JP2017060484A - 肺癌を分類するための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肺癌の同定、分類及び診断のために使用する核酸配列の提供。【解決手段】肺癌の特定のサブタイプを識別するための方法であって、対象から生物学的試料を得るステップと、前記試料中の、特定の型の肺癌と関係があるマイクロRNA分子、及びそれに関連又は由来する種々の核酸分子、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列の発現プロファイルを決定するステップと、前記発現プロファイルを基準発現プロファイルと比較するステップと、を含み、前記発現プロファイルの前記基準発現プロファイルとの比較が、前記肺癌を指し示す方法。前記肺癌が扁平上皮細胞癌、非扁平上皮性小細胞癌(NSCLC)、カルチノイド肺癌及び小細胞から選択される、方法。【選択図】なし

Description

本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2011年3月28日出願の米国仮特許出願第61/468,077号に対する米国特許法第119条(e)による優先権を請求している。
本発明は、一般に、特定の型の肺癌と関係があるマイクロRNA分子、及びそれに関連又は由来する種々の核酸分子に関する。
近年、マイクロRNA(miR)が、多様な生物学的過程に対して重大な影響を有する、重要な新規のクラスの制御RNAとして出現している。
これらの小型(典型的には、18〜24ヌクレオチド長)の非コードのRNA分子は、タンパク質の発現パターンを、RNAの分解を促進することによって、mRNAの翻訳を阻害することによって、及びまた遺伝子の転写に影響を及ぼすことによっても調節することができる。miRは、発生及び分化、細胞増殖のコントロール、ストレス応答、並びに代謝等の様々な過程において中枢の役割を担う。多くのmiRの発現が、多数の型のヒトの癌において変化することが見出され、いくつかの場合においては、強力な証拠が、そのような変化が腫瘍の進行における原因として働き得るという推測の裏付けとして提案されている。現在のところ、約1,220個のヒトmiRが知られている。
癌の分類は、典型的には、組織診断、細胞遺伝学、免疫組織化学、及び既知の生物学的挙動に基づいた腫瘍のグループ化を利用している。次いで、癌の段階を考慮に入れた、腫瘍を分類するために使用する病理学的診断を使用して、予後及び直接的な療法を予測する。しかし、癌を分類し、段階付ける現在の方法は、完全には信頼できない。
肺癌が、全世界で、癌による死亡の最も一般的な原因の1つであり、非小細胞肺癌(NSCLC)が、それらの症例のうち80%近くを占める。肺癌の発症及び進行と関係がある多くの遺伝子の変化が報告されているが、正確な分子機構は依然として不明である。
肺腫瘍の分類が、診断における課題となっており、治療の選択肢の選択を決定する、腫瘍を細分類するための標準化された技法がない。さらに、症例の約20%においては、手術前の検体に対して、下位分類を行うこともできない。
正しい診断を行うこと、具体的には、原発性肺癌、すなわち、扁平上皮細胞癌、非扁平上皮性NSCLC、カルチノイドと小細胞癌を識別することには、療法を選択するための実用上の重要性がある。現在のところ、肺癌の正確な下位分類を行うための客観的な標準化された試験はない。したがって、特定の肺癌を識別するための信頼できる方法が依然として求められている。
本発明は、肺癌の種々のサブタイプの同定、分類及び診断において使用するための特異的な核酸配列を提供する。本発明により、肺癌を、それらのmiR発現プロファイルに基づいて正確に分類することが、さらなる操作を行うことなく可能になる。
原発性肺癌の200個を上回るホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)摘出物試料、穿刺吸引(FNA)試料及び細針生検(FNB)試料から生成したマイクロRNAのマイクロアレイのデータを使用して、肺癌の種々のサブタイプについて有意に異なるマイクロRNA発現プロファイルを同定した。これらの知見に基づいて、原発性肺癌を、4つの型、すなわち、扁平上皮細胞癌、非扁平上皮性NSCLC、カルチノイド及び小細胞癌に差別化する、マイクロRNAに基づいたqRT−PCRアッセイを開発した。このアッセイは、摘出検体、小型の生検、FNA試料、及び細胞診から得られた細胞ブロックに対して使用することができる。
本発明は、肺癌の特定のサブタイプを識別するための方法をさらに提供し、この方法は、対象から生物学的試料を得るステップと;前記試料中の、配列番号1〜8からなる群から選択された核酸配列、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列の発現プロファイルを決定するステップと;前記発現プロファイルを基準発現プロファイルと比較するステップとを含み、前記発現プロファイルの前記基準発現プロファイルとの比較が、前記肺癌を指し示す。
いくつかの実施形態によれば、前記肺癌は、扁平上皮細胞癌、非扁平上皮性NSCLC、カルチノイド肺癌及び小細胞肺癌からなる群から選択される。
一実施形態によれば、前記核酸配列は、配列番号3、7、8、それらの断片、及びそれらに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、カルチノイド肺癌を指し示す。
別の実施形態によれば、前記核酸配列は、配列番号1、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、小細胞肺癌(SCLC)を指し示す。
一実施形態によれば、前記核酸配列は、配列番号2、5、6、それらの断片、及びそれらに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)を指し示す。
別の実施形態によれば、前記核酸配列は、配列番号4、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、扁平上皮細胞癌を指し示す。
特定の実施形態では、対象はヒトである。
特定の実施形態では、この方法を使用して、対象の治療コースを決定する。
いくつかの実施形態によれば、本発明の分類方法は、分類子アルゴリズムをさらに含み、前記分類子アルゴリズムは、K最近傍分類子(KNN)、ロジスティック回帰分類子、線形回帰分類子、最近傍分類子、ニューラルネットワーク分類子、ガウス混合モデル(GMM)分類子、及びサポートベクターマシン(SVM)分類子からなる群から選択される。分類子は、決定木構造(二分木を含む)又は投票(重み付き投票を含む)スキームを使用して、1つ又は複数のモデルを比較することができ、こうした分類子により、1つ又は複数のクラスを、その他のクラスと比較する。
いくつかの実施形態によれば、前記生物学的試料は、体液、細胞系及び組織試料からなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、前記組織は、新鮮組織、凍結組織、固定組織、ロウ包埋組織又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織である。一実施形態によれば、組織試料は、肺試料である。
いくつかの実施形態によれば、当該方法は、少なくとも2つの核酸配列の発現レベルを決定するステップを含む。いくつかの実施形態によれば、当該方法は、1つ又は複数の発現比を組み合わせるステップをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、発現レベルを、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、及びそれらの組合せからなる群から選択された方法によって決定する。いくつかの実施形態によれば、核酸ハイブリダイゼーションを、固相核酸バイオチップアレイを使用して実施する。特定の実施形態によれば、核酸ハイブリダイゼーションを、in situハイブリダイゼーションを使用して実施する。
その他の実施形態によれば、核酸増幅の方法は、リアルタイムPCR(RT−PCR)である。1つの実施形態によれば、前記リアルタイムPCRは、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)である。
いくつかの実施形態によれば、RT−PCRの方法は、順方向プライマー及び逆方向プライマーを含む。その他の実施形態によれば、順方向プライマーは、配列番号9〜16のうちのいずれか1つ、及びそれに対して少なくとも約80%同一の配列からなる群から選択された配列を含む。いくつかの実施形態によれば、リアルタイムPCRの方法は、プローブを用いるハイブリダイゼーションをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、プローブは、配列番号1〜8からなる群から選択された配列に相補的である核酸配列を含む。
その他の実施形態によれば、プローブは、配列番号17〜24、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%同一の配列からなる群から選択された配列を含む。
本発明は、肺癌を分類するためのキットをさらに提供し、前記キットは、配列番号1〜8、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択された配列に相補的である核酸配列を含むプローブを含む。その他の実施形態によれば、プローブは、配列番号17〜24からなる群から選択された核酸配列、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列を含む。
その他の実施形態によれば、キットは、配列番号9〜16、及びそれらに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択された配列を含む順方向プライマーをさらに含む。
本発明のこれら及びその他の実施形態が、以下の図、説明及び特許請求の範囲を併せると明らかになるであろう。
患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−106a(配列番号1)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−106a(配列番号1)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−125a−5p(配列番号2)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−125a−5p(配列番号2)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−129−3p(配列番号3)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−129−3p(配列番号3)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−205(配列番号4)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−205(配列番号4)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−21(配列番号5)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−21(配列番号5)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−29b(配列番号6)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−29b(配列番号6)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−375(配列番号7)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−375(配列番号7)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−7(配列番号8)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られた腫瘍試料(A−FFPE+FNA+FNB、B−FNA)中のhsa−miR−7(配列番号8)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 分類結果を示す混同行列である。各試料を、全てのその他の試料を使用して分類した。Y軸に、病理学的検討により決定した場合の試料のクラスを示す(「実際のクラス」):1:小細胞肺癌、2:カルチノイド肺癌、3:非扁平上皮性NSCLC、4:扁平上皮細胞癌。X軸に、結果として生じた分類を示す。分類−「実際のクラス」の対それぞれについて、試料の数を示す。数が記入されていない、行列中の項目は、対応するクラスに属する試料が、対応する分類を与えられなかったことを示す。全体的な精度は、91.7%であった。感度は、小細胞肺癌については87%であり、カルチノイド肺癌については100%であり、扁平上皮細胞癌については96%であり、非扁平上皮性NSCLCについては87%であった。FNA試料についての感度は、小細胞肺癌については87%であり、扁平上皮細胞癌については97%であり、非扁平上皮性NSCLCについては76%であった。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106a(配列番号1)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106aに類似する配列:hsa−miR−17(配列番号38)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106aに類似する配列:hsa−miR−20a(配列番号39)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106aに類似する配列:hsa−miR−93(配列番号40)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106aに類似する配列:hsa−miR−18a(配列番号41)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−106aに類似する配列:hsa−miR−18b(配列番号42)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−29b(配列番号6)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。 患者から得られたFFPE腫瘍試料中のhsa−miR−29bに類似する配列:hsa−miR−29c(配列番号48)の発現の分布を比較して示すボックスプロットである。I:カルチノイド肺癌、II:小細胞肺癌、III:非扁平上皮性NSCLC、IV:扁平上皮細胞癌。結果は、リアルタイムPCRに基づき、より高い、正規化したシグナルは、試料中に存在するmiRのより高い発現を示す。ボックス中の線により、中央値を示す。ボックスの上部及び下部の境界により、25パーセンタイル及び75パーセンタイルを示す。水平線、及び十字(上部又は下部のボックスの境界からの距離が、ボックスの高さの1.5倍超である異常値)により、この群におけるシグナルの完全な範囲を示す。
本発明は、特異的な核酸配列(配列番号1〜8)及びそれらに関連する核酸分子を、特定の肺癌の同定、分類及び診断のために使用することができるという発見に一部基づく。
本発明は、肺癌の種々のサブタイプを識別するために使用することができる高感度で、特異的且つ正確な方法を提供する。
本発明の方法は、高い感度及び特異性を有する。特定の肺癌を識別することが可能になれば、最良で且つ最適な治療の患者への提供が促進されることになる。
本発明は、本発明の特定のマイクロRNA分子のレベルを比較することによって、癌を、検出し、診断し、モニターし、段階付け、及び予後を示すための診断のためのアッセイ及び方法を提供し、これらは、定量的でもあり、定性的でもある。そのようなレベルは、正常なレベル及び異常なレベルの決定を含めて、好ましくは、生検、腫瘍試料、細胞、組織及び/又は体液のうちの少なくとも1つにおいて測定する。本発明は、特定の癌の存在を、生検、腫瘍試料、細胞、組織又は体液中の、前記マイクロRNA分子のレベルの変化を解析することによって診断するための方法を提供する。
本発明において、生検、腫瘍試料、細胞、組織又は体液中の、前記マイクロRNAのレベルの存在を決定することは、肺癌の異なる型を識別するのに特に有用である。
場合により、本発明の全ての方法が、その他の癌マーカーのレベルの測定を含んでもよい。前記マイクロRNA分子に加えて本発明に有用なその他の癌マーカーは、試験しようとする癌に依存し、それらは当業者に公知である。
患者に由来する試料中の、遺伝子発現、例として、本発明の核酸配列のレベルを決定するために使用することができるアッセイの技法は、当業者に周知である。そのようなアッセイの方法として、非限定的に、ラジオイムノアッセイ、逆転写酵素PCR(RT−PCR)アッセイ、免疫組織化学アッセイ、in situハイブリダイゼーションアッセイ、競合的結合アッセイ、ノーザンブロット解析、ELISAアッセイ及びバイオチップ解析が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、相関性及び/又は階層的クラスター分析を使用して、特定の試料と異なる模範型の癌試料との間の本発明の核酸配列の発現レベルの類似性を、恣意的な閾値を設定して、試料又は癌試料を2つの群のうちの1つに帰属させることによって評価することができる。或いは帰属のための閾値を、パラメータとして扱い、これを使用して、試料をそれぞれのクラスに帰属させる信頼性を定量化することもできる。帰属のための閾値を、臨床シナリオに応じて、感度又は特異性に有利に働くように調整することができる。基準データに対する相関値から、調整することができる連続的なスコアを生成することができる。
定義
本組成物及び方法を開示及び説明する前に、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、制限するものではないことを理解されたい。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数の形態である「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうではないことが明確に分かる場合以外は、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。
本明細書において数の範囲を列挙する場合、それらの間に介在する数のそれぞれが、同一の程度の細密さで明確に意図される。例えば、6〜9の範囲の場合、7及び8の数も、6及び9に加えて意図され、6.0〜7.0の範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0の数が、明確に意図される。
異常な増殖
本明細書で使用する場合、「異常な増殖」という用語は、正常な、適切な又は予想される経過から逸脱する細胞の増殖を意味する。例えば、異常な細胞の増殖として、DNA又はその他の細胞構成成分が損傷又は欠損している細胞の不適切な増殖を挙げることができる。異常な細胞の増殖として、その特徴が、不適切に高いレベルの細胞分裂、不適切に低いレベルのアポトーシス若しくは両方が引き起した、それらが媒介した、又はそれらに至る徴候と関係がある細胞の増殖を挙げることができる。そのような徴候は、例えば、癌性であっても若しくは非癌性であっても、又は良性であっても若しくは悪性であっても、単一若しくは複数の局所的な、細胞、細胞群又は組織(単数又は複数)の異常増殖によって特徴付けることができる。

本明細書で使用する場合、「約」という用語は、+/−10%を指す。
アンチセンス
本明細書で使用する場合、「アンチセンス」という用語は、特異的なDNA配列又はRNA配列に対して相補的であるヌクレオチド配列を指す。「アンチセンス鎖」という用語は、「センス」鎖に対して相補的である核酸鎖に関して使用する。アンチセンス分子は、対象とする遺伝子(単数又は複数)を、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターに、逆方向に連結させることによる合成をはじめとする、任意の方法によって生成することができる。細胞内に導入されたら、こうして転写された鎖は、細胞が生成した天然の配列と組み合わさって、二重鎖を形成する。次いで、これらの二重鎖は、その後の転写又は翻訳のいずれかを遮断する。この様式で、変異した表現型を生成することができる。
付着した
本明細書で使用する場合、「付着した」又は「固定化した」は、プローブ及び固体の支持体を指し、プローブと固体の支持体との間の結合が、結合、洗浄、解析及び除去の条件下で十分に安定であることを意味することができる。結合は、共有結合であっても、又は非共有結合であってもよい。共有結合は、プローブと固体の支持体との間に直接形成させてもよく、そうでなければクロスリンカーによって、或いは固体の支持体若しくはプローブのいずれか、又は両方の上の特異的な反応性の基の内包によって形成させてもよい。非共有結合は、静電気的相互作用、親水性相互作用及び疎水性相互作用のうちの1つ又は複数であってよい。ストレプトアビジン等の分子を支持体に共有結合により付着させ、且つビオチン標識したプローブをストレプトアビジンに非共有結合により結合させることは、非共有結合として挙げられる。固定化にはまた、共有結合による相互作用と非共有結合による相互作用との組合せが関与する場合もある。
生物学的試料
本明細書で使用する場合、「生物学的試料」は、核酸を含む生物学的な組織又は流体の試料を意味する。そのような試料として、これらに限定されないが、対象から単離した組織又は流体が挙げられる。生物学的試料としてまた、生検試料及び剖検試料等の組織切片、FFPE試料、組織学的な目的で得た凍結切片、血液、血漿、血清、痰、便、涙液、粘液、毛髪、及び皮膚も挙げられる。生物学的試料はまた、動物又は患者の組織に由来する外植片並びに初代細胞及び/又は形質転換細胞の培養物も包含する。
生物学的試料はまた、血液、血液画分、尿、浸出液、腹水、唾液、脳脊髄液、子宮頚部の分泌物、膣の分泌物、子宮内膜の分泌、消化管の分泌物、気管支の分泌、痰、細胞系、組織試料、穿刺吸引(FNA)の細胞内容物、又は乳房からの分泌物であってもよい。生物学的試料は、動物から細胞試料を取り出すことによって提供することができるが、また、以前に単離した(例えば、別のヒトによって、別の時期に、及び/若しくは別の目的で単離した)細胞を使用することによって、又は本明細書に記載する方法をin vivoにおいて実施することによっても達成することができる。また、治療又は予後の履歴を有する組織等の記録保管されている組織も使用することができる。

「癌」という用語は、組織病理的な型又は侵襲性の段階に関わりなく、全ての型の癌性の増殖若しくは癌化の過程、転移組織、又は悪性に形質転換した細胞、組織若しくは臓器を包含することを意味する。癌の例として、これらに限定されないが、アプドーマ、分離腫、鰓腫、悪性カルチノイド症候群、カルチノイド心疾患、癌腫(例えば、Walker、基底細胞、基底扁平、Brown−Pearce、管、Ehrlich腫瘍、神経内分泌肺癌、(例えば、小細胞肺癌(SCLC)、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)、定型カルチノイド(TC)神経内分泌腫瘍、及び非定型カルチノイド(AC)神経内分泌腫瘍)、非小細胞肺(例えば、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌及び肺未分化大細胞癌)、燕麦細胞、乳頭、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞及び移行細胞)、組織球性障害、白血病(例えば、B細胞、混合細胞型、ヌル細胞、T細胞、T細胞慢性、HTLV−II関連、リンパ球性急性、リンパ球性慢性、肥満細胞及び骨髄性)、悪性組織球増殖症、ホジキン病、免疫増殖性小、非ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、細網内皮症、メラノーマ、軟骨芽細胞腫、軟骨腫、軟骨肉腫、線維腫、線維肉腫、巨細胞腫、組織球腫、脂肪腫、脂肪肉腫、中皮腫、粘液腫、粘液肉腫、骨腫、骨肉腫、Ewing肉腫、骨膜腫、腺線維腫、腺リンパ腫、癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫、間葉細胞腫、中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント質腫、歯牙腫、奇形腫、胸腺腫、絨毛性腫瘍、腺癌、腺腫、胆管腫、胆脂腫、円柱腫、嚢胞腺癌、嚢胞腺腫、顆粒膜細胞腫、半陰陽性卵巣腫瘍、肝細胞腫、汗腺腫、膵島細胞腫瘍、Leydig細胞腫、乳頭腫、Sertoli細胞腫、莢膜細胞腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、筋芽細胞腫、筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、神経節腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経鞘腫、神経芽腫、神経上皮腫、神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、角化血管腫、好酸球増多を伴う血管リンパ組織過形成、硬化性血管腫、血管腫症、グロムス血管腫、血管内皮腫、血管腫、血管外皮腫、血管肉腫、リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、松果体腫、癌肉腫、軟骨肉腫、嚢胞肉腫、葉状、線維肉腫、血管肉腫、平滑筋肉腫、白血肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、筋肉腫、粘液肉腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、肉腫(例えば、Ewing、実験的、Kaposi及び肥満細胞)、神経線維腫症、及び子宮頚部異形成、並びに細胞が不死化又は形質転換されているその他の状態をはじめとする、固形腫瘍及び白血病が挙げられる。
分類
本明細書で使用する場合、「分類」は、個々の項目を、(形質、変数、特徴、特色等と呼ばれる)当該項目に固有の1つ又は複数の特徴についての定量的な情報に基づき、且つ統計学的なモデル及び/又は以前にラベルした項目のトレーニングセットに基づいて、群又はクラスに配置する手順及び/又はアルゴリズムを指す。1つの実施形態によれば、分類は、肺癌の型の決定を意味する。
相補体
本明細書で使用する場合、「相補体」又は「相補的な」は、ヌクレオチド間又は核酸分子のヌクレオチド類似体間でワトソン−クリック塩基対(例えば、A−T/U及びC−G)又はフーグスティーン塩基対を形成することを意味する。完全な相補体又は完全に相補的であるは、ヌクレオチド間又は核酸分子のヌクレオチド類似体間で100%相補的な塩基対を形成することを意味することができる。
Ct
Ctシグナルは、増幅が、蛍光の閾値(サイクル閾値)を越えるPCRの最初のサイクルを示す。したがって、Ctの低い値は、マイクロRNAの存在量又は発現レベルが高いことを示す。
いくつかの実施形態では、PCRのCtシグナルを正規化し、結果として、正規化したCtを、発現レベルの逆数に保つ。その他の実施形態では、PCRのCtシグナルを、正規化し、次いで、反転させることができ、結果として、正規化し、反転させたCtが低い場合は、マイクロRNAの存在量又は発現レベルが低いことを示す。
検出
「検出」は、試料中の構成成分の存在を検出することを意味する。検出はまた、構成成分が存在しないことを検出することも意味する。検出はまた、構成成分のレベルを、定量的又は定性的のいずれかで測定することも意味する。
示差的発現
「示差的発現」は、細胞及び組織の内部及びそれらの間の、時間的及び/又は細胞の遺伝子発現パターンにおける定性的又は定量的な差を意味する。したがって、例えば、正常組織と疾患組織とを比べて示差的に発現した遺伝子は、活性化又は不活性化をはじめとして、その発現が定性的に変化している場合がある。特定の状況下では、別の状況と比べて、遺伝子のスイッチが入る又は切れる場合があり、したがって、2つ以上の状況の比較が可能となる。定性的に制御される遺伝子は、ある状況又は細胞型の中では、標準的な技法によって検出可能であり得る、ある発現パターンを示す場合がある。いくつかの遺伝子は、1つの状況又は細胞型において発現するが、両方では発現しない場合がある。或いは発現の差は、調節される、上方制御されて転写物の量の増加に至る、又は下方制御されて転写物の量の減少に至る点で、定量的である場合もある。発現が異なる程度は、発現アレイ、定量的逆転写PCR、ノーザン解析、リアルタイムPCR、in situハイブリダイゼーション及びリボヌクレアーゼ保護等の標準的な特徴付けの技法によって定量化するのに十分に大きいことのみが必要である。
発現プロファイル
「発現プロファイル」という用語は、広義に使用して、ゲノムの発現プロファイル、例えば、マイクロRNAの発現プロファイルを含む。プロファイルを、核酸配列のレベルを決定するための任意の好都合な手段、例えば、マイクロRNAの定量的ハイブリダイゼーション、標識化マイクロRNA、マイクロRNA、cRNA等の増幅、定量的PCR、定量化のためのELISA等により生成することができ、プロファイルにより、2つの試料間の示差的な遺伝子発現の解析が可能になる。対象又は患者の腫瘍試料、例えば、細胞、又は組織等の細胞のコレクションをアッセイする。試料を、当技術分野で公知である任意の好都合な方法により収集する。目的の核酸配列は、上記に示した核酸配列を含めた、予測性であることが見出される核酸配列であり、発現プロファイルは、列挙した核酸配列の全てを含めて、2、5、10、20、25、50又は100個以上の核酸配列についての発現データを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、「発現プロファイル」という用語は、測定試料中の核酸配列の存在量又は発現を測定することを意味する。
発現比
本明細書で使用する場合、「発現比」は、2つ以上の核酸の相対的な発現レベルを指し、これは、生物学的試料中の対応する核酸の相対的な発現レベルを検出することによって決定する。
FDR
複数の統計学的検定を実施する場合、例えば、複数のデータフィーチャにおいて2つの群間のシグナルを比較する場合には、別の場合であれば、統計学的に有意であるとみなされるレベルに達し得る、群間のランダムな差により、擬陽性の結果を得る確率がより一層高まる。そのような誤発見の比率を制限するために、統計学的有意性を、差が、(両側t検定により)閾値未満のp値に達成したデータフィーチャについてのみ定義し、統計学的有意性は、実施する検定の数及びこれらの検定において得られるp値の分布に依存する。
断片
「断片」は、核酸又はポリペプチドの非完全長の部分を指すために、本明細書では使用する。したがって、断片自体もまた、それぞれ、核酸又はポリペプチドである。
遺伝子
本明細書で使用する場合、「遺伝子」は、転写及び/若しくは翻訳の制御配列、並びに/又はコード領域、並びに/又は非翻訳配列(例えば、イントロン、5’−及び3’−非翻訳配列)を含む、天然の遺伝子(例えば、ゲノムの遺伝子)であっても、又は合成の遺伝子であってもよい。遺伝子のコード領域は、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であっても、又はtRNA、rRNA、触媒RNA、siRNA、miRNA若しくはアンチセンスRNA等の機能性RNAであってもよい。遺伝子はまた、コード領域(例えば、エクソン及びmiRNA)に対応するmRNA又はcDNAであってもよく、これは、場合により、それらに連結している5’−又は3’−非翻訳配列を含む。遺伝子はまた、in vitroにおいて生成した増幅核酸分子であってもよく、これは、コード領域の全部若しくは一部及び/又はそれらに連結している5’−若しくは3’−非翻訳配列を含む。
溝結合剤/副溝結合剤(MGB)
「溝結合剤」及び/又は「副溝結合剤」は、互換的に使用することができ、二本鎖DNAの副溝に、典型的には配列特異的な様式ではまる小型分子を指す。副溝結合剤は、三日月様の形状をとり、したがって、しばしば水に置き換わって、二重らせんの副溝中にぴったりはまることができる、長く平坦な分子であってよい。副溝に結合する分子は、典型的には、フラン環、ベンゼン環又はピロール環等のねじれの自由を有する結合によって接続されている、いくつかの芳香環を含む。副溝結合剤は、ネトロプシン、ジスタマイシン、ベレニル(berenil)、ペンタミジン及びその他の芳香族ジアミジン等の抗生物質、Hoechst33258、SN6999、クロモマイシン及びミトラマイシン等のaureolicな抗腫瘍薬、CC−1065、ジヒドロシクロピロロインドールトリペプチド(DPI)、1,2−ジヒドロ−(3H)−ピロロ[3,2−e]インドール−7−カルボキシレート(CDPI)、さらにそれらの内容が参照によって本明細書に組み込まれているNucleic Acids in Chemistry and Biology,2d ed.、Blackburn及びGait編、Oxford University Press、1996並びにPCT出願公開第WO03/078450号に記載されているものをはじめとする、関連の化合物及び類似体であってよい。副溝結合剤は、プライマー、プローブ、ハイブリダイゼーションタグ相補体の構成成分、又はそれらの組合せであってよい。副溝結合剤は、それらが付着しているプライマー又はプローブのTを上昇させることができ、そのようなプライマー又はプローブがより高い温度で有効にハイブリダイズするのを可能にする。
宿主細胞
本明細書で使用する場合、「宿主細胞」は、天然に存在する細胞であっても、又はベクターを含有することができ、当該ベクターの複製を支援することができる形質転換細胞であってもよい。宿主細胞は、培養細胞、外植片、in vivoにおける細胞などであってよい。宿主細胞は、大腸菌(E.coli)等の原核細胞であっても、又は酵母、昆虫、両生類若しくは哺乳動物の細胞等、すなわちCHO及びHeLa等の真核細胞であってもよい。
同一性
本明細書で使用する場合、「同一である」又は「同一性」は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈においては、配列が、特定の領域にわたって同一である、特定のパーセントの残基を有することを意味する。パーセントは、2つの配列を最適に整列させ、特定の領域にわたって2つの配列を比較し、両方の配列中に同一の残基が存在する位置の数を決定してマッチした位置の数を求め、マッチした位置の数を特定の領域中の位置の全数で割り、結果に100をかけて、配列同一性のパーセントを求めることによって計算することができる。2つの配列が異なる長さであり又はアラインメントが1つ若しくは複数のずれた末端をもたらし、比較の特定の領域が単一の配列のみを包含する場合には、単一の配列の残基を、計算の分母には含めるが、分子には含めない。DNAとRNAとを比較する場合には、チミン(T)とウラシル(U)とを同等であるとみなしてよい。同一性は、手作業で又はBLAST若しくはBLAST2.0等のコンピュータ配列アルゴリズムを使用することによって実施することができる。
in situにおける検出
本明細書で使用する場合、「in situにおける検出」は、元々の部位における発現又は発現レベルの検出を意味し、元々の部位とは、生検等の組織試料中の部位を意味する。
K最近傍
「K最近傍」という句は、ある点を、その点とトレーニングデータセット中の点との間の距離を計算することによって分類する分類方法を指す。次いで、この方法では、点を、そのK最近傍のうちで最も一般的であるクラスに帰属させる(この場合、Kは整数である)。
標識
本明細書で使用する場合、「標識」は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段又はその他の物理学的手段によって検出可能な組成物を意味する。例えば、有用な標識として、32P、蛍光染料、高電子密度試薬、(例えば、ELISA中で一般的に使用されるような)酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、又は検出可能となすことができるハプテン及びその他の実体が挙げられる。標識は、核酸及びタンパク質中に任意の位置において組み込むことができる。
ロジスティック回帰
ロジスティック回帰は、一般化線形モデルと呼ばれる統計学的モデルのカテゴリーの一部である。ロジスティック回帰により、連続型変数、離散変数、二分変数又はこれらのうちのいずれかのミックスであり得る一連の変数から、個別の結末、例として、群の一員であることを予測することが可能になる。従属変数又は応答変数は、二分変数であり、例えば、癌の2つの可能な型のうちの1つである。ロジスティック回帰は、オッズ比、すなわち、第1の群(P)に属する確率の、第2の群(1−P)に属する確率に対する比の自然対数を、(対数空間中の)異なる発現レベルの線形の組合せ、及びその他の説明変数の線形の組合せとして具現化する。ロジスティック回帰のアウトプットを、Pが、0.5超又は50%超である場合には、症例又は試料が、第1の型に分類されると規定することによって、分類子として使用することができる。或いは計算した確率Pを、その他の状況では、変数、例として、1D閾値分類子又は2D閾値分類子として使用することもできる。
1D/2D閾値分類子
本明細書において使用する「1D/2D閾値分類子」は、症例、又は試料、例として、癌試料を、2つの可能な型、例として、癌の2つの型又は予後の2つの型(例えば、良好及び不良)のうちの1つに分類するためのアルゴリズムを意味することができる。1D閾値分類子については、決定は、1つの変数及び1つの所定の閾値に基づく。試料を、変数が閾値を上回る場合には、一方のクラスに帰属させ、変数が閾値未満である場合には、他方のクラスに帰属させる。2D閾値分類子は、2つの変数の値に基づいて、2つの型のうちの1つに分類するためのアルゴリズムである。スコアを、2つの変数の関数(通常、連続関数)として計算することができる。次いで、決定は、1D閾値分類子と同様に、スコアを所定の閾値と比較することによって達成される。
核酸
本明細書で使用する場合、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、共有結合によって一緒に連結されている少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の描写はまた、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸はまた、描写した一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くの変異体を、所与の核酸と同一の目的で使用することができる。したがって、核酸はまた、実質的に同一な核酸及びそれらの相補体も包含する。一本鎖は、厳密なハイブリダイゼーション条件下で標的配列とハイブリダイズすることができるプローブをもたらす。したがって、核酸はまた、厳密なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
核酸は、一本鎖若しくは二本鎖であってもよく、又は二本鎖配列及び一本鎖配列の両方の部分を含んでもよい。核酸は、DNA、すなわち、ゲノムDNA及びcDNAの両方であってもよく、RNAであってもよく、又はハイブリッドであってもよい。ハイブリッドにおいては、核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組合せ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンをはじめとする、塩基の組合せを含有することができる。核酸は、化学的な合成方法によって又は組換えの方法によって得ることができる。
核酸は、一般的には、リン酸ジエステル結合を含有するが、核酸として、少なくとも1つの異なる連結、例えば、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート又はO−メチルホスホロアミダイトの連結、並びにペプチド核酸の骨格及び連結を有する場合がある核酸類似体を挙げることができる。その他の類似体核酸として、参照によって組み込まれている米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号に記載されているものをはじめとする、正の骨格を有するもの;非イオン性の骨格を有するもの、及び非リボース骨格を有するものが挙げられる。1つ又は複数の天然には存在しないヌクレオチド又は改変されたヌクレオチドを含有する核酸もまた、核酸の1つの定義の範囲に包含される。改変されたヌクレオチド類似体は、例えば、核酸分子の5’−末端及び/又は3’−末端に位置することができる。ヌクレオチド類似体の代表的な例は、糖又は骨格が改変されたリボヌクレオチドから選択することができる。しかし、また、ヌクレオベース改変リボヌクレオチド、すなわち、天然に存在するヌクレオベースの代わりに天然には存在しないヌクレオベースを含有するリボヌクレオチド、具体的には、5位において改変されたウリジン又はシチジン、例えば、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ブロモウリジン;8位において改変されたアデノシン及びグアノシン、例えば、8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7−デアザアデノシン;O−及びN−アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6−メチルアデノシンも適切であることに留意しなければならない。2’−OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NR又はCNから選択された基によって置換することができ、但し、Rは、C〜Cのアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、ハロは、F、Cl、Br又はIである。改変されたヌクレオチドとしてまた、例えば、参照によって本明細書に組み込まれているKrutzfeldtら、Nature 438:685〜689(2005)及びSoutschekら、Nature 432:173〜178(2004)に記載されているヒドロキシプロリノール連結を介してコレステロールとコンジュゲートしたヌクレオチドも挙げることができる。リボース−リン酸骨格は、多様な理由で、例えば、そのような分子の生理環境における安定性及び半減期を向上させるために、細胞膜を介する拡散を増強させるために、又はバイオチップ上のプローブとして改変することができる。骨格の改変はまた、細胞のエンドサイトーシスの厳しい環境等における分解に対する抵抗性を増強させることもできる。骨格の改変はまた、肝臓等における肝細胞による核酸のクリアランスを低下させることもできる。天然に存在する核酸と類似体との混合物を作製してよく;或いは異なる核酸類似体の混合物、及び天然に存在する核酸と類似体との混合物を作製してもよい。
プローブ
本明細書で使用する場合、「プローブ」は、1つ又は複数の型の化学的な結合により、通常は相補的な塩基の対の形成、すなわち、通常は水素結合の形成により、相補的な配列の標的核酸に結合することができるオリゴヌクレオチドを意味する。プローブは、ハイブリダイゼーション条件の厳密度に依存して、プローブ配列に対する完全な相補性には欠ける標的配列に結合することができる。標的配列と本明細書に記載する一本鎖の核酸との間におけるハイブリダイゼーションを妨げる任意の数の塩基対のミスマッチがあってよい。しかし、変異の数が非常に多いので、最も低い厳密度のハイブリダイゼーション条件下であっても、ハイブリダイゼーションを起こすことができない場合には、当該配列は、相補的な標的配列とはならない。プローブは、一本鎖であっても、又は部分的に一本鎖であり且つ部分的に二本鎖であってもよい。プローブの鎖の状態は、標的配列の構造、組成及び特性によって決定付けられる。プローブは、ストレプトアビジン複合体が後に結合することができるビオチンを用いて等、直接的に標識しても、又は間接的に標識してもよい。
プロモーター
本明細書で使用する場合、「プロモーター」は、細胞中で、核酸の発現を、もたらす、活性化する、又は増強することができる合成又は天然に由来する分子を意味する。プロモーターは、1つ又は複数の特異的な転写制御配列を含んで、さらに、発現を増強し、且つ/又は空間的な発現及び/若しくは時間的な発現も変化させることができる。プロモーターはまた遠位のエンハンサーエレメント又はリプレッサーエレメントを含むこともでき、これらは、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置する場合がある。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫及び動物をはじめとする源に由来することができる。プロモーターは、遺伝子の構成成分の発現を、構成的に、或いは発現が生じる細胞、組織若しくは臓器に関して、又は発現が生じる発生段階に関して、又は生理的なストレス、病原体、金属イオン若しくは誘発剤等の外部刺激に応答して示差的に制御することができる。
プロモーターの代表的な例として、バクテリオファージT7のプロモーター、バクテリオファージT3のプロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター−プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV−LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
基準発現プロファイル
本明細書で使用する場合、「基準発現プロファイル」という用語は、アッセイの結果と比較した場合に、特定の結末に統計学的に相関する値を意味する。好ましい実施形態では、基準値を、マイクロRNAの発現を公知の臨床転帰と比較する、研究の統計学的解析から決定する。基準値は、閾値スコアの値又はカットオフスコアの値であり得る。典型的には、基準値は、ある閾値であり、この閾値を上回ると、一方の結末の可能性がより高くなり、この閾値を下回ると、他方の閾値の可能性がより高くなる。
選択可能なマーカー
本明細書で使用する場合、「選択可能なマーカー」は、宿主細胞上に表現型をもたらす任意の遺伝子を意味し、この場合、遺伝子構築物を用いてトランスフェクト又は形質転換する細胞の同定及び/又は選択を促進するために、当該遺伝子を発現させる。選択可能なマーカーの代表的な例として、アンピシリン耐性遺伝子(Amp)、テトラサイクリン耐性遺伝子(Tc)、細菌性カナマイシン耐性遺伝子(Kan)、ゼオシン(zeocin)耐性遺伝子、抗生物質オーレオバシジAに対する耐性をもたらすAURI−C遺伝子、ホスフィノトリシン耐性遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(nptII)、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ベータ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)−コード遺伝子、及びルシフェラーゼ遺伝子が挙げられる。
感度
本明細書において使用する「感度」は、二項分類検定が、どれほど良好に、状態を正しく同定する、例えば、どれほど頻繁に、癌を、2つの可能な型のうちの正しい型に正しく分類するかの統計学的尺度を意味することができる。クラスAについての感度は、何らかの絶対的な判断基準又は究極の判断基準により決定する場合に、検定により、クラス「A」中にある症例のうち、クラス「A」に属すると決定される症例の比率である。
特異性
本明細書において使用する「特異性」は、二項分類検定が、どれほど良好に、状態を正しく同定する、例えば、どれほど頻繁に、癌を、2つの可能な型のうちの正しい型に正しく分類するかの統計学的尺度を意味することができる。クラスAについての特異性は、何らかの絶対的な判断基準又は究極の判断基準により決定する場合に、検定により、クラス「A」中に「ない」症例のうち、クラス「A」に属さ「ない」と決定される症例の比率である。
厳密なハイブリダイゼーション条件
本明細書で使用する場合、「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複合体混合物等において、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)とハイブリダイズする条件を意味する。厳密な条件は、配列依存性であり、異なる状況においては異なる。厳密な条件を選択して、特異的な配列の、規定されたイオン強度、pHにおける融解温度(T)よりも約5〜10℃低い状態となすことができる。Tは、平衡状態において、標的に対して相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pH及び核酸濃度下の)温度であってよい(Tにおいて、標的配列が過剰に存在する場合、プローブの50%が平衡状態において利用されている)。
厳密な条件は、塩濃度が、pH7.0から8.3において、約0.01〜1.0Mナトリウムイオン等、約1.0M未満のナトリウム(又はその他の塩の)イオンの濃度であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10〜50個のヌクレオチド)の場合には少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、約50個超のヌクレオチド)の場合には少なくとも約60℃である条件であってよい。厳密な条件はまた、ホルムアミド等の不安定化剤を添加して達成することもできる。選択的又は特異的なハイブリダイゼーションのためには、正のシグナルが、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2から10倍であってよい。例示的な厳密なハイブリダイゼーション条件として、以下のものが挙げられる:50%ホルムアミド、5×SSC及び1%SDS、42℃でインキュベートし、又は5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベートし、0.2×SSC及び0.1%SDS中、65℃洗浄する。
実質的に相補的である
本明細書で使用する場合、「実質的に相補的である」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100個以上のヌクレオチドの領域にわたって、第2の配列の相補体と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%若しくは99%同一であること、又は2つの配列が、厳密なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
実質的に同一である
本明細書で使用する場合、「実質的に同一である」は、第1の配列と第2の配列とが、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100個以上のヌクレオチド若しくはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%若しくは99%同一であること、又は核酸に関して、第1の配列が、第2の配列の相補体に対して実質的に相補的である場合を意味する。
対象
本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、哺乳動物を指し、ヒト及びその他の哺乳動物の両方を包含する。本発明の方法は、好ましくは、ヒト対象に適用する。
標的核酸
本明細書で使用する場合、「標的核酸」は、別の核酸が結合することができる核酸又はその変異体を意味する。標的核酸は、DNA配列であってよい。標的核酸は、RNAであってよい。標的核酸は、mRNA、tRNA、shRNA、siRNA又はPiwi−相互作用RNA、又はpri−miRNA、pre−miRNA、miRNA、又は抗miRNAを含むことができる。
標的核酸は、標的miRNA結合部位又はその変異体を含むことができる。1つ又は複数のプローブが、標的核酸に結合することができる。標的結合部位は、5〜100又は10〜60個のヌクレオチドを含むことができる。標的結合部位は、全部で5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30〜40、40〜50、50〜60、61、62又は63個のヌクレオチドを含むことができる。標的部位の配列は、それらの内容が本明細書に組み込まれている米国特許出願第11/384,049号、第11/418,870号又は第11/429,720号に開示されている標的miRNA結合部位の配列のうちの少なくとも5個のヌクレオチドを含むことができる。
閾値発現レベル
本明細書で使用する場合、「閾値発現レベル」という句は、判断基準の発現値を指し、それに対して、肺癌の特定の型を決定するために、測定値を比較する。基準発現プロファイルは、核酸の発現レベルに基づいてもよく、又はそれらの計量したスコアの組合せに基づいてもよい。
組織試料
本明細書で使用する場合、組織試料は、組織生検から、関連の医術における当業者に周知の方法を使用して得た組織である。本明細書で使用する場合、「癌の疑いがある」という句は、医術における当業者によって癌性細胞を含有すると考えられている癌組織試料を意味する。生検から試料を得るための方法として、腫瘤を肉眼で識別する方法、顕微解剖、レーザーに基づいた顕微解剖、又は他の当技術分野で既知の細胞を分離する方法が挙げられる。
変異体
本明細書で使用する場合、核酸に関する「変異体」は、(i)参照するヌクレオチド配列の一部;(ii)参照するヌクレオチド配列の相補体若しくはその一部;(iii)参照する核酸と実質的に同一である核酸、若しくはその相補体;又は(iv)厳密な条件下で参照する核酸とハイブリダイズする核酸、その相補体、若しくはそれと実質的に同一である配列を意味する。
ベクター
本明細書で使用する場合、「ベクター」は、複製の開始点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌性の人工染色体、又は酵母性の人工染色体であってよい。ベクターは、DNAベクター又はRNAベクターであってよい。ベクターは、自己複製性の染色体外ベクター又は宿主ゲノム内に組み込まれるベクターのいずれかであってよい。
野生型
本明細書で使用する場合、「野生型」の配列という用語は、その配列についての天然の又は正常な機能を果たす配列の対立遺伝子の形態であるコード配列、非コード配列又はインターフェイス配列を指す。野生型の配列は、同族の配列の複数の対立遺伝子の形態を包含し、例えば、野生型の配列の複数の対立遺伝子が、コード配列がコードするタンパク質配列に対するサイレント又は保存的な変化をコードする場合がある。
本発明は、miRNAを、特異的な肺癌の同定、分類及び診断のために利用する。
マイクロRNAのプロセシング
マイクロRNA(miRNA)をコードする遺伝子を転写させて、pri−miRNAとして知られているmiRNAの前駆体を産生させることができる。pri−miRNAは、複数のpri−miRNAを含むポリシストロニックなRNAの部分であり得る。pri−miRNAは、ステム及びループを有するヘアピン構造を形成することができる。ステムはミスマッチした塩基を含むことができる。
pri−miRNAのヘアピン構造は、Droshaによって認識され得る。Droshaは、リボヌクレアーゼIIIエンドヌクレアーゼである。Droshaは、pri−miRNA中の末端のループを認識し、ステムに入ってらせん約2巻きのところで切断して、pre−miRNAとして知られている、60〜70個のヌクレオチドの前駆体を産生することができる。Droshaは、pri−miRNAを切断し、リボヌクレアーゼIIIエンドヌクレアーゼに典型的な、ずれた切断部をもたらし、5’リン酸及び約2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するpre−miRNAステムループをもたらすことができる。Drosha切断部位から伸長する、ステムのらせん約1巻き(約10個のヌクレオチド)が、効率的なプロセシングに不可欠である場合がある。次いで、pre−miRNAは、Ran−GTP及び搬出受容体Ex−portin−5によって核から細胞質へ能動的に輸送され得る。
pre−miRNAは、Dicerによって認識され得る。Dicerもまた、リボヌクレアーゼIIIエンドヌクレアーゼである。Dicerは、pre−miRNAの二本鎖のステムを認識することができる。Dicerはまた、ステムループの基部における5’リン酸及び3’オーバーハングを認識することもできる。Dicerは、ステムループの基部から、末端のループをらせん2巻き離れて切断して離し、追加の5’リン酸及び約2ヌクレオチド3’オーバーハングを残すことができる。ミスマッチを含むことができる、得られたsiRNA様二重鎖は、成熟したmiRNA及びmiRNAとして知られている類似の大きさの断片を含む。miRNA及びmiRNAは、pri−miRNA及びpre−miRNAの向かい合ったアームに由来することができる。miRNA配列は、クローン化miRNAのライブラリー中に見出すことができるが、その頻度は典型的には、miRNAよりも低い。
miRNAは、最初は、miRNAと共に二本鎖の種として存在するが、最終的には、一本鎖RNAとして、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られているリボ核タンパク質複合体中に組み込まれ得る。種々のタンパク質が、RISCを形成することができ、これらは、miRNA/miRNAの二重鎖に対する特異性、標的遺伝子の結合部位、miRNAの(抑制又は活性)活性、及びmiRNA/miRNAの二重鎖のいずれの鎖がRISC中に取り込まれるかに関する多様性をもたらすことができる。
miRNA:miRNAの二重鎖のmiRNA鎖が、RISC中に取り込まれる場合には、miRNAが除去され、分解され得る。RISC中に取り込まれるmiRNA:miRNAの二重鎖の鎖は、5’末端の対形成の堅固さの程度が低い鎖であってよい。miRNA:miRNAの両方の末端が、ほぼ同等の5’の対形成を有する場合には、miRNA及びmiRNAの両方が、遺伝子サイレンシングの活性を有することができる。
RISCは、標的核酸を、miRNAとmRNAとの間の高いレベルの相補性に基づいて、特にmiRNAのヌクレオチド2〜7により同定することができる。動物においては、miRNAとその標的との間の相互作用が、miRNAの全長に沿うという1例が報告されているに過ぎない。これは、mir−196及びHox B8について示されたものであり、その後、mir−196が、Hox B8 mRNAの切断を媒介することが示された(Yektaら、2004、Science 304〜594)。これ以外は、そのような相互作用は、植物においてのみ知られている(Bartel及びBartel 2003、Plant Physiol 132〜709)。
いくつかの研究は、翻訳の効率的な阻害を達成するための、miRNAとそのmRNA標的との間における塩基対形成の要件を研究している(Bartel 2004、Cell 116〜281によって総説されている)。哺乳動物細胞中では、miRNAの最初の8個のヌクレオチドが、重要である場合がある(Doench及びSharp 2004 GenesDev 2004〜504)。しかし、また、マイクロRNAのその他の部分がmRNAとの結合に参画する場合もある。さらに、3’における十分な塩基対形成が、5’における不十分な塩基対形成を補うこともできる(Brenneckeら、2005 PLoS 3〜e85)。
全ゲノム上でのmiRNAの結合を解析した計算研究から、標的結合における、miRNAの5’における塩基2〜7の特異的な役割が示唆されているが、また、通常は「A」であることが見出される、最初のヌクレオチドの役割も認識された(Lewisら、2005 Cell 120〜15)。同様に、Krekらは、ヌクレオチド1〜7又は2〜8を使用して、標的を同定及び確認した(2005、Nat Genet 37〜495)。
mRNA中の標的部位は、5’UTR、3’UTRにおいてであっても、又はコード領域においてであってもよい。興味深いことに、複数のmiRNAが、同一のmRNA標的を、同一又は複数の部位を認識することによって制御する場合がある。最も遺伝子的に同定されている標的における複数のmiRNA結合部位の存在から、複数のRISCの共同作用が最も効率的な翻訳阻害をもたらすことが暗示され得る。
miRNAは、RISCを指揮して、遺伝子発現を、mRNAの切断又は翻訳抑制の2つ機構のうちのいずれかによって下方制御することができる。mRNAが、miRNAに対して特定の程度の相補性を有する場合には、miRNAは、mRNAの切断を特定することができる。miRNAが切断を導く場合には、切断は、miRNAの残基10及び11に対して対形成しているヌクレオチドとヌクレオチドとの間でなされる場合がある。或いはmiRNAが、miRNAに対して必要とされる程度の相補性を有しない場合には、miRNAは、翻訳を抑制する場合もある。翻訳の抑制は、動物においてより多く見られる場合がある。これは、動物では、miRNAと結合部位との間の相補性の程度がより低い場合があるからである。
miRNAとmiRNAとの任意の対の5’末端及び3’末端は、多様性であり得ることに留意しなければならない。この多様性は、切断部位に関するDrosha及びDicerの酵素によるプロセシングの多様性に起因し得る。miRNA及びmiRNAの5’末端及び3’末端の多様性はまた、pri−miRNA及びpre−miRNAのステム構造中のミスマッチにも起因し得る。ステム鎖のミスマッチが、異なるヘアピン構造の集団をもたらす場合がある。ステム構造の多様性はまた、Drosha及びDicerによる切断の産物における多様性をもたらす場合もある。
核酸
本明細書では、核酸を提供する。核酸は、配列番号1〜61又はそれらの変異体の配列を含む。変異体は、参照するヌクレオチド配列の相補体であってよい。変異体はまた、参照するヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列、又はその相補体であってもよい。変異体はまた、厳密な条件下で参照するヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列、その相補体、又はそれと実質的に同一であるヌクレオチド配列であってもよい。
核酸は、10から250までのヌクレオチド長を有することができる。核酸は、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200又は250のヌクレオチド長を有することができる。核酸は、合成してもよく、又は細胞中で(in vitro若しくはin vivoにおいて)本明細書に記載する合成遺伝子を使用して発現させてもよい。核酸は、一本鎖分子として合成し、実質的に相補的な核酸とハイブリダイズさせて、二重鎖を形成させることができる。核酸は、細胞、組織若しくは臓器に、一本鎖若しくは二本鎖の形態で導入する場合もあり、又は参照によって組み入れられている米国特許第6,506,559号に記載されているものをはじめとする、当業者に周知の方法を使用して合成遺伝子によって発現させることが可能である場合もある。
核酸複合体
核酸は、以下のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる:ペプチド、タンパク質、RNA−DNAのハイブリッド、抗体、抗体断片、Fab断片及びアプタマー。
pri−miRNA
核酸は、pri−miRNA又はその変異体の配列を含むことができる。pri−miRNA配列は、45〜30,000、50〜25,000、100〜20,000、1,000〜1,500又は80〜100個のヌクレオチドを含むことができる。pri−miRNAの配列は、本明細書に記載するpre−miRNA、miRNA及びmiRNA、並びにそれらの変異体を含むことができる。pri−miRNAの配列は、配列番号1〜8、26〜37、38〜49又はそれらの変異体の配列を含むことができる。
pri−miRNAは、ヘアピン構造を形成することができる。ヘアピンは、実質的に相補的である第1の核酸配列及び第2の核酸配列を含むことができる。第1の核酸配列及び第2の核酸配列は、37〜50個のヌクレオチドであってよい。第1の核酸配列と第2の核酸配列とは、8〜12個のヌクレオチドの第3の配列によって隔たる場合がある。ヘアピン構造は、その内容が本明細書に組み込まれているHofackerら、Monatshefte f.Chemie 125:167〜188(1994)に記載されている、Viennaアルゴリズムによって、デフォルトパラメータを用いて計算した場合、−25Kcal/モル未満の自由エネルギーを有することができる。ヘアピンは、4〜20、8〜12又は10個のヌクレオチドの末端のループを含むことができる。pri−miRNAは、少なくとも19%のアデノシンヌクレオチド、少なくとも16%のシトシンヌクレオチド、少なくとも23%のチミンヌクレオチド、及び少なくとも19%のグアニンヌクレオチドを含むことができる。
pre−miRNA
核酸はまた、pre−miRNA又はその変異体の配列を含むこともできる。pre−miRNA配列は、45〜90、60〜80又は60〜70個のヌクレオチドを含むことができる。pre−miRNAの配列は、本明細書に記載するmiRNA及びmiRNAを含むことができる。pre−miRNAの配列はまた、pri−miRNAの5’末端及び3’末端から0〜160個のヌクレオチドを排除したpri−miRNAの配列であってもよい。pri−miRNAの配列は、配列番号1〜8、26〜37、38〜49又はそれらの変異体の配列を含むことができる。
miRNA
核酸はまた、(miRNAを含めた)miRNA又はその変異体の配列も含むことができる。miRNAの配列は、13〜33、18〜24又は21〜23個のヌクレオチドを含むことができる。miRNAはまた、全部で少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のヌクレオチドを含むこともできる。miRNAの配列は、pre−miRNAの最初の13〜33個のヌクレオチドであってよい。miRNAの配列はまた、pre−miRNAの最後の13〜33個のヌクレオチドであってもよい。miRNAの配列は、配列番号1〜8、38〜42、48又はそれらの変異体の配列を含むことができる。
抗miRNA
核酸はまた、pri−miRNA、pre−miRNA、miRNA若しくはmiRNAに結合することによって(例えば、アンチセンス若しくはRNAサイレンシング)、又は標的結合部位に結合することによって等、miRNA又はmiRNAの活性を遮断することができる抗miRNAの配列を含むこともできる。抗miRNAは、全部で5〜100又は10〜60個のヌクレオチドを含むことができる。抗miRNAはまた、全部で少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のヌクレオチドを含むこともできる。抗miRNAの配列は、(a)miRNAの5’に対して実質的に同一若しくは相補的である少なくとも5個のヌクレオチド、及びmiRNAの5’末端側の標的部位の隣接領域に対して実質的に相補的である少なくとも5〜12個のヌクレオチド、又は(b)miRNAの3’に対して実質的に同一若しくは相補的である少なくとも5〜12個のヌクレオチド、及びmiRNAの3’末端側の標的部位の隣接領域に対して実質的に相補的である少なくとも5個のヌクレオチドを含むことができる。抗miRNAの配列は、配列番号1〜8、38〜42、48の相補体、又はそれらの変異体を含むことができる。
標的結合部位
核酸はまた、マイクロRNAの標的結合部位の配列、又はその変異体を含むこともできる。標的部位の配列は、全部で5〜100又は10〜60個のヌクレオチドを含むことができる。標的部位の配列はまた、全部で少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62又は63個のヌクレオチドを含むこともできる。標的部位の配列は、配列番号1〜8、38〜42、48の配列のうちの少なくとも5個のヌクレオチドを含むことができる。
合成遺伝子
また、転写及び/又は翻訳の制御配列に動作可能に連結している、本明細書に記載する核酸を含む合成遺伝子も提供する。合成遺伝子は、本明細書に記載する核酸に対する結合部位を有する標的遺伝子の発現を改変することが可能である場合がある。標的遺伝子の発現は、細胞、組織又は臓器において改変することができる。合成遺伝子は、合成してもよく、又は天然に存在する遺伝子から、標準的な組換えの技法によって引き出してもよい。合成遺伝子はまた、合成遺伝子の配列の転写単位の3’末端において転写終結区を含むこともできる。合成遺伝子はまた、選択可能なマーカーを含むこともできる。
ベクター
また、本明細書に記載する合成遺伝子を含むベクターも提供する。ベクターは、発現ベクターであってよい。発現ベクターは、追加のエレメントを含むことができる。例えば、発現ベクターは、2つの複製系を有することができ、当該発現ベクターを、2つの生物体中、例えば、発現のための1つの宿主細胞中、並びにクローン化及び増幅のための第2の宿主細胞(例えば、細菌)中で維持することが可能である。発現ベクターを組み込むためには、発現ベクターは、宿主細胞のゲノムに対して相同である少なくとも1つの配列、好ましくは、発現構築物に隣接する、2つの相同な配列を含有することができる。組み込み型のベクターは、適切な相同配列を選択し、ベクター中に包含することよって、宿主細胞中の特定の座位に導くことができる。ベクターはまた、選択可能なマーカー遺伝子を含むこともでき、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする。
宿主細胞
また、本明細書に記載するベクター、合成遺伝子又は核酸を含む宿主細胞も提供する。細胞は、細菌、真菌、植物、昆虫又は動物の細胞であってよい。例えば、宿主細胞系は、DG44及びDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣系統、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頚癌)、CVI(サル腎臓系統)、COS(SV40 T抗原を有するCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)、BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓系統)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3x63−Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、及び293(ヒト腎臓)であってよい。宿主細胞系は、商業サービス、the American Tissue Culture Collection、又は公開されている文献から入手可能な場合がある。
プローブ
本明細書では、プローブを提供する。プローブは核酸を含むことができる。プローブは、8から500、10から100、又は20から60のヌクレオチド長を有することができる。プローブはまた、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280又は300のヌクレオチド長を有することもできる。プローブは、18〜25個のヌクレオチドの核酸を含むことができる。
プローブは、1つ又は複数の型の化学的な結合により、通常は相補的な塩基の対の形成、すなわち、通常は水素結合の形成により、相補的な配列の標的核酸に結合することが可能である場合がある。プローブは、ハイブリダイゼーション条件の厳密度に依存して、プローブ配列に対する完全な相補性には欠ける標的配列に結合することができる。プローブは、一本鎖であっても、又は部分的に一本鎖であり且つ部分的に二本鎖であってもよい。プローブの鎖の状態は、標的配列の構造、組成及び特性によって決定付けられる。プローブは、直接的に標識しても、又は間接的に標識してもよい。
試験プローブ
プローブは、試験プローブである場合がある。試験プローブは、miRNA、miRNA、pre−miRNA、又はpri−miRNAに対して相補的である核酸配列を含むことができる。試験プローブの配列は、配列番号17〜24及び56〜61から選択することができる。
リンカー配列
プローブは、リンカーをさらに含むことができる。リンカーは、10〜60ヌクレオチド長であってよい。
リンカーは、20〜27ヌクレオチド長であってよい。リンカーは、プローブが全体で45〜60ヌクレオチド長となることが可能となるのに十分な長さであってよい。リンカーは、安定な二次構造を形成できない場合もあり、又はそれ自体では折り畳むことができない場合もあり、又はプローブ中に含有される、核酸のリンカー以外の部分では折り畳むことができない場合もある。リンカーの配列は、プローブのリンカー以外の核酸が由来する動物のゲノム中には出現しない場合がある。
逆転写
cDNAの標的配列を、標的RNAの逆転写によって生成することができる。cDNAを生成するための方法は、ポリアデニル化されたRNA、又はそれに代わってアダプター配列が連結しているRNAを逆転写することであってよい。
RNAに連結しているアダプター配列を使用する逆転写
RNAは、逆転写に先立って、アダプター配列に連結することができる。連結反応は、T4 RNAリガーゼによって実施して、アダプター配列をRNAの3’末端において連結することができる。次いで、逆転写(RT)反応を、アダプター配列の3’末端に対して相補的である配列を含むプライマーを使用して実施することができる。
RNAに連結しているポリアデニル化配列を使用する逆転写
ポリアデニル化RNAを、5’アダプター配列を含むポリ(T)プライマーを使用して逆転写(RT)反応において使用することができる。ポリ(T)配列は、8、9、10、11、12、13又は14個の連続したチミンを含むことができる。逆転写プライマーは、配列番号25を含むことができる。
RNAのRT−PCR
RNAの逆転写物は、リアルタイムPCRによって、標的核酸に対して相補的な少なくとも15個の核酸、及び5’テイル配列を含む特異的な順方向プライマー;アダプター配列の3’末端に対して相補的な逆方向プライマー;並びに標的核酸に対して相補的な少なくとも8個の核酸を含むプローブを使用して増幅することができる。プローブは、アダプター配列の5’末端に対して部分的に相補的であってよい。
標的核酸のPCR
標的核酸を増幅する方法を、本明細書に記載する。PCRを含む方法によって、増幅することができる。PCR反応の第1のサイクルは、56℃、57℃、58℃、59℃又は60℃のアニーリングの温度を有してよい。第1のサイクルは、1〜10サイクルを含むことができる。PCR反応の残りのサイクルは、60℃であってよい。残りのサイクルは、2〜40サイクルを含むことができる。アニーリングの温度によってPCRの感度を高めることができる。PCRは、より高い厳密度のPCR用の鋳型として働くことができるより長い産物を生成することができる。
順方向プライマー
PCR反応は、順方向プライマーを含むことができる。順方向プライマーは、標的核酸と同一の15、16、17、18、19、20又は21個のヌクレオチドを含むことができる。
順方向プライマーの3’末端は、標的核酸と同胞核酸との間の配列の違いに対して感受性であってよい。
順方向プライマーはまた、5’オーバーハングのテイルを含むこともできる。5’テイルは、順方向プライマーの融解温度を上昇させることができる。5’テイルの配列は、標的核酸を単離した動物のゲノムと同一ではない配列を含むことができる。5’テイルの配列はまた、合成してもよい。5’テイルは、8、9、10、11、12、13、14、15又は16個のヌクレオチドを含むことができる。順方向プライマーは、配列番号9〜16、50〜55を含むことができる。
逆方向プライマー
PCR反応は、逆方向プライマーを含むことができる。逆方向プライマーは、標的核酸に対して相補的であってよい。逆方向プライマーはまた、アダプター配列に対して相補的な配列を含むこともできる。アダプター配列に対して相補的な配列は、12〜24個のヌクレオチドを含むことができる。
バイオチップ
バイオチップも提供する。バイオチップは、固体の基材を含み、これは、付着した1つ又は複数の本明細書に記載するプローブを含む。プローブは、厳密なハイブリダイゼーション条件下で、標的配列とハイブリダイズすることが可能であり得る。プローブを、基材上の空間的に規定された位置において付着することができる。標的配列当たり、2つ以上のプローブを使用することができ、それらは、ある特定の標的配列の重複するプローブ又はある特定の標的配列の異なる区分に対するプローブのいずれかである。プローブは、当業者が認識する単一の障害に関係がある標的配列とハイブリダイズすることが可能であり得る。プローブは、最初に合成し、それに続いて、バイオチップに付着させてもよく、又はバイオチップ上に直接合成してもよい。
固体の基材は、プローブを付着する又は結合するのに適した個々の部位を個別に含有するように改変することができる材料であってよく、少なくとも1つの検出方法に適している。基材の材料の代表的な例として、ガラス及び改変された又は機能性のガラス、(アクリル、ポリスチレン及びスチレンとその他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、TeflonJ等をはじめとする)プラスチック、多糖、ナイロン又はニトロセルロース、樹脂、ケイ素及び改変されたケイ素をはじめとする、シリカ又はシリカに基づいた材料、炭素、金属、無機ガラス、並びにプラスチックが挙げられる。基材は、顕著に蛍光を発することなく、光学的な検出を可能にすることができる。
基材は、平面であってよいが、また、基材のその他の構造形状を使用してもよい。例えば、流入式の試料解析のためには、プローブをチューブの内側表面上に置いて、試料体積を最小化することができる。同様に、基材は、軟質フォーム等、柔軟性があってもよく、これには、特定のプラスチックで作製された独立気泡フォームが挙げられる。
バイオチップ及びプローブの基材は、引き続くそれら2つの付着用に化学的な官能基を用いて誘導体化されている。例えば、バイオチップを、これらに限定されないが、アミノ基、カルボキシル基、オキソ基又はチオール基をはじめとする、化学的な官能基を用いて誘導体化することができる。これらの官能基を使用すれば、プローブ上の官能基を使用して、プローブを、直接的に又はリンカーを使用して間接的に付着させることができる。
プローブは、5’末端により、3’末端により、又は内部ヌクレオチドを介してのいずれかで、固体の基材に結び付けることができる。
プローブはまた、固体の基材に、非共有結合によって付着させることもできる。例えば、ビオチン標識したオリゴヌクレオチドを作製することができ、これは、ストレプトアビジンで共有結合によりコートした表面に結合し、付着させることができる。或いは光重合及びフォトリソグラフィー等の技法を使用して、プローブを表面上で合成することもできる。
診断
また、診断方法も提供する。この方法は、生物学的試料中の肺特異的癌と関係がある核酸の示差的な発現レベルを検出するステップを含む。試料は、患者から得ることができる。患者における癌の状況、及びその組織学的な型の診断によって、予後診断及び治療戦略の選択が可能となり得る。さらに、細胞の発生段階を、一時的に発現した、癌と関係がある核酸を決定することによって分類することができる。
標識したプローブと組織切片又は塗抹試料とのin situハイブリダイゼーションを行うことができる。熟練した当業者であれば、個々の試料と標準の間でフィンガープリントを比較して、所見に基づいて診断、予後診断又は予測を行うことができる。さらに、診断を指し示す遺伝子は、予後診断を指し示す核酸とは異なる場合があり、細胞の状態の分子プロファイリングからは、応答性条件と不応性条件との間の区別が得られる場合があり、又は成果を予測できる場合があることも理解されたい。
キット
また、キットも提供し、このキットは、本明細書に記載する核酸を、以下のうちのいずれか又は全てと一緒に含むことができる:アッセイ用試薬、緩衝液、プローブ及び/又はプライマー、並びに無菌の食塩水又は別の薬学的に許容できる乳濁液用及び懸濁液用の基剤。さらに、キットは、本明細書に記載する方法を実行するための指示(例えば、プロトコール)を含有する指導用の材料を包含することができる。
例えば、キットは、標的核酸配列の増幅、検出、同定又は定量化のために使用されてよい。キットは、ポリ(T)プライマー、順方向プライマー、逆方向プライマー及びプローブを含むことができる。
本明細書に記載する組成物はいずれも、キット中に含むことができる。非限定的な例においては、アレイを使用してmiRNAを単離し、miRNAを標識し且つ/又はmiRNAの集団を評価するための試薬を、キット中に包含する。キットは、miRNAプローブを生み出す又は合成するための試薬もさらに包含することができる。したがって、キットは、適切な容器手段中に、標識されたヌクレオチド又はそれに続いて標識される未標識のヌクレオチドを組み込むことによりmiRNAを標識するための酵素を含む。キットはまた、反応用緩衝液、標識用緩衝液、洗浄用緩衝液又はハイブリダイゼーション用緩衝液等の1つ又は複数の緩衝液、miRNAプローブを調製するための化合物、in situハイブリダイゼーションのための構成成分、及びmiRNAを単離するための構成成分も包含することができる。本発明のその他のキットは、miRNAを含む核酸アレイを作製するための構成成分を包含することができ、したがって、例えば、固体の基材を包含することができる。
本発明のいくつかの実施形態をより十分に例証するために、以下の実施例を示す。しかし、いかなる場合であっても、それらが、本発明の広範な範囲を制限するものであると解釈してはならない。
(実施例1)
実験手順
1.腫瘍試料
異なる組織学的サブタイプの肺癌試料から得られた229個のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)摘出物、FNA及びFNB(表1)を、以下の供給源:Sheba Medical Center、Tel Hashomer、イスラエル;Rabin Medical Center、Petah Tikva、イスラエル;及びABS Inc.、Wilmington、DEから得た。各機関の機関審査委員会又はIRBと同等の指針に従って、全ての試料について機関審査承認を得た。
2.miRアレイプラットフォーム
マイクロRNAプロファイリングを、表1に列挙した摘出物試料と重複する、50個の摘出物試料(11個の小細胞癌、15個のカルチノイド、15個の非扁平上皮性NSCLC、9個の扁平上皮細胞癌)のセットに対して実施した。社内特製のマイクロRNAマイクロアレイ及びAgilentに特別注文したマイクロRNAマイクロアレイの両方を使用して、プロファイリングを実施した。社内製のマイクロアレイの場合、Sangerデータベース中に収載されている700個近くのマイクロRNA、並びにRosetta Genomicsが、予測し、妥当性を確認した追加のマイクロRNA、及び対照に相当する747個のDNAオリゴヌクレオチドプローブを、スライドEコートマイクロアレイ用スライド(Schott Nexterion、Mainz、ドイツ)上に、BioRobotics MicroGrid II microarrater(Genomic Solutions、Ann Arbor、MI)を使用して、製造元の指示に従って三つ組でスポットした。Agilentに特別注文したマイクロRNAマイクロアレイについては、およそ900個のマイクロRNAが印刷されていた。
陰性対照のプローブを、一連のマイクロRNAのセンス配列を使用して設計した。スライド上に、陽性対照のプローブの2つの群:(i)各試料中に標識化の前に加えた合成の低分子RNAを検出し、したがって、標識化効率を確かめるために設計したプローブ、及び(ii)RNAの品質を示す、大量の低分子RNAを検出するために設計したプローブを含めた。3.5μgの全RNAを、RNAリンカーのp−rCrU−Cy/染料(Dharmacon、Lafayette、CO)へのライゲーションにより標識し、このリンカーは、その3’−末端にCy3又はCy5を有した。各RNA試料を独立に、42℃で12〜16時間インキュベートすることによってスライドにハイブリダイズさせ、次いで、スライドを2回洗浄した。アレイを、Agilent DNA Microarray Scanner Bundle(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を使用して、10μmの解像度、100%の出力でスキャンした。アレイ画像を解析し、生データを、SpotReaderソフトウエア(Niles Scientific、Portola Valley、CA)を使用して抽出した。
3.RNAの抽出
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から、RNAを、以下のプロトコールに従って抽出した:
1mlのキシレン(Biolab製)を、1〜2mgの組織に添加し、57℃で5分間インキュベートしてから、10,000gで2分間遠心分離した。上清を取り出し、1mlのエタノール(100%)(Biolab製)を添加した。10,000gで10分間遠心分離した後、上清を破棄し、洗浄の手順を繰り返した。10〜15分間風乾した後、500μlのBuffer B(NaCl 10mM、Tris pH7.6、500mM、EDTA20mM、SDS1%)、及び5μlのプロテイナーゼK(50mg/ml)(Sigma製)を添加した。45℃で16時間インキュベートした後、プロテイナーゼKの不活性化を、100℃で7分間実施した。酸フェノールクロロホルム(1:1)(Sigma製)を用いて抽出し、最大速度、4℃で10分間遠心分離した後、上部の相を、新しいチューブに移し、3倍容量の100%エタノール、0.1倍容量のNaOAc(BioLab製)、及び8μlのグリコーゲン(Ambion製)を添加し、−20℃で一晩放置した。
最大速度、4℃で40分間遠心分離し、1mlのエタノール(85%)を用いて洗浄してから、乾燥した後、45μlのDDW中に、RNAを再度懸濁させた。
RNAの濃度を試験し、DNase Turbo(Ambion製)を適宜(1μlのデオキシリボヌクレアーゼ/10μgのRNA)を添加した。室温で30分間インキュベートし、酸フェノールクロロホルムを用いて抽出した後、45μlのDDW中に、RNAを再度懸濁させた。濃度を再度試験し、DNase Turbo(Ambion製)を適宜(1μlのデオキシリボヌクレアーゼ/10μgのRNA)添加した。室温で30分間インキュベートし、酸フェノールクロロホルムを用いて抽出した後、20μlのDDW中に、RNAを再度懸濁させた。
4. RNAのポリアデニル化及びポリ(T)アダプターのアニーリング
混合液を、以下に従って調製した。

5μlの混合液を、5μlの適切なRNAの試料(1μg)(又は非RNA対照の超純水)に添加した。反応を、37℃で1時間インキュベートした。ポリ(T)アダプターの混合物を以下に従って調製した。

ポリ(T)アダプター混合液から3μl、及びポリアデニル化RNA又は陰性の対照から5μlを、PCR用チューブに移した。アニーリングのプロセスを、以下のアニーリングのプログラムに従って実施した:
ステップ1:85℃で2分間
ステップ2:70℃から25℃−各サイクルにおいて、20秒かけて1℃低下させる。
5.逆転写
逆転写用混合液を以下に従って調製した。

1.5μlのRecombinant Rnasin(Promega製)、及び1μlのsuperscript II RT(Invitrogen製)を、上記の混合液に添加した。12.5μlのミックスを、アニールしたポリA RNAを含有する各PCR用チューブ、及び非RNA対照に添加した。
チューブをPCR機器(MJ Research Inc.製)内に挿入し、以下のプログラムを実施した:
ステップ1:37℃で5分間
ステップ2:45℃で5分間
ステップ3:ステップ1〜2を5回繰り返す
ステップ4:4℃でプログラムを終了させる。
cDNAのマイクロチューブは、−20℃で保管した。
6.MGBプローブを使用するリアルタイムPCR
各cDNA試料を、以下について三つ組で評価した:
プライマー−プローブのミックスを調製した。各チューブ中で、10μMのFwdプライマーを、同一容量の、同一のRNAに対して特異的な5μMの対応するMGBプローブ(ABI製)とミックスした。Fwdプライマー及びMGBプローブの配列を、表2に示す。
cDNAを希釈して、0.5ng/μlの最終濃度とした。PCR用混合液を、以下に従って調製した。

68μl(非RNA対照及び非cDNA対照の場合)、又は170μlのPCR用ミックスを、適切にラベルを付けたマイクロチューブ内に分注した。10μlのcDNA(0.5ng/μl)を、ミックスを含有する、適切にラベルを付けたマイクロチューブ内に添加した。PCR用プレートを、18μlをミックスから各ウエル内に分注することによって調製した。2μlのプライマープローブ混合液を、各ウエル内にPCR−マルチ−チャネルを使用して添加した。プレートを、Real Time−PCR機器(Applied Biosystems製)中に取り付け、以下のプログラムを実施した:
段階1、Reps=1
ステップ1:95.0において10分間維持(MM:SS)、勾配率=100
段階2、Reps=40
ステップ1:95.0において15秒間維持(MM:SS)、勾配率=100
ステップ2:60.0において1分間維持(MM:SS)、勾配率=100
標準7500モード
試料容量(μL):20.0
データ収集:段階2、ステップ2
7.miRアレイのデータの正規化
最初のデータセットは、それぞれの試料についての複数のプローブについて測定したシグナルから構成された。解析のためには、既知の又は確認されたヒトマイクロRNAの発現レベルを測定するように設計されたプローブについてのみのシグナルを使用した。
信頼できるスポットの対数平均を得ることによって、三つ組のスポットを1つのシグナルに組み合わせた。全てのデータを対数変換し、解析を対数空間において実施した。正規化のための参照データのベクトルRを、2つの代表的な試料、例えば、神経内分泌肺腫瘍及びNSCLCの腫瘍の型からのそれぞれ1つの試料において、各プローブについて、発現レベルの平均を得ることによって計算した。
データベクトルSを有する各試料kについて、試料データと参照データとの間に最良のフィットをもたらすように二次の多項式Fを見出し、したがって、R≒F(S)となした。離れたデータ点(「外れ値」)は、多項式Fをフィットするためには使用しなかった。試料中の各プローブ(ベクトルS中の要素

)について、最初の値

から、(対数空間において)正規化した値

を、最初の値を、多項式Fを用いて変換することによって計算し、したがって、

となる。統計学的解析を、対数空間中で実施する。倍率変化の提示及び計算のために、データを、指数を取ることによって書き換えて、線形空間に戻す。
qRT−PCRデータにおいて、各miRについてのp値及び倍率変化の中央値を計算するために、miRの発現を、各試料内で正規化した。これは、換算係数を、全ての試料にわたるmiRのCtの平均を減じた試料内のmiRのCtの平均として計算することによって実施した。次いで、この換算係数を、試料内の各miRのCtから減じた。miRについてのより高いCt値が、より低い存在量と関係があることから、より高い発現値をより高い存在量と関係付けるために、miRの正規化した発現を、50からこの結果を減じることによって算出した。
8.統計学的解析
この統計学的解析の目的は、正規化したシグナルのレベルが2つの比較した試料セット間において有意に異なるプローブを見出すことであった。マイクロアレイデータにおいて300未満の正規化したシグナルのレベルを有する、2つの試料セット中のプローブは、解析しなかった。各プローブについて、2つの試料セットについて得た、2つの群の正規化したシグナルを比較した。独立両側t−検定の統計学的な方法を使用して、p値を各プローブについて計算した。p値は、測定したシグナルを、又は2つの群のシグナルが等しい平均値を有する分布から得られる場合には、群間におけるより極端な差を偶然に得る確率である。そのプローブが、最も低く且つ最も有意なt−検定のp値を有するマイクロRNAを選択した。閾値0.05未満のp値は、シグナルの正規(ガウシアン)対数分布の前提の下、2つの群が同一の平均を有する分布に由来する確率が0.05又は5%より低いことを意味する。これら2つの群のシグナルは、異なる平均を有する分布から生じたと思われ、関連性のあるマイクロRNAは、これら2つのセットの試料間において示差的に発現すると思われる。
場合によっては、誤発見率(FDR)の方法を使用する、複数の仮説検定についての統計学的補正に基づいて、異なる閾値を使用した。この場合には、示差的に発現すると思われるmiRを同定するための閾値を、試験したmiRの数、及びそれらのp値の分布に基づいて選択した。試料の型の分類又は同定の精度を、感度を(1−特異性)に対してプロットする応答オペレーター曲線(ROC)を使用し、ROCの曲線下面積(AUC)を計算することによって評価した。特異性及び感度の両方が100%に達し、AUC=1を得る場合に、最適な同定が達成される。
9.miRのRT−PCRデータの正規化
サイクル閾値(C、プローブのシグナルが閾値に達するPCRサイクル)を、各マイクロRNAについて決定した。各マイクロRNAのCから、試料の全てのマイクロRNAの平均Cを減じ、換算定数(試料セット全体にわたる平均C)を足し戻すことによって、各試料を正規化した。得られた各値を、50から減じた。
10.分類アルゴリズム(KNN)の説明
k=9を使用するK最近傍アルゴリズムを使用して、分類を実施した。手短に述べると、分類しようとする試料について、8つのmiRにわたり、全てのその他の試料とのこの試料についてのピアソン相関係数を、非正規化Ct値を使用して計算した。最良の相関性を示す9つの試料を取り、この群の9つの「近傍」内で最高の表現(representation)である組織学的クラスを使用して、分類している試料の組織学的クラスを決定した。
(実施例2)
特定のマイクロRNAにより、種々の型の肺腫瘍試料を識別することが可能になる
種々の型の肺腫瘍試料の間で示差的に発現するmiRのリアルタイムPCR定量化解析を、表3に示す。表3及び図1〜9に示すように、結果は、特定のmiRの発現パターンにおいて有意な差を示した。
(実施例3)
マイクロRNAの類似性
また、38個の摘出物試料(10個のカルチノイド、9個の小細胞癌、10個の非扁平上皮細胞癌、9個の扁平上皮細胞癌)のセットについても、hsa−miR−106a及びhsa−miR−29bに類似する配列に関してRT−PCRを実施した。hsa−miR−106aについては、73.9%〜95.6%の範囲に及ぶ類似性を有する5つのmiRを調べた。hsa−miR−29bについては、類似性86.4%を有する1つのmiRを調べた。表4及び図10〜11に示すように、両方のmiRについて、類似のmiRは、類似の発現傾向を示す。
これまでに記載した、特定の実施形態から、本発明の一般的な性質が非常に十分に明らかになるので、他者は、現在の知識を適用することによって、過度の実験なしに、一般的概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に改変及び/又は適合させて、種々の応用例を得ることができる。したがって、そのような適合形態及び改変形態は、開示した実施形態の均等物の意味及び範囲のうちで把握されるべきであり、そのように意図されている。本発明を、その特定の実施形態と共に説明してきたが、多くの代替形態、改変形態及び変形形態が、当業者には明らかになるであろうことは明白である。したがって、添付の請求項の精神及び広範な範囲に属する、そのような代替形態、改変形態及び変形形態は全て包含されるものとする。
詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明の精神及び範囲に属する種々の変化形態及び改変形態が、この詳細な説明から、当業者には明らかになるであろうことから、これら詳細な説明及び特定の実施例は、説明のために提供されているに過ぎないことを理解されたい。

Claims (1)

  1. 以下の方法又はキット:
    (1)肺癌の特定のサブタイプを識別するための方法であって、対象から生物学的試料を得るステップと;前記試料中の、配列番号1〜8からなる群から選択された核酸配列、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列の発現プロファイルを決定するステップと;前記発現プロファイルを基準発現プロファイルと比較するステップとを含み;前記発現プロファイルの前記基準発現プロファイルとの比較が、前記肺癌を指し示す上記方法、
    (2)前記肺癌が、扁平上皮細胞癌、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)、カルチノイド肺癌及び小細胞肺癌からなる群から選択される、(1)に記載の方法、
    (3)前記核酸配列が、配列番号3、7、8、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、カルチノイド肺癌を指し示す、(1)に記載の方法。
    (4)前記核酸配列が、配列番号1、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、小細胞肺癌(SCLC)を指し示す、(1)に記載の方法。
    (5)前記核酸配列が、配列番号2、5、6、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、非扁平上皮性非小細胞肺癌(NSCLC)を指し示す、(1)に記載の方法。
    (6)前記核酸配列が、配列番号4、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択され、前記基準発現プロファイルと比較した場合の、前記核酸配列の相対的に高い発現レベルが、扁平上皮細胞癌を指し示す、(1)に記載の方法。
    (7)前記生物学的試料が、体液、細胞系及び組織試料からなる群から選択される、(1)に記載の方法。
    (8)前記組織が、新鮮組織、凍結組織、固定組織、ロウ包埋組織又はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織である、(7)に記載の方法。
    (9)前記組織試料が、肺腫瘍試料である、(7)に記載の方法。
    (10)少なくとも2つの核酸配列の発現プロファイルを決定するステップを含む、(1)に記載の方法。
    (11)前記核酸配列の1つ又は複数の発現比を組み合わせるステップをさらに含む、(10)に記載の方法。
    (12)発現プロファイルを、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、及びそれらの組合せからなる群から選択された方法によって決定する、(1)に記載の方法。
    (13)核酸ハイブリダイゼーションを、固相核酸バイオチップアレイ又はin situハイブリダイゼーションを使用して実施する、(12)に記載の方法。
    (14)核酸増幅の方法が、リアルタイムPCRである、(12)に記載の方法。
    (15)リアルタイムPCRの方法が、順方向プライマー及び逆方向プライマーを含む、(14)に記載の方法。
    (16)順方向プライマーが、配列番号9〜16、及びそれに対して少なくとも約80%同一の配列からなる群から選択された配列を含む、(15)に記載の方法。
    (17)リアルタイムPCRの方法が、プローブをさらに含む、(16)に記載の方法。
    (18)プローブが、配列番号17〜24からなる群から選択された配列を含む、(17)に記載の方法。
    (19)肺癌を分類するためのキットであって、配列番号1〜8、その断片、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択された配列に相補的である核酸配列を含むプローブを含む上記キット。
    (20)プローブが、配列番号17〜24、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択された核酸配列を含む、(19)に記載のキット。
    (21)配列番号9〜16、及びそれに対して少なくとも約80%の同一性を有する配列からなる群から選択された配列を含む順方向プライマーをさらに含む、(20)に記載のキット。
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