以下、印刷装置の実施形態について、図を参照して説明する。印刷装置は、例えば、長尺の媒体に印刷(記録)を行うラージフォーマットプリンターである。
図1に示すように、印刷装置11は、筐体部12と、媒体Mを支持する媒体支持部30と、媒体Mを図1に矢印で示す方向に搬送する搬送装置40と、筐体部12内で媒体Mに印刷を行う印刷部50と、を備える。
以降の説明では、媒体Mの長手方向と直交する幅方向(図1では紙面と直交する方向)に沿う一方向を走査方向Xとし、印刷部50が印刷を行う位置において媒体Mが搬送される方向を搬送方向Yとする。本実施形態において、走査方向X及び搬送方向Yは互いに交差(好ましくは、直交)する方向であって、いずれも重力方向Zと交差(好ましくは、直交)する方向である。
媒体支持部30は、媒体Mの搬送経路を形成する第1の媒体支持部31、第2の媒体支持部32及び第3の媒体支持部33と、第2の媒体支持部32の重力方向Zとなる下方に配置された吸引機構34と、を備えている。第1の媒体支持部31は、搬送方向Yにおける上流側より下流側の方が高くなるように傾斜した傾斜面を有する。第2の媒体支持部32は、印刷部50と対向する位置に設けられて、印刷が行われる媒体Mを支持する。第3の媒体支持部33は、搬送方向Yにおける上流側より下流側の方が低くなるように傾斜した傾斜面を有して、印刷部50によって印刷が行われた媒体Mを案内する。
印刷部50は、走査方向Xに延びるガイド軸51と、ガイド軸51に支持されるキャリッジ52と、媒体Mに対して液体の一例であるインクを吐出する液体吐出部53とを備える。キャリッジ52は、不図示のキャリッジモーターの駆動により、ガイド軸51に沿って走査方向Xに沿って往復移動する。液体吐出部53は、第2の媒体支持部32に支持された媒体Mと対向するようにキャリッジ52に支持されている。そして、印刷部50は、キャリッジ52の走査方向Xに沿う移動時に、液体吐出部53からインクを吐出することで、媒体Mに文字や画像を形成する印刷動作を行う。
第2の媒体支持部32は、媒体Mを支持する支持面に図示しない複数の吸引孔を有し、吸引機構34の駆動によって吸引孔を通じて媒体Mを吸引することにより、支持面からの媒体Mの浮き上がりを抑制する。また、媒体Mの搬送時にも吸引機構34を駆動させることで、印刷される媒体Mの浮き上がりによる液体吐出部53への接触が抑制される。
搬送装置40は、搬送方向Yにおいて第1の媒体支持部31と第2の媒体支持部32との間に設けられる搬送ローラー対41と、搬送モーター43と、搬送装置40の構成要素の制御を行う制御部100と、を備える。本実施形態において、制御部100は、印刷装置11の構成要素の制御を行う制御部として構成されている。また本実施形態において、搬送ローラー対41の回転軸方向は走査方向Xに沿う方向である。
搬送ローラー対41は、支持台45に支持された駆動ローラー46と、軸支持体60にローラー軸80(図9参照)が支持された従動ローラー48と、が対をなすことで構成される。駆動ローラー46は、搬送モーター43の駆動により、媒体Mを搬送方向Yに搬送する第1回転方向(図1では反時計方向)と、媒体Mを搬送方向Yの逆方向に送り戻す第2回転方向(図1では時計方向)とに回転する。なお、搬送装置40は、駆動ローラー46の第1回転方向及び第2回転方向への回転量を検出するためのロータリーエンコーダー49を備える。
搬送ローラー対41を構成する従動ローラー48のローラー軸80を支持する軸支持体60は、付勢部材の一例であるばね73(図3参照)によって付勢される。この付勢によって、従動ローラー48は、従動ローラー48と駆動ローラー46との間に媒体Mを挟んだ状態で、媒体Mを駆動ローラー46に押し付けることによって、媒体Mを駆動ローラー46と従動ローラー48とで挟持する。そして、駆動ローラー46と従動ローラー48とが媒体Mを挟持した状態、すなわち搬送ローラー対41が媒体Mを挟持した状態で、駆動ローラー46が第1回転方向に回転することにより媒体Mは搬送方向Yに搬送される。
搬送装置40は、搬送ローラー対41が媒体Mを搬送方向Yに搬送するときに、駆動ローラー46に向けて媒体Mを給送する給送部20を備える。給送部20は、媒体Mをロール状に巻き重ねたロール体21を回転可能に保持する保持部22と、ロール体21を給送方向(図1では反時計方向)及び引戻方向(図1では時計方向)の両方向に回転させるための給送モーター23と、ロール体21の回転量を検出するためのロータリーエンコーダー24と、を有する。
保持部22は、走査方向Xにおける長さや巻き数の異なる複数種類のロール体21を保持可能である。そして、給送部20は、ロール体21を給送方向に回転させることで媒体Mを駆動ローラー46に向けて給送するとともに、引戻方向に回転させることで媒体Mを搬送方向Yの反対方向に引き戻してロール体21に巻き取る。
図2に示すように、軸支持体60は、筐体部12内に取り付けられた支持フレーム13において回転自在に架設された回動軸14に支持される態様で、走査方向Xに複数(ここでは20個)設けられている。回動軸14に支持された各軸支持体60には、複数の従動ローラー48を回動自在に支持する1つのローラー軸80(図9参照)がそれぞれ支持されている。
本実施形態では、各ローラー軸80には、それぞれ2つの従動ローラー48がそのローラー軸80を中心に回転可能に支持されている。なお、2つの従動ローラー48を区別する場合は、一方を第1の従動ローラー48と呼称し、他方を第2の従動ローラー48と呼称する。もとより、本実施形態において、軸支持体60の数及びローラー軸80が支持する従動ローラー48の数は、任意に変更することができる。
支持フレーム13には、搬送方向Yにおいて回動軸14より上流となる位置に、レリースカム65を回転させるレリース軸15(図4参照)が回動可能に支持されている。また、搬送方向Yにおいてレリース軸15より上流となる位置に、カム部材66を回転させる調整軸16(図4参照)が回動可能に支持されている。
次に軸支持体60の構成について説明する。
図3および図4に示すように、軸支持体60は、軸取付部64を介して回動軸14に回動可能に取り付けられた回動部材61と、回動部材61に回動可能に支持された係止部材71と、従動ローラー48を覆うカバー68と、を有する。また、軸支持体60には、レリースカム65とカム部材66とが備えられ、回動部材61に対して、レリース軸15によって回転するレリースカム65が当接し、係止部材71に対して、調整軸16によって回転するカム部材66が当接する。
また、伸長されることにより力(収縮力)を発生させるばね73と、回動部材61が回動軸14に取り付けられた際に、その一端側74aが回動軸14と接触する導電性を有するねじりばね74と、が回動部材61に組み込まれている。
回動部材61は、搬送方向Y下流側端部において従動ローラー48を回動自在に支持するローラー軸80が取り付けられるとともに、搬送方向Yにおける上流側端部に設けられた延設部62がばね73の第1端(下端)を係止した状態で、回動軸14に支持されている。また、回動部材61には、複数の丸孔が連なった長孔63が設けられている。
係止部材71は、基端部(図4では左端部)が長孔63の1つの丸孔に挿通されたピン72を中心にして回動自在な状態で回動部材61に支持されるとともに、先端部(図4では右端部)がばね73の第2端(上端)を係止した状態になっている。なお、係止部材71は、回動部材61において延設部62の上方となる位置に取り付けられる。
カム部材66は、調整軸16からの距離が連続的に変化するカム面66aを有し、そのカム面66aが係止部材71の基端部と先端部との間となる位置に接触するように配置されている。係止部材71は、搬送方向Yにおいて基端部と先端部との間にカム部材66の押圧力を受けた場合に、基端部に挿通されたピン72を中心に先端部がばね73を伸縮させる方向に回動する。
このとき、係止部材71は、その基端部が支点、カム部材66から押圧力を受ける部分が力点、先端部が作用点の「てこ」として動作する。そして、従動ローラー48が媒体Mの挟持位置にあるとき、例えば、係止部材71がカム部材66の押圧力を受けてばね73を伸長させることにより、その伸長した長さに応じて、ばね73には収縮力が発生する。
このように、ばね73の伸長によって発生した収縮力は、従動ローラー48が回動軸14を中心に媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける方向へ回動部材61を回転させるように付勢する付勢力となる。この結果、この付勢力は、従動ローラー48に対して、従動ローラー48の下方にある駆動ローラー46に媒体Mを押し付ける押圧力(押付力)を発生させる。この点で、回動軸14は、従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける方向へ軸支持体60が回転する際の回転中心となる回転軸として機能する。また、ばね73は、従動ローラー48を付勢する付勢部材として機能する。
回動部材61は、回動軸14よりも搬送方向Y上流側となる基端側に、レリースカム65のカム面65aと当接可能な当接部61aを有する。そして、レリースカム65がレリース軸15の回転に伴って回動軸14を中心に図4における時計方向に回転すると、レリースカム65がばね73を伸長させつつ、当接部61aを押し下げる。これにより、回動部材61は、従動ローラー48が駆動ローラー46との間に媒体Mを挟持する挟持位置から、従動ローラー48が駆動ローラー46から離れ、媒体Mの挟持(ニップ)が解除されるレリース位置へ移動する(図6参照)。
このように従動ローラー48をレリース位置に配置することによって、例えば、媒体Mが搬送経路で詰まってしまった場合に媒体Mの除去等のメンテナンスを行う。さらに、本実施形態では、例えば、従動ローラー48が汚れた場合などにおいて従動ローラー48を清掃したり、従動ローラー48が消耗した場合などにおいて従動ローラー48を交換したりするため、軸支持体60から従動ローラー48を取り外すことが可能な構造となっている。
次に、図5から図10を参照して、従動ローラー48の取り外し構造について説明する。なお、この従動ローラー48の取り外しに際しては、従動ローラー48は、レリースカム65の当接部61aの押し下げにより、図6において白抜き矢印で示すように、回動部材61が回動軸14を中心にして回転することにより、媒体Mから離れたレリース位置に位置している。
図5および図6に示すように、カバー68は、従動ローラー48のローラー外周面48aの少なくとも一部を覆うとともに、軸支持体60に対して着脱可能に備えられる。すなわち、カバー68は、従動ローラー48の搬送方向Y下流側と、媒体M側とは反対の上側と、を覆う覆い部68aと、この覆い部68aから搬送方向Y下流側に板状に延びた2つの延設部68bとを有する。このカバー68の延設部68bが、軸支持体60の回動部材61に設けられた挿入部61bに対して搬送方向Y下流側から挿入されることによってカバー68は回動部材61(軸支持体60)に対して着脱可能に備えられる。したがって、例えば印刷装置11の使用者は、従動ローラー48の交換に際して、図3に示す状態にあるカバー68を図5において矢印で示すように搬送方向Y下流側へ引き出すことで、回動部材61からカバー68を取り外す。
カバー68が取り外された状態では、従動ローラー48を回転可能に支持する1つのローラー軸80は、2つの従動ローラー48間において回動部材61に設けられたローラー軸80の軸受となる凹部91(図10参照)に挿入され、その凹部91の上側に設けられた開口92(図10参照)が蓋部材69によって覆われている。
すなわち、軸支持体60には回動部材61に設けられた、ローラー軸80の軸線方向と交差する方向(ここでは上方向)からローラー軸80を挿入可能な開口92を有する凹部91と、開口92を覆う蓋部材69とが、ローラー軸80を支持する軸支持部90として備えられている。そして、凹部91と蓋部材69とによって構成される軸支持部90は、2つの従動ローラー48間でローラー軸80を支持している。
本実施形態では、軸支持部90を構成する蓋部材69は、この凹部91の開口92を覆う閉蓋位置から、凹部91の開口92を覆わない開蓋位置へスライド移動可能に備えられる。この蓋部材69のスライド構造について、図を参照して説明する。
図7および図8に示すように、ローラー軸80を支持する凹部91の上側の開口92は回動部材61の搬送方向Y下流側の端部に設けられた平坦面61sに形成されている。そして、蓋部材69は、この回動部材61の平坦面61sに沿って、図5に示す状態から、図7において矢印で示すように搬送方向Yの上流に向かってスライド移動可能に備えられる。すなわち、蓋部材69は、その下側に突設された凸部69sが(図12参照)、回動部材61において凹部91の開口92が形成された平坦面61sを摺動することによって、搬送方向Yに沿ってスライド移動する。
蓋部材69は、その搬送方向Yの下流側において、上方へ延設された立壁部69aと、この立壁部69aから搬送方向Y下流側に向かって延設され、上部に突起69dが形成された鍔部69bと、が設けられている。一方、回動部材61には、その搬送方向Y下流端に、蓋部材69の立壁部69aが接触するとともに接触した状態で突起69dが上下方向において係合する係合部61dが設けられている。
係合部61dは、蓋部材69が閉蓋位置にある状態では、立壁部69aと接触するとともに突起69dと係合することによって、蓋部材69の搬送方向Yに沿うスライド移動を抑制して蓋部材69を閉蓋位置に維持する(図6参照)。一方、立壁部69aが搬送方向Y上流側に押されることによって係合部61dと突起69dの係合が外れ、蓋部材69は閉蓋位置から開蓋位置へスライド移動する。したがって、印刷装置11の使用者が、蓋部材69を搬送方向Y上流側へ押し込むことで、ローラー軸80の上側が開放される。
なお、蓋部材69のスライド移動に際して、回動部材61に設けられた走査方向Xへ突出する一対の突出部61eが蓋部材69の上面に接触(当接)することによって、蓋部材69の浮き上がりが抑制される(図6参照)。また、閉蓋位置に位置する蓋部材69は、この一対の突出部61eと係合部61dとによって上方への浮き上がりが抑制される。さらに、搬送方向Y上流側に押し込まれて開蓋位置にある蓋部材69は、その搬送方向Y上流側端部が回動部材61に設けられた溝部61h(図6参照)に入り込むことで、上下方向への移動が抑制される。
図9および図10に示すように、上側が開放されたローラー軸80は、軸支持体60から上方へ抜き出すことが可能となる。そして、ローラー軸80が抜き出されることによって、ローラー軸80に回転可能に支持された従動ローラー48も軸支持体60から取り出される。すなわち、蓋部材69の開蓋位置へのスライド移動によって露出した凹部91の開口92を介して、2つの従動ローラー48間に位置するローラー軸80の軸中央部分80aが凹部91から開口92を介して上方へ抜き出される。
本実施形態では、2つの従動ローラー48を回転可能に支持する1つのローラー軸80において、2つの従動ローラー48間の軸中央部分80aが軸支持体60の軸支持部90によって支持される。また、1つのローラー軸80は、その両軸端部80cが、回転可能に支持された2つの従動ローラー48のそれぞれよりも軸方向において外側に飛び出すように形成されている。一方、軸支持体60において、上方が開口し略上下方向に延びる縦溝61cが回動部材61に一対形成されている。各従動ローラー48から飛び出した1つのローラー軸80の両軸端部80cが、それぞれ縦溝61cに沿って移動することによって、各従動ローラー48は、搬送方向Yへの移動が抑制されつつ、媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける押し付け方向に沿う上下方向に移動する。したがって、縦溝61cは、第1および第2の2つの従動ローラー48がそれぞれ媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける押し付け方向に沿って、1つのローラー軸80の両軸端部80cを移動可能に案内する案内溝として機能する。
図9に示すように軸支持体60からローラー軸80とともに取り外された各従動ローラー48は、それぞれローラー軸80の軸線方向に沿って軸端部80c側に移動させることで、ローラー軸80から抜き取られる。抜き取られた従動ローラー48は、例えばローラー外周面48aが汚れている場合はクリーニングを行ったり、ローラー外周面48aが消耗している場合は新しいものに交換したりする。あるいは、媒体Mの搬送に適した硬さや摩擦係数を有するローラー外周面48aを備える従動ローラー48に交換したりする。
クリーニングされたり交換されたりした従動ローラー48は、上述した軸支持体60からの取り外し手順とは逆の順序、すなわち図9に示す状態から、図7、図5、図3にそれぞれ示す状態の順序で軸支持体60に取り付けられる。そして各従動ローラー48は、軸支持体60に取り付けられた状態で、ローラー軸80が回動部材61の軸支持部90に支持される。換言すれば、軸支持体60は、軸支持部90においてローラー軸80を軸支持体60に対して着脱可能に支持する。
なお、軸支持体60において回動部材61は回動軸14に取り付けられる軸取付部64からローラー軸80の軸支持部90を構成する凹部91まで、1つの部材で、すなわち複数の部材が接続されていない態様で形成されている。ちなみに、本実施形態では、回動部材61は全体が1つの部材で形成されている。もとより、軸取付部64からローラー軸80の軸支持部90(凹部91)までが1つの部材で接続されていれば、回動部材61において付帯的に他の部材が設けられていてもよい。
次に、図11および図12を参照して、軸支持体60に組み付けられたねじりばね74と、軸支持体60に取り付けられた従動ローラー48およびローラー軸80について説明する。なお、図11は、図5に示す軸支持体60を走査方向Xの一方側(図5において右側)から見た図であり、図12は、図11におけるA−A線矢視断面を含む軸支持体60を搬送方向Yの下流側から見た図である。
図11および図12に示すように、従動ローラー48を支持するローラー軸80は、回動部材61において回動軸14に対して搬送方向Yの下流側に離れた位置に取り付けられる。そして、搬送方向Yにおいて互いに離れた位置にあるローラー軸80と回動軸14との間を電気的に接続するため、導電性を有するねじりばね74が回動部材61に組み込まれている。
すなわち、回動部材61に組み込まれたねじりばね74は、回動軸14が回動部材61の軸取付部64に挿入されることによって、その一端側74aが図11において実線で示す位置から二点鎖線で示す位置、すなわちねじりを戻す方向へ変位する。この結果、ねじりばね74の一端側74aが回動軸14を押すように当接した状態となり、他端側74bがローラー軸80を押すように当接した状態となる。このように、ねじりばね74は、回動軸14とローラー軸80とにそれぞれ押し付けられることによって、回動軸14とローラー軸80との間を電気的に接続する電気接続部材として備えられる。
次に、ローラー軸80と2つの従動ローラー48について説明する。
図12に示すように、2つの従動ローラー48(第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48)は、ローラー軸80が挿通される孔であって、ローラー軸80の軸線方向において、ローラー端部の内径D1よりもローラー中央部の内径D2の方が小さい貫通孔48Hを有している。
この貫通孔48Hにおいて、第1および第2の2つの従動ローラー48の少なくとも一方は、ローラー中央部が、ローラー軸80の側面と接触可能な接触面であってローラー軸80の側面との間に隙間を有する円筒面48sである。ちなみに、本実施形態では、第1および第2の従動ローラー48のいずれもローラー中央部が所定幅を有する円筒面48sとなっている。
2つの従動ローラー48は、それぞれの貫通孔48Hに対して、ローラー軸80のうちの軸中央部分80aの両側に位置する軸端側部分80bがそれぞれ挿入されることによって、ローラー軸80の軸線方向において間隔を有して取り付けられる。また、ローラー軸80は、その軸線方向における2つの従動ローラー48間で、軸中央部分80aが、軸支持体60の軸支持部90を構成する回動部材61の凹部91と蓋部材69とによって支持される。
詳しくは、1つのローラー軸80において軸支持体60の軸支持部90によって支持される軸部分である軸中央部分80aは、第1および第2の2つの従動ローラー48を回転可能に支持する軸部分である軸端側部分80bよりも太くなっている。このローラー軸80の太くなった軸中央部分80aは、その上方への移動が、閉蓋位置へ移動した蓋部材69によって抑制される。
すなわち、蓋部材69は、その下部において、回動部材61の凹部91に対峙する凸部69sが突設され、この突設された凸部69sと凹部91とによって、ローラー軸80は、その上下方向の移動が抑制される。したがって、本実施形態では、軸支持部90は、凹部91と蓋部材69の凸部69sとによって構成される。そして、本実施形態では、軸支持部90に支持されたローラー軸80は、少なくともその上下方向において凹部91および凸部69sとの間に隙間を有し、この隙間によって、1つのローラー軸80が軸支持部90を支点として上下方向に揺動可能に支持されている。
また、本実施形態では、回動部材61の凹部91は、ローラー軸80の側面と接触可能な面であってローラー軸80の側面との間に隙間を有する軸受面である。したがって、ここでは図示による説明は省略するが、1つのローラー軸80が軸支持部90を構成する軸受面との間の隙間によってこの軸受面を支点にして揺動しない場合においては、ローラー軸80の側面が軸受面と線接触または面接触する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
最初に、図13および図14を参照して、軸支持体60に取り付けられた従動ローラー48の作用について説明する。なお、図13、図14では、従動ローラー48、ローラー軸80、ローラー軸80の軸支持部90、駆動ローラー46および媒体Mについて、説明を解りやすくするため模式化されて図示されている。
図13の上側の図に示すように、従来の構造を有する従動ローラー58が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける場合、従来の従動ローラー58は、テーパー形状とされた貫通孔58Hによって従動ローラーの回転軸と駆動ローラーの回転軸とを平行に保つことはできる。しかしながら、ローラー軸80が軸支持部90において隙間なく支持されていると、ローラー軸80の軸線は駆動ローラー46の回転軸に対して傾いた状態が維持される。このため、一方の従動ローラー48のみが媒体Mを押し付ける状態となり、その押圧力は、図13の上側の図において白抜き矢印で示すように、複数の従動ローラー58全てが媒体Mを挟持するときの従動ローラー58の媒体に加わる押圧力よりも大きくなることが起こり得る。
これに対して、図13の中央の図に示すように、本実施形態の構成を有する従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける場合、貫通孔48Hに設けられた所定幅の円筒面48sとローラー軸80(軸端側部分80b)の側面との間の隙間によって、従動ローラー48の回転軸と駆動ローラー46の回転軸とが平行に保たれる。また、ローラー軸80の側面が回動部材61の凹部91と蓋部材69の凸部69sとの間に隙間を有して支持されているので、ローラー軸80は、従動ローラー48が駆動ローラー46に媒体Mを押し付ける押し付け方向に沿って軸支持部90を支点に揺動して、駆動ローラー46の回転軸に対してその軸線が平行な状態になる。このため、複数の従動ローラー48が媒体Mを押し付ける状態となり、その押圧力は、図13の中央の図において白抜き矢印で示すように、各従動ローラー48において略同じ均一な大きさとなる。
また、従動ローラー48の回転軸とローラー軸80の軸線とが平行となっている場合においては、従動ローラー48の円筒面48sがローラー軸80の側面と線接触または面接触することになり、従動ローラー48は安定してローラー軸80に支持されつつ回転する。
さらに、図13の下側の図に示すように、駆動ローラー46に反りが発生している場合、本実施形態の構成を有する従動ローラー48は、貫通孔48Hに設けられた所定幅の円筒面48sとローラー軸80(軸端側部分80b)の側面との間の隙間によって、従動ローラー48の回転軸が駆動ローラー46の回転軸と平行になるように傾く。このため、複数の従動ローラー48が媒体Mを均等に押し付ける状態となり、その押圧力は、図13の下側の図において白抜き矢印で示すように、各従動ローラー48において略同じ均一な大きさとなる。
また、本実施形態では、1つのローラー軸80において、2つの従動ローラー48が媒体Mを押し付ける際に生ずる押圧力の反力によって、その揺動の支点となる軸支持部90に支持されたローラー軸80の軸中央部分80aに曲げ力が加わることになる。このとき、ローラー軸80はその軸中央部分80aが太くされているため、反力による曲げ力に伴う変形が抑制される。あるいは、ここでは図示による説明を省略するが、曲げ力に伴ってローラー軸80が反っても、従動ローラー48は、貫通孔48Hに設けられた所定幅の円筒面48sとローラー軸80(軸端側部分80b)の側面との間の隙間によって、従動ローラー48の回転軸が駆動ローラー46の回転軸と平行になった状態が維持される。
次に、図14の上側の図に示すように、媒体Mの端部において、従来の構造を有する2つの従動ローラー58のうち一方のみが媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける場合、従来の従動ローラー58は、テーパー形状とされた貫通孔58Hによって従動ローラーの回転軸と駆動ローラーの回転軸とを平行に保つことはできる。しかしながら、ローラー軸80が軸支持部90において隙間なく支持されていると、ローラー軸80の軸線は駆動ローラー46の回転軸に対して傾くことなく例えば平行となった状態が維持される。このため、一方の従動ローラー58(図14では右側の従動ローラー58)のみが媒体Mを押し付ける状態となり、その押圧力は、図14の上側の図において白抜き矢印で示すように、複数の従動ローラー58の全てが媒体Mを挟持するときの従動ローラー58の媒体Mに加わる押圧力よりも大きくなることが起こり得る。
これに対して、図14の下側の図に示すように、本実施形態の構成を有する図面右側の第1の従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける場合、ローラー軸80(軸中央部分80a)の側面が軸支持部90において隙間を有して支持されている。このため、図面左側の第2の従動ローラー48が駆動ローラー46に媒体Mを押し付ける押し付け方向に沿って軸支持部90を支点に揺動して、駆動ローラー46に接触するように、ローラー軸80の軸線が駆動ローラー46の回転軸に対して傾いた状態になる。この状態において、貫通孔48Hに設けられた所定幅の円筒面48sとローラー軸80(軸端側部分80b)の側面との間の隙間によって、第1および第2の2つの従動ローラー48のそれぞれの回転軸と駆動ローラー46の回転軸とが平行に保たれる。この結果、第1の従動ローラー48が媒体Mを押し付け、第2の従動ローラー48が駆動ローラー46を押し付ける状態となり、それぞれの押圧力は、図14の下側の図に白抜き矢印で示すように、各従動ローラー48において略同じ均一な大きさとなる。すなわち、第1の従動ローラーのみが媒体Mを押し付ける押圧力は、第1と第2の2つの従動ローラー48の双方が媒体Mを押し付ける場合の押圧力と同じ大きさとなる。
また、本実施形態の軸支持体60の作用として、従動ローラー48の取り外し構造によって、従動ローラー48を軸支持体60から取り外すことが可能である。
また、本実施形態の軸支持体60の作用として、従動ローラー48は、導電性を有する部材(例えば導電性ポリテトラフルオロエチレン)で形成され、その材料の導電性によって、従動ローラー48に電荷が帯電することを抑制する。
また、本実施形態の軸支持体60の作用として、回動部材61に着脱可能に備えられたカバー68は、非導電性の樹脂材料(例えばアラミド繊維)で形成され、例えば、その樹脂材料の帯電率に応じた帯電状態(例えばプラス帯電やマイナス帯電)となることによって、帯電したインクミストがカバー68に近づかない状態になる。これにより、媒体Mへのインクミストの付着を抑制する。
あるいは、本実施形態における軸支持体60の作用として、回動軸14とローラー軸80との間を電気的に接続する電気接続部材として備えられるねじりばね74によって、従動ローラー48側に帯電した静電気を回動軸14側に逃がす。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ローラー軸80を軸支持体60から取り外すことによって従動ローラー48を交換することが可能であるとともに、1つの部材である軸支持体60に直接ローラー軸80が支持されることによって、媒体Mを均一な押圧力で搬送する従動ローラー48を備えることができる。また、ローラー軸80を軸支持体60から取り外すことによって従動ローラー48を清掃することができる。
(2)開口92を介して、ローラー軸80を凹部91へ挿入したり凹部91から抜出したりすることによって、容易に、従動ローラー48を軸支持体60から取り外したり軸支持体60に取り付けたりすることができる。
(3)凹部91に挿入されたローラー軸80を、蓋部材69のスライド移動によって開口92を開閉することにより、軸支持体60から取り外したり軸支持体60に取り付けたりすることによって従動ローラー48を容易に交換することができる。
(4)従動ローラー48に電荷が帯電することを抑制することができるので、例えば、媒体Mにインクミストが付着して媒体Mが汚れることを抑制することができる。
(5)従動ローラー48に帯電した電荷をローラー軸80から電気接続部材の一例であるねじりばね74を介して軸支持体60に設けられた回転軸の一例である回動軸14に移動させることができるので、従動ローラー48の帯電を高い確率で抑制することができる。
(6)回動部材61に取り付けられたカバー68によって従動ローラー48のローラー外周面48aへのインク(ミスト)の付着を抑制することができるとともに、カバー68を回動部材61から取り外すことによって、従動ローラー48を交換することができる。
(7)1つのローラー軸80において、例えば第1の従動ローラー48のみが媒体Mを押し付ける場合、そのローラー軸80が揺動することによって、第1の従動ローラー48の媒体Mに対する押圧力を第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48の双方が媒体Mを押し付ける押圧力に抑制する。この結果、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48によって媒体Mを均一な押圧力で搬送することができる。
(8)1つのローラー軸80は、軸支持部90を構成する軸受面との間の隙間によってこの軸受面を支点にして揺動可能となるとともに、揺動しない場合においては、ローラー軸80の側面が軸受面と線接触または面接触することによって安定して軸支持体60に支持される。
(9)第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48は、貫通孔48Hのローラー中央部の円筒面48sを支点にして揺動可能となるとともに、揺動しない場合においては、その円筒面48sがローラー軸80の側面と線接触または面接触することによって安定してローラー軸80に支持される。
(10)1つのローラー軸80に対して、第1の従動ローラー48と第2の従動ローラー48とが媒体Mを押し付ける際に生ずる押圧力の反力によって、その揺動の支点に曲げ力が加わる場合、揺動の支点において太くされたローラー軸80は、曲げ力による変形が抑制される。
(11)1つのローラー軸80を、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける押し付け方向に沿って揺動させるので、そのローラー軸80が揺動することによって、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48が媒体Mを押し付ける押圧力を適切に抑制することができる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、上記実施形態と各変更例とは、任意に組み合わせることができる。
・上記実施形態において、軸支持体60の軸支持部90は、凹部91と凸部69s以外の構成であってもよい。例えば、軸支持部90は、ローラー軸80の軸線方向と交差する方向のうち上方向以外の例えば水平方向や下方向に開口を有する凹部91であってもよい。あるいは、軸支持部90は、ローラー軸80の軸線方向と交差する方向からローラー軸80を挿入可能な開口92を有する凹部91以外を備えてもよい。例えば、ここでは図示を省略するが、回動部材61に設けられる軸支持部90は、ローラー軸80の軸線方向からローラー軸を挿入可能な走査方向Xに貫通する貫通孔であってもよい。
・上記実施形態において、軸支持体60には、凹部91の開口92を覆う閉蓋位置と覆わない開蓋位置との間をスライド移動可能な蓋部材69が備えられなくてもよい。例えば、上記実施形態の軸支持部90が、開口92が媒体Mに対向するように下方に向く凹部91である場合、ローラー軸80は従動ローラー48の媒体Mの押圧力の反力で凹部91内に維持されるので、必ずしも蓋部材69は必要ではない。
また、凹部91の開口92が弾性変形によってその開口寸法が変化(増加)可能である場合、開口92の寸法をローラー軸80の軸径よりも小さい寸法としてもよい。こうすることによって、ローラー軸80は、開口92を広げて凹部91に押し込まれるとともに、開口92が元の寸法に戻ることによって凹部91内に維持されるので、この場合は、必ずしも蓋部材69は必要ではない。このように蓋部材69が備えられない場合、軸支持部90は、凹部91によって構成される。
・上記実施形態において、従動ローラー48は、導電性を有する部材で形成されていなくてもよい。例えば従動ローラー48は導電性を有さない樹脂材料(例えばウレタン)などで形成されてもよい。
・上記実施形態において、軸支持体60には、従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける方向へ軸支持体60が回転する際の回転中心となる回動軸14が設けられなくてもよい。例えば、軸支持体60は上下方向にスライド移動する構成であってもよい。この場合、電気接続部材としてのねじりばね74はローラー軸80と軸支持体60との間を電気的に接続するようにしてもよい。あるいは、軸支持体60には、ねじりばね74が組み込まれていない構成であってもよい。
・上記実施形態において、軸支持体60がその自重で移動する構成である場合は、軸支持体60(回動部材61)は付勢部材の一例であるばね73で付勢されなくても移動するので、ばね73は不要である。
・上記実施形態において、軸支持体60には、従動ローラー48のローラー外周面48aの少なくとも一部を覆うカバー68が、軸支持体60に対して着脱可能に備えられなくてもよい。例えば、回動部材61に設けられる軸支持部90に対して、ローラー軸80の軸線方向からローラー軸80を挿入する構成の場合、カバー68を取り外すことなくローラー軸80を軸支持部90から抜いて取り出すことができるので、カバー68は軸支持体60に対して着脱できなくても差し支えない。あるいは、例えばローラー外周面48aがインクミストなどで汚れる確率が低い場合、カバー68は軸支持体60に備えられなくてもよい。
・上記実施形態において、軸支持体60の軸支持部90は、ローラー軸80の側面と接触可能な面であってローラー軸80の側面との間に隙間を有する軸受面でなくてもよい。例えば、軸支持体60の軸支持部90は面ではなく複数の頂角を有するリブによって形成されていてもよい。
・上記実施形態において、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48の少なくとも一方は、ローラー中央部が、ローラー軸80の側面と接触可能な面であってローラー軸80の側面との間に隙間を有する円筒面48sでなくてもよい。例えば、ローラー中央部は面ではなく頂角を有するリブとされていてもよい。
・上記実施形態においては、1つのローラー軸80において、軸支持体60の軸支持部90によって支持される軸部分は、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48を回転可能に支持する軸部分よりも太くなくてもよい。例えば、全体に同じ太さのローラー軸80であってもよい。
・上記実施形態において、軸支持体60は、第1の従動ローラー48および第2の従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける押し付け方向に沿って、1つのローラー軸80の両軸端部を移動可能に案内する一対の縦溝61c(案内溝)を有さなくてもよい。例えば、ここでは図示による説明を省略するが、凹部91とローラー軸80との間の隙間が、従動ローラー48が媒体Mを駆動ローラー46に押し付ける押し付け方向となる上下方向に設けられ、搬送方向Yには設けられない構成である場合は、ローラー軸80は搬送方向Yに沿う移動が抑制される。したがって、この場合は、ローラー軸80の搬送方向Yへの移動に伴う駆動ローラー46の回転軸に対する傾きが抑制されるので、1つのローラー軸80の両軸端部のうちいずれか一方の軸端部80cを移動可能に案内するように、1つの縦溝61c(案内溝)を有する構成でもよい。あるいは、軸支持体60は縦溝61cを有さない構成であってもよい。
・上記実施形態において、従動ローラー48のローラー外周面48aを覆うカバー68は導電性を有する材料(導電性樹脂材料や金属材料)で形成されてもよい。この場合は、帯電したインクミストは、カバー68に付着し、従動ローラー48や媒体Mに到達してそれらに付着することが抑制される。
・上記実施形態において、1つのローラー軸80に3つ以上の複数の従動ローラー48が回転可能に支持されてもよい。この場合、そのうちの2つの従動ローラー48が本実施形態の第1の従動ローラー48と第2の従動ローラー48に相当する。
・上記実施形態において、印刷装置11は、給送部20が媒体Mを巻き取る保持部22を備えず、ロール体を形成しない単票の媒体Mを印刷部50に給送するようにしてもよい。
・上記実施形態において、印刷部50がキャリッジ52を備えず、媒体Mの幅全体と対応した長尺状の固定された印刷ヘッドを備える、いわゆるフルラインタイプの印刷装置に変更してもよい。この場合の印刷ヘッドは、ノズルが形成された複数の単位ヘッド部を並列配置することによって印刷範囲が媒体Mの幅全体に亘るようにしてもよいし、単一の長尺ヘッドに媒体Mの幅全体に亘るように多数のノズルを配置することによって、印刷範囲が媒体Mの幅全体に亘るようにしてもよい。
・上記実施形態において、印刷に用いられる記録材は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含むもの)であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出して記録を行う構成にしてもよい。
・上記実施形態において、印刷装置11は、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体(粉粒体)を例とする固体を吐出する粉粒体吐出装置(例えばトナージェット式記録装置)であってもよい。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体、粉粒体(粒体、粉体を含む)などが含まれる。
・上記実施形態において、印刷装置11は、インクなどの流体を吐出することで記録を行うプリンターに限らず、例えばレーザープリンター、LEDプリンター、熱転写プリンター(昇華型プリンターを含む)などのノンインパクトプリンターでもよいし、ドットインパクトプリンターなどのインパクトプリンターでもよい。
・上記実施形態において、媒体Mは用紙に限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛であってもよい。