JP2017067748A - 排便ガス回収システム - Google Patents

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伸吾 山谷
Shingo YAMAYA
伸吾 山谷
坪井 宏之
Hiroyuki Tsuboi
宏之 坪井
永石 昌之
Masayuki Nagaishi
昌之 永石
朱美 竹下
Akemi Takeshita
朱美 竹下
秀悟 岡
Hidesato Oka
秀悟 岡
小黒 利雄
Toshio Oguro
利雄 小黒
浩二 園田
Koji Sonoda
浩二 園田
里子 木塚
Satoko Kizuka
里子 木塚
綾 長谷川
Aya Hasegawa
綾 長谷川
政宏 山本
Masahiro Yamamoto
政宏 山本
彰敏 坂口
Akitoshi Sakaguchi
彰敏 坂口
和久 斧澤
Kazuhisa Onozawa
和久 斧澤
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Abstract

【課題】メチルメルカプタン等の臭気性ガスを含む排便ガスを回収するためのシステムであって、精度の高い診断が可能となる排便ガス回収システムを提供する。
【解決手段】大便器のボウル内に排出される排便ガスを回収する排便ガス回収システムにおいて、便器側制御装置は、ガスセンサの出力に基づき、吸引された気体に排便ガスが含まれていると判定すると、制御弁を吸引装置により吸引された気体を回収容器に供給する状態に切り替る排便ガス回収制御を実施し、便器側制御装置は、被験者が排便行為を行っていない回収開始準備工程S2に、ガス吸引装置により吸引された気体である非排便ガスを回収容器に回収する非排便ガス回収制御を行う。
【選択図】図9

Description

本発明は、排便ガス回収システムに関し、特に、大便器のボウル内に排出される排便ガスを回収する排便ガス回収システムに関する。
大腸癌の治療及び予防のためには、日々、腸内環境を観察することが重要である。現在、大腸癌の健診は内視鏡により腸内を観察する方法や大便を分析する方法により行われる。しかしながら、内視鏡を用いた方法では、内視鏡を肛門から大腸内に挿入しなければならない。このため、内視鏡を用いた方法は患者に対する負担が非常に大きい。また、大便を分析する方法では、排便を毎回採取する必要があり、患者にとって心理的に負担が大きい。
このような状況に鑑みて発明者らは、患者に心理的にも肉体的にも負担の少ない癌等の大病の診断ができ、大病の治療及び予防を実現できるような装置を製造したいという強い思いを持ち、長期に渡り研究を進めていた。
ここで、これまで出願人は、洋式大便器の便座に搭載され、被験者の排便時にボウル内に排出される排便ガスを採取し、この排便ガス中に含まれる二酸化炭素濃度に基づいて、生体情報指標としての排泄大便量を求める装置(特許文献1参照)を開発してきた。特許文献1に記載された装置によれば、簡易に腸内状態を推定することができる。しかしながら、これら装置では現在の腸内状態を推定するのみであり、癌等の大病の診断できるという、発明者の目的を達成できるものではなかった。
また、排便ガスに基づき被験者の体調を検出する装置として以下の装置が知られている。
特許文献2には、人の排泄部付近の空気に接触するようにガスセンサを配置し、このガスセンサ出力のピーク値に基づいておならを検出するおなら検出装置が開示されている。このおなら検出装置では、ベッドに寝ている患者のおむつや下着の中の排泄部からチューブを引き出し、吸引ポンプで空気を吸引することにより、患者のおならを捕集している。さらに、このおなら検出装置は、ガスセンサ出力のピークの半値幅に基づいておならと排尿を区別して、盲腸の手術後におならが出たかどうかを医師が確認したり、おむつの交換時期を検出するものに過ぎず発明者の目的を達成できるものではない。
また、特許文献3には、生体モニタ装置が開示されている。この生体モニタ装置では、布製のT字帯にガスセンサを装着して、ガスセンサが肛門付近に配置されるようにしておき、肛門から放出されたおならを検出する。ガスセンサからの信号は処理装置に伝達され、メモリに蓄積される。メモリに蓄積されたデータは過去データと比較され、差が大きい場合等、異常がある場合には表示装置に警告が表示されるものも知られている。
一方、特許文献4には、腸内ガス成分測定方法が開示されている。この腸内ガス成分測定方法では、トイレ便器の便座の部分に試料採取管を配置しておく。被測定者が装置のメインスイッチを投入すると、吸引ポンプが稼働して、肛門付近のガスが吸引される。指標ガス検知器は吸引されたガス中の炭酸ガス濃度を常時測定しており、測定された濃度が急激に増大すると、制御・演算処理部は腸内ガスの放散があったと認識する。腸内ガスが放散されると、別の吸引ポンプが作動を開始し、吸引されたガスの一部がサンプル計量管に取り込まれる。取り込まれたサンプルはカラムに送り込まれてガス成分が分離され、イオン化される。このイオン化量が電気信号に変換され、腸内ガス中の検出対象ガス成分の濃度が測定されるものも知れられている。
このような癌等の大病の診断ができる装置を開発するにあたり、近年、大腸癌の疾病と、おならや排便に含まれる腸内のガス成分とに相関があるということが知られてきている。具体的には、大腸癌患者は健常者に比べて、腸内のガス成分中の硫黄成分を含むメチルメルカプタンガスが多くなる。
特許文献5参照には、被験者が放屁した屁の成分からメチルメルカプタンガスを測定するセンサと、このセンサから得られるメチルメルカプタンガス濃度を演算する演算部と、表示部とを備え、大腸癌の罹患リスクを推定する携帯型大腸癌リスク測定機器が開示されている。しかしながら、後述するが屁に含まれるメチルメルカプタンガスは非常に微量であるため、特許文献5に記載された測定機器で正確な診断を行うことは難しい。また、メチルメルカプタンのみを検出するセンサは非常に大型であるため、特許文献5に記載された装置によりメチルメルカプタンを検出することは現実的ではない。
特許第5131646号 特開2003−90812号 特開平9−43182号 特許第3525157号 特開2014−160049号公報
腸内のガス成分は、排便時に便とともにおならや排便ガスとして排出される。そこで、発明者らは、2015年1月5日の日本経済新聞にも掲載した通り排便時に排出されるおならや排便ガス中のメチルメルカプタンガスなどの特定のガスを測定すれば腸内の大腸癌の診断することができるのではないかと考え、研究を続けていた。
ここで、上述の通り、排便ガスに含まれるメチルメルカプタンガスは微量であり、さらに、癌になる前の段階となるとより微量となるため測定は非常に難しい。また、メチルメルカプタンのみを検知するセンサは非常に大型である。そこで、発明者らは、排便ガスを確実に回収することができるシステムを提供し、このシステムで回収した排便ガスを成分分析することにより、大腸癌の診断を行うことを考えた。
しかしながら、このような排便ガスを回収するシステムを用いた場合であっても、排便ガスに含まれるメチルメルカプタンガスは微量であるため、トイレ空間や被験者等の様々な要因により診断精度が低下するおそれがある。
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、メチルメルカプタン等の臭気性ガスを含む排便ガスを回収するためのシステムであって、精度の高い診断が可能となる排便ガス回収システムを提供することを目的としている。
本発明は、大便器のボウル内に排出される排便ガスを回収する排便ガス回収システムであって、ボウル内から気体を吸引するガス吸引装置と、ガス吸引装置により吸引された気体が送り込まれる回収通路と、回収通路に接続され、排便ガスを回収する回収容器と、回収通路に設けられ、吸引装置により吸引された気体を回収容器に供給する状態と、回収容器に供給せずに排気する状態とを切り替える制御弁と、吸引装置及び制御弁を制御する制御装置と、排便ガスを検知するガスセンサと、を備え、ガスセンサは吸引装置により吸引された気体に含まれる排便ガスを検知し、制御装置は、ガスセンサの出力に基づき、吸引された気体に排便ガスが含まれていると判定すると、制御弁を吸引装置により吸引された気体を回収容器に供給する状態に切り替る排便ガス回収制御を実施し、制御装置は、被験者が排便行為を行っていない非排便期間に、ガス吸引装置により吸引された気体である非排便ガスを回収容器に回収する非排便ガス回収制御を行う、ことを特徴とする。
排便ガスに含まれるメチルメルカプタンなどの臭気性ガスは非常に微量である。このため、癌などの診断を正確に行うためには、被験者が排泄した排便ガスを確実に回収する必要がある。被験者が排泄した排便ガスを十分に回収できない場合には正確な診断を行うことができないばかりか、誤診断の原因となり被験者に心理的負担を与えてしまうおそれがある。
排便ガスを十分に回収するためには、例えば、被験者が着座してから離座するまでの期間にわたってボウルからガスを回収することも考えられる。しかしながら、ボウル内には残留ガスが存在し、この残留ガスにも臭気性ガス成分が含まれており、このような残留ガスを大量に回収してしまうと、診断精度が低下してしまう。さらに、付着便が存在する場合には、他人の排便ガスまでも回収してしまうため、誤診の原因となってしまう。
これに対して、大便器に排便検知センサを設け、排便検知センサにより大便の排泄が検知された場合に、ボウルから気体を回収することが考えられる。しかしながら、このように排便検知センサにより大便を検知してから気体を回収したとしても診断に適した排便ガスを回収することはできなかった。発明者らは、この原因として、排便ガスは大便よりも先に肛門から排泄されることを発見した。
また、発明者らは、鋭意研究の結果、大腸内の肛門近傍の末端部に溜まったガスは腸全体の癌等の影響が含まれていることを発見した。これは、大腸内の肛門近傍の末端部に溜まったガスは、腸全体を時間をかけて通過しているため、大腸の全体にわたって癌等の患部から生成されたメチルメルカプタン等の臭気性ガス成分が含まれるが、大腸内のその他の部位、特に上流側の部位に溜まったガスは排便時に大腸内の下流側の部位を一気に通過してしまうため、大腸内の下流側の部位に癌等の患部があったとしてもその患部から生成された臭気性ガス成分を十分に含まないためである。このため、通常、一回の排便行為では排便ガスは複数回に分かれて排泄されるが、大腸末端に溜まっており、排便行為の初期に排泄される排便ガスを回収することにより、排便ガスに反映される腸内環境に関する情報を的確に取得することができる。
本件発明は、上記の発明者らの試行錯誤により得られた知見に基づくものである。
まず、本発明では、排便時に排泄される排便ガスを回収容器に回収している。そして、このように回収容器に回収された排便ガスを成分分析することにより癌の診断を行うことができる。このように本発明では、被験者は通常通りに排便行為を行うのみで癌の診断を行うことができ、内視鏡などに比べて被験者に対する肉体的負担が非常に少ない。また、本発明では、ガスを回収するのみであり、便を採取するものではない。このため、大便を他人に見られるなどの被験者の心理的負担を抑えることができる。
また、本発明では、ガス吸引装置により大便器のボウルから気体を吸引する構成としている。メチルメルカプタン等の臭気性ガスは空気に比べて軽い。このため、排便ガスは排泄された直後から上昇してしまう。これに対して、本発明によれば、排泄された排便ガスがガス吸引装置により吸引されるため、確実に排便ガスを捕集することができる。
また、本発明では、制御装置は、ガスセンサの出力に基づき、吸引された気体に排便ガスが含まれていると判定すると、制御弁を吸引装置により吸引された気体を回収容器に供給する状態に切り替る構成としている。このため、排便行為の初期に排泄される排便ガスを確実に回収することができるとともに、大便が排泄される前に放出された排便ガスも確実に捕集することができる。このように、本発明によれば、排便行為の初期に排泄される排便ガスを確実に回収することができるため、腸内環境をよく反映した初期の排便ガスを回収することができ、高い診断精度を確保できる。
また、本発明では、大便器のボウルから排便ガスを回収するが、大便器や、大便器が設けられた空間は必ずしも清潔な状態が保たれているわけではない。すなわち、例えば、トイレ空間内に臭気性ガスが存在したり、大便器に付着した付着便から臭気性ガスが発生したりするため、これら残留している臭気性ガスが排便ガスの成分分析の際の分析ノイズとなって、診断精度を低下させ、誤診につながるおそれがある。
これに対して、本発明では、被験者が排便行為を行っていない非排便期間にガス吸引装置により吸引された気体である非排便ガスを回収容器に回収している。このため、分析ノイズとなる残留ガスの臭気性ガス量を推定することができる。そして、分析ノイズを含んだ排便ガスから残留ガスの臭気性ガス量を差し引くことにより、排便ガスのみの臭気性ガス量を求めることができ、分析精度を向上することができる。これにより、長期にわたり、腸内環境の変動を確実に診断することができる。
また、本発明において、好ましくは、制御装置は、被験者が排便行為を行う前に非排便ガス回収制御を行う。
非排便ガスを回収する場合には、排便行為の前または後に行うことが考えられる。しかしながら、非排便ガスの回収を排便行為の後に行おうとしても排便行為の終了の判定が難しく、被験者がさらなる排便やおならを行ったりして回収した気体に排便ガスが含まれてしまうおそれがある。また、被験者が排便を終了し、離座した後にはさらなる排便ガスの排出がされる可能性は低いが、この場合には排水が行われ、排便ガスの回収時の臭気環境から変動しているおそれがある。これに対して、本発明によれば、非排便ガスの回収を排便行為の前に行うため、排便行為時、すなわち、排便ガスの回収時と同様な環境で非排便ガスを回収することができる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、被験者が大便器に着座するのを検知する着座検知手段を備え、制御装置は、着座検知手段により被験者が大便器に着座するのを検知する前に、非排便ガス回収制御を行う。
被験者は着座後に排便行為を行うが、着座してすぐに排便ガスが排出される可能性がある。また、着座後に排便ガスが排出されるタイミングは、同一被験者でも毎回変化するため、予測することができない。このため、着座後に非排便ガスを回収しようとしても、回収中に被験者が排便行為を行ってしまい、回収した気体に排便ガスが含まれるおそれがある。これに対して、本発明によれば、着座前に非排便ガスの回収を行うことにより、回収された気体に排便ガスが含まれるのを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、報知手段を備え、制御装置は、非排便ガス回収制御が完了する前に、報知手段により前記大便器に着座せず待機するように、または、排便行為を行わないように報知を行う。
上記構成の本発明によれば、非排便ガス回収制御が完了する前に報知手段により、着座を待つように、または、排便行為を行わないように報知するため、より確実に回収された気体に排便ガスが含まれるのを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、さらに、被験者の大便器への近接を検知する被験者位置確認手段を有し、制御装置は、被験者位置確認手段により被験者の大便器への近接が検知された後、かつ、着座検知手段により被験者の着座が検知される前の排便準備期間中に、非排便ガス回収制御を行う。
本発明のような、大便器を用いた排便ガス回収装置は大腸癌等の病気が軽度の人又は未病の人が対象となる。このような大腸癌等の病気が軽度の人又は未病の人は、自力で大便器まで移動することができる。しかしながら、このように病気が軽度の人又は未病の人は、寝たきりの患者と異なり、日常生活で汗をかいたり、下着に便等が付着したり、洗剤や香水等を使用したりするため、被験者の体に臭気性ガスが付着し、付着した臭気性ガスが排便ガスの分析の際のノイズ成分となりうる。このようなノイズ成分となりうる臭気性ガスは、着座する前のトイレの入室動作、脱衣動作、振り返り動作などの排便準備の際の動作によりトイレ空間内に拡がる。
これに対して、本発明によれば、人感センサや、便蓋の開閉装置、バーコード等の個人認証装置、回収ボタン等の被験者位置確認手段により、被験者の大便器への近接が確認された時点から非排便ガス回収制御を実行することにより、排便ガス回収直前の被験者に付着した臭気性成分を含む非排便ガスを確実に回収することができる。
また、本発明において、好ましくは、制御装置は、排便準備期間中のガスセンサの出力に基づき基準値を設定し、ガスセンサの出力と基準値とを比較することにより吸引された気体に排便ガスが含まれているか否かを判定し、非排便ガス回収制御は、基準値の設定と同時、または、設定後に行われる。
被験者に付着した臭気性ガスの量は、運動による汗の量やシャンプーの変更等により毎回異なる。また、トイレ空間内の付着便等の臭気性ガスの量も毎回異なる。これに対して、本発明によれば、毎回、排便準備期間中のガスセンサの出力に基づき基準値を設定し、この基準値に基づき排便ガスの回収を開始するため、確実に排便ガスを回収することができる。また、排便ガスの回収は基準値に基づき開始されるため、基準値設定時又は設定後の非排便ガスを回収することにより、排便ガス回収時により近い状態の非排便ガスを回収することができ、より正確にノイズ成分を除去した分析が可能になる。
また、本発明において、好ましくは、制御装置は、排便準備期間中のガスセンサによる出力に基づき、非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が第1の所定値よりも多いと判定された場合のみに前記非排便ガス回収制御を行う。
被験者に付着した臭気性ガスやトイレ空間内の臭気性ガスの量は毎回異なり、分析に影響がほとんどないような微量な場合もある。これに対して、本発明によれば、非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が所定値よりも多いと判定された場合のみに非排便ガス回収制御を行うため、臭気性ガスの量が少なく正確な分析を行うことができる場合には、非排便ガスの回収を省略し、これにより回収容器を温存することができる。
また、本発明において、好ましくは、制御装置は、排便準備期間中のガスセンサによる出力に基づき、非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が第2の所定値よりも多いと判定された場合には、排便ガス回収制御及び前記非排便ガス回収制御を行わない。
本発明の排便ガスの回収の対象となるような大腸癌等の病気が軽度の人又は未病の人は、寝たきりの患者と異なり、日常生活で汗をかいたり、下着に便等が付着したり、洗剤や香水等を使用したりするため、被験者に多量に臭気性ガスが付着するおそれがある。このように大量に臭気性ガスが被験者に付着してしまうと、排便ガスを回収しても誤診となるおそれがある。これに対して、本発明によれば、ガスセンサによる出力に基づき、排便ガスを回収するのに適していない状況であると判断した場合に、排便ガス回収制御を行わないため、無駄な回収制御を行うことを防止できる。さらに、このような場合には、非排便ガス回収制御も不要となるが、本発明によれば、非排便ガス回収制御も行わず、無駄な非排便ガスの回収を省略することができる。
本発明によれば、メチルメルカプタン等の臭気性ガスを含む排便ガスを回収するためのシステムであって、精度の高い診断が可能となる排便ガス回収システムが提供される。
トイレ空間に設置された水洗大便器に本発明の第1実施形態による排便ガス回収システムを取り付けた状態を示す図である。 図1に示す排便ガス回収システムの便座側装置を拡大して示す斜視図である。 第1実施形態の排便ガス回収システムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態におけるガス吸引装置の構成を示す図である。 第1実施形態の排便ガス回収システムの回収装置の構成を示す図である。 第1実施形態の排便ガス回収システムの回収装置の配管群及び回収袋の分解図である。 流路開閉弁の構成を示し、(a)は開放状態、(b)は閉鎖状態を示す。 軟質配管ユニットを取り外した流路開閉弁を示す図である。 排便ガスを回収する流れを説明する図である。 回収袋の交換方法を説明するための図である。 被験者の1回の排便行動における、排便ガス回収システムに備えられた各センサによる検出信号及び制御弁の駆動を模式的に示したグラフである。 回収制御及び回収禁止制御について説明するための図である。 回収袋に回収された気体を成分分析する流れを説明するための図である。 排便ガスの分析結果から残留ガス等の影響を除去する方法を説明するための図である。 分析結果表示機に表示される分析結果の一例を示す。 臭気性ガスセンサにより検出された検出値が増加傾向にある場合における基準値の設定方法を説明するための図である。 (a)は、第2実施形態による排便ガス回収システムにおける便座側装置をトイレ空間に設置された水洗大便器に取り付けた状態を示す図であり、(b)は、(a)に示す便座側装置を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態の排便ガス回収システムを示し、(a)は便器装置と回収装置とが接続された状態を示す斜視図であり、(b)は便器装置と回収装置との接続が解除された状態を示す斜視図である。 第3実施形態の排便ガス回収システムの構成を示すブロック図である。 第3実施形態の排便ガス回収システムにおけるガス吸引装置の構成を示す図である。 図18に示す排便ガス回収システムの回収装置の内部の構成を示す図である。 (a)は、図21に示す回収装置の配管群及び回収袋を取り外した状態を示し、(b)は回収装置の配管群及び回収袋の分解図である。 図21に示す回収装置において取り外し可能な配管群及び回収袋を破線で示す図である。 第3実施形態の排便ガス回収システムにおける排便ガス回収時以外における便器装置を示す図である。 (a)は、第4実施形態による排便ガス回収システムにおける便座側装置をトイレ空間に設置された水洗大便器に取り付けた状態を示す図であり、(b)は、(a)に示す便座側装置を示す斜視図である。 60代以下の健常者、60〜70代の健常者、早期がんの患者、進行癌の患者の排便ガスに含まれる健康系ガスと、臭気性ガスの量を測定した結果を示す図である。
以下、本発明の排便ガス回収システムの実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、トイレ空間に設置された水洗大便器に本発明の第1実施形態による排便ガス回収システムを取り付けた状態を示す図である。図1に示すように、排便ガス回収システム1は、トイレ空間R内の水洗大便器2に取り付けられ、おしり洗浄機能付き便座4に一部が組み込まれている便座側装置6と、便座側装置6と通信可能なリモコン8と、便座側装置6が吸引した排便ガスを回収する回収装置10と、を備える。本実施形態の排便ガス回収システム1は、被験者が大便を排便する際に水洗大便器2のボウル2a(図2)内に排出された排便ガスを回収するためのものである。そして、回収された排便ガスは、例えば、ガスクロマトグラフィー等により含まれるガス成分の分析が行われ、分析結果に基づき癌等の診断を行うものである。
まず、排便ガスのガス成分分析により癌、特に大腸癌の診断を行う原理を説明する。
消化器系の癌、特に大腸癌を患うと、患部からメチルメルカプタンや硫化水素等の硫黄成分を含む臭気性ガスが、排便と同時に排出されることが文献等で報告されている。消化器とは食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、すい臓、胆嚢、であり、大腸も、虫垂、盲腸、直腸、結腸に分類できるが、以下この4つの部位を総称して大腸とする。癌は、日々の変化は少なく、徐々に進行していくものである。癌が進行すると硫黄成分を含む臭気性ガス、特に、メチルメルカプタンの量が増加していく。すなわち、硫黄成分を含む臭気性ガスのガス量が増加した場合には、癌が進行していると判断することができる。
ここで、排便時に排泄される排便ガスには、硫化水素及びメチルメルカプタン以外に、窒素、酸素、アルゴン、水蒸気、二酸化炭素、水素、メタン、酢酸、トリメチルアミン、アンモニア、プロピオン酸、二硫化メチル、三硫化メチルなどが含まれている。このうち、癌の疾病を判定するためには、硫黄系成分を含む臭気性ガス、特に、メチルメルカプタンの量を測定する必要がある。
さらに、発明者らは、健常者は、腸内環境が酸性であるが、癌患者になると、腸内環境がアルカリ性になり、さらに、ビフィズス菌等の量が減ってしまい、CO2、H2、脂肪酸などの醗酵系成分の健康系ガス量が臭気性ガス量の増加に反比例するように確実に継続的に少なくなることに着目した。
そこで、発明者らは、60代以下の健常者、60〜70代の健常者、早期がんの患者、進行癌の患者の排便ガスに含まれる健康系ガスと、臭気性ガスの量を測定したところ、図26に示すような結果となった。すなわち、健常者の排便ガスは、健康系ガス量が多く、臭気性ガスのガス量が少ない。これに対して、がん患者の排便ガスは、健康系ガス量が少なく、臭気性ガスの量が多い。そして、早期癌に比べて進行癌の排便ガスに含まれる健康系ガスの量は減少している。さらに、健康系ガス量及び臭気性ガス量ががん患者と健常者の中間量である場合には、グレーゾーンであると考えられる。このため、発明者らは、上記の知見に基づき、被験者の健康系ガスのガス量と臭気性ガスのガス量を測定し、これらの相関に基づき健康状態を高精度で判定することができると考えた。
また、発明者らは、排便ガスを測定したところ、1回の排便時に、複数回の排泄行為(1回のおならや1回の便を排出する行為)を行う場合には、初回の排泄行為に伴って排出される排便ガス量に多く臭気性ガスも多く含まれることが判明した。これは、初回の排泄行為に伴って排出される排便ガスは大腸内の肛門近傍の末端部に溜まったガスであり、この大腸内の末端部に溜まったガスは腸全体を時間をかけて通過しているため、大腸の全体にわたって癌等の患部から生成されたメチルメルカプタン等の臭気性ガス成分が含まれるが、大腸内のその他の部位に溜まったがガスは排便時に大腸内の下流側の部位を一気に通過してしまうため、大腸内の下流側の部位に癌等の患部があったとしてもその患部から生成された臭気性ガス成分を十分に含まないためである。
したがって、微量な臭気性ガスに基づき正確な診断を行うために初回の排便ガスを回収することが好ましい。2回目以降の排泄行為のガスを測定する際には、初回の排泄行為により排出された便の影響を受ける可能性があるため、この影響を軽減できる。このため、排泄行為にともない排泄される排便ガスのうち、初回の排泄行為に伴って排出される排便ガスのうち、大腸内の肛門近傍の末端部に溜まった初期の部分を回収することにより、より正確な診断を行うことができる。
図2は、図1に示す排便ガス回収システムの便座側装置を拡大して示す斜視図である。図2に示すように、便座側装置6は、トイレ空間R内の水洗大便器2に取り付けられ、おしり洗浄機能付き便座4に一部が組み込まれている。おしり洗浄機能付き便座4には、便座側装置6として、水洗大便器2のボウル2a内のガスを吸引するガス吸引装置7と、吸引されたガスに含まれる特定の成分を検出するガス検出装置9が組み込まれている。また、ガス吸引装置7、ガス検出装置9等の便座4に組み込まれた各装置は、便座側に内蔵された制御装置12(図3)によって制御される。
図3は、第1実施形態の排便ガス回収システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、便座側装置6は、CPU12aと記憶装置12bを有する便器側制御装置12を備えている。この制御装置12は、水素ガスセンサ14と、臭気性ガスセンサ16と、二酸化炭素センサ18と、温度センサ20と、湿度センサ22と、入室検知センサ24と、着座検知センサ26と、排便・排尿検知センサ28と、便蓋開閉装置30と、ノズル駆動装置32と、ノズル洗浄装置34と、便器洗浄装置36と、便器除菌装置38と、ガス吸引装置7と、センサ加温ヒータ46と、クリーニングガス供給装置48と、ダクトクリーナー56と、送受信機58と、に接続されている。さらに、便器側制御装置12は、回収装置10の通路加温ヒータ51と、回収袋開閉弁52と、流路開閉弁54とにも制御可能に接続されている。なお、CPU12aには、水素ガスセンサ14、臭気性ガスセンサ16、二酸化炭素センサ18、及び、排便・排尿検知センサ28の出力に基づきおならが排泄されたか否かを検知する分析回路が構成されている。
温度センサ20は、臭気性ガスセンサ16等の触媒の温度を測定する。臭気性ガスセンサ16等のセンサ感度は、触媒の温度により僅かに変化してしまう。本実施形態では、臭気性ガス量が非常に少量であるためこの微量なガスを精度よく安定して検知できるように、温度センサ20により測定された温度に応じて、便器側CPU12aは温度センサ20のセンサ温度を所定の範囲に正確に保つように、後述するセンサ加温ヒータ46を制御して、所定の温度環境に調整する。
湿度センサ22は、ガス吸引装置7により吸引された気体の湿度を測定する。
入室検知センサ24は、例えば、赤外線センサであり、被験者のトイレ空間Rへの入退出を検知する。入室検知センサ24は、大便器2が設けられたトイレ空間への被験者の入退、すなわち、被験者の大便器への近接を検知する被験者位置確認手段として機能する。また、例えば病院の個室等に設置可能な大便器を用いる場合には入室検知センサ24に代えて大便器から所定の距離への被験者の入退を検知するような赤外線センサを用いるとよい。このようなセンサも入室検知センサ24と同様に被験者位置確認手段として機能する。
着座検知センサ26は、例えば、赤外線センサや圧力センサ等であり、被験者が便座4に着座しているか否かを検知する。
排便・排尿検知センサ28は、本実施形態においては、マイクロ波センサで構成されており、被験者により排出されたものが小便であるか、大便であるか、さらに、大便が封水に浮いているか、沈んでいるか、また、便が下痢状態であるか否か等の排便の状態を検知するように構成されている。或いは、CCDや、封水の推移を測定する水位センサ等で排便・排尿検知センサ28を構成することもできる。
便蓋開閉装置30は、入室検知センサ24等の検出信号に基づいて、状況に応じて便蓋を開閉するための装置である。また、便蓋開閉装置30は、自動に開閉することなく、被験者により便蓋が開閉されたことを検知することも可能である。
ノズル駆動装置32は、おしり洗浄に用いられる清掃装置であり、排便後の被験者のおしりの洗浄を行う装置である。ノズル駆動装置32は、ノズルを駆動して、水洗大便器2の洗浄を行うように構成されている。
ノズル洗浄装置34は、ノズル駆動装置32のノズルを洗浄するための清掃装置であり、本実施形態においては、水道水から次亜塩素酸を生成し、生成した次亜塩素酸によりノズルを洗浄するように構成されている。
便器洗浄装置36は、洗浄水タンク(図示せず)に貯留されていた水や水道水を便器内に放出し、水洗大便器2のボウル2a内を洗浄するための清掃装置である。便器洗浄装置36は、通常は被験者によるリモコン8の操作により作動され、ボウル2a内を洗浄するが、後述するように、状況に応じて制御装置12により自動的に作動される。
便器除菌装置38は、例えば、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水を水洗大便器2のボウル2aに噴霧し、ボウル2aの殺菌を行う装置である。
ガス吸引装置7は、水洗大便器2のボウル2a内のガスを吸引するためのファンを備えており、吸引されたガスは臭気性ガスセンサ16等の検出部を流れた後、接続配管75を通じて回収装置10へ送られる。ガス吸引装置7の詳細な構成については後述する。
センサ加温ヒータ46は、臭気性ガスセンサ16等の触媒を加熱活性させるためのものである。各センサは触媒が所定温度に維持されることにより、所定の気体成分を正確に検出することができる。
クリーニングガス供給装置48は、例えば、空気やオゾンガス等のクリーニングガスを回収管路内に供給する装置である。
ダクトクリーナー56は、ガス吸引装置7の回収通路内を、例えば、水道水を電気分解した次亜塩素酸等により清掃するための装置である。
次に、図3に示すように、リモコン8は、CPU60aと記憶装置60bを有するリモコン側制御装置60を備えている。このリモコン側制御装置60には、個人認証装置62と、入力装置64と、送受信機66と、表示装置68と、スピーカー70と、時刻取得装置72が接続されている。
記憶装置60bには、過去の排便ガス回収情報が記憶されている。具体的には、被験者を識別するための被験者識別情報と、排便ガスを回収した日時に関する回収日時情報と、回収した回収袋82(図5)を識別する回収袋識別情報と、回収した気体がボウル内に残存する残留ガスであるか、排便ガスであるか、おならであるかに関するガス情報が対応づけられて記憶されている。
個人認証装置62は、例えば、バーコードリーダからなり、被験者が所持するバーコードを読み込み、被験者を識別するための被験者識別情報を取得する。
入力装置64及び表示装置68は、本実施形態においては、タッチパネルで構成されている。
スピーカー70は、排便ガス回収システム1が発する各種の警報、メッセージ等を出力するように構成されている。表示装置68及びスピーカー70は被験者に対する報知装置として機能する。
時刻取得装置72は、例えば、時計などであり、排便ガスを回収した日時に関する時刻情報をリモコン側制御装置60に提供する。
リモコン8側の送受信機66は、ネットワークを介して医師や、看護師が所持する送受信機73と通信可能に接続されている。送受信機73は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、又はPC等からなる。送受信機73は医師や看護師に対する報知手段として機能する。
次に、図4を参照して、便座4に内蔵されているガス検出装置9の構成を説明する。
まず、本実施形態の排便ガス回収システム1では、臭気性ガス及び水素ガスを検出するために、ガス検出装置9の臭気性ガスセンサ16及び水素ガスセンサ14として半導体ガスセンサが用いられている。また、二酸化炭素を検出するための二酸化炭素センサ18として、ガス検出装置9には、固体電解質センサが用いられている。
半導体ガスセンサは、酸化スズ等を含む酸化金属膜からなる触媒を有する。触媒は、数百度に加熱された状態で、加熱された触媒が還元性ガスに曝されると、表面に吸着している酸素と還元性ガスの間で酸化・還元反応がおこる。半導体ガスセンサは、この酸化・還元反応による触媒の抵抗値の変化を電気的に検出することにより、還元性ガスを検出することができる。半導体ガスセンサが検出可能な還元性ガスには、水素ガスや、臭気性ガスが含まれる。なお、本実施形態においては、臭気性ガスを検出するセンサ、水素ガスを検出するセンサ共に半導体ガスセンサが使用されているが、臭気性ガスセンサに使用されている触媒は臭気性ガスに強く反応するように、水素ガスセンサに使用されている触媒は水素ガスに強く反応するように、夫々触媒の成分が調整されている。
このように、本実施形態においては、「臭気性ガスセンサ」として「半導体ガスセンサ」が使用されているが、上記のようにこの「半導体ガスセンサ」は検出対象としているメチルメルカプタンガスの他、それ以外の臭気性ガスにも広く反応する一般的な物を使用している。また、後述するように「臭気性ガスセンサ」として固体電解質センサを用いることも可能であるが、固体電解質センサも、半導体ガスセンサと同様にメチルメルカプタンガスの他、それ以外の臭気性ガスにも広く反応する一般的な物を使用してかまわない。上記のように、本実施形態において採用されているガスセンサは、メチルメルカプタンガス、及びメチルメルカプタンガス以外の臭気性ガスにも反応してしまうセンサであるが、本明細書においては、便宜上、これを「臭気性ガスセンサ」と呼ぶことにする。本実施形態において採用されている「臭気性ガスセンサ」が反応する臭気性ガスとして、代表的には、メチルメルカプタンガス、硫化水素ガス、アンモニアガス、アルコール系のガスが挙げられる。
なお、本実施形態では、臭気性ガス及び水素ガスを検出するためのセンサとして半導体ガスセンサを用いた場合について説明するが、これに代えて、固体電解質センサを用いることも可能である。固体電解質センサは、例えば、安定ジルコニア等の固体電解質を加熱しておき、固体電解質を透過するイオン透過量に基づいて、ガスを検知するセンサである。固体電解質センサが検出可能なガスには、水素ガス及び臭気性ガスが含まれる。また、本実施形態では、二酸化炭素を検出するためのセンサとして、固体電解質センサが用いられている。二酸化炭素センサはこれらに限られるものではなく赤外方式などでも良い。なお、本実施形態体では、排便ガスを検出するためのガスセンサとして、水素ガスセンサ14と、臭気性ガスセンサ16と、二酸化炭素センサ18とを設けているが、少なくとも1つ設けられていればよい。
図4は第1実施形態におけるガス吸引装置の構成を示す図である。図4に示すように、本実施形態においては、ガス吸引装置7の内部にガス検出装置9が配置されている。
ガス吸引装置7は、上下方向に延び、ボウル2aの背面側に下方に向かって開口する上下方向通路7aと、上下方向通路7aの開口から上方に延びた後、概ね水平方向に延びる横方向通路7bと、横方向通路7bの下流側に配置された吸引装置としての吸引ファン7cと、により構成されている。また、上下方向通路7aから横方向通路7bにより構成される吸気通路の内部には、クリーニングガス供給装置48、及び、ダクトクリーナー56が設けられている。
ガス検出装置9は、吸気通路の内部に配置されたフィルタ74と、臭気性ガスセンサ16と、水素ガスセンサ14と、二酸化炭素センサ18によって構成されている。
図4に示すように、吸気通路を横断するようにフィルタ74が配置され、フィルタ74の下流側に臭気性ガスセンサ16、水素ガスセンサ14、及び二酸化炭素センサ18が並置されている。
吸引ファン7cは、水洗大便器2のボウル2a内の気体を吸引通路内に吸い込むものである。上下方向通路7aは、内部へ小便等の飛沫が入り込まないように、吸引口が下方に向けられた状態でボウル2a内に開口している。メチルメルカプタン等の臭気性ガスや、水素ガスは分子量が小さいため、排便後すぐに上昇してしまう。これに対して、本実施形態では、吸引ファン7cによってボウル2a内に開口した上下方向通路7aの入口から吸引することにより、排出された臭気性ガス及び水素ガスを含む排便ガスを確実にガス検出装置9内へ導入することができる。このように、ガス吸引装置7は、被験者が排便を開始する前から作動され、被験者の排便期間中において一定流速の気体を各ガスセンサに接触させる。
フィルタ74は、脱臭機能を備えていないフィルタであって、臭気性ガス、水素、及び二酸化炭素を通過し、尿や洗浄剤等の異物の通過を妨げるように構成されている。このようなフィルタ74としては、化学反応を利用せず、機械的に異物を捕集する部材、例えば、細かいネット状部材を用いることができる。これにより、臭気性ガスセンサ16、水素ガスセンサ14、及び二酸化炭素センサ18が尿石等により汚染されるのを防止できる。
さらに、各ガスセンサに対して、各ガスセンサの上流側、かつ、フィルタ74の下流側にセンサ加温ヒータ46が夫々設けられている。上述の通り、半導体ガスセンサである臭気性ガスセンサ16及び水素ガスセンサ14は、触媒を所定の温度に加熱した状態において、水素及び臭気性ガスを検出することができる。センサ加温ヒータ46は、臭気性ガスセンサ16及び水素ガスセンサ14の触媒を加熱するために設けられている。また、二酸化炭素センサ18も固体電解質を所定の温度に加熱する必要があり、センサ加温ヒータ46が設けられている。これらセンサ加温ヒータ46はセンサに付着した異臭ガス成分を加熱除去するための異臭除去装置としても機能する。なお、臭気性ガスセンサ、水素ガスセンサとして固体電解質センサを使用する場合においても触媒を加熱するためのセンサ加温ヒータを設ける必要がある。
さらに、センサ加温ヒータ46は、各センサに付着した堆積物を除去するための手段としても機能する。フィルタ74を通過したガスは異物が除かれているものの、吸引したガスには様々な異臭ガス成分が含まれている。このような異臭ガス成分は各ガスセンサに付着し、微量な臭気性ガスを測定する際のノイズの原因となりうる。これに対して、センサ加温ヒータ46により、センサの触媒を加熱することにより、新たな装置を設けることなく、センサに付着した異臭ガスを加熱除去することができる。また、制御装置12は、被験者の排便行動が開始される前から、各ガスセンサの温度が一定になるようにセンサ加温ヒータ46を制御する。即ち、制御装置12は、気流が接触することにより、各ガスセンサの温度が低下するのを抑制するように、センサ加温ヒータ46を制御する。これにより、被験者の排便期間中において、各ガスセンサの感度が所定の値に管理され、各ガスセンサによる測定誤差を抑制することができる。
ここで、臭気性ガスセンサ16として用いている半導体ガスセンサは、臭気性ガスのみならず、水素も検出してしまう。しかしながら、臭気性ガスセンサ16は排便ガスを検知するために設けられており、臭気性ガスのガス量を測定する必要はないため、水素を検出したとしても問題はない。
ガス吸引装置7により、ボウル2aから吸引された気体は接続配管75(図1)を介して、回収装置10へと送られる。
図5は、第1実施形態の排便ガス回収システムの回収装置10の構成を示す図である。図5に示すように、回収装置10は、フレーム86(図1)と、回収通路を構成する配管群80と、制御弁としての回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54と、回収袋82a、82b、82cと、脱臭ユニット84と、を備える。
図6は、第1実施形態の排便ガス回収システムの回収装置10の配管群80及び回収袋82の分解図である。配管群80は、複数の円筒状の直管80aと、複数のT字型の分岐管80bと、複数の軟質配管ユニット80cとが組み合わされて構成されている。直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80cは固定用バンドなどの簡易に取り外し可能な部材により支持されている。配管群80の外周には伝熱線等の通路加温ヒータ51(図3)が設けられており、通路加温ヒータ51により配管群80を加熱することができる。
直管80a及び分岐管80bは、硬質のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)で構成されている。なお、これに限らず、直管80a及び分岐管80bは、例えば塩化ビニール等の他の硬質樹脂製の配管の内側にPTFEによるコーティングを行った配管を用いてもよい。
軟質配管ユニット80cは、可撓性を有する軟質の筒状のPTFE樹脂からなる筒状部材80ca(図5)の両端に、硬質のPTFE製の直管80cb(図5)を接続して構成される。なお、軟質配管ユニット80cも、PTFE以外の樹脂からなる可撓性を有する筒状部材の両端に直管を接続し、筒状部材及び直管の内側にPTFEによるコーティングを行ってもよい。
本実施形態では、回収装置10の下部に上流側(図5の右側)から、直管80a、分岐管80b、直管80a、分岐管80b、直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80cの順序で水平に連結されている。最上流側の直管80aの上流側端部には、便座側装置6のガス吸引装置7から延びる接続配管75(図1)が接続されている。また、最下流側の軟質配管ユニット80cの下流側に脱臭ユニット84が連結されている。
各分岐管80bの分岐路は上方に開口している。そして、各分岐管80bの分岐路には、それぞれ上下方向に延びる軟質配管ユニット80cの下端が接続されている。
配管群80を構成する直管80a、複数のT字型の分岐管80b、複数の軟質配管ユニット80c、及び回収袋82は、パイプバンド等の簡易に取り外し可能な接続器具を用いて連結されている。
各回収袋82は可撓性の材料からなり、袋状に形成された回収袋本体82Aと、回収袋本体82A内に連通する筒状の回収口82Bと、回収袋本体82Aに取り付けられたコック付ノズル82Cとを備える。回収袋82には、回収袋82の上方を水平に延びるフレーム86から延びる吊り部材86aにより、回収袋本体82Aが吊り下げられて支持されている。また、回収袋82は、回収口82Bが下方に位置するように支持されている。そして、各回収口82B内に上下方向に延びる軟質配管ユニット80c2、80c3、80c4の上端が挿入され、回収口82Bの外側からパイプバンド85により締め付けることにより、各回収袋82の回収口82Bが軟質配管ユニット80cに接続されている。また、各回収袋82には、回収口82Bから回収袋本体82Aまで延びるように、硬質のPTFEの直管83A、83B、83Cが収容されている。これは、可撓性の回収口82Bが閉塞してしまい、回収袋82内へ気体のスムーズな回収が阻害されるのを防止するためである。
脱臭ユニット84は、脱臭用触媒を内蔵した装置であり、配管群80を通じて送られた気体内の臭気性ガスなどを脱臭用触媒に吸着し、脱臭後の気体を外部に排出する。
次に、制御弁を構成する回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54の構成について説明する。なお、回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54は同様な構成であるので、以下、流路開閉弁54の構成について説明する。
図7は、流路開閉弁の構成を示し、(a)は開放状態、(b)は閉鎖状態を示す。また、図8は、軟質配管ユニット80cを取り外した流路開閉弁を示す図である。図7に示すように、流路開閉弁54はモータユニット88と、開閉器90とを備える。開閉器90は、第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bと、ねじりばね94と、第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bの対向する面に取り付けられた一対の台座部96A,96Bと、一対の台座部96A,96Bの対向する面にそれぞれの取り付けられた面ファスナ98A、98Bとを備える。
第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bは軸部92Cを中心に、図7の紙面に水平な平面内で相対的に回動可能に構成された部材である。本実施形態では、開閉器90は、第1の開閉部材92Aがモータユニット88に対して遠位に、第2の開閉部材92Bがモータユニット88に近接するように所定の位置関係で設けられている。また、本実施形態では、第1の開閉部材92Aが回収装置10のフレーム86に固定されている。第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bの間には、軟質配管ユニット80c1を構成する筒状部材80caが配置されている。
ねじりばね94は、第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bの軸部内に内蔵されており、図7(a)に示すような第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bが開いた状態となるように、第2の開閉部材92Bを第1の開閉部材92Aに対して離間するように付勢する。
台座部96A、96Bは、例えば、ゴムなどの弾性部材により構成された部材である。台座部96A、96Bの対向する側の面には段差が形成されており、軸部92C近傍の部分が薄く、軸部92Cから遠位の部分が厚くなっている。そして、軸部92C近傍の薄い部分に面ファスナ98A、98Bが取り付けられている。
第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bと筒状部材80caとは固定されることなく着脱可能に取り付けられている。具体的には、軟質配管ユニット80c1を構成する可撓性の筒状部材80caの上下の部分には、面ファスナ100B、100Aがそれぞれ取り付けられている。これら軟質配管ユニット80c1を構成する筒状部材80caに取り付けられた面ファスナ100B、100Aは、それぞれ第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bに取り付けられた面ファスナ98A、98Bに着脱可能に取り付けられている。
このような構成により、流路開閉弁54から容易に軟質配管ユニット80c1を取り外すことができる。具体的には、図8に示すように、流路開閉弁54を開いた状態で、流路開閉弁54の面ファスナ98A、98Bから、軟質配管ユニット80c1の筒状部材80caの外面に取り付けられた面ファスナ100B、100Aを剥がすのみで、流路開閉弁54から軟質配管ユニット80c1を取り外すことができる。
モータユニット88は、シャフト102Aを回転駆動させるモータ102と、シャフト102Aに固定された押圧部材104とを有する。モータユニット88はモータ102を回転駆動させることにより、図7(a)に示すように、シャフト102Aが開閉器90の第2の開閉部材92Bと離間した状態と、図7(b)に示すように第2の開閉部材92Bを押圧した状態とを切り替えることができる。
流路開閉弁54により筒状部材80caを閉鎖するには、モータユニット88のモータ102を回転駆動させて、図7(b)に示すように、押圧部材104が開閉器90の第2の開閉部材92Bを押圧する状態に切り替える。そして、第2の開閉部材92Bが第1の開閉部材92Aに向かって回動し、第2の開閉部材92Bが第1の開閉部材92Aが筒状部材80caを挟み込む。これにより、筒状部材80ca内の空間が封止され、閉鎖状態に切り替えられる。
流路開閉弁54により筒状部材80caを開放するには、モータユニット88のモータ102を回転駆動させて、図7(a)に示すように、押圧部材104が開閉器90の第2の開閉部材92Bと離間した状態に切り替える。これにより、ねじりばね94により付勢された第2の開閉部材92Bが第1の開閉部材92Aから離間する方向に回動する。この際、軟質配管ユニット80c1を構成する筒状部材80caに取り付けられた面ファスナ100B、100Aが、それぞれ第1の開閉部材92A及び第2の開閉部材92Bに取り付けられた面ファスナ98A、98Bに取り付けられているため、第2の開閉部材92Bが第1の開閉部材92Aから離間する方向に回動すると、筒状部材80ca内の空間が開かれ、開放状態に切り替えられる。なお、回収袋開閉弁52a、52b、52cも同様に制御することにより、開放状態と閉鎖状態とを切り替えることができる。
以上説明した回収装置10の構成により、必要に応じて、回収装置10から脱臭ユニット84、回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54を取り外すことなく、直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80c、及び回収袋82を取り外し、新たな、直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80c、及び回収袋82を取り付けることができる。また、直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cは、任意の一つのみを取り外して交換することもできる。
便座側装置6のガス吸引装置7により吸引された水洗大便器2のボウル2a内の空気は、ガス吸引装置7内の上下方向通路7a及び横方向通路7bを通り、便座側装置6の背面から接続配管75に送りこまれる。接続配管75に送りこまれた気体は、回収装置10の配管群80に送りこまれる。そして、後述するように、流路開閉弁54が開放状態であり、かつ、回収袋開閉弁52a、52b、52cが閉鎖状態である場合には、配管群80に送りこまれた気体は脱臭ユニット84により脱臭され、トイレ空間R内に放出される。また、流路開閉弁54が閉鎖状態であり、かつ、回収袋開閉弁52a、52b、52cの何れかが開放状態である場合には、ガス吸引装置7により吸引された気体は開放された回収袋開閉弁52a、52b、52cに対応する回収袋82へ回収される。このようなガス吸引装置7の上下方向通路7a及び横方向通路7bから回収袋82又は脱臭ユニット84までの経路を回収通路という。そして、流路開閉弁54、及び、回収袋開閉弁52a、52b、52cは、排便ガスを確実に回収できるように、ガス検出装置9から所定の距離以上、下流側に設けられている。
次に、図9を参照して、本発明の第1実施形態による排便ガス回収システム1により排便ガスを回収する流れを説明する。
図9は、排便ガスを回収する流れを説明する図である。
本実施形態の排便ガス回収システム1では、被験者が排便時に放出する排便ガスを回収するためのものである。そして、回収された排便ガスに含まれるメチルメルカプタンを主とする臭気性ガスと、健康系ガスのガス量を分析し、この分析により得られたガス量に基づき癌の判定を含む体調状態の分析を行うことができる。
ここで、被験者が排出した排便ガスの全てを吸引装置7によって吸引することは困難であると共に、便器内やトイレ内が非常に不衛生な状態では、これが外乱となって影響をおよぼし、ガス検出装置により排便ガスを検出できなかったり、分析精度が低下したりするおそれがある。
これに対して、上述の通り、1回の排便時に、複数回の排泄行為(1回のおならや1回の便を排出する行為)を行う場合には、初回の排泄行為に伴って排出される排便ガスはガス量が多く、さらに、腸内環境をよく反映した臭気性ガスが多く含まれる。このため、本実施形態の排便ガス回収システム1では、1回の排便時における初回の排泄行為に伴う排便ガスを回収する。さらに、成分分析時に周辺環境に残留する残留ガスの影響を考慮できるように、被験者が排便行為を行っていない非排便期間に残留ガスも回収する。
図9に示すように、本実施形態の排便ガス回収システム1による一回の排便行動時における排便ガスの回収においては、回収前環境整備工程S1と、回収開始準備工程S2と、回収不可判定工程S3と、回収工程S4と、脱臭/記憶工程S5と、回収後環境整備工程S6が実行される。
回収前環境整備工程S1とは、被験者がトイレ空間Rに入室する前に行われる工程である。被験者がトイレ空間Rに入室したか否かは、入室検知センサ24(図2)により検知される。なお、回収前環境整備工程S1では、流路開閉弁54は開放状態となっており、各回収袋開閉弁52a、52b、52cは閉鎖状態となっている。
回収前環境整備工程S1では、便器側制御装置12はセンサ加温ヒータ46、ガス吸引装置7、及び便蓋開閉装置30を回収待機モードに変更して制御する。センサ加温ヒータ46は、回収待機モードでは、温度センサ20により測定された温度に基づき、臭気性ガスセンサ16の触媒の温度が測定を行う際の温度よりも低い温度(例えば、370℃)になるように制御される。ガス吸引装置7は、回収待機モードでは、吸引風量が最小限となるように制御される。便蓋開閉装置30は、回収待機モードでは、便蓋が閉じた状態となるように制御される。
また、回収前環境整備工程S1において、以下の通り定期洗浄制御を行う。臭気性ガスセンサ16の触媒は、センサ加温ヒータ46が回収待機モードであるため、最適温度よりは低くなっているものの、臭気性ガスのガス濃度の測定は可能である。水洗大便器2に付着便等がある等、ボウル2a内に異臭ガスの発生源がある場合には、臭気性ガスセンサ16により測定されるガス濃度が所定値以上となる。便器側制御装置12は、回収前環境整備工程S1において、定期的に臭気性ガスセンサ16により臭気性ガスの検出を行い、臭気性ガスセンサ16により測定されたガス濃度の値(残留ガス量)が所定値を超えた場合には便器洗浄を実行する。具体的には、便器側制御装置12は、ノズル駆動装置32によりノズルから洗浄水を放出してボウル2aを洗浄する、便器洗浄装置36により洗浄水タンクに貯留されていた水をボウル2a内に放出してボウル2a内を強制洗浄する、あるいは、便器除菌装置38により、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水をボウル2aに吹きかけ、ボウル2aの殺菌を行う。
また、臭気性ガスセンサ16により測定されるガス濃度が所定値以上の場合において、便器側制御装置12がガス吸引装置7を作動させてボウル2a内の気体を吸引し、脱臭ユニット84から排出して、ガス濃度を低下させることもできる。また、便蓋を開放させた状態でガス吸引装置7により気体を吸引することにより、ボウル2a内のみではなく、トイレ空間R内も脱臭することができる。好ましくは、ガス吸引装置7及び脱臭ユニット84により脱臭する場合には、被験者の排便期間内において回収を行っているときよりも、ガス吸引装置7による気体の吸引量を大きくする。
或いは、トイレ空間Rに設けられた換気装置(図示せず)を便器側制御装置12が制御できるように構成しておき、換気装置を作動させることによりガス濃度を低下させても良い。このようにして、ボウル2a内に残留している臭気性ガスの濃度を低下させ、残留している気体に起因する残留ガスノイズの影響が軽減される。
さらに、回収前環境整備工程S1において、上述した便器及び回収通路の清掃を行っても、臭気性ガスセンサ16により測定されるガス量が所定値未満とならない場合には、便器側制御装置12は、送受信機58によりリモコン8の送受信機66に清掃ワーニング指令信号を送信する。リモコン8側の送受信機66が清掃ワーニング指令信号を受信すると、医師や看護婦が所持する送受信機73に被験者に対してトイレの洗浄をするよう報知する。
また、測定前環境整備工程S1において、便器側制御装置12は、定期的に吸引環境クリーニングを行う。具体的には、便器側制御装置12は、ダクトクリーナー56を駆動し、ガス吸引装置7の上下方向通路7a内に洗浄水を吹き付けて上下方向通路7a等を洗浄する。さらに、センサ加温ヒータ46により水素ガスセンサ14、臭気性ガスセンサ16及び二酸化炭素センサ18を高温に加熱して、これらガスセンサ14、16、18の表面に付着した異臭ガス成分を焼失させる。
便器側制御装置12は、定期的にクリーニングガス供給装置48により、回収通路内にクリーニングガスを供給し、回収通路内に残留するガス成分を強制清掃する。また、配管群80に設けられた通路加温ヒータ51により、配管群80を200℃程度まで加熱し、配管群を加熱清掃する。
次に、便器側制御装置12は、入室検知センサ24により被験者の入室が検知されると、送受信機58を介してリモコン8側の送受信機66に回収開始準備工程S2を開始する旨の信号を送信し、リモコン側制御装置60と同期しながら回収開始準備工程S2を行う。なお、入室検知センサ24により、被験者の入室が検知されてから、着座検知センサ26により、被験者が大便器2に着座するのを検知する前の期間を排便準備期間という。
回収開始準備工程S2では、まず、リモコン8に内蔵された個人認証装置62により被験者を特定する。具体的には、個人認証装置62は、被験者が所持するバーコードを読み取り、被験者識別情報を読み取る。そして、リモコン側制御装置60は、記憶装置60bを参照して、被験者識別情報に対応する排便ガス回収情報を取得する。
また、回収開始準備工程S2において、便器側制御装置12は、センサ加温ヒータ46、ガス吸引装置7、及び便蓋開閉装置30を回収モードに制御する。センサ加温ヒータ46は、回収モードでは、温度センサ20により測定された温度に基づき、臭気性ガスセンサ16の触媒の温度が測定に適した一定の温度(400℃)となるように、制御される。
また、ガス吸引装置7は、回収モードでは、吸引ファン7cの回転数を第1の回転数となるように制御し、吸引風量を排便ガスがボウル2aから外部に漏れないような第1の風量まで上昇させ、このような風量から変動しないように一定に制御される。また、便蓋開閉装置30は、回収モードでは、便蓋を開放するように制御される。
また、回収開始準備工程S2において、臭気性ガスセンサ16によって検出された臭気性ガス濃度が高い場合には、便器側制御装置12は、便器除菌装置38によりボウル2a内の除菌を行う。
また、便器側制御装置12は、臭気性ガスセンサ16による測定値を、排便ガス回収のベースとなるノイズレベルである基準値として設定する。また、便器側制御装置12は、臭気性ガスセンサ16による測定値に基づき、回収後に正確な分析が可能な状態であるか否かを判断する。すなわち、便器側制御装置12は、臭気性ガスセンサ16の出力に基づき求めた、非排便ガスに含まれる臭気性ガス量が測定可能閾値以上である場合には、正確な分析が不可能であると判定する。そして、便器側制御装置12は、正確な分析が不可能であると判定した場合には、以下に説明する非排便ガス回収制御を行わず、さらに、回収工程S4において排便ガスの回収制御を行わない。
また、排便準備期間中における、着座検知センサ26により被験者が着座するのを検知する前において、基準値を設定するのと同時に、又は基準値の設定後に便器側制御装置12は、ボウル2a内の残留ガス(非排便ガス)を回収袋82aに回収する非排便ガス回収制御を行う。なお、基準値が低い場合には、トイレ空間やボウル内に臭気性ガスがほとんど存在しない。この場合には、トイレ空間やボウル内に存在する臭気性ガスは診断にはほとんど影響を与えないと考えられる。そこで、本実施形態では、この非排便ガス回収制御は、臭気性ガスセンサ16の出力に基づき求めた、非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が所定値以下の場合には行わず、臭気性ガスセンサ16により検出された臭気性ガスの測定値が所定値よりも大きいと判定された場合のみに行う。
なお、この非排便ガス回収制御が完了する前において、被験者に対する報知装置である表示装置68又はスピーカー70により非排便ガス回収制御が完了するまで着座せずに、または、排便行為を行わないで待機するように報知するとよい。
なお、本実施形態では、この非排便ガス回収制御は、被験者位置確認手段としての入室検知センサ24により被験者が入室したのを検知した後に行っているが、これに限らず、被験者位置確認手段としては、上述したように、大便器から所定の距離への被験者の入退を検知するような赤外線センサ、被験者により便蓋が開閉されたことを検知する便蓋開閉装置30、個人認証装置62、被験者が大便器に近接したことを検知するためのスイッチ等を用いてもよい。
次に、便器側制御装置12は、着座検知センサ26により被験者が着座したことが検知されると、送受信機58を介してリモコン8に回収不可判定工程S3を開始する旨の信号を送信し、リモコン側制御装置60と同期しながら回収不可判定工程S3を行う。なお、着座検知センサ26が検出と非検出とを所定回繰り返すような場合は、被験者による便座の清掃の影響であるため、このような場合はS1に戻ることが望ましい。
回収不可判定工程S3では、便器側制御装置12が臭気性ガスセンサ16により測定された測定値に基づき、被験者に起因するノイズレベルの判定である被験者付着異臭ノイズ判定を行う。被験者に起因する被験者付着ノイズレベルが所定値以上の場合において、便器側制御装置12は、局部洗浄装置であるノズル駆動装置32に信号を送ってこれを作動させ、被験者のおしり洗浄を実行する。または、リモコン側制御装置60は、被験者がおしり洗浄を実行するよう、表示装置68又はスピーカー70により被験者に報知する。このように被験者のおしり洗浄等を行っても、臭気性ガスセンサ16により測定された測定値が十分低下しない場合には、便器側制御装置12はガス回収を中止し、その旨を表示装置68又はスピーカー70により被験者に報知する。
次に、便器側制御装置12は、後に詳述するように、着座検知センサ26により被験者が着座したのが検知された後において、臭気性ガスセンサ16による測定値が、基準値から大きく立ち上がる(すなわち、基準値から所定量以上、増加する)と、被験者が排泄行為を行ったと判定する。このように被験者が排泄行為を行ったと判定すると、便器側制御装置12は、回収工程S4を行う。なお、ここでいう排泄行為にはおならも含まれる。
回収工程S4では、まず、回収開始準備工程S2において、取得した排便ガス回収情報の排便ガスを回収した日時に関する回収日時情報に基づき、排便ガスの回収の要否を判定する。癌の特徴として長期間にわたって徐々に病状が進行するということが挙げられる。このため、被験者が一日に複数回排便行為を行う場合であっても必ずしも毎回排便ガスを回収する必要はない。さらに、一日に複数回排便行為を行う場合には、初回の排便行為時には多量の臭気性ガスが含まれた排便ガスが排泄されるものの、二回目以降の排便行為時に排出される排便ガスにはあまり臭気性ガスは含まれておらず、癌の判定には適していない。このため、便器側制御装置12が回収日時情報に基づき、一日の2回目以降の排便行為であると判定した場合には、排便ガスの回収を行わない。なお、排便ガスの回収の要否は一日における排便ガスの回収回数以外に、前回の排便ガスの回収からの期間に基づき決定してもよい。
そして、排便ガスの回収が必要と判定された場合には、水素ガスセンサ14、臭気性ガスセンサ16、及び、二酸化炭素センサ18により、排便ガスが放出されたことを検知すると、排出される排便ガスの初期部分を回収袋82内に回収する。そして、便器側制御装置12は、このように排便ガスのうち大腸末端部に溜まったガスを含む初期部分を回収した後は、排便ガスの回収を禁止する回収禁止制御を実施する。
次に、便器側制御装置12は、排便ガスの回収が完了した場合、又は、着座検知センサ26により被験者が離座したことが検知した場合には、脱臭/記憶工程S5を開始する。具体的には、便器側制御装置12は、ガス吸引装置7を作動させてボウル2a内の気体を吸引し、脱臭ユニット84から排出する。これにより、ボウル2a及びトイレ空間R内の空気は、脱臭ユニット84により脱臭された上でトイレ空間R内に戻される。この際、より脱臭性能を高めるため、吸引ファン7cは、回転数が第1の回転数よりも大きな第2の回転数となるように制御し、吸引風量を第2の風量まで上昇させ、このような風量から変動しないように一定に制御される。
また、便器側制御装置12は、記憶装置12bに回収情報を記憶する。具体的には、個人認証装置62により取得された被験者識別情報と、時刻取得装置72により取得された排便ガスを回収した日時に関する回収日時情報と、回収した回収袋82を識別する回収袋識別情報と、回収した気体が残留ガス(非排便ガス)であるか、排便ガスであるか、おならであるかに関するガス情報とを対応づけて記憶する。
被験者は離座後、大便器のボウルの排水を行い、トイレ室から退室する。なお、ボウルの排水は、入室検知センサ24により被験者が退出したのを検知した後、自動的に行ってもよい。便器側制御装置12は、入室検知センサ24により被験者が退室したのが検知された後、回収後環境整備工程S6を行う。なお、本実施形態では、回収後環境整備工程S6は、被験者位置確認手段としての入室検知センサ24により被験者が退出したのを検知した後に行っているが、これに限らず、被験者位置確認手段としては、上述したように、大便器から所定の距離への被験者の入退を検知するような赤外線センサ、被験者により便蓋が開閉されたことを検知する便蓋開閉装置30、個人認証装置62、被験者が大便器から近接及び離間したことを検知するためのスイッチ等を用いてもよい。
まず、回収後環境整備工程S6において、排便ガス又は残留ガスを回収した回収袋82の交換を行う。図10は回収袋82の交換方法を説明するための図である。図10(A)に示すように、回収袋82を回収するためには、まず、回収袋82の回収口82B内に配置されていた直管83を回収袋本体82A内へ移動させる。そして、図10(B)に示すように、密閉クリップ106を回収袋82により回収口82Bを前後から挟み込み、回収口82Bを封止する。次に、図10(C)に示すように、回収袋82の回収口82Bを軟質配管ユニット80cの直管80cbに固定するパイプバンド85を取り外す。なお、この際、回収袋開閉弁52は閉鎖状態となっている。次に、図10(D)に示すように、回収袋82を上方に向かって持ち上げ、回収口82Bを軟質配管ユニット80cの直管80cbから離脱させる。これにより、排便ガス又は残留ガスを回収した回収袋82を、回収口82Bが密閉クリップ106により封止された状態で取り外すことができる。
次に、新たな回収袋82を軟質配管ユニット80cの直管80cbに取り付ける。回収袋82の取付は、まず、十分に内部の気体を排気した回収袋82内に、回収口82Bから直管83を挿入する。次に、回収袋82内に可能な限り空気が入らないようにしながら、回収袋82の回収口82Bに軟質配管ユニット80cの直管80cbを挿入する。そして、回収口82Bの外周からパイプバンド85を取り付け、回収袋82を軟質配管ユニット80cの直管80cbに固定する。以上により、回収袋82の交換が完了する。
便器側制御装置12は、回収後環境整備工程S6において、臭気性ガスセンサ16によりガス濃度を測定する。そして、便器側制御装置12は、排便期間終了後所定時間経過しても臭気性ガスセンサ16により測定された残留ガスのガス濃度が所定の値よりも大きい場合には、残留ガスを低減または除去する残留ガス除去制御を実施する。
具体的には、まず、便器側制御装置12は、残留ガス除去制御として、便器洗浄装置36により洗浄水タンクに貯留されていた洗浄水をボウル2a内に放出して、ボウル2a内を自動制御により強制洗浄する。また、残留ガス除去制御として、便器除菌装置38により、水道水から次亜塩素酸水などの除菌水を生成し、生成した除菌水をボウル2aに噴霧し、ボウル2aの殺菌を行う。
また、便器側制御装置12は、回収後環境整備工程S6において、残留ガス除去制御として、配管群80に設けられた通路加温ヒータ51により、配管群80を200℃程度まで加熱して加熱清掃する。
また、便器側制御装置12は、臭気性ガスセンサ16により測定されるガス濃度が所定値以上の場合において、残留ガス除去制御として、便器側制御装置12がガス吸引装置7を作動させてボウル2a内の気体を吸引し、脱臭ユニット84から排出して、ガス濃度を低下させることもできる。また、例えば、便器側制御装置12を、トイレ室に設けられた換気扇と連動するように構成しておくことにより、残留ガス除去制御として、トイレ室の換気を実施してもよい。
また、便器側制御装置12は、回収後環境整備工程S6において、残留ガス除去制御として、クリーニングガス供給装置48により、回収通路内にクリーニングガスを供給し、回収通路内に残留するガス成分を強制清掃する。
好ましくは、回収後環境整備工程S6において残留ガス除去制御として、自動的に実行される便器洗浄は、被験者がリモコン8の洗浄スイッチ(図示せず)を操作することにより実行される通常の便器洗浄よりも、洗浄力を高く設定しておく。具体的には、回収後環境整備工程S6における便器洗浄は、ボウル2aへの洗浄水の吐出回数を多く設定しておき、或いは、洗浄水の流速を高く設定しておき、通常の便器洗浄よりも多い水量で実施するのがよい。また、回収後環境整備工程S6におけるボウル2aの殺菌は、被験者がリモコン8の殺菌スイッチ(図示せず)を操作することにより実行される通常のボウルの殺菌よりも、殺菌力を強く設定しておく。具体的には、回収後環境整備工程S6におけるボウルの殺菌では、通常の殺菌よりも高濃度の殺菌水が噴霧され、又は多量の殺菌水が噴霧されるように設定する。
さらに、排便期間終了後所定時間経過しても臭気性ガスセンサ16により測定されたガス濃度が所定の値よりも大きい場合には、上下方向通路7a内に汚れがあると判断して、残留ガス除去制御として、ダクトクリーナー56を作動させる。ダクトクリーナー56は、吸引装置7に取り付けられた上下方向通路7a内を、水道水を電気分解した次亜塩素酸等により洗浄する。
また、以上の洗浄、殺菌処理を実行しても依然として臭気性ガスセンサ16により測定されたガス濃度が十分に低下せず、所定の値以上の場合には、残留ガス除去制御として、リモコン8の送受信機66により医師又は看護婦が所持する送受信機73に水洗大便器2の清掃を促すメッセージを報知する。なお、この送受信機66への報知は、必ずしも、洗浄、殺菌処理を実施した後に行う必要はなく、臭気性ガスセンサ16により測定されたガス濃度が所定の値よりも大きい場合にすぐに実施してもよい。
このようにして、ダクトクリーナー56による洗浄及び医師又は看護婦による水洗大便器2の洗浄を行っても、依然として臭気性ガスセンサ16により測定されたガス濃度が十分に低下しない場合には、配管群80内に臭気性ガスが付着している可能性が考えられる。このような場合には、配管群80を構成する直管80aと、複数のT字型の分岐管80bと、複数の軟質配管ユニット80cとを交換する。具体的には、直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cを接続しているパイプバンド等の接続器具を取り外す。そして、直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cをフレーム86から取り外す。この際、回収袋開閉弁52、流路開閉弁54、及び脱臭ユニット84はフレームに固定されたままである。そして、新たな直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cを配置し、隣接する配管をパイプバンド等の接続器具で連結する。このようにして、配管群80を構成する直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cを交換することができる。なお、この配管の交換は、必ずしも、全てを一度に実施する必要はなく、回収袋開閉弁52及び流路開閉弁54の近傍の軟質配管ユニット80cや、屈曲部の配管のみを優先的に交換してもよい。
そして、便器側制御装置12は、回収後環境整備工程S6において、センサ加温ヒータ46、吸引装置7、及び便蓋開閉装置30を回収待機モードに変更して、一回の回収を終了する。
次に、図11を参照して、本実施形態の排便ガス回収システム1に備えられた各センサによって検出される検出値と、それに基づく排便ガスの回収の流れを説明する。図11は、被験者の1回の排便行動における、排便ガス回収システム1に備えられた各センサによる検出信号及び制御弁の駆動を模式的に示したグラフである。図11には、上段から順に、水素ガスセンサ14、二酸化炭素センサ18、臭気性ガスセンサ16、湿度センサ22、温度センサ20、着座検知センサ26、入室検知センサ24、及び排便・排尿検知センサによる検出信号の波形を示している。さらに、その下には回収装置10の回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54の駆動を示す。
まず、図11の時刻t1において、入室検知センサ24は、被験者の入室を検知する。便器側制御装置12は、入室検知センサ24によりトイレ空間R内に被験者が入出する前の状態(時刻t0〜t1)には、上述の通り回収前環境整備工程S1にあり、臭気性ガスセンサ16により臭気性ガスのガス量を測定している。この状態においても、芳香剤や水洗大便器2のボウル2aに付着している残留便の影響により、臭気性ガスセンサ16は反応し、或る程度の検出信号を出力している。なお、入室検知センサ24が入室を検知する前の状態では、臭気性ガスセンサ16やガス吸引装置7は節電状態となっており、臭気性ガスセンサ16の触媒を加熱するためのセンサ加温ヒータ46の温度が低めに設定され、吸引ファン7cの回転数が抑えられて通過する流量も低くなっている。
次に、時刻t1において、入室検知センサ24により被験者が入室したことが検知されると、便器側制御装置12は回収開始準備工程S2へと移行し、臭気性ガスセンサ16及びガス吸引装置7が起動状態となる。これにより、臭気性ガスセンサ16のセンサ加温ヒータ46の温度が上昇するとともに、ガス吸引装置7の吸引ファン7cの回転数が第1の回転数まで上がり、所定の流量のガスを吸引するようになる。これにより、温度センサ20による検出値が一旦大きく上昇した後、適正温度に収束し、一定になる(図11の時刻t1〜)。なお、本明細書においては、入室検知センサ24が被験者のトイレ空間Rへの入室を検知している期間(図11の時刻t1〜t13)を一回の「排便行動」と呼んでいる。また、被験者が入室すると、臭気性ガスセンサ16により検出される検出信号が上昇する。これは、臭気性ガスセンサ16が、被験者の体臭や、使用している香水、整髪料等に反応するためである。即ち、被験者がトイレ空間Rに入室する前の残留ガスノイズからの増加分が、被験者に起因する被験者ノイズである。便器側制御装置12は、ボウル2a内に残留している気体に起因する残留ガスノイズ、及び被験者に起因する被験者ノイズを検出する。
また、臭気性ガスセンサ16は、便器内に排出された排便ガス中にppbオーダーで含まれる極めて微量の臭気性ガスを検出することを目的として、極めて高感度に設定されているため、人間の嗅覚で感じ取ることができない程度の臭気にも反応する。そして、入室検知センサ24により被験者が入室したことが検知された後、臭気性ガスセンサ16の検出値がある程度安定すると、時刻t2において、便器側制御装置12はその検出値を残留ガスの基準値として設定する。
また、時刻t2において、便器側制御装置12はその検出値を残留ガスの基準値として設定すると同時に、上述の通り残留ガス(非排便ガス)の回収を行う。具体的には、時刻t2において、流路開閉弁54を閉鎖し、流路開閉弁54の閉鎖から少し時間を空けて回収袋開閉弁52aを開放する。これにより、ボウル2a内の気体が回収袋82a内に回収される。そして、回収袋開閉弁52aの開放から回収袋82a内に充分な量の気体が回収されるような所定の時間が経過したら、時刻t3において回収袋開閉弁52aを閉鎖する。また、回収袋開閉弁52aの閉鎖から少し時間を空けて流路開閉弁54を開放する。これにより、回収袋82aにボウル2a内の残留ガスが回収される。なお、この非排便ガスを回収する期間は、後述する排便ガスを回収する期間と等しくしてもよいが、被験者ができるだけ早く排便行為を行えるように、排便ガスを回収する期間に比べて短くするのが好ましい。
次に、図11の時刻t4において、着座検知センサ26により被験者が便座4に着座したことが検知されると、この時点が被験者の1回の排便期間の開始時点として設定される。なお、本明細書においては、着座検知センサ26が被験者の便座4への着座を検知している期間(図11の時刻t4〜t12)を一回の「排便期間」と呼んでいる。
そして、上述の通り、図11の時刻t4において、便器側制御装置12は着座検知センサ26により被験者が着座したことが検知されると、リモコン側制御装置60と同期しながら回収不可判定工程S3を行う。
次に、時刻t5〜t6の間で湿度センサ22の検出値が上昇し、排便・排尿検知センサ28が検知している。これは、被験者の放尿を検知したものであり、臭気性ガスセンサ16の検出値は殆ど変化していないため、便器側制御装置12は、排泄行為は行われていないと判断する。次いで、時刻t7において水素ガスセンサ14、二酸化炭素センサ18及び臭気性ガスセンサ16の検出値が急激に立ち上がっている。このように、被験者の着座後の排便期間において、ガスセンサ14、16、18の検出値が残留ガスの基準値から所定の閾値以上、急激に立ち上がると、便器側制御装置12は、初回の排泄行為が行われたと判断する。
時刻t7において水素ガスセンサ14、二酸化炭素センサ18及び臭気性ガスセンサ16の検出値が急激に立ち上がっており、排便・排尿検知センサ28も検知している。このように、各ガスセンサ14、16、18の検出値が、基準値から所定の量以上立ち上がり、排便・排尿検知センサ28が検知した場合には、便器側制御装置12は大便の排泄行為が行われたと判定し、排便ガスの回収を行う。なお、分析回路による排便ガスの回収の判定は、排便ガスがガスセンサ14、16、18を通過してから、回収袋82bの近傍、より詳細には回収袋82cの下方に位置する分岐管80bに到達するよりも早い時点で判定する。
具体的には、便器側制御装置12は、時刻t7から、所定の時間後である時刻t8において、流路開閉弁54を閉鎖し、流路開閉弁54の閉鎖から少し時間を空けて回収袋開閉弁52bを開放する。これにより、ガス吸引装置7によりボウル2aから吸引された気体が回収袋82b内に回収される。そして、回収袋開閉弁52bの開放から回収袋82b内に所定の量の排便ガスが回収されるような予め決められた所定の時間が経過したら、時刻t9において回収袋開閉弁52bを閉鎖する。また、回収袋開閉弁52bの閉鎖から少し時間をあけて流路開閉弁54を開放する。これにより、ガス吸引装置7により吸引された気体は、脱臭ユニット84により脱臭されてトイレ空間R内に排気される。なお、排便ガスの回収の際に、便器側制御装置12は、個人認証装置62により取得された被験者の識別情報に基づき同じ日に同一の被験者により何れかの回収袋に排便ガスの回収が行われていたと判定しても、すでに排便ガスが回収された回収袋に追加して排便ガスを回収することは行わず、新たな(排便ガスを未回収の)回収袋に排便ガスを回収する。
ここで、ガスセンサ14、16、18の検出値の急増から回収袋開閉弁52bを開放するまでの期間(t7〜t8)の長さは、回収通路のガスセンサ14、16、18から回収袋82までの距離と、ガス吸引装置7の風量とに基づき決定されている。具体的には、期間(t7〜t8)の長さは、ガスセンサ14、16、18を通過した排泄された排便ガスが、回収袋開閉弁52bまで到達するまでの時間よりもわずかに短い時間とされている。このため、ガスセンサ14、16、18を通過した排便ガスが、回収袋82b、より詳細には回収袋82bの下方に位置する分岐管80bに到達するよりも早い時点で回収袋開閉弁52b及び流路開閉弁54は気体を回収する状態に切り替えられる。したがって、排便ガスに加えて、回収袋82bに回収された気体には、所定量の排便ガスが排出されるよりも前にガス吸引装置7が吸引した気体と、回収袋82bに回収されたガスには、排便ガスのうちの被験者の大腸末端に溜まった初期部分のガスとが含まれる。なお、他の回収袋82a、82cに気体を回収する場合にガスセンサ14、16、18の検出値の急増から回収袋開閉弁52a、52cを開放するまでの期間も同様に決定されている。
このようにして、被験者の一回の排便行為中に一度初期部分のガスの回収が行われると、便器側制御装置12は排便ガスの回収を行わない回収禁止制御を実施する。具体的には、初回の排便ガスの回収の後、時刻t10において、水素ガスセンサ14、二酸化炭素センサ18及び臭気性ガスセンサ16の検出値が急激に立ち上がっている。また、排便・排尿検知センサ28が排便を検知している。このように、ガスセンサ14、16、18の検出値が残留ガスの基準値から所定の閾値以上、急激に立ち上がると、便器側制御装置12は、2回目の大便の排泄行為が行われたと判断する。しかしながら、便器側制御装置12は、上述の通り2回目の大便の排泄行為を検知しても、2回目の大便の排泄行為にともなう排便ガスの回収は不要であると判断し、回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54の切替えは行わない。なお、便器側制御装置12は、3回目以降の大便の排泄行為を検知した場合も、2回目同様に排便ガスの回収は不要であると判定する。
次に、初回の排便ガスの回収の後、時刻t11において、水素ガスセンサ14、二酸化炭素センサ18及び臭気性ガスセンサ16の検出値が急激に立ち上がっている。ここで、時刻t11において、排便・排尿検知センサ28は排便及び排尿を検知していない。このような場合には、便器側制御装置12は、便器側制御装置12のCPU12aに構成された分析回路により、被験者がおならを排泄したと判定する。なお、このようにおならが放出されたと判定された場合には、排便行為中の初期部分のガスである場合には回収を実施し、本実施形態にようにすでに回収を行っている場合には、回収制御が禁止される。
次いで、図11の時刻t12において着座検知センサ26により被験者の離座が検知され1回の排便期間が終了し、便器側制御装置12は上述したように、脱臭/記憶工程を行う。そして、時刻t13において入室検知センサ24により被験者の退室が検知されると、1回の排便行動が終了し、便器側制御装置12は回収後環境整備工程を行い、一回の回収を終了する。
ここで、回収制御及び回収禁止制御についてより詳細に説明する。図12は、回収制御及び回収禁止制御について説明するための図である。図12において横軸は時間を示し、(a)〜(c)は臭気性ガスセンサ16の出力を示す。また、図12には、臭気性ガスセンサ16の出力に合わせて回収袋の開閉弁の開閉制御も示している。図11を参照して説明したが、図12(a)に示すように、時刻tAにおいて臭気性ガスセンサ16の検出値が基準値から大きく増加した場合には、回収袋開閉弁52b及び流路開閉弁54を回収袋に排便ガスの初期部分を回収するように所定の時間にわたり回収制御を実施する。排便ガスの初期部分を回収するためには、回収制御は毎回一定の時間、例えば30秒程度(20〜40秒)行うことが望ましい。そして、時刻tBにおいて回収制御が完了すると、回収禁止制御を実施する。回収禁止制御中には、臭気性ガスセンサ16の出力が増加しても、排便ガスの回収は行わない。
また、図12(b)に示すように、排便期間内において、時刻tAにおいて最初に検出された臭気性ガスセンサ16の出力の増加量が小さい場合であっても、排便ガスの初期部分を回収するように所定の時間にわたり回収制御を実施する。このように臭気性ガスセンサ16の出力が小さい場合には、回収袋内に回収された排便ガスの量が少ない可能性があるが、一度回収制御を行った後は時刻tBにおいて回収禁止制御を実施し、再度の回収は行わない。
また、図12(c)に示すように、時刻tAにおいて臭気性ガスセンサ16の出力が増加すると所定の時間にわたり回収制御を実施するが、この回収制御中に再度臭気性ガスセンサ16の出力が増加した場合には、回収制御を停止することなく続行する。そして、時刻tBにおいて回収制御が完了すると、回収禁止制御を実施する。
上述のようにして回収袋82に回収された気体はガスクロマトグラフィーなどによるガス分析装置により成分分析が行われる。以下、成分分析の流れを説明する。図13は回収袋に回収された気体を成分分析する流れを説明するための図である。まず、排便ガス回収システム1から回収された回収袋82は、回収口82Bが密閉クリップ106で封止された状態でガス分析装置のある場所に搬送される。また、記憶装置60bに記憶されている被験者識別情報、回収日時情報、及びガス情報がガス分析装置112に送られる。
次に、図13(A)に示すように、回収袋82のコック付ノズル82Cを、接続管108を介してサンプル袋110のコック付ノズル110Aに接続する。そして、回収袋82及びサンプル袋110のコック付ノズル82C及びサンプル袋110のコック付ノズル110Aを開放し、回収袋82内の気体をサンプル袋110へ移動させる。そして、サンプル袋110のコック付ノズル110Aを閉鎖し、サンプル袋110を接続管108から取り外す。
次に、サンプル袋110をガス分析装置112に取り付ける。ガス分析装置112には、キャリヤガスボンベ114及び分析結果表示機116が接続されている。ガス分析装置112は、ガスクロマトグラフィーによりサンプル袋110内の気体に含まれる各臭気性ガスのガス量、及び各健康系ガスのガス量を分析し、分析結果が分析結果表示機116に表示される。
なお、残留ガスについても回収袋に回収した場合には、回収した残留ガスについても含まれる成分を分析し、排便ガスの分析結果から残留ガス等の影響を除去する。図14は、排便ガスの分析結果から残留ガス等の影響を除去する方法を説明するための図である。図14に示すように、排便ガス回収制御により捕集されたガスには、主に、分析対象となる排便ガスと、被験者から発生するガス(被験者付着異臭ガス成分)と、トイレ空間やボウル内の残留ガスとが含まれる。これに対して、非排便ガス回収制御により捕集されたガスには、被験者から発生するガスと、残留ガスとが含まれる。したがって、排便ガス回収制御により捕集されたガスに含まれる各種ガスの成分から、非排便ガス回収制御により捕集されたガスに含まれる各種ガスの成分の差分をとることにより、分析対象となる排便ガスに含まれる各種ガスの成分の量(割合)を求めることができる。なお、排便ガス回収制御により捕集されたガスと非排便ガス回収制御により捕集されたガスとは回収されたガス量が違っても、非排便ガス回収制御により捕集されたガスの被験者から発生するガス、及び、残留ガスの濃度から、排便ガス回収制御により捕集されたガスに含まれる被験者から発生するガス、及び、残留ガスのガス量は推定できる。このため、非排便ガス回収制御により捕集するガス量は、排便ガス回収制御により捕集するガス量と等しくする必要はない。
図15は、分析結果表示機に表示される分析結果の一例を示す。ガス分析装置112には、予め診断テーブルが記憶されている。この診断テーブルは、上述した発明者らが行った実験に基づき決定されたテーブルであり、健康系ガスのガス量と、臭気性ガスのガス量との関係に対応して、疾病状態が関連づけられている。具体的には、診断テーブルでは、健康系ガスのガス量と臭気性ガスのガス量との関係に応じて、「大腸癌懸念大」、「早期大腸癌懸念大」、「早期大腸癌疑い」、「体調不全レベル3」、「体調不全レベル2」、「体調不全レベル1」、「健康状態」、「腸内不全(下痢)」、及び、「誤測定疑い」の領域が設定されている。このように設定されたサーバー側の診断テーブル上に、被験者の過去の分析結果が経時的にプロットされる。医師は、プロット点の位置に基づき「大腸癌懸念大」、「早期大腸癌懸念大」、「早期大腸癌疑い」等の癌の疾病に関する判定が行われる。医師は、示されたプロット点に基づき、被験者に対して、その体調の状態を告げることができる。
なお、図11に示した例では、残留ガスの基準値は一定であったが、基準値が一定でない場合においても臭気性ガスの排出量を推定することができる。図16は、臭気性ガスセンサにより検出された検出値が増加傾向にある場合における基準値の設定方法を説明するための図である。同図に示すように、例えば、臭気性ガスセンサ16により検出された検出値が増加傾向にある場合には、排泄行為の開始前の臭気性ガスセンサ16により検出された検出値の増加の変化率が、排泄行為の前後にも続くものとして引いた補助線Aを基準値とする。この補助線Aから臭気性ガスセンサ16による検出値が所定値以上増加した時点を1回の排泄行為が開始された時点と判断して、臭気性ガスの量を推定することができる。
なお、図1を参照して説明した第1実施形態の排便ガス回収システム1は、便座側装置6が、トイレ空間Rに設置された水洗大便器2の上に載置した便座4の内部に組み込まれている構成について説明したが、本発明の排便ガス回収システムにおいて便座側装置は、必ずしも便座の内部に組み込む必要はない。
図17(a)は、第2実施形態による排便ガス回収システムにおける便座側装置をトイレ空間に設置された水洗大便器に取り付けた状態を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示す便座側装置を示す斜視図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と比較して便座側装置の構成のみが相違している。図17(a)に示すように、本実施形態の排便ガス回収システム201は、第1実施形態と同様の構成であるが、便座側装置206の構成のみが異なっている。本実施形態の便座側装置206は便座204とは別体に構成されている。
図17(b)に示すように、便座側装置206は、装置本体208と、装置本体208の上面に横方向に延びるように取り付けられ、先端部が下方に向けて屈曲されたダクト207aと、装置本体208に接続された電源コード210とを含む。図17(a)に示すように、便座側装置206は、ダクト207aの先端部を水洗大便器2のボウルの側壁に引っかけることにより、ダクト207aの先端がボウル内に位置した状態で固定されている。また、装置本体208の側面には接続配管212の一端が接続されており、接続配管212の他端は、第1実施形態で説明した回収装置10の配管群80に接続されている。
装置本体208は、第1実施形態と同様に、CPU及び記憶装置により構成された便器側制御装置と、水素ガスセンサと、臭気性ガスセンサと、二酸化炭素センサと、湿度センサと、温度センサと、入室検知センサと、着座検知センサと、排便・排尿検知センサと、ガス吸引装置と、センサ加温ヒータと、クリーニングガス供給装置と、ダクトクリーナーと、送受信機と、を備える。また、ダクト207a内には、水素ガスセンサと、臭気性ガスセンサと、二酸化炭素センサと、湿度センサと、温度センサと、センサ加温ヒータと、ファンとが設けられている。ダクト207a内のセンサの配置については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態の便器側制御装置は、回収装置10の回収袋開閉弁52、流路開閉弁54、及び、配管群80の加熱装置に有線又は無線接続されており、これら装置を制御することができる。このような構成により、本実施形態の排便ガス回収システムによっても、第1実施形態と同様に排便ガスを回収することができる。
なお、本実施形態の便座側装置206とともに使用される便座204としては、便蓋開閉装置と、ノズル駆動装置と、ノズル洗浄装置と、便器洗浄装置と、便器除菌装置とを備え、便座側装置206と通信可能な洗浄機能付き便座を用いることが望ましい。このような便座とともに便座側装置206を用いることにより、異臭ガスを検知した場合の各種洗浄、除菌作業を行うことが可能になる。
以下、本発明の第3実施形態の排便ガス回収システムについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図18は、本発明の第3実施形態の排便ガス回収システムを示し、(a)は便器装置と回収装置とが接続された状態を示す斜視図であり、(b)は便器装置と回収装置との接続が解除された状態を示す斜視図である。本実施形態の排便ガス回収システムは、例えば、大腸癌患者の病室や、病室に付属するトイレ空間において用いられるものである。
図18に示すように、第3実施形態の排便ガス回収システム301は、便器装置302と、回収装置310とを備える。便器装置302の側部には、ガス吸引装置307により吸引されたガスを排出するための排出口302bが設けられており、回収装置310から延びる接続配管375の先端が便器装置302の排出口302bに接続されている。接続配管375の便器装置302側の端部近傍にはガス検出装置309が設けられている。また、便器装置302には例えば室内のコンセント等から電力が供給されている。接続配管375には回収装置310の電源コードが一体に構成され、内蔵されており、接続配管375を便器装置302に接続することにより、回収装置310に便器装置302から電源コードを介して電力が供給される。なお、本実施形態では、図18に示すように、ガス吸引装置307は接続配管375の便器装置302と回収装置310との間の部位に設けられているが、これに限らず、接続配管375の先端に設け、便器装置302の排出口302b内に位置するように構成してもよい。
便器装置302は、局部洗浄機能を有する大便器からなり、ガス吸引装置307が組み込まれている。また、ガス吸引装置307等の便器装置302に組み込まれた各装置は、便座側に内蔵された便器側制御装置312(図19)によって制御される。なお、便器装置302は、底部に車輪が取り付けられており、搬送可能であることが好ましい。
図19は、第3実施形態の排便ガス回収システムの構成を示すブロック図である。図19に示すように、便器装置302は、CPU312aを有する便器側制御装置312を備えている。この便器装置302は、入室検知センサ24と、着座検知センサ26と、排便・排尿検知センサ28と、便蓋開閉装置30と、ノズル駆動装置32と、ノズル洗浄装置34と、ガス吸引装置307と、便器洗浄装置36と、便器除菌装置38と、クリーニングガス供給装置48と、ダクトクリーナー56と、送受信機358に接続されている。送受信機358は、第1実施形態のリモコン8の送受信機66と同様に、医師又は看護婦が所持する送受信機73と通信可能である。
図20は、第3実施形態の排便ガス回収システムにおけるガス吸引装置307の構成を示す図である。ガス吸引装置307は、下方に向けられ、ボウル302aの背面側に開口する上下方向通路307aと、上下方向通路307aの開口から上方に延びた後、概ね水平方向に延びる横方向通路307bと、横方向通路307bの下流側に配置された吸引装置としての吸引ファン7cと、により構成されている。また、上下方向通路307a及び横方向通路7bによりボウル302aから回収装置の回収袋までガスを回収するための回収通路の一部である第3の回収通路が構成されている。この第3の回収通路の内部には、クリーニングガス供給装置48及びダクトクリーナー56が設けられている。
吸引ファン307cは、便器装置302のボウル302a内の気体を回収通路内に吸い込むものである。上下方向通路307aは、内部へ小便等の飛沫が入り込まないように、吸引口が下方に向けられた状態でボウル302a内に開口している。メチルメルカプタン等の臭気性ガスや、水素ガスは分子量が小さいため、排便後すぐに上昇してしまう。これに対して、本実施形態では、ボウル302a内に開口した上下方向通路307aの入口から吸引ファン307cによって吸引することにより、排出された臭気性ガス及び水素ガスを含む排便ガスを確実にガス検出装置309を介して回収装置310へ導入することができる。このようにしてガス吸引装置307により吸引されたボウル302a内の気体は、接続配管375に送りこまれる。
接続配管375は便器装置302から回収装置310へ通じる第2の回収通路を構成する。ガス検出装置309は、回収通路内に配置された水素ガスセンサ14と、臭気性ガスセンサ16と、二酸化炭素センサ18と、温度センサ20と、湿度センサ22と、センサ加温ヒータ46と、を備える。なお、水素ガスセンサ14と、臭気性ガスセンサ16と、二酸化炭素センサ18と、温度センサ20と、湿度センサ22と、センサ加温ヒータ46の構成については第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、本実施形態では、ガス検出装置309を第2の回収通路内に設けた場合について説明したが、これに限らず、ガス吸引装置307内の第3の回収通路内に水素ガスセンサ14と、臭気性ガスセンサ16と、二酸化炭素センサ18と、温度センサ20と、湿度センサ22と、センサ加温ヒータ46とを配置し、ガス検出装置309を第3の回収通路内に設ける構成としてもよい。
図21は、図18に示す排便ガス回収システムの回収装置310の内部の構成を示す図である。図21に示すように、回収装置310は、搬送ケース386と、第1の回収通路を構成する配管群80と、制御弁としての回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54と、回収袋82a、82b、82cと、脱臭ユニット84と、搬送ケース386の上部に固定された制御ユニット387を備える。
搬送ケース386は、例えば、樹脂や金属等の筐体からなり、底部の下面に車輪386Aが設けられ、天井部の上面に取手386Bが設けられている。搬送ケース386は、配管群80から接続配管375を取り外した状態で、取手386Bを掴んで持ち上げて移動することができ、また、側方から押すことにより車輪386Aにより移動することができる。なお、取手86B及び車輪86Aは一方を省略してもよい。
本実施形態において、配管群80の最上流側の直管80aの上流側端部には、便器装置302から延びる接続配管375が接続されている。本実施形態では、配管群80を構成する直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80cは固定用バンド389により支持されている。図22(a)は、図21に示す回収装置310の配管群80及び回収袋82を取り外した状態を示し、同図(b)は回収装置310の配管群80及び回収袋82の分解図である。また、図23は、図21に示す回収装置310において取り外し可能な配管群80及び回収袋82を一点鎖線で示す図である。図22及び図23に示すように、本実施形態においても、配管群80を構成する直管80a、複数のT字型の分岐管80b、及び複数の軟質配管ユニット80cは、パイプバンド等の簡易に取り外し可能な接続器具を用いて連結されている。なお、回収袋開閉弁52a、52b、52c、流路開閉弁54、及び脱臭ユニット84は、搬送ケース386に固定されている。この様な構成により、必要に応じて、搬送ケース386から脱臭ユニット84、回収袋開閉弁52a、52b、52c及び流路開閉弁54を取り外すことなく、搬送ケース386から直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80c、及び回収袋82を取り外し、新たな、直管80a、分岐管80b、軟質配管ユニット80c、及び回収袋82を取り付けることができる。また、直管80a、分岐管80b、及び軟質配管ユニット80cは、任意の一つのみを取り外して交換することもできる。
なお、その他の配管群80、回収袋開閉弁52a、52b、52c、流路開閉弁54、回収袋82a、82b、82c、及び脱臭ユニット84の構成は第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
制御ユニット387には、CPU360aと記憶装置360bを有する回収ユニット制御装置360と、時刻取得装置72(図19)と、個人認証装置62(図19)が収容されている。
図19に示すように、回収ユニット制御装置360には、ガス検出装置309の水素ガスセンサ14、臭気性ガスセンサ16、二酸化炭素センサ18、温度センサ20、湿度センサ22、及びセンサ加温ヒータ46と、時刻取得装置72と、個人認証装置62と、通路加温ヒータ51と、回収袋開閉弁52と、流路開閉弁54とが接続されている。
便器装置302のガス吸引装置307により吸引されたボウル302a内の空気は、ガス吸引装置307内の第3の回収通路を通り、便器装置302の側面の排出口から接続配管375に送りこまれる。接続配管375に送りこまれた気体は第2の回収通路を介して、ガス検出装置309を通り、回収装置310の第1の回収通路を構成する配管群80に送りこまれる。そして、流路開閉弁54が開放状態であり、かつ、回収袋開閉弁52a、52b、52cが閉鎖状態である場合には、配管群80に送りこまれた気体は脱臭ユニット84により脱臭され、トイレ空間R内に放出される。また、流路開閉弁54が閉鎖状態であり、かつ、回収袋開閉弁52a、52b、52cの何れかが開放状態である場合には、ガス吸引装置7により吸引された気体は開放された回収袋開閉弁52a、52b、52cに対応する回収袋82へ回収される。
図24は、第3実施形態の排便ガス回収システムにおける排便ガス回収時以外における便器装置302を示す図である。図24に示すように、排便ガス回収時以外では、便器装置302から接続配管375が取り外されている。そして、便器装置302のガス吸引装置307の排出口には、脱臭ユニット391が取り付けられる。脱臭ユニット391の内部には例えば脱臭触媒が内蔵されている。ガス吸引装置307によりボウル302aから吸引されたガスは、脱臭ユニット391を通りこれにより脱臭処理が行われる。そして、脱臭ユニット391により脱臭処理された空気は、室内に放出される。
本実施形態の排便ガス回収システム301においても、第1実施形態の流れで排便ガスを回収することができる。なお、排便ガス回収システム301を病室に配置した場合には、回収開始準備工程S2を開始するトリガーである、入室検知センサ24による被験者の入室の検知が行われない場合がある。このような場合には、個人認証装置62による被験者の特定等を回収開始準備工程S2を開始するトリガーとすればよい。
なお、上記実施形態では、回収ユニット制御装置360と、便器側制御装置312とを通信可能とした場合について説明したが、本発明はこれに限られない。便器の洗浄等を自動的に行わない場合には、回収ユニット制御装置を便器側制御装置に対して独立して設けてもよい。
なお、図18を参照して説明した第3実施形態の排便ガス回収システム301は、便器装置302にガス吸引装置307が組み込まれた構成について説明したが、本発明の排便ガス回収システムにおいてガス吸引装置は、必ずしも便器装置の内部に組み込む必要はない。
図25(a)は、第4実施形態による排便ガス回収システムにおける便座側装置をトイレ空間に設置された水洗大便器に取り付けた状態を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示す便座側装置を示す斜視図である。同図に示すように、第4実施形態による排便ガス回収システム401は、便座側装置406と、回収装置310と、便座側装置406と回収装置310とを結ぶ接続配管475とを備える。なお、第4実施形態の回収装置310の構成は第3実施形態と同様である。図25(a)に示すように、本実施形態の排便ガス回収システム401では、便座側装置406が便座404とは別体に構成されており、接続配管475にはガス検出装置が設けられていない。
図25(b)に示すように、便座側装置406は、装置本体408と、装置本体408の上面に横方向に延びるように取り付けられ、先端部が下方に向けて屈曲されたダクト407aと、装置本体408に接続された電源コード410とを含む。図25(a)に示すように、便座側装置406は、ダクト407aの先端部を水洗大便器402のボウルの側壁に引っかけることにより、ダクト407aの先端がボウル内に位置した状態で着脱可能に取り付けられている。また、装置本体408の側面には接続配管475の一端が接続されており、接続配管475の他端は、第3実施形態で説明した回収装置310の配管群80に接続されている。
装置本体408は、入室検知センサと、着座検知センサと、排便・排尿検知センサと、ガス吸引装置と、クリーニングガス供給装置と、ダクトクリーナーと、を備える。本実施形態では、これら入室検知センサ、着座検知センサ、排便・排尿検知センサ、ガス吸引装置、クリーニングガス供給装置、及びダクトクリーナーも回収ユニット制御装置に接続され、回収ユニット制御装置により制御される。
また、ガス吸引装置の回収通路を構成するダクト407a内には、水素ガスセンサと、臭気性ガスセンサと、二酸化炭素センサと、湿度センサと、温度センサと、センサ加温ヒータと、吸引ファンとが設けられている。ガス吸引装置により吸引されたボウル内のガスは、接続配管475を介して回収装置10に送られる。
このような構成により、本実施形態の排便ガス回収システムによっても、第3実施形態と同様に排便ガスを回収することができる。
なお、本実施形態の便座側装置406とともに使用される便座404としては、便蓋開閉装置と、ノズル駆動装置と、ノズル洗浄装置と、便器洗浄装置と、便器除菌装置とを備え、便座側装置406と通信可能な洗浄機能付き便座を用いることが望ましい。このような便座とともに便座側装置406を用いることにより、異臭ガスを検知した場合の各種洗浄、除菌作業を行うことが可能になる。
以上説明したように、上記各実施形態では、排便時に排泄される排便ガスを回収袋82に回収している。そして、このように回収袋82に回収された排便ガスを成分分析することにより癌の診断を行うことができる。このように、上記各実施形態によれば、被験者は通常通りに排便行為を行うのみで癌の診断を行うことができ、内視鏡などに比べて被験者に対する肉体的負担が非常に少ない。
また、上記各実施形態によれば、ガスを回収するのみであり、便を採取するものではない。このため、大便を他人に見られるなどの被験者の心理的負担を抑えることができる。
また、上記各実施形態によれば、ガス吸引装置7、307により大便器のボウルから気体を吸引する構成としている。メチルメルカプタン等の臭気性ガスは空気に比べて軽い。このため、排便ガスは排泄された直後から上昇してしまう。これに対して、本発明によれば、排泄された排便ガスがガス吸引装置7、307により吸引されるため、確実に排便ガスを捕集することができる。
また、上記各実施形態によれば、制御装置は、ガス検出装置9、309の出力に基づき、吸引された気体に排便ガスが含まれていると判定すると、回収袋開閉弁52及び流路開閉弁54を吸引装置7、307により吸引された気体を回収袋82に供給する状態に切り替る構成としている。このため、大腸末端に溜まっており、排便行為の初期に排泄される排便ガスを確実に回収することができるとともに、大便が排泄される前に放出された排便ガスも確実に捕集することができる。このように、上記の各実施形態によれば、排便行為の初期に排泄される排便ガスを確実に回収することができるため、腸内環境をよく反映した初期の排便ガスを回収することができるため、高い診断精度を確保できる。
また、上記各実施形態によれば、被験者が排便行為を行っていない回収開始準備工程S2にガス吸引装置7、307により吸引された気体である非排便ガスを回収袋82aに回収している。このため、分析ノイズとなる残留ガス等の臭気性ガス量を推定し、分析ノイズを含んだ排便ガスから残留ガスの臭気性ガス量を差し引くことができ、これにより、排便ガスのみの臭気性ガス量を求めることができ、分析精度を向上することができる。
非排便ガスを回収する場合には、排便行為の前もしくは後に行うことが考えられるが、非排便ガスの回収を排便行為の後に行おうしても排便行為の終了の判定が難しく、被験者がさらなる排便やおならを行ったりして回収した気体に排便ガスが含まれてしまうおそれがある。また、被験者が排便を終了し、離座した後にはさらなる排便ガスの排出がされる可能性は低いが、この場合には排水が行われ、排便回収時の臭気環境から変動しているおそれがある。これに対して、上記各実施形態によれば、非排便ガスの回収を排便行為の前に行うため、排便行為時と臭気環境が同様な状態で非排便ガスを回収することができる。
被験者は着座後に排便行為を行うが、着座してすぐに排便ガスが排出される可能性がある。また、着座後に排便ガスが排出されるタイミングは、同一被験者でも毎回変化するため、予測することができない。このため、着座後に非排便ガスを回収しようとしても、回収中に被験者が排便行為を行ってしまい、回収した気体に排便ガスが含まれるおそれがある。これに対して、上記各実施形態によれば、便器側制御装置12は、着座検知センサ26により被験者が大便器に着座するのを検知する前に、非排便ガス回収制御を行うため、回収された気体(残留ガス)に排便ガスが含まれるのを防止できる。
また、上記各実施形態によれば、非排便ガス回収制御が完了する前に表示装置68及びスピーカー70により、着座又は排便行為を待つように報知するため、より確実に回収された気体に排便ガスが含まれるのを防止できる。
病気が軽度の人又は未病の人は、寝たきりの患者と異なり、日常生活で汗をかいたり、下着に便等が付着したり、洗剤や香水等を使用したりするため、このような被験者に付着する臭気性ガスが排便ガスの分析の際のノイズ成分となりうる。このようなノイズ成分となりうる臭気性ガスは、着座する前のトイレの入室動作、脱衣動作、振り返り動作などの10秒程度の排便準備の際の動作によりトイレ空間内に拡がる。これに対して、上記各実施形態によれば、入室検知センサ24等の被験者位置確認手段により、被験者の大便器への近接が確認された時点から非排便ガス回収制御を実行することにより、排便ガス回収直前の被験者に付着した臭気性成分を含む非排便ガスを確実に回収することができる。
被験者に付着した臭気性ガスの量は、運動による汗の量やシャンプーの変更等により、一定ではない。また、トイレ空間内の付着便等の臭気性ガスの量も変化する。これに対して、上記各実施形態によれば、排便準備期間中のガス検出装置9、309の出力に基づき基準値を設定し、排便ガスの回収はガス検出装置9、309の出力と基準値を比較することにより開始されるため、確実に排便ガスを回収することができる。また、基準値設定時又は設定後の非排便ガスを回収することにより、排便ガス回収時により近い状態の非排便ガスを回収することができ、より正確なノイズ成分を除去した分析が可能になる。
被験者に付着した臭気性ガスやトイレ空間内の臭気性ガスの量は毎回異なり、分析の影響がないような微量な場合もある。これに対して、上記各実施形態によれば、非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が所定値よりも多いと判定された場合のみに非排便ガス回収制御を行うため、臭気性ガスの量が少なく正確な分析を行うことができる場合には、非排便ガスの回収を省略し、これにより回収袋82を温存することができる。
本発明の排便ガスの回収の対象となるような大腸癌等の病気が軽度の人又は未病の人は、寝たきりの患者と異なり、日常生活で汗をかいたり、下着に便等が付着したり、洗剤や香水等を使用したりするため、被験者に多量に臭気性ガスが付着するおそれがある。このように大量に臭気性ガスが被験者に付着してしまうと、排便ガスを回収しても誤診となるおそれがある。これに対して、上記各実施形態によれば、ガス検出装置9、309による出力に基づき、排便ガスを回収するのに適していない状況であると判断した場合に、排便ガス回収制御を行わないため、無駄な回収制御を行うことを防止できる。さらに、このような場合には、非排便ガス回収制御も不要となるが、本実施形態によれば、非排便ガス回収制御も行わず、無駄な非排便ガスの回収を省略することができる。
1 排便ガス回収システム
2 水洗大便器
2a ボウル
4 おしり洗浄機能付き便座
6 便座側装置
7 ガス吸引装置
7a 上下方向通路
7b 横方向通路
7c 吸引ファン
8 リモコン
9 ガス検出装置
10 回収装置
12 便器側制御装置
12a CPU
12b 記憶装置
14 水素ガスセンサ
16 臭気性ガスセンサ
18 二酸化炭素センサ
20 温度センサ
22 湿度センサ
24 入室検知センサ
26 着座検知センサ
28 排便・排尿検知センサ
30 便蓋開閉装置
32 ノズル駆動装置
34 ノズル洗浄装置
36 便器洗浄装置
38 便器除菌装置
46 センサ加温ヒータ
48 クリーニングガス供給装置
52 回収袋開閉弁
54 流路開閉弁
56 ダクトクリーナー
58 送受信機
60 リモコン側制御装置
60a CPU
60b 記憶装置
62 個人認証装置
64 入力装置
66 送受信機
68 表示装置
70 スピーカー
72 時刻取得装置
73 送受信機
74 フィルタ
75 接続配管
80 配管群
80a 直管
80b 分岐管
80c 軟質配管ユニット
80ca 筒状部材
80cb 直管
82、82a、82b、82c 回収袋
82A 回収袋本体
82B 回収口
82C コック付ノズル
83A、83B、83C 直管
84 脱臭ユニット
85 パイプバンド
86 フレーム
86a 吊り部材
88 モータユニット
90 開閉器
92A 第1の開閉部材
92B 第2の開閉部材
94 ねじりばね
96A、96B 台座部
98A、98B 面ファスナ
100B、100A 面ファスナ
102 モータ
102A シャフト
104 押圧部材
106 密閉クリップ
201 排便ガス回収システム
204 便座
206 便座側装置
207a ダクト
208 装置本体
210 電源コード
212 接続配管
301 排便ガス回収システム
302 便器装置
302a ボウル
304 回収装置
307 ガス吸引装置
307a 上下方向通路
307b 横方向通路
307c 吸引ファン
309 ガス検出装置
375 接続配管
386 搬送ケース
386A 車輪
386B 取手
387 制御ユニット
389 固定用バンド
391 脱臭ユニット
401 排便ガス回収システム
402 水洗大便器
406 便座側装置
407a ダクト
408 装置本体
410 電源コード
475 接続配管

Claims (8)

  1. 大便器のボウル内に排出される排便ガスを回収する排便ガス回収システムであって、
    前記ボウル内から気体を吸引するガス吸引装置と、
    前記ガス吸引装置により吸引された気体が送り込まれる回収通路と、
    前記回収通路に接続され、前記排便ガスを回収する回収容器と、
    前記回収通路に設けられ、前記吸引装置により吸引された気体を前記回収容器に供給する状態と、前記回収容器に供給せずに排気する状態とを切り替える制御弁と、
    前記吸引装置及び前記制御弁を制御する制御装置と、
    前記排便ガスを検知するガスセンサと、を備え、
    前記ガスセンサは前記吸引装置により吸引された気体に含まれる排便ガスを検知し、
    前記制御装置は、前記ガスセンサの出力に基づき、前記吸引された気体に排便ガスが含まれていると判定すると、前記制御弁を前記吸引装置により吸引された気体を前記回収容器に供給する状態に切り替る排便ガス回収制御を実施し、
    前記制御装置は、被験者が排便行為を行っていない非排便期間に、前記ガス吸引装置により吸引された気体である非排便ガスを前記回収容器に回収する非排便ガス回収制御を行う、ことを特徴とする排便ガス回収システム。
  2. 前記制御装置は、前記被験者が排便行為を行う前に前記非排便ガス回収制御を行う、
    請求項1記載の排便ガス回収システム。
  3. さらに、被験者が前記大便器に着座するのを検知する着座検知手段を備え、
    前記制御装置は、前記着座検知手段により被験者が前記大便器に着座するのが検知される前に、前記非排便ガス回収制御を行う、
    請求項2記載の排便ガス回収システム。
  4. さらに、報知手段を備え、
    前記制御装置は、前記非排便ガス回収制御が完了する前に、前記報知手段により前記前記大便器に着座せず待機するように、または、排便行為を行わないように報知を行う、
    請求項3記載の排便ガス回収システム。
  5. さらに、被験者の大便器への近接を検知する被験者位置確認手段を有し、
    前記制御装置は、前記被験者位置確認手段により被験者の大便器への近接が検知された後、かつ、前記着座検知手段により被験者の着座が検知される前の排便準備期間中に、前記非排便ガス回収制御を行う、
    請求項3記載の排便ガス回収システム。
  6. 前記制御装置は、前記排便準備期間中の前記ガスセンサの出力に基づき基準値を設定し、前記ガスセンサの出力と前記基準値とを比較することにより前記吸引された気体に排便ガスが含まれているか否かを判定し、
    前記非排便ガス回収制御は、前記基準値の設定と同時、または、設定後に行われる、請求項5記載の排便ガス回収システム。
  7. 前記制御装置は、前記排便準備期間中の前記ガスセンサによる出力に基づき、前記非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が第1の所定値よりも多いと判定された場合のみに前記非排便ガス回収制御を行う、
    請求項6記載の排便ガス回収システム。
  8. 前記制御装置は、前記排便準備期間中の前記ガスセンサによる出力に基づき、前記非排便ガスに含まれる臭気性ガスの量が第2の所定値よりも多いと判定された場合には、前記排便ガス回収制御及び前記非排便ガス回収制御を行わない、請求項7記載の排便ガス回収システム。
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