JP2017068344A - ガス警報器 - Google Patents

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康介 柏谷
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【課題】ガス警報器が正常なガス警報を行えなくなるのを抑制することが可能なガス警報器を提供する。【解決手段】このガス警報器100は、電池11の電力により動作するガス警報器100であって、ガス検出部1と、ガス検出部1の出力値が警報しきい値に達した際に警報を出力する警報部4と、電池11の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、低電圧になった場合の所定期間におけるガス検出部1の計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する制御部2とを備える。【選択図】図1

Description

この発明は、ガス警報器に関し、特に、電池の電力により動作するガス警報器に関する。
従来、電池の電力により動作するガス警報器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、金属酸化物半導体をヒータにより加熱することにより、ガス(CO)を検出するガスセンサを備えるガス警報器が開示されている。このガス警報器は、電池の電力により動作するように構成されている。このガス警報器では、警報が出力されるCOの濃度の下限値における金属酸化物半導体のセンサ抵抗(センサ抵抗はCOの濃度に反比例)が、アラームレベル(警報レベル)としての基準レベル(STD)に初期設定されている。このガス警報器では、実際に計測されたセンサ抵抗Rs(計測出力値)と基準レベルとの比(Rs/STD)が10以下および5以下である状態(センサ抵抗Rsが低い状態)が24時間継続した場合に、それぞれ、STDに0.8および0.64を乗じた警報レベルの補正値(0.8×STDおよび0.64×STD)を算出し、計測されたセンサ抵抗Rsが算出した警報レベルの補正値以下にまで低下した場合に、警報を出力するように構成されている。
このように、上記特許文献1のガス警報器は、センサ抵抗Rsが低い状態が継続した場合には警報が発せられにくくすることにより、ガス警報器において誤報が生じるのを抑制している。また、Rs/STDが10以下および5以下の各状態(警報レベル(0.8×STDおよび0.64×STD))から、それぞれ、Rs/STDが10以上および5以上になった場合には、即時に警報レベルの補正値を元の警報レベル(補正前の警報レベル)に戻すように構成されている。このガス警報器では、上記の制御によって、ガス警報器を設置してから長期間経過した際に、雑ガス(検出対象ガス以外のガス)に起因したガス警報器による誤報を抑制している。
特許第3750995号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のガス警報器では、ガス警報器を設置してから長期間経過した際に、雑ガス(検出対象ガス以外のガス)に起因したガス警報器による誤報を抑制する制御は行うものの、電池電圧が通常起動電圧より小さい電圧にまで低下した際には、制御部(マイコン)に供給される電圧が低くなったことに起因して、ガス警報器が正常なガス警報を行えなくなるおそれがある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ガス警報器が正常なガス警報を行えなくなるのを抑制することが可能なガス警報器を提供することである。
この発明の一の局面によるガス警報器は、電池の電力により動作するガス警報器であって、ガス検出部と、ガス検出部の出力値が警報しきい値に達した際に警報を出力する警報部と、電池の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、低電圧になった場合の所定期間におけるガス検出部の計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する制御部とを備える。なお、通常起動電圧とは、制御部が正常に動作する電圧を意味する概念である。終止電圧とは、ガス警報器が実質的に動作を停止する電圧を意味する概念である。
この発明の一の局面によるガス警報器では、上記のように、電池の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、低電圧になった場合の所定期間におけるガス検出部の計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する制御部を設ける。これにより、電池電圧が低電圧にまで低下した際に制御部に供給される電圧が低くなった状態でも、その状態に適するように警報しきい値を補正することができる。その結果、電池電圧が通常起動電圧より小さい電圧にまで低下した際にも、正常なガス警報を行うことができるので、制御部に供給される電圧が低くなったことに起因して、ガス警報器が正常なガス警報を行えなくなるのを抑制することができる。
上記一の局面によるガス警報器において、好ましくは、制御部は、所定期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値に、初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分値である所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、電池電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態に適するように警報しきい値を補正する際の制御処理を簡素化することができる。これにより、ガス警報器の置かれている環境に適した補正後の警報しきい値を迅速に設定することができるので、正常なガス警報を適切に行うことができる。
上記一の局面によるガス警報器において、好ましくは、制御部は、所定期間における最低計測出力値が所定の上限値より小さい場合には、所定期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行い、所定期間における最低計測出力値が上限値以上の場合には、上限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、警報しきい値が大きすぎる値に補正されてしまったことにより、本来ガス警報を行うべきガス濃度(ガス警報を行う必要がある高いガス濃度)においてガス警報が行えなくなってしまうのを抑制することができる。その結果、電池電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態により適した値に警報しきい値を補正することができる。
上記一の局面によるガス警報器において、好ましくは、制御部は、所定期間における最低計測出力値が所定の下限値より大きい場合には、所定期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行い、所定期間における最低計測出力値が下限値以下の場合には、下限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、下限値以下の計測出力値に基づいて警報しきい値が小さすぎる値に補正されてしまったことにより、本来ガス警報を行うべきでないガス濃度(ガス警報を行う必要がない低いガス濃度)においてガス警報が行われてしまうのを抑制することができる。その結果、電池電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態により適した値に警報しきい値を補正することができる。
上記一の局面によるガス警報器において、好ましくは、制御部は、電池の電圧が通常起動電圧以上である場合には、第1期間毎に、警報しきい値を補正する第1制御を行うことにより警報しきい値を補正し、電池の電圧が低電圧になった場合には、第1期間より短い所定期間である第2期間毎に、低電圧になった場合の第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する第2制御を行うことにより警報しきい値を補正するように構成されている。このように構成すれば、電池の電圧が通常起動電圧よりも低電圧になった場合に、通常よりも短い時間間隔で警報しきい値を補正することができる。また、一般的には、通常起動電圧以上の場合よりも、低電圧の場合の方が電圧の低下速度が速くなるので、電池電圧が低電圧にまで低下した際にその状態に適した警報しきい値に効果的に補正することができる。これにより、ガス警報器の電池の状態により適した、正常なガス警報を適切に行うことができる。
本発明によれば、上記のように、ガス警報器が正常なガス警報を行えなくなるのを抑制することができる。
本発明の一実施形態によるガス警報器の構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器のガス検出部のメタンガス濃度に対する計測出力値の関係を示した図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器の電池の電圧変化に対する補正された警報しきい値を説明するための図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器の警報しきい値補正処理を示したフロー図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器の第1制御(ステップS6)の詳細を示したフロー図である。 図5に示した第1制御のステップS20の詳細を示したフロー図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器の第2制御(ステップS7)の詳細を示したフロー図である。 本発明の一実施形態によるガス警報器の検定試験用の処理を示したフロー図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態によるによるガス警報器100の構成について説明する。
(ガス警報器の全体構成)
図1に示すガス警報器100は、燃料ガス(都市ガス)に主成分として含まれるメタンガスを検出するとともに、警報を出力することによって、ガス漏れをユーザに対して報知するガス警報器である。このガス警報器100は、ガス検出部1と、制御部2と、記憶部3と、警報部4とを備えている。ガス警報器100は、収容されている電池11の電力により動作するように構成されている。電池11の電圧は、所定の時間間隔で、制御部2により取得される(監視されている)。
制御部2は、CPUを含んでいる。制御部2は、記憶部3に記憶された動作プログラムを実行することにより、ガス警報器100全体を制御するように構成されている。また、制御部2は、約30秒毎に、ガス検出部1から計測出力値(電圧値)を取得するとともに、計測出力値が警報しきい値に達したと判断した場合(ガス警報時)に、警報を出力する制御(警報出力制御)を行うように構成されている。なお、制御部2については、後で詳細に説明する。
記憶部3には、制御部2が制御処理を行うための動作プログラムが記憶されている。さらに、記憶部3は、計測出力値、後述する基準出力値、後述する警報しきい値、更新(補正)された基準出力値および更新(補正)された後述する警報しきい値などが記憶されるように構成されている。
警報部4は、スピーカ4aおよびランプ4bを含んでいる。警報部4は、ガス検出部1の出力値が警報しきい値に達した際に警報を出力するように構成されている。警報部4は、制御部2による制御に基づいて、メタンガスが所定の濃度を超えたことを報知する警報を警報部4から出力するように構成されている。詳細には、警報部4は、警報時において、スピーカ4aから所定のブザー音を出力するとともに、ランプ4bにおいて所定の色のランプを点灯することによって、ユーザに対して警報を報知する。なお、警報時には、スピーカ4aから、所定のブザー音のほか、各種の音声メッセージを出力させるように警報部4を構成してもよい。
(ガス検出部の構成)
ガス検出部1は、たとえば、半導体式ガス検知素子から構成されている。ガス検出部1は、半導体表面でのメタンガスの吸着に応じて電気伝導度が変化することを利用して、メタンガス濃度を検出するように構成されている。ガス検出部1は、制御部2の制御により、約0.1秒だけ約500℃に加熱されるように構成されており、制御部2は、この際のガス検出部1からの出力電圧を計測出力値として取得するように構成されている。なお、ガス検出部1に、メタンガスを検出するガスセンサ以外に、COガスやプロパンガスなどを検出するガスセンサを設けてもよい。また、ガス検出部1を、複数のガスの検出が可能なように構成することによって、メタンガスとメタンガス以外のガスとの検出を行うように構成してもよい。
ガス検出部1は、図2に示すような出力特性を有している。つまり、ガス検出部1は、メタンガス濃度(横軸)が大きくなるのに伴い、半導体の電気伝導度が対数関数的に大きくなるように構成されていることによって、ガス検出部1から出力される計測出力値(電圧値、縦軸)が対数関数的に増加するような出力特性を有している。なお、「メタンガス濃度が1ppmである」とは、空気1立方メートル(1m3)あたりのメタンガスの体積が1×10-63であることを意味する。
ここで、ガス警報器100では、工場出荷時などの初期設定時に、メタンガスが存在しない状態(メタンガス濃度が略0ppm)での計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)として設定されている。また、ガス警報器100では、初期設定時に、警報が出力されるメタンガス濃度の下限値(約3000ppm)のメタンガスを含む空気雰囲気にガス警報器100が置かれるとともに、その際の計測出力値が初期警報しきい値として設定されている。なお、本実施形態のガス警報器100では、初期出力値(初期の基準出力値)が0mVになるとともに、初期警報しきい値が100mVになるように設定されている。
また、ガス警報器100が配置される環境には、メタンガス以外に、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)ガスが存在する場合がある。VOCガスのうち、有機シロキサンやハロゲン系ガスなどのある種のVOCガスにガス検出部1が長期間晒された場合には、VOCガスやVOCガスの分解生成物がガス検出部1の表面に吸着または固着してしまう。そして、吸着または固着したVOCガスなどに起因して、メタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が上昇または低下してしまう。また、ガス検出部1が高湿雰囲気下に長期間晒された場合にも、水分がガス検出部1に吸着することに起因して、メタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が低下してしまう。このような要因により、ガス警報器100の検出精度が低下してしまう。
たとえば、図2に一点鎖線で示す場合のように、有機シロキサンがガス検出部1に吸着または固着することによりメタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が初期設定時と比べて相対的に上昇する。これによって、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)よりも上昇した場合には、初期警報しきい値である100mVに対応するメタンガス濃度は約2200ppmになり、警報が出力されるメタンガス濃度の下限値(約3000ppm)よりも小さくなってしまう。この結果、ガス警報器100において、本来警報を出力すべきでないメタンガス濃度で警報(誤報)が出力されてしまう。
一方、図2に破線で示す場合のように、ハロゲン系ガスや水分がガス検出部1に吸着または固着することによりメタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が初期設定時と比べて相対的に低下する。これによって、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)よりも低下した場合には、初期警報しきい値である100mVに対応するメタンガス濃度は約3800ppmになり、警報が出力されるメタンガス濃度の下限値(約3000ppm)よりも大きくなってしまう。この結果、ガス警報器100において、本来警報を出力すべきであるメタンガス濃度であっても警報が出力されなくなってしまう。
これを抑制するために、制御部2は、後述する第1制御を行うことにより、基準出力値および警報しきい値の両方の補正を行うように構成されている。
また、制御部2は、ガス検出部1に供給される電圧よりも高い電圧で動作する。このため、電池11の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、制御部2に供給される電圧が低下する(制御部2およびガス検出部1の各々に供給される電圧のバランスが崩れる)ことにより、制御部2がガス検出部1から計測出力値(電圧値)を取得する際の計測出力値に誤差が生じてくる。これを抑制するために、制御部2は、後述する第2制御を行うことにより、警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。
以下に、第1制御および第2制御を行う制御部2の詳細な構成について説明する。
(制御部の第1制御を行うための詳細な構成)
本実施形態では、制御部2は、計測出力値の増加傾向または減少傾向を判断するための基準となる基準出力値に対して、計測出力値が増加傾向または減少傾向(変化傾向)を示しているか否かを判断する。制御部2は、計測出力値が変化傾向を示していると判断した場合に、基準出力値および警報しきい値の両方の補正を行うように構成されている。制御部2が行うこの補正を第1制御と呼ぶ。第1制御は、電池11の電圧が通常起動電圧(たとえば、2.35V)以上の場合で、かつ、ガス警報器100を始めて動作させた後、半年(180日)経過した後に行われる。制御部2は、電池11の電圧が通常起動電圧以上である場合には、第1期間(たとえば、24時間)毎に、基準出力値および警報しきい値を補正する第1制御を行うことにより基準出力値および警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。
ガス検出部1の計測出力値が基準出力値に対して増加傾向を示している場合には、メタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が相対的に上昇していると考えられる。このため、基準出力値および警報しきい値の両方を増加させるように補正を行うことによって、誤報が出力されにくくする。一方、ガス検出部1の計測出力値が基準出力値に対して減少傾向を示している場合には、メタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が相対的に減少していると考えられる。このため、基準出力値および警報しきい値の両方を減少させるように補正を行うことによって、警報が出力されなくなるのが抑制される。これらの結果、警報が出力されるメタンガス濃度の下限値(約3000ppm)から離れたメタンガス濃度で警報が出力されるのを抑制することが可能である。
具体的な制御としては、制御部2は、たとえば1日間(24時間)の判断期間において、1時間毎に計測される計測出力値が基準出力値に対して増加または減少しているか否かを判断することによって、計測される計測出力値が基準出力値に対して増加または減少しているか否かの判断を、たとえば24回行うように構成されている。
制御部2は、24回の判断に対して、計測出力値が基準出力値に対して、たとえば7.5mV以上の増加量で増加していると判断した回数の割合が、20/24(約83%)(第1の割合)以上であるか否かを判断するように構成されている。増加していると判断した回数の割合が20/24以上である場合に、制御部2は、計測出力値が増加傾向を示していると判断する。そして、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の両方に2.5mV(増加更新値)を加算することによって、基準出力値および警報しきい値の両方を増加させるように補正(上方更新)を行うように構成されている。
一方、制御部2は、24回の判断に対して、計測出力値が基準出力値に対して、たとえば7.5mV以上の減少量で減少していると判断した回数が、20/24(約83%)(第2の割合)以上であるか否かを判断するように構成されている。減少していると判断した回数の割合が20/24以上である場合に、制御部2は、計測出力値が減少傾向を示していると判断する。そして、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の両方から2.5mV(減少更新値)を減算することによって、基準出力値および警報しきい値の両方を減少させるように補正(下方更新)を行うように構成されている。
さらに、本実施形態では、制御部2は、初期出力値(初期の基準出力値、0mV)に戻す側に基準出力値を変化させる補正を行う場合には、計測出力値が増加傾向を示していると判断する条件および計測出力値が減少傾向を示していると判断する条件を緩和した状態で、基準出力値および警報しきい値の両方の補正を行うように構成されている。
具体的な制御としては、制御部2は、初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に基準出力値を増加させる補正を行う場合には、たとえば16時間)に短縮された判断期間(緩和判断期間)において、1時間毎に計測される計測出力値が基準出力値に対して増加または減少しているか否かを判断することによって、計測される計測出力値が基準出力値に対して増加または減少しているか否かの判断を、たとえば16回(緩和判断回数)行うように構成されている。
制御部2は、16回の判断に対して、計測出力値が基準出力値に対して、たとえば、7.5mV以上の増加量で増加していると判断した回数の割合が、8/16(50%)(第1の緩和割合)以上であるか否かを判断するように構成されている。増加していると判断した回数の割合が8/16以上である場合に、制御部2は、計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に増加傾向を示していると判断する。そして、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の両方に2.5mVを加算する補正を行うように構成されている。
一方、制御部2は、初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に基準出力値を減少させる補正を行う場合には、16回の判断に対して、計測出力値が基準出力値に対して7.5mV以上の減少量で減少していると判断した回数が、8/16(50%)(第2の緩和割合)以上であるか否かを判断するように構成されている。減少していると判断した回数の割合が8/16以上である場合に、制御部2は、計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に減少傾向を示していると判断する。そして、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の両方から2.5mVを減算する補正を行うように構成されている。
つまり、初期出力値(初期の基準出力値、0mV)に戻す側に基準出力値を変化させる補正を行う場合には、判断回数が24回から16回に少なくなる(判断期間が短縮される)点と、増加傾向または減少傾向であると判断する際の割合が20/24(=約83%)から8/16(=50%)に小さくなる点との2点において判断条件が緩和される。これにより、基準出力値および警報しきい値の補正が行われやすい状態になっている。
(制御部の第2制御を行うための詳細な構成)
また、本実施形態では、電池11の電圧が通常起動電圧(たとえば、2.35V)より小さく、かつ、終止電圧(たとえば、2.1V)より大きい範囲の低電圧になった場合には、低電圧になった場合の所定期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。制御部2が行うこの補正を第2制御と呼ぶ。
図3に示すように、制御部2は、電池11の電圧が低電圧になった場合には、第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値に、初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分値Δを加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部2は、低電圧になった場合には、第1期間より短い所定期間である第2期間毎に、低電圧になった場合の第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値(差分値Δ)とに基づいて、警報しきい値を補正する第2制御を行うように構成されている。なお、低電圧になった最初の第2期間(T0)では、低電圧になった場合の第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値(最小の計測出力値)が未だ確定していないので、制御部2は、直前の(第1制御により補正された)基準出力値に、差分値Δを加算することにより、警報しきい値を補正する。
なお、第2期間とは、第1制御において基準出力値および警報しきい値を補正するための第1期間(たとえば24時間)よりも短い期間であり、たとえば、4時間である。また、初期の警報しきい値とは、たとえば、工場出荷時などにガス警報器100を初期設定した際に設定される警報しきい値を示す。また、初期の基準出力値とは、たとえば、工場出荷時などにガス警報器100を初期設定した際に設定される基準出力値(初期出力値)を示す。なお、第2期間は、特許請求の範囲の「所定期間」の一例である。また、差分値Δは、特許請求の範囲の「所定値」の一例である。
制御部2は、低電圧になった場合には、たとえば30秒ごとに、ガス検出部1から計測出力値を取得する制御を行うように構成されている。詳細には、制御部2は、30秒ごとに計測出力値を取得する制御を第2期間(たとえば4時間)の間、行う。制御部2は、新規に取得した計測出力値が、予め記憶している計測出力値よりも小さい場合には、新規に取得した計測出力値を記憶部3に記憶する制御を行うように構成されている。制御部2は、第2期間おける最低の計測出力値(最低計測出力値)に差分値Δ(初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分値)を加算し、補正された警報しきい値として設定する制御を行うように構成されている。
また、警報しきい値を補正するために使用することが可能な最低計測出力値の範囲が、予め決められている。最低計測出力値は、予め記憶部3に記憶された上限値および下限値により規定される範囲にある場合に、警報しきい値を補正するために使用される。具体的には、第2期間における最低計測出力値が所定の上限値より小さい場合には、制御部2は、第2期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値(差分値Δ)を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。また、第2期間における最低計測出力値が所定の下限値より大きい場合には、制御部2は、第2期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値(差分値Δ)を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。すなわち、最低計測出力値は、上限値よりも小さく、かつ、下限値よりも大きい範囲にある場合に、警報しきい値を補正するために使用される。
一方、第2期間における最低計測出力値が上限値以上の場合には、制御部2は、上限値に、予め設定される所定値(差分値Δ)を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。上限値とは、たとえば、初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分に、0.35を乗じた値を、初期の基準出力値に加算したものである。言い換えると、(上限値)=(初期の基準出力値)+{(初期の警報しきい値)−(初期の基準出力値)}×0.35と、上限値は記述することができる。また、上限値を設定する際に用いた値(0.35)は、ガス警報器100が検定試験の基準を満たすためのものであれば適宜変更してもよく、たとえば、0.2以上0.35以下の範囲で設定可能である。
一方、第2期間における最低計測出力値が下限値以下の場合には、制御部2は、下限値に、予め設定される所定値(差分値Δ)を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている。なお、下限値とは、たとえば、初期の基準出力値から、予め設定された基準補正最大値を減じたものである。言い換えると、(下限値)=(初期の基準出力値)−(基準補正最大値)と、下限値は記述することができる。なお、基準補正最大値は、試験などにより経験的に取得された値である。
また、電池11の電圧が低電圧になった後、時間が進むにつれ、ハロゲン系ガスや水分がガス検出部1に吸着または固着したことにより、メタンガス濃度に対するガス検出部1の計測出力値が初期設定時と比べて相対的に低下する要因(図2、破線参照)よりも、電池11の電圧が低下したことにより、メタンガスの濃度に対して計測出力値が大きくなる要因の方が、大きく現れてくる。このため、上記の第2制御によって、第1期間よりも短い第2期間における相対的に小さい計測出力値に基づいて、警報しきい値を補正することにより、実際のガス警報器100の状態に即した警報しきい値の補正制御を行うことができる。
(警報しきい値補正処理のフロー図の説明)
次に、図4を参照して、ガス警報器100の警報しきい値補正処理について説明する。警報しきい値補正処理は、制御部2により実施される。
まず、図4に示すように、ステップS1において、制御部2は、電池11の電圧を取得するタイミングであるか否かを判断する。制御部2は、電圧を取得するタイミングでないと判断した場合には、ステップS4に処理を進める。一方、制御部2は、電圧を取得するタイミングであると判断した場合には、ステップS2に処理を進める。
次に、ステップS2において、制御部2は、電池11の電圧を取得する処理を行う。続けて、ステップS3において、制御部2は、取得した電圧を記憶部3に記憶することにより、電池11の電圧を更新する処理を行う。
ステップS4において、制御部2は、電池11が低電圧(電池11の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の電圧)であるか否かを判断する処理を行う。ステップS4において、制御部2は、電池11が低電圧であると判断した場合には、ステップS7に処理を進め、第2制御処理(図7参照)を実施する。ステップS7の処理については、後で詳細に説明する。一方、制御部2は、電池11が低電圧であると判断しない場合(電池11の電圧が通常起動電圧以上と判断した場合)には、ステップS5に処理を進める。
ステップS5に進んだ場合には、制御部2は、ガス警報器100を始めて動作させてから、半年(180日)経過しているか否かを判断する。制御部2は、半年経過していると判断しない場合には、ステップS1に処理を戻す。一方、制御部2は、半年経過していると判断した場合には、ステップS6に処理を進める。
ステップS6において、制御部2は、第1制御処理(図5および図6参照)を実施する。
(第1制御処理のフロー図の説明)
次に、図5および図6を参照して、ステップS6の第1制御処理について説明する。なお、図5および図6のフロー図では、「基準出力値」を「基準値」とし、「計測出力値」を「計測値」とし、「警報しきい値」を「警報値」とし、「初期出力値(初期の基準出力値)」を「初期値」として記載している。また、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の更新処理と並行して、約30秒毎にガス検出部1からの計測出力値を取得するとともに、警報しきい値に基づいて警報を出力するか否かを判断して必要に応じて警報を出力する警報出力制御を行う。第1制御処理は、制御部2により実施される。
まず、図5に示すように、ステップS11において、制御部2は、ガス検出部1を0.1秒だけ約500℃に加熱させて計測出力値を取得する。
次に、ステップS12において、制御部2は、取得した計測出力値が現在設定されている警報しきい値(または初期警報しきい値)以上であるか否かを判断し、計測出力値が警報しきい値未満である場合には、ステップS16に処理を進める。一方、制御部2は、計測出力値が警報しきい値以上である場合には、ステップS13に処理を進める。
ステップS13に進んだ場合には、制御部2は、メタンガスが所定の濃度を超えたことを報知する警報として、警報部4のスピーカ4aから所定のブザー音として出力させるとともに、警報部4のランプ4bにおいて所定の色のランプを点灯させる。
次に、ステップS14において、制御部2は、判断回数のカウントを0にすることによって、判断回数をリセットする処理を行う。その後、ステップS15において、制御部2は、前回の計測出力値の取得から1時間(計測間隔)経過したか否かを判断するとともに、1時間経過するまでこの判断を継続する。そして、制御部2は、1時間経過したと判断した場合には、ステップS11に戻り、再度、計測出力値を取得する。
ステップS16に進んだ場合には、制御部2は、判断回数に1を加算する処理を行う。そして、ステップS17において、制御部2は、取得した計測出力値が現在設定されている基準出力値(または初期出力値(初期の基準出力値))よりも大きいか否かを判断する処理を行う。
計測出力値が基準出力値よりも大きい場合には、ステップS18において、制御部2は、計測出力値が現在の基準出力値に所定の増加量を加算した値(基準出力値+7.5mV)以上であるか否かを判断する処理を行う。計測出力値が(基準出力値+7.5mV)以上である場合には、ステップS19においてカウントAに1を加算してステップS20に進み、制御部2により、図6に示す基準出力値および警報しきい値の補正処理が行われる。
一方、ステップS18において、計測出力値が(基準出力値+7.5mV)未満である場合には、制御部2は、カウントAに1を加算する処理を行わずに、ステップS20に進む。ステップS20の後、ステップS15に処理が戻されることによって、1時間毎に、計測出力値が基準出力値に対して所定の増加量以上の増加量で増加していると判断した回数(増加回数)が、カウントAとして計測される。
一方、ステップS17において、計測出力値が基準出力値以下である場合には、ステップS21において、制御部2は、計測出力値が現在の基準出力値から所定の減少量を減算した値(基準出力値−7.5mV)以下であるか否かを判断する。計測出力値が(基準出力値−7.5mV)以下である場合には、制御部2は、ステップS22においてカウントBに1を加算して、ステップS20に進める処理を行う。また、ステップS21において、計測出力値が(基準出力値−7.5mV)より大きい場合には、制御部2は、カウントBに1を加算する処理を行わずに、ステップS20に処理を進める。この結果、1時間毎に、計測出力値が基準出力値に対して所定の減少量以上の減少量で減少していると判断した回数(減少回数)が、カウントBとして計測される。
(ステップS20の詳細なフロー図の説明)
ステップS20において、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の補正処理を行う。具体的には、図6に示すように、まず、ステップS31において、制御部2は、ステップS16(図5参照)で計測された判断回数が24回であるか否かを判断し、判断回数が24回でない場合には、ステップS39に処理を進める。
判断回数が24回である場合には、ステップS32において、制御部2は、判断回数(24回)に対して、ステップS19(図5参照)で計測されたカウントA(増加回数)の割合が20/24以上であるか否かを判断する。判断回数に対するカウントAの割合が20/24以上である場合には、制御部2は、計測出力値が増加傾向にあると判断して、ステップS33において、現在の基準出力値に2.5mV(増加更新値)を加算する処理を行う。そして、ステップS34において、制御部2は、現在の警報しきい値に2.5mVを加算する処理を行う。これにより、計測出力値が増加傾向である場合には、基準出力値および警報しきい値が共に上方に更新(補正)される。
そして、ステップS35において、制御部2は、計測回数をリセットする処理を行う。これにより、制御部2は、1日間の判断期間(24回の判断回数)における基準出力値および警報しきい値の補正処理を終了し、ステップS15(図5参照)に処理を進める。そして、制御部2は、次回の判断期間に移行し、1時間経過後に再度計測出力値が取得する処理を行う。この結果、次回の判断期間においては、制御部2により、上方に更新された補正後の基準出力値に基づいて、再度、計測出力値が増加傾向または減少傾向であるかが判断される。また、ステップS12の警報出力判断処理や基準出力値および警報しきい値の更新処理と並行して行われる警報出力制御において、上方に更新された補正後の警報しきい値(警報値)が用いられる。
ステップS32において、判断回数に対するカウントA(増加回数)の割合が20/24未満である場合には、ステップS36において、制御部2は、判断回数(24回)に対して、ステップS22(図5参照)で計測されたカウントB(減少回数)の割合が20/24以上であるか否かを判断する。判断回数に対するカウントBの割合が20/24以上である場合には、制御部2は、計測出力値が減少傾向にあると判断して、ステップS37において、現在の基準出力値から2.5mV(減少更新値)を減算する処理を行う。そして、ステップS38において、制御部2は、現在の警報しきい値から2.5mVを減算する処理を行う。これにより、計測出力値が減少傾向である場合には、基準出力値および警報しきい値が共に下方に更新(補正)される。その後、制御部2は、ステップS35に処理を進める。この結果、次回の判断期間においては、制御部2により、下方に更新された補正後の基準出力値に基づいて、再度、計測出力値が増加傾向または減少傾向であるかが判断される。また、ステップS12の警報出力判断処理や警報出力制御において、下方に更新された補正後の警報しきい値(警報値)が用いられる。
また、ステップS36において、判断回数に対するカウントB(減少回数)の割合が20/24未満である場合には、制御部2は、基準出力値および警報しきい値を共に補正せずに、ステップS35に処理を進める。そして、次回の判断期間においては、制御部2により、前回の判断期間において用いられた基準出力値と同じ基準出力値に基づいて、再度、計測出力値が増加傾向または減少傾向であるかが判断される。また、ステップS12の警報出力判断処理や警報出力制御において、前回の判断期間において用いられた警報しきい値と同じ警報しきい値が用いられる。
上記ステップS31〜S34およびS36〜S38においては、通常の場合の補正処理として、制御部2により、計測出力値の変化傾向の判断条件が緩和されずに基準出力値および警報しきい値の補正処理が行われる。一方、以下のステップS39〜S46においては、初期出力値(初期の基準出力値、0mV)に戻す側に基準出力値を変化させる補正を行う場合の補正処理として、制御部2により、判断条件が緩和されて基準出力値および警報しきい値の補正処理が行われる。
すなわち、ステップS31において、判断回数が24回でないと判断された場合には、ステップS39において、制御部2は、ステップS16で計測された判断回数が16回であるか否かを判断する。判断回数が16回でない場合には、制御部2は、基準出力値および警報しきい値の補正処理が終了して、ステップS15に進み、1時間経過後に再度計測出力値が取得される。
ステップS39において、判断回数が16回である場合には、ステップS40において、制御部2は、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)よりも小さいか否かを判断し、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)以上である場合には、ステップS44に進む。また、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)よりも小さい場合には、ステップS41に進み、制御部2は、16回(緩和判断回数)に対して、ステップS19で計測されたカウントA(増加回数)の割合が8/16以上であるか否かを判断する。緩和判断回数に対するカウントAの割合が8/16未満である場合には、制御部2により緩和された判断条件であっても計測出力値が増加傾向にないと判断されて、基準出力値および警報しきい値の補正処理が終了する。そして、制御部2は、ステップS15に処理を進める。
また、緩和判断回数に対するカウントAの割合が8/16以上である場合には、制御部2は、計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に増加傾向にあると判断して、ステップS42において、現在の基準出力値に2.5mVを加算する処理を行う。そして、ステップS43において、制御部2は、現在の警報しきい値に2.5mVを加算する処理を行う。これにより、基準出力値を初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に大きくする場合で、かつ、制御部2により緩和された判断条件に基づいて計測出力値が増加傾向であると判断された場合には、基準出力値および警報しきい値が共に上方に更新(補正)される。そして、制御部2は、ステップS35において計測回数がリセットする処理を行い、16回の緩和判断回数における、基準出力値および警報しきい値の補正処理が終了して、ステップS15に処理を進める。
ステップS40において、基準出力値が初期出力値(初期の基準出力値)以上である場合には、ステップS44において、制御部2は、16回に対して、ステップS22で計測されたカウントB(減少回数)の割合が8/16以上であるか否かを判断する。緩和判断回数に対するカウントBの割合が8/16未満である場合には、制御部2により緩和された判断条件であっても計測出力値が減少傾向にないと判断されて、基準出力値および警報しきい値の補正処理が終了する。そして、制御部2は、ステップS15に処理を進める。
緩和判断回数に対するカウントBの割合が8/16以上である場合には、制御部2は、計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に減少傾向にあると判断して、ステップS45において、現在の基準出力値から2.5mVを減算する処理を行う。そして、ステップS46において、制御部2は、現在の警報しきい値から2.5mVを減算する処理を行う。これにより、基準出力値を初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に小さくする場合で、かつ、制御部2により緩和された判断条件に基づいて計測出力値が減少傾向であると判断された場合には、基準出力値および警報しきい値が共に下方に更新(補正)される。そして、制御部2は、ステップS35に処理を進める。
上記ステップS39〜S46において、判断条件を緩和する場合の基準出力値および警報しきい値の補正が行われる。
以上のように、制御部2により、第1制御処理(ステップS11〜S22、および、S31〜S46)が実施される。
(第2制御処理のフロー図の説明)
次に、図7を参照して、図4のステップS7における、第2制御処理について説明する。第2制御処理は、制御部2により実施される。なお、制御部2は、電池11の電圧が終止電圧(2.1V)になるまで第2制御を継続して実施する。
図7に示すように、ステップS51において、制御部2は、時間計測機能を用いて、30秒をカウントする処理を行う。
次に、ステップS52において、制御部2は、ガス検出部1の計測出力値を取得し、計測出力値の取得回数nをカウントする処理を行う。
次に、ステップS53において、制御部2は、計測出力値の取得回数nが1であるか否かを判断する。制御部2は、計測出力値の取得回数nが1であると判断した場合には、ステップS54に処理を進める。一方、制御部2は、計測出力値の取得回数nが1でないと判断した場合には、ステップS59に処理を進める。
ステップS54に進んだ場合には、制御部2は、1回目の計測出力値が上限値(図3参照)未満か否かを判断する。1回目の計測出力値が、上限値以上である場合には、ステップS55に処理を進め、制御部2は、上限値を1回目の計測出力値として記憶する処理を行う。その後、制御部2は、ステップS62に処理を進める。一方、1回目の計測出力値が上限値未満である場合には、制御部2は、ステップS56に処理を進める。
ステップS56に進んだ場合には、制御部2は、1回目の計測出力値が下限値(図3参照)より大きいか否かを判断する。1回目の計測出力値が下限値以下である場合には、制御部2は、ステップS57に処理を進め、下限値を1回目の計測出力値として記憶する処理を行う。その後、制御部2は、ステップS62に処理を進める。一方、1回目の計測出力値が下限値より大きい場合には、制御部2は、ステップS58に処理を進める。
ステップS58において、制御部2は、1回目の計測出力値を記憶する処理を行う。
ステップS59に進んだ場合には、制御部2は、n回目の計測出力値<最低の計測出力値であるか否かを判断する。具体的には、制御部2は、n回目の計測出力値がそれまでの最低計測出力値より小さいか否かを判断する。制御部2は、n回目の計測出力値≧最低の計測出力値であると判断した場合には、ステップS62に処理を進める。一方、制御部2は、n回目の計測出力値<最低の計測出力値であると判断した場合には、ステップS60に処理を進める。
ステップS60において、制御部2は、n回目の計測出力値が、下限値(図3参照)より大きいか否かを判断する。制御部2は、n回目の計測出力値が、下限値以下である場合には、ステップS62に処理を進める。一方、制御部2は、n回目の計測出力値が、下限値より大きいと判断した場合には、ステップS61に処理を進める。
ステップS61において、制御部2は、n回目の計測出力値を記憶部3に記憶する処理を行う。
次に、ステップS62において、制御部2は、計測出力値の取得回数nがx(x=480回)であるか否かを判断する。制御部2は、計測出力値の取得回数nがxでない場合には、ステップS1に処理を戻す。一方、制御部2は、計測出力値の取得回数nがxである場合には、ステップS63に処理を進める。
次に、ステップS63において、制御部2は、最低計測出力値(または、上限値、もしくは、下限値)を警報しきい値を演算するための値として記憶部3に記憶する処理を行う。
次に、ステップS64において、制御部2は、警報しきい値を演算する。具体的には、制御部2は、第2期間(たとえば図3の第2期間(T4)、参照)における最低計測出力値に、差分値Δ(初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分値)を加算することにより補正された警報しきい値を取得し、次の第2期間(T5)で使用する。なお、第2期間における最低計測出力値を上限値とした場合(図3の第2期間(T1)、参照)には、制御部2は、上限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を取得して、次の第2期間(T2)で使用する。また、第2期間における最低計測出力値を下限値とした場合(図3の第2期間(T3)、参照)には、制御部2は、下限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を取得して、次の第2期間(T4)で使用する。
次に、ステップS65において、制御部2は、計測出力値を取得回数nをリセットする(n=0にする)処理を行い、ステップS1に処理を戻す。
以上のように、制御部2により、第2制御処理(ステップS51〜S65)が実施される。
(検定試験用の処理フロー図の説明)
次に、図8を参照して、ガス警報器100の検定試験用の処理について説明する。検定試験用の処理は、制御部2により実施される。検定試験用の処理は、ガス警報器100の通常時(製品として出荷され、ユーザが通常状態で使用されている時)の動作では実施されず、検定試験のために、低電圧の電池11をガス警報器100に挿入した際に行われる。
まず、ガス警報器100に低電圧の電池11が挿入された状態で、ステップS101において、制御部2は、30秒カウントする。その後、ステップS102において、制御部2は、計測出力値をガス検出部1より取得する処理を行う。
続けて、ステップS103において、制御部2は、30秒カウントし、その後、ステップS104において、制御部2は、計測出力値をガス検出部1より取得する処理を行う。
次に、ステップS105において、制御部2は、ステップS102およびS104の各々において取得された2つの計測出力値および初期の基準出力値のうち、最小の値に基づいて、警報しきい値を演算する。具体的には、制御部2は、2つの計測出力値および初期の基準出力値のうち最小の値に、差分値Δを加算することにより、補正された警報しきい値を取得する処理を行う。その後、制御部2は、検定試験用の処理を終了する。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、電池11の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、低電圧になった場合の第2期間におけるガス検出部1の計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値(差分値Δ)とに基づいて、警報しきい値を補正する制御部2を設ける。これにより、電池11の電圧が低電圧にまで低下した際に制御部2に供給される電圧が低くなった状態でも、その状態に適するように警報しきい値を補正することができる。その結果、電池11の電圧が通常起動電圧より小さい電圧にまで低下した際にも、正常なガス警報を行うことができるので、制御部2に供給される電圧が低くなったことに起因して、ガス警報器100が正常なガス警報を行えなくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値に、初期の警報しきい値と初期の基準出力値との差分値Δである所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている制御部2を設ける。これにより、電池11の電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態に適するように警報しきい値を補正する際の制御処理を簡素化することができる。その結果、ガス警報器100の置かれている環境に適した補正後の警報しきい値を迅速に設定することができるので、正常なガス警報を適切に行うことができる。
また、本実施形態では、第2期間における最低計測出力値が所定の上限値より小さい場合には、第2期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように制御部2を構成する。また、第2期間における最低計測出力値が上限値以上の場合には、上限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように制御部2を構成する。これにより、警報しきい値が大きすぎる値に補正されてしまったことにより、本来ガス警報を行うべきガス濃度(ガス警報を行う必要がある高いガス濃度)においてガス警報が行えなくなってしまうのを抑制することができる。その結果、電池11の電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態により適した値に警報しきい値を補正することができる。
また、本実施形態では、第2期間における最低計測出力値が所定の下限値より大きい場合には、第2期間における最低計測出力値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように制御部2を構成する。また、第2期間における最低計測出力値が下限値以下の場合には、下限値に、予め設定される所定値を加算することにより警報しきい値を補正する制御を行うように制御部2を構成する。これにより、下限値以下の計測出力値に基づいて警報しきい値が小さすぎる値に補正されてしまったことにより、本来ガス警報を行うべきでないガス濃度(ガス警報を行う必要がない低いガス濃度)においてガス警報が行われてしまうのを抑制することができる。その結果、電池11の電圧が低電圧にまで低下した際に、その状態により適した値に警報しきい値を補正することができる。
また、本実施形態では、電池11の電圧が通常起動電圧以上である場合には、第1期間毎に、警報しきい値を補正する第1制御を行うことにより警報しきい値を補正し、電池11の電圧が低電圧になった場合には、第1期間より短い第2期間毎に、低電圧になった場合の第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、警報しきい値を補正する第2制御を行うことにより警報しきい値を補正するように制御部2を構成する。これにより、電池11の電圧が通常起動電圧よりも低電圧になった場合に、通常よりも短い時間間隔で警報しきい値を補正することができる。また、一般的には、通常起動電圧以上の場合よりも低電圧の場合の方が電圧の低下速度が速くなるので、電池11の電圧が低電圧にまで低下した際にその状態に適した警報しきい値に効果的に補正することができる。したがって、ガス警報器100の電池11の状態により適した、正常なガス警報を適切に行うことができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ガス検出部が、半導体式ガス検知素子から構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス検出部が、半導体式ガス検知素子以外の素子により構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、メタンガスを検出するガス検出部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、メタンガス以外のガスを検出するガス検出部を設けてもよい。また、メタンガスを検出するガス検出部以外に、COガスやプロパンガスなどを検出するガス検出部を設けてもよい。また、ガス検出部を、複数のガスの検出が可能なガス検出部により構成してもよい。
また、上記実施形態では、第2制御により、警報しきい値を補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、第2制御により、警報しきい値に加え、注意報しきい値も補正してもよい。「注意報」とは、メタンガスの濃度が警報しきい値まで上昇していないものの、メタンガス濃度が上昇しつつあることの注意を喚起するために行われる警報を意味する。制御部は、警報しきい値の補正(最低計測出力値に差分値Δを加算することによる警報しきい値の補正)と類似する方法で、注意報しきい値を補正してもよい。たとえば、制御部は、差分値Δに0.8を乗じた値を、最低計測出力値に加算し、補正された注意報しきい値として設定する制御を行うように構成されてもよい。さらに、警報しきい値および注意報しきい値を補正することに加えて、警報しきい値の補正と類似する方法で、可変駆動しきい値を補正してもよい。「可変駆動しきい値」とは、メタンガスの濃度が警報しきい値や注意報しきい値まで上昇していないものの、メタンガス濃度が上昇しつつあること判断するためのしきい値である。メタンガスの濃度が、可変駆動しきい値を超えると、たとえば、計測出力値を取得するタイミングが早くなるように変更される。たとえば、制御部は、差分値Δに0.55を乗じた値を、最低計測出力値に加算し、補正された可変駆動しきい値として設定する制御を行うように構成されている。
また、上記実施形態では、第2制御を行う際、第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値として、最低計測出力値を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2制御を行う際、第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値として、第2期間における最低計測出力値以外の値を用いてもよい。たとえば、第2期間における計測出力値のうち、計測出力値のうち最低のものから順に複数個抽出し、複数の計測出力値の平均値を、第2期間における計測出力値のうち相対的に小さい計測出力値として用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の第2制御に用いられる予め設定される所定値が、警報しきい値(初期の警報しきい値)と、基準出力値(初期の基準出力値)との差分値Δである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2制御に用いられる予め設定される所定値が、警報しきい値および基準出力値以外の値に基づいて、決定されてもよい。
また、上記実施形態では、第2制御を行う際に用いる差分値Δが、初期の警報しきい値(初期設定の警報しきい値)と、初期の基準出力値(初期設定の基準出力値)との差分値である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、差分値Δが、警報しきい値および基準出力値は、それぞれ、初期設定以外のものを用いてもよい。
また、上記実施形態に記載した第1制御は一例であり、本発明はこれに限られない。本発明の、第1制御は、上記実施形態に記載した第1制御と異なる制御であってもよい(第1制御と異なる方法で警報しきい値を補正してもよい)。また、第1制御では、基準出力値を補正せず、警報しきい値のみを補正してもよい。上記実施形態に記載した第1制御では、初期出力値(初期の基準出力値)に戻す側に基準出力値を変化させる補正を行う場合に判断条件が緩和される例を示したが、たとえば、第1制御において、計測出力値が初期出力値(初期の基準出力値)に対して所定の変化量以上変化した場合に判断条件が緩和されてもよい。また、上記実施形態に記載した第1制御では、現在の基準出力値および現在の警報しきい値に対して予め設定された更新値(2.5mV)を加算または減算することによって補正する例を示したが、たとえば、第1制御において、初期出力値(初期の基準出力値)および初期警報しきい値に対して算出された変動値を加算することによって補正してもよい。
また、上記実施形態では、第2期間における最低計測出力値が上限値以上の場合には、上限値に、差分値Δを加算することにより警報しきい値を補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2期間における最低計測出力値が上限値以上の場合に、上限値以外の値に、差分値Δを加算することにより警報しきい値を補正してもよい。
また、上記実施形態では、第2期間における最低計測出力値が下限値以下の場合には、下限値に、差分値Δを加算することにより警報しきい値を補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2期間における最低計測出力値が下限値以下の場合に、下限値以外の値に、差分値Δを加算することにより警報しきい値を補正してもよい。
また、上記実施形態では、第2期間が4時間であり、第1期間が24時間である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2期間が第1期間より短い期間であれば、第2期間が4時間以外の時間であってもよく、第1期間が24時間以外の時間であってもよい。
また、上記実施形態では、制御部が24時間(1日間)の判断期間(所定の判断期間)または16時間の判断期間(緩和判断期間)で計測出力値の変化傾向を判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の判断期間および緩和判断期間は、それぞれ、24時間および16時間に以外の時間であってもよい。この際、緩和判断期間は所定の判断期間よりも短くなる。
また、上記実施形態では、制御部が24回(所定の判断回数)または16回(緩和判断回数)に亘る計測出力値の変化傾向を判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の判断回数および緩和判断回数は、それぞれ、24回および16回以外の回数であってもよい。この際、緩和判断回数は所定の判断回数よりも少なくなる。
また、上記実施形態では、制御部が、所定の判断回数(24回)に対して、計測出力値が基準出力値に対して7.5mV(所定の増加量)以上の増加量で増加していると判断した回数の割合が、20/24(第1の割合)以上である場合に、計測出力値が増加傾向を示していると判断し、計測出力値が基準出力値に対して7.5mV(所定の減少量)以上の減少量で減少していると判断した回数が、20/24(第2の割合)以上である場合に、計測出力値が減少傾向を示していると判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の増加量および所定の減少量は、7.5mV以外でもよく、その際、所定の増加量と所定の減少量とを異ならせてもよい。また、第1の割合および第2の割合は、20/24以外でもよく、その際、第1の割合と第2の割合とを異ならせてもよい。同様に、上記実施形態における第1の緩和割合および第2の緩和割合は、8/16以外でもよく、その際、第1の緩和割合と第2の緩和割合とを異ならせてもよい。
また、上記実施形態では、制御部が、計測出力値が増加傾向を示している場合に、基準出力値および警報しきい値の両方に2.5mV(増加更新値)を加算するとともに、計測出力値が減少傾向を示している場合に、基準出力値および警報しきい値の両方から2.5mV(減少更新値)を減算する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、増加更新値および減少更新値は、2.5mV以外でもよく、その際、増加更新値と減少更新値とを異ならせてもよい。
また、上記実施形態では、基準出力値および警報しきい値の両方に同一の更新値(2.5mV)を加算または減算することによって、基準出力値および警報しきい値をそれぞれ補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。
また、上記実施形態では、増加更新値および減少更新値(2.5mV)を所定の増加量および所定の減少量(7.5mV)よりも小さくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、増加更新値および減少更新値は、それぞれ、所定の増加量以上および所定の減少量以上であってもよい。なお、基準出力値および警報しきい値の両方が過度に補正されるのを抑制するためには、増加更新値および減少更新値は、それぞれ、所定の増加量以下および所定の減少量以下であるのが好ましい。
また、上記実施形態では、制御部により計測出力値が増加傾向または減少傾向(変化傾向)にあると判断された場合には、常に基準出力値および警報しきい値を補正する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部により計測出力値が変化傾向にあると判断された場合であっても、基準出力値および警報しきい値を補正しない場合があってもよい。
また、上記実施形態において、計測出力値の増加傾向または減少傾向(変化傾向)を判断する際に、ガス警報器が配置される環境の温度や湿度も考慮するように構成してもよい。たとえば、気温が約10℃以上約35℃以下の場合や、湿度が約2g/m3以上約20g/m3以下の場合にのみ、制御部がガス検出部から計測出力値を取得するとともに、取得した計測出力値を用いて、計測出力値の変化傾向を判断してもよい。これにより、温度や湿度により計測出力値が変動する半導体式ガス検知素子からなるガス検出部であっても、より正確に、計測出力値の変化傾向を判断することが可能である。また、たとえば、予め作成した温度−計測出力値テーブルや湿度−計測出力値テーブルを用いて、計測出力値自体を補正するとともに、補正された計測出力値を用いて、計測出力値の変化傾向を判断してもよい。
また、上記実施形態では、制御部を、初期出力値(初期の基準出力値、0mV)に戻す側に基準出力値を変化させる補正を行う場合に、計測出力値が増加傾向を示していると判断する条件および計測出力値が減少傾向を示していると判断する条件を共に緩和するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、計測出力値が増加傾向を示していると判断する条件または計測出力値が減少傾向を示していると判断する条件のいずれか一方のみを緩和してもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部2(202、302)の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフロー図を用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント毎に処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
1 ガス検出部
2 制御部
4 警報部
11 電池
100 ガス警報器
Δ 差分値(所定値)

Claims (5)

  1. 電池の電力により動作するガス警報器であって、
    ガス検出部と、
    前記ガス検出部の出力値が警報しきい値に達した際に警報を出力する警報部と、
    前記電池の電圧が通常起動電圧より小さく、かつ、終止電圧より大きい範囲の低電圧になった場合には、前記低電圧になった場合の所定期間における前記ガス検出部の計測出力値のうち相対的に小さい前記計測出力値と、予め設定される所定値とに基づいて、前記警報しきい値を補正する制御部とを備えた、ガス警報器。
  2. 前記制御部は、前記所定期間における前記計測出力値のうち相対的に小さい前記計測出力値に、初期の前記警報しきい値と初期の基準出力値との差分値である前記所定値を加算することにより前記警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている、請求項1に記載のガス警報器。
  3. 前記制御部は、
    前記所定期間における最低計測出力値が所定の上限値より小さい場合には、前記所定期間における前記最低計測出力値に、予め設定される前記所定値を加算することにより前記警報しきい値を補正する制御を行い、
    前記所定期間における前記最低計測出力値が前記上限値以上の場合には、前記上限値に、予め設定される前記所定値を加算することにより前記警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載のガス警報器。
  4. 前記制御部は、
    前記所定期間における最低計測出力値が所定の下限値より大きい場合には、前記所定期間における前記最低計測出力値に、予め設定される前記所定値を加算することにより前記警報しきい値を補正する制御を行い、
    前記所定期間における前記最低計測出力値が前記下限値以下の場合には、前記下限値に、予め設定される前記所定値を加算することにより前記警報しきい値を補正する制御を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス警報器。
  5. 前記制御部は、
    前記電池の電圧が前記通常起動電圧以上である場合には、第1期間毎に、前記警報しきい値を補正する第1制御を行うことにより前記警報しきい値を補正し、
    前記電池の電圧が前記低電圧になった場合には、前記第1期間より短い前記所定期間である第2期間毎に、前記低電圧になった場合の前記第2期間における前記計測出力値のうち相対的に小さい前記計測出力値と、予め設定される前記所定値とに基づいて、前記警報しきい値を補正する第2制御を行うことにより前記警報しきい値を補正するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス警報器。
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