JP2017067717A - ガスセンサ制御装置、基準点学習方法、基準点診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間でガスセンサの基準点の学習や診断を実施できるガスセンサ制御装置、基準点学習方法及び基準点診断方法を提供する。【解決手段】ガスセンサとしてのNOxセンサ1は、エンジンの排気が導入されるチャンバ7と、チャンバ7内の酸素濃度を調整するポンプセル12と、チャンバ7内のガス中の酸素濃度とNOx濃度の合計に相関する信号を出力するセンサセル14と、酸素濃度に相関する信号を出力するモニタセル16とを備える。ポンプセル12は、固体電解質体4と固体電解質体4の各面4a、4bに配置された電極10、11とを有する。ガスセンサ制御装置としてのSCU及びECUは、センサオフセット値(基準点)の計測モードにおいては、大気中の酸素をチャンバ7内に汲み入れるよう電極10、11間の印加電圧を変更し、このときにセンサセル14及びモニタセル16から出力される信号に基づいてセンサオフセット値の診断及び学習を実施する。【選択図】図1
Description
本発明はガスセンサの基準点を学習又は診断するガスセンサ制御装置、基準点学習方法、基準点診断方法に関する。
内燃機関の排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するガスセンサ(NOxセンサ)が知られている。このガスセンサとして、被検出ガスが導入されるチャンバと、チャンバ内の酸素を汲み出すポンプセルと、ポンプセルにて酸素を汲み出し後のガスからNOx濃度に相関する信号を出力する検出セルとを備えたものが実用化されている。
ところで、この種のガスセンサは、特定成分の濃度(NOx濃度)に相関する信号を出力するが、その出力値が個体差や経時変化等により変化(劣化)してしまうという特性を有している。ここで、特許文献1では、車両減速時で且つ燃料の供給が停止されているときに吸入空気量を増加させ且つEGRガス量を減少させつつ、このときに検出されるNOx濃度を基準点として学習させる技術を提案している。これによれば、NOxを含んだ排気を排気管から速やかに排出させて基準点を学習できるとしている。
このように、特許文献1の技術は、基準点学習の際にガスセンサ近傍をNOx濃度がゼロの大気状態にするよう内燃機関の運転を制御するものである。しかし、ガスセンサ近傍が大気状態になるまでにある程度の時間が必要なため、短時間で基準点の学習や異常診断をすることは困難である。
本発明は上記問題に鑑み、短時間でガスセンサの基準点の学習や異常診断を実施できるガスセンサ制御装置、基準点学習方法及び基準点診断方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサ制御装置(23、32)は、被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する学習部(S26〜S29、S41〜S44、32)と、
を備える。
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する学習部(S26〜S29、S41〜S44、32)と、
を備える。
本発明のガスセンサ制御装置(23、32)は、被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する診断部(S41、S42、S44、32)と、
を備える。
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する診断部(S41、S42、S44、32)と、
を備える。
本発明の基準点学習方法は、被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する方法である。
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する方法である。
本発明の基準点診断方法は、被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する方法である。
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する方法である。
本発明によれば、ポンプセルの電圧印加を、大気側からチャンバ内に酸素を汲み入れるように変更するので、チャンバ内の特定成分の濃度を速やかに大気状態の値にすることができる。そして、大気側からチャンバ内に酸素を汲み入れた状態で検出セルが出力する信号に基づき基準点の学習又は異常診断をするので、短時間でその学習や異常診断をすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図4は本発明のガスセンサ制御装置が適用されたエンジンシステムを示している。図4のエンジンシステムは車両に搭載される。エンジンシステムは、車両を駆動する内燃機関としてのエンジン20を備える。そのエンジン20は、例えば多気筒ディーゼルエンジンであり、気筒毎に筒内に燃料を噴射するインジェクタを有している。
エンジン20の排気管21には排気浄化装置22が設けられている。その排気浄化装置22は、例えば、リーン雰囲気でNOxを吸蔵しリッチ雰囲気で吸蔵したNOxを還元するNOx吸蔵還元触媒(LNT:Lean NOx Trap)や、尿素等の還元剤の供給によりNOxを選択的に還元浄化するNOx選択還元触媒(SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒)等のNOx浄化触媒である。また、排気浄化装置22の下流側には、排気中のNOx濃度に相関する信号を出力するガスセンサとしてのNOxセンサ1が設けられている。なお、NOxセンサ1は、排気浄化装置22の下流側に加えて又は代えて排気浄化装置22の上流側に設けられたとしても良い。
SCU(Sensor Control Unit)23は、NOxセンサ1の動作を制御したり、NOxセンサ1から出力される信号に基づいてNOx濃度を算出したりする。SCU23とECU32とはCAN(Controller Area Network)等の通信線で接続されており、SCU23が算出したNOx濃度の信号はその通信線を介してECU32に入力される。SCU23は、各種処理を行うCPU30と、CPU30が実行する処理の制御プログラム等の各種情報を記憶するメモリ31とを有する。なお、CPU30、メモリ31以外のSCU23の構成は後述する。
ECU(Electronic Control Unit)32は、CPU33、メモリ34等から構成された周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。ECU32は、SCU23が算出したNOx濃度を示す信号が入力される他、エンジン20の回転数を検出する回転数センサ35や、アクセル開度等のエンジン負荷を検出する負荷センサ36などの各種センサから検出信号が入力される。ECU32は、これらの検出信号等に基づいてインジェクタの燃料噴射制御や、排気浄化装置22の劣化判定や、排気浄化装置22がNOx選択還元触媒の場合には尿素等の還元剤の添加制御などを実施する。
さらに、ECU32は、SCU23から入力されるNOx濃度を基本NOx濃度としてその基本NOx濃度に基づいてNOxセンサ1の基準点の学習及び診断を実施したり、基準点に基づいて基本NOx濃度を補正したりする。SCU23のCPU30と、ECU32のCPU33とが実行する基準点の学習及び診断に関する処理の詳細は後述する。なお、SCU23及びECU32がガスセンサ制御装置に相当する。
また、エンジンシステムには、車両のドライバにNOxセンサ1の異常(基準点異常)を警告する警告部37が設けられる。その警告部37は、例えば運転席に対向する位置にあるインストツメントパネル部に設けられてNOxセンサ1が異常であることを表示する表示部であったり、音声により警告する音声出力部であったりする。警告部37はECU32に接続されてECU32により制御される。
次にNOxセンサ1の内部構造を図1、図2を参照して説明する。NOxセンサ1は、図1の上下方向を長手方向とした形状に形成される。図1の下側をNOxセンサの先端側、図1の上側をNOxセンサ1の基端側として、NOxセンサ1の先端側が排気管21(図4参照)内に位置し、基端側が排気管21に取り付けられている。
NOxセンサ1の内部構造は、複数部材が積層配置されたいわゆる積層型構造に形成されている。詳しくは、NOxセンサ1は、ジルコニア等の酸素イオン導電性材料からなる板状の固体電解質体4と、その固体電解質体4の図の左側を向いた面4a(以下第1面という)と図の右側を向いた面4b(以下第2面という)のそれぞれに対向する位置において固体電解質体4と所定間隔を隔てて配置された板状の絶縁層2、3とを有する。固体電解質体4は、その面4a、4bが図1の上下方向(長手方向)に平行となるよう配置される。絶縁層2、3は、セラミックスやアルミナ等の絶縁材料から形成されている。固体電解質体4と絶縁層2、3との間には、セラミックスやアルミナ等の絶縁材料から形成されたスペーサ5が配置されている。絶縁層2、3とスペーサ5とは同一部材として形成されたとしても良いし、別部材として形成されたとしても良い。
また、固体電解質体4と、固体電解質体4の第1面4aに対向した位置に配置された第1絶縁層2との間における先端位置に、排気を所定の拡散抵抗で出し入れするための多孔質拡散層6が設けられている。固体電解質体4、第1絶縁層2、スペーサ5及び多孔質拡散層6により、被検出ガスとしての排気が導入されるチャンバ7が区画形成されている。チャンバ7は、多孔質拡散層6を介して排気管内に連通している。つまり、多孔質拡散層6は、チャンバ7に対して排気の出入り口として機能する。なお、多孔質拡散層6の代わりに排気の出入り口となる小孔(スリット)を設けても良い。
また、固体電解質体4、固体電解質体4の第2面4bに対向した位置に配置された第2絶縁層3及びスペーサ5により、大気に導通した大気通路8が区画形成されている。その大気通路8は、NOxセンサ1の先端側がスペーサ5で閉塞されており、基端側が大気に導通している。
第1面4aには、チャンバ7内に接する形でポンプセル12の一部を構成する電極10が形成されている。その電極10は、NOxセンサ1の長手方向において、後述する電極13、15よりも多孔質拡散層6に近い位置、つまりチャンバ7の出入り口6側に形成されている。電極10は、酸素に活性で、NOxには不活性な材料(NOxを分解し難い材料)により形成され、具体的には例えばPt(白金)/Au(金)とジルコニアとのサーメットにより形成されている。
また、第1面4aには、チャンバ7内に接する形で、後述するセンサセル14及びモニタセル16の一部を構成する電極13、15が形成されている。これら電極13、15は、長手方向において電極10よりも多孔質拡散層6から離れた位置、つまりチャンバ7の奥側に形成されている。つまり、長手方向において多孔質拡散層6→電極10→電極13、15の順に配置されている。また、電極13、15は、図2に示すように、第1面4aの面内において長手方向に直角な方向に並ぶように形成されている。
センサセル14の検出面を構成する電極13は、酸素とNOxの両方に活性な材質により形成され、具体的には例えばPt(白金)/Rh(ロジウム)とジルコニアとのサーメットにより形成されている。モニタセル16の検出面を構成する電極15は、酸素に活性で、NOxには不活性な材料により形成され、具体的には例えばPt(白金)/Au(金)とジルコニアとのサーメットにより形成されている。
また、固体電解質体4の第2面4bには、固体電解質体4を間に挟んで電極10、13、15に対向する位置に、大気側電極11が形成されている。その大気側電極11は大気通路8に接している。また、大気側電極11は、電極10、13、15をカバーする大きさに形成されて、つまり電極10、13、15のそれぞれに対して対の電極として機能する共通の裏面電極である。大気側電極11は酸素に活性な材料で形成され、具体的には例えばPt(白金)とジルコニアとのサーメットにより形成されている。
固体電解質体4及びその固体電解質体4を間に挟んで対向配置された一対の電極10、11によりポンプセル12が形成される。ポンプセル12は、一対の電極10、11間に電圧が印加されることで、チャンバ7内に導入された排気中の酸素を出し入れしてチャンバ7内の残留酸素濃度を所定濃度に調整する。このとき、電極10、11間の電圧印加方向に応じて、酸素のポンピング方向が切り替え可能となっている。具体的には、電極10の電位より大気側電極11のほうが大きい場合には、チャンバ7内の酸素が大気通路8に汲み出される。このとき、電極10において酸素が分解され、その分解により形成された酸素イオンが固体電解質体4の内部を大気側電極11に向けて流れ、大気側電極11から大気通路8に酸素として排出される。
反対に、電極10の電位のほうが大気側電極11よりも大きい場合には、大気通路8からチャンバ7内に酸素が汲み入れられる(図5参照)。このとき、大気側電極11において大気通路8の酸素が分解され、その分解により形成された酸素イオンが固体電解質体4の内部を電極10に向けて流れる。そして、電極10により酸素がチャンバ7内に汲み入れられる。
固体電解質体4及び固体電解質体4を間に挟んで対向配置された一対の電極13、11により第1セルとしてのセンサセル14が形成される。センサセル14は、一対の電極13、11間に電圧が印加されることで、チャンバ7内のガスに含まれた酸素濃度とNOx濃度とを合計した濃度に相関する電流を出力する。
固体電解質体4及び固体電解質体4を間に挟んで対向配置された一対の電極15、11により第2セルとしてのモニタセル16が形成される。モニタセル16は、一対の電極15、11間に電圧が印加されることで、チャンバ7内のガスに含まれた酸素濃度に相関する電流を出力する。なお、センサセル14及びモニタセル16が検出セルに相当する。
ポンプセル12と、センサセル14及びモニタセル16とは、NOxセンサ1の長手方向に並べて配置されており、NOxセンサ1の先端側にポンプセル12が配置され、基端側(排気管取り付け側)にセンサセル14及びモニタセル16が配置されている。また、センサセル14及びモニタセル16はチャンバ7内において排気の流れ方向に対して同等位置になるよう配置されている。
また、第2絶縁層3には、センサ全体を加熱するためのヒータ(発熱体)9が埋設されている。ヒータ9により、ポンプセル12、センサセル14及びモニタセル16が加熱され、これら各セル12、14、16の活性化が促進される。ヒータ9は、図示しないバッテリ電源等からの給電により熱エネルギを発生する。
排気中のNOx濃度の計測時におけるNOxセンサ1の動作を説明する。排気は多孔質拡散層6を通ってチャンバ7に導入される。そして、この排気がポンプセル12近傍を通過する際、ポンプセル電極10、11間に電極10より電極11のほうが高電位となるようポンプセル電圧が印加されることで分解反応が起こり、チャンバ7内の酸素濃度に応じてポンプセル12により酸素が大気通路8に汲み出される。なおこのとき、電極10がNOx不活性電極であるため、ポンプセル12では排気中のNOxは分解されず、酸素のみが分解されて電極11から大気通路8に排出される。こうしたポンプセル12の働きにより、チャンバ7内が所定の低酸素濃度の状態に保持される。
ポンプセル12近傍を通過したガス(酸素濃度調整後のガス)は、センサセル14及びモニタセル16の近傍に流れ込み、モニタセル16では、ガス中の残留酸素濃度に相関する出力が発生する。モニタセル16の出力は、モニタセル電極15、11間に所定のモニタセル電圧が印加されることでモニタセル電流として検出される。また、センサセル電極13、11間に所定のセンサセル電圧が印加されることでガス中の酸素及びNOxが分解され、その際発生する酸素イオンが固体電解質体4の内部を通って電極11から酸素として大気通路8に排出される。そして、図3に示すように、センサセル14の出力(残留酸素濃度とNOx濃度の合計濃度に相関する電流)と、モニタセル16の出力(残留酸素濃度に相関する電流)との差に基づいて、排気中のNOx濃度が計測される。また、モニタセル16の出力から排気中の酸素濃度も算出することができる。
SCU23(図4参照)には、各セル12、14、16に印加する電圧を制御したり、各セル12、14、16から出力される電流を検出したりする回路部が設けられている。詳しくは、SCU23には、図1に示すように、ポンプセル電極10、11にポンプセル電圧を印加する電圧印加部24と、その電圧印加部24の電圧印加によりポンプセル12を流れるポンプセル電流を検出する電流検出部25とが設けられている。また、SCU23には、センサセル電極13、11にセンサセル電圧を印加する電圧印加部26と、その電圧印加部26の電圧印加によりセンサセル14を流れる(センサセル14から出力される)センサセル電流を検出する電流検出部27とが設けられている。さらに、SCU23には、モニタセル電極15、11にモニタセル電圧を印加する電圧印加部28と、その電圧印加部28の電圧印加によりモニタセル16を流れる(モニタセル16から出力される)モニタセル電流を検出する電流検出部29とが設けられている。
SCU23のCPU30は、各電圧印加部24、26、28を制御することでポンプセル電圧、センサセル電圧及びモニタセル電圧を制御する。また、CPU30には、各電流検出部25、27、29により検出されるポンプセル電流、センサセル電流及びモニタセル電流が逐次入力される。このとき、各セル12、14、16の電流検出値は、A/D変換器を介してCPU30に入力されるようになっている。CPU30は、NOx計測モードにおいては、入力されたポンプセル電流が所定値となるように電圧印加部24による電圧印加をフィードバック制御する。また、CPU30は、センサセル電流及びモニタセル電流に基づいて排気中のNOx濃度や酸素濃度を算出する。
次に、NOxセンサ1の基準点の診断及び学習について説明する。NOxセンサ1の出力特性が劣化していない場合には、図6のライン101で示されるように、センサセル14及びモニタセル16の出力電流から求まる基本NOx濃度NOXB(図6の縦軸)は、実際のNOx濃度(図6の横軸)に一致している。このとき、チャンバ7内において実際のNOx濃度がゼロとなる状態では、センサセル電流Isとモニタセル電流Imとは等しい値(つまりIs=Im)となり、これら電流の差であるセンサ出力電流Inox(=Is−Im)はゼロとなる。よって、図7の関係から求まる基本NOx濃度NOXBは0ppmとなり、実NOx濃度と一致する。このことは、図6のライン101は、実NOx濃度に対する基本NOx濃度のオフセット値(ズレ量)がゼロであることを意味する。
ところが、NOxセンサ1では、出力特性が個体差や経時変化等により変化(劣化)してしまうことがある。図6のライン100は出力特性が変化した例を示している。出力特性が変化すると、実NOx濃度が0ppmの場合のセンサ出力電流Inoxは、0からオフセットした値となる。そのオフセットしたセンサ出力電流Inoxと図7の関係から得られる基本NOx濃度は、図6のライン100で示されるように0ppmからオフセットした値D(図6では5ppm)となる。このように、出力特性が変化したライン100は、変化していないライン101に対してオフセットする。
このようなNOxセンサ1の出力特性の変化を考慮しないと、実際値からずれたNOx濃度が得られてしまう。そこで、SCU23及びECU32は、実NOx濃度が0ppmとなる大気状態における基本NOx濃度をオフセット値(基準点)として学習し、その学習値に基づいてNOx濃度を算出する処理を実行する。以下、この処理の詳細を説明する。
図8はSCU23のCPU30及びECU32のCPU33が実行する全体処理のフローチャートを示している。図8の処理は例えば車両のエンジン始動と同時に開始し、エンジン停止するまで所定周期で繰り返し実行される。
図8の処理を開始すると、NOxセンサ1の出力に基づいてNOx濃度NOXFを算出する(S1)。なお、S1で算出するNOXFは、センサ出力特性が劣化していない場合のセンサ出力電流Inoxから求まる基本NOx濃度と、オフセット学習値(基準点)とから求まるNOx濃度である。S1では、具体的には図9のフローチャートの処理を実行する。図9において、S11〜S13の処理はSCU23が実行し、S14の処理はECU32が実行する。
図9の処理に移行すると、SCU23は、ポンプセル12によりチャンバ7内の酸素を調整して、調整後のセンサセル電流Is及びモニタセル電流Imを測定する(S11)。具体的には、排気中のNOx濃度を計測するNOx計測モードにおいては、図1に示すように、電極10の電位を大気側電極11の電位より小さくするよう電圧印加部24を制御することで、チャンバ7内の余剰酸素を大気通路8に汲み出す。そして、酸素を汲み出した状態でのセンサセル電流Is及びモニタセル電流Imを測定する(S11)。一方、後述のセンサオフセット値計測モードにおいては、後述の図10のS25で、大気通路8の酸素をチャンバ7内に汲み入れるようにポンプセル12の印加電圧が変更され、その変更された状態でのセンサセル電流Is及びモニタセル電流Imを測定する(S11)。
次に、SCU23は、S11で測定したセンサセル電流Isとモニタセル電流Imとの差であるセンサ出力電流Inoxを算出する(S12)。つまり、Inox=Is−Imを計算する。
次に、SCU23は、S12で得られたセンサ出力電流Inoxを図7に例示するマップ又は計算式により基本NOx濃度に変換する(S13)。図7のマップは、NOxセンサ1の出力特性が劣化していない場合におけるセンサ出力電流Inoxと基本NOx濃度NOXBとの関係を例示している。図7のマップでは、センサ出力電流が0のときの基本NOx濃度を0ppmとして、センサ出力電流が大きくなるに比例して基本NOx濃度が増加する関係となっている。つまり、NOXB=C1×Inoc(C1は係数)の関係を示している。なお、センサ出力電流と基本NOx濃度とは比例関係以外の場合もありえる。
SCU23のメモリ31には、図7のマップ又はそのマップに相当する計算式が記憶されている。S13では、S12で得られたセンサ出力電流Inoxと、図7のマップ又は計算式に基づいて、基本NOx濃度NOXBに変換する。SCU23は、S13で得られた基本NOx濃度NOXBをECU32に送信する。
次に、ECU32は、SCU23により算出された基本NOx濃度NOXBと、自身のメモリ34に記憶されたオフセット学習値NOXOFGとに基づいて、NOx濃度NOXFを算出する(S14)。言い換えると、オフセット学習値NOXOFGに基づいて、基本NOx濃度NOXBを補正する。オフセット学習値NOXOFGは、前回の図8のS2、S3の処理により得られる、チャンバ7内が大気状態(実NOx濃度=0ppmの状態)でのセンサ出力電流から求まる基本NOx濃度であって、基準点として正常と診断された基本NOx濃度である。S14では、基本NOx濃度NOXBからオフセット学習値NOXOFGを引き算して、NOx濃度NOXFを算出する。つまり、NOXF=NOXB−NOXOFGを計算する。例えば、センサ出力特性が図6のライン100で示される特性に変化したとすると、S14では、ライン100から得られる基本NOx濃度からオフセット値Dを引き算する。これにより、出力特性が劣化していないライン101に一致したNOx濃度NOXFが得られ、つまり実NOx濃度に一致したNOx濃度NOXFが得られる。S14の後、図9の処理を終了して、図8の処理に戻る。なお、図9の処理を実行するSCU23及びECU32が算出部に相当する。なお、SCU23及びECU32は、NOx濃度の算出の他、モニタセル電流Imに基づいて排気中の酸素濃度も算出している。
図8の処理に戻り、次に、チャンバ7内が大気状態(実NOx濃度=0ppmの状態)でのセンサ出力電流から求まる基本NOx濃度であるセンサオフセット値NOXOFを算出する(S2)。S2では具体的には図10のフローチャートの処理を実行する。図12のタイムチャートを適宜参照しつつ、図10の処理を説明する。図12は、図10及び図11の処理に関連する各種パラメータのタイムチャートを示している。具体的には、図12は、上から、(a)センサオフセット値計測フラグ、(b)ポンプセル印加電圧制御、(c)O2濃度、(d)センサオフセット学習値、(e)センサ出力によるNOx計算値(NOXF)のタイムチャートを示している。
図10の処理に移行すると、ECU32は、エンジン20(図4参照)の運転状態がセンサオフセット値を計測できる所定の運転状態であるか否かを判断する(S21)。具体的には、ポンプセル12による酸素のポンピング方向を大気通路8からチャンバ7内に酸素を汲み入れる方向に変更したときに、酸素の汲み入れにより、チャンバ7内の排気が多孔質拡散層6から排気管内に排出できる程度に、排気管内が低圧力状態となるエンジン運転状態であるか否かを判断する。より具体的には、例えばエンジン運転状態がアイドル運転状態であるか、又はインジェクタによる燃料噴射が行われていない燃料カット状態であるかを、排気管内が低圧力状態となるエンジン運転状態として判断する。なお、アイドル運転状態とは、エンジンが無負荷状態で最低限度の回転数で回転し続ける状態を言う。ECU32は、回転数センサ35及び負荷センサ36(図4参照)の検出値に基づいてアイドル運転状態か否かを判断する。また、エンジン20においては、例えば高回転数の状態からアクセル操作が解除された時にECU32の指令により燃料カットが行われる。ECU32は、自身の指令によりエンジン20において燃料カットが行われているか否かを判断する。
なお、S21では、排気管内の圧力を検出する圧力センサを設けて、その圧力センサの検出値が所定値以下となる状態を、センサオフセット値を計測できる状態として判断しても良い。
S21においてエンジン運転状態がアイドル運転と燃料カットのいずれにも該当しない場合には(S21:NO)、センサオフセット値を計測できる運転状態ではないとして、図10の処理を終了する。
一方、エンジン運転状態がアイドル運転又は燃料カットの状態にある場合には(S21:YES)、センサオフセット値を計測できる運転状態であるとして、S22の処理に移行し、ECU32は、その状態(アイドル運転状態又は燃料カット状態)が所定時間(例えば数秒)継続したかを判断する(S22)。なお、図12では、アイドル運転又は燃料カットの成立時を「センサオフセット学習値 学習開始」として示し、S22の所定時間を「T1」として示している。
前記状態が所定時間継続しない場合、つまり所定時間継続する前にアイドル運転又は燃料カットの状態が解除された場合には(S22:NO)、センサオフセット値の計測を行わないで、図10の処理を終了する。これに対して、前記状態が所定時間継続した場合には(S22:YES)、S23に移行し、ECU32は、センサオフセット値の計測フラグをONにする(S23)。つまり、センサオフセット値の計測を開始する(図12(a)参照)。このように、アイドル運転又は燃料カットの状態が所定時間継続するのを待つことで、エンジン運転状態が安定した状態でセンサオフセット値を計測できる。なお、S22の処理を省略して、アイドル運転又は燃料カットが成立した場合に直ちにセンサオフセット値の計測を開始しても良い。
次に、ECU32は、センサオフセット値の計測フラグが、前回処理時ではOFFとなっていて、そのOFFの状態から今回ONになったか否かを判断する(S24)。つまり、S24では、現時点が図12の「センサオフセット計測開始」の時点か、センサオフセット値の計測を開始した後の時点かを判断する。計測フラグが前回処理時もONの場合には(S24:NO)、センサオフセット値の計測中でポンプセル12の印加電圧変更を既に行っているとしてS25の処理を飛ばしてS26の処理に移行する。
一方、計測フラグが前回OFFから今回ONになった場合には(S24:YES)、ポンプセル12の印加電圧制御を、NOx計測モードからセンサオフセット値計測モードに切り替える(S25)(図12(b)参照)。具体的には、SCU23は、ECU32の指令により、図5に示すように、大気側電極11の電位よりも電極10の電位を大きくするように電圧印加部24を制御して、ポンプセル12による酸素のポンピング方向を、大気通路8からチャンバ7に汲み入れる方向に切り替える。このとき、大気側電極11はポンプセル12だけでなくセンサセル14及びモニタセル16の電極でもあるので、大気側電極11の電位はNOx計測モードから変更せずに、電極10の電位をNOx計測モードから変更するのが好ましい。つまり、NOx計測モードにおける電極10の電位をV1、大気側電極11の電位をV2(>V1)としたとき、センサオフセット値計測モードでは、大気側電極11の電位をV2で固定として、電極10の電位をV1から、V2よりも大きいV3に変更する。これによって、センサオフセット値計測モードにおいてもNOx計測モードと同じ条件でセンサセル14及びモニタセル16を動作させることができる。
また、S25では、チャンバ7内への酸素の汲み入れによりチャンバ7内の排気が多孔質拡散層6から排気管内に排出できるのであれば、電極10、11間の印加電圧はどのような値でも良い。電極10、11間の印加電圧が大きいほど、大気通路8からチャンバ7への酸素の汲み入れを強くできるので、チャンバ7内の排気の排出を効果的に行うことができる。S25では、電極10、11間の印加電圧は、状況にかかわらず一定としても良いし、状況に応じて変化させても良い。例えば、排気管内の圧力を検出する圧力センサを設けて、その圧力センサの検出値に応じて電極10、11間の印加電圧を変化させても良い。この場合には、例えば、圧力センサの検出値が大きいほど印加電圧を大きくする。これによって、排気管内の圧力にかかわらず、チャンバ7内の排気を多孔質拡散層6から排気管内に効果的に排出できる。なお、S25の処理を実行するSCU23が電圧変更部に相当する。
S25の制御により、ポンプセル12によって大気通路8の酸素がチャンバ7内に強制的に汲み入れられる。その結果、図12(c)で示されるように、チャンバ7内の酸素濃度は、センサ近傍の排気管中の酸素濃度に比べて高くなる。また、チャンバ7内に酸素が強制的に汲み入れられる結果、チャンバ7内の排気(NOx)は多孔質拡散層6から排気管内に排出される。その結果、図12(e)の実線で示すように、センサ出力によるNOx計算値は、基準点学習の未実施の場合(点線)に比べて低下する。さらに、チャンバ7内の奥に残留するNOxについては、センサセル14におけるNOx還元により消費される。この結果、図12(e)に示すように、センサオフセット値計測モードにおけるNOx計算値は、ポンプセル12による排気管内への排出に加えて、センサセル14での消費による低下分も反映した値となる。
なお、SCU23は、センサオフセット値の計測モードの実施中、NOx計測モードと同様に、センサセル14及びモニタセル16の印加電圧制御を行う。また、ECU32は、時間計測部を備えて、その時間計測部によりセンサオフセット値の計測モードの開始からの経過時間(S25のポンプセル印加電圧制御の開始からの経過時間)を計測する。
図10の説明に戻り、S25でセンサオフセット値の計測モードに切り替えた後、又はS24で計測モードの実施中と判定した場合には(S24:NO)、次に、ECU32は、該計測モードの開始からの経過時間が予め定められた許容時間を超えたか否かを判断する(S26)。超えていない場合には(S26:NO)、ECU32は、図8のS1で得られるNOx濃度NOXFの変化が小さくなったか否かを判断する(S27)。図12(e)に示すように、センサオフセット値計測モードを開始してからしばらくの間は、チャンバ7内からNOxの排出と、センサセル14でのNOx還元とによってセンサ出力が大きく変化する。S27では、センサ出力変化が小さくなったかを判断することで、チャンバ7内からのNOxの排出と、センサセル14でのNOx還元とが終了して、チャンバ7内の実NOx濃度が大気状態の値、つまり0ppmになったか否かを判断することを意味する。
S27では、具体的には例えば、前回のS1の処理で得られるNOXFの前回値と、今回のS1の処理で得られるNOXFの今回値との変化を算出し、その変化が閾値以下となる状態が所定時間継続したか否かを判断する。この所定時間は、S26の許容時間よりも小さい値に設定される。
NOXFの前回値と今回値との変化が閾値以下となる状態が所定時間継続しない場合、つまりNOXFの変化が大きい場合には(S27:NO)、図10の処理を終了する。この場合には、図12(e)においてポンピングによるチャンバ7内のNOxの排出途中又はセンサセル14によるNOx還元の途中であることを想定している。
S27においてNOXFの前回値と今回値との変化が閾値以下となる状態が所定時間継続した場合、つまりNOXFの変化が小さくなった場合には(S27:YES)、チャンバ7内の実NOx濃度が大気状態(0ppm)になったとして、ECU32は、この時に得られる基本NOx濃度NOXB(今回の図9のS13で得られる値)を、センサオフセット値NOXOFとしてメモリ34に格納する。その後、ECU32は、センサオフセット値の計測が終了したとして、センサオフセット値の計測フラグをOFFにし(S30)、ポンプセル12の印加電圧制御をNOx計測モードに切り替える(S31)。これにより、図12(c)の「センサオフセット値計測終了」以降に示すように、チャンバ7内の酸素濃度は、センサ近傍の排気管中の酸素濃度に一致した値まで低下する。S31の後、図10の処理を終了して、図8の処理に戻る。
一方、S26において、センサオフセット値の計測モードの時間が許容時間を超えた場合には(S26:YES)、ECU32は、センサオフセット値の計測を中止して、メモリ34に格納されたセンサオフセット値の前回値(前回処理時にS28で格納した値)を保持する(S29)。これによって、センサオフセット値の計測モードが長時間継続するのを抑制でき、センサオフセット値の診断及び学習が長時間となるのを抑制できる。その後、ECU32は、センサオフセット値の計測フラグをOFFにし(S30)、ポンプセル12の印加電圧制御をNOx計測モードに切り替える(S31)。
図8の処理に戻り、次に、NOxセンサ1の基準点としてのセンサオフセット学習値NOXOFGを算出する(S3)。具体的には図11のフローチャートの処理を実行する。なお、図11の処理はECU32により実行される処理である。
図11の処理に移行すると、S2の処理で得られたセンサオフセット値NOXOF(図10のS28又はS29で格納した値)の絶対値が、予め定められた閾値以下か否かを判断する(S41)。ここで、NOXOFの絶対値としているのは、センサ出力特性の劣化により、図9のS12で得られるセンサ出力電流Inox(=Is−Im)がマイナス値となる場合があり、この場合には、S13で得られるNOXBがマイナス値となって、センサオフセット値NOXOFがマイナス値となるためである。S41では、センサオフセット値をD、閾値をDthとしたとき、Dが、−Dth以上、+Dth以下の範囲内(所定範囲内)であるか否かを判断することを意味する。
NOXOFの絶対値が閾値以下の場合には(S41:YES)、センサオフセット値は基準点として許容範囲以内であると判断、つまり正常と判断する(S42)。次に、センサオフセット値NOXOFを、センサオフセット学習値NOXOFGとして採用する(S43)。つまり、NOXOFG=NOXOFとする。これにより、以降では、図9のS14において、S43で更新したNOXOFGに基づいてNOx濃度の算出が行われる。図12(d)では、「センサオフセット値計測終了」を境にして、NOXOFGが0からDに更新された様子を示している。また、図12(e)では、「センサオフセット値計測終了」以降では、NOXOFGの更新により、NOx計算値(NOXF)が、学習未実施の値(点線)に比べてNOXOFGの値Dの分だけ小さい値に計測されることを示している。これにより、実NOx濃度が0ppmのときのNOx計算値(NOXF)を0ppmに一致させることができ、正確なNOx濃度を得ることができる。S43の後、図11の処理を終了して、図8の処理に戻る。図8において、S3の後、図8の処理を終了する。
一方、S41においてNOXOFの絶対値が閾値より大きい場合には(S41:NO)、センサオフセット値は基準点として許容範囲外であると判断、つまり異常と判断する(S44)。この場合には、センサオフセット学習値NOXOFGの更新は行わない。その後、異常時処値として、例えば、NOxセンサ1の異常(基準点異常)を警告部37(図4参照)によりドライバに警告する(S45)。これによって、ドライバにNOxセンサ1が異常であることを把握させることができ、ディーラで修理に出すなどして、異常のNOxセンサ1を使用し続けるのを抑制できる。
また、ドライバへの警告の他、異常時処置として例えばNOxセンサ1の異常に対して安全な方向に制御するフェイルセーフを実施する(S45)。具体的には、フェイルセーフは、NOxセンサ1により検出されるNOx濃度の信頼性が低い場合であってもエンジン20の運転を可能とする処理であって、例えばNOxの排出量が少ない領域、すなわち低負荷領域又は中負荷領域で運転するようエンジン20の制御を変更する。具体的には例えばNOxが多く排出される高負荷領域で運転しないように、車両のアクセル制限を行う。アクセル制限として、具体的にはアクセルペダルが高負荷領域に対応する操作量まで操作されたとしても、その操作を無効として、低負荷領域又は中負荷領域でエンジン制御を行う。
また、フェイルセーフの他の例として、例えばNOxセンサ1によるNOx濃度の計測に代えて、エンジン20の運転状態に基づいてNOx排出量を推測する。そして、その推測値に基づいて排気浄化装置22(図4参照)の劣化判定を行ったり、排気浄化装置22がLNTの場合にはリッチスパイクの実施を制御したり、排気浄化装置22がSCR触媒の場合には還元剤(例えば尿素水)の添加を制御したりするなど、NOxセンサ1を使用しないでエンジン20の運転を継続する。なお、NOx排出量の推測は、エンジン運転状態とNOx排出量との関係を予め調べてメモリ34に記憶しておき、その関係に基づいてNOx排出量を推測できる。S45の後、図11の処理を終了する。
なお、図10のS26〜S29、図11のS41〜S44の処理を実行するECU32が学習部に相当する。また、図10のS26〜S29の処理を実行するECU32が取得部に相当する。図11のS41、S42、S44の処理を実行するECU32が診断部に相当する。S43の処理を実行するECU32が更新部に相当する。S45の処理を実行するECU32が異常時処置部に相当する。S27の処理を実行するECU32が判断部に相当する。
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、NOxセンサ1のオフセット値(基準点)の学習時には、大気中の酸素をチャンバ7内に汲み入れる方向にポンプセル12の印加電圧を変更するので、チャンバ7内のNOx濃度を簡単且つ速やかに大気状態(0ppm)にすることができる。よって、センサ近傍の排気管内の状態が大気状態になっていなくても、センサオフセット値を学習でき、短時間でその学習をすることができる。また、センサ近傍の排気管内の状態を大気状態にする必要がないので、大気状態にするようエンジン制御を変更したり、排気管内に大気を強制的に導入する構成を追加したりすることを省略できる。また、特許文献1では車両減速時に基準点学習を行っているが、本実施形態では車両減速時以外の時でも基準点の診断及び学習を実施可能なので、その診断及び学習の頻度を増やすことができる。これに対し、特許文献1の方法では、センサ近傍を大気状態にするために、ある程度長い車両減速時間を確保する必要があり、基準点学習の頻度が少ない。
また、計測したセンサオフセット値と閾値との比較に基づき該センサオフセット値が正常か異常かの診断を行い、正常の場合に限り該センサオフセット値を学習値として採用するので、信頼性の低い基準点で信頼性の低いNOx濃度が計測されてしまうのを抑制できる。すなわち、NOxセンサ1によるNOx濃度の計測を正確に行うことができる。また、センサオフセット値が異常の場合には、警告やフェイルセーフを実施するので、異常のNOxセンサ1が使用され続けるのを抑制でき、NOxセンサ1の異常に伴う不具合を最小限に抑えることができる。また、センサオフセット値の診断においても、学習と同様の理由で、センサ近傍の排気管内の状態が大気状態になっていなくても実施可能であり、簡単且つ短時間で診断を実施することができる。
また、センサオフセット値の診断及び学習を、排気管内が低圧力状態の時(アイドル運転時又は燃料カット時)に行うので、ポンプセル12によるチャンバ7内の酸素汲み入れによって、チャンバ7内の排気(NOx)を多孔質拡散層6から排気管に速やかに排出できる。よって、チャンバ7内のNOx濃度を速やかに大気状態にすることができる。また、アイドル運転時又は燃料カット時では、エンジンからのNOx排出量が少なく、排気中のNOxを検出する必要性が低いので、その時に基準点診断及び学習を実施したとしても、エンジン制御に悪影響を及ぼすのを抑制できる。
また、図10のS27、S28では、NOx濃度の変化が小さくなるのを待って、センサオフセット値の計測を実施するので、チャンバ7内の実NOx濃度が確実に大気状態になった時にその計測を実施できる。よって、正確なセンサオフセット値を得ることができる。
また、チャンバ7内の酸素濃度及びNOx濃度の合計に相関するセンサセル電流と、チャンバ7内の酸素濃度に相関するモニタセル電流との差に基づいてNOx濃度を算出するので、チャンバ7内の残留酸素の影響を排除した正確なNOx濃度を得ることができる。また、ポンプセルは1つしか設けられていないので、複数設けられた場合に比べてNOxセンサの構成を簡素にできる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限度で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、図6のように、実NOx濃度が0ppmの状態における基本NOx濃度を、センサオフセット値として計測したが、図13に示すように実NOx濃度が0ppmの状態におけるセンサ出力電流Inoxをセンサオフセット値として計測しても良い。図13では、劣化していないセンサ出力特性201に対して、実際のセンサ出力特性200がDiだけオフセットしている例を示している。この場合、図10のS28では、センサ出力電流Diをセンサオフセット値としてメモリに格納する。そして、図11のS41、S42、S44では、センサオフセット値としてのセンサ出力電流Diと閾値との比較に基づいてセンサオフセット値の診断を行う。正常の場合にはS43ではセンサ出力電流Diをセンサオフセット学習値として更新する。そして、NOxセンサに基づいてNOxを計測する際には、図9の処理に代えて、モニタセル電流Im及びセンサセル電流Isを測定し、それらからセンサ出力電流Inoxを算出した後、次に、センサ出力電流Inoxからセンサオフセット値Diを引き算することで、センサ出力電流を補正する。その補正後のセンサ出力電流をNOx濃度に変換する。これによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、検出対象の特定成分がNOx以外であっても良い。例えば、排気中のHCやCOを検出対象(特定成分)とするガスセンサであっても良い。この場合、特定成分計測モードにおいては、ポンプセルにてチャンバ内の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガスからHCやCOを分解してHC濃度やCO濃度を検出する。また、センサオフセット値計測モードにおいては、ポンプセルにて大気中の酸素をチャンバ内に汲み入れ、その汲み入れた状態でセンサセル及びモニタセルの信号から求まる基本HC濃度や基本CO濃度をセンサオフセット値とする。その他、被検出ガス中のアンモニアの濃度を検出するものであっても良い。
また、NOxセンサの構造は図1に示す構成と異なっていても良い。例えば、ポンプセルが配置されるチャンバと、センサセル及びモニタセルが配置されるチャンバとを別々に設けて、それらチャンバを絞り部を介して連通させるようにしても良い。また、ポンプセルにおける大気側電極と、センサセル及びモニタセルにおける大気側電極とを別々に設けても良い。この場合、センサオフセット値計測モードにおけるポンプセルの印加電圧制御は、チャンバ側の電極の電位をNOx計測モードと同じ電位に固定とし、大気側電極の電位をNOx計測モードから変更するようにしても良い。このとき、センサセル及びモニタセルの大気側電極がポンプセルから独立しているので、センサセル及びモニタセルの印加電圧制御を、NOx計測モードとセンサオフセット値計測モードとで同じとすることができる。また、NOx計測モードにおいては、電極10に低電位源に繋がる低電位配線を接続し、大気側電極11に高電位源に繋がる高電位配線とを接続する一方で、センサオフセット値計測モードにおいてはそれら低電位配線、高電位配線の接続先が反対になるよう切り替えても良い。
また、図10のS27では、NOx濃度の変化が小か否かを、チャンバ内の実NOx濃度が0ppmとなったか否かとして判断していたが、センサオフセット値計測モードの開始(ポンプセルの印加電圧変更の開始)からの経過時間に基づいて、チャンバ内の実NOx濃度が0ppmになったか否かを判断しても良い。具体的には、チャンバ内の実NOx濃度が0ppmになる経過時間の閾値を予め調べて、経過時間がその閾値を超えたか否かを判断する。
また、図8〜図11の処理は、SCUが全てを実行しても良いし、ECUが全てを実行しても良い。また、SCUとECUとを一つの制御部として構成しても良い。
また、エンジンの吸気通路に設けられるガスセンサや、ディーゼルエンジン以外にガソリンエンジンなど他の形式のエンジンに用いられるガスセンサに適用されるセンサ制御装置としても具体化できる。ガスセンサは、排気以外のガスを検出対象としたり、自動車以外の用途で用いられるものであっても良い。
1 NOxセンサ、4 固体電解質体、4a 固体電解質体のチャンバ側の面、4b 固体電解質体の大気通路側の面、10 ポンプセル電極、11 大気側電極、12 ポンプセル、14 センサセル、16 モニタセル、23 SCU、32 ECU
Claims (11)
- 被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する学習部(S26〜S29、S41〜S44、32)と、
を備えるガスセンサ制御装置(23、32)。 - 前記学習部は、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号又はその信号から求まる前記特定成分の濃度を取得する取得部(S26〜S29、32)と、
前記取得部が取得した値と閾値との比較に基づき該値が基準点として正常か異常かを診断する診断部(S41、S42、S44、32)と、
前記取得部が取得した値が基準点として正常であると診断された場合に前記取得部が取得した値を基準点の学習値として更新する更新部(S43、32)とを備える請求項1に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記取得部が取得した値が基準点として異常であると診断された場合に、前記NOxセンサの使用を抑制する方向に作用する、予め定められた異常時処置を実施する異常時処置部(S45、32)を備える請求項2に記載のガスセンサ制御装置。
- 前記ポンプセルは、被検出ガス中の前記特定成分の濃度の計測時には、前記チャンバ内の酸素を大気側に汲み出すように制御され、
前記基準点と、前記ポンプセルにより前記チャンバ内の酸素が汲み出された状態で前記検出セルが出力する信号とに基づいて、被検出ガス中の前記特定成分の濃度を算出する算出部(S11〜S14、23、32)を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記学習部は、前記電圧変更部による電圧変更が行われている時に前記チャンバ内の実際の前記特定成分の濃度が大気状態の値になったことを判断する判断部(S27、32)を備え、
前記学習部(S28、S41〜S44、32)は、前記チャンバ内の実際の前記特定成分の濃度が大気状態の値になった時の前記検出セルが出力する信号に基づき前記基準点を学習する請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記ガスセンサは、内燃機関(20)から排出される排気を被検出ガスとして排気中の特定成分の濃度を検出する排気センサであり、
前記電圧変更部及び前記学習部は、前記内燃機関がアイドル状態の時に前記一対の電極間に印加する電圧の変更及び前記基準点の学習を実施する請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記ガスセンサは、内燃機関(20)から排出される排気を被検出ガスとして排気中の特定成分の濃度を検出する排気センサであり、
前記電圧変更部及び前記学習部は、前記内燃機関において燃料カットが実施されている時に前記一対の電極間に印加する電圧の変更及び前記基準点の学習を実施する請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスセンサ制御装置。 - 前記検出セルは、前記チャンバ内の酸素濃度とNOx濃度とを合計した濃度に相関する信号を出力する第1セル(14)と、前記チャンバ内の酸素濃度に相関する信号を出力する第2セル(16)とを有し、
前記ガスセンサは、前記第1セルが出力する信号と前記第2セルが出力する信号との差からNOx濃度を検出するNOxセンサであり、
前記学習部は、大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記第1セルが出力する信号と前記第2セルが出力する信号との差に基づき、NOx濃度の基準点を学習する請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスセンサ制御装置。 - 被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更する電圧変更部(S25、23)と、
前記電圧変更部の電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する診断部(S41、S42、S44、32)と、
を備えるガスセンサ制御装置(23、32)。 - 被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点を学習する基準点学習方法。 - 被検出ガスが導入されるチャンバ(7)と、
前記チャンバ内に接した面(4a)と大気側に接した面(4b)とを有した固体電解質体(4)と、前記固体電解質体の前記チャンバ内に接した面と大気側に接した面とに配置された一対の電極(10、11)とを有し、前記一対の電極間に電圧が印加されることで前記チャンバ内の酸素濃度を調整するポンプセル(12)と、
前記チャンバ内のガスに含まれた特定成分の濃度に相関する信号を出力する検出セル(14、16)とを備えるガスセンサ(1)に適用され、
大気側から前記チャンバ内に酸素を汲み入れるように前記一対の電極間に印加する電圧を変更し、その電圧変更により大気側からの酸素を前記チャンバ内に汲み入れた状態で前記検出セルから出力される信号に基づき前記ガスセンサの基準点が正常か異常かを診断する基準点診断方法。
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