JP2017056469A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工品質を向上できるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供する。【解決手段】レーザ加工装置200は、加工対象物1にレーザ光Lを集光させることにより、加工対象物1の内部に改質領域を形成する。レーザ加工装置200は、レーザ光源202と、照射光学系204と、を備える。レーザ光源202は、波長変化に伴って加工対象物1の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における第1波長の第1レーザ光L1と、第1波長よりも大きく且つ加工対象物の内部透過率が50%以上となる第2波長の第2レーザ光L2と、を同時に出力する。照射光学系204は、第1レーザ光L1を加工対象物1に照射すると共に、第2レーザ光L2を加工対象物1に照射する。【選択図】図7

Description

本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工装置に関する。
従来、加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法が知られている。例えば特許文献1には、第1パルスレーザ光を第1パルスレーザ光源から出射して加工対象物に集光し、第1パルスレーザ光とは異なる波長の第2パルスレーザ光を第2パルスレーザ光源から出射して加工対象物に集光するレーザ加工方法が記載されている。
特許第5580526号公報
上述したようなレーザ加工方法では、近年における益々の普及拡大に伴い、加工品質を向上することが要求されている。例えば加工品質を向上するための要求として、形成された改質領域から延びる亀裂を制御すること、レーザ加工により加工対象物に及ぶダメージを抑制すること、及び、レーザ光の光軸調整等においてのレーザ光の検出精度を向上すること等が要求されている。
本発明は、加工品質を向上することができるレーザ加工方法及びレーザ加工装置を提供することを課題とする。
本発明に係るレーザ加工方法は、加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、波長変化に伴って加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きく且つ加工対象物の内部透過率が50%以上となる第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、を備える。
本発明に係るレーザ加工装置は、加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、波長変化に伴って加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きく且つ加工対象物の内部透過率が50%以上となる第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射する照射光学系と、を備える。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、加工対象物の内部透過率について、第1波長の第1レーザ光と第2波長の第2レーザ光とで際立って異なり易い。そこで、例えば第1レーザ光の内部透過率が第2レーザ光の内部透過率よりも低い場合、第1レーザ光を加工対象物に照射することにより、第2レーザ光を照射する場合に比べて、形成する改質領域から伸びる亀裂の直進性を制御し易くし、及び、レーザ光入射面の反対面におけるダメージ(以下、「裏面ダメージ」という)を抑制することができる。また、内部透過率が50%となる第2レーザ光を加工対象物に照射することにより、長い亀裂を有する改質領域を形成し、加工対象物を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本発明によれば、加工品質を向上することが可能となる。
なお、加工対象物の「内部透過率(%)」は、「100−吸収率(%)」と同義である。加工対象物の「内部透過率」は、外部透過率から加工対象物の外表面で反射する成分を除いた割合である。
本発明に係るレーザ加工方法は、シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、波長変化に伴って加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における900nm以上の第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、を備える。
本発明に係るレーザ加工装置は、シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、波長変化に伴って加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における900nm以上の第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射する照射光学系と、を備える。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、シリコンを含む加工対象物の内部透過率について、第1レーザ光が第2レーザ光よりも際立って低く、換言すると、第2レーザ光が第1レーザ光よりも際立って高くなり易い。そこで、第1レーザ光を加工対象物に照射することにより、第2レーザ光を照射する場合に比べて、形成する改質領域から伸びる亀裂の直進性を制御し易くし、及び、裏面ダメージを抑制することができる。また、第2レーザ光を加工対象物に照射することにより、第1レーザ光を照射する場合に比べて、例えば長い亀裂を有する改質領域を形成し、加工対象物を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本発明によれば、加工品質を向上することが可能となる。
本発明に係るレーザ加工方法において、第1波長は、前記透過率変化波長範囲における1000nm以上であってもよい。本発明に係るレーザ加工装置において、第1波長は、前記透過率変化波長範囲における1000nm以上であってもよい。この場合、上記作用効果を現実的且つ効果的に実現可能となる。
本発明に係るレーザ加工方法は、シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、加工対象物で反射した第1レーザ光の反射光、及び、ダイクロイックミラーを透過した前記第1レーザ光の透過光の少なくとも一方をシリコン系半導体検出器により検出する検出工程と、を備える。
本発明に係るレーザ加工装置は、シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、第1レーザ光を加工対象物に照射すると共に、第2レーザ光を加工対象物に照射する照射光学系と、加工対象物で反射した第1レーザ光の反射光、及び、ダイクロイックミラーを透過した前記第1レーザ光の透過光の少なくとも一方を検出するシリコン系半導体検出器と、を備える。
シリコン系半導体検出器によるレーザ光の検出では、当該レーザ光がシリコンに吸収する特性を有することが重要である。一方で、シリコンを含む加工対象物において、形成する改質領域から長い亀裂を発生させるためには、レーザ光がシリコンを透過する特性を有することが望まれる。この点、本発明に係るレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、短い第1波長の第1レーザ光は、シリコンに対して高い吸収率(換言すると、低い内部透過率)を有し、長い第2波長の第2レーザ光は、シリコンに対して高い内部透過率を有することが見出される。そこで、第1レーザ光の反射光をシリコン系半導体検出器により検出することにより、シリコン系半導体検出器の感度を高めて検出精度を向上することができる。また、シリコンを含む加工対象物に第2レーザ光を照射することにより、第1レーザ光を照射する場合に比べて、長い亀裂を有する改質領域を形成し、加工対象物を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本発明によれば、加工品質を向上することが可能となる。
本発明に係るレーザ加工方法及びレーザ加工装置において、第1波長は、波長変化に伴って加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲の波長であってもよい。この場合、第1及び第2レーザ光の内部透過率が際立って異なるものになり易く、上記作用効果(第1レーザ光の反射光を検出するシリコン系半導体検出器の感度を高め、加工対象物に第2レーザ光を照射して形成した改質領域によって高い分割力を確保するという効果)が好適に発揮される。
本発明に係るレーザ加工方法において、レーザ光出力工程は、第1及び第2レーザ光の何れか一方からラマン散乱によって第1及び第2レーザ光の何れか他方を発生させる工程を有してもよい。この場合、レーザ光出力部としては、例えばラマンシフトレーザを用いることができる。
本発明に係るレーザ加工方法及びレーザ加工装置において、第1波長と第2波長との差は、100nm未満であってもよい。この場合、第1レーザ光の光学系を第2レーザ光の光学系として容易に対応させることができる。
本発明に係るレーザ加工方法において、レーザ光照射工程は、加工対象物において第1レーザ光の入射面とは反対側の表面である反対面側に第1改質領域が形成されるように第1レーザ光を集光させる工程と、加工対象物において入射面と第1改質領域との間に第2改質領域が形成されるように第2レーザ光を集光させる工程と、を有してもよい。
本発明に係るレーザ加工装置は、加工対象物における第1及び第2レーザ光の集光点の位置を制御する集光点制御部を備え、集光点制御部は、加工対象物において第1レーザ光の入射面とは反対側の表面である反対面側に第1改質領域が形成されるように第1レーザ光を集光させる制御と、加工対象物において入射面と第1改質領域との間に第2改質領域が形成されるように第2レーザ光を集光させる制御と、を実行してもよい。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、加工対象物の反対面側に第1改質領域を形成する際に、波長が短い第1レーザ光を集光させることにより、当該反対面におけるダメージを抑制することができる。一方、加工対象物における入射面と第1改質領域との間に第2改質領域を形成する際に、波長が長い第2レーザ光を集光させることにより、第2改質領域から長い亀裂を発生させることができ、分割力を高めることが可能となる。
本発明に係るレーザ加工方法において、第1及び第2レーザ光は、パルスレーザ光であり、レーザ光照射工程は、集光光学系により第1及び第2レーザ光を加工対象物に対して同軸で集光させる工程と、集光させる第1及び第2レーザ光のパルス波形が合成されて所定波形形状となるように、加工対象物に対する第1及び第2レーザ光の照射タイミングを互いに異ならせる工程と、を有してもよい。
本発明に係るレーザ加工装置において、第1及び第2レーザ光は、パルスレーザ光であり、照射光学系は、第1及び第2レーザ光を加工対象物に対して同軸で集光させる集光光学系と、集光させる第1及び第2レーザ光のパルス波形が合成されて所定波形形状となるように、加工対象物に対する第1及び第2レーザ光の照射タイミングを互いに異ならせる調整光学系と、を有してもよい。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、加工対象物に同軸で集光する第1及び第2レーザ光の各パルス波形を合成し、部分的に波長が異なる所定波形形状のパルス波形として、レーザ加工を実施できる。
本発明に係るレーザ加工方法は、加工対象物の内部に改質領域形成予定ラインに沿って改質領域を形成する方法であって、レーザ光照射工程は、第1及び第2レーザ光を、改質領域形成予定ラインに沿う方向において互いに異なる位置に集光するように分離する工程を有してもよい。本発明に係るレーザ加工装置は、加工対象物の内部に改質領域形成予定ラインに沿って改質領域を形成する装置であって、照射光学系は、第1及び第2レーザ光を、改質領域形成予定ラインに沿う方向において互いに異なる位置に集光するように分離する調整光学系を有してもよい。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、波長が互いに異なる第1及び第2レーザ光を、改質領域形成予定ラインに沿う方向に空間的に分離して加工対象物に集光させることができる。
本発明に係るレーザ加工方法において、レーザ光照射工程は、集光光学系により第1及び第2レーザ光を加工対象物に対して同軸で集光させる工程と、集光させる第1及び第2レーザ光における何れか一方のビーム断面形状が何れか他方のビーム断面形状を囲う環状となるように、第1及び第2レーザ光のビーム断面形状を調整する工程と、を有してもよい。
本発明に係るレーザ加工装置において、照射光学系は、第1及び第2レーザ光を加工対象物に対して同軸で集光させる集光光学系と、集光させる第1及び第2レーザ光における何れか一方のビーム断面形状が何れか他方のビーム断面形状を囲う環状となるように、第1及び第2レーザ光のビーム断面形状を調整する調整光学系と、を有してもよい。
このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、集光させる第1及び第2レーザ光における何れか一方のビーム断面形状を何れか他方のビーム断面形状を囲う環状とすることにより、加工品質を向上することが可能となる。例えば、波長が短い第1レーザ光のビーム断面形状を第2レーザ光のビーム断面形状を囲う環状とすると、加工対象物において集光点よりも入射面側の加熱を抑制し、集光点付近とそれ以外との間の温度差を大きくし、強い引張力を発生させて亀裂の進展力を高めることが可能となる。例えば、波長が長い第2レーザ光のビーム断面形状が第1レーザ光のビーム断面形状を囲う環状にすると、第2レーザ光は集光点に対して入射面とは反対面側にて拡散しやすいことから、当該反対面におけるダメージを抑制することが可能となる。
本発明に係るレーザ加工方法において、レーザ光出力工程は、第1レーザ光のエネルギが第2レーザ光のエネルギよりも大きく又は小さくなるように第1及び第2レーザ光の少なくとも何れかのエネルギを調整する工程を有してもよい。本発明に係るレーザ加工装置は、第1レーザ光のエネルギが第2レーザ光のエネルギよりも大きく又は小さくなるようにレーザ光出力部を制御するエネルギ制御部を備えていてもよい。このようなレーザ加工方法及びレーザ加工装置では、第1及び第2レーザ光の少なくとも何れかのエネルギを調整することにより、例えば亀裂の長さ、亀裂の直進性、及び、裏面ダメージの少なくとも何れかを制御することが可能となる。
本発明に係るレーザ加工装置において、レーザ光出力部は、ラマンシフトレーザであってもよい。この場合、第1及び第2レーザ光の何れか一方から、ラマン散乱によって第1及び第2レーザ光の何れか他方を発生させることができる。
本発明に係るレーザ加工装置は、シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、900nm〜1200nmの範囲における第1波長の第1レーザ光と、第1波長よりも大きく且つ900nm〜1200nmの範囲における第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するラマンシフトレーザを備える。
シリコンを含む加工対象物では、照射されるレーザ光の波長が900nm〜1200nmの範囲のとき、その波長が大きくなるに連れて内部透過率も際立って大きくなり易い。この点、本発明に係るレーザ加工装置は、ラマンシフトレーザを備え、900nm〜1200nmの範囲の波長を有する第1及び第2レーザ光を出力する。よって、出力した第1及び第2レーザ光は、その差が例えば数十〜100nm程度であるものの、互いに際立って異なる内部透過率をそれぞれ有することになる。その結果、第1レーザ光を加工対象物に照射することにより、亀裂の直進性を制御し易くし、及び、裏面ダメージを抑制することができる。また、第2レーザ光を加工対象物に照射することにより、長い亀裂を有する改質領域を形成し、加工対象物1を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本発明によれば、加工品質を向上することが可能となる。
本発明によれば、加工品質を向上することができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することが可能となる。
改質領域の形成に用いられるレーザ加工装置の概略構成図である。 改質領域の形成の対象となる加工対象物の平面図である。 図2の加工対象物のIII−III線に沿っての断面図である。 レーザ加工後の加工対象物の平面図である。 図4の加工対象物のV−V線に沿っての断面図である。 図4の加工対象物のVI−VI線に沿っての断面図である。 第1実施形態に係るレーザ加工装置を示す概略構成図である。 レーザ光源を示す概略構成図である。 レーザ光源から同時出力される各レーザ光についてのエネルギ比率の一例を示すグラフである。 シリコンで形成された加工対象物におけるレーザ光の内部透過率を示すグラフである。 第1実施形態に係るレーザ加工方法を説明する図である。 シリコンで形成された加工対象物に対するレーザ加工において、レーザ光の波長と加工品質との関係を示す図である。 第2実施形態に係るレーザ加工装置を示す概略構成図である。 図13のレーザ加工装置の照射光学系を示す概略構成図である。 合成パルス波形の例を示す図である。 第3実施形態に係るレーザ加工装置の照射光学系を示す概略構成図である。 第4実施形態に係るレーザ加工装置の照射光学系を示す概略構成図である。 第4実施形態に係る第1及び第2レーザ光を説明する断面図である。 リン化インジウムで形成された加工対象物におけるレーザ光の内部透過率を示すグラフである。 酸化ガリウムで形成された加工対象物におけるレーザ光の内部透過率を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
実施形態に係るレーザ加工方法及びレーザ加工装置は、加工対象物にレーザ光を集光させることにより、加工対象物の内部に改質領域を形成する。そこで、まず、改質領域の形成について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、レーザ加工装置100は、レーザ光Lをパルス発振するレーザ光源101と、レーザ光Lの光軸(光路)の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、レーザ光Lを集光するための集光用レンズ105と、を備えている。また、レーザ加工装置100は、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される加工対象物1を支持するための支持台107と、支持台107を移動させるためのステージ111と、レーザ光Lのエネルギ(出力)やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、ステージ111の駆動を制御するステージ制御部115と、を備えている。
レーザ加工装置100においては、レーザ光源101から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー103によってその光軸の向きを90°変えられ、支持台107上に載置された加工対象物1の内部に集光用レンズ105によって集光される。これと共に、ステージ111が移動させられ、加工対象物1がレーザ光Lに対して切断予定ライン5に沿って相対移動させられる。これにより、切断予定ライン5に沿った改質領域が加工対象物1に形成される。
加工対象物1としては、種々の材料(例えば、ガラス、半導体材料、圧電材料等)からなる板状の部材(例えば、基板、ウェハ等)が用いられる。図2に示されるように、加工対象物1には、加工対象物1を切断するための切断予定ライン5が設定されている。切断予定ライン5は、直線状に延びた仮想線である。加工対象物1の内部に改質領域を形成する場合、図3に示されるように、加工対象物1の内部に集光点Pを合わせた状態で、レーザ光Lを切断予定ライン5に沿って(すなわち、図2の矢印A方向に)相対的に移動させる。これにより、図4〜図6に示されるように、改質領域7が切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に形成され、切断予定ライン5に沿って形成された改質領域7が切断起点領域8となる。
集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所のことである。切断予定ライン5は、直線状に限らず曲線状であってもよいし、仮想線に限らず加工対象物1の表面3に実際に引かれた線であってもよい。切断予定ライン5は、改質領域形成予定ラインである。改質領域形成予定ラインは、改質領域7の形成が予定される予定ラインである。改質領域7は、連続的に形成される場合もあるし、断続的に形成される場合もある。改質領域7は列状でも点状でもよく、要は、改質領域7は少なくとも加工対象物1の内部に形成されていればよい。改質領域7を起点に亀裂が形成される場合があり、亀裂及び改質領域7は、加工対象物1の外表面(表面、裏面、もしくは外周面)に露出していてもよい。
ここでのレーザ光Lは、加工対象物1を透過すると共に加工対象物1の内部の集光点P近傍にて特に吸収され、これにより、加工対象物1に改質領域7が形成される(すなわち、内部吸収型レーザ加工)。よって、加工対象物1の表面3ではレーザ光Lが殆ど吸収されないので、加工対象物1の表面3が溶融することはない。一般的に、表面3から溶融され除去されて穴や溝等の除去部が形成される(表面吸収型レーザ加工)場合、加工領域は表面3側から徐々に裏面側に進行する。
本実施形態で形成される改質領域は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいう。改質領域としては、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域もある。更に、改質領域としては、加工対象物の材料において改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域や、格子欠陥が形成された領域がある。加工対象物1の材料が単結晶シリコンである場合、改質領域7は、高転位密度領域ともいえる。
また、溶融処理領域や屈折率変化領域、改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、格子欠陥が形成された領域は、更に、それら領域の内部や改質領域と非改質領域との界面に亀裂(割れ、マイクロクラック等)を内包している場合がある。内包される亀裂は、改質領域の全面に渡る場合や一部分のみや複数部分に形成される場合がある。加工対象物1としては、例えばシリコン、ガラス、LiTaO又はサファイア(Al)からなる基板やウェハ、又はそのような基板やウェハを含むものが挙げられる。
また、本実施形態においては、切断予定ライン5に沿って改質スポット(加工痕)を複数形成することによって、改質領域7を形成している。改質スポットとは、パルスレーザ光の1パルスのショット(つまり1パルスのレーザ照射:レーザショット)で形成される改質部分であり、改質スポットが集まることにより改質領域7となる。改質スポットとしては、クラックスポット、溶融処理スポットもしくは屈折率変化スポット、又はこれらの少なくとも1つが混在するもの等が挙げられる。改質スポットについては、要求される切断精度、要求される切断面の平坦性、加工対象物の厚さ、種類、結晶方位等を考慮して、その大きさや発生する亀裂の長さを適宜制御することが好ましい。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態について詳細に説明する。
図7は、第1実施形態に係るレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置200を示す概略構成図である。図7に示すように、本実施形態のレーザ加工装置200は、レーザ光源202、照射光学系204、観察用光源206、カメラ208、及び、AF(AutoFocus)ユニット212を備えている。
図8は、レーザ光源202を示す概略構成図である。図8に示すように、レーザ光源202は、少なくとも2つのレーザ光Lを同時に出力する。複数のレーザ光Lは、パルスレーザ光であり、互いに異なる波長を有する。レーザ光源202は、基準となる第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも長い第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力(つまり、2波長同時出力)する。第1レーザ光L1は、第1波長λ1のレーザ光Lであり、第2レーザ光L2は、第2波長λ2のレーザ光Lである。
レーザ光源202としては、ラマンシフトを利用したファイバレーザであるラマンシフトレーザが用いられる。第1波長λ1と第2波長λ2との差(いわゆるラマンシフト量)は、例えば100nm未満、或いは、55nm以下とされている。例えば第2波長λ2は、第1波長λ1に対して、20nm〜70nm程度長いものとなる。
レーザ光源202は、ファイバレーザ202aと波長変換用のファイバ202bとを含んで構成されている。ファイバレーザ202aは、例えば1080nm〜1200nmの波長を有するレーザ光Lを出射する。ここでのレーザ光源202では、ファイバレーザ202aで出射した第1レーザ光L1から、誘導ラマン散乱によって第2レーザ光L2を発生させる。誘導ラマン散乱とは、ファイバ202bに閾値(ラマン閾値)を超える強い光が入射すると、ストークス光と称される、より低い周波数を有する成分が発生する現象である。ストークス光は、振動基底状態にある格子が光によって中間状態に遷移し、その後、振動励起状態に戻るときに発生する。入射光とストークス光との周波数差を、ラマンシフトという。第2レーザ光L2は、1次ストークス光(1次ラマン光)であってもよいし、2次ストークス光(2次ラマン光)であってもよい。ファイバ202bは、例えば石英を含む材料で形成される。
図9は、レーザ光源202から同時出力される各レーザ光についてのエネルギ比率の一例を示すグラフである。データD1は、ファイバレーザ202aから出力された第1レーザ光L1のエネルギ比率を示す。データD2は、1次ストークス光である第2レーザ光L2のエネルギ比率を示す。データD3は、2次ストークス光のエネルギ比率を示す。図中において、第1レーザ光L1の第1波長λ1は1080nmであり、第2レーザ光L2の第2波長λ2は1135nmであり、2次ストークス光の波長は1195nmである。横軸は、ファイバレーザ202aの平均出力を示している。
図9に示すように、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2とのエネルギ比率(出力比率)は、ファイバレーザ202aの動作条件によって変化する。具体的には、ファイバ202bに入射する第1レーザ光L1の平均出力を上げると、第1レーザ光L1のエネルギ比率が下がり、第2レーザ光L2のエネルギ比率が上がる。図中では、第1レーザ光L1の平均出力を上げても、2次ストークス光のエネルギ比率は、当初ほとんど変化していないが、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2のエネルギ比率が交差した時点からわずかに上昇している。なお、ファイバ202bに入射する第1レーザ光L1の平均出力に代えてもしくは加えて、ピーク出力を変化させてもよく、この場合でも上記と同様に、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2とのエネルギ比率が変化する。
ちなみに、ストークス光には、正のストークス光だけでなく、負のストークス光も存在する。よって、レーザ光源202は、ファイバレーザ202aで出射した第2レーザ光L2から、誘導ラマン散乱によって第1レーザ光L1を発生させてもよい。
図10は、シリコンで形成された加工対象物1におけるレーザ光Lの内部透過率を示すグラフである。図中の内部透過率は、厚さ500μmの加工対象物1を対象としている。なお、図中の内部透過率の特性は一例であって、例えば加工対象物1の厚さ、結晶構造、ドープの有無、及びドープ密度等の少なくとも何れかで異なるものである(後述の図19〜20に示す内部透過率についても同様)。
図10に示すように、加工対象物1には、波長変化に伴って加工対象物1の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲R11が存在する。透過率変化波長範囲R11では、レーザ光Lに対する内部透過率が大きく変化する。透過率変化波長範囲R11では、波長が増加又は減少するに連れて、内部透過率が急変する範囲である。急変とは、波長が増加又は減少するに連れて、内部透過率が一定以上の傾きで増加又は減少することを意味する。透過率変化波長範囲R11は、波長が増加しても内部透過率が実質的に変化しない低波長範囲と、波長が増加しても内部透過率の変化が収束しており内部透過率が実質的に変化しない高波長範囲と、の間の範囲である。
透過率変化波長範囲R11における内部透過率は、レーザ光Lの波長が大きくなるに連れて、例えば2次曲線、成長曲線、サイン曲線、S字型曲線、ロジスティック曲線、ゴンペルツ曲線等、又は、これらの少なくとも何れかの組合せに倣う変化率で、連続的に変化(ここでは増加)する。透過率変化波長範囲R11における内部透過率は、レーザ光Lの波長が大きくなるに連れて、当初は少なく増加し、中途で大きく増加し、その後に少なく増加する。加工対象物1がシリコンで形成されている場合、透過率変化波長範囲R11は、例えば900nm〜1200nmである。
透過率変化波長範囲R11は、波長変化に対して実質的に内部透過率が変化しない波長範囲を含まない。透過率変化波長範囲R11は、波長変化に対する内部透過率の変化度合(傾き)が実質的に0の波長範囲を含まない。透過率変化波長範囲R11は、取り得る内部透過率最大値と取り得る内部透過率最小値との中間値(平均値)である内部透過率のときの波長を含む。透過率変化波長範囲R11では、波長変化に対して内部透過率が急峻に変化する。
透過率変化波長範囲R11は、横軸を波長とし縦軸を内部透過率としたグラフ上において、角部(尖角及び角丸を含む)を有するように変化する隣接した一対の変化点の間の波長範囲である。透過率変化波長範囲R11は、横軸を波長とし縦軸を内部透過率としたグラフ上において、多項式曲線フィッテング(例えば最小二乗法)したデータから求めることができる。透過率変化波長範囲R11は、その範囲の第1波長λ1の第1レーザ光L1でレーザ加工した場合に、第2波長λ2の第2レーザ光L2でレーザ加工した場合と比較して、異なる加工品質となる範囲である。
このようなシリコン系の加工対象物1に対して、レーザ光源202から照射する第1及び第2レーザ光L1,L2は、次の第1及び第2波長λ1,λ2をそれぞれ有していてもよい。すなわち、第1及び第2波長λ1,λ2は、例えば900nm〜1200nmの範囲に存在してもよい。例えば、第1波長λ1が1080nmであり、第2波長λ2が1135nmであってもよい。例えば、第1波長λ1が1064nmであり、第2波長λ2が1116nmであってもよい。例えば、第1波長λ1は1100nm未満の波長であり、第2波長λ2は、1100nm以上の波長であってもよい。また、第1波長λ1の内部透過率と第2波長λ2の内部透過率との比は、1.5よりも大きい場合がある(=第1波長λ1の内部透過率/第2波長λ2の内部透過率>1.5)。
また、第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R11における900nm以上の波長であり、第2波長λ2は、第1波長λ1よりも大きい波長である。すなわち、レーザ光源202は、透過率変化波長範囲R11における900nm以上の第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも大きい第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力する。
また、第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R11における1000nm以上の波長であり、第2波長λ2は、第1波長λ1よりも大きい波長である。すなわち、レーザ光源202は、透過率変化波長範囲R11における1000nm以上の第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも大きい第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力する。
また、第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R11の波長であり、第2波長λ2は、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長である。すなわち、レーザ光源202は、透過率変化波長範囲R11における第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長範囲における第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力する。
また、例えばレーザ光源202では、固体レーザ光源を用い、波長が1030nmもしくは1064nmのポンプ光(入射光)を第2レーザ光L2とし、波長が986nmもしくは1017nmのアンチストークス光を第1レーザ光L1としてもよい。なお、これらの各値は、例えばファイバの組成により数nmのずれを有していてもよい。
図7に戻り、照射光学系204は、レーザ光源202から出力された第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を加工対象物1に照射させる。照射光学系204は、集光光学系205を有している。集光光学系205は、第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1の内部に集光する。図示する例では、集光光学系205は、レーザ光源202から出力されてダイクロイックミラー204aで反射した第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を、ステージ111上の支持台(載置台)107に載置された加工対象物1の内部に集光する。集光光学系205は、例えば複数のレンズを含んで構成されている。
観察用光源206は、可視光VL1を出射する。観察用光源206としては、特に限定されず、公知の光源を用いることができる。カメラ208は、加工対象物1で反射された可視光VL1の反射光VL2を検出する。また、カメラ208は、加工対象物1の表面3又は裏面21で反射した第1レーザ光L1の反射光L1Rを検出する。カメラ208は、シリコン系半導体検出器を構成する。カメラ208としては、例えばシリコン素子を利用したCCDが挙げられる。カメラ208は、例えば、レーザ光L等の光軸調整、及び、加工対象物1の内部観察等の少なくとも何れかに使用される。
シリコン系ディテクタ210は、ダイクロイックミラー204aを透過した第1レーザ光L1の透過光L1Tを検出する。シリコン系ディテクタ210は、シリコン系半導体検出器を構成する。シリコン系ディテクタ210としては、例えば、ビームプロファイラ、フォトダイオード及びPSD(位置検出素子)の少なくとも何れかが挙げられる。シリコン系ディテクタ210は、レーザ光Lのビームプロファイル測定、ビームポインティング測定及びパルス波形測定等の少なくとも何れかに使用される。
観察用光源206から出射された可視光VL1は、ダイクロイックミラー204bで反射し、ダイクロイックミラー204c及びダイクロイックミラー204aをこの順に透過し、集光光学系205で加工対象物1に向けて集光される。そして、加工対象物1の表面3で反射した反射光VL2は、集光光学系205を介してダイクロイックミラー204a,204c,204bを透過した後、結像レンズ204dで結像されてカメラ208に入射する。
加工対象物1の表面3又は裏面21で反射した第1レーザ光L1の反射光L1Rは、集光光学系205を介してダイクロイックミラー204aを透過する。透過した一部の反射光L1Rは、ダイクロイックミラー204c,204bを透過した後、結像レンズ204dで結像されてカメラ208に入射する。
AFユニット212は、AF用レーザ光LB1を出射し、レーザ光入射面である表面3で反射されたAF用レーザ光LB1の反射光LB2を受光し検出することで、切断予定ライン5に沿った表面3の変位データを取得する。AFユニット212は、改質領域7を形成する際、取得した変位データに基づいて駆動ユニット232を駆動させ、表面3のうねりに沿うように集光光学系205をその光軸方向に往復移動させる。これにより、当該表面3に追従するように厚さ方向におけるレーザ光Lの集光点の位置を制御する。
レーザ加工装置200は、当該レーザ加工装置200を制御するものとして、CPU、ROM、RAM等からなる制御部(集光点制御部,エネルギ制御部)250を備えている。制御部250は、レーザ光源202を制御し、レーザ光源202から出射される第1及び第2レーザ光L1,L2のエネルギやパルス幅等を調節する。制御部250は、改質領域7を形成する際、レーザ光Lの集光点Pが加工対象物1の表面3から所定距離に位置し且つレーザ光Lの集光点Pが切断予定ライン5に沿って相対的に移動するように、ステージ111の位置及び駆動ユニット232の駆動の少なくとも何れかを制御する。
制御部250は、カメラ208及びシリコン系ディテクタ210の動作を制御する。制御部250は、カメラ208及びシリコン系ディテクタ210の各検出結果を取得し、例えば表示部(不図示)等へ出力する。制御部250、例えば制御対象に対して制御指令、制御信号、指令電圧、又は指令電流等を入力することにより、各種の制御を実行する。
制御部250は、第1レーザ光L1のエネルギが第2レーザ光L2のエネルギよりも大きく又は小さくなるようにレーザ光源202を制御する。具体的には、制御部250は、ファイバレーザ202aの平均出力及びピーク出力の少なくとも何れかを大きくすることによって、第1レーザ光L1のエネルギを小さくしながら、この第1レーザ光L1からラマン散乱によって発生させた第2レーザ光L2のエネルギを大きくする。制御部250は、ファイバレーザ202aの平均出力及びピーク出力の少なくとも何れかを小さくすることによって、第1レーザ光L1のエネルギを大きくしながら、この第1レーザ光L1からラマン散乱によって発生させた第2レーザ光L2のエネルギを小さくする。
制御部250は、図11(a)に示すように、レーザ光源202、ステージ111及び駆動ユニット232を制御し、加工対象物1において表面3とは反対側の裏面21側に第1改質領域7aが形成されるように第1レーザ光L1を集光させる第1制御を行う。制御部250は、図11(b)に示すように、レーザ光源202、ステージ111及び駆動ユニット232を制御し、加工対象物1において表面3と第1改質領域7aとの間に第2改質領域7bが形成されるように第2レーザ光L2を集光させる第2制御を行う。
次に、上記レーザ加工装置200を用いたレーザ加工方法について詳細に説明する。
本実施形態のレーザ加工方法は、加工対象物1をレーザ加工して複数のチップを製造するためのチップの製造方法として用いられる。加工対象物1は、板状を呈している。加工対象物1は、例えば、シリコン基板、サファイア基板、SiC基板、ガラス基板(強化ガラス基板)、半導体基板又は透明絶縁基板等である。ここでの加工対象物1は、シリコン基板である。加工対象物1の厚さは、例えば10μm〜800μmとされている。
加工対象物1のレーザ光入射面である表面3には、マトリックス状に並ぶように機能素子形成領域が複数設けられている。また、加工対象物1の表面3上には、隣り合う機能素子形成領域間を通るように延びる切断予定ライン5が複数設定されている。複数の切断予定ライン5は、格子状に延在している。なお、加工対象物1がサファイア基板の場合には、そのC面が主面(表面3及び裏面21)とされ、切断予定ライン5がサファイア基板のR面に沿った方向に延びるよう設定される。
本実施形態のレーザ加工方法では、まず、加工対象物1の裏面21にエキスパンドテープを貼り付け、該加工対象物1をステージ111上に載置する。制御部250により、ステージ111及び駆動ユニット232の少なくとも何れかを駆動させ、集光点Pを加工対象物1の裏面21側(最深部)に位置させる。レーザ光源202から第1波長λ1の第1レーザ光L1と第2波長λ2の第2レーザ光L2とを同時に出力する。
このとき、制御部250により、レーザ光源202の平均出力又はピーク出力を小さくし、第2レーザ光L2のエネルギを改質領域7が形成される閾値よりも小さくする。これにより、実質的に第1レーザ光L1のみを加工対象物1に集光させる。これと共に、加工対象物1と第1レーザ光L1とを切断予定ライン5に沿って相対移動(スキャン)させる。以上により、加工対象物1内の裏面21側に改質スポットを切断予定ライン5に沿って複数形成し、これら複数の改質スポットによって第1改質領域7aを切断予定ライン5に沿って形成する(図11(a)参照)。
続いて、制御部250により、ステージ111及び駆動ユニット232の少なくとも何れかを駆動させ、集光点Pを加工対象物1において第1改質領域7aと表面3との間に位置させる。レーザ光源202から第1波長λ1の第1レーザ光L1と第2波長λ2の第2レーザ光L2とを同時に出力する。
このとき、制御部250により、レーザ光源202の平均出力又はピーク出力を大きくし、第1レーザ光L1のエネルギを改質領域7が形成される閾値よりも小さくする。これにより、実質的に第2レーザ光L2のみを加工対象物1に集光させる。これと共に、加工対象物1と第2レーザ光L2とを切断予定ライン5に沿って相対移動(スキャン)させる。以上により、加工対象物1内の第1改質領域7aと表面3との間に改質スポットを切断予定ライン5に沿って複数形成し、これら複数の改質スポットによって第2改質領域7bを切断予定ライン5に沿って形成する(図11(b)参照)。その後、集光点Pの表面3側への移動及び第2レーザ光L2のスキャンを繰り返し行い、厚さ方向に複数列の第2改質領域7bを形成する。
続いて、エキスパンドテープを拡張することで、改質領域7を切断の起点として加工対象物1を切断予定ライン5に沿って切断し、切断された複数のチップを半導体装置(例えばメモリ、IC、発光素子、受光素子等)として得る。
図12は、シリコンで形成された加工対象物1に対するレーザ加工においてレーザ光Lの波長と加工品質との関係を示す図である。図12に示すように、第1波長λ1を有する第1レーザ光L1と第2波長λ2を有する第2レーザ光L2との対比において、次の関係が見出される。すなわち、短波長の第1レーザ光L1では、透過率が低いことから、分割力が低い(亀裂長さが短い)一方で、裏面ダメージが少なく、亀裂の直進性制御が容易である。長波長の第2レーザ光L2では、透過率が高いことから、分割力が高い(亀裂長さが長い)一方で、裏面ダメージが多く、亀裂の直進性制御が困難である。なお、裏面ダメージは、レーザ光Lの照射によって裏面21に生じたダメージであり、抜け光ダメージとも称される。
以上に説明したように、本実施形態においては、加工対象物1の内部透過率について、第1波長λ1の第1レーザ光L1と第2波長λ2の第2レーザ光L2とが際立って異なるものになり易い。そこで、第1レーザ光L1を加工対象物1に照射することにより、第2レーザ光L2を照射する場合に比べて、亀裂の直進性を制御し易くし(亀裂を真っ直ぐ延びやすいものとし)、及び、裏面ダメージを抑制することができる。また、第2レーザ光L2を加工対象物1に照射することにより、第1レーザ光L1を照射する場合に比べて、長い亀裂を有する第2改質領域7bを形成し、加工対象物1を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本実施形態によれば、加工品質を向上することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2改質領域7bを形成する際に照射する第2レーザ光L2が50%以上の内部透過率を有することから、第2改質領域7bから長い亀裂を確実に発生させ、加工対象物1を切断する際に高い分割力を一層確保できる。本実施形態では、1つの加工対象物1に対して、異なる波長を有する第1及び第2レーザ光L1,L2を照射することができる。
本実施形態では、第1波長λ1と第2波長λ2との差は、100nm未満である。この場合、第1レーザ光L1の光学系を第2レーザ光L2の光学系として容易に対応させることができる。つまり、第1及び第2レーザ光L1,L2それぞれで光学系を設けなくともよく、光学系を共通化することが可能となる。
本実施形態では、加工対象物1においてレーザ光入射面とは反対側の裏面21側に第1改質領域7aを形成する場合、波長が短い第1レーザ光L1を集光させる。これにより、当該裏面21に生じるダメージを効果的に抑制することができる。一方、加工対象物1における表面3と第1改質領域7aとの間に第2改質領域7bを形成する場合、波長が長い第2レーザ光L2を集光させる、これにより、第2改質領域7bから長い亀裂を発生させることができ、加工対象物1の分割力を効果的に高めることができる。
本実施形態では、レーザ光源202としてラマンシフトレーザを用いている。この場合、第1レーザ光L1から誘導ラマン散乱によって第2レーザ光L2を発生させることができる。また、波長差が小さい第1及び第2レーザ光L1,L2の同時出力を、具体的且つ簡易に実現できる。
ところで、シリコン系半導体検出器であるカメラ208及びシリコン系ディテクタ210において、精度よく第1レーザ光L1の反射光L1R及び第1レーザ光L1の透過光L1Tを検出する場合、反射光L1R及び透過光L1Tがシリコンに吸収する特性を有することが重要である。この点、本実施形態では、反射光L1R及び透過光L1Tが短波長である第1波長λ1を有しており、この反射光L1R及び透過光L1Tを検出することから、カメラ208及びシリコン系ディテクタ210の感度を高めて検出精度を向上することができる。加えて、上述したように、長波長である第2波長λ2を有する第2レーザ光L2を加工対象物1に照射することにより、長い亀裂が伸びる第2改質領域7bを形成し、加工対象物1を切断する際に高い分割力を確保することができる。
したがって、本実施形態では、シリコン系半導体検出器の高い検出精度と加工対象物1の高い分割力とを両立でき、加工品質を向上することが可能となる。換言すると、本実施形態のレーザ加工装置200は、シリコン系半導体検出器の感度が高い第1波長λ1のレーザ光L1と、加工対象物1に対して分割力が高い第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同軸で出力可能なラマンシフトレーザをレーザ光源202として備える。
本実施形態では、第1レーザ光L1の第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R11の波長である。この場合、加工対象物1に対して、第1波長λ1の第1レーザ光L1が高い吸収率(低い内部透過率)となり、第2波長λ2の第2レーザ光L2が高い内部透過率となり易い。これにより、上記作用効果、すなわち、第1レーザ光L1の反射光L1Rとダイクロイックミラー204aを透過した第1レーザ光L1の透過光L1Tとを検出するシリコン系半導体検出器の感度を高め、加工対象物1に第2レーザ光L2を照射して形成した第2改質領域7bによって高い分割力を確保するという上記作用効果が、好適に発揮される。
シリコン系の加工対象物1では、照射されるレーザ光Lの波長が900nm〜1200nmの範囲のとき、その波長が大きくなるに連れて内部透過率も顕著に大きくなることが見出される(図10参照)。この点、本実施形態は、ラマンシフトレーザであるレーザ光源202を備え、900nm〜1200nmの範囲の波長を有する第1及び第2レーザ光L1,L2を出力する。よって、出力した第1及び第2レーザ光L1,L2は、その差が例えば数十〜100nm程度であるものの、互いに顕著に異なる内部透過率をそれぞれ有することになる。その結果、第1レーザ光L1を加工対象物1に照射することにより、亀裂の直進性を制御し易くし、及び、裏面ダメージを抑制することができる。また、第2レーザ光L2を加工対象物1に照射することにより、長い亀裂を有する第2改質領域7bを形成し、加工対象物1を切断する際に高い分割力を確保することができる。したがって、本発明によれば、加工品質を向上することが可能となる。
ちなみに、本実施形態は、上述した装置又は方法に限定されない。本実施形態では、以下の装置又は方法を採用することもできる。
本実施形態では、加工対象物1において表面3側に形成される第2改質領域7bを、第1レーザ光L1の照射により形成される第1改質領域7aとしてもよい。具体的には、例えば、制御部250により、ステージ111及び駆動ユニット232の少なくとも何れかを駆動させ、集光点Pを加工対象物1において最も表面3側の第1改質領域7aと表面3との間に位置させる。レーザ光源202から第1波長λ1の第1レーザ光L1と第2波長λ2の第2レーザ光L2とを同時に出力する。このとき、制御部250により、レーザ光源202の平均出力又はピーク出力を小さくし、第2レーザ光L2のエネルギを改質領域7が形成される閾値よりも小さくする。これにより、実質的に第1レーザ光L1のみを加工対象物1に集光させる。これと共に、加工対象物1と第2レーザ光L2とを切断予定ライン5に沿って相対移動(スキャン)させる。
その結果、加工対象物1における表面3側及び裏面21側には、短波長の第1レーザ光L1により第1改質領域7aが形成され、これにより、改質領域7から伸びる亀裂の直進性を向上できる。一方、第1改質領域7aの間の中央部分には、長波長の第2レーザ光L2により第2改質領域7bが形成され、これにより、分割力を高めることができる。
本実施形態では、加工対象物1に集光させて改質領域7を形成する第1及び第2レーザ光L1,L2を、レーザ光源202の出力を制御することによって切り替えたが、当該切替えを実現する方法又は構成は特に限定されず、公知の方法又は構成を採用できる。例えば、第1及び第2レーザ光L1,L2の光路上におけるフィルタやミラー等の光学部品の配置を機械的に適宜切り替えることにより、加工対象物1に集光させる第1及び第2レーザ光L1,L2を切り替えてもよい。
本実施形態において、第1レーザ光L1は、改質領域7を形成する加工用レーザ光として利用されると共に、シリコン系半導体検出器で検出する検出用レーザ光としても利用されるが、加工用レーザ光のみとして利用されてもよいし、検出用レーザ光のみとして利用されてもよい。例えば、本実施形態は、シリコン系ディテクタ210を備えず、且つ、カメラ208において第1レーザ光L1の反射光L1Rを検出しない場合がある。また例えば、本実施形態は、シリコン系ディテクタ210を備えず、又は、カメラ208において第1レーザ光L1の反射光L1Rを検出しない場合がある。また例えば、第1改質領域7aを形成せずに、第1レーザ光L1の反射光L1Rと第1レーザ光L1の透過光L1Tとをシリコン系半導体検出器で検出する場合がある。
本実施形態では、裏面21側から表面3側の順で複数列の改質領域7を形成したが、複数列の改質領域7を形成する順序は、特に限定されず、順不同である。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について説明する。
図13は、第2実施形態に係るレーザ加工方法を実施するレーザ加工装置300を示す概略構成図である。図14は、レーザ加工装置300の照射光学系204を示す概略構成図である。図13に示すように、レーザ加工装置300では、照射光学系204が調整光学系302をさらに有している。
本実施形態において、集光光学系205は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を加工対象物1に対して同軸で集光させる。調整光学系302は、第1及び第2レーザ光L1,L2を時間的に制御する。調整光学系302は、加工対象物1に対する第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射タイミングを互いに異ならせる。換言すると、調整光学系302は、集光光学系205により同軸で集光される第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の一方に、他方に対する時間的ディレイを与える。
図14に示すように、調整光学系302は、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2との間に光路差を設けて、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射タイミングをずらす。図示する例では、第1レーザ光L1は、ダイクロイックミラー302aを透過し、ダイクロイックミラー302bを透過した後、集光光学系205に入射する。第2レーザ光L2は、ダイクロイックミラー302aで反射して第1レーザ光L1から分離し、ミラー302c,302dで反射した後、ダイクロイックミラー302bで反射して第1レーザ光L1に合流し、集光光学系205に入射する。
図15は、合成パルス波形Wの例を示す図である。図15の各図では、横軸が時間を表し、縦軸がパワーを表す。図15に示すように、このような調整光学系302は、集光させる第1レーザ光L1の第1パルス波形W1と第2レーザ光L2の第2パルス波形W2とを、所定波形形状の合成パルス波形Wへ合成する。図15(a)及び図15(b)に示すように、ここでの第1及び第2パルス波形W1,W2は、互いに同じパルス幅の矩形波形状を有する。
例えば図15(c)に示す例では、調整光学系302は、第2レーザ光L2よりも先に第1レーザ光L1が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とがパルス幅未満だけずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、2段の階段波形状の合成パルス波形Waを生成する。合成パルス波形Waにおいて時間的に前側は、第1パルス波形W1に対応し、第1波長λ1を有する。合成パルス波形Waにおいて時間的に後側は、第2パルス波形W2に対応し、第2波長λ2を有する。合成パルス波形Waにおいて第1パルス波形W1と第2パルス波形W2との間の凸部分は、第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とが互いに重なる部分であり、第1及び第2波長λ1,λ2が混合する。
例えば図15(d)に示す例では、調整光学系302は、第1レーザ光L1よりも先に第2レーザ光L2が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とがパルス幅未満だけずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、2段の階段波形状の合成パルス波形Wbを生成する。合成パルス波形Wbにおいて時間的に前側は、第2パルス波形W2に対応し、第2波長λ2を有する。合成パルス波形Wbにおいて時間的に後側は、第1パルス波形W1に対応し、第1波長λ1を有する。合成パルス波形Wbにおいて第1パルス波形W1と第2パルス波形W2との間の凸部分は、第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とが互いに重なる部分であり、第1及び第2波長λ1,λ2が混合する。
例えば図15(e)に示す例では、調整光学系302は、第2レーザ光L2よりも先に第1レーザ光L1が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とパルス幅だけずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、長尺のパルス幅を有する矩形波形状の合成パルス波形Wcを生成する。合成パルス波形Wcにおいて時間的に前側は、第1パルス波形W1に対応し、第1波長λ1を有する。合成パルス波形Wcにおいて時間的に後側は、第2パルス波形W2に対応し、第2波長λ2を有する。
例えば図15(f)に示す例では、調整光学系302は、第1レーザ光L1よりも先に第2レーザ光L2が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とがパルス幅だけずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、長尺のパルス幅を有する矩形波形状の合成パルス波形Wdを生成する。合成パルス波形Wdにおいて時間的に前側は、第2パルス波形W2に対応し、第2波長λ2を有する。合成パルス波形Wdにおいて時間的に後側は、第1パルス波形W1に対応し、第1波長λ1を有する。
例えば図15(g)に示す例では、調整光学系302は、第2レーザ光L2よりも先に第1レーザ光L1が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とがパルス幅以上ずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、断続的な2つの矩形波形状からなる、いわゆるダブルパルス形状の合成パルス波形Weを生成する。合成パルス波形Weにおいて時間的に前側の矩形波は、第1パルス波形W1であり、第1波長λ1を有する。合成パルス波形Waにおいて時間的に後側の矩形波は、第2パルス波形W2であり、第2波長λ2を有する。
例えば図15(h)に示す例では、調整光学系302は、第1レーザ光L1よりも先に第2レーザ光L2が加工対象物1に照射され且つ第1パルス波形W1と第2パルス波形W2とがパルス幅以上ずれるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2間に光路差を設ける。これにより、調整光学系302は、断続的な2つの矩形波形状からなる、いわゆるダブルパルス形状の合成パルス波形Wfを生成する。合成パルス波形Wfにおいて時間的に前側の矩形波は、第2パルス波形W2であり、第2波長λ2を有する。合成パルス波形Wfにおいて時間的に後側の矩形波は、第1パルス波形W1であり、第1波長λ1を有する。
本実施形態において、制御部250は、第1レーザ光L1のエネルギが第2レーザ光L2のエネルギよりも大きくなるようにレーザ光源202を制御する第1エネルギ制御と、第1レーザ光L1のエネルギが第2レーザ光L2のエネルギよりも小さくなるようにレーザ光源202を制御する第2エネルギ制御と、の少なくとも何れかを実行可能である。制御部250は、レーザ光源202のファイバレーザ202aの出力を制御することにより、第1レーザ光L1のエネルギを調整すると共に、ラマン散乱によって発生させた第2レーザ光L2のエネルギを調整する。
レーザ加工装置300を用いたレーザ加工方法では、レーザ光源202から第1波長λ1の第1レーザ光L1と第2波長λ2の第2レーザ光L2とを同時に出力する際、制御部250によりレーザ光源202を制御し、第1レーザ光L1のエネルギが第2レーザ光L2のエネルギよりも大きく又は小さくなるように、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の少なくとも何れかのエネルギを調整する。
また、第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1に照射する際、調整光学系302により、加工対象物1に対する第1及び第2レーザ光L1,L2の照射タイミングを互いに異ならせる。これにより、集光光学系205で集光させる第1レーザ光L1の第1パルス波形W1及び第2レーザ光L2の第2パルス波形W2を、所定波形形状となるように合成し、合成パルス波形Wとする。具体的には、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の一方に他方に対する時間的ディレイを与え、合成パルス波形Wa〜Wfの何れかを生成する。
以上、本実施形態においても、上記実施形態と同様な効果、すなわち、加工品質を向上する等の効果を奏する。本実施形態では、加工対象物1に対する第1及び第2レーザ光L1,L2の照射タイミングを互いに異ならせ、その各パルス波形W1,W2を合成している。これにより、部分的に波長が異なる所定波形形状の合成パルス波形Wとして、レーザ加工を実施できる。
特に、合成パルス波形Wa,Wc,We(図15(c),(e),(g)参照)の何れかに合成してレーザ加工を行う場合、時間的に前側の第1パルス波形W1に対応する部分により、その波長が第1波長λ1と短いことから、レーザ光Lの吸収のきっかけを形成することができる。そして、時間的に後側の第2パルス波形W2に対応する部分により、その波長が第2波長λ2と長いことから、亀裂を十分に伸ばすことができる。
合成パルス波形Waに合成する場合には、加工対象物1において集光点Pの温度を高めた状態(つまり、吸収係数が高い状態)とし、この状態において、長波長である第2パルス波形W2に対応する部分によりレーザ加工が行われる。これにより、漏れ光を低減することが可能となる。
合成パルス波形Wcに合成した場合には、1パルス当たりのレーザ光照射時間(パルス幅)を長くすることができ、亀裂の進展力を高めることが可能となる。
合成パルス波形Weに合成した場合には、第1及び第2パルス波形W1,W2間で加工対象物1を一旦冷やすことができ、長波長である第2パルス波形W2によりレーザ加工が行われる際に、集光点Pとその周囲との温度差を大きくできる。これにより、亀裂の進展力を高めることが可能となる。
一方、合成パルス波形Wb,Wd,Wf(図15(d),(f),(h)参照)の何れかに合成した場合、時間的に前側の第2パルス波形W2に対応する部分により、その波長が第2波長λ2と長いことから、長く伸びた亀裂を形成することができる。そして、時間的に後側の第1パルス波形W1に対応する部分により、その波長が第1波長λ1と短いことから、当該亀裂の先端を光軸方向に沿って真っ直ぐに制御することができる。
合成パルス波形Wbに合成した場合には、長波長である第2パルス波形W2に対応する部分により長い亀裂を発生させ、当該亀裂の先端を、短波長である第1パルス波形W1に対応する部分により真っ直ぐに制御することができる。これにより、亀裂の直進性を向上することが可能となる。
合成パルス波形Wfに合成した場合には、例えば第1及び第2パルス波形W1,W2の間隔が短いほど、亀裂の長さを短く抑制することができる。
本実施形態では、制御部250により、第1レーザ光L1のエネルギが第2レーザ光L2のエネルギよりも大きく又は小さくなるように調整する。これにより、例えば亀裂の長さ、亀裂の直進性、及び、裏面ダメージの少なくとも何れかを制御することが可能となる。
特に、合成パルス波形Wa,Wc,We(図15(c),(e),(g)参照)の何れかに合成した場合において、第1レーザ光L1のエネルギを第2レーザ光L2のエネルギよりも大きくする場合、次の作用効果を奏する。すなわち、時間的に前側における短波長の第1パルス波形W1のパルスエネルギが高くなる。また、時間的に後側における長波長の第2パルス波形W2のパルスエネルギが低くなる。よって、先にレーザ光Lを吸収させて改質領域7をしっかりと形成すると共に、抜け光が多くなり易い長波長の第2パルス波形W2のパルスエネルギを下げることができる。その結果、抜け光に起因した裏面ダメージを低減させる効果が十分に発揮される。
合成パルス波形Wa,Wc,We(図15(c),(e),(g)参照)の何れかに合成した場合において、第1レーザ光L1のエネルギを第2レーザ光L2のエネルギよりも小さくする場合、次の作用効果を奏する。すなわち、時間的に前側における短波長の第1パルス波形W1のパルスエネルギが低くなる。また、時間的に後側における長波長の第2パルス波形W2のパルスエネルギが高くなる。よって、初期発生する亀裂の向きを厚さ方法に真っ直ぐ形成した上で、当該亀裂を、長波長の第2パルス波形W2によるレーザ加工で厚さ方向に進展させることができる。その結果、加工対象物1を切断する場合、凹凸が少ない切断面を得ることができる。
合成パルス波形Wb,Wd,Wf(図15(d),(f),(h)参照)の何れかに合成した場合において、第1レーザ光L1のエネルギを第2レーザ光L2のエネルギよりも小さくする場合、次の作用効果を奏する。すなわち、時間的に前側における長波長の第2パルス波形W2のパルスエネルギが高くなる。また、時間的に後側における短波長の第1パルス波形W1のパルスエネルギが低くなる。よって、長波長の第2パルス波形W2によるレーザ加工により、先に亀裂を厚さ方向に沿ってある程度長く伸ばし、その後の短波長の第1パルス波形W1によるレーザ加工により、当該亀裂の先端を真っ直ぐに制御することができる。
合成パルス波形Wb,Wd,Wf(図15(d),(f),(h)参照)の何れかに合成した場合において、第1レーザ光L1のエネルギを第2レーザ光L2のエネルギよりも大きくする場合、次の作用効果を奏する。すなわち、時間的に前側における長波長の第2パルス波形W2のパルスエネルギが低くなる。また、時間的に後側における短波長の第1パルス波形W1のパルスエネルギが高くなる。これにより、発生する亀裂の伸びを抑え、ツイストハックル等の品質悪化を低減することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点について説明する。
図16は、第3実施形態に係るレーザ加工装置の照射光学系204を示す概略構成図である。図16に示すように、本実施形態のレーザ加工装置では、照射光学系204が調整光学系302(図14参照)に代えて調整光学系402を有している。
調整光学系402は、第1及び第2レーザ光L1,L2を空間的に制御する。調整光学系402は、第1及び第2レーザ光L1,L2を切断予定ライン5に沿う方向に互いに異なる位置に同時に集光するように分離する。調整光学系402は、第1及び第2レーザ光L1,L2を分離して集光光学系205へ入射させることにより、第1及び第2レーザ光L1,L2の各集光点をスキャン方向(第1及び第2レーザ光L1,L2を移動させる方向)に沿ってずらす。
図示する例では、調整光学系402は、第1レーザ光L1の集光点を、第2レーザ光L2の集光点よりもスキャン方向の前側に位置させる。すなわち、切断予定ライン5上において先に第1レーザ光L1を照射させ、後に第2レーザ光L2を照射させる。第1及び第2レーザ光L1,L2の各集光点の離間距離は、第1及び第2レーザ光L1,L2のパルスピッチと等しい距離とされる。「等しい」の語は、略等しい、略同じ、同程度を含み、完全同一に限定されるものではない。
第1レーザ光L1は、ダイクロイックミラー402aを透過し、集光光学系205に入射する。第2レーザ光L2は、ダイクロイックミラー402aで反射して第1レーザ光L1から分離し、ミラー402bで反射した後、集光光学系205に入射する。
本実施形態のレーザ加工方法では、第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1に対して照射する際、調整光学系402により第1及び第2レーザ光L1,L2を分離し、切断予定ライン5に沿う方向に互いに異なる位置に集光させる。
以上、本実施形態においても、上記実施形態と同様な効果、すなわち、加工品質を向上する等の効果を奏する。本実施形態では、第1及び第2レーザ光L1,L2を、切断予定ライン5に沿う方向における互いに異なる位置に集光するように分離する。これにより、波長が互いに異なる第1及び第2レーザ光L1,L2を、切断予定ライン5に沿う方向に空間的に分離して加工対象物1に同時に集光させることができる。
特に本実施形態では、第1及び第2レーザ光L1,L2を分離し、切断予定ライン5上において先に第1レーザ光L1を照射させ、後に第2レーザ光L2を照射させる。これにより、先に照射する第1レーザ光L1より、レーザ光Lの吸収のきっかけを形成することができる。そして、後に照射する第2レーザ光L2により、亀裂を十分に伸ばすことができる。第1及び第2レーザ光L1,L2を同軸で同時に照射するよりも、裏面ダメージを低減できる。
なお、調整光学系402は、第2レーザ光L2の集光点を、第1レーザ光L1の集光点よりもスキャン方向の前側に位置させてもよい。すなわち、切断予定ライン5上において先に第2レーザ光L2を照射させ、後に第1レーザ光L1を照射させてもよい。この場合、長波長の第2レーザ光L2によって長い亀裂は形成しつつ、短波長の第1レーザ光L1によって分割力を抑制できる。その結果、加工後の加工対象物1のハンドリング性(取扱性)を向上することが可能となる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点について説明する。
図17は、第4実施形態に係るレーザ加工装置の照射光学系204を示す概略構成図である。図18は、第4実施形態に係る第1及び第2レーザ光L1,L2を説明する断面図である。図17に示すように、本実施形態のレーザ加工装置では、照射光学系204が調整光学系302(図13参照)を備えず、ダイクロイックミラー204a(図13参照)に代えてミラー502aを含む調整光学系502を備えている。
調整光学系502は、第1及び第2レーザ光L1,L2を空間的に制御する。図17及び図18(a)に示すように、調整光学系502のミラー502aは、第1及び第2レーザ光L1,L2のビーム断面形状を調整し、第1レーザ光L1のビーム断面形状を第2レーザ光L2のビーム断面形状を囲う環状に成形する。第1及び第2レーザ光L1,L2のビーム断面形状は、光軸に直交する断面上における第1及び第2レーザ光L1,L2の形状である。ビーム断面形状は、スポット形状、又はビームプロファイルとも称する。
ミラー502aの表面は、その領域毎に波長に対する反射率が変更されている。ミラー502aの表面には、例えば、誘電体多層膜が形成されている。ミラー502aにおいて外周部505と中心部506とは、第1及び第2波長λ1,λ2に対する反射率が異なっている。具体的には、外周部505では、第1波長λ1の第1レーザ光L1の反射率が中心部506よりも高くされている。中心部506では、第2波長λ2の第2レーザ光L2の反射率が外周部505よりも高くされている。
第1レーザ光L1は、ミラー502aの外周部505で反射して集光光学系205に入射すると共に中心部506を透過し、第2レーザ光L2は、ミラー502aの中心部506で反射して集光光学系205に入射すると共に、外周部505を透過する。これにより、第1レーザ光L1のビーム断面形状は、第2レーザ光L2のビーム断面形状を囲う環状として、当該第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1に集光される。換言すると、円形ビーム断面形状を有する第2レーザ光L2と、それを囲う円環状のビーム断面形状を有する第1レーザ光L1とが、加工対象物1へ同軸で同時に集光される。
本実施形態のレーザ加工方法では、第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1に対して照射する際、調整光学系502のミラー502aにより、同時に照射する第1及び第2レーザ光L1,L2について、スポット径方向における内側と外側とで分かれるようにビーム成形する。具体的には、第1レーザ光L1のビーム断面形状が第2レーザ光L2のビーム断面形状を囲う環状となるように、第1及び第2レーザ光L1,L2を成形する。そして、当該第1及び第2レーザ光L1,L2を、集光光学系205により加工対象物1に集光させる。
以上、本実施形態においても、上記実施形態と同様な効果、すなわち、加工品質を向上する等の効果を奏する。本実施形態では、図18(a)に示すように、波長が短い第1レーザ光L1のビーム断面形状を第2レーザ光L2のビーム断面形状を囲う環状とする。これにより、加工対象物1において集光点よりも入射面側(例えば図中のX1)の加熱を抑制し、当該入射面側の温度を低くすると共に、集光点付近(例えば図中のX2)の温度を高めることができる。集光点付近とそれ以外との間の温度差を大きくし、強い引張力を発生させて亀裂の進展力を高めることが可能となる。
なお、調整光学系502のミラー502aは、第2レーザ光L2のビーム断面形状が第1レーザ光L1のビーム断面形状を囲う環状となるように第1及び第2レーザ光L1,L2のビーム断面形状を調整してもよい。具体的には、ミラー502aにおいて、外周部505では、第2波長λ2の第2レーザ光L2の反射率を中心部506よりも高くし、中心部506では、第1波長λ1の第1レーザ光L1の反射率を外周部505よりも高くする。この場合、図18(b)に示すように、第2レーザ光L2は集光点に対して裏面21側(入射面の反対面側)に拡散しやすいことから、裏面21におけるダメージ(いわゆる直下ダメージ)を抑制することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
例えば、第1及び第2レーザ光L1,L2が有する第1及び第2波長λ1,λ2は、上記実施形態の値に限定されない。第1及び第2レーザ光L1,L2は、例えば以下に例示するように、加工対象物1の材質に応じて種々の波長を有していてもよい。
図19は、リン化インジウム(InP)で形成された加工対象物1におけるレーザ光Lの内部透過率を示すグラフである。図中の内部透過率は、厚さ100μmの加工対象物1を対象としている。図19に示すように、リン化インジウムで形成された加工対象物1には、波長変化に伴って加工対象物1の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲R21が存在する。透過率変化波長範囲R21は、透過率変化波長範囲R11と同様な波長範囲である。透過率変化波長範囲R21では、レーザ光Lに対する内部透過率が大きく変化する。透過率変化波長範囲R21における内部透過率は、レーザ光Lの波長が大きくなるに連れて、急峻に増加する。加工対象物1がリン化インジウムで形成されている場合、透過率変化波長範囲R21は、例えば900nm〜980nmである。
このようなリン化インジウム系の加工対象物1に対して、レーザ光源202から照射する第1及び第2レーザ光L1,L2は、次の第1及び第2波長λ1,λ2を有していてもよい。すなわち、第1及び第2波長λ1,λ2は、例えば900nm〜980nmの範囲に存在してもよい。例えば、第1波長λ1が936nmであり、第2波長λ2が976nmであってもよい。この場合、第1レーザ光L1はアンチストークス光であり、第2レーザ光L2はポンプ光(入射光)である。
また、第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R21の波長であり、第2波長λ2は、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長であってもよい。すなわち、レーザ光源202は、透過率変化波長範囲R21における第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長範囲における第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力してもよい。
リン化インジウムで形成した加工対象物1をレーザ加工する場合、レーザ光源202としては、次の構成が想定される。例えば、980nm帯のファイバレーザ202aを有し、ファイバレーザ202aで発生させたレーザ光L(第2レーザ光L2)をファイバ202bに入射することにより、第1及び第2レーザ光L1,L2を出力する構成が想定される。
図20は、酸化ガリウム(Ga)で形成された加工対象物1におけるレーザ光Lの内部透過率を示すグラフである。図中の内部透過率は、厚さ400μmの加工対象物1を対象としている。図20に示すように、加工対象物1には、波長変化に伴って加工対象物1の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲R31が存在する。透過率変化波長範囲R31は、透過率変化波長範囲R11,R21と同様な波長範囲である。透過率変化波長範囲R31では、レーザ光Lに対する内部透過率が大きく変化する。透過率変化波長範囲R31における内部透過率は、レーザ光Lの波長が大きくなるに連れて、急峻に増加する。加工対象物1が酸化ガリウムで形成されている場合、透過率変化波長範囲R31は、例えば220nm〜290nmである。
このような酸化ガリウム系の加工対象物1に対して、レーザ光源202から照射する第1及び第2レーザ光L1,L2は、次の第1及び第2波長λ1,λ2を有していてもよい。すなわち、第1及び第2波長λ1,λ2は、例えば220nm〜290の範囲に存在してもよい。例えば、第1波長λ1が266nmであり、第2波長λ2が269nmであってもよい。
また、第1波長λ1は、透過率変化波長範囲R31の波長であり、第2波長λ2は、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長であってもよい。すなわち、レーザ光源202は、透過率変化波長範囲R31における第1波長λ1の第1レーザ光L1と、第1波長λ1よりも大きく且つ加工対象物1の内部透過率が50%以上となる波長範囲における第2波長λ2の第2レーザ光L2と、を同時に出力してもよい。
酸化ガリウムで形成した加工対象物1をレーザ加工する場合、例えば以下に示すように、レーザ光源202は、Nd:YVO4レーザ又はNd:YAGレーザを固体レーザ光源として有してもよい。この場合、固体レーザ光源で4倍波(=第1波長λ1)の第1レーザ光L1を発し、発生させた第1レーザL1をファイバ202bに入射することにより、第1及び第2レーザ光L1,L2を出力する。
[Nd:YVO4レーザ]基本波1064nm,4倍波266nm
[Nd:YAGレーザ]基本波1064nm,4倍波266nm
上記実施形態では、第1レーザ光L1の内部透過率が第2レーザ光L2の内部透過率よりも高くてもよい。この場合、第2レーザ光L2を加工対象物1に照射することにより、第1レーザ光L1を照射する場合に比べて、亀裂の直進性を制御し易くし、及び、裏面ダメージを抑制できる。また、第1レーザ光L1を加工対象物1に照射することにより、第2レーザ光L2を照射する場合に比べて、長い亀裂を有する改質領域7を形成し、加工対象物1を切断する際に高い分割力を確保することができる。
上記実施形態では、改質領域7を形成した後、切断しなくてもよい。例えば、第1及び第2レーザ光L1,L2を照射して改質領域7を形成した後、加工対象物1にエッチング処理を施すことにより、改質領域7に含まれる又は改質領域7から延びる亀裂に沿ってエッチングを選択的に進展させる工程を含んでいてもよい。
上記実施形態では、加工対象物1の内部において厚さ方向の位置が互いに異なる改質領域7を1列のみ形成してもよいし、2列以上形成してもよい。上記実施形態は、液晶層に所定の変調パターンを表示させてレーザ光Lを所望に変調させる空間光変調器を備えていてもよい。上記実施形態は、AFユニット212を備えているが、例えば装置仕様等によっては、備えていなくともよい。
また、上記実施形態では、「レーザ光入射面」を表面3とし、「レーザ光入射面の反対面」を裏面21としたが、裏面21が「レーザ光入射面」とされる場合、表面3が「レーザ光入射面の反対面」となる。また、上記実施形態では、表面3及び裏面21の少なくとも一方に至る亀裂を改質領域7から発生させてもよい。なお、本発明は、上記レーザ加工装置又は方法により製造されたチップとして捉えることもできる。
上記実施形態では、レーザ光出力部であるレーザ光源202としてラマンシフトレーザを用いたが、レーザ光出力部は限定されるものではない。例えばレーザ光出力部が2つの固体レーザ光源を有し、それぞれから第1及び第2レーザ光L1,L2を出射する構成であってもよい。つまり、上記実施形態では、ラマンシフトレーザにおいて分離した第1及び第2レーザ光L1,L2を加工対象物1に照射したが、ラマンシフトレーザをレーザ光出力部として用いなくてもよく、要は、第1及び第2波長λ1,λ2の第1及び第2レーザ光L1,L2をレーザ光出力部から出力できればよい。上記において、内部透過率及び波長の各数値は、実質的には、例えば計測誤差等の公知の誤差に対応する一定の幅を有する。
上記実施形態において、第1波長λ1と第2波長λ2との差であるラマンシフト量は、特に限定されず、レーザ光Lを通過させる媒質やレーザ光L(ポンプ光)の波長により変化させることができる。上記実施形態におけるラマンシフト量の他に、例えば、第1波長λ1が1550nmで100nm以上のラマンシフト量を実現できるし、第1波長λ1が1064nmであっても100nm以上のラマンシフト量(例えばゲインがピークでない場合)も実現できる。また、例えばファイバ202bを例えば石英以外の材料にした場合にも、100nm以上のラマンシフト量を実現できる。
1…加工対象物、3…表面(入射面)5…切断予定ライン(改質領域形成予定ライン)、7…改質領域、7a…第1改質領域、7b…第2改質領域、21…裏面(反対面)、100,200,300…レーザ加工装置、202…レーザ光源(レーザ光出力部)、204…照射光学系、204a…ダイクロイックミラー、205…集光光学系、208…カメラ(シリコン系半導体検出器)、210…シリコン系ディテクタ(シリコン系半導体検出器)、250…制御部(集光点制御部,エネルギ制御部)、302…調整光学系、402…調整光学系、502…調整光学系、L…レーザ光、L1…第1レーザ光、L2…第2レーザ光、L1R…第1レーザ光の反射光、L1T…第1レーザ光の透過光、R11,R21,R31…透過率変化波長範囲、W1…第1レーザ光のパルス波形、W2…第2レーザ光のパルス波形。

Claims (25)

  1. 加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、
    波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きく且つ前記加工対象物の内部透過率が50%以上となる第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、を備える、レーザ加工方法。
  2. シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、
    波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における900nm以上の第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、を備える、レーザ加工方法。
  3. 前記第1波長は、前記透過率変化波長範囲における1000nm以上である、請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工方法であって、
    第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時にレーザ光出力部から出力するレーザ光出力工程と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射するレーザ光照射工程と、
    前記加工対象物で反射した前記第1レーザ光の反射光、及び、ダイクロイックミラーを透過した前記第1レーザ光の透過光の少なくとも一方をシリコン系半導体検出器により検出する検出工程と、を備える、レーザ加工方法。
  5. 前記第1波長は、波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲の波長である、請求項4に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記レーザ光出力工程は、前記第1レーザ光からラマン散乱によって前記第2レーザ光を発生させる工程を有する、請求項1〜5の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  7. 前記第1波長と前記第2波長との差は、100nm未満である、請求項1〜6の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  8. 前記レーザ光照射工程は、
    前記加工対象物において前記第1レーザ光の入射面とは反対側の表面である反対面側に第1改質領域が形成されるように前記第1レーザ光を集光させる工程と、
    前記加工対象物において前記入射面と前記第1改質領域との間に第2改質領域が形成されるように前記第2レーザ光を集光させる工程と、を有する、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記第1及び第2レーザ光は、パルスレーザ光であり、
    前記レーザ光照射工程は、
    集光光学系により前記第1及び第2レーザ光を前記加工対象物に対して同軸で集光させる工程と、
    集光させる前記第1及び第2レーザ光のパルス波形が合成されて所定波形形状となるように、前記加工対象物に対する前記第1及び第2レーザ光の照射タイミングを互いに異ならせる工程と、を有する、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  10. 前記レーザ加工方法は、前記加工対象物の内部に改質領域形成予定ラインに沿って前記改質領域を形成する方法であって、
    前記レーザ光照射工程は、前記第1及び第2レーザ光を、前記改質領域形成予定ラインに沿う方向において互いに異なる位置に集光するように分離する工程を有する、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  11. 前記レーザ光照射工程は、
    集光光学系により前記第1及び第2レーザ光を前記加工対象物に対して同軸で集光させる工程と、
    集光させる前記第1及び第2レーザ光における何れか一方のビーム断面形状が何れか他方のビーム断面形状を囲う環状となるように、前記第1及び第2レーザ光のビーム断面形状を調整する工程と、を有する、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  12. 前記レーザ光出力工程は、前記第1レーザ光のエネルギが前記第2レーザ光のエネルギよりも大きく又は小さくなるように前記第1及び第2レーザ光の少なくとも何れかのエネルギを調整する工程を有する、請求項1〜11の何れか一項に記載のレーザ加工方法。
  13. 加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、
    波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きく且つ前記加工対象物の内部透過率が50%以上となる第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射する照射光学系と、を備える、レーザ加工装置。
  14. シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、
    波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲における900nm以上の第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射する照射光学系と、を備える、レーザ加工装置。
  15. 前記第1波長は、前記透過率変化波長範囲における1000nm以上である、請求項14に記載のレーザ加工装置。
  16. シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、
    第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きい第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するレーザ光出力部と、
    前記第1レーザ光を前記加工対象物に照射すると共に、前記第2レーザ光を前記加工対象物に照射する照射光学系と、
    前記加工対象物で反射した前記第1レーザ光の反射光、及び、ダイクロイックミラーを透過した前記第1レーザ光の透過光の少なくとも一方を検出するシリコン系半導体検出器と、を備える、レーザ加工装置。
  17. 前記第1波長は、波長変化に伴って前記加工対象物の内部透過率が非線形を有して変化する波長範囲である透過率変化波長範囲の波長である、請求項16に記載のレーザ加工装置。
  18. 前記レーザ光出力部は、ラマンシフトレーザである、請求項13〜17の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  19. 前記第1波長と前記第2波長との差は、100nm未満である、請求項13〜18の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  20. 前記加工対象物における前記第1及び第2レーザ光の集光点の位置を制御する集光点制御部を備え、
    前記集光点制御部は、
    前記加工対象物において前記第1レーザ光の入射面とは反対側の表面である反対面側に第1改質領域が形成されるように前記第1レーザ光を集光させる制御と、
    前記加工対象物において前記入射面と前記第1改質領域との間に第2改質領域が形成されるように前記第2レーザ光を集光させる制御と、を実行する、請求項13〜19の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  21. 前記第1及び第2レーザ光は、パルスレーザ光であり、
    前記照射光学系は、
    前記第1及び第2レーザ光を前記加工対象物に対して同軸で集光させる集光光学系と、
    集光させる前記第1及び第2レーザ光のパルス波形が合成されて所定波形形状となるように、前記加工対象物に対する前記第1及び第2レーザ光の照射タイミングを互いに異ならせる調整光学系と、を有する、請求項13〜19の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  22. 前記レーザ加工装置は、前記加工対象物の内部に改質領域形成予定ラインに沿って前記改質領域を形成する装置であって、
    前記照射光学系は、前記第1及び第2レーザ光を、前記改質領域形成予定ラインに沿う方向において互いに異なる位置に集光するように分離する調整光学系を有する、請求項13〜19の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  23. 前記照射光学系は、
    前記第1及び第2レーザ光を前記加工対象物に対して同軸で集光させる集光光学系と、
    集光させる前記第1及び第2レーザ光における何れか一方のビーム断面形状が何れか他方のビーム断面形状を囲う環状となるように、前記第1及び第2レーザ光のビーム断面形状を調整する調整光学系と、を有する、請求項13〜19の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  24. 前記第1レーザ光のエネルギが前記第2レーザ光のエネルギよりも大きく又は小さくなるように前記レーザ光出力部を制御するエネルギ制御部を備える、請求項13〜23の何れか一項に記載のレーザ加工装置。
  25. シリコンを含む加工対象物にレーザ光を集光させることにより、前記加工対象物の内部に改質領域を形成するレーザ加工装置であって、
    900nm〜1200nmの範囲における第1波長の第1レーザ光と、前記第1波長よりも大きく且つ900nm〜1200nmの範囲における第2波長の第2レーザ光と、を同時に出力するラマンシフトレーザを備える、レーザ加工装置。
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