退避駆動データとがある。セットする枠可動体駆動データは、上記ステップS4702で選択した変動演出パターンに応じて異なる。詳細については、後述する。
ステップS4705では、ステップS4702で選択した変動演出パターンで変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。なお、第1駆動演出を伴う変動演出に関する変動演出開始コマンドは、特定の制御信号に相当する。
なお、ステップS4704で枠可動体駆動データがセットされると、演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4306)にてその枠可動体駆動データに従った枠可動体600の駆動を行う。また、ステップS4705でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4305)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、後述の変動画像演出処理(S8104)にて画像演出を選択する。
ここで、変動演出において最終的に停止表示される装飾図柄の組み合わせについて説明する。変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせとしては、Vロング大当たりへの当選時は、第1装飾図柄(金図柄)のゾロ目、又は、第2装飾図柄(銀図柄)のゾロ目が選択されるようになっている。第1装飾図柄のゾロ目とは、「333」、「555」および「777」といった特定の奇数図柄のゾロ目のことである。また、第2装飾図柄のゾロ目とは、「111」といった、上記特定の奇数図柄ではない奇数図柄のゾロ目や、「222」、「444」、「666」および「888」といった偶数図柄のゾロ目のことである。本形態では、第1装飾図柄は金色で表示され、第2装飾図柄は銀色で表示される。そのため、第1装飾図柄を「金図柄」と称し、第2装飾図柄を「銀図柄」と称する。金図柄は、Vロング大当たりへの当選時に限って表示される図柄である。銀図柄は、Vショート大当たりへの当選時にも表示される図柄である。変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせが金図柄のゾロ目であれば、遊技者はVロング大当たりに当選したことを知ることとなる。これに対して銀図柄のゾロ目であれば、Vロング大当たりかVショート大当たりかわかないということとなる。
また、変動演出における最終的な停止図柄の組み合わせとしては、Vショート大当たりへの当選時には、必ず銀図柄のゾロ目が選択されるようになっている。また、リーチ有りハズレの場合は「787」などのバラケ目、リーチ無しハズレの場合は「635」などのバラケ目が選択されるようになっている。なお、上述の装飾図柄の停止表示の態様は一例であり、大当たり抽選の結果に対して装飾図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
次に図54に基づいて、SPリーチを実行する変動パターンが選択されている場合における変動演出パターンの選択について具体的に説明する。図54に示すように、変動パターンP1(非時短状態における特図1の抽選でVロング大当たりに当選し、最終的に停止表示する装飾図柄を金図柄とする場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S101、S102又はS103が選択される。
変動演出パターンS101が選択された場合には、ノーマルリーチからSPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。なお本形態では、SPリーチへの発展時における枠可動体600の駆動とは、具体的には、枠可動体600を、SPリーチへの発展時に待機位置から動作位置に変位させて、所定の時間(例えば3秒)の経過後には動作位置から待機位置に変位させることである。また、装飾図柄の最終的な停止表示時における枠可動体600の駆動とは、枠可動体600を、装飾図柄の最終的な停止表示時に待機位置から動作位置に変位させて、その後動作位置のままとすることである。よって、変動演出パターンS101の変動演出には、SPリーチへの発展時にまず実行される上述の第1駆動演出と、この第1駆動演出の実行終了から所定の時間の経過後に実行される第2駆動演出とを含んでいる。さらに、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS101の変動演出は、特定演出に相当する。なお、ここでいう装飾図柄の最終的な停止表示時とは、変動演出において装飾図柄のリーチ状態が終わるタイミングのことであり、言い換えれば、リーチ中の当落分岐成功時ということである。
また、変動演出パターンS102が選択された場合には、SPリーチへの発展時には枠可動体600の駆動を伴わない一方、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS102の変動演出には、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS102の変動演出は、特定演出に相当する。
なお変動演出パターンS101又はS102が選択された場合、この変動演出後に続く大当たり遊技のOPでは、枠可動体600を動作位置に維持させたままオープニング演出が実行されることとなる(図54の備考欄参照)。なお枠可動体600を待機位置へ復帰させるのは、大当たり遊技のEDの開始時である。つまり、変動演出中に動作位置に制御された枠可動体600は、大当たり遊技のEDが開始されるまでの間、継続して動作位置に制御され続けることとなる。よって本形態によれば、大当たり遊技が開始される前に枠可動体600が待機位置に復帰することにより遊技者の気分の高揚が抑えられてしまうのを防ぐことが可能となっている。
一方、変動演出パターンS103が選択された場合には、SPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴わない変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS103の変動演出には、枠可動体600についての駆動演出を含んでいない。
なお、変動演出に枠可動体600の駆動演出を含んでいない点は、例えば、ハズレを示す後述の変動演出パターンS402の変動演出と同じである。このため遊技者は、変動演出に枠可動体600の駆動を伴わない場合には、当該変動演出はハズレを示す変動演出であり当該変動で大当たりに当選しないだろうと諦めてしまいがちである。しかし、変動演出パターンS103の変動演出では、画像表示装置7の表示画面7a上に金図柄を停止表示させるため、第1駆動演出がなく大当たりの当選を諦めかけていた遊技者に、大きな驚きを与えることが可能となっている。
なお変動演出パターンS103が選択された場合、この変動演出後に続く大当たり遊技のOPの開始時に、枠可動体600を動作位置に変位させる(図54の備考欄参照)。つまりOPに伴い、第1駆動演出を含んだオープニング演出が実行されることになる。OPの開始で動作位置に変位した枠可動体600は、大当たり遊技のEDが開始されるまでの間、継続して動作位置に制御され続けることになる。
なお、Vロング大当たりへの当選時には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる変動演出パターンS101の方が、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させない変動演出パターンS102又はS103よりも選択され易くなっている。これに対して、ハズレ時(図54の変動パターンP4の欄参照)には、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動しない変動演出パターンS401の方が、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動する変動演出パターンS402よりも選択され易くなっている。このようにすることで、SPリーチへの発展時における枠可動体600の駆動を通じて、大当たり期待度が高いことを遊技者に報知し得るようにしている。
また、変動パターンP2(非時短状態における特図1の抽選でVロング大当たりに当選し、最終的に停止表示する装飾図柄を銀図柄とする場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S201又はS202が選択される。変動演出パターンS201が選択された場合には、上記変動演出パターンS101と同じように、ノーマルリーチからSPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS201の変動演出には、SPリーチへの発展時にまず実行される上述の第1駆動演出と、この第1駆動演出の実行終了から所定の時間の経過後に実行される第2駆動演出とを含んでいる。さらに、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS201の変動演出は、特定演出に相当する。
また、変動演出パターンS202が選択された場合には、上記変動演出パターンS102と同じように、SPリーチへの発展時には枠可動体600の駆動を伴わない一方、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS202の変動演出には、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS202の変動演出は、特定演出に相当する。
なお、変動演出パターンS201でも変動演出パターンS202でも変動演出における最終的な停止図柄は銀図柄である。この場合には、大当たり遊技のOPの開始に伴って、枠可動体600を待機位置に変位(復帰)させる(図54の備考欄参照)。つまりOPに伴い、第2駆動演出を含んだオープニング演出が実行されることになる。そして、所定のラウンド数(本形態では11R)のラウンド遊技中(特定ラウンドとしてのラウンド遊技中)に、枠可動体600を動作位置に変位させる駆動を含むラウンド演出を実行する。つまり、特定ラウンドのラウンド遊技中に、第1駆動演出を含んだラウンド演出が実行される。これにより、遊技者に対してVロング大当たりに当選していることを報知する。つまり、ここでの枠可動体600の駆動は、Vロング大当たりへの当選報知を意味する。本形態では、このようなラウンド遊技中の演出により、大当たり遊技中の遊技興趣を高めている。
なお、銀図柄で大当たり当選が報知される場合には、金図柄で大当たりへの当選が報知される場合よりも、SPリーチへの発展時に枠可動体600を駆動させる変動演出パターンが選択される割合が低くなっている(図54参照)。このようにすることで、SPリーチへの発展時の枠可動体600の駆動によって、金図柄でのSPリーチの演出が一層盛り上がるようにしている。
また、変動パターンP3(非時短状態における特図1の抽選でVショート大当たりに当選した場合の変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S301又はS302のいずれかが選択される。変動演出パターンS301が選択された場合には、上記変動演出パターンS101,S201と同じように、ノーマルリーチからSPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS301の変動演出には、SPリーチへの発展時にまず実行される上述の第1駆動演出と、この第1駆動演出の実行終了から所定の時間の経過後に実行される第2駆動演出とを含んでいる。さらに、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS301の変動演出は、特定演出に相当する。
また、変動演出パターンS302が選択された場合には、上記変動演出パターンS102,S202と同じように、SPリーチへの発展時には枠可動体600の駆動を伴わない一方、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS202の変動演出には、装飾図柄の最終的な停止表示時に実行される第1駆動演出を含んでいる。本形態の変動演出パターンS302の変動演出は、特定演出に相当する。
これら変動演出パターンS301,S302の場合も、変動演出パターンS201,S202の場合と同じように、大当たり遊技のOPの開始に伴って、枠可動体600を待機位置に変位(復帰)させる(図54の備考欄参照)。つまりOPに伴い、第2駆動演出を含んだオープニング演出が実行されることになる。但し、変動パターンP2と異なり、待機位置に復帰させたあとの枠可動体600をラウンド遊技中に動作位置に変位させることはしない。Vロング大当たりへの当選ではないからである。これにより、上述のラウンド遊技中の枠可動体600の駆動がVロング大当たりへの当選報知としての意味をもつようにしている。
また、変動パターンP4(非時短状態における特図1の抽選にてハズレたがSPリーチを実行する変動パターン)が選択されている場合には、変動演出パターンとしては、S401又はS402のいずれかが選択される。変動演出パターンS401が選択された場合には、ノーマルリーチからSPリーチへの発展時には枠可動体600の駆動を伴う一方、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600の駆動を伴わない変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS401の変動演出には、SPリーチへの発展時にまず実行される上述の第1駆動演出と、この第1駆動演出の実行終了から所定の時間の経過後に実行される第2駆動演出とを含んでいる。本形態の変動演出パターンS401の変動演出は、特定演出に相当する。一方、変動演出パターンS402が選択された場合には、SPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴わない変動演出が実行されることになる。つまり、変動演出パターンS402の変動演出には、枠可動体600についての駆動演出を含んでいない。
以上、非時短状態における特図1の抽選において、SPリーチが実行される場合の変動演出パターンの選択について説明した。非時短状態における特図2の抽選や、時短状態における特図1および特図2の抽選におけるSPリーチが実行される場合の変動演出パターンの選択については、図54に示している通りである。なお、時短状態では、SPリーチへの発展時に枠可動体600が駆動されることはない。
[オープニング演出選択処理]図42に示すように、オープニング演出選択処理(S4406)ではまず、オープニングコマンド(図16参照)を解析する(S5501)。続いて、オープニングコマンドの解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択するオープニング演出パターン選択処理を行う(S5502)。そして、演出制御用マイコン91は、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをセットする(S5503)。なお、第1駆動演出を伴うオープニング演出に関するオープニング演出開始コマンドは、特定の制御信号に相当する。
続いて演出制御用マイコン91は、オープニングコマンドに基づいて、変動演出において最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄(第1装飾図柄)であるか否かを判定する(S5504)。なおこの判定は、大当たり遊技の開始前に選択された変動演出パターンの情報に基づいて行ってもよい。この場合には、最終的に停止表示された装飾図柄の情報がオープニングコマンドに含まれるようにする必要はない。
最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄のゾロ目であれば(S5504でYES)、続いて第1待機位置フラグがONかどうかを判定する(S5505)。第1待機位置フラグは、枠可動体600が待機位置にあるかどうかを示すためのフラグである。具体的には、第1待機位置フラグがONとは、枠可動体600が待機位置にあることを指し、第1待機位置フラグがOFFとは、枠可動体600が待機位置にないことを指している。この第1待機位置フラグは、後述の枠可動体位置検知処理(図47)にて、動作位置から変位して待機位置になった(つまり、第2駆動演出の実行に伴い待機位置に復帰した)枠可動体600を第1フォトセンサ531L,531Rが検知したときにONになる。つまり第1待機位置フラグは、第1フォトセンサ531L,531Rによる検知に基づいた、枠可動体600の位置情報を示している。
なお、最終的な停止表示が金図柄のゾロ目の大当たりの場合、本オープニング演出選択処理の開始時には、枠可動体600が動作位置および待機位置のどちらの位置にもあり得る。例えば変動パターンがP1で、変動演出パターンがS101又はS102の場合には、装飾図柄の最終的な停止表示時に第1駆動演出が実行され、そのまま枠可動体600が動作位置に維持される。このため、オープニング演出選択処理の開始時に枠可動体600が動作位置にあることになる。
一方、変動パターンがP1でも変動演出パターンがS103の場合には、装飾図柄の最終的な停止表示時に駆動演出が実行されないので、オープニング演出選択処理時に枠可動体600が待機位置にあることになる。さらに本形態では、オープニング演出選択処理の前に、遊技者が可動体復帰ボタン323を操作した場合にも、オープニング演出選択処理時に枠可動体600が待機位置にあることになる。具体的には例えば、変動パターンがP1で、変動演出パターンがS101又はS102の場合には、装飾図柄の最終的な停止表示時に第1駆動演出が実行されて、枠可動体600が動作位置に一旦変位する。しかしその後、遊技者が可動体復帰ボタン323を操作(押圧)したことで、変動演出中(オープニング演出前)に、その操作に基づく第2駆動演出の実行によって、枠可動体600が待機位置に変位(復帰)することになる。
本形態では、枠可動体600が待機位置にある場合には、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるため、オープニング演出にて第1駆動演出を実行することとしている。つまり変動演出パターンがS103の場合、および、可動体復帰ボタン323の操作によって待機位置に復帰している場合には、オープニング演出にて第1駆動演出を実行することになっている。即ち、最終的な停止表示が金図柄のゾロ目である大当たりでのオープニング演出は、特定演出に相当する。但し、大当たり遊技のオープニングの開始時に枠可動体600が動作位置にある場合には、枠可動体600を動作位置にそのまま維持するため、オープニング演出にて第1駆動演出を実行しないこととしている。
そこで、第1待機位置フラグがONの場合(S5505でYES)、つまり枠可動体600が待機位置にある場合には、ステップS5506に進み、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させる枠可動体駆動データ(つまり、出現駆動データ)をRAM94の所定の駆動データバッファにセットする。この枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、大当たり遊技のオープニングの開始時に、枠可動体600が待機位置から動作位置に変位する。つまり、第1駆動演出が実行される。従って、大当たり遊技のオープニングの開始時に待機位置にある枠可動体600を動作位置に変位させることが可能である。
また、第1待機位置フラグがONでない場合(S5505でNO)、つまり枠可動体600が待機位置にはない場合には、上記ステップS5506のように枠可動体駆動データをセットすることなく、そのまま本処理を終える。これにより、大当たり遊技のオープニングの開始時には、枠可動体600が動作位置のまま維持される。従って、大当たり遊技の前からオープニングにわたって枠可動体600が動作位置に位置し続けることとなる。
かくして本形態では、大当たり遊技前の変動演出において金図柄で大当たり当選が報知された場合には、大当たり遊技のオープニングに枠可動体600を動作位置に位置させることが可能となっている。即ち本形態では、オープニングに伴って枠可動体600が動作位置にあることで、Vロング大当たりの大当たり遊技が始まることを遊技者に示すことが可能となっている。
一方、最終的に停止表示された装飾図柄が金図柄でなければ(S5504でNO)、即ち銀図柄であれば、枠可動体600を動作位置から待機位置に復帰させるための枠可動体駆動データ(つまり、退避駆動データ)をRAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S5507)、本処理を終える。図54に示すように、最終的に停止表示された装飾図柄が銀図柄のゾロ目の場合には、枠可動体600が動作位置に変位している。そこで、ステップS5507でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、枠可動体600の動作位置から待機位置への変位が開始される。つまり本形態では、大当たり遊技前の変動演出において銀図柄で大当たり当選が報知された場合には、大当たり遊技のオープニングの開始に伴って枠可動体600が待機位置へ復帰することとなる。
[ラウンド演出選択処理]図43に示すように、ラウンド演出選択処理(S4408)ではまず、ラウンド指定コマンド(図16参照)を解析する(S5701)。続いて、現在実行中の大当たりが「Vロング大当たり」か否かを判定する(S5702)。現在実行中の大当たりの種別に関する情報(当選した大当たりの種別を示す図柄情報)は、ラウンド指定コマンドに含まれている。なお現在実行中の大当たりの種別に関する情報を、変動開始コマンドの解析時に取得した図柄情報を参照して取得してもよい。
ステップS5702においてVロング大当たりであれば(S5702でYES)、続いて現在実行中のラウンド遊技が13R目のラウンド遊技か否かを判定する(S5703)。13R目のラウンド遊技であれば(S5703でYES)、V打込報知演出を伴うラウンド演出を選択し(S5704)、そのラウンド演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。V打込報知演出とは、特定領域39を通過させるように遊技球を打ち込むべき旨を報知する演出である。本形態では、V打込報知演出は、V打込報知画像(例えば特定領域39の位置を示す矢印の画像)を表示画面7aに表示する演出である。
一方、ステップS5702又はS5703でNOであれば、つまり、Vロング大当たりでない場合、又は、Vロング大当たりであっても13R目のラウンド遊技でない場合には、この大当たり遊技の開始前の変動演出で最終的に停止表示された装飾図柄が銀図柄のゾロ目か否かを判定する(S5705)。銀図柄のゾロ目であれば(S5705でYES)、現在実行中のラウンド遊技が特定ラウンド(本形態では11R)のラウンド遊技であるか否かを判定する(S5706)。この判定の結果がYESであれば、当たり種別報知演出のラウンド演出パターンを選択し(S5707)、当たり種別報知演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。
つまり本形態では、銀図柄での大当たり当選報知を経て開始された大当たり遊技の特定ラウンドにおいて、当たり種別報知演出を行うこととしている。当たり種別報知演出とは、当選した大当たりの種別を報知する演出である。具体的には本形態では、当たり種別報知演出として、ヒーローキャラ(第1キャラクタ)と敵キャラ(第2キャラクタ)とがバトルを行うバトル演出を表示画面7aにて実行する。Vロング大当たりに当選していて実行される当たり種別演出では、ヒーローキャラが敵キャラに勝利する演出画像を表示画面7aに表示する。これに対して、Vショート大当たりに当選していて実行される当たり種別報知演出では、ヒーローキャラが敵キャラに敗北する演出画像を表示画面7aに表示する。つまり、この当たり種別報知演出では、ヒーローキャラの勝利がVロング大当たりへの当選報知を意味し、ヒーローキャラの敗北がVショート大当たりへの当選報知を意味することとなる。なお、上記ステップS5709でセットするラウンド演出開始コマンドのうち、Vロング大当たりに当選していて実行される当たり種別演出に関するラウンド演出開始コマンドは、特定の制御信号に相当する。
ステップS5705又はS5706でNOであれば、その他のラウンド演出を選択し(S5708)、そのラウンド演出を実行するためのラウンド演出開始コマンドをセットして(S5709)、ステップS5710に進む。
ステップS5710では現在実行中の大当たりが、銀図柄のゾロ目で当選を報知されたVロング大当たりであるか否かを判定する。ここで、判定結果がYESであれば続いて、現在実行中のラウンド遊技が特定ラウンドのラウンド遊技であるか否かを判定する(S5711)。そして特定ラウンドのラウンド遊技であれば(S5711でYES)、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるための枠可動体駆動データ(出現駆動データ)を、RAM94の駆動データバッファにセットして(S5712)、本処理を終える。一方、ステップS5710又はS5711において判定結果がNOであれば、上記ステップS5712の処理を実行することなく、本処理を終える。
ステップS5712でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、枠可動体600の出現動作(待機位置から動作位置への変位)が開始される。つまり本形態では、大当たり遊技前の変動演出において銀図柄で大当たり当選が報知された場合であっても、当選している大当たりがVロング大当たりであれば、特定ラウンド(本形態では11R)におけるラウンド演出(当たり種別報知演出)に合わせて枠可動体600が待機位置から動作位置に変位することとなる。つまり、特定ラウンドのラウンド演出では、第1駆動演出が実行される。この特定ラウンドのラウンド演出は、特定演出に相当する。なお、枠可動体600が動作位置に変位を開始するタイミング(即ち、第1駆動演出の実行を開始するタイミング)は、ヒーローキャラの勝利画像の表示タイミングと略同じである。つまりこの場合の枠可動体600の動作位置への変位は、当選した大当たりの種別がVロング大当たりであることの報知という意味をもつこととなる。
[エンディング演出選択処理]図44に示すように、エンディング演出選択処理(S4410)ではまず、エンディングコマンド(図16参照)を解析する(S5801)。次いで演出制御用マイコン91は、いま終了させようとしている大当たり遊技が、「初当たり」としての大当たり遊技であるか否かを判定する(S5802)。初当たりであれば(S5802でYES)、解析したエンディングコマンドに基づいてエンディング演出のパターン(内容)を選択するにあたり、可動体復帰ボタン323の操作説明を含むエンディング演出パターンを選択する(S5803)。一方、初当たりでなければ(S5802でNO)、可動体復帰ボタン323の操作説明のないその他のエンディング演出パターンを選択する(S5804)。
なお、本形態における「初当たり」とは、通常遊技状態にて当選した大当たりのことである。大当たり当選時の遊技状態の情報は、エンディングコマンドに含まれているように構成してもよいし、変動開始コマンドの解析時に取得した遊技状態情報を参照して取得してもよい。また、エンディング演出とは、大当たり遊技のエンディング中に実行する演出のことである。また、可動体復帰ボタン323の操作説明とは、枠可動体600が待機位置に位置していないときに可動体復帰ボタン323を操作することによって任意に枠可動体600を待機位置に復帰させ得ることの説明である。
続いて演出制御用マイコン91は、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをセットする(S5805)。エンディング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4305)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定のエンディング演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示させる。
具体的には、可動体復帰ボタン323の操作説明を含むエンディング演出パターンが選択されていた場合には、画像制御基板100のCPU102は、図55(a)および図55(b)に示すような可動体復帰ボタン323の操作説明の画像を表示画面7aに表示させる。図55(a)に示す画像は、可動体復帰ボタン323の位置を報知する画像であり、図55(b)に示す画像は、可動体復帰ボタン323を押せば枠可動体600が待機位置に復帰することを示す画像である。このような画像の表示により、可動体復帰ボタン323を操作すれば枠可動体600を待機位置に復帰させ得ることを遊技者に示すことが可能となっている。
ステップS5805に続いて、第1待機位置フラグがOFFかどうかを判定する(S5806)。第1待機位置フラグがOFFの場合(S5806でYES)、つまり枠可動体600が動作位置にある場合には、ステップS5807に進み、枠可動体600を動作位置から待機位置に変位させるための枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットする。ステップS5807でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、動作位置にある枠可動体600の復帰動作が開始される。つまりエンディング演出にあわせて第2駆動演出が実行される。即ち、Vロング大当たりとしての大当たり遊技であっても、エンディングの開始に伴って枠可動体600が待機位置へ復帰することとなる。
[スイッチ処理]図45に示すように、スイッチ処理(S4302)ではまず、演出ボタン63(遊技者により演出に関する操作が可能な操作手段)を用いた演出(SW演出)の実行中か否か、即ち、SW演出における演出ボタン63の有効期間中か否かを判定する(S7001)。SW演出中でなければ(S7001でNO)、本処理を終えるが、SW演出中であれば(S7001でYES)、後述のSW演出処理を行う(S7002)。その後、SW演出における演出ボタン63の有効期間を計測するSWタイマの値が「0」より大きいか否かを判定し(S7003)、大きければ(S7003でYES)、SWタイマの値を減算して(S7004)、本処理を終える。なおSW演出は、本形態では例えば、変動演出の一部の演出(SPリーチ中の演出等)として実行される。
[SW演出処理]図46に示すように、SW演出処理(S7002)ではまず、演出ボタン63が操作されたか否か、即ち演出ボタン検出スイッチ63aがONされたか否かを判定する(S7101)。演出ボタン検出スイッチ63aがONされたと判定しなかった場合には(S7101でNO)、本処理を終えるが、ONされたと判定した場合には(S7101でYES)、SW演出の一つである枠可動体駆動演出中かを判定する(S7102)。SW演出としての枠可動体駆動演出は、本形態ではSPリーチ中の演出(より詳細には、SPリーチへの発展時や装飾図柄の最終的な停止表示時の演出)である。
枠可動体駆動演出中でなければ(S7102でNO)、その他のSW演出に応じた処理を行って(S7104)、本処理を終えるが、枠可動体駆動演出中であれば(S7102でYES)、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるための枠可動体駆動データ(出現駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットして(S7103)、本処理を終える。ステップS7103でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、枠可動体600は待機位置から動作位置に変位する。つまり、枠可動体駆動演出中に演出ボタン63が操作されたら駆動演出が実行される。
ここで枠可動体駆動演出について詳しく述べれば、枠可動体駆動演出とは、演出ボタン63の押下操作を指示する画面を表示画面7aに表示し、その指示に従って演出ボタン63が操作された場合には、枠可動体600を駆動させるという演出である。本形態では、変動演出におけるSPリーチへの発展時や装飾図柄の最終的な停止表示時にこの枠可動体駆動演出を実行するようにしている。但し、ハズレ変動に伴ってSPリーチが実行された場合には、SPリーチ内で枠可動体600を作動させることはないので(図54参照)、演出ボタン63が操作されても枠可動体600を作動させない。このような演出ボタン63を利用したSW演出によれば、遊技者に遊技への参加感を強く与えることが可能であり、遊技興趣を向上させることが可能である。
なお、枠可動体600に代えて、又は、枠可動体600とともに、盤可動体15を格納状態から露出状態に変位させるようにしてもよい。枠可動体600に代えて盤可動体15を演出ボタン63の操作に応じて変位させることにした場合には、盤可動体15を所定時間(例えば3秒程度)にわたって露出状態に制御したあと格納状態に復帰させるタイミングで、枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させるように構成してもよい。
[枠可動体位置検知処理]図47に示すように、演出制御用マイコン91は、枠可動体位置検知処理(S4303)のステップS7201で、第1待機位置フラグがONかどうかを判定する。第1待機位置フラグがONの場合には(S7201でYES)、続いて第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知しているか否かを判定する(S7202)。第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知していない場合(S7202でNO)、つまり枠可動体600が待機位置にないことを示す検知信号を第1フォトセンサ531L,531Rが出力している場合には、第1変位コマンドをRAM94の出力バッファにセットし(S7203)、第1待機位置フラグをOFFして(S7204)、本処理を終える。第1変位コマンドには、枠可動体600が待機位置から変位して動作位置にあることについての情報を含んでいる。第1待機位置フラグがONにもかかわらず、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置にある枠可動体600を検知していないとは(S7201でYES且つS7202でNO)、第1待機位置フラグがONされた後に、枠可動体600が待機位置から動作位置に変位したことを示している。そこでステップS7203では、第1変位コマンドを画像制御基板100に出力するためにセットする。コマンド送信処理(S4305)を通じて、第1変位コマンドを受信した画像制御基板100は、後述の変位コマンド受信処理(S8102)にて、枠可動体600が動作位置にあることを記憶する。即ち、画像制御基板100のRAM104に設けた第2待機位置フラグをOFFする。
一方、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知している場合(S7202でYES)、即ち枠可動体600が待機位置にあることを示す検知信号を第1フォトセンサ531L,531Rが出力している場合には、上記ステップS7203およびステップS7204を行わずに本処理を終える。第1待機位置フラグがONで、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知しているとは(S7201,S7202がともにYES)、第1待機位置フラグがONされた後、枠可動体600が待機位置のままであることを示している。従って、上記第1変位コマンドをセットしたり、第1待機位置フラグをOFFしたりしない。
なお、第1待機位置フラグがONではない場合(S7201でNO)、つまり第1待機位置フラグがOFFの場合には、続いて第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知しているか否かを判定する(S7205)。待機位置にある枠可動体600を検知している場合には(S7205でYES)、第2変位コマンド(位置通知信号に相当、復帰通知信号ともいう)をRAM94の出力バッファにセットし(S7206)、第1待機位置フラグをONして(S7207)、本処理を終える。第2変位コマンドには、枠可動体600が動作位置から変位して待機位置にあることについての情報を含んでいる。第1待機位置フラグがOFFにもかかわらず、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知しているとは(S7201でNO、且つS7205でYES)、第1待機位置フラグがOFFとなった後、枠可動体600が動作位置から待機位置に変位したことを示している。そこでステップS7206では、第2変位コマンドを画像制御基板100に出力するためにセットする。コマンド送信処理(S4305)を通じて、第2変位コマンドを受信した画像制御基板100は、後述の変位コマンド受信処理(S8102)にて、枠可動体600が待機位置にあることを記憶する。即ち、画像制御基板100の第2待機位置フラグをONする。かくして、画像制御基板100では、第1フォトセンサ531L,531Rの検知結果に基づく、枠可動体600の位置情報を記憶することが可能となっている。
一方、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知していない場合には(S7205でNO)、上記ステップS7206およびステップS7207を行わずに本処理を終える。即ち、第1待機位置フラグがOFFとなった後、枠可動体600が待機位置にないことになるため、上記第2変位コマンドをセットしたり、第1待機位置フラグをONしたりしない。
なお本形態では、電源投入時、枠可動体600は原点位置である待機位置にある。また第1待機位置フラグは、上述した他のフラグと同様、OFFである。つまり電源投入の時点では、枠可動体600が待機位置にあるにもかかわらず、第1待機位置フラグはONではなくOFFになっている。但し電源投入後すぐに、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置にある枠可動体600を検知して、そのことを示す検知信号を第1フォトセンサ531L,531Rが出力することになるので、演出制御用マイコン91は、上記ステップS7205でYESと判定して、第2変位コマンドをセットするとともに(S7206)、第1待機位置フラグをONする(S7207)。つまり、電源投入後まもなく第1待機位置フラグはONになる。
[枠可動体任意駆動処理]図48に示すように、枠可動体任意駆動処理(S4304)のステップS7301にて枠可動体600が駆動中か否かの判定を行う。この判定は、枠可動体600の原点位置(待機位置)を検知する左側第1フォトセンサ531Lおよび右側第1フォトセンサ531R(図9(A)参照)の検知信号を確認することで行えばよい。枠可動体600が駆動中でないと判定した場合には(S7301でNO)、本処理を終えるが、駆動中であると判定した場合には(S7301でYES)、続いて可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONされたか否かを判定する(S7302)。可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONされていなければ(S7302でNO)、本処理を終えるが、ONされていれば(S7302でYES)、枠可動体600を待機位置に復帰させる枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットする(S7303)。
ステップS7303でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4306)がなされると、枠可動体600の待機位置への復帰が実行される。つまり、可動体復帰ボタン323の操作に伴って第2駆動演出が実行される。本形態では、図11に示すように、枠可動体600(左側可動体600Lおよび右側可動体600R)が遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するため、ホール内に設置されているデータカウンタ150(データ表示装置152)の前方に位置することとなってしまい、遊技者がデータ表示装置152を視認することができなくなることがある。しかしながら、このように可動体復帰ボタン323の操作を行えば、遊技者はデータ表示装置152を良好に視認することが可能となる。
特に本形態では、大当たり遊技前の変動演出にて最終的な停止図柄の組み合わせが金図柄のゾロ目である場合には、その変動演出にて動作位置に変位した枠可動体600は、大当たり遊技のエンディングまで動作位置に位置し続けることとなる(図54参照)。つまり、遊技者が長時間にわたってデータ表示装置152を視認しにくくなる状況が起こり得る。よって、このような可動体復帰ボタン323の操作によって枠可動体600を復帰させ得るようにして、遊技の便宜を図っている。なお、遊技機の上方にデータ表示装置152ではなく遊技説明書(遊技機の仕様や大当たりの振り分け、モード移行、演出紹介などを記載したもの)が置かれているホールでは、この可動体復帰ボタン323の操作によって、遊技説明書の良好な視認を得ることが可能となる。つまり、可動体復帰ボタン323は、動作位置にある枠可動体600の後方の視認性を確保するためのものである。
8.画像制御基板100の動作
[画像側タイマ割り込み処理]次に図49〜図53に基づいて画像制御基板100の動作について説明する。画像制御基板100は、図49に示す画像側タイマ割込処理を数msecといった短時間毎に繰り返す。画像側タイマ割り込み処理では、後述するコマンド受信処理(S8001)および出力処理(S8002)を実行する。出力処理(S8002)では、コマンド受信処理(S8001)の各種画像演出処理でセットされた画像データに応じた画像演出を、画像表示装置7の表示画面7a上に示す。
[コマンド受信処理]図50に示すコマンド受信処理(S8001)では、画像制御基板100のCPU102は、サブ制御基板90から第1変位コマンド又は第2変位コマンドを受信したか否か判定し(S8101)、受信していれば(S8101でYES)、後述の変位コマンド受信処理を行う(S8102)。
続いて、サブ制御基板90から変動演出開始コマンドを受信したか否か判定し(S8103)、受信していれば(S8103でYES)、後述の変動画像演出処理を行う(S8104)。
続いて、サブ制御基板90からオープニング演出開始コマンドを受信したか否か判定し(S8105)、受信していれば(S8105でYES)、後述のオープニング画像演出処理を行う(S8106)。
続いて、サブ制御基板90からラウンド演出開始コマンドを受信したか否か判定し(S8107)、受信していれば(S8107でYES)、後述のラウンド画像演出処理を行う(S8108)。
続いて、その他の処理(S8109)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理を行って、本処理を終える。
[変位コマンド受信処理]変位コマンド受信処理では、サブ制御基板90から受信した変位コマンド(第1変位コマンド又は第2変位コマンド)に基づいて、画像制御基板100にて管理されている枠可動体600の位置情報を更新する。具体的には、図51に示すように、まず受信した変位コマンドが第1変位コマンドかどうかを判定する(S8201)。第2待機位置フラグは、枠可動体600の位置情報(即ち、枠可動体600が待機位置にあるかどうか)を画像制御基板100にて管理するためのフラグである。具体的には、第2待機位置フラグがONとは、サブ制御基板90において第1待機位置フラグがONの場合と同様、枠可動体600が待機位置にあることを指し、第2待機位置フラグがOFFとは、枠可動体600が待機位置にないことを指している。
第1変位コマンドの場合には(S8201でYES)、第2待機位置フラグをOFFして(S8202)、本処理を終える。即ち、枠可動体600が待機位置から動作位置に変位したことを示す第1変位コマンドに基づいて、第2待機位置フラグをOFFする。これにより、枠可動体600の位置情報が待機位置から動作位置に更新される。
一方、受信した変位コマンドが第1変位コマンドでない場合(S8201でNO)、つまり第2変位コマンドを受信した場合には、第2待機位置フラグをONして(S8203)、本処理を終える。即ち、枠可動体600が待機位置に復帰したことを示す第2変位コマンドに基づいて、第2待機位置フラグをONする。これにより、枠可動体600の位置情報が動作位置から待機位置に更新される。
なお本形態では、電源投入時、枠可動体600は原点位置である待機位置にあり、第2待機位置フラグは、上述した他のフラグと同様、OFFである。つまり電源投入の時点では、枠可動体600が待機位置にあるにもかかわらず、第2待機位置フラグがONではなくOFFになっている。但し、電源投入後すぐに、第1フォトセンサ531L,531Rによる枠可動体600の検知に基づいて、演出制御用マイコン91から第2変位コマンドが出力される。これにより、第2待機位置フラグが電源投入後まもなくONとなり、第2待機位置フラグによって管理される枠可動体600の位置情報が正しくなる。
[変動画像演出処理(ラウンド画像演出処理)]変動画像演出処理(S8104)とラウンド画像演出処理(S8108)とは、処理の流れが同じであるため、図52に基づいてまとめて説明する。図52に示すように、まず枠可動体駆動ありの演出かどうかを判定する(S8301)。具体的には、変動画像演出処理(S8104)では、SPリーチ発展時および装飾図柄の最終停止時の少なくともいずれかのタイミングに上記駆動演出(第1駆動演出,第2駆動演出)を含む変動演出であるかどうかを判定する。また、ラウンド画像演出処理(S8108)では、上述の特定ラウンド(具体的には11R)のラウンド遊技のタイミングに上記駆動演出を含むラウンド演出であるかどうかを判定する。
枠可動体駆動ありの演出、つまり上記駆動演出を含んだ演出である場合には(S8301でYES)、続いて第2待機位置フラグがONであるか否かを判定する(S8302)。第2待機位置フラグがONの場合には(S8302でYES)、報知テロップTPの表示を伴う第1画像演出を選択して(S8303)、その第1画像演出および報知テロップTPの表示に関する画像データをセットする(S8306)。具体的には、変動画像演出処理(S8104)では、変動演出用の画像演出のうち、枠可動体600の駆動演出に対応した画像演出が第1画像演出に該当する。また、ラウンド画像演出処理(S8108)では、ラウンド演出用の画像演出のうち、枠可動体600の駆動演出に対応した画像演出が第1画像演出に該当する。第1画像演出は、所定の演出に相当する。
また、報知テロップTPとは、枠可動体600が駆動される旨を報知するための画像である。具体的には、図56(a)に示すように、表示画面7aの左端および右端に配置された帯状の画像である。報知テロップには、縦書きで「召喚中」の文字列と、この文字列「召喚中」の上方に位置する、下方から上方に向かう矢印とを含んでいる。文字列および矢印はともに表示画面7aの下方から上方に移動する。このため、表示画面7a上に報知テロップTPが表示されると、遊技機枠50の上縁50U付近に枠可動体600が駆動していることを報知可能である。つまり本形態では、報知テロップTPを表示することで、枠可動体600の駆動報知を行っている。
また、ステップS8306でセットされると、画像表示装置7の表示画面7aには、枠可動体600の駆動にあわせて、上記報知テロップTPの表示を伴う第1画像演出が実行されることになる。
一方、第2待機位置フラグがONでない場合(S8302でNO)、つまり第2待機位置フラグがOFFの場合には、上述した報知テロップTPの表示を伴わない第1画像演出を選択して(S8304)、その第1画像演出に関する画像データをセットする(S8306)。これにより、画像表示装置7の表示画面7aには、報知テロップTPの表示を伴わない第1画像演出が実行されることになる。
なお、枠可動体駆動ありの演出でない場合には(S8301でNO)、第2画像演出を選択して(S8305)、その第2画像演出に関する画像データをセットする(S8306)。具体的には、変動画像演出処理(S8104)では、変動演出用の画像演出のうち、枠可動体600の駆動演出に対応していない(つまり、駆動演出に無関係な)画像演出が第2画像演出に該当する。また、ラウンド画像演出処理(S8108)では、ラウンド演出用の画像演出のうち、枠可動体600の駆動演出に対応していない画像演出が第2画像演出に該当する。これにより、画像表示装置7の表示画面7aには、第2画像演出が実行される。
[オープニング画像演出処理]図53に示すように、オープニング画像演出処理では、まず最終的な装飾図柄の種類が金図柄であるか否かを判定する(S8401)。金図柄である場合には(S8401でYES)、続いて第2待機位置フラグがONであるか否かを判定する(S8402)。第2待機位置フラグがONの場合には(S8402でYES)、オープニング演出の画像演出として、金図柄に対応した表示内容に報知テロップTPの表示を伴った第3画像演出を選択する(S8403)。第3画像演出は、所定の演出に相当する。その後ステップS8306に進んで、その第3画像演出および報知テロップTPに関する画像データをセットする。これにより、画像表示装置7の表示画面7a上では、図56(a)に示すような、上記報知テロップTPの表示を伴う第3画像演出が実行される。なお第3画像演出は、図56(a)に示す「金図柄大当たり」の文字列を含んだ画像である。また報知テロップTPの表示は、枠可動体600の駆動のタイミングにあわせて実行される。
一方、第2待機位置フラグがONでない場合(S8402でNO)、つまり第2待機位置フラグがOFFの場合には、オープニング演出の画像演出として、金図柄に対応した内容に報知テロップTPの表示を伴っていない第3画像演出を選択する(S8404)。その後ステップS8306に進んで、その第3画像演出に関する画像データをセットする。これにより、図56(b)に示すような、上記報知テロップTPの表示を伴わない第3画像演出が実行される。
本形態では、上述したように、金図柄で大当たり当選が報知された場合には、オープニング演出でVロング大当たりであるのを遊技者に示すべく、オープニング演出で枠可動体600を動作位置に位置させる。なおオープニング演出の開始時には、枠可動体600が動作位置にも待機位置にもあり得るため、本オープニング画像演出処理では、オープニング演出における画像演出(第3画像演出)に、報知テロップTPの表示を伴うようにしている。即ち、演出制御用マイコン91からオープニング演出開始コマンドを受信した画像制御基板100のCPU102は、上記ステップS8401でYESの時点で、第3画像演出に報知テロップTPの表示を伴う設定になっている。これにより、オープニング演出の開始時に枠可動体600がどの位置でも一律の処理を行うことが可能であり、処理を簡素化することが可能である。
しかしながら、仮に上記ステップS8402の処理(判定)がない遊技機では、画像制御基板100のCPU102が演出制御用マイコン91からオープニング演出開始コマンドを受信した場合には、そのときの枠可動体600がどの位置であっても報知テロップTPが表示されてしまう。即ち、枠可動体600が待機位置にないときに画像制御基板100のCPU102がオープニング演出開始コマンドを受信した場合には、枠可動体600が待機位置にないため第1駆動演出が実行されないのに対し、報知テロップが表示されてしまう。つまり、報知テロップが第1駆動演出の実行を伴わずに表示されてしまう。
これに対し本形態では、ステップS8402の処理で第2待機位置フラグがONか否かを判定する。そして、第2待機位置フラグがON、つまり枠可動体600の位置情報に基づき、枠可動体600が待機位置にあると判定した場合には、第1駆動演出が可能なため、報知テロップTPの表示を伴う第3画像演出を選択する。一方、第2待機位置フラグがOFF、つまり枠可動体600の位置情報に基づき、枠可動体600が待機位置にないと判定した場合には、第1駆動演出の実行が不可能なため、報知テロップTPの表示を伴わない第3画像演出を選択する。これにより、第1駆動演出が実行されないのに報知テロップが実行されるのを防ぐことが可能である。
なお、最終的な装飾図柄の種類が金図柄でない場合(S8401でNO)、つまり銀図柄である場合には、オープニング演出の画像演出として、銀図柄に対応した内容の第4画像演出を選択する(S8305)。その後ステップS8306に進んで、その第4画像演出に関する画像データをセットする。これにより、画像表示装置7の表示画面7aには、銀図柄に対応した表示内容の第4画像演出が実行される。
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1では、画像制御基板100のCPU102が演出制御用マイコン91から第1変位コマンドおよび第2変位コマンドを受信する。そして、第1変位コマンドおよび第2変位コマンドに基づいて、枠可動体600の位置情報を更新する。このため、第2待機位置フラグを用いて枠可動体600の位置情報を管理することが可能である。よって、枠可動体600が待機位置になく第1駆動演出が実行されない場合に、画像表示装置7の表示画面7a上に報知テロップTPが表示されてしまうのを防ぐことが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、枠可動体600が遊技機枠50に設けられているため、パチンコ遊技機1全体で高い演出効果を発揮可能となっている。しかも枠可動体600の駆動時にはそのことを報知する駆動報知が実行されるため、遊技者が気付かずにその演出効果が十分に発揮されない事態を防止することが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、枠可動体600が遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に変位するものであるため、枠可動体600の変位によって遊技者に強いインパクトを与えることが可能である。しかも、枠可動体600が仮想鉛直面よりも前方に傾斜した仮想前方傾斜面(取付プレート621の背面621bに平行な面)に略沿って変位するものであるため、枠可動体600がホールにおいてパチンコ遊技機1の上方に設置されたデータカウンタ150と干渉するのを防止することが可能である。
ところで、遊技者が操作可能な操作部の操作に基づいて、枠可動体600を動作位置から待機位置に復帰させる制御(可動体復帰制御)を実行可能な遊技機では、可動体復帰ボタン323の操作(押圧)によって遊技者が任意に枠可動体600を待機位置に戻すことが可能である。但し、このような遊技機では、遊技の進行中のある時点において枠可動体600がどちらの位置にあるのかを予め特定したうえで報知テロップTPを表示させるような実行プログラムを組むのは難しい。
しかし、本形態のパチンコ遊技機1では、第2待機位置フラグを用いた枠可動体600の位置情報に基づき、報知テロップTPを表示するか否か決める。このため、遊技者による可動体復帰ボタン323の任意操作という外部要因によって、枠可動体600の位置が待機位置に変更されるとしても、枠可動体600の駆動動作にあった報知テロップTPを表示することが可能である。
なお、枠可動体600が動作位置においてホール内のパチンコ遊技機1の上方に設置された上方設置物(データカウンタ150)と遊技者との間に位置し得るものであれば、データカウンタ150の視認が困難となることがあり得る。しかし、本形態のパチンコ遊技機1では、可動体復帰ボタン323を操作することにより、動作位置にある枠可動体600を待機位置に復帰させることが可能であるため、データカウンタ150が視認困難となってもそれを解消することが可能である。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記の第1形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
上記第1形態では、演出制御用マイコン91を第1演出制御手段とし、画像制御基板100のCPU102を第2演出制御手段とした。しかしながら、例えば、サブ制御基板(演出制御基板)90以外の基板に設けたCPUや、サブ制御基板90上に設けられた演出制御用マイコン91以外のCPUを第1演出制御手段としてもよい。このような場合、第2演出制御手段としては第1演出制御手段以外のCPU(マイコン)が挙げられる。
また上記第1形態では、遊技機枠50の上部に設けた枠可動体600を示した。しかしながら、遊技機枠50の上部以外の位置に演出用可動体を設けてもよい。つまり、上側装飾ユニット200以外の他のユニット(左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220、又は操作機構ユニット230)に枠可動体600を設けてもよい。また、遊技機枠50に配置した枠可動体600を演出用可動体としたが、遊技機枠50以外に配置した可動体(例えば、センター装飾体10の上部に設けた盤可動体15や、遊技盤に設けた可動体)を演出用可動体としてもよい。
また上記第1形態では、変動演出のSPリーチへの発展時における枠可動体600の駆動に関し、枠可動体600をSPリーチへの発展時に待機位置から動作位置に変位させて、その後、動作位置から待機位置に変位させるものとした。しかしながら、SPリーチへの発展時に枠可動体600を待機位置から動作位置に変位させ、その変位後から変動演出が終了するまでの間、動作位置に位置させるものとしてもよい。
なお、このような形態の遊技機において、変動演出の変動演出パターンに、SPリーチへの発展時にも装飾図柄の最終的な停止表示時にも枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行される変動演出パターンが選択された場合には、装飾図柄の最終的な停止表示時に枠可動体600が動作位置にあることになる。よってこの場合、装飾図柄の最終的な停止表示時には、上記の第1形態に示す変動画像演出処理(図52)のステップS8302でNOと判定されることになるので、駆動報知に用いるための報知テロップTPを伴わない画像演出(第1画像演出)が変動画像演出として選択されることになる。
一方、変動演出の変動演出パターンに、SPリーチへの発展時には枠可動体600の駆動を伴わないが、装飾図柄の最終的な停止表示時には枠可動体600の駆動を伴う変動演出が実行される変動演出パターンが選択された場合には、装飾図柄の最終的な停止表示時に枠可動体600が待機位置にあることになる。よってこの場合、装飾図柄の最終的な停止表示時には、変動画像演出処理(図52)のステップS8302でYESと判定されることになるので、報知テロップTPを伴う画像演出が選択されることになる。
かくして、このような形態の遊技機は、上記第1形態に示したオープニング演出に加え変動演出においても、枠可動体600が待機位置にある場合には駆動報知を実行し、待機位置にない場合には駆動報知を実行しない構成となっている。よって、装飾図柄の最終的な停止表示時に第1駆動演出の実行がない場合に、報知テロップTP(駆動報知)が実行されてしまうのを防ぐことが可能である。
また、上記第1形態に示すエンディング演出選択処理(図44)のステップS5806でYESと判定した後、ステップS5807の実行前に、特図保留(好ましくは第2特図保留)の中に事前判定結果が大当たりであると判定されているものがあるか否かを判定する。そして、そのような特図保留がある場合には、退避駆動データをセットしない(即ち、S5807の処理を実行しない)ようにしてもよい。つまり、大当たり遊技のエンディングが開始されても、演出用可動体を待機位置に復帰させないようにしてもよい。このような形態にすれば、いわゆる「保留連」がある場合には複数の大当たり遊技にわたって演出用可動体が動作位置に位置し続けることとなるため、演出用可動体を用いた演出の演出効果をさらに向上させ、大当たり遊技の興趣性を一層高めることが可能となる。
なお、このような形態の遊技機において、保留連による大当たり遊技の開始前の変動演出で枠可動体600の駆動を伴う場合があり得る。しかし、この変動演出中も演出用可動体が動作位置に位置し続けることとなるため、変動画像演出処理(図52)のステップS8302でNOと判定し、報知テロップTPを伴わない画像演出が選択されることになる。かくして、このような形態の遊技機では、保留連による大当たり遊技の開始前に、報知テロップTP(駆動報知)が実行されてしまうのを防ぐことが可能である。
また上記第1形態では、所定の演出と可動体駆動演出とを含む特定演出を、変動演出、オープニング演出およびラウンド演出にそれぞれ設けた。しかしながら、変動演出、オープニング演出およびラウンド演出のうちの1つ又は2つの演出に特定演出を設けてもよい。また、変動演出、オープニング演出およびラウンド演出以外の演出(例えば、エンディング演出やV通過報知演出)に特定演出を設けてもよい。
また、第1駆動演出を伴う変動演出では、SPリーチへの発展時および装飾図柄の最終的な停止表示時の少なくともいずれかを第1駆動演出の実行タイミングとした。しかしながら、SPリーチへの発展時および装飾図柄の最終的な停止表示時以外の変動演出中のタイミングを第1駆動演出(可動体駆動演出)の実行タイミングとしてもよい。また、第1駆動演出を伴うオープニング演出では、オープニング演出の開始時を上記実行タイミングとしたが、開始時以外のオープニング演出中のタイミングでもよい。
また上記第1形態では、第1画像演出および第3画像演出の実行と同じく、画像表示装置7を用いて、駆動報知である報知テロップTPの表示を行った。つまり、所定の演出手段である画像表示装置7を用いて駆動報知を実行する遊技機を示した。しかしながら、画像表示装置7に代えて、ランプ類(盤ランプ5,枠ランプ66)やスピーカ67といった装置を用いて駆動報知を実行してもよい。つまり、所定の演出手段とは異なる他の演出手段(ランプ類やスピーカ67)を駆動報知の実行に用いてもよい。なお、他の演出手段がランプ類の場合には、盤ランプ5および枠ランプ66の少なくともいずれかのランプを用いた所定の点灯態様で駆動報知を実行する。具体的には例えば、遊技盤上に上下方向に並ぶ複数のLEDからなる盤ランプを用いる。そして、下から上へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様で報知する。また、他の演出手段がスピーカ67の場合には、スピーカ67から出力する音声にて駆動報知を実行する。具体的には例えば、「上を見ろ」等の、遊技機枠の上縁付近を見るよう遊技者に促す内容のアナウンスや、効果音をスピーカ67から出力して報知する。
また上記第1形態では、可動体復帰ボタン323の操作によって枠可動体600を動作位置から待機位置に変位(復帰)させた直後でも、枠可動体600の駆動に関して制約を設けていない遊技機を示した。しかしながら、可動体復帰ボタン323(操作部)の操作による枠可動体600(演出用可動体)の復帰後から所定の期間(例えば10秒間)の間、第1駆動演出の実行を禁止する構成としてもよい。このような構成として、例えば、上記第1形態に示す枠可動体任意駆動処理(図48)の上記ステップS7303の後に、所定の時間をタイマの値にセットする処理を加える。また、タイマの値をカウントダウンするべく、サブ側タイマ割り込み処理(図39)にそのタイマの値を減算する処理を加える。そうした上で、当該タイマの値が「0」になるまでは、サブ側タイマ割り込み処理(図39)のステップS4306の処理にて第1駆動演出の実行を禁止するようにする。このような構成によれば、枠可動体600を待機位置に復帰させるべく可動体復帰ボタン323を操作した遊技者の意思を反映させることが可能である。
また上記第1形態では、枠可動体600(演出用可動体)の位置を示す検知信号に、枠可動体600の待機位置を検知する第1フォトセンサ531L,531Rの検知信号を用いた構成を示した。しかしながら、待機位置を検知する第1フォトセンサ531L,531Rの検知信号に代えて、例えば、枠可動体600の動作位置を検知する上記第2フォトセンサ532L,532Rの検知信号を用いた構成としてもよい。上記第1形態で述べたように、第2フォトセンサ532L,532Rは、枠可動体600が回転動作位置にあることを示す検知信号と、枠可動体600が回転動作位置にないことを示す検知信号とを出力する。なお図9(A)(C)によれば、第2フォトセンサ532L,532Rは、枠可動体600が回転動作位置にあることを示す検知信号を出力することで、枠可動体600が回転待機位置にないことを示すとともに、枠可動体600が回転動作位置にないことを示す検知信号を出力することで、枠可動体600が回転待機位置にあることを示すことが可能となっている。つまり、枠可動体600に関し、回転待機位置にないことが回転動作位置にあることに、また、回転待機位置にあることが回転動作位置にないことにそれぞれ対応している。よって、上記構成とした場合、上記第1形態に示す枠可動体位置検知処理(図47)を下記の処理に変更する。即ちステップS7202の処理で、第2フォトセンサ532L,532Rが動作位置の枠可動体600を検知している場合(S7202でYES)、つまり枠可動体600が動作位置にあることを示す検知信号を出力している場合にステップS7203に進むようにする。またステップS7205の処理で、第2フォトセンサ532L,532Rが動作位置の枠可動体600を検知していない場合(S7202でNO)、つまり枠可動体600が動作位置にないことを示す検知信号を出力している場合にステップS7206に進むようにする。
また上記第1形態では、枠可動体位置検知処理(図46)にて、第1待機位置フラグがOFFで(S7201でNO)、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知した場合(S7205でYES)には、枠可動体600の待機位置への変位(復帰)を示す第2変位コマンド(位置通知信号,復帰通知信号)をセットする。さらに、第1待機位置フラグがONで(S7201でYES)、第1フォトセンサ531L,531Rが待機位置の枠可動体600を検知しない場合(S7202でNO)には、枠可動体600の動作位置への変位を示す第1変位コマンドをセットする構成を示した。しかしながら、少なくとも演出用可動体の待機位置への復帰を示す復帰通知信号を画像制御基板100に出力する構成であればよく、例えば、第1変位コマンドをセットする処理がない構成としてもよい。なおこの構成として、第1変位コマンドに代えて、例えば、枠可動体600の駆動演出とともに実行される所定の演出のための特定の制御信号を演出制御用マイコン91(第1演出制御手段)から受信したときに、第2待機位置フラグをOFFする構成が挙げられる。つまり、第2演出制御手段は、位置通知信号としての復帰通知信号(第2変位コマンド)と、特定の制御信号とを用いて、枠可動体600の位置情報を更新してもよい。
また上記第1形態では、枠可動体600が待機位置にあるかどうかを管理するための第1待機位置フラグを演出制御用マイコン91に設けた。しかしながら、枠可動体600(演出用可動体)が動作位置にあるかどうかを管理するためのフラグ(例えば、第1動作位置フラグ)を設けてもよい。この場合、第1動作位置フラグがONとは、枠可動体600が動作位置にあることを指し、第1動作位置フラグがOFFとは、枠可動体600が動作位置にないことを指すようにする。また、このようなフラグ(第1動作位置フラグ)を、第1待機位置フラグの代わりに設けても、また、第1待機位置フラグとともに設けてもよい。
また、枠可動体600が待機位置にあるかどうかを管理するための第2待機位置フラグを画像制御基板100に設けた。しかしながら、枠可動体600が動作位置にあるかどうかを管理するためのフラグ(例えば、第2動作位置フラグ)を設けてもよい。このようなフラグ(第2動作位置フラグ)を、第2待機位置フラグの代わりに設けても、また、第2待機位置フラグとともに設けてもよい。
また上記第1形態では、複数の可動体(左側可動体600Lと右側可動体600R)により構成された枠可動体600を示したが、単一の可動体から構成されるものであってもよい。また、待機位置にある枠可動体600が内側カバー400内に収容された形態を示した。しかしながら、待機位置にある枠可動体600(演出用可動体)の一部が内側カバー400内に収容されずに露出していてもよい。
また上記第1形態では、枠可動体600は、ホールにおけるデータカウンタ150との干渉回避のため、前方に向かって斜め上方に傾斜した仮想前方傾斜面に略沿って変位するよう構成したが、枠可動体600の大きさ等の条件により、データカウンタ150等のホール設置物(上方設置物)との干渉のおそれがない場合には、鉛直方向に沿って移動するものや、待機位置よりも動作位置が後方にあるものでもよい。
また上記第1形態では、可動体復帰ボタン323の操作説明の画像(図55参照)をエンディング演出として表示画面7aに表示したが、客待ち演出や、オープニング演出、変動演出に伴う予告演出等、他の表示タイミングで表示画面7aに表示してもよい。
なお、上記した実施の形態には、以下の〈A〉,〈B〉,〈C〉および〈D〉の発明が示されている。以下に記す発明の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
〈A〉本発明に係る遊技機は、
所定の待機位置から動作位置へと変位可能な演出用可動体(枠可動体600)と、
前記演出用可動体を前記待機位置から前記動作位置へと変位させる可動体駆動演出(第1駆動演出)を少なくとも実行可能な第1演出制御手段(演出制御用マイコン91)と、
前記第1演出制御手段からの出力信号を受信可能な第2演出制御手段(画像制御基板100のCPU102)と、
前記第2演出制御手段によって制御される演出手段(画像表示装置7)と、を備え、
前記第1演出制御手段は、
所定の演出選択条件の成立に基づいて、前記演出手段を用いた所定の演出(第1画像演出又は第3画像演出)と前記可動体駆動演出とを含む特定演出(第1駆動演出を伴う変動演出、第1駆動演出を伴うオープニング演出、又は、第1駆動演出を伴うラウンド演出)を行うか否かを決定する演出決定手段(ステップS4402、S4406又はS4408の処理を行う演出制御用マイコン91)と、
前記特定演出を実行すると決定されると、前記演出用可動体が待機位置と動作位置のいずれにあるかにかかわらず、前記所定の演出を行わせるための特定の制御信号(第1画像演出を開始させるための変動演出開始コマンド、第3画像演出を開始させるためのオープニング演出開始コマンド、又は、第1画像演出を開始させるためのラウンド演出開始コマンド)を前記第2演出制御手段に出力する制御信号出力手段(ステップS4705、S5503又はS5709の処理を行う演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記特定演出における予め定められた実行タイミングで前記可動体駆動演出を実行可能なものであり、
前記第2演出制御手段は、
前記特定の制御信号を受信すると、前記所定の演出を前記演出手段に実行させるとともに、
前記実行タイミングにあわせて前記演出用可動体が駆動される旨を報知する駆動報知を前記演出手段又はこれとは異なる他の演出手段に実行させ得るものである遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記第1演出制御手段は、
前記演出用可動体の位置を示す検知信号(第1フォトセンサ531L,531Rからの出力信号)を取得可能な検知信号取得手段(ステップS7205の処理を行う演出制御用マイコン91)と、
取得した前記検知信号が示す位置を通知する位置通知信号(第2変位コマンド)を、前記第2演出制御手段に出力する位置通知信号出力手段(ステップS7206の処理を行う演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記第2演出制御手段は、
前記位置通知信号出力手段から受信した位置通知信号に基づいて前記演出用可動体の位置情報を更新する位置情報更新手段(ステップS8203の処理を行う画像制御基板100のCPU102)と、
前記位置情報更新手段によって更新される位置情報に基づいて前記演出用可動体の位置を判定可能な位置判定手段(ステップS8302又はS8402の処理を行う画像制御基板100のCPU102)と、を備え、
前記特定の制御信号を受信した場合に、前記位置判定手段により前記演出用可動体が待機位置にあると判定されると前記駆動報知を行う一方、前記待機位置にないと判定されると前記駆動報知を行わないものであることを特徴とする遊技機である。
先行技術文献として挙げた特開2013−59691号公報に記載の遊技機のような可動体駆動演出を実行する遊技機では、全体の演出を統括して制御する第1演出制御手段が演出用可動体の駆動を制御し、その第1演出制御手段からの出力信号を受信可能な第2演出制御手段が画像表示装置等の演出手段の制御を行っている。よって第1演出制御手段が、例えば上記変動演出等の所定の演出と可動体駆動演出とを含んだ演出(特定演出)の実行を決定した場合には、第1演出制御手段は、演出手段を用いて所定の演出を実行させるための特定の制御信号を第2演出制御手段に出力するとともに、特定演出における予め定められた実行タイミングで可動体駆動演出を実行する。そして、第2演出制御手段は、第1演出制御手段から特定の制御信号を受信すると、所定の演出を演出手段に実行させることとなる。
ここで、上記のような遊技機において、可動体駆動演出にあわせて演出用可動体が駆動するのを報知する駆動報知を実行し得る構成とすることが考えられる。具体的には、特定の制御信号を受信した第2演出制御手段が、可動体駆動演出の実行タイミングにあわせて演出手段(又はこれとは異なる他の演出手段)に駆動報知を実行させる構成とすることが考えられる。このような遊技機では、駆動報知を通じて、可動体駆動演出を遊技者に注目(認識)させることが可能となる。
しかしながら、このような遊技機では、第2演出制御手段が第1演出制御手段から特定の制御信号を受信した場合には、そのときの演出用可動体がどの位置であっても駆動報知が実行されてしまう。具体的には、演出用可動体が待機位置にあるときに第2演出制御手段が特定の制御信号を受信した場合には、第2演出制御手段は、可動体駆動演出にあわせて駆動報知を実行することとなり、問題ない。しかし、演出用可動体が待機位置にないときに第2演出制御手段が特定の制御信号を受信した場合には、演出用可動体が待機位置になく可動体駆動演出が実行されないのに、第2演出制御手段は、駆動報知を実行してしまうこととなる。
これに対し、上記構成の遊技機によれば、第2演出制御手段が第1演出制御手段から位置通知信号を受信するため、第2演出制御手段は演出用可動体の位置情報を管理することが可能である。よって、演出用可動体が待機位置になく可動体駆動演出が実行されない場合に駆動報知が実行されてしまうのを防ぐことが可能である。
〈B〉上記構成の遊技機を次のように構成するとよい。
枠状の基枠部(外枠51)と前記基枠部の前面側に位置する前枠部(前枠53)とを含む遊技機枠(50)を備え、
前記演出用可動体は、前記遊技機枠に設けられていることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、演出用可動体が遊技機枠に設けられているため、遊技機全体で高い演出効果を発揮可能である。しかも演出用可動体の駆動時にはそのことを報知する駆動報知が実行されるため、遊技者が気付かずにその演出効果が十分に発揮されない事態を防止可能である。
〈C〉上記構成の遊技機を次のように構成するとよい。
前記演出用可動体は、
前記動作位置にあるときには少なくとも一部が前記遊技機枠の上下左右の枠縁(上縁50U,下縁50D,左縁50L,右縁50R)のうちの上縁(50U)よりも上方に位置するものであり、
仮想鉛直面よりも前方に傾斜した仮想前方傾斜面に略沿って変位するものであることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、演出用可動体が遊技機枠の枠縁のうちの上縁よりも上方に変位するものであるため、演出用可動体の変位によって遊技者に強いインパクトを与えることが可能である。しかも、演出用可動体が仮想鉛直面よりも前方に傾斜した仮想前方傾斜面に略沿って変位するものであるため、演出用可動体がホールにおいて遊技機の上方に設置された上方設置物(例えばデータカウンタや遊技説明書など)と干渉するのを防止することが可能である。
〈D〉上記構成の遊技機を次のように構成するとよい。
遊技者が操作可能な操作部(可動体復帰ボタン323)を備え、
前記第1演出制御手段は、
前記演出用可動体が前記動作位置にあるときに前記操作部の操作があった場合には、その操作に基づいて、前記演出用可動体を動作位置から待機位置に復帰させる可動体復帰制御を実行可能なものであることを特徴とする遊技機。
遊技者が操作可能な操作部の操作に基づいて、演出用可動体を動作位置から待機位置に復帰させる可動体復帰制御を実行可能な遊技機では、操作部の操作によって遊技者が任意に演出用可動体を待機位置に戻すことが可能である。但し、このような遊技機では、遊技の進行中のある時点において演出用可動体がどちらの位置にあるのかを予め特定したうえで駆動報知の実行プログラムを組むのは難しい。上記構成の遊技機によれば、第2演出制御手段が演出用可動体の位置情報に基づいて駆動報知を行うか否か決めるので、遊技者による任意操作という外部要因によって演出用可動体の位置が変更されるとしても、演出用可動体の駆動動作に合った駆動報知を行うことが可能である。
なお、本発明の「所定の演出選択条件」とは、上記第1形態では、遊技制御用マイコン81から各種演出の実行に関するコマンドを受信することである。具体的には、特定演出が第1駆動演出を伴う変動演出であれば、遊技制御用マイコン81から変動開始コマンドを受信することである。また、特定演出が第1駆動演出を伴うオープニング演出であれば、遊技制御用マイコン81からオープニングコマンドを受信することである。また、特定演出が第1駆動演出を伴うラウンド演出であれば、遊技制御用マイコン81からラウンド指定コマンドを受信することである。